説明

(1S,2S,3S,4R)−3−[(1S)−1−アセチルアミノ−2−エチル−ブチル]−4−グアニジノ−2−ヒドロキシ−シクロペンチル−1−カルボン酸水和物及びその使用

本発明は、(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物化合物、その製造方法、その化合物を含む医薬組成物、その医薬組成物の製造方法、及び、抗インフルエンザ薬としての前記化合物の臨床上の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物化合物、その製造方法、その化合物を含む医薬組成物、及び、抗インフルエンザ薬としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
急速に発生する新型ウイルス性感染病は、ウイルスの自己変異(self-variation)又は自己進化(self-evolution)によって起こる感染性の高い有害な疾病である。その病原体が完全に新しい生物学的構造を有するために、その疾病は、一般的に発生を予防及び治療することが難しいので、様々な危険性を有している。インフルエンザウイルスは、高度の変異性及びヒトの感受性に基づいて、急に発生する新型ウイルス感染病の重要な原因となる。一定の間隔で新型インフルエンザは人類の間で広く流行している。過去100年間、インフルエンザの発生は4回以上あったが、1918年に流行したインフルエンザの場合、世界的にほぼ2000万人に上る人が命を奪われた。現在、H5N1型高病原性鳥インフルエンザが家禽類に広がると共に、自ら一貫性のない変異を繰り返すことで、人類を感染させる新型インフルエンザとなった。インフルエンザの発生の危機が迫ってくるのにつれて、新型インフルエンザによって引き起こされ、急速に発病する新型ウイルス感染病の広がりを防ぐべく有効な医薬を開発することが何より重要な課題となっている。
【0003】
ノイラミニダーゼ(NA)は、感染した細胞から新たに形成されたインフルエンザウイルスの分離及び拡散を促進する重要なたんぱく質である。インフルエンザウイルスの表面上で最も変異しやすいこの種のたんぱく質(血球凝集素、HA、ノイラミニダーゼ、NA,及び、非構造たんぱく質NS1)のうち、NAは比較的安定しており、特に、活性部位を構成するそのアミノ酸配列は、インフルエンザA型及びBウイルス全てにおいて高度に保存されている。したがって、NA阻害剤の開発は、未知のインフルエンザウイルスに対する最適な選択となる。新型インフルエンザの治療及び予防用薬剤に関しては、オセルタミビル(oseltamivir)及びザナミビル(zanamivir)と代表されるNA阻害剤が有効とされている。しかしながら、これらの2種の薬剤は、限界を有している。これらは経口製剤であるが、ハイリスク患者の治療に適したものではなく、そして、老年層及び子供のような発症しやすい集団が飲み難いという点から、その治療及び予防効果は大幅に制限される。その他の重篤なウイルス感染病に対しては予防及び治療効果がなく、そして、高価である。また、簡単な形態の医薬が大量かつ広範囲に使用されることにより、薬剤耐性ウイルス菌株の出現を招きやすく、この薬剤による予防及び治療システムは、その保護能を喪失する可能性すら存在する。したがって、新たな治療経路を持続的に探って、良好な治療効果及び低毒性の副作用を有する薬物を開発する必要がある。
【0004】
(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ- シクロペンチル-1-カルボン酸 [RWJ270201, BCX1812, JNJ2, ペラミビル(peramivir)] は、オセルタミビル及びザナミビルとは構造が完全に異なるシクロペンタン化合物に属し、インフルエンザA型及びB型ウイルスを選択的に阻害する。インビトロ活性研究によれば、RWJ270201は、インビトロにおいて7種のインフルエンザA型ウイルス菌株の活性を選択的に阻害し(IC50=0.1-1.4nM)、4種のインフルエンザB型ウイルス菌株のNAの活性を選択的に阻害した(IC50=0.6-11nM)。文献[Bania S., Parker C.D., Ananth S.L., et al, Comparison of the Anti-influenza Virus Activity of RWJ270201 against Clinical Isolates of Influenza Virus and Neuraminidase Inhibitor-Resistant Variants, Antimicrob Agents Chemother, 2001, 45(12), 3403-3408)]参照。RWJ270201の活性は、オセルタミビル及びザナミビルの活性以上であった。インビトロ活性研究によれば、RWJ270201は、インフルエンザウイルスA/HongKong/156/97 (H5N1)に感染したマウスの死亡率を著しく減少させ、その生存率は0.1mg/kg/dayグループでは70%(最大)、10mg/kg/日グループでは、100%(最大)であった。また、肺組織におけるウイルス力価を著しく減少させると共に、脳組織に対するウイルスの拡散を防止することが判った。文献[Govorkova E.A., Leneva I.A., Goloubeva O.G., et al., Comparison of Efficiencies of RWJ270201, ザナミビル, and オセルタミビル against H5N1, H9N2, and Other Avian Influenza Viruses, Antimicrob Agents Chemother, 2001, 45(10), 2723-2732]参照。RWJ270201は、6日目に肺組織におけるウイルス力価及び肺の硬化を阻害し、そして、オセルタミビルよりも長時間にわたって有効であった。この化合物は、1mg/kg/日の低容量において動脈血酸素飽和度の低下を防止することができた。RWJ270201 (1 mg/kg/day)は、死亡率を減少させ、肺の硬化を妨げ、そして、インフルエンザウイルス菌株B/Hong Kong/5/72で感染した実験室の動物の動脈血酸素飽和度の低下を防止し、オセルタミビルよりも効果的であった。また、RWJ270201 (10 mg/kg/day)は、致命的なインフルエンザウイルス菌株A/Bayern/07/95(H1N1)感染症を効果的に中和し、かつ、インフルエンザウイルスA/NWS/33 (H1N1)に感染した実験室の動物の死亡率を減少させた。文献[Bantia S., Amold C.S., Parker C.D., Anti-influenza Virus Activity of Peramivir in Mice with Single Intramuscular Injection, Antiviral Research, 2006, 69(1), 39-45]参照。RWJ270201は毒性が低く、328μg/ml程度の濃度において細胞に非毒性であり、そして、ラットに1000mg/kg/日の容量で五日間投与したときに、毒性の副作用は見られなかった。マウス及びラットに3000mg/kg/日までの容量を投与したときに、急性毒性反応は見られなかった。文献[Sidwell R.W., Smee D.F., Huffman J.H., et al., In the fluenza of Virus Strain, Challenge Dose, and Time of Therapy Initiation on the in vivo Influenza Inhibitory Effect of RWJ270201, Antiviral Res., 2001, 51(3), 179-187]参照。RWJ270201は新しい種類の有効性に優れた低毒性のNA阻害剤である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、RWJ270201は吸湿性(hygroscopicity)を有し、水分を吸収した後その水分を完全に取り除くのは難しいために、無水物の形のRWJ270201は製造し難く、その品質をも効果的に制御することができない。RWJ270201は水溶液中に不安定であり、環境因子の影響下で自己分解する傾向があり、そして、重症患者の治療用注射剤として直接に製造し難い。本発明の目的は、吸湿性を抑え、その質の制御を可能にした(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸誘導体、及び、その製造方法を見出し、そして、重症患者用の注射剤((1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸誘導体を含む。)を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物(I)(即ち、、下記の[化1]にて表される化合物)がRWJ270201及びその他の誘導体に比べて、安定性に優れ、質の制御が容易で、湿りやすくなく(即ち、制御された吸湿性を有し)、大規模生産に適したものであることを見出した。薬力学的研究の結果から、(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物(I)がインビトロ及びインビボにおいて様々な種のインフルエンザウイルス菌株に対しRWJ270201と同程度の活性を有することが判った。薬物代謝研究の結果から、(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物(I)がRWJ270201と同じ代謝経路及び薬力学的特性を有することが判った。毒物学的研究の結果から、(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物(I)が様々な毒性インデックスに関連してRWJ270201と同程度の効果を示すことが判った。したがって、(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物(I)はRWJ270201と同等な効能を有する。
【0007】
また、本発明者は、水溶液中の(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物(I)の安定性が、溶液のpHを調整することによって制御でき、そして、適切なpH値において良好な安定性が得られ、それにより、重症患者の治療に適した注射剤の開発が可能となる、ということを見出した。
【0008】
したがって、本発明は、[化1]にて表される化合物、及び、その製造方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、本発明の化合物を含む医薬組成物、及び、その製造方法を提供する。本発明の医薬組成物は、1以上の[化1]の化合物、及び、1以上の薬学的に許容可能なキャリア、希釈剤、又は、賦形剤を含む。
【0010】
また、本発明は、インフルエンザウイルスによって引き起こされる疾病、危険因子(risk factor)、又は、症候群の治療又は予防方法を提供する。この方法は、治療又は予防に有効な量の本発明の化合物を被検体に投与することを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明の非経口投与用医薬組成物は、高温抵抗性、保存性、高度の安定性、及び、水溶液における自己分解を効率的に抑える能力を備えている。特に、粉末注射剤は、改良された製造方法、良好な安定性、長時間にわたる有効性、運搬性、貯蔵及び保存容易性を備えている。また、使用しやすく、安全で、信頼できる質を有するので、重症の患者の緊急援助及び治療に使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、以下の[化1]にて表される(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物を提供する。
【0013】
【化1】

【0014】
この[化1]において、Xは2.0又は3.0である。
【0015】
本発明の化合物は、インフルエンザウイルスのNAの活性を阻害することができる。
【0016】
本発明の好ましい具体例によれば、本発明は、(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物であることが好ましい。
【0017】
本発明によれば、用語「インフルエンザウイルス」は、ヒトインフルエンザウイルス、及び、様々な動物由来インフルエンザウイルス(例えば、鳥類インフルエンザウイルス)を含むが、それらに限られない。
【0018】
当業者は、本発明が薬学的に許容可能な塩の形態で用いられることを十分理解しているだろう。[化1]の化合物の薬学的に許容可能な塩は、薬学的に許容可能な無機酸、若しくは、有機酸、又は、無機塩基、若しくは、有機塩基で形成した塩、第4級アンモニウムの酸付加塩を含む。適切な酸塩の例として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、ヒドロキシ酢酸、ギ酸、乳酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、パモン酸(pamoic acid)、マロン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレン- 2 -スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ヒドロキシルナフタレンギ酸(hydroxyl naphthaleneformic acid)、ヨウ化水素酸、リンゴ酸、ステロ酸(steroic acid)、タンニン酸などの塩が挙げられる。薬学的に許容可能なものではないが、シュウ酸(oxalic acid)などは本発明の化合物、及び、その薬学的に許容可能な塩を得るための中間体としての塩の製造に用いられる。塩基で形成される塩の例として、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルコサミン、及び、プロカインを挙げることができる。以下、本発明の化合物を言及するときに、その化合物は、[化1]の化合物、及び、その薬学的に許容可能な塩を含むものとする。
【0019】
また、本発明は、本発明の化合物のプロドラックを含む。プロドラックを投与すると、そのプロドラックは代謝によって化学的に転換(変形)され、活性を有する医薬となる。一般的に、プロドラックは、本発明の化合物の官能性誘導体(functional derivative)であり、そして、インビボにおいて[化1]の所定の化合物に容易に転換され得る。例えば、文献["Design of Prodrugs", edited H Bund Saard, Elsevier, 1985]には、適切なプロドラック誘導体を選択・製造方法が記載されている。
【0020】
また、本発明は、本発明の化合物の活性代謝体を含む。
【0021】
また、本発明は、本発明の化合物、及び、1以上の薬学的に許容可能なキャリア、希釈剤、又は、賦形剤を含む医薬組成物に関する。この医薬組成物は、インビボ治療に利用され、生体適合性(biocompatibility)を有している。かかる医薬組成物は、異なる投与経路という観点から様々な剤形で製造され得る。
【0022】
本発明の医薬組成物は、有効量の本発明の[化1]の化合物、又は、その薬学的に許容可能な塩、及び、1以上の適切な薬学的に許容可能なキャリア、希釈剤、又は、賦形剤を含む。この薬学的に許容可能なキャリア、希釈剤、又は、賦形剤として、イオン交換樹脂、酸化アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝剤(例えば、リン酸塩)、グリセリン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩、又は、電解質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸水素二ナトリウム(sodium hydrogen phosphate)、リン酸水素カリウム(hydrogen potassium phosphate)、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース材料、ポリエチレンアルコール、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、蜜蝋、ラノリンが挙げられるが、それらに限られない。
【0023】
本発明の医薬組成物は、経口投与、噴霧吸入(spray inhalation)、直腸投与、鼻腔投与、頬側投与(buccal application)、局所投与(即ち、局所塗布)、非経口投与(たとえば、皮下、静脈内、筋肉、腹腔内、髄腔内、心室内、胸骨内、又は、脳注射(injection)又は注入(infusion))、又は、移植貯蔵所(explanted reservoir)などいかなる形態で投与され得る。これらのうち静脈内投与のような非経口投与のほうが好ましい。
【0024】
経口投与されるときに、本発明の化合物は、経口投与に許容可能な剤形、例えば、錠剤、カプセル、水溶液、又は、水懸濁液などの形態で用意され得る。ここで、錠剤に用いられるキャリアは、一般的に乳糖、及び、トウモロコシでんぷんを含むが、そこに滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)を含ませても良い。カプセルに用いられる希釈剤は、一般的に乳糖、及び、乾燥トウモロコシでんぷんなどを含む。水懸濁液は、一般的に活性成分、並びに、適切な乳化剤、及び、懸濁化剤を混合したものをいう。必要に応じて、経口剤形には、甘味剤、香味料(風味)、色素などを加えても良い。
【0025】
局所投与されるときに(特に、目、皮膚などの局所外用塗布によって容易に伝達され得る部分又は器官、本発明の化合物は、治療部位毎に異なる局所剤形で用意され得る。
【0026】
例えば、目の局所治療を目的とする場合、本発明の化合物は、微粉化(micronized)懸濁液又は溶液の剤形で用意され得る。ここに用いられるキャリアは、防腐剤(例えば、 塩化ベンジルアルコキシド(chlorinated benzyl alkoxide))を含むか、又は、含まない特定のpHを有する滅菌等張食塩水(isotonic sterile brine)である。目への塗布のために、本発明の化合物はペースト剤形(例えば、ワセリンペースト)で用意され得る。
【0027】
皮膚に(局所)塗布されるときに、本発明の化合物は、適切な軟膏、ローション、又は、クリームの剤形で用意され得る。ここで、活性成分は、1以上のキャリアに懸濁又は溶解されている。軟膏剤形に用いられるキャリアとして、例えば、 鉱物油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリエチレン・オキシド、ポリプロピレン・オキシド、乳化ワックス、及び、水を挙げることができる。ローション又はクリームに用いられるキャリアとして、例えば、鉱物油、モノステアリン酸ソルビタン、Tween60、セチルエステルワックス(cetyl ester wax)、ヘキサデシレン芳香族アルコール(hexadecylene aromatic alcohol)、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール(benzanol)、及び、水を挙げることができる。
【0028】
本発明の化合物は、滅菌注射剤(例えば、滅菌注射用水またはオイル懸濁液、若しくは、滅菌注射溶液、又は、凍結乾燥粉末注射剤のような滅菌粉末注射剤(sterile powder injection))として投与され得る。この剤形に用いられるキャリア及び溶媒は、水、リンガー溶液、及び、等張食塩液(isotonic sodium chloride solution)を含み得る。その他、滅菌非揮発性オイル(例えば、モノグリセリド、又は、ジグリセリド)が溶媒又は懸濁媒質(suspending medium)として用いられる。また、その製剤は、pH調整剤、0.9%塩化ナトリウム水溶液、緩衝剤、酸化防止剤、金属イオン錯化剤、又は、これらの組み合わせを含んでも良い。
【0029】
また、本発明の化合物の投与量(容量)、及び、投与方法は、年齢、体重、性別、自然健康状態及び患者の栄養状態、用いられる化合物の活性、投与時間(administration time)、代謝率、状態の重症度、並びに、医師の判断などの様々な因子に依存する。投与量は、0.01〜100mg/kg(体重)/日であることが好ましく、1〜40mg/kg(体重)/日であることが最も好ましい。
【0030】
本発明は、[化1]の化合物の製造方法を提供する。
【0031】
特許出願CN1282316A(2001)及びCN1367776A(2002)には、(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸粗生成物の製造方法が記載されている。そこには高価な原料及び触媒が用いられ、かつ、高毒性のイソシアン酸ベンジル(benzyl isocyanate)が用いられる。よって、その製造方法は産業用生産には向いていない。
【0032】
【化2】

【0033】
本発明において、Boc(4)で保護された左旋性(levo)-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-3-オンが出発物質であり、中間体(15)は出発物質2-エチル-ブチルアルデヒド(13)からヒドロオキシム化(hydroximation)及び塩素化を経て製造された。その後、RWJ270201は次の7つの段階反応を経て製造される。つまり、中間体(4)及び中間体(5)に閉環反応及び加水分解を施してt-ブチルアミン塩を得る。そのt-ブチルアミン塩をNaBH4/NiCl2で還元させ、無水酢酸でアセチル化させ、濃塩酸でBocを除去し、水酸化ナトリウムで加水分解し、1,2,4-トリアゾールホルムアミジンと反応させてグアニジン置換体を得る。この合成経路は、あわせて13段階反応を含む。もとの合成方法を改良することによって、本発明者は商業的生産に適した(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸粗生成物の改良された製造方法を見出した。
【0034】
【化3】

【0035】
本発明の方法において、適切な温度(通常、20〜100℃、好ましくは、80〜100℃である。)で異なる割合の水及び水混和性の有機溶媒からなる溶液中に(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸粗生成物を溶かす。ここに用いられる有機溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、n -ブタノール、アセトン、ブタノン、t-ブタノンなどがあり、そして、水:有機溶媒の割合は、100:1〜500であるか、又は、純粋な水の条件下では20:1〜1:2のほうが好ましく、それにより得られた溶液を適当な冷却速度(例えば、0.1℃/分〜5℃/分)で結晶化させて、異なる結晶水(crystal water)を含んだ(1S,2S,3S,4R)-3- [(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物(I)を得る。前述した条件下で[化1]の化合物の種晶(crystal seed)を加えることで本発明の[化1]の化合物を得ることもできる。
【0036】
【化4】

【0037】
この式において、Xは2.0又は3.0である。
【0038】
本発明の好ましい化合物は(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物である。
【0039】
本発明によれば、本発明の化合物の溶解度は標準溶解度テスト法(standard solubility test method)によってテストされ得る。例えば、室温の水溶液及び中性緩衝液中に、[化1]の化合物の一つである(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物は≒0.17g/mlの溶解度を有し、そして、(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸粗生成物は、≒0.08g/mlの溶解度を有する。したがって、[化1]の化合物は、相応する非水和物(non-hydrate)に比べて、水溶液又は中性の生理学的緩衝液中の溶解度が明らかに高くなっている。
【0040】
本発明の化合物の吸湿性(hygroscopicity)は、標準吸湿性テスト法によってテストすることができる。例えば、密封容器にその化合物を入れて(室温、相対湿度92.5%、80%、又は、75%)、一定の間隔でサンプリングして、化合物の水分含量における変化をテストする。10日間のテストにおいて、[化1]の化合物の一つである(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物は約2.24%の重量増加が見られたが、(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸粗組成物は約13.53%の重量増加が見られた。したがって、[化1]の化合物は相応する非水和物に比べて高湿度の条件下でも明らかに減少された吸湿性を有することが判る。
【0041】
本発明の化合物の安定性は、標準安定性テスト法(例えば、中国薬局方(205年)の付録XIXに含まれた薬物の安定性テストのガイドラインに記載された方法)によってテストすることができる。例えば、[化1]の化合物の安定性は、促進(加速)安定性テスト法(accelerated stability test method)によってテストされ得る。例えば、0、1、2、3、6ヶ月における[化1]の化合物の安定性は、40℃、75%の相対湿度:40℃、92.5%の相対湿度、;及び、80℃の条件下でテストされ得る。主な薬剤及び関連物質(relevant substance)における変化は、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフなどによって分析され得る。1,2,3,6ヶ月安定性において、[化1]の化合物の一つである(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ- シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物は主な薬剤の含量が安定しており、関連物質の含量に目立った増加もなく、そして、良好な安定性を示す。
【0042】
本発明で得られた(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ- シクロペンチル-1-カルボン酸水和物は、安定性に優れ、容易に吸湿しなく、その質の制御が容易で、大規模の産業用生産に適した物である。
【0043】
また、本発明は、[化1]の化合物と、薬学的に許容可能なキャリアと、を含むインフルエンザの治療及び予防用医薬組成物に関する。
【0044】
[化1]の化合物は単独又は医薬組成物の形態で用いられる。本発明の医薬組成物は、経口投与、非経口投与、又は、局所投与に適している。投与剤形の例として、錠剤、カプセル、溶液、注射剤、座剤、パッチ剤、軟膏剤などが挙げられる。好ましい剤形は、非経口投与、及び、粉末注射剤(powder injection preparation)のための医薬組成物である。
【0045】
重症のインフルエンザ患者の緊急援助、及び、治療に適した[化1]の化合物を得るために、本発明者は、様々な利点を有する非経口投与及び粉末注射剤用の医薬組成物を見出した。また、これらの製法は、簡単で、容易に、かつ、安価で実施することができる。
【0046】
本発明において、[化1]の化合物の量、又は、医薬組成物における[化1]の化合部の量は、(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸によって計算される。
【0047】
具体的に、非経口投与用医薬組成物は、[化1]の化合物約50%〜約4000%(w/v)と、薬学的に許容可能な溶媒と、を含むことを特徴とする。ここで、医薬組成物における[化1]の化合物の量は、(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸によって計算され、そして、w/vは単位剤形(unit dosage form)における溶媒の容積(volume)に対する[化1]の化合物の重量(weight)の比率を表す。[化1]の (1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物の量は、組成物を基準として300%〜2000%(w/v)であることが好ましい。この組成物は、pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、金属イオン錯化剤、又は、これらの組み合わせからなる群から選択された1以上の成分を含んでも良い。pH調整剤は、無機酸から選択され、かつ、医薬組成物のpHを約3〜7に調整するのに十分な程度(量)で存在する。pH調整剤が、希塩酸であり、かつ、医薬組成物のpHを約4〜6に調整するのに十分な程度(量)で存在するのが好ましい。薬学的に許容可能な溶媒は、水、0.9%塩化ナトリウム水溶液、PEG400、プロピレングリコール、エタノール、グリセリン、及び、これらの組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、薬学的に許容可能な溶媒は、水である。溶媒として水を含んだ医薬組成物において、[化1]の(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物は、その医薬組成物を基準として、好ましくは、300mg/100ml〜100mg/5mlとなるように存在する。
【0048】
粉末注射剤は、[化1]の(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物、及び、次の薬学的に許容可能なキャリアのうち1以上を含むことを特徴とする:(薬学的に許容可能なキャリアの例)pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、金属イオン錯化剤、又は、これらの組み合わせ。このキャリアの例として、右旋性のグルコシド(dextro-glucoside)、マンニトール、塩化ナトリウム、ソルビトール、クエン酸などが挙げられる。適切なpH調整剤の例として、塩酸、リン酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、ヒドロキシマレイン酸、グルタミン酸、サリチル酸などが挙げられる。好ましいpH調整剤は塩酸である。ユニット容量における薬学的に許容可能なキャリアに対する(1S,2S,3S,4R)-3- [(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物の重量比(即ち、(1S,2S,3S,4R)-3- [(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物対薬学的に許容可能なキャリア)は、1:10〜1:100である。pH調整剤は、その製剤が単位容量にて用いられる場合、その溶液のpHを2.5〜6.5、好ましくは、3.5〜5.5にするのに十分な量で用いられる。
【0049】
前記製剤は、静脈内又は筋肉内注射剤、又は、静脈内点滴静注(intravenous drip infusion)として臨床的に用いられるのが好ましい。
【0050】
また、本発明は、(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物を含む非経口投与用医薬組成物の製造方法を提供する。この製造方法は、[化1]の化合物を溶解するステップと、活性炭で吸着させて、ろ過するステップと、酸度(酸性)を調整するステップと、微細ろ過(fine filtrating)ステップ、充填及び高温高圧滅菌ステップなど、又は、周知の方法に基づいて[化1]の化合物を粉末注射剤(例えば、凍結乾燥粉末注射剤)に調剤するステップを含む。
【0051】
本発明の一の具体例に拠れば、非経口投与用医薬組成物は、[化1]の(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物0.5mg〜4gと、次の薬学的に許容可能なキャリアのうち1以上を含む:pH調整剤、0.9%塩化ナトリウム水溶液、酸化防止剤、金属イオン錯化剤、又は、これらの組み合わせ。
【0052】
[化1]の(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物を含む非経口投与用医薬組成物は、次のステップを含む方法によって製造され得る:
(1) 室温での攪拌、超音波溶解(ultrasonic dissolution)、又は、40〜100℃までの加熱によって、水、0.9%塩化ナトリウム水溶液、PEG400、プロピレングリコール、エタノール、グリセリン、及び、これらの組み合わせからなる群から選択される薬学的に許容可能な溶媒中に[化1]の(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物を溶かすステップ、
(2)40〜100℃で0.01%〜5%の活性炭を加えて、10〜30分間吸着させ、ろ過するステップ、
(3)前記溶液のpHを約4〜6に調整するのに十分な量のpH調整剤を加えるステップ、
(4)微細ろ過膜を用いてろ過し、ユニット(単位)あたり容積1〜150mlまで充填するステップ、及び、
(5)密封して、105〜125℃で10〜50分間滅菌するステップ。
【0053】
また、本発明の別の具体例によれば、[化1]の(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物を含む非経口投与用医薬組成物は、
(1)[化1]の(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物300〜2000%(w/v)、
(2)水、PEG400、プロピレングリコール、エタノール、グリセリン、又は、これらの組み合わせからなる群から選択された薬学的に許容可能な溶媒(好ましくは、水)、及び、
(3)pH調整剤(好ましくは、希塩酸であり、好ましくは、組成物のpHを約4〜6に調整するのに十分な量で存在する。)
【0054】
また、本発明のさらなる別の具体例によれば、[化1]の(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物を含む非経口投与用医薬組成物は、
(1)[化1]の(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物300〜2000%(W/v)、
(2)水、0.9%塩化ナトリウム水溶液、PEG400、プロピレングリコール、エタノール、グリセリン、又は、これらの組み合わせからなる群から選択された薬学的に許容可能な溶媒(好ましくは、0.9%塩化ナトリウム水溶液)、及び、
(3)pH調整剤(好ましくは、希塩酸であり、好ましくは、組成物のpHを約4〜6に調整するのに十分な量で存在する。)
【0055】
非経口投与用医薬組成物の最も好ましい組成(製剤)については、実施例で言及する。
【0056】
また、本発明は、(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物の粉末注射剤、即ち、活性成分として(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物を含む粉末注射剤の製造方法を提供する。この粉体粉末剤は、注射用水、エタノール、及び、エチルエーテルからなる群から選択された1以上の溶媒中に(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物を溶かして、それにより得た溶液を脱水(dehydration)又は脱溶媒和(desolvation)することによって製造され得る。
【0057】
本発明の一の具体例によれば、粉末注射剤は、1gあたり0.1mg〜1gの(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物を含み、さらに、次の充填剤(filling agent)のうち1以上を含んでも良い:pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、金属イオン錯化剤、又は、これらの組み合わせ。
【0058】
(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物の粉末注射剤は次のステップを含む方法によって製造され得る:
注射用水、エタノール、及び、エチルエーテルを含む(しかし、それらに限られない。)1以上の薬学的に許容可能な溶媒中に(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物を溶かして、濃度1〜6g/100ml、好ましくは、2.3〜3.5g/100mlの溶液を得るステップ、
塩酸、リン酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、ヒドロキシマレイン酸、グルタミン酸、サリチル酸など(好ましくは、塩酸)を含む有機酸又は無機酸を用いて、前記溶液のpHを2.5〜6.5(好ましくは、3.5〜5.5)に調整するステップ、
薬学的に許容可能な活性炭を用いて前記溶液を脱色するステップ、
0.22μmの細孔ろ過膜でろ過するステップ、及び、
真空乾燥法、凍結乾燥法、噴霧乾燥法、又は、凍結充填法によって乾燥させて、(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物の滅菌粉末注射剤を得るステップ。
【0059】
非経口投与用医薬組成物は、高温抵抗性(high temperature resistance)、保存性(storability)、高度の安定性、及び、水溶液における自己分解を効率的に抑える(overcoming)能力を備えている。粉末注射剤は、改良された製造方法、良好な安定性、長時間の有効性(long period of validity)、運搬性(convenience to transport)、並びに、貯蔵及び保存容易性(easy to store and preserve)を備えている。これらの製品は、使用しやすく、安全で、信頼できる質を有し、重症の患者の緊急援助及び治療に使用しやすい、といった、様々な利点を有している。
【0060】
ノイラミニダーゼに対する[化1]の化合物の阻害活性は、文献[Barnett JM, et al. Antimicrob Agents Chem., 2000; 41, 78-87.]に記載された方法に基づいて分析され得る。この方法は次のとおりである。
【0061】
基質として4-MUNANAを用いて、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの活性、及び、ノイラミニダーゼに対する候補化合物の阻害活性を蛍光法(fluorimetry)によって分析する。第1世代ウイルスの原液(stock solution)をMDCK細胞で培養し、ノイラミニダーゼ分析用緩衝液(NA分析用緩衝液:32.5MES、4mMのCaCl2、pH6.5)で1:2の比率で希釈する。それにより得たウイルス希釈溶液50μlを、ブラック96‐ウェルプレート(Costar)で同容積の4-MUNANA(NA分析用緩衝液中200mM)と混合し、37℃で1時間インキュベートし、そして、2倍容積の停止緩衝液(25%エタノール、0.1Mのグリセリン、pH10.7)を加えて、反応を止める。λ励起(excitation):360nM 、及び、λ発光(emission):460nMにおける蛍光強度を分析する(PolarSTAR Optima, BMG Labtech, Germany)。蛍光ユニットの純量(net value)対ウイルス濃度の分散ダイヤグラム(scatter diagram)をプロットし、そして、分散ダイヤグラムの直線部の中程の活性を有する異なるウイルス濃度(一般的に、2以上)を選択して、化合物の阻害活性の分析に用いる。滅菌脱イオン水を用いて、異なる濃度を有する候補化合物の溶液を調剤する。各溶液25 μlを、2×NA分析用緩衝液で希釈した同量のウイルス(活性分析において選択されたものの2倍の濃度)と混合する。その後、室温で30分間反応させて、50 μlの4-MUNANA(NA分析用緩衝液中200mM) を加えて、37℃で1時間インキュベートし、最後に前述の通り蛍光強度を分析する。各濃度の候補化合物を2つの平行ホール(parallel hole)に設け、ブランク対照群(4-MUNANA)及び停止緩衝液のみを含有する。)を4つの平行ホールに設け、そして、ウイルス対照群(候補化合物を含有していない。)を4つの平行ホールに設ける。阻害率IR(%)は、次の式に基づいて計算する:
IR(%)=[1-(FU-FUB)÷(FUC-FUB)]×100
(前記式において、FUは、候補化合物群における蛍光ユニットの平均値であり、FUBは、ブランク対照群における蛍光ユニットの平均値であり、そして、FUCは、ウイルス対照群における蛍光ユニットの平均値である。)
【0062】
IR(%)対化合物の濃度の分散ダイヤグラムをプロットし、対数回帰分析(logarithmic regression analysis)によってIC50を計算する。異なるウイルス濃度の分析結果から得た回帰曲線は類似したIC50値を有して、互いに重なるのが好ましい。
【0063】
[化1]の化合物の抗インフルエンザウイルス活性は、次の方法に基づいて分析され得る。
【0064】
50μlのリン酸塩緩衝液(0.42%のウシ血清アルブミンを含有する。)中にマウス-コンプライアンス・インフルエンザ・ウイルス菌株(mice-compliance influenza virus strain)500pfu(プラーク形成単位)を含ませることによって、ウイルスドリップ(virus drip)を準備し、マウス(BALB/C、雌、5〜6週齢、体重20g)を感染させるためにマウスの鼻腔に滴下する。本発明の化合物を生理食塩水中に懸濁して、異なる容量(通常2.5mg/kg〜40mg/kg)を得て、ウイルス感染前後の異なる時点でマウスに投与する(通常の腹腔内注射の場合、ウイルス感染後1時間、2日、3日、4日、5日経過した時点(5回)で投与する)。この分析は、8〜12匹、通常10匹のマウスを用いて行う。その結果は、分析されたマウスの数に対するウイルス感染後14日が経過した時点で生存しているマウスの数の比率にて表す。それとは一方で、対照化合物として無水(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ- シクロペンチル-1-カルボン酸を用いる。その結果から、本発明の化合物及び対照化合物が多種のインフルエンザウイルス菌株に対して同じ又は類似した活性を示すことが判る。
【実施例1】
【0065】
塩化2-エチル-N-ヒドロキシブチルイミドイル(2-ethyl-N-hydroxybutyrimidoyl chloride)(中間体15)の合成
【0066】
【化5】

【0067】
1150gの塩化ヒドロキシルアミン、1000gの水、及び、3500gのトルエンを混合し、その混合物に1580gの2-エチル-ブチルアルデヒドを攪拌しながら加えた。8〜12℃で1時間以内に水酸化ナトリウム溶液(ca. 30%, 4630g)を加えた。その後、反応混合物をさらに60分間攪拌した。その後、反応混合物を放置して層(状)にし、化合物14を含んだ上部のトルエン層を取り出して、次のステップに直接に用いた。4112gのN-クロロスクシンイミド(NCS)を5000mlのジメチルホルムアミド中に懸濁させて、8℃に冷却した。反応温度を23℃以下に保ちながら、前記化合部14を含んだトルエン溶液に、ジメチルホルムアミド中のNCSの懸濁液を2.5時間以内に滴下した。その後、反応混合物を1時間さらに攪拌した。その後、10000mlの水を加えて、30分間攪拌した。その水層を捨て、有機層を10000mlの水で3回洗浄した。化合物15(クロロ-オキシム)を含んだトルエン層を分離して、次のステップに直接に用いた。
【実施例2】
【0068】
t-ブチルアンモニウム(3aR,4R,6S,6aS)-4-[[(1,1-ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]-3-(1'-エチルプロピル)-3a,5,6,6a-テトラヒドロ-4H-シクロペンタ[d]イソオキサゾール-6-カルボン酸塩(中間体化合物16)の合成
【0069】
【化6】

【0070】
メチル (1S,4R)-(-)-メチル-[[(1,1-ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]シクロペント-2- エン-1-カルボン酸塩(4)(2533.2g)、トルエン(6000 ml)、及び、トリエチルアミン(4427 ml)を混合して、50℃に加熱した。この溶液に、トルエン(6000ml)中の塩化2-エチル-N-ヒドロキシブチルイミドイル(化合物15、4690g)を2.5時間以内に滴下した。その後、反応混合物を62〜66℃で約8時間さらに攪拌した。その反応液に5000mlの水を加えて、固体を溶かした。トルエン層を分離し、5000mlの水で洗浄し、濃縮して半分近くのトルエンを除去した。前記濃縮した溶液に、水(4180g)中の水酸化ナトリウム(640g、16.0mol)の溶液を加えて、室温で7時間攪拌した。トルエン層を捨て、水層を5000mlのトルエンで2回洗浄した。8000mlのトルエンを水層に加えた。3710mlの水を1747mlの塩酸に加えて、その希塩酸を前記トルエン層に加えてそのpHを約4に中和した。 その後、トルエン(約12000ml)を加えて固体を溶かし、トルエン層を分離した。20〜40℃で前記トルエン層にt-ブチルアミン(894.0g)を滴下して、白色の固体生成物を沈殿させ、95〜100℃で3時間加熱し、20〜25℃に冷却した。吸引ろ過して得た固体生成物を8000mlのアセトンで2回洗浄して、60℃で6時間乾燥させた。最後に、2694gの固体生成物を得た(収率:62.0%)。
【実施例3】
【0071】
メチル(3aR,4R,6S,6aS)-4-[[(1,1-ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]- 3-(1'-エチルプロピル)-3a,5,6,6a-テトラヒドロ-4H-シクロペンタ[d]イソオキサゾール-6-カルボン酸塩(5)の合成
【0072】
【化7】

【0073】
1,1-ジメチルエチルアンモニウム(3aR,4R,6S,6aS)-4-[[(1,1-ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]-3-(1'-エチルプロピル)-3a,5,6,6a-テトラヒドロ-4H-シクロペンタ[d]イソオキサゾール-6- カルボン酸塩(16)(3210g, 7.8 mol)をアセトン(4000g)中に懸濁させた。前記懸濁液に炭酸カリウム(53.8g)、及び、312gの水酸化ナトリウムを含んだ30%水酸化ナトリウム水溶液を加えた。蒸発によって3000mlの溶媒を除去し、3000mlのアセトンを加え、蒸発によって3000mlの溶媒を除去し、3000mlのアセトンを加え、蒸発によって4000mlのアセトンを除去して、t-ブチルアミンの匂いのほとんどない反応液を得た。その反応液を30〜35℃に冷却して、反応温度を45℃以下に保ちながらそこに1060mlの硫酸ジメチルを滴下した。その後、反応混合液を40〜45℃で1.5時間攪拌した。その反応混合液を15〜20℃に冷却し、そこに25%アンモニア1500mlを加えた。30分間冷却した後、1500mlのメタノールを加えて、反応混合物0〜5℃に冷却した。その後、その反応混合物に25%アンモニア2240mlを45分以内に加えた。その生成物をろ過によって収集し、3000mlの水で洗浄し、45〜50℃の真空下で乾燥させた。最後に、2686.2gの生成物を得た(97.13%)。
【実施例4】
【0074】
メチル (1S,2S,3S,4R,1'S)-3-[(1-アミノ-2'-エチル)ブチル]-4-[[(1,1-ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]-2-ヒドロキシシクロペンタン-1-カルボン酸塩(6)の合成
【0075】
【化8】

【0076】
メタノール(2500ml)中に中間体5(1000g)及び塩化ニッケル六水和物(700g)を溶かして、-10〜5℃に冷却した。メタノール(2300ml)中に水酸化ナトリウム(5g)及び 水素化ホウ素ナトリウム(300g)を溶かし、約4〜6時間以内に前記反応溶液に加えた。そのとき、反応溶液の温度は、-10〜4℃に保たれた。その後、反応溶液を0〜5℃で60分間攪拌した。前記反応溶液に、亜硝酸ナトリウム(200g)、塩化アンモニウム(560g)、及び、25%アンモニア(650g)と水(6000ml)によって形成した溶液を加えた。その反応溶液を室温で16時間攪拌した。その後、反応溶液を吸引ろ過して、ろ過ケーキ(filter cake)を得て、25%アンモニア(340g)、及び、水(2500g)の溶液で2回洗浄した。このろ過ケーキを、トルエン(15000ml)及び25%アンモニア(1250g)中に懸濁して、75〜80℃で60分間攪拌した。有機相を分離し、そこに25%アンモニア(1500g)を加えた。その後、水(2000g)中のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物 (EDTA) (150g)の溶液を加えた。70〜80℃で60分間加熱した後、有機層を分離した。その有機層を0〜5℃に冷却し、2〜3時間攪拌し、真空ろ過した。そのろ過ケーキをトルエン(2000g)で洗浄し、40〜50℃で真空下で乾燥して、6740gの白色の固体化合物6(73.2%)を得た。
【実施例5】
【0077】
(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸粗生成物(9)の合成
【0078】
【化9】

【0079】
手順
トルエン10000ml中に2000gの中間体6を懸濁し、2〜5℃に冷却した。そこに無水酢酸680gを滴下した。その後、反応混合物を室温で1.5時間攪拌した。その後、10%炭酸ナトリウム水溶液4800mlをゆっくりと加えて、15分間攪拌した。その水層を捨て、中間体7を含有する有機層(即ち、トルエン溶液)を次のステップで直接に用いた。
【0080】
氷槽(ice bath)内で、前記トルエン溶液に濃塩酸1900mlを滴下した。その後、反応混合物を1.5時間攪拌した。成層後、有機層を水(1000ml)で一回洗浄した。その水層を合わせて、中間体8を含有する水溶液を得た。その溶液は次のステップに直接に用いられた。
【0081】
0〜6℃で前記水溶液に30%の水酸化ナトリウム水溶液2920mlを加えた。その後、その溶液をさらに60分間攪拌して、中間体21を含有する水溶液を得た。その水溶液は、次のステップに直接に用いられた。
【0082】
中間体21を含有する前記水溶液に1020gの1,2,4-トリアゾール-1-ホルムアミジン塩酸塩を加えて、60分間攪拌した。その後、30%の水酸化ナトリウム水溶液を加えて、反応溶液のpHを8.4に調整した。その反応溶液を室温で一晩攪拌し、0〜4℃で4時間攪拌した。最後に、反応溶液を吸引ろ過し、乾燥して、1150gの白色固体である(1S,2S,3S,4R)-3- [(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸粗組成物を得た(収率:30%)。
【実施例6】
【0083】
(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸一水和物の製造
1200gの(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸粗組成物を20000mlの水中に懸濁させ、90℃に加熱して溶かした。しばらく放置してから、このシステムに50gの活性炭を加え、90℃で10分間還流させた。その後、このシステムが熱いうちにろ過した。放置して75℃に冷却した後、そのろ液に6000 mlのアセトンを加えた。アイス・バス(ice bath)において、その混合液を攪拌しながら急速に冷却したら、多量の白色の固体粉末が沈殿された。約4℃に冷却してから、低温貯蔵のためにその混合システムを冷蔵庫に移した。12時間後、混合システムをろ過し、それにより得られたろ過ケーキをアセトンと水との混合物で洗浄した。それにより得た固体を自然に乾燥させて、白色の固体生成物である(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸一水和物(純度:99.57%;水分含量:5.31%)1100gを得た。
【実施例7】
【0084】
(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸二水和物の製造
1000gの(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸粗組成物を30000mlの水中に懸濁させ、90℃に加熱して溶かした。しばらく放置してから、このシステムに50gの活性炭を加え、90℃で10分間還流させた。その後、このシステムが熱いうちにろ過した。放置して75℃に冷却した後、そのろ液に6000 mlのメタノールを加えた。その後、その混合液をデシケーターに入れて、密封し、温度制御反応タンク(ここで、温度は6時間内に75℃〜-10℃まで下がるように制御された。)内においた。それにより、多量の白色の固体粉末が連続的に沈殿された。等温的に12時間放置してから、その混合システムをろ過し、それにより得られたろ過ケーキをメタノールと水との混合物で洗浄した。それにより得た固体を自然に乾燥させて、白色の固体生成物である(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸二水和物(純度:99.67%;水分含量:9.95%)880gを得た。
【実施例8】
【0085】
(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物の製造
1200gの(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸酸粗組成物を30000mlの水中に懸濁させ、90℃に加熱して溶かした。しばらく放置してから、このシステムに50gの活性炭を加え、90℃で10分間還流させた。その後、このシステムが熱いうちにろ過した。放置して75℃に冷却した後、そのろ液に5000mlのメタノールを加えた。その後、その混合液をデシケーターに入れて、密封した。数時間放置したら、多量の白色の固体粉末が連続的に沈殿された。12時間後、その混合システムをろ過し、それにより得られたろ過ケーキをメタノールと水との混合物で洗浄した。それにより得た固体を自然に乾燥させて、白色の固体生成物である(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物(純度:99.86%;水分含量:14.21%)1080gを得た。
【実施例9】
【0086】
(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸セミ水和物(semihydrate)の製造
100gの(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸粗組成物を1000mlのメタノール中に懸濁させ、70℃に加熱して溶かした。しばらく放置してから、このシステムに5gの活性炭を加え、70℃で10分間還流させた。その後、このシステムが熱いうちにろ過した。そのろ液に1000mlの水を加えた。アイス・バスにおいて、その混合液を攪拌しながら急速に冷却すると、多量の白色の固体粉末が沈殿された。約4℃に冷却してから、低温貯蔵のためにその混合システムを冷蔵庫に移した。12時間後、混合システムをろ過し、それにより得られたろ過ケーキをメタノールと水との混合物で洗浄した。それにより得た固体を自然に乾燥させて、白色の固体生成物である(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ- シクロペンチル-1-カルボン酸 セミ水和物(純度:99.71%;水分含量:2.73%)84gを得た。
【実施例10】
【0087】
(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸セスキ水和物(sesquihydrate)の製造
100gの(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸粗組成物を1000mlのアセトン中に懸濁させ、70℃に加熱して溶かした。しばらく放置してから、このシステムに5gの活性炭を加え、70℃で10分間還流させた。その後、このシステムが熱いうちにろ過した。ろ液に1200mlの水を加えた。その後、その混合液の温度を5時間内に75℃から4℃に下がるように制御すると、多量の白色の固体粉末が沈殿された。約4℃に冷却してから、低温貯蔵のためにその混合システムを冷蔵庫に移した。12時間後、混合システムをろ過し、それにより得られたろ過ケーキをアセトンと水との混合物で洗浄した。それにより得た固体を自然に乾燥させて、白色の固体生成物である(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸セスキ水和物(純度:99.61%;水分含量:7.64%)80gを得た。
【実施例11】
【0088】
(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸六水和物の製造
100gの(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸粗組成物を1300mlの水中に懸濁させ、100℃に加熱して溶かした。しばらく放置してから、このシステムに5gの活性炭を加え、70℃で10分間還流させた。その後、このシステムが熱いうちにろ過した。その後、そのろ液の温度を1時間以内に75℃から5℃に下がるように制御すると、多量の白色の固体粉末が沈殿された。約4℃に冷却してから、低温貯蔵のためにその混合システムを冷蔵庫に移した。12時間後、混合システムをろ過し、それにより得られたろ過ケーキをメタノールと水との混合物で洗浄した。それにより得た固体を自然に乾燥させて、白色の固体生成物である(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸六水和物(純度:99.59%;水分含量:24.92%)78gを得た。
【実施例12】
【0089】
(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸及びその水和物の安定性の測定
中国薬局方(2005年)、第2巻、一般編5(2)に基づいて、(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸及びその水和物(予め微細粉末にしたもの)の適量をとって、25±2℃で異なる容積の溶媒に入れた。5分毎に30秒間しっかり攪拌しながら、30分以内に粉末の溶解を観察した。(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸及びその水和物の粉末が見えなくなったら、前記粉末が完全に溶けたものとみなした。その結果を、次の表(表1)にて表した。
【0090】
【表1】

【実施例13】
【0091】
(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸及びその水和物の吸湿性の測定
中国薬局方(2005年)の付録XIXCに含まれた薬物の安定性テストのガイドラインに記載されたような高湿度影響因子検査法(method for investigating influencing factors of high humidity)に基づいて、(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸及びその水和物を、一定の湿度が保たれる密封容器内に10日間入れた(25℃及び相対湿度90%±5%)。5日目及び10日目に、その生成物の標本を抽出して、安定性検査に関係する重要な要素の観点から評価(測定)した。一方で、(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸及びその水和物の重量を実験の前後において正確に量って、生成物の吸湿性及び潮解(deliquescence)を調べた。水分吸収による生成物の重量増加が5%を超えた場合には、その生成物について、相対湿度75%±5%の条件下で同様の方法に基づいてさらなる実験を行った。水分吸収による生成物の重量増加が5%未満であり、かつ、検査におけるその他の要素が関連要件を具備している場合には、さらに実験を行う必要はなかった。湿度が一定に保たれる条件は、密封容器(例えば、デシケーター)の下部に飽和食塩水を配置することによって得ることができ、そして、異なる相対湿度の要件に応じて、NaCl飽和溶液(15.5〜60℃、相対湿度75%±1%)又はKNO3飽和溶液(25℃、相対湿度92.5%)を選択しても良い。その結果を次の表(表2)にて表した。
【0092】
【表2】

【実施例14】
【0093】
(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物の安定性の検査
中国薬局方(2005年)の付録XIXCに含まれた薬物の安定性テストのガイドラインに記載されたような促進(加速)テスト法に基づいて、販売用パッケージ中の(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物の3バッチ(batch)を、40℃±2℃の温度及び75%±5%の相対湿度下で6ヶ月間維持させた。用いられた装置は、温度については±2℃の正確さをもって、かつ、相対湿度については±5%の正確さをもって制御することができ、そして、真の温度及び湿度をモノターすることができるものであった。テストの際に、1,2,3、及び6ヶ月後にその生成物の標本をそれぞれ抽出して、安定性検査に関係する重要な要素の観点から評価(測定)した。その標本が前記条件下で6ヶ月以内に測定されたような所定の質基準(specified quality standard)を満たしていない場合、中間条件下で促進(加速)実験を6ヶ月間行わなければならない。ここで、中間条件(intermediate condition)は、例えば、温度30℃±2℃及び相対湿度60%±5%である(NaNO2飽和溶液(25〜40℃、相対湿度64〜61.5%)を用いることができる)。
【0094】
【表3】

【実施例15】
【0095】
(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物注射剤(100 mg)の製造
【0096】
【表4】

【0097】
116.4gの(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物を4000mlの注射用水(80℃)中に完全に溶かした。その後、その溶液が熱いうちに5gの活性炭を加えて、80℃で20分間吸着させた。その溶液をろ過し、そのろ液に注射用数を補充して全容積5000mlにした。そのろ液を室温に冷却し、0.1Mの希塩酸10mlを加えてそのpHを3〜5に調整し、0.2μmのろ過膜を用いてろ過した。そのろ液をアンプル(全1000個)に充填した(アンプルあたり5ml)。充填が終わったら、アンプルを密封し、115℃で20分間滅菌した。
【実施例16】
【0098】
(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物注射剤(50mg)の製造
【0099】
【表5】

【0100】
58.2gの(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物を4000mlの注射用水(80℃)中に完全に溶かした。その後、その溶液が熱いうちに5gの活性炭を加えて、80℃で20分間吸着させた。その溶液をろ過し、そのろ液に注射用数を補充して全容積5000mlにした。そのろ液を室温に冷却し、0.1Mの希塩酸10mlを加えてそのpHを3〜5に調整し、0.2μmのろ過膜を用いてろ過した。そのろ液をアンプル(全1000個)に充填した(アンプルあたり5ml)。充填が終わったら、アンプルを密封し、115℃で20分間滅菌した。
【実施例17】
【0101】
(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物注射剤(300mg)の製造
【0102】
【表6】

【0103】
90gの塩化ナトリウム、10gの亜硫酸水素ナトリウム、及び、5gのエデト酸カルシウム・ナトリウム(sodium calciumedetate)を8000mlの注射用水(80℃)中に完全に溶かした。そこに34.9gの(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物を加えて完全に溶かした。その後、その溶液が熱いうちに10gの活性炭を加えて、80℃で20分間吸着させた。その溶液をろ過し、そのろ液に注射用数を補充して全容積10000mlにした。そのろ液を室温に冷却し、0.2μmのろ過膜を用いてろ過した。そのろ液をアンプル(全100個)に充填した(アンプルあたり100ml)。充填が終わったら、アンプルを密封し、115℃で20分間滅菌した。
【実施例18】
【0104】
(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物注射剤(300mg)の製造
【0105】
【表7】

【0106】
900gの塩化ナトリウムを80000mlの注射用水(80℃)中に完全に溶かした。そこに349gの(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物を加えて完全に溶かした。その後、その溶液が熱いうちに100gの活性炭を加えて、80℃で20分間吸着させた。その溶液をろ過して活性炭を除去し、1Mの希塩酸285mlを加えてそのろ液のpHを4〜6に調整した。その後、ろ液に注射用水を補充して全容積100000mlにした。そのろ液を室温に冷却し、0.2μmのろ過膜を用いてろ過した。そのろ液をアンプル(全1000個)に充填した(アンプルあたり100ml)。充填が終わったら、アンプルを密封し、115℃で20分間滅菌した。
【実施例19】
【0107】
(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物注射剤(500mg)の製造
【0108】
【表8】

【0109】
900gの塩化ナトリウムを80000mlの注射用水(80℃)中に完全に溶かした。そこに582gの(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物を加えて完全に溶かした。その後、その溶液が熱いうちに100gの活性炭を加えて、80℃で20分間吸着させた。その溶液をろ過して活性炭を除去し、1Mの希塩酸285mlを加えてそのろ液のpHを4〜6に調整した。その後、ろ液に注射用水を補充して全容積100000mlにした。そのろ液を室温に冷却し、0.2μmのろ過膜を用いてろ過した。そのろ液をアンプル(全1000個)に充填した(アンプルあたり100ml)。充填が終わったら、アンプルを密封し、115℃で20分間滅菌した。
【実施例20】
【0110】
(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物粉末注射剤の製造
製剤1
【0111】
【表9】

【0112】
23.3gの(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物、及び、9gの塩化ナトリウムをクリーンルームにおいて量って滅菌容器(sterilized vessel)に入れ、そこに500mlの滅菌注射用水を加えた。その溶液に0.1Nの希塩酸溶液を加えてpHを3.5〜5に調整し、滅菌注射用水を補充して1000mlにした。その後、1gの活性炭を用いて吸着させた。ろ過後得られたろ液を、0.22μmの精密ろ過膜を備えた滅菌器を通してさらにろ過させた。最後に得た溶液を20mlの滅菌ペニシリンボトルに充填した(ボトルあたり5ml)。そのボトルを予め-30〜-40℃にて2〜3時間凍結させ、-36〜-20℃にて9時間昇華乾燥(sublimation drying)させ、30℃にて10〜24時間乾燥させ、蓋をかぶせ、インストール圧延し(rolling-installing)、包装して、粉末注射剤を用意した。
【0113】
製剤2
この組成及び製造方法は、溶液を大きな皿で滅菌乾燥させ(sterile drying)、押しつぶし(crushing)、ペニシリンボトル(penicillin bottle)に所定量ずつ分割充填し(split charging)、蓋をかぶせ(capping)、密封して(sealing)、包装した(packaging)点を除き、概して製剤1と同様であった。
【0114】
製剤3
【0115】
【表10】

【0116】
23.3gの(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物、及び、33.6gのマンニトールをクリーンルームにおいて量って滅菌容器に入れ、そこに500mlの滅菌注射用水を加えた。その溶液に0.1Nの希塩酸溶液を加えてpHを3.5〜5に調整し、滅菌注射用水を補充して1000mlにした。その後、1gの活性炭を用いて吸着させた。ろ過後得られたろ液を、0.22μmの精密ろ過膜(microfiltration membrane)を備えた滅菌器を通してさらにろ過させた。最後に得た溶液を20mlの滅菌ペニシリンボトルに充填した(ボトルあたり5ml)。そのボトルを予め-30℃〜-40℃にて2〜3時間凍結させ、-36℃〜-20℃にて9時間昇華乾燥させ(sublimation drying)、30℃にて10〜24時間乾燥させ、蓋をかぶせ、インストール圧延し(rolling-installing)、包装して、粉末注射剤を用意した。
【0117】
製剤4
この組成及び製造方法は、溶液を大きな皿で滅菌乾燥させ、押しつぶし、ペニシリンボトルに所定量ずつ分割充填し、蓋をかぶせ、密封して、包装した点を除き、概して製剤3と同様であった。
【0118】
製剤5
【0119】
【表11】

【0120】
23.3gの(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物、及び、9gの塩化ナトリウムをクリーンルームにおいて量って滅菌容器に入れ、そこに500mlの滅菌注射用水を加えた。その溶液に0.1Nの希酢酸溶液を加えてpHを3.5〜5に調整し、滅菌注射用水を補充して1000mlにした。その後、1gの活性炭を用いて吸着させた。ろ過後得られたろ液を、0.22μmの精密ろ過膜を備えた滅菌器を通してさらにろ過させた。最後に得た溶液を20mlの滅菌ペニシリンボトルに充填した(ボトルあたり5ml)。そのボトルを予め-30℃〜-40℃にて2〜3時間凍結させ、-36℃〜-20℃にて9時間昇華乾燥させ、30℃にて10〜24時間乾燥させ、蓋をかぶせ、インストール圧延し、包装して、粉末注射剤を用意した。
【0121】
製剤6
この組成及び製造方法は、溶液を大きな皿で滅菌乾燥させ、押しつぶし、ペニシリンボトルに所定量ずつ分割充填し、蓋をかぶせ、密封して、包装した点を除き、概して製剤5と同様であった。
【0122】
製剤7
【0123】
【表12】

【0124】
23.3gの(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物をクリーンルームにおいて量って滅菌容器に入れ、そこに500mlの滅菌注射用水を加えた。その溶液に0.1Nの希酢酸溶液を加えてpHを3.5〜5に調整し、滅菌注射用水を補充して1000mlにした。その後、1gの活性炭を用いて吸着させた。ろ過後得られたろ液を、0.22μmの精密ろ過膜を備えた滅菌器を通してさらにろ過させた。最後に得た溶液を20mlの滅菌ペニシリンボトルに充填した(ボトルあたり5ml)。そのボトルを予め-30℃〜-40℃にて2〜3時間凍結させ、-36℃〜-20℃にて9時間昇華乾燥させ、30℃にて10〜24時間乾燥させ、蓋をかぶせ、インストール圧延し、包装して、粉末注射剤を用意した。
【0125】
製剤8
この組成及び製造方法は、溶液を大きな皿で滅菌乾燥させ、押しつぶし、ペニシリンボトルに所定量ずつ分割充填し、蓋をかぶせ、密封して、包装した点を除き、概して製剤7と同様であった。
【0126】
製剤9
【0127】
【表13】

【0128】
34.95gの(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物、及び、9gの塩化ナトリウムをクリーンルームにおいて量って滅菌容器に入れ、そこに500mlの滅菌注射用水を加えた。その溶液に0.1Nの希塩酸溶液を加えてpHを3.5〜5に調整し、滅菌注射用水を補充して1000mlにした。その後、1gの活性炭を用いて吸着させた。ろ過後得られたろ液を、0.22μmの精密ろ過膜を備えた滅菌器を通してさらにろ過させた。最後に得た溶液を20mlの滅菌ペニシリンボトルに充填した(ボトルあたり5ml)。そのボトルを予め-30℃〜-40℃にて2〜3時間凍結させ、-36℃〜-20℃にて9時間昇華乾燥させ、30℃にて10〜24時間乾燥させ、蓋をかぶせ、インストール圧延し、包装して、粉末注射剤を用意した。
【0129】
製剤10
この組成及び製造方法は、溶液を大きな皿で滅菌乾燥させ押しつぶし、ペニシリンボトルに所定量ずつ分割充填し、蓋をかぶせ、密封して、包装した点を除き、概して製剤9と同様であった。
【0130】
製剤11
【0131】
【表14】

【0132】
34.95gの(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物、及び、9gの塩化ナトリウムをクリーンルームにおいて量って滅菌容器に入れ、そこに500mlの滅菌注射用水を加えた。その溶液に0.1Nの希塩酸溶液を加えてpHを3.5〜5に調整し、滅菌注射用水を補充して1000mlにした。その後、1gの活性炭を用いて吸着させた。ろ過後得られたろ液を、0.22μmの精密ろ過膜を備えた滅菌器を通してさらにろ過させた。最後に得た溶液を50mlの滅菌ペニシリンボトルに充填した(ボトルあたり10ml)。そのボトルを予め-30〜-40℃にて2〜3時間凍結させ、-36〜-20℃にて9時間昇華乾燥させ、30℃にて10〜24時間乾燥させ、蓋をかぶせ、インストール圧延し、包装して、粉末注射剤を用意した。
【実施例21】
【0133】
水中の(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物の溶解挙動に関する研究
予備テスト(pre-test)は、100ml:300mgで行われた。ここで、原料は、(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物であり、そして、溶解条件は次のとおりである:
(1)注射用水(室温)
(2)注射用水(80℃)
(3)注射用水(室温、塩酸を用いて酸性に調整されたもの)
(4)注射用水(リン酸水素二ナトリウムを用いて塩基性に調整されたもの)
結果:
条件(1)の下で、比較的長時間の攪拌又は超音波溶解により、総量の注射用水を用いて化合物をゆっくりと溶かした。条件(2)の下で、比較的少量の注射用水中に化合物を急速に溶かした。規模生産において注射用水が一般的に80℃で循環されることを考慮すれば、この条件が生産の観点から好ましい条件であると思われる。条件(3)の下で、化合物は比較的容易に溶け、そして、条件(4)に比べて、酸性条件下でより容易に溶けるので、pH値の調整の基準として用いることができた。
【実施例22】
【0134】
(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物の安定性に及ぼす異なる酸条件の影響
349mgの(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物、及び、900 mgの塩化ナトリウムを、その三水和物の溶解挙動(dissolution behavior)に基づいて80℃の注射用水に溶かし、塩酸を用いて異なるpH値に調整した。得られた溶液を115℃の高圧蒸気にて30分間滅菌した。その後、その溶液の標本を抽出して、pH値の変化及び関連物質(relevant substance)の量の変化を調べた。その結果を次の表(表15)に表した。
【0135】
【表15】

【0136】
この結果は、次のとおりである。pH値が6.5を超えたときに、滅菌後それは減少され、その(減少の)程度はpH値が上がるにつれて増加された。それは、システムのpH値が高いときに、システムのpH値が高温によって変化され得ることを意味する。量の変化については、pH7.0を超えたとき、滅菌後の量は、明らかに減少され、そして、60℃で10日後に連続的に減少された。pH値4.5のとき、その量は60℃で10日後減少される傾向があった。それは、pH値が高すぎても低すぎても、システムの安定性に悪影響を与えることを意味した。関連物質に関する分析では、正規化法(normalization method)によって計算したときに、関連物質の量に明らかな変化はなかったが、不純なピークの数は、pH値がより塩基の方に進むにつれて、関連物質の数が増加される傾向を示した。したがって、化合物は、酸性条件下で安定しているともいえる。最適pH値は4.5〜6.5であった。
【実施例23】
【0137】
活性炭を用いた吸着及び滅菌条件に関する研究
活性炭(それぞれ0.05%、0.1%、及び、0.2%の量で用いた。)を用いた吸着の前後における量の変化を調べた。その結果によれば、活性炭の量が増加するにつれて、その吸着量も増加した。活性炭の量が0.1%である時、吸着量は約2%であった。生成物の質を保証するために、0.1%(量)の活性炭を用いた。典型的な2つの条件(115℃、30分間、及び、121℃、20分間)下でそれぞれ滅菌処理を行った。その結果によれば、121℃、20分間の条件下でその量は多少減少され、そして、115℃、30分間の条件下の典型的な滅菌法では、F0>8であった。
【実施例24】
【0138】
(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物を含む非経口投与用医薬組成物の組成の最適化に関する研究
基本となる組成は次のとおりである:
三水和物 349mg
塩化ナトリウム 0.9g
注射用水 100ml
3つのサンプルは次のように準備した:希塩酸を用いて、pH値を調整した。pH=5.0のサンプルをSY1、pH=6.0のサンプルをSY2、pH=6.5のサンプルをSY3に記した。それらのサンプルに対し、高温照明実験(high temperature, illumination experiment)、及び、40℃促進(加速)実験を行った。
【0139】
基本組成は次のとおりである:
三水和物 116.4mg
注射用水 5ml
3つのサンプルは次のように準備した:塩酸を用いて、pH値を5.04に調整した(サンプルXZ1)。0.05%チオ尿素を加えて、アンモニアを用いてpH6.98に調整した(サンプルXZ2)。アジュバント(adjuvant)及びpH調整剤を加えることなく、注射用水中に三水和物を直接に溶かした(サンプルXZ3)。それらのサンプルに対し、高温照明実験、及び、40℃促進(加速)実験を行った。
【0140】
その結果を次の表(表16)にて示した。
【0141】
【表16】

【実施例25】
【0142】
インフルエンザA型ウイルスノイラミニダーゼに対する(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物の阻害活性の測定
基質として4-MUNANAを用いて、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの活性、及び、ノイラミニダーゼに対する候補化合物の阻害活性を蛍光法によって分析した。第1世代ウイルスの原液をMDCK細胞で培養し、ノイラミニダーゼ分析用緩衝液(NA分析用緩衝液:32.5MES、4mMのCaCl2、pH6.5)で1:2の比率で希釈した。それにより得たウイルス希釈溶液50μlを、ブラック96‐ウェルプレート(Costar)で同容積の4-MUNANA(NA分析用緩衝液中200mM)と混合し、37℃で1時間インキュベートし、そして、2倍容積の停止緩衝液(25%エタノール、0.1Mのグリセリン、pH10.7)を加えて、反応を止めた。λ励起:360nM、及び、λ発光:460nMにおける蛍光強度を分析した(PolarSTAR Optima, BMG Labtech, Germany)。蛍光ユニットの純量(net value)対ウイルスの濃度の分散ダイヤグラム(scatter diagram)をプロットし、そして、分散ダイヤグラムの直線部の中程の活性を有する2つのウイルス濃度を選択して、化合物の阻害活性の分析に用いた。滅菌脱イオン水を用いて、0.01、0.1、1、10、100 pMolの濃度を有する(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物の溶液をそれぞれ調剤した。各溶液25μlを、2×NA分析用緩衝液で希釈した同量のウイルス(活性分析において選択されたものの2倍の濃度)と混合した。その後、室温で30分間反応させて、50μlの4−MUNANA(NA分析用緩衝液中200mM) を加えて、37℃で1時間インキュベートし、最後に前述の通り蛍光強度を分析した。各濃度の候補化合物を2つの平行ホール(parallel hole)に設け、ブランク対照群(4-MUNANA及び停止緩衝液のみを含有する。)を4つの平行ホールに設け、そして、ウイルス対照群(候補化合物の濃度=0)を4つの平行ホールに設けた。阻害率IR(%)は、次の式に基づいて計算した:
IR(%)=[1-(FU-FUB)÷(FUC-FUB)]×100
(前記式において、FUは、候補化合物群における蛍光ユニットの平均値であり、FUBは、ブランク対照群における蛍光ユニットの平均値であり、そして、FUCは、ウイルス対照群における蛍光ユニットの平均値である。)
IR(%)対化合物の濃度の分散ダイヤグラムをプロットし、対数回帰分析(logarithmic regression analysis)によってIC50を計算した。異なるウイルス濃度の分析結果から得た回帰曲線は類似したIC50値を有して、互いに重なるのが好ましい。その結果は次のとおりである(表17参照)。
【0143】
【表17】

【実施例26】
【0144】
インフルエンザB型ウイルスノイラミニダーゼに対する(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物の阻害活性の測定
インフルエンザB型ウイルスノイラミニダーゼに対する(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸三水和物の阻害活性は、実施例25に記載された方法に基づいて測定された。ただインフルエンザA型ウイルスノイラミニダーゼに代わってインフルエンザB型ウイルス(B/Jing Fang/76/98)ノイラミニダーゼが用いられた。その結果を次の表(表18)にて示した。
【0145】
【表18】

【実施例27】
【0146】
(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物の抗インフルエンザ活性の実験
50μlのリン酸塩緩衝液(0.42%ウシ血清アルブミンを含有する。)中にマウス-コンプライアンス・インフルエンザウイルス菌株FM1(H1N1)500pfu(プラーク形成単位)を含ませた溶液を製造し、マウス(BALB/C、雌、5〜6週齢、体重20g)の鼻腔に滴下して、感染容量(infective dose)23.7LD50でマウスを感染させた。本発明の化合物を生理食塩水中に懸濁して、ウイルス感染からそれぞれ1時間、2日、3日、4日、5日後(5回)の時点において腹腔内注射によって2.5mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、20mg/kgの投与量でマウスに投与した。この分析は、10匹のマウスを用いて行った。その結果は、分析に用いられたマウスの数に対するウイルス感染から14日経過後マウスの生存数の比率にて表した。その一方で、無水(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸は対照化合物として用いられた。
【0147】
【表19】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の[化1]にて表される(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物(この[化1]において、Xは2.0又は3.0である)。
【化1】

【請求項2】
前記Xが、3.0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の化合物と、薬学的に許容可能なキャリアと、を含む医薬組成物。
【請求項4】
(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸粗組成物を水中に懸濁させ、50〜90℃に加熱して溶かすステップ、
しばらく放置してから、前記システムに活性炭を加えるステップ、
加熱しながら10分間還流させ、このシステムが熱いうちにろ過するステップ、
前記システムを放置して35〜75℃に冷却してから、前記システムに有機溶媒を加えるステップ、又は、
有機溶媒を加えてから、前記[化1]の化合物の種晶を加えるステップ、
前記混合溶液を密封容器に入れ、放置し、冷却速度を制御して結晶生成物を沈殿させ、そして、固体生成物を収集するステップ、
を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の化合物の製造方法。
【請求項5】
前記有機溶媒を、メタノール、エタノール、n-ブタノール、アセトン、及び、アセトニトリル、又は、これらの混合物からなる群から選択する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記有機溶媒を、メタノール、及び、アセトンからなる群から選択する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記水:前記有機溶媒の割合が、1:5〜100:1であるか、又は、純粋な水である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記冷却速度が、0.1℃/分〜5℃/分である、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記医薬組成物が、薬学的に許容可能な溶媒と、前記[化1]の(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物約50〜約4000%(w/v)と、を含んでなり、そして、前記[化1]の化合物の量が、(1S,2S,3S,4R)-3- [(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸の量によって計算されたものである、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記医薬組成物が、非経口投与用医薬組成物であり、そして、前記[化1]の(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物が、前記医薬組成物に基づいて300%〜2000%(w/v)の量で存在する、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物が、非経口投与用医薬組成物であり、かつ、pH調整剤、0.9%塩化ナトリウム水溶液、緩衝剤、酸化防止剤、金属イオン錯化剤、又は、これらの組み合わせから選択された1以上の成分を含む、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記医薬組成物が、非経口投与用医薬組成物であり、そして、前記pH調整剤が、前記医薬組成物のpH値を約3〜7に調整するのに十分な量の無機酸である、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記医薬組成物が、非経口投与用医薬組成物であり、そして、前記pH調整剤が、前記医薬組成物のpH値を約3〜6に調整するのに十分な量の希塩酸である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記医薬組成物が、非経口投与用医薬組成物であり、そして、前記薬学的に許容可能な溶媒が、水、PEG400、プロピレングリコール、エタノール、グリセリン、又は、これらの組み合わせからなる群から選択されたものである、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記医薬組成物が、非経口投与用医薬組成物であり、そして、前記薬学的に許容可能な溶媒が、水である、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記医薬組成物が、非経口投与用医薬組成物であり、かつ、105〜125℃で10〜50分間、好ましくは、115℃で30分間滅菌されたものである、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記医薬組成物が、非経口投与用医薬組成物であり、前記薬学的に許容可能な溶媒が、水であり、そして、前記[化1]の(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物が、前記医薬組成物に基づいて300mg/100ml〜100mg/5mlの量で存在する、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記[化1]の(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物が、前記医薬組成物に基づいて300mg/100mlの量で存在するとき、前記医薬組成物のpH値が4〜6に調整される、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記[化1]の(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物が、前記医薬組成物に基づいて100mg/5mlの量で存在するとき、前記医薬組成物の最適pH値が3〜5に調整される、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項20】
請求項1に記載の化合物と、
pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、金属イオン錯化剤、又は、これらの組み合わせからなる群から選択された1以上の充填剤と、
を含む粉末注射剤であって、
前記粉末注射剤1gあたり前記請求項1に記載の化合物0.1mg〜1gを含有することを特徴とする粉末注射剤。
【請求項21】
単位容量において、前記充填剤に対する前記(1S,2S,3S,4R)-3-[(1S)-1-アセチルアミノ-2-エチル-ブチル]-4-グアニジノ-2-ヒドロキシ-シクロペンチル-1-カルボン酸水和物の重量比が、1:10〜1:100であり、そして、前記粉末注射剤が単位容量で用いられるとき、前記pH調整剤は、前記粉末注射剤のpH値が2.5〜6.5、好ましくは、3.5〜5.5となるように用いられる、請求項20に記載の粉末注射剤。

【公表番号】特表2010−535820(P2010−535820A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520403(P2010−520403)
【出願日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【国際出願番号】PCT/CN2008/001459
【国際公開番号】WO2009/021404
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(510022831)インスティテュート オブ ファーマコロジー アンド トキシコロジー アカデミー オブ ミリタリー メディカル サイエンシーズ ピー・エル・エイ チャイナ (3)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE OF PHARMACOLOGY AND TOXICOLOGY ACADEMY OF MILITARY MEDICAL SCIENCES P.L.A. CHINA
【Fターム(参考)】