説明

17−ヒドロキシ−6β,7β;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−17α−プレグネ−4−エン−21−カルボン酸γ−ラクトンの工業的製造方法およびこの方法のための重要中間体

本発明は、式(I)の17−ヒドロキシ−6β,7β;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−17α−プレグネ−4−エン−21−カルボン酸γ−ラクトンの工業的製造方法、およびこの方法のための重要中間体に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明の課題は、式(I)の公知の17−ヒドロキシ−6β,7β;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−17α−プレグネ−4−エン−21−カルボン酸γ−ラクトン(以下、ドロスピレノンと言う)の工業的製造方法、並びにこの合成のための重要中間体に関するものである。
【0002】
式(I)の化合物は療法においてドロスピレノンという名称で知られ、抗−ミネラロコルチコイド作用および抗アンドロゲン作用をも有する合成プロゲスチンである。エチニルエストラジオールと組み合わせて、Yasminの名称下に経口避妊薬として市販されている。
【0003】
式(I)のドロスピレノンの製造につき、幾つかの方法が化学文献にて公知である。これらは使用する出発物質および反応工程の順序にて相違する。官能基の導入は公知の化学方法により達成される。
【0004】
ドロスピレノンの合成は、先ず最初に独国特許第2,652,761号明細書に開示された。この合成は3β−ヒドロキシ−15β,16β−メチレンアンドロスト−5−エン−17−オンから出発し、これをリチウムの存在下にテトラヒドロフラン中で1−ブロモ−3−ジメトキシプロパンと反応させ、次いで70%酢酸中で行われる位置7における環化によって「ラクトール−エーテル」を生成させる。分子に存在するヒドロキシ基およびエーテル基はアルミニウムイソプロピレートの存在下にシクロヘキサノンで酸化され、次いで二重結合は2N硫酸により異性化されて17−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3−オキソ−17α−プレグネ−4−エン−21−カルボン酸γ−ラクトンを生成させた。
【0005】
このように得られた「γ−ラクトン」をt−ブタノール中でクロラニル(テトラクロルベンゾキノン)と反応させて「3−オキソ−アンドロスタ−4,6−ジエン」を生成させ、ここでメチレン基を位置6,7に導入し(トリメチルスルホキソニウムイオダイドおよびナトリウム水素化物を用いて現場で「メチリード」を生成させることによる)、ドロスピレノンを生成させた。
【0006】
3β−ヒドロキシ−15β,16β−メチレンアンドロスト−5−エン−17−オン(上記合成のための出発物質)の製造のため、独国特許第1,593,500号明細書には5工程反応ルートが開示されている。
【0007】
ドロスピレノンの最初の合成は典型的には実施困難な反応により行われ、貧弱な収率を与えた。クロマトグラフィーにより達成される中間体および最終生成物の精製も低収率(それぞれ49%、26%および16%)を与えた。
【0008】
独国特許第2,746,298号明細書には、ドロスピレノンの製造にも使用しうる中間体が記載されている。二重結合(メチレン基の導入には必要とされる)を形成させるため、第1ヒドロキシル基を微生物学的プロセスにより分子中に取り入れる。デヒドロエピアンドロステロン(合成のための出発物質)を微生物的にヒドロキシル化して3β,7α,15α−トリヒドロキシアンドロスト−5−エン−17−オンを得、次いでこれを追加発酵工程で酸化させて7α,15α−ジヒドロキシアンドロスト−4−エン−3,17−ジオンを得る。位置15におけるヒドロキシ基の除去をp−トルエンスルホン酸触媒で達成して、「4,6,15−トリエン」を生成させる。
【0009】
7α,15α−ジヒドロキシ誘導体をピリジン中で無水酢酸によりアセチル化する場合、3β−アセトキシ−7α−ヒドロキシアンドロスト−5,15−ジエン−17−オンが1工程で得られた。メチレン基を上記のように位置15,16中へ導入し、得られた化合物を微生物学的に酸化させた。次いで水の除去は15β,16β−メチレンアンドロスタ−4,6−ジエン−3,17−ジオンを与えた。次いでステロイドのAB環中に「ジエン」構造を有する化合物をオルト蟻酸トリアルキルエステルおよびp−トルエンスルホン酸触媒の存在下にエチレングリコールで処理してそれ自体公知の方法でケタールを得、前記ケタールを上記のようにリチウムの存在下にジメトキシブロモプロパンと反応させて「17−アセタール」を得、次いでこれを環化させて対応の「ラクトール−メチルエーテル」を生成させると共に、これをジョーンズ酸化にかけて対応の「ラクトン」を得る。このように得られた中間体は、メチレン基をも公知方法で導入しうる位置6,7に二重結合を有する。
【0010】
理論的に、欧州特許第051,143号明細書およびその均等物(米国特許第4,416,985号明細書および米国特許第4,614,616号明細書)には、ドロスピレノンの製造につき他の合成ルートが記載されている。この方法はアンゲバンテ・ヘミー、第94巻、第718〜719頁(1982)にも記載されている。新規であることは、6β,7β−メチレン基が立体特異的にシモンス−スミス反応により生成される点である。
【0011】
プロセスの出発物質は3β−ヒドロキシ−15β,16β−メチレンアンドロスト−5−エン−17−オンである。7β位置におけるヒドロキシをボツリオジプロジア・マロルムを用いる発酵プロセスにて導入し、得られる化合物をレシオセレクチブ(regioselective)に無水ピバリン酸により4−ジメチルアミノピリジンの存在下にアセチル化して、対応の3β−ピバロイルオキシ誘導体を生成させる。前記ピバロイルオキシ誘導体をVO(アセトニルアセトネート)触媒の存在下にt−ブチルヒドロペルオキシドと反応させて5β,6β−エポキシ誘導体を生成させ、次いでこれをトリフェニルホスフィンおよび四塩化炭素とジクロルメタン中で反応させて7α−クロル誘導体を生成させる。前記7α−クロル誘導体を酢酸とテトラヒドロフランとの混合物にて亜鉛と反応させて、5β−ヒドロキシ−15β,16β−メレン−3β−ビバロイルオキシアンドロストン−6−エン−17−オンを生成させ、次いでこれを水酸化カリウムで加水分解させて3β,5β−ジヒドロキシ−15β,16β−メチレンアンドロスト−6−エン−17−オンを得る。
【0012】
位置6に二重結合を有する化合物には、エチレングリコールジメチルエーテル溶剤中で亜鉛の存在下にジイオドメタンを用いてメチレン基を導入し、得られた「6β,7β;15β,16β−ジメチレン」誘導体をテトラヒドロフラン中でカリウムエチラートの存在下に位置17にてプロビニル化させる。前記17α−(3−ヒドロキシ−1−プロビニル)−6β,7β;15β,16β−ジメチレンアンドロスタン−3β,5β,17β−トリオールをテトラヒドロフランとメタノールとピリジンとの混合物中でPd/CaCOもしくはPd/C触媒の存在下に水素化し、得られた化合物を水性ピリジン中の三酸化クロムを用いることにより1工程で酸素化、ラクトン化および脱水させた。
【0013】
欧州特許第0,051,143号明細書によれば、ピバロイルオキシ保護基の代わりにt−ブチルジメチルシリル,ジメチル−(3−メチルブチル)シリルもしくはトリベンゾルシリル置換基も適している。
【0014】
合成は15工程で構成される。エポキシド化工程においては、t−ブチルヒドロペルオキシドの使用が危険なしに可能である。亜鉛粉末を激しい撹拌下に不均質系で用いる場合は特殊な装置が必要である。ナトリウムペルクロレートは危険な物質であり、反応体として四塩化炭素は実験室規模でさえ既に使用することができないのに対し、カリウムエチラートは可燃性である。実験に基づき、エチニル基を水素化される場合、完全水素化生成物の他に常に部分水素化不純物も存在し、前記不純物はこれが直鎖であっても環式であっても有用化合物の相当な損失を伴ってのみ分離することができる。
【0015】
欧州特許第075,189号明細書および米国特許第4,435,327号明細書の両者は組合せ合成/微生物プロセスに関するものである。合成のための出発物質はここでもデヒドロエビアンドロステロンであり、これは発酵プロセス(コレトトリクム・ホモイデス)によりジヒドロキシル化されて、3β,7α,15α−トリヒドロキシアンドロスト−5−エン−17−オンを得る。この化合物の位置7におけるヒドロキシ置換基を次いで触媒としての35%過塩素酸を用いてたとえばアセトンとジクロルメタンとの混液中でエピマー化させる。最終的に3β,7β,15α−トリヒドロキシ誘導体をピリジン中で4−ジメチルアミノピリジン触媒の存在下に塩化ピバロイルと反応させて3,15−ピバロイル化された誘導体を得る。化合物を製造するための代案方法も開示されている。
【0016】
合成の次の工程は欧州特許第051,143号明細書に記載された工程と同じである。
【0017】
この方法が12工程でなる他、これは前記した各反応をも使用し、これらは可能な工業的用途を不確実にする。
【0018】
独国特許第3,626,832号明細書には、γ−ラクトン環を形成させる異なる新規な方法が開示されている。この合成は15β,16β−メチレン−3−メトキシ−アンドロスタ−3,5−ジエン−17−オンから出発、これを2−(1−エトキシエトキシ)−3−ブテンニトリルと反応させ、得られる「不飽和ニトリル」の誘導体を2工程でγ−ラクトン構造を形成すべく環化させる。このプロセスの困難性は、特殊試薬の合成および位置6におけるブロム化から生ずる。工業規模におけるブチルリチウムの使用は危険なしではない。
【0019】
独国特許第1,963,3683号(=米国特許第6,121,465号明細書)によれば、後記中間体から(すなわち17α(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−6β,7β;15β,16β−ビスメチレン−アンドロスタン−3β,5β,17β−トリオールおよび6β,7β;15β,16β−ビスメチレン−5β,17β−ジヒドロキシ−3−オキソ−17α−プレグナン−21−カルボン酸γ−ラクトンから)新規な方法によりドロスピレノンが作成される。17α(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−6β,7β;15β,16β−ビスメチレンアンドロスタン−3β,5β,17β−トリオールがテトラヒドロフラン中でパラジウム/炭素の存在下に水素化され、得られる生成物を次の反応工程に更に精製することなく使用した。
【0020】
得られた「ビスメチレンプロパノール」をアセトニトリルに懸濁させ、この懸濁物を45℃まで加熱し、次いで1モル%の三塩化ルテニウムを水溶液にて添加する。次いで臭化ナトリウムの水溶液を滴下し、反応混合物を50℃に2時間保ち、次いで抽出方法により後処理する。6β,7β;15β,16β−ビスメチレン−5β,17β−ジヒドロキシ−3−オキソ−17α−プレグナン−21−カルボン酸γ−ラクトンを再結晶化させ、p−トルエンスルホン酸で脱水すると共にクロマトグラフにより精製する。明細書によれば、水素化および酸化工程は65〜72%収率で行うことができる。
【0021】
欧州特許第0,150,702号明細書には、アンドロスト−4−エン−3,17−ジオンから出発する方法が開示されている。15α−ヒドロキシ誘導体が発酵工程により作成され、前記化合物をベンゾイル化して油性生成物を得、これをトリメチルスルホニウムイオダイドから現場で作成されたトリメチルスルホニウムメチリードと反応させる。40gの15α−ヒドロキシ−アンドロスト−4−エン−3,17−ジオンからクロマトグラフによる精製の後に、22.7gの15β,16β−メチレンアンドロスト−4−エン−3,17−ジオンが得られた。
【0022】
次いでプロパルギル基をカリウムエチラートの存在下にプロパルギルアルコールを用いて位置17に導入した。17β−ヒドロキシ−17α−(3−ヒドロキシ−1−プロピニル)−15β,16β−ビスメチレンアンドロスト−5−エン−3−オン成分が追加反応工程にて「3−オキソ−アンドロスト−4−エン」まで異性化された化合物混合物が得られる。前記「プロピニル」誘導体をトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロライド触媒の存在下に水素化し、ラクトン環の形成をビリジン中で三酸化クロムを用いて行う。得られるカルボラクトンをオルト蟻酸トリエチルエステルと反応させて、3−エトキシ−15β,16β−メチレン−17α−プレグナ−3,5−ジエン−21,17−カルボラクトンを生成させ、これを位置6にて臭素化させ、得られる油性生成物をジメチルホルムアミド中で臭化リチウムおよび炭酸リチウムと100℃で反応させて、クロマトグラフによる精製後に15β,16β−メチレン−3−オキソ−17α−プレグナ−4,6−ジエン−21,17−カルボラクトン中間体を得る。プロピニル化合物の水素化および位置6における臭素化から生ずる困難性は上記した通りであった。
【0023】
独国特許第1,920,145号明細書によれば、3−メトキシ−15β,16β−メチレンアンドロスタ−3,5−ジエン−17−オンが15β,16β−メチレンアンドロスタ−4−エン−17−オンから合成させ、これを触媒量のp−トルエンスルホン酸および2,2−ジメトキシプロパンと共にジメチルホルムアミド中でメタノールの存在下に還流させる。前記「3−メトキシ」誘導体をドロスピレノンの作成のため中間体として使用することができる。
【0024】
当業界で公知であると共に実験室規模で実現されたプロセスを、規模拡大を行う場合は更なる予期せぬ問題の原因となりうる。最近の薬理学的要件によれば、現定数の不純物のみを制限量にて含有しうる薬物の純度を調節すべく幾つかの試験(たとえばTLCもしくはHPLC)が特定される。これら要件に合致するには、どの不純物およびどのような量を中間体中に存在させるかを知ることが実用的である。
【0025】
この種の不純物の慎重な分析(特に工業プロセスの場合)は適する精製法を選択すると共に、どの工程を組み合わせてプロセスを好適にしうるかを選択する助けとなりうる。
【0026】
上記各面を考慮して本発明の目的は、安全であり、前記プロセスの欠点を持たず、かつ得られる薬物が純粋であると共に薬理学的要件を満足させるような工業規模にて実現しうる方法を提供することにある。
【0027】
驚くことに全ての要件は、下記する方法により満たされうることを突き止めた:式(III)
【0028】
【化1】

【0029】
の公知の15α−ヒドロキシ−アンドロスト−4−エン−ジオンを位置15におけるヒドロキシにてC1−6アルカンカルボン酸の反応性誘導体でエステル化して、一般式(IV)
【0030】
【化2】

【0031】
[式中、Rは水素原子または1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を示す]
の15α−アシルオキシアンドロスト−4−エン−3,17−ジオンを生成させ、一般式(IV)の前記化合物を酸性触媒の存在下にアルキル成分中に1〜4個の炭素原子を有するトリアルキルオルトホルミエートと反応させて、一般式(V)
【0032】
【化3】

【0033】
[式中、Rは上記と同じ意味を有し、Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す]
の15α−アシルオキシ−3−アルコキシ−アンドロスタ−3,5−ジエン−17−オンを得、
一般式(V)の前記化合物をトリメチルスルホキソニウム塩およびアルカリ金属水酸化物からジメチルスルホキシド中で現場で作成されたトリメチルスルホキソニウムメチリードと反応させて、一般式(VI)
【0034】
【化4】

【0035】
[式中、Rは上記と同じ意味を有する]
の15β,16β−メチレン−3−アルコキシアンドロスタ−3,5−ジエン−17−オンを生成させ、
一般式(VI)の前記化合物をリチウム金属の存在下に2−(2−ブロモエチル)−1,3−ジオキソランまたはアルコキシ成分中に1〜4個の炭素原子を有する2−(2−ブロモエチル)−ジアルコキシ−アセタールと反応させて、一般式(VII)
【0036】
【化5】

【0037】
[式中、Rは上記と同じ意味を有し、RおよびRは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示し、または一緒になって1,2−エチレン基を形成する]
の17−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3−アルコキシ−17α−プレグナ−3,5−ジエン−21−カルボキシアルデヒド−環式1,2−エタンジイルアセタールもしくは17−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3−アルコキシ−17α−プレグナ−3,5−ジエン−21−カルボキシアルデヒド ジアルコキシアセタールを得、
一般式(VII)の前記化合物をクロラニル(2,3,5,6−テトラクロル−2,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジオン)で酸化させて一般式(VIII)
【0038】
【化6】

【0039】
[式中、RおよびRは上記と同じ意味を有する]
の17−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3−オキソ−17α−プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボキシアルデヒド環式1,2−エタンジイル−アセタールもしくは17α−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3−オキソ−17α−プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボキシアルデヒド ジアルコキシ−アセタールを生成させ、
一般式(VIII)の前記化合物を
(a)酸性媒体中で環化させて一般式(IX)
【0040】
【化7】

【0041】
[式中、Rはメチル、エチルもしくはプロピル基を示し、〜結合はα−およびβ−配置を示す]
の15β,16β−メチレン−3−オキソ−アンドロスタ−4,6−ジエン−[17(β−1)スピロ5′]ペルヒドロフラン−2′ξ−オール−アルキルエーテルを形成させ、式(IX)の前記化合物をトリメチルスルホキソニウム塩およびアルカリ金属水酸化物からジメチルスルホキシド中で現場で作成されたトリメチルスルホキソニウムメチリードと反応させ、または
(b)トリメチルスルホキソニウム塩およびアルカリ金属水酸化物からジメチルスルホキシド中で現場で作成されたトリメチルスルホキソニウムメチリードと反応させて一般式(IXa)
【0042】
【化8】

【0043】
[式中、RおよびRは上記と同じ意味を有し、〜結合はα−およびβ−配置を示す]
のビスメチレン誘導体を得、一般式(IXa)の前記化合物を酸性媒体中で環化させ、次いで上記代案工程順序のいずれかにおける終点にて得られる一般式(X)
【0044】
【化9】

【0045】
[式中、Rはメチル、エチルもしくはプロピル基を示し、〜結合はα−およびβ−配置を示す]
の6ξ,7ξ;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−アンドロスト−4−エン−[17(β−1)スピロ5′]−ペルヒドロフラン−2′ξ−オール−アルキルエーテル混合物から、6β,7β−異性体をクロマトグラフィーにより分離すると共にジョーンズ試薬で酸化してドロスピレノンを得るか、または
上記代案工程順序のいずれかにおける終点にて得られる一般式(X)の6ξ,7ξ;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−アンドロスト−4−エン−[17(β−1)スピロ5′]−ペルヒドロフラン−2′ξ−オール−アルキルエーテル混合物
[式中、Rはメチル、エチルもしくはプロピル基を示し、〜結合はα−およびβ−配置を示す]
をジョーンズ試薬で酸化させて一般式(XI)
【0046】
【化10】

【0047】
[式中、〜結合はα−およびβ−配置を示す]
の6ξ,7ξ;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−アンドロスト−4−エン−[17(β−1)スピロ5′]−ペルヒドロフラン−2′−オン(17−ヒドロキシ−6ξ,7ξ;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−17α−プレグネ−4−エン−21−カルボン酸γ−ラクトン)を得、この異性体混合物から6β,7β−異性体を単離すると共に、所望ならば上記合成ルートのいずれかで得られる式(I)
【0048】
【化11】

【0049】
のドロスピレノンを結晶化により精製する。
【0050】
本発明による方法のための公知の出発物質(すなわち式(III)の15α−ヒドロキシ−アンドロスト−4−エン−3,17−ジオン)は、好適には微生物ヒドロキシル化を介し、式(II)
【0051】
【化12】

【0052】
のアンドロスト−4−エン−3,17−ジオンから作成される。
【0053】
本発明によれば、式(III)の15α−ヒドロキシ−アンドロスト−4−エン−3,17−ジオンを好ましくは乾燥テトラヒドロフラン中で4−ジメチルアミノピリジンの存在下に40℃の温度未満で無水酢酸と反応させ、反応が完結した後に反応混合物を沈殿物が濾過しうるほど充分濃密であれば水に添加し、母液がなくなるまで洗浄し、次いで乾燥させる。15α−アセトキシ−アンドロスト−4−エン−3,7−ジオンが88%収率で得られる。この反応は実施容易であり、安全性および規模拡大の問題を持たない。得られる15α−アセトキシ化合物は次の反応工程に精製なく使用することができる。
【0054】
15α−ピバロイルオキシ誘導体(一般式(IV)[ここでRはt−ブチル基である]の新規な化合物)は、ピリジン中で触媒としてジメチルアミノピリジンを用いると共にアシル化剤として塩化バパロイルを用いて、ピリジン中で同様に作成することができる。
【0055】
次いで一般式(IV)の15α−アシルオキシ誘導体を乾燥テトラヒドロフラン中に溶解させ、この溶液を0℃まで冷却すると共に、硫酸触媒の存在下に好ましくはトリメチルもしくはトリエチルオルトホルムエートと反応させる。反応が完結した際、溶液にはピリジンを添加しかつテトラヒドロフランを溶剤補充技術を用いて留去し(アセトニトリルに対する)、この懸濁物を濾過すると共に固体物質を乾燥させる。式(V)の15α−アセトキシ−3−メトキシ−アンドロスタ−3,5−ジエンが95%収率で得られる。
【0056】
新規な15α−ピバロイルオキシ−3−メトキシ−アンドロスタ−3,5−ジエン−17−オンおよび更に一般式(IV)の新規な15α−ピバロイルオキシ−3−エトキシ−アンドロスタ−3,5−ジエン−17−オンが作成される場合も同じ方法に従う。
【0057】
一般式(V)の15α−アセトキシ−3−メトキシ−アンドロスタ−3,5−ジエン−17−オンをトリメチルスルホキソニウムイオダイドおよび水酸化カリウムから溶剤中で現場で作成された試薬により処理し、反応混合物を6時間にわたり撹拌し、次いで水に添加する。沈殿物を濾去し、洗浄して母液を除去し、次いで乾燥させる。最終的に、得られた15β,16β−メチレン−3−メトキシ−アンドロスタ−3,5−ジエン−17−オン(一般式(VII)の化合物)をメタノールから結晶化させる。
【0058】
15β,16β−メチレン−3−エトキシ−アンドロスタ−3,5−ジエン−17−オンは上記した方法により作成される。
【0059】
この反応で生成された一般式(VI)の「3−アルコキシ」誘導体を、乾燥テトラヒドロフラン中でリチウムの存在下に0℃にて2−(2−ブロモエチル)−1,3−ジオキソランと反応させる。反応が終了した際、リチウムを水酸化リチウムにメタノールと水との混液により変換させ、溶剤を蒸留により除去し、残留物を水と混合し、沈殿物を濾過し、洗浄して母液を除去し、乾燥させ、次いでメタノールから結晶化させる。一般式(VII)の新規な化合物が92%の収率で得られる。
【0060】
(17α)−15β,16β−メチレン−17−ヒドロキシ−3−メトキシ−プレグナ−3,5−ジエン−21−カルボキシアルデヒド環式1,2−エタンジイル−アセタール、並びに(17α)−15β,16β−メチレン−17−ヒドロキシ−3−メトキシ−プレグナ−3,5−ジエン−21−カルボキシアルデヒド−ジエチル−アセタール(一般式(VII))も新規な化合物であって、上記と同様に作成される。
【0061】
一般式(VII)の前記新規な「アセタール」[そのうち(17α)−15β,16β−メチレン−17−ヒドロキシ−3−メトキシ−プレグナ−3,5−ジエン−21−カルボキシアルデヒド環式1,2−エタンジイル−アセタールが特に好適である]を、アセトン/水混液に溶解させると共にクロラニルと25℃にて反応させる。反応が完結した際、過剰のクロラニルをナトリウムピロサルファイトで分解させ、標的化合物をジクロルメタンで抽出する。抽出物から油性物質、すなわち(17α)−15β,16β−メチレン−17−ヒドロキシ−3−オキソ−プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボキシアルデヒド環式1,2−エタンジイル−アセタール(一般式(VIII))が得られ、これをメタノール中で濃塩酸により0℃にて環化させて、一般式(IX)の15β,16β−メチレン−3−オキソ−アンドロスタ−4,6−ジエン−[17(β−1′)スピロ−5′]−ペルヒドロフラン−2′ξ−オール−メチルエーテル(または同様にして「プロピルエーテル」)を生成させる。
【0062】
一般式(IX)の前記化合物をジメチルスルホキシド中で窒素雰囲気下に、トリメチルスルホキソニウムイオダイドおよび水酸化カリウムから現場で作成された試薬と反応させる。反応が終了した後、反応混合物を水で希釈し、得られた沈殿物を濾過し、中性になるまで洗浄し、次いで乾燥させる。位置6,7におけるα/β配置のメチレン基およびラクトール環における2つの異なる配置のアルコキシ置換基を有する粗製生成物を単離すると共に、更に精製することなく残した。
【0063】
得られた一般式(X)のアルコキシ誘導体をアセトン中でジョーンズ試薬と0〜5℃にて反応させ、過剰の試薬をイソプロパノールにより分解し、混合物を水に添加する。水溶液からアセトンおよびイソプロパノールを蒸留により除去し、残留物を水で希釈すると共に沈殿物を濾過し更に乾燥させて一般式(XI)の化合物を得る。この粗製生成物を酢酸エチルに溶解し、溶液を活性炭で透明にし、次いで吸着剤を濾過により除去し、溶剤を蒸発させる。油性生成物を最初に通常のクロマトグラフ(ノルマル相、大気圧)にかけ、次いでHPLCにかけて分離6β,7β−および6α,7α−メチレン異性体をそれぞれ得る。
【0064】
本発明の他の具体例においては、一般式(VIII)の「3−オキソ−プレグナ−4,6−ジエン」を一般式(X)の「ビスメチレン」誘導体まで変換させることができ、これには一般式(VIII)の「ジエン」を先ず最初にトリメチルスルホキソニウムイオダイドから現場で作成された試薬で処理し、次いで位置17に存在する各置換基を酸性媒体中で環化させて、一般式(X)のビスメチレン化合物を得る。
【0065】
一般式(XI)の化合物から6β,7β−および6α,7α−メチレン異性体への分離は2工程のクロマトグラフにより行われる。その一方はノルマル相モード(プレクロマトグラフィー)にて大気圧で行われ、他方はHPLC法(微細クロマトグラフィー)にて行われる。
【0066】
プレクロマトグラフィーおよび微細(fine)クロマトグラフィーの両シリカゲルを静止相およびパイロット規模の操作として使用され、ジイソプロピルエチル/酢酸エチル/ジクロルメタンの57:33:10容量比の混合物が溶出剤として使用される。
【0067】
実験室規模においては64:18:18容量比のシクロヘキサン/酢酸エチル/アセトン混液を同じ分離効率を達成すべく溶出剤として用いうる。
【0068】
55:35:10容量比のシクロヘキサン/酢酸エチル/アセトニトリルまたは50:30:20容量比のシクロヘキサン/メチルt−ブチルエーテル/アセトン混液を用いる場合にも同様な結果を達成することができる。
【0069】
クロマトグラフによる「β/α」混合物の分離は50.73%の収率にて行われる。プレ−および微細−クロマトグラフの説明は実施例21および22に示す。
【0070】
クロマトグラフにかけた生成物の更なる精製はメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、酢酸エチル;10容量%までの水を含有するメタノール/水、エタノール/水、プロパノール/水、イソプロパノール/水溶剤混液50容量%までのアセトンを含有するアセトン/ジイソプロピルエーテル混液;50容量%までの酢酸エチルを含有するシクロヘキサン/酢酸エチル混液;10容量%までのジクロルメタンを含有するジクロルメタン/ジイソプロピルエーテル混液;および10容量%までのジクロルメタンを含有するジクロルメタン/ヘキサン混液から選択される溶剤より結晶化による達成することができる。
【0071】
以下、実施容易な本発明による方法を示すフローシートである。
【0072】
本発明の工程は次の特徴により支持される:
(a)パイロット規模のプロセスがドロスピレノンの合成につき提供される。公開された特許および他の化学刊行物は実験プロセスを記載している。本発明の方法は更にバッチ寸法で各実施例に示されたものと比較して更に規模拡大することができる。
(b)本方法の出発物質(たとえば公知の15α−ヒドロキシ−アンドロスト−4−エン−3,17−ジオン)は工業生成物として容易に入手できる。
(c)本方法は8工程で構成される一方、他の当業界で知られたプロセスはたとえばそれぞれ15工程、12工程および10工程で構成される。
(d)本発明によれば、中間体も良好な収率で得られる。たとえば実施例1においては88%、実施例3では3.95%、実施例6では76%、実施例8では92%、実施例11では12.74%、実施例15では65%の収率が達成できた。(e)最後の合成工程で得られる混合物はプレ−およびファイン−クロマトグラフィーにより49.2%収率で分離され、これは独国特許第2,652,761号明細書に示された16%と比較して優秀である。
(f)本方法で得られる中間体は簡単な結晶化方法により精製される。他の方法(たとえば独国特許第2,652,761号明細書に開示された方法)においては、最終生成物だけでなく2種の中間体もクロマトグラフィーで精製される。本発明の方法においては、実施例1、3、10および14に開示した中間体の場合、精製の必要がなかった。
(g)技術文献によれば、ドロスピレノンは四塩化炭素(禁止された試薬)、t−ブチルヒドロペルオキシド、ナトリウム水素化物、ブチルリチウム、過塩素酸ナトリウムおよびナトリウムエチラートを用いて作成された。これら反応体は特にプラント規模用途には危険な材料である。亜鉛の使用は不均質反応の場合に必要な強力撹拌を与えるのに特殊装置を必要とする。本方法は、この種のまたは同様な困難性を持たない。
(h)プラント規模の製造は、取り扱い容易、安定かつ精製容易である中間体を必要とする。(17α)−15β,16β−メチレン−17−ヒドロキシ−3−メトキシ−プレグナ−3,5−ジエン−21−カルボキシアルデヒド環式1,2−エタンジイル−アセタール(すなわち合成の特定中間体)の安定性は、技術文献にて用いうると記載された他のアセタールと異なり優秀である。
(i)公知中間体の作成の場合、技術文献に記載されたものと比較して一層容易な方法を使用すると共に一層良好な収率を達成すべく努力が払われている。たとえば15α−アセトキシ−アンドロスト−4−エン−3,17−ジオンが再現性容易かつ規模拡大容易に88%の収率で得られる一方、米国特許第5,236,912号明細書には62%の収率がこの化合物につき示されている。
(j)本方法で得られる中間体および最終生成物(特に立体化学および純度に関し)をNMRスペクトロスコピーにより慎重に分析し、不純物の量をHPLCにより測定した。技術文献に記載された中間体に関しては大抵の場合、そのようなデータは存在しない。
(k)戦略的に重要かつ特異的な本発明の合成の生成物は新規である。これらの他に、幾つかの近縁化合物も新規である。新規な中間体は実施例2、4、5、8、9、10、11、14、15、16および18に記載されている。
(l)15α−アシルオキシ化合物中へ「メチレン」を導入して一般式(VI)の化合物を正確な反応パラメータを決定すべく得ることにつき詳細に検討した。前記反応において、ジメチル−[(3−メトキシ−17−オキソ−アンドロスタ−3,5−ジエン−15β−イル)メチル]スルホニウムイオダイド(VIa)が中間体として同定され、これを温度の厳密な管理と共に「15β,16β−メチレン」誘導体まで変換することができる。前記中間体を単離し、その構造を同定し、次いで実施例6に従い15,16β−化合物まで変換させた。この種の検討を技術文献には見出せなかった点に注目することが望ましい。
【0073】
以下、本発明を限定はしないが実施例により更に説明する。
【0074】
実施例1
5α−アセトキシアンドロスト−4−エン−3,17−ジオン
16.9kgの15α−ヒドロキシアンドロスト−4−エン−3,17−ジオンを54リットルの乾燥テトラヒドロフラン中に激しく撹拌しながら室温にて窒素バブリングさせながら懸濁させ、次いで101.4gの4−ジメチルアミノピリジンおよび8.45リットルの無水酢酸を順次に添加する一方、温度を40℃未満に保つ。反応が進行するにつれ、混合物は透明になる。無水酢酸の添加が終了した後、混合物を30分間撹拌し、次いでゆっくり540リットルの水に添加すると共に生成沈殿物が濃密になるまで更に2時間にわたり撹拌し、遠心分離により濾過し、少しずつの水で中性になるまで洗浄し、次いで一定重量まで40℃未満の温度にて乾燥させる。得られた表記化合物は、更に精製することなく次の反応工程に使用することができる。
【0075】
【数1】

【0076】
実施例2
5α−ピバロイルオキシアンドロスト−4−エン−3,17−ジオン
8g(26.45ミリモル)の15α−ヒドロキシアンドロスト−4−エン−3,17−ジオンを40mlのピリジン中に窒素バブリング下および激しく撹拌しながら溶解させる。この溶液に0.8g(6.5ミリモル)の4−ジメチルアミノピリジンを添加し、次いで8ml(64.95ミリモル)の塩化ピバロイルを8〜10分間かけて滴下し、撹拌を反応が終了するまで20時間にわたり持続する。
【0077】
添加時間に際し混合物の温度は30〜32℃まで上昇する。反応が完結した後、溶液を400mlの水に添加する。生成した沈殿物を濾過し、150mlのジクロメタンに溶解させ、先ず最初に35mlの5℃まで冷却された10%塩酸で洗浄し、次いで50mlの水、35mlの5%重炭酸ナトリウム溶液および水(3x50ml)により中性になるまで洗浄する。ジクロルメタン溶液を乾燥させ(硫酸ナトリウム)、濾過し、溶剤を蒸留により除去する。残留物を80gのシリカゲルが充填されたカラムにてクロマトグラフにかけ、これには溶出剤として極性の増大するジクロルメタン/メタノール溶剤混合物を使用する。表記化合物を含有する各フラクションを合し、溶出剤を蒸留により除去し、更に残留物をヘキサンから結晶化させて表記化合物を得る(6.95;60%)。
【0078】
【数2】

【0079】
実施例3
15α−アセトキシ−3−メトキシアンドロスタ−3,5−ジエン−17−オン
16.9gの15α−アセトキシアンドロスト−4−エン−3,17−ジオンを101リットルの乾燥テトラヒドロフラン中に激しく撹拌および窒素バブリングさせながら室温にて溶解させる。反応混合物を0℃まで冷却し、8.04リットルのトリメチルオルトホルミエートおよび次いで1.7リットルのテトラヒドロフラン(1容量%の硫酸を含有する)を添加する。反応混合物を0〜2℃にて5時間にわたり撹拌し、この時点で5.4リットルのピリジンを添加し、撹拌を20分間にわたり持続する。テトラヒドロフランを蒸留により除去すると共に連続的にアセトニトリルを補充し、容積を初期容積の1/3に調節する。表記化合物を結晶懸濁物として含有するアセトニトリルを0℃まで冷却し、遠心分離により濾過し、母液を0℃まで冷却させたアセトニトリルで洗浄除去し、生成物を一定重量になるまで40℃の温度にて減圧乾燥させる。
【0080】
【数3】

【0081】
実施例4
15α−ピバロイルオキシ−3−メトキシアンドロスタ−3−ジエン−17−オン
2gの(5.17ミリモル)の15α−ピバロイルオキシアンドロスト−4−エン−3,17−ジオンから出発して、1.53g(73.8%)の表記化合物が実施例3の記載のように得られた。
【0082】
【数4】

【0083】
実施例5
15α−アセトキシ−3−エトキシアンドロスタ−3,5−ジエン−17−オン
22.5g(65.32ミリモル)の5α−アセトキシアンドロスト−4−エン−3,17−ジオンから出発して実施例3のように化合物が作成され、ただしトリメチルオルトホルミエートの代わりにトリエチルオルトホルミエートを使用した。表記化合物をアセトニトリルから結晶化させる。
【0084】
【数5】

【0085】
実施例6
15β,16β−メチレン−3−メトキシアンドロスタ−3,5−ジエン−17−オン
12.96kgのトリメチルスルホキソニウムイオダイドを180リットルのジメチルスメホキシド中に窒素バブリングおよび激しい撹拌の下で25〜23℃にて溶解させ、5.51kgの水酸化カリウムを溶液に添加する。撹拌を1時間持続し、次いで16.22kgの15α−アセトキシ−3−メトキシアンドロスタ−3,5−ジエン−17−オンを添加し、反応混合物を25〜30℃にて反応が完結するまで(約6時間)撹拌する。溶液をゆっくり900リットルの水に添加し、得られる沈殿物を30分間にわたり濃密になるまで撹拌し、遠心分離により濾過し、少しずつの水で中性になるまで洗浄し、次いで一定重量まで40℃未満の温度にて減圧乾燥させ、粗製の表記化合物をメタノールから結晶化させた。
【0086】
【数6】

【0087】
結晶化の母液からジメチル−[(3−メトキシ−17−アンドロスタ−3,5−ジエン−15β−イル)メチル]スルホキソニウムイオダイド(反応の中間体)を反応の中間体を単離することができる。
【0088】
【数7】

【0089】
この中間体を次のように15β,16β−メチレン−3−メトキシアンドロスタ−3,5−ジエン−17−オンまで変換させることができる:1.6gのトリメチルスルホキソニウムイオダイドを22mlのジメチルスルホキシド中に窒素雰囲気下で激しく撹拌しながら溶解させ、次いで0.68gの水酸化カリウムを25〜30℃にて添加する。反応混合物を更に1時間にわたり撹拌し、次いで2g(3.74ミリモル)のジメチル−[(3−メトキシ−17−オキシアンドロスタ−3,5−ジエン−15β−イル)メチル]スルホキソニウムイオダイドを添加すると共に、撹拌を反応が終了するまで(約4時間)25〜30℃にて持続した。この溶液をゆっくり110mlの水に添加し、30分間にわたり沈殿物が濃密になるまで撹拌し、濾過し、少しずつの水で中性になるまで洗浄し、次いで一定重量まで40℃未満の温度にて減圧乾燥させる。粗製の表記化合物をメタノールから結晶化させる。
収量:0.95g(84.2%)
物理的パラメータは上記したと同じである。
【0090】
実施例6/a
15β,16β−メチレン−3−メトキシアンドロスタ−3,5−ジエン−17−オン
5g(12.93ミリモル)の15α−ピバロイルオキシ−3−メトキシアンドロスタ−3,5−ジエン−17−オンから出発し、2.6g(65%)の表記化合物を実施例6に記載したように作成する。物理的特性は、実施例6に示したものと同じである。
【0091】
実施例7
15β,16β−メチレン−3−エトキシアンドロスタ−3,5−ジエン−17−オン
20gの15α−アセトキシ−3−エトキシアンドロスタ−3,5−ジエンから出発し、16.75g(65%)の粗製表記化合物を実施例6に記載したように得ると共に、0.2mlのピリジンを含有する200mlのエタノールから結晶化させる。
【0092】
【数8】

【0093】
実施例8
17−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3−メトキシ−17α−プレグナ−3,5−ジエン−21−カルボキシアルデヒド環式1,2−エタンジイルアセタール
10.5kgの15β,16β−メチレン−3−メトキシアンドロスタ−3,5−ジエン−17−オンを147リットルの乾燥テトラヒドロフラン中に激しく撹拌しながらアルゴン雰囲気下に室温にて溶解させる。溶液を0℃まで冷却し、1.89kgの金属リチウムを添加する。この溶液に12.6リットルの2−(2−ブロモエチル)−1,3−ジオキソランを強力撹拌の下に添加し、10〜20℃の温度で冷却する。15〜20℃における撹拌を5時間持続し、次いで過剰のリチウムを10リットルのメタノールおよび100mlの水で分解させて水酸化リチウムを形成させる。完全分解の後、メタノールおよびテトラヒドロフランを留去し、この残留物に80リットルの水を添加する。沈殿物が充分濃密になった際これを濾過し、少しずつの水で中性まで洗浄し、更に一定重量まで40℃未満の温度で減圧乾燥させて13.8kgの粗製表記化合物を得、これをメタノールから結晶化させる。
【0094】
【数9】

【0095】
実施例9
17−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3−エトキシ−17α−プレグナ−3,5−ジエン−21−カルボキシアルデヒド環式1,2−エタンジイルアセタール
10gの3−エトキシ−15β,16β−メチレンアンドロスタ−3,5−ジエン−17−オンから出発し、表記化合物を実施例8により作成したが、ただし反応が完結した後に水溶液から沈殿した油性生成物を100mlのジクロルメタンで抽出し、有機層を中性まで水洗し、脱水し(硫酸ナトリウム)、更に濾過する。濾液からジクロルメタンを留去すると共に、残留物をメタノールから結晶化させて11.02gの表記化合物を得る。
【0096】
【数10】

【0097】
実施例10
17−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3−メトキシ−17α−プレグナ−3,5−ジエン−21−カルボキシアルデヒド−ジエチル−アセタール
表記化合物を10gの15β,16β−メチレン−3−メトキシアンドロスタ−3,5−ジエン−17−オンおよび12mlの3−クロルプロビオンアルデヒドジエチルアセタールから実施例9に記載したように10.17g(77%)の収量で作成する。
【0098】
【数11】

【0099】
実施例11
17−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3−オキソ−17α−プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボキシアルデヒド環式1,2−エタンジイル−アセタール
12.8kgの17−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3−メトキシ−17α−プレグナ−3,5−ジエン−21−カルボキシアルデヒド環式1,2−エタンジイル−アセタールを345リットルのアセトン中に激しく撹拌しながら窒素雰囲気下に室温にて溶解させ、次いで42リットルの水および8.4kgのクロラニルを懸濁物に添加すると共に、反応混合物を25℃にて撹拌する。得られた溶液に400リットルの5%ナトリウムピロサルファイト水溶液を添加し、混合物を0.5時間撹拌し、次いでアセトンを蒸留により除去する。残留物を265リットルのジクロルメタンで抽出し、有機層を60リットルの10%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、更に50リットルの水で順次に2回洗浄する(中性となるまで)。ジクロルメタン溶液を硫酸ナトリウムで脱水させ、乾燥剤を濾過により除去すると共に、濾液からジクロルメタンを蒸発させる。残留物に25リットルのメタノールを添加し、次いで留去して12.2kgの油性の表記化合物を生成させ、これを次の反応工程に精製することなく使用することができる。
【0100】
油性生成物をイソプロパノールから結晶化させて、次の物理的特性を有する生成物を得ることができる:
【0101】
【数12】

【0102】
実施例12
15β,16β−メチレン−3−オキソ−アンドロスタ−4,6−ジエン−[17(β−1′)スピロ−5′]−ペルヒドロフラン−2′ξ−オール−メチルエーテル
12.0kgの実施例11で得られた油性生成物を76リットルのメタノールに溶解させ、0℃まで冷却し、連続冷却の下で30.5リットルの濃塩酸を0℃にて添加する。混合物を1時間撹拌し、生成沈殿物を濾過し、少しずつの水で酸がなくなるまで洗浄し、次いで一定重量になるまで40℃未満の温度にて減圧乾燥させて表記化合物を得、これをメタノールから結晶化させる。
【0103】
実施例11および12の積算収率は8.4kg(74%)である。
【0104】
【数13】

【0105】
実施例13
15β,16β−メチレン−3−オキソ−アンのロスタ−4,6−ジエン−[17(β−1′)スピロ−5′]−ペルヒドロフラン−2′ξ−オール−メチルエーテル(反応ルート2)
6.0gの(17α)−15β,16β−メチレン−17−ヒドロキシ−3−メトキシ−プレグナ−3,5−ジエン−21−カルボキシアルデヒド−ジエチル−アセタールから出発し、実施例11および12により化合物を作成したが、ただしエノール−エーテルのクロルアニル酸化から得られた17−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3−オキソ−17α−プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボキシアルデヒド環式1,2−エタンジイル−アセタールは純粋な形態では単離されない。
収量:3.20g(65%)。
【0106】
実施例14
15β,16β−メチレン−3−オキソ−アンドロスタ−4,6−ジエン−[17(β−1′)スピロ−5′]−ペルヒドロフラン−2′ξ−オール−プロピルエーテル
8.9gの17−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3−オキソ−17α−プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボキシアルデヒド環式1,2−エタンジイル−アセタールから出発し、実施例12に記載した方法に従ったが、ただしメタノールの代わりにn−プロパノールを使用すると共に、後処理段階ではn−プロパノールを蒸留により除去する。残留物を100mlのジクロルメタンで抽出し、有機層を中性まで7x50mlの水で洗浄した。ジクロルメタン層を硫酸ナトリウムで脱水し、脱水剤を濾過により除去し、濾液から溶剤を留去すると共に残留物を80gのシリカゲルでクロマトグラフにかけ、カラムからジクロルメタンで溶出させる。表記化合物を含有する各フラクションを合し、溶出剤を留去して5.63g(58%)の油性表記化合物を得、これを次の工程に結晶化することなく使用する。生成物は3:2の比における2種の化合物の混合物であり、プロピル基の配置において相違する。
【0107】
【数14】

【0108】
実施例15
6ξ,7ξ;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−アンドロスト−4−エン−[17(β−1′)スピロ−5′]−ペルヒドロフラン−2′ξ−オール−メチルエーテル
19.41kgのトリメチルスルホキソニウムイオダイドを162リットルの乾燥ジメチルスルホキシド中に窒素下で激しく撹拌しながら室温にて懸濁させ、次いで4.94kgの水酸化カリウムを添加すると共に撹拌を1時間にわたり持続する。現場で作成されたこの試薬に8.14kgの15β,16β−メチレン−3−オキソ−アンドロスタ−4,6−ジエン−[17(β−1′)スピロ−5′]−ペルヒドロフラン−2′ξ−オール−メチルエーテルを添加し、混合物を25℃にて20時間撹拌する。混合物を840リットルの水に添加し、沈殿生成物を含有する混合物を30分間撹拌し、遠心分離により濾過し、中性まで少しずつの水で洗浄し、一定重量まで40℃未満の温度にて減圧乾燥させる。得られた生成物は表記化合物の6β,7β−および6α,7α−異性体の混合物であり、ここで6β,7β−異性体の量は65%である。
収量:8.07kg
混合物における6β,7β−異性体のNMR:
【0109】
【数15】

【0110】
ラクトール環におけるメチルエーテルはα−もしくはβ−配置を有しうると共に、同様に位置6,7におけるメチレン環もα−もしくはβ−配置を有しうるので、製造HPLCにより分離される4種の異性体が得られた。
【0111】
純6β,7β;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−アンドロスト−4−エン−[17(β−1′)スピロ−5′]−ペルフルオロフラン−2′ξ−オール−メチルエーテルのNMRデータ:
【0112】
【数16】

【0113】
実施例16
17−ヒドロキシ−6ξ,7ξ;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−17α−プレグネ−4−エン−21−カルボキシアルデヒド環式1,2−エタンジイルアセタール
13.5gのトリメチルするホキソニウムイオダイドを250mlの乾燥ジメチルスルホキシド中で窒素下に5〜10分間にわたり撹拌する。この懸濁物3.5gの水酸化カリウムを添加すると共に、撹拌を1時間にわたり持続する(水酸化カリウムは完全には溶解しない)。作成されたこの試薬に5.0gの(17α)−15β,16β−メチレン−17−ヒドロキシ−3−オキソ−プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボキシアルデヒド環式1,2−エタンジイルアセタールを添加すると共に、窒素雰囲気下で撹拌を持続する(混合物は2〜4時間後に均質となる)。
【0114】
次いで反応をHPLCにより監視する。20〜24時間後、反応混合物を10〜12℃に冷却された2500mlの水にゆっくり添加し、生成沈殿物が濾過するのに充分な濃度になるまで撹拌する(約2時間)。結晶を濾過し、中性まで水で洗浄し、一定重量まで40℃未満の温度にて減圧乾燥させる。4.33g(83.7%)の粗製表記化合物が得られ、これは約1:3の比の6β,7β−および6α,7α−異性体の混合物である。
混合物における6β,7β−異性体に基づくNMR:
【0115】
【数17】

【0116】
実施例17
6ξ,7ξ;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−アンドロスト−4−エン[17(β−1′)スピロ−5′]−ペルフルオロフラン−2′ξ−オール−メチルエーテル
4gの実施例16で得られた生成物をメタノールに溶解させ、溶液を0℃まで冷却し、10mlの濃塩酸を0℃にて連続冷却下に添加する。1時間にわたる撹拌の後、生成沈殿物を濾過し、酸がなくなるまで少しずつの水で洗浄し、次いで一定重量まで40℃未満の温度にて減圧乾燥させて、2.9g(78.3%)の粗製表記化合物を得る(これは58%の6β,7β−異性体含有量を有する)。
【0117】
実施例18
6ξ,7ξ;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−アンドロスト−4−エン−[17(β−1′)スピロ−5′]−ペルフルオロフラン−2′ξ−オール−プロピルエーテル
10.2gのトリメチルスルホキソニウムイオダイドを92mlの乾燥ジメチルスルホキシド中で窒素下に5〜10分間にわたり撹拌する。この懸濁物に2.6gの水酸化カリウムを添加すると共に、撹拌を1時間持続する(水酸化カリウムの溶解は完全でない)。作成されて試薬に4.6gの15β,16β−メチレン−3−オキソ−アンドロスア−4,6−ジエン−[17(β−1′)スピロ−5′]−ペルフルオロフラン−2′ξ−オール−プロピルエーテルを添加し、撹拌を窒素雰囲気下に持続する(反応混合物は2〜4時間後に均質となる)。
【0118】
反応をHPLCにより監視する。20〜24時間の後、反応混合物を10〜12℃まで冷却された1000mlの水に添加する。生成沈殿物を2時間撹拌し、充分な濃度の結晶を濾過し、中性まで水で洗浄し、一定重量まで40℃未満の温度で減圧乾燥して4.4g(92.8%)の粗製の表記化合物を得た。
【0119】
ラクトール環におけるプロピルエーテルはα−もしくはβ−配置を有することができ、かつ同様に位置6,7におけるメチル環もα−もしくはβ−配置を有しうるので4種の異性体が得られ、これらを作成HPLCにより分離した。
純6β,7β;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−アンドロスト−4−エン−[17(β−1′)スピロ−5′]−ペルフルオロフラン−2′ξ−オール−プロピルエーテルのNMRデータ。
【0120】
【数18】

【0121】
実施例19
17−ヒドロキシ−3−オキソ−6ξ,7ξ;15β,16β−ビスメチレン−17α−プレグネ−4−エン−21−カルボン酸γ−ラクトン(粗製ドロスピレノン)
8.00kgの6ξ,7ξ;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−アンドロスト−4−エン−[17(β−1′)スピロ−5′]−ペルヒドロフラン−2′ξ−オール−メチルエーテルを80リットルのアセトンに溶解し、溶液を0〜2℃まで冷却し、激しい撹拌下に24リットルのジョーンズ試薬を添加すると共に温度を0〜5℃に維持した。撹拌を0〜5℃にて1時間持続し、次いで過剰のジョーンズ試薬を32リットルのイソプロパノールにより同じ温度で分解させる。混合物を30分間にわたり撹拌し、次いで180リットルの水を不均質部分を含有するアセトンにおける混合物に添加する。アセトンおよび過剰のイソプロパノールを減圧下で蒸留により除去する。水性懸濁物(残留物)を25℃まで冷却し、沈殿が濾過に充分な密度となるまで撹拌する(1時間)。結晶性物質を遠心分離により濾過し、中性まで数回の水で洗浄し、一定重量まで減圧乾燥させる。80リットルの酢酸エチルにおける粗製生成物(7.62kg)を0.76kgの活性炭で清澄化させ、次いで炭素を濾過により除去し、濾液を蒸発乾固させて6.15kgの油性生成物(ドロスピレノン含有量は60%である)を得、これをクロマトグラフにより精製する。
【0122】
実施例20
17−ヒドロキシ−3−オキソ−6ξ,7ξ;15β,16β−ビスメチレン−17α−プレグネ−4−エン−21−カルボン酸γ−ラクトン(粗製ドロスピレノン)
30gの6ξ,7ξ;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−アンドロスト−4−エン−[17(β−1′)スピロ−5′]−ペルヒドロフラン−2′ξ−オール−プロピルエーテルから2.75gの粗製の表記化合物を実施例19に記載したように作成し、実施例19に記載したように精製した。
【0123】
実施例21
17−ヒドロキシ−3−オキソ−6ξ,7ξ;15β,16β−ビスメチレン−17α−プレグネ−4−エン−21−カルボン酸γ−ラクトン(ドロスピレノン)の,ノルマル相モードで操作する低圧クロマトグラフィーによるプレ精製:
カラム(直径32cm;長さ250cm)に90kgのシリカゲル(メルク・キーゼルゲル、40〜60μm粒子寸法)をスラリー法を用いて充填した。2.5kgの粗製ドロスピレノンを13.5リットルのジクロメタンに溶解し、この溶液を重力方法にてシリカゲル床の頂部に層状化させ、次いで溶出剤混液(ジイソスピルエーテル/酢酸エチル/ジクロルメタン、57:33:10容量比)にて同じく重量法で洗浄する。カラムに溶出剤を満たし、密閉し、次いで溶出を200リットル/hrの流速で開始する。600リットルの溶出剤が流出した後、50リットルの各フラクションを集め(約20フラクション)、TLCにより検査する。TLCの結果に基づき各フラクションが形成される:「6α,7α−異性体リッチ」のもの、他の「混合」フラクションおよび「予備精製ドロスピレノン」を含有するもの。各フラクションを蒸発乾固させ、得られた固形物をジクロルメタン/ジイソプロピルエーテル、(10:90容量%)から結晶化させる。「混合」フラクションは、標的化合物「ドロスピレノン」の他に、6α,7α−異性体をも保護復活物質に存在するのと同じ量にて含有する。「予備精製ドロスピレノン」は最高2%の6α,7α−異性体を含有する。2.5kgの粗製ドロスピレノンから約1.1kgの「予備精製」ドロスピレノンが得られる一方、「混合」フラクションは約0.6kgの重量であった。後者をプレクロマトグラフ操作に循環させることができる。「予備精製」生成物の総量は1353g(54.6%)である。
17−ヒドロキシ−6α,7α;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−17α−プレグネ−4−エン−21−カルボン酸γ−ラクトン(ドロスピレノン、6α,7α−異性体)の回収
【0124】
「6α,7α−異性体リッチ」のフラクションから得られた蒸発残留物を、先ず最初にアセトン/ジイソプロピルエーテル、(10:90容量%)から結晶化させ、次いでメタン/水混液から結晶化させて純ドロスピレノン6α,7α−異性体を得た。
【0125】
【数19】

【0126】
HPLCによる微細(fine)クロマトグラフィー
カラム(直径20cm)に8kgのシリカゲル(ウエチコンC−ゲル C−490;粒子寸法:15〜35μm)をスラリー法により充填し(吸着剤の圧縮長さ:約60cm)、更にプレクロマトグラフにつき使用される溶出剤で状態調節する。80gの予備精製されたドロスピレノン(最大6α,7α−異性体含有量は2%である)を600mlのジクロルメタンに溶解し、溶液をカラムに充填する。溶出を80リットル/hrの流速で行い、次いでカラムから流出する溶出剤をUV検出にかける。化合物の通過から異性体混合物を含有するプレフラクション(3.61リットル)を集め、次いで「微細クロマトグラフ」にかけたフラクションをUV検出に基づき集める(約20リットル)。両フラクションを蒸発させると共に、残留物をジクロルメタン/ジイソプロピルエーテル(10:90容量%)から結晶化させる。プレフラクションは20〜25gの結晶物質(最大2%の6α,7α−異性体含有量)を与え、「微細クロマトグラフ」のフラクションは55〜60gのドロスピレノン(最大0.1%6α,7α−異性体含有量)を与えた。プレフラクションを微細クロマトグラフに循環し、このようにしてドロスピレノンの総量は75g(93.7%)であった。
【0127】
2.5kgの粗製生成物から1268g(50.73%)の結晶質生成物が得られ、これを12.5リットルのイソプロパノール中に還流下で溶解させ、次いで0℃まで冷却し、結晶物質を濾過し、母液を500mlのイソプロパノールで洗浄し、次いで一定重量まで乾燥させて1230g(49.2%)の結晶生成物を得た。
【0128】
結晶化を更に次のような溶剤から同じ結果をもって行うことができる:
メタノール、エチノール、プロパノール、イソプロパノール、酢酸エチル、10容量%までのメタノール/水、エタノール/水、プロパノール/水、イソプロパノール/水を含有する溶剤混液;50容量%までのアセトンを含有するアセトン/ジイソプロピルエーテル混液;50容量%までの酢酸エチルを含有するシクロヘキサン/酢酸エチル混液;10容量%までのジクロメタンを含有するジクロルメタン/ジイソプロピルエーテル混液;および10容量%までのジクロルメタンを含有するジクロルメタン/ヘキサン混液。
【0129】
【数20】

【0130】
更にクロマトグラフを次のような混合物を用いて行うこともできる:
64:18:18容量比のシクロヘキサン/酢酸エチル/アセトン混合物、55:35:10容量比のシクロヘキサン/酢酸エチル/アセトニトリル、または50:30:20容量比のシクロヘキサン/メチルt−ブチルエーテル/アセトン混合物(上記吸着剤を使用する)。
【0131】
実施例22
17−ヒドロキシ−3−オキソ−6β,7β;15β,16β−ビスメチレン−17α−プレグネ−4−エン−21−カルボン酸γ−ラクトン
8.00gの6β,7β;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソアンドロスト−4−エン−[17(β−1′)スピロ−5′]−ペルヒドロフラン−2′ξ−オール−メチルエーテルを80mlのアセトンに溶解させる。溶液を0〜2℃まで冷却すると共に激しい撹拌下に24mlのジョーンズ試薬を添加する一方、温度を0〜5℃に維持する。混合物を0〜5℃にて1時間撹拌し、次いで過剰のジョーンズ試薬を32mlのイソプロパノールで分解すると共に温度を同じレベルに保つ。30分間撹拌した後、100mlの水を同じ不均質部分をも含有するアセトン溶液に添加し、次いでアセトンおよび過剰のイソプロパノールを減圧下で留去する。残留物(水性懸濁物)を25℃まで冷却し、沈殿物が濃密になるまで1次間撹拌し、次いで遠心分離により濾過する。得られた結晶を中性まで少しずつの水で洗浄すると共に一定重量まで減圧乾燥させる。80mlの酢酸エチルにおける粗製生成物(7.7g)を活性炭により清澄化させ(0.77g)、濾過し、濾液を蒸発乾固させる。結晶質残留物をイソプロパノールから再結晶化させて6.28g(82%)の表記化合物を得る。
Mp:210〜202℃。
【0132】
実施例23
17−ヒドロキシ−3−オキソ−6β,7β;15β,16β−ビスメチレン−17α−プレグネ−4−エン−21−カルボン酸γ−ラクトン
4gの6β,7β;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソアンドロスト−4−エン−[17(β−1′)スピロ−5′]−ペルヒドロフラン−2′ξ−オール−プロピルエーテルから実施例20に記載した方法に従って2.71g(76.6%)の表記化合物を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

の17−ヒドロキシ−6β,7β;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−17α−プレグネ−4−エン−21−カルボン酸γ−ラクトンを式(III)の公知の15α−ヒドロキシ−アンドロスト−4−エン−3,17−ジオンから製造する工業的方法において、式(III)
【化2】

の15α−ヒドロキシ−アンドロスト−4−エン−ジオンを位置15におけるヒドロキシにてC1−6アルカンカルボン酸の反応性誘導体によりエステル化して、一般式(IV)
【化3】

[式中、Rは水素原子または1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を示す]
の15α−アシルオキシアンドロスト−4−エン−3,17−ジオンを生成させ、一般式(IV)の前記化合物を酸性触媒の存在下にアルキル成分中に1〜4個の炭素原子を有するトリアルキルオルトホルミエートと反応させて、一般式(V)
【化4】

[式中、Rは上記と同じ意味を有し、Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示す]
の15α−アシルオキシ−3−アルコキシ−アンドロスタ−3,5−ジエン−17−オンを得、
一般式(V)の前記化合物をトリメチルスルホキソニウム塩およびアルカリ金属水酸化物からジメチルスルホキシド中で現場で作成されたトリメチルスルホキソニウムメチリードと反応させて、一般式(VI)
【化5】

[式中、Rは上記と同じ意味を有する]
の15β,16β−メチレン−3−アルコキシアンドロスタ−3,5−ジエン−17−オンを生成させ、
一般式(VI)の前記化合物をリチウム金属の存在下に2−(2−ブロモエチル)−1,3−ジオキソランまたはアルコキシ成分中に1〜4個の炭素原子を有する2−(2−ブロモエチル)−ジアルコキシ−アセタールと反応させて、一般式(VII)
【化6】

[式中、Rは上記と同じ意味を有し、RおよびRは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を示し、または一緒になって1,2−エチレン基を形成する]
の17−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3−アルコキシ−17α−プレグナ−3,5−ジエン−21−カルボキシアルデヒド−環式1,2−エタンジイルアセタールもしくは17−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3−アルコキシ−17α−プレグナ−3,5−ジエン−21−カルボキシアルデヒド ジアルコキシアセタールを得、
一般式(VII)の前記化合物をクロラニル(2,3,5,6−テトラクロル−2,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジオン)で酸化させて一般式(VIII)
【化7】

[式中、RおよびRは上記と同じ意味を有する]
の17−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3−オキソ−17α−プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボキシアルデヒド環式1,2−エタンジイル−アセタールもしくは17α−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3−オキソ−17α−プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボキシアルデヒド ジアルコキシ−アセタールを生成させ、
一般式(VIII)の前記化合物を
(a)酸性媒体中で環化させて、一般式(IX)
【化8】

[式中、Rはメチル、エチルもしくはプロピル基を示し、〜結合はα−およびβ−配置を示す]
の15β,16β−メチレン−3−オキソ−アンドロスタ−4,6−ジエン−[17(β−1)スピロ5′]ペルヒドロフラン−2′ξ−オール−アルキルエーテルを形成させ、式(IX)の前記化合物をトリメチルスルホキソニウム塩およびアルカリ金属水酸化物からジメチルスルホキシド中で現場で作成されたトリメチルスルホキソニウムメチリードと反応させ、または
(b)トリメチルスルホキソニウム塩およびアルカリ金属水酸化物からジメチルスルホキシド中で現場で作成されたトリメチルスルホキソニウムメチリードと反応させて一般式(IXa)
【化9】

[式中、RおよびRは上記と同じ意味を有し、〜結合はα−およびβ−配置を示す]
のビスメチレン誘導体を得、一般式(IXa)の前記化合物を酸性媒体中で環化させ、次いで上記代案工程順序のいずれかにおける終点にて得られる一般式(X)
【化10】

[式中、Rはメチル、エチルもしくはプロピル基を示し、〜結合はα−およびβ−配置を示す]
の6ξ,7ξ;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−アンドロスト−4−エン−[17(β−1)スピロ5′]−ペルヒドロフラン−2′ξ−オール−アルキルエーテル混合物から6β,7β−異性体をクロマトグラフィーにより分離すると共にジョーンズ試薬で酸化してドロスピレノンを得るか、または
上記代案工程順序のいずれかにおける終点にて得られる一般式(X)の6ξ,7ξ;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−アンドロスト−4−エン−[17(β−1)スピロ5′]−ペルヒドロフラン−2′ξ−オール−アルキルエーテル混合物
[式中、Rはメチル、エチルもしくはプロピル基を示し、〜結合はα−およびβ−配置を示す]
をジョーンズ試薬で酸化させて一般式(XI)
【化11】

[式中、〜結合はα−およびβ−配置を示す]
の6ξ,7ξ;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−アンドロスト−4−エン−[17(β−1)スピロ5′]−ペルヒドロフラン−2′−オン(17−ヒドロキシ−6ξ,7ξ;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−17α−プレグネ−4−エン−21−カルボン酸γ−ラクトン)を得、この異性体混合物から6β,7β−異性体を単離すると共に、所望ならば上記合成ルートのいずれかで得られる式(I)
【化12】

のドロスピレノンを結晶化により精製する
ことを特徴とする式(I)の17−ヒドロキシ−6β,7β;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−17α−プレグネ−4−エン−21−カルボン酸γ−ラクトンの工業的製造方法。
【請求項2】
一般式(XI)[式中、〜結合はα−およびβ−配置を示す]
の異性体生成物のクロマトグラフによる分離をシリカゲル吸着剤にて行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一般式(XI)[式中、〜結合はα−およびβ−配置を示す]
の異性体生成物のクロマトグラフによる分離を2工程、すなわち予備クロマトグラフィーおよび微細クロマトグラフィーの工程にて行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
一般式(XI)[式中、〜結合はα−およびβ−配置を示す]
の異性体生成物のクロマトグラフによる分離を、64:18:18容量比のシクロヘキサン/酢酸エチル/アセトン混液または55:35:10容量比のシクロヘキサン/酢酸エチル/アセトニトリル混液または50:30:20容量比のシクロヘキサン/メチルt−ブチルエーテル/アセトン混液または73:27容量比のシクロヘキサン/アセトン混液または57:33:10容量比のジイソプロピルエーテル/酢酸エチル/ジクロルメタン混液を溶出剤として用いることにより行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
式(I)のドロスピレノンをメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、酢酸エチルから、または10容量%までの水を含有するメタノール/水、エタノール/水、プロパノール/水、イソプロパノール/水から選択される溶剤混液から;50容量%までのアセトンを含有するアセトン/ジイソプロピルエーテル混液から;50容量%までの酢酸エチルを含有するシクロヘキサン/酢酸エチル混液から;10容量%までのジクロルメタンを含有するジクロルメタン/ジイソプロピルエーテル混液から;および10容量%までのジクロルメタンを含有するジクロルメタン/ヘキサン混液から結晶化させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
一般式(X)
【化13】

[式中、Rはメチル、エチルもしくはプロピル基を示し、〜結合はα−およびβ−配置を示す]
の、本発明による方法のための中間体としての、6ξ,7ξ;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−アンドロスト−4−エン−[17(β−1)スピロ5′]−ペルヒドロフラン−2′ξ−オール−アルキルエーテル。
【請求項7】
式(IX)
【化14】

[式中、Rはメチル、エチルもしくはプロピル基を示し、〜結合はα−およびβ−配置を示す]
の、本発明による方法のための中間体としての、15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−アンドロスト−4,6−ジエン−[17(β−1)スピロ5′]−ペルヒドロ−フラン−2′ξ−オール−アルキルエーテル。
【請求項8】
一般式(IXa)
【化15】

[式中、RおよびRは一緒になって1,2−エチレン基を形成し、〜結合はα−およびβ−配置を示す]
の本発明による方法のための中間体としての、ビスメチレン誘導体。
【請求項9】
一般式(VIII)
【化16】

[式中、RおよびRは一緒になって1,2−エチレン基を形成する]
の、本発明による方法のための中間体としての、17−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3−オキソ−17α−プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボキシアルデヒドアセタール誘導体。
【請求項10】
本発明による方法に使用する以下の中間体:
15α−ピバロイルオキシアンドロスト−4−エン−3,17−ジオン、
15α−ピバロイルオキシ−3−メトキシ−アンドロスタ−3,17−ジエン−17−オン、
15α−アセトキシ−3−エトキシ−アンドスタ−3,5−ジエン−17−オン、
ジメチル−[(3−メトキシ−17−オキソ−アンドロスタ−3,5−ジエン−15β−イル)メチル]−スルホキソニウム−イオダイド、
17−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3−メトキシ−17α−プレグナ−3,5−ジエン−21−カルボキシアルデヒド環式1,2−エタンジイル−アセタール、
17−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3−エトキシ−17α−プレグナ−3,5−ジエン−21−カルボキシアルデヒド環式1,2−エタンジイル−アセタール、
17−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3−メトキシ−17α−プレグナ−3,5−ジエン−21−カルボキシアルデヒド−ジエチルアセタール、
17−ヒドロキシ−15β,16β−メチレン−3−オキソ−17α−プレグナ−4,6−ジエン−21−カルボキシアルデヒド環式1,2−エタンジイル−アセタール、
15β,16β−メチレン−3−オキソ−アンドロスタ−4,6−ジエン−[17(β−1′)スピロ−5′]−ペルヒドロフラン−2′ξ−オールプロピルエーテル、
6ξ,7ξ;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−アンドロスト−4−エン−[17(β−1′)スピロ−5′]−ペルヒドロフラン−2′ξ−オールメチルエーテル、
6ξ,7ξ;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−アンドロスト−4−エン−[17(β−1′)スピロ−5′]−ペルヒドロフラン−2′ξ−オールプロピルエーテル、
6β,7β;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−アンドロスト−4−エン−[17(β−1′)スピロ−5′]−ペルヒドロフラン−2′ξ−オールメチルエーテル、
6β,7β;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−アンドロスト−4−エン−[17(β−1′)スピロ−5′]−ペルヒドロフラン−2′ξ−オールプロピルエーテル、
17−ヒドロキシ−6ξ,7ξ;15β,16β−ビスメチレン−3−オキソ−17α−プレグナ−4−エン−21−カルボキシアルデヒド環式1,2−エタンジイル−アセタール、
17−ヒドロキシ−6α,7α;15β,
16β−ビスメチレン−3−オキソ−17α−プレグナ−4−エン−21−カルボン酸γ−ラクトン(ドロスピレノン−6α,7α−異性体)。

【公表番号】特表2008−521875(P2008−521875A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543936(P2007−543936)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【国際出願番号】PCT/HU2005/000110
【国際公開番号】WO2006/059167
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(591180314)リヒター ゲデオン ベジェセティ ジャール アール.テー. (33)
【Fターム(参考)】