説明

2サイクルエンジンを潤滑させるか、堆積物形成を防止するか、または清浄にするのに適当な潤滑剤添加剤組成物

本発明は、2サイクルエンジンを潤滑させるのに適当な0.1〜0.25重量パーセントの全窒素含量を有する潤滑組成物であって、潤滑粘性のあるオイル、合成エステル、12個〜24個の炭素原子を有する脂肪酸とポリアミンとの少なくとも1種の縮合生成物、およびマンニッヒ分散剤を含有する潤滑組成物を提供する。本発明は、さらに、主要量の液体燃料組成物と混合された上記潤滑剤組成物を含有する燃料−潤滑剤組成物を提供する。この潤滑剤は、液体燃料組成物と混合して、供給できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本願は、米国特許出願第60/584026号から優先権を主張している。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
本発明は、2サイクルエンジンを清浄にするのに有用な潤滑剤組成物および燃料−潤滑剤混合物に関する。2サイクルエンジンの技術は、英国で発明された19世紀末以来、存在している。最初は、この技術は、簡単であり、初期の用途は、主に、オートバイであった。Evinrudeは、米国において、1.5HPのエンジンを使って、1909年に、最初の船外エンジンを開発した。これらのエンジンは、軽量であるために、しばしば、携帯型動力工具(例えば、チェーンソー、刈払機、コンクリートソー、ストリングトリマー、およびローンエッジャー)で使用されている。時が経つにつれて、これらの簡単な気化器付き2サイクルエンジンは、より複雑となり、現在では、新しい最新のレクリエーション用製品(例えば、スノーモービル、ジェットスキーおよび全ての地上(terrain)車両)に組み込まれている。
【0003】
2サイクルエンジン技術は、これらの種々の用途に関連して、発展した。エンジンを大きく変えることなく、また、このエンジンの設計に本来備わっている優れた出力−重量比にマイナスの影響を与えることなく、全rpm範囲にわたって出力を高めるために、気化器付き2サイクルエンジンには、排気ポートモディファイヤーが加えられた。後に、炭化水素HCの排気を減らすために、直接燃料噴射技術が開発された。いくつかの用途では、これらの直接燃料噴射システムを排気ポートモディファイヤーと組み合わせたのに対して、他の用途は、これらの特徴の1つだけを組み込んだ。今日では、最新の2サイクル船外エンジンの多くは、燃料および空気の両方に対して、直接燃料噴射システムを有する。この技術は、Orbitalにより開発され、さらに最新の用途のいくつかにおいて、また、排気ポートモディファイヤーと併用されている。
【0004】
2サイクルエンジンに対するこれらの新しい技術的な改良および増強の高まる要求に合わせるために、潤滑添加剤技術は、それよりゆっくりと発展してきた。しばしば、潤滑剤は、エンジンの設計の変化に応じて開発され、差し迫った改良に先だって、またはそれを予想して開発されることは滅多になかった。実際、潤滑剤の要件に対するエンジンの改良の影響は、それに先だって正確に予測することは滅多にできなかった。結果として、多くの新しい家電エンジンは、不適当または品質の劣るオイルを使用して、操作されている。他の場合には、消費者は、単に、これらの異なる用途に対して特別な潤滑剤が必要であるとは認識または理解していない。両方の場合において、結果は同じである。特定の用途に対して、品質の悪いオイルや不適当な潤滑剤を使用すると、ピストン、シリンダー壁、シリンダーへッドおよび種々の排気系において、エンジン堆積物が生じ得る。長い間に、これらの堆積物が連続して堆積すると、全体的なエンジン性能の低下を引き起こし、最もひどい場合には、エンジンの焼付きまたは大きな故障を引き起こし得る。
【0005】
伝統的に、エンジンの性能は、エンジンを分解して手で清浄にすることにより、修復されてきた。一旦、エンジンの部品が清浄にされると、次いで、エンジンは、清浄にされたエンジン部品および/または交換されたエンジン部品を使って、再び組み立てられる。最新の2サイクルエンジンは、ますます複雑となっているので、このアプローチは、時間がかかるだけでなく、2サイクルエンジンをいかにして分解し再び組み立てるかの深い知識がいる。
【0006】
特許文献1は、マンニッヒ清浄剤および無灰分散剤を有する空冷式2サイクルエンジン用潤滑組成物を開示しており、ここで、マンニッヒ清浄剤と無灰分散剤との比は、3:1〜5:1である。この洗浄添加剤は、空冷式2サイクルエンジン用潤滑油組成物で使用されるとき、洗浄力を与える。
【0007】
特許文献2は、直接燃料噴射式2サイクルエンジンで使用するのに適当な低窒素含量組成物を開示しており、これは、潤滑粘性のあるオイルと、3種の窒素含有分散剤の組み合わせとを含有する。
【特許文献1】欧州特許第1138753A2号明細書
【特許文献2】国際公開第03/89555号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は、2サイクルエンジンにおいて堆積物が形成されるのを防止しかつ形成された堆積物を清浄できる新しい潤滑組成物および燃料−潤滑剤混合物を提供することにより、2サイクルエンジンの清浄化の問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、堆積物形成を防止するか、または清浄にしつつ、2サイクルエンジンを潤滑させるのに適当な潤滑組成物を提供し、該潤滑組成物は、以下を含有する:
(a)潤滑粘性のあるオイル;
(b)0.5〜30重量パーセントの合成エステル;
(c)1.1〜15重量パーセントのマンニッヒ分散剤;
(d)0.5〜8重量パーセントの12個〜24個の炭素原子を有する脂肪酸とポリアミンとの少なくとも1種の縮合生成物;および
(e)100℃で5cSt未満の動粘度を有する通常液状の溶媒であって、
ここで、該潤滑組成物の窒素含量は、0.1〜0.25重量パーセントである。
【0010】
本発明は、さらに、主要量の液体燃料組成物と混合された上記潤滑剤組成物を含有する燃料−潤滑剤組成物を提供する。
【0011】
本発明は、さらに、2サイクルエンジンを潤滑させる方法を提供し、該方法は、該エンジンに、この潤滑組成物を供給する工程を包含する。この潤滑剤は、液体燃料組成物と混合して、供給できる。
【0012】
(発明の詳細な説明)
種々の好ましい特徴および実施態様は、非限定的な例示として、以下で記述する。
【0013】
(潤滑粘性のあるオイル)
潤滑粘性のあるオイルには、天然および合成潤滑油およびそれらの混合物が挙げられる。
【0014】
天然油には、動物油および植物油(例えば、ヒマシ油、ラード油)だけでなく、液状の石油オイル、およびパラフィンタイプ、ナフテンタイプまたは混合したパラフィン−ナフテンタイプであって、かつ溶媒処理された鉱物性潤滑油または酸処理された鉱物性潤滑油が挙げられる。石炭またはけつ岩から誘導される潤滑粘性のあるオイルもまた、有用な基油ある。合成の潤滑油には、例えば、炭化水素油、例えば、重合されたオレフィンおよびインターポリマー化されたオレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン−イソブチレン共重合体、ポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)、およびそれらの混合物);アルキルベンゼン(例えば、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ(2−エチルヘキシル)ベンゼンなど);ポリフェニル(例えば、ビフェニル、テルフェニル、およびアルキル化されたポリフェニルなど);アルキル化されたジフェニルエーテルおよびアルキル化されたジフェニルスルフィドおよびその誘導体、それらの類似物および同族体などが挙げられる。
【0015】
アルキレンオキシド重合体およびインターポリマーおよびそれらの誘導体(この誘導体では、その末端水酸基は、エステル化、エーテル化または類似の反応により修飾されている)は、公知の種類の合成潤滑油を構成する。これらは、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの重合により調製されるオイル、これらポリオキシアルキレン重合体のアルキルエーテルおよびアリールエーテルにより例示される。しかしながら、合成エステル(これらは、時には、潤滑粘性のあるオイルと見なされる)は、本発明の目的のために、別々に、成分(b)と見なされる。
【0016】
この上で開示した種類の未精製油、精製油および再精製油(およびそれぞれの互いの混合物)は、本発明の潤滑剤組成物で使用できる。使用できる他のオイルには、気液プロセス(例えば、フィッシャー−トロプシュプロセスが関与するもの)から調製されたオイルがある。
【0017】
本発明の完全に調合された潤滑剤中の潤滑油の量(添加剤パッケージに存在している希釈剤またはキャリアオイルを含めて)は、典型的には、80〜99.5重量パーセント、好ましくは、85〜96重量パーセント、さらに好ましくは、90〜95重量パーセントである。この潤滑油はまた、本発明の添加剤を高濃度で含有する濃縮物を調製するのに使用できる。濃縮物中でのこのようなオイルの量は、典型的には、20〜80重量パーセントである。
【0018】
(合成エステル)
本発明の組成物はまた、ジカルボン酸(例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸およびアルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸ダイマー、マロン酸、アルキルマロン酸、およびアルケニルマロン酸)と、種々のアルコール(例えば、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、およびプロピレングリコール)のいずれかとのエステルを含有する。これらエステルの特定の例には、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジ−n−ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノール酸ダイマーの2−エチルヘキシルジエステル、およびセバシン酸1モルとテトラエチレングリコール2モルおよび2−エチルヘキサン酸2モルとの反応により形成される複合エステルが挙げられる。
【0019】
合成油として有用なエステルには、C5〜C12モノカルボン酸と、ポリオールおよびポリオールエーテル(例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、およびトリペンタエリスリトールなど)とから製造されるエステルも挙げられる。エステルはまた、モノエステル(例えば、Priolube 1976TM(C18−アルキル−COO−C20アルキル)との商品名で入手可能なもの)であり得る。
【0020】
この合成エステルの量は、典型的には、この潤滑組成物の0.5〜30重量パーセント、別の実施態様では、1〜25パーセント、または2〜10パーセントまたは2.5〜5パーセントである。
【0021】
(分散剤)
本発明はまた、少なくとも2種の分散剤を含有する。第一分散剤は、マンニッヒ分散剤であり、これは、時には、マンニッヒ塩基分散剤と呼ばれている。マンニッヒ分散剤は、ヒドロカルビル置換フェノールとアルデヒドとアミンまたはアンモニアとの反応生成物である。このヒドロカルビル置換フェノールのヒドロカルビル置換基は、10個〜400個の炭素原子、他の場合、30個〜180個の炭素原子、さらに他の場合、10個または40個〜110個の炭素原子を有し得る。このヒドロカルビル置換基は、オレフィンまたはポリオレフィンから誘導できる。有用なオレフィンには、α−オレフィン(例えば、1−デセン)が挙げられ、これらは、市販されている。
【0022】
このヒドロカルビル置換基を形成できるポリオレフィンは、周知の重合方法によりオレフィンモノマーを重合させることにより調製でき、これらは、また、市販されている。これらのモノオレフィンには、モノオレフィンが挙げられ、これには、2個〜10個の炭素原子を有するモノオレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレンおよび1−デセン)を挙げられる。特に有用なモノオレフィン源は、35〜75重量%のブテン含量および30〜60重量%のイソブテン含量を有するC精製流である。有用なオレフィンモノマーには、また、ジオレフィン(例えば、イソプレンおよび1,3−ブタジエン)が挙げられる。オレフィンモノマーには、また、2種またはそれ以上のモノオレフィンの混合物、2種またはそれ以上のジオレフィンの混合物、または1種またはそれ以上のモノオレフィンの混合物、および1種またはそれ以上のジオレフィンの混合物を挙げることができる。これらのポリオレフィンは、周知の重合方法によりオレフィンモノマーを重合することにより調製でき、また、市販されている。有用なポリオレフィンには、140〜5000、他の場合には、400〜2500、さらに他の場合には、140または500〜1500の数平均分子量を有するポリイソブチレンが挙げられる。このポリイソブチレンは、5〜69%、第二の場合には、50〜69%、そして第三の場合には、50〜95%のビニリデン二重結合を有し得る。このポリオレフィンは、単一のオレフィンモノマーから調製された単独重合体、または2種またはそれ以上のオレフィンモノマーの混合物から調製された共重合体であり得る。また、このヒドロカルビル置換基源として、2種またはそれ以上の単独重合体の混合物、2種またはそれ以上の共重合体の混合物、または1種またはそれ以上の単独重合体と1種またはそれ以上の共重合体との混合物も、可能である。
【0023】
このヒドロカルビル置換フェノールは、周知のアルキル化方法を使用して、フェノールを上記オレフィンまたはポリオレフィン(例えば、ポリイソブチレンまたはポリプロピレン)でアルキル化することにより、調製できる。
【0024】
このマンニッヒ分散剤を形成するのに使用されるアルデヒドは、1個〜10個の炭素原子を有し得、一般に、ホルムアルデヒドまたはそれらの反応性等価物(例えば、ホルマリンまたはパラホルムアルデヒド)である。
【0025】
このマンニッヒ反応生成物を形成するのに使用されるアミンは、モノアミンまたはポリアミンであり得、これには、上でさらに詳細に記述したように、1個またはそれ以上の水酸基を有するアルカノールアミンが挙げられる。有用なアミンには、上記のもの(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、エチレンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミンおよび2−(2−アミノエチルアミン)エタノール)が挙げられる。このマンニッヒ反応生成物は、米国特許第5,697,988号で記述したようにして、ヒドロカルビル置換フェノール、アルデヒドおよびアミンを反応させることにより、調製できる。本発明の1実施態様では、このマンニッヒ反応生成物は、ポリイソブチレン、ホルムアルデヒドおよびアミン(これは、第一級モノアミン、第二級モノアミンまたはアルキレンジアミン(特に、エチレンジアミンまたはジメチルアミン)である)から誘導されたアルキルフェノールから調製される。
【0026】
このマンニッヒ分散剤の量は、典型的には、この潤滑組成物の1.1〜15重量パーセント、別の実施態様では、1.5〜10パーセント、または2〜5パーセントまたは2.5〜5パーセントである。
【0027】
第二分散剤は、脂肪ヒドロカルビルモノカルボン酸アシル化剤(例えば、脂肪酸)とポリアミンとの縮合生成物である。
【0028】
この脂肪ヒドロカルビルモノカルボン酸アシル化剤のヒドロカルビル部分は、脂肪族基であり得る。この脂肪族基は、直鎖、分枝、またはそれらの混合物であり得る。この脂肪族基は、飽和、不飽和、またはそれらの混合物であり得る。この脂肪族基は、1個〜50個の炭素原子、他の場合には、2個〜30個の炭素原子、さらに他の場合には、4個〜22個の炭素原子、好ましくは、8個、10個または12個〜20個の炭素原子を有し得る。もし、この脂肪ヒドロカルビルモノカルボン酸アシル化剤が、脂肪族カルボン酸であるなら、カルボキシ基(COOH)および脂肪族基を含有するように見え得る。それゆえ、このカルボン酸内の全炭素原子数は、2個〜51個、または3個〜31個、または5個〜23個、または9個、11個または13個〜21個であり得る。このモノカルボン酸アシル化剤は、モノカルボン酸またはそれらの反応性等価物(例えば、無水物、エステルまたは酸ハロゲン化物(例えば、塩化ステロイル))であり得る。有用なモノカルボン酸アシル化剤は、種々の業者から市販されており、これには、トール油脂肪酸、オレイン酸、ステアリン酸およびイソステアリン酸が挙げられる。12個〜24個の炭素原子を含有する脂肪酸(C18酸を含めて)は、特に有用である。
【0029】
ポリアミンは、1個またはそれ以上のアミン基を有するアミンであり、この場合、第一アミン基は、第一級アミン基であり、そして第二アミン基は、第一級または第二級アミン基である。このモノカルボン酸アシル化剤とポリアミンとの反応生成物は、反応条件に依存して、多いまたは少ない量で、複素環反応生成物(例えば、2−イミダゾリン反応生成物だけでなく、アミド縮合生成物)を含有できる。このポリアミンは、2個〜30個の炭素原子を有し得る。このポリアミンには、アルキレンジアミン、N−アルキルアルキレンジアミンおよびポリアルキレンポリアミンを挙げることができる。有用なポリアミンには、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、N−メチルエチレンジアミン、N−タロ(C16〜C18)−1,3−プロピレンジアミン、N−オレイル−1,3−プロピレンジアミン、ポリエチレンポリアミン(例えば、ジエチレントリアミンおよびトリエチレンテトラアミン)およびテトラエチレンペンタミンおよびポリエチレンポリアミンボトムスが挙げられる。
【0030】
本発明の他の実施態様では、このモノカルボン酸アシル化剤およびポリアミンは、それぞれ、C〜C22脂肪カルボン酸およびアルキレンジアミンまたはポリアルキレンポリアミンであり、さらに他の実施態様では、この脂肪カルボン酸は、イソステアリン酸であり、このポリアミンは、ポリエチレンポリアミン(例えば、テトラエチレンペンタミン)である。
【0031】
これらのモノカルボン酸アシル化剤およびポリアミンは、市販されている。それらの縮合生成物は、一般に、米国特許第4,724,091号の37欄および39欄の反応手順でさらに十分に記載されているように、50〜200℃の高温でそれらの混合物を形成することにより、その反応生成物が十分な量で形成されるまで、この混合物を100〜300℃の高温で加熱することにより、調製できる。
【0032】
このモノカルボン酸アシル化剤とポリアミンとの縮合生成物の量は、この潤滑組成物の0.5〜8重量パーセント、別の実施態様では、1〜6重量パーセント、または2〜5重量パーセントまたは2.5〜5重量パーセントである。
【0033】
全ての分散剤の全量は、1実施態様では、1〜7.5重量パーセント、または3〜7重量パーセント、または5〜6重量パーセントである。
【0034】
(窒素含量)
この潤滑組成物の他の特性は、全体的に低い全窒素含量である。窒素とは、種々の添加剤(特に、窒素含有分散剤および任意のアミン酸化防止剤)により供給される重量パーセントとしての窒素含量を意味する。低窒素潤滑剤調合物は、リンググローブの充填(reduce ring groove fill)および多大な炭素堆積を著しく減少でき、それにより、リングのジャッキング(jacking)およびそれに引き続いたエンジンの焼付きをなくす。
【0035】
1実施態様では、この全窒素含量は、0.05〜0.3重量パーセントである。別の実施態様では、この全窒素含量は、0.1〜0.25重量パーセントである。この窒素含有分散剤に由来して潤滑組成物の全窒素含量に寄与する窒素の量は、重要である。1実施態様では、これらの分散剤から潤滑組成物に送達される元素窒素の量は、0.1〜約0.25重量パーセント、別の実施態様では、0.15〜0.2重量パーセントである。
【0036】
(溶媒)
その潤滑剤またはそれが通常混合される燃料での添加剤の溶解を助けるために、このような潤滑剤組成物に一般的(必須ではないが)に存在している他の物質は、溶媒である。典型的には、このような物質は、この潤滑剤の残りの成分が溶解する可燃性溶媒(潤滑粘性のあるオイル以外)であり、これは、約105℃未満の引火点を有する。この溶媒は、典型的には、炭化水素質溶媒、すなわち、分子内に比較的に少数のヘテロ原子が存在し得るものの、主に炭化水素的な特性を示すものである。この溶媒は、好ましくは、炭化水素であり、好ましくは、主として非芳香族(例えば、アルカン)的な特性を有する。この溶媒は、それゆえ、好ましくは、20重量パーセント未満の芳香族成分を含有し、好ましくは、実質的に、多核芳香族成分を含まない。(芳香族炭化水素は、十分に多量では、燃焼すると、煙の原因となり得、それゆえ、時には、望ましくない)。特に適当な溶媒は、灯油であり、これは、180〜300℃の沸点範囲を有する非芳香族石油留出物である。他の有用な溶媒は、Stoddard溶媒であり、これは、154〜202℃の沸点範囲を有する。
【0037】
この溶媒は、100℃で、2mm−2−1(cSt)未満、好ましくは、1.5または1.0mm−2−1未満の動粘度により、特徴付けられる。それゆえ、それらは、本発明で使用される潤滑粘性のあるオイルよりも粘度が低い。
【0038】
この溶媒の量は、典型的には、この潤滑組成物の45重量パーセントまで、好ましくは、40または35または30パーセントまでである。しばしば、少なくとも20または25パーセントの溶媒が存在している。
【0039】
(他の成分)
他の通常の成分もまた、存在し得、これらには、オレフィン重合体(例えば、比較的に低分子量(例えば、5000以下、例えば、500〜2000、特に、約1000)のポリイソブチレン);流動点降下剤;摩擦調整剤(例えば、脂肪エステル);ブライトストック;粘度指数向上剤;金属不活性化剤;錆防止剤;高圧添加剤、耐摩耗剤、および消泡剤が挙げられる。これらの物質のいずれかは、もし望ましいなら、存在できるか、または排除できる。
【0040】
酸化防止剤(すなわち、酸化抑制剤)には、ヒンダードフェノール酸化防止剤(例えば、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4位置でに種々の置換基を有する2,6−ジ−t−ブチルフェノール(アクリル酸エステルから誘導したものを含めて)、第二級芳香族アミン酸化防止剤(例えば、ジアルキル(例えば、ジノニル)ジフェニルアミン、硫化フェノール酸化防止剤)、油溶性銅化合物、リン含有酸化防止剤、モリブデン化合物(例えば、ジチオカルバミン酸Mo)、有機スルフィド、ジスルフィドおよびポリスルフィドが挙げられる。酸化防止剤の広範なリストは、米国特許第6,251,840号で見られる。
【0041】
腐食防止剤の役割は、金属表面上に優先的に吸収されて保護フィルムを提供すること、または腐食性の酸を中和することにある。これらの例には、エトキシレート、アルケニルコハク酸半エステル酸、ジチオリン酸亜鉛、フェノール酸金属、塩基性スルホン酸金属、脂肪酸およびアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
消泡剤は、安定した泡の形成を低減させるかまたは防止するために用いられ、これには、シリコーンまたは有機重合体が挙げられる。これらの消泡剤および他の消泡組成物の例は、Henry T. Kernerによる「Foam Control Agents」(Noyes Data Corporation, 1976年)の125〜162ページに記述されている。
【0043】
流動点降下剤は、オイルベース組成物の低温特性を改良するのに使用される。例えば、C.V.SmalheerおよびR.Kennedy Smithの「Lubricant Additives」(Lezius−Hiles Co. publishers、Cleveland、Ohio、1967年)の8ページを参照せよ。有用な流動点降下剤の例には、ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;ポリアクリルアミド;ハロパラフィンワックスと芳香族化合物との縮合生成物;ビニルカルボキシレート重合体;フマル酸ジアルキル、脂肪酸のビニルエステルおよびアルキルビニルエーテルの三元共重合体がある。流動点降下剤は、米国特許第2,387,501号;第2,015,748号;第2,655,479号;第1,815,022号;第2,191,498号;第2,666,746号;第2,721,877号;第2,721,878号;および第3,250,715号に記述されている。
【0044】
本発明の組成物は、指定した成分を混合することにより直接的に、またはこれらの成分の1種またはそれ以上のを濃縮物の形態(そこに、他の成分(例えば、オイルまたは溶媒)を引き続いて加えることができる)を調製することにより、調製できる。
【0045】
本発明はまた、2サイクルエンジンを潤滑し、清浄化し、そして浄化する方法を提供し、この方法は、該エンジンのクランク室に潤滑剤組成物を供給工程、または該潤滑剤を燃焼室に直接噴射する工程のいずれか、またはそれらの両方、および該エンジンを操作する工程を包含する;ここで、該潤滑剤組成物は、上で定義したとおりである。この潤滑剤は、上で定義したように希釈せずに供給され得、燃料で予め希釈され得、またはトランスファポートの前に燃料流れに噴射され得る。1実施態様では、この潤滑剤組成物の少なくとも一部は、液体燃料と共に、このエンジンの燃焼室に直接噴射される。本発明の潤滑剤を使用すると、炭素またはバーニッシュまたはエンジン部品の堆積が著しく減少でき、そして特定の潤滑剤調合物を使用すると、実際に、エンジンに存在しているこのような堆積物を除去できることが発見されている。
【0046】
本明細書中で使用する「ヒドロカルビル置換基」または「ヒドロカルビル基」との用語は、通常の意味で使用され、これは、当業者に周知である。具体的には、それは、分子の残部に直接結合した炭素原子を有しそして炭化水素的性質または主として炭化水素的な性質を有する基を意味する。ヒドロカルビル基の例には、以下が挙げられる:炭化水素置換基、すなわち、脂肪族置換基(例えば、アルキルまたはアルケニル)、脂環族置換基(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル)、および芳香族置換された芳香族置換基、脂肪族置換された芳香族置換基および脂環族置換された芳香族置換基などだけでなく、環状置換基。ここで、この環は、分子の他の部分により、完成されている(例えば、2個の置換基は、一緒になって、環を形成する);置換された炭化水素置換基、すなわち、非炭化水素基を含有する置換基。この非炭化水素基は、本発明の文脈では、置換基の主な炭化水素的性質を変化させない(例えば、ハロ(特に、クロロおよびフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、およびスルホキシ);ヘテロ置換基、すなわち、本発明の文脈内では、主として炭化水素的性質を有しながら、環または鎖の中に存在する炭素以外の原子を有するが、その他は炭素原子で構成されている基。ヘテロ原子には、イオウ、酸素、窒素が挙げられ、ピリジル、フリル、チエニルおよびイミダゾリルのような置換基を包含する。一般に、このヒドロカルビル基では、各10個の炭素原子に対し、2個以下の非炭化水素置換基、好ましくは、1個以下の非炭化水素置換基が存在する。典型的には、このヒドロカルビル基には、このような非炭化水素置換基は存在しない。
【0047】
上記物質のいくつかは、その最終調合物中にて、相互作用し得、その結果、この最終調合物の成分は、最初に加えたものとは異なり得ることが知られている。例えば、金属イオン(例えば、清浄剤の)は、他の分子の他の酸性部位またはアニオン性部位に移動できる。そのように形成された生成物は、本発明の組成物をその目的用途で使用する際に形成される生成物を含めて、簡単には記述できない場合がある。それにもかかわらず、全てのこのような改良および反応生成物は、本発明の範囲内に入る;本発明は、上記成分を混合することにより調製される組成物を包含する。
【実施例】
【0048】
本発明は、以下の実施例(これらは、特に有利な実施態様を示す)により、さらに説明する。これらの実施例は、本発明を例示するために提供されており、本発明を限定するとは解釈されない。
【0049】
潤滑剤は、3つの異なる試験で評価する。第一の試験では、潤滑剤を、液体冷却した2サイクル1996モデルYamaha 125レーシングエンジン(これは、124cmの排気量および排気ポートタイミングシステムを有する)に供給する。一定期間の初期ブレーク後、このエンジンを、約80%の最大ブレーキ出力(BHP)で、10時間にわたって、定常状態で運転する。50:1の燃料/オイル比が得られるように、試験油を燃料と予め混合する。一酸化炭素の排気パーセント(%CO)に基づいて、空気:燃料比(AFR)を制御する。この特定の試験手順のために、渦電流ダイナモメーターシステムを使用して、エンジンの速度および負荷を制御する。試験台の温度もまた制御し、そしてモニターする。50:1のプリミックス燃料:オイル比で、潤滑剤を評価する。10時間の試験の最後に、検査のために、このエンジンを分解する。
【0050】
第二試験エンジンは、液体冷却した2サイクル2001モデル800 XC SP Polarisツインシリンダースノーモービルエンジンであり、これは、800cm3の排気量および排気ポートタイミングシステム(これは、出力バルブとしても知られている)を有する。この試験台を使用して、循環条件下にて、レクリエーション用の車両について、リングの付着、ピストンのバーニッシュ、炭素の堆積、プラグの汚れおよび潤滑性の領域において、2サイクル潤滑剤の性能を測定する。このエンジンはまた、出力バルブの清浄度の関して、流体を区別する性能を示した。このエンジンを、3段階のサイクル(アイドル状態、全開スロットル、および50パーセントの出力を含む)で運転し、これを、12時間にわたって、1時間あたり4回繰り返す。スロットルの位置で変えられる燃料/オイル比が得られるように、試験油を燃料と混合する。一酸化炭素の排気パーセント(%CO)に基づいて、空気:燃料比(AFR)を制御する。渦電流ダイナモメーターシステムを使用して、エンジンの速度および負荷を制御する。Yamahaエンジン試験とは対照的に、異なる試験サイクル中にて、スロットルの位置に基づいた多様な燃料/オイル比で、この試験手順における潤滑剤を評価する。12時間の試験の最後に、検査のために、このエンジンを分解する。
【0051】
第三の試験では、この潤滑剤を、OMC 40HP、45立方インチ、2サイクル水冷式火花点火船外エンジン(これは、特別に設計されたピストンおよびリングを有する)に供給する。閉鎖冷却剤システムは、エンジンの温度を維持し、そして全開スロットル(WOT)にて、適切なrpmを得るために、推進器を特別負荷車輪で置き換える。このエンジン試験は、5分間のアイドル状態、55分間の全開スロットルサイクルを使用して、50:1の潤滑剤比で、125時間行う。比較例2の潤滑剤を使用して、最初の25時間の試験時間を使って、このエンジンを「ひどく汚し(dirty−up)」、その終わりに、このエンジンを分解して評価する。次いで、このエンジンを再度組み立て、そして実施例3の「清浄化(clean−up)」オイル調合潤滑剤で50時間運転し、その後、それを再度分解して、格付けする。このエンジンを三度目の試験ために再度組み立てし、そして清浄化油で、さらに50時間の「清浄化」にわたって、運転する(全体で、100時間の「清浄化」)。このエンジンを分解して、100時間の操作後の清浄化を格付けする。試験全体にわたって、WOTでのエンジン速度を4500rpmで維持し、冷却剤の排出(coolant out)を77℃で保持し、そして燃料流れを9.8kg/時間で制御する。ピストンのバーニッシュ、リングの付着および他のエンジン堆積物の評点を格付けすることにより、各試験の合間における堆積物形成および清浄化性能を評価する。
【0052】
CRC格付けマニュアルを使用して、検定Chemical Research Council(CRC)レーターにより、3回のエンジン試験手順の全てについての数値による格付けを実行する。高い数値評点は、良好な性能を示す。評点の数値が低くなるにつれて、より多くの堆積物(これらは、リングの付着を引き起こすおそれがあり得、または出力バルブから除去するのが困難であり得る)を伴って、性能が悪いことを表わす。対照的に、このスノーモービルエンジン試験手順を使用して出力バルブで発生した堆積物の深さは、Permascope(潤滑剤工業で承認されている工業標準方法)を使用して、測定する。それゆえ、Permascope数が高いほど、堆積物が厚くなる。この試験手順の結果として、数値が低いことは、出力バルブの清浄度に関する性能が良好であることを示す。
【0053】
1.実施例1(比較例)は、排気ポートモディファイヤーを含む2サイクルエンジン用に販売されている市販の合成2サイクル油である。(Bombardier(商標)XPS−II、Bombardierから市販されている)。
【0054】
2.実施例2(比較例)は、炭素堆積物を減少させるように調合された市販の半合成2サイクルエンジン油であり、これは、良好な潤滑性を与え、そして2サイクルエンジンにおける摩耗を減らす。(Yamalube(商標)2−W、Yamaha Motor Corporation,USAから市販されている)。
【0055】
3.実施例3は、以下を含有する本発明の清浄化油である:
a.鉱物性基油混合物17.7%(他の成分に由来の通常の希釈油を含む)
b.ペンタエリスリトールエステル25%
c.ポリイソブテン28%
d.ジメチルアミンを使って調製したマンニッヒ7.24%
e.イソステアリン酸とテトラエチレンペンタミンとの縮合生成物2%
f.芳香族アミン酸化防止剤0.53%
g.グリセロールモノオレエート(摩擦調整剤)0.5%
h.錆防止剤0.06%
i.溶媒19%
【0056】
【表1】

Yamahaエンジン試験手順を使用して、実施例1および3で概説したオイル試験により、以下の結果が得られる:(0〜10の尺度;他に注記がなければ、数値が高いほど、良好である)
【0057】
【表2】

Polarisエンジン試験手順を使用して、実施例2および3で概説したオイル試験により、以下の結果が得られる:(0〜10の尺度;他に注記がなければ、数値が高いほど、良好である)
【0058】
【表3】

OMC 40HP船外エンジン試験手順を使用して、実施例2および3で概説したオイル試験により、以下の結果が得られる:(0〜10の尺度;他に注記がなければ、数値が高いほど、良好である)
【0059】
【表4】

注記:比較例2は、ひどく汚すために、25時間にわたって、このエンジンで実行した。
【0060】
【表5】

注記:NMMA評点は、National Marine Manufactures Associationガイドラインに基づいて、決定する。
【0061】
注記:視覚評点は、CRC格付け方法に基づいて、決定する。上記表で示した結果は、本発明の潤滑剤が著しい清浄化性能を与えることを示す。
【0062】
以下の調合物について、さらに別の試験であるNational Marine Manufactures Association試験(NMMA)を実行する。
【0063】
実施例4(比較例):
TC−W3認定の市販の2サイクル油であって、これは、以下を含有する:
a.アルキルアミノフェノール分散剤5.89%
b.脂肪酸イミダゾール分散剤1.1%
c.スクシンイミド分散剤1.30%
d.ジノニルジフェニルアミン酸化防止剤0.18%
e.流動点降下剤0.084%
f.溶媒18.51%
g.ポリイソブテン3%
h.基油65%+他の成分に由来の通常の追加希釈油
実施例5
a.鉱物性基油混合物42%+他の成分に由来の通常の追加希釈油
b.Priolube(商標)3967合成エステル3%
c.ポリイソブテン22%
d.ジメチルアミンマンニッヒ分散剤5.25%
e.イソステアリン酸とテトラエチレンペンタミンとの縮合生成物2.12%
f.ジノニルジフェニルアミン酸化防止剤0.33%
g.グリセロールモノオレエート(摩擦調整剤)0.35%
h.錆防止剤0.04%
i.溶媒24%
実施例6
a.鉱物性基油混合物44.5%+他の成分に由来の通常の追加希釈油
b.Priolube(商標)3967合成エステル3%
c.ポリイソブテン22%
d.ジメチルアミンマンニッヒ分散剤3.71%
e.イソステアリン酸とテトラエチレンペンタミンとの縮合生成物1.5%
f.ジノニルジフェニルアミン酸化防止剤0.23%
g.グリセロールモノオレエート摩擦調整剤0.25%
h.錆防止剤0.03%
i.溶媒24%
【0064】
【表6】

上記調合物を、National Marine Manufactures Association(NMMA)から承認され認定されたTC−W3(登録商標)製品にするための資格認定の一部として、Mercury(商標)15HPエンジンで試験する。実施例4は、TC−W3(登録商標)認定潤滑剤である。TC−W3(登録商標)認定は、オイルが船外用途における性能についてNMMA標準を満たすことを保証する。
【0065】
この試験より、以下の結果が得られる:
【0066】
【表7】

これらの結果は、本発明が、通常の低い添加剤処理速度でも、TC−W3(登録商標)試験に合格する優れたエンジン清浄度をもたらすことを示す。上で引用した文献の内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0067】
上で引用した各文献の内容は、本明細書中で参考として援用されている。実施例を除いて、他に明らかに指示がなければ、物質の量を特定している本記述の全ての数値量、反応条件、分子量、炭素原子数などは、「約」という用語により修飾されることが分かる。他に指示がなければ、本明細書中で言及した各化学物質または組成物は、その異性体、副生成物、誘導体、および市販等級の物質中に存在すると通常考えられているような他のこのような物質を含有し得る、市販等級の物質であると解釈されるべきである。しかしながら、各化学成分の量は、他に指示がなければ、市販等級の物質に通例存在し得る溶媒または希釈油を除いて、提示されている。同様に、本発明の各要素の範囲および量は、他の要素のいずれかの範囲または量と併用できる。本明細書中で示した上限および下限の量、範囲および比は、別個に組み合わされ得ることが分かる。本明細書中で使用する「本質的になる」との表現には、問題の組成物の基本的で新規な特性に著しく影響を与えない物質が含まれていてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2サイクルエンジンを潤滑させるか、堆積物形成を防止するか、または清浄にするのに適当な潤滑組成物であって、該潤滑組成物は、以下を含有する:
(a)潤滑粘性のあるオイル;
(b)約0.5〜約30重量パーセントの合成エステル;
(c)約1.1〜約15重量パーセントのマンニッヒ分散剤;
(d)約0.5〜約8重量パーセントの約12個〜約24個の炭素原子を有する脂肪酸とポリアミンとの少なくとも1種の縮合生成物;および
(e)100℃で5cSt未満の動粘度を有する通常液状の溶媒であって、
ここで、該潤滑組成物の窒素含量は、約0.1〜約0.25重量パーセントである、
潤滑組成物。
【請求項2】
前記マンニッヒ分散剤が、ポリブテン置換フェノール、ホルムアルデヒドおよびアミンの反応生成物であって、該アミンが、第一級モノアミン、第二級モノアミンまたはアルキレンジアミンである、請求項1に記載の潤滑組成物。
【請求項3】
前記脂肪酸が、イソステアリン酸を含み、そして前記ポリアミンが、テトラエチレンペンタミンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記縮合生成物が、イミダゾリン化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記潤滑組成物が、無灰である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記潤滑組成物が、さらに、1種またはそれ以上の追加添加剤を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記潤滑組成物が、さらに、摩擦調整剤、酸化防止剤、流動点降下剤、腐食防止剤またはそれらの混合物を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
2サイクルエンジンを潤滑させるか、堆積物形成を防止するか、または清浄にする方法であって、該エンジンに、請求項1に記載の潤滑組成物を供給する工程を包含する、方法。
【請求項9】
前記潤滑組成物が、主要量の液体燃料組成物と混合され、そして得られた混合物が、前記エンジンに供給される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記潤滑組成物の少なくとも一部が、液体燃料と共に、燃焼室に直接注入される、請求項8に記載の方法。

【公表番号】特表2008−505219(P2008−505219A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519379(P2007−519379)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/023035
【国際公開番号】WO2006/004806
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(591131338)ザ ルブリゾル コーポレイション (203)
【氏名又は名称原語表記】THE LUBRIZOL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】29400 Lakeland Boulevard, Wickliffe, Ohio 44092, United States of America
【Fターム(参考)】