説明

高靱性ポリオレフィンシート

圧伸による引き続く加工により高靱性、高配向ポリオレフィンシートを形成するのに適した、凝集した事実上最高密度のポリオレフィンを製造する方法であって、下記を含む該方法:
a)計量した量のポリオレフィン粉末を、2つの逆方向に回転する加熱したカレンダーロールの間のニップに供給し;
b)該粉末を、ポリオレフィンシートの凝集した最高密度のシートが生成するまで該ニップを通して圧延し;そして
c)凝集したポリオレフィンシートが一旦、該ニップを出ると、該ニップ内の温度を調節して、特定の靱性及び伸長性を得る。かかる方法を行うための装置もまた記載される。かかる方法は、別個の費用のかかる圧縮ステップの必要性を除くだけでなく、高い融解熱を有する高靱性、高配向ポリオレフィンシートを製造するための従来の工程に従って圧伸する準備ができた、凝集したポリオレフィンシートを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾道応用に適した超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)及び他の高分子量ポリオレフィン材料に関し、更に特定的にはそれらの製造のための新規且つ非常に経済的な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、即ち、約2百万を越える分子量を有するポリエチレン、の加工は、ポリマー業界で非常に難しいことが知られている。しかしながら、かかる材料から作られた製品は非常に強くそして耐久性がある。
【0003】
コバヤシ外により出願され、日本油脂株式会社に譲渡された下記の一連の米国特許の中に、一般にポリオレフィン、特定的にはUHMWPEの繊維及びフィルムの製造に関する多くの発明が記載されている:特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6。これらの特許に記載された方法は一般に、ポリオレフィン粉末を、上向き及び下向き(up and down)の対抗する関係に配置したエンドレスベルトの組み合わせの間に供給し、該ポリオレフィン粉末を該エンドレスベルトの間でその融点未満の温度で圧縮成形し、そして得られた圧縮成形ポリオレフィンを、配向したフィルムに圧延(rolling)及び延伸(stretching)することによる高強度且つ高モディラスポリオレフィンフィルムの連続製造を記載する。圧縮成形するので、これらのシートは比較的脆く、従って非常に良好な強度と耐久性を示す配向フィルムを与えるには引き続くカレンダリング(calendering)又は圧伸(drawing)操作を必要とする。事実、これらの方法で製造したかかる材料の強度は、重量を基準として鋼の3倍であることができ、そしてそれらは非常に低いクリープを奏する。
【0004】
かかる材料の製造のための向上された方法も、下記の米国特許及び2005年9月1日出願の米国特許出願に記載されている:特許文献7、特許文献8。
【0005】
これらの従来方法の全てに共通した要素は、製造工程の初期のステップでUHMWPE粉末の圧縮を必要とすることである。今まで、かかる粉末の圧縮は材料を、参照した従来技術に記載されたように引き続き圧延及び圧伸できるような形態に材料を置くためには、かかる粉末圧縮が必要というのがUHMWPE製造界の考えであった。別に述べられているのは、引き続く圧延及び圧伸ステップを含む方法で製品を製造して、弾道的に有用なUHMWPEの製造に要求される配向を得るには、粉末をまず、かかる引き続く圧延及び圧伸工程で首尾よく加工できる充分な靱性を示すシートの形態に置かなければならないという考えであった。従来技術ではかかる形態は、粉末を、引き続く加工のために圧延に導入できる比較的脆いシートに圧縮することにより得ていた。
【0006】
この圧縮工程ステップの性能は、特に幅1〜2インチより広いUHMWPEシートの製造では、比較的大きく、極めて複雑で、そして非常に高価な設備(設置されたかかる設備は百万ドルにのぼる)の使用を必要とする。従って、かかる設備は設置に高レベルの資本出費を必要とし、そしてその複雑さのために高い操作費用と維持費用を必要とする。
【0007】
Knoppによる、1984年3月13日に発行された特許文献9は、ポリマー粉末を最高密度の(fully dense)生成物に圧縮する方法を記載する。この特許によると、ポリマー粉末をホッパーから2つのロール間のニップに供給し、そこで該ポリマー粉末の融点未満の温度で圧縮し、該ニップから張力下で引き抜いて、「最高密度の」ポリマーシートを形成する。Knoppによると、彼の方法をUHMWPE粉末に適用した場合、得られるシートは約0.82g/ccの密度を有し、これを彼は「実質的に最高密度」と云う。UHMWPEの密度は0.945g/ccを越えるオーダーであることが良く知られている。従って、Knoppの方法の生成物は殆ど「最高密度」でなく、カレンダリング又は圧伸による更なる加工に適さない。何故なら、該生成物はかかる加工に付した場合、引き裂かれるか破壊するであろうからである。
【0008】
従って、かかるUHMWPE材料、特に2インチより広い幅のUHMWPE材料、の製造者にとって、粉末圧縮ステップをずっと簡単で、小さくそして安価な第1工程ステップに置き換えることができ、しかも製造された製品に悪影響を及ぼすことないか又は該工程の動力学に著しく影響しないなら、即ち、例えば非経済的な速度になるまで遅い製造にならないならば、非常に有益であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,996,011号
【特許文献2】米国特許第5,002,714号
【特許文献3】米国特許第5,091,133号
【特許文献4】米国特許第5,106,555号
【特許文献5】米国特許第5,200,129号
【特許文献6】米国特許第5,578,373号
【特許文献7】米国特許第7,348,053号
【特許文献8】米国特許出願第11/217,279号
【特許文献9】米国特許第4,436,682号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、前に記載した圧縮ステップの必要を除き、そしてずっと費用的に有効でより簡単な工程を、引き続く圧伸(drawing)による加工を受けることができる高靱性UHMWPEシートの製造に使用する、UHMWPEシートの向上された製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、圧伸による引き続く加工により高靱性、高配向UHMWPEシートを形成するのに適した、事実上最高密度のポリオレフィンの製造方法であって、下記を含む該方法が提供される:
a)計量した量のポリオレフィン粉末を、2つの垂直に積まれそして加熱されたカレンダーロールの間のニップに、該ポリオレフィン粉末を該2つの加熱されたカレンダーロールの最上部の頂点に適用することにより供給し;
b)該粉末を、ポリオレフィンシートの凝集シートが生成するまで該ニップを通して圧延(rolling)し;そして
c)凝集ポリオレフィンシートが一旦該ニップを出ると、特定の引張(tensile)性及び伸長(elongation)性を得るために該ニップ内の温度を調整する。かかる方法を行うための装置も記載される。かかる方法は、別個の費用がかかる圧縮ステップの必要性を除くだけでなく、高い融解熱を有する高靱性、高配向ポリオレフィンシートの製造のために従来方法に従って圧伸する準備ができた凝集ポリオレフィンシートを生成する。本発明の好ましい態様によると、選択するポリオレフィンは超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来技術の製造工程の概略図である。
【0013】
【図2】本発明の好ましい方法の圧伸部分を実施するのに使用される装置の好ましい態様の概略図である。
【0014】
【図3】本発明の一態様に従って凝集UHMWPEシートを生成するために使用される装置の概略側面図である。
【0015】
【図4】本発明に従って凝集UHMWPEシートを生成するために使用される装置の別の好ましい態様の概略側面図である。
【0016】
【図5】本発明に従って凝集UHMWPEシートを生成するために使用される装置の更に別の代替の好ましい態様の概略側面図である。
【0017】
【図6】本発明に従って凝集UHMWPEシートを生成するために使用される装置の更に別の代替の好ましい態様の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の記述において、操作パラメータ、材料の性質等は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)のものの内容で表したが、本願に記載した発明は他のポリオレフィンポリマー、例えば高分子量ポリプロピレン、に、材料及び工程条件を他のポリオレフィン材料に適したものに賢明に選択することにより、容易に適用可能であることが、ポリマー分野の当業者に容易に理解されるであろう。
【0019】
本願で使用する用語「テープ」とは、約1/2インチ又はそれ以上、好ましくは1インチを越えるオーダーの幅を有する製品を云う。本願で使用する用語「繊維」とは、「狭い」テープ、即ち約1/2インチよりも狭い要素を定義することを意味する。用語「スリットフィルム繊維」とは、詳しくは「繊維」、又は一般に長方形の断面を示し、そして滑らかな、即ち非のこ歯状又はでこぼこでない縁を示す、本発明に従って製造された狭いテープを云う。本願で使用する用語「シート」及び「フィルム」とは、160インチまで又は160インチをこえる幅の、かかる幅の製造に特定的に設計された大きい商業用設備で製造することができる、本発明の材料の薄いセクションを云うことを意味する。好ましい態様によると、かかるシート及びテープは一般に長方形の断面と滑らかな縁を有する。従って、本願に記載される工程の製品を記載するのに使用される「テープ」と「スリットフィルム繊維」と「繊維」と「フィルム」と「シート」との間の基本的相違は、その幅に関し、そして一般にその厚さとは独立している。
【0020】
ここで図1を参照すると、従来技術に記載されそして図1に概略的に描かれた工程は、ポリオレフィン粉末を、上及び下の対抗関係に配置されたエンドレスベルトの組み合わせの間に供給し、該ポリオレフィン粉末をその融点未満の温度で該エンドレスベルトの間で圧縮し、そして次に得られた圧縮成形したポリオレフィンを配向フイルムに圧延及び圧伸することによる高強度且つ高モジュラスポリオレフィンフイルムの連続製造を含んだ。本願に記載した変更工程に関連する範囲で、米国特許第4,996,011号,第5,002,714号,第5,091,133号,第5,106,555号,第5,200,129号、及び第5,578,373号に含まれる前述の従来技術の記述を、参照用にそれらの全体を本願に含める。
【0021】
従来技術の方法と本発明の方法との主な相違は、本発明が圧縮ステップ及びそれに関連する高費用の必要性を全く取り除くことである。従って、本願に記載の方法は、以後に記載するように、加熱されたポリオレフィン粉末を一対の加熱された、逆方向に回転するカレンダーロールに、非常に特定的な温度及びギャップ(間隙)条件下で導入することから始まり、ポリオレフィンを配向させそして弾道的に有用な高靭性、高配向ポリマー材料を生成するために、引き続き更に圧伸するのに適した凝集ポリオレフィンシートを生成する。
【0022】
本発明の好ましい態様によると、本発明の方法に従って加工されたポリオレフィンは、高結晶度(示差走査熱量計で測定して約80%を越える)、220ジュール/グラム又はそれ以上の融解熱、及び低レベルのからみ合いを示すUHMWPEである。従って、投入出発材料UHMWPEはこの程度の結晶度及び融解熱を有し、そして前に述べた低いからみ合いの要件に合うのが好ましい。ティコナエンジニアリングポリマー(Ticona Engineeing Polymers)、ミシガン州48236、アウバン ヒル、2600アップダイク ロード、からのTiconaX−168、及びバーゼルコーポレーション(Basell Corp.)、デラウェア州19808、ウィルミントン、2801センタービル ロード、からのtype1900CMのような市販材料が、本発明の首尾良い実施に有用である。
【0023】
添付図面を参照すると、図3に描くように、本発明の方法で最初のステップは、直接圧延装置10を利用し、該装置10はポリマー粉末ホッパー12を含み、該ホッパー12は計量した量のポリマー粉末14を振動シュート16に、計量器具18を介して供給し、従って封じ込めプレート20に供給する。封じ込めプレート20で、該粉末は、矢印26及び26Aで示される方向に回転する、2つの逆方向回転加熱カレンダーロール24及び24Aの間のギャップ22に導入される。好ましくは赤外ヒーターであるヒーター27は、以下に更に十分に記載するように、粉末14に熱を与える。ヒーター28は、振動シュート16内の粉末14から約2〜約8インチ上に位置するのが好ましく、そして約160〜220゜Fの間の温度に設定するのが好ましい。これらの距離及び温度は勿論、加工される特定のポリマー粉末14及び使用するヒーターのタイプに依存して可変であるが、好ましいUHMWPEの加工に適することが見出された。粉末14が振動シュート16を封じ込めプレート20上にまで滝のように降りるにつれて、該粉末はギャップ22に引き込まれる地点まで蓄積する。
【0024】
本発明の一側面の好ましい態様によると、直接圧延工程の始まりで、ギャップ22を個々のポリマー粉末粒子の最も小さいサイズよりも狭く設定する、例えば約50μに設定する。ギャップ22は勿論、ポリマー粉末14の最小粒子サイズが50μよりも大きい場合は広げてもよい。この場合、首尾よい実施は、好ましくはロール24及び24Aを、ギャップ22をポリマー粉末14の最小粒子サイズ未満に設定した場合、より高い初期温度に加熱することにより遂行される。同様に、本願に記載する直接圧延工程の始まりで、加熱カレンダーロール24及び24Aはポリマー粉末14の融点より高い温度に加熱するのが好ましい。この融点は加工される特定の材料に依存するであろうが、本願のどこかで記載される好ましいUHMWPE出発材料の場合、この初期温度は約149℃又は該好ましいUHMWPEの融点より約3℃高い温度である。より低い温度は勿論、より低い融点のポリオレフィン材料には適当であることができる。この点で、粉末14の圧延が開始される。ポリマーの凝集シート28がギャップ22から現れ始めると直ぐに、カレンダーロール24及び24Aの温度をポリマー粉末14の融点より低くし、そしてギャップ22を凝集シート28の最終製品厚さに望ましいギャップに増大させる。本願で使用される用語「凝集シート」("coherent sheet")は、引裂き、ほころび又はその他の追加の加工に使用できなくなることがなく、圧伸による更なる加工に適したポリマーシートを規定することを意味する。全ての実際的な目的のために、かかるシートは実質的に密度が最高で、例えば本願に記載した好ましいUHMWPE材料の場合、約0.945g/ccより大きい密度を有する。本願のどこかで記載した好ましいUHMWPE粉末14には、操作温度(凝集シート28の形成後の温度)は、約136〜約144℃の範囲、好ましくは約139℃と約141℃の間であり、そして操作ギャップは100μから230μのオーダー、好ましくは約140μである。本願で述べる初期温度及び操作温度は必ずしもニップ22内のポリマー粉末/シートのための設定点ではなく、むしろ加熱カレンダーロール24及び24Aの表面温度であることに留意されたい。
【0025】
今記載した装置の操作速度は加工される特定のポリオレフィンにより変化するであろうが、上記の好ましいUHMWPE材料を使用して、毎分約1.9〜約4.0メートルの間の開始圧延速度が受け入れられることが見出された。装置の定常状態操作は一般に、毎分約2.0メートルと約12.0メートルの間の範囲にある。これらの操作速度は主として、人が凝集シート28を取り出す能力及び加熱カレンダーロール24及び24Aのサイズに基づくことに留意されたい。何故なら、一層大きいロールは一般に、ニップ22内でポリマーと接触する表面を増加させる傾向があるからである。従って、下流の操作又は取出し装置により速い速度が可能であるなら、又は一層大きい直径のロールが使用されるなら、今記載した直接圧延工程に一層高い操作速度が可能である。
【0026】
今記載した方法の製品は実質的に密度が最高でそして半透明なUHMWPEシート、即ち、密度約0.95〜約0.98g/ccを有するUHMWPEシートである。
【0027】
図3に描かれた装置は全く満足な製品を生成するが、図4−6に描いたような供給システムのある種の変更をして、同等の満足度を得ることができ、そして幾つかの事例で以下に記載するように、更に改良された結果を得ることができる。以後に論じるように、ロールの温度及び上記ニップのギャップのようなある種のプロセスパラメータは、これらの代替の供給システム構成を使用した場合、変えることができるが、そうでなければ工程及び装置は本質的に上記の通りである。
【0028】
本発明の方法を実施するために使用する装置を本願では水平に向いたように描いたが、該工程は、垂直の構成、即ち、図5及び6に関連して以下に更に詳細に記載するように、ポリマー粉末を2つの水平方向に平行なカレンダーロール24及び24Aの間のギャップ22に供給する構成、で同等に稼動するであろう。この別の配向において、粉末14は水平方向に平行なカレンダーロール24及び24Aの上に位置する加熱ホッパーから計量されて、粉末24が上方からギャップ22に供給されそして製品シート28がギャップ22の下から引き出される。他の全ての操作手順、即ち、温度制御及びギャップ設定の変更は同じままである。
【0029】
本発明の首尾良い実施には厳密でなく、そして加工される特定のポリオレフィンに依存して明らかに変わるが、約4〜約8RMSのロール表面粗さが、本願に記載した好ましいUHMWPE材料の加工に適することが見出された。
【0030】
今度は、本発明の代替の工程の首尾よい実施に有用な代替の装置70の概略側面図を描く添付の図4を参照すると、この態様によるロール24及び24Aは、図2に関して前に記載した垂直とは対照的に、水平に配向している。以下の記述に使用されるように、図4に示された参照番号で指示される下記の用語は下記の意味及び目的を有する:ドクターブレードギャップ74は、ロール24及び24Aの上に横たわりそして最終的にニップ76に導入されるポリマーの量を制御する。図4に示される水平ロール配置には、該ロール上に横たわるポリマーの質量(量)は、シートとしてニップ76を出る質量(量)に等しくなければならない;(上記横たわるポリマーの質量がもっと多いと、該ポリマーはニップ76の上に蓄積しそして最終的には廃棄物として側部にこぼれるか、又は高いニップ圧力を生成し、ロールギャップは強制的に開かれそして/又はロールを回すのに必要なロールトルクが機械部品を破壊するか駆動モータを失速させるであろう);ロールニップ又はロールギャップ76は、向かい合うロール24及び24Aの間の最も近い距離である(これは、圧延されたシートの厚さを制御する主なパラメータである);ロールニップリザーボイア(貯め池)78はロールニップ76の丁度上にあるポリマーの最も小さいリザーボイアである(水平配置において、該ポリマーは両方のロールに接触し、そして両方のロールからの摩擦及び圧縮により該ニップに入れられ、一方、前述の垂直配置では、材料は、主としてロール24A上に静止し、そして多すぎる粉末が存在すると、退いて(fall back out of)ニップ28から出るので、自己調節性である。
【0031】
図4に描いた態様によると、ポリマー14はホッパー80から供給され、該ホッパー80は、ホッパー80からのポリマー14の流れを制御するのを助けるホッパーゲート82を含む。以下に記載するように、ポリマー14の加熱は、ポリマー14がロール24の周辺部86と接触しそして該周辺部上で回転するにつれて行われるので、ホッパー80は加熱されないのが好ましい。ただし、ポリマー14がホッパー80に滞留している間、少量の熱をポリマー14に付与でき、そしてかかる最少量の熱の付与、即ち、ポリマー14の融点より著しく低い温度(例えば、前述の「垂直」工程で使用した160゜Fから220゜Fの予備加熱温度より低い)が、添付の特許請求の範囲でホッパー80を記載するのに使用される用語「非加熱」の意味の範囲として考えられるべきである。ドクターブレード84は、ホッパー80からロール24へのポリマー14の流れを調節し、該ロール24から該ポリマーはロール24の周辺部86の周りをロールニップリザーボイア78に輸送される。絶対的に必要ではないが、ドクターブレード84は振動するのが好ましい。ドクターブレード84の設定は、ロールニップリザーボイア78中の粉末の量、ロールニップリザーボイア78の水平な最端(extremes)での粉末の存在及び存在する場合はその量、及び該ロールの間の力を検出するセンサー(図示されていない)により決定される。かかる器具の設計、製作及び操作は当業界の熟練者によく知られ、従って、本願では詳細に記載しない。凝集シート、テープ、リボン、フィルム又は繊維28は、上記の「垂直」工程の場合のように、ロールニップ76から出てくる。
【0032】
今記載した装置の操作をより良く理解するために、ドクターブレード84の役割及び操作を理解することが重要である。ドクターブレードギャップ74は、ロールニップ76に送達されるポリマー14の量を制御する。ロールニップギャップ76はロールニップリザーボイア78から除かれたポリマー14の量を制御する。ロールニップリザーボイア78は、このバランスを維持するためのフィルターとして作用するだけでなく、材料をロールニップギャップ76に押し入れる手段としての役目を果たす。ポリマー14がドクターブレードギャップ74から、除かれるよりも速い速度で送達されるなら、ロールニップリザーボイア78はあふれるか、又は非常に大きくなって、ロールニップ76内の圧力はロールニップ76を開き、機械部品を破壊し、又は該モータをエンストさせるであろう。ポリマー14が供給されるよりも速くロールニップリザーボイア78を出るなら、圧延されたシートはポリマーが不十分で、空隙を有するであろう。
【0033】
ドクターブレードギャップ74及びロール速度はニップ76に送達されるポリマー14の量を制御する。ロール24A上のレイダウン(laydown)は、ロールニップリザーボイア78の存在により、従来技術のコバヤシの2重ベルト工程で要求されるように均一である必要はない。このように、ロールニップリザーボイア78は、少量のリザーボイアとして役立ち(該レイダウン中のピークと谷間は蓄積されそして再分配される)、そしてまた、ポリマー14が少し程度脇に動くのを許す。
【0034】
同様に、ロールニップリザーボイア78の機能を十分に理解するのが重要である。所定のロールギャップ76について、製品厚さはかなり狭い範囲内にとどまるであろう。ロールニップ76の上方のロールニップリザーボイア78の高さは、どれだけ多くのポリマー14がロール24及び24Aと接触しているかを決定し、そしてロール24及び24Aの直径も機能を果たす。ロール24及び24Aが回転すると、ポリマー14はロールニップ76により近くされ、ポリマー14の密度は、該ポリマーがロールニップ76に近づくにつれて、いくつかの地点でポリマー14の最大密度に達するまで増加する。ロールニップリザーボイア78内のポリマー14の容積がより大きいと、ポリマー14は、矢印26及び26Aで示される該ロールの回転のより早い時期にその最大密度に達する。ロールニップリザーボイア78内のポリマー14の量が少なすぎると、ポリマー14はロールニップ76に入れられ、そしてコンパクトなシートに圧縮されるが、該ポリマーがロールニップ76に近づくにつれて、該シートは、ロールニップ76の中心内の、該ロール間の最も近い地点で又はその近くで最終的に圧延される前には、決して完全密度に達しない。言い換えると、所定のドクターブレードギャップにおいて、ある量のポリマー14はロール24上に置かれる。ロール速度はこの材料がいかなる速度で回転されそしてロールニップ(ギャップ)76に供給されるかを決定する。しかしながら、この点で、バランスの問題となる。出る圧延されたシートは所定の厚さと強度を有するのが望ましい。ポリマー14がロールギャップ76に不十分な量で送達されそしてロールギャップ76が一定に維持されると、ロールニップリザーボイア78は部分的に空になり、そしてシート密度は落ちるであろう。低い密度は初めに強度の損失として現れ、次いで、製品をより不透明にするに十分な大きさの空隙として現れるであろう。ポリマー粒子に不十分な圧力が加わるので、該粒子は互いによく結合せず、そしてこの結合強度及び圧縮が降下すると、ポリマー14の強度は増加する空隙と共に降下するであろう。
【0035】
本発明の首尾良い実施に絶対的に必要ではないが、ポリマー14がドクターブレード84に対して横方向に動くのを制限するために、側部又は端部ダム(添付の図面には示されていない)を使用するのが望ましい。
【0036】
ロール24及び24Aのサイズ(直径)、仕上げ及び速度は広範囲に変化することができるが、これらの要素のある種のパラメータは本発明の態様の首尾良い実施に特に有用であることが見出された。直径9及び12インチのロールが特に有用であることが見出されたが、ある最低圧力がロールギャップ76に維持されれば、もっと大きい又は小さい直径が使用できる。より大きいロールを用いると、ポリマー14は周辺部86と接触して回転するので、該ロールとポリマー14との接触時間が長くなるため、増加した速度が可能である。直径約12インチのロールについては、約1m/分から約12m/分までの速度が可能であるが、約1m/分から約3m/分の間の回転速度が満足であることが見出され、約2.3m/分の回転速度が、加工されるUHMWPE材料を用いて非常に望ましい結果を生じることが見出された。類似のUHMWPEポリマーを加工する他のロール直径についての速度条件は一般に次の通りである:15”直径ロール(周囲1.2メートル)については、約2.88m/分の速度が非常に望ましい;そして24”ロールについては、最適速度は4.6m/分に近づく。
【0037】
ロール表面は硬くそして良好な摩耗及び摩滅特性をもたなければならない。該表面は該ポリマーがロールニップ76に一貫して動くように、一貫して滑らかでなければならない。1−15RMSの範囲(range)内のクロム表面が好ましい。該表面のマーキング及び変色は工程性能に影響力を有する。該ロール表面が変色を示すと、幾分熱移動が起こる。これは製品に少しのマークを残し、最悪の場合は弱いスポットを残す。
【0038】
再び、ロールギャップ76は加工されるポリマーに依存して広範囲に変化することができるが、厚さが約0.05〜約0.25mmの範囲のUHMWPEシートをこの態様に従って製造するために、ロール24及び24A等の直径、約0.015及び約0.35mmの間のロールギャップは本願で特定したサイズのロールを用いた場合に満足であることが証明された。これらの範囲は単に指針と考えるべきで、より広い又はより狭いロールギャップが、前に記載した種々のパラメータ、特にロール直径、に依存して必要又は望ましいであろう。
【0039】
前述の垂直ロール工程と同様に、ある種の開始パラメータが望ましいが、加工されるポリマー材料に依存して、絶対的に必要なわけではない。1つの好ましい態様によると、開始時に該ロールを、加工されるポリマーの融点より約1〜約5度高い温度に加熱し、そして該ロールギャップを、前に示唆した操作ロールギャップよりも約20〜約50ミクロンだけ小さく設定するのが好ましい。操作条件下で、UHMWPEの加工のために、該ロール温度は約130℃から約150℃の範囲、好ましくは約132℃から約143℃の範囲、そして最も好ましくは約136℃から約140℃の間とすべきである。これらの開始条件は本願で論じたある種のUHMWPE材料に好ましいが、それらは厳密でなく、多くの場合、開始時における該ギャップ及び温度要件は操作中に使用される該要件と類似する。例えば、ある場合、約1〜約4メートル/分の間のロール速度で、約130℃から約146℃の間の温度が満足であり、約136.5℃から約142℃のより狭い温度範囲が望ましい。開始時のロールギャップは一般に操作条件で使用されるものとほぼ同じ、即ち、本願に記載した材料及び条件を用いて約0.015から約0.35mm、であろう。しかしながら、出願人は、特定の狭い開始時条件及び操作条件に拘束されることを望まない。何故なら、それらは加工される材料、望ましい製品シート厚さ、ロール温度、ロール速度、ロールサイズ、ロール仕上げ等に依存して非常に広範囲に変化するであろうからである。
【0040】
当業者に明らかなように、1対の鏡像ホッパー80、及びドクターブレード84配列を使用して凝集シート28を得るのは、本願に記載した「水平」工程の自明な変更であろう。かかる装置70の変更は、より高い操作速度を得る結果となることができる。
【0041】
丁度前に記載した代替工程の一つの非常に著しい利点は、有用な出発材料/ポリマーの範囲を幾分広げることである。丁度記載したこの「水平」工程を使用して、分子量が100万の低く、約190ジュール/グラムの低い融解熱を示し、そして同時に低い結晶度を示すUHMWPEポリマーが、上記の「垂直」ロール工程及び米国特許第7,348,053号に記載された変更コバヤシ工程に従って製造した材料のものに類似した性質を示す、耐弾道性且つ高耐衝撃性のシート、リボン、テープ、フィルム及び繊維に首尾よく加工された。
【0042】
図5に示す変更した代替の好ましい供給システム装置130において、ロール24及び24Aの垂直配置は本質的に図3に示す通りである。この図に示されるように、該供給システムは、ホッパー、又は他のUHMWPE若しくは他のポリマー12の源であって、ポリマー粉末14の流れを輸送シュート16に計量して入れる該ホッパーを含む。該輸送シュート16は計量した量のポリマー粉末14を送達するために振動シュート、スクリュードライブ等を含み得る。この供給システムと図3に関連して記載した供給システムとの相違は、ポリマー粉末14を、加熱したカレンダーロール24及び24Aの間のニップ又はギャップ22に直接供給する代わりに、ポリマー粉末14をトップロール24の頂部132の近くに制御可能に適用し、該ポリマー粉末は該トップロール24からトップロール24の表面134上で、加熱したカレンダーロール24の回転方向である矢印26により示される方向に引かれることである。該加熱したカレンダーロール24の表面上のかかる輸送のために、加熱したカレンダーロール24は、適用したポリマー14がその初期融点、即ち、示差走査測熱法(DSC)により測定して検出される融解の開始温度、又はその近くの温度に維持しなければならない。この温度は勿論、導入されるポリマー粉末14、及び該粉末が融解の開始を示す温度に依存して非常に広範囲に変化することができそして変化するであろう。図5及び6に描いた態様では、開始は、所望の凝集ポリマーシート製品28の厚さを生じるのに必要な深さに設定したギャップ22を用いて行うのが好ましく、上記の代替の供給システムに特定した最小のギャップ設定とは区別される。ポリマー粉末が頂部132に適用され、そしてロール24は、ポリマー粉末14が融解の開始又は開始の近くである温度になるように設定されるので、より広いギャップ設定を開始時に使用し得る。何故なら、表面134の周りを移動するので既に「軟化され」ているポリマー粉末14は、「塊になる」か又は「濃厚になる」傾向があり、ギャップ22をポリマー粉末14の最も小さい粒子の深さよりも大きい深さに設定しても、ギャップ22を通過するときに適当な厚さのシート形状を形成する傾向があるであろうからである。ロール24上のポリマー粉末14の一休み(laydown)は、頂部132でのロール24の幅にわたって正確である必要はない。何故なら、ポリマー供給が凝集シート28の幅要件に従ってそしてそれに関連して与えられる限り、ポリマー粉末はニップ又はギャップ22に沿って再分配して所望の幅のシートを形成する傾向があるからである。
【0043】
今度は図6を参照すると、この図面に描かれた供給システムは、ポリマー粉末14の計量した量を供給するための計量機構、例えばスクリュードライブ又は振動シュート136、を含み、該ポリマー粉末のロール24の頂部132の近くへの適用(塗布)は、ポリマー粉末14の適用層の厚さを制御するドクターブレード138の使用により制御される。そうでなければ、該装置は図4及び5に描いた装置と同様である。
【0044】
前にそれとなく記載したように、ロール24をDSCで測定して、加工される特定のポリマーの融解開始時の温度又はその近くの温度に維持するのが本発明の首尾良い実施に重要である。従って、例えばUHMWPEポリマーは約130℃と約145℃の間の温度で加工できる。融解開始点より約12℃低い温度から、融解開始点より約8℃高い温度までの、本願に描いた種々の態様におけるロール24の操作温度は、多様のUHMWPE粉末に有用であることが証明された。特定のポリマーについては、融解開始点より約8℃低い温度から、融解開始点より約4℃高い温度までの範囲の操作温度が好ましく、最も好ましいのは、加工される特定のポリマーについて、示差走査測熱法で測定して、融解開始点より約2℃高い温度から、融解開始点より約2℃低い温度までの範囲の操作温度である。図4及び図5に描いた装置の操作速度は一般に、前述の図3に描いた装置の操作速度と同様である。加工される特定のポリマーについて、DSCで測定して、融解開始点から約+1℃〜約−1℃の開始温度、好ましくは約+1/2℃〜約−1/2℃の範囲内の開始温度が特に好ましいが、本発明の首尾良い実施に不可欠ではない。
【0045】
図5及び6に関連して述べた装置及び工程の使用の主な利点は、丁度記載した配置及び工程を使用して、著しく高い引張り値(+約10%)が得られることである。
【0046】
非常に有用なUHMWPE弾道シート、フィルム、テープ又は繊維を得るための凝集シート28の後期加工は、2008年3月25日発行の米国特許第7,348,053号に記載された方法及び装置と殆ど同じ方法及び装置で行われる。即ち、凝集シート28を圧伸することにより行われ、該特許はその全体を本願で参照されそして含められる。
【0047】
今度は図2を参照すると、丁度記載したように製造された凝集シートの厚さを低減するために利用され、本発明の好ましいUHMWPE製品10を生成する圧伸装置は、下記を含む:
巻出装置(payoff)42、加熱したゴデットロール16(製品をアニールするため)及びライン中に張力を設立しそして維持するためのニップロール48を含むゴデットスタンド44、第1圧伸ゾーン50、第1直列張力センサー52、第2ゴデットスタンド54、第2圧伸スタンド56、第2直列張力センサー58、第3ゴデットスタンド60、及び好ましい態様によると、フィブリル化ユニット62、張力を維持するためのニップロールスタンド64、及び加熱していない取出しロール68を含むゴデットステーション66。図1から分かるように、この工程の投入又は出発材料は一般に、従来技術の製造工程の圧縮ステップの厚い、圧縮されそして圧延されたが配向されていない製品である。本発明の好ましい方法によると、以下に記載する圧伸/カレンダリング工程ステップにおける投入又は出発材料は、勿論、上記の工程でギャップ22から出てくる凝集シート28である。
【0048】
直前に記載しそして本発明の首尾良い実施に使用される装置の要素の各々は、フィルム及び繊維圧伸技術で良く知られ、直前に記載したタイプのラインにおける組合せである。従って、かかるラインの詳細な記載は必要でないか又は本願でなされていないが、読者は当業界で通常入手可能なかかる装置の多くの設計マニュアル及び記載を参照されたい。
【0049】
圧伸中に約0.5〜約5g/デニールの間、好ましくは約0.8〜3g/デニールの間の一定の張力を維持することもまた、本願に特定された、要求される「厚さ」及び他の向上した性質を有する製品の製造に重要である。本願で使用される用語「デニール」は、9000メートルの製品フィルム、テープ、シート又は繊維の重量gと定義される。0.5g/デニールより低い張力では、意義ある圧伸又は厚さ低減が得られず、一方、約5g/デニールを越える張力では、該材料は分離する傾向があるであろう。圧伸の場合、張力は供給ポリマーの関数でありそしてそれに依存して広く変わることができ、直前に特定した範囲は特定の好ましいUHMWPE市販出発材料に有用であることが見出された範囲を示す。
【0050】
圧伸及びカレンダリング中に達成される総低減率は一般に、再び投入原料及び製品が適用される最終用途に依存して、約50:1と約170:1の間又はそれ以上であろう。かかる全圧伸及びカレンダリングは、組合された工程ステップの各々により達成される個々の各低減率の複合として計算される。
【0051】
本発明の非常に好ましい態様によると、圧伸は、前に記載したように、直列で直接圧延を用いて行われる。かかる連続工程において、カレンダーロール24及び24Aは圧伸装置70の巻出装置72となる。かかる配置は本発明の新規な製造方法を実施するための非常に効率的な方法を与える。
【0052】
直前に記載した加工パラメータに従って、図2に示す装置内での圧伸により厚さを低減させた後、このようにして製造されたUHMWPEフィルム、シート、繊維又はテープは、約243ジュール/グラム又はそれ以上の融解熱、約18〜20g/の範囲の靭性、約1200〜約1800g/dの引張弾性率、及び約1.6〜2.0パーセントの範囲の伸び率を示す。
【0053】
本願の記述は殆ど、高度に配向したUHMWPEシートの製造のための方法及び装置の有利な付属物の内容で表したが、記載した実施及び装置はポリプロピレン及び低分子量ポリエチレン、例えば800,000及びそれ以上の範囲の分子量を有するポリエチレン、のような他のポリオレフィンの製造にも容易に採用できることが容易に明らかであろう。
【0054】
凝集ポリオレフィン、好ましくはUHMWPE、のシート、及び高靭性、高配向ポリオレフィン、好ましくはUHMWPE、のシート、フィルム、テープ又は繊維の製造のための新規な方法であって、本願記載の開発まではかかる材料の首尾良い製造に必要であると考えられていた従来技術の圧縮ステップの必要性を除去した方法を記載した。
【0055】
本発明を記載したが、当業者には、該発明が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく多くの方法で変更し得ることが理解されるであろう。かかる変更のいずれか及び全ては特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
10:直接圧延装置
12:ポリマー粉末ホッパー
14:ポリマー粉末
16:振動シュート16
18:計量器具18
20:封じ込めプレート20
22:ギャップ
24,24A:回転加熱カレンダーロール
28:凝集シート
42:巻出装置
44,54,60:ゴデットスタンド
46:ゴデットロール
48:ニップロール
50:第1圧伸ゾーン、
52,58:直列張力センサー、
66:ゴデットステーション
68:取出しロール
76:ロールギャップ76
78:ロールニップリザーボイア
84:ドクターブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン粉末から、圧伸による引き続く加工により高靱性、高配向UHMWPEフィルム、テープ、繊維、リボン又はシートを形成するのに適した、凝集した事実上最高密度のポリオレフィンシートを製造する方法であって、下記を含む該方法:
a)計量した量のポリオレフィン粉末を、2つの垂直に又は水平に向いた、逆方向に回転する加熱したカレンダーロールの間のニップに供給し;そして
b)該粉末を、ポリオレフィンの凝集した最高密度のシートが生成するまで該ニップを通して圧延(rolling)する。
【請求項2】
上記ポリオレフィン粉末がUHMWPE粉末を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記UHMWPEが、高結晶度、約100万を超える分子量、190ジュール/グラム又はそれ以上の融解熱、及び低レベルのからみ合いを示す、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
上記最高密度の凝集シートが約0.94g/ccを越える密度を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
上記ニップが、幅が約0.015mmから約0.3mm、そして操作温度が約136.5℃から約142℃である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
上記の逆方向に回転するカレンダーロールが、約1〜12メートル/分の速度で回転する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
上記の2つの逆方向に回転する加熱カレンダーロールが水平に並べられている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
上記の2つの逆方向に回転する加熱カレンダーロールが垂直に並べられている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ポリオレフィン粉末から、圧伸による引き続く加工により高靱性、高配向フィルム、テープ、繊維、リボン又はシートを形成するのに適した、凝集した事実上最高密度のポリオレフィンシートの製造のための装置であって、
a)ポリオレフィン粉末を収容しそして供給するためのホッパー;
b)計量機構;及び
c)1対の水平に配置された逆方向に回転する加熱カレンダーロールであって、夫々が周辺部を有しそしてその間でニップを規定する、該加熱カレンダーロール
を含み、
ここで該ポリオレフィンポリマー粉末は該ホッパーから計量した量で、該逆方向に回転するカレンダーロールの少なくとも1方の該周辺部に送達され、ここで該ポリオレフィンポリマー粉末は、該少なくとも1方のロールが回転しそして該ポリオレフィンポリマー粉末を該ニップに送達するにつれて加熱され、そして凝集したポリオレフィンフィルム、テープ、繊維、リボン又はシートが該ニップから出てくる、上記の装置。
【請求項10】
上記計量機構が、上記ホッパーから上記少なくとも1方の表面に送達されるポリオレフィンポリマー粉末の量を制御するドクターブレードである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
上記の逆方向に回転するロールが、上記ポリオレフィンポリマー粉末の融解特性に依存して、130℃から150℃の間の温度に加熱される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
上記の逆方向に回転するロールの表面が、約1m/分から約12m/分の間の速度で進む、請求項111に記載の装置。
【請求項13】
ポリオレフィン粉末から、圧伸による引き続く加工により高靱性、高配向のフィルム、テープ、繊維、リボン又はシートを形成するのに適した、凝集した事実上最高密度のポリオレフィンシートを製造する方法であって、下記を含む該方法:
a)計量した量のポリオレフィン粉末を、下記を含む装置に供給する:
i)1対の垂直に配向した逆方向に回転する加熱カレンダーロールであって、その間でニップを規定し、そして上部加熱カレンダーロール及び底部加熱カレンダーロールを含み、該上部加熱カレンダーロールは外側表面及び頂部を含む、該加熱カレンダーロール;及び
ii)計量した量の該ポリオレフィン粉末を該頂部に供給するための計量機構であって、該頂部から該ポリオレフィン粉末を、該頂部から該ニップへの該表面の周りの回転により、該ニップに送達する、該計量機構:
b)該ポリマー粉末を、凝集したポリオレフィンシートが生成するまでこれらの条件下で該ニップを通して圧延(rolling)する;そして
c)凝集したポリオレフィンシートが一旦、該ニップを出ると、該ニップ内の温度を、示差走査測熱法により測定して、加工される特定のポリオレフィンの融解開始の温度より約12℃だけ低い温度から約8℃だけ高い温度までの間の温度に調節する。
【請求項14】
上記ポリオレフィン粉末がUHMWPE粉末を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
上記UHMWPE粉末が、高結晶度、220ジュール/グラム又はそれ以上の融解熱、及び低レベルのからみ合いを示す、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
上記ステップcにおける温度が約130℃から145℃である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
上記ステップcにおける操作温度が、示差走査測熱法により測定して、加工される特定のUHMWPE粉末の融解開始の温度より約8℃だけ低い温度から約4℃だけ高い温度までの間の温度である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
上記ステップcにおける操作温度が、示差走査測熱法により測定して、加工される特定のUHMWPE粉末の融解開始の温度より約2℃だけ低い温度から約2℃だけ高い温度までの間の温度である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
ポリオレフィン粉末から、圧伸による引き続く加工により高靱性、高配向フィルム、テープ、繊維、又はシートを生成するのに適した、凝集した事実上最高密度のポリオレフィンシートを製造するための装置であって、
a)1対の垂直に配向した逆方向に回転する加熱カレンダーロールであって、その間でニップを規定し、そして上部加熱カレンダーロール及び底部加熱カレンダーロールを含み、該上部加熱カレンダーロールは外側表面及び頂部を含む、該加熱カレンダーロール;及び
b)ポリマー粉末を該頂部に供給するための計量機構
を含み、
ここで該ポリオレフィンポリマー粉末は該計量機構から該頂部に送達され、そこから該ポリマー粉末の該外側表面への付着により該ニップに送達される、上記装置。
【請求項20】
上記計量機構がスクリュードライブ、振動シュート、及びドクターブレードに呼応する振動シュートから成る群から選ばれる、請求項18に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−505769(P2012−505769A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531033(P2011−531033)
【出願日】平成21年10月13日(2009.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/005580
【国際公開番号】WO2010/044839
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(509278036)ビ−エ−イ−・システムズ・テンシロン・ハイ・パフォーマンス・マテリアルズ,インコーポレイテッド (5)
【出願人】(310020334)
【出願人】(310020345)
【Fターム(参考)】