説明

1液室温湿気硬化型硬化性樹脂組成物

【課題】環境負荷の低減が可能であるとともに、安全性を確保しつつ安定した硬化速度を有する硬化性材組成物を提供する。
【解決手段】
1)分子内に下記一般式(1)で表されるジアルコキシシリル基を有する硬化性樹脂(A)を100質量部に対して、
2)分子内に下記一般式(2)で表されるジアルコキシシリル基を有する硬化性樹脂(B)を5〜400質量部、
硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)の総和100質量部に対して、
3)塩基性化合物(C)を0.1〜30質量部、
4)分子中に水酸基を含有しない沸点が200℃以上の可塑剤(D)を10〜500重量部、
を含有させてなる硬化性樹脂組成物。
−X−SiR(OR ・・・式(1)
(但し、Xは炭素数2以上の炭化水素を、Rは炭素数1〜20個のアルキル基を、Rは炭素数1〜3個のアルキル基をそれぞれ示す。)
−W−CH−SiR(OR ・・・式(2)
(但し、Wは−O−CO−NH−、−N(R)−CO−NH−、−S−CO−NH−から選択される基を表し、Rは炭素数1〜20個のアルキル基を、Rは炭素数1〜3個のアルキル基を、Rは水素、ハロゲン置換されていてもよい環状、線状又は分枝鎖状の炭素数1〜18のアルキルもしくはアルケニル基又は炭素数6〜18個のアリール基をそれぞれ示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室温大気下で硬化可能である、加水分解性ケイ素基を含有する硬化性樹脂組成物に関し、より詳しくは、環境負荷の低減が可能であるとともに、安全性を確保しつつ安定した硬化速度を有する硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
分子内に加水分解性ケイ素基を有する硬化性樹脂は、シーラント、接着剤、粘着剤、塗料等のベースポリマーとして広く用いられている。この硬化性樹脂は加水分解性ケイ素基が大気中の水分で加水分解し架橋することによって硬化するため、湿気硬化型ポリマーとも呼ばれている。特に加水分解性ケイ素基がアルコキシシランである硬化性樹脂は、安全性や臭気が少ないことなどから幅広く用いられている(特許文献1、特許文献2)。
しかし、アルコキシシリル基だけでは室温で十分な硬化速度を得られないため、これらの硬化性樹脂は十分な硬化速度を得るために、通常は硬化触媒を配合して使用される。硬化触媒としては有機スズ化合物が広く使用されている。
【0003】
一方で、アミン化合物やカルボン酸化合物、又はビスマス系化合物やチタン系化合物(特許文献3、特許文献4)を硬化触媒として使用することが提案されている。しかし、これらの触媒系では硬化速度が実用的に満足できるものではなかった。
また、無触媒でも十分な硬化性を有するアルコキシシリル基として、硬化性樹脂のように加水分解性ケイ素原子に結合した炭素原子に、非共有電子対を有する酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子が結合した結合基をもつ化合物が提案されている(特許文献5)が、硬化物のモジュラスが高く、硬すぎる傾向がある。
【0004】
【特許文献1】特開昭52−073998号公報
【特許文献2】特開昭63−112642号公報
【特許文献3】特許第3793074号公報
【特許文献4】特許第3768072号公報
【特許文献5】特表2005−514504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有機スズ化合物については、近年その毒性が問題となっているものがあり、その使用量については組成物に対し1000ppm以下に抑えることが望まれている。特に有機スズ化合物の中でも、毒性の比較的高いトリブチルスズ誘導体が含まれているものは、その使用について特に注意が必要となる。
また、トリブチルスズ誘導体に限らず、スズ等の重金属を中心とする触媒は毒性、環境への負荷が懸念されるため、使用に際してはその取り扱いや使用量に十分な注意が必要であるのは言うまでもない。
【0006】
そこで、本発明者等は、加水分解性ケイ素基を有する硬化性樹脂を用いた樹脂組成物において、有機スズ系触媒の含有量を極力減らし、究極的には全く含まないものの、実性能は現行のものと遜色ない、もしくはそれを上回る硬化性樹脂組成物を得ることを目的として鋭意研究を行った。
その結果、上記の特許文献5に記載されるような特定の加水分解性ケイ素基近傍の化学構造を持つ硬化性樹脂と、従来公知の加水分解性ケイ素基を有する硬化性樹脂とを併用すると、驚くべきことに系全体の硬化性能が引き上げられ、その結果としてこれらの併用系では有機スズ系触媒を用いることなく、十分実用的な硬化速度が得られ、且つ硬化物が実用可能なモジュラスを示すことを見出し、この併用系を先に出願した(特願2008−187669)。
【0007】
本発明者等はこの発明の実用化に向けて研究を続けたところ、さらにこの併用系での特殊性を見出した。
すなわち、従来公知の分子内に加水分解性ケイ素基を有する硬化性樹脂と、上記の特許文献5に記載されるような特定の加水分解性ケイ素基近傍の化学構造を持つ硬化性樹脂とを併用した場合には、使用する可塑剤によっては硬化速度が経時で大きく遅延する現象がみられたのである。
このような現象は、従来の加水分解性ケイ素基を有する硬化性樹脂を用いた系ではみられなかったことである。従って、この問題を解決しない限り、この硬化性樹脂併用系をシーラント、接着剤、粘着剤、塗料等として実際に使用するにあたっての大きな制約となってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明者等は、鋭意研究の結果、ついに上述のような経時での硬化遅延を起こさせない添加剤がいかなるものであるかを突き止め、本発明を完成させるに至った。
すなわち、第1の発明は、
1)分子内に下記一般式(1)で表されるジアルコキシシリル基を有する硬化性樹脂(A)の100質量部に対して、
2)分子内に下記一般式(2)で表されるジアルコキシシリル基を有する硬化性樹脂(B)を5〜400質量部、
硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)の総和100質量部に対して、
3)塩基性化合物(C)を0.1〜30質量部、
4)分子中に水酸基を含有しない沸点が200℃以上の可塑剤(D)を10〜500重量部、
を含有させてなる硬化性樹脂組成物に関するものである。
−X−SiR(OR ・・・式(1)
(但し、Xは炭素数2以上の炭化水素を、Rは炭素数1〜20個のアルキル基を、Rは炭素数1〜3個のアルキル基をそれぞれ示す。)
−W−CH−SiR(OR ・・・式(2)
(但し、Wは−O−CO−NH−、−N(R)−CO−NH−、−S−CO−NH−から選択される基を表し、Rは炭素数1〜20個のアルキル基を、Rは炭素数1〜3個のアルキル基を、Rは水素、ハロゲン置換されていてもよい環状、線状又は分枝鎖状の炭素数1〜18のアルキルもしくはアルケニル基又は炭素数6〜18個のアリール基をそれぞれ示す。)
有機スズ触媒を使用しなくても上記式(2)の化学構造を持つ硬化性樹脂(B)と塩基性化合物(C)とを、硬化性樹脂(A)に添加することで十分な硬化性を示し、分子中に水酸基を含有しない沸点が200℃以上の可塑剤(D)を使用することで経時で硬化速度が大きく遅延することがない。
【0009】
また、第2の発明は、可塑剤(D)がフタル酸エステル系化合物、アルキルスルホン酸エステル系化合物、水酸基を封鎖したポリオキシアルキレン化樹脂、水酸基を含有しないアクリル樹脂、アジピン酸エステル系化合物、炭化水素系化合物から選択された1種以上であることを特徴とする、第1の発明に係る硬化性樹脂組成物に関するものである。
また、第3の発明は、硬化性樹脂(A)の主鎖が本質的にポリオキシアルキレン及び/又はポリ(メタ)アクリル酸エステルであることを特徴とする、第1又は第2の発明に係る硬化性樹脂組成物に関するものである。
また、第4の発明は、硬化性樹脂(B)の主鎖が本質的にポリオキシアルキレン及び/又はポリ(メタ)アクリル酸エステルであることを特徴とする、第1〜第3の発明に係る硬化性樹脂組成物に関するものである。
【0010】
また、第5の発明は、塩基性化合物(C)がアミン化合物であることを特徴とする、第1〜第4の発明に係る硬化性樹脂組成物に関するものである。
また、第6の発明は、塩基性化合物(C)がその分子内にアミノ基と下記一般式(3)で表される加水分解性シリル基を有する化合物であることを特徴とする、第1〜第5の発明に係る硬化性樹脂組成物に関するものである。
−SiR3−n ・・・式(3)
(但し、Yは加水分解性基を、Rは炭素数1〜20個のアルキル基を、nは0、1又は2を、それぞれ示す。)
【0011】
また、第7の発明は、有機スズ系触媒が実質的に含まれない、または1000ppm未満であることを特徴とする、第1〜第6の発明に係る硬化性樹脂組成物に関するものである。
また、第8の発明は、さらに、充填剤、老化防止剤を含有することを特徴とする、第1〜第7の発明に係る硬化性樹脂組成物に関するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る硬化性樹脂組成物は、環境負荷の低減が可能であるとともに、安全性を確保しつつ実用上必要十分な硬化速度を有し、しかも経時で安定した硬化速度を有する効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例示にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0014】
[硬化性樹脂(A)について]
本発明における硬化性樹脂(A)は、分子内に下記一般式(1)で表されるジアルコキシシリル基を有する硬化性樹脂である。
−X−SiR(OR ・・・式(1)
(但し、Xは炭素数2以上の炭化水素を、Rは炭素数1〜20個のアルキル基を、Rは炭素数1〜3個のアルキル基をそれぞれ示す。)
【0015】
上記加水分解性ケイ素基は、ケイ素原子に炭素数2以上の炭化水素基Xが結合しており、さらにこの炭化水素基Xは主鎖骨格に結合している。また、当該ケイ素原子については炭化水素基Xとの結合手以外に加水分解性基としてアルコキシル基(OR)が2個結合すると共に、残りの結合手として炭化水素基(R)が1個結合しているものである。
ここで、Rは炭素数1〜20個のアルキル基、Rは炭素数1〜3個のアルキル基である。アルコキシル基(OR)としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基であるのが好ましく、さらに好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。ケイ素原子の残りの結合手に結合している炭化水素基(R)としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であるのが好ましく、さらに好ましくはメチル基又はエチル基である。
【0016】
硬化性樹脂(A)の主鎖骨格としては、ポリオキシアルキレン、ビニル重合体、飽和炭化水素重合体、不飽和炭化水素重合体、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン樹脂及び変成シリコーン樹脂やシリル化ウレタン樹脂に一般的に用いられているものが採用されるが、特にポリオキシアルキレン及び/又はポリ(メタ)アクリル酸エステルであることが、入手の容易さ、硬化物の皮膜物性等の点から好ましい。なお、本願においては、アクリル酸とメタクリル酸とを総称して「(メタ)アクリル酸」と表記する。
【0017】
硬化性樹脂(A)の市販品としては、シリコーン樹脂又は変成シリコーン樹脂として多数販売されている。例えば、株式会社カネカ製のサイリルシリーズ、MSポリマーシリーズ、MAシリーズ、SAシリーズ、ORシリーズ、エピオンシリーズ;旭硝子株式会社製のESシリーズ、ESGXシリーズ;エボニックデグサ社製のシラン変性ポリアルファオレフィン、信越化学工業株式会社製のKCシリーズ、KRシリーズ、X−40シリーズ;東亞合成株式会社製のXPRシリーズ、ARUFON USシリーズ;綜研化学株式会社製のアクトフローシリーズ等が挙げられる。
【0018】
また、硬化性樹脂(A)として、分子内にウレタン結合、尿素結合等の極性基を含有する硬化性シリコーン系樹脂を用いることもできる。分子内に極性基を含有する硬化性樹脂(A)は、従来公知の方法で合成すればよい。例えば、イソシアネート基末端ポリマーにアミノ基含有アルコキシシラン化合物(或いはメルカプト基含有アルコキシシラン化合物)を反応させる方法や、水酸基末端ポリオールにイソシアネート基含有アルコキシシラン化合物を反応させる方法等が知られている。より具体的には、特許第3030020号公報、特許第3343604号公報、特開2005−54174公報等に記載の方法で容易に合成することができる。
上記硬化性樹脂(A)は、単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0019】
[硬化性樹脂(B)について]
硬化性樹脂(B)を硬化性樹脂(A)に配合することで、硬化性樹脂(A)の硬化性能が引き上げられ、その結果、後述する塩基性化合物(C)のみで系全体が硬化する。すなわち、硬化性樹脂(B)は硬化性樹脂であるとともに、硬化性樹脂(A)の硬化促進剤としても作用しているものと推察される。
本発明における硬化性樹脂(B)は、分子内に下記一般式(2)で表されるジアルコキシシリル基を有する硬化性樹脂である。
−W−CH−SiR(OR ・・・式(2)
(但し、Wは−O−CO−NH−、−N(R)−CO−NH−、−S−CO−NH−から選択される基を表し、Rは炭素数1〜20個のアルキル基を、Rは炭素数1〜3個のアルキル基を、Rは水素、ハロゲン置換されていてもよい環状、線状又は分枝鎖状の炭素数1〜18のアルキルもしくはアルケニル基又は炭素数6〜18個のアリール基をそれぞれ示す。)
式(2)で示したように上記加水分解性ケイ素基は、ケイ素原子にメチレン基を介して非共有電子対を有するヘテロ原子を含む結合基が結合しているものである。さらに当該加水分解性ケイ素基は、この結合基を介して主鎖骨格に結合している。
【0020】
また、当該ケイ素原子についてはメチレン基との結合手以外に加水分解性基としてアルコキシル基(OR)が2個結合すると共に、残りの結合手として炭化水素基(R)が1個結合しているものである。
ここで、Rは炭素数1〜20個のアルキル基を、Rは炭素数1〜3個のアルキル基である。アルコキシル基(OR)としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基であるのが好ましく、さらに好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。珪素原子の残りの結合手に結合している炭化水素基(R)としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であるのが好ましく、さらに好ましくはメチル基又はエチル基である。
【0021】
本願では、このような化学構造を「α−シラン構造」と表記することがある。α−シラン構造を選択することにより通常の加水分解性ケイ素基よりも極めて高い湿分反応性を示すため、スズ触媒を使用しない、或いは通常よりもはるかに少量の使用量でも充分な硬化速度を得ることができる。さらに、α−シラン構造を持つ硬化性樹脂が他の加水分解性ケイ素基を有する硬化性樹脂の硬化性能を引き上げることは上述のとおりである。
【0022】
硬化性樹脂(B)の主鎖骨格としては、ポリオキシアルキレン、ビニル重合体、飽和炭化水素重合体、不飽和炭化水素重合体、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン樹脂及び変成シリコーン樹脂に一般的に用いられているものが採用されるが、特にポリオキシアルキレン及び/又はポリ(メタ)アクリル酸エステルであることが、入手の容易さ、硬化物の皮膜物性等の点から好ましい。
硬化性樹脂(B)を得るためには、従来公知の方法で合成を行えばよい。例えばポリオール化合物及び/又はアクリルポリオール化合物にイソシアネートメチルアルコキシシラン化合物を反応させる方法等が知られている。より具体的には、特表2004−518801、特表2004−536957、特表2005−501146等に記載の方法で容易に合成できる。上記硬化性樹脂(B)は、単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0023】
硬化性樹脂(B)の市販品としては、Wacker Chemie AG製のGENIOSIL STP−E10(メトキシ基当量から換算した分子量約10,000、粘度約10,000mPa・s/25℃(カタログ値))、GENIOSIL STP−E30(メトキシ基当量から換算した分子量約16,000、粘度約30,000mPa・s/25℃(カタログ値))等が挙げられる。これらの構造は、上記一般式(2)のWが−O−CO−NH−、RがCH、RがCHであり、下記一般式(4)で示される。
−O−CO−NH−CH−SiCH(OCH ・・・式(4)
【0024】
硬化性樹脂(B)の配合量は、硬化性樹脂(A)100質量部に対して、5〜400質量部、好ましくは10〜200質量部、特に好ましくは20〜100質量部である。硬化性樹脂(B)の配合量が5質量部よりも少なくなると、硬化性が十分に発揮されず、400重量部より多くなると相対的に硬化性樹脂(A)の割合が少なくなり硬化性樹脂(A)の性能(特に硬化物の物性)が十分に発揮されないことが懸念される。
硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)とは、各々の主鎖骨格は同じであっても異なっていてもよい。また、硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)が相溶しているほうがより本発明の効果が得られやすいため好ましい。
【0025】
硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)の相溶性を向上させるために従来公知の技術を用いることができる。例えば一般的に相溶化剤として知られている化合物を添加することができる。また、硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)の主鎖骨格を相溶性が良好である組み合わせを選ぶことによって両者の相溶性を向上させることもできる。具体的には主鎖骨格の極性が比較的近いものを用いることで相溶性を向上することができる。例えば、双方ともに同じ主鎖骨格を選ぶと相溶性が非常に良好である。また同じではなくても、ポリオレフィン骨格同士、ポリエーテル骨格同士といった比較的構造が似通った骨格を選択することも好ましい。さらに、ポリオキシアルキレン骨格と特定構造のポリ(メタ)アクリレート骨格なども相溶性が良好であることが知られている。上記のように相溶性が良好である組み合わせを例示したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0026】
[塩基性化合物(C)について]
本発明における塩基性化合物(C)は、硬化性樹脂(B)と併用することで硬化性樹脂(A)の硬化触媒として作用する化合物であり、塩基性を示す化合物であれば特に限定されず、カルボン酸等の酸との塩であっても塩基性である限り使用可能である。例えば、第1〜3級アミン化合物及びその塩、4級アンモニウム塩、有機金属塩等が好適に使用できる。アミン化合物とエポキシ化合物との反応物であっても良い。
【0027】
塩基性化合物(C)の具体例として、例えば、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン等の第1級アミノ基を有する化合物;N−メチル−3,3′−イミノビス(プロピルアミン)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、ペンタエチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、1,9−ジアミノノナン、ATU(3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)、CTUグアナミン、ドデカン酸ジヒドラジド、ヘキサメチレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ジアニシジン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジエチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、トリジンベース、m−トルイレンジアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、メラミン、1,3−ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、N−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、サンテクノケミカル社製ジェファーミン(商品名)等の複数の第1級アミノ基を有する化合物;ピペラジン、シス−2,6−ジメチルピペラジン、シス−2,5−ジメチルピペラジン、2−メチルピペラジン、N,N′−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、2−アミノメチルピペリジン、4−アミノメチルピペリジン、1,3−ジ−(4−ピペリジル)−プロパン、4−アミノプロピルアニリン、ホモピペラジン、N,N′−ジフェニルチオ尿素、N,N′−ジエチルチオ尿素、N−メチル−1,3−プロパンジアミン等の複数の第二級アミノ基を有する化合物;メチルアミノプロピルアミン、エチルアミノプロピルアミン、エチルアミノエチルアミン、ラウリルアミノプロピルアミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−アミノプロピルピペラジン、3−アミノピロリジン、1−o−トリルビグアニド、2−アミノメチルピペラジン、N−アミノプロピルアニリン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、ラウリルアミノプロピルアミン、2−アミノメチルピペリジン、4−アミノメチルピペリジン、式:HN(CNH)H(n≒5)で表わされる化合物(商品名:ポリエイト、東ソー社製)等の第1級アミノ基及び第2級アミノ基を有する化合物;テトラメチルアンモニウムクロライド、ベンザルコニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩類;三共エアプロダクツ社製のDABCO(登録商標)シリーズ、DABCOBLシリーズ、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の複数の窒素を含む直鎖或いは環状の第三級アミン及び第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0028】
塩基性化合物(C)がアミン化合物であることが、入手の容易さや、コストの面から好ましい。また、塩基性化合物(C)がその分子内にアミノ基と下記一般式(3)で表される加水分解性シリル基を有する化合物である場合は、硬化触媒としての効果がより顕著に発揮されると共に、各種被着体(特に金属)への接着性付与もでき、さらに硬化性樹脂(A)及び硬化性樹脂(B)との反応も可能であるため、硬化後に皮膜からブリードアウトすることもないため好ましい。
−SiR3−n ・・・式(3)
(但し、Yは加水分解性基を、Rは炭素数1〜20個のアルキル基を、nは0、1又は2を、それぞれ示す。)
ここで、加水分解性基Yとしては従来公知のものであれば特に限定されないが、ヒドロキシル基又はアルコキシル基であるのが好ましい。
【0029】
具体的には、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−3−[アミノ(ジプロピレンオキシ)]アミノプロピルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリメトキシシラン等のアミノシラン化合物も挙げられる。
【0030】
上記化合物は市販品も使用することができる。市販品として、信越化学工業社製、商品名、KBM−602、KBM−603、KBE−603、KBM−903、KBE−903、KBM−902、KBE−902、KBE−9103、KBM−573、KBM−575、KBM−576、KBM−6123、KBE−585、X−12−806、X−12−666、X−12−896、X−12−5263、X−12−580、X−12−575、X−12−577、X−12−563B、X−12−565、X−12−562、X−12−817H、KBM−6063、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、商品名:TSL8331、TSL8340、TSL8345、TSL8802、チッソ社製、商品名:S360、S320、S310、S311、S321、S330、エボニックデグサ社製、商品名:ダイナシラン(DYNASYLAN)1189等が挙げられる。
上記塩基性化合物(C)は、単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0031】
塩基性化合物(C)の配合量は、硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)の総和100質量部に対して、0.1〜30質量部、好ましくは1〜15質量部、特に好ましくは2〜10質量部である。塩基性化合物(C)の配合量が0.1質量部よりも少ないと、硬化触媒としての効果が弱く硬化が非常に遅くなってしまう。一方、塩基性化合物(C)の配合量が30質量部よりも多くなると、貯蔵安定性が悪く経時で増粘したり、硬化性樹脂組成物が黄色く変色したり、硬化物の色が経時で(特に熱暴露や紫外線照射によって)黄色く変化したりするため好ましくない。
【0032】
[可塑剤(D)について]
本発明における可塑剤(D)は、硬化物物性の調整、硬化性樹脂組成物の粘度低減 (希釈効果)、さらにはその希釈効果によってフィラー添加量の増量を可能にし、コストの低減、作業性の向上、耐候性の向上等の目的で使用される。
これまで、硬化性樹脂(A)と有機スズ触媒等の金属触媒を併用した硬化性樹脂組成物や、硬化性樹脂(B)を単独で用いた硬化性樹脂組成物では、可塑剤として、分子内に1個以上の水酸基を有する化合物であるポリプロピレングリコール(PPG)やポリエチレングリコール(PEG)が硬化遅延等の問題もなく最も一般的に使用されてきた。
【0033】
しかし驚くべきことに、硬化性樹脂(B)と硬化性樹脂(A)を併用した硬化性樹脂組成物の可塑剤として、分子内に1個以上の水酸基を有する化合物であるポリプロピレングリコール(PPG)やポリエチレングリコール(PEG)を用いた場合、経時で著しい硬化遅延を起こすことがわかった。そのため、硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)と併用する系においては大きな問題であり、この問題を解決しない限り、この硬化性樹脂併用系をシーラント、接着剤、粘着剤、塗料等として実際に使用するにあたっての大きな制約となってしまう。このような現象は硬化性樹脂(B)を単独使用した場合には見られず、硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)との併用系でのみ見られる特異な現象である。
【0034】
そこで本発明者等は、鋭意研究の結果その硬化遅延の原因が、硬化性樹脂(B)のアルコキシシリル基の反応性の高さのために、分子内に1個以上の水酸基を有する化合物とアルコール交換を起こすことで、硬化性樹脂(B)の反応性が著しく低下し、その結果硬化遅延することをつきとめた。このことは、硬化性樹脂(B)は硬化性樹脂であるとともに、硬化性樹脂(A)の硬化促進剤としても作用していることの証左であると考える。
そこで、分子中に水酸基を含有しない可塑剤(D)を使用することで、従来通りの可塑剤の効果を損なわず、硬化速度が安定した硬化性樹脂組成物が得られることを見出した。
【0035】
また、反応性の高い硬化性樹脂(B)を単独で用いた硬化性樹脂組成物の可塑剤として、分子内に1個以上の水酸基を有する化合物を用いた場合も、上記アルコール交換が起こると考えられるが、硬化性樹脂(B)の割合が多いため、アルコール交換を起こさず反応性が低下しないアルコキシシリル基の割合が相対的に多いために硬化遅延を起こさないのだと考えられる。
また、硬化性樹脂(A)の様な反応性の低い硬化性樹脂の場合、そのアルコキシシリル基の反応性が低いため、アルコール交換が起こり難く硬化遅延が起こらないのだと考えられる。
【0036】
本発明に係る可塑剤(D)としては、フタル酸エステル系化合物、アルキルスルホン酸エステル系化合物、水酸基を封鎖したポリオキシアルキレン化樹脂、水酸基を含有しないアクリル樹脂、アジピン酸エステル系化合物、炭化水素系化合物から選択された1種以上の化合物等が挙げられる。
フタル酸エステル系化合物として例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)等が挙げられる。
【0037】
アルキルスルホン酸エステル化合物として例えば、アルキルスルホン酸フェニルエステル(製品名:メザモール、バイエルケミカルズジャパン社製)、デカンスルホン酸フェニルエステル、ウンデカンスルホン酸フェニルエステル、ドデカンスルホン酸フェニルエステル、トリデカンスルホン酸フェニルエステル、テトラデカンスルホン酸フェニルエステル、ペンタデカンスルホン酸フェニルエステル、ペンタデカンスルホン酸クレジルエステル、ヘキサデカンスルホン酸フェニルエステル、ヘプタデカンスルホン酸フェニルエステル、オクタデカンスルホン酸フェニルエステル、ノナデカンスルホン酸フェニルエステル、イコサンデシルスルホン酸フェニルエステル等が挙げられる。
【0038】
水酸基を封鎖したポリオキシアルキレン化樹脂とは、実質的に水酸基を含有しないポリオキシアルキレン化樹脂である。例えば、ポリプロピレングリコール(PPG)や、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレンオキサイド(PO)とエチレンオキサイド(EO)の共重合体等の分子内にある水酸基をアルキル基等の有機基に置換したり、水酸基の水素原子をアルキル基等の有機基に置換してエーテル化したり、又は水酸基に対してカルボン酸を反応させエステル化したりした化合物である。本願における「封鎖」とは前記のように水酸基の活性水素基を不活性化することをいう。具体的な製品名としては、三洋化成工業社製のサンフレックスSPX−80(水酸基をアルキルエステル化(封鎖)したポリオキシアルキレン化樹脂)等が挙げられる。
【0039】
水酸基を含有しないアクリル樹脂としては、水酸基を含有しないビニル系モノマーを種々の方法で重合して得られるビニル系重合体類等であり、例えば、水酸基を含有しないアクリル酸エステルの重合体、水酸基を含有しないメタクリル酸エステルの重合体及び、その共重合体である。具体的な製品名として、東亞合成社製アルフォンUP−1000シリーズ、UF−5000シリーズ、US−6000シリーズ等が挙げられる。
アジピン酸エステル系化合物として例えば、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジオクチル(DOA)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)等が挙げられる。
【0040】
炭化水素系化合物としては、その分子内に水酸基を有さなければ一般によく知られたものが利用でき、特に脂肪族炭化水素、例えばパラフィン系、ポリオレフィン系、ナフテン系、アロマ系等が挙げられる。構造的には、直鎖状でも分岐があってもよい。具体的な製品名として、出光興産社製のダイアナプロセスオイルPWシリーズ、PSシリーズ、NPシリーズ、NRシリーズ、NSシリーズ、NMシリーズ、ACシリーズ、AHシリーズ等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。さらに、上記可塑剤(D)は、単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。
上記可塑剤(D)の沸点が200℃未満である場合、加工時に揮発してしまう問題、硬化後徐々に揮発し硬化物物性が経時で変化してしまう問題、臭気の問題等があるため、沸点が200℃以上であることが好ましい。
【0041】
上記可塑剤(D)の配合量は、硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)の総和100質量部に対して、10〜500質量部、好ましくは20〜300質量部、特に好ましくは25〜150質量部である。可塑剤(D)の配合量が10質量部よりも少ないと、可塑剤(D)を添加することによる低粘度化や作業性向上等の効果が発揮されず好ましくない。一方、可塑剤(D)の配合量が500質量部よりも多くなると、相対的に硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)の配合割合が少なくなり硬化物の物性が低下する等の不具合が起こるため好ましくない。
【0042】
これまで、シーラント、接着剤、粘着剤、塗料等のベースポリマーとして広く用いられてきた分子内に加水分解性ケイ素基を有する硬化性樹脂(A)は、硬化触媒として有機スズ化合物が最も一般的に使用されてきた。しかし近年、環境問題への意識の高まりによって、有機スズ化合物の毒性や環境への負荷が問題視されておりその使用量については組成物に対し1000ppm以下に抑えることが望まれている。
また、有機スズ化合物は硬化性樹脂(A)の硬化触媒としても作用するが、ウレタン結合や、(置換)尿素結合、チオウレタン結合等を加水分解する触媒として作用する。そのため、有機スズ化合物を一定量以上添加した場合、硬化性樹脂(B)中に含まれるこれら結合や、硬化性樹脂(A)中にこれら結合が含まれる場合にこれらの結合が特に熱時に加水分解され易くなり、硬化性樹脂組成物の硬化物物性等が著しく低下することが懸念される。そのため、有機スズ系触媒の添加量は硬化性樹脂組成物に対して、好ましくは0〜1000ppmであり、さらに好ましくは0〜500ppmであり、特に好ましくは0〜200ppmである。
【0043】
本発明に係る硬化性樹脂組成物中には、充填剤、老化防止剤等を配合することができる。本発明に係る硬化性樹脂組成物に配合できる上記充填剤としては、炭酸カルシウム系、各種処理炭酸カルシウム系、炭酸マグネシウム系、有機高分子系、クレー系、タルク系、シリカ系、フュームドシリカ系、ガラスバルーン系、プラスチックバルーン系、水酸化アルミニウム系、水酸化マグネシウム系等の充填剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
上記充填剤は硬化性樹脂組成物のたれ防止、作業性向上の目的のみならず、耐候性の
向上の目的で添加される。充填剤が添加されていない硬化性樹脂組成物の場合、その内部にまで容易に光(特に紫外線)が入ってくるため、露光された場合に硬化物の表面のみならず、内部でも劣化が進行してしまう。しかし、充填剤を添加した硬化性樹脂組成物の場合、充填剤を添加したことによる遮蔽効果によって、硬化物内部にまで光が入らず内部の劣化を抑えることができる。
【0045】
上記老化防止剤としては、ラジカル連鎖開始阻止剤として金属不活性化剤(ヒドラジド系、アミド系等)、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系等)、クエンチャー(有機ニッケル系等)、ラジカル捕捉剤としてHALS(ヒンダードアミン系等)、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系、セミヒンダードフェノール系等)、過酸化物分解剤としてリン系酸化防止剤(ホスファイト系、ホスホナイト系等)、イオウ系酸化防止剤(チオエーテル系等)等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0046】
本発明に係る硬化性樹脂組成物中には、充填剤、老化防止剤以外に従来公知の任意の化合物乃至物質を配合することができる。
例えば、他の硬化性樹脂として、加水分解性ケイ素基がトリアルコキシシリル基であったり、モノアルコキシシリル基であるような硬化性樹脂を併用してもよい。この際に、トリアルコキシシリル基含有硬化性樹脂を用いると、最終硬化物のモジュラスを上げることができるが、使用量が増えると伸びが少なくなる傾向がある。一方、モノアルコキシシリル基含有硬化性樹脂を用いると、最終硬化物のモジュラスを下げることができるが、使用量が増えると系全体の反応性が低下し硬化速度が非常に遅くなる傾向があり、さらに、架橋による三次元ネットワークを形成できないため硬化物物性に劣る傾向がある。
【0047】
また、例えば、従来公知の硬化触媒、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン等のシランカップリング剤、フェノール樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂等の粘着付与剤、無水シリカ、アマイドワックス等の揺変剤、酸化カルシウム等の脱水剤、イソパラフィン等の希釈剤、水酸化アルミニウム、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤等の難燃剤、シリコーンアルコキシオリゴマー、アクリルオリゴマー等の機能性オリゴマー、顔料、エチルシリケート、プロピルシリケート、ブチルシリケート等のシリケート化合物及びそのオリゴマー、チタネートカップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、アルミニウムカップリング剤、乾性油等を適宜配合することができる。
【0048】
本発明に係る硬化性樹脂組成物は、水分の存在下で、加水分解性シリル基同士が縮重合することによって硬化するものである。したがって、保管乃至搬送中は、空気(空気中の水分)と接触しないよう、気密に密封した状態で取り扱われる。そして、使用時には開封して任意の箇所に適用すれば、空気中の水分と接触して湿気硬化性樹脂組成物が硬化するのである。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[硬化性樹脂A−1の調製]
反応容器内で、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(206.4g、1.0mol)を窒素雰囲気下50℃で撹拌しながら、アクリル酸メチル(172.2g、2.0mol)を1時間かけて滴下し、さらに、室温で5時間反応させた後、50℃で7日間反応させることで、分子内にメチルジメトキシシリル基及び第2級アミノ基を有する反応物SA−1を得た。
別の反応容器内に、旭硝子ウレタン社製のPMLS4012(ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量10,000)を500g、旭硝子ウレタン社製のPMLS1005(ポリオキシプロピレンモノオール、数平均分子量5,500)を500g、イソホロンジイソシアネートを47.4g、及びジオクチルスズジバーサテートを0.10g仕込み、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で3時間反応させて、分子内にイソシアネート基を有するポリオキシアルキレン樹脂PA−1を得た。
その後、これに上記反応物SA−1を100.1g添加し、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で1時間反応させることで、主鎖がポリオキシアルキレンであり分子内にメチルジメトキシシリル基を有する硬化性樹脂A−1を得た。得られた硬化性樹脂A−1をFT−IRで分析することにより、NCO基が消失していることを確認した。
【0050】
(硬化性樹脂A−2)
硬化性樹脂A−2として、末端のメチルジメトキシシリル基が−(CH−を介して主鎖のポリオキシプロピレンに結合した変成シリコーン樹脂「EXCESTER S2410」(旭硝子株式会社製)(低モジュラスタイプ)を用意した。
「EXCESTER S2410」の合成方法としては、分子末端をアリル化してあるポリオキシアルキレンに、ヒドロメチルジメトキシシランをヒドロシリル化する方法等が知られている。
【0051】
(硬化性樹脂A−3)
硬化性樹脂A−3として、末端のメチルジメトキシシリル基が−(CH−を介して主鎖のポリオキシプロピレンに結合した変成シリコーン樹脂「EXCESTER S2420」(旭硝子株式会社製)(中モジュラスタイプ)を用意した。
「EXCESTER S2420」の合成方法としては、分子末端をアリル化してあるポリオキシアルキレンに、ヒドロメチルジメトキシシランをヒドロシリル化する方法等が知られている。
【0052】
(硬化性樹脂B−1)
硬化性樹脂B−1として、上記一般式(2)のWが−O−CO−NH−、RがCH、RがCHであり、下記一般式(4)で示されるジアルコキシシリル基を有するWacker Chemie AG製のGENIOSIL STP−E30(メトキシ基当量から換算した分子量約16,000、粘度約30,000mPa・s/25℃(カタログ値))を用意した。
−O−CO−NH−CH−SiCH(OCH ・・・式(4)
【0053】
(硬化性樹脂B−2)
硬化性樹脂B−2として、上記一般式(2)のWが−O−CO−NH−、RがCH、RがCHであり、上記一般式(4)で示されるジアルコキシシリル基を有するWacker Chemie AG製のGENIOSIL STP−E10(メトキシ基当量から換算した分子量約10,000、粘度約10,000mPa・s/25℃(カタログ値))を用意した。
【0054】
[実施例である硬化性樹脂組成物の調製]
硬化性樹脂(A)をXa質量部、硬化性樹脂(B)をXb質量部、可塑剤(D)をXd質量部、ディスパロン#6500(楠本化成社製、タレ防止剤)2.5質量部、サノールLS770(三共ライフテック社製、ヒンダードアミン系老化防止剤)1.0質量部、チヌビン326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、ベンゾトリアゾール系老化防止剤)1.0質量部、白艶華CCR−B(白石工業社製、表面処理炭酸カルシウム)110質量部、NS400(日東粉化工業社製、重質炭酸カルシウム)65質量部をプラネタリーミキサーに投入し、減圧下にて100℃で2時間加熱脱水しながら混練し、室温まで冷却した後これに、シェルゾールTK(シェルケミカルズジャパン社製、イソパラフィン系希釈剤)5.0質量部、KBM1003(信越化学工業社製、ビニルトリメトキシシラン)3.0質量部、KBM403(信越化学工業社製、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)1.0質量部、塩基性化合物(C)をXc質量部を添加し、減圧下にて15分間混練して、硬化性樹脂組成物を得た。硬化性樹脂組成物は、速やかに密栓容器に充填しタックフリータイムの測定を行った(詳しい測定法や養生条件は後述する)。
【0055】
以下の実施例では、用いた硬化性樹脂(A)、硬化性樹脂(B)、塩基性化合物(C)、可塑剤(D)及び、それらの配合量(質量部)Xa、Xb、Xc、Xdのみを記載する。
(実施例1)
・硬化性樹脂(A) : 硬化性樹脂A−1 Xa=30質量部
・硬化性樹脂(B) : 硬化性樹脂B−1 Xb=70質量部
・塩基性化合物(C): KBM903(信越化学工業社製/γ−アミノプロピルトリメトキシシラン) Xc=5.0質量部
・可塑剤(D) : ジイソノニルフタレート(DINP) Xd=50質量部
【0056】
(実施例2)
・硬化性樹脂(A) : 硬化性樹脂A−1 Xa=50質量部
・硬化性樹脂(B) : 硬化性樹脂B−1 Xb=50質量部
・塩基性化合物(C): KBM903 Xc=5.0質量部
・可塑剤(D) : DINP Xd=50質量部
【0057】
(実施例3)
・硬化性樹脂(A) : 硬化性樹脂A−1 Xa=70質量部
・硬化性樹脂(B) : 硬化性樹脂B−1 Xb=30質量部
・塩基性化合物(C): KBM903 Xc=5.0質量部
・可塑剤(D) : DINP Xd=50質量部
【0058】
(実施例4)
・硬化性樹脂(A) : 硬化性樹脂A−1 Xa=70質量部
・硬化性樹脂(B) : 硬化性樹脂B−1 Xb=30質量部
・塩基性化合物(C): KBM903 Xc=3.0質量部
・可塑剤(D) : DINP Xd=50質量部
【0059】
(実施例5)
・硬化性樹脂(A) : 硬化性樹脂A−1 Xa=70質量部
・硬化性樹脂(B) : 硬化性樹脂B−1 Xb=30質量部
・塩基性化合物(C): KBM602(信越化学工業社製/N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン) Xc=3.0質量部
・可塑剤(D) : メザモール(バイエルケミカルズジャパン社製/アルキルスルホン酸フェニルエステル) Xd=50質量部
【0060】
(実施例6)
・硬化性樹脂(A) : 硬化性樹脂A−1 Xa=70質量部
・硬化性樹脂(B) : 硬化性樹脂B−1 Xb=30質量部
・塩基性化合物(C): 1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU) Xc=3.0質量部
・可塑剤(D) : メザモール Xd=50質量部
【0061】
(実施例7)
・硬化性樹脂(A) : 硬化性樹脂A−2 Xa=70質量部
・硬化性樹脂(B) : 硬化性樹脂B−1 Xb=30質量部
・塩基性化合物(C): KBM903 Xc=3.0質量部
・可塑剤(D) : DINP Xd=50質量部
【0062】
(実施例8)
・硬化性樹脂(A) : 硬化性樹脂A−2 Xa=70質量部
・硬化性樹脂(B) : 硬化性樹脂B−1 Xb=30質量部
・塩基性化合物(C): KBM603(信越化学工業社製/N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン) Xc=3.0質量部
・可塑剤(D) : DINP Xd=50質量部
【0063】
(実施例9)
・硬化性樹脂(A) : 硬化性樹脂A−2 Xa=70質量部
・硬化性樹脂(B) : 硬化性樹脂B−1 Xb=30質量部
・塩基性化合物(C): KBM602 Xc=3.0質量部
・可塑剤(D) : メザモール Xd=50質量部
【0064】
(実施例10)
・硬化性樹脂(A) : 硬化性樹脂A−2 Xa=80質量部
・硬化性樹脂(B) : 硬化性樹脂B−2 Xb=20質量部
・塩基性化合物(C): KBM603 Xc=3.0質量部
・可塑剤(D) : サンフレックスSPX−80(三洋化成工業社製/平均分子量8,000/水酸基をアルキルエステル化した水酸基非含有ポリオキシアルキレン化樹脂) Xd=50質量部
【0065】
(実施例11)
・硬化性樹脂(A) : 硬化性樹脂A−3 Xa=70質量部
・硬化性樹脂(B) : 硬化性樹脂B−2 Xb=30質量部
・塩基性化合物(C): KBM603 Xc=3.0質量部
・可塑剤(D) : アルフォンUP−1110(東亞合成社製/平均分子量2,500/水酸基非含有アクリル樹脂) Xd=50質量部
【0066】
(実施例12)
・硬化性樹脂(A) : 硬化性樹脂A−3 Xa=80質量部
・硬化性樹脂(B) : 硬化性樹脂B−2 Xb=20質量部
・塩基性化合物(C): KBM603 Xc=3.0質量部
・可塑剤(D) : アジピン酸ジオクチル(DOA) Xd=50質量部
【0067】
(実施例13)
・硬化性樹脂(A) : 硬化性樹脂A−3 Xa=70質量部
・硬化性樹脂(B) : 硬化性樹脂B−2 Xb=30質量部
・塩基性化合物(C): KBM603 Xc=3.0質量部
・可塑剤(D) : PW−150(出光興産社製/水酸基非含有パラフィン系プロセスオイル) d=50質量部
【0068】
比較例においては、実施例における可塑剤(D)を本願の効果を奏しない化合物に置き換えたものを検証する。なお、以下では便宜上、可塑剤(D′)と記載する。
[比較例である硬化性樹脂組成物の調製]
硬化性樹脂(A)をYa質量部、硬化性樹脂(B)をYb質量部、可塑剤(D′)をYd質量部、ディスパロン#6500(楠本化成社製、タレ防止剤)2.5質量部、サノールLS770(三共ライフテック社製、ヒンダードアミン系老化防止剤)1.0質量部、チヌビン326(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、ベンゾトリアゾール系老化防止剤)1.0質量部、白艶華CCR−B(白石工業社製、表面処理炭酸カルシウム)110質量部、NS400(日東粉化工業社製、重質炭酸カルシウム)65質量部をプラネタリーミキサーに投入し、減圧下にて100℃で2時間加熱脱水しながら混練し、室温まで冷却した後これに、シェルゾールTK(シェルケミカルズジャパン社製、イソパラフィン系希釈剤)5.0質量部、KBM1003(信越化学工業社製、ビニルトリメトキシシラン)3.0質量部、KBM403(信越化学工業社製、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)1.0質量部、塩基性化合物(C)をYc質量部を添加し、減圧下にて15分間混練して、硬化性樹脂組成物を得た。硬化性樹脂組成物は、速やかに密栓容器に充填しタックフリータイムの測定を行った(詳しい測定法や養生条件は後述する)。
【0069】
以下の比較例では、上記の硬化性樹脂(A)とその配合量Ya質量部、硬化性樹脂(B)とその配合量Yb質量部、塩基性化合物(C)とその添加量Yc質量部、可塑剤(D′)とその配合量Yd質量部のみを記載する。
(比較例1)
・硬化性樹脂(A) : 硬化性樹脂A−1 Ya=30質量部
・硬化性樹脂(B) : 硬化性樹脂B−1 Yb=70質量部
・塩基性化合物(C): KBM903 Yc=5.0質量部
・可塑剤(D′) : アクトコールP−21(三井武田ケミカル社製/平均分子量2,000/ポリプロピレングリコール) Yd=50質量部
【0070】
(比較例2)
・硬化性樹脂(A) : 硬化性樹脂A−1 Ya=50質量部
・硬化性樹脂(B) : 硬化性樹脂B−1 Yb=50質量部
・塩基性化合物(C): KBM903 Yc=5.0質量部
・可塑剤(D′) : アクトコールP−21 Yd=50質量部
【0071】
(比較例3)
・硬化性樹脂(A) : 硬化性樹脂A−1 Ya=70質量部
・硬化性樹脂(B) : 硬化性樹脂B−1 Yb=30質量部
・塩基性化合物(C): KBM903 Yc=5.0質量部
・可塑剤(D′) : アクトコールP−21 Yd=50質量部
【0072】
(比較例4)
・硬化性樹脂(A) : 硬化性樹脂A−1 Ya=70質量部
・硬化性樹脂(B) : 硬化性樹脂B−1 Yb=30質量部
・塩基性化合物(C): KBM903 Yc=3.0質量部
・可塑剤(D′) : アクトコールP−21 Yd=50質量部
【0073】
(比較例5)
・硬化性樹脂(A) : 硬化性樹脂A−1 Ya=70質量部
・硬化性樹脂(B) : 硬化性樹脂B−1 Yb=30質量部
・塩基性化合物(C): KBM602 Yc=3.0質量部
・可塑剤(D′) : アクトコールP−21 Yd=50質量部
【0074】
(比較例6)
・硬化性樹脂(A) : 硬化性樹脂A−2 Ya=70質量部
・硬化性樹脂(B) : 硬化性樹脂B−2 Yb=30質量部
・塩基性化合物(C): KBM903 Yc=3.0質量部
・可塑剤(D′) : アクトコールP−21 Yd=50質量部
【0075】
(比較例7)
・硬化性樹脂(A) : 硬化性樹脂A−2 Ya=70質量部
・硬化性樹脂(B) : 硬化性樹脂B−1 Yb=30質量部
・塩基性化合物(C): DBU Yc=3.0質量部
・可塑剤(D′) : アクトコールP−21 Yd=50質量部
【0076】
(比較例8)
・硬化性樹脂(A) : 硬化性樹脂A−3 Ya=70質量部
・硬化性樹脂(B) : 硬化性樹脂B−2 Yb=30質量部
・塩基性化合物(C): KBM603 Yc=3.0質量部
・可塑剤(D′) : アルフォンUH−2032(東亞合成社製/平均分子量2,000/水酸基価110mgKOH/gである水酸基含有アクリル樹脂) Yd=50質量部
【0077】
[タックフリータイム(初期)の測定]
上記実施例1〜13、比較例1〜8で得られた硬化性樹脂組成物を密栓容器に充填し23℃で12時間調温した後、密栓容器から硬化性樹脂組成物を取り出し約3mmの厚みに薄くのばし、23℃50%RH条件下で、表面を指触したときに、該硬化性樹脂組成物が指に付着しなくなるまでの時間(タックフリータイム)を測定した。タックフリータイムが短い方が、硬化性が高いことを表す。
【0078】
[タックフリータイム(50℃2週間)の測定]
上記実施例1〜13、比較例1〜8で得られた硬化性樹脂組成物を密栓容器に充填し50℃で2週間養生した。その後23℃で12時間調温し、密栓容器から硬化性樹脂組成物を取り出し約3mmの厚みに薄くのばし、23℃50%RH条件下で、表面を指触したときに、該硬化性樹脂組成物が指に付着しなくなるまでの時間(タックフリータイム)を測定した。
【0079】
【表1】

【0080】
【表2】

【0081】
実施例1〜13と比較例1〜8の結果から、
1)分子内に上記一般式(1)で表されるジアルコキシシリル基を有する硬化性樹脂(A)、
2)分子内に上記一般式(2)で表されるジアルコキシシリル基を有する硬化性樹脂(B)、
3)塩基性化合物(C)及び、
4)分子中に水酸基を含有しない可塑剤(D)を含有する硬化性樹脂組成物である実施例1〜13は、有機スズ触媒を実質的に含有せず(1000ppm以下)環境負荷の低減が可能であるとともに、安全性を確保しつつ安定した硬化速度を示した。
【0082】
具体的には、比較例1〜8で分子内に1個以上の水酸基を含有する化合物を用いた硬化性樹脂組成物では、50℃、2週間貯蔵後のタックフリータイムが初期のそれと比べて2倍以上遅れてしまうのに対し、水酸基を含有しない可塑剤(D)を含有する硬化性樹脂組成物では、タックフリータイム(硬化速度)が初期及び50℃、2週間貯蔵後で安定しており良好な結果を示した。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明に係る硬化性樹脂組成物は、環境負荷の低減が可能であるとともに、安全性を確保しつつ安定した硬化速度を有する硬化性材組成物として好適に用いることができることから、例えば、1液形の接着剤、シーリング材、粘着剤、塗料、コーティング材、目止め材、注型材、被覆材等として用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)分子内に下記一般式(1)で表されるジアルコキシシリル基を有する硬化性樹脂(A)の100質量部に対して、
2)分子内に下記一般式(2)で表されるジアルコキシシリル基を有する硬化性樹脂(B)を5〜400質量部、
硬化性樹脂(A)と硬化性樹脂(B)の総和100質量部に対して、
3)塩基性化合物(C)を0.1〜30質量部、
4)分子中に水酸基を含有しない沸点が200℃以上の可塑剤(D)を10〜500重量部、
を含有させてなる硬化性樹脂組成物。
−X−SiR(OR ・・・式(1)
(但し、Xは炭素数2以上の炭化水素を、Rは炭素数1〜20個のアルキル基を、Rは炭素数1〜3個のアルキル基をそれぞれ示す。)
−W−CH−SiR(OR ・・・式(2)
(但し、Wは−O−CO−NH−、−N(R)−CO−NH−、−S−CO−NH−から選択される基を表し、Rは炭素数1〜20個のアルキル基を、Rは炭素数1〜3個のアルキル基を、Rは水素、ハロゲン置換されていてもよい環状、線状又は分枝鎖状の炭素数1〜18のアルキルもしくはアルケニル基又は炭素数6〜18個のアリール基をそれぞれ示す。)
【請求項2】
可塑剤(D)がフタル酸エステル系化合物、アルキルスルホン酸エステル系化合物、水酸基を封鎖したポリオキシアルキレン化樹脂、水酸基を含有しないアクリル樹脂、アジピン酸エステル系化合物、炭化水素系化合物から選択された1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
硬化性樹脂(A)の主鎖が本質的にポリオキシアルキレン及び/又はポリ(メタ)アクリル酸エステルであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
硬化性樹脂(B)の主鎖が本質的にポリオキシアルキレン及び/又はポリ(メタ)アクリル酸エステルであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
塩基性化合物(C)がアミン化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
塩基性化合物(C)がその分子内にアミノ基と下記一般式(3)で表される加水分解性シリル基を有する化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
−SiR3−n ・・・式(3)
(但し、Yは加水分解性基を、Rは炭素数1〜20個のアルキル基を、nは0、1又は2を、それぞれ示す。)
【請求項7】
有機スズ系触媒が実質的に含まれない、または1000ppm未満であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
さらに、充填剤、老化防止剤を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。

【公開番号】特開2010−215826(P2010−215826A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65623(P2009−65623)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000105648)コニシ株式会社 (217)
【Fターム(参考)】