4値位相変調器
【課題】 バイアスドリフトを補償し、かつ装置立上げ時の個体ばらつきの影響を吸収して、安定動作する4値位相変調器を提供する。
【解決手段】 並列する2つの位相変調器と、2つの位相変調器からの出力を合成する際の位相差を調整する位相器とから構成される、4値位相変調器において、逆方向に伝播する光を導入するための第2の光源を備え、4値位相変調器の入力側において同逆進光の強度レベルが最小となるように前記2つの位相変調器のバイアスを制御する第1の制御手段と、4値位相変調器の出力側においてビットレート以下の帯域を持つフォトダイオードでモニタした結果が最小となるように前記位相器のバイアスを制御する第2の制御手段とを備え、前記第2の制御手段を優先的に実行した後に、前記第1の制御手段を実行する。
【解決手段】 並列する2つの位相変調器と、2つの位相変調器からの出力を合成する際の位相差を調整する位相器とから構成される、4値位相変調器において、逆方向に伝播する光を導入するための第2の光源を備え、4値位相変調器の入力側において同逆進光の強度レベルが最小となるように前記2つの位相変調器のバイアスを制御する第1の制御手段と、4値位相変調器の出力側においてビットレート以下の帯域を持つフォトダイオードでモニタした結果が最小となるように前記位相器のバイアスを制御する第2の制御手段とを備え、前記第2の制御手段を優先的に実行した後に、前記第1の制御手段を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の位相を4つのレベルに変調する4値位相変調器に関し、特に、位相変調器の安定化制御手法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アクセス網は急速に光化が進行し,こうした大容量アクセス網を用いたビデオ配信サービスも増加の一途を辿っている。このようなハード・ソフト両面での大容量データ通信への需要の増加により、光ファイバ通信のビットレート向上の要求が高まっている。
【0003】
しかしながら、光ファイバ通信のビットレートの向上においては様々な課題が浮上している。まず、光ファイバ通信のビットレートの向上に伴い、送受信器における電気デバイス及び光デバイスの動作速度を追従して向上する必要がある。現在、光ファイバ通信の主流であるIM−DD方式(Intensity Modulation−Direct Detection:強度変調−直接検波)では、送信器において電気信号の”0”、”1”をそのまま光のOFF,ONに置換え、受信器において再び電気信号の”0”、”1”を再生する、シンプルな手法である。従って、現在主流の10Gビット毎秒の信号を40Gビット毎秒に向上しようとした場合には、レーザやフォトダイオード等の光デバイス、あるいは、これらを駆動する電気アンプや識別器等の電気デバイスの動作速度を4倍にする必要がある。40Gビット毎秒で動作する電気・光デバイスは技術的な課題に加え、その材料や製造コストも大きな課題である。
【0004】
また、光ファイバ通信のビットレートの向上に伴い、光ファイバ中の波長分散という特性によって、光波形が劣化し、伝送速度や伝送距離が制限されてしまう。波長分散(以下、分散と称する)とは、光ファイバ中で信号が伝播する群速度の波長依存性のことである。光波形は厳密には複数の波長成分を持ち(スペクトル広がりを持ち)、群速度に波長依存性があると、光ファイバ中をゆっくり進む成分と早く進む成分が現れて、その結果として波形が広がることになり、分散の値が無視できない場合には、波形歪みが発生して受信特性が劣化してしまう。分散の量はファイバ長に比例するので、結果として、伝送距離が制限されてしまう。波長分散限界の伝送距離は伝送帯域の2乗に反比例し、例えば10Gビット毎秒の信号を40G化しようとすると、距離は16分の1に縮小されてしまう。
【0005】
また、光ファイバ通信のビットレートの向上に伴い、光ファイバ中の偏波分散という特性によっても、光波形が劣化し、伝送速度や伝送距離が制限されてします。偏波分散とは、本来、その断面が真円となるように設計された光ファイバが物理的な応力、あるいは温度や湿度などの環境変化によって、その断面の真円性がわずかに劣化し、シングルモードファイバでも実際には2つのモードが伝播することに起因している。このモード間で僅かに伝播速度が異なるために、やはり波形広がりが生じ,距離が制限されてしまう。偏波分散限界での伝送距離は伝送帯域に反比例し、前記例と同様に10Gビット毎秒の信号を40G化しようとすると距離は1/4に縮小されてしまう。
【0006】
さらに、ビットレートの上昇は、占有する信号帯域の増加をももたらす。例えばビットレートを4倍化しようとした場合には、占有する信号帯域、つまり占有する光スペクトル幅も4倍となる。波長多重伝送(WDM)のように光信号を波長方向にマルチチャネル化して大容量伝送を実現しようとした場合、この波長多重信号を一括増幅する光増幅器の増幅帯域によって帯域は制限される。つまり各波長多重信号が重ならないように波長を設定することを考えると、占有スペクトル幅と波長数の積が、この光増幅器の増幅帯域である必要がある。増幅帯域が一定である以上、占有スペクトル幅を増加させたら、波長数を減少させる必要があるので、ビットレートを向上してもその分だけスペクトル幅が拡大し、波長数が減少し、結局全容量は変わらないままということになり、大容量化が制限されてしまう。
【0007】
こうしたデバイス応答速度の限界、波長分散や偏波分散による制限、そして
スペクトル幅増大による制限を打破して、ビットレート向上を実現する手法として、光多値変調が注目されている。光多値変調は、光強度、あるいは光位相、あるいはその双方をM値(M>2)変調することにより、変調駆動信号のビットレートを高めることなしに、総伝送容量をlogM倍(但し対数の底は2である)に向上させる技術である。具体的には、例えば40Gビット毎秒の信号を形成する場合を考えると、従来の2値伝送では、40Gビット毎秒の駆動信号が必要である。一方、4値伝送では伝送容量をlog4=2倍に高めることができるので、20Gビット毎秒の駆動信号を2系統準備することで、40Gビット毎秒の伝送が実現できる。同様に8値伝送では伝送容量を3倍に高めることができるので約13Gビット毎秒の信号3系統により、16値伝送では伝送容量を4倍に高めることができるので10Gビット毎秒の信号4系統により、それぞれ40Gビット毎秒の伝送が実現できる。
【0008】
また、こうした光多値変調信号を用いた伝送では、これらの駆動信号のレートによって波長分散、偏波分散、そして占有スペクトル幅の制限されることになるので、前述の20Gビット毎秒の信号2系統によって形成された40Gビット毎秒の信号は、従来の2値伝送の40Gビット毎秒の信号と比べて、波長分散限界距離を4倍に、偏波分散限界距離を2倍にそれぞれ伸長可能であり、さらに占有スペクトル幅を2分の1に縮小することが可能となる。
【0009】
光多値変調のなかでも特に、光の位相を4値に変調した4値位相変調(QPSK:Quaternary Phase Shift Keying)はその各レベルの間隔を一定に管理することの容易さ、位相変調とすることによる感度の向上等の利点より、注目を集めている。
【0010】
4値位相変調信号の形成手法としては、文献1において開示された手法が多用されている。図1を用いてその原理を説明する。光源(1)から出力した信号光は、分波器(2)において2分される。2分された信号光はそれぞれ位相変調器A、B(3A、3B)に達する。位相変調器Aには、データ信号A(7A)にバイアス電圧1A(6A)をバイアス重畳器(8A)にて重畳した電気信号が印加されている。この電気信号によって位相変調器A(3A)に入力した光信号は2値位相変調されて出力される。
【0011】
この様子を図2、図3を用いて説明する。この位相変調器には一般的にマッハツエンダ(MZ)型干渉計が用いられる。MZ型変調器の出力特性(消光特性)を図2に示す。MZ型変調器の印加電圧(横軸)を変化させた場合、変調器からの出力(縦軸)は図2のように正弦波に似た軌跡をトレースする。消光特性が谷から山まで変化するのに要する電圧はVπとして定義され、変調器の特性を表す主要パラメータである。
【0012】
ここに図3に示すように、消光特性の谷を中心とした(消光特性の谷にバイアス電圧を一致させた)振幅2Vπの2値電気波形を、この変調器に印加する場合を考える。消光特性の山から山へ変調するので、変調器の出力は山から一旦、谷におちて再び山となる波形となる。つまり、ビットの中心では常に出力が山の位置にあり、振幅は一定となる。しかしながら、光の位相に関しては注意が必要である。MZ型変調器の消光特性の隣りあう山では出力光の位相が互いにπだけ異なるという特性がある。つまり、この特性を考慮すると、入力電気波形の”0”は振幅”1”位相”0”の出力光に、入力電気波形の”1”は振幅”1”位相”π”の出力光にそれぞれ変換されることになる。つまり、振幅は一定で、かつ位相が”0”、”π”の2値位相変調信号が形成される。
【0013】
図1点A、つまり位相変調器A(3A)の出力における位相状態を図4に示す。図4の各グラフは位相をI軸とQ軸を用いた複素平面上に表した図であり、I軸は同相成分の量を、Q軸は直交成分の量を示している。また、座標軸上の任意の信号点を配置した場合、原点から信号点の距離がその信号の振幅を表している。また、原点から信号点を接続した線と、原点からI軸正方向を接続した線との角度がその信号の位相を表している。点Aでの位相状態は、原点を対称としてI軸上に配置された2点に配置されるといえる。つまり、振幅”0”、”1”のデータ信号が位相”0”と位相”π”の2点にそれぞれ変換されるといえる。
【0014】
同様に、位相変調器Bには、データ信号B(7B)にバイアス電圧1B(6B)をバイアス重畳器(8B)にて重畳した電気信号が印加されている。この電気信号によって位相変調器B(3B)に入力した光信号は2値位相変調されて出力される。図1点B、つまり位相変調器B(3B)の出力における位相状態は、図4に示すように、点Aと同様に原点を対称としてI軸上に配置された2点に配置されるといえる。つまり、振幅”0”、”1”のデータ信号が位相”0”と位相”π”の2点にそれぞれ変換されるといえる。
【0015】
さらに2つの位相変調器の一方、位相変調器B(3B)の出力には位相器(4)が設置されている。位相器(4)にはバイアス電圧2が印加されている。位相器(4)に入力した光信号は、このバイアス電圧2に応じた量だけ、位相がシフトして出力される。この位相シフト量はπ/2が理想値である。位相がπ/2だけシフトした結果、点C、及び点Dでの位相状態は図4に示すように、互いに異なる結果となる。つまり、点Dでの位相状態は、各信号点がπ/2だけ回転した結果、原点を対称としてQ軸上に配置された2点に移動する。
【0016】
位相変調器A(3A)の出力、及び位相器(4)の出力は合波器(5)で合波される。合波器(5)の出力、つまり点Eでの信号点の位相状態を図4に示す。それぞれの信号点は合波前の時点では図中の破線の小さな円で示した4点に相当するが、合波器(5)で合波された結果、これらの4点を電界合成、幾何学的にはベクトル合成した信号点が出力となる。つまり、データAの状態と、データBの状態をそれぞれ”x、y”で示しすものとし、データAが”0”、データBが”1”の場合、つまり”0、1”の場合の信号点は座標中の第4象限の点に配置される。同様に”0、0”、”1、0”、そして”1、1”の点はそれぞれ第1、第2、そして第3象限に配置される。このようにして、位相が+π/4、+3π/4、−3π/4、そして−π/4と、4つの位相レベルを持つ、4値位相変調信号が形成される。
【0017】
【特許文献1】特表2004−516743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
図4に示すような4値位相変調波形は、位相変調器A(3A)のバイアス電圧1A(6A)、及び位相変調器B(3B)のバイアス電圧1B(6B)がいずれも位相変調器の消光特性の谷に一致していることを前提とし、かつ、位相器(4)のバイアス電圧2(9)が位相シフト量π/2を発生させるのに相当する量に一致していることを前提としている。
【0019】
しかしながら、位相変調器(3A、3B)の消光特性、あるいは位相器(4)の位相シフト特性は、環境温度変動や、入力した電気信号を吸収することに伴う熱変動、あるいは、電気信号の電極における帯電効果によって時間とともに変動することがよく知られている。一般的にこれはバイアスドリフト現象と称される。このバイアスドリフトが発生し、前述の前提が維持できなくなった場合について考える。
【0020】
例えば、位相変調器A(3A)においてバイアスドリフトが発生し、位相変調器の谷とバイアス電圧1A(6A)が不一致した場合を考える。この場合、図5に示すように、電気波形の中心(バイアス)が消光特性の谷から変位することになる。ここで、データが”0”から”1”に変化する場合を考えると、消光特性の山に達して一旦最大出力となった後も変化し続け、山を通り越して山の中腹で落ち着くことになる。この結果、出力波形の振幅が減少することになる。
【0021】
これを複素座標上で表すと図6のようになる。つまり、点Aでの位相状態は原点を田対称としてI軸上にあるのは変わらないが、原点からの距離、つまり振幅が減少することになる。その結果、変調器出力、つまり点Eでの位相状態は全体をI軸方向に縮小した形となる。従って、等位相間隔で配置されていたはずの4つの位相レベルの間隔が不等間隔となり、レベル毎の感度ばらつきが発生してしまう。
【0022】
また、位相器(4)においてバイアスドリフトが発生し、位相シフト量がπ/2を下回った場合を考える。この場合、図7の点Dの特性に示すように、位相シフト量がπ/2を下回った結果、変調器出力、つまり点Eでの位相状態は正方形だった配置が菱型に変化している。つまり、”1、0”及び”0、1”の状態における振幅が減少することになり、”1、0”及び”0、1”状態のの受信感度が劣化することになる。
【0023】
このようにバイアスドリフトが発生し、位相変調器A、B(3A、3B)のバイアス電圧1A、1B(6A、6B)が消光特性の谷から変位した場合、あるいは位相器(4)の位相シフト量がπ/2から変位した場合には受信感度のばらつき、そしてトータルでの受信感度劣化をもたらしてしまうという問題があった。
【0024】
また、位相変調器A、Bの消光特性が谷となる理想的バイアス電圧、あるいは位相器(4)の位相シフト量がπ/2となる理想バイアス電圧は、デバイス毎に異なる値であり、個体毎の調整を施さないと、固体毎の受信感度劣化をもたらすという問題があった。
【0025】
また、位相変調器を立ち上げる際には、初期状態(多くの場合は電圧ゼロ、あるいは装置内にメモリされたある規定値)から位相変調器A、Bの消光特性が谷となる理想的バイアス電圧、あるいは位相器(4)の位相シフト量がπ/2となる理想バイアス電圧にまで制御することが必要となり、こうした制御機構が無いと、やはり受信感度劣化をもたらすという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0026】
かかる問題に対して本出願の第一の発明が提供する構成は、第1の光源から出力された光を2分する光分波器と、前記分波器の2つの出力にそれぞれ設置され、2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する、2台の位相変調器と、前記位相変調器のうち一方の出力に設置され、光の位相をシフトして出力する、1台の位相器と、前記位相器の出力光と、位相器が設置されない側の位相変調器の出力光とを合波して出力する、光合波器とから構成される4値位相変調器において、前記4値位相変調器中を上記の第1の光源から出力された光とは、逆方向に伝播する逆進光、この逆進光用の第2の光源、及びこの第2の光源を前記多値位相変調器中に導入するための光カプラを、前記光合波器の出力に備え、前記4値位相変調器の入力側、つまり前記光分波器の入力側での、前記逆進光の光強度モニタ結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記2台の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第1の制御手段を備え、前記4値位相変調器の出力側、つまり前記光合波器の出力光をビットレート以下の周波数応答特性を持つフォトダイオードによりモニタした結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第2の制御手段を備え、前記第2の制御手段を優先的に実行した後に、前記第1の制御手段を実行することを特徴とする4値位相変調器である。
【0027】
また、かかる問題に対して本出願の第二の発明が提供する構成は、第1の光源から出力された光を2分する光分波器と、前記分波器の2つの出力にそれぞれ設置され、2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する、2台の位相変調器と、前記位相変調器のうち一方の出力に設置され、光の位相をシフトして出力する、1台の位相器と、前記位相器の出力光と、位相器が設置されない側の位相変調器の出力光とを合波して出力する、光合波器とから構成される4値位相変調器において、前記4値位相変調器中を上記の第1の光源から出力された光とは、逆方向に伝播する逆進光、この逆進光用の第2の光源、及びこの第2の光源を前記多値位相変調器中に導入するための光カプラを、前記光合波器の出力に備え、前記4値位相変調器の入力側、つまり前記光分波器の入力側での、前記逆進光の光強度モニタ結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記2台の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第1の制御手段を備え、前記4値位相変調器の出力側、つまり前記光合波器の出力光をビットレート以下の周波数応答特性を持つフォトダイオードによりモニタした結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第2の制御手段を備え、前記第2の制御手段の制御時定数を、前記第1の制御手段の制御時定数よりも小さい値とすることを特徴とする4値位相変調器である。
【0028】
また、かかる問題に対して本出願の第三の発明が提供する構成は、第1の光源から出力された光を2分する光分波器と、前記分波器の2つの出力にそれぞれ設置され、2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する、2台の位相変調器と、前記位相変調器のうち一方の出力に設置され、光の位相をシフトして出力する、1台の位相器と、前記位相器の出力光と、位相器が設置されない側の位相変調器の出力光とを合波して出力する、光合波器とから構成される4値位相変調器において、前記4値位相変調器中を上記の第1の光源から出力された光とは、逆方向に伝播する逆進光、この逆進光用の第2の光源、及びこの第2の光源を前記多値位相変調器中に導入するための光カプラを、前記光合波器の出力に備え、前記4値位相変調器の入力側、つまり前記光分波器の入力側での、前記逆進光の光強度モニタ結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記2台の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第1の制御手段を備え、前記2台の位相変調器に印加されるそれぞれの変調電気信号には互いに異なる、あるいは等しい2つの低周波信号がそれぞれ重畳され、前記4値位相変調器の出力側、つまり前記光合波器の出力光を光電変換し、さらに前記2つの低周波信号の和の成分あるいは差の成分の周波数でフィルタリングし、絶対値をとった結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第2の制御手段を備え、前記第2の制御手段を優先的に実行した後に、前記第1の制御手段を実行することを特徴とする4値位相変調器である。
【0029】
また、かかる問題に対して本出願の第四の発明が提供する構成は、第1の光源から出力された光を2分する光分波器と、前記分波器の2つの出力にそれぞれ設置され、2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する、2台の位相変調器と、前記位相変調器のうち一方の出力に設置され、光の位相をシフトして出力する、1台の位相器と、前記位相器の出力光と、位相器が設置されない側の位相変調器の出力光とを合波して出力する、光合波器とから構成される4値位相変調器において、前記4値位相変調器中を上記の第1の光源から出力された光とは、逆方向に伝播する逆進光、この逆進光用の第2の光源、及びこの第2の光源を前記多値位相変調器中に導入するための光カプラを、前記光合波器の出力に備え、前記4値位相変調器の入力側、つまり前記光分波器の入力側での、前記逆進光の光強度モニタ結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記2台の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第1の制御手段を備え、前記2台の位相変調器に印加されるそれぞれの変調電気信号には互いに異なる、あるいは等しい2つの低周波信号がそれぞれ重畳され、前記4値位相変調器の出力側、つまり前記光合波器の出力光を光電変換し、さらに前記2つの低周波信号の和の成分あるいは差の成分の周波数でフィルタリングし、絶対値をとった結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第2の制御手段を備え、
前記第2の制御手段の制御時定数を、前記第1の制御手段の制御時定数よりも小さい値とすることを特徴とする4値位相変調器である。
【0030】
また、かかる問題に対して本出願の第五の発明が提供する構成は、第1の光源から出力された光を2分する光分波器と、前記分波器の2つの出力にそれぞれ設置され、2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する、2台の位相変調器と、前記位相変調器のうち一方の出力に設置され、光の位相をシフトして出力する、1台の位相器と、前記位相器の出力光と、位相器が設置されない側の位相変調器の出力光とを合波して出力する、光合波器とから構成される4値位相変調器において、前記4値位相変調器中を上記の第1の光源から出力された光とは、逆方向に伝播する逆進光、この逆進光用の第2の光源、及びこの第2の光源を前記多値位相変調器中に導入するための光カプラを、前記光合波器の出力に備え、前記4値位相変調器の入力側、つまり前記光分波器の入力側での、前記逆進光の光強度モニタ結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記2台の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第1の制御手段を備え、前記2台の位相変調器に印加されるそれぞれの変調電気信号には互いに異なる、あるいは等しい2つの低周波信号がそれぞれ重畳され、前記4値位相変調器の入力側、つまり前記光分波器の入力側での、前記逆進光を光電変換し、さらに前記2つの低周波信号の和の成分あるいは差の成分の周波数でフィルタリングし、絶対値をとった結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第2の制御手段を備え、前記第2の制御手段を優先的に実行した後に、前記第1の制御手段を実行することを特徴とする4値位相変調器である。
【0031】
また、かかる問題に対して本出願の第六の発明が提供する構成は、第1の光源から出力された光を2分する光分波器と、前記分波器の2つの出力にそれぞれ設置され、2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する、2台の位相変調器と、前記位相変調器のうち一方の出力に設置され、光の位相をシフトして出力する、1台の位相器と、前記位相器の出力光と、位相器が設置されない側の位相変調器の出力光とを合波して出力する、光合波器とから構成される4値位相変調器において、前記4値位相変調器中を上記の第1の光源から出力された光とは、逆方向に伝播する逆進光、この逆進光用の第2の光源、及びこの第2の光源を前記多値位相変調器中に導入するための光カプラを、前記光合波器の出力に備え、前記4値位相変調器の入力側、つまり前記光分波器の入力側での、前記逆進光の光強度モニタ結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記2台の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第1の制御手段を備え、前記2台の位相変調器に印加されるそれぞれの変調電気信号には互いに異なる、あるいは等しい2つの低周波信号がそれぞれ重畳され、前記4値位相変調器の入力側、つまり前記光分波器の入力側での、前記逆進光を光電変換し、さらに前記2つの低周波信号の和の成分あるいは差の成分の周波数でフィルタリングし、絶対値をとった結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第2の制御手段を備え、前記第2の制御手段の制御時定数を、前記第1の制御手段の制御時定数よりも小さい値とすることを特徴とする4値位相変調器である。
【発明の効果】
【0032】
本出願の第一、第三、及び第五の発明によれば、第1の制御手段により2つの位相変調器のバイアス電圧が安定化制御され、第2の制御手段により位相器のバイアス電圧が安定化制御され、そして第2の制御を、第1の制御よりも優先して実施することにより、より安定化された4値位相変調器が実現可能となる。また本発明により、より高速に4値試走変調器の起動が可能となる。
【0033】
また、本出願の第二、第四、及び第六の発明によれば、第1の制御手段により2つの位相変調器のバイアス電圧が安定化制御され、第2の制御手段により位相器のバイアス電圧が安定化制御され、そして第2の制御時定数を、第1の制御時定数よりも短くすることで、より安定化された4値位相変調器が実現可能となる。
【実施例1】
【0034】
本発明の第1の実施例を図8から図20を用いて説明する。光源1(11)から出力した信号光は、分波器(14)において2分される。光源1(11)と分波器(14)の間には別の分波器(12)が設置され、光源1(11)から出力される信号光とは逆方向に伝播する光が、この分波器(14)によって分波され、フォトダイオード(13)に達する。分波器(14)によって2分された信号光はそれぞれ位相変調器A、B(15A、15B)に達する。位相変調器A(15A)には、データ信号A(23A)にバイアス電圧1A(22A)をバイアス重畳器(24A)にて重畳した電気信号が印加されている。この電気信号によって位相変調器A(15A)に入力した光信号は2値位相変調されて出力される。
【0035】
同様に、位相変調器B(15B)には、データ信号B(23B)にバイアス電圧1B(22B)をバイアス重畳器(24B)にて重畳した電気信号が印加されている。この電気信号によって位相変調器B(15B)に入力した光信号は2値位相変調されて出力される。
【0036】
さらに2つの位相変調器の一方、位相変調器B(15B)の出力には位相器(16)が設置されている。位相器(16)にはバイアス電圧2(26)が印加されている。位相器(16)に入力した光信号は、このバイアス電圧2(25)に応じた量だけ、位相がシフトして出力される。この位相シフト量はπ/2が理想値である。
【0037】
位相変調器A(15A)の出力、及び位相器(16)の出力は合波器(17)で合波される。合波器(17)の出力は、位相変調器A(15A)、位相変調器B(15B)、及び位相器(16)のバイアスが理想的な場合には、位相が+π/4、+3π/4、−3π/4、そして−π/4と、4つの位相レベルを持つ、4値位相変調信号となる。
【0038】
合波器(17)の出力には出力光の一部を取り出す分波器(18)が設置され、分波された光信号はフォトダイオード(19)に達する。フォトダイオード(19)はビットレート以下の周波数応答特性を持つ。さらに分波器(18)のもう一方の出力には光源2(21)からの信号光を合波するための合波器(20)が設置される。
【0039】
注意すべきは、光源1(11)から出力される光信号が図を左から右に伝播、つまり分波器(14)から位相変調器A(15A)あるいは位相変調器B(15B)と位相器(16)を経て合波器(17)に達し、その一部がフォトダイオード(19)で光電変換されるのに対し、光源2(21)からの出力される光は図を右から左に伝播、つまり合波器(17)から位相変調器A(15A)あるいは位相器(16)そして位相変調器B(15B)を経て分波器(14)に達し、最終的にフォトダイオード(13)で光電変換されることである。
【0040】
フォトダイオード(13)からの出力、つまり逆方向に伝播してきた光の光強度モニタ結果は、制御回路1(25)に達し、この情報を元に制御回路1(25)はバイアス電圧1A(22A)、及びバイアス電圧1B(22B)を調整する。
【0041】
また、ビットレート以下の周波数応答特性を持つフォトダイオード(19)からの出力、つまり光合波器(17)の出力光から光電変換されたRF電気信号のRFパワーモニタ結果は、制御回路2(27)に達し、この情報を元に制御回路2(27)はバイアス電圧2(26)を調整する。
【0042】
バイアス電圧がバイアスドリフトの影響等により、理想的なバイアス電圧あから変位が発生している場合には、図5で前述したように、位相変調器の出力振幅の減少となってあらわれる。また、一般的に位相変調器のVπは4〜6V程度の値であり、2値位相変調を実現するための2Vπの振幅を得ようとした場合には、駆動振幅として8〜12Vの相当な大振幅信号を実現する必要がある。送信器のコスト削減のためには、振幅をある程度削減することが望ましく、駆動振幅を2Vπ以下とした場合の変調の様子を図9に示す。変調振幅が2Vπより削減した場合には、となりあうデータ毎に振幅が異なる結果となる。この場合には、平均パワーはこの異なる振幅の中間値となるので、むしろバイアス変位に伴う平均パワー変動は減少する。
【0043】
この様子を図10に示す。図10はバイアスの変位量に対する、変調器、つまり合波器(17)の出力のをプロットしたシミュレーション結果である。バイアス変位量は2Vπで規格化してある。つまり、バイアス変位量50%とは、Vπに相当するバイアス変位量である。また、同様に変調振幅も2Vπで規格化してある。つまり、変調振幅100%とは、2Vπに相当する変調振幅であり、図5に示すような理想的な変調振幅であることを示している。
【0044】
バイアス変位量が増大していくと変調器出力もなだらかに変化していく。バイアスが50%変位したとしても、その変化量は最大で4dB程度であり、また変調振幅が100%から減少していくとともに、変化量も減少してしまう。変調振幅がいずれの場合でも、バイアス変位量が10%以下の場合には、変化量は0.2dBを下回り、変調器出力からバイアスを調整するのは困難である。
【0045】
一方、本発明で提供するように、逆方向に伝播する逆進光をモニタする場合を次に説明する。10Gビット毎秒や20Gビット毎秒のような高速変調に用いる変調器は進行波型変調器が一般的である。進行波型変調器は変調する電気信号と変調される光信号とが、変調器の内部を同一方向に伝播することによって電気信号と光信号の相互作用長を増大させ、変調効率を高める変調器である。逆に言うと、変調する電気信号と、逆方向に伝播する光信号とでは、相互作用長が減少するので、変調効率が著しく減少する。つまり、逆方向に伝播する光はほとんど変調されることなく、変調器から出力される。従って、逆方向に伝播する光に対しては、バイアス電圧と出力光の関係が、消光特性そのものに一致することになる。この結果、出力光を最小とすることで、消光特性の谷にバイアスを調整可能、つまり、バイアス電圧を最適値に設定することが可能となる。
【0046】
実際には、データ信号は10Gヘルツや20Gヘルツのような高速成分だけではなく、低速の周波数から連続したスペクトルを持つ。これらの低速成分の場合には前述の電気信号と光信号の相互作用長が相対的に増大するため、逆方向に伝播する光の場合であっても、低速周波数成分で変調されることになる。そこで、逆方向に伝播する光と電気波形の変調応答周波数(応答特性が3dB減少する周波数)を500MHzとした場合について、図10と同様に、バイアス変位量と変調器出力(この場合は逆進光出力、つまり図8のフォトダイオード(13)でモニタした結果)の関係についてシミュレーションした結果を図11に示す。
【0047】
変調振幅が0%の場合、つまり変調無しの場合には、バイアス変位量50%に対し、モニタ結果は17dBも変動し、バイアス変位量に対する逆進光出力の感度は非常に高いといえる。変調振幅が上昇していくと、前述した低域周波数成分によって逆進光が変調される効果が加わり、逆進光出力の変動量は減少していく。それでもバイアス変位量10%、変調振幅100%に対する逆進光出力の変動量は1.8dBに達し、十分な制御感度が得られるといえる。前述の通常の出力をモニタした結果の0.2dBと比較した場合でもその差は明瞭である。
【0048】
このように逆方向に伝播する光をフォトダイオード(13)によってモニタし、制御回路1(25)によって、そのモニタされた強度が最小となるように、あるいはある規定値以下となるように、バイアス1A(22A)を制御することにより、位相変調器A(15A)のバイアスを最適点に保持することが可能となる。
【0049】
一方、位相器(16)の制御について次に説明する。前述した図4に示すような位相点において、データが”0、0”、”1、0”、”1、1”、”0、1”と変化した場合を考える。図12は、位相差が理想的つまりπ/2の場合、あるいは最悪の場合、つまり位相差がゼロの場合について、その光電界、光パワー、そしてフォトダイオード(19)で受信した後のRFパワーについて、模式的に表した図である。まず位相差がπ/2の場合、光出力での光電界振幅は常に一定で、図12(1)のように例えば±√2となる。光パワーはその2乗に比例するので、図12(3)のように例えば2となる。これを光電変換するとこれに比例した電流が出力され、結果としてRFパワーは、さらにその2乗に比例することになり、図12(5)に示すように一定値(=4)となる。
【0050】
これに対し、位相差がゼロの場合には、”1、0”及び”0、1”のデータが光電界振幅ゼロ、”0、0”及び”1、1”の光電界振幅が2となる。この結果光パワーは4と0を交互にくりかえし、平均値は2となる。これを光電変換した結果、これに比例した電流が出力され、結果としてRFパワーは、さらにその2乗に比例し、16と0を交互に繰返し、平均値は8となる。つまり、伝送信号と同程度の応答特性を持つフォトダイオードを用いてモニタしたRFパワーの場合には、そのモニタ結果を最小とすることで位相差をπ/2に、つまり理想状態に調整できることがわかる。
【0051】
位相差をπ/2あるいはゼロとした場合の、RFパワーのモニタ結果についてシミュレーションした結果を図13に示す。本シミュレーションでは40Gビット毎秒のRZ(Return−to−Zero)−DQPSK(Differential QPSK)信号、つまり20Gビット毎秒の信号を2系統用いて4値位相変調信号を形成し、その出力をフォトダイオードで光電変換した場合のRFパワーを、フォトダイオードの帯域をパラメータ(横軸)として算出した。RFパワーの値(縦軸)は相対値である。位相差ゼロの場合のモニタ結果、及び位相差π/2の場合のモニタ結果、共に帯域の減少と共に減少しているが、ビットレートの10分の1、例えば帯域2.5GHzの汎用的なフォトダイオードを用いたとしても、感度劣化は10分の1程度であり、十分な制御感度が確保可能であるといえる。
【0052】
このように変調器の出力をビットレート以下の周波数応答特性を持つフォトダイオード(19)によりモニタされたRFパワーが最小値となるよう、あるいはある規定値以下となるように、制御回路2(27)によって、バイアス2(26)を制御することにより、位相器(16)のバイアスを最適点に保持することが可能となる。
【0053】
ここで位相変調器A(15A)、位相変調器B(15B)そして位相器(16)の各バイアス制御に伴う相互の影響について説明する。図14は位相器(16)のバイアス特性について、他のバイアス制御が及ぼす影響を説明する図である。同図は、位相器のバイアスを変化させながら、40Gビット毎秒のRZ−DQPSK信号の変調出力を帯域2.5GHzのフォトダイオードを用いて測定した実験結果であり、2つの位相変調器のバイアスとしては、(1)共に最適値の場合、(2)共に最適値と最悪値の中間の値の場合、(3)一方が最悪値であり、もう一方が最適値とした場合の3通りを評価した。同図からわかるように、モニターパワーの変動特性の振幅は、2つの位相変調器のバイアス状態によって変化するが、谷となるバイアス電圧、つまり最小化制御した場合の制御収束点は殆ど変化しない。つまり、位相器のバイアス制御においては、2つの位相変調器のバイアスの状態の影響は軽微である。
【0054】
その一方で、図15、図16、及び図17は位相変調器1A(15A)のバイアス特性について、他のバイアス制御が及ぼす影響を説明する図である。これらも図14と同様に、位相変調器のバイアスを変化させながら、40Gビット毎業のRZ−DQPSK信号の逆進光のモニタ出力を測定した実験結果であり、もう一方の位相変調器のバイアスとしては、(1)最適値の場合、(2)最適値と最悪値の中間の値の場合、(3)最悪値の場合の3通りを評価した。また、位相器のバイアスとしては、図15は最適値、図16は最適値と最悪値の中間の価、そして図17は最悪の値とした。
【0055】
図15からわかるように、バイアス2が最適値の場合には、バイアス1Bの状態に関わらずバイアス1Aは−2.5V近傍で最小値となっている。つまり、バイアス1Aを最小化制御した場合の制御収束点は、バイアス1Bが変動しても殆ど変化せず、バイアス1Bとバイアス1Aは独立に最小化制御可能である。
【0056】
しかしながら、図16からわかるように、バイアス2が中間値となると一転して、バイアス1Aの最小値はバイアス1Bの値によって変動し、バイアス1Bが最適値から最悪値にシフトするとともに、バイアス1Aの最小値は負側にシフトしていく。つまり、バイアス1Aを最小化制御した場合の制御収束点は、バイアス1Bに依存することになる。この結果、バイアス1Aとバイアス1Bを独立に制御した場合には、互いの制御収束点が相互の影響を受けてあって変動し、制御が収束せずに、出力波形が不安定に変動することになる。図17を見ると、この傾向はさらに強まることがわかる。
【0057】
このように、位相器のバイアス制御においては2つの位相変調器のバイアスの影響を殆ど受けない一方で、2つの位相変調器のバイアス制御においては位相期のバイアスの影響を強く受けることがわかる。この理由は、図18、図19に示す模式図から説明することが可能である。
【0058】
図18はバイアス2が最適値の場合、つまり位相差がπ/2となり、2つの位相変調成分が直交してる場合の、逆進光の様子を示す模式図である。位相変調器A(15A)を透過する逆進光をベクトルAで表し、位相変調器B(15B)を透過する逆進光をベクトルBで表す。ベクトルA、ベクトルBのベクトル長は光強度を表す。ベクトルAとベクトルBは分波器(14)において電界結合、つまりベクトル合成される。フォトダイオード(13)が受信する光は破線で示すベクトル、つまりベクトルAとベクトルBの合成ベクトルである。
【0059】
ここで位相変調器B(15B)のバイアスはある値で固定したまま、位相変調器A(15A)のバイアスを調整する操作を考える。この操作は、図18において、ベクトルBの長さを固定したまま、ベクトルAの長さを変える操作と等価である。また、フォトダイオード(13)の強度をモニタする操作は、合成ベクトルの長さを測定する操作と等価である。つまり、逆進光が最小となるように位相変調器A(15A)のバイアスを調整する操作は、合成ベクトルの長さを最小化するように、ベクトルAの長さを調整する操作と等価である。
【0060】
図18のケース1、ケース2、ケース3とベクトルAの長さを正の値から負の値に変えていく様子から自明なように、合成ベクトルの長さが最小となるのはベクトルAがゼロベクトルの場合である。つまり、ベクトルBの状態によらずにベクトルAを最小化可能であり、従って、位相変調器Aと位相変調器Bのバイアスは独立に最小化制御が可能である。
【0061】
しかしながら、図16に示すように、バイアス2が最適値からずれた場合、つまりベクトルの直交性が劣化した場合には、この議論は成立しない。つまり、ケース2のようにベクトルAがゼロベクトルとなった場合よりも、合成ベクトルの長さが最小となるケース3が存在する。合成ベクトルの長さが最小となるのは、ベクトルAの長さを変化させた時に合成ベクトルの終点が描く軌跡(トレース)と合成ベクトルが直交する、ケース3の場合である。この時のベクトルAの長さは、2つのベクトルのなす角度(鋭角側を選択する)をθとしたとき、ベクトルBの長さにcosθを掛け合わせたものであるからθがπ/2である場合を除き、ベクトルBの長さに依存する。つまり、非直交の場合には、位相変調器Aの制御収束点は位相変調器Bのバイアスによって変動することを意味する。
【0062】
こうして、位相器のバイアス制御においては2つの位相変調器のバイアスの影響を殆ど受けない一方で、2つの位相変調器のバイアス制御においては位相期のバイアスの影響を強く受けることがわかる。そこで、図20に示すフローチャートに従って制御を施すことにより、図8に示す4値位相変調器の位相器(16)、及び2つの位相変調器(15A、15B)を安定に制御することが可能となる。つまり、制御1(位相変調器のバイアスの制御)に先立ち、制御2(位相器のバイアス、つまり直交性の制御)を優先的に実施し、直交性を確保した状態で、それぞれの位相変調器のバイアスを制御することより、図15、図16、図17、図18及び図19を用いて前述した、他方の位相変調器、位相器の影響を受けること無しに、位相器、位相変調器の制御が可能となる。
【0063】
本発明は、位相変調器や位相器のバイアスドリフトを補償するのみならず、位相変調器や位相器の個体毎の理想特性のばらつきを吸収する場合に有効であり、あるいは電圧ゼロボルトからの変位量や、あらかじめ設定しておいた初期値(規定値)からスタートして安定動作に持っていく場合の制御に有効であり、特に装置を起動する場合の制御に有効である。
【0064】
制御2の制御フローとしては例えば図21に示すような、最小化制御が適している。また、制御1のような2変数制御のフローとしては、例えば図22に示すように、バイアス1Aをまず最小化して、次にバイアス1Bを最小化するような逐次制御が適用可能である。また、図の23に示すようなバイアス1A,バイアス1Bを同時にそれぞれΔA、ΔBだけ変動させ、モニタ結果の変動量と併せて、最大勾配となる、次のΔA,ΔBを逐次算出して繰り返す、いわゆる山登り法のようなフローを適用することも可能である。
【0065】
逆進光源(21)の実現手段としては、レーザー光源やLED光源が考えられる。また、図24に示すようにエルビウム添加増幅器(EDFA、32)からの自然放出光を用いた場合には、逆進光と位相変調器の偏波調整の工程を省略可能であるという利点が生じる。また、図26に示すように、信号光源の一部を分波器(31)によって分波しループバックして逆進光源を代用することも可能である。また、図26に示すように、信号光の一部を反射器(33)によって反射させて逆進させることによって逆進光源を代用することも可能である。これら逆進光源の代用法は、以下に示す他の実施例でも同様に適用可能である。
【0066】
位相変調器B(15B)と位相器(16)の配置順に優位差は無く、位相器(16)が位相変調器B(15B)よりも先に配置された場合でも本特許は問題なく適用可能である。以下に示す他の実施例でも同様に適用可能である。
【0067】
位相変調器や位相器の材料としては、LiNbO3(リチウムナイオベイト)、GaAsやInPなどの半導体など、いずれの材料でも本発明は適用可能である。
【0068】
位相変調器や位相器は集積された導波路上に形成された場合であっても、あるいはそれぞれ個別部品を結合して作製した場合であっても適用可能であり、以下に示す他の実施例でも同様に適用可能である。
【実施例2】
【0069】
本発明の第2の実施例を、図8、図27を用いて説明する。図8の構成に、図27に示すフローチャートに従って制御を施すことにより、図8に示す4値位相変調器の位相器(16)、及び2つの位相変調器(15A、15B)を安定に制御することが可能となる。つまり、制御1(位相変調器のバイアスの制御)を時定数t1で、制御2(位相器のバイアス、つまり直交性の制御)を字定数t2でそれぞれ独立に制御し、かつ、制御2の制御時定数t2を制御1の制御時定数t1より短くし、制御2をより高速に制御することにより、直交性制御を優先制御した状態で、それぞれの位相変調器のバイアスを制御することより、他方の位相変調器、位相器の影響を受けること無しに、位相器、位相変調器の制御が可能となる。
【0070】
制御時定数の差としては、例えばt1>10×t2のように1桁程度の差をつければ安定動作として申し分ないし、またサンプルホールド回路の制限など、時定数にある程度の選択の制約がある場合には数倍程度でも問題なく適用可能である。
【実施例3】
【0071】
本発明の第3の実施例を図28、図20を用いて説明する。図28の構成は図8の構成に加えて、バイアス1Aに低速周波数fA(28A)を重畳する回路(29A)、バイアス1Bに低速周波数fB(28B)を重畳する回路(29B)、が加わり、さらに、フォトダイオード(19)の出力に電気バンドパスフィルタ(30)が加わった構成となっている。
【0072】
図28の構成における制御1は実施例1と同様である。図26の構成における制御2は、フォトダイオード(19)の出力に設置された電気バンドパスフィルタ(30)により、前記2つの低周波信号の和の成分(fA+fB)あるいは差の成分(fA−fB)の周波数成分を抽出し、その絶対値をとった結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、位相器(16)のバイアス2(26)を制御する構成となっている。このように同期検波を用いて制御をおこなうことにより、制御2をより高精度に実施することが可能となる。
【0073】
この図28の構成において、図20に示すフローチャートに従って制御を施すことにより、図28に示す4値位相変調器の位相器(16)、及び2つの位相変調器(15A、15B)を安定に制御することが可能となる。つまり、制御1(位相変調器のバイアスの制御)に先立ち、制御2(位相器のバイアス、つまり直交性の制御)を優先的に実施し、直交性を確保した状態で、それぞれの位相変調器のバイアスを制御することより、他方の位相変調器、位相器の影響を受けること無しに、位相器、位相変調器の制御が可能となる。
【実施例4】
【0074】
本発明の第4の実施例を図28、図27を用いて説明する。図28の構成に、図27に示すフローチャートに従って制御を施すことにより、図28に示す4値位相変調器の位相器(16)、及び2つの位相変調器(15A、15B)を安定に制御することが可能となる。つまり、制御1(位相変調器のバイアスの制御)を時定数t1で、制御2(位相器のバイアス、つまり直交性の制御)を字定数t2でそれぞれ独立に制御し、かつ、制御2の制御時定数t2を制御1の制御時定数t1より短くし、制御2をより高速に制御することにより、直交性制御を優先制御した状態で、それぞれの位相変調器のバイアスを制御することより、他方の位相変調器、位相器の影響を受けること無しに、位相器、位相変調器の制御が可能となる。
【実施例5】
【0075】
本発明の第5の実施例を図29、図20を用いて説明する。図29の構成は図28の構成に含まれていたフォトダイオード(19)を省略し、変りにフォトダイオード(13)から出力をさらにもう1系統取り出して、これをバンドパスフィルタ(30)に入力した構成となっている。制御1は実施例1、3と同様であり、制御2はフォトダイオード(13)の出力に設置された電気バンドパスフィルタ(30)により、前記2つの低周波信号の和の成分(fA+fB)あるいは差の成分(fA−fB)の周波数成分を抽出し、その絶対値をとった結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、位相器(16)のバイアス2(26)を制御する構成となっている。このように同期検波を用いて制御をおこなうことにより、制御2をより高精度に実施することが可能となる。
【0076】
この図29の構成において、図20に示すフローチャートに従って制御を施すことにより、図29に示す4値位相変調器の位相器(16)、及び2つの位相変調器(15A、15B)を安定に制御することが可能となる。つまり、制御1(位相変調器のバイアスの制御)に先立ち、制御2(位相器のバイアス、つまり直交性の制御)を優先的に実施し、直交性を確保した状態で、それぞれの位相変調器のバイアスを制御することより、他方の位相変調器、位相器の影響を受けること無しに、位相器、位相変調器の制御が可能となる。
【実施例6】
【0077】
本発明の第4の実施例を図29、図27を用いて説明する。図29の構成に、図27に示すフローチャートに従って制御を施すことにより、図29に示す4値位相変調器の位相器(16)、及び2つの位相変調器(15A、15B)を安定に制御することが可能となる。つまり、制御1(位相変調器のバイアスの制御)を時定数t1で、制御2(位相器のバイアス、つまり直交性の制御)を字定数t2でそれぞれ独立に制御し、かつ、制御2の制御時定数t2を制御1の制御時定数t1より短くし、制御2をより高速に制御することにより、直交性制御を優先制御した状態で、それぞれの位相変調器のバイアスを制御することより、他方の位相変調器、位相器の影響を受けること無しに、位相器、位相変調器の制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】4値位相変調器の一般構成。
【図2】MZ型変調器の消光特性。
【図3】MZ型変調器での位相変調の例。
【図4】4値位相変調器中の位相状態の例。
【図5】MZ型変調器での位相変調の例2(バイアス変位がある場合1)。
【図6】4値位相変調器中の位相状態の例2(バイアス変位がある場合1)。
【図7】4値位相変調器中の位相状態の例3(バイアス変位がある場合2)。
【図8】第一、第二の実施例構成
【図9】MZ型変調器での位相変調の例3(バイアス変位がある場合2)。
【図10】4値位相変調器の出力特性。
【図11】4値位相変調器の逆進光モニタ特性。
【図12】4値位相変調器の直交性劣化を説明する模式図。
【図13】4値位相変調器のRFパワーモニタ特性。
【図14】位相器バイアスに対する位相変調器バイアスの影響。
【図15】位相変調器バイアスに対する位相器バイアスの影響1。
【図16】位相変調器バイアスに対する位相器バイアスの影響2。
【図17】位相変調器バイアスに対する位相器バイアスの影響3。
【図18】位相変調器バイアスに対する位相器バイアスの影響を説明する模式図1。
【図19】位相変調器バイアスに対する位相器バイアスの影響を説明する模式図2。
【図20】第一、第三、第五の実施例における制御フロー。
【図21】位相器バイアス制御フロー例。
【図22】位相変調器バイアス制御フロー例1。
【図23】位相変調器バイアス制御フロー例2。
【図24】第一実施例構成の別の形態1。
【図25】第一実施例構成の別の形態1。
【図26】第一実施例構成の別の形態1。
【図27】第二、第四、第六の実施例における制御フロー。
【図28】第三、第四の実施例構成。
【図29】第五、第六の実施例構成。
【符号の説明】
【0079】
1:光源
2:分波器
3A,3B:位相変調器
4:位相器
5:合波器
6A、6B:バイアス1電圧源
7A、7B:データ源
8A,8B:バイアス重畳回路
9:バイアス2電圧源
11:光源1
12:逆進光用の分波器
13:フォトダイオード
14:分波器
15A,15B:位相変調器
16:位相器
17:合波器
18:分波器
19:フォトダイオード
20:逆進光用の合波器
21:逆進光用の光源2
22A、22B:バイアス1電圧源
23A、23B:データ源
24A、24B:バイアス重畳回路
25:制御回路1
26:バイアス2電圧源
27:制御回路2
28A、28B:低周波発信器
29A、29B:低周波信号重畳回路
30:バンドパスフィルタ
31:分波器
32:EDFA
33:反射器。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の位相を4つのレベルに変調する4値位相変調器に関し、特に、位相変調器の安定化制御手法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アクセス網は急速に光化が進行し,こうした大容量アクセス網を用いたビデオ配信サービスも増加の一途を辿っている。このようなハード・ソフト両面での大容量データ通信への需要の増加により、光ファイバ通信のビットレート向上の要求が高まっている。
【0003】
しかしながら、光ファイバ通信のビットレートの向上においては様々な課題が浮上している。まず、光ファイバ通信のビットレートの向上に伴い、送受信器における電気デバイス及び光デバイスの動作速度を追従して向上する必要がある。現在、光ファイバ通信の主流であるIM−DD方式(Intensity Modulation−Direct Detection:強度変調−直接検波)では、送信器において電気信号の”0”、”1”をそのまま光のOFF,ONに置換え、受信器において再び電気信号の”0”、”1”を再生する、シンプルな手法である。従って、現在主流の10Gビット毎秒の信号を40Gビット毎秒に向上しようとした場合には、レーザやフォトダイオード等の光デバイス、あるいは、これらを駆動する電気アンプや識別器等の電気デバイスの動作速度を4倍にする必要がある。40Gビット毎秒で動作する電気・光デバイスは技術的な課題に加え、その材料や製造コストも大きな課題である。
【0004】
また、光ファイバ通信のビットレートの向上に伴い、光ファイバ中の波長分散という特性によって、光波形が劣化し、伝送速度や伝送距離が制限されてしまう。波長分散(以下、分散と称する)とは、光ファイバ中で信号が伝播する群速度の波長依存性のことである。光波形は厳密には複数の波長成分を持ち(スペクトル広がりを持ち)、群速度に波長依存性があると、光ファイバ中をゆっくり進む成分と早く進む成分が現れて、その結果として波形が広がることになり、分散の値が無視できない場合には、波形歪みが発生して受信特性が劣化してしまう。分散の量はファイバ長に比例するので、結果として、伝送距離が制限されてしまう。波長分散限界の伝送距離は伝送帯域の2乗に反比例し、例えば10Gビット毎秒の信号を40G化しようとすると、距離は16分の1に縮小されてしまう。
【0005】
また、光ファイバ通信のビットレートの向上に伴い、光ファイバ中の偏波分散という特性によっても、光波形が劣化し、伝送速度や伝送距離が制限されてします。偏波分散とは、本来、その断面が真円となるように設計された光ファイバが物理的な応力、あるいは温度や湿度などの環境変化によって、その断面の真円性がわずかに劣化し、シングルモードファイバでも実際には2つのモードが伝播することに起因している。このモード間で僅かに伝播速度が異なるために、やはり波形広がりが生じ,距離が制限されてしまう。偏波分散限界での伝送距離は伝送帯域に反比例し、前記例と同様に10Gビット毎秒の信号を40G化しようとすると距離は1/4に縮小されてしまう。
【0006】
さらに、ビットレートの上昇は、占有する信号帯域の増加をももたらす。例えばビットレートを4倍化しようとした場合には、占有する信号帯域、つまり占有する光スペクトル幅も4倍となる。波長多重伝送(WDM)のように光信号を波長方向にマルチチャネル化して大容量伝送を実現しようとした場合、この波長多重信号を一括増幅する光増幅器の増幅帯域によって帯域は制限される。つまり各波長多重信号が重ならないように波長を設定することを考えると、占有スペクトル幅と波長数の積が、この光増幅器の増幅帯域である必要がある。増幅帯域が一定である以上、占有スペクトル幅を増加させたら、波長数を減少させる必要があるので、ビットレートを向上してもその分だけスペクトル幅が拡大し、波長数が減少し、結局全容量は変わらないままということになり、大容量化が制限されてしまう。
【0007】
こうしたデバイス応答速度の限界、波長分散や偏波分散による制限、そして
スペクトル幅増大による制限を打破して、ビットレート向上を実現する手法として、光多値変調が注目されている。光多値変調は、光強度、あるいは光位相、あるいはその双方をM値(M>2)変調することにより、変調駆動信号のビットレートを高めることなしに、総伝送容量をlogM倍(但し対数の底は2である)に向上させる技術である。具体的には、例えば40Gビット毎秒の信号を形成する場合を考えると、従来の2値伝送では、40Gビット毎秒の駆動信号が必要である。一方、4値伝送では伝送容量をlog4=2倍に高めることができるので、20Gビット毎秒の駆動信号を2系統準備することで、40Gビット毎秒の伝送が実現できる。同様に8値伝送では伝送容量を3倍に高めることができるので約13Gビット毎秒の信号3系統により、16値伝送では伝送容量を4倍に高めることができるので10Gビット毎秒の信号4系統により、それぞれ40Gビット毎秒の伝送が実現できる。
【0008】
また、こうした光多値変調信号を用いた伝送では、これらの駆動信号のレートによって波長分散、偏波分散、そして占有スペクトル幅の制限されることになるので、前述の20Gビット毎秒の信号2系統によって形成された40Gビット毎秒の信号は、従来の2値伝送の40Gビット毎秒の信号と比べて、波長分散限界距離を4倍に、偏波分散限界距離を2倍にそれぞれ伸長可能であり、さらに占有スペクトル幅を2分の1に縮小することが可能となる。
【0009】
光多値変調のなかでも特に、光の位相を4値に変調した4値位相変調(QPSK:Quaternary Phase Shift Keying)はその各レベルの間隔を一定に管理することの容易さ、位相変調とすることによる感度の向上等の利点より、注目を集めている。
【0010】
4値位相変調信号の形成手法としては、文献1において開示された手法が多用されている。図1を用いてその原理を説明する。光源(1)から出力した信号光は、分波器(2)において2分される。2分された信号光はそれぞれ位相変調器A、B(3A、3B)に達する。位相変調器Aには、データ信号A(7A)にバイアス電圧1A(6A)をバイアス重畳器(8A)にて重畳した電気信号が印加されている。この電気信号によって位相変調器A(3A)に入力した光信号は2値位相変調されて出力される。
【0011】
この様子を図2、図3を用いて説明する。この位相変調器には一般的にマッハツエンダ(MZ)型干渉計が用いられる。MZ型変調器の出力特性(消光特性)を図2に示す。MZ型変調器の印加電圧(横軸)を変化させた場合、変調器からの出力(縦軸)は図2のように正弦波に似た軌跡をトレースする。消光特性が谷から山まで変化するのに要する電圧はVπとして定義され、変調器の特性を表す主要パラメータである。
【0012】
ここに図3に示すように、消光特性の谷を中心とした(消光特性の谷にバイアス電圧を一致させた)振幅2Vπの2値電気波形を、この変調器に印加する場合を考える。消光特性の山から山へ変調するので、変調器の出力は山から一旦、谷におちて再び山となる波形となる。つまり、ビットの中心では常に出力が山の位置にあり、振幅は一定となる。しかしながら、光の位相に関しては注意が必要である。MZ型変調器の消光特性の隣りあう山では出力光の位相が互いにπだけ異なるという特性がある。つまり、この特性を考慮すると、入力電気波形の”0”は振幅”1”位相”0”の出力光に、入力電気波形の”1”は振幅”1”位相”π”の出力光にそれぞれ変換されることになる。つまり、振幅は一定で、かつ位相が”0”、”π”の2値位相変調信号が形成される。
【0013】
図1点A、つまり位相変調器A(3A)の出力における位相状態を図4に示す。図4の各グラフは位相をI軸とQ軸を用いた複素平面上に表した図であり、I軸は同相成分の量を、Q軸は直交成分の量を示している。また、座標軸上の任意の信号点を配置した場合、原点から信号点の距離がその信号の振幅を表している。また、原点から信号点を接続した線と、原点からI軸正方向を接続した線との角度がその信号の位相を表している。点Aでの位相状態は、原点を対称としてI軸上に配置された2点に配置されるといえる。つまり、振幅”0”、”1”のデータ信号が位相”0”と位相”π”の2点にそれぞれ変換されるといえる。
【0014】
同様に、位相変調器Bには、データ信号B(7B)にバイアス電圧1B(6B)をバイアス重畳器(8B)にて重畳した電気信号が印加されている。この電気信号によって位相変調器B(3B)に入力した光信号は2値位相変調されて出力される。図1点B、つまり位相変調器B(3B)の出力における位相状態は、図4に示すように、点Aと同様に原点を対称としてI軸上に配置された2点に配置されるといえる。つまり、振幅”0”、”1”のデータ信号が位相”0”と位相”π”の2点にそれぞれ変換されるといえる。
【0015】
さらに2つの位相変調器の一方、位相変調器B(3B)の出力には位相器(4)が設置されている。位相器(4)にはバイアス電圧2が印加されている。位相器(4)に入力した光信号は、このバイアス電圧2に応じた量だけ、位相がシフトして出力される。この位相シフト量はπ/2が理想値である。位相がπ/2だけシフトした結果、点C、及び点Dでの位相状態は図4に示すように、互いに異なる結果となる。つまり、点Dでの位相状態は、各信号点がπ/2だけ回転した結果、原点を対称としてQ軸上に配置された2点に移動する。
【0016】
位相変調器A(3A)の出力、及び位相器(4)の出力は合波器(5)で合波される。合波器(5)の出力、つまり点Eでの信号点の位相状態を図4に示す。それぞれの信号点は合波前の時点では図中の破線の小さな円で示した4点に相当するが、合波器(5)で合波された結果、これらの4点を電界合成、幾何学的にはベクトル合成した信号点が出力となる。つまり、データAの状態と、データBの状態をそれぞれ”x、y”で示しすものとし、データAが”0”、データBが”1”の場合、つまり”0、1”の場合の信号点は座標中の第4象限の点に配置される。同様に”0、0”、”1、0”、そして”1、1”の点はそれぞれ第1、第2、そして第3象限に配置される。このようにして、位相が+π/4、+3π/4、−3π/4、そして−π/4と、4つの位相レベルを持つ、4値位相変調信号が形成される。
【0017】
【特許文献1】特表2004−516743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
図4に示すような4値位相変調波形は、位相変調器A(3A)のバイアス電圧1A(6A)、及び位相変調器B(3B)のバイアス電圧1B(6B)がいずれも位相変調器の消光特性の谷に一致していることを前提とし、かつ、位相器(4)のバイアス電圧2(9)が位相シフト量π/2を発生させるのに相当する量に一致していることを前提としている。
【0019】
しかしながら、位相変調器(3A、3B)の消光特性、あるいは位相器(4)の位相シフト特性は、環境温度変動や、入力した電気信号を吸収することに伴う熱変動、あるいは、電気信号の電極における帯電効果によって時間とともに変動することがよく知られている。一般的にこれはバイアスドリフト現象と称される。このバイアスドリフトが発生し、前述の前提が維持できなくなった場合について考える。
【0020】
例えば、位相変調器A(3A)においてバイアスドリフトが発生し、位相変調器の谷とバイアス電圧1A(6A)が不一致した場合を考える。この場合、図5に示すように、電気波形の中心(バイアス)が消光特性の谷から変位することになる。ここで、データが”0”から”1”に変化する場合を考えると、消光特性の山に達して一旦最大出力となった後も変化し続け、山を通り越して山の中腹で落ち着くことになる。この結果、出力波形の振幅が減少することになる。
【0021】
これを複素座標上で表すと図6のようになる。つまり、点Aでの位相状態は原点を田対称としてI軸上にあるのは変わらないが、原点からの距離、つまり振幅が減少することになる。その結果、変調器出力、つまり点Eでの位相状態は全体をI軸方向に縮小した形となる。従って、等位相間隔で配置されていたはずの4つの位相レベルの間隔が不等間隔となり、レベル毎の感度ばらつきが発生してしまう。
【0022】
また、位相器(4)においてバイアスドリフトが発生し、位相シフト量がπ/2を下回った場合を考える。この場合、図7の点Dの特性に示すように、位相シフト量がπ/2を下回った結果、変調器出力、つまり点Eでの位相状態は正方形だった配置が菱型に変化している。つまり、”1、0”及び”0、1”の状態における振幅が減少することになり、”1、0”及び”0、1”状態のの受信感度が劣化することになる。
【0023】
このようにバイアスドリフトが発生し、位相変調器A、B(3A、3B)のバイアス電圧1A、1B(6A、6B)が消光特性の谷から変位した場合、あるいは位相器(4)の位相シフト量がπ/2から変位した場合には受信感度のばらつき、そしてトータルでの受信感度劣化をもたらしてしまうという問題があった。
【0024】
また、位相変調器A、Bの消光特性が谷となる理想的バイアス電圧、あるいは位相器(4)の位相シフト量がπ/2となる理想バイアス電圧は、デバイス毎に異なる値であり、個体毎の調整を施さないと、固体毎の受信感度劣化をもたらすという問題があった。
【0025】
また、位相変調器を立ち上げる際には、初期状態(多くの場合は電圧ゼロ、あるいは装置内にメモリされたある規定値)から位相変調器A、Bの消光特性が谷となる理想的バイアス電圧、あるいは位相器(4)の位相シフト量がπ/2となる理想バイアス電圧にまで制御することが必要となり、こうした制御機構が無いと、やはり受信感度劣化をもたらすという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0026】
かかる問題に対して本出願の第一の発明が提供する構成は、第1の光源から出力された光を2分する光分波器と、前記分波器の2つの出力にそれぞれ設置され、2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する、2台の位相変調器と、前記位相変調器のうち一方の出力に設置され、光の位相をシフトして出力する、1台の位相器と、前記位相器の出力光と、位相器が設置されない側の位相変調器の出力光とを合波して出力する、光合波器とから構成される4値位相変調器において、前記4値位相変調器中を上記の第1の光源から出力された光とは、逆方向に伝播する逆進光、この逆進光用の第2の光源、及びこの第2の光源を前記多値位相変調器中に導入するための光カプラを、前記光合波器の出力に備え、前記4値位相変調器の入力側、つまり前記光分波器の入力側での、前記逆進光の光強度モニタ結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記2台の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第1の制御手段を備え、前記4値位相変調器の出力側、つまり前記光合波器の出力光をビットレート以下の周波数応答特性を持つフォトダイオードによりモニタした結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第2の制御手段を備え、前記第2の制御手段を優先的に実行した後に、前記第1の制御手段を実行することを特徴とする4値位相変調器である。
【0027】
また、かかる問題に対して本出願の第二の発明が提供する構成は、第1の光源から出力された光を2分する光分波器と、前記分波器の2つの出力にそれぞれ設置され、2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する、2台の位相変調器と、前記位相変調器のうち一方の出力に設置され、光の位相をシフトして出力する、1台の位相器と、前記位相器の出力光と、位相器が設置されない側の位相変調器の出力光とを合波して出力する、光合波器とから構成される4値位相変調器において、前記4値位相変調器中を上記の第1の光源から出力された光とは、逆方向に伝播する逆進光、この逆進光用の第2の光源、及びこの第2の光源を前記多値位相変調器中に導入するための光カプラを、前記光合波器の出力に備え、前記4値位相変調器の入力側、つまり前記光分波器の入力側での、前記逆進光の光強度モニタ結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記2台の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第1の制御手段を備え、前記4値位相変調器の出力側、つまり前記光合波器の出力光をビットレート以下の周波数応答特性を持つフォトダイオードによりモニタした結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第2の制御手段を備え、前記第2の制御手段の制御時定数を、前記第1の制御手段の制御時定数よりも小さい値とすることを特徴とする4値位相変調器である。
【0028】
また、かかる問題に対して本出願の第三の発明が提供する構成は、第1の光源から出力された光を2分する光分波器と、前記分波器の2つの出力にそれぞれ設置され、2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する、2台の位相変調器と、前記位相変調器のうち一方の出力に設置され、光の位相をシフトして出力する、1台の位相器と、前記位相器の出力光と、位相器が設置されない側の位相変調器の出力光とを合波して出力する、光合波器とから構成される4値位相変調器において、前記4値位相変調器中を上記の第1の光源から出力された光とは、逆方向に伝播する逆進光、この逆進光用の第2の光源、及びこの第2の光源を前記多値位相変調器中に導入するための光カプラを、前記光合波器の出力に備え、前記4値位相変調器の入力側、つまり前記光分波器の入力側での、前記逆進光の光強度モニタ結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記2台の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第1の制御手段を備え、前記2台の位相変調器に印加されるそれぞれの変調電気信号には互いに異なる、あるいは等しい2つの低周波信号がそれぞれ重畳され、前記4値位相変調器の出力側、つまり前記光合波器の出力光を光電変換し、さらに前記2つの低周波信号の和の成分あるいは差の成分の周波数でフィルタリングし、絶対値をとった結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第2の制御手段を備え、前記第2の制御手段を優先的に実行した後に、前記第1の制御手段を実行することを特徴とする4値位相変調器である。
【0029】
また、かかる問題に対して本出願の第四の発明が提供する構成は、第1の光源から出力された光を2分する光分波器と、前記分波器の2つの出力にそれぞれ設置され、2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する、2台の位相変調器と、前記位相変調器のうち一方の出力に設置され、光の位相をシフトして出力する、1台の位相器と、前記位相器の出力光と、位相器が設置されない側の位相変調器の出力光とを合波して出力する、光合波器とから構成される4値位相変調器において、前記4値位相変調器中を上記の第1の光源から出力された光とは、逆方向に伝播する逆進光、この逆進光用の第2の光源、及びこの第2の光源を前記多値位相変調器中に導入するための光カプラを、前記光合波器の出力に備え、前記4値位相変調器の入力側、つまり前記光分波器の入力側での、前記逆進光の光強度モニタ結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記2台の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第1の制御手段を備え、前記2台の位相変調器に印加されるそれぞれの変調電気信号には互いに異なる、あるいは等しい2つの低周波信号がそれぞれ重畳され、前記4値位相変調器の出力側、つまり前記光合波器の出力光を光電変換し、さらに前記2つの低周波信号の和の成分あるいは差の成分の周波数でフィルタリングし、絶対値をとった結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第2の制御手段を備え、
前記第2の制御手段の制御時定数を、前記第1の制御手段の制御時定数よりも小さい値とすることを特徴とする4値位相変調器である。
【0030】
また、かかる問題に対して本出願の第五の発明が提供する構成は、第1の光源から出力された光を2分する光分波器と、前記分波器の2つの出力にそれぞれ設置され、2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する、2台の位相変調器と、前記位相変調器のうち一方の出力に設置され、光の位相をシフトして出力する、1台の位相器と、前記位相器の出力光と、位相器が設置されない側の位相変調器の出力光とを合波して出力する、光合波器とから構成される4値位相変調器において、前記4値位相変調器中を上記の第1の光源から出力された光とは、逆方向に伝播する逆進光、この逆進光用の第2の光源、及びこの第2の光源を前記多値位相変調器中に導入するための光カプラを、前記光合波器の出力に備え、前記4値位相変調器の入力側、つまり前記光分波器の入力側での、前記逆進光の光強度モニタ結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記2台の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第1の制御手段を備え、前記2台の位相変調器に印加されるそれぞれの変調電気信号には互いに異なる、あるいは等しい2つの低周波信号がそれぞれ重畳され、前記4値位相変調器の入力側、つまり前記光分波器の入力側での、前記逆進光を光電変換し、さらに前記2つの低周波信号の和の成分あるいは差の成分の周波数でフィルタリングし、絶対値をとった結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第2の制御手段を備え、前記第2の制御手段を優先的に実行した後に、前記第1の制御手段を実行することを特徴とする4値位相変調器である。
【0031】
また、かかる問題に対して本出願の第六の発明が提供する構成は、第1の光源から出力された光を2分する光分波器と、前記分波器の2つの出力にそれぞれ設置され、2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する、2台の位相変調器と、前記位相変調器のうち一方の出力に設置され、光の位相をシフトして出力する、1台の位相器と、前記位相器の出力光と、位相器が設置されない側の位相変調器の出力光とを合波して出力する、光合波器とから構成される4値位相変調器において、前記4値位相変調器中を上記の第1の光源から出力された光とは、逆方向に伝播する逆進光、この逆進光用の第2の光源、及びこの第2の光源を前記多値位相変調器中に導入するための光カプラを、前記光合波器の出力に備え、前記4値位相変調器の入力側、つまり前記光分波器の入力側での、前記逆進光の光強度モニタ結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記2台の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第1の制御手段を備え、前記2台の位相変調器に印加されるそれぞれの変調電気信号には互いに異なる、あるいは等しい2つの低周波信号がそれぞれ重畳され、前記4値位相変調器の入力側、つまり前記光分波器の入力側での、前記逆進光を光電変換し、さらに前記2つの低周波信号の和の成分あるいは差の成分の周波数でフィルタリングし、絶対値をとった結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第2の制御手段を備え、前記第2の制御手段の制御時定数を、前記第1の制御手段の制御時定数よりも小さい値とすることを特徴とする4値位相変調器である。
【発明の効果】
【0032】
本出願の第一、第三、及び第五の発明によれば、第1の制御手段により2つの位相変調器のバイアス電圧が安定化制御され、第2の制御手段により位相器のバイアス電圧が安定化制御され、そして第2の制御を、第1の制御よりも優先して実施することにより、より安定化された4値位相変調器が実現可能となる。また本発明により、より高速に4値試走変調器の起動が可能となる。
【0033】
また、本出願の第二、第四、及び第六の発明によれば、第1の制御手段により2つの位相変調器のバイアス電圧が安定化制御され、第2の制御手段により位相器のバイアス電圧が安定化制御され、そして第2の制御時定数を、第1の制御時定数よりも短くすることで、より安定化された4値位相変調器が実現可能となる。
【実施例1】
【0034】
本発明の第1の実施例を図8から図20を用いて説明する。光源1(11)から出力した信号光は、分波器(14)において2分される。光源1(11)と分波器(14)の間には別の分波器(12)が設置され、光源1(11)から出力される信号光とは逆方向に伝播する光が、この分波器(14)によって分波され、フォトダイオード(13)に達する。分波器(14)によって2分された信号光はそれぞれ位相変調器A、B(15A、15B)に達する。位相変調器A(15A)には、データ信号A(23A)にバイアス電圧1A(22A)をバイアス重畳器(24A)にて重畳した電気信号が印加されている。この電気信号によって位相変調器A(15A)に入力した光信号は2値位相変調されて出力される。
【0035】
同様に、位相変調器B(15B)には、データ信号B(23B)にバイアス電圧1B(22B)をバイアス重畳器(24B)にて重畳した電気信号が印加されている。この電気信号によって位相変調器B(15B)に入力した光信号は2値位相変調されて出力される。
【0036】
さらに2つの位相変調器の一方、位相変調器B(15B)の出力には位相器(16)が設置されている。位相器(16)にはバイアス電圧2(26)が印加されている。位相器(16)に入力した光信号は、このバイアス電圧2(25)に応じた量だけ、位相がシフトして出力される。この位相シフト量はπ/2が理想値である。
【0037】
位相変調器A(15A)の出力、及び位相器(16)の出力は合波器(17)で合波される。合波器(17)の出力は、位相変調器A(15A)、位相変調器B(15B)、及び位相器(16)のバイアスが理想的な場合には、位相が+π/4、+3π/4、−3π/4、そして−π/4と、4つの位相レベルを持つ、4値位相変調信号となる。
【0038】
合波器(17)の出力には出力光の一部を取り出す分波器(18)が設置され、分波された光信号はフォトダイオード(19)に達する。フォトダイオード(19)はビットレート以下の周波数応答特性を持つ。さらに分波器(18)のもう一方の出力には光源2(21)からの信号光を合波するための合波器(20)が設置される。
【0039】
注意すべきは、光源1(11)から出力される光信号が図を左から右に伝播、つまり分波器(14)から位相変調器A(15A)あるいは位相変調器B(15B)と位相器(16)を経て合波器(17)に達し、その一部がフォトダイオード(19)で光電変換されるのに対し、光源2(21)からの出力される光は図を右から左に伝播、つまり合波器(17)から位相変調器A(15A)あるいは位相器(16)そして位相変調器B(15B)を経て分波器(14)に達し、最終的にフォトダイオード(13)で光電変換されることである。
【0040】
フォトダイオード(13)からの出力、つまり逆方向に伝播してきた光の光強度モニタ結果は、制御回路1(25)に達し、この情報を元に制御回路1(25)はバイアス電圧1A(22A)、及びバイアス電圧1B(22B)を調整する。
【0041】
また、ビットレート以下の周波数応答特性を持つフォトダイオード(19)からの出力、つまり光合波器(17)の出力光から光電変換されたRF電気信号のRFパワーモニタ結果は、制御回路2(27)に達し、この情報を元に制御回路2(27)はバイアス電圧2(26)を調整する。
【0042】
バイアス電圧がバイアスドリフトの影響等により、理想的なバイアス電圧あから変位が発生している場合には、図5で前述したように、位相変調器の出力振幅の減少となってあらわれる。また、一般的に位相変調器のVπは4〜6V程度の値であり、2値位相変調を実現するための2Vπの振幅を得ようとした場合には、駆動振幅として8〜12Vの相当な大振幅信号を実現する必要がある。送信器のコスト削減のためには、振幅をある程度削減することが望ましく、駆動振幅を2Vπ以下とした場合の変調の様子を図9に示す。変調振幅が2Vπより削減した場合には、となりあうデータ毎に振幅が異なる結果となる。この場合には、平均パワーはこの異なる振幅の中間値となるので、むしろバイアス変位に伴う平均パワー変動は減少する。
【0043】
この様子を図10に示す。図10はバイアスの変位量に対する、変調器、つまり合波器(17)の出力のをプロットしたシミュレーション結果である。バイアス変位量は2Vπで規格化してある。つまり、バイアス変位量50%とは、Vπに相当するバイアス変位量である。また、同様に変調振幅も2Vπで規格化してある。つまり、変調振幅100%とは、2Vπに相当する変調振幅であり、図5に示すような理想的な変調振幅であることを示している。
【0044】
バイアス変位量が増大していくと変調器出力もなだらかに変化していく。バイアスが50%変位したとしても、その変化量は最大で4dB程度であり、また変調振幅が100%から減少していくとともに、変化量も減少してしまう。変調振幅がいずれの場合でも、バイアス変位量が10%以下の場合には、変化量は0.2dBを下回り、変調器出力からバイアスを調整するのは困難である。
【0045】
一方、本発明で提供するように、逆方向に伝播する逆進光をモニタする場合を次に説明する。10Gビット毎秒や20Gビット毎秒のような高速変調に用いる変調器は進行波型変調器が一般的である。進行波型変調器は変調する電気信号と変調される光信号とが、変調器の内部を同一方向に伝播することによって電気信号と光信号の相互作用長を増大させ、変調効率を高める変調器である。逆に言うと、変調する電気信号と、逆方向に伝播する光信号とでは、相互作用長が減少するので、変調効率が著しく減少する。つまり、逆方向に伝播する光はほとんど変調されることなく、変調器から出力される。従って、逆方向に伝播する光に対しては、バイアス電圧と出力光の関係が、消光特性そのものに一致することになる。この結果、出力光を最小とすることで、消光特性の谷にバイアスを調整可能、つまり、バイアス電圧を最適値に設定することが可能となる。
【0046】
実際には、データ信号は10Gヘルツや20Gヘルツのような高速成分だけではなく、低速の周波数から連続したスペクトルを持つ。これらの低速成分の場合には前述の電気信号と光信号の相互作用長が相対的に増大するため、逆方向に伝播する光の場合であっても、低速周波数成分で変調されることになる。そこで、逆方向に伝播する光と電気波形の変調応答周波数(応答特性が3dB減少する周波数)を500MHzとした場合について、図10と同様に、バイアス変位量と変調器出力(この場合は逆進光出力、つまり図8のフォトダイオード(13)でモニタした結果)の関係についてシミュレーションした結果を図11に示す。
【0047】
変調振幅が0%の場合、つまり変調無しの場合には、バイアス変位量50%に対し、モニタ結果は17dBも変動し、バイアス変位量に対する逆進光出力の感度は非常に高いといえる。変調振幅が上昇していくと、前述した低域周波数成分によって逆進光が変調される効果が加わり、逆進光出力の変動量は減少していく。それでもバイアス変位量10%、変調振幅100%に対する逆進光出力の変動量は1.8dBに達し、十分な制御感度が得られるといえる。前述の通常の出力をモニタした結果の0.2dBと比較した場合でもその差は明瞭である。
【0048】
このように逆方向に伝播する光をフォトダイオード(13)によってモニタし、制御回路1(25)によって、そのモニタされた強度が最小となるように、あるいはある規定値以下となるように、バイアス1A(22A)を制御することにより、位相変調器A(15A)のバイアスを最適点に保持することが可能となる。
【0049】
一方、位相器(16)の制御について次に説明する。前述した図4に示すような位相点において、データが”0、0”、”1、0”、”1、1”、”0、1”と変化した場合を考える。図12は、位相差が理想的つまりπ/2の場合、あるいは最悪の場合、つまり位相差がゼロの場合について、その光電界、光パワー、そしてフォトダイオード(19)で受信した後のRFパワーについて、模式的に表した図である。まず位相差がπ/2の場合、光出力での光電界振幅は常に一定で、図12(1)のように例えば±√2となる。光パワーはその2乗に比例するので、図12(3)のように例えば2となる。これを光電変換するとこれに比例した電流が出力され、結果としてRFパワーは、さらにその2乗に比例することになり、図12(5)に示すように一定値(=4)となる。
【0050】
これに対し、位相差がゼロの場合には、”1、0”及び”0、1”のデータが光電界振幅ゼロ、”0、0”及び”1、1”の光電界振幅が2となる。この結果光パワーは4と0を交互にくりかえし、平均値は2となる。これを光電変換した結果、これに比例した電流が出力され、結果としてRFパワーは、さらにその2乗に比例し、16と0を交互に繰返し、平均値は8となる。つまり、伝送信号と同程度の応答特性を持つフォトダイオードを用いてモニタしたRFパワーの場合には、そのモニタ結果を最小とすることで位相差をπ/2に、つまり理想状態に調整できることがわかる。
【0051】
位相差をπ/2あるいはゼロとした場合の、RFパワーのモニタ結果についてシミュレーションした結果を図13に示す。本シミュレーションでは40Gビット毎秒のRZ(Return−to−Zero)−DQPSK(Differential QPSK)信号、つまり20Gビット毎秒の信号を2系統用いて4値位相変調信号を形成し、その出力をフォトダイオードで光電変換した場合のRFパワーを、フォトダイオードの帯域をパラメータ(横軸)として算出した。RFパワーの値(縦軸)は相対値である。位相差ゼロの場合のモニタ結果、及び位相差π/2の場合のモニタ結果、共に帯域の減少と共に減少しているが、ビットレートの10分の1、例えば帯域2.5GHzの汎用的なフォトダイオードを用いたとしても、感度劣化は10分の1程度であり、十分な制御感度が確保可能であるといえる。
【0052】
このように変調器の出力をビットレート以下の周波数応答特性を持つフォトダイオード(19)によりモニタされたRFパワーが最小値となるよう、あるいはある規定値以下となるように、制御回路2(27)によって、バイアス2(26)を制御することにより、位相器(16)のバイアスを最適点に保持することが可能となる。
【0053】
ここで位相変調器A(15A)、位相変調器B(15B)そして位相器(16)の各バイアス制御に伴う相互の影響について説明する。図14は位相器(16)のバイアス特性について、他のバイアス制御が及ぼす影響を説明する図である。同図は、位相器のバイアスを変化させながら、40Gビット毎秒のRZ−DQPSK信号の変調出力を帯域2.5GHzのフォトダイオードを用いて測定した実験結果であり、2つの位相変調器のバイアスとしては、(1)共に最適値の場合、(2)共に最適値と最悪値の中間の値の場合、(3)一方が最悪値であり、もう一方が最適値とした場合の3通りを評価した。同図からわかるように、モニターパワーの変動特性の振幅は、2つの位相変調器のバイアス状態によって変化するが、谷となるバイアス電圧、つまり最小化制御した場合の制御収束点は殆ど変化しない。つまり、位相器のバイアス制御においては、2つの位相変調器のバイアスの状態の影響は軽微である。
【0054】
その一方で、図15、図16、及び図17は位相変調器1A(15A)のバイアス特性について、他のバイアス制御が及ぼす影響を説明する図である。これらも図14と同様に、位相変調器のバイアスを変化させながら、40Gビット毎業のRZ−DQPSK信号の逆進光のモニタ出力を測定した実験結果であり、もう一方の位相変調器のバイアスとしては、(1)最適値の場合、(2)最適値と最悪値の中間の値の場合、(3)最悪値の場合の3通りを評価した。また、位相器のバイアスとしては、図15は最適値、図16は最適値と最悪値の中間の価、そして図17は最悪の値とした。
【0055】
図15からわかるように、バイアス2が最適値の場合には、バイアス1Bの状態に関わらずバイアス1Aは−2.5V近傍で最小値となっている。つまり、バイアス1Aを最小化制御した場合の制御収束点は、バイアス1Bが変動しても殆ど変化せず、バイアス1Bとバイアス1Aは独立に最小化制御可能である。
【0056】
しかしながら、図16からわかるように、バイアス2が中間値となると一転して、バイアス1Aの最小値はバイアス1Bの値によって変動し、バイアス1Bが最適値から最悪値にシフトするとともに、バイアス1Aの最小値は負側にシフトしていく。つまり、バイアス1Aを最小化制御した場合の制御収束点は、バイアス1Bに依存することになる。この結果、バイアス1Aとバイアス1Bを独立に制御した場合には、互いの制御収束点が相互の影響を受けてあって変動し、制御が収束せずに、出力波形が不安定に変動することになる。図17を見ると、この傾向はさらに強まることがわかる。
【0057】
このように、位相器のバイアス制御においては2つの位相変調器のバイアスの影響を殆ど受けない一方で、2つの位相変調器のバイアス制御においては位相期のバイアスの影響を強く受けることがわかる。この理由は、図18、図19に示す模式図から説明することが可能である。
【0058】
図18はバイアス2が最適値の場合、つまり位相差がπ/2となり、2つの位相変調成分が直交してる場合の、逆進光の様子を示す模式図である。位相変調器A(15A)を透過する逆進光をベクトルAで表し、位相変調器B(15B)を透過する逆進光をベクトルBで表す。ベクトルA、ベクトルBのベクトル長は光強度を表す。ベクトルAとベクトルBは分波器(14)において電界結合、つまりベクトル合成される。フォトダイオード(13)が受信する光は破線で示すベクトル、つまりベクトルAとベクトルBの合成ベクトルである。
【0059】
ここで位相変調器B(15B)のバイアスはある値で固定したまま、位相変調器A(15A)のバイアスを調整する操作を考える。この操作は、図18において、ベクトルBの長さを固定したまま、ベクトルAの長さを変える操作と等価である。また、フォトダイオード(13)の強度をモニタする操作は、合成ベクトルの長さを測定する操作と等価である。つまり、逆進光が最小となるように位相変調器A(15A)のバイアスを調整する操作は、合成ベクトルの長さを最小化するように、ベクトルAの長さを調整する操作と等価である。
【0060】
図18のケース1、ケース2、ケース3とベクトルAの長さを正の値から負の値に変えていく様子から自明なように、合成ベクトルの長さが最小となるのはベクトルAがゼロベクトルの場合である。つまり、ベクトルBの状態によらずにベクトルAを最小化可能であり、従って、位相変調器Aと位相変調器Bのバイアスは独立に最小化制御が可能である。
【0061】
しかしながら、図16に示すように、バイアス2が最適値からずれた場合、つまりベクトルの直交性が劣化した場合には、この議論は成立しない。つまり、ケース2のようにベクトルAがゼロベクトルとなった場合よりも、合成ベクトルの長さが最小となるケース3が存在する。合成ベクトルの長さが最小となるのは、ベクトルAの長さを変化させた時に合成ベクトルの終点が描く軌跡(トレース)と合成ベクトルが直交する、ケース3の場合である。この時のベクトルAの長さは、2つのベクトルのなす角度(鋭角側を選択する)をθとしたとき、ベクトルBの長さにcosθを掛け合わせたものであるからθがπ/2である場合を除き、ベクトルBの長さに依存する。つまり、非直交の場合には、位相変調器Aの制御収束点は位相変調器Bのバイアスによって変動することを意味する。
【0062】
こうして、位相器のバイアス制御においては2つの位相変調器のバイアスの影響を殆ど受けない一方で、2つの位相変調器のバイアス制御においては位相期のバイアスの影響を強く受けることがわかる。そこで、図20に示すフローチャートに従って制御を施すことにより、図8に示す4値位相変調器の位相器(16)、及び2つの位相変調器(15A、15B)を安定に制御することが可能となる。つまり、制御1(位相変調器のバイアスの制御)に先立ち、制御2(位相器のバイアス、つまり直交性の制御)を優先的に実施し、直交性を確保した状態で、それぞれの位相変調器のバイアスを制御することより、図15、図16、図17、図18及び図19を用いて前述した、他方の位相変調器、位相器の影響を受けること無しに、位相器、位相変調器の制御が可能となる。
【0063】
本発明は、位相変調器や位相器のバイアスドリフトを補償するのみならず、位相変調器や位相器の個体毎の理想特性のばらつきを吸収する場合に有効であり、あるいは電圧ゼロボルトからの変位量や、あらかじめ設定しておいた初期値(規定値)からスタートして安定動作に持っていく場合の制御に有効であり、特に装置を起動する場合の制御に有効である。
【0064】
制御2の制御フローとしては例えば図21に示すような、最小化制御が適している。また、制御1のような2変数制御のフローとしては、例えば図22に示すように、バイアス1Aをまず最小化して、次にバイアス1Bを最小化するような逐次制御が適用可能である。また、図の23に示すようなバイアス1A,バイアス1Bを同時にそれぞれΔA、ΔBだけ変動させ、モニタ結果の変動量と併せて、最大勾配となる、次のΔA,ΔBを逐次算出して繰り返す、いわゆる山登り法のようなフローを適用することも可能である。
【0065】
逆進光源(21)の実現手段としては、レーザー光源やLED光源が考えられる。また、図24に示すようにエルビウム添加増幅器(EDFA、32)からの自然放出光を用いた場合には、逆進光と位相変調器の偏波調整の工程を省略可能であるという利点が生じる。また、図26に示すように、信号光源の一部を分波器(31)によって分波しループバックして逆進光源を代用することも可能である。また、図26に示すように、信号光の一部を反射器(33)によって反射させて逆進させることによって逆進光源を代用することも可能である。これら逆進光源の代用法は、以下に示す他の実施例でも同様に適用可能である。
【0066】
位相変調器B(15B)と位相器(16)の配置順に優位差は無く、位相器(16)が位相変調器B(15B)よりも先に配置された場合でも本特許は問題なく適用可能である。以下に示す他の実施例でも同様に適用可能である。
【0067】
位相変調器や位相器の材料としては、LiNbO3(リチウムナイオベイト)、GaAsやInPなどの半導体など、いずれの材料でも本発明は適用可能である。
【0068】
位相変調器や位相器は集積された導波路上に形成された場合であっても、あるいはそれぞれ個別部品を結合して作製した場合であっても適用可能であり、以下に示す他の実施例でも同様に適用可能である。
【実施例2】
【0069】
本発明の第2の実施例を、図8、図27を用いて説明する。図8の構成に、図27に示すフローチャートに従って制御を施すことにより、図8に示す4値位相変調器の位相器(16)、及び2つの位相変調器(15A、15B)を安定に制御することが可能となる。つまり、制御1(位相変調器のバイアスの制御)を時定数t1で、制御2(位相器のバイアス、つまり直交性の制御)を字定数t2でそれぞれ独立に制御し、かつ、制御2の制御時定数t2を制御1の制御時定数t1より短くし、制御2をより高速に制御することにより、直交性制御を優先制御した状態で、それぞれの位相変調器のバイアスを制御することより、他方の位相変調器、位相器の影響を受けること無しに、位相器、位相変調器の制御が可能となる。
【0070】
制御時定数の差としては、例えばt1>10×t2のように1桁程度の差をつければ安定動作として申し分ないし、またサンプルホールド回路の制限など、時定数にある程度の選択の制約がある場合には数倍程度でも問題なく適用可能である。
【実施例3】
【0071】
本発明の第3の実施例を図28、図20を用いて説明する。図28の構成は図8の構成に加えて、バイアス1Aに低速周波数fA(28A)を重畳する回路(29A)、バイアス1Bに低速周波数fB(28B)を重畳する回路(29B)、が加わり、さらに、フォトダイオード(19)の出力に電気バンドパスフィルタ(30)が加わった構成となっている。
【0072】
図28の構成における制御1は実施例1と同様である。図26の構成における制御2は、フォトダイオード(19)の出力に設置された電気バンドパスフィルタ(30)により、前記2つの低周波信号の和の成分(fA+fB)あるいは差の成分(fA−fB)の周波数成分を抽出し、その絶対値をとった結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、位相器(16)のバイアス2(26)を制御する構成となっている。このように同期検波を用いて制御をおこなうことにより、制御2をより高精度に実施することが可能となる。
【0073】
この図28の構成において、図20に示すフローチャートに従って制御を施すことにより、図28に示す4値位相変調器の位相器(16)、及び2つの位相変調器(15A、15B)を安定に制御することが可能となる。つまり、制御1(位相変調器のバイアスの制御)に先立ち、制御2(位相器のバイアス、つまり直交性の制御)を優先的に実施し、直交性を確保した状態で、それぞれの位相変調器のバイアスを制御することより、他方の位相変調器、位相器の影響を受けること無しに、位相器、位相変調器の制御が可能となる。
【実施例4】
【0074】
本発明の第4の実施例を図28、図27を用いて説明する。図28の構成に、図27に示すフローチャートに従って制御を施すことにより、図28に示す4値位相変調器の位相器(16)、及び2つの位相変調器(15A、15B)を安定に制御することが可能となる。つまり、制御1(位相変調器のバイアスの制御)を時定数t1で、制御2(位相器のバイアス、つまり直交性の制御)を字定数t2でそれぞれ独立に制御し、かつ、制御2の制御時定数t2を制御1の制御時定数t1より短くし、制御2をより高速に制御することにより、直交性制御を優先制御した状態で、それぞれの位相変調器のバイアスを制御することより、他方の位相変調器、位相器の影響を受けること無しに、位相器、位相変調器の制御が可能となる。
【実施例5】
【0075】
本発明の第5の実施例を図29、図20を用いて説明する。図29の構成は図28の構成に含まれていたフォトダイオード(19)を省略し、変りにフォトダイオード(13)から出力をさらにもう1系統取り出して、これをバンドパスフィルタ(30)に入力した構成となっている。制御1は実施例1、3と同様であり、制御2はフォトダイオード(13)の出力に設置された電気バンドパスフィルタ(30)により、前記2つの低周波信号の和の成分(fA+fB)あるいは差の成分(fA−fB)の周波数成分を抽出し、その絶対値をとった結果が最小値となるよう、あるいはある定められた規定値以下となるように、位相器(16)のバイアス2(26)を制御する構成となっている。このように同期検波を用いて制御をおこなうことにより、制御2をより高精度に実施することが可能となる。
【0076】
この図29の構成において、図20に示すフローチャートに従って制御を施すことにより、図29に示す4値位相変調器の位相器(16)、及び2つの位相変調器(15A、15B)を安定に制御することが可能となる。つまり、制御1(位相変調器のバイアスの制御)に先立ち、制御2(位相器のバイアス、つまり直交性の制御)を優先的に実施し、直交性を確保した状態で、それぞれの位相変調器のバイアスを制御することより、他方の位相変調器、位相器の影響を受けること無しに、位相器、位相変調器の制御が可能となる。
【実施例6】
【0077】
本発明の第4の実施例を図29、図27を用いて説明する。図29の構成に、図27に示すフローチャートに従って制御を施すことにより、図29に示す4値位相変調器の位相器(16)、及び2つの位相変調器(15A、15B)を安定に制御することが可能となる。つまり、制御1(位相変調器のバイアスの制御)を時定数t1で、制御2(位相器のバイアス、つまり直交性の制御)を字定数t2でそれぞれ独立に制御し、かつ、制御2の制御時定数t2を制御1の制御時定数t1より短くし、制御2をより高速に制御することにより、直交性制御を優先制御した状態で、それぞれの位相変調器のバイアスを制御することより、他方の位相変調器、位相器の影響を受けること無しに、位相器、位相変調器の制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】4値位相変調器の一般構成。
【図2】MZ型変調器の消光特性。
【図3】MZ型変調器での位相変調の例。
【図4】4値位相変調器中の位相状態の例。
【図5】MZ型変調器での位相変調の例2(バイアス変位がある場合1)。
【図6】4値位相変調器中の位相状態の例2(バイアス変位がある場合1)。
【図7】4値位相変調器中の位相状態の例3(バイアス変位がある場合2)。
【図8】第一、第二の実施例構成
【図9】MZ型変調器での位相変調の例3(バイアス変位がある場合2)。
【図10】4値位相変調器の出力特性。
【図11】4値位相変調器の逆進光モニタ特性。
【図12】4値位相変調器の直交性劣化を説明する模式図。
【図13】4値位相変調器のRFパワーモニタ特性。
【図14】位相器バイアスに対する位相変調器バイアスの影響。
【図15】位相変調器バイアスに対する位相器バイアスの影響1。
【図16】位相変調器バイアスに対する位相器バイアスの影響2。
【図17】位相変調器バイアスに対する位相器バイアスの影響3。
【図18】位相変調器バイアスに対する位相器バイアスの影響を説明する模式図1。
【図19】位相変調器バイアスに対する位相器バイアスの影響を説明する模式図2。
【図20】第一、第三、第五の実施例における制御フロー。
【図21】位相器バイアス制御フロー例。
【図22】位相変調器バイアス制御フロー例1。
【図23】位相変調器バイアス制御フロー例2。
【図24】第一実施例構成の別の形態1。
【図25】第一実施例構成の別の形態1。
【図26】第一実施例構成の別の形態1。
【図27】第二、第四、第六の実施例における制御フロー。
【図28】第三、第四の実施例構成。
【図29】第五、第六の実施例構成。
【符号の説明】
【0079】
1:光源
2:分波器
3A,3B:位相変調器
4:位相器
5:合波器
6A、6B:バイアス1電圧源
7A、7B:データ源
8A,8B:バイアス重畳回路
9:バイアス2電圧源
11:光源1
12:逆進光用の分波器
13:フォトダイオード
14:分波器
15A,15B:位相変調器
16:位相器
17:合波器
18:分波器
19:フォトダイオード
20:逆進光用の合波器
21:逆進光用の光源2
22A、22B:バイアス1電圧源
23A、23B:データ源
24A、24B:バイアス重畳回路
25:制御回路1
26:バイアス2電圧源
27:制御回路2
28A、28B:低周波発信器
29A、29B:低周波信号重畳回路
30:バンドパスフィルタ
31:分波器
32:EDFA
33:反射器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4値位相変調器であって、
第一の光源から出力された光を2分して出力する光分波器と、
前記分波器から前記出力された2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する第一及び第二の位相変調器と、
前記第一の位相変調器から出力された光の位相をシフトして出力する位相器と、
前記位相器の出力光と、前記第二の位相変調器の出力光とを合波して出力する光合波器と。
前記第一の光源から出力された光とは逆方向に伝搬する逆進光を出力する第二の光源と、
前記第二の光源から出力された上記逆進光を前記合波器の出力端に導入する光カプラと、
前記逆進光の前記光分波器の入力端における光強度モニタ結果が最小値又は第一の所定値以下となるように、上記第一及び第二の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第一の制御手段と、
前記光合波器の出力光を通信ビットレート以下の周波数応答特性を持つフォトダイオードによりモニタした結果が最小値又は第二の所定値以下となるように、前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第二の制御手段を備え、
上記第二の制御手段における前記帰還制御を行った後に、前記第一の制御手段における前記帰還制御を行うことを特徴とする4値位相変調器。
【請求項2】
4値位相変調器であって、
第一の光源から出力された光を2分して出力する光分波器と、
前記分波器から前記出力された2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する第一及び第二の位相変調器と、
前記第一の位相変調器から出力された光の位相をシフトして出力する位相器と、
前記位相器の出力光と、前記第二の位相変調器の出力光とを合波して出力する光合波器と。
前記第一の光源から出力された光とは逆方向に伝搬する逆進光を出力する第二の光源と、
前記第二の光源から出力された上記逆進光を前記合波器の出力端に導入する光カプラと、
前記逆進光の前記光分波器の入力端における光強度モニタ結果が最小値又は第一の所定値以下となるように、上記第一及び第二の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第一の制御手段と、
前記光合波器の出力光を通信ビットレート以下の周波数応答特性を持つフォトダイオードによりモニタした結果が最小値又は第二の所定値以下となるように、前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第二の制御手段を備え、
上記第二の制御手段における前記帰還制御の制御時定数が、前記第一の制御手段における前記帰還制御の制御時定数よりも小さいことを特徴とする4値位相変調器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の4値位相変調器であって、
前記第二の光源及び前記光カプラに代えて、
前記第一の光源からの出力光の一部を分波して、前記光合波器の出力端からループバックする手段を備えることを特徴とする4値位相変調器。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の4値位相変調器であって、
前記第二の光源として、エルビウム添加ファイバ増幅器からの自然放出光を用いることを特徴とする4値位相変調器。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の4値位相変調器であって、
前記第二の光源として、LEDを用いることを特徴とする4値位相変調器。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の4値位相変調器であって、
前記第二の光源に代えて、
前記光合波器からの出力光の一部を反射してループバックする手段を備えたことを特徴とする4値位相変調器。
【請求項7】
4値位相変調器であって、
第一の光源から出力された光を2分して出力する光分波器と、
前記分波器から前記出力された2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する第一及び第二の位相変調器と、
前記第一の位相変調器から出力された光の位相をシフトして出力する位相器と、
前記位相器の出力光と、前記第二の位相変調器の出力光とを合波して出力する光合波器と。
前記第一の光源から出力された光とは逆方向に伝搬する逆進光を出力する第二の光源と、
前記第二の光源から出力された上記逆進光を前記合波器の出力端に導入する光カプラと、
前記逆進光の前記光分波器の入力端における光強度モニタ結果が最小値又は第一の所定値以下となるように、上記第一及び第二の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第一の制御手段を有し、
さらに、前記第一及び第二の位相変調器に印加される前記変調電気信号にはそれぞれ第一及び第二の低周波信号が重畳されており、
さらに、前記光合波器の出力光を光電変換した電気信号を前記第一及び第二の低周波信号の和の成分又は差の成分の周波数でフィルタリングし、該フィルタリングされた電気信号の強度の絶対値が最小値又は第二の所定値以下となるように前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第二の制御手段を備え、
上記第二の制御手段における前記帰還制御を行った後に、前記第一の制御手段における前記帰還制御を行うことを特徴とする4値位相変調器。
【請求項8】
4値位相変調器であって、
第一の光源から出力された光を2分して出力する光分波器と、
前記分波器から前記出力された2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する第一及び第二の位相変調器と、
前記第一の位相変調器から出力された光の位相をシフトして出力する位相器と、
前記位相器の出力光と、前記第二の位相変調器の出力光とを合波して出力する光合波器と。
前記第一の光源から出力された光とは逆方向に伝搬する逆進光を出力する第二の光源と、
前記第二の光源から出力された上記逆進光を前記合波器の出力端に導入する光カプラと、
前記逆進光の前記光分波器の入力端における光強度モニタ結果が最小値又は第一の所定値以下となるように、上記第一及び第二の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第一の制御手段を有し、
さらに、前記第一及び第二の位相変調器に印加される前記変調電気信号にはそれぞれ第一及び第二の低周波信号が重畳されており、
さらに、前記光合波器の出力光を光電変換した電気信号を前記第一及び第二の低周波信号の和の成分又は差の成分の周波数でフィルタリングし、該フィルタリングされた電気信号の強度の絶対値が最小値又は第二の所定値以下となるように前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第二の制御手段を備え、
上記第二の制御手段における前記帰還制御の制御時定数が、前記第一の制御手段における前記帰還制御の制御時定数よりも小さいことを特徴とする4値位相変調器。
【請求項9】
4値位相変調器であって、
第一の光源から出力された光を2分して出力する光分波器と、
前記分波器から前記出力された2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する第一及び第二の位相変調器と、
前記第一の位相変調器から出力された光の位相をシフトして出力する位相器と、
前記位相器の出力光と、前記第二の位相変調器の出力光とを合波して出力する光合波器と。
前記第一の光源から出力された光とは逆方向に伝搬する逆進光を出力する第二の光源と、
前記第二の光源から出力された上記逆進光を前記合波器の出力端に導入する光カプラと、
前記逆進光の前記光分波器の入力端における光強度モニタ結果が最小値又は第一の所定値以下となるように、上記第一及び第二の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第一の制御手段を有し、
さらに、前記第一及び第二の位相変調器に印加される前記変調電気信号にはそれぞれ第一及び第二の低周波信号が重畳されており、
さらに、前記光分波器の入力端における前記逆進光を光電変換した電気信号を前記第一及び第二の低周波信号の和の成分又は差の成分の周波数でフィルタリングし、該フィルタリングされた電気信号の強度の絶対値が最小値又は第二の所定値以下となるように前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第二の制御手段を備え、
上記第二の制御手段における前記帰還制御を行った後に、前記第一の制御手段における前記帰還制御を行うことを特徴とする4値位相変調器。
【請求項10】
4値位相変調器であって、
第一の光源から出力された光を2分して出力する光分波器と、
前記分波器から前記出力された2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する第一及び第二の位相変調器と、
前記第一の位相変調器から出力された光の位相をシフトして出力する位相器と、
前記位相器の出力光と、前記第二の位相変調器の出力光とを合波して出力する光合波器と。
前記第一の光源から出力された光とは逆方向に伝搬する逆進光を出力する第二の光源と、
前記第二の光源から出力された上記逆進光を前記合波器の出力端に導入する光カプラと、
前記逆進光の前記光分波器の入力端における光強度モニタ結果が最小値又は第一の所定値以下となるように、上記第一及び第二の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第一の制御手段を有し、
さらに、前記第一及び第二の位相変調器に印加される前記変調電気信号にはそれぞれ第一及び第二の低周波信号が重畳されており、
さらに、前記光分波器の入力端における前記逆進光を光電変換した電気信号を前記第一及び第二の低周波信号の和の成分又は差の成分の周波数でフィルタリングし、該フィルタリングされた電気信号の強度の絶対値が最小値又は第二の所定値以下となるように前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第二の制御手段を備え、
上記第二の制御手段における前記帰還制御の制御時定数が、前記第一の制御手段における前記帰還制御の制御時定数よりも小さいことを特徴とする4値位相変調器。
【請求項1】
4値位相変調器であって、
第一の光源から出力された光を2分して出力する光分波器と、
前記分波器から前記出力された2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する第一及び第二の位相変調器と、
前記第一の位相変調器から出力された光の位相をシフトして出力する位相器と、
前記位相器の出力光と、前記第二の位相変調器の出力光とを合波して出力する光合波器と。
前記第一の光源から出力された光とは逆方向に伝搬する逆進光を出力する第二の光源と、
前記第二の光源から出力された上記逆進光を前記合波器の出力端に導入する光カプラと、
前記逆進光の前記光分波器の入力端における光強度モニタ結果が最小値又は第一の所定値以下となるように、上記第一及び第二の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第一の制御手段と、
前記光合波器の出力光を通信ビットレート以下の周波数応答特性を持つフォトダイオードによりモニタした結果が最小値又は第二の所定値以下となるように、前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第二の制御手段を備え、
上記第二の制御手段における前記帰還制御を行った後に、前記第一の制御手段における前記帰還制御を行うことを特徴とする4値位相変調器。
【請求項2】
4値位相変調器であって、
第一の光源から出力された光を2分して出力する光分波器と、
前記分波器から前記出力された2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する第一及び第二の位相変調器と、
前記第一の位相変調器から出力された光の位相をシフトして出力する位相器と、
前記位相器の出力光と、前記第二の位相変調器の出力光とを合波して出力する光合波器と。
前記第一の光源から出力された光とは逆方向に伝搬する逆進光を出力する第二の光源と、
前記第二の光源から出力された上記逆進光を前記合波器の出力端に導入する光カプラと、
前記逆進光の前記光分波器の入力端における光強度モニタ結果が最小値又は第一の所定値以下となるように、上記第一及び第二の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第一の制御手段と、
前記光合波器の出力光を通信ビットレート以下の周波数応答特性を持つフォトダイオードによりモニタした結果が最小値又は第二の所定値以下となるように、前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第二の制御手段を備え、
上記第二の制御手段における前記帰還制御の制御時定数が、前記第一の制御手段における前記帰還制御の制御時定数よりも小さいことを特徴とする4値位相変調器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の4値位相変調器であって、
前記第二の光源及び前記光カプラに代えて、
前記第一の光源からの出力光の一部を分波して、前記光合波器の出力端からループバックする手段を備えることを特徴とする4値位相変調器。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の4値位相変調器であって、
前記第二の光源として、エルビウム添加ファイバ増幅器からの自然放出光を用いることを特徴とする4値位相変調器。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の4値位相変調器であって、
前記第二の光源として、LEDを用いることを特徴とする4値位相変調器。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の4値位相変調器であって、
前記第二の光源に代えて、
前記光合波器からの出力光の一部を反射してループバックする手段を備えたことを特徴とする4値位相変調器。
【請求項7】
4値位相変調器であって、
第一の光源から出力された光を2分して出力する光分波器と、
前記分波器から前記出力された2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する第一及び第二の位相変調器と、
前記第一の位相変調器から出力された光の位相をシフトして出力する位相器と、
前記位相器の出力光と、前記第二の位相変調器の出力光とを合波して出力する光合波器と。
前記第一の光源から出力された光とは逆方向に伝搬する逆進光を出力する第二の光源と、
前記第二の光源から出力された上記逆進光を前記合波器の出力端に導入する光カプラと、
前記逆進光の前記光分波器の入力端における光強度モニタ結果が最小値又は第一の所定値以下となるように、上記第一及び第二の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第一の制御手段を有し、
さらに、前記第一及び第二の位相変調器に印加される前記変調電気信号にはそれぞれ第一及び第二の低周波信号が重畳されており、
さらに、前記光合波器の出力光を光電変換した電気信号を前記第一及び第二の低周波信号の和の成分又は差の成分の周波数でフィルタリングし、該フィルタリングされた電気信号の強度の絶対値が最小値又は第二の所定値以下となるように前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第二の制御手段を備え、
上記第二の制御手段における前記帰還制御を行った後に、前記第一の制御手段における前記帰還制御を行うことを特徴とする4値位相変調器。
【請求項8】
4値位相変調器であって、
第一の光源から出力された光を2分して出力する光分波器と、
前記分波器から前記出力された2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する第一及び第二の位相変調器と、
前記第一の位相変調器から出力された光の位相をシフトして出力する位相器と、
前記位相器の出力光と、前記第二の位相変調器の出力光とを合波して出力する光合波器と。
前記第一の光源から出力された光とは逆方向に伝搬する逆進光を出力する第二の光源と、
前記第二の光源から出力された上記逆進光を前記合波器の出力端に導入する光カプラと、
前記逆進光の前記光分波器の入力端における光強度モニタ結果が最小値又は第一の所定値以下となるように、上記第一及び第二の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第一の制御手段を有し、
さらに、前記第一及び第二の位相変調器に印加される前記変調電気信号にはそれぞれ第一及び第二の低周波信号が重畳されており、
さらに、前記光合波器の出力光を光電変換した電気信号を前記第一及び第二の低周波信号の和の成分又は差の成分の周波数でフィルタリングし、該フィルタリングされた電気信号の強度の絶対値が最小値又は第二の所定値以下となるように前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第二の制御手段を備え、
上記第二の制御手段における前記帰還制御の制御時定数が、前記第一の制御手段における前記帰還制御の制御時定数よりも小さいことを特徴とする4値位相変調器。
【請求項9】
4値位相変調器であって、
第一の光源から出力された光を2分して出力する光分波器と、
前記分波器から前記出力された2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する第一及び第二の位相変調器と、
前記第一の位相変調器から出力された光の位相をシフトして出力する位相器と、
前記位相器の出力光と、前記第二の位相変調器の出力光とを合波して出力する光合波器と。
前記第一の光源から出力された光とは逆方向に伝搬する逆進光を出力する第二の光源と、
前記第二の光源から出力された上記逆進光を前記合波器の出力端に導入する光カプラと、
前記逆進光の前記光分波器の入力端における光強度モニタ結果が最小値又は第一の所定値以下となるように、上記第一及び第二の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第一の制御手段を有し、
さらに、前記第一及び第二の位相変調器に印加される前記変調電気信号にはそれぞれ第一及び第二の低周波信号が重畳されており、
さらに、前記光分波器の入力端における前記逆進光を光電変換した電気信号を前記第一及び第二の低周波信号の和の成分又は差の成分の周波数でフィルタリングし、該フィルタリングされた電気信号の強度の絶対値が最小値又は第二の所定値以下となるように前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第二の制御手段を備え、
上記第二の制御手段における前記帰還制御を行った後に、前記第一の制御手段における前記帰還制御を行うことを特徴とする4値位相変調器。
【請求項10】
4値位相変調器であって、
第一の光源から出力された光を2分して出力する光分波器と、
前記分波器から前記出力された2つの光の位相をそれぞれ変調して出力する第一及び第二の位相変調器と、
前記第一の位相変調器から出力された光の位相をシフトして出力する位相器と、
前記位相器の出力光と、前記第二の位相変調器の出力光とを合波して出力する光合波器と。
前記第一の光源から出力された光とは逆方向に伝搬する逆進光を出力する第二の光源と、
前記第二の光源から出力された上記逆進光を前記合波器の出力端に導入する光カプラと、
前記逆進光の前記光分波器の入力端における光強度モニタ結果が最小値又は第一の所定値以下となるように、上記第一及び第二の位相変調器に印加される変調電気信号のバイアス電圧のそれぞれを帰還制御する第一の制御手段を有し、
さらに、前記第一及び第二の位相変調器に印加される前記変調電気信号にはそれぞれ第一及び第二の低周波信号が重畳されており、
さらに、前記光分波器の入力端における前記逆進光を光電変換した電気信号を前記第一及び第二の低周波信号の和の成分又は差の成分の周波数でフィルタリングし、該フィルタリングされた電気信号の強度の絶対値が最小値又は第二の所定値以下となるように前記位相器に印加される電圧を帰還制御する第二の制御手段を備え、
上記第二の制御手段における前記帰還制御の制御時定数が、前記第一の制御手段における前記帰還制御の制御時定数よりも小さいことを特徴とする4値位相変調器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2009−81747(P2009−81747A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−250368(P2007−250368)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000153465)株式会社日立コミュニケーションテクノロジー (770)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000153465)株式会社日立コミュニケーションテクノロジー (770)
【Fターム(参考)】
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