説明

4−アミノ−ピリド[3,2−e]ピラジン、該化合物のホスホジエステラーゼ10の阻害剤としての使用、及び該化合物の製造方法

本発明は4−アミノ−ピリド[3,2−e]ピラジン、これらの製造方法、これらの化合物を含む医薬品及びこれらの化合物の薬理学的使用に関する。該化合物は、ホスホジエステラーゼ10の阻害剤であり、本発明による化合物の使用に影響され得るヒトを含むほ乳類の疾患を治療するための活性化合物として、中枢神経系においてホスホジエステラーゼ10活性を阻害する。更に詳細には、本発明は神経疾患及び精神疾患、例えば、症状として認知障害を含む精神病及び疾患の治療に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は4−アミノ−ピリド[3,2−e]ピラジン、これらの製造方法、これらの化合物を含む医薬品及びこれらの化合物の薬理学的使用に関する。該化合物は、ホスホジエステラーゼ10の阻害剤であり、本発明による化合物の使用に影響され得るヒトを含む哺乳動物の疾患を治療するための活性化合物として、中枢神経系においてホスホジエステラーゼ10活性を阻害する。更に詳細には、本発明は神経疾患及び精神疾患、例えば、症状として認知障害を含む精神病及び疾患の治療に関する。
【0002】
発明の背景
精神病性障害、特に統合失調症は、日常生活を極めて損なわせる深刻な精神疾患である。精神病の症状は2つの部分に分けられ得る。急性期では、陽性症状と呼ばれる幻覚及び妄想に支配される。興奮期が弱まると、いわゆる陰性症状が目立ってくる。これらは認知障害、社会恐怖、注意力の低下、無関心並びに言語学習及び言語記憶の障害、言語の流暢さ及び運動機能の障害を含む。
【0003】
いくつかの抗精神病薬が入手可能であるが、現行の精神病の療法は満足のいくものではない。古典的な抗精神病薬、例えばドーパミンD2受容体に対して高い親和性を有するハロペリドールは、極端な副作用、例えば錐体外路症状(=EPS)を示し、統合失調症の陰性症状を改善しないため、患者を日常生活に戻すことができない。
【0004】
クロザピンは、統合失調症の陽性、陰性及び認知症状を治療回復させるベンチマークとして現れたが、EPSを示さなければ主要な、潜在性の致命的な副作用として顆粒球減少症を示す(Capuanoら、2002年)。その上、未だに多くの治療抵抗性の症例がある(Lindenmayerら、2002年)。
【0005】
結論として、精神病の陽性、陰性及び認知症状を回復させ且つより望ましい副作用プロファイルを有する新たな抗精神病薬の開発がなお求められている。
【0006】
この精神病の正確な病理学的機序はまだ知られていない。いくつかの神経伝達系の機能障害は示された。必要とされる2つの主要な神経伝達系は、ドーパミン作動系とグルタミン酸作動系である:
従って、急性精神病性の症状はドーパミン作動薬によって促進され(Capuanoら、2002年)、ハロペリドールのような古典的な抗精神病薬はドーパミンD2受容体に対して高い親和性をもつ(Nybergら、2002年)。ドーパミン神経伝達系の機能亢進(アンフェタミンの機能亢進、アポモルヒネの上昇)に基づいた動物モデルは、統合失調症の陽性症状を模倣するために使用される。
【0007】
更に、グルタミン酸作動性神経伝達系が統合失調症の発現において重要な役割を果たしている証拠が増えつつある(Millan、2005年)。従って、フェンシクリジン及びケタミンのようなNMDAアンタゴニストは、ヒト及びげっ歯類における統合失調症の症状に刺激を与えることができる(Abi-Saabら、1998年;Lahtiら、2001年)。フェンシクリジン及びMK−801の急性投与によって、精神病の症状を模倣しているラットにおいて機能亢進、常同性及び運動失調が誘発される。更に、ドーパミン作動モデルとは対照的に、NMDAアンタゴニストに基づいた精神病の動物モデルは、精神病の陽性の症状だけでなく、陰性及び認知症状をも模倣する(Abi-Saabら、1998年;Jentsch及びRoth、1999年)。従って、NMDAアンタゴニストは、更に認知障害及び社会的対話障害を引き起こす。
【0008】
ホスホジエステラーゼの11系統は、これまでのところ、哺乳動物で確認された(Essayan、2001年)。細胞シグナルカスケードにおけるPDEの役割は、環状ヌクレオチドcAMP及び/又はcGMP(Soderling及びBeavo、2000年)を不活性化することである。cAMP及びcGMPはG−タンパク質共役受容体のシグナルカスケードにおける重要なセカンドメッセンジャーであるため、PDEは、生体のホメオスタシスの役割を果たす幅広い生理機構に関与している。
【0009】
PDE系統はそれらの環状ヌクレオチドに対する基質特異性、それらの調節機構及びそれらの阻害剤に対する感受性の点で異なる。更に、PDE系統は、生体において、器官の細胞の中で、そして細胞内でさえも様々な位置にある。これらの違いは、種々の生理機能において区別化されたPDE系統の関与をもたらす。
【0010】
PDE10Aは主に脳で発現し、本明細書中では側坐核及び尾状核被殻で発現する。中程度に発現する領域は、視床、海馬、前頭皮質、及び嗅結節(Mennitiら、2001年)である。これら全ての脳の領域について、酵素の位置が精神病の病理学的機構において支配的な役割を示すので、統合失調症の病理学的機構(Lapizら、2003年)に関係することが記載されている。
【0011】
線条体において、PDE10Aが中程度の突起状ニューロンで主に発見され且つこれらのニューロンのシナプス後部膜にまず関連づけられる(Xieら、2006年)。この位置によってPDE10Aはシグナルカスケードに重大な影響を与え得る。シグナルカスケードは、中程度の突起状ニューロンへのドーパミン作動入力とグルタミン酸作動入力によって引き起こされ、この2つの神経伝達系は、精神病の病理学的機構において支配的な役割を果たす。
【0012】
ホスホジエステラーゼ(PDE)10Aは、特に、cAMPとcGMPの両方を加水分解し、cGMP(K=3μM)よりもcAMP(K=0.05μM)に対して高い親和性を有する(Soderlingら、1999年)。
【0013】
精神病患者はcGMPとcAMPレベル及びその下流の基質の機能障害を有することが確認された(Kaiya、1992年;Muly、2002年;Garverら、1982年)。その上、ハロペリドールによる治療は、ラット及び患者、それぞれの増大したcAMP及びcGMPレベルに関連する(Levequeら、2000年;Gattazら、1984年)。PDE10はcAMPとcGMP(Koteraら、1999年)の両方を加水分解するので、PDE10Aの阻害はcAMPとcGMPの増加をも引き起こし、それによって環状ヌクレオチドレベルにハロペリドールと似たような影響を与えるだろう。
【0014】
PDE10A阻害剤の向精神活性はKostowskiら(1976年)の研究によって更に裏付けられている。彼らは、パパベリン、即ち中程度の選択的PDE10A阻害剤によって、ラット、即ち精神病の動物モデルにおいてアポモルフィン−誘発型の常同性が低減し、ラット脳中のドーパミン濃度が同時に低減している間にラットにおいてハロペリドール−誘発型のカタレプシーが増大することを明らかにした。活性は古典的な抗精神病薬でも見られる。これは精神病の治療のためのPDE10A阻害剤としてのパパベリンを確立する特許出願によって更に裏付けられる(米国特許出願公開第2003/0032579号)。
【0015】
精神病の陽性症状を主に回復させる古典的な抗精神病薬に加えて、PDE10Aは更に精神病の陰性及び認知症状を改善する可能性も有する。
【0016】
中程度の突起状ニューロンへのドーパミン作動入力に焦点を当てると、cAMPとcGMPレベルによってアップレギュレーションされたPDE10A阻害剤は、D1アゴニスト及びD2アンタゴニストとして作用する。というのはGs−タンパク質共役ドーパミンD1受容体の活性が細胞内のcAMPを増大させるのに対して、Gi−タンパク質共役ドーパミンD2受容体の活性はアデニリルシクラーゼ活性の阻害により細胞内のcAMPレベルを低減させるからである(Mutschlerら、2001年)。
【0017】
D1受容体シグナルを介して上昇した細胞内cAMPレベルは、前前頭皮質の作動記憶に関与する一連のニューロン突起を調整すると思われる(Sawaguchi、2000年)。そしてD1受容体の活性によって統合失調症患者の作動記憶の障害が改善され得ることが報告された(Castnerら、2000年)。従って、この経路の更なる強化によって恐らく統合失調症の認知症状も改善され得ると思われる。
【0018】
PDE10A阻害が精神病の陰性症状に与える影響の更なる指標はRodeferら(2005年)によって与えられる。彼らは、ラットにおいて、フェンシクリジン、NMDAアンタゴニストの亜慢性投与によって誘発された、注意力を状況に応じて変化させる能力(attentional set-shifting)の欠損をパパベリンが回復させることを明らかにし得る。新しい刺激物へ注意を移す能力の欠損を含む、注意欠陥は、統合失調症の陰性症状に属す。この研究では注意欠陥は、7日間のフェンシクリジンの投与、その後のウォッシアウト期によって引き起こされた。PDE10A阻害剤パパベリンは亜慢性の治療によって誘発された持続性の不足を回復させることが可能であった。
【0019】
イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジノンの合成及び複数の医療的用途については、特許及び文献中に十分に記載されている。
【0020】
Berlex Laboratories社による出願の欧州特許第0400583号及び米国特許第5,055,465号は、イミダゾキノキサリノンの群、それらのアザアナログ及びそれらの製造方法を開示する。これらの化合物は、繊維抗張性(inodilatory)、血管拡張性(vasodilatory)及び静脈抗張性(venodilatory)効果を有することが判明した。この治療活性はホスホジエステラーゼ3(PDE3)の阻害に基づく。
【0021】
欧州特許第0736,532号はピリド[3,2−e]ピラジノン及びそれらの製造方法を開示している。これらの化合物は抗喘息特性及び抗アレルギー特性を有することが記載されている。本発明の実施例はPDE4及びPDE5の阻害剤である。
【0022】
国際公開第00/43392号パンフレットはイミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジノンの使用を開示しており、該物質は不十分な血液供給を伴う勃起機能不全、心不全、肺動脈緊張亢進及び血管疾患を治療するためのPDE3及びPDE5の阻害剤である。
【0023】
国際公開第01/68097号パンフレットに開示された、他のピリド[3,2−e]ピラジノンの群は、PDE5の阻害剤であり且つ勃起機能不全の治療に使用することができる。
【0024】
更にイミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジノンの製造方法もD. Norrisらによって記載されている(Tetrahedron Letters 42 (2001), 4297-4299)。
【0025】
国際公開第92/22552号パンフレットは、一般的に3位でカルボン酸基及びそれらの誘導体と置換されるイミダゾ[1,5−a]キノキサリンについて記載している。これらの化合物は不安緩解剤及び鎮静剤/睡眠剤として有用であることが記載されている。
【0026】
ほんのわずかに限られたイミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジンの数に対して、それらの医療的用途は既に刊行されている。
【0027】
国際公開第99/45009号パンフレットは式(I)
【化1】

のイミダゾピラジンの基について記載している。
【0028】
Qの定義部分はピリジンを含む6員の複素環を形成する。R、R及びRは多種多様な置換基を表すが、基−NRの定義は特に重要である。R及びRはそれぞれ無関係に水素、R又は−C(O)Rであり又は基NR全体は3〜8員の飽和環又は不飽和環を形成する。
【0029】
はアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、シクロアルケニルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロ又はヘテロシクロアルキルであり、それぞれ非置換であるか又は置換されている。
【0030】
この化合物は、免疫学的障害などのタンパク質チロシンキナーゼ関連性障害の治療に使用されるタンパク質チロシンキナーゼの阻害剤であると記載されている。
【0031】
興味深いことに、請求項9に列挙された全ての例の場合、基NRの構造はR及びRの1つが水素であるように制限され、別の場合、Rはフェニル(非置換であるか又は置換されている)である。
【0032】
基NRのこの構造的選択は同じ会社から刊行されたSARデータと一致する(P. Chenら、Bioorg. Med. Chem. Lett. 12 (2002年)、第1361-1364頁及びP. Chenら、Bioorg. Med. Chem. Lett. 12 (2002年)、第3153-3156頁)。
【0033】
発明の要約
本発明は式(II)の化合物に関し且つこれらの製薬学的に許容される塩、溶媒和物及びプロドラッグに関する。
【0034】
式(II)
【化2】

(式中、R及びRは無関係に
H、
環状基、
1−8アルキル又はC3−8シクロアルキル(場合によりハロゲン、OH、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)、
2−8アルケニル又はC3−8シクロアルケニル(場合によりハロゲン、OH、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)、
−Cアルキニル(場合によりハロゲン、OH、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)、
5から15までの環の原子を有する飽和、一価不飽和もしくは多価不飽和の複素環(場合によりハロゲン、アミノ、C1−3アルキルアミノ、ジ−C1−3アルキルアミノ、ニトロ、C1−3アルキル及び/又はO−C1−3アルキルで一置換もしくは多置換されている)、及び
フェニル(場合によりハロゲン、アミノ、C1−3アルキルアミノ、ジ−C1−3アルキルアミノ、ニトロ、C1−3アルキル及び/又はOC1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)
から選択される、
はNH、NHR又はNRを表す;
前記R及びRは無関係に
−環状基と、
−C1−5アルキル(場合によりハロゲン、OH、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)と、
−アリール−C1−5−アルキル(前記アリールはフェニルであり、そのフェニルは場合によりハロゲン、ニトロ、C1−3アルキル、OC1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)と、
−(C=O)−C1−5アルキル(場合によりハロゲン、OH、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)
から選択され、
−NRは一緒に飽和又は不飽和の5−、6−又は7−員環を形成し、前記環は3個以下のヘテロ原子、有利にはN(N−オキシドを含む)、S及びOを含むことができ、場合によりハロゲン、C1−3アルキル、O−C1−3アルキル及び/又はアリール−C1−5−アルキルで一置換もしくは多置換されており、前記アリールはフェニルであり、そのフェニルは場合によりハロゲン、ニトロ、C1−3アルキル及び/又はO−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている、そして

H、
ハロ、
環状基、

OH又はOR
NH(C=O)−C1−3アルキル(場合によりハロゲン、OH、O−C1−3アルキル及び/又は環状基、特にアリールもしくはフェニルで一置換もしくは多置換されている)、又は
NH、NHRもしくはNRから選択され、
前記R及びRは無関係に
−環状基と、
−C1−6アルキル又はC3−6シクロアルキル(場合によりハロゲン、OH、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)と、
−アリール−C1−5−アルキル(前記アリールはフェニルであり、そのフェニルは場合によりハロゲン、ニトロ、C1−3アルキル、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)
から選択され、
−NRは一緒に飽和又は不飽和の5−又は6−員環を形成し、前記環は3個以下のヘテロ原子、有利にはN(N−オキシドを含む)、S及びOを含むことができ、場合によりハロゲン、C1−3アルキル、C3−6シクロアルキル、O−C1−3アルキル及び/又はアリール−C1−5−アルキルで一置換もしくは多置換されており、前記アリールはフェニルであり、そのフェニルは場合によりハロゲン、アミノ、C1−3アルキルアミノ、ジ−C1−3アルキルアミノ、ニトロ、C1−3アルキル、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)の化合物
又は当該化合物の製薬学的に許容される塩及び誘導体。
【0035】
「ハロゲン」という用語はフルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを指す。
【0036】
「アルキル」、「アルケニル」及び「アルキニル」という用語は8個以下の炭素原子、有利には6個以下の炭素原子及び更に有利には5個以下の炭素原子、例えば、メチル、エチル、ビニル、エチニル、プロピル、アリル、プロピニル、ブチル、ブテニル、ブチニル等を有し、場合により上述のように置換してよい直鎖状又は分岐状の基を指す。
【0037】
「環状基」という用語は、場合によりハロゲン、アミノ、C1−3アルキルアミノ、ジ−C1−3アルキルアミノ、ニトロ、C1−3アルキル、OH、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている、飽和、不飽和又は芳香族のカルボ環又はカルボヘテロ環を指す。環状基は有利には3〜20個、特に4〜10個の炭素原子を含む。カルボヘテロ環は、有利にはO、N、S及び/又はPから選択される、1〜6個、特に1〜3個のヘテロ原子を含み得る。環状基は炭素原子を介して又は場合によりN、O、S、SO又はSO−基を介して結合できる。環状基の例はフェニルである。
【0038】
本発明の有利な実施態様は式(II)の化合物に関し、その際、R
H、
1−4アルキル、特にC2−4アルキル(場合によりハロゲン、OH、C1−3アルキル、又は/及び環状基で一置換もしくは多置換されている)又は
フェニル(場合によりハロゲン、アミノ、C1−3アルキルアミノ、ジ−C1−3アルキルアミノ、ニトロ、C1−3アルキル、O−C1−3アルキル又は/及び環状基で一置換もしくは多置換されている)から選択される。特にC2−4−アルキル又はフェニルが有利である。
【0039】
本発明の他の有利な実施態様は式(II)の化合物に関し、その際、R
H又は
場合によりハロゲン化されているC1−4アルキル、特にメチル又はトリフルオロメチルである。特に水素又はメチル基が有利である。
【0040】
本発明の更に有利な実施態様は式(II)の化合物に関し、その際、R
NH
NHC1−3アルキル(場合によりハロゲン、OH、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)、又は
NH(C=O)−C1−3アルキル(場合によりハロゲン、OH、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)、又は
シクロプロピル、シクロブチル、テトラヒドロピロリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル(場合によりC1−3アルキルもしくはアリールアルキルで一置換もしくは多置換されており、前記アルキルは場合によりハロゲン、OH及び/又はO−C1−3アルキルで一置換もしくは多置換されており、前記アリールは、フェニルであり、そのフェニルは、場合によりハロゲン、アミノ、C1−3アルキルアミノ、ジ−C1−3アルキルアミノ、ニトロ、C1−3アルキル及び/又はO−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)、例えば、
【化3】

から選択される。
【0041】
特に−NH、−NH−C1−3−アルキル、−NH−(C=O)−C1−3−アルキル又はイミダゾリルのうちの1つが有利である。
【0042】
本発明の有利な実施態様もまた式(II)の化合物に関し、その際、R
OH又はO−C1−3アルキル(場合によりハロゲン、OH、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)、
NHC1−3アルキル(場合によりハロゲン、OH、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)、又は
NHベンジル(前記フェニル基は、フェニルであり、そのフェニルは、場合によりハロゲン、アミノ、C1−3アルキルアミノ、ジ−C1−3アルキルアミノ、ニトロ、C1−3アルキル、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)、又は
シクロプロピル、シクロブチル、テトラヒドロピロリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル(場合によりC1−3アルキルもしくはアリールアルキルで一置換もしくは多置換されており、前記アルキルは場合によりハロゲン、OH、C1−5アルキル及び/又はO−C1−3アルキルで一置換もしくは多置換されており、前記アリールはフェニルであり、そのフェニルは、場合によりハロゲン、アミノ、C1−3アルキルアミノ、ジ−C1−3アルキルアミノ、ニトロ、C1−3アルキル、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)から選択される。
【0043】
特に水素、−O−C1−3−アルキル、−NH−C1−3−アルキル、−NH−ベンジル又は以下の基のうちの1つが有利である:
【化4】

【0044】
式(II)の化合物はホスホジエステラーゼ10の阻害剤であり、従って新たな生物学的特性を有する。これらの特性に基づくと、式(II)の化合物の治療的利用は国際公開第99/45009号パンフレットに開示された利用とは異なるが、本発明の一部である。
【0045】
式(II)の特定の化合物の例は以下の:
4−アミノ−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−1−エチル−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−1−エチル−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−1−エチル−8−(2−エチル−4−メチル−イミダゾール−1−イル)−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−3−メチル−1−プロピル(propyll)−8−(2−プロピル−4−メチル−イミダゾール−1−イル)−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−1−ヘキシル−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−8−メトキシ−3−メチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−8−メトキシ−3−メチル−1−フェネチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−8−メトキシ−3−メチル−1−フェニル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−1−(2−クロロ−フェニル)−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−1−(4−フルオロ−フェニル)−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−1−イソプロピル−8−メトキシ−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−8−メトキシ−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−8−メトキシ−3−フェニル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−メチル−アミノ)−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−エチル−アミノ)−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−メチル−アミノ)−1−エチル−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N,N−ジメチル−アミノ)−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−ブチル−アミノ)−1−エチル−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−ベンジル−アミノ)−1−エチル−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−シクロペンチル−アミノ)−1−エチル−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−シクロペンチル−アミノ)−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
1−エチル−8−メトキシ−3−メチル−4−モルホリノ−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アゼチジン−8−メトキシ−3−メチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−4−ピロリジノ−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
8−メトキシ−3−メチル−4−ピペリジノ−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
1−エチル−8−メトキシ−3−メチル−4−(4−フェニルピペラジノ)−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−4−(ピラゾール−1−イル)−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−4−(ピラゾール−1−イル)−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジンヒドロクロリド
4−(イミダゾール−1−イル)−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−4−(1,2,3−トリアゾール−1−イル)−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−4−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
8−メトキシ−3−メチル−4−(2−メチル−イミダゾール−1−イル)−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(イミダゾール−1−イル)−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン−8−オール
1−エチル−4−(N−ホルミル−アミノ)−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−ホルミル−アミノ)−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−アセチル−アミノ)−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N,N−ジアセチル−アミノ)−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−アセチル−アミノ)−1−エチル−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N,N−ジアセチル−アミノ)−1−エチル−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−アセチル−アミノ)−8−メトキシ−3−メチル−1−フェニル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
8−メトキシ−3−メチル−4−(N−プロピオニル−アミノ)−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−シクロプロピルカルボキシ−アミノ)−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
並びにこれらの製薬学的に許容される塩及び誘導体である。
【0046】
更に、式(IV)
【化5】

(式中、XはCl又はBrであり、R、R及びRは上記で定義されている)の化合物はホスホジエステラーゼ10の強力な阻害剤であることが判明した。
【0047】
上で列挙された化合物並びにそれらの製薬学的な塩、溶媒和物及びそのプロドラッグは本発明の有利な実施態様である。
【0048】
本発明は更に式(II)又は(IV)による化合物の生理学的に許容される塩、溶媒和物及び誘導体に関する。式(II)又は(IV)による化合物の誘導体は、例えば、アミド、エステル及びエーテルである。更に、「誘導体」という用語もまた、式(II)又は(IV)の化合物のプロドラッグ及び代謝産物を包含する。
【0049】
生理学的に許容される塩は、塩基と無機酸又は有機酸との中和によって又は酸と無機塩基又は有機塩基との中和によって得られてよい。好適な無機酸の例は、塩酸、硫酸、リン酸又は臭化水素酸であり、好適な有機酸の例は、カルボン酸、スルホ酸又はスルホン酸、例えば、酢酸、酒石酸、乳酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、タンニン酸、コハク酸、アルギン酸、安息香酸、2−フェノキシ安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、クエン酸、マレイン酸、サリチル酸、3−アミノサリチル酸、アスコルビン酸、エンボン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、シュウ酸、グルコン酸、アミノ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸又はナフタレン−2−スルホン酸である。好適な無機塩基の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びアンモニアであり、好適な有機塩基の例は、アミンであるが、有利には、第三級アミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、キナルジン及びピリミジンである。
【0050】
更に、式(II)又は(IV)による化合物の生理学的に許容される塩は、第三級アミノ基を有する誘導体を、四級化剤を用いてそれ自体公知の方法で対応する第四級アンモニウム塩に転換することによって得ることができる。好適な四級化剤の例はハロゲン化アルキル、例えば、ヨウ化メチル、臭化エチル及び塩化n−プロピルであり、更にハロゲン化アリールアルキル、例えば、塩化ベンジル又は2−フェニルエチルブロミドである。
【0051】
更に、本発明は、非対称の炭素原子を含む式(II)又は(IV)の化合物の場合、D型、L型及びD、Lの混合型に関し、また本発明は、2個以上の非対称の炭素原子が存在する場合、ジアステレオマー型に関する。非対称の炭素原子を含み、一般的にラセミ体として生じる式(II)又は(IV)のそれらの化合物は、公知の方法で、例えば、光学活性の酸を使用して、光学活性の異性体に分けることができる。しかしながら、最初から光学活性の出発物質を使用することも可能であり、従って対応する光学活性化合物又はジアステレオマー化合物が最終生成物として得られる。
【0052】
本発明による化合物は、治療的に利用できるという薬理学的に重要な特性を有することが判明した。式(II)又は(IV)による化合物は、単独で、互いに組み合わせて又は他の活性化合物と組み合わせて使用できる。本発明による化合物はホスホジエステラーゼ10の阻害剤である。従って、ホスホジエステラーゼ10の機能亢進及び/又は障害によって生じる、それに関連する及び/又はそれを伴う障害を治療又は予防するために(その際、ホスホジエステラーゼ10の阻害が有用である)、式(II)又は(IV)による化合物、及びそれらの塩、並びにまたこれらの化合物又はそれらの塩を含む医薬製剤を使用できることは本発明の主題の一部である。
【0053】
それらの塩、溶媒和物及びプロドラッグを含む式(II)又は(IV)の化合物並びに更にPDE10の阻害に有効な量の式(II)又は(IV)の化合物又はそれら塩の1種、溶媒和物又はプロドラッグを含む医薬組成物を、ヒトを含む哺乳動物の中枢神経系障害の治療に使用できることは、本発明の実施態様である。
【0054】
更に詳細には、本発明は(1)統合失調症及び他の精神病性障害;(2)気分[感情]障害;(3)不安障害を含む神経性、ストレス関連性及び身体表現性障害;(4)摂食障害;過剰な性的衝動を含む性的機能不全;(5)成人の人格及び行動の障害;(6)通常、乳児期、幼児期及び青年期に最初に診断される障害;(7)精神遅滞及び(8)精神発達の障害;(9)ヒトを含む、哺乳動物における認知障害の症状を含む障害;(10)虚偽性障害を含むが、これらに限定されない神経疾患及び精神疾患の治療に関する。
【0055】
(1)本発明によって治療可能な統合失調症及び他の精神病性障害の例は、異なる種類の連続性の又は偶発性の統合失調症(例えば、妄想性、破瓜病性、緊張病性、未分化、残遺性、及び分裂病様の障害);統合失調型障害(例えば、境界型、潜在性、精神病前、前駆性、偽神経症性偽精神病性の統合失調症及び統合失調型人格障害);持続的妄想性障害;急性、一過性及び持続的精神病性障害;誘発された妄想性障害;異なる種類の分裂情動障害(例えば、躁型、うつ型又は混合型);産褥精神病並びに他の且つ不特定の心因性精神病を含むが、これらに限定されない。
【0056】
(2)本発明によって治療可能な気分[感情]障害の例は、双極性障害に関連する躁病発作及び一回の躁病発作、軽躁病、精神病性の症状を伴う躁病;双極性感情障害(例えば、精神病の症状がある又はない現行の軽躁病性及び躁病発作を有する双極性感情障害);抑うつ障害、例えば、一回の発作又は反復性大うつ病、分娩後発症の抑うつ障害、精神病の症状を伴う抑うつ障害;持続的気分[感情]障害、例えば、循環気質、気分変調;月経前不快気分障害を含むが、これらに限定されない。
【0057】
(3)本発明によって治療可能な神経性、ストレス関連性及び身体表現性障害に属す障害の例は、恐怖症性不安障害、例えば、精神病関連に限定されないが、主として広所恐怖症及び社会恐怖症;他の不安障害、例えば、パニック障害及び全般性不安障害;強迫性障害;過酷なストレスへの反応及び適応障害、例えば、心的外傷後ストレス性障害;解離性障害及び他の神経症性障害、例えば、離人症−現実感喪失症候群を含むが、これらに限定されない。
【0058】
(5)本発明によって治療可能な成人の人格及び行動の障害の例は、妄想型、分裂病質型、統合失調型、反社会型、境界型、演技型、自己愛型、回避型、非社交型、情緒不安定型、強迫型、不安型及び依存型の特殊な人格障害;混合人格障害;習慣及び衝動障害(例えば、抜毛癖、放火癖、不適応攻撃性);性的嗜好の障害を含むが、これらに限定されない。
【0059】
(6)本発明によって治療可能な通常、乳児期、幼児期及び青年期に最初に診断される障害の例は、運動過剰障害、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)、行動障害;行動障害と情緒障害との混合障害;心因性遺尿症、心因性大便失禁;常同性運動障害;及び他の特殊な行動情緒障害、例えば、活動過多を伴わない注意欠陥障害、自慰過剰、咬爪癖、鼻をほじる癖及び指しゃぶりの癖;精神発達の障害、特に幼児期の分裂病的障害及び広汎性発達障害、例えば、アスペルガー症候群に関連する精神病性発作を含むが、これらに限定されない。
【0060】
(8)精神発達の障害の例は、発語及び言語の発達障害、学業の能力の発達障害、例えば、算術能力の特殊な障害、読字障害及び綴字障害並びに他の学習障害を含むが、これらに限定されない。これらの障害は主として乳児期、幼児期及び青年期に診断される。
【0061】
(9)本明細書において「症状として認知障害を含む障害」の中で使用される「認知障害」という語句は、1つ以上の認知的側面において、例えば、一般の同じ年齢集団内で他の人たちと比較した特定個人の記憶、知性、学習能力及び論理能力、又は注意力が正常以下又は最適以下に機能化されることを指す。
【0062】
(10)本発明によって治療可能な症状として認知障害を含む障害の例は、精神病関連に限定されないが、主として認知障害;老年性記憶障害、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発脳梗塞性痴呆、ルイス体痴呆、脳卒中、前頭側頭型痴呆、進行性核上性麻痺ハンチントン病並びにHIV疾患、脳外傷及び薬物乱用における認知障害;軽度の認知障害を含むが、これらに限定されない。
【0063】
(11)更に、本発明は大脳基底核の機能不全を伴う運動障害に関する。本発明によって治療可能な大脳基底核の機能不全を伴う運動障害の例は、別の亜型のジストニー、例えば、限局性ジストニー、多発性−限局性又は分節性ジストニー、捻転ジストニー、半球、全般及び晩発性ジスキネジー(精神薬によって誘発された)、静座不能、ジスキネジー、例えば、ハンチントン病、パーキンソン病、ルイス体病(Lewis body disease)、レストレスレッグ症候群、PLMSを含むが、これらに限定されない。
【0064】
(12)更に本発明は、症候性の精神疾患を含む、器質性障害、特に器質性妄想症(統合失調症様)障害、痴呆に関連した初老性又は老年性精神病の治療に関し、てんかん及びパーキンソン病における精神病並びに他の器質性及び症候性精神病;せん妄;感染性精神病;脳の疾患、損傷及び機能不全による人格障害及び行動障害に関する。
【0065】
(13)本発明は、精神活性化合物による精神障害及び行動障害の治療に関し、更に詳細にはアルコール、オピオイド、カンナビノイド、コカイン、幻覚剤、他の刺激薬、例えば、カフェイン、揮発性溶剤及び他の精神活性化合物によって誘発された精神病性障害及び残遺型及び遅発型精神病性障害の治療に関する。
【0066】
(14)本発明は更に、ヒトを含む哺乳動物における学習能力及び記憶力の全般的な改善に関する。
【0067】
有効量の本発明による化合物、又はそれらの塩が、生理学的に許容される担体、希釈剤及び/又は補助剤に加えて、医薬組成物を製造するために使用される。活性化合物の投与は、投与経路、患者の年齢及び体重、処置される疾患の性質及び重症度、並びに類似の要因に応じて変えてよい。日用量は単回投与用量として与えることができ、これは一度に投与されるか、又は2回以上の日用量に細分されるべきであり、一般的には0.001〜2000mgである。特に0.1〜500mg、例えば、0.1〜100mgの日用量を投与することが好ましい。
【0068】
好適な投与形態は経口、非経口、静脈内、経皮的、局所的、吸入、鼻腔内及び舌下錠である。特に経口、非経口、例えば、静脈内又は筋肉内、鼻腔内、例えば、乾燥粉末又は本発明による化合物の舌下錠を使用することが好ましい。従来のガレヌス製剤の形態、例えば、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、分散性粉末、顆粒、水溶液、アルコール含有水溶液、水性又は油性懸濁液、シロップ、ジュース又はドロップが使用される。
【0069】
固形の医薬形態は、不活性成分及び担体物質、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、ラクトース、スターチ、マンニトール、アルギン酸塩、ゼラチン、グアーガム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、メチルセルロース、タルク、高分散のケイ酸、シリコーン油、高分子量脂肪酸(例えば、ステアリン酸)、ゼラチン、寒天又は植物性の又は動物性の脂肪及び油、又は固形の高分子量ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)を含むことができ;経口投与に好適な製剤は、所望の場合には、追加の風味剤及び/又は甘味剤を含むことができる。
【0070】
液体の医薬形態は、滅菌できる及び/又は、適切な場合は、補助物質、例えば、防腐剤、安定剤、湿潤剤、浸透剤、乳化剤、展着剤、可溶化剤、浸透圧を調節するための又は緩衝のための塩、糖又は糖アルコール、及び/又は粘度調節剤を含むことができる。
【0071】
かかる添加剤の例は、酒石酸及びクエン酸緩衝液、エタノール及び金属イオン封鎖剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸及びその非毒性塩)である。高分子量ポリマー、例えば、液体ポリエチレンオキシド、微晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デキストラン又はゼラチンは、粘度の調節に好適である。固形担体物質の例は、スターチ、ラクトース、マンニトール、メチルセルロース、タルク、高分散性のケイ酸、高分子量脂肪酸(例えば、ステアリン酸)、ゼラチン、寒天、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、動物性の及び植物性の脂肪、及び固形の高分子量ポリマー、例えば、ポリエチレングリコールである。
【0072】
非経口の又は局所適用の油性懸濁物は植物合成油又は半合成油、例えば、それぞれの場合に脂肪酸鎖中に8〜22個の原子を有する液体脂肪酸エステルであってよく、該脂肪酸は、例えばパルミチン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、ペンタデカン酸、リノール酸、エライジン酸、ブラシド酸、エルカ酸又はオレイン酸であり、これらは1〜6個の原子を有する一価から三価のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール又はそれらの異性体、グリコール又はグリセリンでエステル化されている。係る脂肪酸エステルの例は、商業的に入手可能なミグリオール、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアラート、PEG6−カプリン酸、飽和脂肪アルコールのカプリル酸/カプリン酸エステル、ポリオキシエチレングリセロールトリオレアート、エチルオレアート、蝋質脂肪酸エステル、例えば、人工ダックテイル腺脂肪、ヤシ脂肪酸イソプロピルエステル、オレイルオレアート、デシルオレアート、エチルラクタート、ジブチルフタレート、ジイソプロピルアジパート、特に、ポリオール脂肪酸エステルである。異なる粘度のシリコーン油、又は脂肪アルコール、例えば、イソトリデシルアルコール、2−オクチルドデカノール、セチルステアリルアルコール又はオレイルアルコール、又は脂肪酸、例えば、オレイン酸も好適である。植物油、例えば、ヒマシ油、扁桃油、オリーブ油、ゴマ油、綿実油、落花生油又はダイズ油を使用することが更に可能である。
【0073】
好適な溶媒、ゲル化剤及び可溶化剤は水又は水混和性溶媒である。好適な物質の例はアルコール、例えば、エタノール又はイソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、2−オクチルドデカノール、ポリエチレングリコール、フタレート、アジペート、プロピレングリコール、グリセリン、ジ−又はトリプロピレングリコール、蝋類、メチルセロソルブ、セロソルブ、エステル、モルホリン、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン等である。
【0074】
水又は有機溶媒の両方において溶解又は膨潤可能なセルロースエーテル、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース又はエチルセルロース、又は可溶性スターチは、膜形成剤として使用できる。
【0075】
ゲル化剤と膜形成剤との混合物もまた完全に使用可能である。この場合、特に、イオン性高分子、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びそれらの塩、アミロペクチンセミグリコール酸ナトリウム(sodium amylopectin semiglycolate)、ナトリウム塩としてのアルギン酸又はプロピレングリコールアルギナート、アラビアゴム、キサンタンゴム、グアーガム又はカラゲナンが使用される。追加の製剤として以下のものが使用できる:グリセロール、異なる粘度のパラフィン、トリエタノールアミン、コラーゲン、アラントイン及びノバンチソール酸(novantisolic acid)。界面活性剤、乳化剤又は湿潤剤の使用、例えば、ラウリル硫酸Na、脂肪アルコールエーテルサルフェート、ジ−Na−N−ラウリル−β−イミノジプロピオネート、ポリエトキシル化ヒマシ油又はモノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート(例えば、ツイーン)、セチルアルコール、レシチン、グリセロールモノステアレート、ステアリン酸ポリオキシエチレン、アルキル−フェノールポリグリコールエーテル、塩化セチルトリメチルアンモニウム又はモノ−/ジアルキルポリグリコールエーテルオルト燐酸モノエタノールアミン塩の使用もまた製剤に必要とされ得る。エマルションの安定化のための又は作用物質、例えば、酸化防止剤、例えば、トコフェロール又はブチルヒドロキシアニソール、又は防腐剤、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エステルの分解を防ぐための安定剤、例えば、モンモリロナイト又はコロイド状ケイ酸も同様に所望の製剤を製造するために使用できる。
【0076】
非経口投与の製剤は、別々の用量単位形態、例えば、アンプル又はバイアルに存在してよい。活性化合物の溶液、有利には水溶液、特に、等張液そして更に懸濁液が有利に使用される。これらの投与形態は、他の固形担体物質を適切に含有させる場合、所望の溶媒又は懸濁剤を用いて、活性化合物、例えば、リオフィリセート(lyophilisate)を混合することによって、すぐに使用できる製剤として利用可能にするか又は単に使用前に直接準備してよい。
【0077】
鼻腔内製剤は、水性もしくは油性溶液として又は水性もしくは油性懸濁液として存在してよい。該製剤はリオフィリセートとして存在してもよく、これらは好適な溶媒又は懸濁剤を用いて使用前に製造される。
【0078】
吸入可能な製剤は粉末、溶液又は懸濁液として存在してよい。有利には、吸入可能な製剤は、粉末の形態で、例えば、活性成分と好適な製剤助剤、例えば、ラクトースとの混合物として存在する。
【0079】
製剤は、従来通りの抗菌状態及び無菌状態下で製造、小分けそしてシールされる。
【0080】
上述の通り、本発明の化合物は、更なる活性剤、例えば、中枢神経系障害の治療に有用な治療活性化合物との併用療法として投与してよい。これらの更なる化合物はPDE10阻害剤又は化合物であってよく、これらはPDE10阻害、例えば、ドーパミンD2受容体調節剤又はNMDA調節剤に基づかない活性を有する。
【0081】
併用療法の場合、活性成分は、いくつかの活性成分を単独の投与剤形で含有する組成物として及び/又は個々の活性成分を別々の投与剤形で含有するキットとして配合してよい。併用療法に用いる活性成分は、同時投与又は別々に投与してよい。
【0082】
本発明は更に本発明による化合物の製造方法に関する。
【0083】
式(II)の化合物の合成は、式(III)、
【化6】

(式中、R、R及びRは上述の通りである)のイミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジノンから始まる。
【0084】
式(III)の化合物の製法は例えば、国際公開第00/43392号パンフレット、国際公開第01/68097号パンフレット及び更にD. Norrisら(Tetrahedron Letters 42(2001年)、第4297-4299頁)によって十分に記載されている。
【0085】
文献から公知であり且つ既に国際公開第99/45009号パンフレットにおいて使用された標準的手法によると、式(III)の化合物はPOCl、PCl、PCl、SOCl、POBr、PBr又はPBrのようなハロゲン化試薬で処理することによってハロゲン化され、式(IV)
【化7】

(式中、XはCl又はBr、特にClであり、R、R及びRは上記定義される)
の4−クロロ又は4−ブロモ−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジンが得られる。
【0086】
以下のクロロ又はブロモ原子は、式(II)の化合物を形成するアミン処理によって置換される。水素を表すR及び/又はRを有する式(II)の化合物は、非常に反応性のあるカルボン酸誘導体との反応によってN−アシル化誘導体に変換できる。カルボン酸塩化物及び無水物は優先的に使用される。
【0087】
実施例:
中間体A1:4−クロロ−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
16gの8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン−4−オンと120mlのPOClを混合して還流まで8時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を1200mlの破砕した氷/水で処理し、1時間攪拌する。生成物を2×300mlのジクロロメタンで抽出する。収集された有機層は2×300mlの水で洗い且つNaSOで乾燥させる。溶媒を減圧下で取り除く。
収量:14.5g
融点:121−123℃
【0088】
他の多くの式(IV)の中間体Aはこの手順によって製造できる。同じ例は以下の通りである:
【化8】

【表1】

【0089】
中間体A25:4−クロロ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン−8−オール
2gの4−クロロ−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジンを50mlのジクロロメタン中に懸濁させた。0〜5℃で3mlのボルトリブロミド(bortribromide)を滴下し、その後0〜5℃で1時間撹拌し、室温で4時間撹拌し、そして一晩放置した。反応混合物を、100mlの水に溶けた10gの炭酸カリウムの溶液に徐々に添加した。攪拌後に7を上回る一定のpHにし(10%の炭酸カリウム溶液を添加する)、沈殿物を濾別して水で洗った。
収率:1.87g
融点:227〜234℃(エタノール)
【0090】
他の式(IV)の中間体Aはこの手順によって製造できる。X=Brによる例は、6時間の還流までの加熱によって得られた。同じ例は以下の通りである:
【表2】

【0091】
中間体A28:4−クロロ−8−ジフルオロメトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
5.51g(0.02モル)の4−クロロ−3−メチル−1−プロピル−9H−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン−8−オールと2g(0.05モル)の水酸化ナトリウムを20mlのジメチルホルムアミドに溶かした。10分攪拌した後、2.53ml(0.03モル)のクロロジフルオロ酢酸を滴下した。この混合物を150℃の浴温度で攪拌しながら5時間加熱した。冷却後、生成物を酢酸エチルで抽出し(200ml、300ml)、集めた有機相を水で洗い(2×100ml)、該有機相を硫酸ナトリムで乾燥し、濾過し、そして乾燥するまで揮発させた。
【0092】
3種のアルキル化物を有する得られた残留物を、分取クロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/メタノール=9/1、v/v)によって分離した。
収量:1.21g
融点:95−98℃
【0093】
実施例1:4−アミノ−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
10gの中間体A1と200mlのNH水溶液(32%)をオートクレーブ中で混合して130℃まで8時間加熱する。反応混合物を200mlの水で希釈する。沈降した反応生成物を分離して水及びジクロロメタンで洗いそして減圧下で乾燥させる。
収量:8.5g
融点:219〜221℃
【0094】
次の例は実施例1に記載されたような同じ合成経路と反応条件を使用して製造される:
【化9】

【表3】

【0095】
実施例36:1−エチル−4−(N−ホルミル−アミノ)−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
2.1mlのメタンカルボン酸と5mlの無水酢酸との混合物を60〜70℃で1時間攪拌する。室温で1gの4−アミノ−1−エチル−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン(実施例2)を添加する。30℃で5時間攪拌した後、この混合物をNaHCO溶液の添加によって中和させる。粗生成物を収集して水で洗いそして40℃で乾燥させる。最終精製においてカラムクロマトグラフィーを使用する(ジクロロメタン/メタノール 3:1)。
収量:0.6g
融点:206〜208℃
【0096】
次の例は実施例26に記載されたのと同じ合成経路と反応条件を使用して製造される:
【化10】

【表4】

【0097】
驚くことに、式(II)の化合物は酵素PDE10の強力な阻害剤である。物質が10μM未満、有利には1μM未満のIC50を有する場合、この物質は有効にPDE10を阻害すると考えられる。
【0098】
PDE10の調製及び特性
ホスホジエステラーゼアイソエンザイム10(PDE10)活性を、ラット、ブタ及びモルモットの線条体それぞれの調製物において測定した。雄のウィスターラット(180〜200g)、雄の雑種ブタ(150kg)及び雄のモルモット(CRL(HA)、500g)それぞれからの線条体を収集し且つ−70℃で冷凍した。
【0099】
調製された脳部位においてPDE10の触媒ドメインを含有する遺伝子セグメントは増幅され且つ配列決定された。従って、種々の動物の凍結した線条体からのRNAをRNeasyキット(Qiagen;Hilden;独国)の指示事項に従って単離し、RT−PCR(Roche;Mannheim;独国)用の1st strand cDNA synthesisキットを備えたOligo−Primerを使用してcDNAに転写した。これらのcDNAをPCR−反応の鋳型として使用してPDE10の触媒ドメインを増幅させた。PCR反応のためにTaq−ポリメラーゼ(Promega;Mannheim;独国)を使用した。従って、pCR2.1ベクター(Invitrogen;Karlsruhe;独国)においてTA−クローニングによって増幅物(amplificate)を直接複製することができた。クローニングベクターはE.coli(XL−2)に形質転換され、細胞内で複製され、調製されて、そして含まれた遺伝子配列がブタ及びモルモットについて決定された。
【0100】
PCR反応のために次のプライマーを使用した:

【0101】
ブタの場合、プライミングはP1とP2で成功した。次の配列(配列番号5)を同定した:

【0102】
モルモットの場合、プライミングはP4とP2並びにP2とP3で成功した。次の配列(配列番号6)をP4とP2で同定した:

【0103】
次の配列(配列番号7)をP2とP3で同定した:

【0104】
配列アライメントは、ラット(公表された遺伝子番号NM_022236 3437 bp;コーディング配列:281−2665;触媒ドメイン1634−2665)とモルモットとの間でほぼ完全な一致を示した。更なる相違点はラットとブタとの間で検出された。アライメントについてはコード領域のみが使用された。遺伝子アライメントを図3に示す。
【0105】
これにより、タンパク質のアライメント(図4)に示されたように、触媒ドメイン内でタンパク質の配列において次の相違点が得られた。
【0106】
PDE10活性の酵素検査の場合、単離され且つ凍結された0.5gの線条体を、4℃において50mMのTris/Mg緩衝液10ml中で均質化し、100000gで1時間にわたり遠心分離した。上澄はサイトゾル画分と呼ばれ、これを取り除いて氷で保存した。同じであるが1%のトリトンを含有する緩衝液中でペレットを再懸濁し、4℃で45分間インキューベートした。両方の画分を別々にAekta−FPLCにおいて5mlのHi TrapTM QHPカラム上に適用した。カラムの洗浄後、結合されたPDEタンパク質を、サイトゾル画分用の4℃の50mMのTris/Mg緩衝液中で且つ膜画分用の1%トリトンの存在下で増大する塩化ナトリウム濃度勾配(0mM〜500mMの塩化ナトリウム)によって溶出させた。溶出されて収集された画分を、ある濃度において特定のPDE−阻害剤の存在下で及び不存在下でPDE10−活性について100nMの[H]−cAMPを用いて試験した。100%阻害が予想される。PDE10−活性を有する画分は−20℃で使用するまでアリコート中でプールされ且つ凍結された。
【0107】
FPLCからのプールされた画分はウエスタンブロット法によって特徴付けられた。PDE10A含有のプールされた画分が多数の他の細胞タンパク質を含むことが示された。それにもかかわらず、PDE10はウエスタンブロット法(図1)によって明確に特異抗体で検出された。
【0108】
タンパク質は、ラット、ブタ及びモルモットの線条体の調製物中で確認された。タンパク質の主要部分は膜画分中で発見された(図2)。
【0109】
PDE10の阻害
PDE10活性はマイクロタイタープレートにおいて1段階の手順で測定された。100μlの反応混合物は、50mM Tris−HCl/5mM MgCl緩衝液(pH=7.4)(Sigma, Deisenhofen, Germany; Merck, Darmstadt, Germany)、0.1μMの[H]−cAMP(Amersham, Buckinghamshire, UK)及び酵素を含んだ。非特異的活性を酵素なしで試験した。反応は基質溶液の添加によって開始され、30分間にわたり37℃で実施された。酵素活性は25μlのYSi−SPA−ビーズ(Amersham-Pharmacia製)の添加によって停止された。1時間後に混合物をマイクロタイタープレート(Microbeta Trilux)の液体シンチレーションカウンターにおいて測定した。インキュベーション混合物をピペットで取るためにロボットBiomek (Fa. Beckman)を使用する。基質cAMPについて測定されたKm値は、それぞれ、ラット線条体からのPDE10の場合78nM、ブタ線条体の場合88nMそしてモルモット線条体の場合66.7nMである。cGMPはPDE10の第2の基質であり、そのKm値はこれらの種からのPDE10の場合1800nM、2200nM及び1700nMである。cGMPによる試験の場合、500nMのこの基質を使用した。アッセイにおける最適量の酵素は、測定されて各酵素調製物及び基質について別々に最適化された後に化合物試験で使用された。IC50値の測定のためにヒルプロット、2−パラメータ−モデルを使用した。他のPDE−亜型の特異的な阻害剤は、PDE10調製物を有意に阻害しない。パパベリンは最も一般的なPDE10阻害剤として使用されたが、ラット、ブタ及びモルモットの線条体からのPDE10の場合それぞれ142nM、110nM及び77nMのIC50値を有するPDE10を阻害する。
【表5】

【表6】

【表7】

【0110】
驚くことに、式IIの化合物の合成の中間体Aもまた酵素PDE10の強力な阻害剤である。
【表8】

【表9】

【0111】
式(II)の化合物は、MK−801−誘発性機能亢進及び常同的臭い嗅ぎ、動物の精神病モデルに及ぼす有意な抗精神病効果を示す。
【0112】
試験手順:
150〜180gの重量の雌のウィスターラット(Crl: (Wl) BR, Charles River, Sulzfeld, Germany)を、MK−801−誘発性精神病に使用した。動物を標準的な条件下で5匹ずつ収容し12時間の明/暗周期(0600時間でオンの光)で食料(固形飼料, ssniff M/R 15, Spezialdiaet GmbH, Soest/Westfalen)と水を自由に摂取させた。
【0113】
MK−801(ジゾシルピン、分子量337.37)はTocris社により得られ、Biotrend Chemikalien GmbH社(ケルン、独国)により流通した。
【0114】
薬物投与計画/投与量:
【表10】

【0115】
化合物の調製:
投与体積0.5ml/100gが各投与量について到達するように化合物を新たに0.5%のヒドロキシエチルセルロースに懸濁させた。ヒドロキシエチルセルロースを蒸留水に溶解させた。
【0116】
投与体積0.5ml/100gが到達するようにMK−801を食塩水に溶かした。この懸濁液と溶液を投薬処置の前およびその間に、電磁攪拌機上に設置した。
【0117】
NMDAアンタゴニストMK−801により誘発された行動は一般的にラットの精神病モデルとして認められる。MK−801は、腹腔内投与後のラットにおいて常同的臭い嗅ぎ及び機能亢進を誘発させる。
【0118】
ラットの運動活性をMotiTest Apparatus(TSE、バート・ホンブルク、独国)によって記録した。試験領域はプレキシガラス保護壁(20cmの高さ)を備えた正方形の領域(45×45cm)から成り、ここでラットは自由に移動できた。水平方向の移動は、この領域の各壁の底に沿って配列された32個の赤外光電池によって記録された。活性[秒]をコンピュータプログラム「ActiMot」(TSE、バート・ホンブルク、独国)によって測定した。
【0119】
常同的臭い嗅ぎは、Andineらによって記載された方法(1999年)に従って5分毎に1時間にわたり(12間隔)実験者によって評点をつけられた。12間隔の評点は実験の最後に総計された。
【表11】

【0120】
実験日に雌のラットは試験室に置かれ且つ試験前の適時に試験化合物又はビヒクルを与えられた。0.1mg/kgのMK−801を試験10分前に腹腔内投与した。
【0121】
試験の始めにラットはMotiTest装置の正方形領域の中心に置かれた。ラットの行動は1時間にわたって記録された。各試験動物を取り出した後、箱を完全に清浄にして乾燥させた。
【0122】
統計
結果は1つの分散分析(ANOVA)方法によって分析された。チューキー試験(Tukey test)は個々の比較に使用された。0.05より小さいPは有意と見なされた。
【0123】
結果
結果を図5に示す。腹腔内の0.1mg/kgのMK−801は、試験10分前に投与された。実施例1及び11の化合物は上述の投与量で試験30分前に投与された。活性及び常同的臭い嗅ぎは1時間にわたって記録された。Co=MK−801刺激なしの制御、Cs=MK−801刺激を伴う制御。有意なMK−801刺激の制御(=Cs):p<0.05、***p<0.001。
【0124】
実施例1の化合物は、10mg/kg(経口投与)で始まるMK−801−誘発性機能亢進及び常同的臭い嗅ぎを有意に回復させた。実施例11の化合物は、0.5mg/kg(経口投与)で始まるMK−801−誘発性機能亢進及び常同的臭い嗅ぎを有意に回復させた。結果は化合物の抗精神病性活性を証明する。
【0125】
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【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】図1はウエスタンブロット法によりPDE10が検出されたことを示す。
【図2】図2はタンパク質の主要部分が膜画分中で発見されたことを示す。
【図3−1】図3−1は遺伝子のアライメントを示す。
【図3−2】図3−2は遺伝子のアライメントを示す。
【図3−3】図3−3は遺伝子のアライメントを示す。
【図4】図4はタンパク質のアライメントを示す。
【図5】図5は実施例1及び11の化合物を投与した結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)
【化1】

(式中、R及びRは無関係に
H、
環状基、
1−8アルキル又はC3−8シクロアルキル(場合によりハロゲン、OH、O−C1−3アルキル、及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)、
2−8アルケニル又はC3−8シクロアルケニル(場合によりハロゲン、OH、O−C1−3アルキル、及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)、
−Cアルキニル(場合によりハロゲン、OH、O−C−C−アルキル、及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)、
5から15までの環の原子を有する飽和、一価不飽和もしくは多価不飽和の複素環(場合によりハロゲン、アミノ、C1−3アルキルアミノ、ジ−C1−3アルキルアミノ、ニトロ、C1−3アルキル、及び/又はO−C1−3アルキルで一置換もしくは多置換されている)、及び
フェニル(場合によりハロゲン、アミノ、C1−3アルキルアミノ、ジ−C1−3アルキルアミノ、ニトロ、C1−3アルキル、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)
から選択される;
はNH、NHR又はNRを表す;
前記式中、R及びRは無関係に
− 環状基と、
− C1−5アルキル(場合によりハロゲン、OH、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)と、
− アリール−C1−5−アルキル(前記アリールはフェニルであり、そのフェニルは場合によりハロゲン、ニトロ、C1−3アルキル、及び/又はO−C1−3アルキルで一置換もしくは多置換されている)と、
− (C=O)−C1−5アルキル(場合によりハロゲン、OH、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)から選択され、又は
− NRは一緒に飽和又は不飽和の5−又は6−員環を形成し、前記環は3個以下のヘテロ原子、有利にはN(N−オキシドを含む)、S及びOを含むことができ、場合によりハロゲン、C1−3アルキル、O−C1−3アルキル及び/又はアリール−C1−5−アルキルで一置換もしくは多置換されており、前記アリールはフェニルであり、そのフェニルは場合によりハロゲン、アミノ、C1−3アルキルアミノ、ジ−C1−3アルキルアミノ、ニトロ、C1−3アルキル、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている、

H、
ハロゲン、
環状基、

OH又はOR
NH(C=O)−C1−3アルキル(場合によりハロゲン、OH、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)、又は
NH、NHR又はNRから選択され、
前記R及びRは無関係に
− 環状基と、
− C1−6アルキル又はC3−6シクロアルキル(場合によりハロゲン、OH、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)と、
− アリール−C1−5−アルキル(前記アリールはフェニルであり、そのフェニルは場合によりハロゲン、アミノ、C1−3アルキルアミノ、ジ−C1−3アルキルアミノ、ニトロ、C1−3アルキル、OC1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)から選択され、
− NRは一緒に、飽和又は不飽和の5−、6−又は7−員環を形成し、前記環は3個以下のヘテロ原子、有利にはN(N−オキシドを含む)、S及びOを含むことができ、場合によりハロゲン、C1−3アルキル、C3−6シクロアルキル、O−C1−3アルキル及び/又はアリール−C1−5−アルキルで一置換もしくは多置換されており、前記アリールはフェニルであり、そのフェニルは場合によりハロゲン、アミノ、C1−3アルキルアミノ、ジ−C1−3アルキルアミノ、ニトロ、C1−3アルキル、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)の化合物、
又はその製薬学的に許容される塩及び誘導体。
【請求項2】

Hと、
1−4アルキル、特にC2−4アルキル(場合によりハロゲン、OH、C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)と、
フェニル(場合によりハロゲン、アミノ、C1−3アルキルアミノ、ジ−C1−3アルキルアミノ、ニトロ、C1−3アルキル、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)
から選択されることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項3】

H又は
ハロゲン化されていてよいC1−4アルキル、特にメチル又はトリフルオロメチルから選択されることを特徴とする、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】

NH
NHC1−3アルキル(場合によりハロゲン、OH及び/又はO−C1−3アルキルで一置換もしくは多置換されている)、又は
NH(C=O)−C1−3アルキル(場合によりハロゲン、OH及び/又はO−C1−3アルキルで一置換もしくは多置換されている)から選択されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
がシクロプロピル、シクロブチル、テトラヒドロピロリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル(場合によりC1−3アルキル又はアリールアルキルで一置換もしくは多置換されており、前記アルキルは場合によりハロゲン、OH及び/又はO−C1−3アルキルで一置換もしくは多置換されており、前記アリールは、フェニルであり、そのフェニルは場合によりハロゲン、アミノ、C1−3アルキルアミノ、ジ−C1−3アルキルアミノ、ニトロ、C1−3アルキル、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)から選択されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】

OH又はO−C1−3アルキル(場合によりハロゲン、OH及び/又はO−C1−3アルキルで一置換もしくは多置換されている)、
NHC1−3アルキル(場合によりハロゲン、OH及び/又はO−C1−3アルキルで一置換もしくは多置換されている)、又は
NHベンジル(前記フェニル基はフェニルであり、そのフェニルは場合によりハロゲン、アミノ、C1−3アルキルアミノ、ジ−C1−3アルキルアミノ、ニトロ、C1−3アルキル、OC1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)から選択されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
がシクロプロピル、シクロブチル、テトラヒドロピロリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル(場合によりC1−3アルキルもしくはアリールアルキルで一置換もしくは多置換されており、前記アルキルは場合によりハロゲン、OH及び/又はO−C1−3アルキルで一置換もしくは多置換されており、前記アリールはフェニルであり、そのフェニルは場合によりハロゲン、アミノ、C1−3アルキルアミノ、ジ−C1−3アルキルアミノ、ニトロ、C1−3アルキル、O−C1−3アルキル及び/又は環状基で一置換もしくは多置換されている)から選択されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
4−アミノ−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−1−エチル−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−1−エチル−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−1−エチル−8−(2−エチル−4−メチル−イミダゾール−1−イル)−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−3−メチル−1−プロピル−8−(2−プロピル−4−メチル−イミダゾール−1−イル)−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−1−ヘキシル−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−8−メトキシ−3−メチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−8−メトキシ−3−メチル−1−フェネチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−8−メトキシ−3−メチル−1−フェニル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−1−(2−クロロ−フェニル)−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−1−(4−フルオロ−フェニル)−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−1−イソプロピル−8−メトキシ−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−8−メトキシ−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アミノ−8−メトキシ−3−フェニル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−メチル−アミノ)−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−エチル−アミノ)−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−メチル−アミノ)−1−エチル−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N,N−ジメチル−アミノ)−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−ブチル−アミノ)−1−エチル−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−ベンジル−アミノ)−1−エチル−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−シクロペンチル−アミノ)−1−エチル−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−シクロペンチル−アミノ)−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
1−エチル−8−メトキシ−3−メチル−4−モルホリノ−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−アゼチジン−8−メトキシ−3−メチル−1−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−4−ピロリジノ−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
8−メトキシ−3−メチル−4−ピペリジノ−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
1−エチル−8−メトキシ−3−メチル−4−(4−フェニルピペラジノ)−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−4−(ピラゾール−1−イル)−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−4−(ピラゾール−1−イル)−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジンヒドロクロリド
4−(イミダゾール−1−イル)−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−4−(1,2,3−トリアゾール−1−イル)−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−4−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
8−メトキシ−3−メチル−4−(2−メチル−イミダゾール−1−イル)−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(イミダゾール−1−イル)−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン−8−オール
1−エチル−4−(N−ホルミル−アミノ)−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−ホルミル−アミノ)−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−アセチル−アミノ)−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N,N−ジアセチル−アミノ)−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−アセチル−アミノ)−1−エチル−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N,N−ジアセチル−アミノ)−1−エチル−8−メトキシ−3−メチル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−アセチル−アミノ)−8−メトキシ−3−メチル−1−フェニル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
8−メトキシ−3−メチル−4−(N−プロピオニル−アミノ)−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
4−(N−シクロプロピルカルボキシ−アミノ)−8−メトキシ−3−メチル−1−プロピル−イミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン
又はその製薬学的に許容される塩もしくは誘導体から選択されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に定義された式(II)の化合物の製造方法であって:
i.式(III):
【化2】

(式中、R、R及びRは請求項1から7までのいずれか1項に記載される)の化合物とハロゲン化剤とを反応させて、式(IV):
【化3】

(式中、XはCl又はBrである)の化合物を得る工程、
ii.式(IV)の化合物とアミンHR(式中、Rは請求項1から7までのいずれか1項に記載される)とを反応させて式(II)の化合物を得る工程並びに
iii.場合により式(II)(式中、R及びRはHである)の化合物とアシル化剤とを反応させる工程を含むことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に定義された式(II)の化合物の製造方法。
【請求項10】
前記ハロゲン化剤が塩化剤又は臭素化剤、特にPOCl、PCl、PCl、SOCl、POBr、PBr又はPBrであり及び/又は前記アシル化剤がカルボン酸塩化物又はカルボン酸無水物であることを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項11】
医薬組成物であって、活性成分として請求項1から8までのいずれか1項記載の化合物、又は式(IV)の化合物、場合により一緒に製薬学的に許容される担体、希釈剤及び/又は補助剤を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項12】
ホスホジエステラーゼ10の阻害が有用であるホスホジエステラーゼ10の機能亢進及び/又は障害によって生じる、それに関連する及び/又はそれを伴う障害を治療又は予防するための薬剤の製造のための請求項1から8までのいずれか1項記載の式(II)の化合物又は式(IV)の化合物の使用。
【請求項13】
中枢神経系障害を治療又は予防するための薬剤の製造のための請求項1から8までのいずれか1項記載の式(II)の化合物又は式(IV)の化合物の使用。
【請求項14】
前記障害が、統合失調症及び他の精神病性障害を含む神経疾患及び精神疾患;気分障害;不安障害を含む神経性、ストレス関連性及び身体表現性障害;摂食障害;過剰な性的衝動を含む性的機能不全;成人の人格及び行動の障害;通常、乳児期、幼児期及び青年期に最初に診断される障害;精神遅滞;精神発達の障害;及びヒトを含む、哺乳動物における認知障害の症状を含む障害;虚偽性障害であることを特徴とする、請求項12又は13記載の使用。
【請求項15】
前記統合失調症及び他の精神病性障害が、異なる種類の連続性の又は偶発性の統合失調症(例えば、妄想性、破瓜病性、緊張病性、未分化、残留性、及び分裂病様障害);統合失調型障害(例えば、境界型、潜在性、精神病前、前駆性、偽神経症性偽精神病性の統合失調症及び統合失調型人格障害);持続的妄想性障害;急性、一過性及び持続的精神病性障害;誘発された妄想性障害;異なる種類の分裂情動障害(例えば、躁型、うつ型又は混合型);産褥精神病並びに他の及び不特定の心因性精神病であることを特徴とする、請求項14記載の使用。
【請求項16】
前記気分[感情]障害が、双極性障害に関連する躁病発作及び一回の躁病発作、軽躁病、精神病性の症状を伴う躁病;双極性感情障害(例えば、精神病の症状がある又はない現行の軽躁病性及び躁病発作を伴う双極性感情障害を含む);抑うつ障害、例えば、一回の発作又は反復性大うつ病、分娩後発症の抑うつ障害、精神病の症状を伴う抑うつ障害;持続的気分[感情]障害、例えば、循環気質、気分変調;月経前不快気分障害であることを特徴とする、請求項14記載の使用。
【請求項17】
前記神経性、ストレス関連性及び身体表現性障害に属す障害が、恐怖症性不安障害、例えば、精神病関連とは限定されないが、主として広所恐怖症及び社会恐怖症;他の不安障害、例えば、パニック障害及び全般性不安障害;強迫性障害;過酷なストレスへの反応及び適応障害、例えば、心的外傷後ストレス性障害;解離性障害及び他の神経症性障害、例えば、離人症−現実感喪失症候群であることを特徴とする、請求項14記載の使用。
【請求項18】
前記成人の人格及び行動の障害が、妄想型、分裂病質型、統合失調型、反社会型、境界型、演技型、自己愛型、回避型、非社交型、情緒不安定型、強迫型、不安型及び依存型の特殊な人格障害;混合人格障害;習慣及び衝動障害(例えば、抜毛癖、放火癖、不適応攻撃性);性的嗜好の障害であることを特徴とする、請求項14記載の使用。
【請求項19】
前記通常、乳児期、幼児期及び青年期に最初に診断される障害が、運動過剰障害、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)、行動障害;行動障害と情緒障害との混合障害;心因性遺尿症、心因性大便失禁;常同性運動障害;及び他の特殊な行動情緒障害、例えば、活動過多を伴わない注意欠陥障害、自慰過剰、咬爪癖、鼻をほじる癖及び指しゃぶりの癖;精神発達の障害、特に幼児期の分裂病的障害及び広汎性発達障害、例えば、アスペルガー症候群に関連する精神病性発作であることを特徴とする、請求項14記載の使用。
【請求項20】
前記精神発達の障害が、発語及び言語の発達障害、学業の能力の発達障害、例えば、算術能力の特殊な障害、読字障害及び綴字障害及び他の学習障害であり、これらの障害は主として乳児期、幼児期及び青年期に診断されることを特徴とする、請求項14記載の使用。
【請求項21】
前記症状として認知障害を含む障害が、精神病関連に限定されないが主として認知障害;老年性記憶障害、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発脳梗塞性痴呆、ルイス体痴呆、脳卒中、前頭側頭型痴呆、進行性核上性麻痺ハンチントン病並びにHIV疾患、脳外傷、薬物乱用における認知障害及び軽度の認知障害であることを特徴とする、請求項14記載の使用。
【請求項22】
前記障害が大脳基底核の機能不全を伴う運動障害であり、該障害は別の亜型のジストニー、例えば、限局性ジストニー、多発性−限局性又は分節性ジストニー、捻転ジストニー、半球、全般及び晩発性ジスキネジー(精神薬によって誘発された)、静座不能、ジスキネジー、例えば、ハンチントン病、パーキンソン病、ルイス体病、レストレスレッグ症候群、PLMSであることを特徴とする、請求項12又は13記載の使用。
【請求項23】
前記障害が、症候性の精神疾患を含む、器質性障害、特に器質性妄想症(統合失調症様)障害、痴呆に関連した初老性又は老年性精神病であり、てんかん及びパーキンソン病における精神病並びに他の器質性及び症候性精神病;せん妄;感染性精神病;脳の疾患、損傷及び機能不全による人格障害及び行動障害であることを特徴とする、請求項12又は13記載の使用。
【請求項24】
前記障害が精神活性化合物による精神障害及び行動障害であり、更に詳細にはアルコール、オピオイド、カンナビノイド、コカイン、幻覚剤、他の刺激薬、例えば、カフェイン、揮発性溶剤及び他の精神活性化合物によって誘発された精神病性障害並びに残遺性及び遅発性精神病性障害の治療であることを特徴とする、請求項12又は13記載の使用。
【請求項25】
ヒトを含む、哺乳動物における学習能力及び記憶力の改善のためであることを特徴とする、請求項12又は13記載の使用。
【請求項26】
ヒト医学又は獣医学の場合であることを特徴とする、請求項12から25までのいずれか1項記載の使用。
【請求項27】
医薬組成物又はキットであって、請求項1から8までのいずれか1項記載の少なくとも1種の化合物又は式(IV)の化合物を、少なくとも1種の更なる製薬学的活性化合物と組み合わせて含むことを特徴とする、医薬組成物又はキット。
【請求項28】
前記更なる活性化合物がPDE10阻害に基づかない中枢神経系障害の治療に有用な治療活性化合物であることを特徴とする、請求項27記載の組成物又はキット。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−538852(P2009−538852A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512481(P2009−512481)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004747
【国際公開番号】WO2007/137819
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(502332957)エルビオン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (9)
【氏名又は名称原語表記】elbion GmbH
【住所又は居所原語表記】Meissner Strasse 191, D−01445 Radebeul,Germany
【Fターム(参考)】