説明

3−[1,4]オキサゼパン−4−ピリミドン誘導体

タウプロテインキナーゼ1の過剰活性によって引き起こされる疾患(神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)など)の予防的処置および/または治療的処置のために使用される、式(I)によって表される化合物または薬学的に許容されるその塩。
【化1】



[式中、Zは、窒素原子、C−Fなどを表し、Rは、C〜Cアルキル基を表し、Yは、酸素原子またはN−Rを表し、R、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、水素原子、C〜Cアルキル基、または式(II)
【化2】



によって表される基を表す]。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)などの、タウプロテインキナーゼ1(TPK1、GSK3β:グリコーゲン合成酵素キナーゼ3βとも称される)の異常な活性によって主として引き起こされる疾患の予防的処置および/または治療的処置のための医薬の活性成分として有用な化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病は、神経細胞の変性および神経細胞数の減少による大脳皮質の顕著な萎縮が観察される進行性の老人性認知症である。病理学的には、脳において多数の老人斑および神経原線維変化が観察される。老年人口の増加に伴い患者数は増加してきており、この疾患は深刻な社会問題をもたらしている。様々な理論が提唱されているが、この疾患の原因はまだ解明されていない。その原因の早期解決が望まれている。
【0003】
アルツハイマー病の2つの特徴的な病理学的変化の出現の程度は知能障害の程度と非常に相関することが知られている。従って、1980年代初期から2つの病理学的変化の構成要素を分子レベルで調べることによって疾患の原因を明らかにする研究が行われてきた。老人斑は細胞外に蓄積し、βアミロイドタンパク質がそれらの主要成分として解明されている(本明細書中以下において「Aβ」と略する:Biochem.Biophys.Res.Commun.,120,885(1984);EMBO J.,4,2757(1985);Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,4245(1985))。他方の病理学的変化、すなわち神経原線維変化において、対らせん状細線維(本明細書中以下において「PHF」と略する)と称される二重らせんの線維状物質が細胞内に蓄積し、脳に特異的な微小管関連タンパク質の一種であるタウタンパク質が、その主要成分であると明らかになった(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85,4506(1988);Neuron,1,827(1988))。
【0004】
さらに、遺伝子研究に基づいて、プレセニリン1および2が家族性アルツハイマー病の原因遺伝子として見出されており(Nature,375,754(1995);Science,269,973(1995);Nature.376,775(1995))、プレセニリン1および2の変異体が存在することがAβの分泌を促進することが明らかになっている(Neuron,17,1005(1996);Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94,2025(1997))。これらの結果から、アルツハイマー病において、特定の理由によってAβが異常に蓄積および凝集し、これがPHFの形成と関与し、神経細胞の死がもたらされると考えられる。グルタミン酸の細胞外流出、および流出に応答したグルタミン酸受容体の活性化が、虚血性脳血管発作により生じる神経細胞死の初期過程において重要な要因となり得ることもまた予想される。
【0005】
グルタミン酸受容体の1つであるAMPA受容体を刺激するカイニン酸処理は、Aβの前駆体としてのアミロイドタンパク前駆体(本明細書中以下において「APP」と略する)のmRNAを増加させ(Society for Neuroscience Abstracts,17,1445(1991))、またAPPの代謝を促進する(The Journal of Neuroscience,10,2400(1990))ことが報告されてきた。従って、Aβの蓄積が虚血性脳血管障害による細胞死に関与していることが強く示唆されてきた。Aβの異常な蓄積および凝集が観察される他の疾患には、例えば、ダウン症候群、孤発性脳アミロイドアンギオパチーによる脳出血、レビー小体病などが挙げられる。さらに、PHF蓄積によって神経原線維変化を示す疾患としては、例えば、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎性パーキンソニズム、脳炎後パーキンソニズム、拳闘家脳炎、グアムパーキンソン認知症複合、レビー小体病などが挙げられる。
【0006】
タウタンパク質は一般に、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動において48〜65kDaの分子量で複数のバンドを形成する関連タンパク質の一群からなり、微小管の形成を促進する。アルツハイマー病に罹患している脳においてPHFに組み込まれているタウタンパク質は、通常のタウタンパク質と比較して異常にリン酸化されていることが確認されている(J.Biochem.,99,1807(1986);Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83,4913(1986))。この異常なリン酸化を触媒する酵素が単離された。このタンパク質はタウプロテインキナーゼ1(本明細書中以下において「TPK1」と略する)と称され、その物理化学的特性が解明された(J.Biol.Chem.,267,10897(1992))。さらに、ラットTPK1のcDNAが、TPK1の部分アミノ酸配列に基づいてラット大脳皮質cDNAライブラリーからクローニングされ、そのヌクレオチド配列が決定され、アミノ酸配列が推定された。その結果、ラットTPK1の一次構造は、ラットGSK−3β(グリコーゲン合成酵素キナーゼ3β、FEBS Lett.,325,167(1993))として知られる酵素の一次構造に相当することが明らかになった。
【0007】
老人斑の主要成分であるAβは神経毒性であることが報告されている(Science,250,279(1990))。しかし、Aβが細胞死をもたらす理由について様々な理論が提唱されてきているが、信頼できる理論はまだ確立されていない。Takashimaらは、ラット胎仔海馬初代培養系のAβ処理によって細胞死がもたらされることを観察し、次いでTPK1活性がAβ処理によって増加し、Aβによる細胞死はTPK1のアンチセンスによって阻害されることを見出した(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90,7789(1993);EP616032)。
【0008】
上記に照らして、TPK1活性を阻害する化合物は、Aβの神経毒性およびPHFの形成を抑制し、アルツハイマー病における神経細胞死を阻害し、それによって疾患の進行を停止または延期できる可能性がある。これらの化合物はまた、Aβの細胞毒性を抑制することによって、虚血性脳血管障害、ダウン症候群、脳アミロイドアンギオパチー、レビー小体病による脳出血などの治療的処置のための医薬として使用できる可能性がある。さらに、これらの化合物は、神経変性疾患(進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎性パーキンソニズム、脳炎後パーキンソニズム、拳闘家脳炎、グアムパーキンソン認知症複合、レビー小体病、ピック病、皮質基底核変性症、前頭側頭型認知症、血管性認知症、外傷、脳および脊髄の外傷、末梢性ニューロパシー、網膜症、および緑内障など)、ならびに他の疾患(インスリン非依存性糖尿病、肥満症、躁うつ病、統合失調症、脱毛症、乳がん、非小細胞肺癌、甲状腺がん、T細胞またはB細胞白血病、およびある種のウイルス誘発腫瘍など)の治療的処置のための医薬として使用できる可能性がある。
【0009】
上記の観点からすれば、強力なTPK1阻害剤の発見によって、アルツハイマー病の治療のために有効な薬物が導くことができ、インビトロのTPK1阻害活性を有する多くの構造的に多様なクラスの化合物が既に開示されてきた。しかし、TPK1阻害剤のための新規な構造のデザインによって、インビトロおよびインビボの活性、キナーゼ選択性、ADME、PK/PDプロファイルならびに物理学的性質においていくつかを改善することによって臨床的により効率的な化合物を誘導することが期待されている。
【0010】
後記する式(I)によって表される本発明の化合物と構造的に類似の化合物として、鎖様、6員環または5員環を担持するアミノ成分を有する、国際公開第WO01/70729号、同第WO03/037888号および同第WO03/027080号に開示されている化合物が公知である。一方、本発明の化合物間で共有される、[1,4]オキサゼパン環のような7員環の薬理学的プロファイルは、合成的に難易度の高い構造のために一般には知られていない。変化する環の大きさは、タンパク質のアミノ酸残基に対する官能基の方向(およびその逆)の調節によって、そのタンパク質のより高い阻害活性を引き起こす可能性がある。一方、より柔軟な7員環構造はまた、エントロピーの増加によってもたらされる化合物とタンパク質との相互作用の減少によって、阻害活性の低下を生じさせる可能性がある。さらに、[1,4]オキサゼパンのような7員環を担持する化合物は、モルホリンのような6員環より親油性であることが予想される。親油性が増加すると、化合物が臨床段階から外される要因の1つであるCYP阻害を誘発する傾向を有することが多い。上記の予測にも関わらず、下記の式(I)によって表される本発明の化合物は、TPK1に対する高い阻害活性を示し、CYP(特に、CYP1A2およびCYP2D6)阻害を改善する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
EP616032
WO01/70729
WO03/037888
WO03/027080
【非特許文献】
【0012】
Biochem.Biophys.Res.Commun.,120,885(1984)
EMBO J.,4,2757(1985)
Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,4245(1985)
Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85,4506(1988)
Neuron,1,827(1988)
Nature,375,754(1995)
Science,269,973(1995)
Nature.376,775(1995)
Neuron,17,1005(1996)
Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94,2025(1997)
Society for Neuroscience Abstracts,17,1445(1991)
The Journal of Neuroscience,10,2400(1990)
J.Biochem.,99,1807(1986)
Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83,4913(1986)
J.Biol.Chem.,267,10897(1992)
FEBS Lett.,325,167(1993)
Science,250,279(1990)
Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90,7789(1993)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、高い臨床的有効性を有し、他の医薬と共に投与することができる、アルツハイマー病などの疾患の予防的処置および/または治療的処置のための医薬の活性成分として有用な化合物を提供することである。さらに具体的には、本目的は、TPK1活性を阻害し、Aβの神経毒性およびPHFの形成を抑制することによって、ならびに神経細胞死を阻害することによって、アルツハイマー病などの神経変性疾患の根本的な予防および/または治療を可能にする医薬であって、高い臨床的有効性を有し、他の医薬と共に投与することができる医薬の活性成分として有用な新規な化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明の発明者らは、一般式(I)によって表される化合物の合成、およびそれらのインビトロでのTPK1阻害活性のスクリーニングを行った。その結果、本発明者らは、下記の式(I)によって表される新規な化合物が所望の活性を有することを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成した。
即ち本発明は以下を提供する。
1.下記の式(I)によって表される化合物または薬学的に許容されるその塩。
【0015】
【化1】

【0016】
[式中、Zは、窒素原子またはC−Xを表し、
Xは、水素原子またはハロゲン原子を表し、
は、C〜Cアルキル基を表し、
Yは、酸素原子またはN−Rを表し、
、R、R、R、RおよびRは、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、水素原子、C〜Cアルキル基、または下記の式(II)によって表される基を表し、
【0017】
【化2】

【0018】
式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C〜Cアルキル基、または下記の式(IIIa)〜(IIIh)の何れか1つによって表される基を表し、
【0019】
【化3】

【0020】
式中、Rは、水素原子またはC〜Cアルキル基を表し、
11、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19およびR20は、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、水素原子、C〜Cアルキル基、またはC〜C10アリール基を表し、
12は、水素原子、水酸基、アミノ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルキルオキシ基、C〜Cアルキルアミノ基、ジ(C〜Cアルキル)アミノ基、またはC〜C10アリール基を表し、
10は、水素原子または下記の式(IV)によって表される基を表し、
【0021】
【化4】

【0022】
式中、Aは、−(CH)p−、−CO−、または−SO−を表し、pは、1〜3の整数を表し、
21は、水素原子、C〜Cアルキル基、−OR22、−NR2324、またはC〜C10アリール基を表し、
22、R23およびR24は、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、またはC〜C10アリール−メチル基を表し、
あるいはR10およびR11は、互いに結合して、R10およびR11が結合している窒素原子と一緒になって複素環基を形成し得る]。
【0023】
2.Zが、窒素原子またはC−Fである、上記の1による化合物または薬学的に許容されるその塩。
3.Yが、酸素原子であり、R、R、R、RおよびRからなる群から選択される少なくとも4個の置換基の各々が、水素原子である、上記の1または2による化合物または薬学的に許容されるその塩。
4.R、R、R、RおよびRが、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、水素原子、C〜Cアルキル基または式(II)によって表される基であり、Rが、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C〜Cアルキル基、または式(IIIa)、(IIIc)、(IIId)、および(IIIe)の何れか1つによって表される基である、上記の1〜3の何れか1つによる化合物または薬学的に許容されるその塩。
5.Yが、N−Rであり、R、R、R、RおよびRの各々が、水素原子である、上記の1または2による化合物または薬学的に許容されるその塩。
【0024】
6.(S)−2−[6−(4−ブロモ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン;
2−(6−フェニル−[1,4]オキサゼパン−4−イル)−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン;
6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−2−(2−フェニル−[1,4]オキサゼパン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン;
(S)−2−[6−(4−シアノ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン;
(S)−4−{4−[4−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−[1,4]オキサゼパン−2−イル}−ベンズアミド;
(S)−2−[2−(3−ブロモ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン;
(S)−2−[2−(4−ブロモ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン;
(+)−6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−2−[7−(4−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−3H−ピリミジン−4−オン;
6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−2−(5−フェニル−[1,4]オキサゼパン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン;
(S)−2−[2−(4−ブロモ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン;
6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−2−{6−[4−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−フェニル]−[1,4]オキサゼパン−4−イル}−3H−ピリミジン−4−オン;
(S)−2−[2−(4−フルオロ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン;
(+)−6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−2−{7−[4−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−フェニル]−[1,4]オキサゼパン−4−イル}−3H−ピリミジン−4−オン;
(S)−3−{4−[4−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−[1,4]オキサゼパン−2−イル}−ベンズアミド;
(+)−6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−2−{7−[4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−フェニル]−[1,4]オキサゼパン−4−イル}−3H−ピリミジン−4−オン;
6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−2−[6−(4−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−3H−ピリミジン−4−オン;
(S)−2−[2−(3−ブロモ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン;
(S)−2−[2−(4−シアノ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン;
2−[7−(2−フルオロ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン;
(S)−2−[2−(4−フルオロ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン;
(S)−3−[4−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−[1,4]オキサゼパン−2−イル]−ベンズアミド;
6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−2−[7−(3−メトキシ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン;
6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−2−(5−メチル−[1,4]オキサゼパン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン;及び
(R)−6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−2−(5−メチル−[1,4]オキサゼパン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン;
からなる群から選択される化合物または薬学的に許容されるその塩。
【0025】
7.活性成分として上記の1〜6の何れか1つによる化合物または薬学的に許容されるその塩を含む医薬。
8.タウプロテインキナーゼ1の過剰活性によって引き起こされる疾患の予防的処置および/または治療的処置のために使用される、上記の7による医薬。
9.神経変性疾患の予防的処置および/または治療的処置のために使用される、上記の7による医薬。
10.疾患が、インスリン非依存性糖尿病、肥満症、躁うつ病、統合失調症、脱毛症、乳がん、非小細胞肺癌、甲状腺がん、T細胞またはB細胞白血病、およびウイルス誘発腫瘍からなる群から選択される、上記の9による医薬。
【0026】
11.神経変性疾患が、アルツハイマー病、虚血性脳血管発作、ダウン症候群、脳アミロイドアンギオパチーによる脳出血、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎性パーキンソニズム、脳炎後パーキンソニズム、拳闘家脳炎、グアムパーキンソン認知症複合、レビー小体病、ピック病、皮質基底核変性症、前頭側頭型認知症、血管性認知症、外傷、脳および脊髄の外傷、末梢性ニューロパシー、網膜症、緑内障、筋萎縮性側索硬化症、マラリア、尋常性天疱瘡、ならびに癌化学療法によって誘発される好中球減少症からなる群から選択される、上記の9による医薬。
【発明を実施するための形態】
【0027】
他に示さない限り、下記の定義を提示し、本明細書において本発明を記載するために使用される様々な用語の意味および範囲を例示および定義する。
「C〜Cアルキル基」という用語は、直鎖状または分岐状でよい1〜3個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。C〜Cアルキル基の例には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、およびイソプロピル基が含まれる。明細書において記載されているC〜Cアルキル部分を含有する置換基のC〜Cアルキル基部分(C〜Cアルキルオキシ基、C〜Cアルキルアミノ基、またはジ(C〜Cアルキル)アミノ基など)は、同じ意味を有する。Rによって表されるC〜Cアルキル基は、好ましくはメチル基である。
【0028】
「C〜Cアルキル基」という用語は、直鎖状または分岐状でよい1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。C〜Cアルキル基の例には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、およびイソヘキシル基が含まれる。
「ハロゲン原子」という用語は、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、またはヨウ素原子を意味する。
【0029】
明細書における「複素環基」という用語は、窒素含有複素環に由来する環式基を意味する。複素環の例には、ピロール、ピロリン、ピロリジン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリジンオキシド、ピペリジン、ピラジン、ピペラジン、ピリミジン、ピリダジン、ピペリジン、アゼパン、モルホリン、およびホモピペラジンが含まれる。環中の結合位置は、複素環に含まれる窒素原子の何れか1つである。
【0030】
上記の式(I)において記号「Z」は、好ましくは窒素原子、C−H、またはC−F、さらに好ましくは窒素原子またはC−Fである。
上記の式(I)においてピリミドン環の2位で置換されている7員環は、非置換、または1個もしくは複数の置換基で置換されていてもよい。置換基は、上記の式(I)においてR、R、R、R、R、またはRとして存在し得る。
【0031】
好ましくは、7員環は非置換であるか、1個の置換基で置換されており、
Yが酸素原子を表すとき、R、R、R、RおよびRの少なくとも4つの各々は、好ましくは水素原子であり、
YがN−Rを表すとき、好ましくはR、R、R、R、RおよびRの少なくとも5つの各々は、水素原子であり、さらに好ましくはR、R、R、R、およびRの各々は、水素原子である。
【0032】
上記の式(II)におけるフェニル基上のRの位置は特に限定されず、メタまたはパラ位が好ましい。
は、好ましくは水素原子、臭素原子、フッ素原子、シアノ基、メチル基、または式(IIIa)、(IIIc)、(IIId)、もしくは(IIIe)によって表される基である。式(IIIa)において、Rは、好ましくはメチル基である。式(IIIc)において、R12は、好ましくはアミノ基である。式(IIId)において、R13は、好ましくは水素原子またはメチル基である。式(IIIe)において、R14は、好ましくは水素原子またはメチル基である。
【0033】
上記の式(I)によって表される化合物の薬学的に許容される塩としては、無機酸(塩酸、臭化水素酸など)との塩、および有機酸(酢酸、プロピオン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸など)との塩が挙げられる。
【0034】
上記の式(I)によって表される化合物に加えて、薬学的に許容されるその塩、その溶媒和物およびその水和物を使用することもできる。上記の式(I)によって表される化合物は、1個または複数の不斉炭素原子を有し得る。このような不斉炭素原子の立体化学に関して、不斉炭素原子は、独立に(R)または(S)配置でよく、化合物は、光学異性体などの立体異性体、またはジアステレオ異性体として存在し得る。純粋な形態の任意の立体異性体、立体異性体の任意の混合物、ラセミ化合物などは、本発明の範囲内である。
【0035】
本発明の好ましい化合物の例を、下記に提示した表1に示す。しかし、本発明の範囲は下記の化合物によって限定されない。
【0036】
【表1】
















【0037】
一覧の化合物名は、CambridgSoftの命名法によって自動的に得た名称に基づく。
【0038】
本発明の化合物は、TPK1に対してインビトロで阻害活性を有する。従って、本発明の化合物は、アルツハイマー病などの神経変性疾患の患者においてTPK1活性を阻害し、それによってAβの神経毒性およびPHFの形成を抑制し、神経細胞死を阻害することができる。従って、本発明の化合物は、アルツハイマー病の予防的処置および/または治療的処置を根本的に可能にする医薬の活性成分として有用である。さらに、本発明の化合物はまた、虚血性脳血管発作、ダウン症候群、孤発性脳アミロイドアンギオパチーによる脳出血、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎、脳炎後パーキンソニズム、拳闘家脳症、グアムパーキンソン認知症複合、レビー小体病、ピック病、皮質基底核変性症、前頭側頭型認知症、血管性認知症、外傷、脳および脊髄の外傷、末梢性ニューロパシー、網膜症および緑内障、インスリン非依存性糖尿病、肥満症、躁うつ病、統合失調症、脱毛症、乳がん、非小細胞肺癌、甲状腺がん、T細胞またはB細胞白血病、ならびにある種のウイルス誘発腫瘍の予防的処置および/または治療的処置のための医薬の活性成分として有用である。
【0039】
本発明の医薬の活性成分として、上記の式(I)によって表される化合物および薬理学的に許容されるその塩からなる群から選択される物質を使用し得る。この物質それ自体を本発明の医薬として投与することができる。しかし、活性成分として上記の物質、および医薬添加物の1種または複数を含む医薬組成物の形態の医薬を投与することが望ましい。本発明の医薬の活性成分として、上記の物質の2つ以上を組み合わせて使用してもよい。
【0040】
医薬組成物のタイプは特に限定されず、組成物は経口または非経口投与のための任意の製剤として提供できる。例えば、医薬組成物は、例えば、経口投与のための医薬組成物の形態(顆粒剤、細顆粒剤、散剤、硬質カプセル剤、軟質カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、溶液剤など)、または非経口投与のための医薬組成物の形態(静脈内、筋内、もしくは皮下投与のための注射、点滴注入、経皮用製剤、経粘膜用製剤、点鼻薬、吸入剤、坐剤など)に製剤化できる。
【0041】
本発明の医薬の用量および投与頻度は特に限定されず、予防的処置および/または治療的処置の目的、疾患のタイプ、患者の体重または年齢、疾患の重症度などの状態によって適切に選択することができる。一般に、成人への経口投与のための1日用量は、0.01〜1,000mgでよく(活性成分の重量)、用量は、分割された部分として1日1回もしくは1日数回、または数日に1回投与することができる。医薬が注射として使用される場合、投与は好ましくは、成人に対して0.001〜3000mg(活性成分の重量)の1日用量で連続的または断続的に行うことができる。
【実施例】
【0042】
本発明を、実施例を参照してさらに具体的に説明する。しかし、本発明の範囲は下記の実施例に限定されない。実施例における化合物番号は、上記の表の化合物番号に対応する。
【0043】
調製例
参考例1:
2−メルカプト−3−メチル−6−(4−ピリミジル)−3H−ピリミジン−4−オンの合成
エチル3−オキソ−3−(4−ピリミジル)プロピオネート(34.1g、176mmol)、N−メチルチオ尿素(47.5g、527mmol)および1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(26.3ml、176mmol)のエタノール(340ml)溶液を2時間環流させ、氷冷水によって冷却した後、メタンスルホン酸(16.9g、176mmol)の水(70ml)溶液を加えた。沈殿物を水で洗浄し、濾過し、乾燥させ、表題化合物(30.2g、78%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6)δ: 3.56(s, 3H), 6.88(s, 1H), 8.24(dd, J=1.2, 5.4 Hz, 2H), 9.05 (dd, J=5.4 Hz, 1H), 11.94(s, 1H).
【0044】
参考例2:
2−クロロ−3−メチル−6−(4−ピリミジル)−3H−ピリミジン−4−オンの合成
オキシ塩化リン(4.60g、30mmol)をジメチルホルムアミド(32ml)に加え、0℃で20分間撹拌した。2−メルカプト−3−メチル−6−(4−ピリミジル)−3H−ピリミジン−4−オン(4.40g、20mmol)を溶液に加え、5分間撹拌し、次いで70℃で2時間撹拌した。反応混合物を氷冷水に注ぎ、固体炭酸カリウムで中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル)による残渣の精製によって、表題化合物を得た(1.20g、27%)。
1H-NMR (CDCl3) δ: 3.74(s, 3H), 7.56(s, 1H), 8.18(d, J=5.1 Hz, 1H), 8.92(d, J=5.1 Hz, 1H), 9.30(s, 1H).
MS[M+H]+: 223.
【0045】
実施例1:2−(5−メチル−[1,4]−オキサゼパン−4−イル)−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン(A070)
【0046】
【化5】

【0047】
3−アミノ−酪酸エチルエステル(5.00g、34.3mmol)、ベンズアルデヒド(4.1mL、40mmol)および酢酸(1.9mL、34mmol)の1,2−ジクロロエタン(120mL)溶液に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(17g、80mmol)を室温で加え、混合物を20時間撹拌した。反応混合物を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液中に注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。このように得られた残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてクロロホルム/メタノール=10/1)によって精製し、3−ベンジルアミノ−酪酸エチルエステル(2.1g、9.5mmol、28%)を無色の油として得た。
【0048】
水素化アルミニウムリチウム(0.76g、20mmol)のシクロペンチルメチルエーテル(20mL)懸濁液に、3−ベンジルアミノ−酪酸エチルエステル(2.10g、9.5mmol)のシクロペンチルメチルエーテル(10mL)溶液を0℃で窒素雰囲気下にて滴下で添加した。このように得られた混合物を室温に温め、3時間撹拌した。次いで、少量の硫酸ナトリウム飽和水溶液を滴下で添加し、反応物を0℃でクエンチし、1時間撹拌した。このように得られた固体物質を濾過によって除去し、有機溶液を濃縮し、3−ベンジルアミノ−ブタン−1−オール(1.49g、8.3mmol、87%)を無色の油として得た。この油を、以降の工程においてそれ以上精製することなく使用した。
【0049】
3−ベンジルアミノ−ブタン−1−オール(0.50g、2.8mmol)およびトリエチルアミン(0.84mL、6.0mmol)のジクロロメタン溶液に、塩化クロロアセチル(0.26mL、3.3mmol)を0℃で加え、1時間撹拌した。反応混合物を1Nの塩酸水溶液中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。このように得られた残渣を2−プロパノール(20mL)に溶解し、水酸化カリウム(0.66g、10mmol)を混合物に室温で加えた。18時間撹拌した後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残留物質をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてヘキサン/酢酸エチル=100/0〜1/1)によって精製し、4−ベンジル−5−メチル−[1,4]オキサゼパン−3−オン(0.32g、1.4mmol、52%)を黄色の粘性油として得た。
【0050】
4−ベンジル−5−メチル−[1,4]オキサゼパン−3−オン(0.32g、1.4mmol)のテトラヒドロフラン(5mL)溶液に、ボラン−テトラヒドロフラン錯体のテトラヒドロフラン溶液(1M)(5mL、5.0mmol)を0℃で窒素雰囲気下にて滴下で添加した。混合物を室温に温め、3時間撹拌した。次いで、メタノールを加えることによって反応物をクエンチし、溶液を濃縮した。残留油をメタノール(10mL)に溶解し、1Mの水酸化ナトリウム水溶液を室温で加えた。混合物を3時間還流し、水で希釈した。酢酸エチルによる抽出を行い、有機抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒の留去後、残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、4−ベンジル−5−メチル−[1,4]オキサゼパン(0.30g、1.4mmol、100%)を無色の油として得た。
【0051】
4−ベンジル−5−メチル−[1,4]オキサゼパン(0.30g、1.4mmol)の1,2−ジクロロエタン(3mL)溶液に、クロロギ酸クロロエチル(0.56mL、7mmol)を室温で加えた。混合物を10時間還流し、濃縮した。このように得られた残渣をメタノール(5mL)に溶解し、溶液を1時間還流させた。濃縮後、残留物質を粉砕し、酢酸エチルで洗浄し、濾過によって集め、5−メチル−[1,4]オキサゼパン塩酸塩(0.16g、1.1mmol、76%)を白色の固体として得た。
【0052】
密封したチューブ中の5−メチル−[1,4]オキサゼパン塩酸塩(0.08g、0.50mmol)および2−クロロ−3−メチル−6−(ピリミジン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン(0.09g、0.40mmol)のテトラヒドロフラン(2mL)懸濁液に、トリエチルアミン(0.14mL)を室温で加えた。混合物をマイクロ波照射下で150℃に加熱し、30分間撹拌した。室温に冷却した後に、反応混合物を水に注ぎ、クロロホルムで抽出した。抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてクロロホルム/メタノール=10/1)によって精製し、2−(5−メチル−[1,4]オキサゼパン−4−イル)−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン(0.03g、0.09mmol、22%)を白色の固体として得た。
【0053】
実施例2:2−(5−フェニル−[1,4]オキサゼパン−4−イル)−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン(A071)
【0054】
【化6】

【0055】
トルエン(100mL)中の3−オキソ−3−フェニル−プロピオン酸エチルエステル(5.0g、26mmol)、ベンジルアミン(2.9mL、26mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(0.50g、2.6mmol)の混合物を3時間環流させ、濃縮した。残留物質をシクロペンチルメチルエーテル(150mL)に溶解し、水素化アルミニウムリチウム(3.0g、78mmol)を0℃で窒素雰囲気下にて少しずつ加えた。3時間撹拌した後、少量の硫酸ナトリウム飽和水溶液を滴下で添加し、1時間撹拌した。このように得られた混合物を濾過し、固体物質を除去し、濃縮した。次いで、このように得られた残渣をジクロロメタン(30mL)に溶解した。混合物に、トリエチルアミン(1.4mL、10mmol)および塩化クロロアセチル(0.56g、7.0mmol)を0℃で加え、このように得られた混合物を1時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残留物質を2−プロパノール(30mL)に溶解し、水酸化カリウム(1.3g、20mmol)を室温で加えた。18時間撹拌した後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残留物質をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてヘキサン/酢酸エチル=100/0〜1/1)によって精製し、4−ベンジル−5−フェニル−[1,4]オキサゼパン−3−オン(0.77g、2.7mmol、エチルベンゾイルアセテートから10%)を黄色の油として得た。
【0056】
4−ベンジル−5−フェニル−[1,4]オキサゼパンは、4−ベンジル−5−メチル−[1,4]オキサゼパン−3−オンの代わりに4−ベンジル−5−フェニル−[1,4]オキサゼパン−3−オンを用いた以外は、4−ベンジル−5−メチル−[1,4]オキサゼパンの手順と同じ手順によって調製した。4−ベンジル−5−フェニル−[1,4]オキサゼパンを、無色の油として得た(0.28g、1.0mmol、39%)。
【0057】
5−フェニル−[1,4]オキサゼパン塩酸塩は、4−ベンジル−5−メチル−[1,4]オキサゼパンの代わりに4−ベンジル−5−フェニル−[1,4]オキサゼパンを用いた以外は、5−メチル−[1,4]オキサゼパン塩酸塩の手順と同じ手順によって調製した。それで、5−フェニル−[1,4]オキサゼパン塩酸塩を、白色の固体として得た(0.14g、0.65mmol、73%)。
【0058】
密封したチューブ中、5−フェニル−[1,4]オキサゼパン塩酸塩(0.07g、0.33mmol)および2−クロロ−3−メチル−6−(ピリミジン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン(0.07g、0.30mmol)のテトラヒドロフラン(2mL)懸濁液に、トリエチルアミン(0.14mL)を室温で加えた。混合物をマイクロ波照射下で150℃に加熱し、15分間撹拌した。室温に冷却した後に、反応混合物を水に注ぎ、クロロホルムで抽出した。抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてクロロホルム/メタノール=10/1)によって精製し、2−(5−フェニル−[1,4]オキサゼパン−4−イル)−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン(A071)(0.07g、0.20mmol、66%)を白色の固体として得た。
【0059】
実施例3:1−メチル−2−(6−メチル−[1,4]オキサゼパン−4−イル)−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(A087)
【0060】
【化7】

【0061】
テトラヒドロフラン(107ml)および1Nの水酸化ナトリウム(107ml、107mmol)中の3−アミノ−2−メチル−プロピオン酸(5.00g、48.4mmol)の溶液に、4−メトキシベンゾイルクロリド(8.69g、50.9mmol)を0℃で加えた。混合物を室温で3時間撹拌し、水および酢酸エチルに分配した。水相を酢酸エチルで洗浄し、1Nの塩酸で酸性化した。生成物を酢酸エチルで抽出した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。テトラヒドロフラン(20ml)に溶解した残渣に、1Mのボラン−テトラヒドロフラン錯体(6.40ml、6.40mmol)を0℃で加えた。混合物を室温で撹拌した。30分後、混合物を5時間還流し、3Nの塩酸で酸性化した。酸性水溶液を60℃で2時間撹拌した。有機溶媒を減圧下で留去し、次いで残渣を水および酢酸エチルに分配した。水相を酢酸エチルで洗浄し、3Nの水酸化ナトリウムで塩基性化した。生成物をクロロホルムで抽出した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮し、3−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパン−1−オールを無色の油として得た(8.28g、82%)。
【0062】
3−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−2−メチル−プロパン−1−オール(4.14g、19.8mmol)のジクロロメタン(60ml)溶液に、トリエチルアミン(2.20g、21.8mmol)および塩化クロロアセチル(2.46g、21.8mmol)を0℃で加えた。混合物を0℃で1時間撹拌し、0.5N−HClおよびジクロロメタンに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を2−プロパノール(66.7ml)に溶解し、次いで水酸化カリウム(2.22g、39.6mmol)を0℃で加えた。混合物を16時間撹拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液および酢酸エチルに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=1/1〜1/3)によって精製し、4−(4−メトキシ−ベンジル)−6−メチル−[1,4]オキサゼパン−3−オンを白色の固体として得た(4.35g、88%)。
【0063】
4−(4−メトキシ−ベンジル)−6−メチル−[1,4]オキサゼパン−3−オン(4.35g、17.5mmol)のテトラヒドロフラン(10.0ml)溶液に、テトラヒドロフラン中の1Mのボラン−テトラヒドロフラン錯体(52.3ml、52.3mmol)を0℃で加えた。混合物を室温で4時間撹拌した。0℃に冷却した後、メタノール(20ml)および6Nの水酸化ナトリウム水溶液(30ml)を注意深く加えた。混合物を2時間還流し、室温に冷却した。有機溶媒を減圧下で除去した。残渣を飽和塩化アンモニウム溶液および酢酸エチルに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン/酢酸エチル=1/1)によって精製し、4−(4−メトキシ−ベンジル)−6−メチル−[1,4]オキサゼパンを無色の油として得た(3.24g、79%)。
4−(4−メトキシ−ベンジル)−6−メチル−[1,4]オキサゼパン(3.24g、13.8mmol)の1,2−ジクロロエタン(23ml)溶液に、クロロギ酸(1−クロロエチル)(4.93g、34.5mmol)を室温で加えた。混合物を7時間還流させた。反応混合物を室温に冷却し、次いでメタノール(30ml)を加えた。混合物を5時間還流し、真空中で濃縮した。この粗生成物をヘキサンで洗浄し、減圧下で乾燥させ、6−メチル−[1,4]オキサゼパン塩酸塩を白色の固体として得た(1.73g、83%)。
【0064】
2−クロロ−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(113mg、0.507mmol)および6−メチル−[1,4]オキサゼパン塩酸塩(100mg、0.660mmol)のテトラヒドロフラン(1.1mL)スラリーに、トリエチルアミン(154mg、1.52mmol)を室温で加えた。混合物を15時間撹拌し、水および酢酸エチルに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗生成物をエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥させ、1−メチル−2−(6−メチル−[1,4]オキサゼパン−4−イル)−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(A087)を白色の固体として得た(92.2mg、60%)。
【0065】
実施例4:2−[(6S)−6−(4−ブロモフェニル)−1,4−オキサゼパン−4−イル]−3−メチル−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オン(A074)
【0066】
【化8】

【0067】
60重量%−水素化ナトリウム(2.47g、61.7mmol)の1,4−ジオキサン(103ml)およびヘキサメチルホスホルアミド(7.70ml)溶液に、マロン酸ジエチル(9.88g、61.7mmol)を室温で窒素雰囲気下にて加えた。このように得られた混合物を室温で1時間撹拌し、臭化銅(I)(10.6g、74.0mmol)および1−ブロモ−4−ヨードベンゼン(19.2g、67.9mmol)を加えた。混合物を5時間還流し、室温に冷却した。固体物質をセライトのパッドを通して濾過した。濃縮後、残渣を水および酢酸エチルに分配した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=24/1)によって精製し、2−(4−ブロモフェニル)マロン酸ジエチルを無色の油として得た(8.82g、41%)。
【0068】
2−(4−ブロモフェニル)マロン酸ジエチル(18.1g、57.5mmol)のエーテル(285ml)溶液に、ヘキサン中の0.98M−ジイソブチルアルミニウムヒドリド(259ml、254mmol)を0℃で窒素雰囲気下にて加えた。このように得られた混合物を0℃で4時間撹拌した。アルミニウム試薬をクエンチするために酒石酸カリウムナトリウム水溶液(0.57M、500ml)を反応混合物に加え、混合物を14時間撹拌した。有機層を酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=40/60から酢酸エチルのみ)によって精製し、2−(4−ブロモフェニル)プロパン−1,3−ジオールを白色の固体として得た(4.97g、37%)。
【0069】
2−(4−ブロモフェニル)プロパン−1,3−ジオール(9.01g、39.0mmol)の酢酸ビニル(100ml)溶液に、リパーゼAKアマノ(和光ケミカルから購入、12.0g)を室温で加えた。混合物を室温で11時間撹拌し、セライトのパッドを通して濾過し、固体物質を除去した。濃縮後、エタノール(35ml)およびジイソプロピルエーテル(200ml)に溶解した残渣に、ブタ膵臓からのリパーゼ(II型、SIGMAから購入、22.2g)を加えた。混合物を室温で107時間撹拌し、セライトのパッドを通して濾過した。濾液を真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)によって精製し、(−)−2−(4−ブロモフェニル)−3−ヒドロキシプロピルアセテートを無色の油として得た(6.88g、65%)。[α]=−11.2(C=0.5、CHCl)。
【0070】
(−)−2−(4−ブロモフェニル)−3−ヒドロキシプロピルアセテート(5.88g、21.5mmol)のジクロロメタン(100ml)溶液に、トリエチルアミン(5.45g、53.8mmol)、p−トルエンスルホニルクロリド(4.93g、25.8mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(0.263g、2.15mmol)を0℃で加えた。混合物を室温で2時間撹拌し、飽和塩化アンモニウム溶液およびジクロロメタンに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)によって精製し、(+)−3−アセトキシ−2−(4−ブロモフェニル)プロピル4−メチル−ベンゼンスルホネートを無色の油として得た(8.32g、90%)。[α]=+1.63(C=0.5、CHCl)。
【0071】
(+)−3−アセトキシ−2−(4−ブロモフェニル)プロピル4−メチルベンゼン−スルホネート(8.00g、18.7mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(94.0ml)溶液に、(R)−(+)−1−フェニルエチルアミン(11.3g、93.2mmol)を室温で加えた。混合物を120℃で7時間撹拌し、真空中で濃縮した。残渣を水および酢酸エチルに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=7/3)によって精製し、ジアステレオマー純粋な3−((R)−1−フェニルエチルアミノ)−2−(4−ブロモフェニル)プロピルアセテートを淡黄色の油として得た(2.85g、40%)。
【0072】
1H- NMR(400 MHz, CDCl3) δ:1.27(3H, d, J=7.0 Hz), 1.32-1.40(1H, brs), 1.93(3H, s), 2.72(2H, d, J=7.0 Hz), 3.02-3.09(1H, m), 3.70(1H, q, J=7.0 Hz), 4.23(2H, d, J=7.0 Hz), 7.06(2H, d, J=8.6 Hz), 7.21-7.33(5H, m), 7.43(2H, d, J=8.6 Hz)
【0073】
ジアステレオマー純粋な3−((R)−1−フェニルエチルアミノ)−2−(4−ブロモフェニル)プロピルアセテート(2.85g、7.57mmol)のメタノール(30.3ml)溶液に、1.0N−水酸化ナトリウム(30.3ml、30.3mmol)を0℃で加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。混合物を飽和塩化アンモニウム溶液およびクロロホルムに分配し、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を減圧下で留去し、ジアステレオマー純粋な3−((R)−1−フェニルエチルアミノ)−2−(4−ブロモフェニル)プロパン−1−オールを白色の固体として得た(2.40g、95%)。
【0074】
ジアステレオマー純粋な3−((R)−1−フェニルエチルアミノ)−2−(4−ブロモフェニル)プロパン−1−オール(2.40g、7.18mmol)のジクロロメタン(22.0ml)溶液に、トリエチルアミン(0.799g、7.90mmol)および塩化クロロアセチル(0.892g、7.90mmol)を0℃で加えた。混合物を0℃で1時間撹拌した。反応混合物を0.5N−HClおよびジクロロメタンに分配し、有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。2−プロパノール(48ml)に溶解した残渣に、水酸化カリウム(805mg、14.4mmol)を0℃で加えた。混合物を0℃で3時間撹拌し、飽和塩化アンモニウム溶液および酢酸エチルに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=7/3)によって精製し、(S)−6−(4−ブロモフェニル)−4−((R)−1−フェニルエチル)−1,4−オキサゼパン−3−オンを白色の固体として得た(2.42g、90%)。X線のための分析試料をジクロロメタン−ヘキサンからの結晶化によって得て、6位の絶対配置が(S)配置であることが見出された。
【0075】
(S)−6−(4−ブロモフェニル)−4−((R)−1−フェニルエチル)−1,4−オキサゼパン−3−オン(1.09g、2.91mmol)のテトラヒドロフラン(14.0ml)溶液に、テトラヒドロフラン中の1.0M−ボラン−テトラヒドロフラン錯体(6.40ml、6.40mmol)を0℃で加えた。混合物を室温で5時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却した後、メタノール(15ml)および6.0N−水酸化ナトリウム(10ml)を注意深く加えた。このように得られた混合物を2時間還流し、室温に冷却した。有機溶媒を減圧下で除去した。残渣を飽和塩化アンモニウム溶液および酢酸エチルに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン/酢酸エチル=7/3)によって精製し、(S)−6−(4−ブロモフェニル)−4−((R)−1−フェニルエチル)−[1,4]オキサゼパンを白色の固体として得た(1.00g、95%)。
【0076】
(S)−6−(4−ブロモフェニル)−4−((R)−1−フェニルエチル)−[1,4]オキサゼパン(0.610g、1.69mmol)の1,2−ジクロロエタン(2.83ml)溶液に、クロロギ酸(1−クロロエチル)(0.605g、4.23mmol)を室温で加えた。混合物を4時間還流し、室温に冷却した。メタノール(5.0ml)を加えた後、混合物を3時間還流し、減圧下で濃縮し、粗生成物を得た。この粗生成物をエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥させ、(S)−6−(4−ブロモフェニル)−1,4−オキサゼパン塩酸塩を白色の固体として得た(0.424g、86%)。
【0077】
2−クロロ−3−メチル−6−(ピリミジン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン(43.5mg、0.195mmol)および(S)−6−(4−ブロモフェニル)−1,4−オキサゼパン塩酸塩(60.0mg、0.205mmol)のスラリーに、トリエチルアミン(59.2mg、0.586mmol)を室温で加えた。混合物を室温で16時間撹拌し、水およびクロロホルムに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム/メタノール=98/2)によって精製し、(S)−2−(6−(4−ブロモフェニル)−[1,4−オキサゼパン−4−イル)−3−メチル−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オン(A074)を白色の固体として得た(41.7mg、48%)。
【0078】
実施例5:(S)−4−(4−(1,6−ジヒドロ−1−メチル−6−オキソ−4−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−2−イル)−[1,4]オキサゼパン−6−イル)ベンゾニトリル(A076)
【0079】
【化9】

【0080】
(S)−6−(4−ブロモフェニル)−4−((R)−1−フェニルエチル)−[1,4]オキサゼパン(1.48g、4.11mmol)のN,N−ジメチルアセトアミド(6.9ml)溶液に、炭酸ナトリウム(0.436g、4.11mmol)、酢酸パラジウム(18.4mg、0.082mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(78.4mg、0.164mmol)、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム三水和物(0.521g、1.23mmol)を室温で窒素雰囲気下にて加えた。混合物を120℃に加熱した。さらなる酢酸パラジウム(18.4mg、0.082mmol)および2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(78.4mg、0.164mmol)を反応混合物に1時間おきに2度加えた。触媒を最後に加えた1時間後、混合物をセライトのパッドを通して濾過し、固体物質を除去し、水および酢酸エチルに分配した。有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=7/3)によって精製し、(S)−4−(4−((R)−1−フェニルエチル)−[1,4]オキサゼパン−6−イル)ベンゾニトリルを淡黄色の固体として得た(662mg、53%)。
【0081】
(S)−4−(4−((R)−1−フェニルエチル)−[1,4]オキサゼパン−6−イル)ベンゾニトリル(0.662g、2.16mmol)の1,2−ジクロロエタン(3.60ml)溶液に、クロロギ酸(1−クロロエチル)(0.772g、5.40mmol)を室温で加えた。混合物を8時間還流させた。メタノール(15ml)を、室温に冷却した混合物に加えた。混合物を再び2時間環流させた。混合物を真空中で濃縮した。残渣を炭酸水素ナトリウム水溶液およびクロロホルムに分配した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム/メタノール=96/4)によって精製し、(S)−4−([1,4]オキサゼパン−6−イル)ベンゾニトリルを淡黄色の固体として得た(312mg、70%)。
【0082】
2−クロロ−3−メチル−6−(ピリミジン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン(73.4mg、0.330mmol)および(S)−4−([1,4]オキサゼパン−6−イル)ベンゾニトリル(70.0mg、0.346mmol)の溶液に、トリエチルアミン(100mg、0.989mmol)を室温で加えた。混合物を室温で5時間撹拌し、水および酢酸エチルに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=1/9)によって精製し、(S)−4−(4−(1,6−ジヒドロ−1−メチル−6−オキソ−4−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−2−イル)−[1,4]オキサゼパン−6−イル)ベンゾニトリル(A076)を白色の固体として得た(93.8mg、70%)。
【0083】
実施例6:(S)−3−メチル−2−(6−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オン(A085)
【0084】
【化10】

【0085】
(S)−4−(4−(1,6−ジヒドロ−1−メチル−6−オキソ−4−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−2−イル)−[1,4]オキサゼパン−6−イル)ベンゾニトリル(183mg、0.471mmol)のエタノール(0.95ml)溶液に、50重量%−ヒドロキシルアミン水溶液(96.4mg、1.46mmol)を室温で加えた。混合物を80℃で2時間撹拌し、濃縮した。残渣を水および酢酸エチルに分配した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。N,N−ジメチルホルムアミド(0.95ml)、トリエチルアミン(143mg、1.41mmol)および無水酢酸(62.5mg、0.612mmol)を、残渣に0℃で加えた。混合物を室温で撹拌した。2時間後、混合物を135℃に加熱し、2時間撹拌した。室温に冷却したこのように得られた混合物を、水およびクロロホルムに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム/メタノール=97/3)によって精製し、(S)−3−メチル−2−(6−(4−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル)−6−(ピリミジン−4−イル)ピリミジン−4(3H)−オン(A085)を白色の固体として得た(126mg、60%)。
【0086】
実施例7:1−メチル−2−[6−(4−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(A086)
【0087】
【化11】

【0088】
プロピオール酸メチル(10g、119mmol)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(1.7g、2.4mmol)のテトラヒドロフラン(500mL)溶液に、室温で窒素雰囲気下にてn−トリブチルスズヒドリド(20g、69mmol)を滴下で添加し、一晩撹拌した。このように得られた混合物を濃縮した。残留油をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてヘキサン/酢酸エチル=95/5)によって精製し、メチル2−トリブチルスタンナニルアクリレート(15.6g、41.7mmol、60%)を無色の油として得た。
【0089】
丸底フラスコ中、N,N’−ジメチルホルムアミド(170mL)中のメチル2−トリブチルスタナニルアクリレート(15.6g、41.7mmol)、1−ブロモ−4−ヨードベンゼン(4.7g、16.70mmol)、ヨウ化銅(I)(2.4g、12.8mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(2g、1.7mmol)の混合物を、窒素雰囲気下にて室温で調製し、一晩撹拌した。このように得られた反応混合物をジイソプロピルエーテルで希釈し、濾過し、固体物質を除去した。有機溶液をブラインおよび水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濃縮後、残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてヘキサン/酢酸エチル=90/10)に通過させ、メチル2−(4−ブロモフェニル)アクリレート(4.0g、16.7mmol、100%)を無色の油として得た。
【0090】
メチル2−(4−ブロモフェニル)アクリレート(8.2g、34mmol)のメタノール(100mL)溶液に、室温でベンジルアミン(3.7mL、34mmol)を加えた。このように得られた混合物を2日間撹拌し、濃縮した。残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてクロロホルム/メタノール=90/10)によって精製し、メチル3−ベンジルアミノ−2−(4−ブロモフェニル)プロピオネート(7.1g、20.5mmol、60%)を無色の油として得た。
【0091】
メチル3−ベンジルアミノ−2−(4−ブロモフェニル)プロピオネート(7.1g、20.5mmol)のトルエン(40mL)溶液に、0℃で窒素雰囲気下にてジイソブチルアルミニウム水素化物(DIBAH)のトルエン溶液(1M)(65mL、65mmol)を加え、このように得られた混合物を3時間撹拌した。0℃に冷却した後、フッ化ナトリウム(10.9g、260mmol)および水(3.5mL、195mmol)を加え、アルミニウム試薬をクエンチした。白色のスラリーを30分間撹拌し、濾過し、固体物質を除去した。有機溶液を濃縮した。このように得られた残渣をジクロロメタン(80mL)で希釈し、0℃に冷却した。溶液に、トリエチルアミン(4.2mL、30mmol)および塩化クロロアセチル(1.6mL、20mmol)を加え、1時間撹拌した。反応混合物を1Nの塩酸水溶液中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。粘性の残留油を2−プロパノール(50mL)に溶解し、次いで水酸化カリウムペレット(2g、30mmol)を室温で加えた。一晩激しく撹拌した後、反応溶液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残留物質をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてヘキサン/酢酸エチル=3/1)によって精製し、4−ベンジル−6−(4−ブロモ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−3−オン(3.0g、8.3mmol、41%)を茶色の油として得た。
【0092】
4−ベンジル−6−(4−ブロモ−フェニル)−[1,4]オキサゼパンの調製は、4−ベンジル−5−メチル−[1,4]オキサゼパン−3−オンの代わりに4−ベンジル−6−(4−ブロモ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−3−オンを用いた以外は、4−ベンジル−5−メチル−[1,4]オキサゼパンの手順と同じ手順によって行った。4−ベンジル−6−(4−ブロモ−フェニル)−[1,4]オキサゼパンを無色の油として得た(2.4g、6.9mmol、83%)。
【0093】
N−メチルピロリドン(NMP)(7mL)中の4−ベンジル−6−(4−ブロモ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン(2.4g、6.9mmol)、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム三水和物(1.48g、3.5mmol)、酢酸パラジウム(II)(1.6mg、0.007mmol)、ジフェニルホスフィノフェロセン(7.8mg、0.014mmol)および炭酸ナトリウム(0.74g、7.0mmol)の混合物を、丸底フラスコ中、室温で窒素雰囲気下にて調製し、混合物を120℃に加熱した。10時間撹拌した後、反応混合物を室温に冷却し、水に注いだ。有機物質を酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濃縮後、残留油をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてヘキサン/酢酸エチル=90/10〜50/50)に通過させ、純粋な4−(4−ベンジル−[1,4]オキサゼパン−6−イル)−ベンゾニトリル(1.6g、5.5mmol、79%)を淡黄色の油として得た。
【0094】
4−ベンジル−6−(4−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル−フェニル)−[1,4]オキサゼパンの調製は、4−[4−(1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン−7−イル]−ベンゾニトリルの代わりに4−(4−ベンジル−[1,4]オキサゼパン−6−イル)−ベンゾニトリルを用いた以外は、7−[4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)フェニル]−4−(1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパンの手順と同じ手順で行った。4−ベンジル−6−(4−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル−フェニル)−[1,4]オキサゼパンを、無色の油として得た(0.18g、0.53mmol、53%)。
【0095】
6−(4−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル−フェニル)−[1,4]オキサゼパンの調製は、4−ベンジル−5−メチル−[1,4]オキサゼパンの代わりに4−ベンジル−6−(4−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル−フェニル)−[1,4]オキサゼパンを用いた以外は、5−メチル−[1,4]オキサゼパン塩酸塩の手順と同じ手順によって行った。6−(4−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル−フェニル)−[1,4]オキサゼパン塩酸塩を白色の固体として得た(0.13g、0.45mmol、86%)。
【0096】
1−メチル−2−[6−(4−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オンは、7−[4−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−フェニル]−[1,4]オキサゼパン塩酸塩の代わりに6−(4−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル−フェニル)−[1,4]オキサゼパン塩酸塩を用いた以外は、2−{7−[4−(3−メチル−[1,2,4]−オキサジアゾール−5−イル)フェニル]−[1,4]−オキサゼパン−4−イル}−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オンの手順と同じ手順で調製した。1−メチル−2−[6−(4−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(A086)を、白色の固体として得た(0.05g、0.12mmol、59%)。
【0097】
実施例8:1−メチル−2−[6−(4−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(A080)
【0098】
【化12】

【0099】
tert−ブチルアルコール(10mL)中の4−(4−ベンジル−[1,4]オキサゼパン−6−イル)−ベンゾニトリル(1.0g、3.4mmol)の混合物に、室温で微粉状の水酸化カリウム(2.0g、30mmol)を加え、このように得られた混合物を激しく撹拌しながら3時間還流させた。室温に冷却した後に、反応混合物を水で希釈し、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。このように得られた残渣を、室温でジメチルホルムアミドジメチルアセタール(3mL)に溶解した。溶液を110℃に加熱し、1時間撹拌した。過剰なジメチルホルムアミドジメチルアセタールを減圧下で除去した後、残留油を1,4−ジオキサン(3mL)に溶解した。このように得られた混合物に、室温でヒドロキシルアミン塩酸塩(0.09g、1.3mmol)、酢酸(3mL)および水酸化ナトリウム1M水溶液(1.5mL)を加え、混合物を2時間還流させた。室温に冷却した後に、反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてヘキサン/酢酸エチル=80/20〜50/50)による残渣の精製を行い、4−ベンジル−6−(4−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル−フェニル)−[1,4]オキサゼパンを無色の油として得た(0.03g、0.11mmol、8%)。
【0100】
6−(4−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル−フェニル)−[1,4]オキサゼパン塩酸塩は、7−[4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−フェニル]−4−(1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパンの代わりに4−ベンジル−6−(4−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル−フェニル)−[1,4]オキサゼパンを用いた以外は、7−[4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−フェニル]−[1,4]オキサゼパン塩酸塩の手順と同じ手順によって調製した。6−(4−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル−フェニル)−[1,4]オキサゼパン塩酸塩を、白色の固体として得た(0.03g、0.09mmol、90%)。
【0101】
1−メチル−2−[6−(4−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オンは、7−[4−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−フェニル]−[1,4]オキサゼパン塩酸塩の代わりに6−(4−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル−フェニル)−[1,4]オキサゼパン塩酸塩を用いた以外は、2−{7−[4−(3−メチル−[1,2,4]−オキサジアゾール−5−イル)フェニル]−[1,4]−オキサゼパン−4−イル}−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オンの手順と同じ手順によって調製した。1−メチル−2−[6−(4−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(A080)を、白色の固体として得た(0.02g、0.04mmol、50%)。
【0102】
実施例9:(+)−2−[7−(4−ブロモフェニル)−[1,4]−オキサゼパン−4−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン(A096)
【0103】
【化13】

【0104】
水素化ホウ素ナトリウム(3.8g、100mmol)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液に、1−(4−ブロモ−フェニル)−3−クロロ−プロパン−1−オン(25g、100mmol)の溶液を0℃で窒素雰囲気下にて滴下で添加した。混合物を室温に温め、2時間撹拌した。反応混合物を約50mLに減圧下で濃縮し、水で希釈した。酢酸エチルによる抽出処理を行い、抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濃縮後、残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてヘキサン/酢酸エチル=3/1)によって精製し、1−(4−ブロモ−フェニル)−3−クロロ−プロパン−1−オール(25g、100mmol、100%)を黄色の油として得た。
【0105】
アセトニトリル(600mL)中の1−(4−ブロモ−フェニル)−3−クロロ−プロパン−1−オール(25g、100mmol)、(R)−1−フェニルエチルアミン(25mL、200mmol)、ヨウ化カリウム(33g、200mmol)および炭酸カリウム(27.6g、200mmol)の混合物を室温で調製し、75℃に温めた。40時間撹拌した後、溶媒を留去した。次いで過剰な(R)−1−フェニルエチルアミンの蒸留による除去を120℃で減圧下行った。得られた残渣をジクロロメタン(200mL)に溶解し、このように得られた溶液に、トリエチルアミン(16.7mL、120mmol)および塩化クロロアセチル(10mL、120mmol)を0℃で加えた。1時間撹拌した後、反応溶液を1Nの塩酸水溶液中に注ぎ、クロロホルムで抽出した。抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。このように得られた残渣を2−プロパノール(100mL)で希釈し、混合物に、水酸化カリウム(9.9g、150mmol)を室温で加えた。5時間撹拌した後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水水酸化ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残渣の精製および各ジアステレオマーの分離をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてヘキサン/酢酸エチル=2/1〜1/1)によって行い、7−(4−ブロモ−フェニル)−4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン−3−オン(ジアステレオマーA;13.1g、35mmol、3ステップにおいて35%)を茶色の油として、および7−(4−ブロモ−フェニル)−4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン−3−オン(ジアステレオマーB;11.0g、29.4mmol、3ステップにおいて29%)を白色の固体として得た。
【0106】
7−(4−ブロモ−フェニル)−4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン−3−オン(ジアステレオマーA):
Rf値=0.25(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)、1H NMR (400 MHz, CDCl3) δppm 1.49-1.57 (3H, m), 1.75-1.86 (1H, m), 1.96-2.04 (1H, m), 3.10-3.19 (1H, m), 3.30 (1H, ddd, J=15.1, 7.5, 2.0Hz), 4.35 (1H, d, J=15.2 Hz), 4.51 (1H, dd, J=9.4, 3.9 Hz), 4.59 (1H, d, J=15.2 Hz), 6.05 (1H, q, J=7.3 Hz), 7.18 (2H, d, J=8.2 Hz), 7.28-7.37 (5H, m), 7.44-7.48 (2H, m).
【0107】
7−(4−ブロモ−フェニル)−4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン−3−オン(ジアステレオマーB):
Rf値=0.10(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)、1H NMR (400 MHz, CDCl3) δppm 1.44-1.51 (1H, m), 1.53 (3H, d, J=7.0 Hz), 1.84-1.92 (1H, m), 3.19-3.26 (1H, m), 3.29-3.37 (1H, m), 4.33 (1H, d, J=15.2 Hz), 4.50 (1H, dd, J=10.0, 3.7 Hz), 4.58 (1H, d, J=15.2 Hz), 6.00 (1H, q, J=7.0 Hz), 7.12 (2H, d, J=8.6 Hz), 7.24-7.29 (1H, m), 7.32-7.37 (4H, m), 7.41 - 7.45 (2H, m).
【0108】
7−(4−ブロモ−フェニル)−4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン(ジアステレオマータイプA)は、4−ベンジル−5−メチル−[1,4]オキサゼパン−3−オンの代わりに7−(4−ブロモ−フェニル)−4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン−3−オン(ジアステレオマータイプA)を用いた以外は、4−ベンジル−5−メチル−[1,4]オキサゼパンの手順と同じ手順で調製した。7−(4−ブロモ−フェニル)−4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン(ジアステレオマータイプA)を無色の油として得た(9.5g、26.4mmol、75%)。
【0109】
7−(4−ブロモ−フェニル)−4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン((ジアステレオマータイプA)(0.50g、1.4mmol)およびクロロギ酸クロロエチル(0.54mL、5.0mmol)の1,2−ジクロロエタン(3mL)溶液を、密封したチューブ中で室温にて調製した。混合物を130℃に加熱し、5時間撹拌した。室温に冷却した後に、ジイソプロピルエチルアミン(0.10mL、0.57mmol)を加え、このように得られた溶液を130℃に再び加熱し、さらに3時間撹拌した。次いで反応混合物を減圧下で濃縮し、メタノール(5mL)に溶解した。茶色の溶液を1時間還流し、濃縮した。残留物質を粉砕し、酢酸エチルで洗浄し、濾過によって集め、光学活性な7−(4−ブロモ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン塩酸塩(0.32g、1.1mmol、79%)を白色の固体として得た。この固体を、以降の工程においてそれ以上精製することなく使用した。
【0110】
光学活性な7−(4−ブロモ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン塩酸塩(0.10g、0.34mmol)および2−クロロ−3−メチル−6−(ピリミジン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン(0.07g、0.30mmol)のテトラヒドロフラン(2mL)懸濁液に、トリエチルアミン(0.08mL)、0.60mmol)を室温で加えた。このように得られた混合物を一晩撹拌し、水に注いだ。クロロホルムによる抽出処理を行い、有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残渣を酢酸エチルおよびジイソプロピルエーテルからの再結晶によって精製し、(+)−2−[7−(4−ブロモフェニル)−[1,4]−オキサゼパン−4−イル]−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン(A096)(0.10g、0.23mmol、75%)を白色の固体として得た。
【0111】
実施例10:(+)−2−{7−[4−(5−メチル−[1,2,4]−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]−[1,4]−オキサゼパン−4−イル}−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン(A100)
【0112】
【化14】

【0113】
ジメチルホルムアミド(10mL)中のジアステレオマー純粋な7−(4−ブロモ−フェニル)−4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン(ジアステレオマータイプA)(2.0g、5.6mmol)、シアン化亜鉛(II)(0.40g、3.4mmol)、トリス(ジベンジリデンアセタン)ジパラジウム(0.46g、0.50mmol)、ジフェニルホスフィノフェロセン(0.67g、1.2mmol)および水(0.02mL、1.0mmol)の混合物を、室温で窒素雰囲気下にて調製した。混合物を120℃に加熱し、8時間撹拌した。室温に冷却した後に、2Nのアンモニア水溶液を加えることによって反応物をクエンチし、酢酸エチルで希釈した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液の濃縮、続いてシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてヘキサン/酢酸エチル=90/10〜60/40)による残渣の精製によって、4−[4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン−7−イル]−ベンゾニトリル(ジアステレオマータイプA)(0.68g、2.2mmol、40%)を茶色の油として得た。
【0114】
エタノール(5mL)および水(3mL)中の4−[4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン−7−イル]−ベンゾニトリル(ジアステレオマータイプA)(0.68g、2.2mmol)の混合物に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(0.46g、6.6mmol)および炭酸水素ナトリウム(1.20g、11mmol)を室温で加え、このように得られた混合物を80℃に加熱した。2時間撹拌した後、エタノールを除去するために反応混合物から溶媒を留去し、水およびクロロホルムで希釈した。有機相を水相から分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濃縮後、残渣の半分(0.39g)をキシレン(3mL)に溶解し、ジメチルアセトアミドジメチルアセタールを室温で加えた。混合物を3時間還流し、濃縮した。残留物質をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、7−[4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−フェニル]−4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン(ジアステレオマータイプA)(0.33g、0.92mmol、83%)を得た。
【0115】
7−[4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−フェニル]−4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン(ジアステレオマータイプA)(0.33g、0.92mmol)およびクロロギ酸クロロエチル(0.32mL、3.0mmol)の1,2−ジクロロエタン(3mL)溶液を、密封したチューブ中で室温にて調製した。混合物を4時間還流させた。室温に冷却した後に、ジイソプロピルエチルアミン(0.17mL、1.0mmol)を加え、このように得られた溶液をさらに3時間還流させた。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮し、メタノール(5mL)に溶解した。茶色の溶液を1時間還流し、濃縮した。残留物質を粉砕し、酢酸エチルで洗浄し、濾過によって集め、7−[4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−フェニル]−[1,4]オキサゼパン塩酸塩(23a)(0.25g、0.83mmol、91%)を白色の固体として得た。この固体を、以降の工程においてそれ以上精製することなく使用した。
【0116】
光学活性な7−[4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−フェニル]−[1,4]オキサゼパン塩酸塩(0.12g、0.41mmol)および2−クロロ−3−メチル−6−(ピリミジン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン(0.09g、0.38mmol)のスラリーに、トリエチルアミン(0.21mL、1.5mmol)を室温で加えた。混合物を20時間撹拌し、水に注いだ。クロロホルムによる抽出処理を行い、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濃縮、続いてシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてクロロホルム/メタノール=100/0〜90/10)による残渣の精製によって、(+)−2−{7−[4−(5−メチル−[1,2,4]−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]−[1,4]−オキサゼパン−4−イル}−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン(A100)(0.09g、0.19mmol、50%)を黄色がかった固体として得た。
【0117】
実施例11:(+)−2−{7−[4−(3−メチル−[1,2,4]−オキサジアゾール−5−イル)フェニル]−[1,4]−オキサゼパン−4−イル}−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン(A103)
【0118】
【化15】

【0119】
7−(4−ブロモ−フェニル)−4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン(ジアステレオマータイプA)(2.0g、5.6mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、n−ブチルリチウム(4.2mL、6.7mmol)のヘキサン(1.60mol/L)溶液を−78℃で窒素雰囲気下にて加え、混合物を15分間撹拌した。次いで、二酸化炭素ガスを反応混合物に30分間吹き込み、室温に温めた。混合物を3時間撹拌した後、水を加えることによって反応物をクエンチした。水相を酢酸エチルで洗浄し、1Nの塩酸水溶液によって酸性化した。酸性水相からの有機物質の抽出をテトラヒドロフランによって行い、抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。濃縮後、4−[4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン−7−イル]−安息香酸(ジアステレオマータイプA)(0.96g、2.9mmol、53%)を無色のアモルファスとして単離した。このアモルファスを、以降の工程においてそれ以上精製することなく使用した。
【0120】
N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中の4−[4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン−7−イル]−安息香酸(ジアステレオマータイプA)(0.96g、2.9mmol)およびアンモニアの7mol/Lのメタノール溶液(2mL、14mmol)に、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(1.25g、4.5mmol)を室温で加え、混合物を1日撹拌した。反応混合物を水に注いだ。このように得られた白色の固体物質を濾過によって集め、減圧下で50℃にて5時間乾燥させ、4−[4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン−7−イル]−ベンズアミド(ジアステレオマータイプA)(0.58g、1.78mmol、61%)を得た。
【0121】
4−[4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン−7−イル]−ベンズアミド(ジアステレオマータイプA)(0.28g、0.86mmol)をN,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタール(1mL)に溶解し、溶液を110℃で1時間撹拌した。混合物を濃縮し、次いで残渣を1,4−ジオキサン(2mL)に溶解した。その溶液に、1Nの水酸化ナトリウム水溶液(1mL)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(0.06g、0.86mmol)および酢酸(2mL)を加え、混合物を1時間還流させた。室温に冷却した後に、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。このように得られた残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてヘキサン/酢酸エチル=5/1〜1/1)によって精製し、7−[4−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−フェニル]−4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン(ジアステレオマータイプA)(0.27g、0.75mmol、88%)を白色の固体として得た。
【0122】
光学活性な7−[4−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−フェニル]−[1,4]オキサゼパン塩酸塩は、7−[4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−フェニル]−4−(1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパンの代わりに7−[4−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−フェニル]−4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパンを用いた以外は、光学活性な7−[4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−フェニル]−[1,4]オキサゼパン塩酸塩の手順と同じ手順によって調製した。光学活性な7−[4−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−フェニル]−[1,4]オキサゼパン塩酸塩を、白色の固体として得た(0.16g、0.54mmol、72%)。
【0123】
(+)−2−{7−[4−(3−メチル−[1,2,4]−オキサジアゾール−5−イル)フェニル]−[1,4]−オキサゼパン−4−イル}−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン(A121)は、光学活性な7−[4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−フェニル]−[1,4]オキサゼパン塩酸塩の代わりに光学活性な7−[4−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−フェニル]−[1,4]オキサゼパン塩酸塩を用いた以外は、2−{7−[4−(5−メチル−[1,2,4]−オキサジアゾール−3−イル)フェニル]−[1,4]−オキサゼパン−4−イル}−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン(A100)の手順と同じ手順によって調製した。(+)−2−{7−[4−(3−メチル−[1,2,4]−オキサジアゾール−5−イル)フェニル]−[1,4]−オキサゼパン−4−イル}−3−メチル−6−ピリミジン−4−イル−3H−ピリミジン−4−オン(A103)を、白色の固体として得た(0.07g、0.16mmol、63%)。
【0124】
実施例12:1−メチル−2−(2−メチル−[1,4]オキサゼパン−4−イル)−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(A051)
【0125】
【化16】

【0126】
3−アミノ−プロパン−1−オール(15.0g、200mmol)のメタノール(300ml)溶液に、パラ−メトキシベンズアルデヒド(28.6g、210mmol)および数滴の酢酸を室温で加えた。混合物を室温で2時間撹拌し、0℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(11.4g、300mmol)を加えた後、混合物を室温でさらに2時間撹拌し、3Nの塩酸で酸性化した。二相性混合物を室温で10分間撹拌した。有機溶媒を減圧下で留去し、残渣を水および酢酸エチルに分配した。水相を酢酸エチルで洗浄し、6Nの水酸化ナトリウムで塩基性化した。クロロホルムによる抽出を行い、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、続いて真空濃縮によって、3−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−プロパン−1−オールを淡黄色の油として得た(16.4g、42%)。
【0127】
3−(4−メトキシ−ベンジルアミノ)−プロパン−1−オール(2.00g、10.2mmol)のジクロロメタン(30ml)溶液に、トリエチルアミン(1.09g、10.8mmol)および2−クロロプロピオニルクロリド(1.37g、10.8mmol)を0℃で加えた。混合物を0℃で1時間撹拌し、0.5Nの塩酸およびジクロロメタンに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を2−プロパノール(50ml)に溶解し、水酸化カリウム(1.15g、20.5mmol)を0℃で加えた。このように得られた混合物を0℃で4時間撹拌し、飽和塩化アンモニウム溶液および酢酸エチルに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=3/1)によって精製し、4−(4−メトキシベンジル)−2−メチル−[1,4]オキサゼパン−3−オンを無色の油として得た(2.00g、78%)。
【0128】
4−(4−メトキシ−ベンジル−2−メチル−[1,4]オキサゼパン−3−オン(2.00g、8.02mmol)のテトラヒドロフラン(24ml)溶液に、テトラヒドロフラン中の1Mのボラン−テトラヒドロフラン錯体(27.3ml、27.3mmol)を0℃で加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。0℃に冷却した後、メタノール(20ml)および6Nの水酸化ナトリウム(20ml)を注意深く加えた。このように得られた混合物を2時間還流し、室温に冷却した。溶媒を減圧下で除去した。残渣を飽和塩化アンモニウム溶液および酢酸エチルに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)によって精製し、4−(4−メトキシベンジル)−2−メチル−[1,4]オキサゼパンを無色の油として得た(1.66g、88%)。
【0129】
4−(4−メトキシ−ベンジル−2−メチル−[1,4]オキサゼパン(1.66g、7.05mmol)の1,2−ジクロロエタン(12ml)溶液に、クロロギ酸(1−クロロエチル)(2.52g、17.6mmol)を室温で加えた。混合物を5時間還流し、室温に冷却した。メタノール(15ml)を加えた後、混合物を3時間還流し、真空中で濃縮し、粗生成物を得た。この粗生成物をエーテルおよび1Nの塩酸に分配し、エーテルで洗浄した。水相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で塩基性化した。生成物をジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で、生成物の蒸発を回避するように注意深く除去した。このように得られた溶液に、酢酸エチル中の4Nの塩酸を加えた。溶液を真空中で濃縮し、2−メチル−[1,4]オキサゼパン塩酸塩を淡黄色の油として得た(964mg、90%)。
【0130】
2−クロロ−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(126mg、0.565mmol)および2−メチル−[1,4]オキサゼパン塩酸塩(100mg、0.660mmol)のスラリーに、トリエチルアミン(172mg、1.70mmol)を室温で加えた。このように得られた混合物を室温で10時間撹拌し、水および酢酸エチルに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;酢酸エチル)によって精製し、1−メチル−2−(2−メチル−[1,4]オキサゼパン−4−イル)−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オンを白色の固体として得た(A051)(103mg、61%)。
【0131】
実施例13:(R)−2−[2−(3−ブロモ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(A079)
【0132】
【化17】

【0133】
(R)−1−フェニルエタンアミン(364g、3.00mol)の水(43.7ml)溶液に、3−クロロプロパン−1−オール(142g、1.50mol)を室温で加えた。混合物を100℃で5時間撹拌した。このように得られた混合物を0℃に冷却し、飽和炭酸カリウム水溶液で塩基性化した。有機層をジクロロメタンで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗生成物を減圧下で蒸留し、過剰な(R)−1−フェニルエタンアミンを除去した。残渣をクロロホルムで希釈し、活性炭を溶液に加えた。混合物を1時間還流し、セライトのパッドを通して濾過した。濾液を真空中で濃縮し、(R)−3−(1−フェニルエチルアミノ)プロパン−1−オールを淡黄色の油として得た(224g、83%)。
【0134】
【化18】

【0135】
3−ブロモフェニル酢酸(25.0g、116mmol)の四塩化炭素(200ml)溶液に、N−ブロモスクシンイミド(22.8g、128mmol)を室温で加えた。混合物を3時間還流し、室温に冷却した。このように得られた沈殿物を濾過した。濾液を真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)によって精製し、ブロモ−(3−ブロモ−フェニル)−酢酸を黄色の液体として得た(27.8g、81%)。
【0136】
【化19】

【0137】
ブロモ−(3−ブロモ−フェニル)−酢酸(27.8g、94.6mmol)のジクロロメタン(200ml)溶液に、塩化オキサリル(19.8g、156mmol)および数滴のN,N−ジメチルホルムアミドを室温で加えた。混合物を40℃で1時間撹拌した後、溶媒を減圧下で除去した。残渣をジクロロメタン(30ml)に溶解し、溶液を(R)−3−(1−フェニルエチルアミノ)プロパン−1−オール(18.6g、104mmol)およびトリエチルアミン(11.6g、114mmol)のジクロロメタン(312ml)溶液に0℃で加えた。混合物を0℃で1.5時間撹拌し、0.5Nの塩酸およびジクロロメタンに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣を2−プロパノール(312ml)に溶解し、次いで水酸化カリウム(11.7g、208mmol)を0℃で加えた。混合物を0℃で3時間撹拌し、飽和塩化アンモニウム溶液およびジクロロメタンに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗混合物をエーテルで粉砕した。このように得られた固体物質を濾過によって集め、減圧下で乾燥させ、ジアステレオマー的に純粋な2−(3−ブロモ−フェニル)−4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン−3−オン(ジアステレオマー1)を白色の固体として得た(9.71g、25%)。
【0138】
Rf値=0.43(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)
1H- NMR(400 MHz, CDCl3) δ:1.26-1.35(1H, m), 1.50(3H, d, J=7.0 Hz), 1.73-1.84(1H, m), 3.13(1H, ddd, J= 3.9, 6.3, 14.9 Hz), 3.48(1H, ddd, J=3.1, 10.2, 14.9 Hz), 3.67(1H, ddd, J=4.7, 11.0, 15.7 Hz), 4.15(1H, ddd, J=2.4, 7.0, 12.5 Hz), 5.26(1H, s), 6.06(1H, q, J=7.0 Hz), 7.23-7.33(2H, m), 7.35-7.37(4H, m), 7.39-7.42(1H, m), 7.44-7.46(1H, m), 7.63-7.64(1H, m)
【0139】
母液を真空中で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=4/1)によって精製し、2−(3−ブロモ−フェニル)−4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン−3−オンのさらなるジアステレオマー(ジアステレオマー2)を無色の油として得た(10.3g、27%)。
【0140】
Rf値=0.35(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)
1H- NMR(400 MHz, CDCl3) δ: 1.54(3H, d, J=7.0 Hz), 1.63-1.79(2H, m), 3.17(1H, ddd, J= 3.9, 6.3, 14.9 Hz), 3.42(1H, ddd, J=3.9, 9.4, 14.9 Hz), 3.74(1H, ddd, J=5.5, 11.0, 15.7 Hz), 4.18(1H, ddd, J=2.4, 6.3, 12.5 Hz), 5.28(1H, s), 6.06(1H, q, J=7.0 Hz), 7.22-7.29(4H, m), 7.31-7.35(2H, m), 7.39-7.42(1H, m), 7.44-7.46(1H, m), 7.63-7.64(1H, m)
【0141】
【化20】

【0142】
2−(3−ブロモ−フェニル)−4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパン−3−オン(ジアステレオマー1)(9.39g、25.1mmol)のテトラヒドロフラン(75ml)溶液に、テトラヒドロフラン中の1.0M−ボラン−テトラヒドロフラン錯体(75.0ml、75.0mmol)を0℃で加えた。混合物を4時間還流させた。混合物を0℃に冷却し、メタノール(100ml)および6.0Nの水酸化ナトリウム水溶液(100ml)を注意深く加えた。混合物を2時間還流し、室温に冷却した。溶媒を減圧下で除去した。残渣を水およびクロロホルムに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン/酢酸エチル=4/1)によって精製し、ジアステレオマー的に純粋な2−(3−ブロモフェニル)−4−((R)−1−フェニル−エチル)−[1,4]オキサゼパンを無色の油として得た(8.92g、99%)。
【0143】
ジアステレオマー的に純粋な2−(3−ブロモフェニル)−4−((R)−1−フェニルエチル)−[1,4]オキサゼパン(8.92g、24.8mmol)の1,2−ジクロロエタン(42ml)溶液に、クロロギ酸(1−クロロエチル)(8.85g、61.9mmol)を室温で加えた。混合物を5時間還流し、室温に冷却した。メタノール(20ml)を加えた後、溶液をさらに5時間還流させた。混合物を減圧下で濃縮し、粗生成物を得た。この粗生成物をエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥させ、2−(3−ブロモフェニル)−[1,4]オキサゼパンを白色の固体として得た(7.05g、97%)。X線のための分析試料をエタノールからの結晶化によって得て、この化合物の絶対配置は、Flackパラメーターを使用した方法によって(R)配置であることが見出された。絶対配置は、エタノールから結晶化した試料のX線結晶構造解析によって決定した。
【0144】
2−クロロ−3−メチル−6−(ピリミジン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン(1.00g、4.49mmol)および(R)−2−(3−ブロモフェニル)−[1,4]オキサゼパン(1.58g、5.39mmol)の溶液に、トリエチルアミン(1.36g、13.5mmol)を室温で加えた。混合物を室温で9時間撹拌した。混合物を水およびクロロホルムに分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル)によって精製し、(R)−2−[2−(3−ブロモ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(A079)を白色の固体として得た(1.65g、83%)。
【0145】
実施例14:(S)−2−[2−(3−シアノフェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(A039)
【0146】
【化21】

【0147】
(S)−2−[2−(3−ブロモフェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(A079)(1.0g、2.26mmol)のN,N−ジメチルアセトアミド(7.5ml)溶液に、シアン化亜鉛(0.292g、2.49mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(523mg、0.452mmol)を室温で窒素雰囲気下にて加えた。混合物を110℃で8時間撹拌した。このように得られた混合物をセライトのパッドを通して濾過し、炭酸水素ナトリウム水溶液およびクロロホルムに分配した。有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム/アセトン=4/1)によって精製し、(S)−2−[2−(3−シアノフェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(A039)を淡黄色の固体として得た(745mg、85%)。
【0148】
実施例15:(S)−1−メチル−2−{2−[3−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−フェニル]−[1,4]オキサゼパン−4−イル}−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(A030)
【0149】
【化22】

【0150】
(S)−2−[2−(3−シアノ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(A039)(250mg、0.644mmol)のエタノール(1.29ml)溶液に、50重量%−ヒドロキシルアミン水溶液(128mg、1.93mmol)を室温で加えた。混合物を80℃で2時間撹拌し、濃縮した。残渣を水およびクロロホルムに分配した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣に、トルエン(1.29ml)およびN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(190mg、1.29mmol)を室温で加えた。混合物を2時間還流した後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム/メタノール=98/2)によって精製し、(S)−1−メチル−2−{2−[3−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)フェニル]−[1,4]オキサゼパン−4−イル}−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(A030)を白色の固体として得た(254mg、89%)。
【0151】
実施例16:(S)−3−[4−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−[1,4]オキサゼパン−2−イル]−ベンズアミド(A015)
【0152】
【化23】

【0153】
(S)−2−[2−(3−シアノ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(A039)(300mg、0.772mmol)、テトラヒドロフラン(1.90ml)および3.0N−炭酸ナトリウム(1.90ml)のエタノール(1.90ml)溶液に、30%過酸化水素(1.90ml)を室温で加えた。混合物を室温で2時間撹拌し、水およびクロロホルムに分配した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をジエチルエーテルで洗浄し、(S)−3−[4−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−[1,4]オキサゼパン−2−イル]−ベンズアミド(A015)を淡黄色の固体として得た(293mg、93%)。
【0154】
実施例17:(S)−1−メチル−2−{2−[3−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−フェニル]−[1,4]オキサゼパン−4−イル}−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(A045)
【0155】
【化24】

【0156】
(S)−3−[4−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−[1,4]オキサゼパン−2−イル]−ベンズアミド(A015)(200mg、0.492mmol)のN,N−ジメチルアセトアミドジメチルアセタール(0.760ml)溶液を、110℃で1時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、次いで1,4−ジオキサン(0.820ml)、酢酸(0.820ml)、1N水酸化ナトリウム(0.490ml)およびヒドロキシルアミン塩酸塩(43.1mg、0.491mmol)を加えた。混合物を100℃で3時間撹拌し、水およびクロロホルムに分配した。有機層をブラインおよび炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;クロロホルム/メタノール=98/2)によって精製し、(S)−1−メチル−2−{2−[3−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−フェニル]−[1,4]オキサゼパン−4−イル}−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(A045)を淡黄色の固体として得た(116mg、53%)。
【0157】
実施例18:(R)−1−メチル−2−(3−メチル−[1,4]オキサゼパン−4−イル)−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(A064)
【0158】
【化25】

【0159】
(R)−2−アミノ−1−プロパノール(5g、67mmol)のテトラヒドロフラン(THF)(50mL)溶液に、1Mの水酸化ナトリウム水溶液(150mL、150mmol)、およびジ−tert−ブチルジカーボネート(14.5g、67mmol)のTHF(50mL)溶液を0℃で加え、15時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈した。有機相を水相から分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を減圧下で除去した後、粗物質をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてヘキサン/酢酸エチル=1/1)によって精製し、(R)−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(9.0g、51.4mmol、77%)を無色の油として得た。
【0160】
(R)−(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(4.0g、22.8mmol)を50%水酸化ナトリウム水溶液(15mL)に0℃で溶解し、このように得られた溶液に、臭化アリル(2.2mL、25mmol)および触媒量のテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(0.85g、2.5mmol)を室温で加え、4時間撹拌した。このように得られた溶液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。このように得られた粗アリルエーテルをTHF(75mL)に室温で溶解し、このように得られた溶液に、9−ボラビシクロ[3,3,1]ノナンのTHF溶液(0.5M、100mL、50mmol)を加えた。5時間撹拌した後、このように得られた溶液に、水(8mL)、3Nの水酸化ナトリウム水溶液(8.1mL)および30%過酸化水素水溶液(8.2mL)を室温で加え、40℃に温め、続いて30分間撹拌した。有機溶媒を減圧下で除去し、残渣をブラインで希釈した。酢酸エチルによって抽出を行い、抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。濃縮後、残留物質をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、(R)−[2−(3−ヒドロキシプロポキシ)−1−メチル−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(3.0g、12.9mmol、56%)を無色の油として得た。
【0161】
(R)−[2−(3−ヒドロキシ−プロポキシ)−1−メチル−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルを、室温で塩化水素の酢酸エチル溶液(4N)(20mL、80mmol)に溶解した。3時間撹拌した後、このように得られた混合物を濃縮した。粘性油をジクロロメタン(50mL)と混合し、このように得られた混合物に、トリエチルアミン(5.0mL、36mmol)および2−ニトロベンゼンスルホニルクロリド(2.7g、12mmol)を0℃で加えた。反応混合物を1時間撹拌し、水で希釈した。クロロホルムによる抽出処理を行い、有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濃縮、続いてシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液として酢酸エチルのみ)による精製によって、(R)−N−[2−(3−ヒドロキシ−プロポキシ)−1−メチル−エチル]−2−ニトロ−ベンゼンスルホンアミド(1.3g、4.1mmol、34%)を黄色の固体として得た。
【0162】
(R)−N−[2−(3−ヒドロキシ−プロポキシ)−1−メチル−エチル]−2−ニトロベンゼンスルホンアミド(1.3g、4.1mmol)のTHF(50mL)溶液に、トリフェニルホスフィン(1.7g、6.6mmol)、およびアゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)のトルエン溶液(40%wt)(3mL、6.6mmol)を室温で加えた。このように得られた混合物を18時間撹拌し、濃縮した。残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてヘキサン/酢酸エチル=1/1)に通過させ、トリフェニルホスフィンオキシドを除去した。(R)−3−メチル−4−(2−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−[1,4]オキサゼパンを含有するこのように得られた茶色の粘稠物質をジメチルホルムアミド(DMF)(10mL)に溶解し、チオグリコール酸(0.72mL、10mmol)および水酸化リチウム一水和物(1g、24mmol)を混合物に室温で加えた。18時間撹拌した後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残渣をTHF(10mL)および1Mの水酸化ナトリウム水溶液(10mL)に溶解し、ジ−tert−ブチルジカーボネート(1.0g、4.5mmol)を室温で溶液に加えた。5時間撹拌した後、反応混合物を留去して有機溶媒を除去し、酢酸エチルで抽出した。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離液としてヘキサン/酢酸エチル=3/1)によって精製し、(R)−3−メチル−[1,4]オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.48g、2.2mmol、56%)を無色の油として得た。
【0163】
(R)−3−メチル−[1,4]オキサゼパン−4−カルボン酸tert−ブチルエステル(0.48g、2.2mmol)を、塩化水素の酢酸エチル(5mL)溶液(4N)に室温で溶解し、混合物を3時間撹拌した。反応混合物の濃縮後、残渣をジイソプロピルエーテルによって粉砕し、濾過し、(R)−3−メチル−[1,4]オキサゼパン塩酸塩(0.23g、1.5mmol、67%)を白色の固体として集めた。
【0164】
N−メチルピロリドン(3mL)中の(R)−3−メチル−[1,4]オキサゼパン塩酸塩(0.10g、0.66mmol)および2−クロロ−3−メチル−6−(ピリミジン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン(0.13g、0.6mmol)の混合物に、トリエチルアミン(0.25mL、1.8mmol)を室温で加え、このように得られた混合物を80℃に温めた。4時間撹拌した後、反応混合物を室温に冷却し、水で処理した。このように得られた有機物質をクロロホルムで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。有機溶液の濃縮、およびシリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーによる残渣の精製、それに続くエタノール/ヘキサンからの結晶化によって、(R)−1−メチル−2−(3−メチル−[1,4]オキサゼパン−4−イル)−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン(A064)(0.06g、0.19mmol、31%)を無色の結晶として得た。
【0165】
下記の表の化合物を、上記の方法と同じ方法で調製した。下記の表における化合物番号は、好ましい化合物の上記の表において記載した番号に対応する。
【0166】
【表2】











【0167】
実験:ウシ大脳TPK1によるP−GS1リン酸化に対する本発明の医薬の阻害活性
100mMのHEPES−水酸化ナトリウム(pH7.2)、1mMの酢酸マグネシウム、1mMのEGTA、1mMのジチオスレイトール(DTT)、0.02%Tween20、7.5μMのP−GS1、10μMのATP、ヒト組換えTPK1、および表に示す化合物を含有する混合物(最終混合物は、10%DMSOの存在下で調製した試験化合物の溶液に由来する1%DMSOを含有した)を、反応系として使用した。ATPを加えることによってリン酸化を開始させ、25℃で16時間反応させた。次いで、等容量のKinase Glo試薬(Promega)を混合物に加え、混合物からの発光シグナルを測定した。酵素を有さない混合物のデータを0%活性として設定し、化合物を有さない混合物のデータを100%活性として設定することによって、各化合物のIC50を計算した。
【0168】
【表3】

【0169】
製剤例
(1)錠剤
下記の成分を、常法によって混合し、通常の装置を使用することによって圧縮した。
本発明の化合物 30mg
(調製例において調製)
結晶セルロース 60mg
トウモロコシデンプン 100mg
ラクトース 200mg
ステアリン酸マグネシウム 4mg
【0170】
(2)軟質カプセル剤
下記の成分を、常法によって混合し、軟質カプセル剤中に充填した。
本発明の化合物 30mg
(調製例において調製)
オリーブ油 300mg
レシチン 20mg
【産業上の利用可能性】
【0171】
本発明の化合物はTPK1阻害活性を有し、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)および上記の疾患などの、TPK1の異常な亢進によって引き起こされる疾患の予防的処置および/または治療的処置のための医薬の活性成分として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I)によって表される化合物または薬学的に許容されるその塩。
【化1】


[式中、Zは、窒素原子またはC−Xを表し、
Xは、水素原子またはハロゲン原子を表し、
は、C〜Cアルキル基を表し、
Yは、酸素原子またはN−Rを表し、
、R、R、R、RおよびRは、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、水素原子、C〜Cアルキル基、または下記の式(II)によって表される基を表し、
【化2】


式中、Rは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C〜Cアルキル基、または下記の式(IIIa)〜(IIIh)の何れか1つによって表される基を表し、
【化3】


式中、Rは、水素原子またはC〜Cアルキル基を表し、
11、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19およびR20は、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、水素原子、C〜Cアルキル基、またはC〜C10アリール基を表し、
12は、水素原子、水酸基、アミノ基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルキルオキシ基、C〜Cアルキルアミノ基、ジ(C〜Cアルキル)アミノ基、またはC〜C10アリール基を表し、
10は、水素原子または下記の式(IV)によって表される基を表し、
【化4】


式中、Aは、−(CH−、−CO−、または−SO−を表し、pは、1〜3の整数を表し、
21は、水素原子、C〜Cアルキル基、−OR22、−NR2324、またはC〜C10アリール基を表し、
22、R23およびR24は、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、水素原子、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、またはC〜C10アリール−メチル基を表すか、
10およびR11は、互いに結合して、R10およびR11が結合している窒素原子と一緒になって複素環基を形成してもよい]。
【請求項2】
Zが、窒素原子またはC−Fである、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
Yが、酸素原子であり、R、R、R、RおよびRからなる群から選択される少なくとも4個の置換基の各々が、水素原子である、請求項1または2に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
、R、R、RおよびRが、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、水素原子、C〜Cアルキル基または式(II)によって表される基であり、Rが、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C〜Cアルキル基、または式(IIIa)、(IIIc)、(IIId)、および(IIIe)の何れか1つによって表される基である、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
Yが、N−Rであり、R、R、R、RおよびRの各々が、水素原子である、請求項1または2に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
(S)−2−[6−(4−ブロモ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン;
2−(6−フェニル−[1,4]オキサゼパン−4−イル)−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン;
6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−2−(2−フェニル−[1,4]オキサゼパン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン;
(S)−2−[6−(4−シアノ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン;
(S)−4−{4−[4−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−[1,4]オキサゼパン−2−イル}−ベンズアミド;
(S)−2−[2−(3−ブロモ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン;
(S)−2−[2−(4−ブロモ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン;
(+)−6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−2−[7−(4−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−3H−ピリミジン−4−オン;
6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−2−(5−フェニル−[1,4]オキサゼパン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン;
(S)−2−[2−(4−ブロモ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン;
6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−2−{6−[4−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−フェニル]−[1,4]オキサゼパン−4−イル}−3H−ピリミジン−4−オン;
(S)−2−[2−(4−フルオロ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン;
(+)−6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−2−{7−[4−(3−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−フェニル]−[1,4]オキサゼパン−4−イル}−3H−ピリミジン−4−オン;
(S)−3−{4−[4−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−[1,4]オキサゼパン−2−イル}−ベンズアミド;
(+)−6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−2−{7−[4−(5−メチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−フェニル]−[1,4]オキサゼパン−4−イル}−3H−ピリミジン−4−オン;
6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−2−[6−(4−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−3H−ピリミジン−4−オン;
(S)−2−[2−(3−ブロモ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン;
(S)−2−[2−(4−シアノ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン;
2−[7−(2−フルオロ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン;
(S)−2−[2−(4−フルオロ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−1−メチル−1H−[4,4’]ビピリミジニル−6−オン;
(S)−3−[4−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[4,4’]ビピリミジニル−2−イル)−[1,4]オキサゼパン−2−イル]−ベンズアミド;
6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−2−[7−(3−メトキシ−フェニル)−[1,4]オキサゼパン−4−イル]−3−メチル−3H−ピリミジン−4−オン;
6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−2−(5−メチル−[1,4]オキサゼパン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン;及び
(R)−6−(3−フルオロ−ピリジン−4−イル)−3−メチル−2−(5−メチル−[1,4]オキサゼパン−4−イル)−3H−ピリミジン−4−オン;
からなる群から選択される化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
活性成分として請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩を含む医薬。
【請求項8】
タウプロテインキナーゼ1の過剰活性によって引き起こされる疾患の予防的処置および/または治療的処置のために使用される、請求項7に記載の医薬。
【請求項9】
神経変性疾患の予防的処置および/または治療的処置のために使用される、請求項7に記載の医薬。
【請求項10】
疾患が、インスリン非依存性糖尿病、肥満症、躁うつ病、統合失調症、脱毛症、乳がん、非小細胞肺癌、甲状腺がん、T細胞またはB細胞白血病、およびウイルス誘発腫瘍からなる群から選択される、請求項9に記載の医薬。
【請求項11】
神経変性疾患が、アルツハイマー病、虚血性脳血管発作、ダウン症候群、脳アミロイドアンギオパチーによる脳出血、進行性核上性麻痺、亜急性硬化性全脳炎性パーキンソニズム、脳炎後パーキンソニズム、拳闘家脳炎、グアムパーキンソン認知症複合、レビー小体病、ピック病、皮質基底核変性症、前頭側頭型認知症、血管性認知症、外傷、脳および脊髄の外傷、末梢性ニューロパシー、網膜症、緑内障、筋萎縮性側索硬化症、マラリア、尋常性天疱瘡、ならびに癌化学療法によって誘発される好中球減少症からなる群から選択される、請求項9に記載の医薬。

【公表番号】特表2012−522724(P2012−522724A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542382(P2011−542382)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【国際出願番号】PCT/JP2010/056346
【国際公開番号】WO2010/114179
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000002956)田辺三菱製薬株式会社 (225)
【出願人】(504456798)サノフイ (433)
【Fターム(参考)】