説明

17,20(Z)−デヒドロビタミンD類似体およびそれらの使用

本発明は、17,20(Z)−デヒドロビタミンD類似体、そして特に17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンD、およびその医薬的使用を開示する。この化合物は、未分化細胞の増殖を抑えて単球へとそれらの分化を誘導する上で著明な活性を示し、したがって抗癌剤として、また皮膚疾患 例えば乾癬、ならびに皮膚の状態 例えばしわ、皮膚のたるみ、乾燥肌および不十分な皮脂の分泌の治療のための使用を明示する。この化合物はまた、ヒトにおける自己免疫疾患および炎症性疾患、ならびに腎性骨異栄養症および肥満を治療するために使用してよい。この化合物はまた、この化合物を骨粗しょう症、骨軟化症、腎性骨異栄養症、および副甲状腺機能低下症の治療および予防のための治療薬とする、有意な血漿カルシウム上昇活性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明はビタミンD化合物、そして特に17,20(Z)−デヒドロビタミンD類似体、およびそれらの医薬的使用、そして殊に17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノルビタミンD、その生物学的活性、およびその医薬的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ホルモンである1α,25−ジヒドロキシビタミンD、およびエルゴステロール系のその類似体、すなわち1α,25−ジヒドロキシビタミンDは、動物およびヒトにおけるカルシウムホメオスタシスの高い効力のある調節物質であることが知られており、そして細胞の分化におけるそれらの活性もまた確立されている、Ostrem et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 2610 (1987)。1α−ヒドロキシビタミンD、1α−ヒドロキシビタミンD、様々な側鎖の相同体化ビタミン類、およびフッ化類似体を含む、これらの代謝物の多くの構造類似体が調製され、検査されてきた。これら化合物のいくつかは、細胞分化およびカルシウム調節における活性の興味深い分離を示す。活性におけるこの差異は、多様な疾患、例えば腎性骨異栄養症、ビタミンD抵抗性くる病、骨粗しょう症、乾癬、およびある種の悪性腫瘍の治療に有用であると思われる。
【0003】
ビタミンD類似体のもう1つのクラス、すなわちいわゆる19−ノル−ビタミンD化合物は、ビタミンD系の典型的なA環の環外のメチレン基(炭素19)を2つの水素原子により置き換えることを特徴とする。そのような19−ノル−類似体(例えば1α,25−ジヒドロキシ−19−ノル−ビタミンD)の生物学的検査から、細胞分化を誘導する上での高い効力、および非常に低いカルシウム動員活性を有する選択的活性プロフィール明らかになった。したがってこれら化合物は潜在的に、悪性腫瘍の治療、または様々な皮膚障害の治療のための治療物質として有用である。そのような19−ノル−ビタミンD類似体の2つの異なる合成法が記載されている(Perlman et al., Tetrahedron Lett. 31, 1823 (1990); Perlman et al., Tetrahedron Lett.32, 7663 (1991), およびDeLuca et al.,米国特許第5,086,191号)。
【0004】
米国特許第4,666,634号において、1α,25−ジヒドロキシビタミンDの2β−ヒドロキシおよびアルコキシ(例えばED−71)の類似体が、中外グループにより骨粗しょう症用の有望な薬剤として、また抗腫瘍薬として記載され、検討された。Okano et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 163, 1444 (1989)もまた参照のこと。1α,25−ジヒドロキシビタミンDの他の2−置換化(ヒドロキシアルキル基による、例えばED−120、およびフッ化アルキル基による)A環類似体もまた調製され、検査された(Miyamoto et al., Chem. Pharm. Bull. 41, 1111 (1993); Nishii et al., Osteoporosis Int. Suppl. 1, 190 (1993); Posner et al., J. Org. Chem. 59, 7855 (1994)、およびJ. Org. Chem. 60, 4617 (1995))。
【0005】
1α,25−ジヒドロキシ−19−ノル−ビタミンDの2−置換化類似体、すなわちヒドロキシ基またはアルコキシ基により2位で(DeLuca et al., 米国特許第5,536,713号)、2−アルキル基により(DeLuca et al., 米国特許第5,945,410号)、そして2−アルキリデン基により(DeLuca et al., 米国特許第5,843,928号)置換された化合物もまた合成されており、これら化合物も興味深いそして選択的な活性プロフィールを示す。これら試験はすべて、ビタミンD受容体の結合部位は合成ビタミンD類似体のC−2の異なる置換基に適応できることを指摘している。
【0006】
薬理学的に重要なビタミンD化合物の19−ノルのクラスを探求する継続的な努力において、炭素2(C−2)のメチレン置換基、炭素1(C−1)のヒドロキシル基、および炭素20(C−20)に結合した短縮された側鎖の存在を特徴とする類似体もまた合成され、検査された。1α−ヒドロキシ−2−メチレン−19−ノル−プレグナカルシフェロールは米国特許6,566,352号に記載され、一方1α−ヒドロキシ−2−メチレン−19−ノル−ホモプレグナカルシフェロールは米国特許6,579,861号に記載され、そして1α−ヒドロキシ−2−メチレン−19−ノル−ビスホモプレグナカルシフェロールは米国特許6,627,622号に記載されている。これら化合物の3つはすべて1α,25−ジヒドロキシビタミンDと比較して、ビタミンD受容体への相対的に高い結合活性、および相対的に高い細胞分化活性を有するが、血漿カルシウム上昇活性は例えあったとしてもほとんど有していない。それらの生物学的活性がこれらの化合物を、’352号、’861号および ’622号の特許に記載されているような、多様な医薬的使用のための優れた候補物質としている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の概要)
本発明は17,20(Z)−デヒドロビタミンD類似体およびそれらの医薬的使用、そしてより特定すれば17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノルビタミンD、それらの生物学的活性、およびこれら化合物に関する様々な医薬的使用、に対して向けられるものである。
【0008】
構造的にはこれらの17,20(Z)−デヒドロ−ビタミンD類似体は、以下に示した一般式I:
【0009】
【化1】

【0010】
を特徴とする。式中、YおよびYは同一でも異なっていてもよく、各々水素およびヒドロキシを保護する基から成る群より選択され、式中、R11およびR12は各々水素、または共同してメチレン基であり、式中、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、各々水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシおよびアルコキシから成る群より選択される、またはRおよびRは共同して、xが2から5の整数である−(CH)−基を表してよい、またはRおよびRは共同して=CR基を表してよく、ここでRおよびRは同一でも異なっていてもよく、各々水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシおよびアルコキシから成る群より選択される、もしくはRおよびRは共同して、xが2から5の整数である(CH)−基を表してよく、そして式中、R基はビタミンDタイプの化合物として公知の典型的な側鎖のいずれかを表す。
【0011】
より特定すればRは、1から35の炭素の飽和または不飽和の炭化水素ラジカルを表すことができ、これは直鎖、分枝鎖、または環式であってよく、そして1つまたはそれより多くの付加的な置換基、例えばヒドロキシ基もしくは保護されたヒドロキシ基、フルオロ、カルボニル、エステル、エポキシ、アミノ、または他のヘテロ原子の基を含有してよい。このタイプの好ましい側鎖を以下の構造
【0012】
【化2】

【0013】
により表す。ここで、側鎖および17−エン二重結合はZ立体配置にあり、そしてここで上の側鎖構造中のZはY、−OY、−CHOY、−C≡CY、および−CH=CHYより選択され、ここで側鎖中の二重結合はシスまたはトランスの幾何学を有してよく、そしてここでYは水素、メチル、−CORおよび以下の構造のラジカル:
【0014】
【化3】

【0015】
より選択され、ここでmおよびnは、独立して0から5の整数を表し、ここでRは水素、重水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、およびC1−5アルキルより選択され、このC1−5アルキルは直鎖でも分枝鎖でもよく、また所望によりヒドロキシ置換基または保護されたヒドロキシ置換基を有してよく、そしてここでR、RおよびRは各々独立して重水素、重陽子アルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチルおよびC1−5アルキルより選択され、このC1−5アルキルは直鎖でも分枝鎖でもよく、また所望によりヒドロキシ置換基または保護されたヒドロキシ置換基を有してよく、そしてここでRおよびRは共同して、オキソ基、またはkが整数である一般式C2k−を有するアルキリデン基、=CR基、またはpが2から5の整数である−(CH)−基を表し、そしてここでRおよびRは共同して、オキソ基、またはqが2から5の整数である−(CH)−基を表し、そしてここでRは水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、またはC1−5アルキルを表し、そしてここで側鎖の20位、22位、もしくは23位のCH−基のいずれかは窒素原子で置き換えられてよい、または20位、22位、および23位の−CH(CH)−基、− (CH)−基、−CR−基もしくは− (CH)−基のいずれかは各々、酸素原子もしくはイオウ原子で置き換えられてよい。
【0016】
好ましい類似体は、以下の式Ia:
【0017】
【化4】

【0018】
を有する17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノルビタミンDである。
【0019】
式I、殊に式Iaの上の化合物は、所望のそして高度に有利な生物学的活性のパターンを示す。これらの化合物は1α,25−ジヒドロキシビタミンDの値と比較して、ビタミンD受容体への相対的に高い結合、ならびに相対的に高い腸のカルシウム輸送活性
を特徴とし、そしてそれらはまた1α,25−ジヒドロキシビタミンDと比較して、骨からカルシウムを動員するそれらの活性における相対的に高い活性を示す。これ故にこれらの化合物は、相対的に高い血漿カルシウム上昇活性を有すると特徴付けることができる。腸のカルシウム輸送活性およびカルシウム動員活性におけるこれらの優先的な活性は、代謝性骨疾患の治療および予防のためのこれらの化合物のin vivo投与を可能にする。腸のカルシウム輸送におけるそして骨におけるこれらの優先的な血漿カルシウム上昇活性のため、これらの化合物は、骨粗しょう症、殊に低回転型骨粗しょう症、ステロイド誘発性骨粗しょう症、老人性骨粗しょう症、または閉経後骨粗しょう症、ならびに骨軟化症および腎性骨異栄養症のような疾患の治療および予防のための、好ましい治療薬と言えよう。相対的に高い血漿カルシウム活性を有し、同時に細胞分化において非常に活性であるこれらの誘導体はまた、それらが血中カルシウムレベルを上昇させるのに有効であるため、副甲状腺機能低下症を治療するための治療薬として有用であると予想される。
【0020】
本発明の化合物I、そして特にIaはまた、免疫系の不均衡を特徴とするヒトの障害の治療および予防に、例えば、多発性硬化症、ループス、糖尿病、宿主対移植片の拒絶、および臓器移植の拒絶を含む自己免疫疾患において;ならびに加えて炎症性疾患、例えば関節リウマチ、喘息、および炎症性腸疾患 例えばセリアック病、潰瘍性大腸炎およびクローン病の治療に、殊に適することが発見された。ざ瘡、脱毛症、および高血圧は、本発明の化合物で治療してよいその他の状態である。
【0021】
上の化合物I、そして特にIaはまた、相対的に高い細胞分化活性を特徴とする。したがってこれらの化合物はまた、乾癬の治療のため、または抗癌剤として、殊に白血病、大腸癌、乳癌、皮膚癌および前立腺癌に対する治療薬を提供する。加えてそれらの相対的に高い細胞分化活性故に、これらの化合物は、しわ、適度の皮膚の水和作用の欠如、すなわち乾燥肌、適度の皮膚の固さの欠如、すなわち皮膚のたるみ、および不十分な皮脂の分泌を含む、様々な皮膚の状態の治療のための治療薬を提供する。したがってこれらの化合物の使用は、結果として皮膚の潤いをもたらすだけでなく、皮膚のバリアー機能もまた改善する。
【0022】
式I、そして特に式Iaの本発明の化合物はまた、動物の被験者における肥満を予防もしくは治療する、肥満細胞の分化を阻害する、SCD−1遺伝子の転写を阻害する、および/または体脂肪を低減する上で有用である。そのため一部の態様において、動物の被験者における肥満を予防もしくは治療する、肥満細胞の分化を阻害する、SCD−1遺伝子の転写を阻害する、および/または体脂肪を低減する方法は、1つもしくはそれより多くの式Iの化合物、そして特に式Iaの化合物の有効量、または1つもしくはそれより多くの当該化合物を含む医薬組成物の有効量を、動物の被験者に投与することを含む。1つもしくはそれより多くの当該化合物、または当該医薬組成物の被験者への投与は、動物の被験者における脂肪細胞の分化を阻害し、遺伝子の転写を阻害し、そして/または体脂肪を低減する。
【0023】
1つまたはそれより多くの当該化合物は、上記の疾患および障害を治療または予防するための組成物中に、約0.01μg/組成物gから約1000μg/組成物g、好ましくは約0.1μg/組成物gから約500μg/組成物gの量で存在してよく、そして局所、経皮、経口、経直腸、経鼻、舌下、または非経口により、約0.01μg/日から約1000μg/日、好ましくは約0.1μg/日から約500μg/日の投与量で投与してよい。
【0024】
(図面の簡単な説明)
図1−5は、天然ホルモンである1α,25−ジヒドロキシビタミンD(本明細書において以下“1,25(OH)”という)と比較しての、17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノルビタミンD(本明細書において以下“VIT−III”という)の様々な生物学的活性を示す。
【0025】
(発明の詳細な説明)
構造Iを有する17,20(Z)−デヒドロビタミンD類似体の調製は、通常の一般的な方法、すなわち二環式 Windaus-Grundmann タイプのケトンIIをアリルのホスフィン酸化物IIIと共に、対応する17,20(Z)−デヒドロビタミンD類似体IVに縮合し、続いてC−1およびC−3を脱保護してIを提供することにより、達成することができる:
【0026】
【化5】

【0027】
構造IIIおよびIVにおいて、Y基およびY基はヒドロキシを保護する基、好ましくはt−ブチルジメチルシリルであるが、感受性があるかもしれない、または縮合反応を妨害するいかなる官能基も、当該技術分野において周知であるように適切に保護されることもまた理解されよう。上に示したプロセスは収束的合成の概念の適用を表しているが、この概念がビタミンD化合物の調製のために有効に適用されてきた [例えばLythgoe et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans. I, 590 (1978); Lythgoe, Chem. Soc. Rev. 9, 449 (1983); Toh et al., J. Org. Chem. 48. 1414 (1983); Baggiolini et al., J. Org. Chem. 51, 3098 (1986); Sardina et al., J. Org. Chem. 51, 1264 (1986); J. Org. Chem. 51, 1269 (1986); DeLuca et al., 米国特許第5,086,191号;DeLuca et al., 米国特許第5,536,713号]。
【0028】
一般構造IIのヒドリンダノンは公知ではない。これらは本明細書のスキームに示した方法により調製することができる(化合物VIT−IIIの調製を参照のこと)。
【0029】
一般構造IIIの必要とするホスフィン酸化物の調製に関しては、Perlman et al., Tetrahedron Lett. 32, 7663 (1991)、およびDeLuca et al., 米国特許第5,086,191号により記載されているように、市販の(IR,3R,4S,5R)−(−)−キナ酸から容易に得られるメチルキニケート誘導体から出発する合成経路が開発されている。
【0030】
化合物IおよびIaの合成の全体のプロセスは、”2-Alkylidene-19-Nor-Vitamin D Compounds”という表題の米国特許第5,843,928号においてより完全に説明、および記載されており、同文献の明細書を特に本明細書において参照として援用する。
【0031】
特に好ましい17,20(Z)−デヒドロビタミンD類似体は、A環上の炭素−2がアルキリデン基もしくはアルキル基で置換されている一般式Iにより包括的に含まれる化合物であり、または(炭素−2で置換されているか、または炭素−2で置換されていないかのいずれにせよ)加水分解性の徐放性化合物である。
【0032】
2−アルキリデン化合物
構造的にはこれらの2−アルキリデン類似体は、以下に示した一般式V:
【0033】
【化6】

【0034】
を特徴とし、式中、Y、Y、R11、R12およびZは本明細書において先に定義したとおりであり、そしてRおよびRは同一でも異なっていてもよく、各々水素、アルキル、ヒドロキシアルキルおよびフルオロアルキルから成る群より選択される、または共同して、xが2から5の整数である−(CH)−基を表す。
【0035】
2−アルキル化合物
構造的にはこれら2−アルキル類似体は、以下に示した一般式VI:
【0036】
【化7】

【0037】
を特徴とし、式中、Y、Y、R11、R12およびZは本明細書において先に定義したとおりであり、そしてR10はアルキル、ヒドロキシアルキルおよびフルオロアルキルから成る群より選択される。
【0038】
徐放性化合物
in vivoにおいて所望のそして高度に有利な生物学的活性パターン、すなわちより緩やかな活性の開始およびより長期的な活性期間を示す、修飾されたビタミンD化合物もまた、本明細書において使用してよい。
【0039】
構造的には、これらの所望の生物学的特質を有する修飾されたビタミンD化合物のカギとなる特徴は、それらが17,20(Z)−デヒドロビタミンD類似体の誘導体であり、この類似体において加水分解性の基を炭素25のヒドロキシ基に、そして所望により分子中に存在するいずれかの他のヒドロキシ基に結合していることである。結合した基の様々な構造因子−−例えばタイプ、サイズ、構造の複雑さ−−に依存して、これら誘導体は、in vivoで異なる速度で活性な17,20(Z)−デヒドロ−ビタミンD類似体に加水分解され、したがって体内において生物学的に活性なビタミンD化合物の“徐放性”を提供する。
【0040】
そのような化合物の “徐放性”というin vivoの活性プロフィールはもちろん、誘導体の混合物の使用、または非誘導体化ビタミンD化合物と合わせての1つもしくはそれより多くのビタミンD誘導体から成る混合物の使用により、さらに調節することができる。
【0041】
上に同定したビタミン誘導体の決定的な構造の特徴は、分子の炭素25のヒドロキシ基に結合した加水分解性の基の存在であることを強調することは重要である。その位置の加水分解性の基の存在が、結果として得られる誘導体に、上述の望ましい“徐放性”という生物学的活性プロフィールを与える。分子内に生じる他のヒドロキシ官能基(例えば炭素1または3のヒドロキシ官能基)は、フリーのヒドロキシ基として存在してもよいし、またはそれらの1つもしくはそれより多くがまた加水分解性の基により誘導体化されてもよい。
【0042】
上述の誘導体中に存在する“加水分解性の基”は、好ましくはアシル基、すなわちQCO−タイプの基であり、ここでQは水素、または直鎖、環式、分枝鎖、飽和もしくは不飽和であってよい1から18の炭素の炭化水素ラジカルを表す。したがって例えば炭化水素ラジカルは、直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、または1つもしくはそれより多くの二重結合を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基であってよい、あるいは所望により置換されたシクロアルキル基もしくはシクロアルケニル基、または芳香族の基、例えば置換されたもしくは置換されていないフェニル、ベンジルもしくはナフチルであってもよい。特に好ましいアシル基はアルカノイル基またはアルケノイル基であり、そのうちのいくつかの典型的な例はホルミル、アセチル、プロパノイル、ヘキサノイル、イソブチリル、2−ブテノイル、パルミトイル、またはオレオイルである。加水分解性の基のもう1つの適切なタイプは、ヒドロカルビルオキシカルボニル基、すなわちQ−O−CO−タイプの基であり、ここでQは上に定義したようなCからC18の炭化水素ラジカルである。そのような炭化水素ラジカルの例は、メチル、エチル、プロピル、およびより高い分子量の直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルおよびアルケニルラジカル、ならびに芳香族炭化水素ラジカル、例えばフェニルまたはベンゾイルである。
【0043】
これらの修飾されたビタミンD化合物は、in vivo で投与後の一定時間にわたり活性な類似体に加水分解されることができ、結果的に活性な類似体のin vivoの利用能を制御し、それによりin vivoのそれらの活性プロフィールもまた調節する。“活性プロフィール”という用語は、ビタミンD化合物の生物学的応答の時間経過をいう。個々の修飾された化合物、またはそのような化合物の混合物を、応答の所望の時間経過を“微調整”するように投与することができる。
【0044】
本明細書において使用する場合“修飾されたビタミンD化合物”という用語は、そのような化合物中に存在する1つまたはそれより多くのヒドロキシ官能基が、加水分解性の基による誘導体化により修飾されている、あらゆるビタミンD化合物を包括的に含む。“加水分解性の基”は、フリーのヒドロキシ官能基を再び生成するようにin vivoで加水分解されることのできる、ヒドロキシを修飾する基である。
【0045】
本開示の文脈において加水分解性の基という用語は、好ましくはアシル基およびヒドロカルビルオキシカルボニル基、すなわち各々QCO−タイプ、およびQ−O−CO−タイプの基を含み、ここでQおよびQは先に定義した意味を有する。
【0046】
構造的には、包括的に含まれる修飾されたビタミンD化合物は以下に示した式VII:
【0047】
【化8】

【0048】
により表してよく、式中、側鎖のRが−OYであり、そしてYが本明細書において先に定義したようなアシル基またはヒドロカルビルオキシカルボニル基であることを除き、
、Y、R11、R12、R、RおよびZは式Iに関して本明細書において先に定義したとおりである。
【0049】
そのような修飾されたビタミンD化合物のいくつかの特定の例は、2−置換誘導体、例えば:
1,3,25−トリアセテート、ここでY=Y=Yであって、CHCOである;
1,3,25−トリヘキサノエート、ここでY=Y=Yであって、CH(CH)COである;
1,3,25−トリノナノエート、ここでY=Y=Yであって、CH(CH)COである;そして
25−アセテート、ここでY=Yであって、Hであり、そしてYはCHCOである、
を含む。
【0050】
これらの化合物は公知の方法により調製することができる。例えば1999年3月27日に公開されたWO97/11053、および本明細書の先の記載を参照のこと。
【0051】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンD(本明細書においてVIT−IIIという)を合成し、検査した。構造的にはこの19−ノル類似体は、本明細書において先に説明した一般式Iaにより特徴づけられる。
【0052】
構造Iaを有する17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDの調製は、二環式 Windaus-Grundmann タイプのケトンIIaをアリルのホスフィン酸化物IIIaと共に、対応する17(20)−デヒドロ−ビタミンD類似体IVaに縮合し、続いてC−1およびC−3の脱保護によりIaを提供することにより達成することができる:
【0053】
【化9】

【0054】
構造IIIaおよびIVaにおいて、Y基およびY基はヒドロキシを保護する基、好ましくはt−ブチルジメチルシリルであるが、感受性があるかもしれない、または縮合反応を妨害するいかなる官能基も、当該技術分野で公知であるように適切に保護されることもまた理解されよう。上に示したプロセスは収束的合成の概念の特定の適用を表しているが、この概念は本明細書において先に言及したものであり、ビタミンD化合物の調製のために有効に適用されてきた。
【0055】
一般構造IIaのヒドリンダノンは公知ではない。この化合物は本明細書のスキームに示した方法により調製することができる(化合物VIT−IIIの調製を参照のこと)。
【0056】
本明細書および本請求書において使用する場合、“ヒドロキシを保護する基”という用語は、ヒドロキシ官能基の一時的保護のために通常使用されるあらゆる基、例えばアルコキシカルボニル基、アシル基、アルキルシリル基またはアルキルアリールシリル基(本明細書において以後、簡単に“シリル”基という)、およびアルコキシアルキル基を示す。アルコキシカルボニル保護基は、アルキル−O−CO−群、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、またはアリルオキシカルボニルである。“アシル”という用語は、1から6の炭素のアルカノイル基をその異性体の形すべてにおいて、または1から6の炭素のカルボキシアルカノイル基 例えばオキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、または芳香族アシル基 例えばベンゾイル基、もしくはハロ、ニトロもしくはアルキルで置換されたベンゾイル基を示す。“アルキル”という言葉は、本明細書または本請求書で使用する場合、1から10の炭素の直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルをその異性体の形すべてにおいて表示する。“アルコキシ”は、酸素の結合したあらゆるアルキルラジカル、すなわちアルキル−O−基をいう。アルコキシアルキル保護基は、例えばメトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエトキシメチル、またはテトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロピラニルの群である。好ましいシリル−保護基は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、ジブチルメチルシリル、ジフェニルメチルシリル、フェニルジメチルシリル、ジフェニル−t−ブチルシリル、および類似のアルキル化シリルラジカルである。“アリール”という用語は、フェニル基、またはアルキル、ニトロもしくはハロで置換されたフェニル基を特定する。
【0057】
“保護されたヒドロキシ”基は、ヒドロキシ官能基の一時的または永久的保護のために通常使用される上の基のいずれか、例えば先に定義したようなシリル基、アルコキシアルキル基、アシル基またはアルコキシカルボニル基、により誘導体化または保護されたヒドロキシ基である。“ヒドロキシアルキル”、“重陽子アルキル”および“フルオロアルキル”という用語は、1つまたはそれより多くのヒドロキシ基、重陽子基またはフルオロ基により置換されたアルキルラジカルをいう。“アルキリデン”は、一般式C2k−(kは整数である)を有するラジカルをいう。
【0058】
より特定するには、化合物VIT−IIIの調製の詳細な説明に関する本明細書の以下の記述ならびにスキームを参照としなければならない。
【0059】
(合成)
Des−A,B−23,24−ジノルコラン−8β,22−ジオール(2)。炎で乾燥させた(flame dried)1000mL二又フラスコに、エルゴカルシフェロール(5g、12.6mmol)、ピリジン(5mL)および無水MeOH(400mL)を加えた。この溶液をアルゴン雰囲気下で−78℃に冷却した。この溶液に、溶液が濃青色を発色しそれが持続するまで、Oを泡立たせながら通した(約1時間)。この溶液を青色が消えるまでOで処理した(15分)。その後NaBH(1.5g,39.7mmol)を加えた。15分後2回目のNaBH(1.5g,39.7mmol)を加え、反応液を放置して室温まで温めた。その後3回目のNaBH(1.5g,39.7mmol)を加え、反応液を一晩攪拌した。この反応を水(50mL)を加えることにより停止させた。メタノールを真空中で蒸発させ、残渣を酢酸エチルに溶かした。有機相を1N HCl水溶液(100mL)、飽和NaHCO溶液(100mL)および食塩水(100mL)で洗浄した。有機相を乾燥(NaSO)、濾過、および蒸発させた。シリカゲルクロマトグラフィー(25% 酢酸エチル/ヘキサン)による精製により、2.18g(10.3mmol、81%)のジオールを白色固体として得た。
【0060】
【化10】

【0061】
1322O[M−HO]として算出した精密質量:194.1671、実測値:194.1665。
【0062】
Des−A,B−22−(p−トルエンスルホニルオキシ)−23,24−ジノルコラン−8β−オル(3)。無水ピリジン(12mL)中のジオール(1g、4.71mmol)の溶液を−25℃に冷却し、予め冷却しておいた無水ピリジン(2mL)中の塩化トシル(1.08g、5.66mmol)の溶液を滴下させながら加えた。反応混合液をその温度で4時間攪拌し、放置して0℃まで温め、その温度でさらに20時間攪拌した。混合液をCHCl(50mL)で希釈し、飽和CuSO溶液(30mL)、1N HCl(30mL)および水(50mL)で洗浄した。有機相を乾燥(NaSO)、濾過および濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(25%酢酸エチル/ヘキサン)による精製により、1.7g(4.64mmol、98%)のヒドロキシルトシレートを得た。
【0063】
【化11】

【0064】
2030SONa(M+Na)として算出した精密質量:389.1763、実測値:389.1768。
【0065】
Des−A,B−8β−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−22−(p−トルエンスルホニルオキシ)−23,24−ジノルコラン(4)。無水DMF(20mL)中のヒドロキシトシレート(1.5g、4.09mmol)の0℃冷却溶液に、2,6−ルチジン(0.580mL、0.52g、4.92mmol)、続いてTBSOTf(1.13mL、1.30g、4.92mmol)を加えた。この溶液を0℃で15分間攪拌し、水(10mL)を加えた。混合液を酢酸エチル(3×40mL)で抽出し、合わせた有機相を1N NaOH水溶液(40mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)、濾過および濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、1.94g(4.04mmol、99%)のを得た。
【0066】
【化12】

【0067】
Des−A,B−8β−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−23,24−ジノルコラン−22−アル(5)。DMSO(5mL)中の(1.9g、3.96mmol)の溶液を、DMSO(20mL)中のNaHCO(1.5g、17.9mmol)の懸濁液に室温で加えた。混合液をアルゴン下で15分間150℃に加熱し、室温に冷却した。水(50mL)続いて酢酸エチル(50mL)を加え、水相を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。合わせた有機相を乾燥(NaSO)、濾過および濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(2%酢酸エチル/ヘキサン)により精製し、0.93g(2.87mmol、76%)のアルデヒドを得た。
【0068】
【化13】

【0069】
Des−A,B−8β−[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−プレグナン−20−オン(6)。炎で乾燥させたフラスコにt−BuOK(1.55g、13.9mmol)および無水t−BuOH(30mL)を室温で加えた。この溶液にOを泡立たせながら15分間通した。無水t−BuOH(15mL)中のアルデヒド(0.9g、2.78mmol)の溶液をこの反応混合液に加え、さらに10分間Oを泡立たせながらこの溶液に通した。この反応を水(15mL)で停止させ、エーテル(3×30mL)で抽出した。合わせた有機相を乾燥(NaSO)、濾過、および濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3% 酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、0.61g(1.97mmol、71%)のケトンを得た。
【0070】
【化14】

【0071】
5−ブロモ−2−メチル−ペンタノール(8)。無水ジエチルエーテル(50mL)中のエチル−4−ブロモルチレート(5g、25.6mmol)の−20℃冷却溶液に、ジエチルエーテル中の臭化メチルマグネシウムの3M溶液(17.1mL、6.11g、51.3mmol)を、アルゴン雰囲気下で30分にわたり加えた。反応混合液を室温で一晩攪拌した。飽和塩化アンモニウム溶液を加えてこの反応混合液を加水分解し、続いて1N HCl溶液を加えて、形成された無機塩を溶解させた。水相をエーテル(3×50mL)で抽出した。合わせた抽出液を水(100mL)、飽和NaCl溶液(100mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)、濾過、および濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20/80 酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、3.1g(17.1mmol、67%)の第三級アルコールを得た。
【0072】
【化15】

【0073】
5−ブロモ−2メチル−2[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−ペンタン(9)。無水CHCl(50mL)中のアルコール(3g、16.6mmol)の−50℃冷却溶液に、2,6−ルチジン(2.32mL、2.13g、19.89mmol)、続いてTBSOTf(4.57mL、5.26g、19.9mmol)を加えた。この溶液を0℃で15分間攪拌し、水(10mL)を加えた。混合液をCHCl(3×40mL)で抽出し、合わせた有機相を1N NaOH水溶液(40mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)、濾過および濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、3.9g(13.2mmol、80%)のを得た。
【0074】
【化16】

【0075】
デス−A,B−コレスト−17(20)−デヒドロ−8β,25−ジオール(15aおよび15b)
無水エーテル(20mL、触媒量のヨウ素を含有する)中の5−ブロモ−2メチル−2[(tert−ブチルジメチルシリル)オキシ]−ペンタン(2.84g、9.68mmol)の溶液を、無水ジエチルエーテル(5mL)中の粉末マグネシウム(0.23g、9.68mmol)の攪拌懸濁液に、アルゴン雰囲気下、室温で、ときどき35℃まで温めて、滴下させながら加えた。グリニャール試薬の生成が完了した後、混合液を室温で1時間、そして40℃で1時間攪拌した。その後この溶液を0℃に冷却し、無水ジエチルエーテル(10mL)中のケトン(0.6g、1.94mmol)の溶液を30分間にわたり滴下させながら加えた。反応混合液を室温で3時間攪拌した後、NHCl水溶液(20mL)で加水分解した。有機相を分離し、水相から酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。合わせた有機相を水(40mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)、および蒸発させた。残渣のシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより0.95g(94%)のアルコール混合物10を得た。オキシ塩化リン(3mL)を、無水ピリジン(20mL)中のアルコール混合物10(0.95g、1.8mmol)の溶液にアルゴン雰囲気下で滴下させながら加えた。反応混合液を室温で一晩攪拌し、氷水に注ぎ、エーテル(3×20mL)で抽出した。有機相を飽和CuSO溶液(30mL)、1N HCl(30mL)、水(50mL)で洗浄した。有機相を乾燥(NaSO)、濾過および濃縮した。粗混合物のカラムクロマトグラフィーにより、0.72g(78%)のオレフィン11a11b12a12b13の混合物を得た。このオレフィン混合物をさらに精製せずにメタノール(20mL)に溶解させ、p−トルエンスルホン酸一水和物(p−TSA)(0.100g)を0℃で加えた。反応混合液を室温で3日間攪拌した[さらなる量のp−TSAを連続して加えた(100mg、24時間;75mg、36時間;50mg、48時間)]。メタノールを蒸発させ、残渣を酢酸エチル(30mL)で希釈した。有機相を飽和NaHCO水溶液(20mL)、水(20mL)で洗浄し、乾燥(NaCO)、および蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィー上で精製し、0.284g(79%)のオレフィンアルコール14a14b15a15b16の混合物を得た。このオレフィンアルコールをHPLCで分離した。
【0076】
17(E)−デス−A,B−コレスタン−17(20)−デヒドロ−8β,25−ジオール(15a)。オレフィンアルコールを、HPLC(9.4mm×25cm zorbax-silカラム、4ml/分)上でIPA/ヘキサン(4/96)溶媒系を用いて分離した。精製ジオール17−20E 15a、70mg(250μmol、25%)をRv=50mLで溶出した。
【0077】
【化17】

【0078】
1832[M+Na]として算出した精密質量:303.2300、実測値:303.2297。
【0079】
17(E)−25−(トリエチルシリルオキシ)−デス−A,B−コレスタン−17(20)−デヒドロ−8−オン(17a)。無水CHCl(5mL)中のアルコール15a(20mg、71μmol)の溶液に、PDC(40mg、107μmol)を室温で加えた。反応液を3時間アルゴン雰囲気下で攪拌した後、この溶液を酢酸エチルを用いてセライトのパッドに通した。濾液を濃縮し、Sep-Pakカートリッジにのせ、酢酸エチル/ヘキサン(20/80)で溶出し、17mg(61.1μmol、86%)のケトンを無色油状物質として得た。無水CHCl(5mL)中のケトン(17mg、61.1μmol)の−50℃冷却溶液に、2,6−ルチジン(9μL、7.86mg、73.3μmol)、続いてTESOTf(17μL、19.4mg、73.3μmol)を加えた。この溶液を0℃で15分間攪拌し、水(5mL)を加えた。混合液をCHCl(3×5mL)で抽出し、合わせた有機相を乾燥(NaSO)、濾過、および濃縮した。ケトンを、HPLC(9.4−mm×25−cm Zorbax-Silカラム、4ml/分)上で10%酢酸エチル/ヘキサン溶媒系を用いて精製した。精製ケトン17a、14.4mg(36.7μmol、60%)を、Rv=20mLで無色油状物質として溶出した。
【0080】
【化18】

【0081】
2444Si[M+Na]として算出した精密質量:415.3008、実測値:415.3016。
【0082】
17(E)−1α,25ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノルビタミンD(20a)。25℃の無水THF(500μL)中のホスフィンオキシド18(0.051g、87.6μmol)の溶液に、シクロヘキサン/エーテル(70/30)中のPhLi 1.2M(80μL、8.1mg、96.4μmol)を、アルゴン下で攪拌しながらゆっくり加えた。溶液は濃いオレンジ色に変わった。混合液をその温度で20分間攪拌し、−78℃に冷却した。無水THF(100μL)中のケトン17a(14mg、35.7μmol)の予め冷却(−78℃)しておいた溶液をゆっくり加えた。混合液をアルゴン雰囲気下、−78℃で3時間、そして0℃で18時間攪拌した。酢酸エチルを加え、有機相を食塩水で洗浄、乾燥(NaSO)、および蒸発させた。残渣をSep-Pakカートリッジにのせ、1%酢酸エチル/ヘキサンで溶出し、19−ノルの保護されたビタミン誘導体19aを得た(8mgの未反応のケトン17aを回収した)。保護されたビタミンを、HPLC(9.4−mm×25−cm Zorbax-Silカラム、4ml/分)により、ヘキサン/IPA(99.95/0.05)溶媒系を用いてさらに精製した。精製化合物19a、7.7mg(10.2μmol、29%)を、Rv=20mLで無色油状物質として溶出した。
【0083】
【化19】

【0084】
4584Si[M+Na]として算出した精密質量:779.5626、実測値:779.5648。
保護されたビタミン19a(7.7mg、10.2μmol)を無水THF(500μL)に溶解させ、TBAF(0.102mL、26.7mg、102μmol)で処理し、室温、暗所で一晩攪拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣をSep-Pakカートリッジにのせ、30%酢酸エチル/ヘキサンで溶出し、脱保護されたビタミン20aを得た。このビタミンを、HPLC(9.4−mm×25−cm Zorbax-Silカラム、3ml/分)により、溶媒系としてヘキサン/IPA(90/10)を用いてさらに精製した。精製ビタミン20a、2.9mg(7μmol、69%)をRv=42mLで白色固体として集めた:
【0085】
【化20】

【0086】
17(Z)−デス−A,B−コレスト−17(20)−デヒドロ−8β,25−ジオール(15b)。オレフィンアルコールを、HPLC(9.4mm×25cm zorbax-silカラム、4ml/分)上でIPA/ヘキサン(5/95)溶媒系を用いて分離した。ジオール17−20Z 15bおよびジオール20−21 16を、Rv=45mLで一緒に溶出した。このアルコールを一緒に酸化した。
【0087】
17(Z)−25−(トリエチルシリルオキシ)−デス−A,B−コレスト−17(20)−デヒドロ−8−オン(17b)。無水CHCl(5mL)中のアルコール15bおよび16(34mg、121μmol)の混合物の溶液に、PDC(55mg、145.7μmol)を室温で加えた。反応液をアルゴン雰囲気下で3時間攪拌した後、この溶液を酢酸エチルを用いてセライトのパッドに通した。濾液を濃縮し、Sep-Pakカートリッジにのせ、酢酸エチル/ヘキサン(20/80)で溶出し、ケトン17bおよび16bの混合物30.2mg(108.6μmol、89%)を無色油状物質として得た。無水CHCl(10mL)中のケトン30.2mg(30.2mg、108.6μmol)の−50℃冷却溶液に、2,6−ルチジン(16μL、13.9mg、130.3μmol)、続いてTESOTf(30μL、34.5mg、130.3μmol)を加えた。この溶液を0℃で15分間攪拌し、水(10mL)を加えた。混合液をCHCl(3×5mL)で抽出し、合わせた有機相を乾燥(NaSO)、濾過および濃縮した。残渣を、HPLC(9.4−mm×25−cm Zorbax-Silカラム、4ml/分)により、酢酸エチル/ヘキサン(5/95)溶媒系を用いて精製した。精製ケトン17b、7.7mg(19.6μmol、18%)を、Rv=34mLで無色油状物質として溶出した。
【0088】
【化21】

【0089】
17(Z)−1α,25ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノルビタミンD(20b)。25℃の無水THF(750μL)中のホスフィンオキシド10(62mg、106.5μmol)の溶液に、Di−n−ブチルエーテル中のPhLi 1.8M(59μL、8.9mg、106.5μmol)を、アルゴン下で攪拌しながらゆっくり加えた。溶液は濃いオレンジ色に変わった。混合液をその温度で20分間攪拌し、−78℃に冷却した。無水THF(100μL)中のケトン17b(7.7mg、19.6μmol)の予め冷却(−78℃)しておいた溶液をゆっくり加えた。混合液をアルゴン雰囲気下、−78℃で3時間、そして0℃で18時間攪拌した。酢酸エチルを加え、有機相を食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)、および蒸発させた。残渣をSep-Pakカートリッジにのせ、1%酢酸エチル/ヘキサンで溶出し、19−ノルの保護されたビタミン誘導体を得た。このビタミンを、HPLC(9.4−mm×25−cm Zorbax-Silカラム、4ml/分)により、ヘキサン/IPA(99.95:0.05)溶媒系を用いてさらに精製した。精製化合物19b、12.8mg(16.9μmol、86%)を、Rv=19mLで無色油状物質として溶出した。
【0090】
【化22】

【0091】
4584Si[M+Na]として算出した精密質量:779.5626、実測値:779.5647。
保護されたビタミン19b(12.8mg、16.9μmol)を無水THF(500μL)に溶解させ、TBAF(170μL、44.2mg、169μmol)で処理し、室温、暗所で一晩攪拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣をSep-Pakカートリッジにのせ、30%酢酸エチル/ヘキサンで溶出し、脱保護されたビタミンを得た。このビタミンを、HPLC(9.4−mm×25−cm Zorbax-Silカラム、4ml/分)により、溶媒系としてヘキサン/IPA(85/15)を用いてさらに精製した。精製ビタミン20b、4.3mg(10.3μmol、62%)をRv=33mLで溶出した。
【0092】
【化23】

【0093】
2742[M+Na]として算出した精密質量:437.3032、実測値:437.3026。
【0094】
(スキーム)
【0095】
【化24】

【0096】
【化25】

【0097】
【化26】

【0098】
(17(Z)−1α,25ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノルビタミンDの生物学的活性)
2位へのメチレン基の導入、17位および20位間の二重結合の導入、および1α,25−ジヒドロキシ−19−ノルビタミンDの側鎖をそのZ立体配置で位置を定めることは、1α,25−ジヒドロキシビタミンDと比較して、完全長リコンビナントラットビタミンD受容体への結合にほとんどまたは全く影響を与えなかった。化合物VIT−IIIは、スタンダードの1,25−(OH)と比較して、同程度に十分に受容体に結合した(図1)。これらの結果から、化合物VIT−IIIは均等の生物学的活性を有するものと予想してよいだろう。しかし驚くことに化合物VIT−IIIは独特の生物学的活性を有する高い選択性の類似体である。
【0099】
図5は、VIT−IIIが腸のカルシウム輸送を刺激する上で、天然のホルモンである1α,25−ジヒドロキシビタミンD(1,25(OH))の値と比較して、相対的に高い活性を有することを示す。
【0100】
図4は、VIT−IIIが1,25(OH)と比較して、相対的に高い骨カルシウム動員活性を有することを実証する。
【0101】
図4−5はしたがって、VIT−IIIは相対的に高い血漿カルシウム上昇活性を有すると特徴づけてよいことを示す。腸のカルシウム輸送およびカルシウム動員活性におけるこれらの優先的な活性は、代謝性骨疾患の治療および予防のためのこれらの化合物in vivo投与を可能にする。腸のカルシウム輸送におけるそして骨におけるそれらの優先的な血漿カルシウム上昇活性のため、これらの化合物は、骨粗しょう症、殊に低回転型骨粗しょう症、ステロイド誘発性骨粗しょう症、老人性骨粗しょう症、または閉経後骨粗しょう症、ならびに骨軟化症および腎性骨異栄養症のような疾患の治療および予防のための、好ましい治療薬と言えよう。
【0102】
図2は、VIT−IIIはHL−60細胞の分化において1,25(OH)と同程度の効力があり、そのためこの化合物が乾癬および癌の治療のための、殊に白血病、大腸癌、乳癌、皮膚癌および前立腺癌に対する優れた候補物質となることを示す。加えてその相対的に高い細胞分化活性により、この化合物はしわ、適度の皮膚の水和作用の欠如、すなわち乾燥肌、適度の皮膚の固さの欠如、すなわち皮膚のたるみ、および不十分な皮脂の分泌を含む様々な皮膚の状態の治療のための治療物質を提供する。したがってこの化合物の使用は、結果として皮膚の潤いをもたらすだけでなく、皮膚のバリアー機能もまた改善する。
【0103】
図3は、化合物VIT−IIIが骨細胞において、1α,25−ジヒドロキシビタミンDとほぼ等しい転写活性を有することを示す。この結果は図2の細胞分化活性と共に、VIT−IIIは細胞の分化を引き起こし、細胞の増殖を抑制する上での直接的な細胞の活性を有するため、この化合物は乾癬に非常に有効であろうと示唆する。これらのデータはまた、VIT−IIIが抗癌剤として、殊に白血病、大腸癌、乳癌、皮膚癌および前立腺癌に対して、ならびに肥満を治療および/または予防するための治療薬として、有意な活性を有すると思われることを指摘する。
【0104】
HL−60の分化におけるVIT−IIIの強い活性は、この化合物が副甲状腺の増殖を抑制する上でまたプレプロ副甲状腺遺伝子の抑制において活性であるだろうと示唆する。相対的に高い血漿カルシウム上昇活性を有するこの類似体はまた、この類似体が血中カルシウムレベルを上昇させるのに有効であるため、副甲状腺機能低下症を治療するための治療薬として有用であると予想される。
【0105】
(実験方法)
本発明の化合物は以下の方法を用いて調製し、試験した。
【0106】
ビタミンD受容体への結合
検査材料
タンパク質原料
完全長リコンビナントラット受容体は、大腸菌BL21(DE3)Codon Plus RIL細胞中で発現させ、2つの異なるカラムクロマトグラフィーシステムを用いて均一となるように精製した。第一のシステムはこのタンパク質のC末端ヒスチジンタグを利用するニッケルアフィニティー樹脂であった。この樹脂から溶出したタンパク質を、イオン交換クロマトグラフィー(S-Sepharose Fast Flow)を用いてさらに精製した。精製タンパク質のアリコートを液体窒素中で急速凍結し、使用まで−80℃で保存した。結合アッセイで使用するために、このタンパク質を0.1% Chaps界面活性剤を含むTEDK50(50mM Tris、1.5mM EDTA、pH7.4、5mM DTT、150mM KCl)中に希釈した。受容体タンパク質およびリガンドの濃度は、添加した放射標識リガンドの多くても20%が受容体に結合するように、最適化した。
【0107】
試験薬剤
未標識リガンドをエタノールに溶かし、UV分光測定を用いて濃度を決定した(1,25(OH):モル吸光係数=18,200およびλmax=265nm)。放射標識リガンド(H−1,25(OH)、〜159Ci/mmol)を、最終濃度1nMにてエタノールに加えた。
【0108】
アッセイの条件
放射標識および未標識のリガンドを、最終エタノール濃度10%以下にて100mclの希釈タンパク質に加え、混合し、結合平衡に達するように氷上で一晩インキュベーションした。翌日、100mclのヒドロキシルアパタイトのスラリー(50%)を各試験官に加え、10分毎に30分間混合した。ヒドロキシルアパタイトを遠心して集めた後、0.5%Triron X-100を含有するTris-EDTAバッファー(50mM Tris、1.5mM EDTA、pH7.4)で3回洗浄した。最後の洗浄の後ペレットを、4mlのBiosafe IIシンチレーションカクテルを含有するシンチレーションバイアルに移し、混合し、シンチレーションカウンターに設置した。結合の総計を、放射標識リガンドのみを含有する試験管から決定した。
【0109】
HL−60の分化
検査材料
試験薬剤
試験薬剤をエタノールに溶かし、UV分光測定を用いて濃度を決定した。細胞培養液中に存在する最終エタノール濃度(0.2%以下)を変化させずに薬剤濃度の範囲を検査することができるように段階希釈を調製した。
【0110】
細胞
ヒト前骨髄球性白血病(HL60)細胞は、10%ウシ胎児血清を含有するRPMI−1640培地中で成長させた。この細胞は、5%COの存在下、37℃でインキュベーションした。
【0111】
アッセイ条件
HL60細胞は、1.2×10細胞/mlでプレーティングした。プレーティング後18時間で、細胞をデュープリケートで薬剤により処理した。4日後細胞を集め、ニトロブルーテトラゾリウム還元アッセイを行った(Collins et al., 1979; J. Exp. Med. 149: 969-974)。分化した細胞のパーセントを総計200細胞をカウントすることにより決定し、細胞内のブラックブルーのホルマザン沈着を含有する数を記録した。単球細胞への分化の検証は、貪食細胞の活性を測定することにより決定した(データは示さない)。
【0112】
in vitro 転写アッセイ
転写活性は、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流に24−ヒドロキシラーゼ(24Ohase)遺伝子プロモーターを用いて、安定してトランスフェクトされたROS 17/2.8(骨)細胞において測定した(Arbour et al., 1998)。細胞に一定範囲の用量を与えた。投与後16時間で細胞を集め、ルミノメーターを用いてルシフェラーゼ活性を測定した。RLU=相対ルシフェラーゼユニット。
【0113】
最終エタノール濃度を等しく維持するように、同一ウェルに1,25(OH)および化合物を組み合わせたものを加えることにより、拮抗作用を検査した。
【0114】
腸のカルシウム輸送および骨カルシウム動員
オス離乳期Sprague-Dawley ラットに、Diet 11 (Suda et al, J. Nutr. 100: 1049, 1970)(0.47%Ca)+ビタミンAEKを1週間、続いてDiet 11(0.02%Ca)+ビタミンAEKを3週間与えておいた。その後ラットは、0.47%Caを含有する同じ食餌を1週間、続いて0.02%Caを含有する同じ食餌を2週間にスイッチした。0.02%カルシウム食の最終週の間に薬剤投与を開始した。4回の連続腹腔内投与を、およそ24時間間隔で行った。最後の投与後24時間で、切断した頚部から血液を採集し、骨カルシウム動員の測定として、血清カルシウム濃度を原子吸光光度計により決定した。小腸の反転嚢の方法を用いての腸のカルシウム輸送分析用に、腸の最初の10cmもまた採取した。
【0115】
1,25(OH)および化合物を組み合わせたものを動物に同時に投与することより、拮抗作用を検査した。
【0116】
(データの解釈)
VDRへの結合、HL60細胞の分化、および転写活性。VIT−III(Ki=5.0×10−11M)は、完全長リコンビナントラットビタミンD受容体への結合に関して、[H]−1,25(OH)と競合するその活性において、天然ホルモン1α、25−ジヒドロキシビタミンD(Ki=4.9×10−11M)と同等である(図1)。VIT−III(EC50=3.7×10−10M)はまた、HL60の分化を促進するその能力(有効性または効力)において、1α、25−ジヒドロキシビタミンD(EC50=1.3×10−9M)と比較して、有意により高かった(図2を参照のこと)。また化合物VIT−III(EC50=4.4×10−12M)は、1α、25−ジヒドロキシビタミンD(EC50=2.9×10−10M)より、骨細胞におけるより大きな転写活性を有する(図3を参照のこと)。これらの結果は、VIT−IIIが細胞の分化を引き起こす上で、そして細胞の増殖を抑制する上での直接的な細胞の活性を有するため、この化合物は乾癬において非常に有効であろうと示唆する。これらのデータはまた、VIT−IIIが抗癌剤として、殊に白血病、大腸癌、乳癌、皮膚癌および前立腺癌に対して、ならびに皮膚の状態、例えば乾燥肌(皮膚の水和作用の欠如)、過度の皮膚のたるみ(不十分な皮膚の固さ)、不十分な皮脂の分泌、およびしわに対して、有意な活性を有するだろうと指摘する。この化合物はまた、二次性副甲状腺機能亢進症を抑制する上でも非常に活性であると予想されるだろう。
【0117】
ビタミンD欠損動物における骨からのカルシウム動員および腸のカルシウム吸収。低カルシウム食(0.02%)のビタミンD欠損ラットを使用して、腸および骨におけるVIT−IIIおよび1,25(OH)の活性を検査した。予想されるように、天然ホルモン(1,25(OH))は、検査した投与量で血清カルシウムレベルを上昇させた(図4)。図4はまた、VIT−IIIが1,25(OH)に比して、骨からのカルシウムの動員における有意により高い活性を有することを示す。260pmol/日、4連続日のVIT−III投与は、骨カルシウムの有意な動員をもたらし、そして2340pmol/日、次に7020pmol/日へのVIT−IIIの量の増加はまた効果を増大させ、1,25(OH)で認められた効果を十分に上回る血清カルシウムレベルの累進的な増加を提供した。
【0118】
腸のカルシウム輸送は、小腸の反転嚢の方法を用いて同一群の動物において評価した(図5)。これらの結果は、260pmol/日の用量での25(OH)と比較して、化合物VIT−IIIは260pmol/日、2340pmol/日、または7020pmol/日で投与した時に、腸のカルシウム輸送活性の有意な増大を促進することを示す。したがってVIT−IIIは、検査した用量で有意な腸のカルシウム輸送活性を有すると結論してよい。
【0119】
これらの結果は、VIT−IIIが本明細書において記載したようなヒトの数多くの治療のための優れた候補物質であり、そしてこの化合物はいくつかの状況、例えば腎性骨異栄養症の二次性副甲状腺機能亢進症の抑制、自己免疫疾患、癌、および乾癬において特に有用であると思われることを示す。VIT−IIIは以下の理由から乾癬を治療するための優れた候補物質である:(1)この化合物は有意なVDR結合活性、転写活性、および細胞分化活性を有する;(2)この化合物は1,25(OH)とは異なり、高カルシウム血症傾向がない;および(3)この化合物は容易に合成できる。VIT−IIIはビタミンD受容体への有意な結合活性を有するが、血中の血清カルシウムを上昇させる能力はほとんどないため、この化合物はまた、腎性骨異栄養症の二次性副甲状腺機能亢進症の治療に特に有用である。
【0120】
これらのデータはまた、本発明の化合物VIT−IIIが免疫系の不均衡を特徴とするヒトの障害の治療および予防に、例えば、多発性硬化症、ループス、糖尿病、宿主対移植片の拒絶、および臓器移植の拒絶を含む自己免疫疾患において;そして加えて炎症性疾患、例えば関節リウマチ、喘息、ならびに炎症性腸疾患 例えばセリアック病、潰瘍性大腸炎およびクローン病の治療として、殊に適すると思われることを指摘する。ざ瘡、脱毛症、および高血圧は、本発明の化合物VIT−IIIで治療してよいその他の状態である。
【0121】
式I、そして特に式Iaの本発明の化合物はまた、動物の被験者における肥満を予防もしくは治療する、肥満細胞の分化を阻害する、SCD−1遺伝子の転写を阻害する、および/または体脂肪を低減する上で有用である。そのため一部の態様において、動物の被験者における肥満を予防もしくは治療する、肥満細胞の分化を阻害する、SCD−1遺伝子の転写を阻害する、および/または体脂肪を低減する方法は、1つもしくはそれより多くの式Iの化合物の有効量、または1つもしくはそれより多くの当該化合物を含む医薬組成物の有効量を、動物の被験者に投与することを含む。1つもしくはそれより多くの当該化合物、または当該医薬組成物の被験者への投与は、動物の被験者における脂肪細胞の分化を阻害し、遺伝子の転写を阻害し、そして/または体脂肪を低減する。動物は、ヒト、家庭の動物、例えばイヌもしくはネコ、または農耕動物、殊にヒトの消費用食肉を提供するもの、例えばニワトリ、シチメンチョウ、キジもしくはウズラのような家禽、ならびにウシ、ヒツジ、ヤギ、またはブタといった動物であってよい。
【0122】
予防および/または治療を目的として、式IおよびIaにより定義された本発明の化合物は、当該技術分野において公知の従来の方法に従って、無害な溶媒中の溶液として、または適切な溶媒または担体中のエマルジョン、懸濁液もしくは分散液として、または固体担体と共にピル、錠剤もしくはカプセルとして、医薬的適用のために製剤化してよい。そのようなあらゆる製剤はまた、他の医薬的に受容可能なそして非毒性の賦形剤、例えば安定剤、抗酸化剤、結合剤、着色剤、または乳化剤、または調味剤を含有してよい。
【0123】
式Iの化合物、そして特に式IaのVIT-IIIは、経口、局所、非経口、経直腸、経鼻、舌下、または経皮により投与してよい。当該化合物は、適切な滅菌溶液の注射によりもしくは静脈内注入により、または消化管を介しての液体もしくは固体の用量の形で、またはクリーム、軟膏、パッチ、もしくは経皮塗布に適する類似のビヒクルの形で、有利なように投与する。化合物I、特にVIT−IIIの1日当たり0.01μgから1000μgの用量、好ましくは1日当たり約0.1μgから約500μgが、予防および/または治療の目的として適当であり、そのような用量は当該技術分野においてよく理解されているように、治療する疾患、その重症度、および被験者の応答に従って調整される。当該化合物は作用の特定性を示すため、各化合物は、種々の程度の骨ミネラル動員およびカルシウム輸送の刺激が有利であることが見出される状況において、単剤でまたは別の活性なビタミンD化合物−−例えば1α−ヒドロキシビタミンDもしくはD、または1α,25−ジヒドロキシビタミンD−−の段階的用量と合わせて、適切に投与してよい。
【0124】
上述の治療に使用するための組成物は、活性成分として上の式IおよびIaにより定義されたような化合物I、特にVIT−IIIの有効量、および適切な担体を包含する。本発明に従って使用するためのそのような化合物の有効量は、組成物1グラム当たり約0.01μgから約1000μg、好ましくは組成物1グラム当たり約0.1μgから約500μgであり、そして局所、経皮、経口、経直腸、経鼻、舌下、または非経口により、約0.01μg/日から約1000μg/日、そして好ましくは約0.1μg/日から約500μg/日の投与量で投与してよい。
【0125】
化合物I、特にVIT−IIIは、クリーム、ローション、軟膏、局所用パッチ、ピル、カプセルもしくは錠剤、座剤、エアゾールとして、または医薬的に無害で受容可能な溶媒もしくはオイル中の溶液、エマルジョン、分散液もしくは懸濁液としての液体の形で製剤化してよく、そしてそのような調製剤は、他の医薬的に無害または有益な成分、例えば安定剤、抗酸化剤、乳化剤、着色剤、結合剤または調味剤を、付加的に含有してよい。
【0126】
化合物I、特にVIT−IIIは、前骨髄球の正常なマクロファージへの分化をもたらすための十分量で、有利なように投与してよい。上に記載したような投与量は適切であるが、提示した量は、当該技術分野において十分に理解されているように疾患の重症度、ならびに被験者の状態および応答に従って調整されるものとすることは理解されよう。
【0127】
そのため本発明の製剤は、医薬的に受容可能な担体そして所望により他の治療成分と共に活性成分を包含する。担体は、製剤の他の成分と矛盾しないという意味で“受容可能”でなければならず、またそのレシピエントに有害であってはならない。
【0128】
経口投与に適する本発明の製剤は、カプセル、サシェ、錠剤もしくはロゼンジとして個別のユニットの形であってよく、各々は活性成分の予め決定された量を;粉末もしくは顆粒の形;水溶性の液体もしくは非水溶性の液体中の溶液もしくは懸濁液の形;または水中油滴型エマルジョンもしくは油中水滴型エマルジョンの形、で含有する。
【0129】
直腸投与用製剤は、活性成分および担体 例えばココアバターを組み込む座剤の形で、または浣腸剤の形であってよい。
【0130】
非経口投与に適する製剤は、好ましくはレシピエントの血液と等張である活性成分の滅菌した油性または水性の調製剤を、使い勝手のいいように包含する。
【0131】
局所投与に適する製剤は、液体もしくは半液体の調製剤 例えばリニメント剤、ローション、塗布剤、水中油滴型もしくは油中水滴型エマルジョン 例えばクリーム、軟膏もしくはペースト;または溶液もしくは懸濁液 例えばドロップを;またはスプレーとして含む。
【0132】
経鼻投与用に、粉末の吸入、スプレー缶、ネブライザーもしくはアトマイザーで調剤される、自己噴霧(self-propelling)製剤またはスプレー製剤、を使用することができる。この製剤は調剤する際、好ましくは10から100μの範囲の粒度を有する。
【0133】
製剤は使い勝手のいいように投与量ユニットの形で提示してよく、薬学分野で周知の方法のいずれかにより調製してよい。“投与量ユニット”という用語により、1単位、すなわち活性成分それ自体、または固体もしくは液体の医薬用希釈剤もしくは担体と活性成分との混合物、のいずれかを包含する、物理学的および化学的に安定なユニット用量として患者に投与することのできる単一の用量を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】図1は、完全長リコンビナントラットビタミンD受容体に対して、[H]−1,25(OH)と共に結合を競合する、VIT−IIIおよび1,25(OH)の相対的活性を示すグラフである;
【図2】図2は、VIT−IIIおよび1,25(OH)の濃度の関数として、HL−60細胞の分化のパーセントを示すグラフである;
【図3】図3は、VIT−IIIと比較した、1,25(OH)のin vitro転写活性を示すグラフである;
【図4】図4は、VIT−IIIと比較した、1,25(OH)の骨カルシウム動員活性を示す棒グラフである;そして
【図5】図5は、VIT−IIIと比較した、1,25(OH)の腸のカルシウム輸送活性を示す棒グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】

[式中、YおよびYは同一でも異なっていてもよく、各々水素およびヒドロキシを保護する基から成る群より選択され、式中、R11およびR12は各々水素、または共同してメチレン基であり、式中、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、各々水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシおよびアルコキシから成る群より選択される、またはRおよびRは共同して、xが2から5の整数である−(CH)−基を表してよい、またはRおよびRは共同して=CR基を表してよく、ここでRおよびRは同一でも異なっていてもよく、各々水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシおよびアルコキシから成る群より選択される、もしくはRおよびRは共同して、xが2から5の整数である−(CH)−基を表してよく、そして式中、R基は以下の構造
【化2】

により表わされる側鎖を表し、ここで側鎖および17−エン二重結合はZ立体配置にあり、そしてここで上の側鎖構造中のZはY、−OY、−CHOY、−C≡CY、および−CH=CHYより選択され、ここで側鎖中の二重結合はシスまたはトランスの幾何学を有してよく、そしてここでYは水素、メチル、−CORおよび以下の構造のラジカル:
【化3】

より選択され、ここでmおよびnは独立して0から5の整数を表し、ここでRは水素、重水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、およびC1−5アルキルより選択され、このC1−5アルキルは直鎖でも分枝鎖でもよく、また所望によりヒドロキシ置換基または保護されたヒドロキシ置換基を有してよく、そしてここでR、RおよびRは各々独立して重水素、重陽子アルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチルおよびC1−5アルキルより選択され、このC1−5アルキルは直鎖でも分枝鎖でもよく、また所望によりヒドロキシ置換基または保護されたヒドロキシ置換基を有してよく、そしてここでRおよびRは共同して、オキソ基、またはkが整数である一般式C2k−を有するアルキリデン基、=CR基、またはpが2から5の整数である−(CH)−基を表し、そしてここでRおよびRは共同して、オキソ基、またはqが2から5の整数である−(CH)−基を表し、そしてここでRは水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、またはC1−5アルキルを表し、そしてここで側鎖の20位、22位、もしくは23位のCH−基のいずれかは窒素原子で置き換えられてよい、またはここで20位、22位、および23位の−CH(CH)−基、− (CH)−基、−CR−基もしくは− (CH)−基のいずれかは各々、酸素原子もしくはイオウ原子で置き換えられてよい]
を有する化合物。
【請求項2】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
、YおよびRが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1に記載した化合物の少なくとも1つの有効量を、医薬的に受容可能な賦形剤と共に含有する医薬組成物。
【請求項6】
前期有効量が、組成物1グラム当たり約0.01μgから約1000μgを包含する、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前期有効量が、組成物1グラム当たり約0.1μgから約500μgを包含する、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項8】
以下の式:
【化4】

[式中、YおよびYは同一でも異なっていてもよく、各々水素およびヒドロキシを保護する基より選択される]
を有する化合物。
【請求項9】
が水素である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
が水素である、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
およびYが双方ともt−ブチルジメチルシリルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項12】
請求項8に記載した化合物の少なくとも1つの有効量を、医薬的に受容可能な賦形剤と共に含有する医薬組成物。
【請求項13】
前期有効量が、組成物1グラム当たり約0.01μgから約1000μgを包含する、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前期有効量が、組成物1グラム当たり約0.1μgから約500μgを包含する、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
以下の式:
【化5】

を有する17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンD
【請求項16】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDの有効量を、医薬的に受容可能な賦形剤と共に含有する医薬組成物。
【請求項17】
前期有効量が、組成物1グラム当たり約0.01μgから約1000μgを包含する、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前期有効量が、組成物1グラム当たり約0.1μgから約500μgを包含する、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項19】
以下の式:
【化6】

[式中、YおよびYは同一でも異なっていてもよく、各々水素およびヒドロキシを保護する基から成る群より選択され、式中、R11およびR12は各々水素、または共同してメチレン基であり、式中、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、各々水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシおよびアルコキシから成る群より選択される、またはRおよびRは共同して、xが2から5の整数である−(CH)−基を表してよい、またはRおよびRは共同して=CR基を表してよく、ここでRおよびRは同一でも異なっていてもよく、各々水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシおよびアルコキシから成る群より選択される、もしくはRおよびRは共同して、xが2から5の整数である−(CH)−基を表してよく、そして式中、R基は以下の構造
【化7】

により表わされる側鎖を表し、ここで側鎖および17−エン二重結合はZ立体配置にあり、そしてここで上の側鎖構造中のZはY、−OY、−CHOY、−C≡CY、および−CH=CHYより選択され、ここで側鎖中の二重結合はシスまたはトランスの幾何学を有してよく、そしてここでYは水素、メチル、−CORおよび以下の構造のラジカル:
【化8】

より選択され、ここでmおよびnは独立して0から5の整数を表し、ここでRは水素、重水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、およびC1−5アルキルより選択され、このC1−5アルキルは直鎖でも分枝鎖でもよく、また所望によりヒドロキシ置換基または保護されたヒドロキシ置換基を有してよく、そしてここでR、RおよびRは各々独立して重水素、重陽子アルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチルおよびC1−5アルキルより選択され、このC1−5アルキルは直鎖でも分枝鎖でもよく、また所望によりヒドロキシ置換基または保護されたヒドロキシ置換基を有してよく、そしてここでRおよびRは共同して、オキソ基、またはkが整数である一般式C2k−を有するアルキリデン基、=CR基、またはpが2から5の整数である−(CH)−基を表し、そしてここでRおよびRは共同して、オキソ基、またはqが2から5の整数である−(CH)−基を表し、そしてここでRは水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、またはC1−5アルキルを表し、そしてここで側鎖の20位、22位、もしくは23位のCH−基のいずれかは窒素原子で置き換えられてよい、またはここで20位、22位、および23位の−CH(CH)−基、− (CH)−基、−CR−基もしくは− (CH)−基のいずれかは各々、酸素原子もしくはイオウ原子で置き換えられてよい]
を有する17(20)−デヒドロビタミンD類似体の有効量を、乾癬の被験者に投与することを包含する、乾癬を治療する方法。
【請求項20】
ビタミンD類似体を経口投与する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ビタミンD類似体を非経口投与する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
ビタミンD類似体を経皮投与する、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
ビタミンD類似体を局所投与する、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
ビタミンD類似体を約0.01μg/日から約1000μg/日の投与量で投与する、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
以下の式:
【化9】

を有する17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDの有効量を、乾癬の被験者に投与することを包含する、乾癬を治療する方法。
【請求項26】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを経口投与する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを非経口投与する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを経皮投与する、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを局所投与する、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを約0.01μg/日から約1000μg/日の投与量で投与する、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
以下の式:
【化10】

[式中、YおよびYは同一でも異なっていてもよく、各々水素およびヒドロキシを保護する基から成る群より選択され、式中、R11およびR12は各々水素、または共同してメチレン基であり、式中、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、各々水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシおよびアルコキシから成る群より選択される、またはRおよびRは共同して、xが2から5の整数である−(CH)−基を表してよい、またはRおよびRは共同して=CR基を表してよく、ここでRおよびRは同一でも異なっていてもよく、各々水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシおよびアルコキシから成る群より選択される、もしくはRおよびRは共同して、xが2から5の整数である−(CH)−基を表してよく、そして式中、R基は以下の構造
【化11】

により表わされる側鎖を表し、ここで側鎖および17−エン二重結合はZ立体配置にあり、そしてここで上の側鎖構造中のZはY、−OY、−CHOY、−C≡CY、および−CH=CHYより選択され、ここで側鎖中の二重結合はシスまたはトランスの幾何学を有してよく、そしてここでYは水素、メチル、−CORおよび以下の構造のラジカル:
【化12】

より選択され、ここでmおよびnは独立して0から5の整数を表し、ここでRは水素、重水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、およびC1−5アルキルより選択され、このC1−5アルキルは直鎖でも分枝鎖でもよく、また所望によりヒドロキシ置換基または保護されたヒドロキシ置換基を有してよく、そしてここでR、RおよびRは各々独立して重水素、重陽子アルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチルおよびC1−5アルキルより選択され、このC1−5アルキルは直鎖でも分枝鎖でもよく、また所望によりヒドロキシ置換基または保護されたヒドロキシ置換基を有してよく、そしてここでRおよびRは共同して、オキソ基、またはkが整数である一般式C2k−を有するアルキリデン基、=CR基、またはpが2から5の整数である−(CH)−基を表し、そしてここでRおよびRは共同して、オキソ基、またはqが2から5の整数である−(CH)−基を表し、そしてここでRは水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、またはC1−5アルキルを表し、そしてここで側鎖の20位、22位、もしくは23位のCH−基のいずれかは窒素原子で置き換えられてよい、またはここで20位、22位、および23位の−CH(CH)−基、− (CH)−基、−CR−基もしくは− (CH)−基のいずれかは各々、酸素原子もしくはイオウ原子で置き換えられてよい]
を有する17(20)−デヒドロビタミンD類似体の有効量を、白血病、大腸癌、乳癌、皮膚癌または前立腺癌から成る群より選択される疾患の被験者に投与することを包含する、前記疾患を治療する方法。
【請求項32】
ビタミンD類似体を経口投与する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ビタミンD類似体を非経口投与する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
ビタミンD類似体を経皮投与する、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
ビタミンD類似体を約0.01μg/日から約1000μg/日の投与量で投与する、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
以下の式:
【化13】

を有する17(E)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDの有効量を、白血病、大腸癌、乳癌、皮膚癌または前立腺癌から成る群より選択される疾患の被験者に投与することを包含する、前記疾患を治療する方法。
【請求項37】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを経口投与する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを非経口投与する、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを経皮投与する、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを約0.01μg/日から約1000μg/日の投与量で投与する、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
以下の式:
【化14】

[式中、YおよびYは同一でも異なっていてもよく、各々水素およびヒドロキシを保護する基から成る群より選択され、式中、R11およびR12は各々水素、または共同してメチレン基であり、式中、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、各々水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシおよびアルコキシから成る群より選択される、またはRおよびRは共同して、xが2から5の整数である−(CH)−基を表してよい、またはRおよびRは共同して=CR基を表してよく、ここでRおよびRは同一でも異なっていてもよく、各々水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシおよびアルコキシから成る群より選択される、もしくはRおよびRは共同して、xが2から5の整数である−(CH)−基を表してよく、そして式中、R基は以下の構造
【化15】

により表わされる側鎖を表し、ここで側鎖および17−エン二重結合はZ立体配置にあり、そしてここで上の側鎖構造中のZはY、−OY、−CHOY、−C≡CY、および−CH=CHYより選択され、ここで側鎖中の二重結合はシスまたはトランスの幾何学を有してよく、そしてここでYは水素、メチル、−CORおよび以下の構造のラジカル:
【化16】

より選択され、ここでmおよびnは独立して0から5の整数を表し、ここでRは水素、重水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、およびC1−5アルキルより選択され、このC1−5アルキルは直鎖でも分枝鎖でもよく、また所望によりヒドロキシ置換基または保護されたヒドロキシ置換基を有してよく、そしてここでR、RおよびRは各々独立して重水素、重陽子アルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチルおよびC1−5アルキルより選択され、このC1−5アルキルは直鎖でも分枝鎖でもよく、また所望によりヒドロキシ置換基または保護されたヒドロキシ置換基を有してよく、そしてここでRおよびRは共同して、オキソ基、またはkが整数である一般式C2k−を有するアルキリデン基、=CR基、またはpが2から5の整数である−(CH)−基を表し、そしてここでRおよびRは共同して、オキソ基、またはqが2から5の整数である−(CH)−基を表し、そしてここでRは水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、またはC1−5アルキルを表し、そしてここで側鎖の20位、22位、もしくは23位のCH−基のいずれかは窒素原子で置き換えられてよい、またはここで20位、22位、および23位の−CH(CH)−基、− (CH)−基、−CR−基もしくは− (CH)−基のいずれかは各々、酸素原子もしくはイオウ原子で置き換えられてよい]
を有する17(20)−デヒドロビタミンD類似体の有効量を、多発性硬化症、ループス、糖尿病、宿主対移植片の拒絶、および臓器移植の拒絶から成る群より選択される自己免疫疾患の被験者に投与することを包含する、前記疾患を治療する方法。
【請求項42】
ビタミンD類似体を経口投与する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
ビタミンD類似体を非経口投与する、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
ビタミンD類似体を経皮投与する、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
ビタミンD類似体を約0.01μg/日から約1000μg/日の投与量で投与する、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
以下の式:
【化17】

を有する17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDの有効量を、多発性硬化症、ループス、糖尿病、宿主対移植片の拒絶、および臓器移植の拒絶から成る群より選択される自己免疫疾患の被験者に投与することを包含する、前記疾患を治療する方法。
【請求項47】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを経口投与する、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを非経口投与する、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを経皮投与する、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを約0.01μg/日から約1000μg/日の投与量で投与する、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
以下の式:
【化18】

[式中、YおよびYは同一でも異なっていてもよく、各々水素およびヒドロキシを保護する基から成る群より選択され、式中、R11およびR12は各々水素、または共同してメチレン基であり、式中、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、各々水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシおよびアルコキシから成る群より選択される、またはRおよびRは共同して、xが2から5の整数である−(CH)−基を表してよい、またはRおよびRは共同して=CR基を表してよく、ここでRおよびRは同一でも異なっていてもよく、各々水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシおよびアルコキシから成る群より選択される、もしくはRおよびRは共同して、xが2から5の整数である−(CH)−基を表してよく、そして式中、R基は以下の構造
【化19】

により表わされる側鎖を表し、ここで側鎖および17−エン二重結合はZ立体配置にあり、そしてここで上の側鎖構造中のZはY、−OY、−CHOY、−C≡CY、および−CH=CHYより選択され、ここで側鎖中の二重結合はシスまたはトランスの幾何学を有してよく、そしてここでYは水素、メチル、−CORおよび以下の構造のラジカル:
【化20】

より選択され、ここでmおよびnは独立して0から5の整数を表し、ここでRは水素、重水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、およびC1−5アルキルより選択され、このC1−5アルキルは直鎖でも分枝鎖でもよく、また所望によりヒドロキシ置換基または保護されたヒドロキシ置換基を有してよく、そしてここでR、RおよびRは各々独立して重水素、重陽子アルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチルおよびC1−5アルキルより選択され、このC1−5アルキルは直鎖でも分枝鎖でもよく、また所望によりヒドロキシ置換基または保護されたヒドロキシ置換基を有してよく、そしてここでRおよびRは共同して、オキソ基、またはkが整数である一般式C2k−を有するアルキリデン基、=CR基、またはpが2から5の整数である−(CH)−基を表し、そしてここでRおよびRは共同して、オキソ基、またはqが2から5の整数である−(CH)−基を表し、そしてここでRは水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、またはC1−5アルキルを表し、そしてここで側鎖の20位、22位、もしくは23位のCH−基のいずれかは窒素原子で置き換えられてよい、またはここで20位、22位、および23位の−CH(CH)−基、− (CH)−基、−CR−基もしくは− (CH)−基のいずれかは各々、酸素原子もしくはイオウ原子で置き換えられてよい]
を有する17(20)−デヒドロビタミンD類似体の有効量を、関節リウマチ、喘息、および炎症性腸疾患から成る群より選択される炎症性疾患の被験者に投与することを包含する、前記疾患を治療する方法。
【請求項52】
ビタミンD類似体を経口投与する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
ビタミンD類似体を非経口投与する、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
ビタミンD類似体を経皮投与する、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
ビタミンD類似体を約0.01μg/日から約1000μg/日の投与量で投与する、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
以下の式:
【化21】

を有する17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDの有効量を、関節リウマチ、喘息、および炎症性腸疾患から成る群より選択される炎症性疾患の被験者に投与することを包含する、前記疾患を治療する方法。
【請求項57】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを経口投与する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを非経口投与する、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを経皮投与する、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを約0.01μg/日から約1000μg/日の投与量で投与する、請求項56に記載の方法。
【請求項61】
以下の式:
【化22】

[式中、YおよびYは同一でも異なっていてもよく、各々水素およびヒドロキシを保護する基から成る群より選択され、式中、R11およびR12は各々水素、または共同してメチレン基であり、式中、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、各々水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシおよびアルコキシから成る群より選択される、またはRおよびRは共同して、xが2から5の整数である−(CH)−基を表してよい、またはRおよびRは共同して=CR基を表してよく、ここでRおよびRは同一でも異なっていてもよく、各々水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシおよびアルコキシから成る群より選択される、もしくはRおよびRは共同して、xが2から5の整数である−(CH)−基を表してよく、そして式中、R基は以下の構造
【化23】

により表わされる側鎖を表し、ここで側鎖および17−エン二重結合はZ立体配置にあり、そしてここで上の側鎖構造中のZはY、−OY、−CHOY、−C≡CY、および−CH=CHYより選択され、ここで側鎖中の二重結合はシスまたはトランスの幾何学を有してよく、そしてここでYは水素、メチル、−CORおよび以下の構造のラジカル:
【化24】

より選択され、ここでmおよびnは独立して0から5の整数を表し、ここでRは水素、重水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、およびC1−5アルキルより選択され、このC1−5アルキルは直鎖でも分枝鎖でもよく、また所望によりヒドロキシ置換基または保護されたヒドロキシ置換基を有してよく、そしてここでR、RおよびRは各々独立して重水素、重陽子アルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチルおよびC1−5アルキルより選択され、このC1−5アルキルは直鎖でも分枝鎖でもよく、また所望によりヒドロキシ置換基または保護されたヒドロキシ置換基を有してよく、そしてここでRおよびRは共同して、オキソ基、またはkが整数である一般式C2k−を有するアルキリデン基、=CR基、またはpが2から5の整数である−(CH)−基を表し、そしてここでRおよびRは共同して、オキソ基、またはqが2から5の整数である−(CH)−基を表し、そしてここでRは水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、またはC1−5アルキルを表し、そしてここで側鎖の20位、22位、もしくは23位のCH−基のいずれかは窒素原子で置き換えられてよい、またはここで20位、22位、および23位の−CH(CH)−基、− (CH)−基、−CR−基もしくは− (CH)−基のいずれかは各々、酸素原子もしくはイオウ原子で置き換えられてよい]
を有する17(20)−デヒドロビタミンD類似体の有効量を、しわ、適度の皮膚の固さの欠如、適度の皮膚の水和作用の欠如、および不十分な皮脂の分泌から成る群より選択される皮膚の状態の被験者に投与することを包含する、前記の皮膚の状態を治療する方法。
【請求項62】
ビタミンD類似体を経口投与する、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
ビタミンD類似体を非経口投与する、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
ビタミンD類似体を経皮投与する、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
ビタミンD類似体を局所投与する、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
ビタミンD類似体を約0.01μg/日から約1000μg/日の投与量で投与する、請求項61に記載の方法。
【請求項67】
以下の式:
【化25】

を有する17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDの有効量を、しわ、適度の皮膚の固さの欠如、適度の皮膚の水和作用の欠如、および不十分な皮脂の分泌から成る群より選択される皮膚の状態の被験者に投与することを包含する、前記の皮膚の状態を治療する方法。
【請求項68】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを経口投与する、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを非経口投与する、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを経皮投与する、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを局所投与する、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを約0.01μg/日から約1000μg/日の投与量で投与する、請求項67に記載の方法。
【請求項73】
以下の式:
【化26】

[式中、YおよびYは同一でも異なっていてもよく、各々水素およびヒドロキシを保護する基から成る群より選択され、式中、R11およびR12は各々水素、または共同してメチレン基であり、式中、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、各々水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシおよびアルコキシから成る群より選択される、またはRおよびRは共同して、xが2から5の整数である−(CH)−基を表してよい、またはRおよびRは共同して=CR基を表してよく、ここでRおよびRは同一でも異なっていてもよく、各々水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシおよびアルコキシから成る群より選択される、もしくはRおよびRは共同して、xが2から5の整数である−(CH)−基を表してよく、そして式中、R基は以下の構造
【化27】

により表わされる側鎖を表し、ここで側鎖および17−エン二重結合はZ立体配置にあり、そしてここで上の側鎖構造中のZはY、−OY、−CHOY、−C≡CY、および−CH=CHYより選択され、ここで側鎖中の二重結合はシスまたはトランスの幾何学を有してよく、そしてここでYは水素、メチル、−CORおよび以下の構造のラジカル:
【化28】

より選択され、ここでmおよびnは独立して0から5の整数を表し、ここでRは水素、重水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、およびC1−5アルキルより選択され、このC1−5アルキルは直鎖でも分枝鎖でもよく、また所望によりヒドロキシ置換基または保護されたヒドロキシ置換基を有してよく、そしてここでR、RおよびRは各々独立して重水素、重陽子アルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチルおよびC1−5アルキルより選択され、このC1−5アルキルは直鎖でも分枝鎖でもよく、また所望によりヒドロキシ置換基または保護されたヒドロキシ置換基を有してよく、そしてここでRおよびRは共同して、オキソ基、またはkが整数である一般式C2k−を有するアルキリデン基、=CR基、またはpが2から5の整数である−(CH)−基を表し、そしてここでRおよびRは共同して、オキソ基、またはqが2から5の整数である−(CH)−基を表し、そしてここでRは水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、またはC1−5アルキルを表し、そしてここで側鎖の20位、22位、もしくは23位のCH−基のいずれかは窒素原子で置き換えられてよい、またはここで20位、22位、および23位の−CH(CH)−基、− (CH)−基、−CR−基もしくは− (CH)−基のいずれかは各々、酸素原子もしくはイオウ原子で置き換えられてよい]
を有する17(20)−デヒドロビタミンD類似体の有効量を、腎性骨異栄養症の被験者に投与することを包含する、腎性骨異栄養症を治療する方法。
【請求項74】
ビタミンD類似体を経口投与する、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
ビタミンD類似体を非経口投与する、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
ビタミンD類似体を経皮投与する、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
ビタミンD類似体を約0.01μg/日から約1000μg/日の投与量で投与する、請求項73に記載の方法。
【請求項78】
以下の式:
【化29】

を有する17(E)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDの有効量を、腎性骨異栄養症の被験者に投与することを包含する、腎性骨異栄養症を治療する方法。
【請求項79】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを経口投与する、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを非経口投与する、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを経皮投与する、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを約0.01μg/日から約1000μg/日の投与量で投与する、請求項78に記載の方法。
【請求項83】
以下の式:
【化30】

[式中、YおよびYは同一でも異なっていてもよく、各々水素およびヒドロキシを保護する基から成る群より選択され、式中、R11およびR12は各々水素、または共同してメチレン基であり、式中、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、各々水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシおよびアルコキシから成る群より選択される、またはRおよびRは共同して、xが2から5の整数である−(CH)−基を表してよい、またはRおよびRは共同して=CR基を表してよく、ここでRおよびRは同一でも異なっていてもよく、各々水素、アルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、ヒドロキシおよびアルコキシから成る群より選択される、もしくはRおよびRは共同して、xが2から5の整数である−(CH)−基を表してよく、そして式中、R基は以下の構造
【化31】

により表わされる側鎖を表し、ここで側鎖および17−エン二重結合はZ立体配置にあり、そしてここで上の側鎖構造中のZはY、−OY、−CHOY、−C≡CY、および−CH=CHYより選択され、ここで側鎖中の二重結合はシスまたはトランスの幾何学を有してよく、そしてここでYは水素、メチル、−CORおよび以下の構造のラジカル:
【化32】

より選択され、ここでmおよびnは独立して0から5の整数を表し、ここでRは水素、重水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、フルオロ、トリフルオロメチル、およびC1−5アルキルより選択され、このC1−5アルキルは直鎖でも分枝鎖でもよく、また所望によりヒドロキシ置換基または保護されたヒドロキシ置換基を有してよく、そしてここでR、RおよびRは各々独立して重水素、重陽子アルキル、水素、フルオロ、トリフルオロメチルおよびC1−5アルキルより選択され、このC1−5アルキルは直鎖でも分枝鎖でもよく、また所望によりヒドロキシ置換基または保護されたヒドロキシ置換基を有してよく、そしてここでRおよびRは共同して、オキソ基、またはkが整数である一般式C2k−を有するアルキリデン基、=CR基、またはpが2から5の整数である−(CH)−基を表し、そしてここでRおよびRは共同して、オキソ基、またはqが2から5の整数である−(CH)−基を表し、そしてここでRは水素、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシ、またはC1−5アルキルを表し、そしてここで側鎖の20位、22位、もしくは23位のCH−基のいずれかは窒素原子で置き換えられてよい、またはここで20位、22位、および23位の−CH(CH)−基、− (CH)−基、−CR−基もしくは− (CH)−基のいずれかは各々、酸素原子もしくはイオウ原子で置き換えられてよい]
を有する17(20)−デヒドロビタミンD類似体の有効量を、動物の肥満を治療もしくは予防する、動物における肥満細胞の分化を阻害する、SCD−1遺伝子の転写を阻害する、および/または体脂肪を低減することを必要とする動物に投与することを包含する、それらの方法。
【請求項84】
ビタミンD類似体を経口投与する、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
ビタミンD類似体を非経口投与する、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
ビタミンD類似体を経皮投与する、請求項83に記載の方法。
【請求項87】
ビタミンD類似体を約0.01μg/日から約1000μg/日の投与量で投与する、請求項83に記載の方法。
【請求項88】
動物がヒトである、請求項83に記載の方法。
【請求項89】
動物が家庭の動物である、請求項83に記載の方法。
【請求項90】
動物が農耕動物である、請求項83に記載の方法。
【請求項91】
以下の式:
【化33】

を有する17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDの有効量を、動物の肥満を治療もしくは予防する、動物における肥満細胞の分化を阻害する、SCD−1遺伝子の転写を阻害する、および/または体脂肪を低減することを必要とする動物に投与することを包含する、それらの方法。
【請求項92】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを経口投与する、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを非経口投与する、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを経皮投与する、請求項91に記載の方法。
【請求項95】
17(Z)−1α,25−ジヒドロキシ−17(20)−デヒドロ−2−メチレン−19−ノル−ビタミンDを約0.01μg/日から約1000μg/日の投与量で投与する、請求項91に記載の方法。
【請求項96】
動物がヒトである、請求項91に記載の方法。
【請求項97】
動物が家庭の動物である、請求項91に記載の方法。
【請求項98】
動物が農耕動物である、請求項91に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−520704(P2008−520704A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543268(P2007−543268)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/041819
【国際公開番号】WO2006/057900
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(591057706)ウィスコンシン・アルムニ・リサーチ・ファウンデーション (26)
【氏名又は名称原語表記】WISCONSIN ALUMNI RESEARCH FOUNDATION
【Fターム(参考)】