説明

3−(1H−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンの塩

本発明は、3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンの酸付加塩、その結晶形、その製造方法、それを含む医薬組成物、および治療処置におけるその使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンの酸付加塩、およびその結晶形に関する。また、その製造方法、本発明の化合物を含む医薬組成物、および温血動物、特にヒトの治療処置におけるその使用も提供する。
【背景技術】
【0002】
3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオン(本明細書において、「本発明の化合物」と称する)は、式(I)
【化1】

として表すことができ、EP1337527(ここに引用することによりその全体を本明細書の一部とする)から知られており、それに記載されている通りに合成することができる。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、既知の式(I)の化合物の、新規かつ改良された塩、多形および溶媒和物に関する。式(I)の化合物には、ラセミ形またはエナンチオマー形が含まれる。
遊離塩基形の本発明の化合物は、比較的低い水性媒体への溶解性を示す。したがって、これを例えば経口投与用医薬組成物に製剤することは、単純ではなく、あるいは容易ではない。
医薬組成物に製剤することができる塩を得るために、塩が固体状態で安定であることが重要である。
【0004】
本発明において、驚くべきことに、遊離塩基形の化合物を製剤するという課題が本発明の化合物によって解決され得ることを見出した。予期し得ないことに、式Iの化合物とのいくつかの塩、例えば特定の酸との塩が、特に有用な薬物動態特性を有しており、さらに本発明の化合物を含む経口投与用医薬組成物の製造に特に好適な、優れた複数の好ましい製剤特性を有することを見出した。
【0005】
本発明は、例えば既知の式(I)の化合物の次の塩を含む:
3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンの安息香酸塩、塩酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩(例えばメタンスルホン酸塩)、リン酸塩、コハク酸塩および酒石酸塩、好ましくは3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンのメタンスルホン酸塩およびマロン酸塩(本明細書において、「本発明の塩」と称する)。好ましい塩は、3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンのマレイン酸塩およびメシル酸塩である。
【0006】
本発明の塩、例えば3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンのマレイン酸塩およびメシル酸塩は、固体状態で、例えば密封容器中80℃、またはフタ無しの容器中80℃/75%r.h.、または光曝露(1200kLux、300〜800nm)で1週間後、極めて良好な安定性を示す。
かかる結晶形は、改善された安定性および純度を示し、従って例えば、工場内での取り扱いがより容易である。
【0007】
さらに、驚くべきことに、本発明において、ある条件下で結晶形または溶媒和物形が本発明の塩から、例えば安息香酸、塩酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、メタンスルホン酸、コハク酸または酒石酸との塩から得られることを見出した。
【0008】
本発明の塩、例えば3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンのメシル酸塩またはマレイン酸塩は、好ましくは本質的に純粋であり、例えば本質的に純粋な形態で存在する。
【0009】
本発明において、本質的に純粋なる用語は、類縁物質の合計が重量基準で1%未満、好ましくは0.75%未満、より好ましくは0.5%未満であり、残留溶媒および水が重量基準で1%未満、好ましくは0.75%未満、より好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.25%未満であることを意味する。
【0010】
本発明の塩を選択する基準は、i)分解生成物および脱色の測定を含む、水溶性、ii)固体状態での熱安定性、iii)光曝露(例えばキセノン光)、iv)鉄腐食性を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンのメシル酸塩のSEMイメージを示す。
【図2】図2は3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンのマレイン酸塩のSEMイメージを示す。
【図3】図3は結晶形の3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンのメシル酸塩のX線回折ダイアグラムを示す。X線ダイアグラムにおいて、回折角2シータを横軸上にプロットし(x軸)、ピーク強度を縦軸上にプロットした(y軸)。粉末X線回折パターンはCu Kα放射線源(Kα1放射線、波長λ=1.54056オングストローム)を備えたBruker D8 Discover回折計で測定する。
【図4】図4は結晶形の3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンのマレイン酸塩のX線回折ダイアグラムを示す。X線ダイアグラムにおいて、回折角2シータを横軸上にプロットし(x軸)、ピーク強度を縦軸上にプロットした(y軸)。粉末X線回折パターンはCu Kα放射線源(Kα1放射線、波長λ=1.54056オングストローム)を備えたBruker D8 Discover回折計で測定する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において、実測回折角2シータは、上記屈折角から±0.1°、±0.2°、±0.3°、好ましくは±10%または±20%まで、変動し得る。
【0013】
本発明の塩は、遊離塩基形の3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンを適切な溶媒、例えばアセトン、2−プロパノール、エタノール、酢酸エチル、アセトニトリルまたはそれらの混合物に懸濁して、製造することができる。次いで、塩形成剤(SFA)を対応する溶媒に溶解させ(酒石酸、フマル酸およびクエン酸については、SFAを溶解させるために水も加えてよい)、遊離塩基の懸濁液/溶液に加える。該混合物を20℃〜60℃、例えば30℃〜50℃、40℃〜50℃で撹拌する。最も好ましくは、該混合物は環境温度で撹拌する。
【0014】
本発明の塩は、濾過によって単離することができ、例えばXRPD、熱分析およびNMRスペクトルによって特徴付けることができる。
【0015】
次の塩を結晶固体として単離した。これらは130℃以上で分解により融解した:
安息香酸塩: 1:1塩;形(A)、154.2℃;アセトン溶媒和物(134.8℃)。
塩酸塩: 1:1塩;少なくとも4種の多形(B;C;D;E);2種の同一構造形溶媒和物(アセトンとのS、270.6℃;2−プロパノールとのS)。
クエン酸塩: 2:1塩;1種の多形(A)。
フマル酸塩: 2:1塩;1種の多形(A)、162.0℃;1種のメタノール溶媒和物(S)。
マレイン酸: 1:1塩;1種の多形(A)、180.2℃。
リンゴ酸塩: 2:1塩;多形(A、157.7℃;B、132.0℃;C;D;E);溶媒和物(メタノールとのS)。
マロン酸塩: 2:1塩;同形溶媒和物、174.6℃。
メチルスルホン酸塩: 1:1塩;2種の多形(A、284.8℃;B)、1種のアセトン溶媒和物(S)。
コハク酸塩: 2:1塩;1種の多形(A、154.7℃)、同形のフマル酸塩、溶媒和物。
酒石酸塩: 2:1塩、1種の多形(A)。
【0016】
℃での値は、融点(塩が分解により融解する温度)を示す。融点(℃)は、10℃/分の加熱速度で測定する。
【0017】
したがって、本発明は:
1.1 安息香酸、塩酸、クエン酸、フマル酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、メタンスルホン酸、リン酸、コハク酸および酒石酸から選択される酸、好ましくはマレイン酸またはメタンスルホン酸との3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンの塩、
1.2 結晶形または溶媒和物形の3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンの塩であって、安息香酸、塩酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、メタンスルホン酸、コハク酸および酒石酸から選択される酸、好ましくはマレイン酸またはメタンスルホン酸と形成される塩、
1.3 本質的に純粋な、例えば本質的に純粋な形態で存在する、上記1.1または1.2に記載の3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンの塩またはその結晶形
を提供する。
【0018】
本発明はまた、本発明の塩を製造する方法であって、遊離塩基形の式(I)の化合物と適切な酸とを反応させて、該反応混合物から得られた塩を回収することを含む方法も含む。本発明の方法は、常套の方法で、例えば適切な不活性溶媒、例えばアセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、エタノール、2−プロパノールまたはt−ブチルメチルエーテル中で反応させて、実施することができる。
該混合物は例えば環境温度、40〜50℃で撹拌してもよく、あるいは加熱してもよい。
【0019】
所望により、塩形成剤を加えることができ、例えば溶媒に溶解させて、遊離塩基の懸濁液/溶液に加えることができる。塩形製剤の可溶化を補助するために、水を加えてもよい。
【0020】
本発明において、本発明の塩を結晶化する方法が提供される。結晶が形成される正確な条件は、現在実験的に決定することができ、実施例に記載の結晶化条件を含む、多くの方法が実施に適している。
【0021】
本発明の塩は、Tリンパ球および/またはPKCによって介在される疾患または障害、例えば臓器もしくは組織同種もしくは異種移植片の急性もしくは慢性拒絶、またはT細胞介在性炎症性もしくは自己免疫性疾患、例えばアテローム性動脈硬化症、血管傷害、例えば血管形成に起因する血管閉塞、再狭窄、高血圧、心不全、慢性閉塞性肺疾患、CNS疾患、例えばアルツハイマー病または筋萎縮性側索硬化症、がん、感染症、例えばAIDS、感染性ショックまたは成人呼吸窮迫症候群、虚血/再灌流障害、例えば心筋梗塞、卒中、腸虚血、腎不全または出血ショック、または外傷性ショックの処置および/または予防に有用である。式(I)の化合物は、T細胞介在性急性または慢性炎症性疾患または障害、または自己免疫性疾患、例えばリウマチ性関節炎、骨関節炎、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、I型もしくはII型糖尿病、それに関連した障害、呼吸器疾患、例えば喘息または炎症性肺傷害、炎症性肝臓傷害、炎症性糸球体傷害、免疫学介在性障害または疾患の皮膚症状、炎症性および過増殖性皮膚疾患(例えば乾癬、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、刺激性接触性皮膚炎およびさらに湿疹性皮膚炎、脂漏性皮膚炎)、炎症性眼疾患、例えばショーグレン症候群、角結膜炎またはブドウ膜炎、炎症性腸疾患、クローン病または潰瘍性大腸炎の処置および/または予防にも有用である。
【0022】
上記にしたがって、本発明はさらに:
2.1 処置を必要とする対象においてTリンパ球および/またはPKCによって介在される障害または疾患、例えば上記のものを予防または処置する方法であって、当該対象に有効量の本発明の塩またはその結晶形を投与することを含む方法;
2.2 処置を必要とする対象において急性もしくは慢性移植片拒絶またはT細胞介在性炎症性もしくは自己免疫性疾患、例えば上記のものを予防または処置する方法であって、当該対象に有効量の本発明の塩またはその結晶形を投与することを含む方法;
3. 例えば上記2.1および2.2に記載の何れかの方法における医薬として使用するための、本発明の塩またはその結晶形;
4. 例えば上記2.1および2.2に記載の方法の何れかにおいて使用するための医薬組成物であって、本発明の塩またはその結晶形と、薬学的に許容される希釈剤または担体を含む医薬組成物;
5. 上記2.1および2.2に記載の方法の何れかに使用する医薬組成物の製造において使用するための、本発明の塩またはその結晶形;
6. 上記定義の方法によって製造される、本発明の塩またはその結晶形
を提供する。
【0023】
本発明の塩またはその結晶形、例えば3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンのメシル酸塩またはマレイン酸塩は、単独の有効成分として、または例えば同種または異種移植片急性もしくは慢性拒絶、または炎症性もしくは自己免疫性障害を処置または予防するための、免疫調節レジメンにおける他の薬剤、または他の抗炎症剤と共に、投与することができる。例えば、それらはシクロスポリン、またはアスコマイシン、またはそれらの免疫抑制類似体もしくは誘導体、例えばシクロスポリンA、シクロスポリンG、FK−506、ABT−281、ASM981;mTOR阻害剤、例えばラパマイシン、40−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシン等;コルチコステロイド;シクロホスファミド;アザチオプレン;メトトレキサート;リンパ球ホーミングを加速させる薬剤、例えばFTY720;レフルノミドまたはその類似体;ミゾリビン;ミコフェノール酸;ミコフェノール酸モフェチル;15−デオキシスペルグアリンまたはその類似体;免疫抑制性モノクローナル抗体、例えば白血球受容体に対するモノクローナル抗体、例えば、MHC、CD2、CD3、CD4、CD11a/CD18、CD7、CD25、CD27、B7、CD40、CD45、CD58、CD137、ICOS、CD150(SLAM)、OX40、4−1BBまたはそれらのリガンド、例えばCD154;または他の免疫調節化合物、例えば少なくともCTLA4の細胞外ドメインの一部またはその変異体、例えば非CTLA4タンパク質配列へと結合した少なくともCTLA4の細胞外部位またはその変異体を有する組み換え結合分子、例えばCTLA4Ig(例えば命名ATCC 68629)またはその変異体、例えばLEA29Y、または他の接着分子阻害剤、例えばmAbs、またはLFA−1アンタゴニスト、セレクチンアンタゴニストおよびVLA−4アンタゴニストを含む低分子量阻害剤との組合せで使用することができる。本発明の塩またはその結晶形、例えば3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンのメシル酸塩またはマレイン酸塩はまた、例えばがん処置における抗増殖剤、例えば化学療法剤、または糖尿病治療における抗糖尿病剤と共に投与してもよい。
【0024】
上記にしたがって、本発明は、さらなる局面において:
7. 治療上有効量の本発明の塩またはその結晶形、例えば3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンのメシル酸塩またはマレイン酸塩と、免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症剤、抗増殖剤または抗糖尿病剤、例えば上記のものである第2の薬剤物質とを、例えば同時的または逐次的に共投与することを含む、上記定義の方法;
8. a)治療上有効量の本発明の塩またはその結晶形、例えば3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンのメシル酸塩またはマレイン酸塩と、b)免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症剤、抗増殖剤および抗糖尿病剤から選択される少なくとも1種の第2の薬剤とを含む治療組合せ剤、例えばキット。ただし、成分a)と成分b)は同時的または逐次的に使用されてよい。該キットはその投与のための指示書を含んでいてもよい;
を提供する。
【0025】
本発明の塩は下記実施例に従って合成される。該実施例は本発明の範囲を限定することのない、説明的なものである。
【実施例】
【0026】
実施例1
3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンメシル酸塩の製造
機械式スターラー、還流冷却器および滴下漏斗を備えた250mlの3首フラスコに、2.63g(6mmol)の遊離塩基形の3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンと、40mlの無水エタノールを加える。混合物を45℃に加熱し、当該ほぼ透明な溶液に、5mlの無水エタノールで希釈した0.39mlのメタンスルホン酸(6mol、1当量)を滴下する。当初の透明溶液から固体の沈殿が生じ、該混合物を45℃で2時間静置する。次いで、これを室温に冷却し、濾過して黄橙色固体を回収する。これを冷エタノールで1回洗浄し、一夜真空下で乾燥させる。
【0027】
実施例2
3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンマレイン酸塩の製造
機械式スターラー、還流冷却器および滴下漏斗を備えた250mlの3首フラスコに、2.63g(6mmol)の遊離塩基形の3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンと、40mlの無水エタノールを加える。混合物を45℃に加熱し、当該ほぼ透明な溶液に、5mlの無水エタノールで希釈した0.7mlのマレイン酸(6mol、1当量)を滴下する。固体の沈殿がほぼ即座に生じ、該混合物を45℃で2時間静置する。次いで、これを室温に冷却し、濾過して橙色固体を回収する。これを冷エタノールで2回洗浄し、一夜真空下で乾燥させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離塩基形の3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオン、または安息香酸、塩酸、クエン酸、フマル酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、メタンスルホン酸、リン酸、コハク酸および酒石酸から選択される酸とのその塩。
【請求項2】
結晶形または溶媒和物形の3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンの塩であって、安息香酸、塩酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、メタンスルホン酸、コハク酸および酒石酸から選択される酸と形成される塩。
【請求項3】
酸がマレイン酸またはメタンスルホン酸である、請求項1に記載の塩または請求項2に記載の結晶形。
【請求項4】
本質的に純粋な形態で存在する、請求項1〜3に記載の3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンの塩またはその結晶形。
【請求項5】
請求項1に記載の3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンの塩を製造する方法であって、遊離塩基形の3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンと、安息香酸、塩酸、クエン酸、フマル酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、メタンスルホン酸、リン酸、コハク酸および酒石酸から選択される酸とを、所望により塩形成剤の存在下で反応させて、該反応混合物から得られた塩を回収することを含む方法。
【請求項6】
請求項2に記載の結晶形の3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンの安息香酸塩、塩酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、コハク酸塩または酒石酸塩を製造する方法であって、結晶化誘導条件下で、遊離塩基形の3−(1.H.−インドール−3−イル)−4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−キナゾリン−4−イル]−ピロール−2,5−ジオンを溶液から結晶塩形に適切に変換することを含む方法。
【請求項7】
請求項1〜3に記載の塩を含む医薬組成物。
【請求項8】
塩が本質的に純粋な形態で存在する、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
Tリンパ球および/またはPKCによって介在される疾患または障害、例えば臓器もしくは組織同種もしくは異種移植片の急性もしくは慢性拒絶、またはT細胞介在性炎症性もしくは自己免疫性疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者に治療上有効量の請求項1〜4の何れかに記載の塩を投与することを含む方法。
【請求項10】
a)請求項1〜4の何れかに記載の塩と、b)免疫抑制剤、免疫調節剤、抗炎症剤、抗増殖剤および抗糖尿病剤から選択される少なくとも1種の第2の薬剤を含む、治療組合せ剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−520879(P2010−520879A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552874(P2009−552874)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/055979
【国際公開番号】WO2008/112479
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】