説明

4−((フェノキシアルキル)チオ)−フェノキシ酢酸誘導体の新規なリシン塩

本発明は新規なリシン塩、それらを含有する製薬学的組成物ならびにPPARデルタにより調節される障害及び状態の処置におけるそれらの使用を目的とする。本発明はさらに、該リシン塩の製造のための新規な方法を目的とする。

【発明の詳細な説明】
【関連出願へのクロスリファレンス】
【0001】
本出願は、引用することによりその記載事項全体が本明細書の内容となる2005年9月14日に申請された米国暫定出願第60/717,137号明細書の利益を請求する。
【技術分野】
【0002】
発明の分野
本発明は、新規なリシン塩、それらを含有する製薬学的組成物ならびにPPARデルタにより調節される障害及び状態の処置におけるそれらの使用を目的とする。さらに特定的に、本発明の化合物は脂質低下薬、血圧降下薬又は両方として有用である。さらに化合物は、PPARデルタにより直接又は間接的に媒介される状態の処置、予防又はその進行の妨害において有用である。該状態には糖尿病、心臓血管病、代謝性Xシンドローム、高コレステロール血症、低−HDL−コレステロール血症、高−LDL−コレステロール血症、異脂肪血症、アテローム性動脈硬化症及び肥満が含まれるが、これらに限られない。本発明はさらに、該リシン塩の製造のための新規な方法を目的とする。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
引用することによりそれらの記載事項全体が本明細書の内容となる2003年9月19日に申請された特許文献1及び2004年9月16日に申請された特許文献2は、PPARデルタにより直接又は間接的に媒介される状態の処置、予防及び/又はその進行の妨害のために有用な式(I)の化合物及びその製薬学的に許容され得る塩を開示している。しかしながら、2003年9月19日に申請された特許文献1及び2004年9月16日に申請された特許文献2は、式(I)の化合物の結晶性の塩も、式(I)の化合物のリシン塩も開示していない。
【0004】
【特許文献1】米国暫定出願第60/504146号明細書
【特許文献2】米国非−暫定出願第10/942478号明細書
【発明の開示】
【0005】
発明の概略
本発明は、式(I)
【0006】
【化1】

【0007】
[式中、
Xは共有結合、S又はOから選ばれ;
YはS又はOであり;
-----W-----は=CH−、−CH=、−CH−、−CH−CH−、=CH−CH−、−CH−CH=、=CH−CH=及び−CH=CH−から選ばれる基を示し;
ZはO、CH及びCHから選ばれ;但しYがOである場合、ZはOであり;
nは1又は2であり;
及びRはそれぞれ独立してH、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、ハロ及びNRから選ばれ;ここでR及びRはそれぞれ独立してH又はC1−3アルキルであり;
及びRはそれぞれ独立してH、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アセチル、C1−5アルキル、C1−4アルコキシ及びNRから選ばれ;ここでR及びRはそれぞれ独立してH又はC1−3アルキルであり;但しR及びRは両方がHであることはなく;
はハロ、フェニル、フェノキシ、(フェニル)C1−5アルコキシ、(フェニル)C1−5アルキル、C2−5ヘテロアリールオキシ、C2−5ヘテロアリールC1−5アルコキシ、C2−5ヘテロシクリルオキシ、C1−9アルキル、C1−8アルコキシ、C2−9アルケニル、C2−9アルケニルオキシ、C2−9アルキニル、C2−9アルキニルオキシ、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルコキシ、C3−7シクロアルキル−C1−7アルキル、C3−7シクロアルキル−C1−7アルコキシ、C3−7シクロアルキルオキシ−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、C1−5アルコキシ−C1−5アルコキシ又はC3−7シクロアルキルオキシ−C1−7アルコキシから選ばれ;
そして-----W-----が−CH=、−CH−、−CH−CH−、−CH−CH=及び−CH=CH−から選ばれる基を示す場合には、RはHであるか;
あるいは-----W-----が=CH−、=CH−CH−及び=CH−CH=から選ばれる基を示す場合には、Rは存在しない]
の化合物のリシン塩を目的とする。
【0008】
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物のリシン塩は結晶性である。他の態様において、本発明は式(I)の化合物のL−リシン塩を目的とする。他の態様において、本発明は式(I)の化合物のD−リシン塩を目的とする。
【0009】
1つの態様において、本発明は式(Ia)
【0010】
【化2】

【0011】
の化合物のリシン塩を目的とし、ここで式(Ia)の化合物は(R)−{4−[2−エトキシ−3−(4−トリフルオロメチル−フェノキシ)−プロピルスルファニル]−2−メチル−フェノキシ}−酢酸としても既知である。式(Ia)の化合物は、XがOであり;YがSであり;nが1であり;-----W-----が−CH2−であり;ZがOであり;Rがメチルであり;Rが水素であり;Rが水素であり;Rがトリフルオロメチルであり;Rが(R)−エトキシであり、そしてRが水素である式(I)の化合物である。
【0012】
本発明の1つの態様において、式(Ia)の化合物のリシン塩は結晶性である。他の態様において、本発明は式(Ia)の化合物のL−リシン塩を目的とする。他の態様において、本発明は式(Ia)の化合物のD−リシン塩を目的とする。他の態様において、本発明は式(Ia)の化合物の非水和物L−リシン塩を目的とする。好ましい態様において、本発明は式(Ia)の化合物の二水和物L−リシン塩を目的とする。
【0013】
本発明はさらに、有機溶媒及び水を含んでなる混合物中(好ましくはC1−4アルコール及び水を含んでなる混合物中)で式(I)の化合物をリシンと反応させ、対応するリシン塩を与えることを含んでなる、式(I)の化合物のリシン塩の製造方法を目的とする。1つの態様において本発明は、1種もしくはそれより多い有機溶媒及び水の混合物中(好ましくはC1−4アルコール及び水を含んでなる混合物中)で式(Ia)の化合物をリシンと反応させることを含んでなる、式(Ia)の化合物のリシン塩(好ましくは結晶性L−リシン塩、より好ましくは結晶性二水和物L−リシン塩)の製造方法を目的とする。好ましい態様において本発明は、C1−4アルコール、水及び酢酸エチルの混合物中、より好ましくはメタノール、水及び酢酸エチルの混合物中で式(Ia)の化合物をリシンと反応させて対応するリシン塩を与えることを含んでなる、式(Ia)の化合物のリシン塩(好ましくは結晶性L−リシン塩、より好ましくは結晶性二水和物L−リシン塩)の製造方法を目的とする。好ましい態様において本発明は、エタノール、イソプロパノール、メタノール及び水の混合物中で式(Ia)の化合物をリシンと反応させて対応するリシン塩を与えることを含んでなる、式(Ia)の化合物のリシン塩(好ましくは結晶性L−リシン塩、より好ましくは結晶性二水和物L−リシン塩)の製造方法を目的とする。
【0014】
本発明はさらに、本明細書に記載される方法のいずれかに従って製造される生成物を目的とする。
【0015】
本発明の例は、製薬学的に許容され得る担体及び本明細書に記載される方法のいずれかに従って製造される生成物を含んでなる製薬学的組成物である。本発明の例は、本明細書に記載される方法のいずれかに従って製造される生成物及び製薬学的に許容され得る担体を混合することにより調製される製薬学的組成物である。本発明の例は、本明細書に記載される方法のいずれかに従って製造される生成物及び製薬学的に許容され得る担体を混合することを含んでなる、製薬学的組成物の調製方法である。
【0016】
本発明を例示するものは、必要のある患者に上記の化合物又は製薬学的組成物のいずれかの治療的に有効な量を投与することを含んでなる、PPARデルタ受容体により媒介される障害の処置方法である。
【0017】
1つの態様において本発明は、PPARデルタにより直接又は間接的に媒介される状態を処置、予防又はその開始及び/又は進行を妨害するための方法を目的とする。該状態には糖尿病、心臓血管病、代謝性Xシンドローム、高コレステロール血症、低−HDL−コレステロール血症、高−LDL−コレステロール血症、異脂肪血症、アテローム性動脈硬化症及び肥満が含まれるが、これらに限られない。
【0018】
PPARデルタ−アゴニストを用いて処置され得る状態の例には糖尿病、心臓血管病、代謝性Xシンドローム、高コレステロール血症、低−HDL−コレステロール血症、高−LDL−コレステロール血症、異脂肪血症、アテローム性動脈硬化症及び肥満が含まれるが、これらに限られない。異脂肪血症には高トリグリセリド血症及び混合高脂血症が含まれる。例えば異脂肪血症(高脂血症を含む)は以下の状態の1つもしくはそれより多くであることができる:低HDL(<35もしくは40mg/dl)、高トリグリセリド(>200mg/dl)及び高LDL(>150mg/dl)。
【0019】
本発明の他の例は、必要のある患者において:(a)I相高脂血症(phase I hyperlipidemia)、(b)前臨床的高脂血症、(c)II相高脂血症(phase II hyperlipidemia)、(d)高血圧、(e)CAD(冠動脈疾患)、(f)冠動脈性心疾患、(g)高トリグリセリド血症の処置のため、(h)低密度リポタンパク質(LDL)の血清レベルを下げるため、(i)中密度リポタンパク質(IDL)の血清レベルを下げるため、(j)小密度(small−density)LDLの血清レベルを下げるため、(k)空腹時血漿グルコース(fasting plasma glucose)(FPG)/HbA1cを下げるため、(l)血圧を下げるため、(m)II型糖尿病、(n)代謝性シンドロームX、(o)異脂肪血症、(p)アテローム性動脈硬化症又は(q)肥満の処置のための薬剤の製造における本明細書に記載される化合物のいずれかの使用である。
【0020】
図の簡単な記述
図1は、本明細書記載される通りに測定される式(Ia)の化合物の非水和物L−リシン塩に関するXRDパターンを示す。
図2は、本明細書記載される通りに測定される式(Ia)の化合物の二水和物L−リシン塩に関するXRDパターンを示す。
図3は、本明細書に記載される通りに測定される式(Ia)の化合物のL−リシン塩に関する、0−90%RHを循環するDVS等温図(isotherm)を示す。
【0021】
発明の詳細な記述
本発明は、式(I)
【0022】
【化3】

【0023】
[式中、X、Y、-----W-----、Z、n、R、R、R、R、R及びRは本明細書で定義される通りである]
の化合物のリシン塩及びそれらの製造方法を目的とする。式(I)の化合物はPPARデルタアゴニスト、好ましくは選択的PPARデルタアゴニストである。
【0024】
本発明の塩は、脂質低下薬、血圧降下薬ならびに/あるいは糖尿病、心臓血管病、代謝性Xシンドローム、高コレステロール血症、低−HDL−コレステロール血症、高−LDL−コレステロール血症、異脂肪血症、アテローム性動脈硬化症及び肥満を含むがこれらに限られないPPARデルタにより直接又は間接的に媒介される状態の処置、予防又はその進行の妨害のために有用な薬剤として有用である。
【0025】
本明細書で用いられる場合、直接又は間接的に「PPARデルタにより媒介される」状態には糖尿病、心臓血管病、代謝性Xシンドローム、高コレステロール血症、低−HDL−コレステロール血症、高−LDL−コレステロール血症、異脂肪血症、アテローム性動脈硬化症及び肥満が含まれるが、これらに限られない。
【0026】
本明細書で用いられる場合、「異脂肪血症」には高トリグリセリド血症及び混合高脂血症が含まれる。例えば異脂肪血症(高脂血症を含む)は以下の状態の1つもしくはそれより多くであることができる:低HDL(<35もしくは40mg/dl)、高トリグリセリド(>200mg/dl)及び高LDL(>150mg/dl)。
【0027】
本明細書で用いられる「患者」という用語は、処置、観察又は実験の対象であった動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくは人間を指す。
【0028】
本明細書で用いられる「治療的に有効な量」という用語は、組織系、動物又は人間において、研究者、獣医、医師又は他の臨床医が求めている生物学的もしくは医学的反応を引き出す活性化合物又は製薬学的薬剤の量を意味し、反応には処置されている疾患又は障害の症状の軽減、予防、処置又はその開始もしくは進行の遅延が含まれる。
【0029】
本明細書で用いられる場合、「組成物」という用語は、特定の量における特定の成分ならびに特定の量における特定の成分の組み合わせから直接又は間接的に生ずる生成物を含んでなる製品(product)を包含することが意図されている。
【0030】
治療的目的のために、本明細書で用いられる「共同して有効な量」という用語は、組織系、動物又は人間において、研究者、獣医、医師又は他の臨床医が求めている生物学的もしくは医学的反応を引き出す単独のもしくは組み合わされた各活性化合物又は製薬学的薬剤の量を意味し、反応には処置されている疾患又は障害の症状の軽減が含まれる。予防的目的(例えば障害の開始もしくは進行の妨害)のために、「共同して有効な量」という用語は、研究者、獣医、医師又は他の臨床医が求めているように、障害の開始もしくは進行を患者において処置するかもしくは妨害する、単独のもしくは組み合わされた各活性化合物又は製薬学的薬剤の量を指す。かくして本発明は2種もしくはそれより多い薬剤の組み合わせを提供し、ここで例えば(a)各薬剤は独立して治療的もしくは予防的に有効な量で投与されるか;(b)組み合わせ中の少なくとも1種の薬剤は、単独で投与されると治療的−未満又は予防的−未満であるが本発明に従って第2のもしくは追加の薬剤と組み合わされて投与されると治療的又は予防的である量で投与されるか;あるいは(c)両方(もしくはそれより多く)の薬剤は、単独で投与されると治療的−未満又は予防的−未満であるが一緒に投与されると治療的又は予防的である量で投与される。
【0031】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、ヨード、ブロモ、クロロ及びフルオロを含む。
【0032】
他にことわらなければ、本明細書で用いられる場合且つ単独で用いられても又は置換基の一部として用いられても、「アルキル」及び「アルコキシ」は、C1−6、C1−4、C3−8、C2−5のように1〜8個又は他のいずれかの範囲の炭素原子を有する直鎖及び分枝鎖を含み、且つ他にことわらなければ、置換及び非置換部分の両方を含む。例えばC1−6アルキル基はメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、3−(2−メチル)ブチル、2−ペンチル、2−メチルブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、2−ヘキシル及び2−メチルペンチルを含む。アルコキシ基は前記の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル基から形成される。
【0033】
「アルキル」及び「アルコキシ」基は、非置換部分あるいは1〜5個、1〜3個又は2〜4個の置換基のような1個もしくはそれより多い置換基を有する置換部分を含む。置換基は同じであるか(ジヒドロキシ、ジメチル)、類似であるか(クロロ、フルオロ)又は異なる(クロロベンジル−もしくはアミノメチル−置換)ことができる。置換アルキルの例はハロアルキル(例えばフルオロメチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、ペルクロ
ロメチル、2−ブロモエチル、トリフルオロメチル及び3−ヨードシクロペンチル)、ヒドロキシアルキル(例えばヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル)、アミノアルキル(例えばアミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル及び2−アミノプロピル)、アルコキシアルキル、ニトロアルキル、アルキルアルキル、シアノアルキル、フェニルアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、フェノキシアルキル、ヘテロアリールオキシアルキル(例えば2−ピリジルオキシアルキル)、ヘテロシクリルオキシ−アルキル(例えば2−テトラヒドロピラノキシ−アルキル)、チオアルキルアルキル(例えばMeS−アルキル)、チオフェニルアルキル(例えばPhS−アルキル)、カルボキシアルキルなどを含む。ジ(C1−3アルキル)アミノ基は、ジメチルアミノ又はジエチルアミノのように2個の同じアルキル基を有するジアルキルアミノ基の他に、独立して選ばれるアルキル基を含み、例えばメチルプロピルアミノ及びイソプロピルメチルアミノを形成する。
【0034】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合(sp)を有する場合により置換されていることができる上記のような直鎖状及び分枝鎖状炭化水素基を含む。アルケニルにはエテニル(又はビニル)、プロペ−1−エニル、プロペ−2−エニル(又はアリル)、イソプロペニル(又は1−メチルビニル)、ブテ−1−エニル、ブテ−2−エニル、ブタジエニル、ペンテニル、ヘキサ−2,4−ジエニルなどが含まれる。二重結合と三重結合の混合物を有する炭化水素基、例えば2−ペンテン−4−イニルは、本明細書でアルキニルとしてグループ分けされる。アルケニルはシクロアルケニルを含む。シス及びトランス又は(E)及び(Z)形態は本発明内に含まれる。「アルケニル」は、これらに限られないがシアノアルケニル及びチオアルケニルを含んで、1個もしくはそれより多い置換基で置換されていることができる。
【0035】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合(sp)を有する場合により置換されていることができる上記のような直鎖状及び分枝鎖状炭化水素基を含む。アルキニルにはエチニル、プロピニル、ブチニル及びペンチニルが含まれる。二重結合と三重結合の混合物を有する炭化水素基、例えば2−ペンテン−4−イニルは、本明細書でアルキニルとしてグループ分けされる。アルキニルはシクロアルキニルを含まない。
【0036】
本明細書で用いられる「Ac」という用語は、単独で用いられても又は置換基の一部として用いられても、アセチル(CHCO−)を意味する。
【0037】
本明細書で用いられる「アリール」又は「Ar」という用語は、フェニル及びナフチルのような非置換もしくは置換芳香族炭化水素環系を指す。Ar又はアリール基が置換されている場合、それはC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、フッ素化C−Cアルキル(例えばトリフルオロメチル)、フッ素化C−Cアルコキシ(例えばトリフルオロメトキシ)、ハロゲン、シアノ、C−Cアルキルカルボニル、例えばアセチル、カルボキシル、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、C−Cアルキルアミノ(すなわち−NH−C−Cアルキル)、C−Cジアルキルアミノ(すなわち−N−[C−Cアルキル]であり、ここでアルキル基は同じかもしくは異なることができる)又は非置換、モノ−、ジ−もしくはトリ−置換フェニルから独立して選ばれる1〜3個の置換基を有することができ、ここで置換基としてのフェニル上の置換基はC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、フッ素化C−Cアルキル、フッ素化C−Cアルコキシ、ハロゲン、シアノ、アセチル、カルボキシル、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ又はN、O及びSから選ばれる1〜3個のヘテロ原子を有する5もしくは6員ヘテロアリールから独立して選ばれる。
【0038】
本明細書で用いられる「ヘテロアリール」という用語は、炭素原子ならびにN、O及びSから選ばれる1〜3個のヘテロ原子から成る安定な非置換もしくは置換5もしくは6員
単環式もしくは二環式芳香族環系を示す。ヘテロアリール基は、安定な構造の形成を生ずるいずれのヘテロ原子又は炭素原子において結合することもできる。ヘテロアリール基の例にはベンズイミダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズオキサゾリル、フラニル、フラザニル、フリル、イミダソリル、インダゾリル、インドリジニル、インドリニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、プリニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、キノリニル、キノリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チオフェニル又はトリアゾリルが含まれるが、これらに限られない。ヘテロアリール基が置換されている場合、ヘテロアリール基は、C−Cアルキル、ハロゲン及びアリールを含むがこれらに限られない1〜3個の置換基を有することができる。
【0039】
「ヘテロシクリル」という用語は、環中に炭素原子及び少なくとも1個のヘテロ原子(O、S、N)又はヘテロ原子部分(SO、CO、CONH、COO)を有する場合により置換されていることができる非芳香環を含む。ヘテロシクリルは飽和しているか、部分的に飽和しているか、非芳香族であるか、又は縮合していることができる。ヘテロシクリルの例にはシクロヘキシルイミノ、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジル、ピリジル、ピラニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジニル、ピロリニル及びチエニルが含まれる。
【0040】
他にことわらなければ、ヘテロアリール及びヘテロシクリルは、3−フリル又は2−イミダゾリルのように炭素原子を介して、あるいはN−ピペリジル又は1−ピラゾリルのようにヘテロ原子を介してそれを分子の残りの部分に連結する原子価を有することができる。好ましくは、単環式ヘテロシクリルは5〜7個の環原子あるいは5〜6個の環原子を有し;環中に1〜5個のヘテロ原子又はヘテロ原子部分、そして好ましくは1〜3個又は1〜2個のヘテロ原子又はヘテロ原子部分があることができる。
【0041】
ヘテロシクリル及びヘテロアリールは、縮合した例えば二環式環、例えば場合により、場合により置換されていることができる炭素環式もしくは複素環式5−もしくは6−員芳香環と縮合していることができるものも含む。例えば「ヘテロアリール」は、場合により置換されていることができる5−もしくは6−員炭素環式もしくは複素環式芳香環と縮合した1、2又は3個の窒素原子を含有する場合により置換されていることができる6−員ヘテロ芳香環を含む。該5−もしくは6−員芳香環と縮合した該複素環式5−もしくは6−員芳香環は、それが6−員環である場合には1、2又は3個の窒素原子を含有することができ、それが5−員環である場合には、酸素、窒素及び硫黄から選ばれる1、2又は3個のヘテロ原子を含有することができる。
【0042】
ある分子中の特定の位置におけるいずれの置換基又は変数の定義も、その分子中の他の位置におけるその定義と無関係であることが意図されている。当該技術分野における通常の熟練者は、本発明の化合物上の置換基及び置換パターンを選択して、化学的に安定であり且つ当該技術分野において既知の方法ならびに本明細書に記載される方法により容易に合成され得る化合物を与えることができることが理解される。
【0043】
エトキシメチル又はフェニルエチルにおけるように、化学的部分が組み合わされる場合、その用語は末端から分子の残りの部分の連結点への方向で記載される。例えばエトキシメチルはCHCHOCH−であり、フェニルエチルは−CHCH−により分子の残りの部分に連結するフェニル基である(そしてフェニル上の置換基としてCHCH基を有する分子に連結するフェニル基ではない)。括弧が用いられる場合、それらは末端の置換を示す。
【0044】
より簡潔な記述を与えるために、本明細書で与えられる量的な表現のいくつかは「約」という用語で修飾されない。「約」という用語が明白に用いられても用いられなくても、本明細書で与えられるすべての量は実際の与えられる値を指すものとし、且つそれはそのような与えられる値への、そのような与えられる値に関する実験及び/又は測定条件の故の近似を含んで、当該技術分野における通常の熟練に基づいて合理的に推論されるであろう近似も指すものとすることが理解される。
【0045】
本明細書で用いられる場合、他にことわらなければ、「非プロトン性溶媒」という用語は、プロトンを与えないいずれの溶媒をも意味する。適した例にはDMF、ジオキサン、THF、アセトニトリル、ピリジン、ジクロロエタン、ジクロロメタン、MTBE、トルエンなどが含まれるが、これらに限られない。
【0046】
本発明に従う化合物が少なくとも1個のキラル中心を有する場合、それらは従ってエナンチオマーとして存在し得る。化合物が2個もしくはそれより多いキラル中心を有する場合、それらはさらにジアステレオマーとして存在し得る。すべてのそのような異性体及びそれらの混合物は本発明の範囲内に包含されることが理解されるべきである。好ましくは、化合物がエナンチオマーとして存在する場合、エナンチオマーは約80%より高いかもしくはそれに等しいエナンチオマー過剰率で、より好ましくは約90%より高いかもしくはそれに等しいエナンチオマー過剰率で、さらにもっと好ましくは約95%より高いかもしくはそれに等しいエナンチオマー過剰率で、さらにもっと好ましくは約98%より高いかもしくはそれに等しいエナンチオマー過剰率で、最も好ましくは約99%より高いかもしくはそれに等しいエナンチオマー過剰率で存在する。類似して、化合物がジアステレオマーとして存在する場合、ジアステレオマーは約80%より高いかもしくはそれに等しいジアステレオマー過剰率で、より好ましくは約90%より高いかもしくはそれに等しいジアステレオマー過剰率で、さらにもっと好ましくは約95%より高いかもしくはそれに等しいジアステレオマー過剰率で、さらにもっと好ましくは約98%より高いかもしくはそれに等しいジアステレオマー過剰率で、最も好ましくは約99%より高いかもしくはそれに等しいジアステレオマー過剰率で存在する。
【0047】
さらに、本発明の化合物に関する結晶形のいくつかは多形相として存在することができ、従って(as such)本発明に含まれることが意図されている。さらに、本発明の化合物のいくつかは水(すなわち水和物)又は通常の有機溶媒と溶媒和物を形成することができ、そのような溶媒和物も本発明の範囲内に包含されることが意図されている。
【0048】
当該技術分野における熟練者は、本発明の反応段階を多様な溶媒又は溶媒系中で行うことができる場合、該反応段階を適した溶媒又は溶媒系の混合物中でも行い得ることを認識するであろう。
【0049】
本発明に従う化合物の製造方法が立体異性体の混合物を生ずる場合、調製的クロマトグラフィーのような通常の方法により、これらの異性体を分離することができる。化合物をラセミ形態で製造することができるか、あるいはエナンチオ特異的合成によるか又は分割により、個々のエナンチオマーを製造することができる。例えば光学的に活性な酸、例えば(−)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸及び/又は(+)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸との塩形成によるジアステレオマー対の形成及び続く分別結晶化及び遊離の塩基の再生のような標準的な方法により、化合物をそれらの成分エナンチオマーに分割することができる。ジアステレオマーエステル又はアミドの形成、続くクロマトグラフィー分離及びキラル助剤の除去により化合物を分割することもできる。あるいはまた、キラルHPLCカラムを用いて化合物を分割することができる。
【0050】
本発明の化合物のいずれかの製造方法の間に、関連する分子のいずれかの上の敏感なもしくは反応性の基を保護するのが必要であるか及び/又は望ましいかも知れない。Protective Groups in Organic Chemistry,J.F.W.McOmie編集,Plenum Press,1973年;及びT.W.Greene & P.G.M.Wuts著,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1991年に記載されているもののような、通常の保護基を用いてこれを行なうことができる。後の簡便な段階に当該技術分野から既知の方法を用い、保護基を除去することができる。
【0051】
本明細書で用いられる場合、「KF」という略語は、Karl−Fischer試験により決定される生成物中の水の重量パーセントを意味する。
【0052】
本発明は、本明細書で定義される式(I)の化合物のリシン塩を目的とする。式(I)の化合物のリシン塩は、有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン(THF)、メチル−t−ブチルエチル(MTBE)、ジエチルエーテル、それらの組み合わせなど;及び水の混合物;好ましくはC1−4アルコール及び水の混合物中で;適切に置換された式(I)の化合物をリシン、好ましくはL−リシン又はD−リシン、より好ましくはL−リシンと反応させ;対応する式(I)の化合物のリシン塩を与えることにより製造することができる。好ましくは、式(I)の化合物は、有機溶媒及び水の混合物中で少なくとも部分的に可溶性である。
【0053】
好ましくは、式I(I)の化合物、リシン及び有機溶媒と水の混合物を加熱して式(I)の化合物を溶解する;より好ましくは、式I(I)の化合物、リシン及び有機溶媒と水の混合物を加熱還流し、次いで冷却して対応する式(I)の化合物のリシン塩を沈殿させる。
【0054】
あるいはまた、反応溶媒−すなわち有機溶媒と水の混合物の蒸発により、式(I)の化合物のリシン塩を単離することができる。
【0055】
1つの態様において、本発明は式(Ia)の化合物のL−リシン塩を目的とする。他の態様において、式(Ia)の化合物のL−リシン塩は非水和物又は二水和物である。
【0056】
式(Ia)の化合物のL−リシン塩は、1種もしくはそれより多い有機溶媒と水の混合物中;好ましくはC1−4アルコール及び水を含んでなる混合物中、より好ましくはメタノール及び水を含んでなる混合物中、より好ましくはメタノール及び水を含んでなり、ここで水が約2モル当量より多いかもしくはそれに等しい量で存在する混合物中、より好ましくはメタノール及び水を含んでなり、ここで水が約2〜約3モル当量の範囲内の量で存在する混合物中で;式(Ia)の化合物をL−リシンと反応させることにより製造することができ;
ここで式(Ia)の化合物、L−リシン及び有機溶媒と水を含んでなる混合物を加熱して式(Ia)の化合物を溶解し、好ましくは、式(Ia)の化合物、リシン及び有機溶媒と水を含んでなる混合物を加熱還流し、次いで冷却して対応する式(Ia)の化合物のL−リシン塩を二水和物として沈殿させる。
【0057】
式(Ia)の化合物のL−リシン塩は、1種もしくはそれより多い有機溶媒と水の混合物中;好ましくはC1−4アルコール及び水を含んでなる混合物中、より好ましくはメタノール及び水を含んでなる混合物中、より好ましくはメタノール及び水を含んでなり、ここで水が約2モル当量より多いかもしくはそれに等しい量で存在する混合物中、より好ましくはメタノール及び水を含んでなり、ここで水が約2〜約3モル当量の範囲内の量で存在する混合物中で;
より好ましくはエタノール、イソプロパノール、メタノール及び水を含んでなる混合物中;
より好ましくはC1−4アルコール、水及び酢酸エチルを含んでなる混合物中、より好ましくはメタノール、水及び酢酸エチルの混合物中、より好ましくはメタノール:水:酢酸エチルの比率が約20:1:5〜約20:1:30の範囲内であるメタノール、水及び酢酸エチルの混合物中、より好ましくはメタノール:水:酢酸エチルの比率が約20:1:20であるメタノール、水及び酢酸エチルの混合物中で;式(Ia)の化合物をL−リシンと反応させることにより製造することができ;
ここで式(Ia)の化合物、L−リシン及び有機溶媒と水を含んでなる混合物を加熱して式(Ia)の化合物を溶解し、好ましくは、式(Ia)の化合物、リシン及び有機溶媒と水を含んでなる混合物を加熱還流し、次いで冷却して対応する式(Ia)の化合物のL−リシン塩を非水和物として沈殿させる。
【0058】
式(Ia)の化合物の非水和物L−リシン塩を対応する式(Ia)の化合物の二水和物L−リシン塩から、式(Ia)の化合物の二水和物L−リシン塩を熱及び/又は真空下で、好ましくは熱及び真空下で乾燥して水を駆逐することにより製造することができる。式(Ia)の化合物の二水和物L−リシン塩を対応する式(Ia)の非水和物L−リシン塩から、式(Ia)の化合物の非水和物L−リシン塩を約30%RH(%相対湿度)より高いかもしくはそれに等しい湿度に、好ましくは約30%RH〜約80%RHに供することにより製造することができる。
【0059】
1つの態様において、式(Ia)の化合物のL−リシン塩は結晶性である。他の態様において、式(Ia)の化合物のL−リシン塩は非水和物又は二水和物、好ましくは二水和物、好ましくはKarl−Fischerにより測定される二水和物である。好ましくは、式(Ia)の化合物のL−リシン塩は結晶性であり且つ二水和物である。
【0060】
式(Ia)の化合物の結晶性二水和物L−リシン塩を以下の化学構造により示すことができる:
【0061】
【化4】

【0062】
式(Ia)の化合物の結晶性非水和物L−リシン塩を以下の化学構造により示すことができる:
【0063】
【化5】

【0064】
本明細書に挙げるX線回折パターンは、X−Celerator検出器を用いて測定された。試料を通常のx−線ホルダー中に背面挿入した(backloaded)。0.01652θのステップサイズ及び10.16秒のステップ当たりの時間を用いて3から352θまで試料を走査した。有効走査速度は0.2067/秒であった。測定器電圧及び電流設定は45kV及び40mAであった。
【0065】
式(Ia)の化合物の結晶性非水和物L−リシン塩を、下記の表1に挙げるピークを含んでなるそのX線回折パターンにより特性化することができる。
【0066】
【表1】

【0067】
好ましくは、式(Ia)の化合物の結晶性非水和物L−リシン塩はそのXRDパターンにより特性化され、それは下記の表2に挙げる通りの約25%より高いかもしくはそれに等しい相対強度を有するピークを含んでなる。
【0068】
【表2】

【0069】
式(Ia)の化合物の結晶性二水和物L−リシン塩を、下記の表3に挙げるピークを含んでなるそのX線回折パターンにより特性化することができる。
【0070】
【表3】

【0071】
好ましくは、式(Ia)の化合物の結晶性二水和物L−リシン塩はそのXRDパターンにより特性化され、それは下記の表4に挙げる通りの約25%より高いかもしくはそれに等しい相対強度を有するピークを含んでなる。
【0072】
【表4】

【0073】
1つの態様において、式(Ia)の化合物のL−リシン塩は、約10%より高い相対強度を有する、好ましくは約25%より高い相対強度を有するピークに関するそのXRDスペクトルにおけるピーク位置(2θにおける)により特性化される。
【0074】
Karl−Fischer値は、式(Ia)の化合物の二水和物及び非水和物L−リシン塩の代表的な試料に関して測定され、下記に挙げる結果を得た:
【0075】
【表5】

【0076】
式(Ia)の化合物の非水和物L−リシン塩を循環湿度条件に供し、図3に示す結果を得た。さらに特定的に、25℃で10%RH増加における0−90%RH(相対湿度)のステップモードでの全循環を介して試料を分析した。設定された平衡条件は以下の通りであった:0.0007のdm/dt;5分のdm/dtウインドウ;15及び360分の最小及び最大ステージ(minimum and maximum stages)。1分間隔でデータを集めた。キャリヤーガスとして窒素を用いた。
【0077】
この実験からの結果は、式(Ia)の化合物の非水和物L−リシン塩が水を吸収することにより、対応する二水和物形態に可逆的に転換されることを示した。二水和物形態は、約30%RH〜約80%RHにおいて安定であると決定された。
【0078】
式(Ia)の化合物及び式(Ia)の化合物のL−リシン塩の代表的な試料の蒸留水中における溶解度を既知の方法に従って測定し、下記の表5に挙げる結果を得た。
【0079】
【表6】

【0080】
本発明の塩はPPARデルタアゴニストであり、従ってPPARデルタ媒介状態、例えば糖尿病、心臓血管病、代謝性Xシンドローム、高コレステロール血症、低−HDL−コレステロール血症、高−LDL−コレステロール血症、異脂肪血症、アテローム性動脈硬化症、肥満及びそれらの合併症の処置又はその進行の妨害において有用である。例えば糖尿病の合併症には神経障害、腎症及び網膜症のような状態が含まれる。
【0081】
本発明はさらに、製薬学的に許容され得る担体と一緒に1種もしくはそれより多い式(I)の化合物のリシン塩を含有する製薬学的組成物を含む。1種もしくはそれより多い化合物を通常の製薬学的配合法に従って製薬学的担体と緊密に混合することにより、本明細書に記載される本発明の化合物の1種もしくはそれより多くを活性成分として含有する製薬学的組成物を調製することができる。担体は、所望の投与経路(例えば経口的、非経口的)に依存して多用な形態をとることができる。かくして懸濁剤、エリキシル剤及び溶液のような液体の経口用調製物のために、適した担体及び添加剤には水、グリコール、油、アルコール、風味剤、防腐剤、安定剤、着色剤などが含まれ;粉剤、カプセル及び錠剤のような固体の経口用調製物のために、適した担体及び添加剤にはデンプン、糖類、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などが含まれる。吸収の主要な部位を調節するために、固体の経口用調製物を糖類のような物質でコーティングするか、又は腸溶コーティングすることもできる。非経口的投与のために、担体は通常無菌水から成り、且つ溶解性を向上させるか又は防腐のために他の成分を加えることができる。適した添加剤と一緒に水性担体を用い、注入可能な懸濁剤又は溶液を調製することもできる。
【0082】
本発明の製薬学的組成物の調製のために、活性成分としての1種もしくはそれより多い本発明の化合物を、通常の製薬学的配合法に従って製薬学的担体と緊密に混合し、その担体は、投与、例えば経口的又は非経口的、例えば筋肉内投与のために望ましい調製物の形態に依存して多様な形態をとることができる。経口的投薬形態における組成物の調製において、通常の製薬学的媒体のいずれを用いることもできる。かくして例えば懸濁剤、エリキシル剤及び溶液のような液体経口用調製物のために、適した担体及び添加剤には水、グリコール、油、アルコール、風味剤、防腐剤、着色剤などが含まれ;例えば粉剤、カプセル、カプレット(caplets)、ゲルカップ(gelcaps)及び錠剤のような固体経口用調製物のために、適した担体及び添加剤にはデンプン、糖類、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などが含まれる。それらの投与の容易さのために、錠剤及びカプセルは最も有利な経口的投薬単位形態物を与え、その場合には固体の製薬学的担体が用いられるのは明らかである。必要なら、標準的な方法により錠剤を糖コーティング又は腸溶コーティングすることができる。非経口用組成物の場合、担体は通常無菌水を含んでなるが、例えば溶解性を助けるか又は防腐の目的のための他の成分が含まれることができる。注入可能な懸濁剤を調製することもでき、その場合には適した液体単体、懸濁化剤などを用いることができる。本明細書における製薬学的組成物は、投薬単位、例えば錠剤、カプセル、粉剤、注射、小さじ一杯など当たりに、上記の有効な投薬量を送達するのに必要な量の活性成分を含有するであろう。本明細書における製薬学的組成物は、投薬単位、例えば錠剤、カプセル、粉剤、座薬、注射、小さじ一杯など当たりに、約0.01〜1000mg、好ましくは約1〜1000mg、より好ましくは約10〜500mgを含有し、約0.001〜20.0mg/kg/日、好ましくは約0.001〜5.0mg/kg/日、より好ましくは約0.01〜0.5mg/kg/日の投薬量で与えることができる。しかしながら、投薬量は患者の必要性、処置されている状態の重度及び用いられる化合物に依存して変わり得る。毎日の投与の使用又は後周期投薬(post−periodic
dosing)を用いることができる。
【0083】
好ましくは、これらの組成物は経口的、非経口的、鼻内、舌下又は直腸的投与のために、あるいは吸入もしくは吹入による投与のために;錠剤、丸薬、カプセル、粉剤、顆粒剤
、無菌非経口用溶液もしくは懸濁剤、計量エアゾールもしくは液体スプレー、滴剤、アンプル、自動注入装置又は座薬のような単位投薬形態にある。あるいはまた、週に1回又は月に1回の投与に適した形態で組成物を与えることができ;例えばデカン酸塩のような活性化合物の不溶性塩を適応させて筋肉内注入のためのデポ剤を与えることができる。錠剤のような固体組成物の調製のために、主な活性成分を製薬学的担体、例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム又はゴムのような通常の錠剤化成分ならびに他の製薬学的希釈剤、例えば水と混合し、本発明の化合物又は製薬学的に許容され得るその塩の均一な混合物を含有する固体の予備調製組成物を形成する。これらの予備調製組成物を均一と言及する場合、活性成分が組成物全体に均一に分散し、組成物を錠剤、丸薬及びカプセルのような等しく有効な投薬形態物に容易に細分できることを意味する。この固体の予備調製組成物を次いで0.1〜約1000mgの本発明の活性成分を含有する上記の型の単位投薬形態物に細分する。新規な組成物の錠剤又は丸薬をコーティングするか、又は他の方法で配合し、長期間の作用の利点を与える投薬形態物を与えることができる。例えば錠剤又は丸薬は内部投薬及び外部投薬成分を含むことができ、後者は前者を覆う外被の形態にある。2つの成分は腸溶層により隔てられていることができ、それは胃における崩壊に抵抗して内部成分が十二指腸中に無損傷で通過するか又はその放出を遅らせることを可能にするように働く。そのような腸溶層又はコーティングのために多様な材料を用いることができ、そのような材料にはシェラック、アセチルアルコール及び酢酸セルロースのような材料とともに複数の高分子酸が含まれる。
【0084】
経口的又は注入による投与用に本発明の新規な組成物を導入することができる液体形態物には水溶液、適切に風味付けされたシロップ剤、水性もしくは油懸濁剤及び綿実油、ごま油、ココナツ油又はピーナツ油のような食用油で風味付けされた乳剤ならびにエリキシル剤及び類似の製薬学的ビヒクルが含まれる。水性懸濁剤のために適した分散剤又は懸濁化剤には合成及び天然ゴム、例えばトラガカントゴム、アラビアゴム、アルギネート、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニル−ピロリドン又はゼラチンが含まれる。
【0085】
本発明に記載されるPPARデルタ媒介障害の処置方法を、本明細書で定義される化合物のいずれか及び製薬学的に許容され得る担体を含んでなる製薬学的組成物を用いて行なうこともできる。製薬学的組成物は約0.01mg〜1000mg、好ましくは約0.1〜500mg、より好ましくは約10〜500mgの化合物を含有することができ、選ばれる投与様式に適したいずれの形態物にも構成され得る。担体には、結合剤、懸濁化剤、滑沢剤、風味剤、甘味剤、防腐剤、色素及びコーティングを含むがこれらに限れない必要且つ不活性な製薬学的賦形剤が含まれる。経口的投与に適した組成物には固体形態物、例えば丸薬、錠剤、カプレット、カプセル(それぞれ即時放出型、時間調節放出(timed release)型及び徐放性調剤を含む)、顆粒剤及び粉剤ならびに液体形態物、例えば溶液、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤及び懸濁剤が含まれる。非経口的投与のために有用な形態物には無菌の溶液、乳剤及び懸濁剤が含まれる。
【0086】
有利には、本発明の化合物を1回の1日の投薬量において投与することができるか、あるいは合計の1日の投薬量を1日2、3又は4回の分割された投薬量において投与することができる。さらに、本発明の化合物を適した鼻内ビヒクルの局所的使用を介して鼻内形態で、あるいは当該技術分野における通常の熟練者に周知の経皮的皮膚パッチを介して投与することができる。経皮送達系の形態において投与するために、投薬量の投与はもちろん投薬管理を通じて断続的ではなくて継続的であろう。
【0087】
例えば錠剤又はカプセルの形態における経口的投与のために、活性薬剤成分を経口用無毒性の製薬学的に許容され得る不活性担体、例えばエタノール、グリセロール、水などと
合わせることができる。さらに、望ましいかもしくは必要な場合、適した結合剤;滑沢剤、崩壊剤及び着色剤も混合物中に導入することができる。適した結合剤にはデンプン、ゼラチン、天然糖類、例えばグルコース又はベータ−ラクトース、コーン甘味剤、天然及び合成ゴム、例えばアラビアゴム、トラガカントゴム又はオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれるが、制限ではない。崩壊剤にはデンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンゴムなどが含まれるが、制限ではない。
【0088】
合成及び天然ゴム、例えばトラガカントゴム、アラビアゴム、メチルセルロースなどのような適切に風味付けされた懸濁化剤又は分散剤中の液体形態物。非経口的投与のためには、無菌の懸濁剤及び溶液が望ましい。静脈内投与が望ましい場合、一般に適した防腐剤を含有する等張調製物が用いられる。
【0089】
PPARデルタにより媒介される障害の処置が必要な場合には常に、本発明の化合物を前記の組成物のいずれかにおいて、且つ当該技術分野において確立された投薬管理に従って投与することができる。
【0090】
生成物の1日の投薬量は、1日につき成人当たり0.01〜1,000mgの広い範囲に及んで変わり得る。経口的投与のために、組成物は、好ましくは処置されるべき患者への投薬量の症状的調整のために、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、150、200、250及び500ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形態で与えられる。薬剤の有効量は通常、1日につき体重のkg当たり約0.001mg〜約5mgの投薬量レベルで供給され、好ましくは、範囲は1日につき体重のkg当たり約0.01〜約0.5mgである。化合物を1日当たり1〜4回の管理に基づいて投与することができる。
【0091】
投与されるべき最適投薬量は当該技術分野における熟練者により容易に決定され得、用いられる特定の化合物、投与の様式、調製物の濃度、投与の様式及び疾患状態の進行度とともに変わるであろう。さらに、患者の年令、体重、食事及び投与の時間を含む処置されている特定の患者と関連する因子は、投薬量を調整する必要性を生ずるであろう。
【0092】
本発明の塩をさらに、本明細書に記載されるもののような他の製薬学的活性薬剤と組み合わせて用いることができる。これらの薬剤には抗糖尿病薬、脂質低下薬及び血圧降下薬、例えばスタチン剤(statin drugs)及びフィブレートなどが含まれる。
【0093】
開示される製薬学的組成物又は、同じ組成物中で調製されてもされなくても、開示される薬剤の組み合わせに関し、治療的及び予防的目的のための有効投薬量を決定するための方法は当該技術分野において既知である。治療的目的のために、本明細書で用いられる「共同して有効な量」という用語は、組織系、動物又は人間において、研究者、獣医、医師又は他の臨床医が求めている生物学的もしくは医学的反応を引き出す単独のもしくは組み合わされた各活性化合物又は製薬学的薬剤の量を意味し、反応には処置されている疾患又は障害の症状の軽減が含まれる。予防的目的(例えば障害の開始もしくは進行の妨害)のために、「共同して有効な量」という用語は、研究者、獣医、医師又は他の臨床医が求めているように、障害の開始もしくは進行を患者において処置するかもしくは妨害する、単独のもしくは組み合わされた各活性化合物又は製薬学的薬剤の量を指す。かくして本発明は2種もしくはそれより多い薬剤の組み合わせを提供し、ここで例えば(a)各薬剤は独立して治療的もしくは予防的に有効な量で投与されるか;(b)組み合わせ中の少なくとも1種の薬剤は、単独で投与されると治療的−未満又は予防的−未満であるが本発明に従って第2のもしくは追加の薬剤と組み合わされて投与されると治療的又は予防的である量で投与されるか;あるいは(c)両方(もしくはそれより多く)の薬剤は、単独で投与さ
れると治療的−未満又は予防的−未満であるが一緒に投与されると治療的又は予防的である量で投与される。
【0094】
抗−糖尿病薬はチアゾリジンジオン及び非−チアゾリジンジオンインスリン感作物質を含み、それらは標的器官及び組織においてインスリンの効果を強化することにより、末梢インスリン抵抗性を低下させる。
【0095】
以下の薬剤のいくつかは、特異的インスリン−反応性遺伝子の転写を増加させる核受容体ペルオキシソームプロリフェレーター−活性化受容体−ガンマ(PPARγ)に結合し且つ活性化することが知られている。PPAR−ガンマアゴニストの例はチアゾリジンジオン類、例えば:
(1)ロシグリタゾン(rosiglitazone)(2,4−チアゾリジンジオン,5−((4−(2−(メチル−2−ピリジニルアミノ)エトキシ)フェニル)メチル)−,(Z)−2−ブテン二酸塩(1:1)又は5−((4−(2−(メチル−2−ピリジニルアミノ)エトキシ)フェニル)メチル)−2,4−チアゾリジンジオン,AVANDIAとして既知;BRL 49653、BRL 49653C、BRL 49653c、SB 210232又はロシグリタゾンマレートとしても既知);
(2)ピオグリタゾン(pioglitazone)(2,4−チアゾリジンジオン,5−((4−(2−(5−エチル−2−ピリジニル)エトキシ)フェニル)メチル)−,一塩酸塩,(+−)−又は5−((4−(2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ)フェニル)メチル)−2,4−チアゾリジンジオン、ACTOS、ZACTOS又はGLUSTINとして既知;AD 4833、U 72107、U 72107A、U72107E、ピオグリタゾン塩酸塩(USAN)としても既知);
(3)トログリタゾン(troglitazone)(5−((4−((3,4−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−2H−1−ベンゾピラン−2−イル)メトキシ)フェニル)メチル)−2,4−チアゾリジンジオン,NOSCAL、REZULIN、ROMOZIN又はPRELAYとして既知;CI 991、CS 045、GR 92132、GR 92132Xとしても既知);
(4)イサグリタゾン(isaglitazone)((+)−5−[[6−[(2−フルオロフェニル)メトキシ]−2−ナフタレニル]メチル]−2,4−チアゾリジンジオン又は5−((6−((2−フルオロフェニル)メトキシ)−2−ナフタレニル)メチル−2,4−チアゾリジンジオン又は5−(6−(2−フルオロベンジルオキシ)ナフタレン−2−イルメチル)チアゾリジン−2,4−ジオン,MCC−555又はネオグリタゾン(neoglitazone)としても既知);ならびに
(5)5−BTZD
である。
【0096】
さらに、インスリン感作物質として作用する非−チアゾリジンジオン類には:
(1)JT−501(JTT 501、PNU−1827、PNU−716−MET−0096又はPNU 182716:イソオキサゾリジン−3,5−ジオン,4−((4−(2−フェニル−5−メチル)−1,3−オキサゾリル)エチルフェニル−4)メチル−);
(2)KRP−297(5−(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イルメチル)−2−メトキシ−N−(4−(トリフルオロメチル)ベンジル)ベンズアミド又は5−((2,4−ジオキソ−5−チアゾリジニル)メチル)−2−メトキシ−N−((4−(トリフルオロメチル)フェニル)メチル)ベンズアミド);ならびに
(3)ファルグリタザル(Farglitazar)(L−チロシン,N−(2−ベンゾイルフェニル)−o−(2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エチル)−又はN−(2−ベンゾイルフェニル)−O−(2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エチル)−L−チロシン又はGW2570もしくはGI−262570

が含まれるが、これらに限られない。
【0097】
他の薬剤もPPAR調節物質活性、例えばPPARガンマ、SPPARガンマ及び/又はPPARデルタ/ガンマアゴニスト活性を有することが示されている。例を下記に挙げる:
(1)AD 5075;
(2)R 119702((+−)−5−(4−(5−メトキシ−1H−ベンズイミダゾール−2−イルメトキシ)ベンジル)チアゾリン−2,4−ジオン塩酸塩又はCI 1037もしくはCS 011);
(3)CLX−0940(ペルオキシソームプロリフェレーター−活性化受容体アルファアゴニスト/ペルオキシソームプロリフェレーター−活性化受容体ガンマアゴニスト);
(4)LR−90(2,5,5−トリス(4−クロロフェニル)−1,3−ジオキサン−2−カルボン酸、PPARデルタ/γアゴニスト);
(5)チュラリク(Tularik)(PPARγアゴニスト);
(6)CLX−0921(PPARγアゴニスト);
(7)CGP−52608(PPARアゴニスト);
(8)GW−409890(PPARアゴニスト);
(9)GW−7845(PPARアゴニスト);
(10)L−764406(PPARアゴニスト);
(11)LG−101280(PPARアゴニスト);
(12)LM−4156(PPARアゴニスト);
(13)リサレスタット(Risarestat)(CT−112);
(14)YM 440(PPARアゴニスト);
(15)AR−H049020(PPARアゴニスト);
(16)GW 0072(4−(4−((2S,5S)−5−(2−(ビス(フェニルメチル)アミノ)−2−オキソエチル)−2−ヘプチル−4−オキソ−3−チアゾリジニル)ブチル)安息香酸);
(17)GW 409544(GW−544又はGW−409544);
(18)NN 2344(DRF 2593);
(19)NN 622(DRF 2725);
(20)AR−H039242(AZ−242);
(21)GW 9820(フィブレート);
(22)GW 1929(N−(2−ベンゾイルフェニル)−O−(2−(メチル−2−ピリジニルアミノ)エチル)−L−チロシン、GW 2331として既知,PPARアルファ/γアゴニスト);
(23)SB 219994((S)−4−(2−(2−ベンズオキサゾリルメチルアミノ)エトキシ)−アルファ−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ベンゼンプロパン酸又は3−(4−(2−(N−(2−ベンズオキサゾリル)−N−メチルアミノ)エトキシ)フェニル)−2(S)−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)プロパン酸又はベンゼンプロパン酸,4−(2−(2−ベンズオキサゾリルメチルアミノ)エトキシ)−アルファ−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−,(アルファS)−、PPARアルファ/γアゴニスト);
(24)L−796449(PPARアルファ/γアゴニスト);
(25)フェノフィブレート(Fenofibrate)(プロパン酸,2−[4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ]−2−メチル−,1−メチルエチルエステル、TRICOR、LIPCOR、LIPANTIL、LIPIDIL、MICROとして既知、PPARアルファアゴニスト);
(26)GW−9578(PPARアルファアゴニスト);
(27)GW−2433(PPARアルファ/γアゴニスト);
(28)GW−0207(PPARγアゴニスト);
(29)LG−100641(PPARγアゴニスト);
(30)LY−300512(PPARγアゴニスト);
(31)NID525−209(NID−525);
(32)VDO−52(VDO−52);
(33)LG 100754(ペルオキシソームプロリフェレーター−活性化受容体アゴニスト);
(34)LY−510929(ペルオキシソームプロリフェレーター−活性化受容体アゴニスト);
(35)ベキサロテン(bexarotene)(4−(1−(3,5,5,8,8−ペンタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフタレニル)エテニル)安息香酸、TARGRETIN、TARGRETYN、TARGREXINとして既知;LGD 1069、LG 100069、LG 1069、LDG 1069、LG 69、RO
264455としても既知);ならびに
(36)GW−1536(PPARアルファ/γアゴニスト)。
【0098】
(B)他のインスリン感作物質には:
(1)INS−1(D−キロイノシトール又はD−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロキシシクロヘキサン);
(2)タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP−1B)阻害剤;
(3)グリコゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK3)阻害剤;
(4)ベータ3アドレナリン受容体アゴニスト、例えばZD 2079((R)−N−(2−(4−(カルボキシメチル)フェノキシ)エチル)−N−(2−ヒドロキシ−2−フェネチル)アンモニウムクロリド、ICI D 2079としても既知)又はAZ 40140;
(5)グリコゲンホスホリラーゼ阻害剤;
(6)フルクトース−1,6−ビスホスファターゼ阻害剤;
(7)ピコリン酸第二クロム,バナジルサルフェート(バナジウムオキシサルフェート);
(8)KP 102(有機−バナジウム化合物);
(9)ポリニコチン酸第二クロム;
(10)カリウムチャンネルアゴニスト NN 414;
(11)YM 268(5,5’−メチレン−ビス(1,4−フェニレン)ビスメチレンビス(チアゾリジン−2,4−ジオン);
(12)TS 971;
(13)T 174((+−)−5−(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イルメチル)−2−(2−ナフチルメチル)ベンズオキサゾール);
(14)SDZ PGU 693((+)−トランス−2(S−((4−クロロフェノキシ)メチル)−7アルファ−(3,4−ジクロロフェニル)テトラヒドロピロロ(2,1−b)オキサゾール−5(6H)−オン);
(15)S 15261((−)−4−(2−((9H−フルオレン−9−イルアセチル)アミノ)エチル)安息香酸2−((2−メトキシ−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)アミノ)エチルエステル);
(16)AZM 134(アリザイム(Alizyme));
(17)ARIAD;
(18)R 102380;
(19)PNU 140975(1−(ヒドラジノイミノメチル)ヒドラジノ)酢酸;
(20)PNU 106817(2−(ヒドラジノイミノメチル)ヒドラジノ)酢酸;
(21)NC 2100(5−((7−(フェニルメトキシ)−3−キノリニル)メチ
ル)−2,4−チアゾリジンジオン;
(22)MXC 3255;
(23)MBX 102;
(24)ALT 4037;
(25)AM 454;
(26)JTP 20993(2−(4−(2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ)ベンジル)−マロン酸ジメチルジエステル);
(27)デクスリポタム(Dexlipotam)(5(R)−(1,2−ジチオラン−3−イル)ペンタン酸、(R)−アルファリポ酸又は(R)−チオクト酸としても既知);
(28)BM 170744(2,2−ジクロロ−12−(p−クロロフェニル)ドデカン酸);
(29)BM 152054(5−(4−(2−(5−メチル−2−(2−チエニル)オキサゾール−4−イル)エトキシ)ベンゾチエン−7−イルメチル)チアゾリジン−2,4−ジオン);
(30)BM 131258(5−(4−(2−(5−メチル−2−フェニルオキサゾール−4−イル)エトキシ)ベンゾチエン−7−イルメチル)チアゾリジン−2,4−ジオン);
(31)CRE 16336(EML 16336);
(32)HQL 975(3−(4−(2−(5−メチル−2−フェニルオキサゾール−4−イル)エトキシ)フェニル)−2(S)−(プロピルアミノ)プロピオン酸);
(33)DRF 2189(5−((4−(2−(1−インドリル)エトキシ)フェニル)メチル)チアゾリジン−2,4−ジオン);
(34)DRF 554158;
(35)DRF−NPCC;
(36)CLX 0100、CLX 0101、CLX 0900又はCLX 0901;
(37)IカッパBキナーゼ(IKK B)阻害剤
(38)マイトジェン−活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)阻害剤 p38 MAPK 刺激物質
(39)ホスファチジル−イノシチド三リン酸
(40)インスリン循環受容体阻害剤
(41)グルコース輸送物質4調節物質
(42)TNF−αアンタゴニスト
(43)プラズマ細胞分化抗原−1(PC−1)アンタゴニスト
(44)脂肪細胞脂質−結合タンパク質(ALBP/aP2)阻害剤
(45)ホスホグリカン
(46)ガルパラン(Galparan);
(47)レセプトロン(Receptron);
(48)島細胞(islet cell)成熟因子;
(49)インスリン増強因子(IPF又はインスリン増強因子−1);
(50)結合タンパク質とカップリングしたソマトメジン C(somatomedin C)(IGF−BP3、IGF−BP3、ソマトカイン(SomatoKine)としても既知);
(51)Biotech Holdings Ltd.又はVolque Pharmaceuticalにより生産されるディアブ II(Diab II)(V−411としても既知)又はグルカニン(Glucanin);
(52)グルコース−6ホスファターゼ阻害剤;
(53)脂肪酸グルコース輸送タンパク質;
(54)グルココルチコイド受容体アンタゴニスト;ならびに
(55)グルタミン:フルクトース−6−ホスフェートアミドトランスフェラーゼ(GFAT)調節物質
が含まれるが、これらに限られない。
【0099】
(C)肝臓グルコース生産を低下させ、グルコースの吸収を増加させるビグアニド類。例にはメツフォルミン(metformin)、例えば:
(1)1,1−ジメチルビグアニド(例えばメツフォルミン−DepoMed、メツフォルミン−Biovail Corporation又はMETFORMIN GR(メツフォルミン胃貯留ポリマー(metformin gastric retention polymer);及び
(2)メツフォルミン塩酸塩(N,N−ジメチルイミドジカルボンイミド酸ジアミド一塩酸塩、LA 6023、BMS 207150、GLUCOPHAGE又はGLUCOPHAGE XRとしても既知)
が含まれる。
【0100】
(D)アルファ−グルコシダーゼを阻害するアルファ−グルコシダーゼ阻害剤。アルファ−グルコシダーゼはフルクトースをグルコースに転換し、それにより炭水化物の消化を遅らせる。消化されない炭水化物は次いで胃において分解され、食後グルコースピークを低下させる。例には:
(1)アカルボース(acarbose)(D−グルコース,O−4,6−ジデオキシ−4−(((1S−(1アルファ,4アルファ,5ベータ,6アルフア))−4,5,6−トリヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−2−シクロヘキセン−1−イル)アミノ)−アルファ−D−グルコピラノシル−(1−4)−O−アルフア−D−グルコピラノシル−(1−4)−、AG−5421、Bay−g−542、BAY−g−542、GLUCOBAY、PRECOSE、GLUCOR、PRANDASE、GLUMIDA又はASCAROSEとしても既知);
(2)ミグリトール(Miglitol)(3,4,5−ピペリジントリオール,1−(2−ヒドロキシエチル)−2−(ヒドロキシメチル)−,(2R(2アルフア,3ベータ,4アルファ,5ベータ))−又は(2R,3R,4R,5S)−1−(2−ヒドロキシエチル)−2−(ヒドロキシメチル−3,4,5−ピペリジントリオール)、BAY 1099、BAY M 1099、BAY−m−1099、BAYGLITOL、DIASTABOL、GLYSET、MIGLIBAY、MITOLBAY、PLUMAROLとしても既知);
(3)CKD−711(O−4−デオキシ−4−((2,3−エポキシ−3−ヒドロキシメチル−4,5,6−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−イル)アミノ)−アルフア−b−グルコピラノシル−(1−4)−アルファ−D−グルコピラノシル−(1−4)−D−グルコピラノース);
(4)エミグリテート(emiglitate)(4−(2−((2R,3R,4R,5S)−3,4,5−トリヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−1−ピペリジニル)エトキシ)安息香酸エチルエステル、BAY o 1248又はMKC 542としても既知);
(5)MOR 14(3,4,5−ピペリジントリオール,2−(ヒドロキシメチル)−1−メチル−,(2R−(2アルファ,3ベータ,4アルファ,5ベータ))−、N−メチルデオキシノジリマイシン(N−methyldeoxynojirimycin)又はN−メチルモラノリン(N−methylmoranoline)としても既知);ならびに
(6)ボグリボース(Voglibose)(3,4−ジデオキシ−4−((2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)エチル)アミノ)−2−C−(ヒドロキシメチル)−D−エピ−イノシトール又はD−エピ−イノシトール,3,4−ジデオキシ−4−((2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)エチル)アミノ)−2−C−(ヒドロキシメチ
ル)−、A 71100、AO 128、BASEN、GLUSTAT、VOGLISTATとしても既知)
が含まれるが、これらに限られない。
【0101】
(E)インスリンには規則的(regular)又は短時間−作用性、中程度−作用性(intermediate−acting)及び長時間−作用性インリスン、注入−不可能なもしくは吸入されるインスリン、組織選択的インスリン、グルコホスホキニン(D−キロイノシトール)、インスリン類似物、例えば自然のアミノ酸配列における小さい差を有するインリスン分子及びインスリンの小分子ミミックス(mimics)(インスリンミメティックス)ならびにエンドソーム調節物質が含まれる。例には
(1)ビオタ(Biota);
(2)LP 100;
(3)(SP−5−21)−オキソビス(1−ピロリジンカルボジチオエート−S,S’)バナジウム、
(4)インスリンアスパルト(insulin aspart)(ヒトインスリン(28B−L−アスパラギン酸)又はB28−Asp−インスリン、インスリン X14、INA−X14、NOVORAPID、NOVOMIX又はNOVOLOGとしても既知);
(5)インスリンデテミル(insulin detemir)(Human 29B−(N6−(1−オキソテトラデシル)−L−リシン)−(1A−21A),(1B−29B)−インスリン又はNN 304);
(6)インスリンリスプロ(insulin lispro)(“28B−L−リシン−29B−L−プロリンヒトインスリン又はLys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン類似物、lys−proインスリン、LY 275585、HUMALOG、HUMALOG MIX 75/25又はHUMALOG MIX 50/50としても既知);
(7)インスリングラルギン(insulin glargine)(ヒト(A21−グリシン,B31−アルギニン,B32−アルギニン)インスリン HOE 901、LANTUS、OPTISULINとしても既知);
(8)インリスン亜鉛懸濁剤,広範囲(extended)(ウルトラレンテ(Ultralente))、HUMULIN U又はULTRALENTEとしても既知;
(9)インスリン亜鉛懸濁剤(レンテ(Lente)),70%結晶性及び30%非晶質インスリン懸濁剤、LENTE ILETIN II、HUMULIN L又はNOVOLIN Lとしても既知;
(10)HUMULIN 50/50(50%イソフェンインスリン及び50%インスリン注射);
(11)HUMULIN 70/30(70%イソフェンインスリン NPH及び30%インスリン注射)、NOVOLIN 70/30、NOVOLIN 70/30 PenFill、NOVOLIN 70/30 Prefilledとしても既知;
(12)インスリンイソフェン懸濁剤、例えばNPH ILETIN II、NOVOLIN N、NOVOLIN N PenFill、NOVOLIN N Prefilled、HUMULIN N;
(13)正規のインスリン注射、例えばILETIN II Regular、NOVOLIN R、VELOSULIN BR、NOVOLIN R PenFill、NOVOLIN R Prefilled、HUMULIN R又はRegular U−500(濃);
(14)ARIAD;
(15)LY 197535;
(16)L−783281;及び
(17)TE−17411
が含まれるが、これらに限られない。
【0102】
(F)インスリン分泌調節物質、例えば:
(1)グルカゴン−様ペプチド−1(GLP−1)及びそのミメティックス;
(2)グルコース−インスリン向性ペプチド(GIP)及びそのミメティックス;
(3)エキセンジン及びそのミメティックス;
(4)ジペプチルプロテアーゼ(DPP又はDPPIV)阻害剤、例えば
(4a)DPP−728又はLAF 237(2−ピロリジンカルボニトリル,1−(((2−((5−シアノ−2−ピリジニル)アミノ)エチル)アミノ)アセチル)、NVP−DPP−728、DPP−728A、LAF−237としても既知);
(4b)P 3298又はP32/98(ジ−(3N−((2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−ペンタノイル)−1,3−チアゾリジン)フマレート);
(4c)TSL 225(トリプトフィル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸);
(4d)バリンピロリジン(バルピル(valpyr));
(4e)1−アミノアルキルイソキノリノン−4−カルボキシレート及びその類似物質;
(4f)SDZ 272−070(1−(L−バリル)ピロリジン);
(4g)TMC−2A、TMC−2B又はTMC−2C;
(4h)ジペプチドニトリル(2−シアノピロロジド);
(4i)CD26阻害剤;及び
(4j)SDZ 274−444;
(5)グルカゴンアンタゴニスト、例えばAY−279955;ならびに
(6)プラムリンチド(pramlintide)を含むがこれに限られないアミリンアゴニスト(AC−137、Symlin、トリプロ−アミリン又はプラムリンチドアセテート)。
【0103】
本発明の塩は、現存するPPARガンマアゴニストの使用に伴って見出される体重の増加より少ない体重の増加を以って、又は体重の増加なくしてインスリン感受性を向上させることもできる。経口用抗−糖尿病薬にはインスリン、スルホニルウレア類、ビグアニド類、メグリチニド類、AGI’s、PPARアルファアゴニスト及びPPARガンマアゴニストならびに二重PPARアルファ/ガンマアゴニストが含まれ得る。
【0104】
本発明の塩は脂肪及び/又は脂質代謝を向上させることもでき、体重減少、脂肪重量減少、ボディ・マス指数の低下、脂質の低下(トリグリセリドの低下のような)あるいは肥満又は体重過剰の状態の処置のための方法を提供する。脂質低下剤の例には胆汁酸封鎖剤、フィブリン酸誘導体、ニコチン酸及びHMGCoAレダクターゼ阻害剤が含まれる。特定の例にはスタチン類、例えばLIPITOR、ZOCOR、PRAVACHOL、LESCOL及びMEVACORならびにピタバスタチン(pitavastatin)(ニスバスタチン(nisvastatin))(Nissan、Kowa Kogyo,Sankyo,Novartis)及びその延長放出形態物(extended
release forms)、例えばADX−159(延長放出ロバスタチン(lovastatin))ならびにコレスチド(Colestid)、ロコレスト(Locholest)、クエストラン(Questran)、アトロミド(Atromid)、ロピド(Lopid)及びトリコル(Tricor)が含まれる。
【0105】
血圧降下薬の例には抗−高血圧薬、例えばアンギオテンシン−変換酵素(ACE)阻害剤(アクプリル(Accupril)、アルテース(Altace)、カプトプリル(Captopril)、ロテンシン(Lotensin)、マビク(Mavik)、モノプリル(Monopril)、プリニビル(Prinivil)、ユニバスク(Univa
sc)、バソテク(Vasotec)及びゼストリル(Zestril))、アドレナリン作動性ブロッカー(例えばカルドゥラ(Cardura)、ジベンジリン(Dibenzyline)、ヒロレル(Hylorel)、ヒトリン(Hytrin)、ミニプレス(Minipress)及びミニジド(Minizide))、アルファ/ベータアドレナリン作動性ブロッカー(例えばコレグ(Coreg)、ノルモジン(normodyne)及びトランデート(Trandate))、カルシウムチャンネルブロッカー(例えばアダラト(Adalat)、カラン(Calan)、カルデン(Cardene)、カルジゼム(Cardizem)、コベラ−HS(Covera−HS)、ジラコル(Dilacor)、ジナシルク(DynaCirc)、イソプチン(Isoptin)、ニモトプ(Nimotop)、ノルベイス(Norvace)、プレンジル(Plendil)、プロカルジア(Procardia)、プロカルジア XL、スラ(Sula)、チアザク(Tiazac)、バスコル(Vascor)及びベレラン(Verelan))、利尿薬、アンギオテンシン II受容体アンタゴニスト(例えばアタカンド(Atacand)、アバプロ(Avapro)、コザアル(Cozaar)及びジオバン(Diovan))、ベータアドレナリン作動性ブロッカー(例えばベタペイス(Betapace)、ブロカドレン(Blocadren)、ブロビブロク(Brevibloc)、カルトロル(Cartrol)、インデラル(Inderal)、ケルロン(Kerlone)、ラバトル(Lavatol)、ロプレソル(Lopressor)、セクトラル(Sectral)、テノルミン(Tenormin)、トプロル−XL(Toprol−XL)及びゼベタ(Zebeta))、血管拡張薬(例えばデポニト(Deponit)、ジラトレート(Dilatrate)、SR、イムドゥル(Imdur)、イスモ(Ismo)、イソルジル(Isordil)、イソルジル チトラドース(Isordil
Titradose)、モノケト(Monoket)、ニトロ−ビド(Nitro−Bid)、ニトロ−ドゥル(Nitro−Dur)、ニトロリンガルスプレー(Nitrolingual Spray)、ニトロスタト(Nitrostat)及びソルビトレート(Sorbitrate))ならびにそれらに組み合わせ(例えばレクセル(Lexxel)、ロトレル(Lotrel)、タルカ(Tarka)、テクゼム(Teczem)、ロテンシン HCT(Lotensin HCT)、プリンジド(Prinzide)、ユニレチク(Uniretic)、バセレチク(Vaseretic)、ゼストレチク(Zestoretic))が含まれる。
【0106】
さらに本発明の塩を、引用することによりその記載事項全体が本明細書の内容となるMaryanoff et al.著,米国特許第4,513,006号明細書において開示されている式(I)の化合物と組み合わせてさらに投与することができる。Maryanoff et al.著,米国特許第4,513,006号明細書において開示されている特に好ましい化合物はトピラメート(topiramate)であり、それはその化学名、2,3:4,5−ジ−O−イソプロピリデン−(β)−D−フルクトピラノーススルファメートとしても既知であり、以下の構造の化合物である:
【0107】
【化6】

【0108】
Maryanoff et al.著,米国特許第4,513,006号明細書におい
て開示されている式(I)の化合物は、当該技術分野における熟練者にわかる通り、(a)てんかん及び関連障害;(b)糖尿病、シンドロームX、経口的耐糖能障害(impaired oral glucose tolerance)及び他の代謝障害;(c)高血圧;(d)高い脂質レベル;(e)肥満及び体重過剰状態を含むがこれらに限られない種々の障害及び疾患の処置、予防及び/又はその進行の妨害において有用である。
【0109】
好ましくは、1種もしくはそれより多い本発明の塩をトピラメートと組み合わせて投与する。好ましくは、トピラメートは1日当たり約10〜約400mg、より好ましくは1日当たり約25〜約250mg、より好ましくは1日当たり約25〜約200mgの範囲内の量で投与される。
【0110】
当該技術分野における熟練者には、適切な既知の且つ一般的に受け入れられている細胞及び/又は動物モデルを用いる生体内及び試験管内の両方の試験が、与えられる障害を処置又は予防する試験化合物の能力を予示するものであることがわかるであろう。さらに当該技術分野における熟練者には、健康な人及び/又は与えられる障害に苦しむ患者における人間で最初の(first−in human)、用量範囲(dose ranging)及び有効性試験を含む人間の臨床試験が、臨床及び医学技術分野において周知の方法に従って完了され得ることがわかるであろう。
【0111】
以下の実施例は本発明の理解を助けるために示され、前記の請求項において示された本発明をいかようにも制限することは意図されておらず、且つ制限するとみなされるべきではない。
【0112】
以下の実施例において、いくつかの合成の生成物は残留物として単離されたとして挙げられる。「残留物」という用語は生成物が単離された物理的状態を制限せず、例えば固体、油、泡、ゴム、シロップなどを含み得ることが当該技術分野における通常の熟練者に理解されるであろう。
【実施例1】
【0113】
{4−[2−エトキシ−3−(4−トリフルオロメチル−フェノキシ)−プロピルスルファニル]−2−メチル−フェノキシ}−酢酸 L−リシン 二水和物塩
【0114】
【化7】

【0115】
磁気攪拌棒及び窒素流出口が供えられた4Lの三角フラスコに{4−[2−エトキシ−3−(4−トリフルオロメチル−フェノキシ)−プロピルスルファニル]−2−メチル−フェノキシ}−酢酸(502g,1.05モル,純度93%)及びメタノール(2.3L)を入れた。ホットプレート上で攪拌しながらフラスコを温め、次いでL−リシン(153.5g,1.05ミリモル)を入れた。反応混合物を水(112.5mL,6.25モル)で希釈した。固体が溶解するまで反応混合物を攪拌し、加熱した。還流に達したら、明黄色の溶液をセライトのパッドを介して熱濾過し、得られる明黄色の溶液をゆっくり室温に冷まし、次いで攪拌しながら室温で3日間保持した。真空濾過により固体を単離し、フィルターパッドをメタノール中の1%(v/v)HO(〜400mL)で濯いだ。得られる固体をメタノール(1L)中でスラリ化し、次いで濾過して表題化合物を白色の固体(リシン塩;二水和物)として与えた。
【0116】
融点 164℃
H NMRδ(300MHz,DMSO−d6)7.64(2H,d,J=8.8Hz),7.21−7.14(2H,m),7.12(2H,d,J=8.8Hz),6.65(1H,d,J=8.1Hz),4.23−4.08(4H,m),3.76−3.66(1H,m),3.54(2H,dt,J=7.1Hz,J=7.1Hz),3.27−3.19(1H,m),3.15−3.06(2H,m),2.73(2H,dd,J=7.1Hz,J=7.1Hz),2.12(3H,s),1.80−1.24(6H,m),1.07(3H,t,J=7.1Hz)。
【0117】
乾燥炉中で真空下に、二水和物,L−リシン塩を乾燥することにより、対応する非水和物,L−リシン塩を製造した。
【実施例2】
【0118】
{4−[2−エトキシ−3−(4−トリフルオロメチルフェノキシ)プロピルスルファニル]−2−メチルフェノキシ}酢酸,リシン塩,二水和物
【0119】
【化8】

【0120】
2つのガラス皿に{4−[2−エトキシ−3−(4−トリフルオロメチルフェノキシ)プロピルスルファニル]−2−メチルフェノキシ}酢酸,リシン塩(1.503kg,2.54モル)を入れた。3Lのポリプロピレンビーカーに水(670mL,37.22モル)及び硫酸亜鉛七水和物(1kg,3.48モル)を入れ、得られる溶液を2つの空の
ガラス皿に移した。皿を密閉された系中の皿乾燥機中に置いた。適した量の水(5.5〜6.5重量%)が取得されるまで固体を監視し、二水和物材料を与えた。
【0121】
%KF=6.44重量%(Metrohm 756 Coulometerを用いて測定された)。
【実施例3】
【0122】
{4−[2−エトキシ−3−(4−トリフルオロメチル−フェノキシ)−プロピルスルファニル]−2−メチル−フェノキシ}−酢酸 L−リシン 非水和物塩
【0123】
【化9】

【0124】
温度計、還流コンデンサー及び機械的攪拌機が備えられた3つ口丸底フラスコに{4−[2−エトキシ−3−(4−トリフルオロメチル−フェノキシ)−プロピルスルファニル]−2−メチル−フェノキシ}−酢酸(120g,0.235モル、87%アッセイ)及び酢酸エチル(74.0g)を入れた。L−リシン一水和物(41.0g,0.250モル)をメタノール(270.0g)、水(14.1g)中に溶解し、上記の溶液に加えた。反応混合物を攪拌し、加熱還流し、続いて透明濾過(clear filtration)した。明黄色の溶液をゆっくり20〜25℃に冷まし、約35℃で結晶化が始まるのが観察された。懸濁液を0〜5℃に冷却し、さらに2時間攪拌した。真空濾過により固体を単離し、フィルターパッドを冷メタノール(54g)で濯いだ。得られる白色の固体を真空下に60〜70℃で乾燥し、表題化合物を与えた。
【実施例4】
【0125】
{4−[2−エトキシ−3−(4−トリフルオロメチルフェノキシ)プロピルスルファニル]−2−メチルフェノキシ}酢酸 リシン塩 二水和物
【0126】
【化10】

【0127】
真空炉に{4−[2−エトキシ−3−(4−トリフルオロメチルフェノキシ)プロピルスルファニル]−2−メチルフェノキシ}酢酸 リシン塩(115g,0.195モル)を入れた。湿潤窒素流を室温で且つ600〜800ミリバールの圧力において導入した。適した量の水(5.5〜6.5重量%)が取得されるまで固体を監視し、表題化合物である二水和物リシン塩を与えた。時間の関数としての水の含有率を測定し、下記の表6に挙げる通りであった。
【0128】
【表7】

【実施例5】
【0129】
{4−[2−エトキシ−3−(4−トリフルオロメチル−フェノキシ)−プロピルスルファニル]−2−メチル−フェノキシ}−酢酸 L−リシン 非水和物塩
【0130】
【化11】

【0131】
温度計、還流コンデンサー及び機械的攪拌機が備えられた3つ口丸底フラスコに{4−[2−エトキシ−3−(4−トリフルオロメチル−フェノキシ)−プロピルスルファニル]−2−メチル−フェノキシ}−酢酸(12.5g,0.0242モル、86%アッセイ)及び工業銘柄エタノール(水含有率:≦6.5%;イソプロパノール含有率:≦6.5%;及びGLC純度≧86面積%を有するエタノール)(80.0g)を入れた。L−リシン一水和物(4.1g,0.250モル)をメタノール(20.0g)中に溶解し、上記の溶液に加えた。反応混合物を攪拌し、加熱還流し、続いて透明濾過した。明黄色の溶液をゆっくり20〜25℃に冷まし、約35℃で結晶化が始まった。懸濁液を約0〜5℃に冷却し、さらに2時間攪拌した。真空濾過により固体を単離し、フィルターパッドを冷メタノール(5.4g)で濯いだ。得られる白色の固体を真空下に約60〜70℃で乾燥し、表題化合物を与えた。
【実施例6】
【0132】
経口用組成物の特定の態様として、実施例1における通りに製造される二水和物,L−リシン塩の100mgを十分な微粉砕ラクトースと調製し、サイズO硬質ゲルカプセルに充填するための580〜590mgの合計量を与えた。
【0133】
前記の明細書は本発明の原理を記載し、例示の目的で実施例を与えているが、本発明の実施は、前記の請求項及びその同等事項の範囲内に含まれる通常の変更、応用及び/又は修正のすべてを包含することが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本明細書記載される通りに測定される式(Ia)の化合物の非水和物L−リシン塩に関するXRDパターン。
【図2】本明細書記載される通りに測定される式(Ia)の化合物の二水和物L−リシン塩に関するXRDパターン。
【図3】本明細書に記載される通りに測定される式(Ia)の化合物のL−リシン塩に関する、0−90%RHを循環するDVS等温図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
Xは共有結合、S又はOから選ばれ;
YはS又はOであり;
-----W-----は=CH−、−CH=、−CH−、−CH−CH−、=CH−CH−、−CH−CH=、=CH−CH=及び−CH=CH−から選ばれる基を示し;
ZはO、CH及びCHから選ばれ;但しYがOである場合、ZはOであり;
nは1又は2であり;
及びRはそれぞれ独立してH、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、ハロ及びNRから選ばれ;ここでR及びRはそれぞれ独立してH又はC1−3アルキルであり;
及びRはそれぞれ独立してH、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アセチル、C1−5アルキル、C1−4アルコキシ及びNRから選ばれ;ここでR及びRはそれぞれ独立してH又はC1−3アルキルであり;但しR及びRは両方がHであることはなく;
はハロ、フェニル、フェノキシ、(フェニル)C1−5アルコキシ、(フェニル)C1−5アルキル、C2−5ヘテロアリールオキシ、C2−5ヘテロアリールC1−5アルコキシ、C2−5ヘテロシクリルオキシ、C1−9アルキル、C1−8アルコキシ、C2−9アルケニル、C2−9アルケニルオキシ、C2−9アルキニル、C2−9アルキニルオキシ、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルコキシ、C3−7シクロアルキル−C1−7アルキル、C3−7シクロアルキル−C1−7アルコキシ、C3−7シクロアルキルオキシ−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、C1−5アルコキシ−C1−5アルコキシ又はC3−7シクロアルキルオキシ−C1−7アルコキシから選ばれ;
そして-----W-----が−CH=、−CH−、−CH−CH−、−CH−CH=及び−CH=CH−から選ばれる基を示す場合には、RはHであるか;
あるいは-----W-----が=CH−、=CH−CH−及び=CH−CH=から選ばれる基を示す場合には、Rは存在しない]
の化合物のリシン塩。
【請求項2】
塩が結晶性である請求項1のリシン塩。
【請求項3】
リシンがL−リシンである請求項2のリシン塩。
【請求項4】
式(Ia)
【化2】

の化合物のリシン塩。
【請求項5】
塩が結晶性である請求項4のリシン塩。
【請求項6】
リシンがL−リシンである請求項5のリシン塩。
【請求項7】
塩が非水和物である請求項6のリシン塩。
【請求項8】
塩が二水和物である請求項6のリシン塩。
【請求項9】
以下のX線回折ピーク:
【表1】

を含んでなる(R)−{4−[2−エトキシ−3−(4−トリフルオロメチル−フェノキシ)−プロピルスルファニル]−2−メチル−フェノキシ}−酢酸の結晶性L−リシン塩。
【請求項10】
以下のX線回折ピーク:
【表2】

を含んでなる(R)−{4−[2−エトキシ−3−(4−トリフルオロメチル−フェノキシ)−プロピルスルファニル]−2−メチル−フェノキシ}−酢酸の結晶性L−リシン塩。
【請求項11】
以下のX線回折ピーク:
【表3】

を含んでなる(R)−{4−[2−エトキシ−3−(4−トリフルオロメチル−フェノキシ)−プロピルスルファニル]−2−メチル−フェノキシ}−酢酸の結晶性L−リシン塩。
【請求項12】
以下のX線回折ピーク:
【表4】

を含んでなる(R)−{4−[2−エトキシ−3−(4−トリフルオロメチル−フェノキシ)−プロピルスルファニル]−2−メチル−フェノキシ}−酢酸の結晶性L−リシン塩。
【請求項13】
製薬学的に許容され得る担体及び請求項1の化合物を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項14】
請求項1の化合物及び製薬学的に許容され得る担体を混合することにより調製される製薬学的組成物。
【請求項15】
請求項1の化合物及び製薬学的に許容され得る担体を混合することを含んでなる製薬学的組成物の調製方法。
【請求項16】
必要のある患者に請求項1の化合物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、PPARデルタ受容体により媒介される障害の処置方法。
【請求項17】
PPARデルタ受容体により媒介される障害がI相高脂血症(phase I hyperlipidemia)、前臨床的高脂血症、II相高脂血症(phase II hyperlipidemia)、高血圧、冠動脈疾患、冠動脈性心疾患、高トリグリセリド血症、低密度リポタンパク質(LDL)の高い血清レベル、中密度リポタンパク質(IDL)の高い血清レベル、小密度(small−density)LDLの高い血清レベル、高い空腹時血漿グルコース(fasting plasma glucose)(FPG)/HbA1c、高い血圧、II型糖尿病、代謝性シンドロームX、異脂肪血症(dylpipidemia)、アテローム性動脈硬化症及び肥満より成る群から選ばれる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
必要のある患者に請求項1に記載の化合物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、I相高脂血症、前臨床的高脂血症、II相高脂血症、高血圧、冠動脈疾患、冠動脈性心疾患、高トリグリセリド血症、低密度リポタンパク質(LDL)の高い血清レベル、中密度リポタンパク質(IDL)の高い血清レベル、小密度LDLの高い血清レベル、高い空腹時血漿グルコース(FPG)/HbA1c、高い血圧、II型糖尿病、代謝性シンドロームX、異脂肪血症、アテローム性動脈硬化症及び肥満より成る群から選ばれる障害の処置方法。
【請求項19】
製薬学的に許容され得る担体及び請求項4の化合物を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項20】
請求項4の化合物及び製薬学的に許容され得る担体を混合することにより調製される製薬学的組成物。
【請求項21】
請求項4の化合物及び製薬学的に許容され得る担体を混合することを含んでなる製薬学的組成物の調製方法。
【請求項22】
必要のある患者に請求項4の化合物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、PPARデルタ受容体により媒介される障害の処置方法。
【請求項23】
PPARデルタ受容体により媒介される障害がI相高脂血症、前臨床的高脂血症、II相高脂血症、高血圧、冠動脈疾患、冠動脈性心疾患、高トリグリセリド血症、低密度リポタンパク質(LDL)の高い血清レベル、中密度リポタンパク質(IDL)の高い血清レベル、小密度LDLの高い血清レベル、高い空腹時血漿グルコース(FPG)/HbA1c、高い血圧、II型糖尿病、代謝性シンドロームX、異脂肪血症、アテローム性動脈硬化症及び肥満より成る群から選ばれる請求項22に記載の方法。
【請求項24】
必要のある患者に請求項4に記載の化合物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、I相高脂血症、前臨床的高脂血症、II相高脂血症、高血圧、冠動脈疾患、冠動脈性心疾患、高トリグリセリド血症、低密度リポタンパク質(LDL)の高い血清レベル、中密度リポタンパク質(IDL)の高い血清レベル、小密度LDLの高い血清レベル、高い空腹時血漿グルコース(FPG)/HbA1c、高い血圧、II型糖尿病、代謝性シン
ドロームX、異脂肪血症、アテローム性動脈硬化症及び肥満より成る群から選ばれる障害の処置方法。
【請求項25】
製薬学的に許容され得る担体及び請求項8の化合物を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項26】
請求項8の化合物及び製薬学的に許容され得る担体を混合することにより調製される製薬学的組成物。
【請求項27】
請求項8の化合物及び製薬学的に許容され得る担体を混合することを含んでなる製薬学的組成物の調製方法。
【請求項28】
必要のある患者に請求項8の化合物の治療的に有効な量を投与することを含んでなるPPARデルタ受容体により媒介される障害の処置方法。
【請求項29】
PPARデルタ受容体により媒介される障害がI相高脂血症、前臨床的高脂血症、II相高脂血症、高血圧、冠動脈疾患、冠動脈性心疾患、高トリグリセリド血症、低密度リポタンパク質(LDL)の高い血清レベル、中密度リポタンパク質(IDL)の高い血清レベル、小密度LDLの高い血清レベル、高い空腹時血漿グルコース(FPG)/HbA1c、高い血圧、II型糖尿病、代謝性シンドロームX、異脂肪血症、アテローム性動脈硬化症及び肥満より成る群から選ばれる請求項28に記載の方法。
【請求項30】
必要のある患者に請求項8に記載の化合物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる、I相高脂血症、前臨床的高脂血症、II相高脂血症、高血圧、冠動脈疾患、冠動脈性心疾患、高トリグリセリド血症、低密度リポタンパク質(LDL)の高い血清レベル、中密度リポタンパク質(IDL)の高い血清レベル、小密度LDLの高い血清レベル、高い空腹時血漿グルコース(FPG)/HbA1c、高い血圧、II型糖尿病、代謝性シンドロームX、異脂肪血症、アテローム性動脈硬化症及び肥満より成る群から選ばれる障害の処置方法。
【請求項31】
式(I)
【化3】

[式中、
Xは共有結合、S又はOから選ばれ;
YはS又はOであり;
-----W-----は=CH−、−CH=、−CH−、−CH−CH−、=CH−CH−、−CH−CH=、=CH−CH=及び−CH=CH−から選ばれる基を示し;
ZはO、CH及びCHから選ばれ;但しYがOである場合、ZはOであり;
nは1又は2であり;
及びRはそれぞれ独立してH、C1−3アルキル、C1−3アルコキシ、ハロ及びNRから選ばれ;ここでR及びRはそれぞれ独立してH又はC1−3アルキルであり;
及びRはそれぞれ独立してH、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、アセチル、C1−5
ルキル、C1−4アルコキシ及びNRから選ばれ;ここでR及びRはそれぞれ独立してH又はC1−3アルキルであり;但しR及びRは両方がHであることはなく;
はハロ、フェニル、フェノキシ、(フェニル)C1−5アルコキシ、(フェニル)C1−5アルキル、C2−5ヘテロアリールオキシ、C2−5ヘテロアリールC1−5アルコキシ、C2−5ヘテロシクリルオキシ、C1−9アルキル、C1−8アルコキシ、C2−9アルケニル、C2−9アルケニルオキシ、C2−9アルキニル、C2−9アルキニルオキシ、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルコキシ、C3−7シクロアルキル−C1−7アルキル、C3−7シクロアルキル−C1−7アルコキシ、C3−7シクロアルキルオキシ−C1−6アルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキル、C1−5アルコキシ−C1−5アルコキシ又はC3−7シクロアルキルオキシ−C1−7アルコキシから選ばれ;
そして-----W-----が−CH=、−CH−、−CH−CH−、−CH−CH=及び−CH=CH−から選ばれる基を示す場合には、RはHであるか;
あるいは-----W-----が=CH−、=CH−CH−及び=CH−CH=から選ばれる基を示す場合には、Rは存在しない]
の化合物の結晶性リシン塩の製造方法であって、1種もしくはそれより多い有機溶媒及び水を含んでなる混合物中で式(I)の化合物をリシンと反応させ、対応する式(I)の化合物のリシン塩を与えることを含んでなる方法。
【請求項32】
式(Ia)
【化4】

の化合物の結晶性L−リシン塩の製造方法であって、C1−4アルコール及び水を含んでなる混合物中で式(Ia)の化合物をL−リシンと反応させて、対応する式(Ia)の化合物のL−リシン塩を与えることを含んでなる方法。
【請求項33】
1−4アルコールがメタノールである請求項32に記載の方法。
【請求項34】
水が約2モル当量より多いかもしくはそれに等しい量で存在する請求項33に記載の方法。
【請求項35】
水が約2〜約3モル当量の範囲内の量で存在する請求項34に記載の方法。
【請求項36】
式(Ia)の化合物、L−リシン及びC1−4アルコールと水を含んでなる混合物を加熱して式(Ia)の化合物を溶解し、次いで冷却して対応する式(Ia)の化合物のL−リシン塩を沈殿させる請求項35に記載の方法。
【請求項37】
該混合物がさらに酢酸エチルを含んでなる請求項33に記載の方法。
【請求項38】
メタノール:水:酢酸エチルの比率が約20:1:20である請求項37に記載の方法。
【請求項39】
式(Ia)の化合物、L−リシンならびにメタノール、水及び酢酸エチルを含んでなる混合物を加熱して式(Ia)の化合物を溶解し、次いで冷却して対応する式(Ia)の化合物のL−リシン塩を沈殿させる請求項37に記載の方法。
【請求項40】
式(Ia)
【化5】

の化合物の結晶性L−リシン塩の製造方法であって、エタノール、イソプロパノール、メタノール及び水を含んでなる混合物中で式(Ia)の化合物をL−リシンと反応させ、対応する式(Ia)の化合物のL−リシン塩を与えることを含んでなる方法。
【請求項41】
式(Ia)の化合物、L−リシンならびにエタノール、イソプロパノール、メタノール及び水を含んでなる混合物を加熱して式(Ia)の化合物を溶解し、次いで冷却して対応する式(Ia)の化合物のL−リシン塩を沈殿させる請求項40に記載の方法。
【請求項42】
請求項31の方法に従って製造される生成物。
【請求項43】
請求項32の方法に従って製造される生成物。
【請求項44】
請求項40の方法に従って製造される生成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−514797(P2009−514797A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531264(P2008−531264)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/035617
【国際公開番号】WO2007/033231
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】