説明

高純度で分級された多結晶性シリコン断片を製造するための方法および装置

本発明は、ジーメンス法からのポリシリコンを、細断工具およびスクリーン装置を含む装置により細断し、分級し、こうして得られたポリシリコン断片を清浄化浴により清浄化することにより、高純度の分級されたポリシリコン断片を製造する方法であって、
細断工具およびスクリーン装置が、引続き意図的に清浄化浴によって除去されるような異質粒子でポリシリコン断片だけを汚染する材料からなる、ポリシリコンと接触する表面を例外なく有することを特徴とする、高純度の分級されたポリシリコン断片を製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度で分級された多結晶性シリコンを製造するための方法および装置に関する。
【0002】
高純度の多結晶性シリコン、以下、ポリシリコンと呼称する、は、特に電子構造部材およびソーラーセルを製造するための出発材料として使用される。このポリシリコンは、シリコン含有ガスまたはシリコン含有ガス混合物の熱分解によって取得される。この方法は、蒸気相からの析出(CVD、化学蒸着)と呼ばれる。大規模には、この方法は、所謂ジーメンス反応器中で実現される。このポリシリコンは、この場合、ロッドの形で生じる。このポリシリコンロッドは、改造され、手での方法によるかまたは機械的に細断される。こうして得られたポリシリコン粗大断片は、破砕機を使用しながらさらに細断される。機械的な破砕方法は、欧州特許出願公開第1338682号明細書A2中に記載されている。引続き、ポリシリコン断片は、欧州特許第1043249号明細書B1から公知のスクリーン法、例えば機械的スクリーン法または例えば米国特許第6265683号明細書B1から公知の光学的選別によって分級される。この場合、ポリシリコン断片は、搬送装置、例えばベルトコンベヤー、トラフコンベヤー、振動コンベヤーまたは1つの装置から直ぐ次の装置への輸送容器により輸送される。この場合、ポリシリコンのそれぞれの加工工程(例えば、破砕または選別)は、それぞれの特殊な供給位置に基づいて個別的に適合される。この場合には、殊に装置に使用される材料に対する要求は、それぞれの加工工程または輸送工程に個別的に適合される。この場合、個々の装置のために、特にポリシリコン断片と接触する表面は、ポリシリコン断片に対して汚染の少ない材料またはシリコンから形成された。更に、個々の装置が別の材料からなる場合には、ポリシリコン断片を清浄化法で清浄化することは、公知技術水準である(欧州特許出願公開第1338682号明細書A2またはドイツ連邦共和国特許第19741465号明細書)。この清浄化法は、使用される化学薬品に応じて、ポリシリコン断片を汚染する金属をポリシリコンの表面から種々に良好に除去する状態にある。
【0003】
本発明の課題は、高純度に分級されたポリシリコン断片を製造するための簡単で安価な方法を提供することである。
【0004】
この課題は、ジーメンス法からのポリシリコンを、細断工具およびスクリーン装置を含む装置により細断し、分級し、こうして得られたポリシリコン断片を清浄化浴により清浄化する方法であって、破砕機およびスクリーン装置が、引続き意図的に清浄化浴によって除去されるような異質粒子でポリシリコン断片だけを汚染する材料からなる、ポリシリコンと接触する表面を例外なく有することを特徴とする、上記の清浄化方法によって解決される。
【0005】
ジーメンス法からのポリシリコンは、ジーメンス反応器からのポリシリコン粗大断片またはポリシリコンロッドである。
【0006】
好ましくは、ジーメンス反応器からのポリシリコンロッドの形成の際ならびに運搬の際の破砕時にポリシリコンと接触する全ての装置の表面も例外なく、引続き意図的に清浄化浴によって除去されるような異質粒子でポリシリコン断片だけを汚染する材料からなる。従って、本発明による方法は、特にジーメンス反応器からのポリシリコンロッドの形成ならびに破砕時の該ポリシリコンロッドの運搬を含む。
【0007】
好ましくは、分級され細断されたポリシリコン断片の運搬の際の包装時ならびに分級され細断されたポリシリコン断片の包装の際に使用される全ての装置の表面も例外なく、引続き意図的に清浄化浴によって除去されるような異質粒子でポリシリコン断片だけを汚染する材料からなる。従って、本発明による方法は、特に分級され細断されたポリシリコンの運搬ならびに分級され細断されたポリシリコン断片の包装を含む。
【0008】
殊に、好ましくは、清浄化されかつ分級されたポリシリコン断片は、欧州特許第1334907号明細書の記載と同様に、直ちに手でかまたは自動的にPE二重袋中に包装される。
【0009】
細断工具としては、特に破砕機が使用される。更に、本発明による方法において、ドイツ連邦共和国特許第102005019873号明細書中に記載されたような前細断機が使用されてよい。更に、前細断機の表面ならびに場合によっては利用されるポリシリコンと接触する、加工するための他の補助手段は、同様にポリシリコン断片を、引続き意図的に清浄化浴によって除去されるような異質粒子でのみ汚染される材料から完成されている。
【0010】
公知方法とは異なり、本発明による方法は、細断の際にポリシリコン断片の金属による汚染を回避することを試みるのではなく、全ての装置上で例外なくポリシリコン断片の意図的な汚染を、清浄化浴によって簡単に除去しうる材料と組み合わせることを試みるものである。これに対して、公知方法の場合には、加工すべき材料(例えば、ポリシリコン)の汚染をそれぞれの加工工程でできるだけ僅かになるように維持することに注目された。この場合には、清浄化すべき材料の入口での汚染が僅かであればあるほど、費用および品質に関連して清浄化はますます有利になることから出発する。
【0011】
従って、本発明は、高純度で分級された多結晶性シリコン断片をポリシリコンロッドから製造する方法にも関し、この場合ポリシリコンと接触する全ての表面は例外なく1つの材料から形成されており、この材料は、次の清浄化で簡単に完全に、分級されたポリシリコン断片から取り除かれる。
【0012】
"例外なくポリシリコンと接触する、1つの材料からなる表面"とは、本発明の範囲内で、ポリシリコン断片の汚染の少なくとも90%、特に95%が清浄化前に(同様に、清浄化法のための初期汚染で)前記材料によって引き起こされることを意味する。特に有利には、この文言は、ポリシリコン断片と接触する、全ての装置の表面が記載された材料からなることを意味する。
【0013】
意外なことに、ポリシリコン断片の汚染が前記方法の範囲内で意図的に、前記汚染に対して調整された清浄化浴により前記汚染を除去しうるように行なわれる場合には、分級されたポリシリコン断片の初期汚染が極めて著しい場合でも安価な清浄化浴で金属汚染に対する高い純度、ひいては清浄化され分級されたポリシリコン断片の高い品質を達成しうることが確認された。
【0014】
ポリシリコン断片の意図的な汚染は、ポリシリコンが接触する、前記装置の部分の表面のための材料が特に摩滅の少ないプラスチック、特殊鋼、硬質金属、セラミック、石英、低合金鋼、中合金鋼、高合金鋼およびシリコンの群から選択されていることによって達成される。
【0015】
特に有利には、材料は、5質量%未満の合金含量を有する低合金鋼であるかまたは5質量%以上で10質量%未満の合金含量を有する中合金鋼であるかまたは10質量%以上の合金含量を有する高合金鋼であるかまたは硬質金属、有利に炭化タングステンまたはシリコン、有利にポリシリコンである。
【0016】
価格の理由から殊に、有利には、5質量%未満の合金含量を有する低合金鋼が重要である。意外なことに、このような材料は、全ての前記装置、殊に輸送用箱形容器または大型の鋳造部材、例えばロール型破砕機のために、製造技術的または機械的制限なしに例外なく使用されることができた。
【0017】
低合金鋼は、特に元素Cr、Co、Mn、Ni、Si、W、Al、Be、Cu、Mo、Nb、Pb、Ta、Ti、V、Zr、P、S、N、CeおよびBの5質量%未満の全合金含量を有する鋼である。
【0018】
本発明による方法において、ポリシリコン断片を汚染する、該断片を加工するための装置の構成成分は、意図的に清浄化浴に対して調整されている。これは、製品品質に関連する利点(清浄化後の表面汚染)、ならびに分級されたポリシリコン断片の清浄化費用ならびに細断および分級のための加工費用に関連する利点を可能にする。
【0019】
特に、ポリシリコン断片を清浄化するための清浄化浴は、化合物の弗化水素酸、塩酸および過酸化水素を含有する酸性清浄化溶液での少なくとも1つの段階での前清浄化、硝酸および弗化水素酸を含有する清浄化溶液での他の段階での主要清浄化、および酸性清浄化溶液での他の段階によるポリシリコン断片の親水性化を含む。
【0020】
また、本発明は、ポリシリコンロッドを手動の補助手段(例えば、取り外し補助手段、手ハンマー、輸送用箱形容器)および機械的装置、例えば前細断機、1つ以上の破砕機、1つ以上の選別装置、1つ以上のトラフコンベヤーで細断し、分級し、こうして得られたポリシリコン断片を清浄化浴により清浄化することにより、ジーメンス分離装置からのポリシリコン断片から高純度の分級されたポリシリコン断片を製造する方法を含み、この方法は、初期汚染の90%、特に95%、殊に有利に100%に対して清浄化のために重要である、手動の補助手段および機械的装置の全ての表面が、1つの材料からなり、この材料が引続き意図的に清浄化浴によって除去されるような異質粒子だけを有するポリシリコン断片を汚染することによって特徴付けられる。
【0021】
本発明による方法において、特にドイツ連邦共和国特許出願公開第19741465号明細書A1中に記載された清浄化法または本発明の実施例中に記載されたような清浄化法は、ポリシリコン断片と接触する、装置の表面が5質量%未満の合金含量を有する低合金鋼からなる装置と組み合わせて使用される。意外なことに、この組合せで前記の安価な材料を使用した場合も、ポリシリコン断片は、極めて著しい初期汚染にも拘わらず、極めて良好に清浄化することができた。
【0022】
また、ポリシリコンの処理、殊に破砕、分級および搬送の際に、装置の表面がそれぞれの清浄化浴により意図的にポリシリコンによって除去されうる材料からなる装置を例外なく使用することに注意する場合には、公知技術水準の別の方法(例えば、欧州特許出願公開第1338682号明細書A2、第8頁、第0054〜0058段落または米国特許第6309467号明細書の記載から公知である)を利用しながら清浄化浴によって、安価なよりいっそう良好な清浄化の結果を達成することができる。
【0023】
更に、本発明は、ポリシリコンの破砕、搬送および分級に使用される、全ての部分的装置の表面が例外なく、分級されたポリシリコン断片の次の清浄化で簡単に完全に除去されうる材料から形成されていることにより、ポリシリコンの破砕、搬送、分級および清浄化のための部分的装置を含む、本発明による方法を実施するための装置に関する。
【0024】
本発明による装置のためには、方法に使われた記載が同様に当てはまる。
【0025】
特に有利には、本発明による装置は、破砕装置中への粗大なポリシリコン断片の供給装置、この破砕装置、この破砕装置から選別装置への搬送装置およびポリシリコン断片を分級するための選別装置を含む。
【0026】
特に有利には、破砕装置は、ロール型破砕機またはジョークラッシャー、有利にロール型破砕機、特に有利にシープスフートローラ(Stachelwalzenbrecher)を含む。
【0027】
特に有利には、この選別装置は、多段階の機械的な選別装置と多段階の光電子式分離装置とからなる。
【0028】
更に、殊に好ましくは、前細断機は、前記装置の一部分である。前細断機は、特に基盤と細断用のみと対向のみとからなり、この場合基盤、細断用のみおよび対向のみは、全てののみがポリシリコンロッドまたはポリシリコン断片の範囲内でポリシリコンロッド(ポリシリコン断片)との接触を有しかつ細断用のみがポリシリコンロッド(ポリシリコン断片)の前方または後方で前記のみの作用軸がさらに対向のみに対して安全な距離にまで到達しうるように、基盤上に存在する細断すべきポリシリコン断片がのみの間で調整されて可動する。この種の装置は、例えばドイツ連邦共和国特許第102005019873号明細書中に記載されている。
【0029】
特に、本発明による方法を実施するための装置は、取り外しおよび輸送のための部分的装置も含む。
【0030】
特に、個々の加工工程でポリシリコンと接触する、部分的装置の全ての表面は、汚染の少なくない鋼、特に有利に低合金鋼からなる。
【0031】
殊に有利には、取り外しのための部分的装置および破砕工具(例えば、手ハンマー、破砕用シャーレ、破砕用ハンマー、クラッシャージョー(Brechbacken))、光電子式分離装置中のトラフコンベヤーおよびシュートならびにスクリーン被覆(Siebbelaege)は、汚染の少なくない鋼、特に有利に低合金鋼からなる。この材料は、意図した金属汚染を生じ、この金属汚染は、記載された清浄化法により迅速に簡単に必要とされる程度に除去されることができる。
【0032】
この簡単で安価な実施態様およびそれに関連した、分級され細断されたポリシリコン断片のよりいっそう高度な初期汚染にも拘わらず、前記装置は、ドイツ連邦共和国特許第19741465号明細書に記載されたような清浄化法と組み合わされて、全ての大きな画分で半導体品質を有するポリシリコン断片の製造を可能にする。
【0033】
本発明による装置の別の実施態様において、ポリシリコンと接触する全ての装置部材は、汚染の少ない材料からなる表面を有するかまたは汚染の少ない材料からなる。汚染の少ない材料は、特に硬質金属、シリコンおよび摩滅の少ないプラスチックの群から選択された材料である。
【0034】
硬質金属としては、WCが好ましく、特に有利には、製品と接触する装置部材、例えば破砕機の工具(ロール、破砕板、コーン)の硬質金属メッキであり、さらに窒化チタンも硬質金属材料として使用され、摩滅の少ないプラスチックとしては、ポリウレタン、ポリエチレンおよびPTFEが有利に使用可能である。
【0035】
分級されたポリシリコン断片の引続く清浄化は、前記装置と組み合わせて意図的にそれぞれの汚染に適合されなければならない。即ち、前記装置の表面がWC硬質金属からなるような実施態様には、次の組成を有する清浄化が必要とされる:完全脱塩水中のKH2PO43.4質量%、KOH1.3質量%およびK3(FE(CN)6)3.3質量%。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】例2で使用された装置を示す略図。
【図2】例2からの清浄化後のFe測定の結果を示す略図。
【0037】
次の実施例は、本発明をさらに説明するために役立つ。
【実施例】
【0038】
例1
数多くのバッチ量でポリシリコン断片の金属表面値に対する種々の加工工具の影響または種々の汚染する材料の影響を試験した。
【0039】
例1a:ジーメンス反応器からのポリシリコンロッドを、公知技術水準で通常のように、手で汚染が少なくなるように、硬質金属(炭化タングステン)からなるハンマーで一辺が約80mmの断片に細断された(比較例)。
【0040】
例1b:ジーメンス反応器からのポリシリコンロッドを、破砕用シャーレを備えたロール型破砕機により、低合金工具(元素Cr、Co、Mn、Ni、Si、W、Al、Be、Cu、Mo、Nb、Pb、Ta、Ti、V、Zr、P、S、N、CeおよびBの5質量%未満の全合金含量)から一辺が約80mmの断片に細断した。
【0041】
例1c:例1aで製造された断片を、付加的に特殊鋼(クロム18%、鉄63%、Mo2.5%、Ni13.5%、他の元素3%を有するV4A)で擦り、断片の搬送をV4A特殊鋼からなるトラフコンベヤーでシミュレートした(比較例)。
【0042】
例1d:ジーメンス反応器からのポリシリコンロッドを、クロム硬質鋼(クロム10%、鉄89%、他の元素1%)からなる破砕用シャーレを備えたジョークラッシャーにより、一辺が約80mmの断片に細断した(比較例)。
【0043】
上記により製造されたポリシリコン断片の全体量から、それぞれ約80mmを有する20個の典型的な断片を含む試料をそれぞれ抜き出した。金属表面値を表面の化学的剥離および剥離された溶液のICPMS(Inductive-Coupled-Plasma-Mass-Spectroscopy電磁結合されたプラズマ質量分光分析法)での引続く分析により測定した。第1表には、測定の平均値、ひいては次の清浄化での断片の初期汚染が記載されている。
【0044】
【表1】

【0045】
引続き、このポリシリコン断片は、次の処理で清浄化された:
1.前清浄化:25+/−5℃で水と共にHF5質量%、HCl8質量%およびH223質量%を含有するHF/HCl/H22水溶液で20分間の酸洗。シリコンの腐蝕による剥削は、約0.02μmであった。
2.22℃で5分間の洗浄。
3.主要な清浄化:水と共にHF3質量%およびHNO365質量%を含有するHF/HNO3水溶液中での8℃で5分間の腐蝕。腐蝕による剥削は、約12μmであった。
4.22℃で5分間の洗浄。
5.22℃で水と共にHCl8質量%およびH222質量%を含有するHF/HCl/H22水溶液で5分間の親水性化。
6.22℃での洗浄。
7.80℃で等級100の最も純粋な空気での乾燥。
【0046】
この清浄化法で第2表中に記載された金属表面値は得られた。
【0047】
【表2】

【0048】
結果:
例1aの記載と同様に、汚染の少ない材料の公知技術水準から公知の使用は、清浄化後に表面に僅かな金属汚染を有するポリシリコン断片を提供する。都合の悪いことに、この材料は、全ての装置部材(例えば、針状部を備えた破砕用シャーレ)には、技術的に使用不可能である。製造可能である場合には、この種の装置部材は、極めて高価であり、ひいては非経済的である。その上、硬質金属(炭化タングステン)は、第1表中の例1aのための若干高められたタングステン値に明らかであるように処理によって劣悪に溶解される。
【0049】
例1cおよび1dの記載と同様に、ポリシリコン断片を細断するための特殊鋼またはクロム硬質鋼工具の公知技術水準から公知の使用は、清浄化後に高められた鉄および鉄値を有するポリシリコン断片を提供する。従って、上記の清浄化のための細断材料としては、低合金鋼(例1b)、よりいっそう高い硬度および耐蝕性にも拘わらず、例えば(短い)トラフコンベヤーにも不適当である。
【0050】
実際に、5%未満の合金含量を有する低合金工具鋼からなる破砕工具の例1bに記載された使用は、ポリシリコン断片のよりいっそう強い汚染、ひいては清浄化でのよりいっそう高い初期汚染を生じるが、しかし、この汚染は、記載された清浄化によって同じ低い値に減少させることができ、例えばこの汚染は、公知技術水準で公知の汚染の少ない、手での方法での細断の際に達成される(1a)。
【0051】
それによって、例1aとは異なり、清浄化法の本発明による調整の際に、細断され分級されたシリコンならびに細断、運搬および分級のための装置の材料選択に対して安価な機械的細断が可能であり、この場合には、その上、安価で処理技術的に多方面(例えば、ジョークラッシャー)で使用可能な工具鋼を使用することができる。
【0052】
例2
ジーメンス反応器からのポリシリコンロッドを図1に記載の装置によりポリシリコン断片に細断し、種々の大きさに選別し、この場合には、製品中に汚染する全ての装置部材は、例1bの記載と同様に低合金鋼から形成されている。
【0053】
製品と接触する装置部材は、のみ、基盤を形成する、前細断機の半シャーレ、ロール型破砕機の破砕用シャーレおよび被覆、全てのトラフコンベヤーならびに機械的スクリーン中および光空気圧型選別モジュール(optopneumatischen Sortiermodulen)中の被覆である。
【0054】
引続き、こうして製造された、一辺の最大が250mmのポリシリコン断片を、ドイツ連邦共和国特許第19741465号明細書の記載と同様に、清浄化装置中で次の概要で清浄化した:
1.前清浄化:25+/−5℃で水と共にHF5質量%、HCl8質量%およびH223質量%を含有するHF/HCl/H22水溶液で20分間の酸洗。シリコンの腐蝕による剥削は、約0.02μmであった。
2.22℃での5分間の洗浄。
3.主要な清浄化:水と共にHF3質量%およびHNO365質量%を含有するHF/HNO3水溶液中で8℃で5分間の腐蝕。腐蝕による剥削は、約12μmであった。
4.5分間の洗浄。
5.22℃で水と共にHCl8質量%およびH222質量%を含有するHF/HCl/H22水溶液で5分間の親水性化。
6.22℃での洗浄。
7.80℃で等級100の最も純粋な空気での乾燥。
【0055】
"汚染の少なくない"材料(低合金工具鋼)の使用および従来法と比較して100倍以上高い、清浄化への初期汚染(第1表中の例1a対1bのFe値参照)にも拘わらず、意外なことに上記清浄化によって望ましい純度が達成された。種々の時間間隔でそれぞれの無作為抽出検査(=約80mmを有する断片)を既に上記した方法で金属汚染に対して試みた。この測定の結果は、図2に示されている。また、残りの金属汚染は、Feのための図2に示した(半導体に適した)水準であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジーメンス法からのポリシリコンを、細断工具およびスクリーン装置を含む装置により細断し、分級し、こうして得られたポリシリコン断片を清浄化浴により清浄化することにより、高純度の分級されたポリシリコン断片を製造する方法において、細断工具およびスクリーン装置が、引続き意図的に清浄化浴によって除去されるような異質粒子でポリシリコン断片だけを汚染する材料からなる、ポリシリコンと接触する表面を例外なく有することを特徴とする、高純度の分級されたポリシリコン断片を製造する方法。
【請求項2】
ポリシリコンと接触する、ポリシリコンの破砕、搬送/輸送、および分級に使用される全ての装置の表面が例外なく1つの材料から形成され、この材料が分級されたポリシリコン断片の次の清浄化で簡単に完全に、分級されたポリシリコン断片から除去される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
材料は、摩滅の少ないプラスチック、特殊鋼、硬質金属、低合金鋼、中合金鋼、高合金鋼、セラミック、石英およびシリコンの群から選択される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
材料は、5質量%未満の合金含量を有する低合金鋼、5質量%以上で10質量%未満の合金含量を有する中合金鋼、10質量%以上の合金含量を有する高合金鋼、硬質金属およびシリコンの群から選択される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
材料は、5質量%未満の合金含量を有する低合金鋼である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
清浄化浴は、化合物の弗化水素酸、塩酸および過酸化水素を含有する酸性清浄化溶液での少なくとも1つの段階での前清浄化、硝酸および弗化水素酸を含有する清浄化溶液での他の段階での主要清浄化、および酸性清浄化溶液での他の段階によるポリシリコン断片の親水性化を含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
ポリシリコンの破砕、搬送および分級に使用される、全ての部分的装置の表面が例外なく、分級されたポリシリコン断片の次の清浄化で簡単に完全に除去されうる材料から形成されていることにより、ポリシリコンの破砕、搬送、分級および清浄化のための部分的装置を含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法を実施するための装置。
【請求項8】
前記装置が、破砕装置中への粗大なポリシリコン断片の供給装置、この破砕装置、この破砕装置から選別装置への搬送装置およびポリシリコン断片を分級するための選別装置を含む、請求項7記載の装置。
【請求項9】
破砕装置が、ロール型破砕機またはジョークラッシャー、有利にロール型破砕機、特に有利にシープスフートローラを含む、請求項8記載の装置。
【請求項10】
選別装置が、多段階の機械的スクリーン装置と多段階の光電子式分離装置とからなる、請求項8または9記載の装置。
【請求項11】
前記装置が前細断機を含む、請求項7から10までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
ポリシリコンと接触する全ての装置部材が汚染の少なくない材料、例えば鋼、有利に低合金鋼からなる表面を有する、請求項7から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
ポリシリコンと接触する全ての装置部材が汚染の少ない材料からなる表面を有する、請求項7から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
汚染の少ない材料が硬質金属、シリコンおよび摩滅の少ないプラスチックの群から選択されている、請求項13記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−544564(P2009−544564A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522203(P2009−522203)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057238
【国際公開番号】WO2008/012215
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】