説明

1,5−ジヒドロ−ピラゾロ[3,4−D]ピリミジン−4−オン誘導体及びCNS障害の治療のためのPDE9Aモジュレーターとしてのそれらの使用

【課題】新規置換ピラゾロピリミジンを提供する。
【解決手段】
これらの化合物は一般式(I):
【化1】


(I)
により特徴づけられる。式中、R はフェニル又はピリジルであり、これらのいずれかが1〜4個、好ましくは1〜3個の置換基Xで置換されており、Xは互いに独立にC-C-アルキル又はC-C-アルコキシから選ばれ、この場合、C-C-アルキル及びC-C-アルコキシが過ハロゲン化まで少なくともジハロゲン化されており、好ましくは2〜6個のハロゲン置換基でハロゲン化されており、ハロゲン原子はフルオロ、クロロ及びブロモ、好ましくはフルオロの群から選ばれ、R はフェニル又はヘテロアリールであり、この場合、フェニルは1〜3個の基により置換され、またヘテロアリールは必要により1〜3個の基により置換されていてもよく、夫々の場合に前記基は互いに独立にC-C-アルキル、C-C-アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、C-C-アルキルアミノ、ハロゲン、C-C10-アリールカルボニルアミノ、C-C-アルキルカルボニルアミノ、C-C-アルキルアミノカルボニル、C-C-アルコキシカルボニル、C-C10-アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C-C-アルキルスルホニルアミノ、C-C-アルキルスルホニル及びC-C-アルキルチオの群から選ばれる。新規化合物は薬物、特にこれらを要する患者の認知、集中、学習及び/又は記憶を改善するための薬物の製造に使用されるべきである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規置換ピラゾロピリミジンに関する。新規化合物は薬物、特に認知、集中、学習及び/又は記憶の改善を要する患者においてこれらを改善するため、例えば、アルツハイマー病の予防及び治療のための薬物の製造に使用されるべきである。
化学上、これらの化合物はアリール又はヘテロアリール部分(これらは更に二三置換されていてもよい)に少なくとも1個のアルキル又はアルコキシ残基を有する6-アリール-又はヘテロアリールメチル置換ピラゾロピリミジン(更に特別な6-ベンジル又はピリジル-メチル-ピラゾロピリミジノン)として特徴づけられる。本発明の更なる局面はこれらの化合物の製造方法及び薬物を製造するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ホスホジエステラーゼ9A(PDE9A)の抑制はアルツハイマー病のようなCNS障害のための認知障害の治療についての新しい入手経路を見つけるための現在の概念の一つである。本発明により、この概念に従う新規化合物が提供される。
ホスホジエステラーゼ9Aはホスホジエステラーゼの広いファミリーの一員である。これらの種の酵素は環状ヌクレオチド5'-3'環状アデノシンモノホスフェート(cAMP)及び5'-3'環状グアノシンモノホスフェート(cGMP)のレベルを調節する。これらの環状ヌクレオチド(cAMP及びcGMP)は重要な第二メッセンジャーであり、それ故、細胞シグナル伝達カスケードにおいて中心的な役割を果たす。それらの夫々がとりわけ(しかし専らではなく)タンパク質キナーゼを再活性化する。cAMPにより活性化されたタンパク質キナーゼはタンパク質キナーゼA(PKA)と称され、またcGMPにより活性化されたタンパク質キナーゼはタンパク質キナーゼG(PKG)と称される。活性化されたPKA及びPKGは順に幾つかの細胞エフェクタータンパク質(例えば、イオンチャンネル、Gタンパク質結合受容体、構造タンパク質、転写因子)をリン酸化することができる。第二メッセンジャーcAMP及びcGMPが多種の器官中で多種の生理プロセスを調節することがこの方法で可能である。しかしながら、環状ヌクレオチドはまたエフェクター分子に直接作用することができる。こうして、例えば、cGMPはイオンチャンネルに直接作用することができ、こうして細胞イオン濃度に影響することができることが知られている (Weiら, Prog. Neurobiol., 1998, 56, 37-64中の総説)。ホスホジエステラーゼ(PDE)はcAMP及びcGMPの活性を調節するためひいては順にこれらの生理プロセスのための調節メカニズムである。PDEは環状モノホスフェートを不活性モノホスフェートAMP及びGMPに加水分解する。現在、11のPDEファミリーが相当する遺伝子の配列相同性に基づいて同定されていた。ファミリー内の個々のPDE遺伝子が文字により区別される(例えば、PDE1A及びPDE1B)。遺伝子内の異なるスプライス変異体がまた生じる場合、これがその後に文字の後の追加のナンバリングにより示される(例えば、PDE1A1)。
【0003】
ヒトPDE9Aは1998年にクローン化され、配列決定された。その他のPDEとのアミノ酸同一性は34%を超えず(PDE8A)、また決して28%未満ではない(PDE5A)。170nMのMichaelis-Menten 定数により、PDE9AはcGMPについての高いアフィニティーを有する。加えて、PDE9AはcGMPについて選択的である (cAMPについてのKm=230 [mu]M)。PDE9AはcGMP結合ドメインを持たず、その酵素活性がcGMPにより調節されないことを示唆する。PDE9Aはヒトとりわけ睾丸、脳、小腸、骨格筋、心臓、肺、胸腺及び脾臓中で発現されることがウェスタンブロット分析で示されていた。最高の発現が脳、小腸、腎臓、前立腺、結腸、及び脾臓中で見られた (Fisherら, J. Biol. Chem., 1998, 273 (25), 15559-15564; Wangら, Gene, 2003, 314, 15-27)。ヒトPDE9Aの遺伝子は染色体21q22.3に配置され、21エキソンを含む。現在まで、PDE9Aの4種の選択的スプライス変異体が同定されていた (Guipponiら, Hum. Genet., 1998, 103, 386-392)。古典的PDEインヒビターはヒトPDE9Aを抑制しない。こうして、IBMX、ジピリダモール、SKF94120、ロリプラム及びビンポセチンは100 [mu]Mまでの濃度で分離された酵素についての抑制を示さない。35 [mu]M のIC50がザプリナストについて実証されていた(Fisherら, J. Biol. Chem., 1998, 273 (25), 15559-15564)。
【0004】
マウスPDE9Aは1998年にSoderling ら (J. Biol. Chem., 1998, 273 (19), 15553-15558)によりクローン化され、配列決定された。これは、ヒト形態のように、70nMのKmでcGMPについての高いアフィニティーを有する。特に高い発現がマウスの腎臓、脳、肺及び肝臓中に見られた。マウスPDE9Aは200 [mu]M 以下の濃度のIBMXにより抑制されず、ザプリナストについてのIC50は29 [mu]M である(Soderlingら, J. Biol. Chem., 1998, 273 (19), 15553-15558)。PDE9Aはラットの脳の或る領域で強く発現されることがわかった。これらとして、嗅球、海馬、皮質、基底核及び基底前脳が挙げられる (Andreevaら, J. Neurosci., 2001, 21 (22), 9068-9076)。特に海馬、皮質及び基底前脳が学習プロセス及び記憶プロセスに重要な役割を果たす。
既に上記されたように、PDE9AはcGMPについての特に高いアフィニティーを有することにより区別される。それ故、PDE9AはPDE2A (Km=10 [mu]M; Martinsら, J. Biol. Chem., 1982, 257, 1973-1979)、PDE5A (Km=4 [mu]M; Francisら, J. Biol. Chem., 1980, 255, 620-626)、PDE6A (Km=17 [mu]M; Gillespie 及びBeavo, J. Biol. Chem., 1988, 263 (17), 8133-8141) 及びPDE11A (Km=0.52 [mu]M; Fawcettら, Proc. Nat. Acad. Sci., 2000, 97 (7), 3702-3707)とは対照的に、低い生理学的濃度でさえも活性である。PDE2A (Murashimaら, Biochemistry, 1990, 29, 5285-5292)とは対照的に、PDE9Aの触媒活性はcGMPにより増大されない。何とならば、それはGAFドメイン(PDE活性がアロステリック的に増大されるcGMP結合ドメイン)を有しないからである (Beavoら, Current Opinion in Cell Biology, 2000, 12, 174-179)。それ故、PDE9Aインヒビターは基準cGMP濃度の増大をもたらし得る。
WO 98/40384 はPDE1インヒビター、PDE2インヒビター及びPDE5インヒビターであり、心血管障害及び脳血管障害並びに尿生殖器系の障害の治療に使用し得るピラゾロピリミジンを開示している。
CH 396 924、CH 396 925、CH 396 926、CH 396 927、DE 1 147 234、DE 1 149 013、GB 937,726 は冠状動脈拡張効果を有し、かつ心筋血流の乱れの治療に使用し得るピラゾロピリミジンを記載している。
米国特許第3,732,225 号は抗炎症作用及び血液グルコース低下作用を有するピラゾロピリミジンを記載している。
DE 2 408 906 は、例えば、浮腫の治療のための抗菌薬及び抗炎症薬として使用し得るスチリルピラゾロピリミジンを記載している。
WO04099210 はハロゲンにより幾つか置換されているアリール部分に少なくとも1個のアルキル残基又はアルコキシ残基を有することを欠いている新規6-アリールメチル置換ピラゾロピリミジンを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の局面は、特に疾患(これらの治療はPDE9A調節により得られる)に鑑みて、薬物の開発の目的のためにPDE9Aを有効に調節する化合物を提供することである。
本発明の別の局面はCNS障害の治療のための薬物の製造に有益である化合物を提供することである。
本発明の一実施態様の局面は良好な安全性プロフィールを示す化合物を提供することである。
それ故、本発明の別の目的はPDE9Aを選択的様式で抑制する化合物を提供することであることが理解されるであろう。
更に別の目的は治療のためだけでなく、相当する疾患の予防又は軽減のためのこのような薬物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の化合物は一般式Iにより特徴づけられる。
【0007】
【化1】

(I)
【0008】
式中、
R1: 好ましいから最も好ましいまで高くなる、優先の順序のR1についての下記の置換選択肢R1.i が定義され、
R1.1: R1 はフェニル又はピリジル、好ましくはフェニルであり、これらのいずれかがXから独立に選ばれた1〜4個、好ましくは1〜3個の置換基で置換されており、かつ
フェニル又はピリジルの夫々が更に互いに独立にC1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-C6-アルキルアミノ、ハロゲン、C6-C10-アリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルコキシカルボニル、C6-C10-アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルチオの群から選ばれた3個までの基により置換されていてもよいという選択肢があり、
その場合、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-アルキルアミノ、C6-C10-アリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルコキシカルボニル、C6-C10-アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル及びC1-C6-アルキルチオの夫々が必要により互いに独立にヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシカルボニル及び式-NR3R4の基の群から選ばれた1〜3個の基により置換されていてもよく、
X(1個より多いXの場合には互いに独立に)はC2-C6-アルキル又はC1-C6-アルコキシであり、これらの夫々が過ハロゲン化まで少なくともジハロゲン化されており、ハロゲン原子はフルオロ、クロロ及びブロモ、好ましくはフルオロの群から選ばれる。フェニル又はピリジルへの結合に対してベータ位を構成する少なくともそのC原子が少なくとも1回又は更に好ましくは少なくとも2回ハロゲン化されている置換パターンが好ましい。そのベータ位はC1-C6-アルコキシの場合にはO原子の隣りの位置であり、C2-C6-アルキルの場合にはそのC原子はフェニル又はピリジルに結合されているC原子の隣りの位置である。本発明の夫々の実施態様について、Xは先に定義されたように置換されたC1-アルキル-O又はC2-アルキルであることが好ましい。
少なくとも1個のXがフェニル環、ピリジル環の夫々のC原子(それによりR1 はR1 を式Iのピラゾロピリミジン基と結合するメチレン基に結合されている)に対しオルト位にあることが好ましい。
【0009】
R1.2: R1 はフェニル又はピリジル、好ましくはフェニルであり、これらのいずれかが独立にXから選ばれた1〜4個、好ましくは1〜3個の置換基で置換されており、この場合、Xはフルオロ、クロロ及びブロモ、好ましくはフルオロ置換基の群から選ばれた、少なくとも2個、好ましくは2〜6個のハロゲン原子により置換されており、かつ
フェニル又はピリジルの夫々が更に互いに独立にC1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、ハロゲン、C6-C10-アリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C6-C10-アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルチオの群から選ばれた3個までの基により置換されていてもよいという選択肢があり、
この場合、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、C6-C10-アリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C6-C10-アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル及びC1-C6-アルキルチオの夫々が必要により互いに独立にヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、及び式-NR3R4の基の群から選ばれた1〜3個の基により置換されていてもよく、
【0010】
X(1個より多いXの場合には互いに独立に)はC2-C6-アルキル又はC1-C6-アルコキシであり、これらの夫々が過ハロゲン化まで少なくともジハロゲン化されており、ハロゲン原子はフルオロ、クロロ及びブロモ、好ましくはフルオロの群から選ばれる。フェニル又はピリジルへの結合に対してベータ位を構成する少なくともそのC原子が少なくとも1回又は更に好ましくは少なくとも2回ハロゲン化されている置換パターンが好ましい。そのベータ位はC1-C6-アルコキシの場合にはO原子の隣りの位置であり、C2-C6-アルキルの場合にはそのC原子はフェニル又はピリジルに結合されているC原子の隣りの位置である。本発明の夫々の実施態様について、Xは先に定義されたように置換されたC1-アルキル-O又はC2-アルキルであることが好ましい。
少なくとも1個のXがフェニル環又はピリジル環の夫々のC原子(それによりR1 はR1を式Iのピラゾロピリミジン基と結合するメチレン基に結合されている)に対しオルト位にあることが好ましい。
R1.3: R1 はフェニル又はピリジル、好ましくはフェニルであり、これらのいずれかが独立にXから選ばれた1〜4個、好ましくは1〜3個の置換基で置換されており、この場合、Xはフルオロ、クロロ及びブロモ、好ましくはフルオロ置換基の群から選ばれた、少なくとも2個、好ましくは2〜6個のハロゲン原子により置換されており、かつ
フェニル又はピリジルの夫々が更に互いに独立にC1-C6-アルキル、トリフルオロメチル、ハロゲンの群から選ばれた3個までの基により置換されていてもよいという選択肢があり、
X(1個より多いXの場合には互いに独立に)はC2-C6-アルキル又はC1-C6-アルコキシであり、これらの夫々が過ハロゲン化まで少なくともジハロゲン化されており、ハロゲン原子はフルオロ、クロロ及びブロモ、好ましくはフルオロの群から選ばれる。フェニル又はピリジルへの結合に対してベータ位を構成する少なくともそのC原子が少なくとも1回又は更に好ましくは少なくとも2回ハロゲン化されている置換パターンが好ましい。そのベータ位はC1-C6-アルコキシの場合にはO原子の隣りの位置であり、C2-C6-アルキルの場合にはそのC原子はフェニル又はピリジルに結合されているC原子の隣りの位置である。本発明の夫々の実施態様について、Xは先に定義されたように置換されたC1-アルキル-O又はC2-アルキルであることが好ましい。
少なくとも1個のXがフェニル環又はピリジル環の夫々のC原子(それによりR1 はR1を式Iのピラゾロピリミジン基と結合するメチレン基に結合されている)に対しオルト位にあることが好ましい。
【0011】
本発明の別の実施態様において、R1はR1.i.a であり、iは先に定義されたとおりであり(即ち、R1.i = R1.1, R1.2, R1.3について)、
R1.1.a: R1 はR1.1であり、XがC2-C6-アルキル、更に好ましくはC2-アルキルであり、少なくとも2個のハロゲン原子(フルオロ、クロロ及びブロモ、好ましくはフルオロの群から選ばれる)により置換されている。Xとフェニル又はピリジルの間の結合に対しベータ位は少なくとも2回置換されており、ベータ位という用語はR1.1の下の同じ文脈について定義されたとおりであり、
R1.2.a : R1 はR1.2であり、XがC2-C6-アルキル、更に好ましくはC2-アルキルであり、少なくとも2個のハロゲンにより置換されており、フルオロ、クロロ及びブロモ、好ましくはフルオロの群から選ばれる。Xとフェニル又はピリジルの間の結合に対しベータ位は少なくとも2回置換されていることが好ましい。
【0012】
R1.3.a: R1 はR1.3であり、XはC2-C6-アルキル、更に好ましくはC2-アルキルであり、少なくとも2個のハロゲン原子により置換されており、フルオロ、クロロ及びブロモ、好ましくはフルオロの群から選ばれる。Xとフェニル又はピリジルの間の結合に対しベータ位は少なくとも2回置換されていることが好ましい。
実施態様R1.1.a、R1.2.a、R1.3.a のいずれかにおいて、少なくとも一つのXがフェニル環又はピリジル環の夫々のC原子(それによりR1 はR1を式Iのピラゾロピリミジン基と結合するメチレン基に結合されている)に対しオルト位にあることが好ましい。
本発明の別の実施態様において、R1はR1.i.b であり、iは先に定義されたとおりであり(即ち、R1.i = R1.1, R1.2, R1.3について)、
R1.1.b: R1 はR1.1であり、XがC1-C6-アルコキシ、更に好ましくはC1-アルコキシであり、少なくとも2個のハロゲン原子により置換されており、フルオロ、クロロ及びブロモ、好ましくはフルオロの群から選ばれる。Xとフェニル又はピリジルの間の結合に対しベータ位は少なくとも2回置換されていることが好ましい。
R1.2.b: R1 はR1.2であり、XがC1-C6-アルコキシ、更に好ましくはC1-アルコキシであり、少なくとも2個のハロゲン原子により置換されており、フルオロ、クロロ及びブロモ、好ましくはフルオロの群から選ばれる。Xとフェニル又はピリジルの間の結合に対しベータ位は少なくとも2回置換されていることが好ましい。
【0013】
R1.3.b: R1 はR1.3であり、XがC1-C6-アルコキシ、更に好ましくはC1-アルコキシであり、少なくとも2個のハロゲン原子により置換されており、フルオロ、クロロ及びブロモ、好ましくはフルオロの群から選ばれる。Xとフェニル又はピリジルの間の結合に対しベータ位は少なくとも2回置換されていることが好ましい。
R1.4.b: R1 はフェニル又はピリジル、好ましくはフェニルであり、これらのいずれかがフルオロ、クロロ及びブロモ、好ましくはフルオロ置換基の群から選ばれた、少なくとも2個、好ましくは2〜6個のハロゲン原子により置換された、C1-C6-アルコキシである1〜3個のXで置換されており、それによりO原子の隣りの位置における少なくとも2回のハロゲン化が好ましく、
加えてフェニル又はピリジルの夫々が互いに独立にC1-C6-アルキル、トリフルオロメチル、ハロゲンの群から選ばれた3個までの基により置換されていてもよいという選択肢がある。
R1.5.b:R1 は2-トリフルオロメトキシフェン-1-イルである。
実施態様R1.1.b、R1.2.b、R1.3.b、R1.4.b のいずれかにおいて、少なくとも1個のXがフェニル環、ピリジル環の夫々のC原子(それによりR1 はR1を式Iのピラゾロピリミジン基と結合するメチレン基に結合されている)に対しオルト位にあることが好ましい。
全ての置換パターンR1.1、R1.2、R1.3、R1.1.a、R1.2.a、R1.3.a、R1.1.b、R1.2.b、R1.3.b、R1.4.bについて、夫々C2-C6-アルキル又はC1-C6-アルコキシである1〜3個の必須の置換基Xにおける好ましい置換パターンは、適切である時にはいつでも、少なくとも2個、更に好ましくは3個のフルオロ置換基であることが好ましい。これらのハロゲン置換基に好ましい位置はC2-C6-アルキル残基のアルファ位もしくはベータ位、更に好ましくは少なくともベータ位又はC1-C6-アルコキシ残基のベータ位、更に好ましくはベータ位のみである。XがC1-C6-アルコキシである時にはいつでも、トリフルオロメトキシが好ましい。XがC2-C6-アルキルである時にはいつでも、2,2,2-トリフルオレス-1-イルもしくは1,2,2,2-テトラフルオレス-1-イル又は1,1,2,2,2-ペンタフルオレス-1-イルが好ましく、2,2,2-トリフルオレス-1-イルが更に好ましい。
【0014】
R1.1、R1.2、R1.3、R1.1.b、R1.2.b、R1.3.b、R1.4.bによる実施態様について、最も好ましいXはトリフルオロメトキシである1個の置換基である。
R1.1.a、R1.2.a、R1.3.aによる実施態様について、最も好ましいXは2,2,2-トリフルオレス-1-イルもしくは1,2,2,2-テトラフルオレス-1-イル又は1,1,2,2,2-ペンタフルオレス-1-イル、2,2,2-トリフルオレス-1-イルである1個の置換基である。
R1 (R1.1、R1.2、R1.3、R1.1.a、R1.2.a、R1.3.a、R1.1.b、R1.2.b、R1.3.b 、R1.4.b)についての全ての選択肢において、先に概説された置換パターンでは、フェニルがピリジルよりも好ましい。
R1.1、R1.2、R1.3、R1.1.a、R1.2.a、R1.3.a、R1.1.b、R1.2.b、R1.3.b 、R1.4.b により特定されたR1 についての全ての選択肢において、少なくとも1個のXがフェニル環又はピリジル環の夫々のC原子(それによりR1 はR1を式Iのピラゾロピリミジン基と結合するメチレン基に結合されている)に対しオルト位にあることが好ましい。実施態様R1.5.b について、Xがフェニルのオルト位のトリフルオロメチルである。R1.1、R1.2、R1.3、R1.1.a、R1.2.a、R1.3.a、R1.1.b、R1.2.b、R1.3.b、R1.4.b により特定されたR1 についての実施態様の定義に概説されたように、Xが1回、2回、3回又は4回存在し得る。好ましくは、Xが1回、2回又は3回、更に好ましくは1又は2回、更に好ましくは1回存在する。
R1.1、R1.2、R1.3により特定されたR1 についての全ての選択肢において、XがC1-C6-アルコキシであることはXがC2-C6-アルキルであることよりも好ましい。それ故、選択肢R1.i.b のいずれもがR1.i.aのいずれの選択肢よりも好ましい。
【0015】
好ましいから最も好ましいまで高まる、優先の順序のR2についての下記の置換選択肢R2.jが定義される。
R2.1 R2 はフェニル又はヘテロアリールであり、この場合、フェニルは1〜3個の基により置換され、またヘテロアリールは必要により1〜3個の基により置換されていてもよく、夫々の場合に前記基は互いに独立にC1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-C6-アルキルアミノ、ハロゲン、C6-C10-アリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルコキシカルボニル、C6-C10-アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル及びC1-C6-アルキルチオの群から選ばれ、
この場合、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-アルキルアミノ、C6-C10-アリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルコキシカルボニル、C6-C10-アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル及びC1-C6-アルキルチオの夫々が必要により互いに独立にヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシカルボニル及び式-NR3R4の基の群から選ばれた1〜3個の基により置換されていてもよく、
R2.2 R2 はフェニル又はヘテロアリールであり、この場合、フェニルは1〜3個の基により置換されており、またヘテロアリールは必要により1〜3個の基により置換されていてもよく、夫々の場合に前記基は互いに独立にC1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-C6-アルキルアミノ、ハロゲン、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル及びC1-C6-アルキルチオの群から選ばれ、
この場合、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-アルキルアミノ、C6-C10-アリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル及びC1-C6-アルキルチオの夫々は必要により互いに独立にヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、及び式NR3R4の基から選ばれた1〜3個の基により置換されていてもよい。
別の実施態様R2.2.a において、R2はヒドロキシカルボニルを含まない以外はR2.2について定義されたとおりである。
【0016】
R2.3 R2 はフェニル又はピリジル、好ましくはフェニル又は3-ピリジルであり、この場合、フェニルは1〜3個の基により置換されており、またピリジルは必要により1〜3個の基により置換されていてもよく、夫々の場合に前記基が互いに独立にC1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、トリフルオロメチル、ハロゲン及びC1-C6-アルキルチオの群から選ばれ、
この場合、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ及びC1-C6-アルキルチオは必要により1〜3個のハロゲン基により置換されていてもよい。
R2.1、R2.2、R2.3による全ての置換パターンについて、フェニル及びヘテロアリールにおける好ましい置換パターンは1個又は2個の基である。ヘテロアリールは必要により1個又は2個の基を有してもよいピリジル (2-, 3-, 4-ピリジル) である。
R2.1, R2.2, R2.3による全ての置換パターンについて、好ましいヘテロアリールはピリジル、更に好ましくは3-ピリジルである。
R3: R3 は下記の置換選択肢R3.1を有する。
R3.1 R3 は水素又はC1-C6-アルキルである。
R4: R4 は下記の置換選択肢R4.1を有する。
R4.1 R4 は水素又はC1-C6-アルキルであり、又は
R3 及びR4 はそれらが結合されている窒素原子と一緒になって以下のように定義される(この種の定義についての略号= R3+4、詳しくはR3+4.1):
R3+4.1: R3 及びR4 はそれらが結合されている窒素原子と一緒になって5員〜8員複素環である。
R1.i 及びR2.j の夫々における文字又は指数i、jの夫々は1、2、3、等を表す指数である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の特別な実施態様が下記のマトリックス I、マトリックス II及びマトリックス IIIの夫々の要素により表される。本発明はマトリックス I、マトリックス II及びマトリックス IIIの夫々の実施態様、更に好ましくはマトリックス II及びマトリックス III の夫々の実施態様、更に好ましくはマトリックス IIIの夫々の実施態様を含む。夫々のマトリックスについての実施態様の好ましさは最初の行から最後の行へと高まる。これはマトリックスIII、最後の列 (即ち、(R1.5.b R2.3)) により表される実施態様が最も好ましい実施態様であることを意味する。
夫々のマトリックスは二つの列により表され、一つが本発明の実施態様についての番号を提示し、その他の一つが前記実施態様を記載する。
【0018】
【表1】

【0019】
これらの実施態様のいずれかにおいて、R2.2はR2.2.aにより置換されてもよい。
マトリックスI、II又はIII のいずれかによる夫々の実施態様(即ち、I-1, I-2, I-3, I-4, I-5, I-6, I-7, I-8, I-9, I-10, I-11, I-12, I-13, I-14, I-15, I-16, I-17, II-1, II-2, II-3, II-4, II-5, II-6, II-7, II-8, II-9, II-10, II-11, II-12, II-13, II-14, II-15, II-16, II-17, III-1, III-2, III-3, III-4, III-5, III-6, III-7, III-8, III-9, III-10, III-11, III-12, III-13, III-14, III-15, III-16, III-17, III-18, III-19, III-20, III-21, III-22, III-23, III-24, III-25, III-26, III-27) について、先に概説された夫々の置換基についての定義及び好ましさは以下のような非限定特徴で例示されて、適用すべきである。
・R1についての夫々の置換パターンについて、1〜3個の必須の置換基X (=夫々C2-C6-アルキル又はC1-C6-アルコキシ、その他適切であれば何でも) におけるハロゲン置換基の好ましい数は2〜6である。更に好ましくはその数が少なくとも2個、更に好ましくは3個のフルオロ置換基である。これらのハロゲン置換基に好ましい位置はC2-C6-アルキル残基のアルファ位もしくは更に好ましくはベータ位又はC1-C6-アルコキシ残基のベータ位である(特にそれはR1.1, R1.2, R1.3, R1.1.a, R1.2.a, R1.3.a, R1.1.b, R1.2.b, R1.3.b, R1.4.bついて言及される)。XがC1-C6-アルコキシである場合にはいつでも、トリフルオロメトキシが好ましい。XがC2-C6-アルキルである場合にはいつでも、2,2,2-トリフルオレス-1-イルもしくは1,2,2,2-テトラフルオレス-1-イル又は1,1,2,2,2-ペンタフルオレス-1-イルが好ましく、2,2,2-トリフルオレス-1-イルが更に好ましい。R1.1、R1.2、R1.3、R1.1.b、R1.2.b、R1.3.b、R1.4.b よる実施態様について、最も好ましいXはトリフルオロメトキシである1個の置換基である。R1.1.a、R1.2.a、R1.3.aによる実施態様について、最も好ましいXは2,2,2-トリフルオレス-1-イルもしくは1,2,2,2-テトラフルオレス-1-イル又は1,1,2,2,2-ペンタフルオレス-1-イル、2,2,2-トリフルオレス-1-イルである1個の置換基である。
【0020】
・最も好ましいXは1個のトリフルオロメトキシ置換基、例えば、R1.5.bについて概説されたものである。
・R1 についての夫々の選択肢(即ち、R1.1, R1.2, R1.3, R1.1.a, R1.2.a, R1.3.a, R1.1.b, R1.2.b, R1.3.b, R1.4.b) において、少なくとも1個のXはフェニル環、ピリジル環の夫々のC原子(それによりR1 はR1 を式Iのピラゾロピリミジン基と結合するメチレン基に結合されている)に対しオルト位にある(例えば、R1.5.b)。
・R1 の夫々の選択肢(即ち、R1.1, R1.2, R1.3, R1.1.a, R1.2.a, R1.3.a, R1.1.b, R1.2.b, R1.3.b, R1.4.b)において、フェニルが先に概説された置換パターン(例えば、R1.5.b)により、ピリジルよりも好ましい。
・R2.1、R2.2、R2.3 の夫々について、フェニル及びヘテロアリールにおける好ましい置換パターンは1個又は2個の基である。ヘテロアリールはピリジルであることが好ましい。
本発明の目的のために、置換基は、特に明記されない限り、下記の意味を有する。
C1-C 6-アルコキシは1〜6個、好ましくは1〜4個、特に好ましくは1〜3個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルコキシ基である。好ましい例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ及びn-ヘキソキシが挙げられる。
C1-C 6-アルコキシカルボニル: C1-6-アルコキシはC1-6-アルコキシについて定義されたとおりである。
C1-C 6-アルキルは1〜6個、好ましくは1〜4個、特に好ましくは1〜3個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基である。好ましい例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、n-ペンチル及びn-ヘキシルが挙げられる。
C1-C6-アルキルアミノは直鎖又は分岐モノ又はジアルキルアミノ基であり、その中の1個以上のアルキル基は1〜6個、好ましくは1〜4個、特に好ましくは1〜3個の炭素原子を有する。好ましい例として、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、tert-ブチルアミノ、n-ペンチルアミノ及びn-ヘキシルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ-n-プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジ-t-ブチルアミノ、ジ-n-ペンチルアミノ、ジ-n-ヘキシルアミノ、エチルメチルアミノ、イソプロピルメチルアミノ、n-ブチルエチルアミノ及びn-ヘキシル-i-ペンチルアミノが挙げられる。本発明の状況において、この用語が使用される夫々の時について、この置換基はモノ-アルキルアミノ (= C1-6-アルキル-NH-) 及び/又はジアルキルアミノ (= N-C1-6-アルキル-N (C1-6-アルキル)'-アミノ-)であってもよいことが理解されるべきである。そのジアルキル異形において、2個のアルキル基は同じもの又は異なるものであってもよい。
【0021】
C1-C 6-アルキルアミノカルボニルはカルボニル基を介して結合されたモノ-又はジアルキルアミノ基であり、その場合、そのジアルキル異形において、アルキル基は同じであってもよく、また異なっていてもよい。1個以上のアルキル基は直鎖又は分岐であってもよく、夫々が1〜6個、好ましくは1〜4個、特に好ましくは1〜3個の炭素原子を含む。本発明の状況において、この用語が使用される夫々の時について、この置換基はモノ-アルキルアミノカルボニル (= C1-6-アルキル-NH-CO-) 及び/又はジアルキルアミノカルボニル (= N-C1-6-アルキル-N-(C1-6-アルキル)'-N-CO-)であってもよいことが理解されるべきである。そのジアルキル異形において、2個のアルキル基は同じもの又は異なるものであってもよい。好ましい例として、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n-プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、tert-ブチルアミノカルボニル、n-ペンチルアミノカルボニル、n-ヘキシルアミノカルボニル、ジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、ジ-n-プロピルアミノカルボニル、ジイソプロピルアミノカルボニル、ジ-t-ブチルアミノ-カルボニル、ジ-n-ペンチルアミノカルボニル、ジ-n-ヘキシルアミノカルボニル、エチルメチルアミノカルボニル、イソプロピルメチルアミノカルボニル、n-ブチルエチルアミノカルボニル及びn-ヘキシル-i-ペンチルアミノカルボニルが挙げられる。ジアルキルアミノカルボニル基の場合の更なる可能性は2個のアルキル基がその窒素原子(それにそれらが結合されている)と一緒になって5〜8員複素環を形成することである。シクロヘキシルに関して、それは前記用語の定義に言及されている。この状況における好ましい複素環はモルホリニル及びピペリジニル、更に好ましくはモルホリニルである。
【0022】
C1-C6-アルキルカルボニルアミノはアミノ基を介して結合されたアルキルカルボニル基であり、この場合、そのアルキル基は直鎖又は分岐であってもよく、1〜6個、好ましくは1〜4個、特に好ましくは1〜3個の炭素原子を含む。好ましい例として、メチルカルボニルアミノ、エチルカルボニルアミノ、n-プロピルカルボニルアミノ、イソプロピルカルボニルアミノ、tert-ブチルカルボニルアミノ、n-ペンチルカルボニルアミノ及びn-ヘキシルカルボニルアミノが挙げられる。
C1-C6-アルキルスルホニル: そのC1-C6-アルキルという用語はフェニル又はピリジルにスルホニル(SO2) 基を介して結合された直鎖又は分岐アルキル基を表す。そのC1-C6-アルキルは1〜6個、好ましくは1〜4個、特に好ましくは1〜3個の炭素原子を有する。好ましい例として、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n-プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、tert-ブチルスルホニル、n-ペンチルスルホニル及びn-ヘキシルスルホニルが挙げられる。
C1-C6-アルキルスルホニルアミノはフェニル又はピリジルにアミノ基を介して結合されたC1-C6-アルキルスルホニルである。C1-C6-アルキルスルホニルについて、相当する定義を参照のこと。好ましい例として、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ、n-プロピルスルホニルアミノ、イソプロピル-スルホニルアミノ、tert-ブチルスルホニルアミノ、n-ペンチルスルホニルアミノ及びn-ヘキシルスルホニルアミノが挙げられる。
【0023】
C1-C 6-アルキルチオ: そのC1-C6-アルキルという用語はフェニル又はピリジルに硫黄(-S-) 基を介して結合された直鎖又は分岐アルキル基を表す。そのC1-C6-アルキル基は1〜6個、好ましくは1〜4個、特に好ましくは1〜3個の炭素原子を有する。好ましい例として、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、tert-ブチルチオ、n-ペンチルチオ及びn-ヘキシルチオが挙げられる。
C6-C10-アリールアミノカルボニルはカルボニル基を介して結合されたアリールアミノ基である。好ましい例として、フェニルアミノカルボニル及びナフチルアミノカルボニルが挙げられる。
C6-C10-アリールカルボニルアミノはアミノ基を介して結合されたアリールカルボニル基である。好ましい例として、フェニルカルボニルアミノ及びナフチルカルボニルアミノが挙げられる。
ハロゲンはフッ素、塩素、臭素及びヨウ素である。フッ素、塩素、臭素が好ましく、フッ素及び塩素が特に好ましい。
ヘテロアリールは5〜10個の環原子及び系列S、O及び/又はNからの5個までのヘテロ原子を有する芳香族、単環式又は二環式基である。4個までのヘテロ原子を有する5〜6員ヘテロアリールが好ましい。ヘテロアリール基は炭素原子又は窒素原子を介して結合されてもよい。好ましい例として、チエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル及びイソキノリニルが挙げられる。
6員ヘテロアリールは6個の環原子及び2個までの窒素原子を有する芳香族基である。ヘテロアリール基は炭素原子を介して結合される。好ましい例として、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル及びピラジニルが挙げられる。
【0024】
ヘテロアリールアミノカルボニルはカルボニル基を介して結合されたヘテロアリールアミノ基である。ヘテロアリールについて、相当する定義を参照のこと。好ましい例として、チエニルアミノカルボニル、フリルアミノカルボニル、ピロリルアミノカルボニル、チアゾリルアミノカルボニル、オキサゾリルアミノカルボニル、イミダゾリルアミノカルボニル、テトラゾリルアミノカルボニル、ピリジルアミノカルボニル、ピリミジニルアミノカルボニル、ピリダジニルアミノカルボニル、インドリルアミノカルボニル、インダゾリルアミノカルボニル、ベンゾフラニルアミノカルボニル、ベンゾチオフェニルアミノカルボニル、キノリニルアミノカルボニル及びイソキノリニルアミノカルボニルが挙げられる。
ヘテロアリールカルボニルアミノはアミノ基を介して結合されたヘテロアリールカルボニル基である。ヘテロアリールについて、相当する定義を参照のこと。好ましい例として、チエニルカルボニルアミノ、フリルカルボニルアミノ、ピロリルカルボニルアミノ、チアゾリルカルボニルアミノ、オキサゾリルカルボニルアミノ、イミダゾリルカルボニルアミノ、テトラゾリルカルボニルアミノ、ピリジルカルボニルアミノ、ピリミジジニルカルボニルアミノ、ピリダジニルカルボニルアミノ、インドリルカルボニルアミノ、インダゾリルカルボニルアミノ、ベンゾフラニルカルボニルアミノ、ベンゾチオフェニルカルボニルアミノ、キノリニルカルボニルアミノ及びイソキノリニルカルボニルアミノが挙げられる。
5〜8員複素環は5〜8個の環原子及び3個まで、好ましくは2個の、系列N、O、S、SO、SO2からのヘテロ原子又はヘテロ基を有する単環式又は多環式複素環基である。単環式又は二環式複素環が好ましい。単環式複素環が特に好ましい。N及びOがヘテロ原子として好ましい。複素環基は飽和又は部分不飽和であってもよい。飽和複素環基が好ましい。5〜7員複素環基が特に好ましい。好ましい例として、オキセタン-3-イル、ピロリジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピラニル、ピペリジニル、チオピラニル、モルホリニル、ペルヒドロアゼピニルが挙げられる。モルホリニルが更に好ましい。
【0025】
本発明の化合物中の基が必要により置換されていてもよい場合、特に明記されない限り、3個までの同じ又は異なる置換基による置換が好ましい。
“化合物”という用語は科学化学界により理解されているような化学的意味で理解される。
本発明の化合物の実施態様の幾つかは一つ以上の互変異性体形態又は一つ以上の立体異性体形態(鏡像体、ジアステレオマー、ラセミ体、これらの混合物等)(これらは、例えば、置換パターンに依存して存在し得る)で現れるかもしれないことが当業者に明らかであろう。立体化学的に純粋な成分は鏡像体及び/又はジアステレオマーのこのような混合物から既知の様式で単離し得る。
本発明の化合物の幾つかの実施態様はまた生理学上許される塩に変換されてもよい。
“医薬上許される”という語句は、理にかなった医療判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又はその他の問題もしくは病気がなく、ヒト及び動物の組織と接触しての使用に適し、妥当な利益/リスク比とよくつり合っている、これらの化合物、物質、組成物、及び/又は投薬形態を表すために本明細書中に使用される。
本発明の化合物のこのような生理学上許される塩として、鉱酸、カルボン酸及びスルホン酸との塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸及び安息香酸との塩(例えば、酸付加塩の形態の)が挙げられる。
本発明のこのような実施態様の生理学上許される塩はまた通常の塩基との塩、例えば、例としてかつ好ましくは、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩及びカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩及びマグネシウム塩)及びアンモニア、1〜16個のC原子を有する有機アミン、例えば、例としてかつ好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N-メチル-モルホリン、デヒドロアビエチルアミン、アルギニン、リシン、エチレンジアミン及びメチルピペリジンとの塩を含んでもよい。
本発明の化合物の幾つかの実施態様は溶媒和物を生成してもよい。本発明の目的のために、“溶媒和”という用語は、固体又は液状で、溶媒分子と錯体を生成する化合物のこれらの形態を表す。水和物は配位が水と起こる溶媒和物の特別な形態である。典型的には、溶媒和物はホスト分子(化合物分子)と溶媒分子の結晶性錯体である。溶媒の分子はホスト格子にとり込まれる。溶媒分子は配位によりホスト分子に結合されてもよいが、結合されることが必要とされなくてもよい。溶媒和物はまた本発明の化合物の塩形態により生成されてもよい。最も重要な医薬上許される溶媒和物として、水和物又はエタノールとの溶媒和物が挙げられる。
一つ以上の同じ薬作用発生団の基を共有し、こうして生物均等の薬理学的効果を与える本発明の化合物の誘導体が本発明の前記化合物の下位概念の形態と考えられるかもしれない。
本発明の化合物はWO04099210 (特に9頁、14頁8行までの最後の段落:参考として含まれる)の大要に従ってつくられてもよい。特別な操作がその実験部分から採用し得る。
本発明の特別かつ独立の実施態様EAは一般式Iを特徴とする化合物及び/又はこれらの医薬上許される塩及び/又はこれらの溶媒和物に関する。
【0026】
【化2】

(I)
【0027】
式中、
R1 はフェニル又はピリジルであり、これらのいずれかが1〜4個、好ましくは1〜3個の置換基Xで置換されており、かつ
フェニル又はピリジルの夫々が更に互いに独立にC1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-C6-アルキルアミノ、ハロゲン、C6-C10-アリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルコキシカルボニル、C6-C10-アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルチオの群から選ばれた3個までの基により置換されていてもよいという選択肢があり、
この場合、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-アルキルアミノ、C6-C10-アリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルコキシカルボニル、C6-C10-アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル及びC1-C6-アルキルチオの夫々が必要により互いに独立にヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシカルボニル及び式-NR3R4の基の群から選ばれた1〜3個の基により置換されていてもよく、
【0028】
Xは互いに独立にC2-C6-アルキル又はC1-C6-アルコキシから選ばれ、この場合、C2-C6-アルキル及びC1-C6-アルコキシは過ハロゲン化まで少なくともジハロゲン化されており、ハロゲン原子はフルオロ、クロロ及びブロモ、好ましくはフルオロの群から選ばれ、それによりフェニル又はピリジルへの結合に対してベータ位を構成する少なくともそのC原子が少なくとも1回又は更に好ましくは少なくとも2回ハロゲン化されており、
R2 はフェニル又はヘテロアリールであり、この場合、フェニルは1〜3個の基により置換されており、またヘテロアリールは必要により1〜3個の基により置換されていてもよく、夫々の場合に上記基が互いに独立にC1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-C6-アルキルアミノ、ハロゲン、C6-C10-アリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルコキシカルボニル、C6-C10-アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル及びC1-C6-アルキルチオの群から選ばれ、
この場合、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-アルキルアミノ、C6-C10-アリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルコキシカルボニル、C6-C10-アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル及びC1-C6-アルキルチオの夫々が必要により互いに独立にヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシカルボニル及び式-NR3R4の基の群から選ばれた1〜3個の基により置換されていてもよく、
R3は水素又はC1-C6-アルキルであり、かつ
R4は水素もしくはC1-C6-アルキルであり、又は
R3 及びR4 はそれらが結合されている窒素原子と一緒になって5〜8員複素環である。
更に、本発明の特別かつ独立の実施態様EBは一般式Iを特徴とする化合物及び/又はこれらの医薬上許される塩及び/又はこれらの溶媒和物に関する。
【0029】
【化3】

(I)
【0030】
式中、
R1はフェニル又はピリジルであり、これらのいずれかが1〜3個の置換基Xで置換されており、かつ
フェニル又はピリジルの夫々が更に互いに独立にC1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、ハロゲン、C6-C10-アリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C6-C10-アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルチオの群から選ばれた3個までの基により置換されていてもよいという選択肢があり、
この場合、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、C6-C10-アリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C6-C10-アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル及びC1-C6-アルキルチオの夫々が必要により互いに独立にヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、及び式-NR3R4の基の群から選ばれた1〜3個の基により置換されていてもよく、
Xは互いに独立にC2-C6-アルキル又はC1-C6-アルコキシから選ばれ、この場合、C2-C6-アルキル及びC1-C6-アルコキシは過ハロゲン化まで少なくともジハロゲン化されており、ハロゲン原子はフルオロ、クロロ及びブロモ、好ましくはフルオロの群から選ばれ、それによりフェニル又はピリジルへの結合に対してベータ位を構成する少なくともそのC原子が少なくとも1回又は更に好ましくは少なくとも2回ハロゲン化されており、
R2 はフェニル又はヘテロアリールであり、この場合、フェニルは1〜3個の基により置換されており、またヘテロアリールは必要により1〜3個の基により置換されていてもよく、夫々の場合に上記基が互いに独立にC1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-C6-アルキルアミノ、ハロゲン、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル及びC1-C6-アルキルチオの群から選ばれ、
この場合、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-アルキルアミノ、C6-C10-アリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル及びC1-C6-アルキルチオの夫々が必要により互いに独立にヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、及び式-NR3R4の群から選ばれた1〜3個の基により置換されていてもよく、かつ
残りの特徴が実施態様EAについて特定されたとおりである。
更に、本発明の特別かつ独立の実施態様ECは一般式Iを特徴とする化合物及び/又はその医薬上許される塩及び/又はこれらの溶媒和物に関する。
【0031】
【化4】

(I)
【0032】
式中、
R1はフェニル又はピリジルであり、これらのいずれかが1〜3個の置換基Xで置換されており、かつ
フェニル又はピリジルの夫々が更に互いに独立にC1-C6-アルキル、トリフルオロメチル、ハロゲンの群から選ばれた3個までの基により置換されていてもよいという選択肢があり、
Xは互いに独立にC2-C6-アルキル又はC1-C6-アルコキシから選ばれ、この場合、C2-C6-アルキル及びC1-C6-アルコキシは過ハロゲン化まで少なくともジハロゲン化されており、ハロゲン原子はフルオロ、クロロ及びブロモ、好ましくはフルオロの群から選ばれ、それによりフェニル又はピリジルへの結合に対してベータ位を構成する少なくともそのC原子が少なくとも1回又は更に好ましくは少なくとも2回ハロゲン化されており、
R2 はフェニル又はピリジルであり、この場合、フェニルは1〜3個の基により置換されており、またヘテロアリールは必要により1〜3個の基により置換されていてもよく、夫々の場合に上記基が互いに独立にC1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、トリフルオロメチル、ハロゲン及びC1-C6-アルキルチオの群から選ばれ、
この場合、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ及びC1-C6-アルキルチオの夫々が、必要により1〜3個のハロゲン基により置換されていてもよく、かつ
残りの特徴は実施態様EAについて特定されたとおりである。
更に、本発明の特別かつ独立の実施態様EDは一般式Iを特徴とする化合物及び/又はその医薬上許される塩及び/又はこれらの溶媒和物に関する。
【0033】
【化5】

(I)
【0034】
式中、
R1はフェニル又はピリジルであり、これらのいずれかが1〜3個のXで置換されており、一方、XはC2-C6-アルキル、好ましくはC2-アルキルであり、C2-C6-アルキル及び/又はフェニルもしくはC2-C6-アルキル及び/又はピリジルについての更なる任意の置換パターン並びに残りの特徴は実施態様EA、EB又はECのいずれかに特定されたとおりである。
更に、本発明の特別かつ独立の実施態様EEは一般式Iを特徴とする化合物及び/又はその医薬上許される塩及び/又はこれらの溶媒和物に関する。
【0035】
【化6】

(I)
【0036】
式中、
R1はフェニル又はピリジルであり、これらのいずれかが1〜3個のXで置換されており、一方、XはC1-C6-アルコキシ、好ましくはC1-アルコキシであり、C1-C6-アルコキシ及び/又はフェニルもしくはC1-C6-アルコキシ及び/又はピリジルについての更なる任意の置換パターン並びに残りの特徴は実施態様EA又はEBのいずれかに特定されたとおりである。
更に、本発明の特別かつ独立の実施態様EFは一般式Iを特徴とする化合物及び/又はその医薬上許される塩及び/又はこれらの溶媒和物に関する。
【0037】
【化7】

(I)
【0038】
式中、
R1はフェニル又はピリジルであり、これらのいずれかが1〜3個のXで置換される必要があり、一方、Xはフルオロ、クロロ及びブロモ、好ましくはフルオロ置換基の群から選ばれた、少なくとも2個、好ましくは2〜6個のハロゲンにより置換された、C1-C6-アルコキシであり、それにより好ましくはフェニル又はピリジルへの結合に対しベータ位を構成する少なくともC原子が少なくとも1回又は更に好ましくは少なくとも2回ハロゲン化されており、かつ
フェニル又はピリジルの夫々が更に互いに独立にC1-C6-アルキル、トリフルオロメチル、ハロゲンの群から選ばれた3個までの基により置換されていてもよいという選択肢があり、かつ
残りの特徴が実施態様EA、EB、EC又はEEに特定されたとおりである。
更に、本発明の特別かつ独立の実施態様EGは一般式Iを特徴とする化合物及び/又はその医薬上許される塩及び/又はこれらの溶媒和物に関する。
【0039】
【化8】

(I)
【0040】
式中、
R1 及びR2 は上記実施態様EA、EB、EC、ED、EE又はEFのいずれかについて定義されたとおりであり、R1 について1〜3個の必須の置換基Xにおける置換パターンは少なくとも2個、更に好ましくは3個のフルオロ置換基であり、それにより好ましくはフェニル又はピリジルへの結合に対しベータ位を構成する少なくともC原子が少なくとも1回又は更に好ましくは少なくとも2回ハロゲン化されている。
更に、本発明の特別かつ独立の実施態様EHは一般式Iを特徴とする化合物及び/又はその医薬上許される塩及び/又はこれらの溶媒和物に関する。
【0041】
【化9】

(I)
【0042】
式中、
R1 及びR2 は上記実施態様EA、EB、EC、ED、EE、EF又はEGのいずれかについて定義されたとおりであり、R1 は実施態様1〜5のいずれかに定義されたように置換されたフェニル、好ましくは2-トリフルオロメトキシフェニルである。
本発明の好ましい実施態様は下記の化合物であり、それにより夫々の単一化合物が本発明の特別かつ独立の局面と考えられる。
【0043】
【化10】

【0044】

【0045】

【0046】

【0047】

【0048】

【0049】

【0050】

【0051】
及び/又は適用可能な場合、これらの化合物の夫々の医薬上許される塩及び/又はその溶媒和物。
【0052】
製造
下記のスキームは例として本発明の化合物の製造方法を示す。
【化11】

【0053】
2-エトキシメチレン-マロノニトリルを一置換ヒドラジンと縮合して5-アミノ-1H-ピラゾール-4-カルボニトリルを生成する。その複素環を相当するアミドに変換する。最後に、カルボン酸エステル又はカルボン酸と反応させてピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オンを最終生成物として得る [例えば、A. Miyashitaら, Heterocycles 1990, 31, 1309ffを参照のこと]。
一置換ヒドラジン誘導体はジアゾニウム塩の生成及びその結果として起こる還元又は相当するハライド誘導体についての求核的置換により調製し得る[例えば、I. Hunsbergerら, Journal of Organic Chemistry 1956, 21, 394-399; T. J. Fleckら, Organic Process Research & Development 2006, 10(2), 334-338を参照のこと]。
【0054】
【化12】

【0055】
ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-オンの更なる調製方法が知られており、同様に本発明の化合物を合成するのに使用し得る(例えば、P. Schmidtら, Helvetica Chimica Acta 1962, 189, 1620ff.を参照のこと)。
【0056】
治療の方法
本発明の化合物は予測し得なかった有益な範囲の薬理学的効果を示す。それらは特にPDE9Aの抑制を特徴とする。
特に、本発明の化合物はPDE9A抑制に関する優先(選択性)でもって、PDE9ファミリー又はその他のPDEファミリー内の特別な員を抑制又は変調することに鑑みて良好な選択性プロフィールを示す。
例示するためであるが、限定されることを意図しないで、PDE1Cに対する本発明のPDEPA抑制化合物の選択性が今参考にされるべきである。Binghamら. (Biochem. Biophys. Res. Commun., 2006, 350, 25-32) はヒト組織中のPDE1Cの発現パターンを記載していた。PDE1Cは心臓組織続いて睾丸及び大静脈中で最高の発現を示す。
PDE1Cの生理学的役割と本発明の局面、即ち、PDE9の抑制が有利であると考えられる症状を治療するのに使用でき、又は認知障害、特にアルツハイマー病の治療に採用し得る化合物を見つけることが一緒にされると、安全性に対して重みづけられた効力が本発明の化合物を特徴づけるための特質であることが明らかであると認められるであろう。
また、本発明の化合物は良好な安全性プロフィールを示すと推定されることが認められるであろう。
前記のように、本発明はホスホジエステラーゼ9Aの有効かつ選択的インヒビターと考えられ、かつ薬物の開発に使用し得る化合物に関する。このような薬物はPDE9Aの抑制が患者の利益のために治療効果、予防効果又は疾患軽減効果を伴ない得る疾患の治療に使用されることが好ましい。
化合物の作用の様式とは独立に、活性成分として本発明の化合物を含む薬物は特に状況/疾患/症候群、例えば、軽度の認知障害、年齢に関連する学習障害及び記憶障害、年齢に関連する記憶喪失、血管性痴呆、頭蓋と大脳の外傷、卒中、卒中後に生じる痴呆(卒中後痴呆)、外傷後の痴呆、一般の集中障害、学習及び記憶の問題のある幼児における集中障害、アルツハイマー病、レービー体痴呆、ピック症候群を含む、前頭葉の変性による痴呆、パーキンソン病、進行性核麻痺、皮質基底変性による痴呆、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、多発性硬化症、視床変性、クロイツフェルト・ヤコブ痴呆、HIV痴呆、痴呆による精神分裂症又はコルサコフ病で生じるもののような、知覚、集中、認知、学習又は記憶を治療、予防又は改善するのに使用されることが好ましい。
本発明の別の局面は不眠症又はナルコレプシーのような睡眠障害、双極性障害、代謝症候群、肥満、真性糖尿病(型1又は型2糖尿病を含む)、高血糖、脂質異常症(dyslipidemia)、グルコーストレランス障害、又は睾丸、脳、小腸、骨格筋、心臓、肺、胸腺もしくは脾臓の疾患又はPDE9A変調により影響を受けやすい別の疾患の治療に関する。
好ましい症状(その経過が本発明の化合物の使用により患者の利益に影響し得る)はアルツハイマー病である。
本発明の化合物の使用は本明細書に概説された症状の治療、改善及び/又は予防のため、好ましくはこれらの治療のため、更に好ましくは症候の治療のためであることが好ましい。
【0057】
医薬組成物
投与のための薬物は治療有効量の式(I)の化合物を含む。“治療有効量”は、薬物が患者の症状に適した適当な養生法により適用される場合に、式(I)の前記化合物の量が相当する疾患を有効に治療し、予防し、もしくはその進行を減速し、又はさもなければこのような疾患を患っている患者の状態を回復するのに充分であることを意味する。それは単一療法における“治療有効量”が別の薬物との組み合わせ療法における“治療有効量”とは異なる場合であるかもしれない。
1日当り適用可能な一般式(I)の化合物の用量範囲は通常0.1mgから5000mgまで、好ましくは0.1mgから1000mgまで、好ましくは2mgから500mgまで、更に好ましくは5mgから250mgまで、最も好ましくは10mgから100mgまでである。投薬単位(例えば、錠剤)は好ましくは本発明の化合物2〜250mg、特に好ましくは10〜100mgを含む。
実際の医薬有効量又は治療用量は、勿論、当業者により知られている因子、例えば、年齢、体重、性別又は患者のその他の状態、投与の経路、疾患の重度等に依存するであろう。
本発明の化合物は経口経路、非経口(静脈内、筋肉内等)経路、鼻内経路、舌下経路、吸入経路、髄腔内経路、局所経路又は直腸経路により投与されてもよい。式(I)の化合物を投与するのに適した製剤として、例えば、パッチ、錠剤、カプセル、ピル、ペレット、糖剤、粉末、トローチ、座薬、液体製剤、例えば、溶液、懸濁液、エマルション、ドロップ、シロップ、エリキシル剤、又はガス製剤、例えば、エアロゾル、スプレー等が挙げられる。一種以上の医薬活性化合物の含量は全体としての組成物の0.05質量%から90質量%まで、好ましくは0.1質量%から50質量%までの範囲であるべきである。好適な錠剤は、例えば、一種以上の活性物質を既知の賦形剤、例えば、不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はラクトース、崩壊剤、例えば、トウモロコシ澱粉又はアルギン酸、バインダー、例えば、澱粉又はゼラチン、滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム又はタルク及び/又は放出を遅延するための薬剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、又はポリ酢酸ビニルと混合することにより得られてもよい。錠剤はまた幾つかの層を含んでもよい。
【0058】
被覆錠剤は、それ故、錠剤と同様に製造されたコアーを錠剤被覆物に通常使用される物質、例えば、コリドン又はセラック、アラビアゴム、タルク、二酸化チタン又は糖で被覆することにより調製されてもよい。遅延放出を得、又は不適合性を防止するために、コアーはまた幾つかの層からなってもよい。同様に、錠剤被覆物は、おそらく錠剤について上記された賦形剤を使用して、遅延放出を得るために幾つかの層からなってもよい。
本発明の活性物質又はこれらの組み合わせを含むシロップ又はエリキシル剤は更に甘味料、例えば、サッカリン、シクラメート、グリセロール又は糖及び風味増強剤、例えば、風味料、例えば、バニリン又はオレンジエキスを含んでもよい。それらはまた懸濁アジュバント又は増粘剤、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、湿潤剤、例えば、脂肪アルコールとエチレンオキサイドの縮合生成物、又はp-ヒドロキシベンゾエートの如き防腐剤を含んでもよい。
溶液は通常の方法で、例えば、必要により乳化剤及び/又は分散剤を使用して、等張剤、防腐剤、例えば、p-ヒドロキシベンゾエート又は安定剤、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸のアルカリ金属塩の添加により調製され、水が、例えば、希釈剤として使用される場合には、有機溶媒が必要により可溶化剤又は溶解助剤として使用されてもよく、溶液が注射バイアルもしくはアンプル又は注入びんに移されてもよい。
【0059】
一種以上の活性物質又は活性物質の組み合わせを含むカプセルは、例えば、活性物質を不活性担体、例えば、ラクトース又はソルビトールと混合し、それらをゼラチンカプセルに詰めることにより調製されてもよい。
好適な座薬は、例えば、この目的のために用意された担体、例えば、中性脂肪もしくはポリエチレングリコール又はこれらの誘導体と混合することによりつくられてもよい。
使用し得る賦形剤として、例えば、水、医薬上許される有機溶媒、例えば、パラフィン(例えば、石油留分)、植物油(例えば、落花生油又はゴマ油)、一官能性又は多官能性アルコール(例えば、エタノール又はグリセロール)、担体、例えば、天然鉱物粉末(例えば、カオリン、クレー、タルク、チョーク)、合成鉱物粉末(例えば、高度に分散されたケイ酸及びケイ酸塩)、糖(例えば、蔗糖、ラクトース及びグルコース)、乳化剤(例えば、リグニン、使用済み亜硫酸塩液、メチルセルロース、澱粉及びポリビニルピロリドン)及び滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸及びラウリル硫酸ナトリウム)が挙げられる。
経口使用のために、錠剤は明らかに、明記された担体に加えて、種々の付加的な物質、例えば、澱粉、好ましくはジャガイモ澱粉、ゼラチン等と一緒に添加剤、例えば、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びリン酸二カルシウムを含んでもよい。滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクがまた錠剤を製造するのに使用されてもよい。水性懸濁液の場合、活性物質が上記賦形剤に加えて種々の風味増強剤又は着色剤と合わされてもよい。
本発明の化合物の用量は当然に投与の方法及び治療されている病気に高度に依存する。吸入により投与される場合、式(I)の化合物はマイクログラム範囲の用量でさえも高い効力を特徴とする。式(I)の化合物はまたマイクログラム範囲より上で有効に使用し得る。その時には、その用量は、例えば、グラム範囲であってもよい。
【0060】
その他の活性物質との組み合わせ
別の局面において、本発明は上記医薬製剤そのもの(それらが式Iの化合物を含むことを特徴とする)に関する。
本発明の更なる局面は式(I)の少なくとも一種の化合物と、例えば、ベータ-セクレターゼインヒビター;ガンマ-セクレターゼインヒビター;アミロイド凝集インヒビター、例えば、アルツヘメド;直接又は間接に作用する神経保護物質及び/又は疾患軽減物質;抗酸化剤、例えば、ビタミンE又はギンコリド;抗炎症物質、例えば、Coxインヒビター、Aβ低下特性を付加的に、又は専ら有するNSAID;HMG-CoA還元酵素インヒビター(スタチン類);アセチルコリンエステラーゼインヒビター、例えば、ドネペジル、リバスチグミン、タクリン、ガランタミン;NMDA受容体アンタゴニスト、例えば、メマンチン;AMPA受容体アゴニスト;AMPA受容体ポジチブモジュレーター、AMPkine類、モノアミン受容体再摂取インヒビター、集中又は神経伝達物質の放出を変調する物質;成長ホルモンの分泌を誘発する物質、例えば、イブタモレンメシレート及びカプロモレリン;CB-1受容体アンタゴニスト又は逆アゴニスト;抗生物質、例えば、ミノサイクリン又はリファムピシン;PDE2、PDE4、PDE5、PDE10インヒビター、GABAA受容体逆アゴニスト、GABAA受容体アンタゴニスト、ニコチン受容体アゴニストもしくは部分アゴニスト又はポジチブモジュレーター、アルファ4ベータ2ニコチン受容体アゴニストもしくは部分アゴニスト又はポジチブモジュレーター、アルファ7ニコチン受容体アゴニストもしくは部分アゴニスト又はポジチブモジュレーター;ヒスタミンH3アンタゴニスト、5HT-4アゴニスト又は部分アゴニスト、5HT-6アンタゴニスト、アルファ2-アドレナリン受容体アンタゴニスト、カルシウムアンタゴニスト、ムスカリン受容体M1アゴニストもしくは部分アゴニスト又はポジチブモジュレーター、ムスカリン受容体M2アンタゴニスト、ムスカリン受容体M4アンタゴニスト、代謝調節型グルタメート-受容体5ポジチブモジュレーター、並びに本発明の化合物の効力及び/又は安全性が増大され、かつ/又は望ましくない副作用が軽減されるような様式で受容体又は酵素を変調するその他の物質の群から選ばれた別の化合物との組み合わせに関する。
【0061】
更に、本発明は必要により一種以上の不活性担体及び/又は希釈剤と一緒に、一種以上、好ましくは一種の活性物質(これは本発明の化合物及び/又は相当する塩から選ばれる)だけでなく、アルツヘメド、ビタミンE、ギンコリド、ドネペジル、リバスチグミン、タクリン、ガランタミン、メマンチン、イブタモレンメシレート、カプロモレリン、ミノサイクリン及び/又はリファムピシンの中から選ばれた一種以上、好ましくは一種の活性物質を含む医薬組成物に関する。
本発明の化合物はまた上記疾患及び症状の治療のための免疫療法、例えば、Aベータもしくはその部分による活性免疫化又はヒト化抗Aベータ抗体もしくはナノボディによる受動免疫化と組み合わせて使用されてもよい。
本発明の組み合わせは一つかつ同じ投薬形態、即ち、組み合わせ製剤の形態で同時に提供されてもよく、例えば、2種の成分が一つの錠剤、例えば、前記錠剤の異なる層に混入されてもよい。その組み合わせはまた自由な組み合わせの形態で、別々に提供されてもよく、即ち、本発明の化合物が一つの投薬形態で提供され、一種以上の上記組み合わせパートナーが別の投薬形態で提供される。これらの二つの投薬形態は等しい投薬形態、例えば、一つが治療有効量の本発明の化合物を含み、そして一つが治療有効量の上記組み合わせパートナーを含む、二つの錠剤の同時投与であってもよい。また、所望により、異なる投与形態を組み合わせることが可能である。好適な投与形態のあらゆる型が提供されてもよい。
別の活性物質と組み合わせての、本発明の化合物、又はその生理学上許される塩は同時又はずらされた時点で、しかし特に一緒に近くの時点で使用されてもよい。同時に投与される場合、2種の活性物質が患者に一緒に与えられ、ずらされた時点で投与される場合、2種の活性物質が12時間以下、特に6時間以下の期間内に成功裏に患者に与えられる。
【0062】
用量又は投与形態は制限されず、本発明の枠内であらゆる好適な投薬形態が使用されてもよい。例示として、投薬形態が固体製剤、例えば、パッチ、錠剤、カプセル、ピル、ペレット、糖剤、粉末、トローチ、座薬、液体製剤、例えば、溶液、懸濁液、エマルション、ドロップ、シロップ、エリキシル剤、又はガス製剤、例えば、エアロゾル、スプレー等から選ばれてもよい。
投薬形態は有利には投薬単位中で製剤化され、夫々の投薬単位が存在する夫々の活性成分の単一用量を供給するのに適している。投薬経路及び投薬形態に応じて、成分がそれに従って選ばれる。
上記組み合わせパートナーについての用量は適当には通常推奨される最低用量の1/5から通常推奨される用量の1/1までである。
投薬形態は患者に毎日1回、2回、3回、又は4回投与される。本発明の化合物は毎日3回以下、更に好ましくは1回又は2回投与されることが好ましい。
このパラグラフに従って、本発明の一つの特別な局面は、特に本明細書に記載された、疾患の治療のための薬物の調製のための、好ましくはベータ-セクレターゼインヒビター;ガンマ-セクレターゼインヒビター;アミロイド凝集インヒビター;直接又は間接に作用する神経保護物質及び/又は疾患軽減物質;抗酸化剤;抗炎症物質;HMG-CoA還元酵素インヒビター、スタチン類;アセチルコリンエステラーゼインヒビター;NMDA受容体アンタゴニスト;AMPA受容体アゴニスト;AMPA受容体ポジチブモジュレーター、AMPkine類、モノアミン受容体再摂取インヒビター、集中又は神経伝達物質の放出を変調する物質;成長ホルモンの分泌を変調する物質;CB-1受容体アンタゴニスト又は逆アゴニスト;抗生物質;PDE2、PDE4、PDE5、PDE10インヒビター、GABAA受容体逆アゴニスト、GABAA受容体アンタゴニスト、ニコチン受容体アゴニストもしくは部分アゴニスト又はポジチブモジュレーター、アルファ4ベータ2ニコチン受容体アゴニストもしくは部分アゴニスト又はポジチブモジュレーター、アルファ7ニコチン受容体アゴニストもしくは部分アゴニスト又はポジチブモジュレーター;ヒスタミンH3アンタゴニスト、5HT-4アゴニスト又は部分アゴニスト、5HT-6アンタゴニスト、アルファ2-アドレナリン受容体アンタゴニスト、カルシウムアンタゴニスト、ムスカリン受容体M1アゴニストもしくは部分アゴニスト又はポジチブモジュレーター、ムスカリン受容体M2アンタゴニスト、ムスカリン受容体M4アンタゴニスト、代謝調節型グルタメート-受容体5ポジチブモジュレーター、及び/又は本発明の化合物の効力及び/又は安全性が増大され、かつ/又は望ましくない副作用が軽減されるような様式で受容体又は酵素を変調するその他の物質から選ばれた、別の治療有効化合物と組み合わせての、特にマトリックスI、IIもしくはIIIの上記実施態様のいずれか、又は実施態様EA、EB、EC、ED、EF、EG、EHのいずれか或いは個々に明記された化合物に鑑みて、本発明の化合物からなる薬物又はその化合物の使用である。
【実施例】
【0063】
医薬組成物
医薬組成物の以下の実施例は本発明を説明し、その範囲を限定しない。
今、製剤の幾つかの実施例が記載され、その中で“活性物質”という用語は本発明の一種以上の化合物(これらの塩を含む)を表す。一種以上のその他の活性物質との上記組み合わせの一つの場合、“活性物質”という用語はまた付加的な活性物質を含む。
【0064】
実施例 A
活性物質100mgを含む錠剤
組成:
1個の錠剤は下記の成分を含む。
活性物質 100.0 mg
ラクトース 80.0 mg
トウモロコシ澱粉 34.0 mg
ポリビニルピロリドン 4.0 mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0 mg
220.0 mg
【0065】
実施例 B
活性物質150mgを含む錠剤
組成:
1個の錠剤は下記の成分を含む。
活性物質 150.0 mg
粉末ラクトース 89.0 mg
トウモロコシ澱粉 40.0 mg
コロイドシリカ 10.0 mg
ポリビニルピロリドン 10.0 mg
ステアリン酸マグネシウム 1.0 mg
300.0 mg
【0066】
実施例 C
活性物質150mgを含む硬質ゼラチンカプセル
1個のカプセルは下記の成分を含む。
活性物質 150.0 mg
トウモロコシ澱粉 (乾燥) 約80.0 mg
ラクトース (粉末) 約87.0 mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0 mg
約320.0 mg
カプセルシェル: サイズ1硬質ゼラチンカプセル
【0067】
実施例 D
活性物質150mgを含む座薬
1個の座薬は下記の成分を含む。
活性物質 150.0 mg
ポリエチレングリコール1500 550.0 mg
ポリエチレングリコール6000 460.0 mg
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート 840.0 mg
2,000.0 mg
【0068】
実施例E
活性物質10mgを含むアンプル
組成:
活性物質 10.0 mg
0.01 N塩酸 適量
2回蒸留水 2.0 ml添加
【0069】
実施例F
活性物質50mgを含むアンプル
組成:
活性物質 50.0 mg
0.01 N塩酸 適量
2回蒸留水 10.0 ml添加
上記製剤のいずれかの調製は標準操作に従ってなし得る。
【0070】
生物学的アッセイ
本発明の化合物のin vitro効果を下記の生物学的アッセイにより示し得る。
【0071】
PDEアッセイプロトコル:
PDE酵素活性アッセイを一般に製造業者のプロトコル(Amersham Biosciences, 製品番号: TRKQ 7100)に従ってSPAとして実施した。酵素源として、関係するヒトPDEを発現するSF9細胞の溶解産物(プロテアーゼインヒビターを補給された1%トリトンX-100を含むPBS、13.000 rpmで30分間にわたる遠心分離により除去された細胞デブリ)を使用した。そのアッセイに含まれる全タンパク質量は感染及びSF9細胞の生成効力により変化し、0.1-100ngの範囲にあった。
一般に、アッセイ条件は以下のとおりであった。
・全アッセイ容積: 40 μl
・タンパク質量: 0.1 - 50 ng
・物質濃度(cGMP又はcAMP): 20 nM; 約1 mCi/l
・インキュベーション時間: 室温で60分間
・最終DMSO濃度: 1%
アッセイを384-ウェルフォーマットで実施した。試験試薬だけでなく、酵素及び基質をアッセイ緩衝液中で希釈した。アッセイ緩衝液は50 mM Tris、8.3 mM MgCl2、1.7 mM EGTA、0.1 % BSA、0.05 % Tween 20を含んでいた。アッセイ緩衝液のpHを7.5に調節した。PDE1Cの活性を分析した場合、50 nMカルモジュリン及び3 mM CaCl2 がアッセイ緩衝液中に含まれていた。PDE9活性を分析した場合、PDE9特異性インヒビター (例えば、WO2004/099210記載の化合物)を適用することによりその反応を停止した。PDE1Cを基質としてのcAMPで分析し、PDE9を基質としてのcGMPで分析した。
【0072】
阻害% の計算:
陽性対照(マイナス陰性対照=バックグラウンド)の活性を100%に定め、試験化合物の存在下の活性をこれらの100%に対して表す。
このセッティング内で、100%より上の抑制がアッセイ内の陽性対照の変化の性質のために可能であり得るが、この場合には報告された阻害%を100%に調節した。
IC50の計算:
陽性対照を100として、また陰性対照を0として定めて、IC50を最終的にGraphPadPrism又はその他の適したソフトウェアの助けにより、通常の方法で計算することができる。IC50の計算のために、試験化合物(基質)の通常8種の希釈液を上記プロトコルに従って選択し、試験すべきである。
本発明の化合物の薬理学的性質を説明するために、以下にこれらの幾つかの例示かつ代表的な例を示すが、これらは限定であると考えられるべきではない。
【0073】
【表2】



【0074】
*例示目的のため
本発明の化合物のin vivo 効果をPrickaerts らの操作(Neuroscience, 2002, 113, 351-361)による新規対象認識試験で試験し得る。
【0075】
化学製造
略号:
DIPEA ジ-イソプロピル-エチルアミン
DMSO ジメチルスルホキシド
ESI 電子噴霧イオン化(MS中)
h 時間
HPLC 高性能液体クロマトグラフィー
HPLC-MS 対にされた高性能液体クロマトグラフィー-質量分析法
MPLC 中間圧力液体クロマトグラフィー
min 分
MS 質量分析法
psi ポンド/平方インチ
Rf 保持係数
RT 保持時間(HPLCにおける)
TBTU 2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム-テトラフルオロボレート
TFA トリフルオロ酢酸
TLC 薄層クロマトグラフィー
【0076】
LC-MS 方法:
方法 1
MS 装置型式: ウォーターズ・ミクロマス ZQ; HPLC 装置型式: ウォーターズ・アライアンス 2695, ウォーターズ 2996 ダイオードアレイ検出器; カラム: バリアン・ミクロソーブ 100 C18, 30 x 4.6 mm, 3.0 μm; 溶離剤 A: 水 + 0.13% TFA, 溶離剤 B: アセトニトリル; 勾配: 0.0 分 5% B → 0.18 分 5% B → 2.0 分 98% B → 2.2 分 98% B → 2.3 分 5% B → 2.5 分 5% B; 流量: 3.5 ml/分; UV 検出: 210-380 nm.
方法 2
MS 装置型式: ウォーターズ・ミクロマス ZQ; HPLC 装置型式: ウォーターズ・アライアンス 2695, ウォーターズ 2996 ダイオードアレイ検出器; カラム: メルク・クロモリス・パーフォーマンスRP18e, 100 x 1 mm; 溶離剤 A: 水 + 0.13% TFA, 溶離剤 B: アセトニトリル; 勾配: 0.0 分 5% B → 0.2 分 5% B → 1.6 分 98% B → 1.9 分 98% B → 2.0 分 5% B → 2.2 分 5% B; 流量: 3.5 ml/分; UV 検出: 210-380 nm.
方法 3
装置: LC/MS サーモフィニガンHplc サーベイアーDAD, LCQduoイオントラップ; カラム: サンリスMS-C18, 5 um, 4.6x100 mm; 溶離剤 A : 95%水 + 5% アセトニトリル + 20mM ギ酸アンモニウム; 溶離剤 B: 95% アセトニトリル +5%水 + 20mM ギ酸アンモニウム; 勾配:1分にわたってA/B(95:5) 、次いで7分で1.5分にわたってA/B (5:95) に; 流量: 0.85 ml/分; UV 検出: 254nm; イオン源: ESI
【0077】
方法グラッド_C8_酸性
装置: LC/MS ウォーターズ. Hplc アライアンス 2695 DAD, ZQ 四極子; カラム: Xterra MS-C8, 3.5um, 4.6x50 mm; 溶離剤 A: 水 + 0.1% TFA + 10% アセトニトリル; 溶離剤 B: アセトニトリル; 勾配: A/B (80:20)、次いで3.25分で0.75分にわたってA/B (10:90) に; 流量: 1.3 ml/分; UV 検出: 254nm; イオン源: ESI
方法グラッド_C8_NH4COOH
装置: LC/MS ウォーターズ. Hplc アライアンス 2695 DAD, ZQ 四極子.カラム: Xterra MS-C8, 3.5 um, 4.6x50 mm; 溶離剤 A : 水 + ギ酸アンモニウム 5mM + 10% アセトニトリル; 溶離剤 B : アセトニトリル; 勾配: A 100、次いで3.25分で0.75分にわたってA/B (10:90)に; 流量: 1.3 ml/分 ; UV 検出: 254nm; イオン源: ESI
方法グラッド_C18_酸性
装置: LC/MS ウォーターズ. Hplc アライアンス 2695 DAD, ZQ 四極子; カラム: サンファイアーMS-C18, 3.5um, 4.6x50 mm; 溶離剤 A: 水 +0.1% TFA + 10% アセトニトリル; 溶離剤 B: アセトニトリル; 勾配: A/B(80:20)、次いで3.25分で0.75分にわたってA/B (10:90) に; 流量:1.3 ml/分;; UV 検出: 254nm; イオン源: ESI
方法 1D
装置:LC/MS サーモフィニガンHplc サーベイアーDAD, MSQ 四極子; カラム: サンファイアーMS-C18, 5 um, 4.6x100 mm; 溶離剤 A: 90% 水 +10% アセトニトリル + ギ酸アンモニウム 10mM; 溶離剤 B: アセトニトリル 90%+10% 水 + ギ酸アンモニウム 10mM; 勾配: 1分にわたってA(100) 、次いで7分で1分にわたってB (100)に; 流量: 1.2 mL/分; UV 検出: 254nm; イオン源: APCI
方法 1E
装置: LC/MS サーモフィニガンHplc サーベイアーDAD, MSQ 四極子; カラム: シンメトリーC8, 5 um, 3x150 mm; 溶離剤 A: 90% 水 +10% アセトニトリル + ギ酸アンモニウム 10mM; 溶離剤 B= アセトニトリル 90%+10% H2O+NH4COOH 10mM; 勾配: 1.5分にわたってA(100) 、次いで10分で1.5分にわたってB (100)に; 流量: 1.2 mL/分; UV 検出: 254nm; イオン源: APCI.
マイクロウェーブ加熱:
・マイクロウェーブ装置型式: バイオテージ・イニシエーター・シクスティ
・ディスカバー(登録商標)CEM 装置(10mLの容器及び35mLの容器を備えている);
【0078】
出発化合物:
例 1A
【化13】

【0079】
(2-トリフルオロメトキシ-フェニル)-酢酸20.0 g (90.9 ミリモル) を無水エタノール150mlに溶解した。0℃で、塩化チオニル10.0 ml (138 ミリモル) を徐々に添加した。その溶液を50℃に12時間加熱した。室温に冷却し、続いて溶媒を減圧で蒸発させた。残っている残渣を酢酸エチル10mlに溶解し、活性化された塩基性アルミナのパッドにより濾過した。そのエステルを無色の油(18.4 g, 理論値の81%)として得た。
HPLC-MS (方法 1): RT: 1.64 分
MS (ESI pos): m/z = 249 (M+H)+.
【0080】
例 1B
【化14】

例1Aの調製と同様にして、エタノールに代えて無水メタノールを使用してメチルエステルを得た。
【0081】
例 2A
【化15】

2-クロロ-5-メチル-アニリン10.0 g (70.6 ミリモル) を塩酸(水中20%)38mlに溶解した。-5℃で、水70ml中の亜硝酸ナトリウム5.36 g (77.7 ミリモル) の溶液を40分以内に滴下して添加し、更に30分間にわたってこの温度に保った。温度を-10℃に保って、その冷溶液を塩酸(水中32%)48ml中の塩化スズ(II)二水和物40.2 g (178 ミリモル)の溶液に滴下して添加した。得られる懸濁液を25℃に加熱し、12時間撹拌した。その懸濁液を0℃に冷却し、水酸化ナトリウム(水中40%)350mlを添加した。その溶液を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を集め、水で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過し、溶媒を減圧で蒸発させてヒドラジンを固体(9.6 g, 理論値の87%)として得た。
HPLC-MS (方法 1): RT: 0.90 分
MS (ESI pos): m/z = 157/159 (Cl) (M+H)+ 及び140/142 (Cl) (M-NH3+H)+
相当するアニリンを出発物質として使用して、下記の例を例2Aの調製と同様にして合成した。
【0082】
【化16】





【0083】
例 3A
【化17】

4-ブロモ-1-クロロ-2-フルオロ-ベンゼン5.0 g (23.9 ミリモル) 及びヒドラジン水和物4.64 ml (95.5 ミリモル) をDMSO 8mlに溶解した。その溶液を70℃で48時間撹拌した。その混合物を25℃に冷却し、水を添加した。生成された沈殿を濾過により集め、水洗した。減圧で乾燥させた後、ヒドラジンを固体(2.6 g, 理論値の49%)として得た。
HPLC-MS (方法 1): RT: 0.93 分
MS (ESI pos): m/z = 221/223/225 (Br,Cl) (M+H)+ 及び204/206/208 (Br,Cl) (M-NH3+H)+
相当するフッ化アリールを出発物質として使用して、下記の例を例3Aの調製と同様にして合成した。
【0084】
【化18】

【0085】
例 4A
【化19】

3-アミノ-4-(トリフルオロメチル)-ピリジン3.0 g (18.5 ミリモル) を塩酸(12N)15mlに溶解した。その反応混合物を-20℃で冷却し、次いで温度を-15℃に保って水15ml中の亜硝酸ナトリウム(1.4 g; 20.35 ミリモル)の溶液を滴下して添加した。1時間後、温度を-15℃に保って、その反応混合物を塩酸(12N)7.5ml中の塩化スズ(II)二水和物(12.53 g; 55.53 ミリモル) の溶液に滴下して添加した。1時間後、その反応は完結した。その反応混合物のpHを-20℃で40%のKOHの添加により10-11に調節した。その生成物を酢酸エチルにより抽出した。減圧で乾燥させた後、ヒドラジンを赤色の固体 (2.5 g; 14.11 ミリモル; 収率76%)として得た。
HPLC-MS (方法 1E): RT: 4.48 分
MS (APCI): m/z = 178 (M+H)+
相当するアミノピリジンを出発物質として使用して、下記の例を例4Aの調製と同様にして合成した。
【0086】
【化20】

【0087】
例 5A
【化21】

4-フルオロフェニルヒドラジン塩酸塩8.7 g (53.5 ミリモル) をエタノール13ml中でエトキシメチレンマロノニトリル6.5 g (53.5ミリモル) とともに懸濁させ、トリエチルアミン22.2 ml (160 ミリモル) を添加した。その反応混合物を2時間にわたって50℃に加熱した。室温に冷却した後、溶媒を減圧で除去した。残っている残渣を水 (25 ml) で処理し、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧で濃縮した。残っている残渣を分取MPLC (SiO2, 溶離剤 CH2Cl2)により精製した。生成物5.0 g (理論値の46%) を油として得、これは一夜にわたって固化する。
LC-MS (方法 1): RT = 1.06 分
MS (ESI pos): m/z = 203 (M+H)+
相当するヒドラジンを出発物質として使用して、下記の例を例5Aの調製と同様にして合成した。
【0088】
【化22】

【0089】

【0090】

【0091】

【0092】
例 6A
【化23】

【0093】
エタノール15ml中の例 2A 9.6 g (61.3 ミリモル)及びエトキシメチレンマロノニトリル7.49 g (61.3 ミリモル) 、及びトリエチルアミン17.0 ml (123 ミリモル) を添加した。その反応混合物を3時間にわたって50℃に加熱した。室温に冷却した後、溶媒を減圧で除去した。残っている残渣を酢酸エチルに溶解し、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液で2回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧で濃縮した。残っている残渣を分取MPLC (SiO2, 溶離剤 CH2Cl2)により精製した。生成物7.2 g (理論値の51%) を油として得、これは一夜で固化する。
LC-MS (方法 1): RT = 1.26 分
MS (ESI pos): m/z = 233/235 (Cl) (M+H)+.
相当するヒドラジンを出発物質として使用して、下記の例を例6Aの調製と同様にして合成した。
【0094】
【化24】

【0095】

【0096】

【0097】

【0098】

【0099】
例 7A
【化25】

【0100】
エチルアルコール(170ml)中の例 4A (2.5 g; 14.11 ミリモル) の溶液に、エトキシメチレンマロノニトリル (1.72 g; 14.11 ミリモル) を少しずつ添加し、次いでその反応混合物を1時間の間還流させた。次いでその反応混合物を室温に到達させ、固体の生成を観察し、これを濾過し、フラッシュクロマトグラフィーにより精製した。所望の化合物2.2gを得た(8.68 ミリモル; 収率= 61.6%).
LC-MS (方法グラッド-C8-NH4COOH ): RT = 1.88 分
MS (ESI pos): m/z = 254 (M+H)+.
相当するヒドラジンを出発物質として使用して、下記の例を例7Aの調製と同様にして合成した。
【0101】
【化26】

【0102】
例 8A
【化27】

【0103】
例 6A 7.2 g (31.0 ミリモル) をエタノール250mlに溶解した。25℃で、アンモニア(水中25%)中の過酸化水素(水中35%)66.5 ml (0.77モル) の溶液を10分の期間にわたって徐々に添加した。その溶液を減圧で30mlの容積に慎重に濃縮した。生成された沈殿を濾過により集め、分取HPLC (溶離剤 A: 水 + 0.13% TFA, 溶離剤 B: アセトニトリル)により精製した。生成物5.8 g (理論値の75%) を無色の固体として得た。
LC-MS (方法 1): RT = 0.66 分
MS (ESI pos): m/z = 251/253 (Cl) (M+H)+.
相当する5-アミノ-1H-ピラゾール-4-カルボニトリルを出発物質として使用して、下記の例を例8Aの調製と同様にして合成した。
【0104】
【化28】

【0105】

【0106】

【0107】

【0108】

【0109】

【0110】

【0111】

【0112】

【0113】
例 8AG
【化29】


例 8 AD 0.90 g (3.50 ミリモル) をエタノール20mLに溶解し、2N NaOH 溶液12mLを添加した。その混合物を室温で2時間撹拌した。生成する沈殿を濾過し、乾燥させて例8AG 0.60 g (70%) を得た。
LC-MS (方法 1): RT = 0.80 分
MS (ESI pos): m/z = 245 (M-H)-.
【0114】
例 8AH
【化30】

例 8R 0.25 g (0.89 ミリモル) をジクロロメタン2mLに溶解し、BBr3 溶液(THF中1M) 2.5mLを添加した。その混合物を室温で48時間撹拌した。通常に水処理して例8AH0.10 g (44%) を得た。
LC-MS (方法 1): RT = 0.82 分
MS (ESI pos): m/z = 252/254 (Cl) (M)+.
【0115】
例 8AI
【化31】


例 8AE 4.79 g (19.0 ミリモル) をメタノール500mLに溶解し、PD/C (10%) 1.0 gを添加した。その混合物を室温で4時間にわたって4.2kg/cm2(60psi)の水素圧力で水素化した。濾過し、濃縮して例8AI 4.06 g (98%) を得た。
LC-MS (方法 1): RT = 0.36 分
【0116】
例 9A
【化32】

例7B 4.7 g (23.13 ミリモル) をエタノールに溶解し、次いで温度を0℃-5℃に低下した。次いで30%の水酸化アンモニウム (110 ml; 832 ミリモル) 及び35%の過酸化水素 (46 ml; 535 ミリモル) の溶液を滴下して添加した。その反応を20℃に加熱し、その反応混合物を更に2時間撹拌した。生成された沈殿を濾過し、真空で乾燥させた。所望の化合物4.4gを得た (19.89 ミリモル; 収率= 86%)。
LC-MS ((方法グラッド-C18-酸性): RT = 0.6 分
MS (ESI pos): m/z = 222 (M+H)+
相当する5-アミノ-1H-ピラゾール-4-カルボニトリルを出発物質として使用して、下記の例を例9Aの調製と同様にして合成した。
【0117】
【化33】

【0118】
例 10A
【化34】

例8Vを出発物質として使用して、例10Aを実施例3と同様にして合成した。
LC-MS (方法 1): RT = 1.68 分
MS (ESI pos): m/z = 463 (M+H)+
【0119】
例示的実施態様:
実施例 1
【0120】
【化35】

5-アミノ-1-(4-メチル-ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-4-カルボン酸アミド(WO 04-099211を比較のこと) 0.080 g (0.37 ミリモル) を無水エタノール1.5mlに溶解し、例1B 0.31 g (1.3 ミリモル) 及び水素化ナトリウム(鉱油中60%の懸濁液)0.059 g (1.5 ミリモル) を添加した。その反応混合物を一夜にわたって加熱、還流した。室温に冷却し、続いて減圧で溶媒を蒸発させた。残っている残渣を水(25 ml) で処理し、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧で濃縮した。残っている残渣を分取HPLC (溶離剤 A: 水, 溶離剤 B: アセトニトリル)により精製した。生成物106 mg (理論値の72%) を得た。
TLC (CH2Cl2/MeOH; 10:1): Rf = 0.44.
【0121】
実施例 2
【化36】

実施例1の調製と同様にして、所望の生成物0.21 g (理論値の56%) を無水エタノール4.0ml中の5-アミノ-1-o-トリル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸アミド (WO 04-099211を比較のこと) 0.20 g (0.92 ミリモル) 、例1B 0.77 g (3.2 ミリモル) 、及び水素化ナトリウム(鉱油中60%の懸濁液)0.015 g (3.7 ミリモル) から得た。
TLC (CH2Cl2/MeOH; 10:1): Rf = 0.6.
【0122】
実施例 3
【化37】

例8A 0.150 g (0.60 ミリモル) を無水エタノール4.0mlに溶解し、例1A 297 mg (1.20 ミリモル) 、及び水素化ナトリウム(鉱油中60%の懸濁液)71.8mg(1.80ミリモル)を添加した。その反応混合物をマイクロウェーブオーブン中で30分間にわたって150℃に加熱した。室温に冷却し、続いて溶媒を減圧で蒸発させた。残っている残渣を水(10ml)で処理し、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧で濃縮した。残っている残渣を分取HPLC (溶離剤 A: 水 + 0.13% TFA, 溶離剤 B: アセトニトリル)により精製した。生成物131 mg (理論値の50%) を無色の固体として得た。
LC-MS (方法 1): RT = 1.64 分
MS (ESI pos): m/z = 435/437 (Cl) (M+H)+.
相当する5-アミノ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸アミドを出発物質として使用して、下記の実施例を実施例3の調製と同様にして合成した。
【0123】
【化38】

【0124】

【0125】

【0126】

【0127】

【0128】

【0129】
実施例 30-5
【化39】

【0130】
a)
【化40】


例8AIを出発物質として使用して、実施例30-5への前駆体を実施例3の調製と同様にして合成した。
LC-MS (方法 1): RT = 1.23 分
MS (ESI pos): m/z = 402 (M+H)+.
【0131】
b)
【化41】

a) 0.10 g (0.20 ミリモル) をジクロロメタン5.0mlに溶解し、トリエチルアミン55.5 μL (0.40 ミリモル) を添加した。その混合物を室温で5分間撹拌し、続いて塩化アセチル29.9 μL (0.40 ミリモル) を添加し、更に室温で12時間撹拌した。その反応混合物を蒸発、乾燥させた。水を添加し、得られる沈殿を濾過し、乾燥させて実施例30-4 76.1 mg (86%) を得た。
LC-MS (方法 1): RT = 1.36 分
MS (ESI pos): m/z = 444 (M+H)+.
【0132】
実施例 31
【化42】

例10A 0.02 g (0.043 ミリモル) をBBr3 1.0mlに溶解し、室温で2時間撹拌した。水を添加し、得られるスラリーをジクロロメタンで抽出した。有機相を分離し、乾燥させ、蒸発、乾燥させて生成物18.2 mg (理論値の54%) を無色の固体として得た。
LC-MS (方法 1): RT = 1.55 分
MS (ESI pos): m/z = 421 (M+H)+
【0133】
実施例 32
【化43】

例 9C (0.15g; 0.65 ミリモル) を50mlフラスコ中でポリリン酸(1g) 及び2-(トリフルオロメトキシ)フェニル酢酸 (428 mg; 1.94 ミリモル)とともに懸濁させた。その混合物を、機械撹拌下で、24時間の間に120℃で加熱し、次いでその温度を室温に低下し、水を添加し(10 ml) 、pH値をNH4OH (30% の溶液)の添加により7に調節した。水相をCH2Cl2 (2x20ml) で抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。溶離剤: ヘキサン/酢酸エチル30/70。
所望の化合物40mg (0.09 ミリモル; 収率= 34%)を得た。
LC-MS (方法 1E): RT = 8.35 分
MS (APCI): m/z = 456 (M+H)
相当する5-アミノ-1H-ピラゾール-4-カルボン酸アミドを出発物質として使用して、下記の実施例を実施例32の調製と同様にして合成した。
【0134】
【化44】

【0135】
実施例 35
【化45】

実施例 30-2 0.05 g (0.11 ミリモル) 、ピペリジン11.0 μL (0.11 ミリモル)、TBTU 40.0 mg (0.13 ミリモル)及びDIPEA 40.0 μL (0.23 ミリモル) をジクロロメタン5mLに溶解し、室温で一夜撹拌した。通常に水処理し、HPLC-分離 (溶離剤 A: 水 + 0.13% TFA, 溶離剤 B: アセトニトリル) して実施例35 35 mg (61%) を得た。
LC-MS (方法 1): RT = 1.54 分
MS (ESI pos): m/z = 532/534 (Cl) (M+H)+
相当するアミンを使用して、下記の実施例を実施例35の調製と同様にして合成した。
【0136】
【化46】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】

(I)
により特徴づけられる化合物。
[式中、
R1 はフェニル又はピリジルであり、これらのいずれかが1〜4個、好ましくは1〜3個の置換基Xで置換されており、かつ
フェニル又はピリジルの夫々が更に互いに独立にC1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-C6-アルキルアミノ、ハロゲン、C6-C10-アリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルコキシカルボニル、C6-C10-アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルチオの群から選ばれた3個までの基により置換されていてもよいという選択肢があり、
その場合、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-アルキルアミノ、C6-C10-アリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルコキシカルボニル、C6-C10-アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル及びC1-C6-アルキルチオの夫々が必要により互いに独立にヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシカルボニル及び式-NR3R4の基の群から選ばれた1〜3個の基により置換されていてもよく、
Xは互いに独立にC2-C6-アルキル又はC1-C6-アルコキシから選ばれ、この場合、C2-C6-アルキル及びC1-C6-アルコキシが過ハロゲン化まで少なくともジハロゲン化されており、好ましくは2〜6個のハロゲン置換基でハロゲン化されており、ハロゲン原子はフルオロ、クロロ及びブロモ、好ましくはフルオロの群から選ばれ、それによりフェニル又はピリジルへの結合に対してベータ位を構成する少なくともそのC原子が少なくとも1回又は更に好ましくは少なくとも2回ハロゲン化されており、
R2 はフェニル又はヘテロアリールであり、この場合、フェニルは1〜3個の基により置換され、またヘテロアリールは必要により1〜3個の基により置換されていてもよく、夫々の場合に前記基は互いに独立にC1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-C6-アルキルアミノ、ハロゲン、C6-C10-アリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルコキシカルボニル、C6-C10-アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル及びC1-C6-アルキルチオの群から選ばれ、
この場合、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-アルキルアミノ、C6-C10-アリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルコキシカルボニル、C6-C10-アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル及びC1-C6-アルキルチオの夫々が必要により互いに独立にヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシカルボニル及び式-NR3R4の基の群から選ばれた1〜3個の基により置換されていてもよく、
R3は水素又はC1-C6-アルキルであり、かつ
R4は水素もしくはC1-C6-アルキルであり、又は
R3及びR4 はそれらが結合されている窒素原子と一緒になって5〜8員複素環である]
【請求項2】
R1がフェニル又はピリジルであり、これらのいずれかが1〜3個の置換基Xで置換されており、
フェニル又はピリジルの夫々が更に互いに独立にC1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、ニトロ、ハロゲン、C6-C10-アリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C6-C10-アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル、C1-C6-アルキルチオの群から選ばれた3個までの基により置換されていてもよいという選択肢があり、
その場合、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、C6-C10-アリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C6-C10-アリールアミノカルボニル、ヘテロアリールアミノカルボニル、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル及びC1-C6-アルキルチオの夫々が必要により互いに独立にヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、及び式-NR3R4の基の群から選ばれた1〜3個の基により置換されていてもよく、
Xが互いに独立にC2-C6-アルキル又はC1-C6-アルコキシから選ばれ、この場合、C2-C6-アルキル及びC1-C6-アルコキシが過ハロゲン化まで少なくともジハロゲン化されており、好ましくは2〜6個のハロゲン置換基でハロゲン化されており、ハロゲン原子がフルオロ、クロロ及びブロモ、好ましくはフルオロの群から選ばれ、それによりフェニル又はピリジルへの結合に対してベータ位を構成する少なくともそのC原子が少なくとも1回又は更に好ましくは少なくとも2回ハロゲン化されており、
R2がフェニル又はヘテロアリールであり、この場合、フェニルが1〜3個の基により置換され、またヘテロアリールが必要により1〜3個の基により置換されていてもよく、夫々の場合に前記基が互いに独立にC1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、シアノ、トリフルオロメチル、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、C1-C6-アルキルアミノ、ハロゲン、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル及びC1-C6-アルキルチオの群から選ばれ、
この場合、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、C1-C6-アルキルアミノ、C6-C10-アリールカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルカルボニルアミノ、C1-C6-アルキルアミノカルボニル、C1-C6-アルキルスルホニルアミノ、C1-C6-アルキルスルホニル及びC1-C6-アルキルチオの夫々が必要により互いに独立にヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、及び式-NR3R4の基の群から選ばれた1〜3個の基により置換されていてもよく、かつ
残りの特徴が請求項1に定義されたとおりであることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1がフェニル又はピリジルであり、これらのいずれかが1〜3個の置換基Xで置換されており、
フェニル又はピリジルの夫々が更に互いに独立にC1-C6-アルキル、トリフルオロメチル、ハロゲンの群から選ばれた3個までの基により置換されていてもよいという選択肢があり、
Xが互いに独立にC2-C6-アルキル又はC1-C6-アルコキシから選ばれ、この場合、C2-C6-アルキル及びC1-C6-アルコキシが過ハロゲン化まで少なくともジハロゲン化されており、好ましくは2〜6個のハロゲン置換基でハロゲン化されており、ハロゲン原子がフルオロ、クロロ及びブロモ、好ましくはフルオロの群から選ばれ、それによりフェニル又はピリジルへの結合に対してベータ位を構成する少なくともそのC原子が少なくとも1回又は更に好ましくは少なくとも2回ハロゲン化されており、
R2がフェニル又はヘテロアリールであり、この場合、フェニルが1〜3個の基により置換され、またヘテロアリールが必要により1〜3個の基により置換されていてもよく、夫々の場合に前記基が互いに独立にC1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ、トリフルオロメチル、ハロゲン及びC1-C6-アルキルチオの群から選ばれ、
この場合、C1-C6-アルキル、C1-C6-アルコキシ及びC1-C6-アルキルチオの夫々が必要により1〜3個のハロゲン基により置換されていてもよく、かつ
残りの特徴が請求項1に定義されたとおりであることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R1がフェニル又はピリジルであり、これらのいずれかが1〜3個のXで置換されており、XがC2-C6-アルキル、好ましくはC2-アルキルであり、C2-C6-アルキル及び/又はフェニル又はC2-C6-アルキル及び/又はピリジルの更なる任意の置換パターン及び残りの特徴が請求項1から3のいずれかに定義されたとおりであることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
R1がフェニル又はピリジルであり、これらのいずれかが1〜3個のXで置換されており、XがC1-C6-アルコキシ、好ましくはC1-アルコキシであり、C1-C6-アルコキシ及び/又はフェニル又はC1-C6-アルコキシ及び/又はピリジルの更なる任意の置換パターン及び残りの特徴が請求項1から2のいずれかに定義されたとおりであることを特徴とする、請求項1から2のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
R1がフェニル又はピリジルであり、これらのいずれかが1〜3個のXで置換されており、Xがフルオロ、クロロ及びブロモ、好ましくはフルオロ置換基の群から選ばれた、少なくとも2個、好ましくは2〜6個のハロゲン原子で置換された、C1-C6-アルコキシであり、それにより好ましくはフェニル又はピリジルへの結合に対してベータ位を構成する少なくともそのC原子が少なくとも1回又は更に好ましくは少なくとも2回ハロゲン化されており、かつ
フェニル又はピリジルの夫々が更に互いに独立にC1-C6-アルキル、トリフルオロメチル、ハロゲンの群から選ばれた3個までの基により置換されていてもよく、かつ
残りの特徴が請求項1に定義されたとおりであることを特徴とする、請求項1から3又は5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
R1について、1〜3個の必須の置換基Xにおける置換パターンが少なくとも2個、更に好ましくは3個のフルオロ置換基であり、それにより好ましくはフェニル又はピリジルへの結合に対してベータ位を構成する少なくともそのC原子が少なくとも1回又は更に好ましくは少なくとも2回ハロゲン化されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
R1 が請求項1から5のいずれかに定義されたように置換されたフェニル、好ましくは2-トリフルオロメトキシフェニルであることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
【化2】

















の夫々一つである、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の化合物の医薬上許される塩。
【請求項11】
知覚、集中、認知、学習又は記憶に関する認知障害の治療、改善及び/又は予防のため、好ましくは年齢に関連する学習障害及び記憶障害、年齢に関連する記憶喪失、血管性痴呆、頭蓋と大脳の外傷、卒中、卒中後に生じる痴呆(卒中後痴呆)、外傷後の痴呆、一般の集中障害、学習及び記憶の問題のある幼児における集中障害、アルツハイマー病、レービー体痴呆、ピック症候群を含む、前頭葉の変性による痴呆、パーキンソン病、進行性核麻痺、皮質基底変性による痴呆、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、多発性硬化症、視床変性、クロイツフェルト・ヤコブ痴呆、HIV痴呆、痴呆による精神分裂症又はコルサコフ病に関する認知障害の治療、改善及び/又は予防のための薬物の製造のための請求項1から9のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項12】
睡眠障害、双極性障害、代謝症候群、肥満、真性糖尿病、高血糖、脂質異常症、グルコーストレランス障害、又は睾丸、脳、小腸、骨格筋、心臓、肺、胸腺もしくは脾臓の疾患の治療のための薬物の製造のための請求項1から9のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項13】
経過がPDE9の抑制により影響し得る疾患の治療、改善及び/又は予防、好ましくは治療のための薬物の製造のための請求項1から9のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項14】
請求項11から13のいずれかに記載の疾患の治療のための薬物の調製のための、好ましくはベータ-セクレターゼインヒビター;ガンマ-セクレターゼインヒビター;アミロイド凝集インヒビター;直接又は間接に作用する神経保護物質及び/又は疾患軽減物質;抗酸化剤;抗炎症物質;HMG-CoA還元酵素インヒビター、スタチン類;アセチルコリンエステラーゼインヒビター;NMDA受容体アンタゴニスト;AMPA受容体アゴニスト;AMPA受容体ポジチブモジュレーター、AMPkine類、モノアミン受容体再摂取インヒビター、集中又は神経伝達物質の放出を変調する物質;成長ホルモンの分泌を変調する物質;CB-1受容体アンタゴニスト又は逆アゴニスト;抗生物質;PDE2、PDE4、PDE5、PDE10インヒビター、GABAA受容体逆アゴニスト、GABAA受容体アンタゴニスト、ニコチン受容体アゴニストもしくは部分アゴニスト又はポジチブモジュレーター、アルファ4ベータ2ニコチン受容体アゴニストもしくは部分アゴニスト又はポジチブモジュレーター、アルファ7ニコチン受容体アゴニストもしくは部分アゴニスト又はポジチブモジュレーター;ヒスタミンH3アンタゴニスト、5HT-4アゴニスト又は部分アゴニスト、5HT-6アンタゴニスト、アルファ2-アドレナリン受容体アンタゴニスト、カルシウムアンタゴニスト、ムスカリン受容体M1アゴニストもしくは部分アゴニスト又はポジチブモジュレーター、ムスカリン受容体M2アンタゴニスト、ムスカリン受容体M4アンタゴニスト、代謝調節型グルタメート-受容体5ポジチブモジュレーター、及び/又は本発明の化合物の効力及び/又は安全性が増大され、かつ/又は望ましくない副作用が軽減されるような様式で受容体又は酵素を変調するその他の物質の群から選ばれた、別の治療有効化合物と組み合わせての請求項1から9のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項15】
請求項1から9のいずれかに記載の化合物を含むことを特徴とする医薬組成物。

【公表番号】特表2011−504913(P2011−504913A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535382(P2010−535382)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066350
【国際公開番号】WO2009/068617
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】