説明

5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−アリール−1H−ピロール−3−カルボキサミドの調製方法

本発明は、5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−アリール−1H−ピロール−3−カルボキサミドの調製方法およびこのような方法の有用な中間体化合物に関する。この方法は、所望の生成物を高い収率および純度で得ることを可能にする。この合成は、アセタールとベータ−ケトエステルとのカップリングで開始し;得られる化合物をアセチル化した後、N,N−ジメチルホルムアミドのジアルキルアセタールと反応させて中間体を得、これを環化して5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−アリール−1H−ピロール−3−カルボン酸エステルとし;次に、このカルボン酸エステルを加水分解し、得られるカルボン酸を最後に適切な形態のアンモニアと縮合して、所望のカルボキサミドを得る。本発明の方法に従って調製される化合物は、プロテインキナーゼ阻害活性、特に、Cdc7またはCdc7/Cdks阻害活性がある。これらの化合物は、様々な癌、細胞増殖性障害およびプロテインキナーゼに関連する疾患の治療において有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−アリール−1H−ピロール−3−カルボキサミドの調製方法およびこのような方法の有用な中間化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
WO2007110344は、ヘテロ5員環類、これらの調製方法、これらを含む医薬組成物および、特に癌および細胞増殖障害の治療における、治療薬としてのこれらの使用を記載し、請求する。
【0003】
このような化合物にはプロテインキナーゼ阻害活性、特に、Cdc7またはCdc7/Cdks阻害活性がある。
【0004】
より具体的には、この発明によって調製される化合物は様々な癌および細胞増殖障害の治療において有用である。
【0005】
これらの化合物は他のプロテインキナーゼの阻害剤としても活性であり得、従って、他のプロテインキナーゼに関連する疾患の治療において有効であり得る。
【0006】
これらの化合物およびこれらの類似物は、所望のアミドを得るためのカルボン酸誘導体とアンモニアの活性化形態またはアミンのいずれかとの縮合反応を本質的に含む、公知の化学的方法に従って調製することができる。このようなカルボン酸誘導体自体は、ハロケトンとベータ−ケトエステルとのカップリング、ハンチ反応および加水分解を含む手順に従って調製される。参考までに、この手順は上述の特許出願WO2007110344に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2007/110344号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これに関して、我々はいまや、驚くべきことに、所望の生成物をより高い収率で得ることを可能にする方法によって、該ヘテロ5員環化合物を有利に調製できることを見出している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明の第1の目的は、式(I)の5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−アリール−1H−ピロール−3−カルボキサミド:
【0010】
【化1】

(式中、R1およびR2は独立して水素、ハロゲン、C−Cアルキル、(C−C)アルコキシ、シクロアルキル、アリールまたはニトロ基を表す。)
の調製方法であって:
a)式(II)のアセタール:
【0011】
【化2】

(式中、R3はC−Cアルキルであり、両方のR4は独立してC−Cアルキルであるか、または一緒になって、2もしくは3個の炭素原子を有し、および環状アセタールを形成するアルキレン鎖である。)
を式(III)のベータ−ケトエステルまたはこの塩:
【0012】
【化3】

(式中、R1およびR2は上で定義される通りであり、R5はC−Cアルキルである。)
と、最初に酸性条件下で、次いで求核条件下でカップリングさせ;
b)得られる式(IV)の化合物:
【0013】
【化4】

(式中、R1、R2およびR5は上で定義される通りである。)
をハロゲン化アセチルまたは無水酢酸を用いてルイス酸の存在下でアセチル化し;
c)得られる式(V)の化合物:
【0014】
【化5】

(式中、R1、R2およびR5は上で定義される通りである。)
をN,N−ジメチルホルムアミドのC−Cジアルキルアセタールと反応させ;
d)得られる式(VI)のエナミノン:
【0015】
【化6】

(式中、R1、R2およびR5は上で定義される通りである。)
をグアニジンまたはこの塩と反応させ;
e)得られる式(VII)化合物:
【0016】
【化7】

(式中、R1、R2およびR5は上で定義される通りである。)
のカルボン酸エステル基を加水分解し;
f)得られる式(VIII)の化合物:
【0017】
【化8】

(式中、R1およびR2は上で定義される通りである。)
のカルボン酸基をアンモニアの一形態と縮合させて上で定義される式(I)のカルボキサミドを得;所望により、これを医薬的に許容し得る塩に変換すること
を含む方法である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
あらゆる中間体および/または最終化合物を、通常の手順、例えば、クロマトグラフィーおよび/または結晶化および塩形成を用いて単離し、精製することができる。
【0019】
上で定義される式(I)のカルボキサミドを、医薬的に許容し得る塩に変換することができる。
【0020】
上で定義される式(I)のカルボキサミドまたはこれらの医薬的に許容し得る塩を、次に医薬的に許容し得る担体または希釈剤と配合して、医薬組成物を得ることができる。
【0021】
この新規方法をスキーム1に示す。
【0022】
【化9】

(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は上で定義される通りである。)
さらに、幾つかの有用な中間体化合物に加えて、これらの調製方法が本発明の別の目的である。
【0023】
本明細書において、用語
「ハロゲン」はブロモ、クロロ、ヨードまたはフルオロ、より好ましくは、クロロまたはフルオロを指し;
「C−Cアルキル」は1から6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖飽和脂肪族ヒドロカルビル基を指し;この用語はメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等のような基によって例示され;
「C−Cアルコキシ」は、酸素原子を介してこの分子の残部に連結する、1から6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖飽和脂肪族ヒドロカルビル基を指し;この用語はメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ等のような基によって例示され;
「シクロアルキル」は、単環または多環を有する、3から10個の炭素原子の環状アルキル基を指し、これには、例として、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル等が含まれ;
「アリール」は、単環(例えば、フェニル)または多縮合環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有し、この縮合環は結合点が芳香族炭素原子であるならば芳香族(例えば、2−ベンゾオキサゾリノン、2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オン−7−イル等)であってもなくてもよい、6から14個の炭素原子の芳香族炭素環基を指し;好ましいアリールにはフェニルおよびナフチルが含まれ;式Iの化合物の名において、アリールは上で定義されるR1およびR2で置換されるフェニルであり;
「ニトロ」は−NO基を指し;
「環状アセタール」は、R3がC−Cアルキルであり、両方のR4が一緒になって2から3個の炭素原子を有するアルキレン鎖である、上で定義される式(II)の化合物、即ち:
【0024】
【化10】

(式中、R3は上で定義される通りであり、nは2または3である。)
を指す。
【0025】
本発明の方法で調製される式(I)の化合物の好ましいクラスは、R1およびR2が水素、メチル基またはフルオロもしくはクロロ原子を独立して表し、より好ましくは、R1およびR2が両者ともクロロ原子であり、さらにより好ましくは、R1およびR2がベンゼン環の2、6位に存在する化合物である。
【0026】
好ましい具体的な式(I)の化合物は、以下に列挙される化合物である:
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−フェニル−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−o−トリル−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,3−ジメチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2−フルオロ−4−メチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2−フルオロ−3−メトキシ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド、および
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2−フルオロ−4−クロロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド。
【0027】
式(I)の化合物のより好ましいクラスは、R1およびR2がクロロ原子である化合物である。
【0028】
最も好ましい式(I)の化合物は、5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミドである。
【0029】
上述のように、本発明は式(IV)’の中間体化合物:
【0030】
【化11】

(式中、R1’およびR2’はハロゲン原子であり、R5は上で定義される通りである。)
をも提供する。
【0031】
上で定義される式(IV)の中間体化合物の調製方法であって、上で定義される式(II)のジアルキルアセタールを上で定義される式(III)のベータ−ケトエステルまたはこの塩と、最初に酸性条件下で、次いで求核条件下で、カップリングさせることによる方法が、本発明のさらなる目的である。
【0032】
本発明は式(V)の中間体化合物:
【0033】
【化12】

(式中、R1、R2およびR5は上で定義される通りである。)
をも提供する。
【0034】
上で定義される式(V)の中間体化合物の調製方法であって、上で定義される式(IV)の化合物をハロゲン化アセチルまたは無水酢酸を用いてルイス酸の存在下で処理することによる方法が、本発明のさらに別の目的である。
【0035】
式(VI)の中間体エナミノン:
【0036】
【化13】

(式中、R1、R2およびR5は上で定義される通りである。)
も提供される。
【0037】
上で定義される式(VI)の中間体エナミノンの調製方法であって、上で定義される工程a)からc)を特徴とする方法が、本発明のさらに別の目的である。
【0038】
上で定義される式(VI)の中間体エナミノンの調製方法であって、上で定義される式(V)の化合物とN,N−ジメチルホルムアミドのジアルキルアセタールとの反応による方法が、本発明のさらに別の目的である。
【0039】
工程a)によると、式(IV)の化合物をもたらす式(II)のジアルキルアセタールと式(III)のベータ−ケトエステルまたはこの塩とのカップリングは、強酸性条件下で、例えば、トリフルオロ酢酸(TFA)を溶媒として用いて行う。好ましくは、ベータ−ケトエステルは塩であり、より好ましくは、ベータ−ケトエステルはイミダゾール塩である。この反応は室温から還流温度の温度、好ましくは、室温から60°の温度で行うことができる。その後、反応混合物を求核条件下、含水アルコール溶液、例えば、エタノール/水酸化ナトリウム中で処理する。
【0040】
工程b)によると、対応する式(V)のアセチル化誘導体を得る式(IV)の化合物のアセチル化を、塩化アセチルを用いて、ルイス酸、例えば、三塩化アルミニウムまたは四塩化チタンの存在下、−5℃から室温の温度、有機溶媒、例えば、ジクロロメタン中で行う。同様の反応がJ.Het.Chem.1983,20,61に記載されている。
【0041】
工程c)によると、式(V)の化合物とN,N−ジメチルホルムアミドのジアルキルアセタール、例えば、ジメチルアセタールまたはジイソプロピルアセタールとの反応は室温から還流温度の温度で行うことができる。好ましくは、反応は60°から100℃の温度で、有機溶媒、例えば、ジオキサン中で行う。類似の変換が,例えば、Heterocycles 1998,47,689に記載された。
【0042】
工程d)によると、式(VI)の化合物とグアニジンまたはこの塩との反応は室温から還流温度の温度で行うことができる。好ましくは、グアニジン塩は塩酸塩または炭酸塩である。好ましくは、反応は60℃から還流温度の温度、有機溶媒、例えば、エタノール中で行う。このような種類の変換は科学文献、例えば、J.Het.Chem.1989,26,1147に記載されている。
【0043】
工程e)によると、式(VII)の化合物の加水分解は当分野における熟練者に周知の方法で行い、好ましくは、希NaOHおよび有機溶媒、例えば、ジオキサンの混合液中、60℃から還流温度の温度で行う。
【0044】
工程f)によると、式(VIII)の化合物の縮合は当分野における熟練者に周知の方法で行い、好ましくは、有機溶媒、例えば、ジオキサン中、室温から80℃の温度で、縮合剤、例えば、カルボニルジイミダゾールおよびアンモニアの適切な源、例えば、30%アンモニア水を用いて行う。
【0045】
本発明の方法において用いられる出発化合物および試薬は周知化合物であるか、または周知の方法を用いて周知化合物から得ることができる。
【0046】
特に、式(II)のジアルキルアセタールは、商業的に入手できないとき、当分野における熟練者に周知の異なる方法で調製することができる。
【0047】
例えば、N−(2,2−ジメトキシエチル)アセトアミドの調製が以下に記載される。
【0048】
式(III)のベータ−ケトエステルまたはこの塩は、商業的に入手できないとき、文献中の参考資料による異なる方法で調製することができる。例えば、ベータ−ケトエステルへの酸ホモロゲーションは、J.Med.Chem.2001,44,90に記載されているように塩化アシルもしくはカルボン酸から2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(メルドラム酸)での活性化により;J.Het.Chem.1990,27,1609に報告されているように塩化アシルおよびマロン酸水素エチルから;Can.J.Chem.1992,1323に示されるようにアリールエタノンからジエチルカルボネートを用いて;または、Synthetic Communications 1990,20,773に報告されている、二置換安息香酸から縮合剤の存在下での式(IX)の商業的に入手可能なマロネート(式中、Mは金属、例えば、カリウムであり、R3は上で定義される通りである。)との反応により達成することができる。
【0049】
【化14】

【0050】
例えば、エチル3−(2,4−ジクロロフェニル)−3−オキソプロパノエートイミダゾール塩の調製が以下に記述される。
【0051】
以下の例は本発明を説明するが、これを限定するものではない。
【0052】
出発物質の調製。
【0053】
A)N−(2,2−ジメトキシエチル)アセトアミド(II、R3=R4=CH
【0054】
【化15】

8.2mLの塩化アセチルを150mlの酢酸エチル、11.2mLの2,2−ジメトキシエタンアミンおよび21mLのトリエチルアミンの溶液に室温で添加した。1時間後、1.5mLのエタノールを添加した。生じる懸濁液をさらに1時間撹拌した後、濾過した。酢酸エチルを蒸発によって濾液から除去することで標題化合物を油として得、これをさらに精製することなしに用いた。
【0055】
−NMR(DMSOd)、δppm:7.85(s broad,1H);4.30(t;1H);3.25(s,6H);3.10(t,2H);1.80(s,3H)。
【0056】
B)エチル3−(2,4−ジクロロフェニル)−3−オキソプロパノエートイミダゾール塩(III、R1=R2=Cl、R5=エチル)
【0057】
【化16】

20℃に冷却した反応器内で、DMF 5L中に3.76KgのカルボニルジイミダゾールをDMF 25L中に4Kgの2,4−ジクロロ−安息香酸の溶液に添加した。2時間後、2.4KgのMgClおよび7.16Kgのマロン酸モノエチルカリウムを添加した。この混合物を反応が完了するまで(HPLCによって監視)撹拌下で100℃に加熱した後、室温まで冷却し、80Lの水中に滴下することで固体を析出させる。次に、この固体を濾過によって回収することで8.33Kgの標題化合物を得、これをさらに精製することなしに用いた。
【0058】
−NMR(DMSOd)、δppm:7.65(s,1H);7.55(s,1H);.4(s,2H);7.1(s broad,1H);6.9(s broad,1H);4.7(s,1H);4.0(q,1H);1.15(t,3H)。
【実施例】
【0059】
実施例1
工程a)
エチル2−(2,4−ジクロロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキシレート(IV、R1=R2=Cl、R5=エチル)
【0060】
【化17】

調製A)において得られた油(IIa)の総量に、上で報告されるように得られた31gのエチル3−(2,4−ジクロロフェニル)−3−オキソプロパノエートイミダゾール塩(IIIa)および30mLのTFAを添加した。この反応混合物を60℃で60分間加熱した後、蒸発によってTFAを除去し、油性残滓を450mLの酢酸エチルに溶解して、300mLの水、次いで300mLのNaHCO飽和溶液で2回洗浄した。有機層を回収し、溶媒を蒸発させることで暗色油を得た。この油を100mLのエタノールおよび50mLのNaOHの2N溶液で処理し、生じる反応混合物を室温で一晩撹拌した後、濾過して標題化合物を白色から黄色がかった固体として得た(7.2g)。
【0061】
−NMR(DMSOd)、δppm:7.7(d,1H);7.45(dd,1H);7.4(d,1H);6.87(d,1H);6.5(d,1H);4.0(q,2H);1.0(t,3H)。
【0062】
同じ手順を反復し、必要な量の、同じ物理化学的特性を有する標題化合物を得た。
【0063】
工程b)
エチル5−アセチル−2−(2,4−ジクロロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキシレート(V、R1=R2=Cl;R5=エチル)
【0064】
【化18】

室温の丸底フラスコ内で11.8gのエチル2−(2,4−ジクロロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキシレート(IVa)を230mLのジクロロメタンに溶解することで黄色懸濁液を得た。次に、4.72mLの塩化アセチル、次いで16.5gのAlClをこの黄色懸濁液に添加することで赤色溶液の形成を観察した。30分後に反応が完了し、激しい撹拌の下、40℃未満の温度を保持しながら、反応混合物を230mLのHClの2N溶液中に滴下した。この最終不均一混合物を4℃で2時間冷却した後に濾過し、得られる固体を20mlの水で洗浄することで標題化合物9.4gの第1クロップを得た。
【0065】
有機層を二相母液から分離し、蒸発によって小容積に減少させた。生じる油を20mLのエタノールで処理し、−20℃に1時間冷却した。濾過することで2.1gの標題化合物を得ることによって第2クロップを得た。これら2つのクロップを合わせて11.5gの標題化合物を得、これをさらに精製することなしに用いた。
【0066】
−NMR(DMSOd)、δppm:7.57(d,1H);7.45(s,1H);7.41(dd,1H);7.37(d,1H);4.10(q,2H);1.1(t,3H)。
【0067】
工程c)
エチル2−(2,4−ジクロロフェニル)−5−[3−(ジメチルアミノ)プロプ−2−エノイル]−1H−ピロール−3−カルボキシレート(VI、R1=R2=Cl;R5=エチル)
【0068】
【化19】

10.6gのエチル5−アセチル−2−(2,4−ジクロロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキシレート(V)に37mLのジオキサンおよび27mLのN,N−ジメチルホルムアミドのジイソプロピルアセタールを添加した。この反応混合物を95℃で12時間加熱した後、室温まで冷却して濾過した。固体を10mlのジオキサンで3回洗浄することで11.7gの標題化合物が白色固体として得られ、これをさらに精製することなしに用いた。
【0069】
−NMR(DMSOd)、δppm:7.7(d,1H);7.6(d,1H);7.45(dd,1H);7.40(d,1H);7.2(s,1H);5.75(d,1H);4.0(q,2H);3.1(s broad,3H);2.9(s broad,3H);1.05(t,3H)。
【0070】
同じ手順を反復し、必要な量の、同じ物理化学的特性を有する標題化合物を得た。
【0071】
工程d)
エチル5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキシレート(VII、R1=R2=Cl;R5=エチル)
【0072】
【化20】

12.9gのエチル2−(2,4−ジクロロフェニル)−5−[3−(ジメチルアミノ)プロプ−2−エノイル]−1H−ピロール−3−カルボキシレート(VIa)を200mLのエタノールに溶解した。8.1gの塩酸グアニジンおよび28mLの21%w/w EtOH中EtONaを添加し、得られる溶液を還流温度で24時間撹拌した。エタノールを蒸発させ、残滓を200mLの酢酸エチルに溶解した。有機相を200mLの水、次いで200mlの水溶液(96%水、1.5%酢酸、2.5%食塩水)で洗浄した。次に、蒸発によって有機層を小容積まで濃縮し、4℃で2時間冷却した。濾過によって固体を回収することで8.9gの標題化合物を得た。濾過によって母液を小容積まで減少させ、20mLのペンタンを添加した;この混合物を4℃で2時間冷却した後に濾過し、1.6gの標題化合物を白色から黄色がかった固体として得た。これら2つのクロップを合わせて10.5gの標題化合物を得、これをさらに精製することなしに用いた。
【0073】
−NMR(DMSOd)、δppm:8.20(d,1H);7.71(s broad,1H);7.48(s,2H);7.27(s,1H);7.00(d,1H);6.40(s broad,2H);4.02(q,2H);1.05(t,3H)。
【0074】
工程e)
(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸(VIII、R1=R2=Cl)
【0075】
【化21】

10.5gのエチル5−(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボキシレート(VIla)を80mlのジオキサン、100mlの水および10mlの35%w/w NaOH溶液で処理した。この混合物を還流温度で8時間加熱した。次に、100mlの酢酸エチルおよび100mlの水を添加した。水相を分離し、HClの6N溶液を添加することによってこのpHを6に調整した後、濾過して標題化合物(10.1g)を明黄色固体として得、これをさらに精製することなしに用いた。
【0076】
H NMR(DMSO−d/400MHz)δppm:8.2(d,1H);7.7(m,1H);7.46(s broad,2H);7.2(s,1H);6.95(d,1H);6.4(s broad,2H)
MS:m/z 347[M−H]。
【0077】
工程f)
(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド(I、R1=R2=Cl)
【0078】
【化22】

ジオキサン80mL中に9.3gのカルボニルジイミダゾールの溶液をジオキサン50mL中に10.1gの(2−アミノピリミジン−4−イル)−2−(2,4−ジクロロフェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸(VIlla)の混合物中に60℃で滴下した。さらに4.9gのカルボニルジイミダゾールを3回に分けて60℃で反応混合物に添加した。この反応物を室温まで冷却した後、15mLの30%w/w NH水溶液を添加し、反応混合物を室温で3日間撹拌した。濾過によって固体を回収し、1:1:1比の水中30%w/wのNH,水およびジオキサンによって構成される溶液15mLで洗浄することで8.1gの標題化合物を黄色固体として得た。
【0079】
H NMR(DMSO−d/400MHz)δppm 6.81(bs,1H)6.95(bs,2H)7.01(d,J=5.73Hz,1H)7.37(bs,1H)7.46(d,J=2.68Hz,1H)7.68(dd,J=1.77、0.55Hz,1H)8.23(d,J=5.73Hz,1H)12.17(bs,1H);ESI(+)MS:m/z 348(MH)。
【0080】
実施例2
実施例1の工程a−fに記述されるように操作し、式
(III、R1=R2=H);
(III、R1=CH、R2=H);
(III、R1=R2=CH);
(III、R1=R2=F);
(III、R1=Cl、R2=H);
(Ill、R1=Cl、R2=F);
(III、R1=Cl、R2=OCH)および
(III、R1=F、R2=Cl)
の適切に置換されたベータ−ケトエステルまたはこの塩から出発して、それぞれ以下の化合物を得た:
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−フェニル−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−o−トリル−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,3−ジメチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2−フルオロ−4−メチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2−フルオロ−3−メトキシ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド、および
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2−フルオロ−4−クロロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−アリール−1H−ピロール−3−カルボキサミド:
【化1】

(式中、R1およびR2は独立して水素、ハロゲン、C−Cアルキル、(C−C)アルコキシ、シクロアルキル、アリールまたはニトロ基を表す。)
の調製方法であって:
a)式(II)のアセタール:
【化2】

(式中、R3はC−Cアルキルであり、両方のR4は独立してC−Cアルキルであるか、または一緒になって、2もしくは3個の炭素原子を有し、および環状アセタールを形成するアルキレン鎖である。)
を式(III)のベータ−ケトエステルまたはこの塩:
【化3】

(式中、R1およびR2は上で定義される通りであり、R5はC−Cアルキルである。)
と、最初に酸性条件下で、次いで求核条件下でカップリングさせ;
b)得られる式(IV)の化合物:
【化4】

(式中、R1、R2およびR5は上で定義される通りである。)
をハロゲン化アセチルまたは無水酢酸を用いてルイス酸の存在下でアセチル化し;
c)得られる式(V)の化合物:
【化5】

(式中、R1、R2およびR5は上で定義される通りである。)
をN,N−ジメチルホルムアミドのC−Cジアルキルアセタールと反応させ;
d)得られる式(VI)のエナミノン:
【化6】

(式中、R1、R2およびR5は上で定義される通りである。)
をグアニジンまたはこの塩と反応させ;
e)得られる式(VII)化合物:
【化7】

(式中、R1、R2およびR5は上で定義される通りである。)
のカルボン酸エステル基を加水分解し;
f)得られる式(VIII)の化合物:
【化8】

(式中、R1およびR2は上で定義される通りである。)
のカルボン酸基をアンモニアの一形態と縮合させて上で定義される式(I)のカルボキサミドを得;所望により、これを医薬的に許容し得る塩に変換することを含む方法。
【請求項2】
式(IV)’の中間体化合物:
【化9】

(式中、R1’およびR2’はハロゲン原子であり、R5は請求項1において定義される通りである。)。
【請求項3】
請求項1において定義される式(IV)の化合物の調製方法であって、請求項1において定義される式(II)のジアルキルアセタールを請求項1において定義される式(III)のベータ−ケトエステルまたはこの塩と、最初に酸性条件下で、次いで求核条件下で、カップリングさせることを含む方法。
【請求項4】
トリフルオロ酢酸を溶媒として用いる強酸性条件下、室温から還流温度の温度でカップリングを行い;次に、この反応混合物を求核条件下、含水アルコール性溶液、例えば、エタノール/水酸化ナトリウム中で処理することを特徴とする、請求項1または3に記載の方法。
【請求項5】
ベータ−ケトエステルがイミダゾール塩であることを特徴とする、請求項1、3または4に記載の方法。
【請求項6】
式(V)の中間体化合物:
【化10】

(式中、R1、R2およびR5は請求項1において定義される通りである。)。
【請求項7】
請求項6において定義される式(V)の化合物の調製方法であって、請求項1において定義される式(IV)の化合物をハロゲン化アセチルまたは無水酢酸を用いてルイス酸の存在下で処理することを含む方法。
【請求項8】
アセチル化を、塩化アセチルを用いて、ルイス酸、例えば、三塩化アルミニウムもしくは四塩化チタンの存在下、−5℃から室温の温度で行うか、または有機溶媒、例えば、ジクロロメタン中で行うことを特徴とする、請求項1または7に記載の方法。
【請求項9】
式(VI)の中間体エナミノン:
【化11】

(式中、R1、R2およびR5は請求項1において定義される通りである。)。
【請求項10】
請求項9において定義される式(VI)の化合物の調製方法であって、請求項1において定義される工程a)からc)を含む方法。
【請求項11】
請求項9において定義される式(VI)の化合物の調製方法であって、請求項6において定義される式(V)の化合物とN,N−ジメチルホルムアミドのジアルキルアセタールとを反応させることを含む方法。
【請求項12】
N,N−ジメチルホルムアミドのジアルキルアセタール、例えば、ジメチルまたはジイソプロピルアセタールを用い、ジオキサンのような有機溶媒中、室温から還流温度の温度で反応を行うことを特徴とする、請求項1、10または11に記載の方法。
【請求項13】
式(I)の化合物が:
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−フェニル−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−o−トリル−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(4−フルオロ−2−メチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,3−ジメチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2−フルオロ−4−メチル−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,3−ジクロロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド;
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2−フルオロ−3−メトキシ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミドまたは
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2−フルオロ−4−クロロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド
であることを特徴とする、請求項1、3から5、7から8または10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
式(I)の化合物が:
5−(2−アミノ−ピリミジン−4−イル)−2−(2,4−ジクロロ−フェニル)−1H−ピロール−3−カルボン酸アミド
であることを特徴とする、請求項1、3、5、7から8または10から12のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2013−510110(P2013−510110A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537345(P2012−537345)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【国際出願番号】PCT/EP2010/066241
【国際公開番号】WO2011/054714
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(307012403)ネルビアーノ・メデイカル・サイエンシーズ・エツセ・エルレ・エルレ (55)
【Fターム(参考)】