説明

2次元走査装置及び携帯端末機

【課題】本発明は、第1軸周りの揺動と第2軸周りの揺動とを異なる周波数で行うことに適した2次元走査装置、及び、該2次元走査装置を備えた携帯端末機を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、共振現象を利用した第1軸周りの揺動が可能に支持された揺動部材31を具備するMEMSデバイス3と、回転力を発生させるモータ5と、モータ5が発生させる回転力をMEMSデバイス3を揺動させる揺動力に変換し、該揺動力をMEMSデバイス3に伝達することによって、MEMSデバイス3を第1軸と直交する第2軸周りに揺動させる動力伝達機構6とを備えたことを特徴とする2次元走査装置2、及び該2次元走査装置2を備えた携帯端末機1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元走査が可能な2次元走査装置、及び、該2次元走査装置を備えた携帯端末機に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光を反射して画像の読取り、書込み等を行う2次元走査装置として、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて作製されたMEMSデバイスが知られている。かかるMEMSデバイスは、レーザ光を反射して、レーザ光を2次元走査させる揺動部材を備えている。かかる揺動部材は、第1軸周り、及び、第1軸と直交する第2軸周りに揺動可能とされている。揺動部材の第1軸周り及び第2軸周りの揺動は、小さな駆動力で大きな振れ角を得ることが可能なように、共振現象が利用されることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
2次元走査の代表的な方式として、ラスタスキャンを挙げることができる。このラスタスキャンは、副走査を1回行う間に主走査を複数回行う方式である。例えば、480画素×480画素の画像をラスタスキャンで読取る又は書込む場合においては、副走査を1回行う間に主走査が480回行われる。
【0004】
揺動部材の第1軸周り及び第2軸周りの揺動に共振現象を利用するMEMSデバイスによって、480画素×480画素の画像をラスタスキャンで読取る又は書込む場合、揺動部材の第1軸周りの固有振動数と揺動部材の第2軸周りの固有振動数とを480倍異ならせる必要がある。揺動部材の第1軸周りと揺動部材の第2軸周りとで固有振動数を480倍異ならせるためには、揺動部材の第1軸周りのねじり剛性と揺動部材の第2軸周りのねじり剛性とを480倍の2乗の約23万倍異ならせる必要がある。このように第1軸周りと第2軸周りとでねじり剛性が大きく異なる揺動部材を作製することは非常に困難である。よって、揺動部材の第1軸周り及び第2軸周りの揺動に共振現象を利用するMEMSデバイスにおいては、揺動部材の揺動周波数を第1軸周りと第2軸周りとで大きく異ならせることが困難である。このため、このようなMEMSデバイスは、ラスタスキャンに適さない。
【0005】
本発明は、第1軸周りと第2軸周りの揺動周波数を大きく異ならせることができ、ひいては、ラスタスキャンに適した2次元走査装置、及び、該2次元走査装置を備えた携帯端末機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するべく、本発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載の如く、共振現象を利用した第1軸周りの揺動が可能に支持された揺動部材を具備するMEMSデバイスと、回転力を発生させるモータと、前記モータが発生させる回転力を前記MEMSデバイスを揺動させる揺動力に変換し、該揺動力を前記MEMSデバイスに伝達することによって、前記MEMSデバイスを前記第1軸と直交する第2軸周りに揺動させる動力伝達機構とを備えたことを特徴とする2次元走査装置を提供する。
【0007】
本発明に係る2次元走査装置においては、揺動部材を具備したMEMSデバイスを第2軸周りに揺動させることで、揺動部材を第2軸周りに揺動させる。MEMSデバイスの第2軸周りの揺動は、モータが発生させる回転力を変換することで得られた揺動力によって行われる。よって、揺動部材の第2軸周りの揺動は、共振現象を利用して行われるものでなく、揺動部材の第2軸周りの揺動周波数は、揺動部材の第2軸周りの固有振動数によって決定されるものでない。このため、本発明に係る2次元走査装置は、揺動部材の揺動周波数を第1軸周りと第2軸周りとで大きく異ならせることが容易に可能である。従って、本発明に係る2次元走査装置は、ラスタスキャンに適する。
【0008】
モータが発生させる回転力をMEMSデバイスを揺動させる揺動力に変換し、該揺動力をMEMSデバイスに伝達する具体的構成として、特許請求の範囲の請求項2に記載の如く、前記動力伝達機構は、前記モータが発生させる回転力によって回転し、且つ、前記MEMSデバイスを押圧する押圧カムと、前記押圧カムの押圧方向と反対方向に前記MEMSデバイスを押圧する押圧部材とを具備し、前記押圧部材によって前記MEMSデバイスが押圧された状態で前記押圧カムが回転することにより、前記MEMSデバイスを往復運動させることで、前記モータが発生させる回転力を前記MEMSデバイスを揺動させる揺動力に変換し、該揺動力を前記MEMSデバイスに伝達する構成を挙げることができる。
【0009】
動力伝達機構が押圧カム及び押圧部材を具備した具体的構成として、特許請求の範囲の請求項3に記載の如く、前記押圧カムは、その回転軸に対して傾斜し、且つ、前記MEMSデバイスを前記回転軸方向の一方向に押圧する傾斜面を有し、前記押圧部材は、前記押圧カムの押圧方向と反対方向に前記MEMSデバイスを押圧することで、前記MEMSデバイスを前記傾斜面に押圧し、前記動力伝達機構は、前記押圧部材によって前記MEMSデバイスが前記傾斜面に押圧された状態で前記押圧カムが回転することにより、前記MEMSデバイスを前記往復運動させる構成を挙げることができる。
【0010】
また、動力伝達機構が押圧カム及び押圧部材を具備した他の具体的構成として、特許請求の範囲の請求項4に記載の如く、前記押圧カムは、周方向に沿って深さが変動する摺動溝が周方向に形成され、前記MEMSデバイスは、前記摺動溝を摺動する摺動部を具備し、前記押圧カムは、前記摺動溝の底部で前記摺動部を前記深さ方向の一方向に押圧し、前記押圧部材は、前記押圧カムの押圧方向と反対方向に前記摺動部を押圧することで、前記摺動部を前記摺動溝の底部に押圧し、前記動力伝達機構は、前記押圧部材によって前記摺動部が前記摺動溝の底部に押圧された状態で前記押圧カムが回転することにより、前記MEMSデバイスを前記往復運動させる構成を挙げることができる。
【0011】
また、押圧部材の具体的構成として、特許請求の範囲の請求項5に記載の如く、前記押圧部材は、前記MEMSデバイスを第2軸周りに揺動可能に支持する第2軸部材で構成され、前記第2軸部材は、前記MEMSデバイスと接続され、且つ、前記MEMSデバイスと共に第2軸周りに揺動する接続部と、第2軸周りの揺動が不能に支持された固定部とを有し、前記押圧カムによって前記MEMSデバイスが押圧されることにより、前記接続部が前記固定部に対して第2軸周りに回動することで捻じれると、捻り復元力を前記MEMSデバイスに付与することで、前記押圧カムの押圧方向と反対方向に前記MEMSデバイスを押圧する構成を挙げることができる。
【0012】
また、押圧部材の具体的構成として、特許請求の範囲の請求項6に記載の如く、前記押圧部材は、第2軸周りの一方向に回動するように付勢された付勢部と、前記付勢部の回動の中心となる回動中心部とを有し、前記MEMSデバイスは、前記付勢部と前記回動中心部とに固定され、前記押圧部材は、前記付勢部で前記MEMSデバイスを第2軸周りの一方向に押圧することで、前記押圧カムの押圧方向と反対方向に前記MEMSデバイスを押圧する構成を挙げることができる。
【0013】
また、モータが発生させる回転力をMEMSデバイスを揺動させる揺動力に変換し、該揺動力をMEMSデバイスに伝達する他の具体的構成として、特許請求の範囲の請求項7に記載の如く、前記動力伝達機構は、前記モータが発生させる回転力によって回転し、且つ、該回転によって前記MEMSデバイスを往復運動させる確動カムを具備し、前記確動カムが回転することによって、前記MEMSデバイスを前記往復運動させることにより、前記モータが発生させる回転力を前記MEMSデバイスを揺動させる揺動力に変換し、該揺動力を前記MEMSデバイスに伝達する構成を挙げることができる。
【0014】
動力伝達機構が確動カムを具備した具体的構成として、特許請求の範囲の請求項8に記載の如く、前記確動カムは、その回転軸方向に蛇行する摺動溝が周方向に形成され、前記MEMSデバイスは、前記摺動溝を摺動する摺動部を具備し、前記動力伝達機構は、前記確動カムが回転することによって、前記摺動部を前記摺動溝に摺動させて前記摺MEMSデバイスを前記往復運動させる構成を挙げることができる。
【0015】
本発明に係る2次元走査装置は、特許請求の範囲の請求項8及び9に記載の如く、前記モータと前記押圧カム又は前記確動カムとを連結し、前記モータと連結した前記押圧カム又は前記確動カムを前記モータの回転速度より低い回転速度で回転させる減速機構を備えてもよい。
【0016】
かかる構成によれば、押圧カム又は確動カムの回転速度がモータの回転速度より低くなるため、減速機構を備えない構成(モータの回転速度と同一の回転速度で押圧カム又は確動カムを回転させる構成)に比べて、揺動部材の第2軸周りの揺動周波数を低く抑えることができる。従って、かかる構成によれば、モータの回転速度と同一の回転速度で押圧カム又は確動カムが回転すると、揺動部材の第2軸周りの揺動周波数が要求される揺動周波数より高くなる場合であっても、揺動部材の第2軸周りの揺動周波数を要求される揺動周波数に合わせることができる。
【0017】
また、本発明は、特許請求の範囲の請求項11に記載の如く、請求項1〜9の何れか1項に記載の2次元走査装置を備え、前記2次元走査装置は、前記モータと前記動力伝達機構とを連結解除自在に連結させる連結部を具備し、前記モータは、イベントの発生を知らせるための振動を生じさせる振動モータであることを特徴とする携帯端末機を提供することもできる。
【0018】
本発明に係る携帯端末機においては、2次元走査装置が備えるモータは、イベントの発生を知らせるための振動を生じさせる振動モータであり、該モータは、動力伝達機構と連結解除自在に連結されている。モータと動力伝達機構とを連結すると、モータが発生させる回転力が動力伝達機構に伝達されるため、モータをMEMSデバイスの第2軸周りの揺動に使用できる。一方、モータと動力伝達機構との連結を解除すると、モータが発生させる回転力が動力伝達機構に伝達されないため、モータの回転によってイベントの発生を知らせる振動が携帯端末機に生じる。よって、本発明に係る携帯端末機によれば、1つのモータで、MEMSデバイスの第2軸周りの揺動と、イベントの発生を知らせることを実現できる。従って、本発明に係る2次元走査装置を備える携帯端末機は、軽量化及びコンパクト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、揺動部材の揺動周波数を第1軸周りと第2軸周りとで大きく異ならせることが容易に可能であり、ひいては、ラスタスキャンに適した2次元走査装置、及び、該2次元走査装置を備えた携帯端末機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係る携帯端末機1の概略構成図である。図1(a)及び図1(b)は、モータ5と動力伝達機構6とが連結している状態のときの概略構成図を示す。図1(c)は、モータ5と動力伝達機構6とが連結していない状態のときの概略構成図を示す。携帯端末機1には、例えば、携帯電話を用いることができる。図1に示すように、携帯端末機1に備えられる2次元走査装置2は、MEMSデバイス3と、モータ5と、動力伝達機構6とを備える。更に、2次元走査装置2は、MEMSデバイス3と、モータ5と、動力伝達機構6との他、連結部7と、レーザ8とを備える。
【0021】
MEMSデバイス3は、MEMSデバイス本体とMEMSデバイス本体を収容する筐体40とを備える。図2は、図1(a)の矢印A方向から見たMEMSデバイス3の外観図である。図3は、MEMSデバイス本体30の分解図である。図3に示すように、MEMSデバイス本体30は、シリコン材から形成された上層基板3Aと絶縁材料(例えばガラス材)から形成された下層基板3Bとが上下に積層された構造を有している(図3は、上層基板3Aと下層基板3Bとが分離した状態を示すが、実際には両者は接合されている)。尚、本実施形態に係るMEMSデバイス本体30は、エッチングや成膜などの公知のMEMS技術を適用することにより当業者であれば容易に作製することが可能であるため、その具体的な製造方法については説明を省略する。
【0022】
上層基板3Aには、中央に平面視楕円状の揺動部材31が形成されていると共に、その第1軸(図3に示すX軸。尚、各図において矢印Xは、第1軸を表す)方向両端部に、それぞれ接続部32を介してサスペンションビーム33A、33Bが形成されている。揺動部材31は、サスペンションビーム33A、33Bによって第1軸周り(図2及び図3に示す矢印U方向)に揺動可能に支持されている。
【0023】
サスペンションビーム33A、33Bの第1軸方向端部(揺動部材31に接続されている側と反対側の端部)は、ヒンジ35A、35Dを介して、アンカーとなる接着パッド34A、34Bにそれぞれ接続されている。また、サスペンションビーム33Aには、接着パッド34Cと、ヒンジ35Bとが形成されており、ヒンジ35Bが接着パッド34Cに接続されている。同様にして、サスペンションビーム33Bには、接着パッド34Dとヒンジ35Cとが形成されており、ヒンジ35Cが接着パッド34Dに接続されている。
【0024】
また、サスペンションビーム33A、33Bの第2軸(図3に示すY軸。尚、各図において矢印Yは、第2軸を表す)方向の端部には、電極として第2軸方向に延びる揺動櫛歯38A、38Bが形成されている。尚、第2軸とは、第1軸と直交し、且つ、揺動部材31の楕円状表面と平行な軸である。かかる揺動櫛歯38A、38Bは、上層基板3Aの本体39に形成された電極として第2軸方向に延びる固定櫛歯39A、39Bと第1軸方向に沿って交互に配置されている。このような揺動櫛歯38Aと固定櫛歯39Aとの間、及び、揺動櫛歯38Bと固定櫛歯39Bとの間に交流電圧を印加できるように、揺動櫛歯38A、38Bと固定櫛歯39A、39Bとは、交流電源(図示しない)に接続されている。
【0025】
一方、下層基板3Bには、上層基板3Aに形成された揺動部材31とサスペンションビーム33A、33Bとを第1軸周りに揺動可能とするべく、揺動部材31に対応する位置に楕円形の掘り込み領域36が形成され、サスペンションビーム33A、33Bに対応する位置に矩形の掘り込み領域36A、36Bが形成されている。また、下層基板3Bには、上層基板3Aと下層基板3Bとが積層された状態で上層基板3Aに形成された接着パッド34C、34Dの裏面をそれぞれ固着するべく、固定用パッド37A、37Bが形成されている。また、接着パッド34A、34Bの裏面は、下層基板3Bの周壁37Cに固着される。
【0026】
以上に説明した構成を有するMEMSデバイス本体30において、揺動櫛歯38Aと固定櫛歯39Aとの間、及び、揺動櫛歯38Bと固定櫛歯39Bとの間に交流電圧を印加すると、揺動櫛歯38Aと固定櫛歯39A、及び、揺動櫛歯38Bと固定櫛歯39Bとの間に静電力が作用する。この静電力が作用することにより、揺動部材31は、接着パッド34A〜34Dを固定端とし、ヒンジ35A〜35Dの弾性力に抗しながら第1軸周りに揺動することになる。
【0027】
この第1軸周りの揺動を共振現象を利用して行うために、揺動櫛歯38Aと固定櫛歯39Aとの間、及び、揺動櫛歯38Bと固定櫛歯39Bとの間に印加する交流電圧の周波数は、揺動部材31の第1軸周りの固有振動数の約2倍とされている。
【0028】
以上に説明した構成を有するMEMSデバイス本体30が収容される筐体40は、図2に示すように、光学窓41と第2軸部材42とを備える。
【0029】
光学窓41は、筐体40に収容されたMEMSデバイス本体30の揺動部材31と対向する位置に設けられている。この光学窓41が設けられることにより、筐体40の外部に設置されたレーザ8(図1参照)からのレーザ光81を揺動部材31で反射し、レーザ光81の反射光82を筐体40の外部に出射させることが可能とされている。尚、揺動部材31の光学窓41側の表面は、レーザ光81を効率良く反射させるために、アルミ蒸着などのミラー加工が表面に施されている。
【0030】
第2軸部材42は、MEMSデバイス3を第2軸周りに揺動可能に支持している。第2軸部材42は、筐体40の外側に延出され、携帯端末機1又は2次元走査装置2の筐体10に、第2軸周りに揺動可能に支持されている。このように第2軸周りに揺動可能に支持されることにより、MEMSデバイス3は、第2軸周り(図1(a)及び図2に示す矢印V方向)に揺動することができる構成とされている。
【0031】
図1に示すように、モータ5は、イベントの発生を知らせるための振動を生じさせる振動モータである。携帯端末機1が携帯電話である場合、イベントとしては、電話の着信、メールの受信などを挙げることができる。モータ5は、回転子51と、回転子51との相互作用により図1(a)及び図1(b)の矢印P方向に回転子51を回転させる回転力を発生させる固定子52と、回転子51の回転を外部に伝える回転軸53と、回転軸53に偏心して取り付けられた分銅54とを備えている。上述の回転力により回転子51が回転すると、該回転力によって分銅54が回転し、分銅54の回転によってモータ5自身が振動する。分銅54は、連結部7と連結解除自在に連結される。本実施形態では、分銅54が連結部7と連結解除自在に連結できるように、モータ5の回転軸53は、進退可能に構成されている。分銅54が連結部7と連結しているときは、分銅54が回転すると、連結部7が回転する。よって、分銅54が連結部7と連結しているときは、モータ5が発生させた回転力は、連結部7に伝達される。
【0032】
図1に示すように、動力伝達機構6は、モータ5が発生させる回転力をMEMSデバイス3を揺動させる揺動力に変換し、該揺動力をMEMSデバイス3に伝達することによって、MEMSデバイス3を第2軸周り(図1(a)及び図2に示す矢印V方向)に揺動させる。かかる動力伝達機構6は、押圧カム61と押圧部材62とを備える。
【0033】
押圧カム61は、モータ5が発生させる回転力によって回転し、MEMSデバイス3を押圧する。かかる押圧カム61の回転軸611には、連結部7が固定されている。押圧カム61は、連結部7を介してモータ5が発生させる回転力が伝達される。押圧カム61は、連結部7を介してモータ5が発生させる回転力が伝達されると、回転軸611を中心にして矢印P方向に回転する(図1(a)及び図1(b)参照)。
【0034】
このような押圧カム61は、その回転軸611に対して傾斜し、且つ、MEMSデバイス3をその回転軸方向の一方向(図1(a)の矢印M1方向)に押圧する傾斜面612を有している。この傾斜面612には、MEMSデバイス3の筐体40が当接している。押圧カム61が回転して、押圧カム61が、図1(a)から図1(b)に示す状態となる際には、筐体40は、傾斜面612によって押圧カム61の回転軸方向の一方向(図1(a)の矢印M1方向)に押圧され、これにより、MEMSデバイス3は、第2軸周りの一方向(図1(b)の矢印V1方向)に回転する。
【0035】
一方、押圧部材62は、押圧カム61の押圧方向と反対方向にMEMSデバイス3を押圧することで、MEMSデバイス3を傾斜面612に押圧する。図1(a)〜(c)に示すように、押圧部材62は、携帯端末機1又は2次元走査装置2の筐体10に固定された固定部621と、固定部621との接続部分を中心にして、第2軸周りの他方向(図1(b)の矢印V2方向)に回動するように付勢された付勢部622とを備える。付勢部622が当接する筐体40の部分は、傾斜面612が当接する部位に対して第2軸部材42を挟んで反対側の部分である。付勢部622は、MEMSデバイス3を第2軸周りの他方向(図1(b)の矢印V2方向)に押圧して、押圧カム61の押圧方向と反対方向にMEMSデバイス3を押圧することで、MEMSデバイス3を傾斜面612に押圧する。尚、押圧部材62には、例えば、つる巻きバネ等の弾性体を用いることができる。
【0036】
このように傾斜面612にMEMSデバイス3を押圧することで、押圧カム61が、図1(b)から図1(a)に示す状態となる際には、筐体40の傾斜面612と当接する当接部位が、図1(a)の矢印M1方向と反対方向に移動する。これにより、MEMSデバイス3は、第2軸周りの他方向(図1(b)の矢印V2方向)に回転する。
【0037】
以上のように、押圧カム61が矢印P方向に回転することで、筐体40の傾斜面612と当接する当接部位が往復運動することで、MEMSデバイス3が第2軸周りに揺動する。
【0038】
このようにMEMSデバイス3が第2軸周りに揺動すると、揺動部材31も第2軸周りに揺動する。よって、揺動部材31の第2軸周りの揺動周波数は、揺動部材31の第2軸周りの固有振動数によって決定されない。このため、2次元走査装置2は、揺動部材31の揺動周波数を第1軸周りと第2軸周りとで大きく異ならせることが容易に可能である。よって、2次元走査装置2は、ラスタスキャンに適する。この2次元走査装置2は、光源8からのレーザ光81を揺動部材31で反射させて、例えば携帯端末機1に備えられたモニタに画像を表示する(書込む)ことができる。また、2次元走査装置2は、反射光82を用いて画像の読取りを行うこともできる。
【0039】
尚、ラスタスキャンの主走査を行うための揺動を第1軸周りの揺動で実現し、ラスタスキャンの副走査を行うための揺動を第2軸周りの揺動で実現することが好ましい。ラスタスキャンにおいては、主走査に対応する揺動は副走査に対応する揺動よりも高い揺動周波数(通常、20kHz以上)で行うことが要求される。モータ5の回転力を変換させて生じた揺動力によって、このような高い揺動周波数での揺動を実現するためには、回転数が1,200,000rpm以上のモータが必要である。しかし、イベントの発生を知らせるための振動を生じさせる振動モータは、通常、回転数が10,000rpm以下である。従って、ラスタスキャンの主走査を行うための揺動を第1軸周りの揺動で実現し、ラスタスキャンの副走査を行うための揺動を第2軸周りの揺動で実現することで、モータ5にイベントの発生を知らせるための振動を生じさせる一般的な振動モータを用いた場合であっても、ラスタスキャンを行うことができる。
【0040】
また、本実施形態のように、2次元走査装置2を携帯端末機1に搭載する場合は、MEMSデバイス本体30の耐衝撃性を高める観点からも、ラスタスキャンの主走査を行うための揺動を第1軸周りの揺動で実現し、ラスタスキャンの副走査を行うための揺動を第2軸周りの揺動で実現することが好ましい。 ラスタスキャンの主走査を行うための揺動を第1軸周りの揺動で実現するために、第1軸周りの揺動周波数を高くする場合、ヒンジ35A〜35Dのねじり剛性を高くして、揺動部材31の第1軸周りの固有振動数が高くなる構造を採る必要がある。このように、ヒンジ35A〜35Dのねじり剛性を高くすると、MEMSデバイス本体30の耐衝撃性が向上する。よって、MEMSデバイス本体30の耐衝撃性を高める観点からも、ラスタスキャンの主走査を行うための揺動を第1軸周りの揺動で実現し、ラスタスキャンの副走査を行うための揺動を第2軸周りの揺動で実現することが好ましい。
【0041】
また、上述のように、携帯端末機1に備えられたモニタに画像を表示する際に、モータ5が回転することにより生じる振動を小さくするために、分銅54、連結部7、動力伝達機構6及びMEMSデバイス3を一体物と見なしたときの該一体物のモータの回転軸53に対する偏心量が小さくなるように設計することが好ましい。
【0042】
尚、連結部7と分銅54との連結が解除されているときは、分銅54が回転しても連結部7は回転しない。よって、連結部7と分銅54との連結が解除されているときは、モータ5の回転によって、イベントの発生を知らせる振動が携帯端末機1に生じる。
【0043】
よって、携帯端末機1は、イベントの発生を知らせるための振動を生じさせる振動モータとは別のモータを実装することなく、MEMSデバイス3を第2軸周りに揺動させて画像の表示等ができると共に、イベントの発生を知らせることができる。従って、2次元走査装置2を備える携帯端末機1は、軽量化及びコンパクト化を図ることができる。
【0044】
(実施形態2)
本実施形態に係る携帯端末機1Aは、MEMSデバイス3Aを第2軸周りに揺動させる方法が実施形態1に係る携帯端末機1と異なる。図4は、本実施形態に係る携帯端末機1Aの概略構成図である。図4(a)は正面図を示し、図4(b)は、図4(a)の矢印B方向からみた携帯端末機1Aの側面図を示す。
【0045】
図4(a)及び図4(b)に示すように、MEMSデバイス3Aは摺動部44Aを備え、摺動部44Aは、筐体40Aの第1軸(X軸)方向の一方の端部に取り付けられている。
【0046】
図4に示すように、携帯端末機1Aの動力伝達機構6Aは、押圧カム61Aと押圧部材62Aとを備える。押圧カム61Aは、その回転軸611Aが、第2軸(Y軸)方向と平行である。押圧カム61Aは、回転軸611Aが中心に位置した円板状に形成されている。更に、押圧カム61Aは、周方向に沿って深さが変動する摺動溝613Aが周方向に形成されている。ここで、深さとは、押圧カム61Aの径方向の寸法を意味する。かかる摺動溝613Aは、全周に亘って形成されている。図4(a)に示すように、摺動溝613Aは、深さが最も浅い部分614Aから周方向一方側(図4(a)においては、矢印P方向)に向かうに従い徐々に深さが大きくなっており、最も深い部分615Aと最も浅い部分614Aとの間は、深さが大きく変化する段差部616Aが形成
されている。かかる摺動溝613Aは、上述の摺動部44Aの先端が挿入され、底部617Aに挿入された摺動部44Aが当接している。
【0047】
押圧カム61Aは、モータ5Aが発生させる回転力により、図4(a)の矢印P方向に回転する。このような方向に押圧カム61Aが回転すると、摺動溝613Aにおいて、摺動部44Aの先端が挿入される部分の深さが徐々浅くなるため、摺動部44Aは、底部617Aによって押圧カム61Aの径外方向R1に押圧され、径外方向R1に移動する。これにより、筐体40の摺動部44Aが取り付けられた部分が、径外方向R1に移動し、これにより、MEMSデバイス3Aは、第2軸周りの一方向(図4(a)の矢印V1方向)に回転する。
【0048】
一方、MEMSデバイス3Aは、実施形態1に係るMEMSデバイス3と同様に、押圧部材62Aによって押圧カム61Aの押圧方向と反対方向に押圧されている。このため、摺動溝613Aにおいて、摺動部44Aの先端が挿入される部分が段差部616Aを介して最も浅い部分614Aから最も深い部分615Aに遷移する際には、摺動部44Aは押圧カム61Aの径内方向(図4(a)の矢印R1方向と反対方向)に移動する。よって、該遷移時において、筐体40の摺動部44Aが取り付けられた部分が、押圧カム61Aの径内方向に移動する。これにより、MEMSデバイス3Aは、第2軸周りの他方向(図4(a)の矢印V2方向)に回転する。
【0049】
以上のように、押圧カム61Aが矢印P方向に回転することで、筐体40の摺動部44Aが取り付けられた部分が往復運動することで、MEMSデバイス3Aが第2軸周りに揺動する。
【0050】
(実施形態3)
図5は、本実施形態に係る携帯端末機1Bの概略構成図である。本実施形態に係る携帯端末機1Bは、MEMSデバイス3Bを第2軸周りに揺動させる方法が実施形態1に係る携帯端末機1と異なる。
【0051】
図5に示すように、MEMSデバイス3Bは摺動部44Bを備え、摺動部44Bは、筐体40Bの第1軸(X軸)方向の一方の端部に取り付けられている。
【0052】
一方、動力伝達機構6Bは、確動カム66Bを備える。確動カム66Bは、モータ5Bが発生させる回転力によって回転し、MEMSデバイス3Bを往復運動させる。確動カム66Bの回転軸661Bは、連結部7Bが固定されている。確動カム66Bは、連結部7Bがモータ5Bの回転子51Bの回転によって回転すると、その回転軸661Bを中心にして図5の矢印P方向に回転する。確動カム66Bの周面には、回転軸661B方向に蛇行する摺動溝663Bが周面の全周に亘って形成されている。
【0053】
このような構成の摺動溝663Bには、上述の摺動部44Bの先端が挿入されている。よって、確動カム66Bが回転すると、摺動部44Bが摺動溝663Bに沿って摺動する。摺動溝663Bが回転軸方向(図5の矢印N方向)に蛇行していることで、摺動部44Bは、確動カム66Bが回転すると、往復運動する。摺動部44Bが往復運動することで、MEMSデバイス3Bは第2軸周りに揺動する。
【0054】
以上のように、本実施形態に係る動力伝達機構6Bは、モータ5Bが発生させる回転力により確動カム66Bを回転させることによって、MEMSデバイス3Bを第2軸周りに揺動させる。
【0055】
<第2軸部材の変形例>
実施形態1及び2に係る2次元走査装置2、2Aが備える第2軸部材42、42Aの変形例について説明する。本変形例に係る第2軸部材を図2を用いて説明する。図2に示すように、本変形例に係る第2軸部材42は、筐体40と共に第2軸周り(図2の矢印V方向)に揺動する接続部421と、第2軸周りの揺動が不能に支持された固定部422を有する。かかる固定部422は、携帯端末機1又は2次元走査装置2の筐体10等に第2軸周りの揺動が不能に支持されている。
【0056】
図1に示すように、MEMSデバイス3が第2軸周りの一方向(図1(b)の矢印V1方向)に回転すると、第2軸部材42の接続部421がMEMSデバイス3と共に第2軸周りの一方向に回転する。固定部422が第2軸周りの揺動が不能に支持されているため、接続部421が回転すると、第2軸部材42に捻じれが生じる。この捻じれにより生じる捻じれ復元力によって、MEMSデバイス3に第2軸周りの他方向(図1(b)の矢印V1方向)のモーメントが生じ、該モーメントにより、押圧カムの押圧方向と反対方向にMEMSデバイス3が回転しようとする。
【0057】
よって、本変形例に係る第2軸部材42は、実施形態1及び2に係る押圧部材62、62Aと同様の機能を有する。押圧部材62、62Aと同様の機能を有するため、本変形例に係る第2軸部材42を備えることで、押圧部材62、62Aが不要となり、実施形態1及び2に係る2次元走査装置2、2Aの部品の削減、及び、コンパクト化等を図ることができる。
【0058】
<押圧部材の変形例>
実施形態1及び2に係る2次元走査装置2、2Aが備える押圧部材61、62の変形例を説明する。図6は、本変形例に係る押圧部材62Cの構成図である。図6に示すように、本変形例に係る押圧部材62Cは、固定部621Cと、付勢部622Cと、回動中心部623Cとを備えている。固定部621Cは、実施形態1で説明した固定部621と同一の構成である。付勢部622Cは、回動中心部623Cを介して固定部621Cと接続され、回動中心部623Cを中心にして、第2軸周りの他方向(押圧カムの押圧方向と反対方向となる第2軸周りの一方向)に回動するように付勢されている。回動中心部623Cと付勢部622Cとには、MEMSデバイス3Cの筐体40Cが固定されている。
【0059】
MEMSデバイス3Cが押圧部材62Cの付勢部622C及び回動中心部623Cと固定されているので、押圧部材62Cを介してMEMSデバイス3Cを実施形態1及び2に係る携帯端末機1、1A又は2次元走査装置2、2Aの筐体10、10Aに支持させることができる。
【0060】
よって、実施形態1及び2に係る2次元走査装置2、2Aにおいて、本変形例に係る押圧部材62Cを具備すれば、第2軸部材42、42Aが無くても、MEMSデバイス3、3Aを第2軸周りに揺動させることができると共に、MEMSデバイス3、3Aを携帯端末機1、1A又は2次元走査装置2、2Aの筐体10、10Aに支持させることができる。このため、実施形態1及び2に係る2次元走査装置2、2Aにおいて、本変形例に係る押圧部材62Cを具備すれば、実施形態1及び2に係る2次元走査装置2、2Aの部品の削減、及び、コンパクト化等を図ることができる。
【0061】
実施形態1に係る2次元走査装置は、筐体の外部に設置されたレーザからのレーザ光を用いて2次元走査をする場合について説明したが、本発明に係る2次元走査装置は、図2に示すように、揺動部材31の表面に設置された発光素子9から発せられるレーザ光を用いて2次元走査を行うこともできる。
【0062】
このような方式であれば、光を揺動部材で反射させる必要がないため、揺動部材の表面にアルミ蒸着などのミラー加工を施す必要がない。また、ミラー加工を施さなければ、光学窓と揺動部材との間で多重反射が起こらず、ゴーストの発生を防止することができる。また、揺動部材の大きさを発光素子が載置できる大きさまで小さくすることができ、揺動部材のコンパクト化を図ることができ、コンパクト化により揺動部材の揺動に必要な駆動力を低減できる。また、筐体の外部から光を取り込まなくてもよいので、光学窓から光が入射する際に、光が反射したり、減衰したりすることを防止できる。
【0063】
また、本発明に係る2次元走査装置は、画像の読取り及び書込み以外にも、例えば、2次元走査装置から目標物までの距離の測定に用いることもできる。
例えば、揺動部材で反射した反射光を目標物に向けて出射し、出射した時から当該反射光が目標物に反射して当該2次元走査装置に戻ってくるまでの時間に基づいて2次元走査装置から目標物までの距離を測定することができる。
【0064】
実施形態1〜3においては、2次元走査装置は、携帯端末機に備えられているが、2次元走査装置が備えられる機器は、携帯端末機に限らず、例えば、プロジェクター、プリンター、スキャナなどの据え置き型の機器とすることもできる。
【0065】
また、本発明に係る2次元走査装置は、モータと押圧カム又は確動カムとを連結し、モータと連結した押圧カム又は確動カムをモータの回転速度より低い回転速度で回転させる減速機構を備えてもよい。図7は、減速機構10の構成の一具体例を示す。図7に示すように、本具体例においては、減速機10は、
連結部7Dと同軸周りに回転可能に連結部7Dに連結された第1部材11と、押圧カム61Dと同軸周りに回転可能に押圧カム61Dに連結された第2部材12と、減速部13とを備える。減速部13は、第1部材11と同軸周りに回転可能に第1部材11に取り付けられた第1歯車13aと、第2部材12と同軸周りに回転可能に第2部材12に取り付けられた第2歯車13bとを備える。第1歯車13aと第2歯車13bとは噛み合っており、よって、連結部7Dが回転すると、押圧カム61Dが回転する。第2歯車13bは、第1歯車13aより歯数が多く、よって、押圧カム61Dは、連結部7Dより低い回転速度で回転する。よって、モータ5Dの回転子51Dが回転し、連結部7Dが回転すると、押圧カム61Dは、モータ5Dの回転速度(回転子51Dの回転速度)より低い回転速度で回転する。従って、本発明に係る2次元走査装置が減速機構を備えることで、モータの回転速度と同一の回転速度で押圧カム又は確動カムが回転すると、揺動部材の第2軸周りの揺動周波数が要求される揺動周波数より高くなる場合であっても、揺動部材の第2軸周りの揺動周波数を要求される揺動周波数に合わせることができる。また、減速機構を備えることで、押圧カム又は確動カムを回転させるトルクが上昇し、モータの回転力が小さくても、押圧カム又は確動カムを十分に回転させることができる。
【0066】
尚、モータとして、回転軸を回転子の回転速度より低い回転速度で回転させる減速機構が具備されたモータを用いることもできる。このような減速機構が具備されたモータを用いれば、回転子の回転速度と同一の回転速度で押圧カムが回転すると、揺動部材の第2軸周りの揺動周波数が要求される揺動周波数より高くなる場合であっても、揺動部材の第2軸周りの揺動周波数を要求される揺動周波数に合わせることができる。
【0067】
また、揺動部材の第2軸周りの揺動周波数は、モータに供給する電流等を制御してモータの回転数を制御することにより、調整することが可能である。 また、本発明に係る2次元走査装置を、モニタへの画像の表示に用いる場合、モニタ全体の走査が2又はそれ以上の回数の行われる毎に、表示する画像を変更することで、画像のフレームレートを1/2又はそれ以下となるようにすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、実施形態1に係る携帯端末機の概略構成図である。図1(a)及び図1(b)は、モータと動力伝達機構とが連結している状態のときの概略構成図を示す。図1(c)は、モータと動力伝達機構とが連結していない状態のときの概略構成図を示す。
【図2】図2は、図1(a)の矢印A方向から見たMEMSデバイスの外観図である。
【図3】図3は、MEMSデバイス本体の分解図である。
【図4】図4は、実施形態2に係る携帯端末機の概略構成図である。図4(a)は、正面図を示す。図4(b)は、図4(a)の矢印B方向からみた携帯端末機の側面図を示す。
【図5】図5は、実施形態3に係る携帯端末機の概略構成図である。
【図6】図6は、変形例に係る押圧部材の構成図である。
【図7】図7は、減速機構の構成の一具体例を示す。
【符号の説明】
【0069】
1、1A、1B…携帯端末機、2、2A、2B…2次元走査装置、3、3A、3B、3C…MEMSデバイス、30…MEMSデバイス本体、31、31A、31B…揺動部材、5A、5B、5D…モータ、6、6A、6B…動力伝達機構、7、7A、7B、7D…連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共振現象を利用した第1軸周りの揺動が可能に支持された揺動部材を具備するMEMSデバイスと、
回転力を発生させるモータと、
前記モータが発生させる回転力を前記MEMSデバイスを揺動させる揺動力に変換し、該揺動力を前記MEMSデバイスに伝達することによって、前記MEMSデバイスを前記第1軸と直交する第2軸周りに揺動させる動力伝達機構とを備えたことを特徴とする2次元走査装置。
【請求項2】
前記動力伝達機構は、
前記モータが発生させる回転力によって回転し、且つ、前記MEMSデバイスを押圧する押圧カムと、
前記押圧カムの押圧方向と反対方向に前記MEMSデバイスを押圧する押圧部材とを具備し、
前記押圧部材によって前記MEMSデバイスが押圧された状態で前記押圧カムが回転することにより、前記MEMSデバイスを往復運動させることで、前記モータが発生させる回転力を前記MEMSデバイスを揺動させる揺動力に変換し、該揺動力を前記MEMSデバイスに伝達することを特徴とする請求項1に記載の2次元走査装置。
【請求項3】
前記押圧カムは、その回転軸に対して傾斜し、且つ、前記MEMSデバイスを前記回転軸方向の一方向に押圧する傾斜面を有し、
前記押圧部材は、前記押圧カムの押圧方向と反対方向に前記MEMSデバイスを押圧することで、前記MEMSデバイスを前記傾斜面に押圧し、
前記動力伝達機構は、前記押圧部材によって前記MEMSデバイスが前記傾斜面に押圧された状態で前記押圧カムが回転することにより、前記MEMSデバイスを前記往復運動させることを特徴とする請求項2に記載の2次元走査装置。
【請求項4】
前記押圧カムは、周方向に沿って深さが変動する摺動溝が周方向に形成され、
前記MEMSデバイスは、前記摺動溝を摺動する摺動部を具備し、
前記押圧カムは、前記摺動溝の底部で前記摺動部を前記深さ方向の一方向に押圧し、
前記押圧部材は、前記押圧カムの押圧方向と反対方向に前記摺動部を押圧することで、前記摺動部を前記摺動溝の底部に押圧し、
前記動力伝達機構は、前記押圧部材によって前記摺動部が前記摺動溝の底部に押圧された状態で前記押圧カムが回転することにより、前記MEMSデバイスを前記往復運動させることを特徴とする請求項2に記載の2次元走査装置。
【請求項5】
前記押圧部材は、前記MEMSデバイスを第2軸周りに揺動可能に支持する第2軸部材で構成され、
前記第2軸部材は、前記MEMSデバイスと接続され、且つ、前記MEMSデバイスと共に第2軸周りに揺動する接続部と、第2軸周りの揺動が不能に支持された固定部とを有し、前記押圧カムによって前記MEMSデバイスが押圧されることにより、前記接続部が前記固定部に対して第2軸周りに回動することで捻じれると、捻り復元力を前記MEMSデバイスに付与することで、前記押圧カムの押圧方向と反対方向に前記MEMSデバイスを押圧することを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の2次元走査装置。
【請求項6】
前記押圧部材は、第2軸周りの一方向に回動するように付勢された付勢部と、前記付勢部の回動の中心となる回動中心部とを有し、
前記MEMSデバイスは、前記付勢部と前記回動中心部とに固定され、
前記押圧部材は、前記付勢部で前記MEMSデバイスを第2軸周りの一方向に押圧することで、前記押圧カムの押圧方向と反対方向に前記MEMSデバイスを押圧することを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の2次元走査装置。
【請求項7】
前記動力伝達機構は、
前記モータが発生させる回転力によって回転し、且つ、該回転によって前記MEMSデバイスを往復運動させる確動カムを具備し、
前記確動カムが回転することによって、前記MEMSデバイスを前記往復運動させることにより、前記モータが発生させる回転力を前記MEMSデバイスを揺動させる揺動力に変換し、該揺動力を前記MEMSデバイスに伝達することを特徴とする請求項1に記載の2次元走査装置。
【請求項8】
前記確動カムは、その回転軸方向に蛇行する摺動溝が周方向に形成され、
前記MEMSデバイスは、前記摺動溝を摺動する摺動部を具備し、
前記動力伝達機構は、前記確動カムが回転することによって、前記摺動部を前記摺動溝に摺動させて前記摺MEMSデバイスを前記往復運動させることを特徴とする請求項7に記載の2次元走査装置。
【請求項9】
前記モータと前記押圧カムを連結し、前記押圧カムを前記モータの回転速度より低い回転速度で回転させる減速機構を備えることを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記載の2次元走査装置。
【請求項10】
前記モータと前記確動カムとを連結し、前記確動カムを前記モータの回転速度より低い回転速度で回転させる減速機構を備えることを特徴とする請求項7又は8に記載の2次元走査装置。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか1項に記載の2次元走査装置を備え、
前記2次元走査装置は、前記モータと前記動力伝達機構とを連結解除自在に連結させる連結部を具備し、
前記モータは、イベントの発生を知らせるための振動を生じさせる振動モータであることを特徴とする携帯端末機。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−58940(P2009−58940A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175301(P2008−175301)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000183369)住友精密工業株式会社 (336)
【Fターム(参考)】