高周波センサ装置
【課題】アンテナ部側からの電気的影響を抑制することができる高周波センサ装置を提供する。
【解決手段】送信波を発生する発振回路と、前記送信波の被検知体からの反射波を受信して前記受信波を検知する検波回路を有するアンテナ部と、前記アンテナ部の一方の主面と対向する第1の基板と、前記第1の基板の第1の主面上にある前記検波回路から出力された信号から前記被検知体の動きに関する判定を行う制御回路からなる制御部と、前記アンテナ部の前記制御部と対向する側の主面にある、前記アンテナ部から所定の周波数の送信波を発信させる空間を有する導電性のケースと、前記第1の基板の前記第1の主面と対向する第2の主面上であって、前記導電性のケースと対向する部分には、第1の接地電極が設けられ、前記第1の基板の前記第2の主面上であって、前記導電性のケースと対向する部分には、電子部品が設けられていない。
【解決手段】送信波を発生する発振回路と、前記送信波の被検知体からの反射波を受信して前記受信波を検知する検波回路を有するアンテナ部と、前記アンテナ部の一方の主面と対向する第1の基板と、前記第1の基板の第1の主面上にある前記検波回路から出力された信号から前記被検知体の動きに関する判定を行う制御回路からなる制御部と、前記アンテナ部の前記制御部と対向する側の主面にある、前記アンテナ部から所定の周波数の送信波を発信させる空間を有する導電性のケースと、前記第1の基板の前記第1の主面と対向する第2の主面上であって、前記導電性のケースと対向する部分には、第1の接地電極が設けられ、前記第1の基板の前記第2の主面上であって、前記導電性のケースと対向する部分には、電子部品が設けられていない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般に、高周波センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波などが人体にあたると反射波あるいは透過波を生じる。この反射波または透過波を受信し人体の有無を検出するのが高周波センサ装置であり、自動ドア、機器のリモートコントロール、便器洗浄装置などに使用できる。さらに、移動物体を検出する高周波センサ装置もあり、例えば水洗便器の自動洗浄などに有用である。
【0003】
人体を含む移動物体を検知するには、ドップラー効果を利用することができる。すなわち、電波や音波が移動物体に当たり反射すると、反射波の周波数がドップラーシフトする。反射波及び送信波の差分周波数スペクトラムを求めることにより移動物体が検知される。さらにドップラー周波数は物体の移動速度に比例するので、移動速度を知ることもできる。
このような高周波センサ装置として、基板の表面に無給電素子を設け、これを基板内のスルーホール式の制御線を通じて基板の背面側に設けられた高周波スイッチなどと電気的に接続させる技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】国際公開番号WO2006/035881A1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、無給電素子などが設けられたアンテナ部と、被検知体の動きを判定し動作信号を出力する回路などを備えた制御部と、を近接させて設けることができれば高周波センサ装置の小型化を図ることができる。
しかしながら、特許文献1( 国際公開番号WO2006/035881A1号)に開示がされた技術においては、アンテナ部と制御部とを近接させることが考慮されていなかった。
この場合、単にアンテナ部と制御部とを近接させると、接触による短絡を起こしたり、アンテナ部側からの電気的な影響が制御部側に伝わりやすくなる。そのため、高周波センサの信頼性を損ねるおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、小型化を図ることができ、かつ信頼性の高い高周波センサ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、送信波を発生する発振回路と、前記送信波の被検知体からの反射波を受信波として受信して前記受信波を検知する検波回路と、を有するアンテナ部と、前記アンテナ部の一方の主面と対向して設けられた第1の基板と、前記第1の基板の第1の主面上に設けられ前記検波回路から出力された信号に基づいて前記被検知体の動きに関する判定を行う制御回路と、を有する制御部と、前記アンテナ部の前記制御部と対向する側の主面に設けられ、前記アンテナ部から所定の周波数の送信波を発信させるための空間を有する導電性のケースと、を備え、前記第1の基板の前記第1の主面と対向する第2の主面上であって、前記導電性のケースと対向する部分には、第1の接地電極のみが設けられ、前記第1の基板の前記第2の主面上であって、前記導電性のケースと対向する部分には、電子部品が設けられていないこと、を特徴とする高周波センサ装置が提供される。
【0007】
また、本発明の他の一態様によれば、送信波を発生する発振回路と、前記送信波の被検知体からの反射波を受信波として受信して前記受信波を検知する検波回路と、を有するアンテナ部と、前記アンテナ部の一方の主面と対向して設けられ、層間に回路パターンと、接地パターンと、を有する多層構造の第2の基板と、前記第2の基板の第1の主面上に設けられ前記検波回路から出力された信号に基づいて前記被検知体の動きに関する判定を行う制御回路と、を有する制御部と、前記アンテナ部の前記制御部と対向する側の主面に設けられ、前記アンテナ部から所定の周波数の送信波を発信させるための空間を有する導電性のケースと、を備え、前記第2の基板の前記第1の主面と対向する第2の主面上であって、前記導電性のケースと対向する部分には、前記接地パターンと連通するスルーホールのみが設けられ、前記第2の基板の前記第2の主面上であって、前記導電性のケースと対向しない部分には、前記回路パターンと連通するスルーホールが設けられていること、を特徴とする高周波センサ装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小型化を図ることができ、かつ信頼性の高い高周波センサ装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる高周波センサ装置を表し、図1(a)はその模式平面図、図1(b)はA−A線に沿った模式断面図、図1(c)はケース16側から見た模式平面図である。
図2は、比較例に係る高周波センサ装置の模式断面図である。
また、図3は、比較例に係るアンテナ部の模式平面図である。
まず、図2、図3に例示をする比較例について説明する。
図2に示すように、比較例に係る高周波センサ装置100には、アンテナ部150と、制御部158と、が設けられている。そして、アンテナ部150と、制御部158とは、スペーサ152、154を挟んでネジ162により互いに固定されている。
【0010】
アンテナ部150は、基板110の表面に給電素子120及び無給電素子130を有し、基板110の裏面に接地電極700及び高周波スイッチ125を有している。制御部158は、アンテナ部150からの信号に基づいて被検知体の動きに関する判定を行い、判定結果を動作信号として外部に出力するための制御回路を備えている。また、アンテナ部150と制御部158とは基板110のスルーホールを貫通する給電線160を介して電気的に接続されている。
また、図3に示すように、基板110の表面に設けられた無給電素子130は、伝送線路140をそれぞれに有している。伝送線路140の中間にはスルーホールが設けられ、スルーホールを介して無給電素子130が高周波スイッチ160の一方の端子に接続されている。高周波スイッチ160の他方の端子は接地電極700に接続されている。そして、制御電圧により高周波スイッチ160をオン、オフとに切替え、伝送線路140の長さを変化させることで、無給電素子130の位相及び利得を変化させるようにしている。この結果、電波ビームの放射方向を制御することができるようになっている。
【0011】
このように、アンテナ部150と、制御部158とを、対向させて、これらを積層状に設けるようにすれば高周波センサ装置100の小型化を図ることができる。しかしながら、このような構成では、アンテナ部150側からの電気的な影響が制御部158側に伝わりやすくなる。そのため、ノイズなどが発生しやすくなり高周波センサ装置100の機能や信頼性が低下するおそれがある。
【0012】
次に、図1に戻って、本実施の形態にかかる高周波センサ装置について例示をする。
高周波センサ装置90には、アンテナ部93と、制御部92と、が設けられている。
図1(a)において、高周波センサ装置90を構成するアンテナ部93は、基板10の略中心に給電素子20と、給電素子20を中心にX字型に配置された無給電素子30と、を有している。給電素子20及び無給電素子30は、基板10の一方の主面に設けられたパッチ電極を有する。基板10の他方の主面、すなわちパッチ電極の裏面は接地電極12となっている。
【0013】
給電素子20は、図1(a)における左右対称軸上の中間点よりずれた点を給電点Pとしている。図1(b)のように接地電極12に設けられた開口部を介して、給電点Pは給電線24によりアンテナ部93を励振する給電部26へ電気的に接続される。そのため、アンテナ部93は図1(a)の矢印の向きに送信波を放射し、かつ反射波を受信することができる。
【0014】
無給電素子30は、30a、30b、30c、30dからなる。励振方向と90度をなす方向において、無給電素子30の略中央には伝送線路40(40a、40b、40c、40dを含む)が励振方向と平行方向にかつ互いに逆向きに延在している。伝送線路40(40a、40b、40c、40dを含む)にそれぞれに接続された制御線42a、42b、42c、42dは、基板10の端部に近接して配置された制御端子70a、70b、70c、70dを介して制御部92へと接続される。
【0015】
図1(b)に表すように、アンテナ部93の基板10は固定ネジ15によりケース16へ固定される。給電部は、FETのような発振素子80を含み送信波を発生する発振回路、及び検波素子86を含みアンテナ部93で受信した反射波を検波する検波回路を有する。発振素子80からの送信波の周波数を調整するために発振回路は誘電体共振器82及び周波数調整ネジ84を有する。
【0016】
また、ケース16には、制御部92が図示しない固定ネジなどにより固定される。すなわち、制御部92はケース16を介してアンテナ部93の一方の主面と対向して設けられる。制御部92は、基板21を有している。基板21の一方の主面には、各種の電子部品23が実装されている。この電子部品23により構成される制御回路により、アンテナ部93(検波回路95;図6を参照)から出力された信号に基づいて被検知体の動きに関する判定を行う。そして、判定結果を動作信号として外部に出力する。基板21の端部には、電子部品23などへ電圧を供給するための電圧Vcc端子25a、接地端子25bなどが設けられている。また、基板21には、送信波の周波数を調整する周波数調整ネジ84を操作するための貫通孔21aが設けられている。なお、電子部品23が実装される主面と対向する側の主面がケース16側となるようにして制御部92がケース16に固定される。
【0017】
ここで、制御部92を小型化するためには、基板21の両面に電子部品23を実装すればよい。しかしながら、基板21の両面に電子部品23を実装するようにすれば、図2に例示をした比較例のようにアンテナ部93側からの電気的な影響を受けやすくなる。
【0018】
そのため、本実施の形態においては、基板21の電子部品23が実装される主面と対向する側の主面に、接地電極22を設けるようにしている。この接地電極22は、基板21の当該主面の全面に設けられている。また、接地電極22は、図示しない配線部材などを介して接地されている。そのため、アンテナ部93に対して制御部92が電磁シールドされ、アンテナ部93側からの電気的影響を抑制することができる。その結果、高周波センサ装置90の小型化を図ることができ、かつ信頼性を向上させることができる。
【0019】
また、接地電極22は、基板21の層間の全面に設けられていてもよい(後述する図4(b)を参照)。すなわち、基板21のアンテナ部93と対向する側の主面の全面及び基板21の層間の全面の少なくとも一方に接地電極22を設けるようにすることができる。 なお、本明細書において「全面」とは、必ずしも主面や層間の「全域」である必要はなく、アンテナ部側からの電気的影響を抑制することができる程度に接地電極が設けられていればよい。
【0020】
また、ケース16を金属などの導電性材料で構成し、所定の周波数にて発信させるための空間16aを設けるようにしてもよい。すなわち、アンテナ部93から所定の周波数の送信波を発信させるための空間16aを有する導電性のたケース16を設けるようにしてもよい。ケース16を金属などの導電性材料で構成するようにすれば、アンテナ部93側からの電気的影響をさらに抑制することができる。
【0021】
図1(c)は、高周波センサ装置90のケース16側から見た模式平面図である。基板10の端部には、給電部26の発振素子80などへ供給するための電圧Vcc端子72、接地端子74、ドップラー信号の出力端子76が設けられている。
【0022】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る高周波センサ装置の模式図である。なお、図4(a)は高周波センサ装置の模式正面図を表し、図4(b)は、基板の層間の全面に設けられた接地電極を表している。
図4に示すように、高周波センサ装置90aに設けられたケース16の一方の端面側には、固定ネジ15によりアンテナ部93の基板10が固定されている。また、基板10の端部にはリードフレーム17が設けられている。そして、リードフレーム17により制御部92の基板21が保持されるようになっている。基板21の両主面には、各種の電子部品23が実装されている。
【0023】
なお、基板21のケース16と対向する側の主面においては、ケース16と対向しない部分にのみ電子部品23や、電源パターン、信号パターンなどの回路パターン27が設けられている。また、後述するように、ケース16と対向する部分には接地電極22のみが設けられている。この場合、接地電極22はケース16と対向する部分の全面に設けられている必要はなく、部分的に設けられていてもよい。
【0024】
ここで、ケース16が金属などの導電性材料で構成されている場合、基板21のケース16と対向する部分に回路パターン27(電源パターン、信号パターン)や電子部品23が有ると、接触による短絡を起こすおそれがある。そのため、ケース16と基板21とを単純に重ね合わせる(接触させる)ことができず、小型化の妨げになるおそれがある。また、アンテナ部93、制御部92の片方の端部を支えるようにした場合、アンテナ部93と制御部92とが接触しないように隙間を設けたとしても、支える部分が片方しかない為に、不意な力によって接触する可能性もある。
【0025】
そのため、本実施の形態においては、基板21のケース16に対向する部分に、少なくとも接地電極22(グランドパターン)のみを配置するようにしている。また、接地電極22は、図示しない配線部材などを介して接地するようにしている。そのため、金属などの導電性材料で構成されているケース16を接地電位とすることができるので、仮に基板21の接地電極22(グランドパターン)がケース16に接触しても、短絡することはない。
また、さらに基板21のケース16に対向する部分の全面に接地電極22を設けて、金属などの導電性材料で構成されているケース16と基板21(接地電極22)とを接触させるようにすれば、グランドパターンの強化を図ることができる。
【0026】
本実施の形態によれば、小型化のためにアンテナ部93と制御部92とを近接させてもアンテナ部93に対して制御部92が電磁シールドされているので、アンテナ部93側からの電気的影響を抑制することができる。また、小型化のためにアンテナ部93と制御部92とを近接させても短絡することがない。
そのため、高周波センサ装置90aの小型化を図ることができ、かつ信頼性を向上させることができる。
【0027】
なお、接地電極22は、基板21の層間の全面に設けられていてもよい。すなわち、基板21のアンテナ部93と対向する側の主面の全面及び基板21の層間の全面の少なくとも一方に接地電極22を設けるようにすることができる。
ここで、高周波センサ装置90aの軽量化、低コスト化などのためにケース16が小型化される場合がある。このような場合、図4に示すように、ケース16から制御部92がオーバーハングして設けられることになる。そのため、ケース16が導電性材料からなり電磁シールド可能となっていても、ケース16による電磁シールドがされない領域が制御部92に生ずることになる。
【0028】
この場合、基板21のアンテナ部93に対向する側の主面の全面に接地電極22を設けるようにすれば、ケース16の材質にかかわりなく電磁シールドを行うことができる。その結果、アンテナ部93側からの電気的影響を抑制することができる。
【0029】
なお、接地電極22は、図4(b)に示すように基板21の層間の全面に設けられていてもよい。すなわち、基板21のアンテナ部93と対向する側の主面の全面及び基板21の層間の全面の少なくとも一方に接地電極22を設けるようにすることができる。
また、基板21の層間には電源パターンや信号パターンなどの回路パターン27を設けることもできる。そして、スルーホール22a、27aにより接地電極22、回路パターン27と、基板21の表裏に設けられたパターンとをそれぞれ接続させることもできる。
この場合、ケース16に対向する部分には、スルーホール22aのみが設けられ、スルーホール27aは設けられていない。なお、スルーホール27aはケース16と対向しない部分にのみ設けられている。
【0030】
図5は、本発明の第3の実施の形態にかかる高周波センサ装置を表し、図5(a)はその模式平面図、図5(b)はB−B線に沿った模式断面図、図5(c)はケース16側から見た模式平面図である。
【0031】
図5(a)に示すように、高周波センサ装置90bを構成するアンテナ部93aは、基板10の略中心に給電素子20と、給電素子20を中心にX字型に配置された無給電素子30と、を有している。基板10に設けられた無給電素子30は、30a、30b、30c、30dからなる。励振方向と90度をなす方向において、無給電素子30の略中央には伝送線路40(40a、40b、40c、40dを含む)が励振方向と平行方向にかつ互いに逆向きに延在している。伝送線路40の終端には高周波スイッチ60が接続されており、それぞれの高周波スイッチ60は電気的にオンまたはオフに制御可能となっている。高周波スイッチ60は、60a(SW1)、60b(SW2)、60c(SW3)、60d(SW4)を含む。
【0032】
4つの高周波スイッチ60のうちいずれかひとつをオフ(開放状態)とし、他をオン(短絡状態)とすることにより電波ビームを必要な方向に精度良く制御できる。4つの高周波スイッチ60を順番にオフとして行くと、電波ビームの方向をこの順番に変えて行くことができ、物体またはその移動スピードが検知できる。高周波スイッチ60により電波ビームの放射方向を制御する作用については後に説明する。
【0033】
本実施形態において、高周波スイッチ60は接地電極12の側ではなくパッチ電極側に設けられ、高周波スイッチ60を制御するための電圧は無給電素子30との間の影響を低減するように基板10の周辺部に配置された制御線42を介して供給される。この場合、制御線42のパターン幅を例えば0.1〜0.5mm程度に細くし、励振方向と平行する無給電素子30の端辺とその端辺に対向する位置に配置された制御線42との間隔をλg/3(但しλgは使用周波数における基板上の波長)以上とすることが好ましい。この間隔が狭すぎると無給電素子30の位相に影響を与え所定の方向、所定の角度に電波ビームを放射できなくなる。また、高周波スイッチ60a、60b、60c、60dにそれぞれに接続された制御線42a、42b、42c、42dは、基板10の端部に近接して配置された制御端子70a、70b、70c、70dを介して制御部92へと接続される。
【0034】
図5(b)に表すように、アンテナ部93aの基板10は固定ネジ15によりケース16へ固定される。給電部26(図6を参照)は、FETのような発振素子80を含み送信波を発生する発振回路94(図6を参照)、及び検波素子86を含みアンテナ部93aで受信した反射波を検波する検波回路95(図6を参照)を有する。発振素子80からの送信波の周波数を調整するために発振回路94(図6を参照)は誘電体共振器82及び周波数調整ネジ84を有する。
【0035】
また、ケース16には、制御部92が図示しない固定ネジなどにより固定される。すなわち、制御部92はケース16を介してアンテナ部93の一方の主面と対向して設けられる。制御部92は、基板21を有している。基板21の一方の主面には、各種の電子部品23が実装されている。この電子部品23により構成される制御回路により、アンテナ部93(検波回路95;図6を参照)から出力された信号に基づいて被検知体の動きに関する判定を行う。そして、判定の結果を動作信号として外部に出力する。基板21の端部には、電子部品23などへ電圧を供給するための電圧Vcc端子25a、接地端子25bなどが設けられている。また、基板21には、送信波の周波数を調整する周波数調整ネジ84を操作するための貫通孔21aが設けられている。なお、電子部品23が実装される主面と対向する側の主面がケース16側となるようにして制御部92がケース16に固定される。なお、図4において例示をしたようにリードフレーム17により制御部92の基板21を保持するようにしてもよい。
【0036】
基板21の電子部品23が実装される主面と対向する側の主面には、接地電極22が設けられている。この接地電極22は、基板21の当該主面の全面に設けられている。また、接地電極22は、図示しない配線部材などを介して接地されている。そのため、アンテナ部93aに対して制御部92が電磁シールドされ、アンテナ部93a側からの電気的影響を抑制することができる。その結果、高周波センサ装置90の小型化を図ることができ、かつ信頼性を向上させることができる。
【0037】
なお、接地電極22は、基板21の層間の全面に設けられていてもよい。すなわち、基板21のアンテナ部93aと対向する側の主面の全面及び基板21の層間の全面の少なくとも一方に接地電極22を設けるようにすることができる。
【0038】
また、ケース16を金属などの導電性材料で構成し、所定の周波数にて発信させるための空間16aを設けるようにしてもよい。すなわち、アンテナ部93aから所定の周波数の送信波を発信させるための空間16aを有する導電性のたケース16を設けるようにしてもよい。ケース16を金属などの導電性材料で構成するようにすれば、アンテナ部93a側からの電気的影響をさらに抑制することができる。
【0039】
図5(c)は、高周波センサ装置90bのケース16側から見た模式平面図である。基板10の端部には、給電部26の発振素子80などへ供給するための電圧Vcc端子72、接地端子74、ドップラー信号の出力端子76が設けられている。
【0040】
図6は、高周波センサ装置の構成を例示するためのブロック図である。
図6に示すように、高周波センサ装置90bは、アンテナ部93aと制御部92を備えている。アンテナ部93aは、給電素子20、無給電素子30、送信波を発生する発振回路94、受信波からドップラー信号を取り出す検波回路95を備えている。
アンテナ部93aから放射された送信波は、人体などの物体に当たり反射波を生じ、給電素子20により受信される。アンテナ部93aは送受信共用でもよいし、送信用と受信用とを別にしてもよい。人体検知用の高周波センサ装置において使用可能な送信波の周波数は、10.525及び24.15GHzである。
【0041】
移動物体の場合、ドップラー信号がアンテナ部93aの出力端子76(図5(c)を参照)から出力される。このドップラー信号は、制御部92の増幅器96を介して人体検知判断回路97へ入力される。また、増幅器96の他の出力は、比較器98を介してスイッチ操作判断回路100へ入力される。その出力は、負荷制御回路101及び電波走査制御回路99へ入力される。電波走査制御回路99は、スイッチ操作判断回路100及び人体検知判断回路97からの信号により無給電素子30の電波ビームの放射方向を変える制御信号を出力する。
【0042】
このように、アンテナ部93aは制御部92からの制御信号により電波ビームの放射方向を変化させることができる。この場合、アンテナ部93aの給電素子20及び無給電素子30の配置は図5(a)に例示したものに限定されない。
【0043】
図7は、アンテナ部の変形例の模式平面図を表し、図7(a)は第1変形例、図7(b)は第2変形例である。
図7(a)の第1変形例は、励振方向と略直交するX方向に無給電素子30が給電素子20と隣接して配置されている。無給電素子30に設けられた伝送線路40の終端は高周波スイッチ60の一方の端子に接続され、高周波スイッチ60の他方の端子はスルーホールを介して基板10の裏面の接地電極に接続されている。この場合もパッチ電極、高周波スイッチ60、接続線42は共に基板10の同一主面上に形成される。
【0044】
図7(b)の第2変形例において、X方向に無給電素子30aが無給電素子20aと、無給電素子30bが給電素子20bと隣接して対置されている。無給電素子30a及び30bは2つの給電素子20a及び20bを挟むように配置されている。無給電素子30a及び30bに伝送線路40a及び40bの終端は高周波スイッチ60a及び60bの一方の端子にそれぞれ接続され、他方の端子はスルーホールを介して基板10の裏面の接地電極にそれぞれ接続されている。給電素子20aの給電点P1及び給電素子20bの給電点P2は基板10に設けられたスルーホールを介して互いに接続され、給電される。この場合も接続線42a及び42b、パッチ電極、高周波スイッチ60a及び60bはともに基板10の同一主面上に設けられる。
【0045】
次に、高周波スイッチ60の作用について例示をする。
図8は、図5(a)の高周波スイッチ60a(SW1)を表し、図8(a)は伝送線路40aの終端部近傍を表す模式平面図、図8(b)はその構成である。
高周波スイッチ60aとして、例えばHEMT(High Electron Mobility Transistor)やGaAs MESFET(Metal Semiconductor Field Effect Transistor)を用いると、ゲート端子63aに印加する制御電圧によりソース端子62a及びドレイン端子61a間をオンまたはオフに切替えることができる。
【0046】
伝送線路40aの終端部は、ドレイン端子61aに接続され、ソース端子62aは基板10の導電パターン18及びスルーホール19を介して基板10の裏面である接地電極12に接続される。ゲート端子63aは制御線42aを介して基板10の端部の制御端子70aへ接続される。
【0047】
ゲート端子63aをゲート電圧により制御しソース端子62a及びドレイン端子61aを導通とし高周波スイッチ60aをオンとすると、伝送線路40aは終端短絡線路として作用する。一方、ゲート電圧を制御しドレイン端子61a及びソース端子62a間を非導通とし高周波スイッチ60aをオフとすると、伝送線路40aは長さJ3の終端開放線路として作用する。この場合、周波数が10GHz以上と高いために、図8(b)のように高周波スイッチの電極(長さJ1及びJ2)、外部の導電パターン18、スルーホール19などにより寄生インダクタンスを考慮した伝送線路設計が必要である。
【0048】
図5に例示をした場合においては、4つ高周波スイッチ60のうちいずれかひとつをオフとして導波器とする。そして、他の3つをオンとして反射器とすることにより電波ビームの放射方向を制御する。このオフとする高周波スイッチ60を順番に遷移させることにより電波ビームのスキャンが可能となる。この作用について、以下で詳細に説明する。
【0049】
図9は、給電素子20及び無給電素子30が励振方向に対して略垂直な方向に隣接して配置されているアンテナの基本構成を例示するための模式図である。図9(a)は、模式平面図、図9(b)は模式斜視図、図9(c)は終端短絡伝送線路の模式断面図、図9(d)は終端開放伝送線路の模式断面図である。
【0050】
図9(a)において、給電素子20の中心を通りY軸の負方向における位置が送信波の励振部と接続される給電点Pとする。給電素子20は正方形とし励振方向の一辺の長さは約λg/2(但しλgは波長)とする。無給電素子30及び給電素子20の形状は伝送線路40以外の領域においてほぼ等しい。
【0051】
また、給電点Pの横方向、かつY軸負方向の位置が整合点Qとする。無給電素子30の中心線上で、励振方向に平行かつY軸正方向には長さがLの伝送線路40が設けられている。ここで、「伝送線路」は、基板10の主面に設けられたストライプ状導体と、これに対向してその基板の裏面側に設けられた接地電極12と、の組み合わせにより構成されている。
【0052】
図9(b)のように、アンテナの主面はXY座標で表され、水平面内においてX軸からの角度をφで表す。また、この主面と垂直な方向をZ軸とし、垂直面において、Z軸からの角度をθで表す。Y軸は、励振方向に対して平行であり、X軸、Y軸、Z軸、φ及びθに関するこれらの定義は、本願明細書においてすべて同一とする。
【0053】
このアンテナは、例えば、誘電体の両面を銅板で挟んだガラスエポキシ基板などを用いて形成できる。このような基板により構成される伝送線路、すなわちマイクロストリップラインの波長及び特性インピーダンスは誘電体の比誘電率εr、誘電体厚み、マイクロストリップラインのストライプ状導体幅及び厚みの関数となる。基板としては、例えばεrを3.5、誘電体損失を表すtanδを0.004、誘電体厚みを0.75mmとする。
【0054】
なお、伝送線路40の終端部は短絡または開放のいずれかの状態とする。図9(c)は終端短絡、図9(d)は終端開放の伝送線路40をそれぞれに表し、図9(a)のC−C線に沿った模式断面図である。本実施形態においては高周波スイッチ60の一方の端子は、パッチ電極側において伝送線路40の終端部と接続される。
【0055】
また、高周波スイッチ60の他方の端子は、導電パターン18及びスルーホール19の導電性側壁を介して接地電極12へ接続される。なお、図9(d)の終端開放伝送線路の場合、スルーホール19を用いた導電部を形成しなくともよい。
【0056】
図10は、終端短絡の伝送線路40の長さLを変化させた場合、無給電素子20の整合点Qにおける振幅(Magnitude:dB)、位相(度)及び無給電素子62のアンテナゲイン(アンテナ利得:dB)のシミュレーション結果を表すグラフ図である。
Lが伝送線路の4分の1波長である4.8mm近傍において、整合点Qにおける振幅 が最小となり、位相がプラスからマイナスに急激に変化する。これよりLが短い3.7mm近傍においてアンテナゲインは約5.5dBと最大となっている。
【0057】
また、位相はLが約8.1mmにおいてマイナスからプラスへと転じる。これよりLが大きい8.3mm近傍においてアンテナゲインはマイナス10dBとなり最低となる。なお、位相がプラスかつ利得がプラスである場合は無給電素子30は導波器として作用し、利得がゼロ及びマイナスである場合は反射器として作用する。
【0058】
図11は、整合点Qの位相が0乃至140度である無給電素子30を、全体のアンテナゲインが最大となる素子間スペースS(mm)に配置したゲイン(dB)と、最大放射強度が得られる放射角度θ(度)との関係を表すグラフ図である。
例えば、整合点Qの位相が110度の場合、素子間スペースSが2.2mmにおいて全体アンテナゲインが最大である7.15dBとなることを示している。このとき、最大放射強度が得られる角度θはほぼ27度となる。また、整合点Qの位相が120度より大きくなると全体のアンテナゲインが急激に低下し、角度θも小さくなる。
【0059】
図12は、H面(φが0−180°である垂直断面)におけるアンテナゲインのθ依存性を、整合点Qの位相に対して求めたシミュレーション結果を表すグラフ図である。
放射パターンは、メインビームと、これよりゲインの小さいサイドローブ(不要電波)とを含む。ここで、メインビームのゲインのピークより3dB低下した角度領域を半値角と呼ぶことにする。物体を精度よく検知するためには、メインビームのゲインが高く、メインビームとサイドローブとのゲイン差が大きいことが好ましい。
【0060】
図12に表すように、整合点Qの位相が大きくなるに従いゲインは増加するが、半値角が0度を越えるようになる。従って、整合点Qの位相は120度以下、90度以上が好ましい。例えば、整合点位相が110度の場合、アンテナゲインは約マイナス19dB、半値角範囲はマイナス65乃至マイナス5度、メインビームとサイドローブとのゲイン差が11dBとなり、高周波センサ装置としての機能を備えることが可能となる。
【0061】
図13は、終端開放の伝送線路40の長さLを変化させた場合、無給電素子30の整合点Qにおける振幅(dB)、位相(度)、無給電素子のアンテナゲイン(dB)をシミュレーションにより求めたグラフ図である。
Lが伝送線路の2分の1波長である7.6mm近傍において整合点Qにおける振幅が最小となり、位相がプラスからマイナスに急激に変化する。これよりLが短い7.3mm近傍においてアンテナゲインは約4.4dBと最大になっている。破線で表すアンテナゲインはLが2.4乃至4.3mmの範囲でマイナスとなり、3.4mm近傍において最小値となる。
【0062】
図8に例示をしたものの場合において、まず高周波スイッチ60aがオンの場合、ソース端子62aの位置においてスルーホール19aを介して接地され終端短絡伝送線路となる。この状態の無給電素子30aのアンテナゲインゼロまたはマイナスとすると反射器として作用する。さらに位相をマイナス170〜マイナス180度の間とするとより好ましい。これに対応するLは、7.0以上8.0mm以下の範囲である。
【0063】
一方、高周波スイッチ60aがオフの場合、伝送線路40aは終端開放となる。この状態の無給電素子30aの位相及びアンテナゲインを正とすると導波器として作用する。さらに、位相を90〜120度とするとより好ましい。これに対応するLは、6.5以上7.0mm以下の範囲である。伝送線路61aの長さJ3を6.5〜7.0mmの間で選択する場合、高周波スイッチ60a内の電極部(J1+J2)及びスルーホール部の長さが加算されて終端短伝送線路となる。この場合、加算される分として0〜1.5mmの長さが許容されるので十分実現可能である。
【0064】
以上のように伝送線路40aの長さを選択すると、高周波スイッチ60のオンおよびオフの切替えにより無給電素子30を反射器または導波器に容易に切替えることができる。なお、ゲート端子63aは伝送線路40aとは接続されないため高周波特性への影響は小さい。また、制御線42aは無給電素子30aから離して配置することが好ましい。
【0065】
ここで、本実施形態にかかる高周波センサ装置のアンテナ部におけるパッチ電極の配置について説明する。図9に表したアンテナ部は基本構成であり無給電素子30は1つである。しかし、給電素子20を中心にした2軸上に無給電素子30を配置すると電波ビームの放射方向の制御が容易になる。この場合、ひとつの無給電素子30を導波器とし、他の3つの無給電素子30を反射器とする。2軸は、励振方向への平行軸及び垂直軸の組み合わせでもよいし、励振方向に対して平行でもなく、垂直でもないX字状に配置された2軸の組み合わせでもよい。
【0066】
図5(a)のアンテナ部において、無給電素子30と給電素子20とはY軸に対して平行な一辺において長さがFである対向する部分を有する。またX軸に平行な他の一辺において対向する部分を有さず、パッチ電極間にはスペースがEだけ設けられている。Y軸に対して平行であり対向する部分Fは、ゼロより大きく4分の1波長より短いことが好ましい。給電素子20は励振方向に平行な辺において2分の1波長の長さとされるので、4分の1波長より短い対向部分であれば無給電素子30は重なり合わない。
【0067】
図14は、本発明の実施の形態にかかる高周波センサ装置に設けられた図5(a)に表すアンテナ部の特性を表し、図14(a)、(b)、(c)、(d)はXY面と平行な面における水平放射パターン、図14(e)はゲインのφ依存性を表す。図14(a)は、SW4のみをオフとし他をオンとするCASE4、図14(b)はSW1のみオフとし他をオンとするCASE1、図14(c)はSW2のみをオフとし他をオンとするCASE2、図14(d)はSW3のみをオフとし他をオンとするCASE3の水平放射パターンをそれぞれに表し、図14(e)はそれぞれのCASEのゲインのφ依存性を表す。なお、対向する部分Fは0.1mm、パッチ電極間隔Eは0.2mmとした。
【0068】
放射パターンにおけるゲインの最大値となるφ方向は、CASE4で60度、CASE1で120度、CASE2で240度、CASE3で300度であり、Y軸に関してほぼ左右対称にできる。また、ゲインが3dB低下するφ方向の半値角は、図14(e)に表すようにほぼ均一とできる。
高周波スイッチ60を順次切替えて、CASE1〜4を順次繰り返すことにより、これら4方向を順次スキャンできる。そして、いずれかの無給電素子30のゲインかつ位相がプラスの時に他の3つの無給電素子30のゲインがゼロまたはマイナスとすることにより、サイドローブを抑制して電波ビームを所定の方向に放射できる。
なお、本実施形態においては、無給電素子30と給電素子20とはY軸に対して平行な一辺において対向部分を有した。しかし、X軸に対して平行な一辺において対向部分を有していても良い。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる高周波センサ装置を表す模式図である。
【図2】比較例に係る高周波センサ装置の模式断面図である。
【図3】比較例に係るアンテナ部の模式平面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る高周波センサ装置の模式図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態にかかる高周波センサ装置を表す模式図である。
【図6】高周波センサ装置の構成を例示するためのブロック図である。
【図7】アンテナ部の変形例を表す模式平面図である。
【図8】高周波スイッチの作用を例示するための模式図である。
【図9】アンテナの基本構成を例示するための模式図である。
【図10】終端短絡伝送線路を有する無給電素子の位相及びアンテナゲインを例示するためのグラフ図である。
【図11】素子間スペースと、最大ゲイン及びθとの関係を例示するためのグラフ図である。
【図12】図9のアンテナのゲインのθ依存性を例示するためのグラフ図である。
【図13】終端開放伝送線路を有する無給電素子の位相及びアンテナゲインを例示するためのグラフ図である。
【図14】本実施形態の電波ビームの放射パターンを例示するためのグラフ図である。
【符号の説明】
【0070】
10 基板、12 接地電極、20 給電素子、21 基板、22 接地電極、30 無給電素子、40 伝送線路、42 制御線、60 高周波スイッチ、61 ドレイン端子、62 ソース端子、90 高周波センサ装置、90a 高周波センサ装置、90b 高周波センサ装置、92 制御部、93 アンテナ部、94 発振回路、95 検波回路
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般に、高周波センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波などが人体にあたると反射波あるいは透過波を生じる。この反射波または透過波を受信し人体の有無を検出するのが高周波センサ装置であり、自動ドア、機器のリモートコントロール、便器洗浄装置などに使用できる。さらに、移動物体を検出する高周波センサ装置もあり、例えば水洗便器の自動洗浄などに有用である。
【0003】
人体を含む移動物体を検知するには、ドップラー効果を利用することができる。すなわち、電波や音波が移動物体に当たり反射すると、反射波の周波数がドップラーシフトする。反射波及び送信波の差分周波数スペクトラムを求めることにより移動物体が検知される。さらにドップラー周波数は物体の移動速度に比例するので、移動速度を知ることもできる。
このような高周波センサ装置として、基板の表面に無給電素子を設け、これを基板内のスルーホール式の制御線を通じて基板の背面側に設けられた高周波スイッチなどと電気的に接続させる技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】国際公開番号WO2006/035881A1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、無給電素子などが設けられたアンテナ部と、被検知体の動きを判定し動作信号を出力する回路などを備えた制御部と、を近接させて設けることができれば高周波センサ装置の小型化を図ることができる。
しかしながら、特許文献1( 国際公開番号WO2006/035881A1号)に開示がされた技術においては、アンテナ部と制御部とを近接させることが考慮されていなかった。
この場合、単にアンテナ部と制御部とを近接させると、接触による短絡を起こしたり、アンテナ部側からの電気的な影響が制御部側に伝わりやすくなる。そのため、高周波センサの信頼性を損ねるおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、小型化を図ることができ、かつ信頼性の高い高周波センサ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、送信波を発生する発振回路と、前記送信波の被検知体からの反射波を受信波として受信して前記受信波を検知する検波回路と、を有するアンテナ部と、前記アンテナ部の一方の主面と対向して設けられた第1の基板と、前記第1の基板の第1の主面上に設けられ前記検波回路から出力された信号に基づいて前記被検知体の動きに関する判定を行う制御回路と、を有する制御部と、前記アンテナ部の前記制御部と対向する側の主面に設けられ、前記アンテナ部から所定の周波数の送信波を発信させるための空間を有する導電性のケースと、を備え、前記第1の基板の前記第1の主面と対向する第2の主面上であって、前記導電性のケースと対向する部分には、第1の接地電極のみが設けられ、前記第1の基板の前記第2の主面上であって、前記導電性のケースと対向する部分には、電子部品が設けられていないこと、を特徴とする高周波センサ装置が提供される。
【0007】
また、本発明の他の一態様によれば、送信波を発生する発振回路と、前記送信波の被検知体からの反射波を受信波として受信して前記受信波を検知する検波回路と、を有するアンテナ部と、前記アンテナ部の一方の主面と対向して設けられ、層間に回路パターンと、接地パターンと、を有する多層構造の第2の基板と、前記第2の基板の第1の主面上に設けられ前記検波回路から出力された信号に基づいて前記被検知体の動きに関する判定を行う制御回路と、を有する制御部と、前記アンテナ部の前記制御部と対向する側の主面に設けられ、前記アンテナ部から所定の周波数の送信波を発信させるための空間を有する導電性のケースと、を備え、前記第2の基板の前記第1の主面と対向する第2の主面上であって、前記導電性のケースと対向する部分には、前記接地パターンと連通するスルーホールのみが設けられ、前記第2の基板の前記第2の主面上であって、前記導電性のケースと対向しない部分には、前記回路パターンと連通するスルーホールが設けられていること、を特徴とする高周波センサ装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小型化を図ることができ、かつ信頼性の高い高周波センサ装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる高周波センサ装置を表し、図1(a)はその模式平面図、図1(b)はA−A線に沿った模式断面図、図1(c)はケース16側から見た模式平面図である。
図2は、比較例に係る高周波センサ装置の模式断面図である。
また、図3は、比較例に係るアンテナ部の模式平面図である。
まず、図2、図3に例示をする比較例について説明する。
図2に示すように、比較例に係る高周波センサ装置100には、アンテナ部150と、制御部158と、が設けられている。そして、アンテナ部150と、制御部158とは、スペーサ152、154を挟んでネジ162により互いに固定されている。
【0010】
アンテナ部150は、基板110の表面に給電素子120及び無給電素子130を有し、基板110の裏面に接地電極700及び高周波スイッチ125を有している。制御部158は、アンテナ部150からの信号に基づいて被検知体の動きに関する判定を行い、判定結果を動作信号として外部に出力するための制御回路を備えている。また、アンテナ部150と制御部158とは基板110のスルーホールを貫通する給電線160を介して電気的に接続されている。
また、図3に示すように、基板110の表面に設けられた無給電素子130は、伝送線路140をそれぞれに有している。伝送線路140の中間にはスルーホールが設けられ、スルーホールを介して無給電素子130が高周波スイッチ160の一方の端子に接続されている。高周波スイッチ160の他方の端子は接地電極700に接続されている。そして、制御電圧により高周波スイッチ160をオン、オフとに切替え、伝送線路140の長さを変化させることで、無給電素子130の位相及び利得を変化させるようにしている。この結果、電波ビームの放射方向を制御することができるようになっている。
【0011】
このように、アンテナ部150と、制御部158とを、対向させて、これらを積層状に設けるようにすれば高周波センサ装置100の小型化を図ることができる。しかしながら、このような構成では、アンテナ部150側からの電気的な影響が制御部158側に伝わりやすくなる。そのため、ノイズなどが発生しやすくなり高周波センサ装置100の機能や信頼性が低下するおそれがある。
【0012】
次に、図1に戻って、本実施の形態にかかる高周波センサ装置について例示をする。
高周波センサ装置90には、アンテナ部93と、制御部92と、が設けられている。
図1(a)において、高周波センサ装置90を構成するアンテナ部93は、基板10の略中心に給電素子20と、給電素子20を中心にX字型に配置された無給電素子30と、を有している。給電素子20及び無給電素子30は、基板10の一方の主面に設けられたパッチ電極を有する。基板10の他方の主面、すなわちパッチ電極の裏面は接地電極12となっている。
【0013】
給電素子20は、図1(a)における左右対称軸上の中間点よりずれた点を給電点Pとしている。図1(b)のように接地電極12に設けられた開口部を介して、給電点Pは給電線24によりアンテナ部93を励振する給電部26へ電気的に接続される。そのため、アンテナ部93は図1(a)の矢印の向きに送信波を放射し、かつ反射波を受信することができる。
【0014】
無給電素子30は、30a、30b、30c、30dからなる。励振方向と90度をなす方向において、無給電素子30の略中央には伝送線路40(40a、40b、40c、40dを含む)が励振方向と平行方向にかつ互いに逆向きに延在している。伝送線路40(40a、40b、40c、40dを含む)にそれぞれに接続された制御線42a、42b、42c、42dは、基板10の端部に近接して配置された制御端子70a、70b、70c、70dを介して制御部92へと接続される。
【0015】
図1(b)に表すように、アンテナ部93の基板10は固定ネジ15によりケース16へ固定される。給電部は、FETのような発振素子80を含み送信波を発生する発振回路、及び検波素子86を含みアンテナ部93で受信した反射波を検波する検波回路を有する。発振素子80からの送信波の周波数を調整するために発振回路は誘電体共振器82及び周波数調整ネジ84を有する。
【0016】
また、ケース16には、制御部92が図示しない固定ネジなどにより固定される。すなわち、制御部92はケース16を介してアンテナ部93の一方の主面と対向して設けられる。制御部92は、基板21を有している。基板21の一方の主面には、各種の電子部品23が実装されている。この電子部品23により構成される制御回路により、アンテナ部93(検波回路95;図6を参照)から出力された信号に基づいて被検知体の動きに関する判定を行う。そして、判定結果を動作信号として外部に出力する。基板21の端部には、電子部品23などへ電圧を供給するための電圧Vcc端子25a、接地端子25bなどが設けられている。また、基板21には、送信波の周波数を調整する周波数調整ネジ84を操作するための貫通孔21aが設けられている。なお、電子部品23が実装される主面と対向する側の主面がケース16側となるようにして制御部92がケース16に固定される。
【0017】
ここで、制御部92を小型化するためには、基板21の両面に電子部品23を実装すればよい。しかしながら、基板21の両面に電子部品23を実装するようにすれば、図2に例示をした比較例のようにアンテナ部93側からの電気的な影響を受けやすくなる。
【0018】
そのため、本実施の形態においては、基板21の電子部品23が実装される主面と対向する側の主面に、接地電極22を設けるようにしている。この接地電極22は、基板21の当該主面の全面に設けられている。また、接地電極22は、図示しない配線部材などを介して接地されている。そのため、アンテナ部93に対して制御部92が電磁シールドされ、アンテナ部93側からの電気的影響を抑制することができる。その結果、高周波センサ装置90の小型化を図ることができ、かつ信頼性を向上させることができる。
【0019】
また、接地電極22は、基板21の層間の全面に設けられていてもよい(後述する図4(b)を参照)。すなわち、基板21のアンテナ部93と対向する側の主面の全面及び基板21の層間の全面の少なくとも一方に接地電極22を設けるようにすることができる。 なお、本明細書において「全面」とは、必ずしも主面や層間の「全域」である必要はなく、アンテナ部側からの電気的影響を抑制することができる程度に接地電極が設けられていればよい。
【0020】
また、ケース16を金属などの導電性材料で構成し、所定の周波数にて発信させるための空間16aを設けるようにしてもよい。すなわち、アンテナ部93から所定の周波数の送信波を発信させるための空間16aを有する導電性のたケース16を設けるようにしてもよい。ケース16を金属などの導電性材料で構成するようにすれば、アンテナ部93側からの電気的影響をさらに抑制することができる。
【0021】
図1(c)は、高周波センサ装置90のケース16側から見た模式平面図である。基板10の端部には、給電部26の発振素子80などへ供給するための電圧Vcc端子72、接地端子74、ドップラー信号の出力端子76が設けられている。
【0022】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る高周波センサ装置の模式図である。なお、図4(a)は高周波センサ装置の模式正面図を表し、図4(b)は、基板の層間の全面に設けられた接地電極を表している。
図4に示すように、高周波センサ装置90aに設けられたケース16の一方の端面側には、固定ネジ15によりアンテナ部93の基板10が固定されている。また、基板10の端部にはリードフレーム17が設けられている。そして、リードフレーム17により制御部92の基板21が保持されるようになっている。基板21の両主面には、各種の電子部品23が実装されている。
【0023】
なお、基板21のケース16と対向する側の主面においては、ケース16と対向しない部分にのみ電子部品23や、電源パターン、信号パターンなどの回路パターン27が設けられている。また、後述するように、ケース16と対向する部分には接地電極22のみが設けられている。この場合、接地電極22はケース16と対向する部分の全面に設けられている必要はなく、部分的に設けられていてもよい。
【0024】
ここで、ケース16が金属などの導電性材料で構成されている場合、基板21のケース16と対向する部分に回路パターン27(電源パターン、信号パターン)や電子部品23が有ると、接触による短絡を起こすおそれがある。そのため、ケース16と基板21とを単純に重ね合わせる(接触させる)ことができず、小型化の妨げになるおそれがある。また、アンテナ部93、制御部92の片方の端部を支えるようにした場合、アンテナ部93と制御部92とが接触しないように隙間を設けたとしても、支える部分が片方しかない為に、不意な力によって接触する可能性もある。
【0025】
そのため、本実施の形態においては、基板21のケース16に対向する部分に、少なくとも接地電極22(グランドパターン)のみを配置するようにしている。また、接地電極22は、図示しない配線部材などを介して接地するようにしている。そのため、金属などの導電性材料で構成されているケース16を接地電位とすることができるので、仮に基板21の接地電極22(グランドパターン)がケース16に接触しても、短絡することはない。
また、さらに基板21のケース16に対向する部分の全面に接地電極22を設けて、金属などの導電性材料で構成されているケース16と基板21(接地電極22)とを接触させるようにすれば、グランドパターンの強化を図ることができる。
【0026】
本実施の形態によれば、小型化のためにアンテナ部93と制御部92とを近接させてもアンテナ部93に対して制御部92が電磁シールドされているので、アンテナ部93側からの電気的影響を抑制することができる。また、小型化のためにアンテナ部93と制御部92とを近接させても短絡することがない。
そのため、高周波センサ装置90aの小型化を図ることができ、かつ信頼性を向上させることができる。
【0027】
なお、接地電極22は、基板21の層間の全面に設けられていてもよい。すなわち、基板21のアンテナ部93と対向する側の主面の全面及び基板21の層間の全面の少なくとも一方に接地電極22を設けるようにすることができる。
ここで、高周波センサ装置90aの軽量化、低コスト化などのためにケース16が小型化される場合がある。このような場合、図4に示すように、ケース16から制御部92がオーバーハングして設けられることになる。そのため、ケース16が導電性材料からなり電磁シールド可能となっていても、ケース16による電磁シールドがされない領域が制御部92に生ずることになる。
【0028】
この場合、基板21のアンテナ部93に対向する側の主面の全面に接地電極22を設けるようにすれば、ケース16の材質にかかわりなく電磁シールドを行うことができる。その結果、アンテナ部93側からの電気的影響を抑制することができる。
【0029】
なお、接地電極22は、図4(b)に示すように基板21の層間の全面に設けられていてもよい。すなわち、基板21のアンテナ部93と対向する側の主面の全面及び基板21の層間の全面の少なくとも一方に接地電極22を設けるようにすることができる。
また、基板21の層間には電源パターンや信号パターンなどの回路パターン27を設けることもできる。そして、スルーホール22a、27aにより接地電極22、回路パターン27と、基板21の表裏に設けられたパターンとをそれぞれ接続させることもできる。
この場合、ケース16に対向する部分には、スルーホール22aのみが設けられ、スルーホール27aは設けられていない。なお、スルーホール27aはケース16と対向しない部分にのみ設けられている。
【0030】
図5は、本発明の第3の実施の形態にかかる高周波センサ装置を表し、図5(a)はその模式平面図、図5(b)はB−B線に沿った模式断面図、図5(c)はケース16側から見た模式平面図である。
【0031】
図5(a)に示すように、高周波センサ装置90bを構成するアンテナ部93aは、基板10の略中心に給電素子20と、給電素子20を中心にX字型に配置された無給電素子30と、を有している。基板10に設けられた無給電素子30は、30a、30b、30c、30dからなる。励振方向と90度をなす方向において、無給電素子30の略中央には伝送線路40(40a、40b、40c、40dを含む)が励振方向と平行方向にかつ互いに逆向きに延在している。伝送線路40の終端には高周波スイッチ60が接続されており、それぞれの高周波スイッチ60は電気的にオンまたはオフに制御可能となっている。高周波スイッチ60は、60a(SW1)、60b(SW2)、60c(SW3)、60d(SW4)を含む。
【0032】
4つの高周波スイッチ60のうちいずれかひとつをオフ(開放状態)とし、他をオン(短絡状態)とすることにより電波ビームを必要な方向に精度良く制御できる。4つの高周波スイッチ60を順番にオフとして行くと、電波ビームの方向をこの順番に変えて行くことができ、物体またはその移動スピードが検知できる。高周波スイッチ60により電波ビームの放射方向を制御する作用については後に説明する。
【0033】
本実施形態において、高周波スイッチ60は接地電極12の側ではなくパッチ電極側に設けられ、高周波スイッチ60を制御するための電圧は無給電素子30との間の影響を低減するように基板10の周辺部に配置された制御線42を介して供給される。この場合、制御線42のパターン幅を例えば0.1〜0.5mm程度に細くし、励振方向と平行する無給電素子30の端辺とその端辺に対向する位置に配置された制御線42との間隔をλg/3(但しλgは使用周波数における基板上の波長)以上とすることが好ましい。この間隔が狭すぎると無給電素子30の位相に影響を与え所定の方向、所定の角度に電波ビームを放射できなくなる。また、高周波スイッチ60a、60b、60c、60dにそれぞれに接続された制御線42a、42b、42c、42dは、基板10の端部に近接して配置された制御端子70a、70b、70c、70dを介して制御部92へと接続される。
【0034】
図5(b)に表すように、アンテナ部93aの基板10は固定ネジ15によりケース16へ固定される。給電部26(図6を参照)は、FETのような発振素子80を含み送信波を発生する発振回路94(図6を参照)、及び検波素子86を含みアンテナ部93aで受信した反射波を検波する検波回路95(図6を参照)を有する。発振素子80からの送信波の周波数を調整するために発振回路94(図6を参照)は誘電体共振器82及び周波数調整ネジ84を有する。
【0035】
また、ケース16には、制御部92が図示しない固定ネジなどにより固定される。すなわち、制御部92はケース16を介してアンテナ部93の一方の主面と対向して設けられる。制御部92は、基板21を有している。基板21の一方の主面には、各種の電子部品23が実装されている。この電子部品23により構成される制御回路により、アンテナ部93(検波回路95;図6を参照)から出力された信号に基づいて被検知体の動きに関する判定を行う。そして、判定の結果を動作信号として外部に出力する。基板21の端部には、電子部品23などへ電圧を供給するための電圧Vcc端子25a、接地端子25bなどが設けられている。また、基板21には、送信波の周波数を調整する周波数調整ネジ84を操作するための貫通孔21aが設けられている。なお、電子部品23が実装される主面と対向する側の主面がケース16側となるようにして制御部92がケース16に固定される。なお、図4において例示をしたようにリードフレーム17により制御部92の基板21を保持するようにしてもよい。
【0036】
基板21の電子部品23が実装される主面と対向する側の主面には、接地電極22が設けられている。この接地電極22は、基板21の当該主面の全面に設けられている。また、接地電極22は、図示しない配線部材などを介して接地されている。そのため、アンテナ部93aに対して制御部92が電磁シールドされ、アンテナ部93a側からの電気的影響を抑制することができる。その結果、高周波センサ装置90の小型化を図ることができ、かつ信頼性を向上させることができる。
【0037】
なお、接地電極22は、基板21の層間の全面に設けられていてもよい。すなわち、基板21のアンテナ部93aと対向する側の主面の全面及び基板21の層間の全面の少なくとも一方に接地電極22を設けるようにすることができる。
【0038】
また、ケース16を金属などの導電性材料で構成し、所定の周波数にて発信させるための空間16aを設けるようにしてもよい。すなわち、アンテナ部93aから所定の周波数の送信波を発信させるための空間16aを有する導電性のたケース16を設けるようにしてもよい。ケース16を金属などの導電性材料で構成するようにすれば、アンテナ部93a側からの電気的影響をさらに抑制することができる。
【0039】
図5(c)は、高周波センサ装置90bのケース16側から見た模式平面図である。基板10の端部には、給電部26の発振素子80などへ供給するための電圧Vcc端子72、接地端子74、ドップラー信号の出力端子76が設けられている。
【0040】
図6は、高周波センサ装置の構成を例示するためのブロック図である。
図6に示すように、高周波センサ装置90bは、アンテナ部93aと制御部92を備えている。アンテナ部93aは、給電素子20、無給電素子30、送信波を発生する発振回路94、受信波からドップラー信号を取り出す検波回路95を備えている。
アンテナ部93aから放射された送信波は、人体などの物体に当たり反射波を生じ、給電素子20により受信される。アンテナ部93aは送受信共用でもよいし、送信用と受信用とを別にしてもよい。人体検知用の高周波センサ装置において使用可能な送信波の周波数は、10.525及び24.15GHzである。
【0041】
移動物体の場合、ドップラー信号がアンテナ部93aの出力端子76(図5(c)を参照)から出力される。このドップラー信号は、制御部92の増幅器96を介して人体検知判断回路97へ入力される。また、増幅器96の他の出力は、比較器98を介してスイッチ操作判断回路100へ入力される。その出力は、負荷制御回路101及び電波走査制御回路99へ入力される。電波走査制御回路99は、スイッチ操作判断回路100及び人体検知判断回路97からの信号により無給電素子30の電波ビームの放射方向を変える制御信号を出力する。
【0042】
このように、アンテナ部93aは制御部92からの制御信号により電波ビームの放射方向を変化させることができる。この場合、アンテナ部93aの給電素子20及び無給電素子30の配置は図5(a)に例示したものに限定されない。
【0043】
図7は、アンテナ部の変形例の模式平面図を表し、図7(a)は第1変形例、図7(b)は第2変形例である。
図7(a)の第1変形例は、励振方向と略直交するX方向に無給電素子30が給電素子20と隣接して配置されている。無給電素子30に設けられた伝送線路40の終端は高周波スイッチ60の一方の端子に接続され、高周波スイッチ60の他方の端子はスルーホールを介して基板10の裏面の接地電極に接続されている。この場合もパッチ電極、高周波スイッチ60、接続線42は共に基板10の同一主面上に形成される。
【0044】
図7(b)の第2変形例において、X方向に無給電素子30aが無給電素子20aと、無給電素子30bが給電素子20bと隣接して対置されている。無給電素子30a及び30bは2つの給電素子20a及び20bを挟むように配置されている。無給電素子30a及び30bに伝送線路40a及び40bの終端は高周波スイッチ60a及び60bの一方の端子にそれぞれ接続され、他方の端子はスルーホールを介して基板10の裏面の接地電極にそれぞれ接続されている。給電素子20aの給電点P1及び給電素子20bの給電点P2は基板10に設けられたスルーホールを介して互いに接続され、給電される。この場合も接続線42a及び42b、パッチ電極、高周波スイッチ60a及び60bはともに基板10の同一主面上に設けられる。
【0045】
次に、高周波スイッチ60の作用について例示をする。
図8は、図5(a)の高周波スイッチ60a(SW1)を表し、図8(a)は伝送線路40aの終端部近傍を表す模式平面図、図8(b)はその構成である。
高周波スイッチ60aとして、例えばHEMT(High Electron Mobility Transistor)やGaAs MESFET(Metal Semiconductor Field Effect Transistor)を用いると、ゲート端子63aに印加する制御電圧によりソース端子62a及びドレイン端子61a間をオンまたはオフに切替えることができる。
【0046】
伝送線路40aの終端部は、ドレイン端子61aに接続され、ソース端子62aは基板10の導電パターン18及びスルーホール19を介して基板10の裏面である接地電極12に接続される。ゲート端子63aは制御線42aを介して基板10の端部の制御端子70aへ接続される。
【0047】
ゲート端子63aをゲート電圧により制御しソース端子62a及びドレイン端子61aを導通とし高周波スイッチ60aをオンとすると、伝送線路40aは終端短絡線路として作用する。一方、ゲート電圧を制御しドレイン端子61a及びソース端子62a間を非導通とし高周波スイッチ60aをオフとすると、伝送線路40aは長さJ3の終端開放線路として作用する。この場合、周波数が10GHz以上と高いために、図8(b)のように高周波スイッチの電極(長さJ1及びJ2)、外部の導電パターン18、スルーホール19などにより寄生インダクタンスを考慮した伝送線路設計が必要である。
【0048】
図5に例示をした場合においては、4つ高周波スイッチ60のうちいずれかひとつをオフとして導波器とする。そして、他の3つをオンとして反射器とすることにより電波ビームの放射方向を制御する。このオフとする高周波スイッチ60を順番に遷移させることにより電波ビームのスキャンが可能となる。この作用について、以下で詳細に説明する。
【0049】
図9は、給電素子20及び無給電素子30が励振方向に対して略垂直な方向に隣接して配置されているアンテナの基本構成を例示するための模式図である。図9(a)は、模式平面図、図9(b)は模式斜視図、図9(c)は終端短絡伝送線路の模式断面図、図9(d)は終端開放伝送線路の模式断面図である。
【0050】
図9(a)において、給電素子20の中心を通りY軸の負方向における位置が送信波の励振部と接続される給電点Pとする。給電素子20は正方形とし励振方向の一辺の長さは約λg/2(但しλgは波長)とする。無給電素子30及び給電素子20の形状は伝送線路40以外の領域においてほぼ等しい。
【0051】
また、給電点Pの横方向、かつY軸負方向の位置が整合点Qとする。無給電素子30の中心線上で、励振方向に平行かつY軸正方向には長さがLの伝送線路40が設けられている。ここで、「伝送線路」は、基板10の主面に設けられたストライプ状導体と、これに対向してその基板の裏面側に設けられた接地電極12と、の組み合わせにより構成されている。
【0052】
図9(b)のように、アンテナの主面はXY座標で表され、水平面内においてX軸からの角度をφで表す。また、この主面と垂直な方向をZ軸とし、垂直面において、Z軸からの角度をθで表す。Y軸は、励振方向に対して平行であり、X軸、Y軸、Z軸、φ及びθに関するこれらの定義は、本願明細書においてすべて同一とする。
【0053】
このアンテナは、例えば、誘電体の両面を銅板で挟んだガラスエポキシ基板などを用いて形成できる。このような基板により構成される伝送線路、すなわちマイクロストリップラインの波長及び特性インピーダンスは誘電体の比誘電率εr、誘電体厚み、マイクロストリップラインのストライプ状導体幅及び厚みの関数となる。基板としては、例えばεrを3.5、誘電体損失を表すtanδを0.004、誘電体厚みを0.75mmとする。
【0054】
なお、伝送線路40の終端部は短絡または開放のいずれかの状態とする。図9(c)は終端短絡、図9(d)は終端開放の伝送線路40をそれぞれに表し、図9(a)のC−C線に沿った模式断面図である。本実施形態においては高周波スイッチ60の一方の端子は、パッチ電極側において伝送線路40の終端部と接続される。
【0055】
また、高周波スイッチ60の他方の端子は、導電パターン18及びスルーホール19の導電性側壁を介して接地電極12へ接続される。なお、図9(d)の終端開放伝送線路の場合、スルーホール19を用いた導電部を形成しなくともよい。
【0056】
図10は、終端短絡の伝送線路40の長さLを変化させた場合、無給電素子20の整合点Qにおける振幅(Magnitude:dB)、位相(度)及び無給電素子62のアンテナゲイン(アンテナ利得:dB)のシミュレーション結果を表すグラフ図である。
Lが伝送線路の4分の1波長である4.8mm近傍において、整合点Qにおける振幅 が最小となり、位相がプラスからマイナスに急激に変化する。これよりLが短い3.7mm近傍においてアンテナゲインは約5.5dBと最大となっている。
【0057】
また、位相はLが約8.1mmにおいてマイナスからプラスへと転じる。これよりLが大きい8.3mm近傍においてアンテナゲインはマイナス10dBとなり最低となる。なお、位相がプラスかつ利得がプラスである場合は無給電素子30は導波器として作用し、利得がゼロ及びマイナスである場合は反射器として作用する。
【0058】
図11は、整合点Qの位相が0乃至140度である無給電素子30を、全体のアンテナゲインが最大となる素子間スペースS(mm)に配置したゲイン(dB)と、最大放射強度が得られる放射角度θ(度)との関係を表すグラフ図である。
例えば、整合点Qの位相が110度の場合、素子間スペースSが2.2mmにおいて全体アンテナゲインが最大である7.15dBとなることを示している。このとき、最大放射強度が得られる角度θはほぼ27度となる。また、整合点Qの位相が120度より大きくなると全体のアンテナゲインが急激に低下し、角度θも小さくなる。
【0059】
図12は、H面(φが0−180°である垂直断面)におけるアンテナゲインのθ依存性を、整合点Qの位相に対して求めたシミュレーション結果を表すグラフ図である。
放射パターンは、メインビームと、これよりゲインの小さいサイドローブ(不要電波)とを含む。ここで、メインビームのゲインのピークより3dB低下した角度領域を半値角と呼ぶことにする。物体を精度よく検知するためには、メインビームのゲインが高く、メインビームとサイドローブとのゲイン差が大きいことが好ましい。
【0060】
図12に表すように、整合点Qの位相が大きくなるに従いゲインは増加するが、半値角が0度を越えるようになる。従って、整合点Qの位相は120度以下、90度以上が好ましい。例えば、整合点位相が110度の場合、アンテナゲインは約マイナス19dB、半値角範囲はマイナス65乃至マイナス5度、メインビームとサイドローブとのゲイン差が11dBとなり、高周波センサ装置としての機能を備えることが可能となる。
【0061】
図13は、終端開放の伝送線路40の長さLを変化させた場合、無給電素子30の整合点Qにおける振幅(dB)、位相(度)、無給電素子のアンテナゲイン(dB)をシミュレーションにより求めたグラフ図である。
Lが伝送線路の2分の1波長である7.6mm近傍において整合点Qにおける振幅が最小となり、位相がプラスからマイナスに急激に変化する。これよりLが短い7.3mm近傍においてアンテナゲインは約4.4dBと最大になっている。破線で表すアンテナゲインはLが2.4乃至4.3mmの範囲でマイナスとなり、3.4mm近傍において最小値となる。
【0062】
図8に例示をしたものの場合において、まず高周波スイッチ60aがオンの場合、ソース端子62aの位置においてスルーホール19aを介して接地され終端短絡伝送線路となる。この状態の無給電素子30aのアンテナゲインゼロまたはマイナスとすると反射器として作用する。さらに位相をマイナス170〜マイナス180度の間とするとより好ましい。これに対応するLは、7.0以上8.0mm以下の範囲である。
【0063】
一方、高周波スイッチ60aがオフの場合、伝送線路40aは終端開放となる。この状態の無給電素子30aの位相及びアンテナゲインを正とすると導波器として作用する。さらに、位相を90〜120度とするとより好ましい。これに対応するLは、6.5以上7.0mm以下の範囲である。伝送線路61aの長さJ3を6.5〜7.0mmの間で選択する場合、高周波スイッチ60a内の電極部(J1+J2)及びスルーホール部の長さが加算されて終端短伝送線路となる。この場合、加算される分として0〜1.5mmの長さが許容されるので十分実現可能である。
【0064】
以上のように伝送線路40aの長さを選択すると、高周波スイッチ60のオンおよびオフの切替えにより無給電素子30を反射器または導波器に容易に切替えることができる。なお、ゲート端子63aは伝送線路40aとは接続されないため高周波特性への影響は小さい。また、制御線42aは無給電素子30aから離して配置することが好ましい。
【0065】
ここで、本実施形態にかかる高周波センサ装置のアンテナ部におけるパッチ電極の配置について説明する。図9に表したアンテナ部は基本構成であり無給電素子30は1つである。しかし、給電素子20を中心にした2軸上に無給電素子30を配置すると電波ビームの放射方向の制御が容易になる。この場合、ひとつの無給電素子30を導波器とし、他の3つの無給電素子30を反射器とする。2軸は、励振方向への平行軸及び垂直軸の組み合わせでもよいし、励振方向に対して平行でもなく、垂直でもないX字状に配置された2軸の組み合わせでもよい。
【0066】
図5(a)のアンテナ部において、無給電素子30と給電素子20とはY軸に対して平行な一辺において長さがFである対向する部分を有する。またX軸に平行な他の一辺において対向する部分を有さず、パッチ電極間にはスペースがEだけ設けられている。Y軸に対して平行であり対向する部分Fは、ゼロより大きく4分の1波長より短いことが好ましい。給電素子20は励振方向に平行な辺において2分の1波長の長さとされるので、4分の1波長より短い対向部分であれば無給電素子30は重なり合わない。
【0067】
図14は、本発明の実施の形態にかかる高周波センサ装置に設けられた図5(a)に表すアンテナ部の特性を表し、図14(a)、(b)、(c)、(d)はXY面と平行な面における水平放射パターン、図14(e)はゲインのφ依存性を表す。図14(a)は、SW4のみをオフとし他をオンとするCASE4、図14(b)はSW1のみオフとし他をオンとするCASE1、図14(c)はSW2のみをオフとし他をオンとするCASE2、図14(d)はSW3のみをオフとし他をオンとするCASE3の水平放射パターンをそれぞれに表し、図14(e)はそれぞれのCASEのゲインのφ依存性を表す。なお、対向する部分Fは0.1mm、パッチ電極間隔Eは0.2mmとした。
【0068】
放射パターンにおけるゲインの最大値となるφ方向は、CASE4で60度、CASE1で120度、CASE2で240度、CASE3で300度であり、Y軸に関してほぼ左右対称にできる。また、ゲインが3dB低下するφ方向の半値角は、図14(e)に表すようにほぼ均一とできる。
高周波スイッチ60を順次切替えて、CASE1〜4を順次繰り返すことにより、これら4方向を順次スキャンできる。そして、いずれかの無給電素子30のゲインかつ位相がプラスの時に他の3つの無給電素子30のゲインがゼロまたはマイナスとすることにより、サイドローブを抑制して電波ビームを所定の方向に放射できる。
なお、本実施形態においては、無給電素子30と給電素子20とはY軸に対して平行な一辺において対向部分を有した。しかし、X軸に対して平行な一辺において対向部分を有していても良い。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる高周波センサ装置を表す模式図である。
【図2】比較例に係る高周波センサ装置の模式断面図である。
【図3】比較例に係るアンテナ部の模式平面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る高周波センサ装置の模式図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態にかかる高周波センサ装置を表す模式図である。
【図6】高周波センサ装置の構成を例示するためのブロック図である。
【図7】アンテナ部の変形例を表す模式平面図である。
【図8】高周波スイッチの作用を例示するための模式図である。
【図9】アンテナの基本構成を例示するための模式図である。
【図10】終端短絡伝送線路を有する無給電素子の位相及びアンテナゲインを例示するためのグラフ図である。
【図11】素子間スペースと、最大ゲイン及びθとの関係を例示するためのグラフ図である。
【図12】図9のアンテナのゲインのθ依存性を例示するためのグラフ図である。
【図13】終端開放伝送線路を有する無給電素子の位相及びアンテナゲインを例示するためのグラフ図である。
【図14】本実施形態の電波ビームの放射パターンを例示するためのグラフ図である。
【符号の説明】
【0070】
10 基板、12 接地電極、20 給電素子、21 基板、22 接地電極、30 無給電素子、40 伝送線路、42 制御線、60 高周波スイッチ、61 ドレイン端子、62 ソース端子、90 高周波センサ装置、90a 高周波センサ装置、90b 高周波センサ装置、92 制御部、93 アンテナ部、94 発振回路、95 検波回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信波を発生する発振回路と、前記送信波の被検知体からの反射波を受信波として受信して前記受信波を検知する検波回路と、を有するアンテナ部と、
前記アンテナ部の一方の主面と対向して設けられた第1の基板と、前記第1の基板の第1の主面上に設けられ前記検波回路から出力された信号に基づいて前記被検知体の動きに関する判定を行う制御回路と、を有する制御部と、
前記アンテナ部の前記制御部と対向する側の主面に設けられ、前記アンテナ部から所定の周波数の送信波を発信させるための空間を有する導電性のケースと、
を備え、
前記第1の基板の前記第1の主面と対向する第2の主面上であって、前記導電性のケースと対向する部分には、第1の接地電極のみが設けられ、
前記第1の基板の前記第2の主面上であって、前記導電性のケースと対向する部分には、電子部品が設けられていないこと、を特徴とする高周波センサ装置。
【請求項2】
送信波を発生する発振回路と、前記送信波の被検知体からの反射波を受信波として受信して前記受信波を検知する検波回路と、を有するアンテナ部と、
前記アンテナ部の一方の主面と対向して設けられ、層間に回路パターンと、接地パターンと、を有する多層構造の第2の基板と、前記第2の基板の第1の主面上に設けられ前記検波回路から出力された信号に基づいて前記被検知体の動きに関する判定を行う制御回路と、を有する制御部と、
前記アンテナ部の前記制御部と対向する側の主面に設けられ、前記アンテナ部から所定の周波数の送信波を発信させるための空間を有する導電性のケースと、
を備え、
前記第2の基板の前記第1の主面と対向する第2の主面上であって、前記導電性のケースと対向する部分には、前記接地パターンと連通するスルーホールのみが設けられ、
前記第2の基板の前記第2の主面上であって、前記導電性のケースと対向しない部分には、前記回路パターンと連通するスルーホールが設けられていること、を特徴とする高周波センサ装置。
【請求項3】
前記第1の基板には、前記送信波の周波数を調整する周波数調整ネジを操作する貫通孔が設けられていること、を特徴とする請求項1記載の高周波センサ装置。
【請求項4】
前記第2の基板には、前記送信波の周波数を調整する周波数調整ネジを操作する貫通孔が設けられていること、を特徴とする請求項2記載の高周波センサ装置。
【請求項5】
前記アンテナ部は、
第3の基板と、
前記第3の基板の第1の主面に設けられたパッチ電極を有する給電素子及び無給電素子と、
を含み、
前記無給電素子には、前記第3の基板の第1の主面に設けられた伝送線路が接続され、
前記伝送線路の終端部は、高周波スイッチの一方の端子に接続され、
前記高周波スイッチの他方の端子は、前記第3の基板の第2の主面に設けられた第2の接地電極に接続され、
前記高周波スイッチをオンまたはオフに切替える電圧を供給する制御線と、前記高周波スイッチと、が前記第3の基板の第1の主面に設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の高周波センサ装置。
【請求項6】
前記伝送線路は、前記パッチ電極の辺のうちで励振方向に対して直交する辺の中央付近から前記励振方向に対して略平行に延在する部分を含み、
前記伝送線路は、前記高周波スイッチをオンとすると前記第2の接地電極に接続され、オフとすると前記第2の接地電極に非接続とされ、
前記高周波スイッチをオン及びオフのうちいずれか一方とすることによりアンテナゲインがゼロまたはマイナスである状態とされ、いずれか他方とすることによりアンテナゲインがプラスで且つ位相がプラスである状態とされることを特徴とする請求項5記載の高周波センサ装置。
【請求項7】
前記高周波スイッチの前記他方の端子は、前記第3の基板を貫通して設けられたスルーホールを介して前記第2の接地電極と接続されることを特徴とする請求項5または6に記載の高周波センサ装置。
【請求項1】
送信波を発生する発振回路と、前記送信波の被検知体からの反射波を受信波として受信して前記受信波を検知する検波回路と、を有するアンテナ部と、
前記アンテナ部の一方の主面と対向して設けられた第1の基板と、前記第1の基板の第1の主面上に設けられ前記検波回路から出力された信号に基づいて前記被検知体の動きに関する判定を行う制御回路と、を有する制御部と、
前記アンテナ部の前記制御部と対向する側の主面に設けられ、前記アンテナ部から所定の周波数の送信波を発信させるための空間を有する導電性のケースと、
を備え、
前記第1の基板の前記第1の主面と対向する第2の主面上であって、前記導電性のケースと対向する部分には、第1の接地電極のみが設けられ、
前記第1の基板の前記第2の主面上であって、前記導電性のケースと対向する部分には、電子部品が設けられていないこと、を特徴とする高周波センサ装置。
【請求項2】
送信波を発生する発振回路と、前記送信波の被検知体からの反射波を受信波として受信して前記受信波を検知する検波回路と、を有するアンテナ部と、
前記アンテナ部の一方の主面と対向して設けられ、層間に回路パターンと、接地パターンと、を有する多層構造の第2の基板と、前記第2の基板の第1の主面上に設けられ前記検波回路から出力された信号に基づいて前記被検知体の動きに関する判定を行う制御回路と、を有する制御部と、
前記アンテナ部の前記制御部と対向する側の主面に設けられ、前記アンテナ部から所定の周波数の送信波を発信させるための空間を有する導電性のケースと、
を備え、
前記第2の基板の前記第1の主面と対向する第2の主面上であって、前記導電性のケースと対向する部分には、前記接地パターンと連通するスルーホールのみが設けられ、
前記第2の基板の前記第2の主面上であって、前記導電性のケースと対向しない部分には、前記回路パターンと連通するスルーホールが設けられていること、を特徴とする高周波センサ装置。
【請求項3】
前記第1の基板には、前記送信波の周波数を調整する周波数調整ネジを操作する貫通孔が設けられていること、を特徴とする請求項1記載の高周波センサ装置。
【請求項4】
前記第2の基板には、前記送信波の周波数を調整する周波数調整ネジを操作する貫通孔が設けられていること、を特徴とする請求項2記載の高周波センサ装置。
【請求項5】
前記アンテナ部は、
第3の基板と、
前記第3の基板の第1の主面に設けられたパッチ電極を有する給電素子及び無給電素子と、
を含み、
前記無給電素子には、前記第3の基板の第1の主面に設けられた伝送線路が接続され、
前記伝送線路の終端部は、高周波スイッチの一方の端子に接続され、
前記高周波スイッチの他方の端子は、前記第3の基板の第2の主面に設けられた第2の接地電極に接続され、
前記高周波スイッチをオンまたはオフに切替える電圧を供給する制御線と、前記高周波スイッチと、が前記第3の基板の第1の主面に設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の高周波センサ装置。
【請求項6】
前記伝送線路は、前記パッチ電極の辺のうちで励振方向に対して直交する辺の中央付近から前記励振方向に対して略平行に延在する部分を含み、
前記伝送線路は、前記高周波スイッチをオンとすると前記第2の接地電極に接続され、オフとすると前記第2の接地電極に非接続とされ、
前記高周波スイッチをオン及びオフのうちいずれか一方とすることによりアンテナゲインがゼロまたはマイナスである状態とされ、いずれか他方とすることによりアンテナゲインがプラスで且つ位相がプラスである状態とされることを特徴とする請求項5記載の高周波センサ装置。
【請求項7】
前記高周波スイッチの前記他方の端子は、前記第3の基板を貫通して設けられたスルーホールを介して前記第2の接地電極と接続されることを特徴とする請求項5または6に記載の高周波センサ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−139258(P2010−139258A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−313334(P2008−313334)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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