説明

高眼圧治療のための眼科組成物

本発明は緑内障および患者の目の眼内圧上昇に導く他の状態の治療における強力なカリウムチャンネルブロッカーまたはその配合物の使用に関する。本発明はまた、哺乳類特にヒトの目に神経保護効果を与えるためのこのような化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景技術)
緑内障は、眼内圧が上昇して正常な眼機能ができなくなる変性眼疾患である。その結果、視神経乳頭の損傷が生じて回復不能な視機能喪失に至ることもある。治療しないならば、緑内障は最終的に完全失明につながる。高眼圧、すなわち、視神経乳頭の損傷または特有の緑内障性視野欠損を伴わない眼内圧上昇状態は緑内障発症の最も初期の段階を表すだけであると現在では多くの眼科医が考えている。
【0002】
緑内障および眼内圧上昇を治療するためにいくつかの治療方法が現在使用されている(例えば、ピロカルピン、ベータブロッカー(チモロールなど)、炭酸脱水素酵素阻害薬(ドルゾラミド、ブリンゾラミドなど)およびプロスタグランジン(ラタノプロストなど))。しかしながらこれらの薬剤の薬効および副作用プロフィルは理想的ではない。最近ではカリウムチャンネルブロッカーが目の眼内圧を低下させることが知見され、従って高眼圧およびそれに関連した変性眼状態のもうひとつの治療方法を提供する。カリウムチャンネルの遮断は房水分泌を抑制し、ある種の条件下で平滑筋収縮を増加させ、IOPを低下させ視神経保護効果を与えることが期待される。(参照:米国特許5,573,758および5,925,342;Mooreら,Invest.Ophthalmol.Vis.Sci 38,1997;WO89/10757,WO94/28900およびWO96/33719)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許5,573,758
【特許文献2】米国特許5,925,342
【特許文献3】WO89/10757
【特許文献4】WO94/28900
【特許文献5】WO96/33719
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Mooreら,Invest.Ophthalmol.Vis.Sci 38,1997
【発明の概要】
【0005】
本発明は、緑内障および患者の目の眼内圧上昇に関連した他の状態を治療するためのカリウムチャンネルブロッカーとして有望なナフタレン誘導体またはその配合物の使用に関する。本発明はまた、哺乳動物種、特にヒトの目に神経保護効果を与えるためのこのような化合物の使用に関する。より特定的には本発明は、構造式I
【0006】
【化1】

を有している新規なナフタレン誘導体または医薬的に許容される塩、リン酸エステルを含むエステル、鏡像異性体、ジアステレオマーもしくはこれらの混合物を使用する緑内障および/または高眼圧(眼内圧上昇)の治療に関する。
【0007】
上記の式中の、
RおよびRyは独立に、水素またはC1−6アルキルを表し;
は、水素またはC1−6アルキル、CF、(CH3−10シクロアルキル、(CH6−10アリール、−(CH5−10ヘテロアリール、C1−6アルコキシ、OH、CORを表し、これらのアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびアルコキシは、Rから選択された1から3個の置換基で場合により置換されており;
Qは、N、CRyまたはOを表し、ここにRはQがOのときには存在せず;
は、水素、C1−10アルキル、C2−10ヒドロキシルアルキル、C1−6アルキルSR、−(CHO(CHOR、(CHOR、−(CH(CHR(CH1−6アルコキシ、−(CH(CHR(CH3−8シクロアルキル、−(CH(CHR(CH3−10ヘテロシクリル、−(CH5−10ヘテロアリール、−N(R)、−COORまたは−(CH(CHR(CH6−10アリールを表し、これらのアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、Rから選択された1から3個の置換基で場合により置換されており;
は、水素、C1−10アルキル、C2−6アルケニル、−(CH(CHR(CH3−8シクロアルキル、−(CH(CHR(CH3−10ヘテロシクリル、−(CH(CHR(CH5−10ヘテロアリール、−(CH(CHR(CHCOOR、−(CH(CHR(CH6−10アリール、−(CH(CHR(CHNHR、−(CH(CHR(CHN(R)、−(CH(CHR(CHN(R、−(CH(CHR(CHNHCOOR、−(CH(CHR(CHN(R)COR、−(CH(CHR(CHN(R)COR、−(CH(CHR(CHNHCOR、−(CH(CHR(CHCONH(R)、アリール、−(CH(CHR(CHOR、−(CHC(R(CHOR、CF、−(CH(CHR(CHSOR、−(CH(CHR(CHSON(R)、−(CH(CHR(CHCON(R)、−(CH(CHR(CHCONHC(R)、−(CHCONHC(R)COR、−(CH(CHR(CHCOR、ニトロ、シアノまたはハロゲンを表し、これらのアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、Rから選択された1から3個の置換基で場合により置換されており;
あるいは、QがNのとき、RおよびRは介在するN原子と共に、1から2個のO、S、C(O)またはNR原子によって場合により中断されまた1から4個の二重結合を場合により有しておりまたRから選択された1から3個の置換基で場合により置換された4から10員環の複素環を形成しており;
あるいは、QがCRYに等しいとき、RおよびRは介在するCRYと共に、1から2個のO、S、C(O)またはNR原子で場合により中断されまた1から5個の二重結合を場合により有しておりまたRから選択された1から3個の置換基で場合により置換された4から10員環の炭素環式または複素環式の芳香環または融合環を形成しており;
は、水素、C1−6アルコキシ、ハロゲン、シアノ、OH、C1−6アルキル、COOR、SOH、C1−6アルキルカルボニル、S(O)Ry、−O(CHN(R)、−O(CHCOR、−OPO(OH)、CF、−N(R)、ニトロまたはC1−6アルキルアミノを表し;
は、水素、C1−6アルキル、−(CHCOORまたは−(CHN(R)を表し;
は、−(CH3−8シクロアルキル、−(CH3−10ヘテロシクリル、C1−6アルコキシまたは−(CH5−10ヘテロアリール、−(CH6−10アリールを表し、これらのヘテロシクリル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、Rから選択された1から3個の基で場合により置換されており;
は、F、Cl、Br、I、CF、N(R)、NO、CN、−(CHCOR、−(CHCONHR、−(CHCON(R、−O(CHCOOR、−NH(CHOR、−COOR、−OCF、−O−、−NHCOR、−SOR、−SONR、−SR、(C−Cアルキル)O−、−(CHO(CHOR、−(CH1−6アルコキシ、(アリール)O−、−OH、(C−Cアルキル)S(O)m−、HN−C(NH)−、(C−Cアルキル)C(O)−、(C−Cアルキル)OC(O)NH−、−(C−Cアルキル)NR(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−C)O(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−Cアルキル)S(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−Cアルキル)−C3−10ヘテロシクリル−R、−(CH−K−C(=K)N(R)、−(C2−6アルケニル)NR(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)O(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)S(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)−C3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)−K−C(=K)N(R)、−(CHSOR、−(CHSOH、−(CHPO(OR)、−(CHOPO(OR)、シクロヘキシル、シクロペンチル、モルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニル、チオフェニル、フェニル、ピリジル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チエニル、フリル、イソチアゾリル、C2−6アルケニルおよびC1−10アルキルを表し、これらのアルキル、アルケニル、アルコキシ,フェニル、ピリジル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チエニル、フリルおよびイソチアゾリルは、C−CアルキルおよびCOORから選択された1から3個の基で場合により置換されており;
Kは独立にCH、CHまたはNHを表し;
は、H、C1−6アルキル、−C(O)C1−6アルキル、−C(O)OC1−6アルキル、−SON(R)、−SO1−6アルキル、−SO6−10アリール、NO、CNまたは−C(O)N(R)を表し;
は、C1−6アルキル、−COOR、−SOR、CN、(CHOR、C(O)O(CHC(O)R、−OPO(OH)、−(CH6−10アリールまたは−(CH5−10ヘテロアリールを表し;
は、水素、C1−6アルキルまたは−(CH6−10アリールを表し;
mは0から3であり;
nは0から3であり;
qは0から2であり;
sは0から2である。
【0008】
発明の上記のおよびその他の目的は発明を全体として検討することによって理解されるであろう。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明は式Iの新規なカリウムチャンネルブロッカーを目的とする。本発明はまた、上記に記載の式Iのカリウムチャンネルブロッカーと医薬的に許容される担体とを含有する組成物の投与、好ましくは局所または眼内投与によって高い眼内圧を低下させるかまたは緑内障を治療する方法に関する。本発明はまた、緑内障、高眼圧、黄斑変性などのような眼疾患の治療用医薬を製造するための式Iの化合物の使用に関する。
【0010】
本発明の1つの実施態様は、QがNでありすべての他の可変要素が原記載通りであるときに得られる。
【0011】
本発明の別の実施態様は、QがCHまたはCCHでありすべての他の可変要素が原記載通りであるときに得られる。
【0012】
また別の実施態様においては、RがH、C1−6アルキル、−C(O)C1−6アルキルおよび−C(O)N(R)から選択される。
【0013】
本発明の別の実施態様は、QRがジアルキルアミンまたはヒドロキシルアミンでありすべての他の可変要素が原記載通りであるときに得られる。
【0014】
本発明のさらに別の実施態様は、RがC1−6アルキルであり、QRがジアルキルアミンまたはヒドロキシルジアルキルアミンでありすべての他の可変要素が原記載通りであるときに得られる。
【0015】
本発明のまた別の実施態様は、Rが−C(O)RでありQRがジアルキルアミンまたはヒドロキシルジアルキルアミンであり、すべての他の可変要素が原記載通りであるときに得られる。本発明の下位概念の実施態様は、Rが1から3個のR基で場合により置換されたフェニルであるときに得られる。
【0016】
本発明のまた別の実施態様は、Rが水素またはC1−6アルキルであり、すべての他の可変要素が原記載通りであるときに得られる。
【0017】
本発明の別の実施態様は、RがF、Cl、Br、I、CF、N(R)、NO、CN、−CONHR、−CON(R、−O(CHCOOR、−NH(CHOR、−COOR、−OCF、−NHCOR、−SOR、−SONR、−SR、(C−Cアルキル)O−、−(CHO(CHOR、−(CH1−6アルコキシ、(アリール)O−、−OH、(C−Cアルキル)S(O)−、HN−C(NH)−、(C−Cアルキル)C(O)−、(C−Cアルキル)OC(O)NH−、−(C−Cアルキル)NR(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(CH−K−C(=K)N(R)、−(C2−6アルケニル)NR(CH3−10ヘテロシクリル−R,−(C2−6アルケニル)−K−C(=K)N(R)、−(CHSOR、−(CHSOH、−(CHPO(OR)、−(CHOPO(OR)、C2−6アルケニルおよびC−C10アルキルから選択され、これらのアルキルおよびアルケニルは、C−CアルキルおよびCOORから選択された1から3個の置換基で場合により置換されている。
【0018】
本発明のまた別の実施態様は、QがNでありRおよびRが介在するN原子と共に、場合により1から2個のO、S、C(O)またはNR原子によって割込まれまた場合により1から4個の二重結合を有しておりまたRから選択された1から3個の基によって場合により置換された4から10員環の複素環式炭素環を形成しているときに得られる。このような複素環基の例は
【0019】
【化2】

などである。
【0020】
本発明のまた別の実施態様は、QがCRyに等しくRおよびRが介在するCRy原子と共に、1から2個のO、S、C(O)またはNR原子によって場合により割込まれまた場合により1から5個の二重結合を有しておりまたRから選択された1から3個の基によって場合により置換された4から10員環の炭素環式または複素環式の芳香環または融合環を形成しているときに得られる。このような基の例は、フェニル、ピリジニル、アダマンチル、[1,1,1]ビシクロペンチルなどである。
【0021】
本発明の別の実施態様は、構造式II
【0022】
【化3】

によって表されるものまたは医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマーもしくはこれらの混合物であり、式中の
QはNであり;
は、水素、または、COR、C1−6アルキル、(CH3−10シクロアルキル、(CH6−10アリール、−(CH5−10ヘテロシクリル、C1−6アルコキシを表し、これらのアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびアルコキシは、Rから選択された1から3個の基で場合により置換されており;
は、水素、C1−10アルキル、C2−10ヒドロキシルアルキル、(CHOR、(CH(CHR(CH1−6アルコキシ、−(CH(CHR(CH3−8シクロアルキル、−(CH(CHR(CH3−10ヘテロシクリル、−(CH5−10ヘテロアリールまたは−(CH(CHR(CH6−10アリールを表し、これらのアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、Rから選択された1から3個の基で場合により置換されており;
は、水素、C1−10アルキル、−(CH(CHR(CH3−8シクロアルキル、−(CH(CHR(CH3−10ヘテロシクリル、−(CH(CHR(CH5−10ヘテロアリールまたは−(CH(CHR(CH6−10アリール、−(CHOPO(OR)を表し、これらのアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは1から3個のR基で場合により置換されており;他のすべての可変要素はこの文に記載の通りである。
【0023】
式IIの化合物の下位概念の実施態様は、Rが1から3個のR基で場合により置換されたCO−C1−6アルキルであるときに得られる。C1−6アルキルの例は、t−ブチル、エチル、イソプロピル、メチルなどである。式IIの化合物の下位概念の別の実施態様は、Rが水素であるときに得られる。式IIの化合物の下位概念のまた別の実施態様は、RがCORであり、Rが1から3個のR基で場合により置換された(CH6−10アリールであるときに得られる。式IIの化合物の下位概念のさらに別の実施態様は、Rが1から3個のR基で場合により置換された(CH3−10シクロアルキルであるときに得られる。
【0024】
式IIの化合物の下位概念の別の実施態様は、RおよびRが独立に、C1−10アルキル、−(CH(CHR(CH6−10アリール、(CH(CHR(CH3−10ヘテロシクリルであるときに得られる。これらのアルキル、ヘテロシクリル、アリールは1から3個のR基で場合により置換されている。
【0025】
式IIの化合物の下位概念の別の実施態様は、RおよびRが独立に、水素、C1−10アルキルであるときに得られる。このアルキルは、Rから選択された1から3個の基で場合により置換されている。
【0026】
本発明のまた別の実施態様は、構造式III
【0027】
【化4】

の化合物によって表される。
【0028】
式IIの化合物の下位概念の別の実施態様は、RおよびRが独立に、C1−10アルキル、(CH3−10シクロアルキル、(CH(CHR(CH6−10アリール、(CH(CHR(CH3−10ヘテロシクリルであるときに得られる。これらのアルキル,シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびアリールは場合により、Rから選択された1から3個の基で置換されている。
【0029】
式IIの化合物の下位概念の実施態様は、RおよびRが独立に、水素、C1−10アルキルであるときに得られる。このアルキルは、Rから選択された1から3個の基で場合により置換されている。本発明の1つの下位概念の実施態様は、RおよびRの双方が1から3個のR基で場合により置換されたC1−10アルキルであるときに得られる。
【0030】
本発明に使用される化合物の例は:
2−(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N,N−ジプロピルアセタミド;
2−(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N,N−ジブチルアセタミド;
2−(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N−(シクロプロピルメチル)−N−プロピルアセタミド;
2−(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N−(シクロヘキシル)−N−エチルアセタミド;
2−(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N−エチル−N−ブチルアセタミド;
2−(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N,N−ジイソブチルアセタミド;
2−(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N,N−ビス(3−メチルブチル)アセタミド;
2−(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N−エチル−N−(3−メチルブチル)アセタミド;
2−(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N−(3,3−ジメチルブチル)−N−エチルアセタミド;
2−[7−メトキシ−3−(3−メチルブタノイル)−1−ナフチル]−N,N−ビス(3−メチルブチル)アセタミド;
2−(4−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N,N−ビス(3−メチルブチル)アセタミド;
2−(1−ベンゾイル−7−メトキシ−2−ナフチル)−N,N−ジブチルアセタミド;
2−(2−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N,N−ジブチルアセタミド;
4−ベンゾイル−N−エチル−7−メトキシ−N−1,3−チアゾール−2−イル−2−ナフタミド;
2−(4−ベンゾイル−7−メトキシ−2−ナフチル)−N−エチル−N−1,3−チアゾール−2−イルアセタミド;
または、医薬的に許容される塩、リン酸エステルを含むエステル、鏡像異性体、ジアステレオマーもしくはこれらの混合物である。
【0031】
この文中では否定の記述がない限り以下に定義の用語を使用して本発明を記載する。
【0032】
本発明の化合物は非対称中心、キラル軸およびキラル平面を有することができ、ラセミ化合物、ラセミ混合物および個別のジアステレオマーとして存在でき、光学異性体を含めた可能なすべての異性体が本発明に包含される。(参照:E.L.Eliel and S.H.Wilen Stereochemistry of Carbon Compounds(John Wiley and Sons、New York 1994)、特にページ1119−1190)。
【0033】
いずれかの成分中にいずれかの可変要素(例えばアリール、複素環、R、Rなど)が2回以上出現するとき、出現毎のその定義は他のどの出現からも独立している。また、置換基または可変要素の組合せは、このような組合せが安定な化合物を与えるときにのみ許容される。
【0034】
が−O−であり、炭素に付着しているときはカルボニル基と呼び、窒素(例えばピリジル基の窒素原子)またはイオウ原子に付着しているときはそれぞれN−オキシドおよびスルホキシド基と呼ぶ。
【0035】
“アルキル”という用語は、否定の定義がないならば、1から10個の炭素原子を含有する一価アルカン(炭化水素)由来のラジカルを表す。アルキル基は直鎖状、分枝状または環状であり得る。好ましいアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、シクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを含む。アルキル基がアルキル基で置換されているという表現は“分枝状アルキル基”と互換的に使用されている。
【0036】
シクロアルキルは、否定の定義がないならば、炭素原子間に交互または共鳴二重結合が存在しない3から15個の炭素原子を含有するアルキルの一種である。シクロアルキルは1から4個の環を含有でき、これらの環は融合できる。このようなシクロアルキル要素の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルを非限定的に含む。
【0037】
アルケニルはC−Cアルケニルである。
【0038】
アルコキシは、指定した数の炭素原子が酸素ブリッジを介して結合したアルキルを表し、このアルキル基はこの文中に記載の基で場合により置換されている。これらの基は、指定した長さの直鎖状または分枝状配置の基であり、炭素原子数2以上の長さのとき、二重結合または三重結合を含み得る。このようなアルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tertブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ヘキソキシ、イソヘキソキシ、アリルオキシ、プロパルギルオキシなどである。
【0039】
ハロゲン(ハロ)は塩素、フッ素、ヨウ素または臭素を表す。
【0040】
アリールは、芳香環例えばフェニル、置換フェニルなど、および、融合環例えばナフチル、フェナントレニルなどを表す。従ってアリール基は、少なくとも6原子を有する少なくとも1つの環を含有し、このような環が5個まで存在し、22個以下の原子を含有し、隣合う炭素原子または適当なヘテロ原子間に交互(共鳴)二重結合が存在する。アリール基の例は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリルまたはアセナフチルおよびフェナントレニルであり、好ましくはフェニル、ナフチルまたはフェナントレニルである。アリール基もまた定義通りに置換され得る。好ましい置換アリールはフェニルおよびナフチルを含む。
【0041】
この文中に使用したヘテロシクリルまたは複素環式という用語は、炭素原子と、N、OおよびSから成るグループから選択された1から4個のヘテロ原子とから構成された飽和または不飽和の安定な3から7員環の単環式または安定な8から11員環の二環式の複素環式環を表し、また、上記に定義の複素環式環のいずれかがベンゼン環に融合した二環式基を含む。複素環式環は、安定な構造を形成し得るいずれかのヘテロ原子または炭素原子に付着し得る。融合複素環式環系は、炭素環を含んでもよく、また複素環式環を1つだけ含む必要がある。複素環または複素環式という用語は、ヘテロアリール部分を含む。このような複素環式要素の例は、アゼピニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンズオキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、ジヒドロピロリル、1,3−ジオキソラニル、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアゾリル、チアゾリニル、チエノフリル、チエノチエニルおよびチエニルを非限定的に含む。好ましくは複素環が、2−アゼピノニル、ベンズイミダゾリル、2−ジアザピノニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロピロリル、イミダゾリル、2−イミダゾリジノニル、インドリル、イソキノリニル、モルホリニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピロリジニル、2−ピペリジノニル、2−ピリミジノニル、2−ピロリジノニル、キノリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニルおよびチエニルから選択される。
【0042】
“ヘテロ原子”という用語は独立基準で選択されたO、SまたはNを意味する。
【0043】
“ヘテロアリール”という用語は、少なくとも1つのヘテロ原子O、SまたはNを含有し、炭素原子または窒素原子が付着点であり、1または2個の追加の炭素原子がOまたはSから選択されたヘテロ原子によって場合により置換され、1から3個の追加の炭素原子が窒素ヘテロ原子によって場合により置換されている、5から6個の環原子を有している単環式芳香族炭化水素基または8から10個の原子を有している二環式芳香族基を表し、このヘテロアリールは場合により、この文中に記載のように置換されている。このような複素環式要素は、ベンズイミダゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンズオキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、フリル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チエノフリル、チエノチエニル、チエニルおよびトリアゾリルを非限定的に含む。追加の窒素原子が存在して第一の窒素および酸素またはイオウと共に例えばチアジアゾールを形成してもよい。
【0044】
さらに、この文中に開示した化合物は互変異性体として存在でき、一方の互変異性構造だけが示されているときであっても双方の互変異性形態が本発明の範囲に包含される。例えば、以下の化合物Aに対する特許請求の範囲は互変異性構造Bを含意すると理解され、その逆の場合およびこれらの混合物についても同様である。
【0045】
【化5】

【0046】
本発明はまた、式Iの化合物の1つを1種以上の他の薬剤と組合せて要治療患者に投与することによって高眼圧または緑内障を治療する組成物および方法に関する。組合せできる薬剤の例は、チモロール、ベタキソロール、レボベタキソロール、カルテオロール、レボブノロールのようなβアドレナリン遮断薬、エピネフリン、イオピジン、ブリモニジン、クロニジン、パラ−アミノクロニジンのような副交感神経刺激薬、ドルゾラミド、アセタゾラミド、メタゾラミドまたはブリンゾラミドのような炭酸脱水素酵素阻害薬、EP4アゴニスト(例えばWO 02/24647、WO 02/42268、EP 1114816、WO 01/46140およびWO 01 /72268に開示されたもの)、ラタノプロスト、トラバプロスト、ウノプロストン、レスキュラ、S1033(US特許5,889,052;5,296,504;5,422,368;および5,151,444に開示された化合物)のようなプロスタグランジン;ルミガンおよびUS特許5,352,708に開示された化合物のような降圧リピド;US特許4,690,931に開示された神経保護薬、特にWO 94/13275に開示されたようなエリプロジルおよびR−エリプロジル例えばメマンチン;PCT/US00/31247に開示された5−HT2受容体のアゴニスト、特に、1−(2−アミノプロピル)−3−メチル−1H−イミダゾール−6−オールフマレートおよび2−(3−クロロ−6−メトキシ−インダゾール−1−イル)−1−メチル−エチルアミンである。降圧リピド(塩基性プロスタグランジン構造のα鎖リンクのカルボン酸基が電気化学的に中性の置換基で置換されている)の例は、カルボン酸基がC1−6アルコキシ基例えばOCHで置換されているもの(PGF2a 1−OCH)またはアンマリア(ammalia)基で置換されているもの(PGF2a 1−OH)である。
【0047】
好ましいカリウムチャンネルブロッカーは、カルシウム依存性カリウムチャンネルブロッカーである。より好ましいカリウムチャンネルブロッカーは、高コンダクタンスカルシウム依存性カリウム(Maxi−K)チャンネルブロッカーである。Maxi−Kチャンネルはニューロン、平滑筋および上皮組織に多く存在するイオンチャンネルのファミリーであり、ゲート開閉が膜電位および細胞内Ca2+に依存する。
【0048】
本発明は、Maxi−Kチャンネルは遮断されたときに溶質およびHOの純流出量を抑制することによって房水産生を抑制し従ってIOPを降下させるという知見に基づく。この知見は、Maxi−Kチャンネルブロッカーが黄斑浮腫および黄斑変性のような他の眼機能不全を治療するために有用であることを示唆する。IOPの降下は網膜および視神経への血流を促進することが知られている。従って、本発明の化合物は黄斑浮腫および/または黄斑変性を治療するために有用である。
【0049】
IOPを降下させるMaxi−Kチャンネルブロッカーは神経保護効果を与えるために有用であると考えられる。これらのブロッカーはまた、IOPを降下させることによって網膜および視神経乳頭の血流速度を増加させ網膜および視神経の酸素を増加させ、これらが相俟って視神経の健康に役立つ。その結果、本発明はさらに、網膜および視神経乳頭の血流速度を増加させ、網膜および視神経の酸素圧を増加させ、また、神経保護効果またはこれらの組合せを与える方法に関する。
【0050】
数多くの市販薬がカリウムチャンネルアンタゴニストとして機能する。これらのうちでもグリブリド、グリピチドおよびトルブタミドなどの化合物が最も重要である。これらのカリウムチャンネルアンタゴニストは糖尿病治療薬として有用である。本発明の化合物は糖尿病を治療するために1つ以上のこれらの化合物と組合せることができる。
【0051】
カリウムチャンネルアンタゴニストはまた、クラス3の不整脈治療薬としておよびヒトの急性梗塞を治療するために有効である。アパミン、イベリオトキシン、シャリブドトキシン、ノキシュストキシン、カリオトキシン、デンドロトキシン類、マスト細胞脱顆粒(MCD)ペプチドおよびβ−ブンガロトキシン(β−BTX)を含む数多くの天然の非哺乳類毒素がカリウムチャンネルを遮断することが知られている。本発明の化合物は不整脈を治療するために1種以上のこれらの化合物と組合せることができる。
【0052】
うつ病は神経伝達物質の放出減少に関連する。現用のうつ病治療薬は、神経伝達物質吸収ブロッカーを含み、また、神経伝達物質の減成に関与し神経伝達物質の寿命を延長させる作用をもつ酵素のインヒビターを含む。
【0053】
アルツハイマー病もまた神経伝達物質の放出減少を特徴とする。アルツハイマー病を治療するために3つの薬剤クラス、すなわち、抗コリンエステラーゼ薬(例えばフィゾスチグミン(エセリン)およびタクリン(テトラヒドロミノクリジン))のようなコリン作動性相乗因子;ニューロン代謝に作用するがほかの作用はほとんどない精神向性薬(例えば、ピラセタム、オキシラセタム);メシル酸エルゴロイドとカルシウムチャンネル遮断薬との混合物のような脳脈管系に作用する薬剤例えばニモジピンが検討中である。ある種のアルツハイマー病患者では、脳ドパミンおよびノルエピネフリンを増加するモノアミンオキシダーゼB阻害薬であるセレジリンがゆるやかな症状改善を生じさせたと報告されている。アルミニウムキレート化剤は、アルツハイマー病の原因がアルミニウム毒性にあると考える人々の注目を浴びている。神経遮断薬および不安寛解薬を含む行動に作用する薬剤が使用されている。穏やかな精神安定薬である不安寛解薬は神経向性薬ほどの効果はない。本発明はカリウムチャンネルアンタゴニストとして有用な新規な化合物に関する。
【0054】
本発明の範囲内の化合物はカリウムチャンネルアンタゴニスト活性を示し、従ってカリウムチャンネル機能不全に付随する障害の治療に有用である。アルツハイマー病、記憶減退またはうつ病のような多くの認識障害にはセロトニン、ドパミンまたはアセチルコリンなどのような神経伝達物質の放出増進が有効であろう。Maxi−Kチャンネルの遮断は細胞脱分極を維持し従ってこれらの生体神経伝達物質の分泌を増進する。
【0055】
本発明の化合物は、フィゾスチグミン(エセリン)およびタクリン(テトラヒドロアミノクリジン)のような抗コリンエステラーゼ薬、ピラセタム、オキシラセタム、メシル酸エルゴロイドのような精神向性薬、ニモジピンのような選択的カルシウムチャンネルブロッカー、または、セレジリンのようなモノアミンオキシダーゼB阻害薬と組合せてアルツハイマー病の治療に使用できる。本発明の化合物はまた、アパミン、イベリオトキシン、シャリブドトキシン、ノキシュストキシン、カリオトキシン、デンドロトキシン類、マスト細胞脱顆粒(MCD)ペプチド、β−ブンガロトキシン(β−BTX)またはそれらの組合せと共に不整脈の治療に使用できる。本発明の化合物はさらに、グリブリド、グリピチド、トルブタミンまたはそれらの組合せと共に糖尿病の治療に使用できる。
【0056】
この文中の実施例は特許請求の範囲に記載の発明を例示するものであって限定するものではない。特許請求の範囲に記載の化合物のおのおのは、カリウムチャンネルアンタゴニストであり従って最大量の神経伝達物質が放出されるように細胞を脱分極状態に維持することが望まれる上記のような神経系障害に有用である。本発明で製造された化合物は、ヒトを含む哺乳類に投与されてカリウムチャンネルを効果的に遮断する組成物を製造するために、医薬的に許容される公知の適当な賦形剤に容易に配合できる。
【0057】
医薬として使用するためには、式Iの化合物の塩が医薬的に許容される塩である。しかしながら本発明による化合物またはこれらの医薬的に許容される塩の製造には他の塩も有用である。本発明の化合物が酸性であるとき、適切な“医薬的に許容される塩”は、無機塩基および有機塩基を含む医薬的に許容される無毒性塩基から製造される塩を表す。無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩を含む。アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウムの塩が特に好ましい。医薬的に許容される有機の無毒性塩基から誘導される塩は、第一級、第二級および第三級アミン、天然産生置換アミンを含む置換アミン、環状アミンの塩、ならびに、塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどを含む。
【0058】
本発明の化合物が塩基性であるとき、塩は、無機および有機の酸を含む医薬的に許容される無毒性酸から製造され得る。このような酸は、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコ酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などを含む。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸が特に好ましい。
【0059】
上記の医薬的に許容される塩およびその他の典型的な医薬的に許容される塩の製造は、Bergら,“Pharmaceutical Salts,”J.Pharm.Sci.,1977:66:1−19により詳細に記載されている。
【0060】
この文中に使用した“組成物”という用語は、特定した成分を特定した量で含む生成物および特定した量の特定成分の組合せから直接または間接に得られる生成物を含む。
【0061】
本発明による化合物をヒト対象に投与するとき、1日用量は医師の処方によって決定されるのが普通であり、投薬量は一般に、個々の患者の年齢、体重、性別および応答ならびに患者の症状の重篤度に従って増減される。
【0062】
使用されるMaxi−Kチャンネルブロッカーは治療有効量で静脈内、皮下、局所、経皮、非経口または当業者に知られている他のいずれかの方法によって投与できる。
【0063】
眼科用医薬組成物は、溶液、懸濁液、軟膏、クリームの形態または固体インサートとして目への局所投与のために好ましく適合される。この化合物の眼科用配合物は、0.01ppmから1%、より特定的には0.1ppmから1%の医薬を含有し得る。眼内圧の降下、緑内障の治療、血流速度または酸素圧の増加に有効な用量であるならば、例えば約10%というもっと多い投薬量またはもっと少ない投薬量を使用することもできる。1回の用量として1ngから500ug、好ましくは1ngから500ugの化合物をヒトの目に適用できる。
【0064】
この化合物を含有する医薬製剤は、無毒性有機医薬担体または無毒性無機医薬担体に簡便に混合できる。医薬的に許容される担体の代表は例えば、水または低級アルカノールもしくはアラルカノールのような水混和性溶媒と水との混合物、植物油、ポリアルキレングリコール、石油基剤ゼリー、エチルセルロース、エチルオレエート、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、イソプロピルミリステートおよび他の慣用の許容される担体である。医薬製剤はまた、乳化剤、保存剤、湿潤剤、増粘剤などのような無毒性補助物質、例えば、ポリエチレングリコール200、300、400および600、カルボワックス1,000、1,500、4,000、6,000および10,000、抗菌成分例えば第四級アンモニウム化合物、低温滅菌性をもつことが判っており使用しても無害なフェニル水銀塩、チメロサール、メチルおよびプロピルパラベン、ベンジルアルコール、フェニルエタノール、緩衝用成分例えばホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グルコネートバッファ、他の慣用成分例えばソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミン、オレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミチレート、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、モノチオグリセロール、チオソルビトール、エチレンジアミン酒石酸などを含有し得る。さらに、慣用のリン酸塩バッファビヒクル系、等張性ホウ酸ビヒクル、等張性塩化ナトリウムビヒクル、等張性ホウ酸ナトリウムビヒクルなどを含む適当な眼科用ビヒクルをこの目的に適う担持媒体として使用できる。医薬製剤はまた、微粒子配合物の形態でもよい。医薬製剤はまた、固体インサートの形態でもよい。例えば、固体水溶性ポリマーを医薬担体として使用し得る。インサートを形成するために使用されるポリマーはいかなる水溶性無毒性ポリマーでもよく、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、(ヒドロキシ低級アルキルセルロース)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース誘導体;ポリアクリル酸塩、エチルアクリレート、ポリアクリルアミドのようなアクリレート類;ゼラチン、アルギン酸塩、ペクチン、トラガカントガム、カラヤガム、コンドラス(chondrus)、寒天、アラビアガムのような天然産物;酢酸デンプン、ヒドロキシメチルデンプンエーテル、ヒドロキシプロピルデンプンのようなデンプン誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、中和カルボポルおよびキサンタンガム、ジェラン(gellen)ガムのような他の合成誘導体、ならびに、これらのポリマーの混合物などである。
【0065】
本発明の配合物の適当な投与対象は、霊長類、ヒトおよび他の動物、特にヒトならびにネコおよびイヌのような家で飼われている動物を含む。
【0066】
医薬製剤は、無毒性補助物質、例えば、チメロサール、ベンズアルコニウムクロリド、メチルおよびプロピルパラベン、ベンジルドデシニウムブロミド、ベンジルアルコールまたはフェニルエタノールのような使用しても無害な抗菌成分;塩化ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたはグルコネートバッファのような緩衝用成分;ソルビタンモノラウエート、トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミチレート、エチレンジアミン四酢酸などのような他の慣用成分、を含有し得る。
【0067】
点眼用の溶液または懸濁液は眼内で許容できるIOPレベルを維持するために必要な頻度で投与し得る。非哺乳動物への点眼は1日に約1から2回と考えられる。
【0068】
目に局所投与するための本発明の新規な配合物は、単位薬用量が有効成分を治療有効量で含むように、または、併用療法の場合にはそのほぼ倍数の量で含むように配合された溶液、ジェル、軟膏、懸濁液または固体インサートの形態を有し得る。
【0069】
実施例に使用した用語を以下に定義する:
SM−出発材料、
DMSO−ジメチルスルホキシド、
TLC−薄層クロマトグラフィー、
SGC−シリカゲルクロマトグラフィー、
PhMgBr−フェニルマグルシウムブロミド、
h=hr=時、
THF−テトラヒドロフラン、
DMF−ジメチルホルムアミド、
min−分、
LC/MS−液体クロマトグラフィー/質量分析法、
HPLC−高性能液体クロマトグラフィー、
BOP−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス−(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、
PyBOP−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、
equiv=eq=当量、
NBS−N−ブロモスクシンアミド、
AIBN−2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、
DCM−ジクロロメタン、
mCPBA−メタ−クロロ過安息香酸、
TFA−トリフルオロ酢酸、
DIEA−N,N−ジイソプロピルエチルアミン、
HOBt−1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
EDC−N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩
Ph−フェニル、および、
HOAt−1−ヒドロキシ−7−アゾベンゾトリアゾール。
【0070】
代表例として与えた以下の実施例が本発明を実証する。
【0071】
本発明の1,3,7−トリ置換ナフタレン化合物はスキーム1に示した順序で製造した。出発化合物Aは7−メトキシテトラロンから、Silvermanらの方法(J.Org.Chem.50(26)、5550、1985)を使用して製造した。塩化ベンゾイルを使用したアシル化で図示のような所望の異性体が得られた。アルキル酸クロリドも同様に使用できる。
【0072】
【化6】

【0073】
1,4,7−トリ置換ナフタレン異性体はスキーム2に示す方法を使用して製造した。スキーム2の出発材料は7−メトキシテトラロンから、Hulmeらの方法(J.Org.Chem.60(5)、1265、1995)を使用して2段階で製造した。フェノールをトリエチルシリル基で保護した後、過剰量の塩化ベンゾイルおよび塩化アルミニウムと共にフリーデル−クラフツ反応させることによって4−ベンゾイル置換を行った。官能基を操作して1−ヒドロキシルを1−酢酸に変換し、次に標準手順を使用してこの酢酸をアミドに変換した。
【0074】
【化7】

【0075】
1,2,7−トリ置換ナフタレン異性体はスキーム3に示した方法を使用して製造した。同様の手順を使用して代替的な1,2,6−トリ置換ナフタレン異性体をスキーム4に示すように製造できる。
【0076】
【化8】

【化8】

【0077】
2組のナフタレン異性体はスキーム3および4と同じ方法を使用して製造した(スキーム5および6参照)、
【0078】
【化9】

【化8】

【0079】
スキーム7は1,3,6−トリ置換ナフタレンの合成を示す。
【0080】
【化10】

【実施例】
【0081】
(実施例1)
【化11】

2−(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N,N−ジプロピルアセタミド
【0082】
段階A.エチル(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)酢酸塩
50mLの無水DCM中のSilvermanらの方法(J.Org.Chem.50、5550、1985)によって製造した1gのエチル(7−メトキシ−1−ナフチル)酢酸塩と2.7gの無水AlClとの0℃混合物に、2.0gの塩化ベンゾイルを添加した。反応混合物を室温で一夜加温し、氷で反応停止させ、次に水性エーテルで処理した。粗生成物を5:1のヘキサンおよびエーテルにを用いたSGCによって精製すると、標題化合物が白色固体として得られた。H NMR(CDCl,500MHz)δ:8.17(s、1H)、7.94(d、3.0Hz、1H)、7.86(m、3H)、7.63(m、1H)、7.53(t、8Hz、2H)、7.35(d、2.5Hz、1H)、7.23(dd、8.5 & 2.0Hz、1H)、4.19(q、7.5Hz、2H)、4.09(s、2H)、3.99(s、3H)、1.26(t、7.0Hz、3H)。
【0083】
段階B.(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)酢酸
10mLの1:1のジオキサンおよび水中の1gのエチル(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)酢酸塩と361mgの水酸化リチウム水和物との混合物を室温で3時間撹拌し、HClでpH〜2に酸性化し、濾過し、氷水で洗浄し、乾燥した後に標題化合物が得られた。H NMR(DMSO−d,500MHz)δ:8.17(s、1H)、7.94(d、3.0Hz、1H)、7.85(m、3H)、7.63(m、1H)、7.53(t、8Hz、2H)、7.30(m、1H)、7.23(dd、8.5 & 2.0Hz、1H)、4.11(s、2H)、3.94(s、3H)。
【0084】
段階C.(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N,N−ジプロピルアセタミド
標題化合物は、2mLのDMF中の20mgの(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)酢酸、13μLのジ−n−プロピルアミン、18mgのEDC、13mgのHOBtおよび33μLのDIEAから室温で製造し、分取HPLCを使用して精製し、次いで凍結乾燥した。LC−MS:3.88分(m/Z 404.4)。
【0085】
(実施例2−9)
表1の以下の化合物は、(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)酢酸および表に示したアミンを使用し実施例1に記載の方法を使用して製造した。
【0086】
【化12】

【0087】
【表1】

【0088】
(実施例10)
【化13】

2−[7−メトキシ−3−(3−メチルブタノイル)−1−ナフチル]−N,N−ビス(3−メチルブチル)アセタミド
【0089】
段階A.エチル[7−メトキシ−3−(3−メチルブタノイル)−1−ナフチル]酢酸塩
標題化合物は、エチル(7−メトキシ−1−ナフチル)酢酸塩および3−メチルブタノイルクロリドから実施例1の段階Aの方法を使用して製造した。H NMR(CDCl,500MHz)δ:8.35(s、1H)、7.98(d、1.0Hz、1H)、7.90(d、8.5Hz、1H)、7.36(d、2.0Hz、1H)、7.24(dd、9.0 & 2.0Hz、1H)、4.17(q、7.5Hz、2H)、4.07(s、2H)、3.98(s、3H)、2.96(d、6.5Hz、2H)、2.83(m、1H)、1.25(t、7.0Hz、3H)、1.05(d、7.0Hz、6H)。
【0090】
段階B.[7−メトキシ−3−(3−メチルブタノイル)−1−ナフチル]酢酸
標題化合物は、エチル[7−メトキシ−3−(3−メチルブタノイル)−1−ナフチル]酢酸塩から実施例1の段階Bの方法を使用して製造した。H NMR(DMSO−d,500MHz)δ:8.52(s、1H)、8.07(d、9.0Hz、1H)、7.87(d、1.5Hz、1H)、7.33(d、2.0Hz、1H)、7.27(dd、9.0 & 2.0Hz、1H)、4.05(s、2H)、3.89(s、3H)、2.97(d、7.0Hz、2H)、2.21(m、1H)、0.95(d、7.0Hz、6H)。
【0091】
段階C.2−[7−メトキシ−3−(3−メチルブタノイル)−1−ナフチル]−N,N−ビス(3−メチルブチル)アセタミド
標題化合物は、[7−メトキシ−3−(3−メチルブタノイル)−1−ナフチル]酢酸および3−メチル−N−(3−メチルブチル)ブタン−1−アミンから実施例1の段階Cの方法を使用して製造した。LC−MS、4.59分(m/Z 440.4)。
【0092】
(実施例11)
【化14】

2−(4−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N,N−ビス(3−メチルブチル)アセタミド
【0093】
段階A.7−メトキシ−1−ナフトール
標題化合物は、7−メトキシテトラロンからHulmeらの方法(J.Org.Chem.60(5)、1265、1995)を使用して製造した。H NMR(CDCl,500MHz)δ:7.74(d、9.5Hz、1H)、7.50(d、2.5Hz、1H)、7.41(d、8.5Hz、1H)、7.21−7.18(m、2H)、6.82(d、7.0Hz、1H)、3.98(s、3H)。
【0094】
段階B.tert−ブチル[(7−メトキシ−1−ナフチル)オキシ]ジメチルシラン
500mLのDCM中の25gの7−メトキシ−1−ナフトールの0℃溶液に、26.14gの2,6−ジメチルピリジン、45.52gのtert−ブチル(ジメチル)シリルトリフルオロメタンスルホネートを順次添加した。混合物を室温で一夜加温し、次いで水およびDCMで処理した。ヘキサンを使用するSGCによって粗生成物を精製すると標題化合物が得られた。H NMR(CDCl,500MHz)δ:7.73(d、8.5Hz、1H)、7.53(d、2.5Hz、1H)、7.42(d、8.0Hz、1H)、7.21(t、8.0Hz、1H)、7.16(dd、9.0 & 2.5Hz、1H)、6.88(d、7.5Hz、1H)、3.95(s、3H)、1.15(s、9H)5、0.31(S、6H)。
【0095】
段階C.4−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル安息香酸塩
標題化合物は、tert−ブチル[(7−メトキシ−1−ナフチル)オキシ]ジメチルシランと3当量の塩化ベンゾイルおよび5当量の無水塩化アルミニウムとから実施例1の段階Aに記載の方法を使用して製造した。H NMR(CDCl,500MHz)δ:8.39(d、7.0Hz、2H)、8.16(d、9.5Hz、1H)、7.93(d、7.0Hz、2H)、7.74(m、1H)、7.63−7.61(m、3H)、7.54−7.49(m、3H)、7.42(d、8.0Hz、1H)、7.33(d、2.5Hz、1H)、7.25(dd、9.0 & 2.5Hz、1H)、3.88(s、3H)。
【0096】
段階D.(4−ヒドロキシ−6−メトキシ−1−ナフチル)(フェニル)メタノン
標題化合物は、4−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル安息香酸塩から実施例1の段階Bの方法を使用して製造した。H NMR(CDCl,500MHz)δ:8.31(d、9.5Hz、1H)、7.85(m、2H)、7.62−7.57(m、2H)、7.50−7.46(m、2H)、7.37(d、8.0Hz、1H)、7.25(dd、9.0 & 2.5 Hz、1H)、6.77(d、8.0Hz、1H)、3.97(s、3H)。
【0097】
段階E.4−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチルトリフルオロメタンスルホネート
標題化合物は、DCM中の(4−ヒドロキシ−6−メトキシ−1−ナフチル)(フェニル)メタノンおよび1.3当量のトリフリック無水物から、1.5当量の2,6−ルチジンの存在下、0℃、1時間で製造した。H NMR(CDCl,500MHz)δ:8.02(d、9.5Hz、1H)、7.88−7.86(m、2H)、7.66(m、1H)、7.52−7.49(m、3H)、7.46−7.42(m、2H)、7.27(dd、9.0 & 2.5Hz、1H)、4.00(s、3H)。
【0098】
段階F.tert−ブチル(4−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)酢酸塩
標題化合物は、50mLのDMF中の4.1gの4−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチルトリフルオロメタンスルホネート、4.5gのtert−ブチル(トリブチルスタンニル)酢酸塩(Syn.Commun.1984(14)、27に収載のZapataらの方法を使用して製造)、350mgの(PhP)PdCl、および、2.3gの臭化亜鉛から、90℃、12時間で製造した。減圧下に溶媒を除去した後、EtOAcを用いて水性処理し、0〜20%エーテルを含むトルエンを用いてSGCを行うと、純粋な標題化合物が得られた。H NMR(CDCl,500MHz)δ:8.07(d、9.0Hz、1H)、7.89−7.87(m、2H)、7.61(m、1H)、7.47(t、7.5Hz、2H)、7.44−7.40(m、2H)、7.37(d、2.5Hz、1H)、7.19(dd、9.0 & 2.5Hz、1H)、4.01(s、2H)、3.98(s、3H)、1.47(s、9H)。
【0099】
段階G.(4−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)酢酸
標題化合物は、1:4のTFAおよびDCM中のtert−ブチル(4−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)酢酸塩から製造した。H NMR(CDOD,500MHz)δ:7.93(d、9.0Hz、1H)、7.83−7.81(m、2H)、7.64(m、1H)、7.51−7.47(m、4H)、7.35(d、7.5Hz、1H)、7.16(dd、9.5 & 2.0Hz、1H)、4.10(s、2H)、3.94(s、3H)。
【0100】
段階H.2−(4−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N,N−ビス(3−メチルブチル)アセタミド
標題化合物は、(4−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)酢酸および3−メチル−N−(3−メチルブチル)ブタン−1−アミンから実施例1の段階Cの方法を使用して製造した。LC−MS、4.51分(m/Z 460.3)。
【0101】
(実施例12)
【化15】

2−(1−ベンゾイル−7−メトキシ−2−ナフチル)−N,N−ジブチルアセタミド
【0102】
段階A.7−メトキシ−2−ナフチル安息香酸塩
標題化合物は、200mLのDCM中の25gの7−メトキシ−2−ナフトール、22.2gの塩化ベンゾイルおよび27.8gのDIEAから、0℃で10分間次いで室温で2時間を要して製造した。水性処理から得られた粗生成物を2:1のトルエンおよびヘキサンを用いるSGCによって精製すると標題化合物が得られた。H NMR(CDCl,500MHz)δ:8.30−8.29(m、2H)、7.75(d、9.0Hz、1H)、7.79(d、9.0Hz、1H)、7.69(m、1H)、7.63(d、2.5Hz、1H)、7.57(m、2H)、7.25(dd、9.0 & 2.0Hz、1H)、7.18(dd、9.0 & 2.5Hz、1H)、7.16(d、2.5Hz、1H)、3.95(s、3H)。
【0103】
段階B.(2−ヒドロキシ−7−メトキシ−1−ナフチル)(フェニル)メタノン
標題化合物は、8gの7−メトキシ−2−ナフチル安息香酸塩を35mLの三フッ化ホウ素メチルエーテレート中で1時間還流させ、次いでDCMで水性処理し、ヘキサンおよびエーテル(100:6)を用いるSGCを行うことによって製造した。H NMR(CDCl,500MHz)δ:7.88(d、9.0Hz、1H)、7.66−7.64(m、3H)、7.58(m、1H)、7.48−7.46(m、2H)、7.11(d、8.5Hz、1H)、6.92(dd、9.0 & 2.5Hz、1H)、7.62(d、2.5Hz、1H)、3.30(s、3H)。
【0104】
段階C.1−ベンゾイル−7−メトキシ−2−ナフチルトリフルオロメタンスルホネート
標題化合物は、(2−ヒドロキシ−7−メトキシ−1−ナフチル)(フェニル)メタノンから実施例11の段階Eに記載の方法を使用して製造した。H NMR(CDCl,500MHz)δ:7.99(d、9.0Hz、1H)、7.88−7.85(m、3H)、7.66(m、1H)、7.51−7.48(m、2H)、7.39(d、9.0Hz、1H)、7.25(dd、9.0 & 2.5Hz、1H)、6.93(d、2.5Hz、1H)、3.74(s、3H)。
【0105】
段階D.エチル(1−ベンゾイル−7−メトキシ−2−ナフチル)酢酸塩
標題化合物は、1−ベンゾイル−7−メトキシ−2−ナフチルトリフルオロメタンスルホネートおよびエチル(トリブチルスタンニル)酢酸塩から実施例11の段階Fに記載の方法を使用して製造した。H NMR(CDCl,500MHz)δ:7.88−7.84(m、3H)、7.80(d、9.0.Hz、1H)、7.60(m、1H)、7.46−7.43(m、2H)、7.38(d、9.0Hz、1H)、7.15(dd、9.0 & 2.5Hz、1H)、6.77(d、2.5Hz、1H)、3.98(q、7.0Hz、2H)、3.66(s、2H)、3.65(s、3H)、1.10(t、7.0Hz、3H)。
【0106】
段階E.(1−ベンゾイル−7−メトキシ−2−ナフチル)酢酸
標題化合物は、エチル(1−ベンゾイル−7−メトキシ−2−ナフチル)酢酸塩から実施例1の段階Bに記載の方法を使用して製造した。H NMR(DMSO−d,500MHz)δ:7.91(m、2H)、7.71(d、7.0Hz、2H)、7.64(m、1H)、7.48(t、7.5Hz、2H)、7.40(d、8.0Hz、1H)、7.17(dd、9.0 & 2.5Hz、1H)、6.57(d、2.5Hz、1H)、3.56(s、3H)、3.44(s、2H)。
【0107】
段階F.2−(1−ベンゾイル−7−メトキシ−2−ナフチル)−N,N−ジブチルアセタミド
標題化合物は、(1−ベンゾイル−7−メトキシ−2−ナフチル)酢酸およびジブチルアミンから実施例1の段階Cの方法を使用して製造した。LC−MS、4.28分(m/Z 432.3)。
【0108】
(実施例13)
【化16】

2−(2−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N,N−ジブチルアセタミド
【0109】
段階A〜E.(2−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)酢酸
標題化合物は、7−メトキシ−1−ナフトールから実施例12の段階A〜Eと同じ手順を使用して製造した。H NMR(DMSO−d,500MHz)δ:7.95(d、9.0Hz、1H)、7.71(d、8.5Hz、1H)、7.73−7.71(m、2H)、7.67(m、1H)、7.53(t、8.0Hz、2H)、7.42(d、2.5Hz、1H)、7.31(dd、9.0 & 2.5Hz、1H)、7.23(d、7.5Hz、1H)、4.04(s、2H)、3.90(s、3H)。
【0110】
段階F.2−(2−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N−N−ジブチルアセタミド
標題化合物は、(2−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)酢酸およびジブチルアミンから実施例1の段階Cの方法を使用して製造した。LC−MS、4.33分(m/Z 432.0)。
【0111】
(実施例14)
【化17】

4−ベンゾイル−N−エチル−7−メトキシ−N−1,3−チアゾール−2−イル−2−ナフタミド
標題化合物は、2mLのMeCN中の42mgの4−ベンゾイル−7−メトキシ−2−ナフトエ酸、60mgのN−エチル−1,3−チアゾール−2−アミン、142mgのPyBOPおよび83μLのDIEAを65℃および100℃で1時間ずつ加熱し、次いでRP−HPLC精製することによって製造した。
【0112】
(実施例15)
【化18】

2−(4−ベンゾイル−7−メトキシ−2−ナフチル)−N−エチル−N−1,3−チアゾール−2−イルアセタミド
標題化合物は、1mLのMeCN中の18mgの(4−ベンゾイル−7−メトキシ−2−ナフチル)酢酸、30mgのN−エチル−1,3−チアゾール−2−アミン、35mgのBOPおよび31μLのDIEAを85℃で1時間加熱し、次いでRP−HPLC精製することによって製造した。
【0113】
官能アッセイ
A.Maxi−Kチャンネル
化合物の活性はまた以下のアッセイによって定量できる。
【0114】
Maxi−Kチャンネルのインヒビターの同定は、HEK−293細胞中に該チャンネルのアルファおよびベータ1の双方のサブユニットを形質移入しおよびHEK−293細胞の内因性カリウムコンダクタンスを選択的に除去するカリウムチャンネルブロッカーと共に温置した後に発現されたMaxi−Kチャンネルによる細胞静止電位設定の能力に基づく。Maxi−Kチャンネルインヒビターが存在しないとき、形質移入されたHEK−293細胞はE(−80mV)に近い内側が負の超脱分極膜電位を示し、これはMaxi−Kチャンネルが活動した結果である。Maxi−Kチャンネルブロッカーと共に温置してMaxi−Kチャンネルを遮断すると、細胞脱分極が生じるであろう。膜電位の変化は、2つの成分、すなわち、供与体クマリン(CCDMPE)および受容体オキサノール(DiSBAC(3))を使用する電位感受性蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)色素によって測定できる。
【0115】
オキサノールは親油性アニオンであり、膜電位に従って膜に分布する。正常な状態、すなわち、細胞の内部が外部に対して負のとき、オキサノールは膜の外葉に蓄積され、クマリンが励起されてFRETが生じるであろう。膜を脱分極させる条件が与えられるとオキサノールが細胞の内面に再度分布し、その結果として、FRETが減少するであろう。従って、膜の脱分極後に比変化(供与体/受容体)が増加し、被験化合物がMaxi−Kチャンネルを能動的に遮断したか否かを判定できる。
【0116】
HEK−293細胞は、American Type Culture Collection、12301 Parklawn Drive、Rockville、Maryland、20852から登録番号ATCC CRL−1573として得られる。特許が許可されても微生物の公的入手に関する制限は排除されるという取消し不能な取決めがある。
【0117】
HEK−293細胞中のMaxi−Kチャンネルのアルファおよびベータ1サブユニットの形質移入は以下の手順で行った。HEK−293細胞を100mmの組織培養物処理皿で皿あたり3×10細胞の密度で平板培養し、合計5個の皿を調製した。10%ウシ胎仔血清、1×L−グルタミンおよび1×ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したダルベッコの改質イーグル培地(DMEM)から成る培地中、37℃、10%COで細胞を増殖させた。Maxi−K hα(pCIneo)およびMaxi−K hβ1(pIRESpuro)DNAで形質移入するために、150μlのFuGENE6TMを10mlの無血清/フェノール−レッド非含有DMEMに滴下し、室温で5分間温置した。次に25μgの各プラスミドDNAを含有しているDNA溶液にFuGENE6TM溶液を滴下し、室温で30分間温置した。温置期間後、2mlのFuGENE6TM/DNA溶液を各細胞プレートに滴下し、上記と同じ条件下で細胞を2日間増殖させた。2日目の終りに、600μg/mlのG418および0.75μg/mlのピューロマイシンを補充したDMEMから成る選択培地に細胞を投入した。個別コロニーが形成されるまで細胞を増殖させた。5つのコロニーを採集し、6ウェルの組織培養物処理皿に移した。合計75のコロニーを採集した。集密単層が得られるまで細胞を増殖させた。次に、チャンネルへの125I−イベリオトキシン−D19Y/Y36Fの結合をモニターするアッセイを使用してMaxi−Kチャンネルのアルファおよびベータ1サブユニットの存在を検査した。次に、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)ABSテクノロジーをVIPR計器と共に使用し、トランスフェクトされたHEK−293細胞の膜電位をコントロールするMaxi−Kチャンネルの能力をモニターする機能アッセイで、125I−イベリオトキシン−D19Y/Y36F結合活性を発現している細胞を評価した。最大のシグナル対ノイズ比を与えるコロニーを限定希釈した。このためには、細胞を約5細胞/mlに再懸濁させ、200μlを96ウェルの組織培養物処理プレートの個々のウェルで、1ウェルあたり約1細胞を加えて平板培養した。合計2個の96ウェルプレートを作製した。集密単層が形成されると、細胞を6ウェルの組織培養物処理プレートに移した。合計62個のウェルを移した。集密単層が得られると、FRET−機能アッセイを使用して細胞を検査した。最良のシグナル対ノイズ比を与えるトランスフェクト細胞を同定し、その後の機能アッセイに使用した。
【0118】
機能アッセイ:
次に、トランスフェクト細胞(2E+06 細胞/mL)を96−ウェルのポリ−D−リシンプレートに約100,000細胞/ウェルの密度で平板培養し、約16から約24時間温置した。培地を細胞から吸引し、細胞を100μlのダルベッコのリン酸塩緩衝生理食塩水(D−PBS)で1回洗浄した。約9μMのクマリン(CCDMPE)−0.02%のプルロニック−127を含むD−PBSをウェルあたり100マイクロリットルの量で添加し、ウェルを暗中で約30分間温置する。100μlのダルベッコのリン酸塩緩衝生理食塩水で細胞を2回洗浄し、140mMのNaCl、0.1mMのKCl、2mMのCaCl、1mMのMgCl、20mMのHepes−NaOH、pH7.4、10mMのグルコース中に約4.5μMのオキサノール(DiSBAC(3))を含む100μlを添加する。HEK−293細胞の内因性カリウムコンダクタンスのインヒビターを3マイクロモルの量で添加する。Maxi−Kチャンネルブロッカーを添加し(約0.01マイクロモルから約10マイクロモルまで)、細胞を暗中、室温で約30分間温置する。
【0119】
プレートを電圧/イオンプローブリーダー(VIPR)計器に入れ、CCDMPEおよびDiSBAC(3)の双方の蛍光放出を10秒間記録する。この時点で、140mMのKCl、2mMのCaCl、1mMのMgCl、20mMのHepes−KOH、pH7.4、10mMのグルコースを含む100μlの高カリウム溶液を添加し、双方の色素の蛍光放出をさらに10秒間記録する。高カリウム溶液添加以前のCCDMPE/DiSBAC(3)比は1に等しい。Maxi−Kチャンネルインヒビターが存在しないとき、高カリウム溶液添加後の比は1.65から2.0の範囲で変化する。公知の標品または被験化合物によってMaxi−Kチャンネルが完全に阻害されたとき、この比は1に維持される。従って、蛍光比の濃度依存性変化をモニターすることによってMaxi−Kチャンネルの活性を滴定することが可能である。
【0120】
本発明の化合物が約1nMから500μM、より好ましくは約5nMから約20nMまでの範囲のIC50で蛍光比の濃度依存性阻害を生起することが知見された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化19】

[式中、
RおよびRyは独立に、水素またはC1−6アルキルを表し;
は、水素またはC1−6アルキル、CF、(CH3−10シクロアルキル、(CH6−10アリール、−(CH5−10ヘテロアリール、C1−6アルコキシ、OH、CORを表し、これらのアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびアルコキシは、Rから選択された1から3個の置換基で場合により置換されており;
Qは、N、CRyまたはOを表し、ここにおいてRはQがOのときには存在せず;
は、水素、C1−10アルキル、C2−10ヒドロキシルアルキル、C1−6アルキルSR、−(CHO(CHOR、(CHOR、−(CH(CHR(CH1−6アルコキシ、−(CH(CHR(CH3−8シクロアルキル、−(CH(CHR(CH3−10ヘテロシクリル、−(CH5−10ヘテロアリール、−N(R)、−COORまたは−(CH(CHR(CH6−10アリールを表し、これらのアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、Rから選択された1から3個の置換基で場合により置換されており;
は、水素、C1−10アルキル、C2−6アルケニル、−(CH(CHR(CH3−8シクロアルキル、−(CH(CHR(CH3−10ヘテロシクリル、−(CH(CHR(CH5−10ヘテロアリール、−(CH(CHR(CHCOOR、−(CH(CHR(CH6−10アリール、−(CH(CHR(CHNHR、−(CH(CHR(CHN(R)、−(CH(CHR(CHN(R、−(CH(CHR(CHNHCOOR、−(CH(CHR(CHN(R)COR、−(CH(CHR(CHN(R)COR、−(CH(CHR(CHNHCOR、−(CH(CHR(CHCONH(R)、アリール、−(CH(CHR(CHOR、−(CHC(R(CHOR、CF、−(CH(CHR(CHSOR、−(CH(CHR(CHSON(R)、−(CH(CHR(CHCON(R)、−(CH(CHR(CHCONHC(R)、−(CHCONHC(R)COR、−(CH(CHR(CHCOR、ニトロ、シアノまたはハロゲンを表し、これらのアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリールは、Rから選択された1から3個の置換基で場合により置換されており;
あるいは、QがNのとき、RおよびRは介在するN原子と共に、1から2個のO、S、C(O)またはNR原子によって場合により中断されまた1から4個の二重結合を場合により有しておりまたRから選択された1から3個の置換基で場合により置換された4から10員環の複素環を形成しており;
あるいは、QがCRYに等しいとき、RおよびRは介在するCRYと共に、1から2個のO、S、C(O)またはNR原子で場合により中断されまた1から5個の二重結合を場合により有しておりまたRから選択された1から3個の置換基で場合により置換された4から10員環の炭素環式または複素環式の芳香環または融合環を形成しており;
は、水素、C1−6アルコキシ、ハロゲン、シアノ、OH、C1−6アルキル、COOR、SOH、C1−6アルキルカルボニル、S(O)Ry、−O(CHN(R)、−O(CHCOR、−OPO(OH)、CF、−N(R)、ニトロまたはC1−6アルキルアミノを表し;
は、水素、C1−6アルキル、−(CHCOORまたは−(CHN(R)を表し;
は、−(CH3−8シクロアルキル、−(CH3−10ヘテロシクリル、C1−6アルコキシまたは−(CH5−10ヘテロアリール、−(CH6−10アリールを表し、これらのヘテロシクリル、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、Rから選択された1から3個の基で場合により置換されており;
は、F、Cl、Br、I、CF、N(R)、NO、CN、−(CHCOR、−(CHCONHR、−(CHCON(R、−O(CHCOOR、−NH(CHOR、−COOR、−OCF、−O−、−NHCOR、−SOR、−SONR、−SR、(C−Cアルキル)O−、−(CHO(CHOR、−(CH1−6アルコキシ、(アリール)O−、−OH、(C−Cアルキル)S(O)m−、HN−C(NH)−、(C−Cアルキル)C(O)−、(C−Cアルキル)OC(O)NH−、−(C−Cアルキル)NR(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−C)O(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−Cアルキル)S(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−Cアルキル)−C3−10ヘテロシクリル−R、−(CH−K−C(=K)N(R)、−(C2−6アルケニル)NR(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)O(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)S(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)−C3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)−K−C(=K)N(R)、−(CHSOR、−(CHSOH、−(CHPO(OR)、−(CHOPO(OR)、シクロヘキシル、シクロペンチル、モルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニル、チオフェニル、フェニル、ピリジル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チエニル、フリル、イソチアゾリル、C2−6アルケニルおよびC1−10アルキルを表し、これらのアルキル、アルケニル、アルコキシ,フェニル、ピリジル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チエニル、フリルおよびイソチアゾリルは、C−CアルキルおよびCOORから選択された1から3個の基で場合により置換されており;
Kは独立にCH、CHまたはNHを表し;
は、H、C1−6アルキル、−C(O)C1−6アルキル、−C(O)OC1−6アルキル、−SON(R)、−SO1−6アルキル、−SO6−10アリール、NO、CNまたは−C(O)N(R)を表し;
は、C1−6アルキル、−COOR、−SOR、CN、(CHOR、C(O)O(CHC(O)R、−OPO(OH)、−(CH6−10アリールまたは−(CH5−10ヘテロアリールを表し;
は、水素、C1−6アルキルまたは−(CH6−10アリールを表し;
mは0から3であり;
nは0から3であり;
qは0から2であり;
sは0から2である。]
の化合物または医薬的に許容される塩、リン酸エステルを含むエステル、鏡像異性体、ジアステレオマーもしくはこれらの混合物。
【請求項2】
QがNである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
QRがジアルキルアミンまたはヒドロキシルアミンであり、Rが−C(O)Rである請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
構造式II
【化20】

[式中、QはNである。]
の請求項1に記載の化合物または医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマーもしくはこれらの混合物。
【請求項5】
構造式III
【化21】

[式中、RおよびRは独立に、C1−10アルキル、(CH3−10シクロアルキル、(CH(CHR(CH6−10アリール、(CH(CHR(CH3−10ヘテロシクリルであり、これらのアルキル,シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびアリールは、Rから選択された1から3個の基で場合により置換されている。]
の請求項1に記載の化合物または医薬的に許容される塩、鏡像異性体、ジアステレオマーもしくはこれらの混合物。
【請求項6】
2−(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N,N−ジプロピルアセタミド;
2−(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N,N−ジブチルアセタミド;
2−(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N−(シクロプロピルメチル)−N−プロピルアセタミド;
2−(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N−(シクロヘキシル)−N−エチルアセタミド;
2−(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N−エチル−N−ブチルアセタミド;
2−(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N,N−ジイソブチルアセタミド;
2−(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N,N−ビス(3−メチルブチル)アセタミド;
2−(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N−エチル−N−(3−メチルブチル)アセタミド;
2−(3−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N−(3,3−ジメチルブチル)−N−エチルアセタミド;
2−[7−メトキシ−3−(3−メチルブタノイル)−1−ナフチル]−N,N−ビス(3−メチルブチル)アセタミド;
2−(4−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N,N−ビス(3−メチルブチル)アセタミド;
2−(1−ベンゾイル−7−メトキシ−2−ナフチル)−N,N−ジブチルアセタミド;
2−(2−ベンゾイル−7−メトキシ−1−ナフチル)−N,N−ジブチルアセタミド;
4−ベンゾイル−N−エチル−7−メトキシ−N−1,3−チアゾール−2−イル−2−ナフタミド;
2−(4−ベンゾイル−7−メトキシ−2−ナフチル)−N−エチル−N−1,3−チアゾール−2−イルアセタミド;
である請求項1に記載の化合物、または、医薬的に許容される塩、リン酸エステルを含むエステル、鏡像異性体、ジアステレオマーもしくはこれらの混合物。
【請求項7】
請求項1に記載の構造式Iの化合物を治療有効量で要治療患者に投与する段階を含む高眼圧または緑内障の治療方法。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物または医薬的に許容される塩、リン酸エステルを含むエステル、鏡像異性体、ジアステレオマーもしくはこれらの混合物を治療有効量で要治療患者に投与する段階を含む、黄斑浮腫、黄斑変性を治療するための、網膜および視神経乳頭の血流速度を増加するための、網膜および視神経の酸素圧を増加するためのおよび/または神経保護効果を得るための方法。
【請求項9】
請求項1に記載の式Iの化合物と医薬的に許容される担体とを含む組成物。
【請求項10】
β−アドレナリン遮断薬、副交感神経刺激薬、交感神経刺激薬、炭酸脱水素酵素阻害薬、EP4アゴニスト、プロスタグランジンまたはその誘導体、降圧リピドおよび/または5−HT2受容体アゴニストから成るグループに属する1種以上の有効成分が場合により添加されている請求項9に記載の組成物。

【公表番号】特表2009−541219(P2009−541219A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515432(P2009−515432)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/013528
【国際公開番号】WO2007/146136
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】