高剛性超高分子量ポリエチレン成形物の製造方法
【課題】高い剛性を必要とする使用目的にも対応できる超高分子量ポリエチレン成形物の製造方法。
【解決手段】(イ)第1の超高分子量ポリエチレン成形物部材の一部に成形物の使用目的上必要な剛性を有するとともに表面が鏡面を呈する金属材の一部が嵌入する金属材嵌入用溝部を成形する工程(ロ)第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材に、該金属材の残りの部分が嵌入する金属材嵌入用溝部を成形する工程(ハ)該金属材を該金属材嵌入用溝部に嵌入させることにより該金属材を該第1および該第2の部材の間に挟持する工程(ニ)該金属材を挟持した状態の該第1および該第2の部材を成形金型に入れて所定の温度および圧力で加熱加圧することにより該第1および該第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材を相互に融着させ超高分子量ポリエチレン成形物を成形する工程(ホ)該成形物の温度が常温まで降下した後該成形物を成形金型から取出す工程。
【解決手段】(イ)第1の超高分子量ポリエチレン成形物部材の一部に成形物の使用目的上必要な剛性を有するとともに表面が鏡面を呈する金属材の一部が嵌入する金属材嵌入用溝部を成形する工程(ロ)第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材に、該金属材の残りの部分が嵌入する金属材嵌入用溝部を成形する工程(ハ)該金属材を該金属材嵌入用溝部に嵌入させることにより該金属材を該第1および該第2の部材の間に挟持する工程(ニ)該金属材を挟持した状態の該第1および該第2の部材を成形金型に入れて所定の温度および圧力で加熱加圧することにより該第1および該第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材を相互に融着させ超高分子量ポリエチレン成形物を成形する工程(ホ)該成形物の温度が常温まで降下した後該成形物を成形金型から取出す工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高剛性超高分子量ポリエチレン成形の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超高分子量ポリエチレンは直鎖型高重合のオレフイン系プラスチックの一種で、粘度法による測定で分子量100万以上を有する。超高分子量ポリエチレンは、その分子量が極めて大きいことにより一般ポリエチレンよりはるかに耐衝撃強度が大きく、エネルギー吸収能力や高温での引張り強さ、耐薬品性、耐腐食性等が著しく優れているため、特許文献1に開示されるように板、ブロック、フイルム、丸棒、角棒、異型品、成形品等として、各種産業機械や車両の部品やスポーツ、レジャー施設の各種部材等多岐にわたる分野において広く使用されている。
【0003】
なお、本明細書においては、超高分子量ポリエチレンからなる板、ブロック、フイルム、丸棒、角棒、異型品、成形品等をひっくるめて「超高分子量ポリエチレン成形物」という。
【特許文献1】特開2000−356216 超高分子量ポリエチレンは、上記のように耐薬品性、腐食性等に優れている反面剛性が比較的に低いために大きな剛性を必要とする用途には適さず、その用途が限定されるという弱点がある。たとえば,河川の水門や薬品槽あるいは下水処理槽のゲートは鋼製や木製のものは腐食し易く耐久性に乏しいので、耐腐食性に優れた超高分子量ポリエチレン製のゲートが使用できれば最適であるが、超高分子量ポリエチレンの剛性が低いため,ゲートとして使用すると水圧により撓んでしまい、このため漏水や液漏れが生じるおそれがあるので、現状では使用することができない。
【0004】
そこで、超高分子量ポリエチレンの中に補強材として金属材を埋設することが考えられるが、成形物の高温下での成形工程後に温度が常温に降下した時や使用時に周囲温度が著しく変化した時には、金属材と超高分子量ポリエチレン間に熱膨張係数の著しい差があるので、熱膨張係数の差に基づき、超高分子量ポリエチレンに密着した金属材の湾曲や反りにより成形物の湾曲や歪み等が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記超高分子量ポリエチレンの問題点を解決し、高い剛性を必要とする使用目的にも対応できる高剛性超高分子量ポリエチレン成形物の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、研究と実験を重ねた結果、超高分子量ポリエチレン成形物の使用目的上必要とされる剛性を有するとともに表面が鏡面を呈するまでに平滑なステンレス鋼管等の金属材を必要な本数だけ補強材として埋設した超高分子量ポリエチレン成形物は、高い剛性を必要とする使用目的にも撓むことなく使用することができる上に、金属材の表面が鏡面であるために、成形物の高温下での成形工程後に温度が常温に降下した時や使用時に周囲温度が著しく変化した時でも、金属材と超高分子量ポリエチレン間に熱膨張係数の著しい差があるにもかかわらず、超高分子量ポリエチレン部分が平滑な金属材表面に沿って摺動して伸縮することにより、熱膨張係数の差に基づく成形物の湾曲や歪み等が生じることがなく所定の形状を維持することができることを発見し、本発明に到達した。
【0007】
本発明にかかる製造方法によって製造される高剛性超高分子量ポリエチレン成形物は、分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンによって形成される超高分子量ポリエチレン成形物の内部に成形物の使用目的上必要な剛性を有するとともに表面が鏡面を呈する金属材を埋設してなるものである。
【0008】
本発明の高剛性超高分子量ポリエチレン成形物の製造方法は、次の工程を備えるものである。
【0009】
(イ)分子量が100万以上の第1の超高分子量ポリエチレン成形物部材の一部を切削することにより、成形物の使用目的上必要な剛性を有するとともに表面が鏡面を呈する金属材の一部が嵌入する金属材嵌入用溝部を成形する工程
(ロ)分子量が100万以上の第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材の一部を切削することにより、該金属材の残りの部分が嵌入する金属材嵌入用溝部を成形する工程
(ハ)該金属材を該第1および該第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材の金属材嵌入用溝部に嵌入させることにより該金属材を該第1および該第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材の間に挟持する工程
(ニ)該金属材を挟持した状態の該第1および該第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材を成形金型に入れて所定の温度および圧力で加熱加圧することにより該第1および該第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材を相互に融着させ超高分子量ポリエチレン成形物を成形する工程
(ホ)該成形物の温度が常温まで降下した後該成形物を成形金型から取出す工程。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる高剛性超高分子量ポリエチレン成形物の製造方法によれば、金属材の表面が鏡面であるので、成形物の高温下での成形工程後に温度が常温に降下した時や使用時に周囲温度が著しく変化した時でも、金属材と超高分子量ポリエチレン間に熱膨張係数の著しい差があるにもかかわらず、超高分子量ポリエチレン部分が平滑な金属材表面に沿って摺動して伸縮することにより、熱膨張係数の差に基づく成形物の湾曲や歪み等が生じることがなく所定の形状を維持することができる。
【0011】
本発明にかかる高剛性高分子量ポリエチレン成形物は、河川の水門や薬品槽あるいは下水処理槽のゲート等従来超高分子量ポリエチレンが剛性に乏しいために使用されなかった用途の他,それ以外の用途たとえば食品搬送装置等の搬送装置のガイドレールとして使用しても好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明にかかる製造方法によって製造された高剛性高分子量ポリエチレン成形物の1実施形態を示す斜視図で、理解の便宜上長手方向中央部を切欠いて示すものである。
【0013】
この成形物1は板状部材として成形されており、板状の超高分子量ポリエチレン部2の中に、長手方向に延長するようにして複数本(図示の例では2本)のステンレス鋼管3が、相互間に所定の間隔をおいて、また超高分子量ポリエチレン部2の両側縁および両端縁ならびに頂面および底面から所定の間隔をおいて埋設されている。
【0014】
ステンレス鋼管3は本発明の金属材を構成するものであり、成形物1の使用目的上必要な剛性を有するとともに、表面が鏡面を呈している。剛性については、ステンレス鋼管3は、成形物1が使用される場所において受ける圧力に対して、成形物1の超高分子量ポリエチレン部2が有する剛性と合わせて成形物1の撓みその他の変形を生じないような剛性を有することが必要である。
【0015】
超高分子量ポリエチレンの熱膨張係数は金属材の熱膨張係数の10倍以上であり、両者の間には著しい差異が存するので、成形物の高温下での成形工程後に温度が常温に降下すると、成形物の超高分子量ポリエチレン部はその中に埋設された金属材よりも大きく収縮する結果、成形物の湾曲や歪み等の変形が生じ、所望の形状の成形物を得ることが困難である。
【0016】
本実施形態においては、ステンレス鋼管3は表面が鏡面を呈するまでに平滑であるので、成形物1の高温下での成形工程後に温度が常温に降下した時や使用時に周囲温度が著しく変化した時でも、ステンレス鋼管3と超高分子量ポリエチレン部2間に熱膨張係数の著しい差があるにもかかわらず、超高分子量ポリエチレン部2が平滑なステンレス鋼管3の表面に沿って摺動して伸縮することにより、熱膨張係数の差に基づく成形物1の湾曲や歪み等が生じることがなく所定の形状を維持することができる。
【0017】
このような効果を有する金属材としては、ステンレス鋼が好適であり、その中でも耐腐食性に優れているSUS304が最適である。金属材としては、ステンレス鋼の他、合金鋼等成形物の使用目的上必要な剛性を有するとともに表面が鏡面を呈する材料であれば使用可能である。また、一般構造用圧延鋼材(SS材)はそのまま使用することは不適であるが、めっきを施すことにより表面を鏡面とすれば本発明の金属材として使用可能である。
【0018】
本実施形態にかかる成形物1においては、ステンレス鋼管3が超高分子量ポリエチレン部2中に完全に埋設されており、ステンレス鋼管3の両端部は超高分子量ポリエチレンにより覆われているので、この成形物1を薬品槽のゲート等に使用してもステンレス鋼管3が薬品により腐食するおそれがない。ただしステンレス鋼管3が成形物1の表面に露出していても、腐食のおそれが少ない場所に使用する場合は、ステンレス鋼管3の端部が超高分子量ポリエチレン部2の外側に露出していても差支えない。
【0019】
本実施形態においては、金属材としてステンレス鋼管を使用しているが、ステンレスの丸棒または平棒でもよく、剛性上問題がなければ板でもよい。ただし鋼管の場合は棒材に比べて軽量であるので、軽量の成形物が望まれる場合は鋼管を使用することが好ましい。
【0020】
図2は本発明にかかる高剛性高分子量ポリエチレン成形物の他の実施形態を示す斜視図で、図1と同様、理解の便宜上長手方向中央部を切欠いて示すものである。
【0021】
この成形物10は断面正方形の角棒として成形されており、角棒状の超高分子量ポリエチレン部12の中心部に、長手方向に延長するようにして1本のステンレス鋼管13が、超高分子量ポリエチレン部12の両端縁から所定の間隔をおいて埋設されている。ステンレス鋼管13の金属材としての必要条件は図1の実施態様と同様である。
【0022】
上記実施形態の他成形物の用途に応じて、成形物は、超高分子量ポリエチレンからなる板、ブロック、丸棒、角棒、異型品等種々の形状に成形することができる。また、その中に埋設される金属材も管、丸棒、平棒、板等種々の形状の材料を使用することができる。
【0023】
本発明にかかる高剛性高分子量ポリエチレン成形物は、河川の水門や薬品槽あるいは下水処理槽のゲートの他,それ以外の用途たとえば食品搬送装置等の搬送装置のガイドレールとして使用しても好適である。従来この種のガイドレールにおいて超高分子量ポリエチレンが使用されているが、剛性に乏しいため、ガイドレールの外側にステンレス鋼の保持部材やその取付金具が必要であり、これらの部材を設置すると搬送装置全体の重量が大きくなるという欠点があった。本発明にかかる高剛性超高分子量ポリエチレン成形物によりガイドレールを形成すれば、保持部材や取付金具等は一切不要となるので、搬送装置全体の重量を大幅に軽減することができ、装置の軽量化、省資源化に寄与することができる。この他本発明の成形物は、超高分子量ポリエチレンが本来有する優れた耐薬品性、耐腐蝕性、耐磨耗性等に加えて十分な剛性を備えることにより、種々の従来および将来の用途に適用することが可能である。
【0024】
次に、図1の成形物1を例にとって、本発明にかかる高剛性超高分子量ポリエチレン成形物の製造方法について説明する。図3〜図7はこの製造方法を工程順に示す図である。
【0025】
まず図3の断面図に示すように、超高分子量ポリエチレン成形物を原料粉末から圧縮成形する成形金型4を準備する。成形金型4は、下型4aおよび上型4bを備える平押し型のものである。この成形金型4の下型4aに超高分子量ポリエチレン原料の粉末7を所定の厚さに充填する。
【0026】
次ぎに、図4に示すように、成形金型4を閉じ、予備成形工程として、超高分子量ポリエチレン原料7を所定の圧力で加圧することにより圧縮する。
【0027】
次に、図5に示すように、圧縮した超高分子量ポリエチレン原料7の上に複数本(図示の例では2本)のステンレス鋼管3を相互間に所定の間隔をおいて、また超高分子量ポリエチレン原料7の両側縁および両端縁から所定の間隔をおいて超高分子量ポリエチレン原料7の長手方向に延長するようにして載置する。
【0028】
次に、図6に示すように、載置したステンレス鋼管3を覆うようにして超高分子量ポリエチレン原料の粉末8を下型4a内に所定の厚みに充填する。この厚みは通常は超高分子量ポリエチレン原料7の充填厚みと同一であるが、成形物の用途に応じ適宜の厚みを選択することができる。
【0029】
次に、成形金型4を閉じ、図7の部分断面図に示すように、成形金型4を圧縮成形機6に装着し、圧縮成形を行う。圧縮成形においては、まず常温において圧縮成形機6のプレス台6aを上昇させ所定の圧力で加圧することにより予備成形を行う。この際ステンレス鋼管3の下側部分は下側の超高分子量ポリエチレン原料7内に埋め込まれる。次いで所定圧力で加圧しながら所定の温度で加熱して成形金型4内の超高分子量ポリエチレン原料粉末7、8を溶融一体化して超高分子量ポリエチレン部2を成形し、所定時間経過後加圧状態で強制冷却して常温まで冷却する。
【0030】
成形条件としては、押圧加重は70kgf/cm2以上100kgf/cm2以下、加熱温度170℃以上200℃以下、加熱加圧時間2〜16時間、冷却時間3〜16時間とすることが好ましい。圧縮成形の際加熱温度が低いと樹脂が完全に溶融しないために可塑化しない一方200℃を超える加熱温度は必要ない。また圧力不足の場合は、樹脂が可塑化せず、圧力過剰ではステンレス鋼管が一方に移動して所望の位置からずれる等の問題が生じる。
【0031】
圧縮成形を完了した後成形金型4を圧縮成形機6から外し、成形金型4を開いて成形品を取出す。成形品のバリを除去することにより、超高分子量ポリエチレン部2内にステンレス鋼管3が埋設された高剛性超高分子量ポリエチレン成形物1が完成する。
【0032】
次に、図1の成形物1を例にとって、本発明にかかる高剛性超高分子量ポリエチレン成形物を製造するための他の方法について説明する。図8〜図12はこの製造方法を工程順に示す図である。
【0033】
この方法においては、まず超高分子量ポリエチレン成形物1の超高分子量ポリエチレン部2を上下に2分割した形状の超高分子量ポリエチレンからなる2枚の板状部材を用意する。図8はこれら2枚の板状部材の側面図、図9は図8のAA断面図、図10は各板状部材の一部を切取って示す斜視図である。
【0034】
図8〜図9に示すように、これら2枚の板上部材の中下側の部材である第1の超高分子量ポリエチレン板状部材20の一部を切削することにより、ステンレス鋼管3の下側半分が嵌入する鋼管嵌入用溝部21を複数本(図示の例では2本)成形する。各溝部21は鋼管3の半径よりも僅かに大きい半径の半円形の断面形状であり、溝部21相互間に所定の間隔をおいて、また板状部材20の両側縁および両端縁から所定の間隔をおいて板状部材20の長手方向に延長するようにして成形する。
【0035】
また、同様にして、これら2枚の板状部材の中上側の部材である第2の超高分子量ポリエチレン板状部材23の一部を切削することにより、ステンレス鋼管3の残りの部分である上側半分が嵌入する鋼管嵌入用溝部24を成形する。
【0036】
次に、ステンレス鋼管3を第1および第2の超高分子量ポリエチレン板状部材20、23の鋼管嵌入用溝部21、24に嵌入させた状態で両板状部材20、23を合わせることによりステンレス鋼管3を第1および第2の板状部材の間に挟持する。
【0037】
次に、図11の断面図に示すように、ステンレス鋼管3を挟持した状態の第1および第2の板状部材20、23を成形金型4の下型4aに入れる。
【0038】
次に、上型4b降ろすことにより成形金型4を閉じ、図12の部分断面図に示すように、成形金型4を圧縮成形機6に装着し、圧縮成形を行う。圧縮成形においては、圧縮成形機6のプレス台6aを上昇させ所定圧力で加圧しながら所定の温度で加熱して成形金型4内の超高分子量ポリエチレン板状部材20、23を相互に融着一体化して超高分子量ポリエチレン部2を成形し、所定時間経過後加圧状態で強制冷却して常温まで冷却する。成形条件は上記図3〜図7に示す製造方法と同一である。
【0039】
圧縮成形を完了した後成形金型4を圧縮成形機6から外し、成形金型4を開いて成形品を取出す。成形品のバリを除去することにより、超高分子量ポリエチレン部2内にステンレス鋼管3が埋設された高剛性超高分子量ポリエチレン成形物1が完成する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明方法によって製造された高剛性超高分子量ポリエチレン成形物の1実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の高剛性超高分子量ポリエチレン成形物の他の実施形態を示す斜視図である。
【図3】超高分子量ポリエチレン原料を成形金型の下型に充填した状態を示す断面図である。
【図4】成形金型を閉じた状態を示す断面図である。
【図5】圧縮した超高分子量ポリエチレン原料の上にステンレス鋼管を載置した状態を示す断面図である。
【図6】さらに超高分子量ポリエチレン原料を充填した状態を示す断面図である。
【図7】成形金型を圧縮成形機に装着した状態を示す部分断面図である。
【図8】2枚の超高分子量ポリエチレン板状部材を示す側面図である。
【図9】図8のAA断面図である。
【図10】同超高分子量ポリエチレン板状部材の一部を切取って示す斜視図である。
【図11】成形金型の下型内に2枚の超高分子量ポリエチレン板状部材を載置した状態を示す断面図である。
【図12】成形金型を圧縮成形機に装着した状態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1、10 超高分子量ポリエチレン成形物
2、12 超高分子量ポリエチレン部
3、13 ステンレス鋼管
4 成形金型
4a 下型
4b 上型
6 圧縮成形機
20、23 板状部材
21、24 鋼管嵌入用溝部
【技術分野】
【0001】
本発明は、高剛性超高分子量ポリエチレン成形の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超高分子量ポリエチレンは直鎖型高重合のオレフイン系プラスチックの一種で、粘度法による測定で分子量100万以上を有する。超高分子量ポリエチレンは、その分子量が極めて大きいことにより一般ポリエチレンよりはるかに耐衝撃強度が大きく、エネルギー吸収能力や高温での引張り強さ、耐薬品性、耐腐食性等が著しく優れているため、特許文献1に開示されるように板、ブロック、フイルム、丸棒、角棒、異型品、成形品等として、各種産業機械や車両の部品やスポーツ、レジャー施設の各種部材等多岐にわたる分野において広く使用されている。
【0003】
なお、本明細書においては、超高分子量ポリエチレンからなる板、ブロック、フイルム、丸棒、角棒、異型品、成形品等をひっくるめて「超高分子量ポリエチレン成形物」という。
【特許文献1】特開2000−356216 超高分子量ポリエチレンは、上記のように耐薬品性、腐食性等に優れている反面剛性が比較的に低いために大きな剛性を必要とする用途には適さず、その用途が限定されるという弱点がある。たとえば,河川の水門や薬品槽あるいは下水処理槽のゲートは鋼製や木製のものは腐食し易く耐久性に乏しいので、耐腐食性に優れた超高分子量ポリエチレン製のゲートが使用できれば最適であるが、超高分子量ポリエチレンの剛性が低いため,ゲートとして使用すると水圧により撓んでしまい、このため漏水や液漏れが生じるおそれがあるので、現状では使用することができない。
【0004】
そこで、超高分子量ポリエチレンの中に補強材として金属材を埋設することが考えられるが、成形物の高温下での成形工程後に温度が常温に降下した時や使用時に周囲温度が著しく変化した時には、金属材と超高分子量ポリエチレン間に熱膨張係数の著しい差があるので、熱膨張係数の差に基づき、超高分子量ポリエチレンに密着した金属材の湾曲や反りにより成形物の湾曲や歪み等が生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記超高分子量ポリエチレンの問題点を解決し、高い剛性を必要とする使用目的にも対応できる高剛性超高分子量ポリエチレン成形物の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、研究と実験を重ねた結果、超高分子量ポリエチレン成形物の使用目的上必要とされる剛性を有するとともに表面が鏡面を呈するまでに平滑なステンレス鋼管等の金属材を必要な本数だけ補強材として埋設した超高分子量ポリエチレン成形物は、高い剛性を必要とする使用目的にも撓むことなく使用することができる上に、金属材の表面が鏡面であるために、成形物の高温下での成形工程後に温度が常温に降下した時や使用時に周囲温度が著しく変化した時でも、金属材と超高分子量ポリエチレン間に熱膨張係数の著しい差があるにもかかわらず、超高分子量ポリエチレン部分が平滑な金属材表面に沿って摺動して伸縮することにより、熱膨張係数の差に基づく成形物の湾曲や歪み等が生じることがなく所定の形状を維持することができることを発見し、本発明に到達した。
【0007】
本発明にかかる製造方法によって製造される高剛性超高分子量ポリエチレン成形物は、分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンによって形成される超高分子量ポリエチレン成形物の内部に成形物の使用目的上必要な剛性を有するとともに表面が鏡面を呈する金属材を埋設してなるものである。
【0008】
本発明の高剛性超高分子量ポリエチレン成形物の製造方法は、次の工程を備えるものである。
【0009】
(イ)分子量が100万以上の第1の超高分子量ポリエチレン成形物部材の一部を切削することにより、成形物の使用目的上必要な剛性を有するとともに表面が鏡面を呈する金属材の一部が嵌入する金属材嵌入用溝部を成形する工程
(ロ)分子量が100万以上の第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材の一部を切削することにより、該金属材の残りの部分が嵌入する金属材嵌入用溝部を成形する工程
(ハ)該金属材を該第1および該第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材の金属材嵌入用溝部に嵌入させることにより該金属材を該第1および該第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材の間に挟持する工程
(ニ)該金属材を挟持した状態の該第1および該第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材を成形金型に入れて所定の温度および圧力で加熱加圧することにより該第1および該第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材を相互に融着させ超高分子量ポリエチレン成形物を成形する工程
(ホ)該成形物の温度が常温まで降下した後該成形物を成形金型から取出す工程。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる高剛性超高分子量ポリエチレン成形物の製造方法によれば、金属材の表面が鏡面であるので、成形物の高温下での成形工程後に温度が常温に降下した時や使用時に周囲温度が著しく変化した時でも、金属材と超高分子量ポリエチレン間に熱膨張係数の著しい差があるにもかかわらず、超高分子量ポリエチレン部分が平滑な金属材表面に沿って摺動して伸縮することにより、熱膨張係数の差に基づく成形物の湾曲や歪み等が生じることがなく所定の形状を維持することができる。
【0011】
本発明にかかる高剛性高分子量ポリエチレン成形物は、河川の水門や薬品槽あるいは下水処理槽のゲート等従来超高分子量ポリエチレンが剛性に乏しいために使用されなかった用途の他,それ以外の用途たとえば食品搬送装置等の搬送装置のガイドレールとして使用しても好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明にかかる製造方法によって製造された高剛性高分子量ポリエチレン成形物の1実施形態を示す斜視図で、理解の便宜上長手方向中央部を切欠いて示すものである。
【0013】
この成形物1は板状部材として成形されており、板状の超高分子量ポリエチレン部2の中に、長手方向に延長するようにして複数本(図示の例では2本)のステンレス鋼管3が、相互間に所定の間隔をおいて、また超高分子量ポリエチレン部2の両側縁および両端縁ならびに頂面および底面から所定の間隔をおいて埋設されている。
【0014】
ステンレス鋼管3は本発明の金属材を構成するものであり、成形物1の使用目的上必要な剛性を有するとともに、表面が鏡面を呈している。剛性については、ステンレス鋼管3は、成形物1が使用される場所において受ける圧力に対して、成形物1の超高分子量ポリエチレン部2が有する剛性と合わせて成形物1の撓みその他の変形を生じないような剛性を有することが必要である。
【0015】
超高分子量ポリエチレンの熱膨張係数は金属材の熱膨張係数の10倍以上であり、両者の間には著しい差異が存するので、成形物の高温下での成形工程後に温度が常温に降下すると、成形物の超高分子量ポリエチレン部はその中に埋設された金属材よりも大きく収縮する結果、成形物の湾曲や歪み等の変形が生じ、所望の形状の成形物を得ることが困難である。
【0016】
本実施形態においては、ステンレス鋼管3は表面が鏡面を呈するまでに平滑であるので、成形物1の高温下での成形工程後に温度が常温に降下した時や使用時に周囲温度が著しく変化した時でも、ステンレス鋼管3と超高分子量ポリエチレン部2間に熱膨張係数の著しい差があるにもかかわらず、超高分子量ポリエチレン部2が平滑なステンレス鋼管3の表面に沿って摺動して伸縮することにより、熱膨張係数の差に基づく成形物1の湾曲や歪み等が生じることがなく所定の形状を維持することができる。
【0017】
このような効果を有する金属材としては、ステンレス鋼が好適であり、その中でも耐腐食性に優れているSUS304が最適である。金属材としては、ステンレス鋼の他、合金鋼等成形物の使用目的上必要な剛性を有するとともに表面が鏡面を呈する材料であれば使用可能である。また、一般構造用圧延鋼材(SS材)はそのまま使用することは不適であるが、めっきを施すことにより表面を鏡面とすれば本発明の金属材として使用可能である。
【0018】
本実施形態にかかる成形物1においては、ステンレス鋼管3が超高分子量ポリエチレン部2中に完全に埋設されており、ステンレス鋼管3の両端部は超高分子量ポリエチレンにより覆われているので、この成形物1を薬品槽のゲート等に使用してもステンレス鋼管3が薬品により腐食するおそれがない。ただしステンレス鋼管3が成形物1の表面に露出していても、腐食のおそれが少ない場所に使用する場合は、ステンレス鋼管3の端部が超高分子量ポリエチレン部2の外側に露出していても差支えない。
【0019】
本実施形態においては、金属材としてステンレス鋼管を使用しているが、ステンレスの丸棒または平棒でもよく、剛性上問題がなければ板でもよい。ただし鋼管の場合は棒材に比べて軽量であるので、軽量の成形物が望まれる場合は鋼管を使用することが好ましい。
【0020】
図2は本発明にかかる高剛性高分子量ポリエチレン成形物の他の実施形態を示す斜視図で、図1と同様、理解の便宜上長手方向中央部を切欠いて示すものである。
【0021】
この成形物10は断面正方形の角棒として成形されており、角棒状の超高分子量ポリエチレン部12の中心部に、長手方向に延長するようにして1本のステンレス鋼管13が、超高分子量ポリエチレン部12の両端縁から所定の間隔をおいて埋設されている。ステンレス鋼管13の金属材としての必要条件は図1の実施態様と同様である。
【0022】
上記実施形態の他成形物の用途に応じて、成形物は、超高分子量ポリエチレンからなる板、ブロック、丸棒、角棒、異型品等種々の形状に成形することができる。また、その中に埋設される金属材も管、丸棒、平棒、板等種々の形状の材料を使用することができる。
【0023】
本発明にかかる高剛性高分子量ポリエチレン成形物は、河川の水門や薬品槽あるいは下水処理槽のゲートの他,それ以外の用途たとえば食品搬送装置等の搬送装置のガイドレールとして使用しても好適である。従来この種のガイドレールにおいて超高分子量ポリエチレンが使用されているが、剛性に乏しいため、ガイドレールの外側にステンレス鋼の保持部材やその取付金具が必要であり、これらの部材を設置すると搬送装置全体の重量が大きくなるという欠点があった。本発明にかかる高剛性超高分子量ポリエチレン成形物によりガイドレールを形成すれば、保持部材や取付金具等は一切不要となるので、搬送装置全体の重量を大幅に軽減することができ、装置の軽量化、省資源化に寄与することができる。この他本発明の成形物は、超高分子量ポリエチレンが本来有する優れた耐薬品性、耐腐蝕性、耐磨耗性等に加えて十分な剛性を備えることにより、種々の従来および将来の用途に適用することが可能である。
【0024】
次に、図1の成形物1を例にとって、本発明にかかる高剛性超高分子量ポリエチレン成形物の製造方法について説明する。図3〜図7はこの製造方法を工程順に示す図である。
【0025】
まず図3の断面図に示すように、超高分子量ポリエチレン成形物を原料粉末から圧縮成形する成形金型4を準備する。成形金型4は、下型4aおよび上型4bを備える平押し型のものである。この成形金型4の下型4aに超高分子量ポリエチレン原料の粉末7を所定の厚さに充填する。
【0026】
次ぎに、図4に示すように、成形金型4を閉じ、予備成形工程として、超高分子量ポリエチレン原料7を所定の圧力で加圧することにより圧縮する。
【0027】
次に、図5に示すように、圧縮した超高分子量ポリエチレン原料7の上に複数本(図示の例では2本)のステンレス鋼管3を相互間に所定の間隔をおいて、また超高分子量ポリエチレン原料7の両側縁および両端縁から所定の間隔をおいて超高分子量ポリエチレン原料7の長手方向に延長するようにして載置する。
【0028】
次に、図6に示すように、載置したステンレス鋼管3を覆うようにして超高分子量ポリエチレン原料の粉末8を下型4a内に所定の厚みに充填する。この厚みは通常は超高分子量ポリエチレン原料7の充填厚みと同一であるが、成形物の用途に応じ適宜の厚みを選択することができる。
【0029】
次に、成形金型4を閉じ、図7の部分断面図に示すように、成形金型4を圧縮成形機6に装着し、圧縮成形を行う。圧縮成形においては、まず常温において圧縮成形機6のプレス台6aを上昇させ所定の圧力で加圧することにより予備成形を行う。この際ステンレス鋼管3の下側部分は下側の超高分子量ポリエチレン原料7内に埋め込まれる。次いで所定圧力で加圧しながら所定の温度で加熱して成形金型4内の超高分子量ポリエチレン原料粉末7、8を溶融一体化して超高分子量ポリエチレン部2を成形し、所定時間経過後加圧状態で強制冷却して常温まで冷却する。
【0030】
成形条件としては、押圧加重は70kgf/cm2以上100kgf/cm2以下、加熱温度170℃以上200℃以下、加熱加圧時間2〜16時間、冷却時間3〜16時間とすることが好ましい。圧縮成形の際加熱温度が低いと樹脂が完全に溶融しないために可塑化しない一方200℃を超える加熱温度は必要ない。また圧力不足の場合は、樹脂が可塑化せず、圧力過剰ではステンレス鋼管が一方に移動して所望の位置からずれる等の問題が生じる。
【0031】
圧縮成形を完了した後成形金型4を圧縮成形機6から外し、成形金型4を開いて成形品を取出す。成形品のバリを除去することにより、超高分子量ポリエチレン部2内にステンレス鋼管3が埋設された高剛性超高分子量ポリエチレン成形物1が完成する。
【0032】
次に、図1の成形物1を例にとって、本発明にかかる高剛性超高分子量ポリエチレン成形物を製造するための他の方法について説明する。図8〜図12はこの製造方法を工程順に示す図である。
【0033】
この方法においては、まず超高分子量ポリエチレン成形物1の超高分子量ポリエチレン部2を上下に2分割した形状の超高分子量ポリエチレンからなる2枚の板状部材を用意する。図8はこれら2枚の板状部材の側面図、図9は図8のAA断面図、図10は各板状部材の一部を切取って示す斜視図である。
【0034】
図8〜図9に示すように、これら2枚の板上部材の中下側の部材である第1の超高分子量ポリエチレン板状部材20の一部を切削することにより、ステンレス鋼管3の下側半分が嵌入する鋼管嵌入用溝部21を複数本(図示の例では2本)成形する。各溝部21は鋼管3の半径よりも僅かに大きい半径の半円形の断面形状であり、溝部21相互間に所定の間隔をおいて、また板状部材20の両側縁および両端縁から所定の間隔をおいて板状部材20の長手方向に延長するようにして成形する。
【0035】
また、同様にして、これら2枚の板状部材の中上側の部材である第2の超高分子量ポリエチレン板状部材23の一部を切削することにより、ステンレス鋼管3の残りの部分である上側半分が嵌入する鋼管嵌入用溝部24を成形する。
【0036】
次に、ステンレス鋼管3を第1および第2の超高分子量ポリエチレン板状部材20、23の鋼管嵌入用溝部21、24に嵌入させた状態で両板状部材20、23を合わせることによりステンレス鋼管3を第1および第2の板状部材の間に挟持する。
【0037】
次に、図11の断面図に示すように、ステンレス鋼管3を挟持した状態の第1および第2の板状部材20、23を成形金型4の下型4aに入れる。
【0038】
次に、上型4b降ろすことにより成形金型4を閉じ、図12の部分断面図に示すように、成形金型4を圧縮成形機6に装着し、圧縮成形を行う。圧縮成形においては、圧縮成形機6のプレス台6aを上昇させ所定圧力で加圧しながら所定の温度で加熱して成形金型4内の超高分子量ポリエチレン板状部材20、23を相互に融着一体化して超高分子量ポリエチレン部2を成形し、所定時間経過後加圧状態で強制冷却して常温まで冷却する。成形条件は上記図3〜図7に示す製造方法と同一である。
【0039】
圧縮成形を完了した後成形金型4を圧縮成形機6から外し、成形金型4を開いて成形品を取出す。成形品のバリを除去することにより、超高分子量ポリエチレン部2内にステンレス鋼管3が埋設された高剛性超高分子量ポリエチレン成形物1が完成する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明方法によって製造された高剛性超高分子量ポリエチレン成形物の1実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の高剛性超高分子量ポリエチレン成形物の他の実施形態を示す斜視図である。
【図3】超高分子量ポリエチレン原料を成形金型の下型に充填した状態を示す断面図である。
【図4】成形金型を閉じた状態を示す断面図である。
【図5】圧縮した超高分子量ポリエチレン原料の上にステンレス鋼管を載置した状態を示す断面図である。
【図6】さらに超高分子量ポリエチレン原料を充填した状態を示す断面図である。
【図7】成形金型を圧縮成形機に装着した状態を示す部分断面図である。
【図8】2枚の超高分子量ポリエチレン板状部材を示す側面図である。
【図9】図8のAA断面図である。
【図10】同超高分子量ポリエチレン板状部材の一部を切取って示す斜視図である。
【図11】成形金型の下型内に2枚の超高分子量ポリエチレン板状部材を載置した状態を示す断面図である。
【図12】成形金型を圧縮成形機に装着した状態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1、10 超高分子量ポリエチレン成形物
2、12 超高分子量ポリエチレン部
3、13 ステンレス鋼管
4 成形金型
4a 下型
4b 上型
6 圧縮成形機
20、23 板状部材
21、24 鋼管嵌入用溝部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の各工程を備える高剛性超高分子量ポリエチレン成形物の製造方法。
(イ)分子量が100万以上の第1の超高分子量ポリエチレン成形物部材の一部を切削することにより、成形物の使用目的上必要な剛性を有するとともに表面が鏡面を呈する金属材の一部が嵌入する金属材嵌入用溝部を成形する工程。
(ロ)分子量が100万以上の第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材の一部を切削することにより、該金属材の残りの部分が嵌入する金属材嵌入用溝部を成形する工程。
(ハ)該金属材を該第1および該第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材の金属材嵌入用溝部に嵌入させることにより該金属材を該第1および該第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材の間に挟持する工程。
(ニ)該金属材を挟持した状態の該第1および該第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材を成形金型に入れて所定の温度および圧力で加熱加圧することにより該第1および該第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材を相互に融着させ超高分子量ポリエチレン成形物を成形する工程。
(ホ)該成形物の温度が常温まで降下した後該成形物を成形金型から取出す工程。
【請求項1】
次の各工程を備える高剛性超高分子量ポリエチレン成形物の製造方法。
(イ)分子量が100万以上の第1の超高分子量ポリエチレン成形物部材の一部を切削することにより、成形物の使用目的上必要な剛性を有するとともに表面が鏡面を呈する金属材の一部が嵌入する金属材嵌入用溝部を成形する工程。
(ロ)分子量が100万以上の第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材の一部を切削することにより、該金属材の残りの部分が嵌入する金属材嵌入用溝部を成形する工程。
(ハ)該金属材を該第1および該第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材の金属材嵌入用溝部に嵌入させることにより該金属材を該第1および該第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材の間に挟持する工程。
(ニ)該金属材を挟持した状態の該第1および該第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材を成形金型に入れて所定の温度および圧力で加熱加圧することにより該第1および該第2の超高分子量ポリエチレン成形物部材を相互に融着させ超高分子量ポリエチレン成形物を成形する工程。
(ホ)該成形物の温度が常温まで降下した後該成形物を成形金型から取出す工程。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−7784(P2006−7784A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−236669(P2005−236669)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【分割の表示】特願2002−41496(P2002−41496)の分割
【原出願日】平成14年2月19日(2002.2.19)
【出願人】(501116033)エス・ケー・エス エンジニアリング株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【分割の表示】特願2002−41496(P2002−41496)の分割
【原出願日】平成14年2月19日(2002.2.19)
【出願人】(501116033)エス・ケー・エス エンジニアリング株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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