11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの結晶形態
本発明は、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの結晶形態に関する。本発明は、特に、該化合物の2つの結晶溶媒和物/無水物、I型多形体及びII型多形体に関する。しかしながら、本発明はまた、これらの2つのI型及びII型多形体を調製するための前駆体としての結晶溶媒和物、例えば、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンのメタノール及びエタノール溶媒和物にも関する。置換結晶化又は研和によるI型多形体の調製方法が記載される。非溶媒和物の形成の前の最後の溶媒の選択は、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの個々の溶媒和物の精製挙動における相違に基づくことができる。本発明のI型多形体は医薬品の製造に特に適している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの結晶形態に関する。本発明は、特に、該化合物の2つの結晶溶媒和物/無水物、I型多形体及びII型多形体に関する。しかしながら、本発明はまた、これらの2つのI型及びII型多形体を調製するための前駆体としての結晶溶媒和物、例えば、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンのメタノール及びエタノール溶媒和物にも関する。置換結晶化又は研和によるI型多形体の調製方法が記載される。非溶媒和物(ansolvate)の形成の前の最後の溶媒の選択は、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの個々の溶媒和物の精製挙動における相違に基づくことができる。本発明のI型多形体は医薬品の製造に特に適している。
【背景技術】
【0002】
経口医薬製剤に加工される活性医薬成分について、これらの活性成分は、通常固形である必要がある。これに関して多くの固形が利用できる。これらはアモルファス又は結晶であってよい。結晶化において、該活性成分は非溶媒和物として生じうる。また、結晶中の溶媒の組み込みを介して溶媒和物を形成することも可能である。水和物は、例えば結晶中の水の組み込みにより形成される溶媒和物である。
【0003】
各々の固形により多くの物理化学的特性が決定されることが知られている。医薬的に関係するこのような特性は、例えば、活性成分の化学的安定性、医薬賦形剤に対する安定性、粉砕性、及び流動作用があげられる。また、結晶固体はアモルファス固体よりも優れた安定性を有することが知られている。アモルファス固体に関しては、再結晶化のリスク、及びそれに伴う医薬製剤において利用される固形の抑制されない損失のリスクが存在する。アモルファス固体の利点として、とりわけ、優れた溶解性又は顕著に増大した分解速度があげられる。特定の医薬製剤において使用される活性成分の固形を選択する場合には、利点及び不利点、例えば分解速度、安定性及び処理性、を互いに調和させる必要がある。特性の変化は、ある固形から他の形態への転化に常に関係するため、安定な固形は医薬品の開発において必要条件となる。
【0004】
非溶媒和物及び水和物は、医薬的な適用のための結晶固体として許容できる。非水溶媒の溶媒和物は、いくつかの例外を除き、高い有機溶媒含有量のために活性成分としては不適当である。
【0005】
固形活性医薬成分の調製は、とりわけ、化学合成、精製及び固形物の単離を含む。分取クロマトグラフィーは精製のためにますます利用されている。これにより活性成分のごく僅かな損失を伴うが、多量の不純物を除去することができる。これは、活性成分と化学的に密接に関係し、そして古典的な結晶化において僅かにしか除去されず、母液中の活性成分の多量な損失を伴う不純物について特に有用である。活性成分は、分取クロマトグラフィーカラムのラフィネート中に相対的に希釈された形態において存在する。該活性成分を固形におけるこのラフィネートから分離する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンは、以下の構造式を有する:
【化1】
【0007】
11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンは、アモルファス形態としてだけ以前に開示されている(EP0970103B1の9ページ、段落0056)。このアモルファス形態は、クロマトグラフィー後の活性成分を含有する画分の乾燥による濃縮から生じる。このようにして得られたアモルファス形態は、残留溶媒の含有量の観点から活性医薬成分についての要件を満たさない。さらに、攪拌器からの該形態の除去も困難である。最終製剤への経路における更なる段階は微粒子化である。微粒子化は、例えばエアージェットミルを用いる粉砕物質の細かな研和である。
しかしながら、微粒子を調製するために他の方法もまた適当である。これは、製剤中の活性成分の均一な含有量を保証するために、特に低用量の医薬調製物で必要となる。物質の良好な粉砕のための必須条件は、特に、出発物質と粉砕物質の適当な流動性である。以前に開示されている形態の取り扱いはここでもまた困難となる。これは帯電を得るために、微粒子化が困難であるためである。
【0008】
溶液からの結晶化により、取り扱うことができる固体を産生するための通常の方法は、今日まで可能ではなかった。11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンは、最終段階を結晶化するために許容的かつ慣習的であり、そして十分に可溶性である溶媒からの結晶化において溶媒和物を形成する。該溶媒和物は、有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、2−ブタノール、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン又はテトラヒドロフランからの、及びイソプロパノール/水、エタノール/酢酸エチル、イソプロパノール/酢酸イソプロピルからの結晶化後に検出されてきた。しかしながら、残留溶媒の含有のために、これらの溶媒和物は活性医薬成分についての要件を満たさない。このようにして形成された溶媒和物から溶媒を除去するための乾燥はアモルファス相に導く。
【0009】
既知の化合物の新規な、以前に知られていない固形の外観が予測できないことは一般に知られている。多形体の数と同様、結晶相の存在は予測することが難しい。形成の条件及び個々の形態の特性を予測できる可能性は極めて低いものである。
【0010】
本発明の目的は、既知のアモルファス形態の不利点、特に低い保存性及び処理中の帯電、ならびに有機溶媒による結晶溶媒和物の不利点を有さない、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの固形を産出することである。
【0011】
この目的はI型多形体及びII型多形体の発見により達成された。
【0012】
アモルファス固形は、明確かつ参考的な融点を示さないことが知られている。EP0970103B1に開示されるアモルファス形態のDSC曲線(DSC=示差走査熱量)は、加熱率に関係なく、110℃〜200℃における発熱、続いて約218℃における吸熱を示した(図1を参照のこと)。吸熱の発生後に供される固形物はXRPD(粉末X線回折)により調査された。これにより、伝統的なスクリーニングにおける同定はできないが、溶媒和物の形成によるHTS(HTS=ハイスループット・スクリーニング)において、新規で完全な結晶形態を発見することができた。図2は、規定のXRPDラインを示さないアモルファス形態の粉末X線回折図を示す。図3は、本発明のI型多形体の粉末X線回折図を示す(トランスミッション、Cu Kα1放射、20〜25℃)。該I型多形体は、XRPDラインd=21.4Åを示す。さらに、XRPDラインは、5.3Å、7.7Å及び5.8Åに位置する。図4は、約218℃において融解するI型多形体のDSC曲線を示す。I型多形体の赤外線スペクトル(シングル−バウンス ATR−IR)は、3416cm-1、1680cm-1、1628cm-1及び1215cm-1においてバンドを示す(図5を参照のこと)。
【0013】
このようにして発見されたI型多形体は、より大規模(kg範囲)に調製することができた。そのために使用した方法は水を用いた置換結晶化及び研和(trituration)である。
【0014】
本発明のI型多形体は、上述の利点に加えて、医薬処理において有効な多くの特性を示す。これは帯電しないため、ジェットミルにおいても困難なく微粒子化することができる。図6は、粉砕粉末の典型的な分布曲線を示す。すべての粒子の50%以上が3μm以下の直径を有する(低分布、体積に基づく粒径分布により測定した)(すなわちx50,3値)累積粒径分布は、アモルファス物質については極めて困難を伴い達成できるのみであり、特に工業規模では達成できない。これは帯電及びこれに伴う乏しい流動性がミルにおける特定の測定を著しく困難にするためである。
【0015】
残留溶媒の含有量は本発明のI型多形体の微粒子化の過程でさらに減少する。対応する値は表1に見ることができる。微粒子化後のI型多形体の残留溶媒含有量は0.34〜0.35%であり、これはICH Q3Cガイドラインにおいてエタノールについて推奨される0.5%の値よりも小さい(CPMP/ICH/283/95、4.3、8/18ページ)。粉末X線回折図によると、微粒子化前後においてI型多形体中にはいかなるエタノール溶媒和物も存在しない。
【0016】
表1:エアージェットミル(微粒子化)前後の本発明のI型多形体中のエタノール含有量
【表1】
【0017】
I型多形体は、アモルファス形態よりも優れた安定性を示す。これは、温度試験、湿度試験、及び特に露光試験の比較結果からも明らかである。上昇温度及び上昇湿度での保管における活性成分含有量の減少を表2に示す。保管前、用いた物質は98.4%又は95.4%の含有量を有していた。
【0018】
表2:上昇温度及び上昇湿度での保管におけるアモルファス11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オン及び本発明のI型多形体の短期間安定性の比較。活性成分含有量の減少を示す。
【表2】
【0019】
I型多形体の優れた安定性は、光下の保管においてより明らかである。表3は、20kLux下で42時間及び66時間後の安定性を示す。初期値は98.4%及び95.4%であった。
【0020】
表3:光下の保管におけるアモルファス11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オン及びI型多形体の安定性の比較。活性成分含有量の減少を示す。
【表3】
【0021】
医薬調製物中の活性成分としての11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの使用において、不純物のプロファイルは極めて重要である。活性成分の保管において生じる化合物は、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−9,10−エポキシ−19−ノル−10α,17α−プレグナ−1,4−ジエン−3−オンである。この化合物の毒性は知られている。この不純物の含有量は医薬製剤の有効期限まで0.2%以下でなければならない。ストレス条件(上昇温度及び湿度)下及び光下における11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンのアモルファス固体の保管においては、この不純物の有意な形成が確認された。したがって、アモルファス固形物は医薬品における使用について安定性を有さず、不適当である。しかしながら、I型多形体においては、この重大な不純物の増大は実質的にゼロである。I型多形体の使用において、煩雑な安定化はもはや必要ない。70℃の温度におけるアモルファス11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの保管における上述のエポキシ不純物の形成は、わずか15日後に0.6%であり、30日後には1.1%にもなった。一方、同じ温度で30日間のI型多形体の保管においては、わずか0.1%のエポキシ不純物が検出されるだけである。表4は、ストレス条件下及び光下のアモルファス11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの保管におけるエポキシ不純物の増大を示す。これと比較して、本発明のI型多形体はこれらの不純物において0.2%以下しか増大しない。
【0022】
表4:光下の保管におけるアモルファス11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オン及びI型多形体の保管におけるエポキシ不純物の増加。
【表4】
【0023】
ストレス条件(15日、90℃/75%相対湿度)下のアモルファス活性成分についてI型多形体を与えるための部分的な再結晶化が見られた。これは、比較的低温度で長期にわたるアモルファス相の保管において、このような再結晶が生じるものと推測できる。しかしながら、これは活性成分の変化した再現できない放出に導き、医薬形態の硬度にも影響しうるため、このような転化は最終医薬形態においては望ましくない。
【0024】
本発明のI型多形体は、筋腫又は乳癌の治療のために使用できる医薬調製物に処方することができる。これは女性避妊における活性成分として使用できるが、婦人科障害、例えば月経困難症又は子宮内膜症の治療、月経を誘発し、分娩を誘導するためのホルモン置換治療における活性成分として使用できる。強力な抗腫瘍活性のために、ホルモン依存性腫瘍の治療のための製品において抗エストロゲン剤と組み合わせて(同時又は別々に)利用することもできる(EP0310542)。腸、前立腺、卵巣、子宮内膜、及び骨膜における腫瘍の治療における使用も考えられる。
【0025】
11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンは、該物質に適当な溶媒とともに、溶媒和物を形成する。本発明のI型多形体を調製するためには2つの方法が存在する:第1は水を使用する置換により、第2は研和により調製することができる。
【0026】
本発明のI型多形体は、有機溶媒からの置換結晶化により得ることができる。この場合、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンは、置換に利用される貧溶媒と溶媒和物を形成しないことが必要である。また、主要な溶媒として、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンと溶媒和物を形成するものも使用できるが、溶媒和物が不安定になるように、該置換の間に主要な溶媒の割合を減少させる必要がある。11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンは水和物を形成しないため、1つの可能な貧溶媒は水である。溶媒和物の形成を回避するために必要な水の割合は、主要な溶媒及び結晶化が行われる温度の両方に依存する。表5は、主要な溶媒であるエタノールについて、エタノールからのI型多形体の信頼できる結晶化のための最小値と温度の関係における、エタノールにおける必要な水の割合を示す。室温(20℃)において、例えば40wt%の水が必要である。これに関して40wt%は40重量%の水を意味する。すなわち、1gの溶媒混合物あたり0.4gの水が存在する。
【0027】
表5:温度関数として信頼できるI型多形体の置換結晶化の最小値に必要な水の割合
【表5】
【0028】
水/エタノール混合物中の11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの溶解度は、水の割合に強い依存性を示す。この依存性は図7に示される。11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの溶解度は、水の割合がわずか20wt%である場合、純粋なエタノール中の溶解度の100分の1にまで低下する。そのため、記載された置換は、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンにとって経済的に価値がある。必要とされる水の割合は、他の系については明らかに高く、それ故、置換は高い希釈においてのみ行うことができ、不十分な空間収量(space yield)を伴う。
【0029】
本発明のI型多形体は、研和によっても得ることができる。異なる固形間の相転移は、低い溶解力の溶媒中の研和において可能である。この場合における転移は、特定の条件下においてより安定である個体へと常に導く。溶媒和物の研和は、溶媒和の溶媒の除去に導くことができる。この目的のために、溶媒和物の安定領域にしておく必要がある。上述のとおり、室温において、エタノール中40wt%水は十分である。図7を比較すると、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの溶解度はこのような混合物中で十分に低く、それ故、該方法は、物質の大きな損失を伴うことなく行うことが可能である。このような研和から生じる新しい相がアモルファスであるか結晶であるかを予測することは理論的に可能ではない。記載された研和は、本発明のI型多形体をもたらす。
【0030】
水中の研和後の残留溶媒含有量及び非溶媒和形態への変換は、3種の溶媒について表6中に示す。すべての場合において、純粋なI型多形体は脱溶媒和後に存在した。
【0031】
表6:水中研和後の残留溶媒含有量
【表6】
【0032】
したがって、多くの溶媒和物は、非溶媒和形態を形成するための出発点として適当である。選択はさらなる目標変数に基づくことができる。発見されたように、異なる溶媒和物の形成における不純物の減少は程度により異なる。したがって、選択によって精製を改善することが可能になる。再溶媒和/再結晶における不純物の減少の効率は、不純物の合計と特定の不純物を使用して比較することが可能である。表7は、不十分に減少するMTBEを伴う2種類の有効な溶媒(メチルエチルケトン[MEK]、アセトン)を比較する。不純物の合計における変化、ならびに1番及び2番目に多い不純物の減少が示されている。減少因子は7:1〜2:1の範囲を網羅する。効率的な減少溶媒は、特定の不純物、この場合最も多い不純物の減少においても変化する。すべての研和について収率は85〜90%である。
【0033】
表7:不純物の合計、MEK、アセトン及びMTBE溶媒和物を得るための再溶媒化における最大含有量及び第二最大含有量の減少。出発物質(SM)及び3つの生成物中の不純物の含有量を示す。
【表7】
再溶媒化/再結晶化による精製は、実施例8に従い行うことができる。
【0034】
上述のI型多形体に加え、II型多形体もまた調製することができた(例7)。この目的のために、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンをエタノール中に溶解させた。該エタノール溶媒和物は、エタノール溶液を冷却させることによって結晶化させた。エタノール溶媒和物の熱脱溶媒和は、II型多形体をもたらす。II型多形体はアモルファス形態よりも安定であることが推測できる。しかしながら、I型多形体よりも熱力学安定性が乏しいために、これは固形医薬品における活性成分として2番目の選択にすぎない。
【0035】
図10は、II型多形体の粉末X線回折図を示す(Cu Kα1放射、20〜25℃)。II型多形体は、d=5.1Åの特徴的なXRPDラインを示す。さらなるXRPDラインは、7.1Å及び5.6Åに存在する。図11は、II型多形体のDSC曲線を示し、これは、役135℃において融解する。II型多形体の融解は、I型多形体として再結晶し、これは約218℃において融解する。II型多形体の赤外線スペクトル(シングル−バウンス ATR−IR)は、3653cm-1、1682cm-1、1601cm-1及び1209cm-1においてバンドを示す(図12を参照のこと)。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】5K/分の加熱率における173℃から185℃の発熱を伴う11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンのアモルファス形態のDSC曲線を示す。
【図2】11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンのアモルファス形態の粉末X線回折図(CuKα1放射)を示す。
【図3】I型多形体の粉末X線回折図(CuKα1放射)を示す。
【図4】I型多形体のDSC曲線を示す。
【図5】I型多形体のIRスペクトル(シングル−バウンスATR−IR)を示す。
【図6】エアージェットミルにおける製粉後のI型多形体の典型的な粒径分布を示す。
【図7】溶媒として使用した水/エタノール混合物中の水の割合の関数としての結晶11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの溶解度を示す。
【図8】11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンのメタノール溶媒和物の粉末X線回折図(CuKα1放射)を示す。
【図9】11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンのエタノール溶媒和物の粉末X線回折図(CuKα1放射)を示す。
【図10】II型多形体の粉末X線回折図(CuKα1放射)を示す。
【図11】II型多形体のDSC曲線を示す。
【図12】II型多形体のIRスペクトル(シングル−バウンスATR−IR)を示す。
【実施例】
【0037】
例1:熱応力下における再結晶化
2mg〜10mgのアモルファス材料を、オープンAlカプセル中、窒素下で、1K/分〜20K/分の加熱比において加熱した。サーモグラムは、218℃の温度で開始する溶解吸熱に続く再結晶発熱を示す(図1を参照のこと)。
【0038】
例2:置換結晶化
115kgの水を、60℃において、120lのエタノール中12.5kgの11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オン溶液に10分間にわたり添加し、そして60℃のジャケット温度において真空下で共蒸留する。該共蒸留は、蒸気中のエタノール含有量が1%以下になるまで繰り返す。続いて、20℃まで冷却し、そして30分間攪拌する。固形物を除去し、乾燥させて、11.9kgのI型多形体を得る。
【0039】
例3:精製による置換結晶化
58kgの水を、沸点において、33lのエタノール中7.6kgの11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オン溶液に5分間にわたり添加する。これを、2℃に冷却し、続いて1時間攪拌する。固形物を除去し、乾燥させて、6.2kgのI型多形体を得る。
【0040】
置換において93%の収率をともない、一定の不純物が約3倍減少した。したがって、11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−メチルエストラ−4,9−ジエン−3−オンは、1.1%から0.38%に減少し、規格以下となる。母液中には63%の不純物が実質的に存在する。
【0041】
例4:研和
15.6kgのエタノール溶媒和物(粉末X線回折図:図9を比較、例5と同様に調製)を、85℃の内部温度において217kgの水中で1時間研和する。続いて25℃に冷却する。単離、乾燥し、12.7gのI型多形体を得る。
【0042】
例5:研和
585mgの11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンをメタノール中64℃で溶解し、そして室温に冷却することによりメタノール溶媒和物を得る。単離、乾燥させ、463mgのメタノール溶媒和物を得る。図8は、メタノール溶媒和物の粉末X線回折図を示す。
【0043】
102mgのこのメタノール溶媒和物を5mlの水中70℃で245分間研和する。31分後、試料を取り出し、そして室温で乾燥させる。記録された粉末X線回折図は、I型多形体の粉末X線回折図に対応する(図3を比較)。該生成物は、0.02%以下のメタノールを含有する。
【0044】
例6:微粒子化
1%を僅かに超えるエタノールの残留溶媒含有量を伴う、10kgの本発明のI型多形体(表1を比較)を、4kg/hの質量流、及び約220Nm3/hにおいて5barの粉砕圧を有するジェットミルで粉砕する。粉砕材料の特定の融解は、帯電の不存在下において困難性を伴わずに生じる。生じる生成物は、3μmの累積粒径分布(x50,3値)を有する。残留溶媒含有量は0.35%に低下した。
【0045】
例7:II型多形体の調製
1.2gの11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンを6.12gのエタノール中70℃で溶解し、そして2時間にわたり−10℃に冷却することにより結晶化する。−10℃で一晩攪拌した後、結晶を−10℃にて単離する。40℃における窒素ブランケットによる対流乾燥オーブン中で乾燥させ、16時間後、1.09gのII型多形体を得る。
【0046】
例8:脱溶媒和/再結晶化による精製
1000mgのエタノール溶媒和物を5mlのメチルエチルケトン(MEK)中で懸濁させる。外懸濁液を90℃で30分間攪拌し、その後60分にわたり−15℃に冷却し、そしてこの温度で60分間攪拌する。外懸濁液を−15℃で濾紙上にのせ、そして吸引により濾過する。収率は、反応容器を−15℃における1mlのメチルエチルケトンでリンスし、そして同様に濾紙上のリンスした懸濁液を加えることにより増大する。
【0047】
該固形物を40℃における対流乾燥オーブン内で乾燥させる。このようにして調製した0.244gのMEK溶媒和物を、70℃で2時間にわたり2.05mlの水中に懸濁させる。冷却後、単離及び乾燥して、0.177gのI型多形体が得られる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの結晶形態に関する。本発明は、特に、該化合物の2つの結晶溶媒和物/無水物、I型多形体及びII型多形体に関する。しかしながら、本発明はまた、これらの2つのI型及びII型多形体を調製するための前駆体としての結晶溶媒和物、例えば、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンのメタノール及びエタノール溶媒和物にも関する。置換結晶化又は研和によるI型多形体の調製方法が記載される。非溶媒和物(ansolvate)の形成の前の最後の溶媒の選択は、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの個々の溶媒和物の精製挙動における相違に基づくことができる。本発明のI型多形体は医薬品の製造に特に適している。
【背景技術】
【0002】
経口医薬製剤に加工される活性医薬成分について、これらの活性成分は、通常固形である必要がある。これに関して多くの固形が利用できる。これらはアモルファス又は結晶であってよい。結晶化において、該活性成分は非溶媒和物として生じうる。また、結晶中の溶媒の組み込みを介して溶媒和物を形成することも可能である。水和物は、例えば結晶中の水の組み込みにより形成される溶媒和物である。
【0003】
各々の固形により多くの物理化学的特性が決定されることが知られている。医薬的に関係するこのような特性は、例えば、活性成分の化学的安定性、医薬賦形剤に対する安定性、粉砕性、及び流動作用があげられる。また、結晶固体はアモルファス固体よりも優れた安定性を有することが知られている。アモルファス固体に関しては、再結晶化のリスク、及びそれに伴う医薬製剤において利用される固形の抑制されない損失のリスクが存在する。アモルファス固体の利点として、とりわけ、優れた溶解性又は顕著に増大した分解速度があげられる。特定の医薬製剤において使用される活性成分の固形を選択する場合には、利点及び不利点、例えば分解速度、安定性及び処理性、を互いに調和させる必要がある。特性の変化は、ある固形から他の形態への転化に常に関係するため、安定な固形は医薬品の開発において必要条件となる。
【0004】
非溶媒和物及び水和物は、医薬的な適用のための結晶固体として許容できる。非水溶媒の溶媒和物は、いくつかの例外を除き、高い有機溶媒含有量のために活性成分としては不適当である。
【0005】
固形活性医薬成分の調製は、とりわけ、化学合成、精製及び固形物の単離を含む。分取クロマトグラフィーは精製のためにますます利用されている。これにより活性成分のごく僅かな損失を伴うが、多量の不純物を除去することができる。これは、活性成分と化学的に密接に関係し、そして古典的な結晶化において僅かにしか除去されず、母液中の活性成分の多量な損失を伴う不純物について特に有用である。活性成分は、分取クロマトグラフィーカラムのラフィネート中に相対的に希釈された形態において存在する。該活性成分を固形におけるこのラフィネートから分離する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンは、以下の構造式を有する:
【化1】
【0007】
11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンは、アモルファス形態としてだけ以前に開示されている(EP0970103B1の9ページ、段落0056)。このアモルファス形態は、クロマトグラフィー後の活性成分を含有する画分の乾燥による濃縮から生じる。このようにして得られたアモルファス形態は、残留溶媒の含有量の観点から活性医薬成分についての要件を満たさない。さらに、攪拌器からの該形態の除去も困難である。最終製剤への経路における更なる段階は微粒子化である。微粒子化は、例えばエアージェットミルを用いる粉砕物質の細かな研和である。
しかしながら、微粒子を調製するために他の方法もまた適当である。これは、製剤中の活性成分の均一な含有量を保証するために、特に低用量の医薬調製物で必要となる。物質の良好な粉砕のための必須条件は、特に、出発物質と粉砕物質の適当な流動性である。以前に開示されている形態の取り扱いはここでもまた困難となる。これは帯電を得るために、微粒子化が困難であるためである。
【0008】
溶液からの結晶化により、取り扱うことができる固体を産生するための通常の方法は、今日まで可能ではなかった。11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンは、最終段階を結晶化するために許容的かつ慣習的であり、そして十分に可溶性である溶媒からの結晶化において溶媒和物を形成する。該溶媒和物は、有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、2−ブタノール、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン又はテトラヒドロフランからの、及びイソプロパノール/水、エタノール/酢酸エチル、イソプロパノール/酢酸イソプロピルからの結晶化後に検出されてきた。しかしながら、残留溶媒の含有のために、これらの溶媒和物は活性医薬成分についての要件を満たさない。このようにして形成された溶媒和物から溶媒を除去するための乾燥はアモルファス相に導く。
【0009】
既知の化合物の新規な、以前に知られていない固形の外観が予測できないことは一般に知られている。多形体の数と同様、結晶相の存在は予測することが難しい。形成の条件及び個々の形態の特性を予測できる可能性は極めて低いものである。
【0010】
本発明の目的は、既知のアモルファス形態の不利点、特に低い保存性及び処理中の帯電、ならびに有機溶媒による結晶溶媒和物の不利点を有さない、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの固形を産出することである。
【0011】
この目的はI型多形体及びII型多形体の発見により達成された。
【0012】
アモルファス固形は、明確かつ参考的な融点を示さないことが知られている。EP0970103B1に開示されるアモルファス形態のDSC曲線(DSC=示差走査熱量)は、加熱率に関係なく、110℃〜200℃における発熱、続いて約218℃における吸熱を示した(図1を参照のこと)。吸熱の発生後に供される固形物はXRPD(粉末X線回折)により調査された。これにより、伝統的なスクリーニングにおける同定はできないが、溶媒和物の形成によるHTS(HTS=ハイスループット・スクリーニング)において、新規で完全な結晶形態を発見することができた。図2は、規定のXRPDラインを示さないアモルファス形態の粉末X線回折図を示す。図3は、本発明のI型多形体の粉末X線回折図を示す(トランスミッション、Cu Kα1放射、20〜25℃)。該I型多形体は、XRPDラインd=21.4Åを示す。さらに、XRPDラインは、5.3Å、7.7Å及び5.8Åに位置する。図4は、約218℃において融解するI型多形体のDSC曲線を示す。I型多形体の赤外線スペクトル(シングル−バウンス ATR−IR)は、3416cm-1、1680cm-1、1628cm-1及び1215cm-1においてバンドを示す(図5を参照のこと)。
【0013】
このようにして発見されたI型多形体は、より大規模(kg範囲)に調製することができた。そのために使用した方法は水を用いた置換結晶化及び研和(trituration)である。
【0014】
本発明のI型多形体は、上述の利点に加えて、医薬処理において有効な多くの特性を示す。これは帯電しないため、ジェットミルにおいても困難なく微粒子化することができる。図6は、粉砕粉末の典型的な分布曲線を示す。すべての粒子の50%以上が3μm以下の直径を有する(低分布、体積に基づく粒径分布により測定した)(すなわちx50,3値)累積粒径分布は、アモルファス物質については極めて困難を伴い達成できるのみであり、特に工業規模では達成できない。これは帯電及びこれに伴う乏しい流動性がミルにおける特定の測定を著しく困難にするためである。
【0015】
残留溶媒の含有量は本発明のI型多形体の微粒子化の過程でさらに減少する。対応する値は表1に見ることができる。微粒子化後のI型多形体の残留溶媒含有量は0.34〜0.35%であり、これはICH Q3Cガイドラインにおいてエタノールについて推奨される0.5%の値よりも小さい(CPMP/ICH/283/95、4.3、8/18ページ)。粉末X線回折図によると、微粒子化前後においてI型多形体中にはいかなるエタノール溶媒和物も存在しない。
【0016】
表1:エアージェットミル(微粒子化)前後の本発明のI型多形体中のエタノール含有量
【表1】
【0017】
I型多形体は、アモルファス形態よりも優れた安定性を示す。これは、温度試験、湿度試験、及び特に露光試験の比較結果からも明らかである。上昇温度及び上昇湿度での保管における活性成分含有量の減少を表2に示す。保管前、用いた物質は98.4%又は95.4%の含有量を有していた。
【0018】
表2:上昇温度及び上昇湿度での保管におけるアモルファス11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オン及び本発明のI型多形体の短期間安定性の比較。活性成分含有量の減少を示す。
【表2】
【0019】
I型多形体の優れた安定性は、光下の保管においてより明らかである。表3は、20kLux下で42時間及び66時間後の安定性を示す。初期値は98.4%及び95.4%であった。
【0020】
表3:光下の保管におけるアモルファス11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オン及びI型多形体の安定性の比較。活性成分含有量の減少を示す。
【表3】
【0021】
医薬調製物中の活性成分としての11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの使用において、不純物のプロファイルは極めて重要である。活性成分の保管において生じる化合物は、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−9,10−エポキシ−19−ノル−10α,17α−プレグナ−1,4−ジエン−3−オンである。この化合物の毒性は知られている。この不純物の含有量は医薬製剤の有効期限まで0.2%以下でなければならない。ストレス条件(上昇温度及び湿度)下及び光下における11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンのアモルファス固体の保管においては、この不純物の有意な形成が確認された。したがって、アモルファス固形物は医薬品における使用について安定性を有さず、不適当である。しかしながら、I型多形体においては、この重大な不純物の増大は実質的にゼロである。I型多形体の使用において、煩雑な安定化はもはや必要ない。70℃の温度におけるアモルファス11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの保管における上述のエポキシ不純物の形成は、わずか15日後に0.6%であり、30日後には1.1%にもなった。一方、同じ温度で30日間のI型多形体の保管においては、わずか0.1%のエポキシ不純物が検出されるだけである。表4は、ストレス条件下及び光下のアモルファス11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの保管におけるエポキシ不純物の増大を示す。これと比較して、本発明のI型多形体はこれらの不純物において0.2%以下しか増大しない。
【0022】
表4:光下の保管におけるアモルファス11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オン及びI型多形体の保管におけるエポキシ不純物の増加。
【表4】
【0023】
ストレス条件(15日、90℃/75%相対湿度)下のアモルファス活性成分についてI型多形体を与えるための部分的な再結晶化が見られた。これは、比較的低温度で長期にわたるアモルファス相の保管において、このような再結晶が生じるものと推測できる。しかしながら、これは活性成分の変化した再現できない放出に導き、医薬形態の硬度にも影響しうるため、このような転化は最終医薬形態においては望ましくない。
【0024】
本発明のI型多形体は、筋腫又は乳癌の治療のために使用できる医薬調製物に処方することができる。これは女性避妊における活性成分として使用できるが、婦人科障害、例えば月経困難症又は子宮内膜症の治療、月経を誘発し、分娩を誘導するためのホルモン置換治療における活性成分として使用できる。強力な抗腫瘍活性のために、ホルモン依存性腫瘍の治療のための製品において抗エストロゲン剤と組み合わせて(同時又は別々に)利用することもできる(EP0310542)。腸、前立腺、卵巣、子宮内膜、及び骨膜における腫瘍の治療における使用も考えられる。
【0025】
11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンは、該物質に適当な溶媒とともに、溶媒和物を形成する。本発明のI型多形体を調製するためには2つの方法が存在する:第1は水を使用する置換により、第2は研和により調製することができる。
【0026】
本発明のI型多形体は、有機溶媒からの置換結晶化により得ることができる。この場合、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンは、置換に利用される貧溶媒と溶媒和物を形成しないことが必要である。また、主要な溶媒として、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンと溶媒和物を形成するものも使用できるが、溶媒和物が不安定になるように、該置換の間に主要な溶媒の割合を減少させる必要がある。11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンは水和物を形成しないため、1つの可能な貧溶媒は水である。溶媒和物の形成を回避するために必要な水の割合は、主要な溶媒及び結晶化が行われる温度の両方に依存する。表5は、主要な溶媒であるエタノールについて、エタノールからのI型多形体の信頼できる結晶化のための最小値と温度の関係における、エタノールにおける必要な水の割合を示す。室温(20℃)において、例えば40wt%の水が必要である。これに関して40wt%は40重量%の水を意味する。すなわち、1gの溶媒混合物あたり0.4gの水が存在する。
【0027】
表5:温度関数として信頼できるI型多形体の置換結晶化の最小値に必要な水の割合
【表5】
【0028】
水/エタノール混合物中の11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの溶解度は、水の割合に強い依存性を示す。この依存性は図7に示される。11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの溶解度は、水の割合がわずか20wt%である場合、純粋なエタノール中の溶解度の100分の1にまで低下する。そのため、記載された置換は、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンにとって経済的に価値がある。必要とされる水の割合は、他の系については明らかに高く、それ故、置換は高い希釈においてのみ行うことができ、不十分な空間収量(space yield)を伴う。
【0029】
本発明のI型多形体は、研和によっても得ることができる。異なる固形間の相転移は、低い溶解力の溶媒中の研和において可能である。この場合における転移は、特定の条件下においてより安定である個体へと常に導く。溶媒和物の研和は、溶媒和の溶媒の除去に導くことができる。この目的のために、溶媒和物の安定領域にしておく必要がある。上述のとおり、室温において、エタノール中40wt%水は十分である。図7を比較すると、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの溶解度はこのような混合物中で十分に低く、それ故、該方法は、物質の大きな損失を伴うことなく行うことが可能である。このような研和から生じる新しい相がアモルファスであるか結晶であるかを予測することは理論的に可能ではない。記載された研和は、本発明のI型多形体をもたらす。
【0030】
水中の研和後の残留溶媒含有量及び非溶媒和形態への変換は、3種の溶媒について表6中に示す。すべての場合において、純粋なI型多形体は脱溶媒和後に存在した。
【0031】
表6:水中研和後の残留溶媒含有量
【表6】
【0032】
したがって、多くの溶媒和物は、非溶媒和形態を形成するための出発点として適当である。選択はさらなる目標変数に基づくことができる。発見されたように、異なる溶媒和物の形成における不純物の減少は程度により異なる。したがって、選択によって精製を改善することが可能になる。再溶媒和/再結晶における不純物の減少の効率は、不純物の合計と特定の不純物を使用して比較することが可能である。表7は、不十分に減少するMTBEを伴う2種類の有効な溶媒(メチルエチルケトン[MEK]、アセトン)を比較する。不純物の合計における変化、ならびに1番及び2番目に多い不純物の減少が示されている。減少因子は7:1〜2:1の範囲を網羅する。効率的な減少溶媒は、特定の不純物、この場合最も多い不純物の減少においても変化する。すべての研和について収率は85〜90%である。
【0033】
表7:不純物の合計、MEK、アセトン及びMTBE溶媒和物を得るための再溶媒化における最大含有量及び第二最大含有量の減少。出発物質(SM)及び3つの生成物中の不純物の含有量を示す。
【表7】
再溶媒化/再結晶化による精製は、実施例8に従い行うことができる。
【0034】
上述のI型多形体に加え、II型多形体もまた調製することができた(例7)。この目的のために、11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンをエタノール中に溶解させた。該エタノール溶媒和物は、エタノール溶液を冷却させることによって結晶化させた。エタノール溶媒和物の熱脱溶媒和は、II型多形体をもたらす。II型多形体はアモルファス形態よりも安定であることが推測できる。しかしながら、I型多形体よりも熱力学安定性が乏しいために、これは固形医薬品における活性成分として2番目の選択にすぎない。
【0035】
図10は、II型多形体の粉末X線回折図を示す(Cu Kα1放射、20〜25℃)。II型多形体は、d=5.1Åの特徴的なXRPDラインを示す。さらなるXRPDラインは、7.1Å及び5.6Åに存在する。図11は、II型多形体のDSC曲線を示し、これは、役135℃において融解する。II型多形体の融解は、I型多形体として再結晶し、これは約218℃において融解する。II型多形体の赤外線スペクトル(シングル−バウンス ATR−IR)は、3653cm-1、1682cm-1、1601cm-1及び1209cm-1においてバンドを示す(図12を参照のこと)。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】5K/分の加熱率における173℃から185℃の発熱を伴う11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンのアモルファス形態のDSC曲線を示す。
【図2】11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンのアモルファス形態の粉末X線回折図(CuKα1放射)を示す。
【図3】I型多形体の粉末X線回折図(CuKα1放射)を示す。
【図4】I型多形体のDSC曲線を示す。
【図5】I型多形体のIRスペクトル(シングル−バウンスATR−IR)を示す。
【図6】エアージェットミルにおける製粉後のI型多形体の典型的な粒径分布を示す。
【図7】溶媒として使用した水/エタノール混合物中の水の割合の関数としての結晶11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの溶解度を示す。
【図8】11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンのメタノール溶媒和物の粉末X線回折図(CuKα1放射)を示す。
【図9】11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンのエタノール溶媒和物の粉末X線回折図(CuKα1放射)を示す。
【図10】II型多形体の粉末X線回折図(CuKα1放射)を示す。
【図11】II型多形体のDSC曲線を示す。
【図12】II型多形体のIRスペクトル(シングル−バウンスATR−IR)を示す。
【実施例】
【0037】
例1:熱応力下における再結晶化
2mg〜10mgのアモルファス材料を、オープンAlカプセル中、窒素下で、1K/分〜20K/分の加熱比において加熱した。サーモグラムは、218℃の温度で開始する溶解吸熱に続く再結晶発熱を示す(図1を参照のこと)。
【0038】
例2:置換結晶化
115kgの水を、60℃において、120lのエタノール中12.5kgの11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オン溶液に10分間にわたり添加し、そして60℃のジャケット温度において真空下で共蒸留する。該共蒸留は、蒸気中のエタノール含有量が1%以下になるまで繰り返す。続いて、20℃まで冷却し、そして30分間攪拌する。固形物を除去し、乾燥させて、11.9kgのI型多形体を得る。
【0039】
例3:精製による置換結晶化
58kgの水を、沸点において、33lのエタノール中7.6kgの11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オン溶液に5分間にわたり添加する。これを、2℃に冷却し、続いて1時間攪拌する。固形物を除去し、乾燥させて、6.2kgのI型多形体を得る。
【0040】
置換において93%の収率をともない、一定の不純物が約3倍減少した。したがって、11β−(4−アセチルフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−メチルエストラ−4,9−ジエン−3−オンは、1.1%から0.38%に減少し、規格以下となる。母液中には63%の不純物が実質的に存在する。
【0041】
例4:研和
15.6kgのエタノール溶媒和物(粉末X線回折図:図9を比較、例5と同様に調製)を、85℃の内部温度において217kgの水中で1時間研和する。続いて25℃に冷却する。単離、乾燥し、12.7gのI型多形体を得る。
【0042】
例5:研和
585mgの11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンをメタノール中64℃で溶解し、そして室温に冷却することによりメタノール溶媒和物を得る。単離、乾燥させ、463mgのメタノール溶媒和物を得る。図8は、メタノール溶媒和物の粉末X線回折図を示す。
【0043】
102mgのこのメタノール溶媒和物を5mlの水中70℃で245分間研和する。31分後、試料を取り出し、そして室温で乾燥させる。記録された粉末X線回折図は、I型多形体の粉末X線回折図に対応する(図3を比較)。該生成物は、0.02%以下のメタノールを含有する。
【0044】
例6:微粒子化
1%を僅かに超えるエタノールの残留溶媒含有量を伴う、10kgの本発明のI型多形体(表1を比較)を、4kg/hの質量流、及び約220Nm3/hにおいて5barの粉砕圧を有するジェットミルで粉砕する。粉砕材料の特定の融解は、帯電の不存在下において困難性を伴わずに生じる。生じる生成物は、3μmの累積粒径分布(x50,3値)を有する。残留溶媒含有量は0.35%に低下した。
【0045】
例7:II型多形体の調製
1.2gの11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンを6.12gのエタノール中70℃で溶解し、そして2時間にわたり−10℃に冷却することにより結晶化する。−10℃で一晩攪拌した後、結晶を−10℃にて単離する。40℃における窒素ブランケットによる対流乾燥オーブン中で乾燥させ、16時間後、1.09gのII型多形体を得る。
【0046】
例8:脱溶媒和/再結晶化による精製
1000mgのエタノール溶媒和物を5mlのメチルエチルケトン(MEK)中で懸濁させる。外懸濁液を90℃で30分間攪拌し、その後60分にわたり−15℃に冷却し、そしてこの温度で60分間攪拌する。外懸濁液を−15℃で濾紙上にのせ、そして吸引により濾過する。収率は、反応容器を−15℃における1mlのメチルエチルケトンでリンスし、そして同様に濾紙上のリンスした懸濁液を加えることにより増大する。
【0047】
該固形物を40℃における対流乾燥オーブン内で乾燥させる。このようにして調製した0.244gのMEK溶媒和物を、70℃で2時間にわたり2.05mlの水中に懸濁させる。冷却後、単離及び乾燥して、0.177gのI型多形体が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶の11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オン。
【請求項2】
請求項1に記載の11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの結晶無溶媒和物。
【請求項3】
請求項1に記載の11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの結晶溶媒和物。
【請求項4】
請求項3に記載の11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの結晶メタノール溶媒和物。
【請求項5】
請求項3に記載の11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの結晶エタノール溶媒和物。
【請求項6】
請求項3に記載の11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの結晶MEK溶媒和物。
【請求項7】
粉末X線回折図がd=21.4Åにおいてラインを示すことを特徴とする、請求項2に記載のI型多形体。
【請求項8】
粉末X線回折図がd=21.4Å、d=7.7Å、d=5.8Å及びd=5.3Åにおいてラインを示すことを特徴とする、請求項2に記載のI型多形体。
【請求項9】
IRスペクトルが3416cm-1、1680cm-1、1628cm-1及び1215cm-1においてバンドを示すことを特徴とする、請求項2に記載のI型多形体。
【請求項10】
粉末X線回折図がd=5.1Åにおいてラインを示すことを特徴とする、請求項2に記載のII型多形体。
【請求項11】
粉末X線回折図がd=5.1Å、d=7.1Å、及びd=5.6Åにおいてラインを示すことを特徴とする、請求項2に記載のII型多形体。
【請求項12】
IRスペクトルが3653cm-1、1682cm-1、1601cm-1及び1209cm-1においてバンドを示すことを特徴とする、請求項2に記載のII型多形体。
【請求項13】
請求項2、7、8又は9のいずれか1項に記載の微粒子化結晶無溶媒和物。
【請求項14】
0.5wt%以下の残留溶媒含有量を有することを特徴とする、請求項13に記載の微粒子化結晶無溶媒和物。
【請求項15】
x50,3値(体積に基づく累積粒径分布)が5μm以下、好ましくは5μm以下かつ1μm以上であることを特徴とする、請求項13又は14に記載の微粒子化多形体。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の結晶の11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンを含んでなる医薬組成物。
【請求項17】
筋腫の治療のための請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
乳癌の治療のための請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項19】
0.2%以下の11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−9,10−エポキシ−19−ノル−10α,17α−プレグナ−1,4−ジエン−3−オンを含んでなる、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項20】
11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンが溶媒和物を形成しない貧溶媒での有機溶媒からの置換結晶化による、請求項7、8又は9に記載のI型多形体の調製方法。
【請求項21】
前記有機溶媒がエタノールであり、そして貧溶媒が水である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
水の割合が50wt%以上であって、そして温度が50℃以下である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンが溶媒和物を形成しない、溶媒中の有機溶媒和物における研和による、請求項7、8又は9に記載のI型多形体の調製方法。
【請求項24】
前記溶媒和物がエタノール溶媒和物であり、そして溶媒が水である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記研和が50〜100℃の温度において行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記研和が80〜90℃の温度において行われる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
調製において不純物が顕著に減少するように溶媒和物が選ばれる、請求項23に記載の方法。
【請求項1】
結晶の11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オン。
【請求項2】
請求項1に記載の11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの結晶無溶媒和物。
【請求項3】
請求項1に記載の11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの結晶溶媒和物。
【請求項4】
請求項3に記載の11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの結晶メタノール溶媒和物。
【請求項5】
請求項3に記載の11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの結晶エタノール溶媒和物。
【請求項6】
請求項3に記載の11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンの結晶MEK溶媒和物。
【請求項7】
粉末X線回折図がd=21.4Åにおいてラインを示すことを特徴とする、請求項2に記載のI型多形体。
【請求項8】
粉末X線回折図がd=21.4Å、d=7.7Å、d=5.8Å及びd=5.3Åにおいてラインを示すことを特徴とする、請求項2に記載のI型多形体。
【請求項9】
IRスペクトルが3416cm-1、1680cm-1、1628cm-1及び1215cm-1においてバンドを示すことを特徴とする、請求項2に記載のI型多形体。
【請求項10】
粉末X線回折図がd=5.1Åにおいてラインを示すことを特徴とする、請求項2に記載のII型多形体。
【請求項11】
粉末X線回折図がd=5.1Å、d=7.1Å、及びd=5.6Åにおいてラインを示すことを特徴とする、請求項2に記載のII型多形体。
【請求項12】
IRスペクトルが3653cm-1、1682cm-1、1601cm-1及び1209cm-1においてバンドを示すことを特徴とする、請求項2に記載のII型多形体。
【請求項13】
請求項2、7、8又は9のいずれか1項に記載の微粒子化結晶無溶媒和物。
【請求項14】
0.5wt%以下の残留溶媒含有量を有することを特徴とする、請求項13に記載の微粒子化結晶無溶媒和物。
【請求項15】
x50,3値(体積に基づく累積粒径分布)が5μm以下、好ましくは5μm以下かつ1μm以上であることを特徴とする、請求項13又は14に記載の微粒子化多形体。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の結晶の11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンを含んでなる医薬組成物。
【請求項17】
筋腫の治療のための請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
乳癌の治療のための請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項19】
0.2%以下の11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−9,10−エポキシ−19−ノル−10α,17α−プレグナ−1,4−ジエン−3−オンを含んでなる、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項20】
11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンが溶媒和物を形成しない貧溶媒での有機溶媒からの置換結晶化による、請求項7、8又は9に記載のI型多形体の調製方法。
【請求項21】
前記有機溶媒がエタノールであり、そして貧溶媒が水である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
水の割合が50wt%以上であって、そして温度が50℃以下である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
11β−(4−アセチルフェニル)−20,20,21,21,21−ペンタフルオロ−17−ヒドロキシ−19−ノル−17α−プレグナ−4,9−ジエン−3−オンが溶媒和物を形成しない、溶媒中の有機溶媒和物における研和による、請求項7、8又は9に記載のI型多形体の調製方法。
【請求項24】
前記溶媒和物がエタノール溶媒和物であり、そして溶媒が水である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記研和が50〜100℃の温度において行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記研和が80〜90℃の温度において行われる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
調製において不純物が顕著に減少するように溶媒和物が選ばれる、請求項23に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2009−538855(P2009−538855A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512491(P2009−512491)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004805
【国際公開番号】WO2007/140917
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004805
【国際公開番号】WO2007/140917
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】
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