説明

(メタ)アクリレート化合物、これを用いた硬化性組成物、光ナノインプリント用組成物、並びにこれらの硬化性組成物の硬化物およびその製造方法

【課題】光硬化性に優れた(メタ)アクリレート化合物、およびこれを用いた硬化膜のパターン精度、剥離性、表面硬度、弾性回復率、耐溶剤性のいずれにも優れた硬化性組成物、光ナノインプリント用組成物、並びにこれらの硬化性組成物の硬化物およびその製造方法、特にフラットパネルディスプレイ等の永久膜に好適な組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物。


(式中、R1は水素原子、またはメチル基を表し、R2は炭素数2〜6の炭素−炭素2重結合を有する置換基を表し、Xは炭素数1〜10の有機基を表し、mおよびnは1〜3の整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な(メタ)アクリレート化合物、およびこれを用いた硬化性組成物、光ナノインプリント用組成物、並びにこれらの硬化性組成物の硬化物およびその製造方法に関する。特に、液晶ディスプレイの薄膜トランジタ、液晶カラーフィルタの保護膜、スペーサー、その他の液晶表示装置用部材の微細加工用途等のいわゆる永久膜の作製等に好適な、ナノインプリント用硬化性組成物、これを用いた硬化物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノインプリント法は、光ディスク製作ではよく知られているエンボス技術を発展させ、凹凸のパターンを形成した金型原器(一般的にモールド、スタンパ、テンプレートと呼ばれる)を、レジストにプレスして力学的に変形させて微細パターンを精密に転写する技術である。モールドを一度作製すれば、ナノ構造等の微細構造が簡単に繰り返して成型できるため経済的であるとともに、有害な廃棄・排出物が少ないナノ加工技術であるため、近年、さまざまな分野への応用が期待されている。
【0003】
ナノインプリント法には、被加工材料として熱可塑性樹脂を用いる熱ナノインプリント法(例えば、非特許文献1参照)と、光硬化性組成物を用いる光ナノインプリント(例えば、非特許文献2参照)との2通りの技術が提案されている。熱ナノインプリント法の場合、ガラス転移温度以上に加熱した高分子樹脂にモールドをプレスし、冷却後にモールドを離型することで微細構造を基板上の樹脂に転写するものである。この方法は、多様な樹脂材料やガラス材料にも応用可能であるため、様々な方面への応用が期待されている。例えば、下記特許文献1および2には、熱可塑性樹脂を用いて、ナノパターンを安価に形成する熱ナノインプリントの方法が開示されている。
【0004】
一方、透明モールドや透明基材を通して光を照射し、光硬化性組成物を光硬化させる光ナノインプリント法では、モールドのプレス時にパターンを転写する材料を加熱する必要がなく、室温でのインプリントが可能になる。最近では、この両者の長所を組み合わせたナノキャスティング法や3次元積層構造を作製するリバーサルインプリント方法などの新しい展開も報告されている。
【0005】
このようなナノインプリント法においては、以下のような応用技術が提案されている。第一の技術としては、成型した形状(パターン)そのものが機能を持ち、様々なナノテクノロジーの要素部品、あるいは構造部材として応用できる場合である。その例としては、各種のマイクロ・ナノ光学要素や高密度の記録媒体、光学フィルム、フラットパネルディスプレイにおける構造部材などが挙げられる。第二の技術としては、マイクロ構造とナノ構造との同時一体成型や、簡単な層間位置合わせにより積層構造を構築し、μ−TAS(Micro - Total Analysis System)やバイオチップの作製に応用しようとするものである。第三の技術としては、高精度な位置合わせと高集積化とにより、従来のリソグラフィに代わって高密度半導体集積回路の作製や、液晶ディスプレイのトランジスタへの作製等に適用しようとするものである。前述の技術を含め、これらの応用に関するナノインプリント法の実用化への取り組みが近年活発化している。
【0006】
ナノインプリント法の適用例として、まず、高密度半導体集積回路作製への応用例を説明する。近年、半導体集積回路は微細化、集積化が進んでおり、その微細加工を実現するためのパターン転写技術としてフォトリソグラフィ装置の高精度化が進められてきた。しかし、さらなる微細化の要求に応じて加工方法が光露光の光源の波長に近づき、従前のリソグラフィ技術も限界に近づいてきている。そのため、さらなるパターンの微細化、高精度化を進めるべくリソグラフィ技術に代えて、荷電粒子線装置の一種である電子線描画装置が用いられるようになっている。電子線描画装置等による電子線を用いたパターン形成は、i線、エキシマレーザー等の光源を用いたパターン形成における一括露光方法とは異なり、マスクパターンを描画していく方法を用いている。このため、描画するパターンが多ければ多いほど露光(描画)時間がかかり、パターン形成に時間を要することが欠点とされている。このため、256メガ、1ギガ、4ギガと、半導体集積回路の集積度が飛躍的に高まるにつれ、その分パターン形成時間も飛躍的に長くなり、スループットが著しく劣ることが懸念される。そこで、電子ビーム描画装置によるパターン形成の高速化のため、各種形状のマスクを組み合わせ、それらに一括して電子ビームを照射して複雑な形状の電子ビームを形成する一括図形照射法の開発が進められている。しかしながら、パターンの微細化が進められる一方で、電子線描画装置を大型化する必要が生じるほか、さらにマスク位置をより高精度に制御する機構が必要になるなど、装置コストが高くなるという欠点が生じていた。
【0007】
これに対し、微細なパターン形成を低コストで行うための技術として、ナノインプリントリソグラフィ技術(光ナノインプリント法)を用いることが検討されている。例えば、下記特許文献1および特許文献3には、シリコンウエハをスタンパとして用い、25ナノメートル以下の微細構造をパターン転写によって形成するナノインプリント技術が開示されている。また、下記特許文献4には、半導体マイクロリソグラフィ分野に適用されるナノインプリントを使ったコンポジット組成物が開示されている。
この流れに伴って、微細モールドの作製技術、モールドの耐久性、モールドの作製コスト、モールドと樹脂との剥離性、インプリント均一性、アライメント精度、検査技術など半導体集積回路の作製にナノインプリントリソグラフィを適用するための検討が活発化し始めている。
【0008】
次に、液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)などのフラットデイスプレイへの光ナノインプリント法の応用例について説明する。
LCD基板やPDP基板の大型化や高精細化の動向に伴って、薄膜トランジスタ(TFT)や電極板の製造時に使用する従来のフォトリソグラフィ法に代わる安価なリソグラフィとして光ナノインプリントリソグラフィが、近年注目されており、従来のフォトリソグラフィ法で用いられるエッチングフォトレジストに代わる光硬化性レジストの開発が必要になってきている。
【0009】
また、LCDなどの構造部材として用いられる透明保護膜材料や液晶ディスプレイにおけるセルギャップを規定するスペーサーなどに対しても、光ナノインプリントリソグラフィの応用が検討され始めている(例えば、特許文献5および6参照)。このような構造部材用のレジストは、上述のエッチングレジストとは異なり、最終的にフラットディスプレイパネル等のディスプレイ内に残るため、“永久レジスト”、あるいは“永久膜”と称されることがある。
【0010】
従来のフォトリソグラフィ技術を適用した永久膜としては、例えば、液晶パネルのTFT基板上に設けられる保護膜や、R,G、B層間の段差を低減しITO膜のスパッタ製膜時の高温処理に対する耐性を付与するためにカラーフィルタ上に設けられる保護膜等が挙げられる。従来、カラーフィルタ用の透明永久膜には、シロキサンポリマー、シリコーンポリイミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が用いられている(下記特許文献7および8参照)。これらの保護膜(永久膜)の形成においては、塗布膜の均一性、基材との密着性、200℃を超える加熱処理後の高い光透過性、平坦化特性、耐溶剤性、耐擦傷製等の種々の特性が要求されている。
【0011】
また、液晶ディスプレイに用いられるスペーサーの分野では、従来のフォトリソグラフィ法においては、樹脂、光重合性モノマーおよび開始剤からなる光硬化性組成物が一般的に広く用いられてきている(例えば、特許文献9参照)。前記スペーサーは、一般には、カラーフィルタ形成後または前記カラーフィルタ用保護膜形成後に、カラーフィルタ基板上に光硬化性組成物を用いてフォオトリソグラフィによって10μm〜20μm程度の大きさのパターンを形成し、さらにポストベイクにより加熱硬化して形成される。このような液晶ディスプレイの用いられるスペーサーには、外部圧力に対する高い機械的特性、硬度、現像性、パターン精度、密着性等の性能が要求される。
【0012】
このため、ナノインプリント法を用いた前記透明保護膜やスペーサー等の永久膜(永久レジスト)の形成に好適な光硬化性組成物の開発が求められている。
【0013】
また、光硬化性組成物の塗膜均一性に関しては、基板の大型化に伴い、基板の中央部と周辺部とにおける塗布膜厚均一性、高解像度化による寸法均一性、膜厚、形状など様々な部分において要求が厳しくなっている。
【0014】
従来、小型ガラス基板を用いた液晶表示素子製造分野においては、レジスト塗布方法として中央滴下後スピンする方法が用いられていた(例えば、非特許文献3参照)。しかし、中央滴下後スピンする方法では、塗布均一性以外の要求に対応するのが難しい。このため、代替技術として第4世代基板以降、特に第5世代基板以降の大型基板に適用可能な吐出ノズル式による新しいレジスト塗布方法が提案されている。吐出ノズル式によるレジスト塗布法は、吐出ノズルと基板とを相対的に移動させることによって基板の塗布面全面にフォトレジスト組成物を塗布する方法であり、例えば、複数のノズル孔が列状に配列された吐出口やスリット状の吐出口を有し、フォトレジスト組成物を帯状に吐出できる吐出ノズルを用いる方法や、基板の塗布面全面にフォトレジスト組成物を塗布した後、該基板をスピンさせて膜厚を調整する方法が提案されている。したがって、これら液晶表示素子製造分野に適用するためにも、ナノインプリント用硬化性組成物に対して基材への塗布均一性が要求されている。
【0015】
また、ポジ型フォトレジスト、カラーフィルタ作製用顔料分散フォトレジストや光磁気ディスクなどの保護膜の塗布性を改良する技術としては、各種界面活性剤等を添加する技術が知られており(例えば、特許文献10〜17参照)、半導体集積回路作製用の光ナノインプリント用エッチングレジストとして、フッ素系界面活性剤を含む光硬化性樹脂を用いる例が開示されている(例えば、特許文献18参照)。しかしながら、永久膜に用いる顔料、染料、有機溶剤を必須成分としないナノインプリント用硬化性組成物の基板塗布性を向上させるための方法はこれまで知られていなかった。
【0016】
さらに、光ナノインプリント法においては、パターンが形成されたモールド表面凹部のキャビティ内における光硬化性組成物の流動性を高める必要がある。また、モールドとレジストとの間の剥離性をよくしつつ、レジストと基材(基板、支持体)との間の密着性をよくするも必要がある。しかし、光ナノインプリント用硬化性組成物の、キャビティ内における流動性、モールドとの剥離性、基材との密着性の全てを同時に満足させるのは困難であった。
【0017】
ナノインプリントに適用される光硬化性樹脂は、反応機構の違いからラジカル重合タイプとイオン重合タイプとに大別され、さらに、これらのハイブリッドタイプが加わえられる。いずれのタイプの硬化性組成物もナノインプリント用途に用いることが可能であるが、材料の選択範囲が広いことから、一般にラジカル重合型の硬化性組成物が多く用いられている(例えば、非特許文献4参照)。ラジカル重合型の硬化性組成物としては、ラジカル重合可能なビニル基や(メタ)アクリル基を有する単量体(モノマー)またはオリゴマーと、光重合開始剤とを含んだ組成物が一般的に用いられる。ラジカル重合性の硬化性組成物は、光を照射すると、光重合開始剤により発生したラジカルがビニル基を攻撃して連鎖重合が進み、ポリマーを形成する。また、2官能以上の多官能基モノマーやオリゴマーを用いた場合には、架橋構造体を得ることができる。下記非特許文献5においては、低粘度でUV硬化可能な単量体を用いることにより、低圧、室温でインプリンティングが可能な組成物が開示されている。
【0018】
光ナノインプリントリソグラフィに用いられる材料の要求特性は適用する用途によって異なる場合が多いものの、プロセス特性についての要望は用途に依らず共通点がある。例えば、下記非特許文献6に示されている主な要求項目は、塗布性、基板密着性、低粘度(<5mPa・s)、剥離性、低硬化収縮率、速硬化性などである。特に、低圧でのインプリントや残膜率の低減等が必要な用途では、低粘度材料であることの要求が強い。一方、用途別に要求特性を挙げると、例えば光学部材については、光の屈折率や光透過性などが挙げられる。また、エッチングレジストについては、エッチング耐性や残膜厚低減などが挙げられる。これらの要求特性をいかに制御し、諸特性のバランスを取るかが材料デザインの鍵となる。このため、少なくともプロセス材料と永久膜とでは要求特性が大きく異なるため材料はプロセスや用途に応じて開発する必要がある。このような光ナノインプリントリソグラフィ用途に適用する材料として、下記非特許文献6に、約60mPa・s(25℃)の粘度を有する光硬化性材料が開示されている。同様に、下記非特許文献7には、モノメタクリレートを主成分とする粘度が14.4mPa・sの剥離性を向上させた含フッソ感光性樹脂が開示されている。
しかし、光ナノインプリントで用いられる組成物に関し、粘度に関する要望の記載はあるものの、各用途に適合させるための材料の設計指針についての報告例は、これまでになかった。
【0019】
また、下記特許文献19および20には、レリーフ型ホログラムや回折格子作製のために、イソシアネート基を有する重合体を含む光硬化性樹脂を用い、これにエンボス加工を施す例が開示されている。また、下記特許文献21には、ポリマー、光重合開始剤、粘度調整剤を含むインプリント用光ナノインプリント用硬化性組成物が開示されている。
【0020】
更に、下記非特許文献8には、(1)官能性アクリルモノマー、(2)官能性アクリルモノマー、(3)官能性アクリルモノマーと光重合開始剤とを組み合わせた光硬化性ラジカル重合性組成物や、光硬化性エポキシ化合物と光酸発生剤とを含む光カチオン重合性組成物などをナノインプリントリソグラフィに適用し、熱的安定性やモールド剥離性を調べた例が開示されている。
下記非特許文献9には、光硬化性樹脂とモールドとの剥離性、硬化後の膜収縮性、酸素存在下での光重合阻害による低感度化などの問題を改良するための工夫として(1)官能アクリルモノマー、(2)官能アクリルモノマー、シリコーン含有1官能アクリルモノマーおよび光重合開始剤を含む光ナノインプリント用硬化性組成物が開示されている。
【0021】
下記非特許文献10には、1官能アクリルモノマーとシリコーン含有1官能モノマーと光重合開始剤とを含む光ナノインプリント用硬化性組成物を、シリコーン基板上に付与し、表面処理されたモールドを用いることで、モールド後のパターンの欠陥が低減されることが開示されている。また、下記非特許文献11には、シリコーンモノマーと3官能アクリルモノマーと光重合開始剤とを含む光ナノインプリント用硬化性組成物をシリコーン基板上に付与し、SiO2モールドにより、高解像性、塗布の均一性に優れる組成物が開示されている。さらに、非特許文献12には、特定のビニルエーテル化合物と光酸発生剤とを組み合わせたカチオン重合性組成物により50nmパターンサイズを形成した例が開示されている。この組成物は、粘性が低く硬化速度が速いことが特徴であるが、テンプレート引き剥がし性が課題であると述べられている。
【0022】
ところが、非特許文献8〜12に示されるように、官能基の異なるアクリルモノマー、アクリル系ポリマー、ビニルエーテル化合物を光ナノインプリントリソグラフィに適用した光硬化性樹脂が様々開示されているものの、硬化性組成物としての好ましい種類、最適なモノマー種、モノマーの組み合わせ、モノマー若しくはレジストの最適な粘度、好ましいレジストの溶液物性、レジストの塗布性改良などの材料の設計に関しての指針は十分に開示されていない。このため、光ナノインプリントリソグラフィ用途に、硬化性組成物を広く適用するための好ましい材料の組み合わせが知られておらず、種々の用途において満足できる性能を発揮できる光ナノインプリント用硬化性組成物はこれまでに提案されていなかったのが実情である。
【0023】
また、非特許文献11および12に開示される組成物においては低粘度のものもあるが、いずれも光硬化してパターンを形成して引き続き加熱処理を施した場合、出来上がった硬化膜の透過率が低く(着色してしまう)、さらに硬度も不十分であり、永久膜としての実用的性能が十分とはいえない。
【0024】
下記非特許文献13および14には、光機能架橋材物質で処理したシリカゾル、(メタ)アクリルモノマー、光重合開始剤の混合物よりなる無機・有機ハイブリッド材料が提案されており、光ナノインプリントリソグラフィへの応用が報告されている。さらに、非特許文献13および14には、インプリント材料の200nmラインのパターン形成例や、モールド材として600nmの線幅までパターニング可能であることが報告されている。しかし、この材料においてもモールドとの剥離性や硬化膜の硬度が十分でないなどの問題点があり、必ずしも満足できるものではなかった。また、非特許文献13および14の組成物においても、低粘度の材料も開示されているが、いずれも光硬化してパターンを形成し引き続き加熱処理を施した後の硬化膜の透過率が低く(すなわち、硬化膜が着色してしまう)、また硬度も不十分である。
【0025】
また、特許文献22には、モールドとの剥離性をよくするために、フッソ含有硬化性材料を用いたパターン形成方法が開示されているほか、表面処理が施されたコロイダルシリカや、特定の(メタ)アクリルモノマー、レベリング剤、光重合開始剤を含有するハードコート用組成物が開示されており、膜硬度と低硬化収縮性とを両立させた光ディスクへの応用が報告されている。しかし、これらの組成物では、モールドとの剥離性や基板塗布性が不十分であり、光ナノインプリントリソグラフィへの応用が困難である。さらに、光硬化後に、加熱処理を施した場合にパターンに着色が見られ、透過率が低く、光透過性が求められる永久膜としては適用しがたい。
【0026】
下記特許文献23には、ドライエッチング性を付与する為に、環状構造を含む(メタ)アクリレートモノマーを用いるナノインプイリント用光硬化性組成物が開示されている。しかし、これらの組成物では、光硬化後に、加熱処理を施した場合にも、着色による透過率がみられ、光透過性が求められる永久膜としては使用し難く、硬化膜の硬度、耐溶剤性についても不十分である。
【0027】
一方、下記特許文献24には、芳香族アルケニルエステルを用いる硬化性組成物が開示されており、安息香酸アリルエステル等が粘度低減に効果があることを開示している。
また、特許文献25には、同一分子中に光重合部位と熱反応部位を有する単量体を用いたインクジェット用硬化性組成物が開示されている。
【0028】
また、特許文献26には、同一分子内にビニルエーテル基を有するアクリレートモノマーの硬化性組成物が開示されている。
【0029】
以上のように、永久膜としての主要技術課題としては、パターン精度、密着性、200℃を超える加熱処理後の透明性、高い機械的特性(外部圧力に対する強度)、耐擦傷性、平坦化特性、耐溶剤性、加熱処理時のアウトガス低減など、多くの課題が挙げられる。光ナノインプリント用硬化性組成物を永久膜として適用した場合においても、従来のアクリル樹脂などを用いたレジストと同様に、(1)塗布膜の均一性、(2)加熱処理後の透明性、(3)耐擦傷性の付与が重要である。
【0030】
同時に、光ナノインプリント用硬化性組成物特有の課題としては、前記(1)〜(3)の点に加えて、(4)モールドの凹部へのレジストの流動性を確保し、無溶剤もしくは少量の溶剤使用下での低粘度化が必要となること、および、(5)光硬化後、モールドと容易に剥離させ、モールドへの付着が生じないこと、を考慮する必要があり、組成物設計の技術的難易度が一層高くなる。
【0031】
また、これまでインクジェット用組成物や光磁気ディスク用保護膜の用途で知られている組成物、また、エッチングレジストとして用いられる光ナノインプリント用硬化性組成物は、永久膜の作製に用いられる光ナノインプリント用硬化性組成物と材料に共通部分はあるものの、高温の加熱処理や、機械的強度の観点などで大きく必要特性が異なってくる。このため、インクジェット、光磁気ディスク用保護膜、または、エッチングレジスト用途で適用する光硬化性樹脂をそのまま永久膜用のレジストとして適用すると、透明性、機械的強度、耐溶剤性などでなかなか実用性に耐えるものが得られない。このように、光ナノインプリント用の硬化性組成物については、種々の材料が開示されているものの、永久膜の作製に適した硬化性組成物については十分な設計指針が示されていないのが現状である。
【特許文献1】米国特許第5,772,905号公報
【特許文献2】米国特許第5,956,216号公報
【特許文献3】米国特許第5,259,926号公報
【特許文献4】特表2005−527110号公報
【特許文献5】特開2005−197699号公報
【特許文献6】特開2005−301289号公報
【特許文献7】特開2000−39713号公報
【特許文献8】特開平6−43643号公報
【特許文献9】特開2004−240241号公報
【特許文献10】特開平7−230165号公報
【特許文献11】特開2000−181055号公報
【特許文献12】特開2004−94241号公報
【特許文献13】特開平4−149280号公報
【特許文献14】特開平7−62043号公報
【特許文献15】特開2001−93192号公報
【特許文献16】特開2005−8759号公報
【特許文献17】特開2003−165930号公報
【特許文献18】特開2007−84625号公報
【特許文献19】特開2004−59820号公報
【特許文献20】特開2004−59822号公報
【特許文献21】特開2006−114882号公報
【特許文献22】特開2000−143924号公報
【特許文献23】特開2007―186570号公報
【特許文献24】特開平10−251473号公報
【特許文献25】国際公開WO2004/099272号パンフレット
【特許文献26】特開2005−255854号公報
【非特許文献1】S.Chou et al.:Appl.Phys.Lett.Vol.67,3114(1995)
【非特許文献2】M.Colbun et al,:Proc.SPIE,Vol. 3676,379 (1999)
【非特許文献3】Electronic Journal 121−123 No.8 (2002)
【非特許文献4】F.Xu et al.:SPIE Microlithography Conference,5374,232(2004)
【非特許文献5】D.J.Resnick et al.:J.Vac.Sci.Technol.B,Vol.21,No.6,2624(2003)
【非特許文献6】最新レジスト材料ハンドブック、P1、103〜104(2005年、情報機構出版)
【非特許文献7】シーエムシー出版:ナノインプリントの開発と応用P159〜160 (2006)
【非特許文献8】N.Sakai et al.:J.Photopolymer Sci.Technol.Vol.18,No.4,531(2005)
【非特許文献9】M.Stewart et al.:MRS Buletin,Vol.30,No.12,947(2005)
【非特許文献10】T.Beiley et al.:J.Vac.Sci.Technol.B18(6),3572(2000)
【非特許文献11】B.Vratzov et al.:J.Vac.Sci.Technol.B21(6),2760(2003)
【非特許文献12】E.K.Kim et al.:J.Vac.Sci.Technol,B22(1),131(2004)
【非特許文献13】Proc.SPIE Int.Soc.Opt.Eng.,Vol.6151,No.Pt2,61512F(2006)
【非特許文献14】科学と工業,Vol.80,No.7,322(2006)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
ナノインプリント用硬化性組成物により形成されたパターン(硬化膜)の硬度や力学強度は、高架橋密度を与える多官能単量体を用いることにより向上させることができる。しかし、多官能単量体は高粘度化合物であり、低粘度制約下では満足のいく硬化膜物性を得るのは困難である。さらに、多官能単量体は光照射時に一気に重合が進行するため、樹脂モールドを使用した際の残渣も問題となっている。
【0033】
そこで、本発明者は、鋭意検討の結果、芳香族アルケニルエステルやアリル基は光照射時の重合性は低いが、ベーク(加熱)により反応し、架橋点を形成させることができる点に着目した。即ち、芳香族アルケニルエステルやアリル基は、架橋(重合)反応を制御できる点から、樹脂モールドを使用した際の残渣の低減を図ることができると推測できる。
また、アルケニルエステル基やアリル基は、(メタ)アクリレート基よりも化合物の粘度を低くすることができる。このため、(メタ)アクリレートでは低粘度・多官能化の設計が困難であったが、アルケニルエステル基やアリル基を用いることにより、低粘度・多官能化が達成できる。さらに、アルケニルエステル基やアリル基が低粘度であることから、硬化膜の強度向上に寄与するが、粘度上昇も引き起こす芳香族環(ベンゼン環、ナフタレン環)を母核に用いることができるというメリットを有する。
【0034】
しかし、上述のように、特許文献24には、芳香族アルケニルエステルを用いる硬化性組成物が開示されており、安息香酸アリルエステル等が粘度低減に効果があることを開示されている。しかしながら、これらの組成物では硬化膜の表面硬度を向上させることができず、また、向上施策に関しては何も開示されていない。
【0035】
さらに、上述のように、特許文献25には、同一分子中に光重合部位と熱反応部位を有する単量体を用いたインクジェット用硬化性組成物が開示されている。しかし、これらの組成物は粘度が高く、そのまま光ナノインプリントリソグラフィに応用することができない。また、硬化膜の強度は高いものの、硬化膜の着色も大きく液晶カラーフィルタ用のスペーサ保護膜に用いるには透明性の点で問題があり、その改良方法は何も開示されていない。
【0036】
さらに、上述のように、特許文献26には、同一分子内にビニルエーテル基を有するアクリレートモノマーの硬化性組成物が開示されている。しかし、この発明は粘度が低く、光ナノインプリントリソグラフィに応用することは可能であるが、硬化膜の硬度が不足であり、その改良方法は開示されていない。
このように、永久膜として実用に耐え、かつ光ナノインプリント法を適用できるレジスト組成物はこれまでに提案されていない。
【0037】
以上のように、本発明者が鋭意検討した結果、重合性化合物として(メタ)アクリレート化合物、およびこれを用いた硬化性組成物を用いると、パターン転写精度、硬化膜の強度、加熱硬化後の透明性などの前記課題を解決できると共に、樹脂モールドを用いた際の、硬化性組成物のモールドへの付着(残渣)を改良できるとの知見を得た。
【0038】
本発明は、上記問題を解決するために成し遂げられたものであり、本発明は、光硬化性に優れた(メタ)アクリレート化合物、およびこれを用いた硬化膜のパターン精度、剥離性、表面硬度、弾性回復率、耐溶剤性のいずれにも優れた硬化性組成物、光ナノインプリント用組成物、並びにこれらの硬化性組成物の硬化物およびその製造方法、特にフラットパネルディスプレイ等の永久膜に好適な組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0039】
同一分子中に、(メタ)アクリレート基と不飽和2重結合を有するエステル基、特にアリルエステル基を持つ化合物は、光重合時にはアクリレート基が重合し、加熱時にエステル基に含まれる不飽和2重結合部位を反応させることができる。この様に性質の違う2類以上の硬化性官能基を持つ化合物を用いることにより、光ナノインプリント用硬化性組成物として用いた場合、光重合時には半硬化の状態であるため、安価な樹脂モールドを使用しても残渣がほとんど残らない効果が得られ、かつ加熱により完全に硬化させると、満足のいく機械強度を有する硬化膜を形成させることができることがわかった。さらに、ベンゼン環やナフタレン環を有する化合物を用いる事により、耐溶剤性を向上させることができる。また、ビニルエステル基およびアリルエステル基は化合物粘度を低減させる効果が大きく、ナノインプリント適性もさらに優れることがわかった。かかる知見のもと、下記手段により上記課題を解決しうることを見出した。
【0040】
[1] 下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物
【化1】

(式中、R1は水素原子、またはメチル基を表し、R2は炭素数2〜6の炭素−炭素2重結合を有する置換基を表し、Xは炭素数1〜10の有機基を表し、mおよびnは各々独立に1〜3の整数を表す。)
[2] 一般式(1)中のR2が−CH2−CH=CH2基であることを特徴とする[1]に記載の(メタ)アクリレート化合物。
[3] 一般式(1)中のR1が水素原子であり、Xがベンゼン環またはナフタレン環であり、mおよびnが各々独立に1または2であることを特徴とする[1]または[2]に記載の(メタ)アクリレート化合物。
[4] ヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタル酸およびヒドロキシナフトエ酸からなる群より選択されるいずれか1つを部分構造として有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の(メタ)アクリレート化合物。
[5] 光重合開始剤と[1]〜[4]のいずれか一項に記載の(メタ)アクリレート化合物を含む硬化性組成物。
[6] 前記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物以外の他の重合性単量体をさらに含むことを特徴とする[5]に記載の硬化性組成物。
[7] さらに界面活性剤を含むことを特徴とする[5]または[6]に記載の硬化性組成物。
[8] さらに酸化防止剤を含むことを特徴とする[5]〜[7]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[9] 該組成物の粘度が25℃で3〜18mPa・sの範囲内であることを特徴とする[5]〜[8]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[10] 光照射を行うことにより硬化されたことを特徴とする、[5]〜[9]のいずれか1項に記載の組成物。
[11] 加熱を行うことにより硬化されたことを特徴とする、[5]〜[10]のいずれか1項に記載の組成物。
[12] [5]〜[11]のいずれか一項に記載の硬化性組成物を含むナノインプリント用硬化性組成物。
[13] [5]〜[12]のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化させた硬化物。
[14] [1]〜[12]のいずれか1項に記載の硬化性組成物を基材上に塗布してパターン形成層を形成する工程と、
前記パターン形成層表面にモールドを押圧する工程と、
前記パターン形成層に光を照射する工程と、
を含むことを特徴とする硬化物の製造方法。
[15] さらに、光が照射された前記パターン形成層を加熱する工程を含むことを特徴とする[14]に記載の硬化物の製造方法。
【発明の効果】
【0041】
本発明により、光硬化性に優れた(メタ)アクリレート化合物、およびこれを用いた硬化膜のパターン精度、剥離性、表面硬度、弾性回復率、耐溶剤性のいずれにも優れた硬化性組成物、光ナノインプリント用組成物、並びにこれらの硬化性組成物の硬化物およびその製造方法、特にフラットパネルディスプレイ等の永久膜に好適な組成物を提供することが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
【0043】
以下において本発明を詳細に説明する。なお、本明細書中において、メタ(アクリレート)はアクリレートおよびメタクリレートを表し、メタ(アクリル)はアクリルおよびメタクリルを表し、メタ(アクリロイル)はアクリロイルおよびメタクリロイルを表す。また、本明細書中において、単量体とモノマーは同一である。本発明における単量体は、オリゴマー、ポリマーと区別し、質量平均分子量が1,000以下の化合物をいう。本明細書中において、官能基は重合に関与する基をいう。
なお、本発明で言うナノインプリントとは、およそ数μmから数十nmのサイズのパターン転写をいい、ナノオーダのものに限られるものではないことは言うまでもない。
なお、本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
【0044】
[(メタ)アクリレート化合物]
本発明の硬化性組成物は光重合剤と、少なくとも前記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物を含む。以下、一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物について詳細な説明を行う。
【0045】
一般式(1)において、R1は水素原子またはメチル基である。
1がメチル基の場合はさらに置換基を有していてもよく、R2が有していてもよい置換基としては特に限定されないが、例えばハロゲン原子、アルキルオキシ基などをあげることができる。
1としては水素原子であることが好ましい。
【0046】
一般式(1)において、R2は炭素数2〜6の炭素−炭素2重結合を有する置換基である。
2としては、炭素数2〜6の直鎖もしくは分枝の不飽和炭化水素、炭素数3〜6の環状の不飽和炭化水素が好ましい。さらに、化合物粘度の上昇抑制の観点から、炭素数2〜3のアルケニル基がより好ましい。
2はさらに置換基を有していてもよく、R2が有していてもよい置換基としては特に限定されないが、例えばハロゲン原子、アルキルオキシ基などをあげることができる。
また、R2中の炭素−炭素2重結合の数は複数有していてもよいが、1つであることが好ましい。
さらに、R2中の炭素−炭素2重結合の位置は、特に限定されず、炭素−炭素2重結合がR2中の端以外の炭素原子間にある場合はシス体とトランス体のどちらを用いてもよい。
具体的なR2としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(−CH=CH−CH3)、アリル基(−CH2−CH=CH2)、ブチニル基、ペンテニル基、6−ヘキセニル基、シクロヘキセニル基などを挙げることができる。その中でも、ビニル基、プロペニル基(−CH=CH−CH3)、アリル基(−CH2−CH=CH2)、ブチニル基、ペンテニル基、6−ヘキセニル基、シクロヘキセニル基が好ましく、−CH2−CH=CH2基がより好ましい。
【0047】
一般式(1)中Xは炭素数1〜10の有機基である。
ここでいう有機基とは、炭化水素基のほか、硫黄原子、窒素原子または酸素原子を含む基のことを表す。また、これらの有機基は環状の基であっても、直鎖もしくは分枝の基であってもよい。
Xとして炭素数1〜10の直鎖もしくは分枝の炭化水素基、炭素数3〜10の環状の炭化水素基、炭素数3〜10の複素環基をあげることができ、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、炭素数3〜6の鎖状炭化水素基であることが好ましい。さらに、化合物粘度の上昇抑制および他の化合物との相溶性の観点から、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基であることがより好ましい。
このような炭素数6〜10の芳香族炭化水素は、X全体として炭素数1〜10の範囲内であれば有機連結基で連結されている構造でもよい。また、単環構造および多環構造のいずれであってもよく、多環構造ではナフタレン等の縮合多環構造であってもよい。また、Xが縮合多環構造を有する場合、粘度の点から環構造の数は2以下が好ましい。
Xはさらに置換基を有していてもよく、Xが有していてもよい置換基としては特に限定されないが、例えばハロゲン原子、アルキルオキシ基などをあげることができる。
具体的なXとしては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環が挙げられ、ベンゼン環およびナフタレン環がより好ましい。
【0048】
一般式(1)中nは1〜3の整数を表し、mは1〜3の整数を表す。本発明における(メタ)アクレート化合物は、多官能の化合物であるため、硬化膜の強度を確保できる。
nおよびmの上限は特に限定されないが、組成物の粘度および重合反応性等の観点から、n+mが4以下であることが好ましく、3以下であることがさらに好ましい。前記nは、好ましくは1または2であり、更に好ましくは1である。mは1または2が好ましく、2が更に好ましい。即ち、化合物粘度の上昇抑制と硬化膜の機械的強度付与の観点から、n+mとしては、2〜6が好ましく、 2〜3が更に好ましい。
【0049】
ここで、本発明における一般式(1)で表される化合物の好ましい例を示すが、本発明がこれらに限定されるものではないことは言うまでも無い。
【化2】

【0050】
以上の観点から、一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物は、(ジ)ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタル酸およびヒドロキシナフトエ酸のいずれか1つを部分構造として有する(メタ)アクリレート化合物であることが最も好ましい。
【0051】
[硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物は光重合剤と、少なくとも前記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物を含む。
【0052】
−(メタ)アクリレート化合物の含有量−
本発明の硬化性組成物に含まれる一般式(1)で表される化合物の組成物中の含有量は、組成物粘度の調整とモールド剥離性、および機械的強度の付与の観点から、5〜90質量%がこのましく、10〜70質量%がさらに好ましく、20〜50質量%が特に好ましい。
【0053】
−光重合開始剤−
本発明の硬化性組成物には、光重合開始剤が含まれる。本発明に用いられる光重合開始剤は、全硬化性組成物中、例えば、0.1〜15質量%含有し、好ましくは0.2〜12質量%であり、さらに好ましくは、0.3〜10質量%である。2種類以上の光重合開始剤を用いる場合は、その合計量が前記範囲となる。前記光重合開始剤の割合が0.1質量%以上であると、感度(速硬化性)、解像性、ラインエッジラフネス性、塗膜強度が向上する傾向にあり好ましい。一方、光重合開始剤の割合を15質量%以下とすると、光透過性、着色性、取り扱い性などが向上する傾向にあり、好ましい。これまで、染料および/または顔料を含むインクジェット用組成物や液晶デイスプレイカラーフィルタ用組成物においては、好ましい光重合開始剤および/または光酸発生剤の添加量が種々検討されてきたが、ナノインプリント用等の光ナノインプリントリソグラフィ用硬化性組成物についての好ましい光重合開始剤および/または光酸発生剤の添加量については報告されていない。すなわち、染料および/または顔料を含む系では、これらがラジカルトラップ剤として働くことがあり、光重合性、感度に影響を及ぼす。その点を考慮して、これらの用途では、光重合開始剤の添加量が最適化される。一方で、本発明の硬化性組成物では、染料および/または顔料は必須成分でなく、光重合開始剤の最適範囲がインクジェット用組成物や液晶デイスプレイカラーフィルタ用組成物等の分野のものとは異なる場合がある。
【0054】
本発明で用いる光重合開始剤は、使用する光源の波長に対して活性を有するものが配合され、適切な活性種を発生させるものを用いる。
【0055】
本発明で使用されるラジカル光重合開始剤は、例えば、市販されている開始剤を用いることができる。これらの例としてはCiba社から入手可能なIrgacure(登録商標)2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、Irgacure(登録商標)184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、Irgacure(登録商標)500(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン)、Irgacure(登録商標)651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、Irgacure(登録商標)369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1)、Irgacure(登録商標)907(2−メチル−1[4−メチルチオフェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、Irgacure(登録商標)819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、Irgacure(登録商標)1800(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド,1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、Irgacure(登録商標)1800(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン)、Irgacure(登録商標)OXE01(1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)、Darocur(登録商標)1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン)、Darocur(登録商標)1116、1398、1174および1020、CGI242(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、BASF社から入手可能なLucirin TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド)、Lucirin TPO−L(2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド)、ESACUR日本シイベルヘグナー社から入手可能なESACURE 1001M(1−[4−ベンゾイルフェニルスルファニル]フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン−1−オン、N−1414旭電化社から入手可能なアデカオプトマー(登録商標)N−1414(カルバゾール・フェノン系)、アデカオプトマー(登録商標)N−1717(アクリジン系)、アデカオプトマー(登録商標)N−1606(トリアジン系)、三和ケミカル製のTFE−トリアジン(2−[2−(フラン−2−イル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン)、三和ケミカル製のTME−トリアジン(2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン)、三和ケミカル製のMP−トリアジン(2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン)、ミドリ化学製TAZ−113(2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン)、ミドリ化学製TAZ−108(2−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン)、ベンゾフェノン、4,4‘−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−フェニルベンゾフェノン、エチルミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−メチルチオキサントン、チオキサントンアンモニウム塩、ベンゾイン、4,4’−ジメトキシベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1,1,1−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノンおよびジベンゾスベロン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイル ビフェニル、4−ベンゾイル ジフェニルエーテル、1,4−ベンゾイルベンゼン、ベンジル、10−ブチル−2−クロロアクリドン、[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]フェニルメタン)、2−エチルアントラキノン、2,2−ビス(2−クロロフェニル)4,5,4‘,5’−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)1,2‘−ビイミダゾール、2,2−ビス(o−クロロフェニル)4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)メタン、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、ブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、等が挙げられる。
【0056】
本発明の硬化性組成物は、一般式(1)で表される化合物および光重合開始剤以外に、その他の成分として後述する(A)他の重合性単量体、(B)界面活性剤、(C)酸化防止剤を含んでもよい。
【0057】
−(A)他の重合性単量体−
上述のように本発明の硬化性組成物は、さらに、組成物粘度、膜硬度、可とう性等の改良を目的に、他の重合性単量体を含んでいてもよい。本発明でいう重合性単量体とは、分子量1000以下の単官能および多官能の重合性化合物を示す。前記他の重合性単量体としては、例えば、エチレン性不飽和結合含有基;オキシラン環を有する化合物(エポキシ化合物);ビニルエーテル化合物;スチレン誘導体;フッ素原子を有する化合物;プロペニルエーテルまたはブテニルエーテル等を挙げることができ、光照射時の硬化性促進の観点から、エチレン性不飽和結合含有基を1〜6個有する重合性不飽和単量体が好ましく、エチレン性不飽和結合含有基を1個有する重合性不飽和単量体(1官能の重合性不飽和単量体)がより好ましい。
【0058】
前記エチレン性不飽和結合含有基を1〜6個有する重合性不飽和単量体について説明する。
まず、エチレン性不飽和結合含有基を1個有する重合性不飽和単量体(1官能の重合性不飽和単量体)としては、具体的に、2−アクリロイロキシエチルフタレート、2−アクリロイロキシ2−ヒドロキシエチルフタレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−アクリロイロキシプロピルフタレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アクリル酸ダイマー、ベンジル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性(以下「EO」という。)クレゾール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロヘンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン(以下「ECH」という)変性フェノキシアクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、EO変性コハク酸(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリドデシル(メタ)アクリレート、p−イソプロペニルフェノール、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール、エチルオキセタニルエチルアクリレート(OXE−10)、トリメトキシシリルプロピルアクリレート(KBM5103)、ジシクロペンテニルアクリレートが例示される。
これらの中で特に、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメトキシプロピルアクリレート、エチルオキセタニルメチルアクリレートが本発明に好適に用いられる。
【0059】
さらに他の重合性単量体として、エチレン性不飽和結合含有基を2個以上有する多官能重合性不飽和単量体を用いることも好ましい。
本発明で好ましく用いることのできるエチレン性不飽和結合含有基を2個有する2官能重合性不飽和単量体の例としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ECH変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレングリコールアクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ECH変性ヘキサヒドロフタル酸ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレンオキシド(以後「PO」という。)変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ECH変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(ジ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ECH変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿素が例示される。
【0060】
これらの中で特に、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が本発明に好適に用いられる。
【0061】
エチレン性不飽和結合含有基を3個以上有する多官能重合性不飽和単量体の例としては、ECH変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、EO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、PO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0062】
これらの中で特に、EO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、PO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が本発明に好適に用いられる。
【0063】
前記オキシラン環を有する化合物(エポキシ化合物)としては、例えば、多塩基酸のポリグリシジルエステル類、多価アルコールのポリグリシジルエーテル類、ポリオキシアルキレングリコールのポリグリシジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエテーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル類の水素添加化合物類、ウレタンポリエポキシ化合物およびエポキシ化ポリブタジエン類等を挙げることができる。これらの化合物は、その一種を単独で使用することもできるし、また、その二種以上を混合して使用することもできる。
【0064】
本発明に好ましく使用することのできるオキシラン環を有する化合物(エポキシ化合物)としては、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類などを例示することができる。
【0065】
これらの中で特に、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルが好ましい。
【0066】
このようなグリシジル基含有化合物として好適に使用できる市販品としては、UVR−6216(ユニオンカーバイド社製)、グリシドール、AOEX24、サイクロマーA200、(以上、ダイセル化学工業(株)製)、エピコート828、エピコート812、エピコート1031、エピコート872、エピコートCT508(以上、油化シェル(株)製)、KRM−2400、KRM−2410、KRM−2408、KRM−2490、KRM−2720、KRM−2750(以上、旭電化工業(株)製)などを挙げることができる。これらは、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0067】
また、これらのオキシラン環を有する化合物はその製法は問わないが、例えば、丸善KK出版、第四版実験化学講座20有機合成II、213〜、平成4年、Ed.by Alfred Hasfner,The chemistry of heterocyclic compounds−Small Ring Heterocycles part3 Oxiranes,John & Wiley and Sons,An Interscience Publication,New York,1985、吉村、接着、29巻12号、32、1985、吉村、接着、30巻5号、42、1986、吉村、接着、30巻7号、42、1986、特開平11−100378号公報、特許第2906245号公報、特許第2926262号公報などの文献を参考にして合成できる。
【0068】
本発明で用いる他の重合性単量体として、ビニルエーテル化合物を併用してもよい。
前記ビニルエーテル化合物は、公知のものを適宜選択することができ、例えば、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ブタンジオール−1,4−ジビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、エチレングリコールジエチレンビニルエーテル、トリエチレングリコールジエチレンビニルエーテル、エチレングリコールジプロピレンビニルエーテル、トリエチレングリコールジエチレンビニルエーテル、トリメチロールプロパントリエチレンビニルエーテル、トリメチロールプロパンジエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールジエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラエチレンビニルエーテル、1,1,1−トリス〔4−(2−ビニロキシエトキシ)フェニル〕エタン、ビスフェノールAジビニロキシエチルエーテル等が挙げられる。
これらの中で特に、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ビスフェノールAジビニロキシエチルエーテルが本発明に好適に用いられる。
【0069】
これらのビニルエーテル化合物は、例えば、Stephen.C.Lapin,Polymers Paint Colour Journal.179(4237)、321(1988)に記載されている方法、即ち多価アルコールもしくは多価フェノールとアセチレンとの反応、または多価アルコールもしくは多価フェノールとハロゲン化アルキルビニルエーテルとの反応により合成することができ、これらは1種単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0070】
また、本発明で用いる他の重合性単量体としては、スチレン誘導体も採用できる。スチレン誘導体としては、例えば、p−メトキシスチレン、p−メトキシ−β−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、等を挙げることができる。
【0071】
その他、本発明の一般式(1)で表される化合物と併用できるスチレン誘導体としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、β−メチルスチレン、p−メチル−β−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシ−β−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、ジビニルスチレン等を挙げることができ、ビニルナフタレン誘導体としては、例えば、1−ビニルナフタレン、α−メチル−1−ビニルナフタレン、β−メチル−1−ビニルナフタレン、4−メチル−1−ビニルナフタレン、4−メトキシ−1−ビニルナフタレン等を挙げることができる。
これらの中で、ジビニルスチレン、p−メトキシスチレンが好ましく用いることができる。
【0072】
本発明で用いる他の重合性単量体として、モールドとの剥離性や塗布性を向上させる目的でフッ素原子を有する化合物を併用してもよい。
前記フッ素原子を有する化合物としては、例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチル−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0073】

本発明で用いる他の重合性単量体として、プロペニルエーテルおよびブテニルエーテルを用いることもできる。
前記プロペニルエーテルおよびブテニルエーテルとしては、例えば、1−ドデシル−1−プロペニルエーテル、1−ドデシル−1−ブテニルエーテル、1−ブテノキシメチル−2−ノルボルネン、1−4−ジ(1−ブテノキシ)ブタン、1,10−ジ(1−ブテノキシ)デカン、1,4−ジ(1−ブテノキシメチル)シクロヘキサン、ジエチレングリコールジ(1−ブテニル)エーテル、1,2,3−トリ(1−ブテノキシ)プロパン、プロペニルエーテルプロピレンカーボネート等が好適に適用できる。
【0074】
上述の他の重合性単量体は、1種類のみ用いてもよいし、2種類以上併用して用いてもよい。
【0075】
上述の他の重合性単量体は、組成物中の本発明における重合性化合物の含有量によってその好ましい含有量が変わるが、例えば本発明硬化性組成物中に10〜99質量%含まれることが好ましく、20〜80質量%の範囲で含まれることが好ましい。
【0076】
次に、本発明におけるメタアクリレート化合物および他の重合性単量体(以下、これらを併せて「(全)重合性不飽和単量体」ということがある)の好ましいブレンド形態について説明する。本発明の硬化性組成物は、一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物を必須成分とし、他の重合性単量体を含んでいることが好ましい。
【0077】
他の重合性単量体の組成物中の好ましい含有量に関して説明する。
1官能の重合性単量体は、通常、反応性希釈剤として用いられ、本発明の硬化性組成物の粘度を下げるのに有効であり、全重合性不飽和単量体の5〜90質量%添加されることが好ましい。1官能の重合性単量体の添加量は10〜80質量%であることがより好ましく、特に好ましくは15〜70質量%であり、より特に好ましくは15〜50質量%である。
不飽和結合含有基を2個有する単量体(2官能重合性不飽和単量体)の添加量は、全重合性不飽和単量体の好ましくは10〜90質量%、より好ましくは20〜80質量%、特に好ましくは、
25〜70質量%である。
1官能および2官能重合性不飽和単量体の割合は、全重合性不飽和単量体の、好ましくは1〜95質量%、より好ましくは3〜95質量%、特に好ましくは、5〜90質量%の範囲で添加される。
不飽和結合含有基を3個以上有する多官能重合性不飽和単量体の割合は、全重合性不飽和単量体の、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは10〜70質量%、特に好ましくは、20〜60質量%の範囲で添加される。重合性不飽和結合含有基を3個以上有する重合性不飽和単量体の割合を80質量%以下とすることにより、組成物の粘度を下げられるため好ましい。
【0078】
−(B)界面活性剤−
本発明の硬化性組成物には、界面活性剤を含んでいてもよい。本発明に用いられる界面活性剤は、全組成物中、例えば、0.001〜5質量%含有し、好ましくは0.002〜4質量%であり、さらに好ましくは、0.005〜3質量%である。2種類以上の界面活性剤を用いる場合は、その合計量が前記範囲となる。界面活性剤が組成物中0.001〜5質量%の範囲にあると、塗布の均一性の効果が良好であり、界面活性剤の過多によるモールド転写特性を悪化も招きにくい。
前記界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびフッ素・シリコーン系界面活性剤の少なくとも1種を含むことが好ましく、フッ素系界面活性剤とシリコーン系界面活性剤の両方または、フッ素・シリコーン系界面活性剤を含むことがより好ましく、フッ素・シリコーン系界面活性剤を含むことが最も好ましい。
ここで、フッ素・シリコーン系界面活性剤とは、フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤の両方の要件を併せ持つものをいう。
このような界面活性剤を用いることにより、本発明の硬化性組成物を、半導体素子製造用のシリコンウェハや、液晶素子製造用のガラス角基板、クロム膜、モリブデン膜、モリブデン合金膜、タンタル膜、タンタル合金膜、窒化珪素膜、アモルファスシリコーン膜、酸化錫をドープした酸化インジウム(ITO)膜や酸化錫膜などの、各種の膜が形成されるなど基板上の塗布時に起こるストリエーションや鱗状の模様(レジスト膜の乾燥むら)などの塗布不良の問題を解決することが可能となる。また、モールド凹部のキャビティ内への本発明の硬化性組成物の流動性の向上、モールドとレジスト間の剥離性の向上、レジストと基板間の密着性の向上、組成物の粘度を下げる等が可能になる。特に、本発明の硬化性組成物は、上記界面活性剤を添加することにより、塗布均一性を大幅に改良でき、スピンコーターやスリットスキャンコーターを用いた塗布において、基板サイズに依らず良好な塗布適性が得られる。
【0079】
本発明で用いることのできる非イオン性フッ素系界面活性剤の例としては、商品名フロラードFC−430、FC−431(住友スリーエム社製)、商品名サーフロン「S−382」(旭硝子社製)、EFTOP「EF−122A、122B、122C、EF−121、EF−126、EF−127、MF−100」(トーケムプロダクツ社製)、商品名PF−636、PF−6320、PF−656、PF−6520(いずれもOMNOVA Solutions, Inc.)、商品名フタージェントFT250、FT251、DFX18(いずれも(株)ネオス社製)、商品名ユニダインDS−401、DS−403、DS−451(いずれもダイキン工業(株)社製)、商品名メガフアック171、172、173、178K、178A、(いずれも大日本インキ化学工業社製)が挙げられる。
また、非イオン性ケイ素系界面活性剤の例としては、商品名SI−10シリーズ(竹本油脂社製)、メガファックペインタッド31(大日本インキ化学工業社製)、KP−341(信越化学工業社製)が挙げられる。
また、フッ素・シリコーン系界面活性剤の例としては、商品名X−70−090、X−70−091、X−70−092、X−70−093、(いずれも、信越化学工業社製)、商品名メガフアックR−08、XRB−4(いずれも、大日本インキ化学工業社製)が挙げられる。
【0080】
−(C)酸化防止剤−
さらに、本発明の硬化性組成物は、公知の酸化防止剤を含むことが好ましい。本発明に用いられる酸化防止剤は、全硬化性組成物中、例えば、0.01〜10質量%であり、好ましくは0.2〜5質量%である。2種類以上の酸化防止剤を用いる場合は、その合計量が前記範囲となる。
前記酸化防止剤は、熱や光照射による退色およびオゾン、活性酸素、NOx、SOx(xは整数)などの各種の酸化性ガスによる退色を抑制するものである。特に本発明では、酸化防止剤を添加することにより、硬化膜の着色を防止できる、または分解による膜厚減少を低減できるという利点がある。このような酸化防止剤としては、ヒドラジド類、ヒンダードアミン系酸化防止剤、含窒素複素環メルカプト系化合物、チオエーテル系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アスコルビン酸類、硫酸亜鉛、チオシアン酸塩類、チオ尿素誘導体、糖類、亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロキシルアミン誘導体などを挙げることができる。この中でも、特にヒンダードフェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤が硬化膜の着色、膜厚減少の観点で好ましい。
【0081】
前記酸化防止剤の市販品としては、Irganox1010、1035、1076、1222(以上、チバガイギー(株)製)、Antigene P、3C、FR、スミライザーS、スミライザーGA80(住友化学工業(株)製)、アデカスタブAO70、AO80、AO503((株)ADEKA製)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
【0082】
−その他の成分−
本発明の硬化性組成物には前記成分の他に必要に応じて、光増感剤、ポリマー成分、離型剤、有機金属カップリング剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、老化防止剤、可塑剤、密着促進剤、熱重合開始剤、光塩基発生剤、着色剤、エラストマー粒子、光酸増殖剤、光塩基発生剤、塩基性化合物、および、その他流動調整剤、消泡剤、分散剤等を添加してもよい。
【0083】
さらに本発明の硬化性組成物には、光重合開始剤と併用して光増感剤を用い、UV領域の波長を調整することもできる。本発明において用いることができる典型的な増感剤としては、クリベロ〔J.V.Crivello,Adv.in Polymer Sci,62,1(1984)〕に開示しているものが挙げられ、具体的には、ピレン、ペリレン、アクリジンオレンジ、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、ベンゾフラビン、N−ビニルカルバゾール、9,10−ジブトキシアントラセン、アントラキノン、クマリン、ケトクマリン、フェナントレン、カンファキノン、フェノチアジン誘導体などを挙げることができる。
【0084】
本発明の硬化性組成物では、架橋密度をさらに高める目的で、前記多官能の他の重合性単量体よりもさらに分子量の大きい多官能オリゴマーを、本発明の目的を達成する範囲で配合することもできる。光ラジカル重合性を有する多官能オリゴマーとしてはポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート等の各種アクリレートオリゴマー、トリメトキシシリルプロピルアクリレートの加水分解縮合物が挙げられる。
本発明のナノインプリント用硬化性組成物はインプリント適性、硬化性等の改良を観点からも、さらにポリマー成分を含有していてもよい。前記ポリマー成分としては側鎖に重合性官能基を有するポリマーが好ましい。前記ポリマー成分の重量平均分子量としては、架橋密度の向上の観点から、5000〜50000が好ましく、10000〜30000がさらに好ましい。ポリマー成分の添加量としては組成物の溶剤を除く成分に対し、0〜30質量%が好ましく、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜10質量%、最も好ましくは2質量%以下である。本発明の硬化性組成物において溶剤を除く成分中、分子量2000以上のポリマー成分の含有量が30質量%以下であると、パターン形成性が向上する。また、パターン形成性の観点から樹脂成分はできる限り少ない法が好ましく、界面活性剤や微量の添加剤を除き、樹脂成分を含まないことが好ましい。
【0085】
剥離性をさらに向上する目的で、本発明の硬化性組成物には、離型剤を任意に配合することができる。具体的には、本発明の硬化性組成物の層に押し付けたモールドを、樹脂層の面荒れや版取られを起こさずにきれいに剥離できるようにする目的で添加される。離型剤としては従来公知の離型剤、例えば、シリコーン系離型剤、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロンパウダー(テフロンは登録商標)等の固形ワックス、弗素系、リン酸エステル系化合物等が何れも使用可能である。また、これらの離型剤をモールドに付着させておくこともできる。
【0086】
前記シリコーン系離型剤は、本発明で用いられる前記光硬化性樹脂と組み合わせた時にモールドからの剥離性が特に良好であり、版取られ現象が起こり難くなる。前記シリコーン系離型剤は、オルガノポリシロキサン構造を基本構造とする離型剤であり、例えば、未変性または変性シリコーンオイル、トリメチルシロキシケイ酸を含有するポリシロキサン、シリコーン系アクリル樹脂等が該当し、一般的にハードコート用組成物で用いられているシリコーン系レベリング剤の適用も可能である。
【0087】
前記変性シリコーンオイルは、ポリシロキサンの側鎖および/または末端を変性したものであり、反応性シリコーンオイルと非反応性シリコーンオイルとに分けられる。反応性シリコーンオイルとしては、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、片末端反応性、異種官能基変性等が挙げられる。非反応性シリコーンオイルとしては、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪エステル変性、親水性特殊変性、高級アルコキシ変性、高級脂肪酸変性、フッ素変性等が挙げられる。
一つのポリシロキサン分子に前記したような変性方法の2つ以上を行うこともできる。
【0088】
前記変性シリコーンオイルは組成物成分との適度な相溶性があることが好ましい。特に、組成物中に必要に応じて配合される他の塗膜形成成分に対して反応性がある反応性シリコーンオイルを用いる場合には、本発明の硬化性組成物を硬化した硬化膜中に化学結合よって固定されるので、当該硬化膜の密着性阻害、汚染、劣化等の問題が起き難い。特に、蒸着工程での蒸着層との密着性向上には有効である。また、(メタ)アクリロイル変性シリコーン、ビニル変性シリコーン等の、光硬化性を有する官能基で変性されたシリコーンの場合は、本発明の硬化性組成物と架橋するため、硬化後の特性に優れる。
【0089】
前記トリメチルシロキシケイ酸を含有するポリシロキサンは表面にブリードアウトし易く剥離性に優れており、表面にブリードアウトしても密着性に優れ、金属蒸着やオーバーコート層との密着性にも優れている点で好ましい。
前記離型剤は1種類のみあるいは2種類以上を組み合わせて添加することができる。
【0090】
離型剤を本発明の硬化性組成物に添加する場合、組成物全量中に0.001〜10質量%の割合で配合することが好ましく、0.01〜5質量%の範囲で添加することがより好ましい。離型剤の含有量が0.01〜5質量%の範囲内にあると、モールドと硬化性組成物層との剥離性向上効果が向上し、さらに組成物の塗工時のはじきによる塗膜面の面荒れの問題が生じたり、製品において基材自身や近接する層、例えば、蒸着層の密着性を阻害したり、転写時における皮膜破壊等(膜強度が弱くなりすぎる)を生じるのを抑制することができる。
【0091】
本発明の硬化性組成物には、微細凹凸パターンを有する表面構造の耐熱性、強度、或いは、金属蒸着層との密着性を高めるために、有機金属カップリング剤を配合してもよい。また、有機金属カップリング剤は、熱硬化反応を促進させる効果も持つため有効である。前記有機金属カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、スズカップリング剤等の各種カップリング剤を使用できる。
【0092】
本発明の硬化性組成物に用いることのできるシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシラン;N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン;および、その他のシランカップリング剤として、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0093】
前記チタンカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられる。
【0094】
前記ジルコニウムカップリング剤としては、例えば、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラ−ブトキシジルコニウム、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(アセチルアセトネート)、ジルコニウムトリブトキシエチルアセトアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
【0095】
前記アルミニウムカップリング剤としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチレート、アルミニウムエチレート、エチルアセトアセテエートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトアセテート)等を挙げることができる。
【0096】
前記有機金属カップリング剤は、本発明の硬化性組成物の固形分全量中に0.001〜10質量%の割合で任意に配合できる。有機金属カップリング剤の割合を0.001質量%以上とすることにより、耐熱性、強度、蒸着層との密着性の付与の向上についてより効果的な傾向にある。一方、有機金属カップリング剤の割合を10質量%以下とすることにより、組成物の安定性、成膜性の欠損を抑止できる傾向にあり好ましい。
【0097】
本発明の硬化性組成物には、貯蔵安定性等を向上させるために、重合禁止剤を配合してもよい。前記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、カテコール、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール類;ベンゾキノン、ジフェニルベンゾキノン等のキノン類;フェノチアジン類;銅類等を用いることができる。前記重合禁止剤は、本発明の硬化性組成物の全量に対して任意に0.001〜10質量%の割合で配合するのが好ましい。
【0098】
本発明の硬化性組成物には、紫外線吸収剤を用いることができる。
前記紫外線吸収剤の市販品としては、Tinuvin P、234、320、326、327、328、213(以上、チバガイギー(株)製)、Sumisorb110、130、140、220、250、300、320、340、350、400(以上、住友化学工業(株)製)等が挙げられる。紫外線吸収剤は、本発明の硬化性組成物の全量に対して任意に0.01〜10質量%の割合で配合するのが好ましい。
【0099】
本発明の硬化性組成物には、光安定剤を用いることができる。
前記光安定剤の市販品としては、Tinuvin 292、144、622LD(以上、チバガイギー(株)製)、サノールLS−770、765、292、2626、1114、744(以上、三共化成工業(株)製)等が挙げられる。前記光安定剤は組成物の全量に対し、0.01〜10質量%の割合で配合するのが好ましい。
【0100】
本発明の硬化性組成物には、老化防止剤を用いることができる。
前記老化防止剤の市販品としては、Antigene W、S、P、3C、6C、RD−G、FR、AW(以上、住友化学工業(株)製)等が挙げられる。老化防止剤は組成物の全量に対し、0.01〜10質量%の割合で配合するのが好ましい。
【0101】
本発明の硬化性組成物には基板との接着性や膜の柔軟性、硬度等を調整するために可塑剤を加えることが可能である。好ましい可塑剤の具体例としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン、ジメチルアジペート、ジエチルアジペート、ジ(n−ブチル)アジペート、ジメチルスベレート、ジエチルスベレート、ジ(n−ブチル)スベレート等があり、可塑剤は組成物中の30質量%以下で任意に添加することができる。好ましくは20質量%以下で、より好ましくは10質量%以下である。可塑剤の添加効果を得るためには、0.1質量%以上が好ましい。
【0102】
本発明の硬化性組成物には基板との接着性等を調整するために密着促進剤を添加しても良い。
前記密着促進剤として、ベンズイミダゾール類やポリベンズイミダゾール類、低級ヒドロキシアルキル置換ピリジン誘導体、含窒素複素環化合物、ウレアまたはチオウレア、有機リン化合物、8−オキシキノリン、4−ヒドロキシプテリジン、1,10−フェナントロリン、2,2'−ビピリジン誘導体、ベンゾトリアゾール類、有機リン化合物とフェニレンジアミン化合物、2−アミノ−1−フェニルエタノール、N−フェニルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン,N−エチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミンおよび誘導体、ベンゾチアゾール誘導体などを使用することができる。密着促進剤は、組成物中の好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。密着促進剤の添加は効果を得るためには、0.1質量%以上が好ましい。
【0103】
本発明の硬化性組成物を硬化させる場合、必要に応じて熱重合開始剤も添加することができる。好ましい熱重合開始剤としては、例えば過酸化物、アゾ化合物を挙げることができる。具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチル−パーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。熱重合開始剤は、組成物中の好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。熱重合開始剤の添加は効果を得るためには、0.1質量%以上が好ましい。
【0104】
本発明の硬化性組成物には、パターン形状、感度等を調整する目的で、必要に応じて光塩基発生剤を添加してもよい。光塩基発生剤としては、例えば、2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、トリフェニルメタノール、O−カルバモイルヒドロキシルアミド、O−カルバモイルオキシム、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン1,6−ジアミン、4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、ヘキサアンミンコバルト(III)トリス(トリフェニルメチルボレート)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2,6−ジメチル−3,5−ジアセチル−4−(2'−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン、2,6−ジメチル−3,5−ジアセチル−4−(2',4'−ジニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン等が好ましいものとして挙げられる。
【0105】
本発明の硬化性組成物には、塗膜の視認性を向上するなどの目的で、着色剤を任意に添加してもよい。着色剤は、UVインクジェット組成物、カラーフィルタ用組成物およびCCDイメージセンサ用組成物等で用いられている顔料や染料を本発明の目的を損なわない範囲で用いることができる。本発明で用いることができる顔料としては、従来公知の種々の無機顔料または有機顔料を用いることができる。無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物であり、具体的には鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、金属複合酸化物を挙げることができる。有機顔料としては、C.I.Pigment Yellow 11, 24, 31, 53, 83, 99, 108, 109, 110, 138, 139,151, 154, 167、C.I.Pigment Orange 36, 38, 43、C.I.Pigment Red 105, 122, 149, 150, 155, 171, 175, 176, 177, 209、C.I.Pigment Violet 19, 23, 32, 39、C.I.Pigment Blue 1, 2, 15, 16, 22, 60, 66、C.I.Pigment Green 7, 36, 37、C.I.Pigment Brown 25, 28、C.I.Pigment Black 1, 7および、カーボンブラックを例示できる。着色剤は組成物の全量に対し、0.001〜2質量%の割合で配合するのが好ましい。
【0106】
また、本発明の本発明の硬化性組成物では、機械的強度、柔軟性等を向上するなどの目的で、任意成分としてエラストマー粒子を添加してもよい。
本発明の硬化性組成物に任意成分として添加できるエラストマー粒子は、平均粒子サイズが好ましくは10nm〜700nm、より好ましくは30〜300nmである。例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/α−オレフィン系共重合体、エチレン/α−オレフィン/ポリエン共重合体、アクリルゴム、ブタジエン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン/ブタジエンブロック共重合体、スチレン/イソプレンブロック共重合体などのエラストマーの粒子である。またこれらエラストマー粒子を、メチルメタアクリレートポリマー、メチルメタアクリレート/グリシジルメタアクリレート共重合体などで被覆したコア/シェル型の粒子を用いることができる。エラストマー粒子は架橋構造をとっていてもよい。
【0107】
前記エラストマー粒子の市販品としては、例えば、レジナスボンドRKB(レジナス化成(株)製)、テクノMBS−61、MBS−69(以上、テクノポリマー(株)製)等を挙げることができる。
【0108】
これらのエラストマー粒子は単独で、または2種以上組み合わせて使用することができる。本発明の硬化性組成物におけるエラストマー成分の含有割合は、好ましくは1〜35質量%であり、より好ましくは2〜30質量%、特に好ましくは3〜20質量%である。
【0109】
本発明の硬化性組成物には、硬化収縮の抑制、熱安定性を向上するなどの目的で、塩基性化合物を任意に添加してもよい。前記塩基性化合物としては、アミンならびに、キノリンおよびキノリジンなど含窒素複素環化合物、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物などが挙げられる。これらの中でも、光重合成モノマーとの相溶性の面からアミンが好ましく、例えば、オクチルアミン、ナフチルアミン、キシレンジアミン、ジベンジルアミン、ジフェニルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、ジメチルアニリン、キヌクリジン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミンおよびトリエタノールアミンなどが好ましく用いられる。
【0110】
本発明の硬化性組成物には、光硬化性向上のために、連鎖移動剤を添加してもよい。前記連鎖移動剤としては、具体的には、4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)を挙げることができる。
【0111】
本発明の硬化性組成物は、調製時における水分量が好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.5質量%、さらに好ましくは1.0質量%以下である。調製時における水分量を2.0質量%以下とすることにより、本発明の硬化性組成物の保存性をより安定にすることができる。
【0112】
また、本発明のナノインプリント用硬化性組成物には溶剤を用いることもできるが、実質的に無溶剤型組成物であることが好ましい。ここで、“実質的に無溶剤型組成物である"とは、組成物中に実質的に有機溶剤が含まれていない組成物を意味し、具体的には、有機溶剤の含有量が、全組成物中、3質量%以下であることが好ましい。すなわち本発明の硬化性組成物は、好ましくは上記のような1官能およびまたは2官能の他の単量体を反応性希釈剤として含むため、本発明の硬化性組成物の成分を溶解させるための有機溶剤は、必ずしも含有する必要がない。また、有機溶剤を含まなければ、溶剤の揮発を目的としたベーキング工程が不要となるため、プロセス簡略化に有効となるなどのメリットが大きい。従って、本発明の硬化性組成物では、有機溶剤の含有量は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下であり、含有しないことが特に好ましい。このように、本発明の硬化性組成物は、必ずしも、有機溶剤を含むものではないが、反応性希釈剤では、溶解しない化合物などを、本発明の硬化性組成物として溶解させる場合や粘度を微調整する際など、任意に添加してもよい。本発明の硬化性組成物に好ましく使用できる有機溶剤の種類としては、光ナノインプリントリソグラフィ用硬化性組成物やフォトレジストで一般的に用いられている溶剤であり、本発明で用いる化合物を溶解および均一分散させるものであれば良く、かつこれらの成分と反応しないものであれば特に限定されない。
【0113】
前記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソフチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸エステル類等のエステル類などが挙げられる。
さらに、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテート等の高沸点溶剤を添加することもできる。これらは1種を単独使用してもよく、2種類以上を併用しても構わない。
これらの中でも、メトキシプロピレングリコールアセテート、2−ヒドロキシプロピン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノンなどが特に好ましい。
【0114】
[ナノインプリント用硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物は光ナノインプリント法によるナノインプリント用硬化性組成物としても用いることができる。以下、“本発明の硬化性組成物等”という場合は、本発明の硬化性組成物と本発明のナノインプリント用硬化性組成物の両者を同時に指す。
通常、光ナノインプリント法に用いられる硬化性組成物は、重合性官能基を有する重合性単量体とともに、必要に応じて、光照射によって前記重合性単量体の重合反応を開始させる光重合開始剤や界面活性剤または酸化防止剤等を含んで構成される。本発明のナノインプリント用硬化性組成物は、前記重合性単量体として、前記一般式(1)で表される芳香族カルボン酸アルケニルエステル(以下、「本発明における芳香族カルボン酸アルケニルエステル」という場合がある。)を含むため、本発明の硬化性組成物を用いて形成される硬化物は微細凹凸パターンの形成能(パターン転写精度)、光透過性、および、モールドとの剥離性(モールドへの付着残渣も少ない)に優れ、更には、組成物硬化後のパターン硬化性も高い。また、本発明のナノインプリント用硬化性組成物を用いて形成される硬化物(パターン)は、硬化後(例えば200℃以上における加熱硬化処理後)においても良好な光透過性を有する。本発明の硬化性組成物等は、塗布適性およびその他の加工適性など他の諸点において総合的に優れた塗膜物性とすることができる。このため、本発明のナノインプリント用硬化性組成物は、光ナノインプリントリソグラフィを適用可能な分野に広く適用することができる。
【0115】
即ち、本発明の硬化性組成物およびナノインプリント用硬化性組成物は、以下のような特徴を有するものとすることができる。
(1)室温での溶液流動性に優れるため、モールド凹部のキャビティ内に該組成物が流れ込みやすく、大気が取り込まれにくいためバブル欠陥を引き起こすことがなく、モールド凸部、凹部のいずれにおいても光硬化後に残渣が残りにくい。
(2)硬化後の硬化膜は機械的性質、塗膜と基材との密着性、および、塗膜とモールドとの剥離性に 優れるため、モールドを引き剥がす際にパターン崩れや塗膜表面に糸引きが生じて表面荒れを引き 起こすことがなく、良好なパターンを形成できる(良好なパターン転写精度)。
(3)塗布均一性に優れるため、大型基材への塗布・微細加工分野などに適する。
(4)光透過性、残膜性、耐擦傷性(硬化性)などの機械特性、耐溶剤性が高いので、各種の永久膜としてとして好適に用いることができる。
【0116】
このため、本発明の硬化性組成物およびナノインプリント用硬化性組成物は、例えば、これまで展開が難しかった半導体集積回路や液晶表示装置用部材(特に、液晶ディスプレイの薄膜トランジタ、液晶カラーフィルタの保護膜、スペーサー、その他の液晶表示装置用部材の微細加工用途等)に好適に適用でき、その他の用途、例えば、プラズマディスプレイパネル用隔壁材、フラットスクリーン、マイクロ電気機械システム(MEMS)、センサ素子、光ディスク、高密度メモリーデイスク等の磁気記録媒体、回折格子ヤレリーフホログラム等の光学部品、ナノデバイス、光学デバイス、光学フィルムや偏光素子、有機トランジスタ、カラーフィルタ、オーバーコート層、柱材、液晶配向用リブ材、マイクロレンズアレイ、免疫分析チップ、DNA分離チップ、マイクロリアクター、ナノバイオデバイス、光導波路、光学フィルター、フォトニック液晶等の作製にも幅広く適用することができる。
【0117】
以上のような分野の中でも、本発明のナノインプリント用硬化性組成物を硬化させた硬化物は、光照射後に例えば200℃以上の加熱処理(ポストベーク)を施して硬化した後においても光透過性に優れるため、特に光透過性を要する永久膜(例えば、液晶表示装置用のカラーフィルタ保護膜、スペーサー等)として好適に用いることができる。
【0118】
(本発明の硬化性組成物等の粘度)
本発明の硬化性組成物およびナノインプリント用硬化性組成物の粘度について説明する。本発明における粘度は特に述べない限り、25℃における粘度をいう。本発明の硬化性組成物およびナノインプリント用硬化性組成物は、25℃における粘度が、3〜18mPa・sであることが好ましく、より好ましくは5〜15mPa・sであり、特に好ましくは7〜12mPa・sである。このような粘度とすることにより、硬化前の微細凹凸パターンの形成能、塗布適性およびその他の加工適性を付与でき、硬化後においては解像性、ラインエッジラフネス性、残膜特性、基板密着性或いは他の諸点において優れた塗膜物性を付与できる。硬化性組成物およびナノインプリント用硬化性組成物の粘度は、単純に低ければよいというものではない。すなわち、本発明の光硬化性組成物およびナノインプリント用硬化性組成物の粘度が3mPa・s未満では、基板塗布適性の問題や膜の機械的強度の低下が生じる。具体的には、粘度を低くしすぎることによって、組成物の塗布の際に面上ムラを生じたり、塗布時に基板から組成物が流れ出たりするため好ましくない。一方、本発明の光硬化性組成物およびナノインプリント用硬化性組成物の粘度が18mPa・sを超えると微細な凹凸パターンを有するモールドを光硬化性組成物に密着させた場合、モールドの凹部のキャビティ内に組成物が流れにくくなり、大気が取り込まれやすくなるためバブル欠陥を引き起こしやすくなり、モールド凸部において光硬化後に残渣が残りやすくなる。また、レジスト材料ハンドブック、P1、103〜104(2005年、情報機構出版)などにこれまでに開示されている光ナノインプリント組成物は、粘度がおよそ50mPa・sであるため、バブル欠陥や光硬化後にモールドの凹部に残渣が残りやすいなどの問題があり、限られた用途にしか適用できなかった。
【0119】
一般的に、硬化性組成物の粘度を調整するには、粘度の異なる各種の単量体、オリゴマー、ポリマーをプレンドすることが可能である。本発明の硬化性組成物およびナノインプリント用硬化性組成物の粘度を前記範囲内に設計するためには単量体の単体粘度が10mPa・s以下の化合物を用いて組成物を希釈し、硬化性組成物およびナノインプリント用硬化性組成物の粘度を調整することが好ましい。
【0120】
[硬化物の製造方法]
次に、本発明の硬化性組成物等を用いた硬化物(特に、微細凹凸パターン)の製造方法について説明する本発明の硬化物の製造方法では、本発明のナノインプリント用硬化性組成物を基板または支持体(基材)上に塗布してパターン形成層を形成する工程と、前記パターン形成層表面にモールドを圧接する工程と、前記パターン形成層に光を照射する工程と、を経て本発明の組成物を硬化することで、微細な凹凸パターンを形成することができる。特に本発明においては、硬化物の硬化度を向上させるために、更に、光照射後にパターン形成層を加熱する工程を含むことが好ましい。
本発明の硬化物の製造方法によって得られた硬化物は、パーターン精密度、硬化性、光透過性に優れ、特に、液晶カラーフィルタの保護膜、スペーサー、その他の液晶表示装置用部材として好適に用いることができる。
具体的には、基材(基板または支持体)上に少なくとも本発明の硬化性組成物等からなるパターン形成層を塗布し、必要に応じて乾燥させて本発明の硬化性組成物等からなる層(パターン形成層)を形成してパターン受容体(基材上にパターン形成層が設けられたもの)を作製し、当該パターン受容体のパターン形成層表面にモールドを圧接し、モールドパターンを転写する加工を行い、微細凹凸パターン形成層を光照射および加熱により硬化させる。光照射および加熱は複数回に渡って行ってもよい。本発明のパターン形成方法(本発明の硬化物の製造方法)による光インプリントリソグラフィは、積層化や多重パターニングもでき、通常の熱インプリントと組み合わせて用いることもできる。
【0121】
本発明のナノインプリント用硬化性組成物は、光ナノインプリント法により微細なパターンを低コスト且つ高い精度で形成すること可能である。このため、従来のフォトリソグラフィ技術を用いて形成されていたものをさらに高い精度且つ低コストで形成することができる。例えば、基板または支持体上に本発明の組成物を塗布し、該組成物からなる層を露光、硬化、必要に応じて乾燥(ベーク)させることによって、液晶ディスプレイ(LCD)などに用いられる、オーバーコート層や絶縁膜などの永久膜や、半導体集積回路、記録材料、あるいはフラットパネルディスプレイなどのエッチングレジストとして適用することも可能である。特に本発明のナノインプリント用硬化性組成物を用いて形成されたパターンは、エッチング性にも優れ、フッ化炭素等を用いるドライエッチングのエッチングレジストとしても好ましく用いることができる。本発明のナノインプリント用硬化性組成物は、硬化後の光透過性に優れることから、特にオーバーコート層や絶縁膜などの永久膜を作製することもできる。
【0122】
液晶ディスプレイ(LCD)などに用いられる永久膜(構造部材用のレジスト)や、電子材料の基板加工に用いられるレジストにおいては、ディスプレイの動作を阻害しないようにするため、レジスト中の金属あるいは有機物のイオン性不純物の混入を極力避けることがのぞましい。このため、本発明の硬化性組成物等中における金属あるいは有機物のイオン性不純物の濃度としては、1000ppm以下、望ましくは100ppm以下、さらに好ましくは10ppb以下にすることが好ましい。
【0123】
以下において、本発明の硬化性組成物等を用いた硬化物の製造方法(パターン形成方法(パターン転写方法))について具体的に述べる。
本発明のナノインプリント用硬化性組成物を基材上に塗布する際の塗布方法としては、一般によく知られた塗布方法、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スピンコート方法、スリットスキャン法、インクジェット法などを挙げることができる。また、本発明の組成物からなるパターン形成層の膜厚は、使用する用途によって異なるが、0.05μm〜30μm程度である。また、本発明の組成物を、多重塗布により塗布してもよい。尚、基材と本発明の組成物からなるパターン形成層との間には、例えば平坦化層や接着剤層等の他の有機層などを形成してもよい。これにより、パターン形成層と基材とが直接接しないことから、基材に対するごみの付着や基材の損傷等を防止したり、パターン形成層と基材との密着性を向上したりすることができる。尚、本発明の組成物によって形成されるパターンは、基材上に有機層を設けた場合であっても、有機層との密着性に優れる。
【0124】
本発明のナノインプリント用硬化性組成物を塗布するための基材(基板または支持体)は、種々の用途によって選択可能であり、例えば、石英、ガラス、光学フィルム、セラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Ni,Cu,Cr,Feなどの金属基板、紙、SOG(Spin On Glass)、ポリエステルフイルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム等のポリマー基板、TFTアレイ基板、PDPの電極板、ガラスや透明プラスチック基板、ITOや金属などの導電性基材、絶縁性基材、シリコーン、窒化シリコーン、ポリシリコーン、酸化シリコーン、アモルファスシリコーンなどの半導体作製基板など特に制約されない。また、基材の形状も特に限定されるものではなく、板状でもよいし、ロール状でもよい。また、後述のように前記基材としては、モールドとの組み合わせ等に応じて、光透過性、または、非光透過性のものを選択することができる。
【0125】
次いで、本発明の硬化物の製造方法においては、パターン形成層にパターンを転写するために、パターン形成層表面にモールドを(押圧)押接する。これにより、モールドの押圧表面にあらかじめ形成された微細なパターンをパターン形成層に転写することができる。
本発明で用いることのできるモールド材について説明する。本発明の組成物を用いた光ナノインプリントリソグラフィは、モールド材および/または基材の少なくとも一方に、光透過性の材料を選択する。本発明に適用される光インプリントリソグラフィでは、基材の上に本発明のナノインプリント用硬化性組成物を塗布してパターン形成層を形成し、この表面に光透過性のモールドを押圧し、モールドの裏面から光を照射し、前記パターン形成層を硬化させる。また、光透過性基材上に光ナノインプリント用硬化性組成物を塗布し、モールドを押し当て、基材の裏面から光を照射し、光ナノインプリント用硬化性組成物を硬化させることもできる。
前記光照射は、モールドを付着させた状態で行ってもよいし、モールド剥離後に行ってもよいが、本発明では、モールドを密着させた状態で行うのが好ましい。
【0126】
本発明で用いることのできるモールドは、転写されるべきパターンを有するモールドが使われる。前記モールド上のパターンは、例えば、フォトリソグラフィや電子線描画法等によって、所望する加工精度に応じてパターンが形成できるが、本発明では、モールドパターン形成方法は特に制限されない。
本発明において用いられる光透過性モールド材は、特に限定されないが、所定の強度、耐久性を有するものであればよい。具体的には、ガラス、石英、PMMA、ポリカーボネート樹脂などの光透明性樹脂、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサンなどの柔軟膜、光硬化膜、金属膜等が例示される。
【0127】
本発明において光透過性の基材を用いた場合に使われる非光透過型モールド材としては、特に限定されないが、所定の強度を有するものであればよい。具体的には、セラミック材料、蒸着膜、磁性膜、反射膜、Ni、Cu、Cr、Feなどの金属基板、SiC、シリコーン、窒化シリコーン、ポリシリコーン、酸化シリコーン、アモルファスシリコーンなどの基板などが例示され、特に制約されない。また、モールドの形状も特に制約されるものではなく、板状モールド、ロール状モールドのどちらでもよい。ロール状モールドは、特に転写の連続生産性が必要な場合に適用される。
【0128】
本発明の硬化物の製造方法で用いられるモールドは、光ナノインプリント用硬化性組成物とモールド表面との剥離性を向上させるために離型処理を行ったものを用いてもよい。このようなモールドとしては、シリコーン系やフッソ系などのシランカップリング剤による処理を行ったもの、例えば、ダイキン工業(株)製のオプツールDSXや、住友スリーエム(株)製のNovec EGC−1720等、市販の離型剤も好適に用いることができる。
【0129】
本発明の組成物を用いて光インプリントリソグラフィを行う場合、本発明の硬化物の製造方法では、通常、モールド圧力を10気圧以下で行うのが好ましい。モールド圧力を10気圧以下とすることにより、モールドや基板が変形しにくくパターン精度が向上する傾向にある。また、加圧が低いため装置を縮小できる傾向にある点からも好ましい。モールド圧力は、モールド凸部の光ナノインプリント用硬化性組成物の残膜が少なくなる範囲で、モールド転写の均一性が確保できる領域を選択することが好ましい。
【0130】
本発明の硬化物の製造方法中、前記パターン形成層に光を照射する工程における光照射の照射量は、硬化に必要な照射量よりも十分大きければよい。硬化に必要な照射量は、光ナノインプリント用硬化性組成物の不飽和結合の消費量や硬化膜のタッキネスを調べて適宜決定される。
また、本発明に適用される光インプリントリソグラフィにおいては、光照射の際の基板温度は、通常、室温で行われるが、反応性を高めるために加熱をしながら光照射してもよい。光照射の前段階として、真空状態にしておくと、気泡混入防止、酸素混入による反応性低下の抑制、モールドと光ナノインプリント用硬化性組成物との密着性向上に効果があるため、真空状態で光照射してもよい。また、本発明の硬化物の製造方法中、光照射時における好ましい真空度は、10-1Paから常圧の範囲である。
【0131】
本発明のナノインプリント用硬化性組成物を硬化させるために用いられる光は特に限定されず、例えば、高エネルギー電離放射線、近紫外、遠紫外、可視、赤外等の領域の波長の光または放射線が挙げられる。高エネルギー電離放射線源としては、例えば、コッククロフト型加速器、ハンデグラーフ型加速器、リニヤーアクセレーター、ベータトロン、サイクロトロン等の加速器によって加速された電子線が工業的に最も便利且つ経済的に使用されるが、その他に放射性同位元素や原子炉等から放射されるγ線、X線、α線、中性子線、陽子線等の放射線も使用できる。紫外線源としては、例えば、紫外線螢光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯、太陽灯等が挙げられる。放射線には、例えばマイクロ波、EUVが含まれる。また、LED、半導体レーザー光、あるいは248nmのKrFエキシマレーザー光や193nmArFエキシマレーザーなどの半導体の微細加工で用いられているレーザー光も本発明に好適に用いることができる。これらの光は、モノクロ光を用いてもよいし、複数の波長の異なる光(ミックス光)でもよい。
【0132】
露光に際しては、露光照度を1mW/cm2〜50mW/cm2の範囲にすることが望ましい。1mW/cm2以上とすることにより、露光時間を短縮することができるため生産性が向上し、50mW/cm2以下とすることにより、副反応が生じることによる永久膜の特性の劣化を抑止できる傾向にあり好ましい。露光量は5mJ/cm2〜1000mJ/cm2の範囲にすることが望ましい。露光量は5mJ/cm2〜1000mJ/cm2の範囲とすることで、露光マージンが広くなり、光硬化が十分となりモールドへの未反応物の付着が抑えられる。さらに、組成物の分解による永久膜の劣化の問題も生じない。
さらに、露光に際しては、酸素によるラジカル重合の阻害を防ぐため、チッソやアルゴンなどの不活性ガスを流して、酸素濃度を100mg/L未満に制御してもよい。
【0133】
本発明の硬化物の製造方法においては、光照射によりパターン形成層を硬化させた後、硬化させたパターンに熱を加えてさらに硬化させる工程(ポストベーク工程)を含むのが好ましい。尚、加熱は、光照射後のパターン形成層からモールドを剥離する前後のいずれに行ってもよいが、モールドの剥離後にパターン形成層を加熱するほうが好ましい。光照射後に本発明の組成物を加熱硬化させる熱としては、150〜280℃が好ましく、200〜250℃がより好ましい。また、熱を付与する時間としては、5〜60分間が好ましく、15〜45分間がさらに好ましい。
【0134】
また、本発明の硬化物の製造方法によって形成されたパターンは、エッチングレジストとしても有用である。本発明のナノインプリント用組成物をエッチングレジストとして利用する場合には、まず、基材として例えばSiO2等の薄膜が形成されたシリコンウエハ等を用い、基材上に本発明の硬化物の製造方法によってナノオーダーの微細なパターンを形成する。その後、ウェットエッチングの場合にはフッ化水素等、ドライエッチングの場合にはCF4等のエッチングガスを用いてエッチングすることにより、基材上に所望のパターンを形成することができる。本発明のナノインプリント用硬化性組成物は、特にドライエッチングに対するエッチング耐性が良好である。
【0135】
本発明の硬化性組成物等は、上記各成分を混合した後、例えば、孔径0.05μm〜5.0μmのフィルターで濾過することによって溶液として調製することができる。光ナノインプリントリソグラフィ用硬化性組成物の混合・溶解は、通常、0℃〜100℃の範囲で行われる。濾過は、多段階で行ってもよいし、多数回繰り返してもよい。また、濾過した液を再濾過することもできる。濾過に使用する材質は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッソ樹脂、ナイロン樹脂などのものが使用できるが特に限定されない。
【0136】
上述のように本発明の硬化物の製造方法によって形成された硬化物は、液晶ディスプレイ(LCD)などに用いられる永久膜(構造部材用のレジスト)やエッチングレジストとして使用することができる。また、製造後にガロン瓶やコート瓶などの容器にボトリングし、輸送、保管されるが、この場合に、劣化を防ぐ目的で、容器内を不活性なチッソ、またはアルゴンなどで置換しておいてもよい。また、輸送、保管に際しては、常温でもよいが、より永久膜の変質を防ぐため、−20℃から0℃の範囲に温度制御してもよい。勿論、反応が進行しないレベルで遮光することが好ましい。
【実施例】
【0137】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0138】
[本発明の一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物の合成]
(例示化合物M−1の合成)
4−ヒドロキシ安息香酸(55g)、炭酸カリウム(110g)、N−メチルピロリドン(500ml)の混合溶液に、アリルブロマイド(48g)を添加し、60℃で反応させた。原料の消失を薄相クロマトグラフィーにより確認後、反応溶液を25℃まで冷却した。反応溶液にアクリル酸クロライド(40ml)を添加後、50℃で反応させた。原料消失を確認後、水(700ml)、酢酸エチル(700ml)を加え、抽出をおこなった。有機層を1N塩酸水溶液(500ml)で2回、飽和食塩水で1回洗浄後、有機層を濃縮し化合物M−1の粗体を得た。シリカゲルクロマトグラフィーにより精製することにより、化合物M−1を99g得た。下記に1H−NMRのデータを示す。
1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ:4.8(d,2H),5.3(d,1H),5.4(d,1H),6.0(m,2H),6.3(dd,1H),6.6(d,1H),7.2(d,2H),8.2(d,2H)
【0139】
(例示化合物M−2の合成)
4−ヒドロキシ安息香酸に代えて、3―ヒドロキシ安息香酸を原料として用い、炭酸カリウム、アリルブロマイド、アクリル酸クロライドの当量を適宜調整した以外は例示化合物M−1の合成と同様にして合成した。下記に1H−NMRのデータを示す。
1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ:4.8(d,2H),5.3(d,1H),5.4(d,1H),6.0(m,2H),6.3(dd,1H),6.4(d,1H),7.3(d,1H),7.5(dd,1H),7.8(s,1H),8.0(d,1H)
【0140】
(例示化合物M−3の合成)
4−ヒドロキシ安息香酸に代えて、サリチル酸を原料として用い、炭酸カリウム、アリルブロマイド、アクリル酸クロライドの当量を適宜調整した以外は例示化合物M−1の合成と同様にして合成した。下記に1H−NMRのデータを示す。
1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ:4.8(d,2H),5.2(d,1H),5.4(d,1H),6.0(dt,1H),6.1(d,1H),6.4(dd,1H),6.5(d,1H),7.3(d,1H),7.4(dd,1H),7.7(dd,1H),8.0(d,1H)
【0141】
(例示化合物M−4の合成)
4−ヒドロキシ安息香酸に代えて、5−ヒドロキシイソフタル酸を原料として用い、炭酸カリウム、アリルブロマイド、アクリル酸クロライドの当量を適宜調整した以外は例示化合物M−1の合成と同様にして合成した。下記に1H−NMRのデータを示す。
1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ:4.8(d,4H),5.3(d,2H),5.4(d,2H),6.1(m,3H),6.5(dd,1H),6.6(d,1H),8.0(s,2H),8.6(s,1H)
【0142】
(例示化合物M−5の合成)
4−ヒドロキシ安息香酸に代えて、3,5−ジヒドロキシ安息香酸を原料として用い、炭酸カリウム、アリルブロマイド、アクリル酸クロライドの当量を適宜調整した以外は例示化合物M−1の合成と同様にして合成した。下記に1H−NMRのデータを示す。
1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ:4.8(d、2H),5.3(d,1H),5.4(d,1H),6.0(m,3H),6.3(dd,2H),6.6(d,2H),7.2(s,1H),7.7(s,1H)
【0143】
(例示化合物M−6の合成)
4−ヒドロキシ安息香酸に代えて、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸を原料として用い、炭酸カリウム、アリルブロマイド、アクリル酸クロライドの当量を適宜調整した以外は例示化合物M−1の合成と同様にして合成した。下記に1H−NMRのデータを示す。
1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ:4.8(d,2H),5.1(d,1H),5.4(d,1H),6.1(m,3H),6.4(dd,1H),6.6(d,1H),7.4(d,1H),7.6(m,2H),8.0−8.2(m,3H)
【0144】
(例示化合物M−7の合成)
4−ヒドロキシ安息香酸に代えて、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を原料として用い、炭酸カリウム、アリルブロマイド、アクリル酸クロライドの当量を適宜調整した以外は例示化合物M−1の合成と同様にして合成した。下記に1H−NMRのデータを示す。
1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ:4.8(d,2H),5.3(d,1H),5.4(d,1H),6.4(dd,1H),6.7(d,1H),7.1(m,2H),7.5(d,1H),7.7(d,1H),7.9(d,1H),8.4(s,1H)
【0145】
(例示化合物M−9の合成)
アクリル酸クロライドに代えてメタクリル酸クロライドを用いた以外は、例示化合物M−1の合成と同様にして合成した。下記に1H−NMRのデータを示す。
1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ:2.8(s,3H),4.8(d,2H),5.3(d,1H),5.4(d,1H),6.0(dt,1H),6.1(d,1H),6.6(d,1H),7.2(d,2H),8.2(d,2H)
【0146】
[硬化性組成物の調製] 実施例1〜9、比較例1および2
下記表1〜3に示す組成で、上述の本発明の一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物の例示化合物や下記他の重合性化合物(官能単量体)に加えて、下記光重合開始剤P−1、下記界面活性剤W−1およびW−2、下記酸化防止剤A−1およびA−2を加えて硬化性組成物を調製した。
<その他の1官能単量体>
R−1:ベンジルアクリレート(ビスコート#160:大阪有機化学(株)製)
R−2:エチルオキセタニルエチルアクリレート(OXE−10:東亞合成(株)製)
R−3:トリメトキシシリルプロピルアクリレート(KBM5103:信越化学(株)製)
【0147】
<その他の2官能単量体>
S−01:ネオペンチルグリコールジアクリレート(KAYARD NPGDA:日本化薬(株)製)
<その他の3官能以上の単量体>
S−10:トリメチロールプロパントリアクリレート(アロニックスM−309:東亞合成(株)製)
S−11:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(アルドリッチ社製)
【0148】
<光重合開始剤>
P−1:2,4,6−トリメチルベンゾイル−エトキシフェニル−ホスフィンオキシド(Lucirin TPO−L:BASF社製)
【0149】
<界面活性剤>
W−1:フッ素系界面活性剤(トーケムプロダクツ(株)製:フッ素系界面活性剤)
W−2:シリコーン系界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製:メガファックペインタッド31)
【0150】
<酸化防止剤>
A−1:スミライザーGA80(住友化学工業(株)製)
A−2:アデカスタブAO503((株)ADEKA)製)
【0151】
【表1】

【0152】
【表2】

【0153】
【表3】

【0154】
表3中、比較例1は特開2007−186570号公報実施例2に記載の光硬化性樹脂組成物である。このうち、(メタ)アクリレートであるBPE−500およびエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである1Gは新中村化学(株)製の重合性不飽和単量体であり、ベンジル(メタ)アクリレートであるライトエステルBZは共栄社化学(株)製の重合性不飽和単量体であり、イルガキュア907はチバスペシャルティケミカルズ(株)製の光重合開始剤であり、メガファックR08は大日本インキ化学(株)製の界面活性剤である。
また、比較例2は、例示化合物M−1の代わりにX−1(特開平10−251473号公報実施例2および3に記載の安息香酸アリルエステル)を用いた以外は、実施例9と同様の組成としたものである。
【0155】
[硬化性組成物の評価]
実施例1〜9および比較例1ならびに2について、粘度、パターン精度、剥離性、表面硬度、弾性回復率、耐溶剤性について下記評価方法に従って測定・評価を行った。
【0156】
<粘度測定>
粘度の測定は、東機産業(株)社製のRE−80L型回転粘度計を用い、25±0.2℃で測定した。測定時の回転速度は、0.5mPa・s以上5mPa・s未満は100rpmで行い、5mPa・s以上10mPa・s未満は50rpmで行い、10mPa・s以上は30mPa・s未満は20rpmで行い、30mPa・s以上60mPa・s未満は10rpmで行い、60mPa・s以上120mPa・s未満は5rpmで行い、120mPa・s以上は1rpmもしくは0.5rpmで行った。結果を表4に示す。
【0157】
<パターン転写精度の観察>
各実施例および比較例の組成物を、膜厚3.0μmとなるようにガラス基板上にスピンコートした。スピンコートした塗布基膜に減圧チャンバー内でモールドを圧着した後、窒素ガスにより大気圧に戻した。モールドが付着した基板を露光ボックスに移し、窒素雰囲気下でORC社製の高圧水銀灯(ランプパワー2000mW/cm2)を光源とする露光機により、モールド側から240mJ/cm2の条件で露光した。露光後、モールドを離し、レジストパターンを得た。得られたレジストパターンをオーブンで230℃、30分間加熱することにより完全に硬化させた。
転写後のパターン形状を走査型電子顕微鏡もしくは光学顕微鏡にて観察し、パターン形状を以下のように評価した。
A:モールドのパターン形状の元となる原版のパターンとほぼ同一である
B:モールドのパターン形状の元となる原版のパターン形状と一部異なる部分(原版のパターンと10%未満の範囲)がある
C:モールドのパターン形状の元となる原版のパターン形状と一部異なる部分(原版のパターンと10%以上20%未満の範囲)がある
D:モールドのパターン形状の元となる原版のパターンとはっきりと異なる、あるいはパターンの膜厚が原版のパターンと20%以上異なる
【0158】
<剥離性の評価>
パターン精度観察に用いた同じサンプルを用いて、パターン形成に使用したモールドに組成物成分が付着しているか否かを走査型電子顕微鏡もしくは光学顕微鏡にて観察し、剥離性を以下のように評価した。
A:モールドに硬化性組成物の付着がまったく認められなかった。
B:モールドにわずかな硬化性組成物の付着が認められた。
C:モールドの硬化性組成物の付着が明らかに認められた。
【0159】
<表面硬度評価>
各組成物を膜厚が3.0μmの範囲となるようにガラス基板上にスピンコートし、モールドを圧着せず、窒素雰囲気下で露光量240mJ/cm2で露光し、その後オーブンで230℃、30分間加熱して硬化させた。硬化させた膜に対し、負荷力500gを掛けた鉛筆を用いて、表面硬度を測定した。
鉛筆の硬度は1Hから始め、6Hまでの計6段階の評価をおこなった。鉛筆の接触面を光学顕微鏡で観察し、表面に複数本以上の削れが観測され始めた鉛筆の硬度引く1Hをその硬化物の表面硬度とした。
【0160】
<弾性回復率評価>
表面硬度測定用サンプルと同手法で硬化膜を作成し評価をおこなった。(株)島津製作所製の微小硬度計試験機により押込み試験を行った。測定条件は三角錐圧子、負荷3mN、保持時間1秒とした。
弾性回復率=[(最大負荷時の変位[μm])−(抜負荷時の戻り変位[μm])}÷(最大負荷時の変位[μm])×100と定義し、下記のように評価した。
A:60%以上
B:50%以上、60%未満
C:40%以上、50%未満
D:40%未満
【0161】
<耐溶剤性試験>
各組成物を膜厚3.0μmとなるようにガラス基板上にスピンコートし、モールドを圧着せず、窒素雰囲気下で露光量240mJ/cm2で露光し、その後オーブンで230℃、30分間加熱して硬化させた。硬化させた膜を70℃の2−アミノエトキシ−2−エタノール/N−メチルピロリドン(=1/1体積比)混合溶媒に15分間浸漬させ、浸漬前後での硬化膜の変化を下記のように評価した。
A:膜厚変化 1%未満
B:膜厚変化 1%以上、2%未満
C:膜厚変化 2%以上、4%未満
D:膜厚変化 4%以上
【0162】
<透明率の評価>
各組成物を膜厚3.0μmとなるようにガラス基板上にスピンコートし、モールドを圧着せず、窒素雰囲気下で露光量240mJ/cm2で露光し、その後オーブンで230℃、30分間加熱して硬化させた。硬化させた膜を(株)島津製作所製のUV−2400PCにて400nmにおける透過率を測定した。実施例1〜8の光透過率はいずれも97%以上であり、他のサンプルよりも透明性が優れていた。また、比較例1および2はいずれも90%未満であった。
【0163】
【表4】

【0164】
表4からわかるように、本発明の一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物を含み、かつ光り重合開始剤を含む実施例1〜9の組成物は、得られた硬化物のパターン精度、剥離性、表面硬度、弾性回復率および耐容媒性がいずれも良好であった。これに対し、本発明の一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物を用いず、(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびベンジル(メタ)アクリレートを重合性不飽和単量体として用いた比較例1では表面硬度、男性回復率、耐容媒性が劣っていた。また、特開平10−251473公報に記載の安息香酸アリルエステルを用いた比較例2の組成物は、得られた硬化物の剥離性、表面硬度、弾性回復率、耐容媒性が劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明により、光硬化性に優れた(メタ)アクリレート化合物、およびこれを用いた硬化膜のパターン精度、剥離性、表面硬度、弾性回復率、耐溶剤性のいずれにも優れた硬化性組成物、光ナノインプリント用組成物、並びにこれらの硬化性組成物の硬化物およびその製造方法、特にフラットパネルディスプレイ等の永久膜に好適な組成物を提供することが可能になった。また、透明保護膜、スペーサなどの永久膜として使用した際、優れた残膜性、光透過性、耐擦傷性などの機械特性、耐溶剤性を有する硬化性組成物を提供することが可能になった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物。
【化1】

(式中、R1は水素原子、またはメチル基を表し、R2は炭素数2〜6の炭素−炭素2重結合を有する置換基を表し、Xは炭素数1〜10の有機基を表し、mおよびnは各々独立に1〜3の整数を表す。)
【請求項2】
一般式(1)中のR2が−CH2−CH=CH2基であることを特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクリレート化合物。
【請求項3】
一般式(1)中のR1が水素原子であり、Xがベンゼン環またはナフタレン環であり、mおよびnが各々独立に1または2であることを特徴とする請求項1または2に記載の(メタ)アクリレート化合物。
【請求項4】
ヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタル酸およびヒドロキシナフトエ酸からなる群より選択されるいずれか1つを部分構造として有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の(メタ)アクリレート化合物。
【請求項5】
光重合開始剤と請求項1〜4のいずれか一項に記載の(メタ)アクリレート化合物を含む硬化性組成物。
【請求項6】
前記一般式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物以外の他の重合性単量体をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
さらに界面活性剤を含むことを特徴とする請求項5または6に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
さらに酸化防止剤を含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
該組成物の粘度が25℃で3〜18mPa・sの範囲内であることを特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
光照射を行うことにより硬化されたことを特徴とする、請求項5〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
加熱を行うことにより硬化されたことを特徴とする、請求項5〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
請求項5〜11のいずれか一項に記載の硬化性組成物を含むナノインプリント用硬化性組成物。
【請求項13】
請求項5〜12のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化させた硬化物。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の硬化性組成物を基材上に塗布してパターン形成層を形成する工程と、
前記パターン形成層表面にモールドを押圧する工程と、
前記パターン形成層に光を照射する工程と、
を含むことを特徴とする硬化物の製造方法。
【請求項15】
さらに、光が照射された前記パターン形成層を加熱する工程を含むことを特徴とする請求項14に記載の硬化物の製造方法。

【公開番号】特開2009−215179(P2009−215179A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57703(P2008−57703)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】