説明

2−(フェニルアミノ)ベンズイミダゾール誘導体及び低コンダクタンスカルシウム依存性カリウムチャネルのモジュレーターとしてのそれらの使用

本発明は、低コンダクタンスカルシウム依存性カリウムチャネル(SKチャネル)のモジュレーターとして有用な2−(フェニルアミノ)ベンズイミダゾール誘導体に関する。他の態様では、本発明は、薬剤の調製におけるこれらの化合物の使用、及び本発明の化合物を含む医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低コンダクタンスカルシウム依存性カリウムチャネル(SKチャネル)のモジュレーターとして有用である新規な2−(フェニルアミノ)ベンズイミダゾール誘導体に関する。
【0002】
他の態様では、本発明は、治療法におけるこれらの化合物の使用、及び本発明の化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
低コンダクタンスカルシウム依存性カリウムチャネル(SKチャネル)の3種類のサブタイプである(ゲノム命名法を使用してKCNN1〜3に対応した)SK1、SK2及びSK3が、クローン化されてきた。これらのチャネルの活性は、恒常的にチャネルに結合しているカルモジュリンを介して、細胞内の遊離カルシウム濃度([Ca2+)により決定される。SKチャネルは、生理的範囲の[Ca2+によって密接に制御され、約0.1μMまでの[Ca2+では閉じられ、1μMの[Ca2+では完全に活性化する。カリウム選択的である開口又は活性SKチャネルは、細胞の膜電位に対し過分極効果を有する。SKチャネルは、中枢神経系において広範に出現する。SK1及びSK2の分布は、高度な重複を示し、マウス脳内の新皮質、辺縁系及び海馬領域において最高レベルの発現を示す。対照的に、SK3チャネルは、基底核、視床及び脳幹モノアミン作動性ニューロン、例えば背側縫線核、青斑核及び腹側被蓋野において高レベルの発現を示す(Sailerら「マウス脳における3種類の低コンダクタンスCa2+依存性カリウムチャネルサブユニットであるSK1、SK2、及びSK3の比較的免疫組織化学的分布(Comparative immunohistochemical distribution of three small−conductance Ca2+−activated potassium channel subunits,SK1,SK2,and SK3 in mouse brain)」Mol.Cell.Neurosci.2004 26 458−469を参照されたい)。SKチャネルは、骨格筋、腺細胞、肝細胞及びTリンパ球を含めた末梢細胞中にも存在する。
【0004】
活性SKチャネルの過分極作用は、興奮細胞の発射パターン及び興奮性の制御に重要な役割を果たす。アパミン及びビククリン−メトブロマイドなどのSKチャネル阻害薬は、興奮性を増加させることが示されてきており、一方開口薬の1−EBIOは、電気活動を減少させることができる。電圧非依存性の経路を介するCa2+流入の量が膜電位に対して高い感受性がある非興奮細胞において、SKチャネルの活性化が推進力を増加させる一方、SKチャネル遮断薬は脱分極効果を有し、したがってカルシウムの推進力を減少させる。
【0005】
[Ca2+と膜電位とを関連させるSKチャネルの重要な役割に基づいて、SKチャネルは、新規な治療剤を開発するための興味深い標的である。
【0006】
SKチャネル及びSKチャネルモジュレーターの概説は、Liegeois J−Fら、「低コンダクタンスカルシウム依存性カリウム(SK)チャネルの調節、医薬品化学における新しい挑戦(Modulation of small conductance calcium−activated potassium(SK) channels:a new challenge in medicinal chemistry)」Current Medicinal Chemistry 2003 10 625−647に見出すことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
SKチャネルの公知のモジュレーターは、大きな分子又はペプチドであること(アパミン、スキラトキシン、ツボクラリン、塩化デカリニウム、UCL1684)、又は効果が弱いこと(1−EBIO、リルゾール)を欠点として持つ。したがって、最適化された薬理学的プロファイルを有する化合物に対する継続した需要がある。特に、SK3チャネルモジュレーターなどの選択的リガンドに対する強い需要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様において、本発明は、式I
【化1】


の化合物、任意のその異性体又はその異性体の任意の混合物、或いは医薬として許容されるその塩を提供し、式中、R、R、R及びRは、下記に規定する通りである。
【0009】
第2の態様において、本発明は、少なくとも1種類の医薬として許容される担体、賦形剤又は希釈剤と共に、本発明の化合物、任意のその異性体又はその異性体の任意の混合物、或いは医薬として許容されるその塩の治療有効量を含む医薬組成物を提供する。
【0010】
さらなる態様において、本発明は、疾患又は障害又は状態が、SKチャネルの調節に応答性である、ヒトを含めた哺乳動物の疾患又は障害又は状態の、治療、予防又は軽減のための医薬組成物の製造のための、本発明の化合物、任意のその異性体又はその異性体の任意の混合物、或いは医薬として許容されるその塩の使用を提供する。
【0011】
いっそうさらなる態様では、本発明は、障害、疾患又は状態がSKチャネルの調節に応答性である、ヒトを含めた動物の生体の疾患又は障害又は状態の、治療、予防又は軽減のための方法に関し、この方法は、本発明の化合物、任意のその異性体又はその異性体の任意の混合物、或いは医薬として許容されるその塩の治療有効量を、それを必要としているこれらの動物の生体に投与するステップを含む。
【0012】
本発明の他の目的は、当業者であれば下記の詳しい説明及び実施例から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
2−(フェニルアミノ)ベンズイミダゾール誘導体
第1の態様において、本発明は、式I
【化2】


の化合物、任意のその異性体又はその異性体の任意の混合物、或いは医薬として許容されるその塩を提供し、
式中、
は、フェニル基を表し(該フェニル基は、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ及びフェニルからなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で置換されている)、
は、水素又はアルキルを表し、
及びRは、互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、−NR’R’’、アルキル及びアルコキシからなる群から選択される(R’及びR’’は、互いに独立に、水素又はアルキルである)が、
ただし、この化合物は、N−ベンズイミダゾール−2−イル)−アニリン、N−ベンズイミダゾール−2−イル)−4−クロロアニリン、N−ベンズイミダゾール−2−イル)−4−フルオロアニリン、N−ベンズイミダゾール−2−イル)−3−クロロ−アニリン、N−ベンズイミダゾール−2−イル)−3−トリフルオロメチル−アニリン、又はN−ベンズイミダゾール−2−イル)−4−クロロ−3−トリフルオロメチル−アニリンではない。
【0014】
一実施形態では、R
【化3】


を表し、
式中、
、R、R及びRは、互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ及びフェニルからなる群から選択されるが、ただし、R、R、R及びRの4つ全てが水素を表さない。
【0015】
より好ましい実施形態では、R、R、R及びRは、互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ及びアルキルからなる群から選択されるが、ただし、R、R、R及びRの4つ全てが水素を表さない。
【0016】
第2の実施形態では、R及びRは、互いに独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ及びフェニルからなる群から選択され、R及びRは水素を表す。特別な実施形態では、Rは、メチルなどのアルキルを表し、Rはトリフルオロメチルを表す。さらなる実施形態では、Rは、フルオロなどのハロを表し、Rは、トリフルオロメチルを表す。
【0017】
より好ましい実施形態では、R及びRは、互いに独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、及びアルキルからなる群から選択され、R及びRは、水素を表す。
【0018】
さらなる実施形態では、R及びRは、互いに独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ及びフェニルからなる群から選択され、R及びRは、水素を表す。特別な実施形態では、Rは、クロロ又はフルオロなどのハロを表し、Rは、クロロ又はフルオロなどのハロを表す。さらなる実施形態では、Rは、トリフルオロメチルを表し、Rは、クロロ、フルオロ又はブロモなどのハロを表す。いっそうさらなる実施形態では、Rは、メチルなどのアルキルを表し、Rは、フルオロなどのハロを表す。さらなる実施形態では、Rは、トリフルオロメチルを表し、Rは、メチルなどのアルキルを表す。
【0019】
より好ましい実施形態では、R及びRは、互いに独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ及びアルキルからなる群から選択され、R及びRは、水素を表す。
【0020】
いっそうさらなる実施形態では、R及びRは、互いに独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ及びフェニルからなる群から選択され、R及びRは、水素を表す。特別な実施形態では、Rは、クロロ又はフルオロなどのハロを表し、Rは、クロロ又はフルオロなどのハロを表す。さらなる実施形態では、Rは、トリフルオロメチルを表し、Rは、トリフルオロメチルを表す。いっそうさらなる実施形態では、Rは、トリフルオロメチルを表し、Rは、フルオロなどのハロを表す。
【0021】
より好ましい実施形態では、R及びRは、互いに独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ及びアルキルからなる群から選択され、R及びRは、水素を表す。
【0022】
さらなる実施形態では、R、R及びRは、互いに独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ及びフェニルからなる群から選択され、Rは、水素を表す。特別な実施形態では、Rは、フルオロなどのハロを表し、Rは、フルオロなどのハロを表し、Rは、フルオロなどのハロを表す。
【0023】
より好ましい実施形態では、R、R及びRは、互いに独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ及びアルキルからなる群から選択され、Rは、水素を表す。
【0024】
いっそうさらなる実施形態では、R、R及びRの1つは、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ及びフェニルからなる群から選択され、R並びにR、R及びRの残りの2つが、水素を表す。特別な実施形態では、Rは、クロロ又はフルオロなどのハロを表す。さらなる実施形態では、Rは、トリフルオロメチルを表す。いっそうさらなる実施形態では、Rは、トリフルオロメトキシを表す。さらなる実施形態では、Rは、クロロなどのハロを表す。いっそうさらなる実施形態では、Rは、トリフルオロメチルを表す。
【0025】
より好ましい実施形態では、R、R及びRの1つは、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ及びアルキルからなる群から選択され、R並びにR、R及びRの残りの2つが、水素を表す。
【0026】
さらなる実施形態では、Rは水素を表す。
【0027】
いっそうさらなる実施形態では、Rは、メチルなどのアルキルを表す。
【0028】
さらなる実施形態では、R及びRは、水素を表す。
【0029】
特別な実施形態では、本発明の化合物は、
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−クロロアニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3,4−ジクロロアニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3−クロロアニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−(トリフルオロメトキシ)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−フルオロアニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3,4−ジフルオロアニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3,5−ジフルオロアニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3−(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−フルオロ−3−メチルアニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3−クロロ−4−フルオロアニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3,5−ジクロロアニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−メチル−3−(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2−メチル−3−(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2,3,4−トリフルオロアニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−N−メチル−3,4−ジクロロアニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3−シアノ−アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−イソプロピル−アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2−メチル−5−(トリフルオロメチル)アニリン;又は
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2−フェニル−アニリン;
又は医薬として許容されるその塩である。
【0030】
上記のような実施形態の2つ以上の任意の組合せは、本発明の範囲内に含まれるものと考えられる。
【0031】
置換基の定義
本発明の状況において、ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを表す。
【0032】
本発明の状況において、アルキル基とは、直鎖状又は分枝状の一価飽和炭化水素鎖を示す。炭化水素鎖は、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、第三級ペンチル、ヘキシル及びイソヘキシルを含めた、1個から6個の炭素原子(C1〜6アルキル)を含有することが好ましい。好ましい実施形態では、アルキルは、ブチル、イソブチル、第二級ブチル、及び第三級ブチルを含めたC1〜4アルキル基を表す。本発明の他の好ましい実施形態では、アルキルは、特にメチル、エチル、プロピル又はイソプロピルであってよいC1〜3アルキル基を表す。
【0033】
アルコキシは、O−アルキル(アルキルは上記で定義した通り)である。
【0034】
医薬として許容される塩
本発明の化合物は、意図する投与のために適切な任意の形態で提供し得る。適切な形態には、本発明の化合物の医薬として(すなわち生理学的に)許容される塩、及びプレドラッグ又はプロドラッグ形態が挙げられる。
【0035】
医薬として許容される付加塩の例には、これらだけに限らないが、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコン酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、桂皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩由来、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トルエン−p−スルホン酸塩などの無毒の無機及び有機の酸付加塩が挙げられる。このような塩は、当技術分野で周知であり説明されている手順によって形成し得る。
【0036】
本発明の化合物の医薬として許容されるカチオン塩の例には、これらだけに限らないが、アニオン基を含有する本発明の化合物のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩、リチウム塩、コリン塩、リシン塩、及びアンモニウム塩などが挙げられる。このようなカチオン塩は、当技術分野で周知であり説明されている手順によって形成し得る。
【0037】
本発明の状況において、N含有化合物の「オニウム塩」も、医薬として許容される塩として意図されている。好ましい「オニウム塩」には、アルキル−オニウム塩、シクロアルキル−オニウム塩、及びシクロアルキルアルキル−オニウム塩が挙げられる。
【0038】
本発明の化合物のプレドラッグ又はプロドラッグ形態の例には、親化合物の1つ又は複数の反応性基又は誘導可能な基が修飾された化合物が含まれる本発明の物質の、適切なプロドラッグの例が含まれる。特に興味深いのは、カルボキシル基、ヒドロキシル基、又はアミノ基が修飾された化合物である。適切な誘導体の例は、エステル又はアミドである。
【0039】
本発明の化合物は、水、エタノールなどの医薬として許容される溶媒と共に、溶解性又は不溶解性形態で提供され得る。溶解性形態には、一水和物、二水和物、半水和物、三水和物、四水和物などの水和形態も含まれ得る。本発明の目的のために、溶解性形態は一般に、不溶解性形態と同等であると考えられている。
【0040】
立体異性体
当業者であれば、本発明の化合物は、1つ又は複数のキラル中心を含むことができ、このような化合物は異性体形態で存在することを理解するであろう。
【0041】
さらに、本発明の化合物は、(+)及び(−)形態の鏡像異性体、並びにラセミ体(±)としても存在し得る。このような異性体のラセミ体及び個々の異性体自体は、本発明の範囲内に含まれる。
【0042】
本発明には、全てのこのような異性体、及びラセミ混合物を含めた任意のこれらの混合物が含まれる。
【0043】
ラセミ体は、公知の方法及び技術によって鏡像異性体に分割することができる。異性体塩に分割する1つの方法は、光学活性な酸を使用し、塩基で処理することによって光学活性なアミン化合物を遊離することである。ラセミ体を鏡像異性体に分割する他の方法は、光学活性マトリックス上のクロマトグラフィーに基づく。したがって、本発明のラセミ化合物は、例えばd−又はl−(酒石酸、マンデル酸又はカンファースルホン酸)塩の、例えば分別晶出によって、それらの鏡像異性体に分割することができる。
【0044】
本発明の化合物は、本発明の化合物と光学活性な活性化カルボン酸との反応による、(+)又は(−)フェニルアラニン、(+)又は(−)フェニルグリシン、(+)又は(−)カンファン酸から由来したものなどのジアステレオマーアミドの形成によって分割することもでき、或いは本発明の化合物と光学活性なクロロホルメートなどとの反応によるジアステレオマーカルバメートの形成によって分割することもできる。
【0045】
光学異性体を分割するためのさらなる方法は、当技術分野において公知である。このような方法には、Jaques J、Collet A及びWilen Sによる「鏡像異性体、ラセミ体、及び分割(Enantiomers,Racemates and Resolutions)」John Wiley and Sons,New York(1981)に記載されたものが含まれる。
【0046】
光学活性化合物も、光学活性出発物質から調製することができる。
【0047】
標識化合物
本発明の化合物は、それらの標識又は非標識形態で使用し得る。本発明の状況において、標識化合物は、通常天然に見出される原子質量若しくは質量数とは違う原子質量若しくは質量数を有する原子で置換された、1個又は複数の原子を有する。標識によって前記化合物の容易な定量的検出が可能となるであろう。
【0048】
本発明の標識化合物は、様々な診断法における診断手段、放射性トレーサー、又はモニタリング物質として、及びin vivoのレセプターイメージングに有用であり得る。
【0049】
本発明の標識された異性体は、標識として少なくとも1つの放射性核種を含有することが好ましい。ポジトロンを放射する放射性核種は、全て使用の候補である。本発明の状況において、放射性核種は、H(ジュウテリウム)、H(トリチウム)、13C、14C、131I、125I、123I、及び18Fから選択されることが好ましい。
【0050】
本発明の標識された異性体を検出するための物理的方法は、陽電子放出断層撮影法(PET)、単光子イメージングコンピューター断層撮影法(SPECT)、磁気共鳴分光法(MRS)、磁気共鳴映像法(MRI)、及びコンピューター体軸X線断層撮影法(CAT)又はこれらの組合せから選択することができる。
【0051】
調製方法
本発明の化合物は、例えば実施例に記載の方法などの、化学合成の従来の方法によって調製され得る。本出願に記載する方法のための出発物質は公知であり、又は市販の化学物質から従来の方法によって容易に調製され得る。
【0052】
また、本発明の1つの化合物は、従来の方法を使用して本発明の他の化合物に変換することができる。
【0053】
本明細書に記載する反応の最終生成物は、例えば、抽出、結晶化、蒸留、クロマトグラフィーなどの従来の技術によって単離し得る。
【0054】
生物活性
本発明の化合物は、in vitroでSKチャネルを調節する能力を試験し得る。Strobaekらによる「HEK293細胞に発現する低コンダクタンスCa2+依存性Kチャネルの薬理学的特性(Pharmacological characterization of small−conductance Ca2+−activated K channels expressed in HEK293 cells)」British Journal of Pharmacology 2000 129 991−999において記載されたパッチクランプ法により、SK電流における化合物が誘起する変化を測定することによって、機能的調節を決定することができる。この種類の測定から、例えば遮断薬/阻害薬のK又はIC50値、及び開口薬/活性薬のEC50値などの、所与の化合物の効力を決定することができる。同様のデータを他のパッチクランプ構成、及び様々な細胞系において内因的に発現するチャネルから得ることができる。
【0055】
一実施形態では、本発明の化合物は、SK1及びSK2に対してより、SK3に対して選択性を示す。さらなる実施形態では、本発明の化合物は、正のSK3チャネルモジュレーターなどの正のSKチャネルモジュレーターである。いっそうさらなる実施形態では、本発明の化合物は、陰のSK3チャネルモジュレーターなどの陰のモジュレーターである。特別な実施形態では、本発明の化合物は、SK3チャネル遮断薬などのSKチャネル遮断薬である。
【0056】
パッチクランプ実験において観察された活性に基づくと、本発明の化合物は、疾患又は障害又は状態が、SKチャネルの調節に応答性である、ヒトを含めた哺乳動物の疾患又は障害又は状態の、治療、予防又は軽減に有用であると考えられる。
【0057】
特別な実施形態では、本発明の化合物は、欠神発作、加齢による記憶力劣化、アルツハイマー病、狭心症、不整脈、喘息、不安、運動失調、注意欠陥、禿頭症、双極性障害、膀胱興奮性亢進、膀胱流出路閉塞、膀胱けいれん、脳腫瘍、脳虚血、慢性閉塞性肺疾患、癌、心臓血管疾患、認知機能障害、大腸炎、便秘、けいれん、冠動脈攣縮、冠動脈心疾患、嚢胞性線維症、認知症、うつ病、2型糖尿病、月経困難症、てんかん、胃腸障害、胃食道逆流症、胃腸運動性減弱症、胃腸運動機能不全、聴力損失、高インスリン血症、高血圧症、免疫抑制、炎症性腸疾患、炎症性痛覚、間欠性跛行、過敏性腸症候群、虚血、虚血性心疾患、学習不全、男性勃起不全、躁うつ病、記憶障害、片頭痛、気分障害、運動ニューロン疾患、筋波動症、筋緊張性ジストロフィー、筋緊張性ジストロフィー、ナルコレプシー、神経因性疼痛、疼痛、パーキンソン病、多発性嚢胞腎、術後イレウス、早産、精神病、精神異常、腎機能異常、レイノー病、鼻漏、分泌性下痢、発作、シェーグレン症候群、睡眠時無呼吸、痙縮、睡眠障害、脳卒中、外傷性脳損傷、三叉神経痛、尿失禁、尿生殖器障害、血管けいれん、失明、及び口腔乾燥症の治療、予防又は軽減に有用であると考えられる。
【0058】
現時点では、活性医薬成分(API)の適切な用量は、1日当たり約0.1〜約1000mgのAPI、さらに好ましくは1日当たり約10〜約500mgのAPI、最も好ましくは1日当たり約30〜約100mgのAPIの範囲内であることが意図されているが、正確な投与方法、投与する形態、考慮される適応症、被検者、特に関与する被検者の体重、さらに担当する医師又は獣医師の好みと経験に依存する。
【0059】
本発明の好ましい化合物は、マイクロモル未満及びマイクロモル範囲、すなわち1μM未満から約100μMまでの範囲で生物活性を示す。
【0060】
医薬組成物
他の態様では、本発明は、本発明の化合物の治療有効量を含む新規な医薬組成物を提供する。
【0061】
治療に使用する本発明の化合物は、生化合物の形態で投与し得るが、1種若しくは複数の補助剤、賦形剤、担体、緩衝液、希釈剤、及び/又は他の従来の医薬助剤と共に、医薬組成物中に、任意選択で生理学的に許容できる塩の形態で、有効成分を導入することが好ましい。
【0062】
好ましい実施形態では、本発明は、1種若しくは複数の医薬として許容される担体と、任意選択で当技術分野において公知であり使用されている他の治療及び/又は予防成分と共に、本発明の化合物、或いは医薬として許容される塩又はその誘導体を含む医薬組成物を提供する。担体は、製剤の他の成分と適合性であり、その受容者に有害でないという意味で、「許容される」ものでなくてはならない。
【0063】
本発明の医薬組成物は、所望の治療に適した任意の都合のよい経路で投与され得る。好ましい投与経路には、経口投与、特に錠剤、カプセル剤、糖剤、粉剤、又は液体形態、及び非経口投与、特に皮膚、皮下、筋内、又は静脈内注射が含まれる。本発明の医薬組成物は、所望の製剤に適切な標準的方法及び従来の技術を使用することにより、任意の当業者が調製することができる。所望の場合、有効成分の徐放を可能にするように適合させた組成物を使用し得る。
【0064】
製剤及び投与のための技術のさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.,Easton,PA)の最新版に見出すことができる。
【0065】
実際の用量は、治療する疾患の性質及び重症度に依存し、医師の裁量内であり、所望の治療効果を生むために、本発明の特定の状況に対して用量を滴定することによって変化し得る。しかし個別用量毎に、約0.1〜約500mgの有効成分、好ましくは約1〜約100mgの有効成分、最も好ましくは約1〜約10mgの有効成分を含有する医薬組成物が治療上の処置のために適切であることが、現在のところ意図されている。
【0066】
有効成分は、1日当たり単一用量又は多回用量で投与され得る。場合によっては、0.1μg/kg i.v.及び1μg/kg p.o.ほどの低い用量で満足のいく結果を得ることができる。用量範囲の上限は、現在のところ約10mg/kg i.v.及び100mg/kg p.o.であると考えられている。好ましい範囲は、約0.1μg/kg〜約10mg/kg/日i.v.及び約1μg/kg〜約100mg/kg/日p.o.である。
【0067】
治療法
他の態様では、本発明は、疾患又は障害又は状態が、SKチャネルの調節に応答性である、ヒトを含めた動物の生体の疾患又は障害又は状態の、治療、予防又は軽減のための方法を提供し、この方法は、それらを必要としているヒトを含めたこれらの動物の生体に、本発明の化合物の有効量を投与することを含む。
【0068】
適切な用量範囲は、正確な投与方法、投与する形態、投与の対象となる適応症、関与する被検者及び関与する被検者の体重、さらに担当する医師又は獣医師の好みと経験に従来どおり依存しているが、1日0.1〜1000ミリグラム、1日10〜500ミリグラム、特に1日30〜100ミリグラムであることが、現在のところ意図されている。
【実施例】
【0069】
本発明を、下記の実施例を参照しながらさらに例示するが、特許請求する本発明の範囲を決して限定することを意図するものではない。
【0070】
一般原則:手順は、本発明の化合物を調製するために使用する一般的手順を表す。使用する略語は以下の通りである。
Me:メチル
mp:融点
MW:マイクロ波
rt:室温
手順A
2−クロロベンズイミダゾール及び必要とするアミンを、密封バイアル中でアセトニトリル中において懸濁させ、マイクロ波(MW)照射を用いて15〜45分間150〜200℃に加熱した。rtに冷却した後、沈殿した固体を濾過し、アセトニトリルで洗浄し、HCl塩として所望の生成物を得た。代わりに、沈殿物を濾過し、CHCN/MeOHの混合物から再結晶させ、或いはカラムクロマトグラフィー又は分取LCMSによって精製し、所望の生成物を遊離塩基として得た。
【0071】
手順A、N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)アニリンの調製の実施例を、スキーム1に示す。
【化4】

【0072】
(実施例1)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−クロロアニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び4−クロロアニリンから調製した。この生成物を濾過及び再結晶により単離して、表題化合物を塩酸塩として得た(白色固形物、mp238〜240℃)。MS(ES)m/z244([M+1]、100)。
【0073】
(実施例2)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)アニリンから調製した。この生成物を濾過及び再結晶により単離して、表題化合物を塩酸塩として得た(白色固形物、mp255〜260℃)。MS(ES)m/z312([M+1]、100)。
【0074】
(実施例3)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3,4−ジクロロアニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び3,4−ジクロロアニリンから調製した。この生成物を濾過により単離して、表題化合物を塩酸塩として得た(白色固形物、mp>270℃)。MS(ES)m/z278(M、100)。
【0075】
(実施例4)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)アニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び4−(トリフルオロメチル)アニリンから調製した。この生成物を濾過及び分取LCMSにより単離して、表題化合物を遊離塩基として得た(白色固形物、mp199〜200℃)。MS(ES)m/z278([M+1]、100)。
【0076】
(実施例5)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3−クロロアニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び3−クロロアニリンから調製した。この生成物を濾過により単離して、表題化合物を塩酸塩として得た(白色固形物、mp252〜257℃)。MS(ES)m/z244([M+1]、100)。
【0077】
(実施例6)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−(トリフルオロメトキシ)アニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び4−(トリフルオロメトキシ)アニリンから調製した。この生成物を濾過により単離して、表題化合物を塩酸塩として得た(白色固形物、mp250〜251℃)。MS(ES)m/z294([M+1]、100)。
【0078】
(実施例7)
N−(ベンズイミダゾール2−イル)−4−フルオロアニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び4−フルオロアニリンから調製した。この生成物を濾過により単離して、表題化合物を塩酸塩として得た(固形、mp215〜216℃)。MS(ES)m/z228([M+1]、100)。
【0079】
(実施例8)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3,4−ジフルオロアニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び3,4−ジフルオロアニリンから調製した。この生成物を濾過により単離して、表題化合物を塩酸塩として得た(白色固形物、mp283〜284℃)。MS(ES)m/z246([M+1]、100)。
【0080】
(実施例9)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3,5−ジフルオロアニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び3,5−ジフルオロアニリンから調製した。この生成物を濾過により単離して、表題化合物を塩酸塩として得た(白色固形物、mp292〜293℃)。MS(ES)m/z246([M+1]、100)。
【0081】
(実施例10)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3−(トリフルオロメチル)アニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び3−(トリフルオロメチル)アニリンから調製した。この生成物を濾過及び分取LCMSにより単離して、表題化合物を遊離塩基として得た(白色固形物、mp160〜162℃)。MS(ES)m/z278([M+1]、100)。
【0082】
(実施例11)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び4フルオロ−3−(トリフルオロメチル)アニリンから調製した。この生成物を濾過により単離して、表題化合物を塩酸塩として得た(白色固形物、mp255〜257℃)。MS(ES)m/z296([M+1]、100)。
【0083】
(実施例12)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−フルオロ−3−メチルアニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び4−フルオロ−3−メチルアニリンから調製した。この生成物を濾過により単離して、表題化合物を塩酸塩として得た(固形、mp246〜248℃)。MS(ES)m/z242([M+1]、100)。
【0084】
(実施例13)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリンから調製した。この生成物を濾過により単離して、表題化合物を塩酸塩として得た(白色固形物、mp245〜246℃)。MS(ES)m/z346([M+1]、100)。
【0085】
(実施例14)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3−クロロ−4−フルオロアニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び3−クロロ−4−フルオロアニリンから調製した。この生成物を濾過により単離して、表題化合物を塩酸塩として得た(白色固形物、mp306〜307℃)。MS(ES)m/z262([M+1]、100)。
【0086】
(実施例15)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3,5−ジクロロアニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び3,5−ジクロロアニリンから調製した。生成物を濾過により単離して、表題化合物を塩酸塩として得た(固形、mp317〜318℃)。MS(ES)m/z278(M、100)。
【0087】
(実施例16)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)アニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)アニリンから調製した。生成物を濾過により単離して、表題化合物を塩酸塩として得た(白色固形物、mp262〜264℃)。MS(ES)m/z356(M、100)。
【0088】
(実施例17)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−メチル−3−(トリフルオロメチル)アニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び4−メチル−3−(トリフルオロメチル)アニリンから調製した。この生成物を濾過により単離して、表題化合物を塩酸塩として得た(白色固形物、mp>265℃)。MS(ES)m/z292([M+1]、100)。
【0089】
(実施例18)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)アニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)アニリンから調製した。この生成物を濾過により単離して、表題化合物を塩酸塩として得た(白色固形物、mp263〜265℃)。MS(ES)m/z296([M+1]、100)。
【0090】
(実施例19)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2−メチル−3−(トリフルオロメチル)アニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び2−メチル−3−(トリフルオロメチル)アニリンから調製した。この生成物を濾過及び分取LCMSにより単離して、表題化合物を遊離塩基として得た(白色固形物、mp204〜206℃)。MS(ES)m/z292([M+1]、100)。
【0091】
(実施例20)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)アニリンから調製した。この生成物を濾過及び分取LCMSにより単離して、表題化合物を遊離塩基として得た(固形、mp91〜92℃)。MS(ES)m/z296([M+1]、100)。
【0092】
(実施例21)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2,3,4−トリフルオロアニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び2,3,4−トリフルオロアニリンから調製した。この生成物を濾過及び分取LCMSにより単離して、表題化合物を遊離塩基として得た(白色固形物、mp182〜183℃)。MS(ES)m/z264([M+1]、100)。
【0093】
(実施例22)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−N−メチル−3,4−ジクロロアニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び3,4−ジクロロ−N−メチルアニリンから調製した。この生成物を濾過により単離して、表題化合物を塩酸塩として得た(白色固形物、mp>275℃)。MS(ES)m/z292(M、100)。
【0094】
(実施例23)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3−シアノアニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び3−アミノベンゾニトリルから調製した。この生成物を濾過及び分取LCMSにより単離して、表題化合物を遊離塩基として得た(白色固形物、mp272〜274℃)。MS(ES)m/z235([M+1]、100)。
【0095】
(実施例24)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)アニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び3−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)アニリンから調製した。この生成物を濾過により単離して、表題化合物を塩酸塩として得た(白色固形物、mp212〜213℃)。MS(ES)m/z308([M+1]、100)。
【0096】
(実施例25)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−イソプロピルアニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び4−イソプロピルアニリンから調製した。生成物を基本的処理によって単離し、アセトニトリルから再結晶して、表題化合物を遊離塩基として得た(白色固形物、mp179〜180℃)。MS(ES)m/z252([M+1]、100)。
【0097】
(実施例26)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)アニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び3−アミノ−4−クロロベンゾトリフルオリドから調製した。生成物を基本的処理によって単離し、分取LCMSにより精製し、表題化合物を遊離塩基として得た。
【化5】

【0098】
(実施例27)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2−メチル−5−(トリフルオロメチル)アニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び3−アミノ−4−メチルベンゾトリフルオリドから調製した。生成物を基本的処理によって単離し、分取LCMSにより精製し、表題化合物を遊離塩基として得た。
【化6】

【0099】
(実施例28)
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2−フェニルアニリン
表題化合物を、手順Aによって2−クロロベンズイミダゾール及び2−アミノ−ビフェニルから調製した。この粗生成物を分取LCMSにより精製し、表題化合物を遊離塩基として得た(白色固形物、mp152〜154℃)。MS(ES)m/z286([M+1]、100)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】


任意のその異性体又はその異性体の任意の混合物、
或いは医薬として許容されるその塩
[式中、
は、フェニル基を表し(該フェニル基は、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ及びフェニルからなる群から独立に選択される1個又は複数の置換基で置換されている)、
は、水素又はアルキルを表し、
及びRは、互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、−NR’R’’、アルキル及びアルコキシからなる群から選択される(R’及びR’’は、互いに独立に、水素又はアルキルである)]。
【請求項2】
が、
【化2】


[式中、R、R、R及びRの4つ全てが水素を表さないという条件で、R、R、R及びRは、互いに独立に、水素、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ及びフェニルからなる群から選択される]を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
及びRが、互いに独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ及びフェニルからなる群から選択され、
及びRが水素を表す、
請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
及びRが、互いに独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ及びフェニルからなる群から選択され、
及びRが水素を表す、
請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
及びRが、互いに独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ及びフェニルからなる群から選択され、
及びRが水素を表す、
請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
、R及びRが、互いに独立に、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ及びフェニルからなる群から選択され、
が水素を表す、
請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
、R及びRの1つが、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ及びフェニルからなる群から選択され、
、並びにR、R及びRの残りの2つが、水素を表す、
請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
が水素を表す、
請求項1から7までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
がアルキルを表す、
請求項1から7までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
及びRが水素を表す、
請求項1から9までのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−クロロアニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3,4−ジクロロアニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3−クロロアニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−(トリフルオロメトキシ)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−フルオロアニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3,4−ジフルオロアニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3,5−ジフルオロアニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3−(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−フルオロ−3−メチルアニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3,5−ビス(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3−クロロ−4−フルオロアニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3,5−ジクロロアニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−メチル−3−(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2−メチル−3−(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2,3,4−トリフルオロアニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−N−メチル−3,4−ジクロロアニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3−シアノ−アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−3−メトキシ−5−(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−4−イソプロピル−アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)アニリン;
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2−メチル−5−(トリフルオロメチル)アニリン;又は
N−(ベンズイミダゾール−2−イル)−2−フェニル−アニリン;である、
請求項1に記載の化合物、
又は医薬として許容されるその塩。
【請求項12】
少なくとも1種類の医薬として許容される担体、賦形剤又は希釈剤と共に、請求項1から11までのいずれか一項に記載の化合物、或いは任意のその異性体又はその異性体の任意の混合物、或いは医薬として許容されるその塩の治療有効量を含む医薬組成物。
【請求項13】
薬剤製造のための、請求項1から11までのいずれか一項に記載の化合物、或いは任意のその異性体又はその異性体の任意の混合物、或いは医薬として許容されるその塩の使用。
【請求項14】
ヒトを含めた哺乳動物の疾患又は障害又は状態の、治療、予防又は軽減のための医薬組成物製造のためであり、該疾患又は障害又は状態が、SKチャネルの調節に応答性である、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
SKチャネルの調節に応答性である疾患又は障害又は状態が、欠神発作、加齢による記憶力劣化、アルツハイマー病、狭心症、不整脈、喘息、不安、運動失調、注意欠陥、禿頭症、双極性障害、膀胱興奮性亢進、膀胱流出路閉塞、膀胱けいれん、脳腫瘍、脳虚血、慢性閉塞性肺疾患、癌、心臓血管疾患、認知機能障害、大腸炎、便秘、けいれん、冠動脈攣縮、冠動脈心疾患、嚢胞性線維症、認知症、うつ病、2型糖尿病、月経困難症、てんかん、胃腸障害、胃食道逆流症、胃腸運動性減弱症、胃腸運動機能不全、聴力損失、高インスリン血症、高血圧症、免疫抑制、炎症性腸疾患、炎症性痛覚、間欠性跛行、過敏性腸症候群、虚血、虚血性心疾患、学習不全、男性勃起不全、躁うつ病、記憶障害、片頭痛、気分障害、運動ニューロン疾患、筋波動症、筋緊張性ジストロフィー、筋緊張性ジストロフィー、ナルコレプシー、神経因性疼痛、疼痛、パーキンソン病、多発性嚢胞腎、術後イレウス、早産、精神病、精神異常、腎機能異常、レイノー病、鼻漏、分泌性下痢、発作、シェーグレン症候群、睡眠時無呼吸、痙縮、睡眠障害、脳卒中、外傷性脳損傷、三叉神経痛、尿失禁、尿生殖器障害、血管けいれん、失明、又は口腔乾燥症である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
ヒトを含めた動物の生体の疾患又は障害又は状態を、治療、予防又は軽減するための方法であって、該障害、疾患又は状態が、SKチャネルの調節に応答性であり、請求項1から11までのいずれか一項に記載の化合物、或いは任意のその異性体又はその異性体の任意の混合物、或いは医薬として許容されるその塩の治療有効量を、それらを必要としているこれらの動物の生体に投与するステップを含む方法。

【公表番号】特表2008−543915(P2008−543915A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517496(P2008−517496)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/063405
【国際公開番号】WO2006/136580
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(505377201)ノイロサーチ アクティーゼルスカブ (135)
【Fターム(参考)】