説明

19−ノルステロイド化合物の新製造方法及び中間体

本発明の主題は、次の一般式(I):


(ここで、A、Z及びR3は明細書において定義した通りである。)
の化合物の製造方法並びにこの方法を実施するための中間体化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、19−ノルステロイド化合物の新製造方法及び子の製造方法の使用中に製造される中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
骨粗鬆症は、世界中で5千万人、特に女性が冒される骨の疾病である。その発症は、年齢に関係し、最も普通には閉経後に始まる。この疾病は、骨密度の減少を特徴とし、変形、脊椎の圧縮、最終的には自然骨折を生じさせる。従って、骨粗鬆症は、公衆衛生に重大な危険をもたらす。主な治療は、エストロゲンを規則的に服用することからなる。この治療は、骨損失を低減させるが、それでもある種の副作用(出血、顔面紅潮、肺癌の危険性など)を伴うことがある。このような副作用のいくつかを回避しながら、SERM(選択的エストロゲン受容体調節剤)と称される一連の新しい分子が骨粗鬆症の治療を可能にしている(WO98/45316、WO99/67274、WO98/28324、WO99/25725、EP605193、WO02/100880)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の主題は、解離活性を有するある種のエストロゲン誘導体の合成において鍵となる中間体(式(I)の化合物)を製造するための新規な方法を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
しかして、本発明の主題は、次の一般式(I):
【化1】

[ここで、
Zは線状のアルキル基又は次式R4
【化2】

(ここに、nは2〜8の整数であり、
・R1及びR2は、同一又は異なっていて、ベンジル基又は1〜8個の炭素原子を含有する線状、分岐状若しくは環状のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル基を表わすか、或いは、
・R1とR2は、これらを有する窒素原子と一緒になって、飽和又は不飽和の芳香族又は非芳香族の5〜6員の複素環(これは1〜3個の追加の複素原子を含有でき、また他の環と縮合していてもよい。)を形成する。)
の基を表わし、
Aはケト官能基又は式:CH−X(ここに、Xはハロゲン原子を表わす。)の基を表わし、
3は水素原子又はヒドロキシル官能基の保護基を表わす。]
の化合物を製造するにあたり、
a)次式(IIIa) 及び(IIIb) :
【化3】

(ここで、=Kは保護されたケト官能基、特にケタール、チオケタール又は混合ケタールの形で保護されたケト官能基を表わす。)
の化合物の混合物を、触媒的に又は化学量論的に生じる、式:R5MgHal又はR5Li(ここに、Halはハロゲン原子であり、R5は次式:
【化4】

(ここに、Zは上で定義した通りである。)
の基を表わす。)の有機金属化合物から誘導される有機銅酸塩(organocuprate)誘導体によるアルキル化反応に付し、結合はフェニル上で起こるようにし、
次いで、脱保護剤を作用させて次式(Va)、(Vb)及び(Vc):
【化5】

の化合物を得、
b)式(Va)、(Vb)及び(Vc)の化合物を芳香族化剤により処理して次式(VI):
【化6】

(ここで、R3は上で定義した通りである。)
の化合物と式(I)の化合物の混合物を得、これは式(I)の化合物を得るように芳香族化反応を受け続ける
工程を含む、式(I)の化合物の製造方法である。
【0005】
また、本発明の主題は、次の一般式(I):
【化7】

[ここで、
Zは線状のアルキル基又は次式R4
【化8】

(ここに、nは2〜8の整数であり、
・R1及びR2は、同一又は異なっていて、ベンジル基又は1〜8個の炭素原子を含有する線状、分岐状若しくは環状のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル基を表わすか、或いは、
・R1とR2は、これらを有する窒素原子と一緒になって、飽和又は不飽和の芳香族又は非芳香族の5〜6員の複素環(これは1〜3個の追加の複素原子を含有でき、また他の環と縮合していてもよい。)を形成する。)
の基を表わし、
Aはケト官能基又は式:CH−X(ここに、Xはハロゲン原子を表わす。)の基を表わし、
3は水素原子又はヒドロキシル官能基の保護基を表わす。]
の化合物を製造するにあたり、
a)次式(IIIb) :
【化9】

(ここで、=Kは保護されたケト官能基、特にケタール、チオケタール又は混合ケタールの形で保護されたケト官能基を表わす。)
の化合物を、触媒的に又は化学量論的に生じる、式:R5MgHal又はR5Li(ここに、Halはハロゲン原子であり、R5は次式:
【化10】

(ここに、Zは上で定義した通りである。)
の基を表わす。)の有機金属化合物から誘導される有機銅酸塩誘導体によるアルキル化反応に付し、結合はフェニル上で起こるようにし、
次いで、脱保護剤を作用させて次式(Vb)及び(Vc):
【化11】

の化合物を得、
b)式(Vb)及び(Vc)の化合物を芳香族化剤により処理して次式(VI):
【化12】

(ここで、R3は上で定義した通りである。)
の化合物と式(I)の化合物の混合物を得、これは式(I)の化合物を得るように芳香族化反応を受け続ける
工程を含む、式(I)の化合物の製造方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
基(ZO−)は、o−、m−又はp−位置にあることができる。
【0007】
Zが表わし得る線状のアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル及びオクチル基が挙げられる。Zが表わし得る線状のアルキル基の例は好ましくはメチルである。
【0008】
1及びR2が表わし得る1〜8個の炭素原子を含有する線状又は分岐状のアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル及びオクチル基並びにこれらの基の分岐状の異性体、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、ネオペンチル、イソヘキシル、3−メチルペンチル、sec−ブチル、t−ブチル及びt−ペンチル基が挙げられる。好ましいアルキル基はメチル及びエチルである。
【0009】
1及びR2が表わし得る環状のアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチル基が挙げられ、これらは、例えば、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基で置換されていてもよい。
【0010】
1及びR2が表わし得るアルケニル基の例としては、アリル、ブテニル及び3−メチル−2−ブテニル基が挙げられる。アルキニルの例としては、プロパルギル基が挙げられる。勿論、これらのアルケニル又はアルキル基は、少なくとも2個の炭素原子を含有し、基−CH2−を介して窒素原子に結合している。
【0011】
1とR2が結合している窒素原子と一緒になってこれらの基が表わし得る複素環の例としては、酸素及び窒素から選ばれる他の複素原子を含有してもよい単環式又は二環式複素環、例えば、次の不飽和複素環:ピロリル、イミダゾリル、インドリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、チアゾリル、オキサゾリル、フラゾリニル、ピラゾリニル、或いは次の飽和複素環:モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニルが特に挙げられる。好ましくは、このものは次式:
【化13】

の基である。
【0012】
Halが表わし得るハロゲン原子の例としては、塩素、沃素又は臭素が挙げられる。
【0013】
Xが表わし得るハロゲン原子の例としては、塩素、臭素、沃素又は弗素が挙げられる。このものは好ましくは弗素である
【0014】
3が表わし得る保護基の例としては、特に、(C1〜C6)アルキル基、(C1〜C6)アルキル−CO−基、例えばCH3CO又はベンゾイル、ベンジル、フェニル−(C1〜C6)アルキル基、例えばベンジル、そして当業者に知られた保護基の全て、例えば、グリーン、ウッツ著「有機合成における保護基 第3版」(ウイリー&ソンズ社、1999)に記載されたものが挙げられる。好ましくは、保護基としてのR3はアシル基である。
【0015】
=Kが表わし得るステロイドの3−位置のケトの保護基の例としては、下記のものが挙げられる。
・環状のケタール、例えば−O−(CH2m−O−、−O−(CH2m−S−、−S−(CH2m−S−、−O−CH2−C(C1-4アルキル)2−CH2−O−、
・非環状のケタール、例えば(CH3O)2、(EtO)2
・並びに当業者に知られた全てのケトの保護基、例えば、グリーン、ウッツ著「有機合成における保護基 第3版」(ウイリー&ソンズ社、1999)に記載されたもの。
好ましくは、=Kは環状のケタールであり、特に3,3−エチレンジオキシ基である。
【0016】
更に詳しくは、本発明の主題は、Aがケト官能基である一般式(I)の化合物を製造するにあたり、
a)次式(II):
【化14】

(ここで、=Kは保護されたケト官能基、特にケタール、チオケタール又は混合ケタールの形で保護されたケト官能基を表わす。)
の化合物にエポキシ化剤を作用させて次式(III'a) 及び式(III'b) :
【化15】

のα−異性体とβ−異性体の混合物を得、
b)式(III'a) 及び式(III'b)の化合物の混合物を式:R5MgHal又はR5Li(ここに、Halはハロゲン原子であり、R5は上で定義した通りである。)の有機金属化合物から誘導される有機銅酸塩誘導体によるアルキル化反応に付し、結合はフェニル上で起こるようにし、
次いで、脱保護剤を作用させて次式(V'a)、(V'b)及び(V'c):
【化16】

の化合物を得、
c)式(V'a)、(V'b)及び(V'c)の化合物を芳香族化剤により処理して次式(VI'):
【化17】

の化合物とAがケト官能基である式(I)の化合物の混合物を得、これはAがケト官能基である式(I)の化合物を得るように芳香族化反応を受け続け、
d)要すれば、工程cで得られた化合物を脱保護して、Aがケト官能基を表わし且つR3が水素原子を表わす式(I)の化合物を得、この化合物を要すれば塩形成反応に付する
工程を含む、前記の式(I)の化合物の製造方法である。
【0017】
更に詳しくは、本発明の主題は、Aがケト官能基である一般式(I)の化合物を製造するにあたり、
a)次式(II):
【化18】

(ここで、=Kは保護されたケト官能基、特にケタール、チオケタール又は混合ケタールの形で保護されたケト官能基を表わす。)
の化合物にエポキシ化剤を作用させて次式(III'b) :
【化19】

のβ−異性体を得、
b)式(III'b)の化合物を式:R5MgHal又はR5Li(ここに、Halはハロゲン原子であり、R5は上で定義した通りである。)の有機金属化合物から誘導される有機銅酸塩誘導体によるアルキル化反応に付し、結合はフェニル上で起こるようにし、
次いで、脱保護剤を作用させて次式(V'b)及び(V'c):
【化20】

の化合物を得、
c)式(V'b)及び(V'c)の化合物を芳香族化剤により処理して次式(VI'):
【化21】

の化合物とAがケト官能基である式(I)の化合物の混合物を得、これはAがケト官能基である式(I)の化合物を得るように芳香族化反応を受け続け、
d)要すれば、工程cで得られた化合物を脱保護して、Aがケト官能基を表わし且つR3が水素原子を表わす式(I)の化合物を得、要すればこの化合物を塩形成反応に付する
工程を含む、前記の式(I)の化合物の製造方法である。
【0018】
エポキシ化反応は、当業者に知られた方法に従って実施される標準的な反応である。これは、特に、ヘキサクロルアセトン、ジクロルメタン及び過酸化水素の存在下に実施することができる。
【0019】
式:R5MgHal又はR5Li(ここに、Hal及びR5は上で定義した通りである。)の有機金属化合物から誘導される有機銅酸塩誘導体によるアルキル化反応は、当業者に知られた標準的な方法に従って実施される。
【0020】
式(V'a)、(V'c)又は(V'b)の化合物を得るのを可能にさせる脱保護反応は、当業者に知られた標準的な方法に従って実施される。使用される脱保護剤は、特に、酸加水分解を可能にする薬剤、例えば塩酸又は過塩素酸である。
【0021】
芳香族化反応は、特に、EP298,020に記載の方法に従って実施される標準的な反応である。この芳香族化は、パラジウムによる触媒作用、又は好ましくは臭化アセチル及び無水酢酸の存在下に実施することができる。
【0022】
3−位置で形成されたアセチル基の脱保護は、適当ならば、一般に、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムのような強塩基の存在下に、メタノール又はエタノールのようなアルコール中で実施される。好ましくは、それは、メタノール中で水酸化ナトリウムの存在下に実施される。
【0023】
塩形成反応は、当業者に知られた慣用の方法によって実施される。
【0024】
最も好ましくは、本発明の主題は、アルキル化反応が17位置のケト官能基のエノール化反応を伴うことを特徴とする前記の製造方法である。
【0025】
このエノール化反応は、当業者に知られた標準的な条件下で実施される。それは、特に、追加当量のグリニヤール試薬の作用によって実施される。
【0026】
最も詳しくは、本発明の主題は、式(III'a) 及び式(III'b)の化合物を塩基の存在下にシリル化剤により処理して式(IVa)及び(IVb):
【化22】

(ここで、Ra、Rb及びRcは、同一又は異なっていて、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基又はフェニル基を表わす。)
のシリル化エノールの混合物を得、この混合物を前記したような有機銅塩誘導体と反応させ、結合がフェニル上で起こるようにして、式(IV'a)及び(IV'b):
【化23】

の化合物を得、これらを単離し又は単離せず、次いでこれらの化合物を脱保護して前記したような式(V'a)、(V'b)及び(V'c)の化合物を得ることを特徴とする、前記の製造方法である。
【0027】
最も詳しくは、本発明の主題は、式(III'b)の化合物を塩基の存在下にシリル化剤により処理して式(IVb):
【化24】

(ここで、Ra、Rb及びRcは、同一又は異なっていて、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基又はフェニル基を表わす。)
のシリル化エノールを得、これを前記したような有機銅塩誘導体と反応させ、結合がフェニル上で起こるようにして、式(IV'b):
【化25】

の化合物を得、これを単離し又は単離せず、次いでこの化合物を脱保護して前記したような式(V'b)及び(V'c)の化合物を得ることを特徴とする、前記の製造方法である。
【0028】
シリル化剤としては、当業者に知られており且つG.ファン・ルック、G.シムフェン、J.ヘバールの論文「シリル化剤」(Fluka Chimica、フルカシミエAG、ブックス、スイス、1995)において引用されたエノール又はエノラートをシリル化することができる薬剤の全てが挙げられる。好ましくは、それはトリメチルクロルシランのようなクロルシランであってよい。
このシリル化反応は、一般に、Li−HMDS〔(Me3Si)2N−Li〕又はLDA〔(iPr)2N−Li〕のような強塩基の存在下に実施される。
使用される溶媒は、このタイプの反応のために当業者に知られたものである。プロトン性又はエノール化性の溶媒は避けるべきである。好ましくは、シリル化反応は、THFとペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン又はトルエンのような溶媒との混合物中で、LDA又はLi−HMDSの存在下に、ClSiMe3を使用して実施される。
【0029】
式:R5MgHal又はR5Liの有機金属化合物と式(IVb)及び(又は)(IVa)のシリル化誘導体とのカップリングによるアルキル化反応は、当業者に知られた標準的な条件下で実施される。
【0030】
更に詳しくは、本発明の主題は、シリル化誘導体がトリメチルシリル誘導体であって、Ra,Rb及びRcが同一であってメチルを表わす式(IVb)及び(又は)(IVa)のシリル化エノールを得るのを可能にさせるものであることを特徴とする前記の製造方法である。
【0031】
更に詳しくは、本発明の主題は、=Kが環状のケタール、例えば3,3−エチレンジオキシの形で保護されたケト官能基を表わすことを特徴とする前記の製造方法である。
【0032】
また、特に、本発明の主題は、基(ZO−)がp−位置にあり且つZが基R4を表わし、nが2に等しいことを特徴とする前記の製造方法である。
【0033】
更に詳しくは、本発明の主題は、R1及びR2が同一であって線状のアルキル基、例えばメチル又はエチル基を表わすことを特徴とする前記の製造方法である。
【0034】
特に、本発明の主題は、基(ZO−)がm−又はp−位置にあり且つZが線状のアルキル基、例えばメチル基を表わすことを特徴とする前記の製造方法である。
【0035】
また、本発明の主題は、Aが式:CH−Xの基を表わし且つZが基R4を表わす前記した式(I)の化合物を製造するにあたり、
a)次式(II):
【化26】

(ここで、=Kは保護されたケト官能基、特にケタール、チオケタール又は混合ケタールの形で保護されたケト官能基を表わす。)
の化合物に17位置のケトを還元する還元剤を作用させて次式(VII):
【化27】

の化合物を得、
b)式(VII)の化合物をハロゲン化剤により処理して次式(VIII):
【化28】

(ここで、Xはハロゲン原子を表わす。)
の化合物を得、
c)式(VIII)の化合物にエポキシ化剤を作用させて次式(III"a) 及び式(III"b) :
【化29】

の化合物の混合物を得、
d)式(III"a)及び(III"b)の化合物を式:R5MgHal又はR5Li(ここに、Halはハロゲン原子であり、R5は次式:
【化30】

(ここで、R4は上で定義した通りである。)
の有機金属化合物から誘導される有機銅酸塩誘導体によるアルキル化反応に付し、結合はフェニル上で起こるようにし、
次いで、脱保護剤を作用させて次式(V"a)、(V"b)及び(V"c):
【化31】

の化合物を得、
e)式(V"a)、(V"b)及び(V"c)の化合物を芳香族化剤により処理して、次式(VI"):
【化32】

の化合物とAが式:CH−Xの基を表わし且つZが基R4を表わす式(I)の化合物との混合物を得、これは前記の通りの式(I)の化合物を得るように芳香族化反応を受け続け、
f)要すれば、工程eで得られた化合物を脱保護して、Aが式:CH−Xの基を表わし、Zが基R4を表わし且つR3が水素原子を表わす式(I)の化合物を得、この化合物を要すれば塩形成及び中和反応に付する
工程を含む、前記の式(I)の化合物の製造方法である。
【0036】
17−ケトからアルコールへの還元は、標準的な方法に従って、特に、メタノール又はエタノール中で水素化硼素ナトリウムのような水素化硼素アルカリ金属を作用させ、或いはTHF中で水素化リチウムアルミニウムを作用させることによって実施される。この反応は、特に、17β−位置のアルコールを得るのを可能にさせる。
【0037】
これに続くハロゲン化反応は、特に、DBU(ジアザビシクロウンデセン)のような立体障害塩基の存在下にXSO249のような反応剤を使用して実施される。Xは好ましくは弗素である。当業者に知られた他の方法も使用することができる。
ハロゲン化反応は、特に、弗化ペルフルオルブタンスルホニル、弗化水素酸/トリエチルアミン〔(HF)3・TEA〕錯体及びDBUの存在下に実施することができる。
【0038】
式:R5MgHal又はR5Li(ここに、Hal及びR5は上で定義した通りである。)の有機金属化合物から誘導される有機銅酸塩誘導体によるアルキル化反応は、当業者に知られた標準的な方法に従って実施される。
【0039】
芳香族化反応とこれに続くけん化反応は、EP0097572に記載のような標準的な方法に従って実施される。この芳香族化反応は、好ましくは、臭化アセチル及び無水酢酸の存在下に実施することができる。
【0040】
要すれば、形成されたアセチル基の脱保護は、一般に、メタノール又はエタノールのようなアルコール中で、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムのような強塩基の存在下に実施される。
【0041】
けん化反応及び中和反応は、当業者に知られた標準的な方法により実施される。
【0042】
更に詳しくは、本発明の主題は、=Kが環状ケタール、例えば3,3−エチレンジオキシの形で保護されたケト官能基を表わすことを特徴とする前記の製造方法である。
【0043】
更に詳しくは、本発明の主題は、Xが弗素原子を表わすことを特徴とする前記の製造方法である。
【0044】
最も詳しくは、本発明の主題は、R1及びR2が結合している窒素原子と一緒になってそれらが次式:
【化33】

の基を表わし且つnが2に等しいことを特徴とする前記の製造方法である。
【0045】
式(II)の化合物は、既知であるか又は当業者により容易に入手できる化合物である。特に、=Kが3,3−エチレンジオキシ基である式(II)の化合物は、V.クロック他の文献:Org.Process.Res.Dev.、1997、1、p2に記載されている。
【0046】
式(IIIa) 及び(IIIb) の化合物は既知の化合物である。特に、=Kが3,3−エチレンジオキシ基であり且つAがケト官能基を表わす式(IIIa) 及び(IIIb) の化合物は、J.P.ラルキン他の文献:Org.Process.Res.Dev.、2002、6、p20に記載されている。
【0047】
また、本発明の主題は、新規な中間体化合物としての、下記の化合物である。
・Ra、Rb及びRcが同一であってメチル基を表わす前記の一般式(IV'b)の化合物、又は
・R3がアシル基を表わす前記の一般式(VI')の化合物。
【0048】
更に詳しくは、本発明の主題は、新規な中間体化合物としての、下記の化合物である。
・基(ZO−)がp−位置にある前記の一般式(IV'b)の化合物、又は
・基(ZO−)がp−位置にある前記の一般式(VI')の化合物。
【0049】
また、本発明の主題は、新規な中間体化合物としての、下記の化合物である。
・=Kが3,3−エチレンジオキシを表わし、nが2に等しく、且つ、Xが弗素原子を表わす一般式(VIII)の化合物、
・=Kが3,3−エチレンジオキシを表わし、nが2に等しく、且つ、Xが弗素原子を表わす一般式(III"a)又は(III"b)の化合物、
・Xが弗素原子を表わし、nが2に等しく、且つ、R1及びR2が結合している窒素原子と一緒になってそれらが次式:
【化34】

の基を表わす一般式(V"a)、(V"b)及び(V"c)の化合物、
・R3がアシル基を表わし、Xが弗素原子を表わし、nが2に等しく、且つ、R1及びR2が結合している窒素原子と一緒になってそれらが次式:
【化35】

の基を表わす一般式(VI")の化合物、
・R3がアシル基を表わし、Xが弗素原子を表わし、nが2に等しく、且つ、R1及びR2が結合している窒素原子と一緒になってそれらが次式:
【化36】

の基を表わす一般式(I)の化合物。
【実施例】
【0050】
実験の部
例1:11β−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール−17−オン塩酸塩
【0051】
製造1:臭化4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニルマグネシウム
臭化4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)ベンゼン(74g;MW=272.2)をTHF(250mL)に溶解してなる溶液の25mLをマグネシウム(削り屑、MW=24.3;7.5g;1.13当量)に約20℃で撹拌しながら添加する。この混合物をグリニヤール試薬が得られる(発熱、灰色)まで約60℃で撹拌する。次いで、上記の溶液の残りを約58℃で約60分間で注意深く添加し、この懸濁液を同じ温度で60分間撹拌し、次いで冷却させる。マグネシウム化合物は約1.0Mの濃度を有する。
【0052】
工程a:3,3−エチレンジオキシ−5(10)−エポキシエストラ−9(11)−エン−17−オン[5(10)α−異性体と5(10)β−異性体との約2/1混合物]
【化37】

3,3−エチレンジオキシエストラ−5(10),9(11)−ジエン−17−オン(50g;MW=314.4;0.159モル)、ヘキサクロルアセトン(98%;2.5mL;0.1当量)、ピリジン(0.25mL)、50%過酸化水素(約18M;15mL;1.7当量)及びジクロルメタン(250mL)を20〜25℃で18時間激しく撹拌する。チオ硫酸ナトリウム水溶液、洗浄液(水)及び抽出物(ジクロルメタン)の存在下に還元した後、有機相を全体で約150mLの総容積まで濃縮する。次いで、ジクロルメタンをイソプロピルエーテルによって、内部温度が68℃に達するまで一定の容積で連続蒸留することにより、置き換える。この混合物を約20℃に冷却すると、エポキシドの混合物の自然の沈澱が観察される。この懸濁液を冷却し、次いで0℃で1時間撹拌し、生成物をろ過し、約40℃で18時間真空乾燥する。44.6gの白色固体、収率84.9%、HPLC純度97%、約67/33のα/β混合物。C20264;MW=330.4。
アセトニトリル又は酢酸エチルからの結晶化によってα−エポキシドを純粋(白色固体)に得ることができる。Mp=154℃;[α]D=+133±2.5°(c=クロロホルム中1%)。
また、クロマトグラフィー(溶離液系:ヘプタン50、酢酸エチル50、ピリジン0.1)によってβ−エポキシドを純粋(白色固体)に得ることができる。Mp=143℃。これは、酢酸エチルとイソプロピルエーテルの混合物から再結晶することができる。Mp=162〜163℃;[α]D=+101.5±2°(c=クロロホルム中1%)。
IR(CHCl3、cm-1):1735、1640
1HNMR(CDCl3、ppm):0.86(s、3H);3.92(m、4H);5.86(m、1H)
【0053】
工程b:シリル化エノールエーテル:3,3−エチレンジオキシ−5,10−エポキシ−17−トリメチルシリルオキシエストラ−9(11),16(17)−ジエン(5,10α−異性体と5,10β−異性体との約2/1の混合物)
【化38】

n−ブチルリチウム(シクロヘキサン中17%の溶液、68g;1.2当量)を、ジイソプロピルアミン(MW=101.2;d=0.714;30mL;1.4当量)を無水THF(100mL)に溶解して撹拌してなる溶液に−10℃で30分間で添加した。このようにして得られたリチウムジイソプロピルアミン溶液を、工程aで製造したエポキシド(50g;0.151モル)をTHF(150mL)に溶解してなる溶液に、約0℃で30分間で添加し、この混合物を約0℃で5分間撹拌した。トリメチルクロルシラン(MW=108.6;d=0.856;27mL;1.4当量)を0℃で15分間で添加し、この混合物を約0℃で1時間撹拌した。メタノール(MW=32;d=0792;5mL;0.8当量)を約0℃で添加し、反応媒体を約0℃で30分間撹拌し、次いで燐酸二水素ナトリウム(MW=156;26g;1.1当量)、水及びトルエンからなる撹拌した混合物に注入した。デカンテーションし、水洗した後、トルエン相を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下に約100mLの最終容積まで濃縮した。このシリル化エノールエーテルはこの形で次の工程に使用したが、乾燥抽出による単離が可能である。C23344Si;MW=402.6。
同じ操作であるが、純粋なα−エポキシド(工程a)から出発して、α−エポキシド(非晶質固体、Mp<40℃)を純粋に得ることができる。
IR(CHCl3、cm-1):1621、1254、849
1HNMR(CDCl3、ppm):0.19(s、9H);0.80(s、3H);3.85−4.00(m、4H);4.47(dd、J=1.5及び1Hz、1H);6.03(m、1H)
MS(m/z):402(M+)、387(M+−CH3)、99
同じ操作であるが、純粋なβ−エポキシド(工程a)から出発して、β−エポキシド(油状物)を純粋に得ることができる。
1HNMR(CDCl3、ppm):0.19(s、9H);0.78(s、3H);1.12(m、1H);2.34(d、J=15Hz、1H);3.90(m、4H);4.48(m、1H);5.84(m、1H)
【0054】
工程c:11−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−5(10),9(11)−ジエン−3,17−ジオンと11α−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−4,9−ジエン−3,17−ジオンの混合物
【化39】

上記の工程bで製造したシリル化エノールエーテル(純β−異性体)(12.2g;30.3ミリモル)をTHF(30mL)に溶解してなる溶液に塩化銅(I)(MW=99.0;509mg;0.17当量)を約20℃で添加する。反応媒体を約−3℃に冷却し、前記製造1に記載したマグネシウム化合物溶液(61mL;約1M;2当量)を温度を保持しながら添加する。媒体を約20℃で約3時間撹拌し、次いで塩化アンモニウム(50g)と水(200mL)の混合物に注入する。媒体をジクロルメタンで抽出する。次いで、有機相を水洗し、真空乾燥する。ジクロルメタン(80mL)と水(30mL)を添加する。この混合物を0〜5℃に冷却し、36%塩酸(12mL;4.75当量)を20分間で添加する。二相の媒体を約0℃で2時間激しく撹拌し、次いで水(50mL)で希釈する。有機相をデカンテーションにより分離する。エノンの塩酸塩をジクロルメタン中に留めながら、アミン含有副生物を酸性の水性相中に移す。有機相を炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄することによって中和し、水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで真空下に濃縮する。残留物(11g)をシリカカラムでクロマトグラフィーする(溶離液:n−ヘプタン50、酢酸エチル45、トリエチルアミン5)。画分を濃縮乾固させ、下記の化合物を得た。
【0055】
・800mgの11−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−5(10),9(11)−ジエン−3,17−ジオン。
3039NO3;MW=461.6。
IR(CHCl3、cm-1):1733、1712、1607、1568、1508
1HNMR(CDCl3、ppm):1.03(s、3H);1.12(t、J=7Hz、6H)及び2.72(q、J=7Hz、4H);2.94(t、J=6Hz、2H);4.09(t、J=6Hz、2H);6.82及び7.07(m、4H);1.0〜2.9(m、18H)
MS(EI、m/z):461(M+)、100
・444mgの11α−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−4,9−ジエン−3,17−ジオン。
3039NO3;MW=461.6。
1HNMR(CDCl3、ppm):1.02(s、3H);1.12(t、J=7Hz、6H)及び2.69(q、J=7Hz、4H);2.91(t、J=7Hz、2H);4.05(m、3H);5.72(s、1H);6.79及び6.95(m、4H);1.0〜2.8(m、16H)
MS(ESP、m/z):426(MH+
【0056】
工程c:11β−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−4,9−ジエン−3,17−ジオン、11−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−5(10),9(11)−ジエン−3,17−ジオン及び11α−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−4,9−ジエン−3,17−ジオンの混合物
【化40】

塩化銅(I)(MW=99.0;2.24g;0.25当量)を前記(製造1)のマグネシウム化合物溶液(182mL;約1M;2.0当量)に約20℃で添加する。反応媒体を約20℃で15分間撹拌し、次いで前記(工程b)のように製造したシリル化エノールエーテル(約2/1のβ/α混合物)(36.5g;90.7ミリモル)の溶液をTHF(120mL)に導入する。媒体を約20℃で約1時間撹拌し、次いで塩化アンモニウム(150g)と水(600mL)の混合物に注入する。媒体をジクロルメタンで抽出する。次いで、有機相を水洗し、真空下に濃縮する。ジクロルメタン(150mL)と水(75mL)を添加する。この混合物を0〜5℃に冷却し、36%塩酸(45mL;6当量)を45分間で添加する。二相の媒体を約0℃で1.5時間激しく撹拌し、次いで水(150mL)で希釈する。有機相をデカンテーションにより分離し、水洗する。有機相を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(150mL)で洗浄することによって中和し、水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで真空下に濃縮する。生成物は、オレンジ色の樹脂状物である。36g;収率86%、C339NO3;MW=461.6。
11β−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−4,9−ジエン−3,17−ジオンは、イソプロピルエーテルから結晶化することができる(この結晶化は、エポキシドの初期混合物中のα/β比が高かったので更に有効であった。)。11−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−5(10),9(11)−ジエン−3,17−ジオン及び11α−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−4,9−ジエン−3,17−ジオンは、前記の例に記載したようにシリカでのクロマトグラフィーにより単離することができる。
【0057】
11β−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−4,9−ジエン−3,17−ジオン。Mp=188℃。
IR(CHCl3、cm-1):1735、1658、1609、1581、1509
1HNMR(CDCl3、ppm):0.56(s、3H);1.06(t、J=7Hz、6H)及び2.63(q、J=7Hz、4H);2.85(t、J=6Hz、2H);4.01(t、J=6Hz、2H);4.38(dl、J=7H、1H);5.80(bs、1H);6.82及び7.07(AA’BB’、4H);1.4〜2.9(m、16H)
MS(EI、m/z):461(M+
【0058】
工程d:3−アセチル−11β−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン塩酸塩と3−アセチル−11−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−3,5(10),9(11)−トリエン−17−オン塩酸塩の混合物
【化41】

工程cで製造した11β−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−4,9−ジエン−3,17−ジオン(10g;21.6ミリモル)をジクロルメタン(40mL)に溶解してなる溶液に、無水酢酸(MW=102.1;d=1.09;6.1mL;3当量)を、次いで5分間で臭化アセチル(MW=123.0;d=1.66;6.1mL;3.8当量)を20〜25℃で添加する。生じた褐色溶液を20〜25℃で1時間撹拌する。この溶液を炭酸水素ナトリウム(24.4g)を水(100mL)に加えてなる懸濁液に約20℃で約30分間で注入する(二酸化炭素の発生)。この混合物を約20℃で30分間激しく撹拌し、次いで有機相をデカンテーションにより分離し、水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで真空下に濃縮乾固する。残留物(18g)をシリカカラムでクロマトグラフィーする(溶離液:シクロヘキサン/酢酸エチル/トリエチルアミン75/20/5)。それぞれの画分を別個に濃縮乾固し、ジクロルメタンに溶解し、1N塩酸水溶液によりpH=1に酸性化する。有機相をデカンテーションにより分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮乾固する。
【0059】
このようにして酸性化された最も極性でない画分は、3−アセチル−11−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−3,5(10),9(11)−トリエン−17−オン塩酸塩を与える(1.3g;黄色固体;10%)。C3242NO4Cl;MW=540.1。
IR(CHCl3、cm-1):ν1736、1664、1606、1570、1507
1HNMR(CDCl3、ppm):δ1.02(s、3H);1.47(td、J=7Hz、6H)及び3.27(m、4H);2.10(s、3H);3.47(m、2H);4.51(m、2H);5.52(d、J=1.5Hz、1H);6.79及び7.12(AA’BB’、4H);12.4(bs、1H、活性);1.0〜2.6(m、16H)
MS(EI、m/z):503(M+);461;100;86;38及び36(HCl)
【0060】
酸性化されたより極性の画分は、3−アセチル−11β−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン塩酸塩を与える(6.09g;白色固体;52%)。
3242NO4Cl;MW=540.1。
IR(CHCl3、cm-1):ν1734、1610、1582、1512、1494
1HNMR(CDCl3、ppm):δ0.45(s、3H);1.43(t、J=7Hz、6H)及び3.22(m、4H);2.25(s、3H);3.39(m、2H);4.40(m、2H);4.04(d、J=4.5Hz、1H);6.63及び6.99(AA’BB’、4H);6.65(dd、J=8.5及び1.5Hz、1H);6.86(d、J=1.5Hz、1H);6.94(d、J=8.5Hz、1H);12.3(bs、1H、活性);0.85〜3.5(m、13H)
MS(EI、m/z):503(M+);86;38及び36(HCl)
【0061】
工程e:3−アセチル−11β−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−3,5(10),9(11)−トリエン−17−オン
【化42】

工程cで製造したエノン(35g;75.8ミリモル)をジクロルメタン(250mL)に溶解してなる溶液に、無水酢酸(MW=102.1;d=1.09;7.1mL;1当量)を、次いで20分間で臭化アセチル(MW=123.0;d=1.66;14mL;2.5当量)を20〜25℃で添加する(発熱を伴う添加)。生じた褐色溶液を20〜25℃で5時間撹拌する。3−アセチルトリエンの消失をHPLC(ハイパーシルDBS、3μ、CN、150×4.6mm、溶離液:0.1%トリフルオル酢酸含有水、アセトン及びメタノール65/30/5;UV210nm)によりモニターする。この溶液を、炭酸水素ナトリウム(93g)を水(350mL)に加えてなる懸濁液に約20℃で約30分間で注入する(二酸化炭素の発生)。この混合物を約20℃で終夜激しく撹拌し、次いで有機相をデカンテーションにより分離し、1N水酸化ナトリウム(175mL)で洗浄し、水洗し、次いで100mLの最終容積まで濃縮する。ジクロルメタンをメタノールによって、約40℃で漸進的な真空蒸留により、一定の容積でもって置き換える。この生成物はメタノール溶液として貯蔵する。
3241NO4;MW=503.7。
【0062】
工程f:11β−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール−17−オン塩酸塩
水酸化カリウム(MW=56.0;6.3g;1.5当量)をメタノール(70mL)に溶解してなる溶液を、工程eで得た3−アセチル−11β−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−3,5(10),9(11)−トリエン−17−オンのメタノール溶液に約0℃で約10分間で添加する。反応媒体を0〜5℃で2時間撹拌し、次いで水(175mL)とジクロルメタン(175mL)に注入する。有機相をデカンテーションにより分離し、水洗する。水(175mL)と36%塩酸(16mL;2.5当量)を添加し、媒体をpH(<2)をモニターしながら約5分間撹拌する。有機相をデカンテーションにより分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、175mLの最終容積となるまで濃縮する。次いで、媒体を2−ブタノンを徐々に導入することによって容積を一定に保ちながら蒸留する。所期の生成物が自然に結晶化する。この交換の終了時での温度は約78℃である。媒体を撹拌すると共に、約1時間冷却し、次いで約20℃で1時間撹拌する。生成物をろ過し、2−ブタノンで洗浄し、次いで約70℃で真空乾燥する。
24.4gのベージュ色固体;Mp=179℃;収率64.6%;C3040ClNO3;MW=498.1。
IR(CHCl3、cm-1):ν3601、2456、1733、1610、1584、1511
1HNMR(CDCl3、ppm):δ0.42(s、3H);1.31(m、6H);3.16(m、4H);3.31(m、2H);3.96(bt、1H);4.17(m、2H);6.51(m、1H);6.68(m、1H);6.73(m、1H);6.51及び6.95(AA’BB’、4H);11.36(bs、1H)
MS(EI、m/z):461(M+);446;362;86;38及び36(HCl)
【0063】
例2:11β−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール−17−オン塩酸塩
【0064】
工程c:11β−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−4,9−ジエン−3,17−ジオン、11−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−5(10),9(11)−ジエン−3,17−ジオン及び11α−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−4,9−ジエン−3,17−ジオンの混合物
【化43】

臭化4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)ベンゼン(123.6g;MW=272.2;3当量)をTHF(250mL)に溶解してなる溶液の25mLをマグネシウム(削り屑;MW=24.3;11.8g;3.2当量)に約20℃で撹拌しながら添加する。この混合物をグリニヤール試薬が得られる(発熱、灰色)まで約60℃で撹拌する。次いで、上記の溶液の残りを約58℃で約60分間で注意深く添加し、この懸濁液を同じ温度で60分間撹拌し、次いで冷却させる。塩化銅(I)(MW=99.0;3.75g;0.25当量)を約20℃で添加し、得られた懸濁液を約20℃で約15分間撹拌する。この懸濁液に、THF(300mL)中で可溶化したエポキシドの混合物(工程a)(50g;0.151モル)を約20℃で30分間で添加する。この混合物を約20℃で1時間撹拌し、次いで塩化アンモニウム(125g)と水(600mL)の混合物に注入する。反応媒体をジクロルメタンで抽出する。次いで、有機相を水洗し、真空下に濃縮する。ジクロルメタン(600mL)と水(125mL)を添加する。この混合物を0〜5℃に冷却し、36%塩酸(100mL;7.7当量)を20分間で添加する。二相の媒体を約0℃で2時間激しく撹拌し、次いで水(250mL)で希釈する。有機相をデカンテーションにより分離し、水洗する。エノンの塩酸塩をジクロルメタン中に留めながら、アミン含有副生物を酸性の水性相中に移す。有機相を炭酸水素ナトリウム水溶液(25g;2当量)で洗浄することによって中和し、水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで真空下に濃縮する。生成物は半結晶化した形態にある。65.3g;収率93.5%(エポキシド2から)。
3039NO3;MW=461.6。
【0065】
工程e:3−アセチル−11β−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−3,5(10),9(11)−トリエン−17−オン
【化44】

工程cで製造したエノン(65.3g;0.141モル)をジクロルメタン(250mL)に溶解してなる溶液に、無水酢酸(MW=102.1;d=1.09;14.2mL;1.1当量)を、次いで15分間で臭化アセチル(MW=123.0;d=1.66;28mL;2.7当量)を20〜25℃で添加する(発熱を伴う添加)。生じた褐色溶液を20〜25℃で5時間撹拌する。3−アセチルトリエンの消失をHPLC(ハイパーシルDBS、3μ、CN、150×4.6mm;溶離液:0.1%トリフルオル酢酸含有水、アセトン及びメタノール65/30/5;UV210nm)によりモニターする。この溶液を、炭酸水素ナトリウム(127g)を水(500mL)に加えてなる懸濁液に約20℃で約30分間で注入する(二酸化炭素の発生)。この混合物を約20℃で終夜激しく撹拌し、次いで有機相をデカンテーションにより分離し、1N水酸化ナトリウム(3×250mL)で洗浄し(3×250mL)、水洗し、次いで150mLの最終容積まで濃縮する。ジクロルメタンをメタノールによって、約40℃で漸進的な真空蒸留により、一定の容積でもって置き換える。この生成物はメタノール溶液として貯蔵する。
3241NO4;MW=503.7。
【0066】
工程f:11β−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール−17−オン塩酸塩
水酸化カリウム(MW=56.0;12.7g;1.6当量)をメタノール(100mL)に溶解してなる溶液を、工程eで得た3−アセチル−11β−(4−(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−3,5(10),9(11)−トリエン−17−オンのメタノール溶液に約0℃で約10分間で添加する。反応媒体を0〜5℃で1.5時間撹拌し、次いで水(250mL)とジクロルメタン(250mL)に注入する。有機相を水洗する。水と36%塩酸(26mL;2.2当量)を添加して媒体を酸性化し、pH(<2)をモニターしながら約5分間撹拌する。有機相をデカンテーションにより分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、300mLの最終容積となるまで濃縮する。次いで、媒体を2−ブタノンを徐々に導入することによって容積を一定に保ちながら媒体を蒸留する。所期の生成物が自然に結晶化する。この交換の終了時での温度は約78℃である。媒体を撹拌すると共に、約1時間冷却し、次いで約20℃で1時間撹拌する。生成物をろ過し、2−ブタノンで洗浄し、次いで約70℃で真空乾燥する。48gのベージュ色固体;Mp=179℃;収率68.3%;HPLC純度95%。
3040ClNO3;MW=498.1。例1の工程fに挙げたものと同じスペクトルデータ。
【0067】
例3:11β−(4−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール−17−オン
【0068】
製造2:臭化4−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)フェニルマグネシウム
10mLの無水THFに懸濁させてなるマグネシウム(削り屑;MW=24.3;2.2g;1.2当量)に、数滴のジブロムエタンにより反応を開始させた後、臭化4−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)ベンゼン(18.3g;MW=244.1)をTHF(90mL)に溶解してなる溶液を35〜40℃で撹拌しながら滴下する。導入終了後に、得られた灰色溶液を同じ温度で90分間撹拌し、次いで冷却させる。マグネシウム化合物は0.55M(沃素滴定による濃度)の濃度を有する。
【0069】
工程c:3,3−エチレンジオキシ−11α−(4−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−9−エン−5β−オール−17−オン
【化45】

無水塩化銅(I)(MW=99;0.5g;0.33当量)を無水THF(20mL)に加えてなる懸濁液に、上記の製造2で製造したマグネシウム化合物の溶液(82.5mL;0.55M;3当量)を添加し、20℃で10分間撹拌する。この混合物を氷浴で冷却する。この混合物に、3,3−エチレンジオキシ−5β,10β−エポキシエストラ−9(11)−エン−17−オン(4.95g;MW=330.42;15ミリモル)を無水THF(50mL)に溶解してなる溶液を撹拌しながら約0℃で20分間で添加する。4時間撹拌した後、この混合物を塩化アンモニウムの氷冷飽和水溶液に注入し、生成物を酢酸エチルで抽出する。有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで真空下に濃縮する。残留物(14g)をシリカカラムでクロマトグラフィーする(溶離液:シクロヘキサン40、酢酸エチル40、トリエチルアミン20)。画分を濃縮乾固させ、下記の化合物を得た。
・5.7gの3,3−エチレンジオキシ−11α−(4−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−9−エン−5β−オール−17−オン。
収量77%;C3041NO5;MW=495.6。
結晶化(少量のジクロルメタンに溶解し、次いでイソプロピルエーテルを添加し、真空下に僅かに濃縮)し、液を除き、50℃で真空乾燥することによって、4.24gの白色結晶が得られる。Mp=122℃。
IR(CHCl3、cm-1):3510、1735、1609、1578、1510
【0070】
工程d:11α−(4−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−4,9−ジエン−3,17−ジオン及び11−(4−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−5(10),9(11)−ジエン−3,17−ジオン
【化46】

方法a
工程cで製造した3,3−エチレンジオキシ−11α−(4−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−9−エン−5β−オール−17−オン(0.55g;1.1ミリモル)をメタノール(6mL)に溶解してなる溶液に2N塩酸(1mL)を撹拌しながらゆっくりと添加する。1時間撹拌した後、この溶液を真空下に濃縮し、残留物を水に溶解し、次いで重炭酸ナトリウム飽和水溶液によりアルカリ性にする。生成物を酢酸エチルで抽出する。有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで真空下に濃縮する。残留物(0.5g)をシリカカラムでクロマトグラフィーする(溶離液:シクロヘキサン40、酢酸エチル40、トリエチルアミン20)。画分を濃縮乾固して下記の化合物を得る。
・0.325gの11−(4−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−5(10),9(11)−ジエン−3,17−ジオン。
収率67%;C2835NO3;MW=433.6。
IR(CHCl3、cm-1):1730、1705、1600
・0.025gの11α−(4−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−4,9−ジエン−3,17−ジオン。
方法bにより得られる化合物と同じ。収率5%;C2835NO3;MW=433.6。
【0071】
方法b
工程cで製造した3,3−エチレンジオキシ−11α−(4−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−9−エン−5β−オール−17−オン(0.5g;1ミリモル)を酢酸(1mL)に溶解してなる溶液に55°ボーメの過塩素酸(2mL)を撹拌しながらゆっくりと添加する。1時間45分接触させた後に、この混合物を重炭酸ナトリウム飽和水溶液に冷却しながらゆっくりと注入する。生成物を酢酸エチルで抽出する。有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで真空下に濃縮する。残留物(0.5g)をシリカカラムでクロマトグラフィーする(溶離液:シクロヘキサン40、酢酸エチル40、トリエチルアミン20)。画分を濃縮乾固して下記の化合物を得る。
・0.16gの11α−(4−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−4,9−ジエン−3,17−ジオン。
収率36%;C2835NO3;MW=433.6。
IR(CHCl3、cm-1):1739、1652、1609、1580、1510
1HNMR(CDCl3、ppm):1.03(s、3H);2.32(s、6H);2.71(t、J=6Hz、2H);4.03(t、J=6Hz、2H);4.06(t、J=9Hz、1H);5.72(s、1H);6.83及び6.99(AA’BB’、4H)
【0072】
工程e:11β−(4−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール−17−オン
【化47】

工程dで製造した11α−(4−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−4,9−ジエン−3,17−ジオン(0.2g;0.46ミリモル)を乾燥塩化メチレン(2mL)に溶解する。この溶液を0℃に冷却し、次いでこの温度で無水酢酸(0.2mL;2.11ミリモル;4.5当量)を滴下し、次いで臭化アセチル(0.1mL;1.34ミリモル;3当量)を滴下する。得られた溶液を室温で1時間45分撹拌する。これを重炭酸ナトリウム飽和水溶液により注意深くアルカリ性にする。生成物をジクロルメタンで抽出する。有機相を塩水で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで濃縮乾固する。残留物(0.21g)をメタノール(5mL)に溶解する。2N水酸化ナトリウムを添加し、次いで反応媒体を室温で45分間撹拌する。次いで、この混合物を2N塩酸により酸性化し、次いで重炭酸ナトリウム飽和水溶液により再度アルカリ性にする。生成物をジクロルメタンで抽出する。有機相を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで真空下に濃縮する。残留物(0.19g)をシリカカラムでクロマトグラフィーする(溶離液:シクロヘキサン40、酢酸エチル40、トリエチルアミン20)。画分を濃縮乾固して下記の化合物を得る。
・0.13gの11β−(4−(2−(ジメチルアミノ)エトキシ)フェニル)エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール−17−オン。
収率65%;C2835NO3
MW:433.6
IR(CHCl3、cm-1):3595、1735、1610、1580、1512
1HNMR(CDCl3、ppm):0.47(s、3H);2.33(s、6H);3.94(m、2H);3.99(t、J=4.5Hz、1H);6.37(dd、J=2.5Hz及び8.6Hz、1H);6.49(d、J=2.5Hz、1H);6.77(d、J=8.5Hz、1H);6.50及び6.96(AA’BB’、4H)
【0073】
例4:11β−(4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)フェニル)−17α−フルオルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール
【0074】
工程a:還元
3,3−エチレンジオキシエストラ−5(10),9(11)−ジエン−17−オール
【化48】

水素化硼素ナトリウム(MW=37.8;18.9g;500ミリモル)を0.5N水酸化ナトリウム(100mL)に溶解してなる溶液を、3,3−エチレンジオキシエストラ−5(10),9(11)−ジエン−17−オン(MW=314.4;100g;318ミリモル)をメタノール(1L)に加えてなる懸濁液に、約2℃で約5分間で導入する。反応媒体を約2℃で2時間撹拌し、次いでアセトン(100mL)を約5℃で約15分間で導入する。媒体を1時間撹拌し、水(2L)と塩化ナトリウム(500g)と酢酸エチル(400mL)との撹拌した混合物に約20℃で注入する。媒体をデカンテーションにより分離し、水性相を酢酸エチルで再抽出する。一緒にした有機相を水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥し、常圧で500mLまで濃縮する。1,2−ジメトキシエタン(DME)を徐々に導入して容積を一定に保ちながら蒸留を続する。この交換の終了時の温度は83℃である。この溶液は、次の工程でそのまま使用するが、乾燥抽出物は所期の生成物(樹脂状物)を与える。
20283;MW=316.4。
IR(CHCl3、cm-1):ν3613、1638
1HNMR(CDCl3、ppm):δ0.74(s、3H);2.29(bs、2H);3.78(t、J=8.5Hz、1H);3.98(m、4H);5.57(m、1H);0.85〜2.6(m、16H)
【0075】
工程b:弗素化
3,3−エチレンジオキシ−17α−フルオルエストラ−5(10),9(11)−ジエン
【化49】

上記の工程で得た3,3−エチレンジオキシエストラ−5(10),9(11)−ジエン−17−オール(MW=316.4;20g;63.2ミリモル)をDME(100mL)に溶解してなる溶液に、弗素化ペルフルオルブタンスルホニル(MW=302.1;41.4g;137ミリモル)を約−10℃で約5分間で導入する。この懸濁液を約−40℃に冷却し、3HF・TEA錯体(MW=161.2;10.2g;63.3ミリモル)をこの温度で約30分間で導入する。反応媒体を約−40℃で約15分間撹拌し、次いで1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)(MW=152.2;38.4g;252ミリモル)をこの温度で約1時間で導入する。黄色懸濁液を約−40℃で15分間、次いで約2℃で3時間撹拌する。媒体を水(400mL)と塩化アンモニウム(80g)と酢酸エチル(140mL)との撹拌した混合物に約10℃で注入する。媒体を30分間撹拌し、デカンテーションにより分離し、酢酸エチルで再抽出する。一緒にした有機相を水洗し、1N水酸化ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。媒体を真空下に濃縮し、次いでジクロルメタン(300mL)を導入する。この溶液にシリカ(メルクSi60;60g)を導入する。媒体を約20℃で1時間撹拌し、次いでシリカをろ過し、ジクロルメタン(80mL)ですすぎ洗いする。ろ液を常圧で80mLまで濃縮する。イソプロパノールを徐々に導入して容積を一定に保ちながら蒸留を続ける。この交換の終了時の温度は82℃である。この溶液を約20℃にもたらし、約63℃で結晶化が始まる。この懸濁液を約20℃で1時間撹拌する。20℃で白色生成物から液を除き、約40℃で終夜真空乾燥する。収量12.34g;C20272F;MW=318.4;収率61.3%;Mp=100℃。
IR(CHCl3、cm-1):ν1640、1610
1HNMR(CDCl3、ppm):δ0.66(d、J=2.5Hz、3H);3.99(bs、4H);4.59(dd、J=55及び5Hz、1H);5.60(m、1H);0.8〜2.6(m、18H)
MS(EI、m/z):318(M+);298(M+−HF)
【0076】
工程c:エポキシ化
3,3−エチレンジオキシ−17α−フルオル−5(10)−エポキシエストラ−9(11)−エン
【化50】

3,3−エチレンジオキシ−17α−フルオルエストラ−5(10),9(11)−ジエン(100g;MW=318.4;0.314モル)、ヘキサフルオルアセトン(三水和物;8.75mL;0.2当量)、ピリジン(0.1mL)、50%過酸化水素(約18M;30mL;1.7当量)及びジクロルメタン(1000mL)を20〜25℃で18時間激しく撹拌する。チオ硫酸ナトリウム水溶液の存在下での還元、洗浄(水)及び抽出(ジクロルメタン)の後に、有機相を約400mLの総容積まで濃縮する。次いで、ジクロルメタンをテトラヒドロフランによって一定容積での連続蒸留により、最終温度が66℃に達するまで、置き換える。得られた溶液を冷却し、次の工程にそのまま使用する。HPLC純度97%;約70/30のα/β混合物。C20273F;MW=334.4。濃縮乾固した後、α−エポキシドはヘプタンから結晶化することができ、またβ−エポキシドは母液のシリカクロマトグラフィー(溶離液:シクロヘキサン90−酢酸エチル10)により分離することができる。
・α−エポキシド(Mp=115℃)。
IR(CHCl3、cm-1):ν1642
1HNMR(CDCl3、ppm):δ0.66(d、J=2Hz、3H);3.85〜3.97(m、4H);4.58(dd、J=55及び5Hz、1H);6.07(dt、J=5.5及び2.5Hz、1H);1.15〜2.57(m、18H)
・β−エポキシド(油状物)。
IR(CHCl3、cm-1):ν1642
1HNMR(CDCl3、ppm):δ0.64(d、J=1.5Hz、3H);3.86〜3.97(m、4H);4.59(dd、J=55及び5Hz、1H);5.88(dt、J=5.5及び2Hz、1H);0.98〜2.51(m、18H)
【0077】
工程d:アルキル化
17α−フルオル−11β−(4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)フェニル)エストラ−4,9−ジエン−3−オンと17α−フルオル−11−(4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)フェニル)エストラ−5(10),9(11)−ジエン−3−オンの混合物
【化51】

反応器に14.4gのマグネシウム(削り屑;MW=24.3;593ミリモル)を、続いて1−ブロム−4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)ベンゼン(153.3g;MW=284.2;539ミリモル)をTHF(560mL)に溶解してなる溶液の100mLを導入する。反応媒体を約58℃に加熱し、媒体が灰色になるや否や、上記の溶液の残りを約58℃で約1.5時間で導入し、この温度に更に2時間保持する。この溶液を20℃にもたらし、18時間撹拌する。塩化銅(I)(4.43g;MW=99.0;44.7ミリモル)を導入し、媒体を約20℃で約15分間撹拌し、次いで前記の工程(工程c)に記載した3,3−エチレンジオキシ−17α−フルオル−5(10)−エポキシエストラ−9(11)−エン(7/3のα/β混合物)(100g;MW=334.4;299ミリモル)をTHFに溶解してなる溶液を約20℃で30分間で導入する。媒体を約20℃で1時間撹拌し、これを塩化アンモニウム(500g)と水(2L)とジクロルメタン(1L)との撹拌した混合物に約10℃で注入する。水性相をデカンテーションにより分離し、ジクロルメタンで再抽出する。一緒にした有機相を水洗し、約200mLまで真空下に濃縮する。この溶液を約2℃まで冷却し、依然として約2℃で水(250mL)、次いで濃塩酸(36%;150mL)を導入する。媒体を約2℃で1.5時間撹拌し、次いで水(500mL)で希釈し、デカンテーションにより分離し、pH>4まで水洗する。この媒体を、重炭酸ナトリウム(47g;MW=84.0;559ミリモル)と水(500mL)との撹拌した約20℃の混合物上に約30分間で注入する(泡の形成)。この媒体を30分間撹拌し、デカンテーションにより分離する。水性相をジクロルメタンで再抽出し、水洗し、硫酸ナトリウムで乾燥する。この溶液をアルミナ(約200g)を添加して脱色する。媒体を約20℃で撹拌し、ろ過し、ジクロルメタンですすぎ洗いする。ろ液を常圧で約700mLまで濃縮し、次いでイソプロピルエーテルを徐々に導入することによって容積を一定に保ちながら蒸留を続ける。この交換の終了時の温度は68℃である。約63℃で結晶化が始まる。媒体を約20℃に冷却し、約20℃で更に2時間撹拌し続ける。ベイジュ色の生成物(61.9g;収率43%):17α−フルオル−11β−(4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)フェニル)エストラ−4,9−ジエン−3−オンから液を除く。C3140FNO2;MW=477.7;Mp=160℃。
IR(CHCl3、cm-1):1656、1608、1508
1HNMR(CDCl3、ppm):0.35(d、J=2Hz、3H);1.44(m、2H);1.60(m、4H);2.50(bt、J=6Hz、4H);2.76(t、J=6Hz、2H);4.07(t、J=6Hz、2H);4.39(m、1H);4.46(dd、J=55.5及び5Hz、1H);5.76(bs、1H);6.82及び7.07(AA’BB’、4H);1.2〜4.1(m、18H)
MS(EI、m/z):477(M+);457(M+−HF);366;346;98
【0078】
母液をシリカでクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン55−酢酸エチル40−トリエチルアミン5)することによって、17α−フルオル−11−(4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)フェニル)エストラ−5(10),9(11)−ジエン−3−オンを得る。C3140FNO2;MW=477.7。
IR(CHCl3、cm-1):1710、1606、1572、1507
1HNMR(CDCl3、ppm):0.81(d、J=2Hz、3H);1.46(m、2H);1.62(m、4H);2.53(m、4H);2.80(m、2H);4.10(t、J=6Hz、2H);4.65(dd、J=55及び5Hz、1H);6.82(m、2H);7.07(m、2H);1.1〜2.85(m、18H)
MS(m/z):478(MH+);112
【0079】
工程e:芳香族化
3−アセチルオキシ−11β−(4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)フェニル)−17α−フルオルエストラ−1,3,5(10)−トリエン
【化52】

17α−フルオル−11β−(4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)フェニル)エストラ−4,9−ジエン−3−オン(38g;MW=477.7;79.5ミリモル)(工程d)をジクロルメタン(152mL)に溶解してなる溶液に、無水酢酸(MW=102.1;d=1.09;7.5mL;1.0当量)を添加し、次いで臭化アセチル(MW=123.0;d=1.66;14.7mL;2.5当量)を20〜25℃で15分間で添加する(発熱を伴う添加)。褐色溶液を20〜25℃で5時間撹拌する。この溶液を炭酸水素ナトリウム(45g)を水(380mL)に加えてなる懸濁液に約20℃で約30分間で注入する(二酸化炭素の発生)。この混合物を約20℃で終夜激しく撹拌し、次いで有機相をデカンテーションにより分離し、1N水酸化ナトリウム(190mL)で洗浄し、水洗し、次いで114mLの最終容積まで濃縮する。ジクロルメタンをメタノールによって、約40℃で徐々に真空蒸留することにより一定の容積を保って、置き換える。生成物はメタノール溶液状で貯蔵する。C3342FNO3;MW=519.8。
【0080】
工程f:けん化
11β−(4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)フェニル)−17α−フルオルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール塩酸塩
【化53】

上記の工程eで得た弗素化誘導体のメタノール溶液に、水酸化カリウム(MW=56.0;6.7g;1.5当量)をメタノール(76mL)に溶解してなる溶液を約0℃で約10分間で添加する。反応媒体を0〜5℃で45分間撹拌し、次いで水(190mL)とジクロルメタン(190mL)に注入する。有機相を水洗する。これをメタノール(76mL)、水(190mL)及び36%塩酸(17mL;2.2当量)を添加することにより酸性化し、pH(<2)をモニターしながら約5分間撹拌する。有機相をデカンテーションにより分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、190mLの最終容積が得られるまで濃縮する。次いで、媒体を、ジクロルメタンを徐々に導入することにより容積を一定に保持しながら、常圧で蒸留する。所期の生成物が自然に結晶化する。媒体を冷却しながら約1時間撹拌し、次いで2時間で約20℃にもたらす。生成物をろ過し、ジクロルメタンで洗浄し、次いで約40℃で真空乾燥する。30.8gのベイジュ色固体;収率75.3%;HPLC純度98%。C3141ClFNO2;MW=514.1。
IR(CHCl3、cm-1):ν=3599、2467、1609、1583、1511
1HNMR(CDCl3、ppm):0.22(d、J=1.5Hz、3H);3.09(m、1H);3.21(m、1H);3.87(m、1H);3.99(m、1H);4.25(m、1H);4.43(dd、J=56及び5Hz、1H);6.43及び6.95(AA’BB’、4H);6.60(dd、J=8.5及び1.5Hz、1H);6.67(d、J=1.5Hz、1H);6.78(d、J=8.5Hz、1H);11.4(bs、1H、活性);0.9〜3.4(m、14H)
MS(ESP、m/z):478(MH+
【0081】
工程g:中和
11β−(4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)フェニル)−17α−フルオルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール
11β−(4−(2−(1−ピペリジニル)エトキシ)フェニル)−17α−フルオルエストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−オール塩酸塩(28g;MW=514.1;54.5ミリモル)(工程f)をジクロルメタン(224mL)に加えてなる懸濁液に、炭酸ナトリウム(MW=106.0g;6.1g)の水溶液(112mL)を約20℃で導入する。反応媒体を約20℃で30分間撹拌し、デカンテーションにより分離し、水洗する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を140mL残留容積まで濃縮する。20℃にもたらし、アセトン(280mL)を、次いでシリカ(メルクSi60;42g)を導入する。媒体を約20℃で1時間撹拌し、ろ過し、2/1のアセトン−ジクロルメタン混合物によりすすぎ洗いする。ろ液を224mLの最終容積が得られるまで濃縮する。次いで、これを、イソプロパノールを徐々に導入することにより容積を一定に保持しながら、常圧で蒸留する。生成物が連続的に結晶化する。媒体を冷却しながら約1時間、次いで2時間で約0℃にもたらしながら撹拌する。生成物をろ過し、約0℃でイソプロパノールにより洗浄し、次いで約40℃で真空乾燥する。21.3gの白色の固体。Mp=180℃;収率82.1%;HPLC純度99%。C3140FNO2;MW=477.7。
IR(CHCl3、cm-1):ν=3598、1610、1581、1512
1HNMR(CDCl3、ppm):0.16(d、J=2.5Hz、3H);1.34(m、2H);1.44(m、4H);2.37(m、4H);2.56(t、J=6Hz、2H);3.91(m、2H);3.95(m、1H);4.44(dd、J=56及び5Hz、1H);6.31(dd、J=8.5及び3Hz、1H);6.46(d、J=3Hz、1H);6.63及び6.97(AA’BB’、4H);6.71(d、J=8.5Hz、1H);8.95(bs、1H、活性);0.9〜3.0(m、13H)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(I):
【化1】

[ここで、
Zは線状のアルキル基又は次式R4
【化2】

(ここに、nは2〜8の整数であり、
・R1及びR2は、同一又は異なっていて、ベンジル基又は1〜8個の炭素原子を含有する線状、分岐状若しくは環状のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル基を表わすか、或いは、
・R1とR2は、これらを有する窒素原子と一緒になって、飽和又は不飽和の芳香族又は非芳香族の5〜6員の複素環(これは1〜3個の追加の複素原子を含有でき、また他の環と縮合していてもよい。)を形成する。)
の基を表わし、
Aはケト官能基又は式:CH−X(ここに、Xはハロゲン原子を表わす。)の基を表わし、
3は水素原子又はヒドロキシル官能基の保護基を表わす。]
の化合物を製造するにあたり、
a)次式(IIIa) 及び(IIIb) :
【化3】

(ここで、=Kは、特にケタール、チオケタール又は混合ケタールの形で保護されたケト官能基を表わす。)
の化合物の混合物を、触媒的に又は化学量論的に生じる、式:R5MgHal又はR5Li(ここに、Halはハロゲン原子であり、R5は次式:
【化4】

(ここに、Zは上で定義した通りである。)
の基を表わす。)の有機金属化合物から誘導される有機銅酸塩誘導体によるアルキル化反応に付し、結合はフェニル上で起こるようにし、
次いで、脱保護剤を作用させて次式(Va)、(Vb)及び(Vc):
【化5】

の化合物を得、
b)式(Va)、(Vb)及び(Vc)の化合物を芳香族化剤により処理して次式(VI):
【化6】

(ここで、R3は上で定義した通りである。)
の化合物と式(I)の化合物の混合物を得、これは式(I)の化合物を得るように芳香族化反応を受け続ける
工程を含む、式(I)の化合物の製造方法。
【請求項2】
次の一般式(I):
【化7】

[ここで、
Zは線状のアルキル基又は次式R4
【化8】

(ここに、nは2〜8の整数であり、
・R1及びR2は、同一又は異なっていて、ベンジル基又は1〜8個の炭素原子を含有する線状、分岐状若しくは環状のアルキル、アルケニル若しくはアルキニル基を表わすか、或いは、
・R1とR2は、これらを有する窒素原子と一緒になって、飽和又は不飽和の芳香族又は非芳香族の5〜6員の複素環(これは1〜3個の追加の複素原子を含有でき、また他の環と縮合していてもよい。)を形成する。)
の基を表わし、
Aはケト官能基又は式:CH−X(ここに、Xはハロゲン原子を表わす。)の基を表わし、
3は水素原子又はヒドロキシル官能基の保護基を表わす。]
の化合物を製造するにあたり、
a)次式(IIIb) :
【化9】

(ここで、=Kは、特にケタール、チオケタール又は混合ケタールの形で保護されたケト官能基を表わす。)
の化合物を、触媒的に又は化学量論的に生じる、式:R5MgHal又はR5Li(ここに、Halはハロゲン原子であり、R5は次式:
【化10】

(ここに、Zは上で定義した通りである。)
の基を表わす。)の有機金属化合物から誘導される有機銅酸塩誘導体によるアルキル化反応に付し、結合はフェニル上で起こるようにし、
次いで、脱保護剤を作用させて次式(Vb)及び(Vc):
【化11】

の化合物を得、
b)式(Vb)及び(Vc)の化合物を芳香族化剤により処理して次式(VI):
【化12】

(ここで、R3は上で定義した通りである。)
の化合物と式(I)の化合物の混合物を得、これは式(I)の化合物を得るように芳香族化反応を受け続ける
工程を含む、式(I)の化合物の製造方法。
【請求項3】
Aがケト官能基である一般式(I)の化合物を製造するにあたり、
a)次式(II):
【化13】

(ここで、=Kは、特にケタール、チオケタール又は混合ケタールの形で保護されたケト官能基を表わす。)
の化合物にエポキシ化剤を作用させて次式(III'a) 及び式(III'b) :
【化14】

のα異性体とβ異性体の混合物を得、
b)式(III'a) 及び式(III'b)の化合物の混合物を式:R5MgHal又はR5Li(ここに、Halはハロゲン原子であり、R5は請求項1に記載の通りである。)の有機金属化合物から誘導される有機銅酸塩誘導体によるアルキル化反応に付し、結合はフェニル上で起こるようにし、
次いで、脱保護剤を作用させて次式(V'a)、(V'b)及び(V'c):
【化15】

の化合物を得、
c)式(V'a)、(V'b)及び(V'c)の化合物を芳香族化剤により処理して次式(VI'):
【化16】

の化合物とAがケト官能基である式(I)の化合物との混合物を得、これはAがケト官能基である式(I)の化合物を得るように芳香族化反応を受け続け、
d)要すれば、工程cで得られた化合物を脱保護して、Aがケト官能基を表わし且つR3が水素原子を表わす式(I)の化合物を得、この化合物を要すれば塩形成反応に付する
工程を含む、請求項1に記載の、該式(I)の化合物の製造方法。
【請求項4】
Aがケト官能基である一般式(I)の化合物を製造するにあたり、
a)次式(II):
【化17】

(ここで、=Kは、特にケタール、チオケタール又は混合ケタールの形で保護されたケト官能基を表わす。)
の化合物にエポキシ化剤を作用させて次式(III'b) :
【化18】

のβ異性体を得、
b)式(III'b)の化合物を式:R5MgHal又はR5Li(ここに、Halはハロゲン原子であり、R5は請求項2に記載の通りである。)の有機金属化合物から誘導される有機銅酸塩誘導体によるアルキル化反応に付し、結合はフェニル上で起こるようにし、
次いで、脱保護剤を作用させて次式(V'b)及び(V'c):
【化19】

の化合物を得、
c)式(V'b)及び(V'c)の化合物を芳香族化剤により処理して次式(VI'):
【化20】

の化合物とAがケト官能基である式(I)の化合物との混合物を得、これはAがケト官能基である式(I)の化合物を得るように芳香族化反応を受け続け、
d)要すれば、工程cで得られた化合物を脱保護して、Aがケト官能基を表わし且つR3が水素原子を表わす式(I)の化合物を得、要すればこの化合物を塩形成反応に付する
工程を含む、請求項2に記載の、該式(I)の化合物の製造方法。
【請求項5】
アルキル化反応がエノール化反応を伴うことを特徴とする、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
式(III'a) 及び式(III'b)の化合物を塩基の存在下にシリル化剤により処理して式(IVa)及び(IVb):
【化21】

(ここで、Ra、Rb及びRcは、同一又は異なっていて、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基又はフェニル基を表わす。)
のシリル化エノールの混合物を得、この混合物を請求項3に記載の通りの有機銅塩誘導体と反応させ、結合がフェニル上で起こるようにして、式(IV'a)及び(IV'b):
【化22】

の化合物を得、これらを単離し又は単離せず、次いでこれらの化合物を脱保護して請求項3に記載の式(V'a)、(V'b)及び(V'c)の化合物を得ることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
式(III'b)の化合物を塩基の存在下にシリル化剤により処理して式(IVb):
【化23】

(ここで、Ra、Rb及びRcは、同一又は異なっていて、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基又はフェニル基を表わす。)
のシリル化エノールを得、これを請求項4に記載の通りの有機銅塩誘導体と反応させ、結合がフェニル上で起こるようにして、式(IV'b):
【化24】

の化合物を得、これを単離し又は単離せず、次いでこの化合物を脱保護して請求項4に記載の式(V'b)及び(V'c)の化合物を得ることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
シリル化誘導体がトリメチルシリル誘導体であって、Ra、Rb及びRcが同一であってメチルを表わす式(IVb)及び(又は)(IVa)のシリル化エノールを得るのを可能にさせることを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
=Kが環状ケタール、例えば3,3−エチレンジオキシの形で保護されたケト官能基を表わすことを特徴とする、請求項3、4、5又は8に記載の方法。
【請求項10】
基(ZO−)がp−位置にあり、Zが基R4を表わし、nが2に等しいことを特徴とする、請求項3、4、5、8又は9に記載の方法。
【請求項11】
1及びR2が同一であって線状のアルキル基、例えばメチル又はエチル基を表わすことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
基(ZO−)がm−又はp−位置にあり且つZが線状のアルキル基、例えばメチル基を表わすことを特徴とする、請求項3、4、5、8又は9に記載の方法。
【請求項13】
Aが式:CH−Xの基を表わし且つZが基R4を表わす請求項1に記載の式(I)の化合物を製造するにあたり、
a)次式(II):
【化25】

(ここで、=Kは、特にケタール、チオケタール又は混合ケタールの形で保護されたケト官能基を表わす。)
の化合物に17位置のケトを還元する還元剤を作用させて次式(VII):
【化26】

の化合物を得、
b)式(VII)の化合物をハロゲン化剤により処理して次式(VIII):
【化27】

(ここで、Xはハロゲン原子を表わす。)
の化合物を得、
c)式(VIII)の化合物にエポキシ化剤を作用させて次式(III"a) 及び式(III"b) :
【化28】

の化合物の混合物を得、
d)式(III"a)及び(III"b)の化合物を式:R5MgHal又はR5Li(ここに、Halはハロゲン原子であり、R5は次式:
【化29】

(ここで、R4は請求項1に記載の通りである。)
の有機金属化合物から誘導される有機銅酸塩誘導体によるアルキル化反応に付し、結合はフェニル上で起こるようにし、
次いで、脱保護剤を作用させて次式(V"a)、(V"b)及び(V"c):
【化30】

の化合物を得、
e)式(V"a)、(V"b)及び(V"c)の化合物を芳香族化剤により処理して、次式(VI"):
【化31】

の化合物とAが式:CH−Xの基を表わし且つZが基R4を表わす式(I)の化合物との混合物を得、これは前記の式(I)の化合物を得るように芳香族化反応を受け続け、
f)要すれば、工程eで得られた化合物を脱保護して、Aが式:CH−Xの基を表わし、Zが基R4を表わし且つR3が水素原子を表わす式(I)の化合物を得、この化合物を要すれば塩形成及び中和反応に付する
工程を含む、請求項1に記載の、該式(I)の化合物の製造方法。
【請求項14】
=Kが環状ケタール、例えば3,3−エチレンジオキシの形で保護されたケト官能基を表わすことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
Xが弗素原子を表わすことを特徴とする、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
1及びR2が結合している窒素原子と一緒になってそれらが次式:
【化32】

の基を表わし且つnが2に等しいことを特徴とする、請求項13、14又は15に記載の方法。
【請求項17】
芳香族化剤が無水酢酸の存在下での臭化アセチルであること特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
式(V'a)、(V'b)又は(V'c)の化合物を得るのに使用される脱保護剤が酸加水分解を行う薬剤、例えば塩酸又は過塩素酸であること特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
新規な中間体化合物としての、
・Ra、Rb及びRcが同一であってメチル基を表わす請求項6に記載の一般式(IV'b)の化合物、又は
・R3がアシル基を表わす請求項3に記載の一般式(VI')の化合物。
【請求項20】
新規な中間体化合物としての、
・基(ZO−)がp−位置にある請求項19に記載の一般式(IV'b)の化合物、又は
・基(ZO−)がp−位置にある請求項19に記載の一般式(VI')の化合物。
【請求項21】
新規な中間体化合物としての、
・=Kが3,3−エチレンジオキシを表わし、nが2に等しく且つXが弗素原子を表わす一般式(VIII)の化合物、
・=Kが3,3−エチレンジオキシを表わし、nが2に等しく且つXが弗素原子を表わす一般式(III"a)は(III"b)の化合物、
・Xが弗素原子を表わし、nが2に等しく、且つ、R1及びR2が結合している窒素原子と一緒になってそれらが次式:
【化33】

の基を表わす一般式(V"a)、(V"b)及び(V"c)の化合物、
・R3がアシル基を表わし、Xが弗素原子を表わし、nが2に等しく、且つ、R1及びR2が結合している窒素原子と一緒になってそれらが次式:
【化34】

の基を表わす一般式(VI")の化合物、
・R3がアシル基を表わし、Xが弗素原子を表わし、nが2に等しく、且つ、R1及びR2が結合している窒素原子と一緒になってそれらが次式:
【化35】

の基を表わす、請求項13に記載の一般式(I)の化合物。

【公表番号】特表2006−524671(P2006−524671A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505812(P2006−505812)
【出願日】平成16年4月27日(2004.4.27)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001010
【国際公開番号】WO2004/096828
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(301014948)アベンティス ファルマ ソシエテ アノニム (14)
【Fターム(参考)】