説明

高周波加熱装置

【課題】ヒータ付高周波加熱装置の外観形状の小型化を実現する。
【解決手段】被加熱物22を収納する加熱室20と、加熱室底面に前記被加熱物22を載置する回転載置台25と、前記加熱室20に収納された被加熱物22を加熱する高周波加熱手段21と、前記加熱室20を加熱するためのコンベクションヒータ27と、前記コンベクションヒータ27の熱を加熱室20に熱風として供給するための循環ファン28と、前記被加熱物22を加熱するグリルヒータ33とを備え、前記コンベクションヒータ27とグリルヒータ33を加熱室上面に個別に配置する構成としたことにより、加熱室側面および後面に配置する部品がなくなり、加熱装置の外観形状を小型化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータ付の高周波加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の高周波加熱装置には、強い輻射熱で食品に焦げ目をつけるグリル機能と、雰囲気温度で食品温度を上昇させるオーブン機能があり、一般にオーブン電子レンジと呼ばれる商品は高周波加熱とこの2つの機能を併せ持つものが主流である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4は、従来のヒータ付き高周波加熱装置の構成を、横からの断面図として示すものである。図4に示すように、加熱室1において高周波発振器であるマグネトロン2によって発振された高周波は導波管3によって加熱室1に導かれる。熱風供給用の循環ファン4は、モータ5により回転駆動され、コンベクションヒータ6によって加熱された熱い空気を加熱室後壁7に設けられた吹き出し口8から加熱室内に供給する。
【0004】
グリルヒータ9は加熱室1の上部に設けられ、その熱は加熱室上壁10に設けられたパンチング穴11から加熱室1内に輻射される。
【特許文献1】特開平7−119973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の構成では、グリル調理においてグリルヒータの輻射熱で食品表面に焦げ目をつけるため、加熱室1の上面に配置されることになり、また、加熱室1に熱風を供給するコンベクションユニットは加熱室1の上面以外の面(本構成では加熱室1の後面)に構成されるため、加熱装置の外観が大型化するという課題を有していた。
【0006】
本発明は、従来の課題を解決するもので、効率の良いグリル調理と、加熱室内を均一に加熱するオーブン調理とを両立させながら、外観形状の小型化が可能な加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の課題を解決するために、本発明の高周波加熱装置は、被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室の底面に前記被加熱物を載置する回転載置台と、前記加熱室に収納された被加熱物を加熱する高周波加熱手段と、前記加熱室を加熱するためのコンベクションヒータと、前記コンベクションヒータの熱を前記加熱室に熱風として供給するための循環ファンと、前記被加熱物を加熱するグリルヒータとを備え、前記コンベクションヒータと前記グリルヒータとを前記加熱室の上面に個別に配置するものである。
【0008】
これにより、食品表面に焦げ目をつけるグリルヒータと加熱室に熱風を供給するコンベクションユニットを加熱室上面に個別に構成することにより、グリル調理性能とオーブン調理性能を犠牲にすることなく、加熱室側面および後面に配置する部品がなくなり、加熱装置の外観形状を小型化することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の高周波加熱装置は、食品表面に焦げ目をつけるグリルヒータと加熱室に熱風を供給するコンベクションユニットを加熱室上面に個別に構成することにより、部品を集中的に配置しグリル調理性能とオーブン調理性能を犠牲にすることなく、加熱装置の外観形
状を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明にかかる高周波加熱装置は、被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室の底面に前記被加熱物を載置する回転載置台と、前記加熱室に収納された被加熱物を加熱する高周波加熱手段と、前記加熱室を加熱するためのコンベクションヒータと、前記コンベクションヒータの熱を前記加熱室に熱風として供給するための循環ファンと、前記被加熱物を加熱するグリルヒータとを備え、前記コンベクションヒータと前記グリルヒータとを前記加熱室の上面に個別に配置するものである。
【0011】
これにより、グリル調理性能とオーブン調理性能を犠牲にすることなく、加熱室側面および後面に配置する部品がなくなり、加熱装置の外観形状を小型化することができる。また、加熱部品を集中して配置することになるため、冷却構造などが分散して配置することがなく、効率的に断熱、冷却することができ、コストの削減にも寄与することになる。
【0012】
第2の発明にかかる高周波加熱装置は、特に、第1の発明において、前記循環ファンと前記コンベクションヒータとを格納する循環ファンケースを有し前記加熱室を加熱するコンベクションユニットが設けられ、前記コンベクションユニットは、前記加熱室に熱風を循環させるための前記吸気孔と前記排気孔を有し、前記グリルヒータは、熱を被加熱物に輻射する輻射孔を備え、前記吸気孔と前記排気孔と前記輻射孔を前記加熱室の中心から外れた外周部に配置する構成としたものである。
【0013】
これにより、グリル性能とコンベクション性能をそれぞれ独立させた構造により構成し、吸気孔と排気孔と輻射孔を加熱室の中心から外れた外周部に配置することで、回転載置台の中央部に加熱が集中することを防ぐことができ、加熱調理性能を向上させることができる。
【0014】
第3の発明にかかる高周波加熱装置は、特に、第1および第2の発明において、グリルヒータが、石英ガラス管の内部にニクロム電熱線を挿入し、輻射孔上方に反射板により格納される構成としたものである。
【0015】
これによって、グリル調理時の加熱の立ち上がりが早くなり、輻射孔上方の反射板により反射する熱線を利用して加熱効率を向上させることができる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
図1〜3はそれぞれ、本発明にかかる実施の形態における高周波加熱装置の上面図、横からの断面図、正面からの断面図を示すものである。
【0018】
図において、加熱室20には被加熱物22が収納される。高周波発生手段21により発生される高周波は導波管24によって加熱室20に導かれる。加熱室20の前面には開閉自由な扉23が設けられ、底面には被加熱物22を載せる回転載置台25がモータ26により回転駆動され、被加熱物を回転移動させることで加熱の局部へ集中を防いでいる。
【0019】
加熱室20の上面にはコンベクションヒータ27が循環ファンケース40の中に固定される。循環ファン28は、循環ファンモータ29により回転駆動され、加熱室20の上面に設けられた吸気孔30から加熱室20内の空気を吸い込み、コンベクションヒータ27で加熱した後排気孔31から加熱室20内へ供給する。
【0020】
吸気孔30は加熱室20の右側前方に配置され、排気孔31は右側後方に配置されているため、排気孔31から噴出する熱風32は被加熱物22の上下を通り、吸気孔30に吸い込まれるという、整然とした循環経路が構成される。このような構成にすることでコンベクションユニットの構成を小型化することが可能になる。
【0021】
グリルヒータ33は、加熱室1の上面の左側に前方から後方に向けて傾斜角度持って設置される。グリルヒータ33の発熱部材はコイル状のニクロム電熱線34であり、絶縁と保護を兼ね備えた透明なガラス管35の内部に納められている。グリルヒータ33の下方には加熱室20に輻射熱37を放出する輻射孔36が設けられている。
【0022】
また、グリルヒータ33の上方周囲には反射板38が設けられ、反射板38によってさえぎられた熱線は二次輻射として加熱室に遠赤外線を供給する。輻射孔36はグリルヒータ33と同様に加熱室上面左側に前方から後方に向けて傾斜角度持って設置されており、被加熱物22の斜め側方から輻射熱を供給する。
【0023】
これにより、被加熱物は回転載置台25により回転駆動されるため被加熱物外周部から輻射熱を供給し満遍なく焦げ目をつけるとともに、移動の少ない回転載置台25の中心部に加熱を集中することを防いでいる。
【0024】
断熱板39は、コンベクションヒータ27とグリルヒータ33とを覆い隠すことにより、これら2つのヒータからの熱気を遮断している。これによりヒータ部からの熱気の漏れを防ぎ、熱効率を上げるとともに、外部の部品の温度上昇を防ぎ部品の信頼性をあげている。本実施の形態では、すべてのヒータが加熱室上面に構成されているため、断熱板の小型化が可能で断熱を効率的に構成することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上のように、本発明は高周波加熱装置の用途に適用でき、グリル調理性能とオーブン調理性能を犠牲にすることなく、加熱室側面および後面に配置する部品がなくなり、加熱装置の外観形状を小型化することができる。また、加熱部品を集中して配置することになるため、冷却構造などが分散して配置することがなく、効率的に断熱、冷却することができ、コストの削減にも寄与することになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態における高周波加熱装置の上面図
【図2】本発明の実施の形態における高周波加熱装置の横からの断面図
【図3】本発明の実施の形態における高周波加熱装置の正面からの断面図
【図4】従来の高周波加熱装置の断面図
【符号の説明】
【0027】
20 加熱室
21 高周波発生手段
28 循環ファン
27 コンベクションヒータ
33 グリルヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室の底面に前記被加熱物を載置する回転載置台と、前記加熱室に収納された被加熱物を加熱する高周波加熱手段と、前記加熱室を加熱するためのコンベクションヒータと、前記コンベクションヒータの熱を前記加熱室に熱風として供給するための循環ファンと、前記被加熱物を加熱するグリルヒータとを備え、前記コンベクションヒータと前記グリルヒータとを前記加熱室の上面に個別に配置する高周波加熱装置。
【請求項2】
前記循環ファンと前記コンベクションヒータとを格納する循環ファンケースを有し前記加熱室を加熱するコンベクションユニットが設けられ、前記コンベクションユニットは前記加熱室に熱風を循環させるための吸気孔と排気孔とを有し、前記グリルヒータは、熱を前記被加熱物に輻射する輻射孔を備え、前記吸気孔と前記排気孔と前記輻射孔とを前記加熱室の中心から外れた外周部に配置される請求項1に記載の高周波加熱装置。
【請求項3】
前記グリルヒータが、石英ガラス管の内部にニクロム電熱線を挿入し、前記輻射孔上方に反射板により格納される構成とした請求項1または2に記載の高周波加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−270759(P2009−270759A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121169(P2008−121169)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】