説明

2−メチレン−(20R,25S)−19,27−ジノル−(22E)−ビタミンD類縁体

本発明は、2-メチレン-(20R,25S)-19,27-ジノル-(22E)-ビタミンD類縁体、特に2-メチレン-(20R,25S)-19,27-ジノル-(22E)-1α,25-ジヒドロキシビタミンD3、およびその薬学的使用を開示する。本化合物は未分化細胞の増殖の停止および単球へのそれらの分化の誘導において顕著な活性を示し、このことは、抗癌剤として、ならびに乾癬などの皮膚疾患の治療のために、ならびにしわ、たるんだ皮膚、乾燥皮膚、および不十分な皮脂分泌などの皮膚状態の治療のために、使用できることの証明となる。また本化合物は、血中カルシウム上昇(calcemic)活性をほとんど有さず、したがって、ヒトにおける自己免疫障害または炎症性疾患ならびに腎性骨形成異常を治療するために使用されうる。また本化合物は、肥満の治療または予防のためにも使用されうる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2006年9月28日に出願された米国特許仮出願第60/848,803号による優先権およびその恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明はビタミンD化合物に関し、より詳細には、2-メチレン-(20R,25S)-19,27-ジノル-(22E)-ビタミンD類縁体およびその薬学的使用に関する。
【0003】
天然ホルモンである1α,25-ジヒドロキシビタミンD3およびエルゴステロール系のその類縁体、すなわち1α,25-ジヒドロキシビタミンD2は、動物およびヒトにおけるカルシウム恒常性の非常に強力な調節物質であることが公知であり、細胞分化におけるそれらの活性も証明されている(Ostrem et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 2610 (1987)(非特許文献1))。1α-ヒドロキシビタミンD3、1α-ヒドロキシビタミンD2、様々な側鎖同族体化(homologated)ビタミン、およびフッ化類縁体を含む、これらの代謝産物の多くの構造類縁体が調製され、試験されている。これらの化合物の一部は、細胞分化における活性とカルシウム調節における活性の興味深い分離を示している。この活性の違いは、腎性骨形成異常、ビタミンD抵抗性くる病、骨粗しょう症、乾癬、および特定の悪性病変などの様々な疾患の治療において有用でありうる。
【0004】
別のクラスのビタミンD類縁体、すなわちいわゆる19-ノル-ビタミンD化合物は、2つの水素原子による、ビタミンD系特有のA環の環外メチレン基(19位炭素)の置換を特徴とする。そのような19-ノル-類縁体(例えば、1α,25-ジヒドロキシ-19-ノル-ビタミンD3)の生物学的試験により、細胞分化の誘導における高い効力と非常に低いカルシウム動員活性とを伴う選択的活性プロファイルが明らかとなった。したがって、これらの化合物は、悪性病変の治療または様々な皮膚障害の治療のための治療剤として有用である可能性がある。そのような19-ノル-ビタミンD類縁体の2種類の異なる合成法が記載されている(Perlman et al., Tetrahedron Lett. 31, 1823 (1990)(非特許文献2);Perlman et al., Tetrahedron Lett. 32, 7663 (1991)(非特許文献3);およびDeLuca et al., 米国特許第5,086,191号(特許文献1))。
【0005】
米国特許第4,666,634号(特許文献2)においては、Chugaiグループによって、骨粗しょう症に対して可能性のある薬物としておよび抗癌剤として、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3の2β-ヒドロキシおよびアルコキシ(例えば、ED-71)類縁体が記載され、調査された。Okano et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 163, 1444 (1989)(非特許文献4)も参照されたい。1α,25-ジヒドロキシビタミンD3のその他の2-置換(ヒドロキシアルキル基、たとえばED-120、およびフルオロアルキル基による)A環類縁体もまた、調製および試験されている(Miyamoto et al., Chem. Pharm. Bull. 41, 1111 (1993); Nishii et al., Osteoporosis Int. Suppl. 1, 190 (1993); Posner et al., J. Org. Chem. 59, 7855 (1994), およびJ. Org. Chem. 60, 4617 (1995)(非特許文献5〜8))。
【0006】
また、1α,25-ジヒドロキシ-19-ノル-ビタミンD3の様々な2-置換類縁体、すなわち、2位でヒドロキシ基またはアルコキシ基により(DeLuca et al.、米国特許第5,536,713号(特許文献3))、2-アルキル基により(DeLuca et al.、米国特許第5,945,410号(特許文献4))、および2-アルキリデン基により(DeLuca et al.、米国特許第5,843,928号(特許文献5))置換された化合物も合成されており、これらは興味深い選択的活性プロファイルを示す。これらの調査は全て、ビタミンD受容体中の結合部位が、合成されたビタミンD類縁体中のC-2における様々な置換基に適応できることを示している。
【0007】
19-ノルクラスの薬理学的に重要なビタミンD化合物を探索するための継続的努力において、2位炭素(C-2)におけるメチレン置換基、1位炭素(C-1)におけるヒドロキシル基、および20位炭素(C-20)に結合した、短縮された側鎖の存在を特徴とする類縁体も合成され、試験されている。1α-ヒドロキシ-2-メチレン-19-ノル-プレグナカルシフェロールが米国特許第6,566,352号(特許文献6)に記載されている一方、1α-ヒドロキシ-2-メチレン-19-ノル-ホモプレグナカルシフェロールが米国特許第6,579,861号(特許文献7)に、1α-ヒドロキシ-2-メチレン-19-ノル-ビスホモプレグナカルシフェロールが米国特許第6,627,622号(特許文献8)に記載されている。これら3つの化合物は全て、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3に比べて、ビタミンD受容体に対する結合活性が比較的高くかつ細胞分化活性が比較的高いが、血中カルシウム上昇(calcemic)活性はほとんどない。352号、861号、および622号特許(特許文献6〜8)に示すとおり、これらの化合物はその生物活性によって、様々な薬学的使用に対する優秀な候補となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,086,191号
【特許文献2】米国特許第4,666,634号
【特許文献3】米国特許第5,536,713号
【特許文献4】米国特許第5,945,410号
【特許文献5】米国特許第5,843,928号
【特許文献6】米国特許第6,566,352号
【特許文献7】米国特許第6,579,861号
【特許文献8】米国特許第6,627,622号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Ostrem et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 2610 (1987)
【非特許文献2】Perlman et al., Tetrahedron Lett. 31, 1823 (1990)
【非特許文献3】Perlman et al., Tetrahedron Lett. 32, 7663 (1991)
【非特許文献4】Okano et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 163, 1444 (1989)
【非特許文献5】Miyamoto et al., Chem. Pharm. Bull. 41, 1111 (1993)
【非特許文献6】Nishii et al., Osteoporosis Int. Suppl. 1, 190 (1993)
【非特許文献7】Posner et al., J. Org. Chem. 59, 7855 (1994)
【非特許文献8】Posner et al., J. Org. Chem. 60, 4617 (1995)
【発明の概要】
【0010】
本発明は2-メチレン-(20R,25S)-19,27-ジノル-(22E)-ビタミンD類縁体を対象としており、より具体的には、2-メチレン-(20R,25S)-19,27-ジノル-(22E)-1α,25-ジヒドロキシビタミンD3、その生物活性、およびこれらの化合物に関する多様な薬学的使用を対象とする。以前は未知であったこれらの新規ビタミンD化合物とは、2位(C-2)にメチレン基を有し、そのR配置で20位(C-20)にメチル基を有し、17位(C-17)に付随した側鎖の22位と23位(C-22とC-23)の間に二重結合を有し、かつ、側鎖の典型的には27位(C-27)に位置するメチル基と水素原子との置換を有する、19-ノル-ビタミンD類縁体である。
【0011】
これらの2-メチレン-(20R,25S)-19,27-ジノル-(22E)-ビタミンD類縁体は、以下に示す一般式Iを特徴とする:

式中、X1、X2、およびX3は同じでも異なっていてもよく、それぞれが水素またはヒドロキシ保護基より選択される。好ましい類縁体は、以下の式Iaを有する2-メチレン-(20R,25S)-19,27-ジノル-(22E)-1α,25-ジヒドロキシビタミンD3である。

【0012】
上記の化合物I、特にIaは、望ましくかつ非常に有益な生物活性パターンを示す。これらの化合物は、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3と比べて、ビタミンD受容体への結合が比較的強いが腸管カルシウム輸送活性が非常に低いことを特徴とし、かつ、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3と比べて骨からカルシウムを動員する能力は非常に低い。したがってこれらの化合物は、血中カルシウム上昇活性をほとんど有さないことを特徴とする。プレプロ副甲状腺ホルモン(preproparathyroid hormone)遺伝子(Darwish & DeLuca, Arch. Biochem. Biophys. 365, 123-130, 1999)および副甲状腺増殖を抑制する際には、血清カルシウムを超生理学的レベルまで高めることは望ましくない。分化に対する活性が非常に高い一方で血中カルシウム上昇活性をほとんどまたは全く有さないこれらの類縁体は、腎性骨形成異常の続発性副甲状腺機能亢進症の抑制のための療法として有用であることが予想される。
【0013】
また、例えば多発性硬化症、狼瘡、真性糖尿病、宿主対移植片反応、および臓器移植の拒絶反応を含む自己免疫疾患における、免疫系の不均衡を特徴とするヒト障害の治療および予防のために;およびさらに、関節リウマチ、喘息、ならびに、セリアック病、潰瘍性大腸炎、およびクローン病などの炎症性腸疾患などの炎症性疾患の治療のために、本発明の化合物I、特にIaが特に適していることも見出されている。本発明の化合物で治療されうるその他の状態は、ざ瘡、脱毛、および高血圧である。
【0014】
また上記化合物I、特にIaは、比較的高い細胞分化活性も特徴とする。したがってこれらの化合物は、乾癬の治療のための、または、特に白血病、大腸癌、乳癌、皮膚癌、および前立腺癌に対する抗癌剤としての治療剤も提供する。加えて、その比較的高い細胞分化活性ゆえに、これらの化合物は、しわ、十分な皮膚水分(dermal hydration)の欠如すなわち乾燥皮膚、十分な皮膚弾力(skin firmness)の欠如すなわちたるんだ皮膚、および不十分な皮脂分泌を含む様々な皮膚状態の治療のための治療剤を提供する。したがってこれらの化合物の使用は皮膚の加湿をもたらすのみならず、皮膚のバリア機能も改善する。
【0015】
また本発明の式I、特に式Iaの化合物は、動物被験体における肥満の予防もしくは治療、脂肪細胞分化の阻害、SCD-1遺伝子転写の阻害、および/または体脂肪の減少においても有用である。したがって一部の態様において、動物被験体における肥満を予防もしくは治療する、脂肪細胞分化を阻害する、SCD-1遺伝子転写を阻害する、および/または体脂肪を減少させる方法には、一種もしくは複数種の式Iの化合物の有効量または一種もしくは複数種の式Iの化合物を含む薬学的組成物を動物被験体に投与する段階が含まれる。一種または複数種の本化合物または本薬学的組成物の被験体への投与は、動物被験体における脂肪細胞分化を阻害する、遺伝子転写を阻害する、および/または体脂肪を減少させる。
【0016】
一種または複数種の本化合物は、上述の疾患および障害を治療するための組成物中に組成物1gあたり約0.01μg〜約1000μg、好ましくは組成物1gあたり約0.1μg〜約500μgの量で存在し得、かつ、約0.01μg/日〜約1000μg/日、好ましくは約0.1μg/日〜約500μg/日の投与量で局所投与、経皮投与、経口投与、直腸投与、経鼻投与、舌下投与、または非経口投与され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1〜5は、天然ホルモン1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(以下「1,25(OH)2D3」と称する)と比較した、2-メチレン-(20R,25S)-19,27-ジノル-(22E)-1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(以下「REN」と称する)の様々な生物活性を説明するものである。
【図1】全長組換えラットビタミンD受容体への結合に関して[3H]-1,25-(OH)2-D3と競合するRENおよび1,25(OH)2D3の相対活性を示すグラフである。
【図2】RENおよび1,25(OH)2D3の濃度の関数としてパーセントHL-60細胞分化を示すグラフである。
【図3】RENと比較した1,25(OH)2D3のインビトロ転写活性を示すグラフである。
【図4】RENと比較した1,25(OH)2D3の骨カルシウム動員活性を示す棒グラフである。
【図5】RENと比較した1,25(OH)2D3の腸管カルシウム輸送活性を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の詳細な説明
2-メチレン-(20R,25S)-19,27-ジノル-(22E)-1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(本明細書において「REN」と称する)、すなわち、2位(C-2)炭素におけるメチレン置換基、そのR配置で20位(C-20)におけるメチル基、17位(C-17)に付随した側鎖の22位と23位(C-22とC-23)の間の二重結合、および、側鎖の典型的には27位(C-27)に位置するメチル基と水素原子との置換の存在を特徴とする19-ノルビタミンDが合成され、試験された。C-2位の比較的小さなメチレン基はビタミンD受容体への結合を妨げないので、そのようなビタミンD類縁体は、興味深い標的と考えられる。構造的には、この19-ノル類縁体は本明細書において上述した一般式Iaにより特徴付けられ、そのプロドラッグ(保護ヒドロキシ型の)は、本明細書において上述した一般式Iにより特徴付けられる。
【0019】
構造Iを有する2-メチレン-(20R,25S)-19,27-ジノル-(22E)-ビタミンD類縁体の調製は、通常の一般法によって、すなわち、二環式Windaus-Grundmann型ケトンIIをアリルホスフィンオキシドIIIと縮合させ、対応する2-メチレン-19,27-ジノル-ビタミンD類縁体IVとし、その後、後者の化合物のC-1およびC-3において脱保護を行うことによって、達成することができる。

構造II、III、およびIVにおいて、X1基、X2基、およびX3基はヒドロキシ保護基、好ましくはt-ブチルジメチルシリルであり、また当技術分野で周知のように、縮合反応に感受性でありうるか縮合反応を妨げる全ての官能性が適切に保護されることも理解されよう。上述のプロセスは、ビタミンD化合物の調製に関して有効に適用されている収束的合成の概念の適用を表している。(例えばLythgoe et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans. I, 590 (1978); Lythgoe, Chem. Soc. Rev. 9, 449 (1983); Toh et al., J. Org. Chem. 48, 1414 (1983); Baggiolini et al., J. Org. Chem. 51, 3098 (1986); Sardina et al., J. Org. Chem. 51, 1264 (1986); J. Org. Chem. 51, 1269 (1986); DeLuca et al., 米国特許第5,086,191号; DeLuca et al., 米国特許第5,536,713号)。
【0020】
一般構造IIのヒドリンダノンは未知である。これは、本明細書のスキーム1、2、および3に示す方法によって調製可能である(化合物RENの調製を参照されたい)。
【0021】
必要となる一般構造IIIのホスフィンオキシドを調製するために、Perlman et al., Tetrahedron Lett. 32, 7663 (1991)およびDeLuca et al.、米国特許第5,086,191号に記載のように、市販の(1R,3R,4S,5R)-(-)-キナ酸より容易に得られるキナ酸メチル(methyl quinicate)誘導体から開始する合成経路が開発されている。
【0022】
化合物IおよびIaの全体的な合成プロセスは、「2-Alkylidene-19-Nor-Vitamin D Compounds」と題した米国特許第5,843,928号でより完全に示されかつ説明されており、その明細書は参照により本明細書において具体的に組み入れられている。
【0023】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いる「ヒドロキシ保護基」という用語は、例えばアルコキシカルボニル基、アシル基、アルキルシリル基またはアルキルアリールシリル基(以下、本明細書においては単に「シリル」基と称する)、およびアルコキシアルキル基などの、ヒドロキシ官能基の一時的な保護のために一般に使用される任意の基を意味する。アルコキシカルボニル保護基とは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、またはアリルオキシカルボニルなどのアルキル-O-CO-基である。「アシル」という用語は、炭素数1〜6のアルカノイル基の全ての異性体型、あるいは、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基などの炭素数1〜6のカルボキシアルカノイル基、あるいは、ベンゾイル基、またはハロ置換、ニトロ置換、もしくはアルキル置換のベンゾイル基などの芳香族アシル基を意味する。本明細書または添付の特許請求の範囲で用いる「アルキル」という用語は、炭素数1〜10の直鎖または分枝のアルキル基の全ての異性体型を意味する。アルコキシアルキル保護基とは、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエトキシメチル、またはテトラヒドロフラニルおよびテトラヒドロピラニルなどの基である。好ましいシリル保護基とは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ジブチルメチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、ジフェニル-t-ブチルシリル基、および類似のアルキル化シリル基である。「アリール」という用語は、フェニル基または、アルキル置換、ニトロ置換、もしくはハロ置換のフェニル基を規定する。
【0024】
「保護ヒドロキシ」基とは、上記で定義した、ヒドロキシ官能基の一時的または永久的な保護のために一般的に用いられる上述の基、例えば、シリル基、アルコキシアルキル基、アシル基、またはアルコキシカルボニル基のいずれかで誘導体化または保護されたヒドロキシ基である。「ヒドロキシアルキル」、「重水素アルキル(deuteroalkyl)」、および「フルオロアルキル」という用語は、1つまたは複数のヒドロキシ基、重水素基、またはフルオロ基でそれぞれ置換されたアルキル基を指す。
【0025】
より具体的には、化合物RENの調製の詳細な説明に関しては、以下の例示的な実施例および説明ならびに本明細書中のスキーム1〜4を参照すべきである。
【0026】
この実施例において、アラビア数字(1、2、3)で識別されている特定の生成物は、スキーム1、2、および3においてそのように識別されている特定の構造を指す。
【0027】
実施例
化学的性質
記載した溶媒中で、Hitachi Model 60-100 UV-vis分光計を用いて、紫外線(UV)吸収スペクトルを記録した。1H核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、ジュウテリオクロロホルム(deuteriochloroform)中で、Bruker AM-500 FT分光計を用いて500 MHzで記録した。化学シフト(δ)は、内部Me4Si(δ 0.00)から低磁場で報告される。質量スペクトルは、Kratos MS-55データシステムを備えたKratos DS-50 TC機器において70 eVで記録した。試料は、直接挿入プローブを介して、120〜250℃で維持したイオン源へと導入した。Model 6000A溶媒送達システム、Model 6 UK Universalインジェクタ、Model 486チューナブル(tunable)吸光度検出器、および示差R 401屈折計を備えたWaters Associates液体クロマトグラフにおいて、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を実施した。
【0028】
実施例1
(3S)-1-p-トルエンスルホニルオキシ-3-トリエチルシリルオキシ-ブタン (2) の調製
無水塩化メチレン(20 mL)中の、(S)-(+)-1,3-ブタンジオール1(1 g、11.1 mmol)、DMAP(30 mg、0.25 mmol)、およびEt3N(4.6 mL、3.33 g、33 mmol)の撹拌溶液に、p-トルエンスルホニルクロリド(2.54 g、13.3 mmol)を0℃で加えた。反応混合物を4℃で22時間撹拌した。塩化メチレンを加えて、混合物を水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)させ、減圧下で濃縮した。残渣を、ヘキサン/酢酸エチル(8:2、次いで1:1)を用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーに供し、トシレート(2.31 g、収率85%)を無色油状物として得た。
【0029】
無水塩化メチレン(15 mL)中のトシレート(2.31 g、9.5 mmol)および2,6-ルチジン(1.2 mL、1.12 g、10.5 mmol)の撹拌溶液に、トリエチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(2.1 mL、2.51 g、9.5 mmol)を-50℃で加えた。反応混合物を室温まで温め(4時間)、さらに20時間撹拌を続けた。塩化メチレンを加えて、混合物を水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)させ、減圧下で濃縮した。残渣を、ヘキサン/酢酸エチル(97:3)を用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーに供し、生成物2(2.71 g、収率80%)を無色油状物として得た:

C15H25O4SSi (M+ - C2H5) の正確な質量計算値329.1243、測定値329.1239。
【0030】
(3S)-1-ヨード-3-トリエチルシリルオキシ-ブタン (3) の調製
無水アセトン(50 mL)中のトシレート2(2.71 g、7.6 mmol)の撹拌溶液にヨウ化カリウム(8 g、48 mmol)を添加し、反応混合物を10時間還流した。水(30 mL)を加え、溶液を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を乾燥(Na2SO4)させ、減圧下で濃縮した。残渣を、ヘキサン/酢酸エチル(97:3)を用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーに供し、アルコール3(2.26 g、収率95%)を無色油状物として得た:

C8H18OISi (M+ - C2H5) の正確な質量計算値285.0172、測定値285.0169。
【0031】
(3S)-ヒドロキシブチル-トリフェニルホスホニウムヨージド (4) の調製
アセトニトリル(50 mL)中のヨウ化物3(1.67 g、5.3 mmol)の撹拌溶液にトリフェニルホスフィン(4.2 g、16 mmol)を添加し、反応混合物を2日間還流した。アセトニトリルを減圧下で蒸発させ、酢酸エチル(50 mL)を添加し、混合物を室温で4時間撹拌した。濾過により溶媒を除去した後、固体を酢酸エチルで洗浄し、濾去して(filtered off)、乾燥させた。純粋なホスホニウム塩4(1.77 g、収率87%)を白色結晶として得た。

【0032】
(8S,20S)-デ-A,B-20-(ヒドロキシメチル)プレグナン-8-オール (5) の調製
メタノール(250 mL)およびピリジン(2.44 g、2.5 mL、31 mmol)中のビタミンD2(3g、7.6 mmol)の溶液にオゾンを-78℃で50分間通気した。次いで、反応混合物に酸素を15分間流して残留オゾンを除去し、溶液をNaBH4(0.75 g、20 mmol)で処理した。20分後、第二のNaBH4(0.75 g、20 mmol)を添加し、混合物を室温まで温めた。次いで、第三のNaBH4(0.75 g、20 mmol)を添加し、反応混合物を18時間撹拌した。水(40 mL)で反応停止させ、溶液を減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を1M HCl水溶液、飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、乾燥(Na2SO4)させ、減圧下で濃縮した。残渣を、ヘキサン/酢酸エチル(75:25)を用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーに供し、ジオール5(1.21 g、収率75%)を白色結晶として得た:

C13H22O (M+ - H2O) の正確な質量計算値194.1671、測定値194.1665。
【0033】
(8S,20S)-デ-A,B-8-ベンゾイルオキシ-20-(ヒドロキシメチル)-プレグナン (6) の調製
無水ピリジン(20 mL)中のジオール5(1.2 g、5.7 mmol)およびDMAP(30 mg、0.2 mmol)の溶液に、塩化ベンゾイル(2.4 g、2 mL、17 mmol)を0℃で添加した。反応混合物を4℃で24時間撹拌し、塩化メチレン(100 mL)で希釈し、5%HCl水溶液、水、飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、乾燥(Na2SO4)させて、減圧下で濃縮した。残渣(3.39 g)を、室温にて無水エタノール(30 mL)中のKOH(1g、15.5 mmol)の溶液で処理した。反応混合物を3時間撹拌した後、pH=6になるまで氷および5%HCl水溶液を添加した。溶液を酢酸エチル(3×50 mL)で抽出し、合わせた有機相を飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、乾燥(Na2SO4)させ、減圧下で濃縮した。残渣を、ヘキサン/酢酸エチル(75:25)を用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーに供し、アルコール6(1.67 g、収率93%)を無色油状物として得た:

C20H28O3の正確な質量計算値316.2038、測定値316.2019。
【0034】
(8S,20S)-デ-A,B-8-ベンゾイルオキシ-20-ホルミルプレグナン (7) の調製
無水塩化メチレン(10 mL)および無水DMSO(2 mL)中の、アルコール6(640 mg、2.03 mmol)、トリエチルアミン(1.41 mL、1.02 g、10.1 mmol)の溶液に、三酸化硫黄ピリジン錯体(1.94 g, 12.2 mmol)を0℃で加えた。反応混合物を0℃、アルゴン雰囲気下で1時間撹拌した後、濃縮した。残渣を酢酸エチルで希釈し、ブラインで洗浄し、乾燥(Na2SO4)させて、濃縮した。残渣を、ヘキサン/酢酸エチル(95:5)を用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーにより精製し、アルデヒド7(529 mg、収率83%)を油状物として得た:

C20H26O3の正確な質量計算値314.1882、測定値314.1887。
【0035】
(8S,20R)-デ-A,B-8-ベンゾイルオキシ-20-[(4S)-ヒドロキシ-ペンテ-(1E)-エン-イル]-プレグナン (8) の調製
無水THF(5 mL)中のホスホニウム塩4(310 mg、0.67 mmol)の撹拌懸濁物に、ブチルリチウム(1.6 M、840 μL、1.34 mmol)を-20℃で加えた。溶液は暗橙色に変わった。1時間後に、無水THF(2 mL)中のアルデヒド7(70 mg、0.22 mmol)の予め冷却(-20℃)した溶液を添加し、反応混合物を-20℃で3時間および室温で18時間撹拌した。水で反応停止させ、混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥(Na2SO4)させ、蒸発させた。残渣を、ヘキサン/酢酸エチル(95:5)を用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーに供し、生成物8(42 mg、収率52%)を得た:

C24H34O3 (M+) の正確な質量計算値370.2508、測定値370.2491。
【0036】
(8S,20R)-デ-A,B-8-ベンゾイルオキシ-20-[(4S)-tert-ブチルジメチルシリルオキシ-ペンテ-(1E)-エニル]プレグナン (9) の調製
無水塩化メチレン(3 mL)中のアルコール8(30 mg、0.08 mmol)および2,6-ルチジン(33 μL、30 mg、0.28 mmol)の溶液に、tert-ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(33 μL、37 mg、0.14 mmol)を-20℃で加えた。混合物を0℃、アルゴン雰囲気下で1時間撹拌した。水で反応停止させ、塩化メチレンで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥(Na2SO4)させ、減圧下で濃縮した。残渣を、ヘキサンおよびヘキサン/酢酸エチル(97:3)を用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーに供し、生成物9(37 mg、95%)を得た。

【0037】
(8S,20R)-デ-A,B-20-[(4S)-tert-ブチルジメチルシリルオキシ-ペンテ-(1E)-エン-イル]プレグナン-8-オール (10) の調製
水酸化ナトリウムのエタノール溶液(2.5M、2 mL)を、無水エタノール(10 mL)中のベンゾエート9(37 mg、76 μmol)の撹拌溶液に加え、反応混合物を18時間還流した。混合物を室温まで冷却し、5%HCl水溶液で中和して、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機相を飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、乾燥(Na2SO4)させ、蒸発させた。残渣を、ヘキサン/酢酸エチル(95:5)を用いたシリカゲルでのクロマトグラフィーに供し、アルコール10(21 mg、収率72%)を得た。

【0038】
(20R)-デ-A,B-20-[(4S)-tert-ブチルジメチルシリルオキシ-ペンテ-(1E)-エニル]プレグナン-8-オン (11) の調製
無水塩化メチレン(5 mL)中のアルコール10(20 mg、52 μmol)およびピリジニウムp-トルエンスルホネート(3 mg、12 μmol)の溶液に、重クロム酸ピリジニウム(103 mg、276 μmol)を加えた。得られた懸濁物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を、WatersシリカSep-Pakカートリッジ(5 g)を通してろ過し、これをヘキサン/酢酸エチル(8:2)でさらに洗浄した。溶媒除去後、ケトン11(16 mg、収率81%)を無色油状物として得た:

C23H42O2Si Na (MNa)+ の正確な質量計算値401.2852、測定値401.2845。
【0039】
(20R,25S)-2-メチレン-19,27-ジノル-22-(E)-エン-1α,25-ジヒドロキシビタミンD3 (14) の調製
-20℃の無水THF(400 μL)中のホスフィンオキシド12(73 mg、125 μmol)の溶液に、PhLi(ジ-n-ブチルエーテル中で1.8 M、85 μL、153 μmol)をアルゴン雰囲気下で撹拌しながらゆっくりと加えた。溶液は暗橙色に変わった。30分後、混合物を-78℃まで冷却し、無水THF(200 + 100 μL)中のケトン11(16 mg、42 μmol)の予め冷却(-78℃)した溶液をゆっくりと加えた。混合物をアルゴン雰囲気下、-78℃で3時間および0℃で18時間撹拌した。酢酸エチルを加え、有機相をブラインで洗浄し、乾燥(Na2SO4)させ、蒸発させた。残渣をヘキサンに溶解して、WatersシリカSep-Pakカートリッジ(2 g)に加えた。カートリッジをヘキサンおよびヘキサン/酢酸エチル(99.5:0.5)で洗浄して、19-ノルビタミン誘導体13(15 mg、収率48%)を得た。その後Sep-Pakを酢酸エチルで洗浄して、ジフェニルホスフィンオキシド12(32 mg)を回収した。分析目的で、保護ビタミン13の試料を、HPLC(9.4×250 mm Zorbax Silカラム、4 mL/min、ヘキサン/2-プロパノール(99.9:0.1)溶媒系、Rt= 3.80 min)でさらに精製した:
UV(ヘキサン中)λmax 263.1, 253.2, 244.3 nm;

C44H84O3Si3Na (MNa+) の正確な質量計算値765.5470、測定値765.5439。
【0040】
保護ビタミン13(15 mg、20 μmol)をTHF(2 mL)およびアセトニトリル(2 mL)に溶解した。48%HF水溶液とアセトニトリルとの溶液(比率1:9、2mL)を0℃で加え、得られた混合物を室温で8時間撹拌した。飽和NaHCO3水溶液を加え、反応混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、乾燥(Na2SO4)させ、減圧下で濃縮した。残渣を2 mLのヘキサン/酢酸エチル(8:2)で希釈し、WatersシリカSep-Pakカートリッジ(2 g)に加えた。ヘキサン/酢酸エチル(8:2)および次いで酢酸エチルを用いた溶出により、粗生成物14(8 mg)を得た。ビタミン14を、順相HPLC[9.4×250 mm Zorbax Silカラム、4 mL/min、ヘキサン/2-プロパノール(85:15)溶媒系、Rt=9.27 min]および逆相HPLC[9.4×250 mm Zorbax Eclipse XDB-C18カラム、2.5 mL/min、メタノール/水(85:15)溶媒系、Rt=12.95 min]によってさらに精製し、無色油状物を得た(4.3 mg、収率54%):
UV(EtOH中)λmax 262.1, 252.6, 244.1 nm;

C26H40O3Na+ (MNa+) の正確な質量計算値423.2875、測定値423.2874。
【0041】
スキーム1

【0042】
スキーム2

【0043】
スキーム3

【0044】
2-メチレン-(20R,25S)-19,27-ジノル-(22E)-1α,25-ジヒドロキシビタミンD3の生物活性
2位へのメチレン基の導入、そのR配置で20位(C-20)におけるメチル基の導入、17位(C-17)に付随した側鎖の22位と23位(C-22とC-23)の間の二重結合の導入、および、側鎖の典型的には27位(C-27)に位置するメチル基と水素原子との置換は、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3と比べて、全長組換えラットビタミンD受容体へのRENの結合に対してほとんど影響が無かった。化合物RENは、標準1,25-(OH)2D3と同等に受容体に結合した(図1)。これらの結果から、化合物RENは同等の生物活性を有しうるということが予測される。しかし驚くべきことに、化合物RENは独特の生物活性を有する高度に選択的な類縁体である。
【0045】
図5は、腸管カルシウム輸送の刺激において、天然ホルモンである1,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25(OH)2D3)の活性と比べてRENが非常に低い活性しか有さないことを示している。
【0046】
図4は、1,25(OH)2D3と比べてRENが非常に低い骨カルシウム動員活性しか有さないことを実証している。
【0047】
したがって図4および5は、RENが血中カルシウム上昇活性をほとんど有さないと特徴付けられることを示すものである。
【0048】
図2は、RENがHL-60細胞分化に対して1,25(OH)2D3と同じ位強力であり、これによって、乾癬および癌の治療のための、特に白血病、結腸癌、乳癌、皮膚癌、および前立腺癌に対する優れた候補となることを示している。加えて、その比較的高い細胞分化活性ゆえに、この化合物は、しわ、十分な皮膚水分の欠如すなわち乾燥皮膚、十分な皮膚弾力の欠如すなわちたるんだ皮膚、および不十分な皮脂分泌を含む、様々な皮膚状態の治療のための治療剤を提供する。したがってこの化合物の使用は皮膚の加湿をもたらすのみならず、皮膚のバリア機能も改善する。
【0049】
図3は、骨細胞において化合物RENが1α,25-ジヒドロキシビタミンD3とほぼ同じ転写活性を有することを示している。図2の細胞分化活性と共にこの結果により、RENは、細胞分化および遺伝子転写を引き起こす際ならびに細胞増殖を抑制する際の直接的な細胞活性を有するので乾癬で非常に有効であり得ることが示唆される。またこれらのデータにより、RENが特に白血病、結腸癌、乳癌、皮膚癌、および前立腺癌に対する抗癌剤として有意な活性を有しうることも示されている。
【0050】
HL-60分化に対するRENの強い活性により、RENが副甲状腺の増殖抑制においておよびプレプロ副甲状腺遺伝子の抑制において活性であり得ることが示唆される。
【0051】
実験方法
ビタミンD受容体結合
試験物質
タンパク質供給源
全長組換えラット受容体を大腸菌(E. coli)BL21 (DE3) Codon Plus RIL細胞中で発現させ、2つの異なるカラムクロマトグラフィー系を用いて均一になるまで精製した。第一の系は、このタンパク質上のC末端ヒスチジンタグを用いるニッケルアフィニティ樹脂であった。この樹脂から溶出したタンパク質を、イオン交換クロマトグラフィー(S-Sepharose Fast Flow)を用いてさらに精製した。精製したタンパク質のアリコートを液体窒素中で急速凍結し、使用時まで-80℃で保存した。結合分析に用いるために、0.1%Chaps界面活性剤を含むTEDK50(50 mM Tris、1.5 mM EDTA、pH7.4、5 mM DTT、150 mM KCl)でタンパク質を希釈した。加えた放射性標識リガンドの20%以下が受容体に結合するように、受容体タンパク質およびリガンドの濃度を最適化した。
【0052】
調査薬物
非標識リガンドをエタノールに溶解し、UV分光光度法を用いて濃度を測定した(1,25(OH)2D3:モル吸光係数=18,200およびλmax=265 nm;類縁体:モル吸光係数=42,000およびλmax=252 nm)。放射性標識リガンド(3H-1,25(OH)2D3、約159Ci/mmol)を、最終濃度1 nMでエタノールに加えた。
【0053】
分析条件
放射性標識リガンドおよび非標識リガンドを100 mclの希釈タンパク質に最終エタノール濃度≦10%で加え、混合し、氷上で一晩インキュベーションして、結合平衡に到達させた。翌日、100 mclのヒドロキシルアパタイトスラリー(50%)を各チューブに加え、10分間隔で30分間混合した。ヒドロキシルアパタイトを遠心分離により回収し、次いで、0.5%Triton X-100を含むTris-EDTA緩衝液(50 mM Tris、1.5 mM EDTA、pH7.4)で3回洗浄した。最終洗浄後、Biosafe IIシンチレーションカクテル4 mlを含むシンチレーションバイアルにペレットを移し、混合して、シンチレーション計数器に入れた。放射性標識リガンドのみを含むチューブから全結合を定量した。
【0054】
HL-60分化
試験物質
調査薬物
調査薬物をエタノールに溶解し、UV分光光度法を用いて濃度を測定した。細胞培養液中に存在するエタノールの最終濃度(≦0.2%)を変えることなく一定範囲の薬物濃度を試験できるように、連続希釈液を調製した。
【0055】
細胞
ヒト前骨髄球性白血病(HL60)細胞を、10%ウシ胎児血清を含むRPMI-1640培地中で増殖させた。細胞を5%CO2存在下、37℃でインキュベーションした。
【0056】
分析条件
HL60細胞を1.2×105細胞/mlで播種した。播種の18時間後、細胞を二つ組で、薬物により処理した。4日後に細胞を回収し、ニトロブルーテトラゾリウム還元アッセイ法を実施した(Collins et al., 1979; J. Exp. Med. 149:969-974)。計200個の細胞を計数して、細胞内に黒-青のホルマザン沈着物を含む数を記録することによって、分化した細胞のパーセンテージを決定した。単核細胞への分化の確認は、食細胞活性を測定することにより行った(データは示していない)。
【0057】
インビトロ転写分析
ルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流の24-ヒドロキシラーゼ(24Ohase)遺伝子プロモーターが安定にトランスフェクションされたROS 17/2.8(骨)細胞において、転写活性を測定した(Arbour et al., 1998)。細胞に一定範囲の用量を投与した。投与の16時間後、細胞を回収し、ルミノメーターを用いてルシフェラーゼ活性を測定した。
RLU=相対ルシフェラーゼ単位。
【0058】
腸管カルシウム輸送および骨カルシウム動員
雄の離乳Sprague-Dawleyラットを、Diet 11(0.47% Ca)飼料+AEKで1週間、続いてDiet 11(0.02% Ca)+AEKで3週間飼育した。次いでラットを、0.47% Caを含む飼料に切り換えて1週間、続いて0.02% Caを含む飼料に切り換えて2週間飼育した。0.02% カルシウム飼料の最終週の間に、用量投与を開始した。4回の連続したip投与を約24時間おきに行った。最後の投与から24時間後、切断頸部から採血し、骨カルシウム動員の尺度として血清カルシウム濃度を測定した。反転腸管法(everted gut sac method)を用いた腸管カルシウム輸送分析のために腸の起始部10 cmも採取した。
【0059】
データの説明
VDR結合、HL60細胞分化、および転写活性
全長組換えラットビタミンD受容体への結合に関して[3H]-1,25(OH)2D3と競合する能力について、REN(Ki=4×10-10M)は、天然ホルモン1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(Ki=1×10-10M)と同じくらいの活性を有する(図1)。HL-60細胞分化を促進する能力(有効性または効力)についても、REN(EC50=1×10-9M)と1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(EC50=2×10-9M)との間にはほとんど違いがない(図2を参照されたい)。また、骨細胞における化合物REN(EC50=1×10-10M)の転写活性も、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(EC50=2×10-10M)と類似している(図3を参照されたい)。RENは、細胞分化および遺伝子転写を引き起こす際ならびに細胞増殖を抑制する際の直接的な細胞活性を有するため、乾癬に非常に有効であり得ることが、これらの結果により示唆される。またこれらのデータにより、RENが特に白血病、結腸癌、乳癌、皮膚癌、および前立腺癌に対する抗癌剤として、ならびに、乾燥皮膚(皮膚水分の欠如)、過度の皮膚のたるみ(不十分な皮膚弾力)、不十分な皮脂分泌、およびしわなどの皮膚状態に対して、有意な活性を有しうることも示されている。またこれは、続発性副甲状腺機能亢進症の抑制において非常に活性であることも予想される。
【0060】
ビタミンD欠乏動物における骨からのカルシウム動員および腸管カルシウム吸収
低カルシウム飼料(0.02%)で飼育したビタミンD欠乏ラットを用いて、腸管および骨におけるRENおよび1,25(OH)2D3の活性を試験した。予想通り、天然ホルモン(1,25(OH)2D3)は全投与量において血清カルシウムレベルを上昇させた(図4)。図4は、RENが骨からのカルシウム動員における活性をほとんど有さないことを示している。RENを260 pmol/日で連続4日間投与しても骨カルシウムの動員は起こらず、RENの量を7020 pmol/日まで増加させても実質的な効果は全くなかった。
【0061】
反転腸管法を用いて、同じ群の動物において腸管カルシウム輸送を評価した(図5)。化合物RENは260 pmol/日で投与されると腸管カルシウム輸送をごくわずかに促進するが、一方で1,25(OH)2D3は用量260 pmol/日で有意な増大を促進することが、これらの結果により示されている。7020 pmol/日のRENを投与した場合にだけ有意な腸管カルシウム輸送活性が記録されたが、これは260 pmol/日の用量と比べてほぼ30倍も増やした投与量であった。したがって、推奨される低用量では、RENは本質的に腸管カルシウム輸送活性を有さないと結論づけることができる。
【0062】
RENが本明細書に記載の数多くのヒト療法のための優れた候補であること、ならびに、腎性骨形成異常の続発性副甲状腺機能亢進症、自己免疫疾患、癌、および乾癬の抑制などのいくつかの状況において特に有用でありうることを、これらの結果は示している。(1) 有意なVDR結合、転写活性、および細胞分化活性を有し;(2) 1,25(OH)2D3とは異なり、比較的低用量では高カルシウム血症傾向を有さず;かつ (3) 容易に合成されるので、RENは乾癬治療のための優れた候補である。またRENは、ビタミンD受容体への有意な結合活性を有するが血清カルシウムを上昇させる能力をほとんど有さないので、腎性骨形成異常の続発性副甲状腺機能亢進症の治療のためにも特に有用でありうる。
【0063】
またこれらのデータは、本発明の化合物RENが、例えば、多発性硬化症、狼瘡、真性糖尿病、宿主対移植片反応、および臓器移植の拒絶反応を含む自己免疫疾患における、免疫系の不均衡を特徴とするヒト障害の治療および予防のため;加えて、関節リウマチ、喘息、ならびに、セリアック病、潰瘍性大腸炎、およびクローン病などの炎症性腸疾患などの炎症性疾患の治療のために特に適している可能性があることも示している。本発明の化合物RENで治療されうるその他の状態は、ざ瘡、脱毛、および高血圧である。
【0064】
本発明の式I、特に式Iaの化合物は、動物被験体における肥満の予防もしくは治療、脂肪細胞分化の阻害、SCD-1遺伝子転写の阻害、および/または体脂肪の減少においても有用である。したがって、一部の態様において、動物被験体における肥満を予防もしくは治療する、脂肪細胞分化を阻害する、SCD-1遺伝子転写を阻害する、および/または体脂肪を減少させる方法は、一種もしくは複数種の式Iの化合物の有効量または一種もしくは複数種の式Iの化合物を含む薬学的組成物を動物被験体に投与する段階を含む。被験体への本化合物または本薬学的組成物の投与は、動物被験体における脂肪細胞分化を阻害する、遺伝子転写を阻害する、および/または体脂肪を減少させる。動物とは、ヒト、イヌまたはネコなどのペット、あるいは、ニワトリ、シチメンチョウ、キジ、またはウズラのような家禽ならびにウシ、ヒツジ、ヤギ、またはブタなどの家畜、特に食用肉を提供する家畜でありうる。
【0065】
予防および/または治療目的のために、式Iで規定される本発明の化合物を、当技術分野において公知の通常の方法に従い、無害な溶媒中の液剤として、または、適切な溶媒もしくは担体中の乳剤、懸濁剤、もしくは分散剤として、または、固体担体と共に丸剤、錠剤、またはカプセル剤として、薬学的適用のために製剤化することができる。そのような製剤はいずれも、安定化剤、抗酸化剤、結合剤、着色剤、または乳化剤もしくは食味改変剤などのその他の薬学的に許容されかつ非毒性の賦形剤を含んでいてもよい。
【0066】
式Iの化合物および特にRENは、経口投与、局所投与、非経口投与、直腸投与、経鼻投与、舌下投与、または経皮投与されうる。本化合物は、注射により、または静脈内注入もしくは適切な滅菌溶液により、または消化管を介して液体剤形もしくは固体剤形で、または経皮適用に適したクリーム、軟膏、パッチ、もしくは類似の媒体の形態で、好都合に投与される。予防および/または治療目的のためには0.01μg/日〜1000μg/日、好ましくは約0.1μg/日〜約500μg/日の用量の化合物I、特にRENが適しており、当技術分野において十分に理解されているように、そのような用量は治療対象の疾患、その重篤度、および被験体の応答に応じて調整される。本化合物は作用の特異性を示すので、それぞれを適切に単独で投与してもよく、または、様々な程度の骨ミネラル動員およびカルシウム輸送刺激が好都合であると分かっている状況において、段階的用量の別の活性ビタミンD化合物―例えば1α-ヒドロキシビタミンD2もしくはD3、または1α,25-ジヒドロキシビタミンD3―と組み合わせて適切に投与してもよい。
【0067】
上述の治療における使用のための組成物には、有効成分として上記の式IおよびIaで規定した化合物I、特にRENの有効量、ならびに適切な担体が含まれる。本発明による使用のためのそのような化合物の有効量とは、組成物1gあたり約0.01μg〜約1000μg、好ましくは組成物1gあたり約0.1μg〜約500μgであり、これは、約0.01μg/日〜約1000μg/日、好ましくは約0.1μg/日〜約500μg/日の投与量で局所投与、経皮投与、経口投与、直腸投与、経鼻投与、舌下投与、または非経口投与され得る。
【0068】
化合物I、特にRENは、クリーム、ローション、軟膏、局所パッチ、丸剤、カプセル剤もしくは錠剤、坐剤、エアロゾルとして、または、薬学的に無害かつ許容される溶媒もしくは油中で液体形態の液剤、乳剤、分散剤、もしくは懸濁剤として製剤化され、そのような調製物は、安定化剤、抗酸化剤、乳化剤、着色剤、結合剤、または食味改変剤などの、その他の薬学的に無害または有益な成分をさらに含んでいてもよい。
【0069】
化合物I、特にRENは、前骨髄球から正常なマクロファージへの分化に影響を与えるのに十分な量で有利に投与されうる。上述の投与量が適切であるが、当技術分野において十分に理解されているとおり、投与する量は疾患の重篤度ならびに被験体の状態および応答に応じて調整されるべきであることが理解されよう。
【0070】
本発明の製剤には、有効成分、それに伴う薬学的に許容される担体、および任意で他の治療成分が含まれる。担体は、製剤の他の成分と適合可能でありかつその受容者に対して有害でないとの意味で「許容され」なければならない。
【0071】
経口投与に適した本発明の製剤は、それぞれが所定の量の有効成分を含むカプセル剤、サシェ剤、錠剤、もしくはロゼンジとしての個別単位の形態であるか;散剤もしくは顆粒剤の形態であるか;水性の液体もしくは非水性の液体中の液剤もしくは懸濁剤の形態であるか;または、水中油乳剤もしくは油中水乳剤の形態であってよい。
【0072】
直腸投与用の製剤は、有効成分とカカオバターなどの担体とが組み込まれている坐剤の形態、または浣腸剤の形態であってよい。
【0073】
非経口投与に適した製剤には、好ましくは受容者の血液と等張である有効成分の油性または水性の滅菌調製物が、好都合に含まれる。
【0074】
局所投与に適した製剤には、リニメント、ローション、塗布剤、水中油乳剤、もしくは油中水乳剤、例えばクリーム、軟膏、もしくはペーストなどの;または、滴剤などの液剤もしくは懸濁剤などの;または噴霧剤としての、液体または半液体の調製物が含まれる。
【0075】
経鼻投与のためには、スプレー缶、ネブライザー、またはアトマイザーによって投薬される、粉末の自己噴射式(self-propelling)すなわち噴霧製剤の吸入を用いることができる。投薬の際、製剤は、10〜100ミクロンの範囲の粒径を有することが好ましい。
【0076】
製剤は、便宜上単位剤形で存在してもよく、薬学分野において周知の方法のいずれかによって調製されてもよい。「投与量単位」という用語は、一単位の(unitary)用量、すなわち、有効成分自体または有効成分と固体もしくは液体の薬学的希釈剤もしくは担体との混合物のいずれかを含む物理的および化学的に安定な単位用量として患者に投与可能な単一の用量を意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式を有する化合物:

式中、X1、X2、およびX3は同じでも異なっていてもよく、それぞれが水素またはヒドロキシ保護基より選択される。
【請求項2】
X3が水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
X1が水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
X1、X2、およびX3が全てt-ブチルジメチルシリルである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
薬学的に許容される賦形剤と共に、少なくとも1種類の請求項1記載の化合物の有効量を含む、薬学的組成物。
【請求項6】
有効量が、組成物1グラムあたり約0.01μg〜約1000μgを含む、請求項5記載の薬学的組成物。
【請求項7】
有効量が、組成物1グラムあたり約0.1μg〜約500μgを含む、請求項5記載の薬学的組成物。
【請求項8】
下記式

を有する、2-メチレン-(20R,25S)-19,27-ジノル-(22E)-1α,25-ジヒドロキシビタミンD3
【請求項9】
薬学的に許容される賦形剤と共に、有効量の2-メチレン-(20R,25S)-19,27-ジノル-(22E)-1α,25-ジヒドロキシビタミンD3を含む、薬学的組成物。
【請求項10】
有効量が、組成物1グラムあたり約0.01μg〜約1000μgを含む、請求項9記載の薬学的組成物。
【請求項11】
有効量が、組成物1グラムあたり約0.1μg〜約500μgを含む、請求項9記載の薬学的組成物。
【請求項12】
乾癬を治療する方法であって、下記式を有する化合物の有効量を乾癬を有する被験体に投与する工程を含む、方法:

式中、X1、X2、およびX3は同じでも異なっていてもよく、それぞれが水素またはヒドロキシ保護基より選択される。
【請求項13】
化合物が経口投与される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
化合物が非経口投与される、請求項12記載の方法。
【請求項15】
化合物が経皮投与される、請求項12記載の方法。
【請求項16】
化合物が局所投与される、請求項12記載の方法。
【請求項17】
化合物が直腸投与される、請求項12記載の方法。
【請求項18】
化合物が経鼻投与される、請求項12記載の方法。
【請求項19】
化合物が舌下投与される、請求項12記載の方法。
【請求項20】
化合物が約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で投与される、請求項12記載の方法。
【請求項21】
化合物が、下記式

を有する2-メチレン-(20R,25S)-19,27-ジノル-(22E)-1α,25-ジヒドロキシビタミンD3である、請求項12記載の方法。
【請求項22】
白血病、大腸癌、乳癌、皮膚癌、または前立腺癌からなる群より選択される疾患を治療する方法であって、下記式を有する化合物の有効量を該疾患を有する被験体に投与する工程を含む、方法:

式中、X1、X2、およびX3は同じでも異なっていてもよく、それぞれが水素またはヒドロキシ保護基より選択される。
【請求項23】
化合物が経口投与される、請求項22記載の方法。
【請求項24】
化合物が非経口投与される、請求項22記載の方法。
【請求項25】
化合物が経皮投与される、請求項22記載の方法。
【請求項26】
化合物が直腸投与される、請求項22記載の方法。
【請求項27】
化合物が経鼻投与される、請求項22記載の方法。
【請求項28】
化合物が舌下投与される、請求項22記載の方法。
【請求項29】
化合物が約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で投与される、請求項22記載の方法。
【請求項30】
化合物が、下記式

を有する2-メチレン-(20R,25S)-19,27-ジノル-(22E)-1α,25-ジヒドロキシビタミンD3である、請求項22記載の方法。
【請求項31】
多発性硬化症、狼瘡、真性糖尿病、宿主対移植片反応、および臓器移植の拒絶反応からなる群より選択される自己免疫疾患を治療する方法であって、下記式を有する化合物の有効量を該疾患を有する被験体に投与する工程を含む、方法:

式中、X1、X2、およびX3は同じでも異なっていてもよく、それぞれが水素またはヒドロキシ保護基より選択される。
【請求項32】
化合物が経口投与される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
化合物が非経口投与される、請求項31記載の方法。
【請求項34】
化合物が経皮投与される、請求項31記載の方法。
【請求項35】
化合物が直腸投与される、請求項31記載の方法。
【請求項36】
化合物が経鼻投与される、請求項31記載の方法。
【請求項37】
化合物が舌下投与される、請求項31記載の方法。
【請求項38】
化合物が約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で投与される、請求項31記載の方法。
【請求項39】
化合物が、下記式

を有する2-メチレン-(20R,25S)-19,27-ジノル-(22E)-1α,25-ジヒドロキシビタミンD3である、請求項31記載の方法。
【請求項40】
関節リウマチ、喘息、および炎症性腸疾患からなる群より選択される炎症性疾患を治療する方法であって、下記式を有する化合物の有効量を該疾患を有する被験体に投与する工程を含む、方法:

式中、X1、X2、およびX3は同じでも異なっていてもよく、それぞれが水素またはヒドロキシ保護基より選択される。
【請求項41】
化合物が経口投与される、請求項40記載の方法。
【請求項42】
化合物が非経口投与される、請求項40記載の方法。
【請求項43】
化合物が経皮投与される、請求項40記載の方法。
【請求項44】
化合物が直腸投与される、請求項40記載の方法。
【請求項45】
化合物が経鼻投与される、請求項40記載の方法。
【請求項46】
化合物が舌下投与される、請求項40記載の方法。
【請求項47】
化合物が約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で投与される、請求項40記載の方法。
【請求項48】
化合物が、下記式

を有する2-メチレン-(20R,25S)-19,27-ジノル-(22E)-1α,25-ジヒドロキシビタミンD3である、請求項40記載の方法。
【請求項49】
しわ、十分な皮膚弾力(skin firmness)の欠如、十分な皮膚水分(dermal hydration)の欠如、および不十分な皮脂分泌からなる群より選択される皮膚状態を治療する方法であって、下記式を有する化合物の有効量を該皮膚状態を有する被験体に投与する工程を含む、方法:

式中、X1、X2、およびX3は同じでも異なっていてもよく、それぞれが水素またはヒドロキシ保護基より選択される。
【請求項50】
化合物が経口投与される、請求項49記載の方法。
【請求項51】
化合物が非経口投与される、請求項49記載の方法。
【請求項52】
化合物が経皮投与される、請求項49記載の方法。
【請求項53】
化合物が局所投与される、請求項49記載の方法。
【請求項54】
化合物が直腸投与される、請求項49記載の方法。
【請求項55】
化合物が経鼻投与される、請求項49記載の方法。
【請求項56】
化合物が舌下投与される、請求項49記載の方法。
【請求項57】
化合物が約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で投与される、請求項49記載の方法。
【請求項58】
化合物が、下記式

を有する2-メチレン-(20R,25S)-19,27-ジノル-(22E)-1α,25-ジヒドロキシビタミンD3である、請求項49記載の方法。
【請求項59】
腎性骨形成異常を治療する方法であって、下記式を有する化合物の有効量を腎性骨形成異常を有する被験体に投与する工程を含む、方法:

式中、X1、X2、およびX3は同じでも異なっていてもよく、それぞれが水素またはヒドロキシ保護基より選択される。
【請求項60】
化合物が経口投与される、請求項59記載の方法。
【請求項61】
化合物が非経口投与される、請求項59記載の方法。
【請求項62】
化合物が経皮投与される、請求項59記載の方法。
【請求項63】
化合物が直腸投与される、請求項59記載の方法。
【請求項64】
化合物が経鼻投与される、請求項59記載の方法。
【請求項65】
化合物が舌下投与される、請求項59記載の方法。
【請求項66】
化合物が約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で投与される、請求項59記載の方法。
【請求項67】
化合物が、下記式

を有する2-メチレン-(20R,25S)-19,27-ジノル-(22E)-1α,25-ジヒドロキシビタミンD3である、請求項59記載の方法。
【請求項68】
動物の肥満を治療もしくは予防する、脂肪細胞分化を阻害する、SCD-1遺伝子転写を阻害する、および/または動物における体脂肪を減少させる方法であって、それを必要とする動物に下記式を有する化合物の有効量を投与する工程を含む、方法:

式中、X1、X2、およびX3は同じでも異なっていてもよく、それぞれが水素またはヒドロキシ保護基より選択される。
【請求項69】
化合物が経口投与される、請求項68記載の方法。
【請求項70】
化合物が非経口投与される、請求項68記載の方法。
【請求項71】
化合物が経皮投与される、請求項68記載の方法。
【請求項72】
化合物が直腸投与される、請求項68記載の方法。
【請求項73】
化合物が経鼻投与される、請求項68記載の方法。
【請求項74】
化合物が舌下投与される、請求項68記載の方法。
【請求項75】
化合物が、約0.01μg/日〜約1000μg/日の投与量で投与される、請求項68記載の方法。
【請求項76】
化合物が、下記式

を有する2-メチレン-(20R,25S)-19,27-ジノル-(22E)-1α,25-ジヒドロキシビタミンD3である、請求項68記載の方法。
【請求項77】
動物がヒトである、請求項68記載の方法。
【請求項78】
動物がペットである、請求項68記載の方法。
【請求項79】
動物が家畜である、請求項68記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−504995(P2010−504995A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530554(P2009−530554)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/079384
【国際公開番号】WO2008/039754
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(509087922)
【Fターム(参考)】