説明

2層金属ボンドコート

構成要素(1)が示されている(図1)。この図は、金属基材(4)を示している。基材(4)上には、好ましくは、特にMCrAlY型の金属ボンドコート(7)が付着させてある。ボンドコート(7)は、2層の金属層(10、13)である。外側金属ボンドコート(13)は、内側金属コート(10)に比べて、アルミニウム(Al)および/またはクロム(Cr)の量が低減している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2層金属ボンドコートに関する。
【背景技術】
【0002】
遮熱コーティングは、熱伝導率が低くなければならないが、また、基材または金属ボンドコートに対して結合性が良好でなければならない。
【0003】
また、金属ボンドコートの延性も高めなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1204776号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1306454号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1319729号明細書
【特許文献4】国際公開99/67435号
【特許文献5】国際公開00/44949号
【特許文献6】米国特許第6,024,792号
【特許文献7】欧州特許出願公開第0892090号明細書
【特許文献8】欧州特許第0486489号明細書
【特許文献9】欧州特許第0786017号明細書
【特許文献10】欧州特許第0412397号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、金属ボンドコートの延性および耐酸化性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題は、請求項1に記載の2層金属ボンドコートによって解決される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の概略図である。
【図2】本発明の概略図である。
【図3】ガスタービンを示す図である。
【図4】タービンブレードを示す図である。
【図5】燃焼室を示す図である。
【図6】超合金の一覧である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の例および図は、本発明の単なる実施形態にすぎない。
【0009】
図1に、構成要素1、120、130、155が示されている。図1は、特に、図6に示すニッケルベースの超合金で作成されたガスタービン100(図3)のブレードまたは翼120、130(図4)などの構成要素の場合の金属基材4を示している。
【0010】
基材4上には、好ましくは、特にMCrAlY型の金属ボンドコート7が付着させてある。
【0011】
ボンドコート7は、2層の金属層10、13である。
【0012】
内側金属ボンドコート10は、特に以下の組成物(wt%で)のうちの1つでよい。
・ Ni-(24-26)Co-(16-18)Cr-(9-11)Al-(0.1-0.5)Y-(1-2)Re、
特にNi-25Co-17Cr-10Al-0.3Y-1.5Re、
・ Co-(29-31)Ni-(27-29)Cr-(7-9)Al-(0.4-0.8)Y-(0.5-0.9)Si、
特にCo-30Ni-28Cr-8Al-0.6Y-0.7Si、
・ Co-(27-29)Ni-(23-25)Cr-(9-11)Al-(0.4-0.8)Y、
特にCo-28Ni-24Cr-10Al-0.6Y、
・ Ni-(24-26)Co-(22-24)Cr-(9-11)Al-(0.1-0.4)Y、
特にNi-25.2Co-22.8Cr-10.1Al-0.17Y、
・ Ni-(19-21)Co-(23-25)Cr-(6-8)Al-(0.3-0.9)Y、
特にNi-20Co-24Cr-7Al-0.6Y、
・ Co-(34-36)Ni-(19-21)Cr-(10.5-12.5)Al-(0.08-0.4)Y-(0.1-0.5)Si、
特にCo-35Ni-20Cr-11.5Al-0.2Y-0.3Si、
・ Ni-(11-13)Co-(20-22)Cr-(10-12)Al-(0.2-0.6)Y-(1-2)Re、
特にNi-12Co-21Cr-11Al-0.4Y-1.5Re。
【0013】
外側金属ボンドコート13は、内側金属コート10に比べて、アルミニウム(Al)および/またはクロム(Cr)の量が低減している。好ましくは、この上側金属層13は、クロム(Cr)を16wt%〜18wt%、および/またはアルミニウム(Al)を4wt%から5wt%有する。外側金属コーティング13は、内側金属コーティング11と同じ組成物を有することができるが、アルミニウム(Al)および/またはクロム(Cr)の含有量が上述の通りである。この組成によって、セラミック層に直接面する上側金属層13の延性が高まる。
【0014】
特に、外側層13は、極めて特に、以下から構成される。
・ Co-(29-31)Ni-(27-29)Cr-(7-9)Al-(0.4-0.8)Y-(0.5-0.9)Si、
特にCo-30Ni-28Cr-8Al-0.6Y-0.7Si、
・ Co-(27-29)Ni-(23-25)Cr-(9-11)Al-(0.4-0.8)Y、
特にCo-28Ni-24Cr-10Al-0.6Y。
【0015】
好ましくは、この上側金属層13は、クロム(Cr)を16wt%〜18wt%、および/またはアルミニウム(Al)を4wt%から5wt%有する。
【0016】
外側金属層13、および内側層10と外側層13との組合せは、延性を高めるように選択される。
【0017】
外側金属層13は、好ましくは、内側層10よりも少なくとも10%薄い。
【0018】
セラミックTBCを付着させる間に、または少なくともコーティングシステムの動作中に、ボンドコート7上に酸化アルミニウム層8(TGO)が形成される。
【0019】
セラミック遮熱コーティング16は、好ましくは、2層のセラミック層コーティング19、22である。特に、セラミックTBC16は、2つの層10、13だけからからなる。
【0020】
基材4の上方または基材4上にある金属ボンドコート7上の内側セラミックコーティング19は、ナノ構造であり、特に、その上に載置されたセラミック層22よりも遙かに薄い。この構造によって、セラミックコーティングの延性、および付着性が高まる。
【0021】
ナノ構造とは、セラミック層19の粒径の約70%、特に少なくとも90%が、500nm未満、特に≦300nm未満であることを意味する。焼結を回避する最小粒径は、≧100nm、極めて特に≧200nmよりも大きい。内側セラミック層19だけが、ナノ構造である。外側層22は、マイクロ構造である。
【0022】
マイクロ構造とは、粒子の粒径の少なくとも70%、特に少なくとも90%が、1μmよりも大きく、特に20μmよりも大きいことを意味する。
【0023】
下側層19は、特に、上側セラミック遮熱コーティング19よりも遙かに薄い。これは、上側層22の厚さが、セラミック層22の全体の厚さの少なくとも60%、特に70%を成すことを意味する。
【0024】
特に、下側セラミック層19は、最低10μm、特に20μmから、100μmまでの厚さを有する。
【0025】
特に、内側セラミック層19は、14vol%まで、特に9vol%から14vol%の間の気孔率を有する。特に、上側セラミック層22は、内側セラミック層19よりも遙かに高い気孔率を有し(その差は少なくとも最低10%、特に≧20%)、特に15vol%よりも高く、30vol%までの多孔性を有する。
【0026】
上側層22は、プラズマ溶射、HVOF、または冷間ガス溶射などのいかなるコーティング法によっても付着させることができる。ナノ構造セラミック層19は、好ましくは、懸濁、プラズマ溶射もしくは液相前駆体プラズマ溶射、または任意のゾルゲル技術によって付着させる。
【0027】
2つのセラミック層19、22の材料は同じでよく、特にイットリウム安定化ジルコニアである。さらに、内側セラミック層19は、ナノ構造の部分安定化ジルコニアでよく、上側層22は、異なる組成を呈し、特に、パイロクロア構造を備えたセラミック層であり、これは特にジルコニウム酸ガドリニウム(Gd2Zr2O7など)、またはハフニウム酸ガドリニウム(Gd2Hf2O7など)である。
【0028】
図4は、長手軸121に沿って延びるターボ機械のロータブレード120または案内翼130の斜視図を示している。
【0029】
このターボ機械は、航空機、もしくは電気を生成する発電所のガスタービン、蒸気タービン、または圧縮機でよい。
【0030】
ブレードまたは翼120、130は、長手軸121に沿って順に、固定領域400、隣接するブレードまたは翼プラットフォーム403、および主ブレードまたは翼部406を有する。案内翼130の場合、翼130は、その翼先端415にさらなるプラットフォーム(図示せず)を有してもよい。
【0031】
ロータブレード120、130をシャフトまたはディスク(図示せず)に固定するために使用するブレードまたは翼ルート部183が、固定領域400に形成されている。ブレードまたは翼ルート部183は、例えば、ハンマーヘッド形に設計される。モミの木形、またはダブテール形のルート部など、他の形状も可能である。ブレードまたは翼120、130は、媒体が主ブレードまたは翼部406を通過して流れるように前縁409および後縁412を有する。
【0032】
従来のブレードまたは翼120、130の場合、例として、中実の金属材料、特に超合金が、ブレードまたは翼120、130の全領域400、403、406に使用される。この種の超合金が、例えば欧州特許第1204776号明細書、欧州特許出願公開第1306454号明細書、欧州特許出願公開第1319729号明細書、国際公開第99/67435号、または国際公開第00/44949号から既知である。ブレードまたは翼120、130は、この場合、一方向凝固も用いた鋳造法、鍛造法、フライス加工法、またはそれらの組合せによって作製することができる。
【0033】
1つまたは複数の単結晶構造を備えたワークピースが、動作中に高度の機械的、熱的、かつ/または化学的負荷に曝される機械の構成要素として使用される。この種の単結晶ワークピースは、例えば、溶融物の一方向凝固によって作製される。この一方向凝固には、液体金属合金を凝固させて、単結晶構造、すなわち単結晶ワークピースを、すなわち一方向に形成する鋳造法が関与する。この工程では、樹枝状結晶が、熱流束の方向に形成され、柱状結晶粒構造(すなわち、ワークピースの全長にわたって粒子が延在し、本明細書では、標準の用語に従い、一方向凝固と呼ぶ)を成すか、または単結晶構造、すなわちワークピース全体が単一の結晶からなる構造を成す。この工程では、球状(多結晶)凝固への遷移を回避する必要があり、その理由は、無方向成長によって、横方向粒界、および長手方向粒界が必然的に生じることになり、そのため一方向凝固、または単結晶構成要素の良好な特性が打ち消されるからである。一般に、一方向凝固マイクロ構造と呼ぶ場合、いかなる粒界も有しない、またはあるとしても小傾角粒界しか有しない単結晶、および長手方向に延びる粒界は有するが、いかなる横方向粒界も有しない柱状結晶構造のどちらをも含むものとして理解されたい。後者の柱状結晶の場合、一方向凝固マイクロ構造(一方向凝固構造)とも呼ぶことができる。この種の工程が、米国特許第6,024,792号、および欧州特許出願公開第0892090号明細書から既知である。
【0034】
ブレードまたは翼120、130はまた、腐食または酸化から保護するコーティング、例えば(MCrAlX;Mは、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)からなる群から選択された少なくとも1つの元素であり、Xは、活性元素であり、イットリウム(Y)および/またはケイ素、および/または少なくとも1つの希土類元素、またはハフニウム(Hf)を表す)を有することができる。この種の合金が、欧州特許第0486489号明細書、欧州特許第0786017号明細書、欧州特許第0412397号明細書、または欧州特許出願公開第1306454号明細書から既知である。
【0035】
例えば、ZrO2、Y2O3-ZrO2からなる遮熱コーティング、すなわち酸化イットリウム、および/または酸化カルシウム、および/または酸化マグネシウムによって安定化させていない、部分的に安定化させた、または完全に安定化させた遮熱コーティングを、MCrAlX上に設けることもやはり可能である。適切なコーティング法、例えば電子ビーム物理的気相成長法(EB-PVD)などによって、柱状粒が遮熱コーティング中に生成される。
【0036】
用語「補修(refurbishment)」とは、保護層を使用した後、構成要素120、130から(例えば、サンドブラストによって)その保護層を除去しなければならないことがあることを意味する。その後、腐食および/または酸化物層、または生成物を除去する。必要ならば、構成要素120、130の亀裂もやはり、本発明によるはんだを用いて修繕する。続いて、構成要素120、130を再度コーティングすると、その後構成要素120、130を再度使用することができる。
【0037】
ブレードまたは翼120、130は、設計が中実のものでも、中空のものでもよい。ブレードまたは翼120、130を冷却すべき場合、ブレードまたは翼120、130は中空であり、膜冷却孔418(破線で示す)をやはり含むことができる。
【0038】
図5は、ガスタービン100(図3)の燃焼室110を示す。
【0039】
燃焼室110は、例えば、環状燃焼室として知られるものとして構成され、その内部には、多数のバーナ107が、回転軸102の周りで周方向に配置され、共通の燃焼室空間154に開いており、これらのバーナ107は、火炎156を生成する。この目的で、燃焼室110は、全体が、回転軸102の周りに配置された環状形のものである。
【0040】
比較的高い効率を達成するために、燃焼室110は、約1000℃から1600℃の比較的高い温度の作動媒体M用に設計されている。材料には好ましくないこうした動作パラメータでも、比較的長い稼働時間が得られるように、燃焼室壁153には、その作動媒体Mに面する側に、遮熱要素155から形成された内側ライニングが設けられる。合金から作成された各遮熱要素155は、作動媒体側に、特に耐熱性のある保護層(MCrAlX層および/またはセラミックコーティング)を備えているか、または高温に耐えることが可能な材料(中実セラミックブリック)から作成される。これらの保護層は、タービンブレードまたは翼と同様のものでよく、すなわち、例えばMCrAlXを意味し、Mは、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)からなる群から選択された少なくとも1つの元素であり、Xは、活性元素であり、イットリウム(Y)、および/またはケイ素、および/または少なくとも1つの希土類元素、またはハフニウム(Hf)を表す。この種の合金が、欧州特許第0486489号明細書、欧州特許第0786017号明細書、欧州特許第0412397号明細書、または欧州特許出願公開第1306454号明細書から既知である。
【0041】
例えば、ZrO2、Y2O3-ZrO2からなる、すなわち酸化イットリウム、および/または酸化カルシウム、および/または酸化マグネシウムによって安定化させていない、部分的に安定化させた、または完全に安定化させたセラミックの遮熱コーティングを、MCrAlX上に設けることもやはり可能である。
【0042】
適切なコーティング法、例えば電子ビーム物理的気相成長法(EB-PVD)などによって、柱状粒が遮熱コーティング中に生成される。
【0043】
用語「補修」とは、保護層を使用した後、遮熱要素155から(例えば、サンドブラストによって)その保護層を除去しなければならないことがあることを意味する。その後、腐食および/または酸化物層、または生成物を除去する。必要ならば、遮熱要素155の亀裂もやはり、本発明によるはんだを用いて修繕する。続いて、遮熱要素155を再度コーティングすると、その後遮熱要素155を再度使用することができる。
【0044】
さらに、燃焼室110の内部が高温となるため、遮熱要素155、および/またはそれらの保持要素に冷却システムを設けることが可能である。この場合、遮熱要素155は、例えば中空であり、燃焼室空間154に開いた膜冷却孔(図示せず)をやはり含んでもよい。
【0045】
図3は、例として、ガスタービン100を長手方向部分断面図の形で示す。ガスタービン100は、その内部に、回転軸102周りで回転することができるように取り付けられたロータ103を有し、このロータはシャフトを有し、タービンロータとしても知られる。吸気ハウジング104、圧縮機105、同軸に配置された複数のバーナ107を備えた、例えばトロイダル燃焼室110、特に環状燃焼室、タービン108、および排気ケーシング109が、ロータ103に沿って順に続いている。環状燃焼室110は、例えば環状の高温ガス導管111と連絡しており、ここで、例えば4つの連続したタービン段112がタービン108を成している。
【0046】
各タービン段112は、例えば、2つのブレードまたは翼リングから形成されている。作動媒体113が流れる方向に見て、高温ガス導管111内では、ロータブレード120から形成された列125が、案内翼の列115の後に続いている。
【0047】
案内翼130は、ステータ143の内側ハウジング138に固定され、列125のロータブレード120は、例えばタービンディスク133によってロータ103に嵌合している。発電機または機械(図示せず)が、ロータ103に結合されている。
【0048】
ガスタービン100の動作時、圧縮機105は、吸気ハウジング104から空気135を吸い込み、圧縮する。圧縮機105のタービン側端部で供給される圧縮空気は、バーナ107に送られ、ここで燃料と混合される。次いで、この混合体は燃焼室110内で燃焼して、作動媒体113を形成する。そこから、作動媒体113は、高温ガス導管111に沿って案内翼130、およびロータブレード120を通過して流れる。
【0049】
作動媒体113は、ロータブレード120で膨張し、その運動量を伝達し、それによってロータブレード120がロータ103を駆動し、ロータがそこに結合された機械を駆動する。
【0050】
ガスタービン100の動作時、高温の作動媒体113に曝される構成要素は、熱負荷を受ける。作動媒体113が流れる方向に見て、第1のタービン段112の案内翼130、およびロータブレード120は、環状燃焼室110の内側を覆う遮熱要素と共に、最も高い熱負荷を受ける。そこを支配する温度に耐えるように、これらの構成要素を冷却剤によって冷却することができる。
【0051】
構成要素の基材も同様に、一方向構造を有することができ、すなわち単結晶形態(SX構造)であるか、または長手方向にだけ指向した粒子(DS構造)を含む。例として、鉄ベース、ニッケルベース、またはコバルトベースの超合金が、構成要素、特にタービンブレードおよび翼120、130、および燃焼室110の構成要素用の材料として使用される。この種の超合金が、例えば、欧州特許第1204776号明細書、欧州特許出願公開第1306454号明細書、欧州特許出願公開第1319729号明細書、国際公開第99/67435号、または国際公開第00/44949号から既知である。
【0052】
ブレードおよび翼120、130はさらに、腐食から保護するコーティング(MCrAlX;Mは、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)からなる群から選択された少なくとも1つの元素であり、Xは、活性元素であり、イットリウム(Y)、および/またはケイ素、および/または少なくとも1つの希土類元素、またはハフニウムを表す)を有することができる。この種の合金が、欧州特許第0486489号明細書、欧州特許第0786017号明細書、欧州特許第0412397号明細書、または欧州特許出願公開第1306454号明細書から既知である。
【0053】
例えば、ZrO2、Y2O3-ZrO2からなる、すなわち酸化イットリウム、および/または酸化カルシウム、および/または酸化マグネシウムによって安定化させていない、部分的に安定化させた、または完全に安定化させた遮熱コーティングを、MCrAlX上に設けることもやはりできる。適切なコーティング法、例えば電子ビーム物理蒸着法(EB-PVD)によって、柱状粒子が遮熱コーティング中に生成される。
【0054】
案内翼130は、タービン108の内側ハウジング138に面した案内翼ルート部(本明細書では図示せず)と、案内翼ルート部とは反対側にある案内翼ヘッド部とを有する。案内翼ヘッド部は、ロータ103に面し、ステータ143の固定リング140に固定されている。
【符号の説明】
【0055】
1 構成要素
4 金属基材
7 ボンドコート
8 酸化アルミニウム層
10 内側金属ボンドコート
13 外側金属ボンドコート
16 セラミック遮熱コーティング
19 内側セラミック層コーティング
22 外側セラミック層コーティング
100 ガスタービン
102 回転軸
103 ロータ
104 吸気ハウジング
105 圧縮機
107 バーナ
108 タービン
109 排気ケーシング
110 燃焼室
111 高温ガス導管
112 タービン段
113 作動媒体
115 案内翼列
120 ロータブレード
121 長手軸
125 ロータブレード列
130 案内翼
133 タービンディスク
135 空気
138 内側ハウジング
140 固定リング
143 ステータ
153 燃焼室壁
154 燃焼室空間
155 遮熱要素
156 火炎
183 ブレードまたは翼ルート部
400 固定領域
403 プラットフォーム
406 主ブレードまたは翼部
409 前縁
412 後縁
415 翼先端
418 膜冷却孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(4)と、
2層、特に2層だけの金属ボンドコート(7、10、13)と、
前記ボンドコート(7)、(10)、(13)上の任意選択によるセラミック層(16)と
を備える層システムであって、
前記外側金属層(13)が、前記内側金属層(10)よりも低い、特に少なくとも10%低く、極めて特に少なくとも20%低いアルミニウム(Al)含有量を有すること、
および/または前記外側金属層(13)が、より低い、特に少なくとも10%低く、極めて特に少なくとも20%低いクロム(Cr)含有量を有すること
を特徴とする、層システム。
【請求項2】
前記内側金属ボンドコート(10)が、MCrAlY合金を含み、特にMCrAlY合金からなる、請求項1に記載の層システム。
【請求項3】
前記外側金属ボンドコート(13)が、MCrAlY合金を含み、特にMCrAlY合金からなる、請求項1または2に記載の層システム。
【請求項4】
前記外側金属層(13)の前記アルミニウム(Al)含有量がより低く、特に4wt%から5wt%の間の値を有し、極めて特に4.5wt%の値を有する、請求項1、2、または3に記載の層システム。
【請求項5】
前記外側金属層(13)の前記クロム(Cr)含有量がより低く、特に前記含有量(Cr)が、16wt%〜18wt%の間、極めて特に17wt%である、請求項1、2、3、または4に記載の層システム。
【請求項6】
前記内側金属ボンドコート(10)の前記MCrAlY合金が(wt%で)、
Ni(24-26)Co-(16-18)Cr-(9-11)Al-(0.1-0.5)Y-(1-2)Re、
特にNi-25Co-17Cr-10Al-0.3Y-1.5Re、または
Co-(29-31)Ni-(27-29)Cr-(7-9)Al-(0.4-0.8)Y-(0.5-0.9)Si、
特にCo-30Ni-28Cr-8Al-0.6Y-0.7Si、または
Co-(27-29)Ni-(23-25)Cr-(9-11)Al-(0.4-0.8)Y、
特にCo-28Ni-24Cr-10Al-0.6Y、または、
Ni-(24-26)Co-(22-24)Cr-(9-11)Al-(0.1-0.4)Y、
特にNi-25.2Co-22.8Cr-10.1Al-0.17Y、または
Ni-(19-21)Co-(23-25)Cr-(6-8)Al-(0.3-0.9)Y、
特にNi-20Co-24Cr-7Al-0.6Y、または
Co-(34-36)Ni-(19-21)Cr-(10.5-12.5)Al-(0.08-0.4)Y-(0.1-0.5)Si、
特にCo-35Ni-20Cr-11.5Al-0.2Y-0.3Si、または
Ni-(11-13)Co-(20-22)Cr-(10-12)Al-(0.2-0.6)Y-(l-2)Re、
特にNi-12Co-21Cr-11Al-0.4Y-1.5Re
の群から選択される、請求項1、2、3、4、または5に記載の層システム。
【請求項7】
前記外側層(13)の前記合金が(wt%で)、
Co-(29-31)Ni-(27-29)Cr-(7-9)Al-(0.4-0.8)Y-(0.5-0.9)Si、
特にCo-30Ni-28Cr-8Al-0.6Y-0.7Si、または
Co-(27-29)Ni-(23-25)Cr-(9-11)Al-(0.4-0.8)Y、
特にCo-28Ni-24Cr-10Al-0.6Y
である、請求項1、2、3、または6に記載の層システム。
【請求項8】
前記外側層(13)が(wt%で)、
Co-(29-31)Ni-(27-29)Cr-(4-5)Al-(0.4-0.8)Y-(0.5-0.9)Si、
特にCo-30Ni-28Cr-4.5Al-0.6Y-0.7Si、または
Co-(27-29)Ni-(23-25)Cr-(4-5)Al-(0.4-0.8)Y、
特にCo-28Ni-24Cr-4.5Al-0.6Y
である、請求項1、2、3、4、または6に記載の層システム。
【請求項9】
前記外側層(13)が、
Co-(29-31)Ni-(16-18)Cr-(7-9)Al-(0.4-0.8)Y-(0.5-0.9)Si、
特にCo-30Ni-17Cr-8Al-0.6Y-0.7Si、または
Co-(27-29)Ni-(16-18)Cr-(9-11)Al-(0.4-0.8)Y、
特にCo-28Ni-17Cr-10Al-0.6Y
である、請求項1、2、3、5、または6に記載の層システム。
【請求項10】
前記外側層(13)が、
Co-(29-31)Ni-(16-18)Cr-(4-5)Al-(0.4-0.8)Y-(0.5-0.9)Si、
特にCo-30Ni-17Cr-4.5A1-0.6Y-0.7Si、または
Co-(27-29)Ni-(16-18)Cr-(4-5)Al-(0.4-0.8)Y、
特にCo-28Ni-17Cr-4.5Al-0.6Y
である、請求項1、2、3、4、5、または6に記載の層システム。
【請求項11】
前記外側金属ボンドコート(13)の前記MCrAlY合金が(wt%で)、
Ni-(24-26)Co-(16-18)Cr-(9-11)Al-(0.1-0.5)Y-(1-2)Re、
特にNi-25Co-17Cr-10Al-0.3Y-1.5Re、または
Co-(29-31)Ni-(27-29)Cr-(7-9)Al-(0.4-0.8)Y-(0.5-0.9)Si、
特にCo-30Ni-28Cr-8Al-0.6Y-0.7Si、または
Co-(27-29)Ni-(23-25)Cr-(9-11)Al-(0.4-0.8)Y、
特にCo-28Ni-24Cr-10Al-0.6Y、または
Ni-(24-26)Co-(22-24)Cr-(9-11)Al-(0.1-0.4)Y、
特にNi-25.2Co-22.8Cr-10.1Al-0.17Y、または
Ni-(19-21)Co-(23-25)Cr-(6-8)Al-(0.3-0.9)Y、
特にNi-20Co-24Cr-7Al-0.6Y、または
Co-(34-36)Ni-(19-21)Cr-(10.5-12.5)Al-(0.08-0.4)Y-(0.1-0.5)Si、
特にCo-35Ni-20Cr-11.5Al-0.2Y-0.3Si、または
Ni-(11-13)Co-(20-22)Cr-(10-12)Al-(0.2-0.6)Y-(1-2)Re、
特にNi-12Co-21Cr-11Al-0.4Y-1.5Re
の群から選択されるが、それぞれが、請求項4または請求項5に記載のアルミニウム(Al)および/またはクロム(Cr)の含有量に変更され、ニッケル(Ni)またはコバルト(Co)のベースによって、前記差を平衡化する、請求項1、2、3、4、または6に記載の層システム。
【請求項12】
前記外側金属層(13)が、前記内側金属層(10)よりも薄く、
特に10%薄く、
極めて特に20%薄い、請求項1から11のいずれかに記載の層システム。
【請求項13】
内側セラミック層(19)と、
外側セラミック層(22)と
を備える、請求項1から12のいずれかに記載の層システム。
【請求項14】
前記内側セラミック層(19)だけが、ナノ構造である、請求項13に記載の層システム。
【請求項15】
前記内側セラミック層(19)が、前記外側セラミック層(22)よりも薄く、
特に少なくとも10%薄く、
極めて特に少なくとも20%薄い、請求項13または14に記載の層システム。
【請求項16】
前記内側セラミック層(19)が、100μmまでの厚さを有する、請求項13、14、または15に記載の層システム。
【請求項17】
前記内側セラミック層(10)が、少なくとも10μm、
特に少なくとも20μm
の厚さを有する、請求項13、14、15、または16に記載の層システム。
【請求項18】
前記内側セラミック層(19)が、3vol%から14vol%の間、
特に9vol%から14vol%の間
の気孔率を有する、請求項13、14、15、16、または17に記載の層システム。
【請求項19】
前記上側層(13)が、30vol%まで、特に15vol%よりも高く30vol%までの気孔率を有する、請求項13から18のいずれかに記載の層システム。
【請求項20】
前記2つのセラミック層(10、13)の材料が同じであり、
特に安定化ジルコニアであり、
極めて特にイットリア安定化ジルコニアである、請求項13から19のいずれかに記載の層システム。
【請求項21】
前記内側セラミック層(10)の材料が、ジルコニアを含み、
特にイットリア安定化ジルコニアが存在する、請求項13から20のいずれかに記載の層システム。
【請求項22】
前記外側セラミック層(13)の材料が、前記内側セラミック層(10)の材料とは異なり、
特に前記外側セラミック層(13)が、パイロクロア構造を有する、請求項13から21のいずれかに記載の層システム。
【請求項23】
前記ナノ構造層(10)の粒子の少なくとも90%の最大粒径が、500nmであり、
特に全ての粒径が500nm未満であり、
極めて特に300nm未満である、請求項13から22のいずれかに記載の層システム。
【請求項24】
前記内側層(10)の粒径が、少なくとも50nmであり、
特に≧100nm、
極めて特に≧200nmである、請求項13から23のいずれかに記載の層システム。
【請求項25】
前記セラミック層(16)が、2つの層(10、13)からなる、請求項13から24のいずれかに記載の層システム。
【請求項26】
前記外側セラミック層(13)が、10μmよりも大きい粒径を少なくとも70%有し、
特に10μmよりも大きい粒径を少なくとも90%有する、請求項13から25のいずれかに記載の層システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−520567(P2013−520567A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554228(P2012−554228)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/052464
【国際公開番号】WO2011/103927
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(508008865)シーメンス アクティエンゲゼルシャフト (99)
【Fターム(参考)】