説明

高圧インバータの瞬時停電補償方法及びこれを利用した高圧インバータシステム

【課題】本発明は、高圧インバータで瞬時停電が生じる場合、負荷が保存している機械的運動エネルギーを電気的エネルギーに変換して停電区間に対応することによって、高圧インバータが停止せずに運転し続けるようにする瞬時停電補償方法及びこれを利用した高圧インバータシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明では、直列連結されて電動機に供給する一つの相電圧を構成する複数の電力セルを備える高圧インバータにおいて、複数の電力セルの入力電圧が基準値以下の場合、該当時点で前記複数の電力セルの出力周波数を所定値だけ減少させ、所定の減速勾配で出力周波数を減少させた後、入力電圧が復帰する場合、復帰時出力周波数を所定時間だけ維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧インバータにおける瞬時停電補償方法とこれを利用した高圧インバータシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、インバータは、入力電源に停電が発生した場合、数ms以内にパルス幅変調(Pulse Width Modulation、PWM)出力を遮断する。この時、負荷の慣性が大きい場合、電源が復旧した時に負荷を加速するのに長時間を要する。このような動作は、産業現場で大きい損失に繋がるため、インバータが停止する場合、工程障害によって莫大な被害が予想される所ではインバータの瞬間停電補償技術が適用されている。
【0003】
図1A及び図1Bは、従来のインバータの瞬時停電補償装置の動作を説明するための一例であり、図1Aは正常状態の場合、図1Bは電源遮断が生じた場合を示した図面である。
【0004】
一般に、インバータ200に組み込まれる電解コンデンサ210(説明の便宜のためにインバータ200の外部に図示する)は、正常状態ではインバータ200から電力を充電し(図1A)、停電によって電源100が遮断されると、電解コンデンサ210に充電された電力を利用して負荷300を駆動する(図1B)。この時、一般の電解コンデンサ210は、瞬時停電時間が16msecの場合には、正常に動作するようにその容量が設計されるため、瞬時停電時間が16msec以内であればインバータ200は停止せずに負荷300を駆動することができる。
【0005】
しかし、電源事情が良くない地域での停電は、16msec以上になる場合があり、この場合インバータ200は停止する問題があり、これは産業現場の大きい被害を惹き起こす問題がある。
【0006】
一方、現在エネルギー節減に対する要求が大きくなると同時に高圧インバータの需要が増えている傾向である。このような高圧インバータとして、直列連結H−ブリッジ(Cascaede H−Bridge、以下、「CHB」という)方式が主に利用される。CHB方式の高圧インバータは、産業現場で重要設備に設置されるため、信頼性が重要となる。
【0007】
しかし、図1Aの従来のインバータの瞬時停電補償装置は、CHB方式の高圧インバータに適用する場合、瞬時停電を克服できない問題がある。その理由は、下記の通りである。
【0008】
第一に、従来の瞬時停電補償装置は、高圧インバータの複数の単位電力セルのDCリンクを制御できない。
【0009】
第二に、従来の瞬時停電補償装置は、フィードバックされた基準電圧をDCリンクの電圧指令とするが、高圧インバータで実際適用される場合、各電力セルのDCリンク電圧はキャパシタが有する寄生成分によって互いに異なるようになるため、実際駆動時に一つの電圧指令で駆動するのが不可能である。
【0010】
第三に、従来の瞬時停電補償装置には、CHB方式の高圧インバータが取り付けられる大容量負荷の外部環境を考慮した解決策が提示されなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、高圧インバータにおいて瞬時停電が生じる場合、負荷が保存している機械的運動エネルギーを電気的エネルギーに変換して停電区間に対応することによって、高圧インバータが停止せずに運転し続けるようにする瞬時停電補償方法及びこれを利用した高圧インバータシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の技術的課題を解決するために、直列連結されて電動機に供給する一つの相電圧を構成する複数の電力セルを備える高圧インバータにおいて、本発明の瞬時停電補償方法は、複数の電力セルの入力電圧が基準値以下の場合、該当時点で複数の電力セルの出力周波数を所定値だけ減少させる段階、所定の減速勾配で出力周波数を減少させる段階、及び入力電圧が復帰する場合、復帰時出力周波数を所定時間だけ維持する段階を含む。
【0013】
本発明の一実施形態において、所定の加速勾配で出力周波数を増加させる段階をさらに含んでもよい。
【0014】
本発明の一実施形態において、出力周波数を増加させる段階は、瞬時停電以前の出力周波数まで出力周波数を増加させてもよい。
【0015】
本発明の一実施形態において、複数の電力セルの直流(DC)リンクの電圧が上昇する場合、出力周波数を電圧の増加分だけ増加させる段階をさらに含んでもよい。
【0016】
本発明の一実施形態において、複数の電力セルの出力周波数を所定値だけ減少させる段階は、電動機の速度より小さくなるように出力周波数を減少させてもよい。
【0017】
本発明の一実施形態において、出力周波数の減少幅はスリップ周波数より大きくてもよい。
【0018】
本発明の一実施形態において、復帰時出力周波数を所定時間だけ維持する段階は、電動機の速度が出力周波数より小さくなるように出力周波数を維持してもよい。
【0019】
また、前述の技術的課題を解決するために、直列連結されて電動機に供給する一つの相電圧を構成する複数の電力セルを備える高圧インバータにおいて、本発明の瞬時停電補償方法は、複数の電力セルの入力電圧が基準値以下になってから復電する場合、復電時の出力周波数を所定時間維持することができる。
【0020】
また、前述の技術的課題を解決するために、本発明の高圧インバータシステムは、直列連結されて電動機に供給する一つの相電圧を構成する複数の電力セル、及び複数の電力セルとネットワークを介して各々連結され、複数の電力セルの入力電圧が基準値以下の場合、該当時点で複数の電力セルの出力周波数を所定値だけ減少させ、所定の減速勾配で出力周波数を減少させ、入力電圧が復帰する場合、復帰時の出力周波数を所定時間だけ維持する制御部を含む。
【0021】
本発明の一実施形態において、制御部は、出力周波数を所定時間だけ維持した後、所定の加速勾配で出力周波数を増加させてもよい。
【0022】
本発明の一実施形態において、制御部は、瞬時停電以前の出力周波数まで出力周波数を増加させてもよい。
【0023】
本発明の一実施形態において、制御部は、所定の減速勾配で出力周波数を減少する間に、複数の電力セルのDCリンクの電圧が上昇する場合、出力周波数を電圧の増加分だけ増加させてもよい。
【0024】
本発明の一実施形態において、制御部は、複数の電力セルの出力周波数を電動機の速度より小さくなるように減少してもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、高圧インバータにおいて瞬時停電が生じる場合、負荷が保存している機械的運動エネルギーを電気的エネルギーに変換して停電区間に対応することによって、高圧インバータが停止せず運転し続けるようにして、従来のCHB方式の高圧インバータでは不可能だった16ms以上の瞬時停電に対応することができる。
これにより、本発明はインバータが瞬間的に停止することによって生じる被害を防ぐことができ、これによって製品工程の信頼性を確保して製品の品質向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1A】従来のインバータの瞬時停電補償装置の動作を説明するための一例示図である。
【図1B】従来のインバータの瞬時停電補償装置の動作を説明するための一例示図である。
【図2】本発明が適用されるCHB方式の高圧インバータの一実施形態の構成図である。
【図3】図2の電力セルの一実施形態の詳細構成図である。
【図4】本発明に係る瞬時停電補償方法を説明するための一実施形態のフローチャートである。
【図5】本発明に係る瞬時停電補償方法を説明するための一実施形態グラフである。
【図6】従来のインバータの瞬時停電時入力電圧に対する電動機出力電流を示したグラフである。
【図7A】本発明に係る瞬時停電補償方法によって高圧インバータの出力電流が補償されたことを説明するための一例示図である。
【図7B】本発明に係る瞬時停電補償方法によって高圧インバータの出力電流が補償されたことを説明するための一例示図である。
【図8A】本発明に係る瞬時停電補償方法によって高圧インバータの出力電流が補償されたことを説明するための一例示図である。
【図8B】本発明に係る瞬時停電補償方法によって高圧インバータの出力電流が補償されたことを説明するための一例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、多様な変更を加えて多様な実施形態を有することができ、特定実施形態を図面に例示して詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むことに理解しなければならない。
【0028】
本発明は、瞬時停電が生じる場合にも高圧インバータが停止せずに継続的に運転できるようにするものである。即ち、本発明は瞬時停電発生時、高圧インバータを停止せずに停電を認知して継続的な運転のために負荷の機械的運動エネルギーをインバータで回生する。この時、回生量に応じて電力セルのDCリンク電圧が変わるため、適正な電圧を維持するインバータ制御を介して停電区間を回避することができる。
【0029】
以下、添付図を参照して本発明に係る好ましい一実施形態を詳細に説明する。
図2は、本発明が適用されるCHB方式の高圧インバータの一実施形態の構成図である。
【0030】
図示したように、本発明が適用される高圧インバータは、CHB方式であり、移相変圧器10、電力セル20、制御部30及び電動機40を含む。
【0031】
移相変圧器10は、入力電源の位相を置換してこれを複数の電力セル20に供給する。これについては本発明の技術分野で広く知られているため、その詳細な説明は省略する。
【0032】
制御部30は、複数の電力セル20とネットワークを介して各々連結され、この時、ネットワークの種類は、例えば、計測制御ネットワーク(Controller Area Network、CAN)であるが、これに限定されるものではない。制御部30は電力セル20との通信を介して、電力セル20を制御して本発明の瞬時停電補償を行う。これについては下記で図面を参照して説明する。
【0033】
電力セル20は、単相インバータであり、直列連結されて電動機40に供給する一つの相電圧を構成するもので、全体的に高圧出力を得ることができる三相インバータとなる。本発明の一実施形態を説明するために、単相インバータの電力セル20が18個(各相当り6個)備えられたものを挙げて説明するが、これに限定されないことは、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者には自明である。電力セル20の数が多いほど、電動機40により大きい電力を出力できる。
【0034】
また、電力セル20は、制御部30とネットワークを介して通信し、制御部30の制御によって瞬時電力補償を行う。これのために、その内部に制御部30と通信する電力セル制御部を含む。以下、電力セルの詳細な構成を説明する。
【0035】
図3は、図2のセルの一実施形態の詳細構成図であり、複数の各電力セル20の構成は互いに同一であることは自明である。
【0036】
図示したように、本発明に係る電力セル20は、整流部21、DCリンク部22、インバータ部23及び電力セル制御部24を含む。
【0037】
整流部21は、3相の交流入力電圧を直流に変換し、DCリンク部22は、整流部21により直流に変換された電圧を保存する。また、DCリンク部22は、整流された波形を平滑キャパシタを介して安定した直流に変換することもできる。
【0038】
インバータ部23は、整流された直流をスイッチングして交流を生成して、電動機40に印加する。インバータ部23は、電力セル制御部24の出力周波数によりスイッチングを行い、インバータ部23のトランジスタは、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0039】
整流部21、DCリンク部22及びインバータ23の動作については、すでに本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に広く知られているため、その詳細な説明は省略する。
【0040】
電力セル制御部24は、DCリンク部22の電圧を制御部30に伝送し、制御部30の制御によってインバータ部23の出力周波数を伝達する。制御部30のスイッチング制御によって、インバータ部23の出力周波数と電圧を調整できる。即ち、電力セル制御部24は、制御部30の制御によって制御信号を伝達する。
【0041】
図2のような複数の電力セルを含む高圧インバータにおいて、従来の瞬時停電補償装置では複数の電力セル20のDCリンク部22を同一にすることが不可能であったが、本発明によると可能になる。以下、本発明の補償方法を図面を参照して説明する。
【0042】
図4は、本発明に係る瞬時停電補償方法を説明するための一実施形態のフローチャートであり、図3の制御部30で行われることは説明済みである。
【0043】
図示したように、電力セル制御部24は、電力セル20に入力される入力電圧を確認して、基準値以下の入力電圧が電力セル20に入力されると(S41)、これは停電と判断して、これを制御部30に知らせる。
【0044】
従来の高圧インバータでは、このような状況が生じると、直ちにインバータが停止する。これは、負荷である電動機40の容量が、電力セル20のDCリンク部22のキャパシタの容量に比べて大きいため、制御ループが作動する前に低電圧トリップが生じるためである。
【0045】
本発明の制御部30は、このような低電圧トリップを防止するために、基準値以下の電源が入力される場合(S41)、即ち、瞬時停電が発生する場合、これと同時に回生手続きが始まるようにインバータ部23の出力周波数を減少させる(S42)。このような出力周波数の減少によって、停電初期に停電区間を制御できる回生エネルギーを得ることができる。この時、好ましくは出力周波数が、電動機40の実際速度より小さくなるように減少させる。
【0046】
以後、負荷(電動機40)の負荷量に適当な所定の減速勾配でインバータ部23の出力周波数を減少させる(S43)。電動機40の速度は、インバータ部23から出力する出力周波数よりスリップ周波数(slip frequency)だけ小さいため、これによって電動機40の速度もインバータ部23の出力周波数が減速勾配に比例して減速される。
【0047】
この時、電力セル制御部24は、継続的にDCリンク部22の電圧を確認して、これを制御部30に伝送する。これは過電圧トリップが発生しないようにするためである。
【0048】
即ち、回生量が多くてDCリンク部22の電圧が上昇する場合には(S44)、制御部30は減少させた出力周波数を電圧の増加分だけ増加してエネルギーを消費するようにする(S45)。
【0049】
以後、入力電圧が上昇して停電区間を抜けるように復電すると(S46)、従来のインバータでは既存の速度指令に復帰するように出力周波数を上昇させるが、本発明の制御部30は、電動機40の慣性が大きくて復電時にスリップが過度に広がって過電流トリップが発生するのを防止するために、復電時の出力周波数を維持する(S47)。
【0050】
即ち、本発明の制御部30は、復電モードでインバータの過電流限界値を越えないように所定時間復電時の出力周波数を維持する(S47)。出力周波数を維持する時間は、電動機40の負荷量に応じて予め決定されるのが好ましい。
【0051】
以後、制御部30は、電動機40が瞬時停電前の速度に復帰するように、設定された加速勾配で出力周波数が増加するようにする(S48)。この時の加速勾配は、ユーザによってあらかじめ設定される。これによって、電動機40の速度は、出力周波数の加速勾配と同じ勾配で増加して、瞬時停電前の速度に復帰することができる(S49)。
本発明の制御部30の瞬時停電補償シーケンスを、次のグラフを参照して説明するとより明確になる。
【0052】
図5は、本発明に係る瞬時停電補償方法を説明するための一実施形態グラフであり、停電発生時の出力周波数、電動機速度、入力電圧及び電動機のパワーの関係を示した一例示図である。図5のグラフを図4の各段階と対比して説明する。
【0053】
図示したように、入力電圧が一定値を維持しながらt1まで入力される。一般に、入力電圧は交流であるが、図5では実効値(rms)を示した。正常状態で、インバータ部23の出力周波数と電動機40の実際速度の差を「スリップ周波数」という。
【0054】
t1で入力電圧が基準値以下になると(S41)、制御部30は、停電と判断して、出力周波数を所定値だけ減少させる(S42)(A部分)。
【0055】
以後、復電時点のt2まで制御部30は、予め設定された減速勾配で出力周波数を減少させる(S43)。このような出力周波数の減少は、復電時点のt2まで繰り返される。
【0056】
t2で入力電圧が復帰して(S46)、復電された場合には、所定時間(t2からt4まで)復電時の出力周波数を維持する(S47)。所定時間が経過したt4では、設定された加速勾配で出力周波数が増加するようにし(S48)、t5で停電以前の状態に復帰する(S49)。以後、出力周波数は一定に維持されることが分かる。
【0057】
この時、t3時点は、インバータ部23の出力周波数と電動機40の実際速度が同じになる時点である。即ち、出力周波数が維持される時間は、インバータ部23の出力周波数と電動機40の実際の速度が同じになる時間以後と設定されてもよい。
【0058】
これをエネルギーの側面から説明する。t1で瞬時停電が始まると、電動機40のエネルギーは、インバータ側に回生されるため、エネルギーが減少する。この時、回復エネルギーが多いと、過電圧トリップが発生しうるため、電圧対周波数(Voltage to Frequency、以下、「V/F」という)比を減少しなければならない。
【0059】
t2で復電すると、t3までは入力電圧と回復エネルギーが同時にインバータ部23に供給されるため、t3までエネルギーは抑制される。
【0060】
図6は、従来のインバータの瞬時停電時入力電圧に対する電動機出力電流を示したグラフである。
【0061】
図示したように、電力セルに入力される入力電圧が16msec以上停電される場合、高圧インバータの出力電流が0となって、電動機が停止する。
【0062】
図7A及び図7Bは、本発明に係る瞬時停電補償方法によって高圧インバータの出力電流が補償されたことを説明するための一例示図であり、電動機40が4000V負荷量を有する場合に、電動機40が各々54Hz及び56Hzの周波数で動作する場合を示したものである。
【0063】
図7Aに示したように、停電時間が177msである場合にも、即ち、電力セル20に177msの間入力電圧が印加されない場合でも、高圧インバータの出力電流は安定的に停止せずに駆動し、電動機40で電流を出力していることが分かる。
【0064】
また、図7Bに示したように、停電時間が173msである場合にも、即ち、電力セル20に173msの間入力電圧が印加されない場合でも、高圧インバータの出力電流は安定的に停止せずに駆動し、電動機40で電流を出力していることが分かる。
【0065】
図8A及び図8Bは、本発明に係る瞬時停電補償方法によって高圧インバータの出力電流が補償されたことを説明するための一例示図であり、電動機40が3000V負荷量を有する場合に、電動機40が各々49Hz及び51Hzの周波数で動作している場合を示したものである。
【0066】
図8A及び図8Bに示したように、各々停電時間が130msの場合でも、即ち、電力セル20に130msの間入力電圧が印加されない場合でも、高圧インバータの出力電流は安定的に停止せずに駆動し、電動機40で電流を出力していることが分かる。
【0067】
本発明の補償方法は、複数の電力セルを同時に制御して、従来のCHB方式の高圧インバータでは不可能であった16ms以上の瞬時停電に対応することができる。
【0068】
前述の本発明の補償方法は、インバータが瞬間的に停止することによって生じる被害を防ぎ、これによって製品工程の信頼性を確保して製品の品質向上することを目的とする。
【0069】
以上、代表的な実施形態を持って本発明について詳細に説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、前述の実施形態に対して本発明の範囲から逸脱しない限度内で多様な変形ができることを理解するだろう。従って、本発明の権利範囲は説明された実施形態に限定されて定まってはならず、後述する特許請求の範囲だけでなくこの特許請求の範囲と均等物等によって定まらなければならない。
【符号の説明】
【0070】
10 移相変圧器
20 電力セル
21 整流部
22 DCリンク部
23 インバータ部
24 電力セル制御部
30 制御部
40 電動機
100 電源
200 インバータ
210 電解コンデンサ
300 負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列連結されて電動機に供給する一つの相電圧を構成する複数の電力セルを備える高圧インバータの瞬時停電補償方法において、
前記複数の電力セルの入力電圧が基準値以下の場合、該当時点で前記複数の電力セルの出力周波数を所定値だけ減少させる段階、
所定の減速勾配で出力周波数を減少させる段階、及び
入力電圧が復帰する場合、復帰時の出力周波数を所定時間だけ維持する段階を含むことを特徴とする、瞬時停電補償方法。
【請求項2】
所定の加速勾配で出力周波数を増加させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の瞬時停電補償方法。
【請求項3】
前記出力周波数を増加させる段階は、瞬時停電以前の出力周波数まで出力周波数を増加させることを特徴とする、請求項2に記載の瞬時停電補償方法。
【請求項4】
前記複数の電力セルの直流(DC)リンクの電圧が上昇する場合、出力周波数を電圧の増加分だけ増加させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の瞬時停電補償方法。
【請求項5】
前記複数の電力セルの出力周波数を所定値だけ減少させる段階は、前記電動機の速度より小さくなるように出力周波数を減少させることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の瞬時停電補償方法。
【請求項6】
前記出力周波数の減少幅は、スリップ周波数より大きいことを特徴とする、請求項5に記載の瞬時停電補償方法。
【請求項7】
前記復帰時出力周波数を所定時間だけ維持する段階は、前記電動機の速度が出力周波数より小さくなるように出力周波数を維持することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の瞬時停電補償方法。
【請求項8】
直列連結されて電動機に供給する一つの相電圧を構成する複数の電力セルを備える高圧インバータの瞬時停電補償方法において、
前記複数の電力セルの入力電圧が基準値以下となってから復電する場合、復電時の出力周波数を所定時間維持することを特徴とする、瞬時停電補償方法。
【請求項9】
直列連結されて電動機に供給する一つの相電圧を構成する複数の電力セル、及び
前記複数の電力セルとネットワークを介して各々連結され、前記複数の電力セルの入力電圧が基準値以下の場合、該当時点で前記複数の電力セルの出力周波数を所定値だけ減少させ、所定の減速勾配で出力周波数を減少させ、入力電圧が復帰する場合、復帰時の出力周波数を所定時間だけ維持する制御部を含むことを特徴とする、高圧インバータシステム。
【請求項10】
前記制御部は、出力周波数を所定時間だけ維持した後、所定の加速勾配で出力周波数を増加させることを特徴とする、請求項9に記載の高圧インバータシステム。
【請求項11】
前記制御部は、瞬時停電以前の出力周波数まで出力周波数を増加させることを特徴とする、請求項10に記載の高圧インバータシステム。
【請求項12】
前記制御部は、所定の減速勾配で出力周波数を減少する間に、前記複数の電力セルのDCリンクの電圧が上昇する場合、出力周波数を電圧の増加分だけ増加させることを特徴とする、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の高圧インバータシステム。
【請求項13】
前記制御部は、前記複数の電力セルの出力周波数を前記電動機の速度より小さくなるように減少することを特徴とする、請求項9乃至12のいずれか一項に記載の高圧インバータシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【公開番号】特開2013−74792(P2013−74792A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−205900(P2012−205900)
【出願日】平成24年9月19日(2012.9.19)
【出願人】(593121379)エルエス産電株式会社 (221)
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO., LTD
【Fターム(参考)】