説明

5HT6モジュレーターおよびコリンエステラーゼインヒビターを含む組み合わせ

本発明は、5−HTレセプターモジュレーターに関する。アリールアミン化合物およびアセチルコリンエステラーゼインヒビターを含む組成物、ならびにこれら化合物の使用が開示される。このような使用は、例えば、アルツハイマー病および記憶障害、ならびに統合失調症のような精神的障害の処置、転形および/または予防を含む。特定の実施形態では、ドネペジル塩酸塩、および[1−(5−クロロ−2,3−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−(2−メタンスルホニル−5−ピペラジン−1−イル−フェニル)−アミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルを含む組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2006年6月26日に出願された米国特許出願第60/816,517号への優先権を主張し、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(分野)
本発明は、一般に、セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン、または5−HT)レセプターモジュレーター、例えば、5−HTアンタゴニスト、アゴニスト、逆アゴニスト、または部分的アゴニストの分野に、そしてより詳細には置換アリールアミン化合物、特に(アセチル)コリンエステラーゼインヒビターとともにこれらの化合物の使用、そして、例えば、生理学的または精神障害状態の処置、転形および/または予防における薬学的組成物におけるこれらの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
セロトニン作動性レセプターは、アルツハイマー病、認知障害、過敏性腸症候群、悪心、嘔吐(emesis)、嘔吐(vomiting)、動揺促進病(prokinesia)、胃食道逆流性疾患、非潰瘍消化不良、うつ病、不安、尿失禁、片頭痛、不整脈、心房性細動、虚血性脳卒中、胃炎、胃空虚障害、摂食障害、胃腸障害、便秘、勃起機能不全、および呼吸低下のような種々の障害において、それら自体を表す種々の生理学的機能に影響することが示されている。
【0004】
複数のセロトニン(5−ヒドロキシトリプタミンまたは5−HT)セロトニンレセプターサブタイプが同定され、そしてクローン化されている。これらのうちの1つ、5−HTレセプターは、いくつかのグループによってクローン化されている(非特許文献1;非特許文献2を参照のこと)。この5−HTレセプター(5−HT6R)は、アデニリルシクラーゼと積極的に結合し、そしてグルタメート、アスパルテートおよびアセチルコリンを含むいくつかの神経伝達物質システムを調節する。5−HT6Rは、嗅結節、線条、側坐核に主に局在化しており、そしてまた、扁桃および視床下部でより低いレベルで見出される。5−HTレセプターに対して高められた親和性および選択性をもつ化合物が、多数の研究において(例えば、非特許文献3により;そして特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4のような特許公報中で)同定されている。5−HTmRNAは、ほとんど排他的に脳中に存在しているようであり、末梢組織におけるその存在についてはほとんど証拠はない。従って、5−HT拮抗は、起こり得る末梢副作用を有することなく、神経精神病学障害(例えば、アルツハイマー病、統合失調症)に関連する認知欠損を処置するための有望なアプローチとして提案されている。
【0005】
認知欠損は、アルツハイマー病ならびにその他の神経学的および精神病学的障害の衰弱特徴である。蓄積する証拠は種々の動物モデルおよび認識アッセイにおいて認識における、5−HT6レセプターの役割を支持し、例えば、5−HT6レセプター遮断は、Morris水迷路における空間的記憶の保持(非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7)、新規対象識別(NOD)における非空間的認識記憶(非特許文献8;非特許文献9)、および種々の認識課題におけるスコポラミン誘導欠損の逆転(非特許文献10;非特許文献11)を改善した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第00/34242号パンフレット
【特許文献2】国際公開第99/37623号パンフレット
【特許文献3】国際公開第99/42465号パンフレット
【特許文献4】国際公開第99/02502号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Ruat,Mら(1993)Biochm.Biophys.Res.Commun.193:268−276
【非特許文献2】Sebben,Mら(1994)NeuroReport 5:2553−2557
【非特許文献3】Issac,Mら(2000)Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 10:1719〜1721
【非特許文献4】Foleyら、2004、Neuropsychopharmacology 29:93〜100
【非特許文献5】RogresおよびHagan 2001、Psychopharmacology 158:114〜119
【非特許文献6】Steanら 2002、Pharmacol Biochem Behave 71:645〜54
【非特許文献7】Wooleyら 2001、Neuropsychopharmacology 41:210〜219
【非特許文献8】Kingら 2004 Neuropsychopharmacology 47:195〜204
【非特許文献9】Schreiber 2007 Eur Neuropsychopharmacol 17:277〜288
【非特許文献10】Liebenら、2005、Neuropsychopharmacology 30:2169〜2179
【非特許文献11】Woolleyら 2003、Psychopharmacology 170:358〜367
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
(要旨)
本発明は、一部、アルツハイマー病、記憶状態、認知障害、およびうつ病を処置、予防または治療するための5−HTモジュレーター、およびコリンエステラーゼまたはアセチルコリンエステラーゼインヒビターを含む組成物または組み合わせの使用に関する。このような組成物および方法は、式
【0009】
【化1】

を有し得る、5−HTモジュレーター、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはエステルを含み、
ここで、nは、0、1、2、3、または4であり得;Aは、存在するとき(すなわち、n>0)低級アルキル基、例えば、−CH−CH(ピペラジンを形成する)、または−CH−CH−CH−(アザピン環を形成する)であり得;Rは、水素、または置換もしくは非置換アルキル(例えば、低級アルキル)もしくはアリールであり得;Rは、水素;ハロ;ニトロ;シアノ、低級アルコキシ;カルボン酸塩またはそのアルキル(例えば、低級アルキル)エステル、例えば、CORであり得、ここで、Rは非置換もしくはモノ−置換フェニル、ジ−置換フェニルもしくはトリ−置換フェニル、ビフェニル、複素環式、または縮合芳香族もしくは複素環式環、例えば、ナフチルもしくはテトラヒドロナフチル;スルホン(例えば、SO、ここで、Rは、例えば、置換もしくは非置換アルキル、ハロアルキル、またはヘテロアリールであり得る);ハロアルキルまたはハロアルコキシ、例えば、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、もしくはトリフルオロメチルまたはメトキシ;アルキルアミド;アセトアルデヒド;カルボキシアミド;カルボミル;アルコキシアミノカルボニル;または置換アリールアルキルアミノであり得;そしてRおよびRは、独立に、水素、置換もしくは非置換アルキル(例えば、低級アルキル)、アリール(置換もしくは非置換)、アルキルアリール、ヘテロアリールもしくはアルキルヘテロアリール、またはRおよびRは、一緒になって、置換もしくは非置換アリール、アルキルアリール、ヘテロアリールまたはアルキルヘテロアリール基(例えば、非置換もしくはモノ−置換フェニル、ジ−置換フェニルまたはトリ−置換フェニル、ビフェニル)または縮合芳香族もしくは複素環式環(例えば、ナフチル、テトラヒドロナフチルまたはベンゾチオフェン)を形成し得;Bは、存在しないかまたは存在し得、そして存在する場合、低級アルキル(例えば、メチレンまたはカルボニル基)であり得;そしてXおよびYは、独立にCまたはNであり得;この第1の化合物は、いくつかの実施形態では、上記組成物中に、単独で投与される場合、記憶を実質的に増大しない量で存在し得る。上記組成物はまた、コリンエステラーゼまたはアセチルコリンエステラーゼインヒビターである第2の化合物を含み得、これは、患者に単独で投与される場合、実質的に記憶を増大しない量で存在し得る。
【0010】
式Iの化合物はまた、Rが、例えば、H、CH、n−プロピル、c−プロピル、i−ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、フェニルまたはベンジルであり得;Aが、CH、(−CH−CH−)、または(−CH−CH−CH−)であり得;nが、0、1、2、3、または4であり得;Bが存在せず;Rが、水素;窒素;低級アルコキシ;スルホン(例えば、SO、ここで、Rは、例えば、置換もしくは非置換アルキル、ハロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり得る);ハロアルキルまたはハロアルコキシ、例えば、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、もしくはトリフルオロメチルまたはメトキシ;アルキルアミドであり得;RおよびRが、独立に、低級アルキルもしくはアリールもしくはアリキルアリールであり得;ならびにXおよびYが両者ともCであるような化合物を含む。
【0011】
別の実施形態では、開示される化合物は、式II
【0012】
【化2】

で表される5−HTモジュレーター、またはその薬学的に受容可能な塩、および/またはエステル、ならびにコリンエステラーゼまたはアセチルコリンエステラーゼインヒビターを含み、
ここで、Rは、水素、または置換もしくは非置換アルキル(例えば、低級アルキル)であり得;Rは、水素;ハロ;ニトロ;シアノ、低級アルコキシ;カルボン酸塩またはそのアルキル(例えば、低級アルキル)エステル;スルホン(例えば、SO、ここで、Rは、例えば、置換もしくは非置換アルキル、ハロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり得る);ハロアルキルまたはハロアルコキシ、例えば、モノ−、ジ−、もしくはトリフルオロメチルまたはメトキシ;アルキルアミド;アセトアルデヒド;カルボキシアミド;カルボミル;アルコキシアミノカルボニル;または置換アリールアルキルアミノであり;そしてRおよびRは、独立に、水素、置換もしくは非置換アルキル(例えば、低級アルキル)、アリール(置換もしくは非置換)、アルキルアリール、ヘテロアリールもしくはアルキルヘテロアリールであり得;またはRおよびRは一緒になって、置換もしくは非置換アリール、アルキルアリール、ヘテロアリールまたはアルキルヘテロアリール基を形成する;
企図される組成物は、式III
【0013】
【化3】

で表されるN−ベンジル−3−ピペラジニルベンゼンアミン化合物、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはエステルを含み得、ここで、R、R、RおよびRは、独立に、水素、ハロもしくは低級アルコキシであり得るか、または2つの隣接するR、R、RまたはR低級アルコキシ基は、それらが結合されるベンジル環と一緒になって、合わさって複素環式環を形成し得;Rは、水素または低級アルコキシであり得;そしてRは、スルホン(例えば、例えば、SOR、ここで、Rは、例えば、置換もしくは非置換アルキル、ハロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり得る);NO、またはCOCFであり得る。2つの置換基が隣接する炭素原子上に存在するとき、例えば、芳香族または炭素環式環上のこれら置換基は、それらが結合する環と一緒に、5員環または7員環を形成し得る(例えば、これら置換基がメトキシであるとき、ジオキサンまたはジオキソロン環が形成され得る)。
【0014】
例えば、企図される組成物は、式IV
【0015】
【化4】

で表されるN−ベンジル−3−ピペラジニル化合物、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはエステルを含み得、ここで、Rは、ニトロ;低級アルコキシ、例えば、メチル;チオハロ(例えば、チオフルオロ)メタノン;スルホニル;またはアルキル(例えば、低級アルキル)スルホニルであり得る。Rは、直鎖または分岐C、CまたはC低級アルキレンであり得、そしてnは、0、1または2であり得る。Rは、単一または複合環式環、例えば、置換もしくは非置換アリール、ナフチル、またはクロマンである。R上の置換基は、低級アルコキシ、例えば、C、CまたはC;ハロ;低級アルキル、例えば、C、CまたはCを含み得る。Rは、1つ以上、例えば、1、2、3または4の置換基を有し得る。2つの置換基が隣接する炭素原子上に存在するとき、芳香族または炭素環式環上のこれら置換基は、それらが結合する環と一緒に、5員環または7員環を形成し得る(例えば、これら置換基がメトキシであるとき、ジオキサンまたはジオキソロン環が形成され得る)。したがって、これら2つの置換基は、一緒になって置換もしくは非置換アリール、アルキルアリール、ヘテロアリールまたはアルキルヘテロアリール基(例えば、非置換もしくはモノ置換フェニル、ジ置換フェニルもしくはトリ置換フェニル、ビフェニル)、または縮合芳香族もしくは複素環式環(例えば、ナフチルもしくはテトラヒドロナフチルもしくはベンゾチオフェン)を形成し得る。
【0016】
開示される組成物中に含まれ得る第2の化合物、すなわち、コリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターは:メトリフォネート(metrifonate)、ネオスチグミン、フィゾスチグミン、ピリドスチグミン、ガランタミン/ガランサミン(galanthamine)、ドネペジル(Aricept(登録商標))、タクリン、アンベノニウム、デマルカリウム(demarcarium)、エドロホニウム、リバスチグミン(Exelon(登録商標))、フェンセリン(phenserine)、メンタン、またはエプタスチグミン(Eptastigmine);またはそれらの薬学的に受容可能な塩および/またはエステルからなる群から選択され得る。
【0017】
実施形態では、開示される組成物は、約10mg〜約100mgの上記第1の化合物を、または約100mg〜約1000mgの、またはなお約1000mg〜約3000mgの上記第1の化合物を含む。別の実施形態では、開示される組成物は、約0.01mg〜約4.5mgの上記第2の化合物を含む。
【0018】
本発明はまた、アルツハイマー病または認知障害を処置する必要がある患者におけるアルツハイマー病または認知障害を処置する方法を提供し、この処置の必要がある患者(例えば、処置が必要であると診断された者)に、5−HTモジュレーターである第1の化合物(例えば、式I、II、IIIまたはIVによって表される化合物)、およびコリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターである第2の化合物を含む治療を投与する工程を包含する。この第1および/または第2の化合物は、単独で投与される場合、実質的または最適に記憶を増大しない量で存在し得る。上記第1の化合物および上記コリンエステラーゼまたはアセチルコリンエステラーゼインヒビターは、実質的に同時に、または逐次的に投与され得、そして、別個の投薬量形態または単一の投薬量形態で投与され得る。
【0019】
特定の実施形態では、ドネペジル塩酸塩、および[1−(5−クロロ−2,3−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−(2−メタンスルホニル−5−ピペラジン−1−イル−フェニル)−アミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルを含む組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(詳細な説明)
本発明の特徴およびその他の詳細が、ここで、より詳細に説明される。本明細書中に記載される特定の実施形態は、例示によって示され、そして本発明の制限として示されるのではないことが理解される。本発明の主要な特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく種々の実施形態で採用され得る。すべての部および%は、そうでないことが特定されなければ、重量%である。
【0021】
(定義)
便宜のために、本明細書、実施例、および添付の請求項で用いられる特定の用語がここに集められる。
【0022】
「5−HTレセプターモジュレーター」は、5−HTレセプター部位で効果を有する化合物を含み、レセプタータイプのサブタイプを含む。5−HTモジュレーターは、アゴニスト、部分的アゴニスト、逆アゴニスト、またはアンタゴニストを含み得る。
【0023】
「処置する」は、状態、疾患、障害などの改善をもたらす任意の効果(例えば、軽減、低減、調節、または除去)を含む。
【0024】
「アルキル」は、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル)、分岐鎖アルキル基(例えば、イソプロピル、tert−ブチル、イソブチル)、シクロアルキル(例えば、脂環式)基(例えば、シクロプロピル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含む飽和脂肪族基を含む。「アルキル」はさらに、1つ以上の炭化水素骨格炭素原子を置換する酸素、窒素、イオウまたはリンを有するアルキル基をさらに含む。特定の実施形態では、直鎖または分岐鎖アルキルは、その骨格中に6個以下の炭素原子を(例えば、直鎖についてC〜C、分岐鎖についてC〜C)、そしてより好ましくは4個以下の炭素原子を有する。同様に、好ましいシクロアルキルは、それらの環構造中に3〜8個の炭素原子を有し、そしてより好ましくは、環構造中に5また6個の炭素を有する。「C〜C」は、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基を含む。
【0025】
用語「アルキル」はまた、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含み、その後者は、炭化水素骨格の1つ以上の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルキル部分をいう。このような置換基は、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシ、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルフォナト、スルファモイル、スルフォンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環式芳香族を含み得る。シクロアルキルは、例えば、上記に記載される置換基でさらに置換され得る。「アルキルアリール」または「アラルキル」部分は、アリールで置換されたアルキルである(例えば、フェニルメチル(ベンジル))。「アルキル」はまた、天然および非天然アミノ酸の側鎖を含む。
【0026】
「アリール」は、芳香族性を有する基を含み、0〜4個のヘテロ原子を含み得る、5員および6員の「非複合」、または単一環の芳香族基、ならびに、少なくとも1つの芳香族環を備えた「複合」、または「多環」システムを含む。アリール基の例は、ベンゼン、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、チアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンなどを含む。さらに、用語「アリール」は、多環アリール基、例えば、三環、二環、例えば、ナフタレン、ベンゾオキサゾール、ヘンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン、またはインドリジンを含む。環構造中にヘテロ原子を有するようなアリール基はまた、「アリール複素環」、「複素環」、「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」と称され得る。芳香族環は、1つ以上の環位置において、上記に記載のような置換基(例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルフォナト、スルファモイル、スルフォンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環、アルキルアリール、または芳香族またはヘテロ芳香族部分)で置換され得る。アリール基はまた、芳香族でない脂環式環または複素環式環と縮合または架橋され、多環系(例えば、テトラリン、メチレンジオキシフェニル)を形成し得る。
【0027】
「アルケニル」は、上記に記載のアルキルに長さ、および可能な置換が類似であるが、少なくとも1つの二重結合を含む不飽和脂肪族基を含む。例えば、用語「アルケニル」は、直鎖アルケニル基(例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル)、分岐鎖アルケニル基、シクロアルケニル(例えば、脂環式)基(例えば、シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル)、アルキルまたはアルケニル置換シクロアルケニル基、およびシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルケニル基を含む。用語「アルケニル」はさらに、1つ以上の炭化水素骨格炭素を置換する、酸素、窒素、イオウまたリン原子を含むアルケニル基を含む。特定の実施形態では、直鎖または分岐鎖アルケニル基は、その骨格中に6個以下の炭素原子を有する(例えば、直鎖についてC〜C、分岐鎖についてC〜C)。同様に、シクロアルケニル基は、それらの環構造中に3〜8個の炭素原子を、そしてより好ましくは、その環構造中に5個または6個の炭素を有し得る。用語「C〜C」は、2〜6個の炭素原子を含むアルケニル基を含む。
【0028】
用語「アルケニル」はまた、「非置換アルケニル」および「置換アルケニル」の両方を含み、この後者は、1つ以上の炭化水素骨格炭素原子上の水素を置換する置換基を有するアルケニル部分をいう。このような置換基は、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシ、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルフォナト、スルファモイル、スルフォンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環式芳香族を含み得る。
【0029】
「アルキニル」は、上記に記載のアルキルに長さおよび可能な置換基が類似する不飽和脂肪族基を含むが、少なくとも1つの三重結合を含む。例えば、「アルキニル」は、直鎖アルキニル基(例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル)、分岐鎖アルキニル基、およびシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルキニル基を含む。用語「アルキニル」は、1つ以上の炭化水素骨格炭素を置換する酸素、窒素、イオウまたはリン原子を有するアルキニル基をさらに含む。特定の実施形態では、直鎖または分岐鎖アルキニル基は、そのその骨格中に6個以下の炭素原子を有する(例えば、直鎖についてC〜C、分岐鎖についてC〜C)。用語「C〜C」は、2〜6個の炭素原子を含むアルキニル基を含む。
【0030】
用語「アルキニル」はまた、「非置換アルキニル」および「置換アルキニル」の両方を含み、この後者は、1つ以上の炭化水素骨格炭素原子上の水素を置換する置換基を有するアルキニル部分をいう。このような置換基は、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシ、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルフォナト、スルファモイル、スルフォンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環式芳香族部分を含み得る。
【0031】
炭素数がそうでないと示されない限り、「低級アルキル」は、上記で規定されたようなアルキル基を含むが、1〜10個、より好ましくは1〜6個の炭素原子をその骨格構造中に有する。「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、例えば、2〜5個の炭素原子の鎖長さを有する。
【0032】
「アシル」は、アシル基(CHCO−)またはカルボニル基を含む化合物および部分を含む。「置換アシル」は、1つ以上の水素原子が、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシ、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルフォナト、スルファモイル、スルフォンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環式芳香族部分によって置換されるアシル基を含む。
【0033】
「アシルアミノ」は、アシル部分がアミノ基に結合する部分を含む。例えば、この用語は、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、カルバモイル基およびウレイド基を含む。
【0034】
「アルコキシアルキル」、「アルキルアミノアルキル」および「チオアルコキシアルキル」は、上記に記載のようなアルキル基を含み、これはさらに、1つ以上の炭化水素骨格炭素原子を置換する酸素、窒素またはイオウ原子を含む。
【0035】
用語「アルコキシ」は、酸素原子に共有結合した、置換および非置換アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基を含む。アルコキシ基の例は、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、およびペントキシ基を含む。置換アルコキシ基の例は、ハロゲン化アルコキシ基を含む。これらアルコキシ基は、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシ、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルフォナト、スルファモイル、スルフォンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環式芳香族部分のような基で置換され得る。ハロゲン置換アルコキシ基の例は、制限されないで、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、およびトリクロロメトキシを含む。
【0036】
用語「複素環」または「複素環基」は、1つ以上のヘテロ原子を含む、閉じた環構造、例えば、3員〜10員環、または4員〜7員環を含む。複素環基は、飽和または不飽和であり得、そしてピロリジン、オキソラン、チオラン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、ラクタム(例えばアゼチジノンおよびピロリジノン)、スルタム、スルトンなどを含む。この複素環式の環は、上記に記載のような置換基(例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシ、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルフォナト、スルファモイル、スルフォンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素環式芳香族部分)で、1つ以上の位置において置換され得る。
【0037】
用語「チオカルボニル」または「チオカルボキシ」は、イオウ原子への二重結合で結合される炭素を含む化合物および部分を含む。
【0038】
用語「エーテル」は、2つの異なる炭素原子またはヘテロ原子に結合する酸素を含む化合物または部分を含む。例えば、この用語は、別のアルキル基に共有結合する酸素原子に共有結合したアルキル、アルケニル、またはアルキニル基のことをいう「アルコキシアルキル」を含む。
【0039】
用語「エステル」は、カルボニル基の炭素に結合する酸素原子に結合した炭素またはヘテロ原子を含む化合物または部分を含む。この用語「エステル」は、アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニルなどを含む。アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基は、上記で定義される通りである。
【0040】
用語「チオエーテル」は、2つの異なる炭素またはヘテロ原子に結合するイオウ原子を含む化合物または部分を含む。チオエーテルの例は、制限されないで、アルキルチオアルキル、アルキルチオアルケニル、およびアルキルチオアルキニルを含む。用語「アルキルチオアルキル」は、アルキル基に結合されているイオウ原子に結合されたアルキル、アルケニル、またはアルキニル基を含む化合物を含む。同様に、用語「アルキルチオアルケニル」および「アルキルチオアルキニル」は、アルキル、アルケニル、またはアルキニル基が、アルキニル基に共有結合されているイオウ原子に結合される化合物または部分をいう。
【0041】
用語「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、−OHまたはOを有する基を含む。
【0042】
用語「ハロゲン」は、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素などを含む。用語「過ハロゲン化」は、一般に、すべての水素がハロゲン原子によって置換されている部分をいう。
【0043】
「ヘテロ原子」は、炭素または水素以外の任意の元素の原子を含む。ヘテロ原子の例は、窒素、酸素、イオウおよびリンを含む。
【0044】
本発明のいくつかの化合物の構造は、不斉炭素原子を含む。従って、このような非対象から生じる異性体(例えば、すべてのエナンチオマーおよびジアステレオマー)が、そうでないことが示されない限り、本発明の範囲内に含まれることが理解されるべきである。このような異性体は、古典的な分離技法により、そして立体化学的に制御された合成によって、実質的に純粋な形態で得られ得る。さらに、本出願で論議された構造およびその他の化合物および部分はまた、それらの互変異体を含む。アルケンは、適切な場合、E−またはZ−幾何学異性体のいずれかを含み得る。
【0045】
「組み合わせ治療」(または同時治療)は、特定の処置レジメンの一部としての、本発明の5−HTモジュレーター、および少なくとも第2の作用剤の投与を含み、これら治療作用剤の同時作用からの有益な効果を提供することが意図される。この組み合わせの有益な効果は、制限されないで、複数の治療薬剤の組み合わせから生じる薬物動力学的または薬力学的同時作用を含む。これらの治療薬剤の組み合わせた投与は、代表的には、規定された期間(選択された組み合わせに依存して、通常、数分、数時間、数日または数週間)に亘って実施される。「組み合わせ治療」は、偶然に、および任意に本発明の組み合わせを生じる別個の単一処置レジメンの一部としてこれら2つ以上の治療薬剤の投与を包含することは意図され得るが、一般には意図されない。「組み合わせ治療」は、逐次的様式にあるこれら治療薬剤の投与を包含することが意図され、すなわち、各治療薬剤は、異なる時間に投与され、そして、これら治療薬剤、または少なくとも2つの治療薬剤の投与は、実質的に同時の様式で投与される。実質的に同時の投与は、例えば、被験体に、固定された比率の各々の治療薬剤を有し得る単一のカプセル、または、複数の、各々の治療薬剤のための単一のカプセルを投与することにより達成され得る。各治療薬剤の逐次的、まは実質的に同時の投与は、制限されないで、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、および粘膜組織を通る直接吸収を含む任意の適切な経路により行われ得る。これら治療薬剤は、同じ経路により、または異なる経路によって投与され得る。例えば、選択された組み合わせの第1の治療薬剤は、静脈内注入により投与され得、その一方、この組み合わせの他方の治療薬剤は、経口投与され得る。あるいは、例えば、すべての治療薬剤は、経口的に投与され得るか、またはすべての治療薬剤は、静脈内注入により投与され得る。これら治療薬が投与される順序は、あまり重要ではない。「組み合わせ治療」はまた、その他の生物学的に活性な成分および非薬物治療(例えば、手術または照射処置)とさらに組み合わせた、上記に記載の治療薬剤の投与を包含し得る。この組み合わせ治療が、非薬物処置をさらに含む場合、この非薬物処置は、これら治療薬剤と非薬物処置の組み合わせの同時作用からの有益な効果が達成される限り、任意の適切な時間に実施され得る。例えば、適切な場合には、この有益な効果は、非薬物処置が、上記治療薬の投与から一時的に(恐らくは、数日または数週間)除かれる場合でも達成される。
【0046】
用語「複素環基」は、環中の1つ以上の原子が炭素以外の元素、例えば、窒素、または酸素もしくはイオウである閉じた環構造を含むことが意図される。複素環基は、飽和または不飽和であり得、そしてピロールおよびフランのような複素環基は、芳香性特徴を有し得る。それらは、キノリンおよびイソキノリンのような縮合環構造を含む。複素環基のその他の例は、ピリジンおよびプリンを含む。複素環基はまた、1つ以上の構成要素原子において、例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシ、ニトロ、ヒドロキシル、−CF、−CNなどで置換され得る。
【0047】
用語「個体」、「患者」、または「被験体」は、本明細書では交換可能に用いられ、そして、動物を含む任意の哺乳動物(例えば霊長類、例えばヒト、およびその他の動物、例えば、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、およびウマ)を含む。本発明の化合物は、ヒトのような哺乳動物に投与され得るが、またその他の哺乳動物、例えば獣医学的処置の必要のある動物、例えば家庭動物(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)、および実験室動物(例えば、ラット、マウス、モルモットなど)に投与され得る。
【0048】
本明細書で用いられれとき、語句「副作用を最小にする」、「有害事象を低減する」または「低減された有害事象」は、アセチルコリンエステラーゼまたはコリンエステラーゼインヒビターに付随する1つ以上の所望されない副作用の改善または除去をいう。このような副作用は、制限されないで、下痢、食欲不振、嘔吐、吐き気、および斑状出血を含む。
【0049】
特定の実施形態では、特定の化合物を投与する副作用は、部分的に除去され得る。本明細書でもちいられるとき、語句「部分的に除去される」は、特定の副作用の重篤度、程度、または持続時間における、例えば、10mg/日のドネペジル単独治療の投与によって見出される副作用と比較して、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%および99%の低減をいう。当業者は、副作用の重篤度、程度、または持続時間ならびに副作用の改善の程度を検出し、そしてグレード分けする能力を有する。いくつかの実施形態では、2つ以上の副作用が改善される。
【0050】
用語「相乗的」は、一緒に摂取されるとき、2つ以上の薬剤、例えば、式I、IIまたはIIの開示される化合物、およびアセチルコリンエステラーゼまたはコリンエステラーゼインヒビターが、各々の薬物が単独で摂取されるときの効果の合計より大きい統合効果をもたらすことをいう。
【0051】
(方法)
特定の実施形態において、開示される組成物および/または化合物の組み合わせは、アセチルコリン機能低下によって特徴付けられ得る広範な種類の臨床状態を処置するために用いられ得る。このような状態は、アルツハイマー病、ならびに認知欠陥に付随する種々の障害、例えば、痴呆、健忘、およびその他の認知または神経変性障害、例えば、老人性痴呆症、アルツハイマータイプの痴呆、血管性痴呆、および例えば、HIV疾患、頭部外傷、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック症候群、クロイツフェルト‐ヤーコプ病に起因するその他の痴呆、または複数の病因;統合失調症およびその他の統合失調性障害、例えば、統合失調症障害、感情分裂症障害、妄想的障害、短期精神障害、妄想または幻覚をともなう共有精神病障害および統合失調性障害;嗜癖障害;強迫性障害、パニック障害、睡眠障害、アルコール依存症、疼痛、記憶欠損、単極うつ病、気分変調、双極うつ病、処置−抵抗性うつ病、医学上病気におけるうつ病、パニック障害、強迫性障害、社会恐怖、月経前不快気分障害、気分障害、例えば、うつ病またはより詳細にはうつ病障害、例えば、単一挿話的または再発性大うつ病および気分変調性障害、または双極障害、例えば、双極I障害、双極II障害および循環気質障害;不安障害、例えば、広場恐怖症を伴うかまたは伴わないパニック障害、パニック障害の病歴のない広場恐怖症、特定の恐怖症、例えば、特定動物恐怖症、社会恐怖症、外傷後ストレス障害および急性ストレス障害を含むストレス障害、および一般不安障害;せん妄、パーキンソン病およびその他の錐体外運動障害、例えば、投薬誘導運動障害、例えば、精神遮断薬誘導振せん麻痺、精神遮断薬悪性症候群、精神遮断薬誘導急性失調症、精神遮断薬誘導急性正座不能、精神遮断薬誘導遅発性ジスキネジーおよび投薬誘導体位震え;アルコール、アンフェタミン(またはアンフェタミン様物質)カフェイン、マリファナ、コカイン、ハルシノゲン、吸入抗原およびエアロゾル推進薬、ニコチン、オピオイド、フェニルグリシジン誘導体、鎮痛剤、睡眠薬、および抗不安薬の使用から生じる物質関連障害であって、この物質関連障害は、依存性および乱用、中毒、禁断症状せん妄、持続性痴呆、精神病性障害、気分障害、不安障害、性機能不全および睡眠障害;てんかん;ダウン症候群;MSおよびALSのような脱髄疾患、およびその他の精神病理学的障害、例えば、末梢ニューロパシー、例えば、糖尿病および化学療法誘導ニューロパシー、および疱疹後神経痛、三叉神経神経痛、分節性神経痛または肋間神経痛およびその他の神経痛;ならびに急性または慢性脳血管障害に起因する脳血管障害、例えば、脳梗塞、クモ膜下出血または脳浮腫を含む。特定の実施形態では、本明細書中に開示される方法は、その必要のある患者への、開示される組成物または組み合わせ、例えば、5−HTモジュレーターおよびコリンエステラーゼインヒビターを投与することを含む。5−HTモジュレーターおよびコリンエステラーゼインヒビターのこのような組み合わせは、いくつかの実施形態において、付加的および/または相乗的効果を提供し得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、アルツハイマー病、認知障害を処置するため、および/またはこの処置の必要のある患者における記憶を増大するための方法が提供され、処置の必要のある患者に、式I、II、IIIまたはIVで表される第1の化合物を、コリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターと組み合わせて投与することを包含する。この第1の化合物および/またはコリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターは、各々の量が単独で投与される場合、患者における記憶を実質的に増大しない量で存在し得る。
【0053】
例えば、コリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターは、デネペジルまたはデネペジル塩酸塩であり得、そして約0.01mg/日〜4.5mg/日の投薬量で投与され得る。あるいは、このコリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターは、ケンタマイシンまたはゲンタマイシン臭化水素酸塩であり得、例えば、1日に2回、約0.01mg〜7.5mgの間の投薬量で投与され得る。別の例示の方法は、コリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターであるリバスチグミンまたはリバスチグミン酒石酸塩を投与することを含み、これは、例えば、1日に2回、約0.01mg〜1.5mgの間の投薬量で投与され得る。
【0054】
本明細書でまた企図されるのは、アルツハイマー病、認知障害を処置する方法、および/または患者における記憶を増大する方法であり、ここで、この方法は、関連する障害を処置するが、有効量のアセチルコリンエステラーゼインヒビターまたはコリンエステラーゼインヒビターの単独投与と比較したとき、例えば、10mg/日または5mg/日の、アセチルコリンエステラーゼ単独の(例えば、単独治療の間のドネペジル塩酸塩)投薬量と比較して、有害事象の発生が低減される。
【0055】
(組成物および投薬量)
本明細書中に開示される組成物および組み合わせは、中枢神経系に関連する状態の処置のため、および上記に示される特定の状態のために用いられ得る。特定の状態を処置するために、上記で示される式I、IIまたはIIIの開示される化合物のような5−HTモジュレーターを、別の薬学的に活性な薬剤、例えば、アセチルコリンエステラーゼインヒビターと組み合わせて採用することが望ましくあり得る。本発明の化合物は、同時、別個または逐次的使用のための組み合わせた調製物として、別の治療薬剤とともに一緒に存在し得る。
【0056】
開示される組成物は、上記の式I、IIまたはIIIによって表されるような化合物、例えば、5−HTモジュレーターから選択される少なくとも1つの化合物または薬剤、およびコリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターから選択される第2の化合物を含み得る。このような5−HTモジュレーター、およびコリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターは、(i)単一投薬量形態または組成物として、(ii)別個の投薬量形態または薬学的組成物として同時に、(iii)5−HTモジュレーターで開始し、そして次にコリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターを投与するか、あるいはコリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターで開始し、そして次に5−HTモジュレーターを投与する別個の投薬量形態として連続的に、(iv)例えば、1〜4時間、1〜8時間もしくは1〜12時間、一日、または2日以上空けて個々に、次いでこの組み合わせで投与され得る。本発明の組成物または組み合わせを用いるとき、5−HTモジュレーターおよびその他の薬理学的に活性な薬剤は、同じ薬学的に受容可能なキャリア中に存在し得、そしてそれ故、同時に投与される。それらは、同時に摂取され得る従来の経口投薬量形態のような別個の薬学的キャリア中に存在し得、そして例えば、ツインパックの形態で存在し得る。
【0057】
開示される組み合わせは、このような処置が必要な患者(動物およびヒト)に、最適の薬学的効き目を提供する投薬量で投与され得る。任意の特定用途における使用のために必要な用量は、選択された特定化合物または組成物のみならず、投与の経路、処置される状態の性質、患者の年齢および状態、同時の薬物適用または次いで患者の特定の食事、およびその他の因子とともに、患者毎で変動し、適切な投薬量は、最終的に、担当医の裁量内であることが認識される。
【0058】
企図されるコリンエステラーゼインヒビターまたはアセチルコリンインヒビターは、メトリフォネート、ネオスチグミン、フィドスチグミン、ピリドスチグミン、ガランタミン/ガランサミン、ドネペジル(Aricept(登録商標))、タクリン、アンベノニウム、デマルカリウム、エドロホニウム、リバスチグミン(Exelon(登録商標))、フェンセリン、メンタン、またはエプタスチグミン;またはそれらの薬学的に受容可能な塩および/またはエステルを含む。
【0059】
開示される組み合わせまたは組成物の企図される5−HTモジュレーターは、[1−(5−クロロ−2,3−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−(2−メタンスルホニル−5−ピペラジン−1−イル−フェニル)−アミン、(2−(メチルスルホニル)−N−(1−フェニルエチル)−5−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、(1−(2−(1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、(N−(1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチル−2−(メチルスルホニル)−5−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−ベンゼンアミン、N−(1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン−8−イル)エチル)−2−(メチルスルホニル)−5−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、N−(3−クロロベンジル)−2−ニトロ−5−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、N−(3−クロロベンジル)−4−ニトロ−3−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、1−(2−(1−ジメトキシフェニル)エチルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、(N−(1−(3−クロロフェニル)エチル)−2−ニトロ−5−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、(N−(1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチル)−2−ニトロ−5−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、1−(2−(1−(3,5−フェニルエチルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、1−(2−(1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、(N−(1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチル)−2−ニトロ−5−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、1−(2−(1−フェニルエチルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、1−(2−(1−3,5−ジメトキシフェニル)エチルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、1−(2−(1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、1−(2−(1−(3,5−ジクロロフェニル)エチルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、(N−(1−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)エチル)−2−(メチルスルホニル)−5−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、(N−(2−メチル−1−フェニルプロピル)−2−ニトロ−5−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、1−(2−(3,5−ジメトキシベンジルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、(N−(1−(3−ブロモフェニル)エチル)−2−ニトロ−5−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、4−メトキシ−N−(1−フェニル)エチル)−3−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、N−(3−ブロモベンジル)−2−ニトロ−5−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはエステル、N−(1−(3,5−ジメチルフェニル)エチル)−2−ニトロ−5−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、1−(2−(3−ブロモシベンジルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、N−(1−(3−ブロモベンジル)エチル)−2−(メチルスルホニル)−5−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−ベンゼンアミン、N−(1−(3−クロロ−4,5−ジメトキシフェニル)エチル−2−(メチルスルホニル)−5−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−ベンゼンアミン、N−(1−(3−クロロ−5−メトキシフェニル)エチル−2−(メチルスルホニル)−5−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−ベンゼンアミン、N−(1−(3−トリフルオロメチル)エチル−2−(メチルスルホニル)−5−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−ベンゼンアミン、(S)−1−(2−(1−フェニルエチルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、(R)−1−(2−(1−フェニルエチルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、N−(1−(3,5−ジメトキフェニル)エチル−2−(メチルスルホニル)−5−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−ベンゼンアミン、N−(2−(メチルスルホニル)−5−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ナフタレン−1−アミン塩酸塩、またはN−(5−フルオロ−2−(メチルスルホニル)フェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−アミン、これらの薬学的に受容可能な塩、および/またはエステルを含む。
【0060】
開示される化合物または組成物のための適切な投薬量レベルは、一般に、約0.001〜50mg/kg患者体重/日であり得、これは、単一用量または複数用量で投与され得る。いくつかの実施形態では、この投薬量レベルは、約0.01〜約25mg/kg日;例えば、約0.05〜約10mg/kg日である。例えば、中枢神経系の障害の処置または予防において、適切な投薬量レベルは、約0.001〜10mg/kg日、例えば、約0.005〜5mg/kg日、またはなお約0.01〜1mg/kg日であり得る。上記化合物は、1日あたり1〜4回、好ましくは1日あたり1回または2回のレジメンで投与され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、開示される組み合わせおよび組成物は、5−HTモジュレーターまたは第1の化合物を含む。例えば、上記開示される組み合わせおよび/または組成物は、約10〜約100mgの投薬量の5−HTモジュレーター、例えば、10mg、50mg、または100mg;約100mg〜約1000mg(例えば、250mg、400mg、または700mg);約50mg〜250mg;約250mg〜800mg;またはなお約1000mg〜約3000mgを含み得る。
【0062】
開示される組み合わせは、効き目のない、例えば、認識増強および/または疾患改変のために効き目のない量のコリンエステラーゼインヒビターを含み得る。例えば、開示される組み合わせまたは組成物は、ある用量のコリンエステラーゼインヒビター、例えば、約5mgより少ない、例えば、0.01〜4.5mg、または1mg〜約4mgのドネパジルを含み得る。アセチルコリンエステラーゼまたはコリンエステラーゼインヒビターは、患者に、約0.5mg/kgより少なく、例えば約0.05〜0.5mg/kgを提供するに十分である量で存在し得る。
【0063】
例えば、組成物または組み合わせは、約10mg〜約550mgの5−HTモジュレーター、例えば、[1−(5−クロロ−2,3−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−(2−メタンスルホニル−5−ピペラジン−1−イル−フェニル)−アミン、またはその薬学的に受容可能な塩、および約0.001〜4.5mgの間のドネペジルまたはその薬学的に受容可能な塩を含み得る。
【0064】
異なる実施形態では、組み合わせまたは組成物は、5−HTモジュレーター、および約5mg以上、例えば、約5〜30mgの投薬量を提供するに十分である所定量のコリンエステラーゼインヒビター(例えば、ドネペジル)、または単独治療で認知増強および/または疾患改変に効き目のあるか、または最適である用量または量のコリンエステラーゼインヒビターを含み得る。
【0065】
(処方物および投与)
本発明の組成物および組み合わせは、本明細書中に記載されるような安定化剤、キャリアおよび/またはカプセル化処方物を含む種々の薬学的賦形剤とともに投与され得る。
【0066】
本発明の水性組成物は、薬学的に受容可能なキャリアまたは水性媒体中に溶解または分散された、本発明のペプチドの有効量を含む。
【0067】
「薬学的または薬理学的に受容可能」は、適宜、動物、またはヒトに投与されるとき、有害反応、アレルギーまたはその他の都合の悪い反応を生成しない、分子化合物および組成物をいう。「薬学的に受容可能なキャリア」は、任意およびすべての溶媒、分散媒体、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。薬学的活性物質のためのこのような媒体および作用剤は、当該技術分野で周知である。任意の従来の媒体または作用剤が活性成分と不適合である場合を除いて、上記治療組成物におけるその使用が企図される。補助的活性成分もまた、上記組成物中に取り込まれ得る。
【0068】
ヒト投与のためには、調製物は、FDA Office of Biologics標準によって要求されるような滅菌度、発熱性、一般的安全性および純度標準に合致すべきである。
【0069】
本発明の薬学的組成物は、薬学的調製物の形態、例えば、固体、半固体または液体形態で用いられ得、これは、外部、腸または腸管外適用のために適切な有機または無機キャリアとの混合物中に活性成分として本発明の1つ以上の化合物を含む。この活性成分は、例えば、錠剤、ペレット、カプセル、座剤、溶液、エマルジョン、懸濁物、および使用のために適切な任意のその他の形態のために、通常の非毒性の薬学的に受容なキャリアと混合され得る。用いられ得るこれらキャリアは、水、グルコース、ラクトース、アラビアゴム、ゼラチン、マンニトール、スターチペースト、三ケイ酸マグネシウム、タルク、コーンスターチ、ケラチン、コロイド状シリカ、ポテトスターチ、尿素および固体、半固体、または液体形態である調製物を製造することにおける使用に適切なその他のキャリアであり、そしてさらに補助剤、安定化剤、増粘剤および着色剤および芳香剤が用いられ得る。活性目的化合物は、上記薬学的組成物中に、疾患のプロセスまたは状態に対して所望の効果をもたらすのに十分な量で含まれる。
【0070】
錠剤のような固形組成物を調製するために、主要な活性成分は、薬学的キャリア、例えば、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムまたはガム、およびその他の薬学的希釈剤、例えば、水のような従来の錠剤化成分と混合され、本発明の化合物、またはその非毒性の薬学的に受容可能な塩の均一混合物を含む処方前組成物を形成する。これらの処方前組成物に均一と言及する場合、それは、上記活性成分が、組成物が容易に錠剤、ピルおよびカプセルのような等しく有効な単位投薬量形態に再分割され得るように分散されていることが意味される。この固形の処方前組成物は、次いで、本発明の活性成分の0.1〜約500mgを含む上記に記載のタイプの単位投薬量形態に再分割される。この新規組成物の錠剤またはピルは、コーティングまたはそうでなければ混合され得、持続作用の利点を与える投薬量形態を提供する。例えば、この錠剤またはピルは、内部投薬量および外部投薬量成分を含み得、後者は、前者の上の被包形態である。これら2つの成分は、胃における分解に抵抗するように供される腸溶性層によって分離され得、内部成分が、十二指腸中に無傷で通過することを許容するか、または放出が遅延され得る。種々の材料が、このような腸溶性層またはコーティングのために用いられ得、このような材料は、多くのポリマー酸、およびポリマー酸の、シェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースのような材料との混合物を含む。
【0071】
経口によるか、または注入による投与のために本発明の組成物が取り込まれ得る液体形態は、水性溶液、適切にフレーバーをつけたシロップ、水性または油懸濁物、および綿実油、ゴマ油、ココナッツ油のような受容可能な油との、または静脈内使用のために適切な可溶化剤または乳化剤、ならびにエリキシルおよび類似の薬学的ビヒクルとのエマルジョンを含む。水性懸濁物のための適切な分散剤または懸濁剤は、合成および天然のガム、例えば、トラガカント、アカシア、アルギネート、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンを含む。
【0072】
吸入または吹き入れのための組成物は、薬学的に受容可能な水性もしは有機溶媒、またはそれらの混合物中の溶液および懸濁液、および粉末を含む。液体または固体組成物は、上記で示されるような適切な薬学的に受容可能な賦形剤を含み得る。好ましくは、上記組成物は、局所的または全身効果のために経口または鼻呼吸経路によって投与される。好ましくは滅菌された薬学的に受容可能な溶媒中の組成物は、不活性ガスの使用により霧状にされ得る。霧状溶液は、噴霧デバイスから直接排出されるか、またはこの噴霧デバイスは、顔面マスク、テントまたは間欠性陽圧呼吸機械に取り付けられ得る。溶液、懸濁物または粉末組成物は、適切な様式で上記処方物を送達するデバイスから、好ましくは経口または鼻から投与され得る。
【0073】
上記のような臨床状態および疾患を処置するために、本発明の化合物は、経口的、局所的、非経口的に、吸入スプレーによるか、または直腸から、従来の非毒性の薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントおよびビヒクルを含む投薬量単位処方物中で投与され得る。本明細書中で用いられるとき、用語非経口的は、皮下注入、静脈内、筋肉内、胸骨内注射または注入技法を含む。
【0074】
本発明の組成物もしくは活性成分もしくは成分を含む水性組成物の調製は、本開示を考慮して当業者に公知である。代表的には、このような組成物は、溶液または懸濁液のいずれかとして注射液として調製され得;注射の前の液体の添加に際し、溶液または懸濁液を調製するために用いるのに適切な固体形態もまた調製され得;そしてこの調製物はまた乳化され得る。
【0075】
注入可能な使用のために適切な薬学的形態は、滅菌水性溶液または分散物;ごま油、ピーナッツ油または水性プロピレングリコールを含む処方物;および滅菌注射可能溶液または懸濁物の即席調製物のための滅菌粉末を含む。すべての事例において、上記形態は滅菌されていなければならず、そして容易なシリンジ取り扱いが存在する程度まで流体でなければならない。それは、製造および貯蔵の条件下で安定でなければならず、そして細菌および真菌のような微生物の汚染作用に対して保存されなければならない。
【0076】
遊離塩基または薬理学的に受容可能な塩としての活性化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と適切に混合された水中に調製され得る。分散物もまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中、および油中で調製され得る。貯蔵および使用の通常の条件下、これらの調製物は、微生物の成長を防ぐための保存剤を含む。
【0077】
薬学的に受容可能な塩は、酸付加塩を含み、そしてこれらは、例えば、塩化水素酸、臭化水素酸、ホウ酸、リン酸、硫酸もしくはリン酸のような無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、コハク酸、メシル酸、マンデル酸、コハク酸、安息香酸、アルコルビン酸、メタンスルホン酸、a−ケトグルタル酸、a−グリセロリン酸、グルコース−1−リン酸などのような有機酸と形成される。遊離のカルボン酸基と形成される塩もまた、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、または水酸化鉄のような無機塩基から、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどのように有機塩基から誘導され得る。薬学的に受容可能な塩のその他の例は、例えば、化合物R−T(ここで、Rは、C1−6アルキル、フェニル−C1−6アルキルまたはC5−7シクロアルキルであり、そしてTは、酸のアニオンに対応するラジカルである)によって四級化される化合物のような式I、II、IIIまたはIVの化合物の四級誘導体を含む。Rの適切な例は、メチル、エチルならびにn−およびイソ−プロピル;ならびにベンジルおよびフェネチルを含む。Tの適切な例は、ハロゲン化物、例えば、塩化物、臭化物またはヨウ化物を含む。薬学的に受容可能な塩のなおその他の例はまた、N−オキシドのような内部塩を含む。
【0078】
本発明の治療組成物または薬理学的組成物は、一般に、薬学的に受容可能な媒体中に溶解または分散された、組み合わせ治療の成分の有効量を含む。薬学的に受容可能な媒体またはキャリアは、任意またはすべての溶媒、分散媒体、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体および作用剤の使用は、当該技術分野で周知である。補助活性成分もまた、本発明の治療組成物中に取り込まれ得る。
【0079】
薬学的組成物または薬理学的組成物の調製は、本開示を考慮して、当業者に公知である。代表的には、このような組成物は、液体溶液または懸濁物のいずれかとして注射可能物;注入前に液体中の溶液または懸濁物のために適切な固体形態;経口投与のためのその他の錠剤または固体として;またはクリーム、ローション、マウスウォッシュ、吸入剤などを含む現在用いられている任意のその他の形態で調製され得る。
【0080】
滅菌注射可能溶液は、上記で列挙された種々のその他の成分と適切な溶媒中に必要な量の活性化合物を取り込むこと、次いで濾過滅菌することにより調製される。一般に、分散物は、種々の滅菌された活性成分を、滅菌ビヒクル(これは、基礎分散媒体および上記で列挙されたものからの必要なその他の成分を含む)中に取り込むことにより調製される。滅菌注射可能溶液の調製のための滅菌粉末の場合には、調製の好ましい方法は、減圧乾燥および凍結乾燥技法であり、これらは、活性成分および任意のさらなる所望の成分の粉末を、先に滅菌濾過されたそれらの溶液から生成する。
【0081】
直接注入のための、より多く、または高度に濃縮された溶液の調製がまた企図され、この場合、溶媒としてのDMSOの使用が想定され、これは、極度に迅速な浸透をもたらし、小領域に高濃度の活性薬剤を送達する。
【0082】
処方に際し、溶液は、投薬処方物と適合する様式で、かつ治療的に有効であるような量で投与される。これら処方物は、上記に記載されるタイプの注射可能な溶液のような種々の投薬形態で容易に投与されるが、薬物放出カプセルなどもまた採用され得る。
【0083】
水性溶液中の非経口投与には、例えば、この溶液は、必要であれば適切に緩衝化されるべきであり、そして液体希釈液は、最初、十分な生理食塩水またはグルコースで等張にされる。これら特定の水性溶液は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与に特に適切である。なお、採用され得る滅菌水性媒体は、本開示を考慮して当業者に公知である。
【0084】
静脈内または筋肉内注入のような非経口投与のために処方された化合物に加え、その他の薬学的に受容可能な形態は、例えば、経口投与のための錠剤またはその他の固体;リポソーム処方物;時間−放出カプセル;およびクリームを含む、現在用いられている任意のその他の形態を含む。
【0085】
手術場中の特定領域を消毒するための、外科医、内科医または医療作業者による、生理食塩水ベースの洗浄液のような滅菌処方物の使用はまた、特に有用であり得る。本発明による治療処方物はまた、含そう薬の形態で、または抗真菌試薬と組み合わせて再構成され得る。吸入形態もまた想定される。本発明の治療処方物はまた、クリームおよびローションでのように、局所投与に適切な形態で調製され得る。
【0086】
このような溶液での使用のために適切な防腐剤は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニユウム、クロロブタノール、チメロサールなどを含む。適切な緩衝液は、pHを約pH6とpH8との間、そして好ましくは、pH7とpH7.5との間に維持するに十分な量の、ホウ酸、重炭酸ナトリウムおよびカリウム、ホウ酸ナトリウムおよびカリウム、炭酸ナトリウムおよびカリウム、酢酸ナトリウム、リン酸二ナトリウムなどを含む。適切な張性剤は、デキストラン40、デキストラン70、デキストロース、グリセリン、塩化カリウム、プロピレングリコール、塩化ナトリウムなどであり、点眼溶液の塩化ナトリウム当量は、0.9±0.2%の範囲である。適切な抗酸化剤および安定化剤は、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ尿素などを含む。適切な湿潤剤および清澄化剤は、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロキサマー282およびチロキサパルを含む。適切な増粘剤は、デキストラン40、デキストラン70、ゼラチン、グリセリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ラノリン、メチルセルロース、流動パラフィン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースなどを含む。
【0087】
処方に際し、治療薬は、投薬処方物と適合する様式で、および薬理学的に有効であるような量で投与される。これら処方物は、上記に記載の注入可能な溶液のタイプのような種々の投薬形態で容易に投与されるが、薬物放出カプセルなどもまた採用され得る。
【0088】
この文脈では、投与されるべき活性成分の量および組成物の容量は、処置されるべき宿主動物に依存する。投与に必要な活性化合物の正確な量は、実行者の判断に依存し、そして各個体に固有である。
【0089】
代表的には、活性化合物を分散するために必要な最小容量が利用される。投与のための適切なレジメンはまた変更可能であるが、最初に化合物を投与すること、そして結果をモニターすること、そして次により遠い間隔でさらなる制御された用量を与えることが典型的であり得る。例えば、非経口投与のために、適切に緩衝化され、そして必要であれば、等張水性溶液が調製され、そして静脈内、筋肉内、皮下またはなお腹腔内投与のために用いられ得る。1つの投薬量は、1mlの等張NaCl溶液に溶解され、そして1000mlの皮下注入流体に添加されるか、または企図された注入部位で注入され得る(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 15版、1035〜1038頁および1570〜1580頁を参照のこと)。
【0090】
特定の実施形態では、活性化合物は、経口的に投与され得る。これは、消化酵素によるタンパク質分解に一般に抵抗性であるか、または抵抗性にされた薬剤について企図される。このような化合物は、化学的に設計されたか、または改変された薬剤;右旋性ペプチド;ならびにペプチダーゼおよびリパーゼ分解を避けるための時間放出カプセル中のペプチドおよびリポソーム処方物を含むことが企図される。
【0091】
キャリアはまた、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、および植物油を含む溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用により、分散物の場合には必要な粒子サイズの維持により、そして界面活性剤の使用により維持され得る。微生物の作用の予防は、種々の抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、ソルビン酸、チメロサールなどによりもたらされ得る。多くの事例では、等張剤、例えば、糖または塩化ナリトウムを含むことが好ましい。注射可能組成物の持続吸収は、吸収を遅延する作用剤、例えば、アルミニウムモノステアレートおよびゼラチンの組成物中の使用によってもたらされ得る。
【0092】
投与のその他のモードに適切なさらなる処方物は、座剤を含む。座剤のために、伝統的なバインダーおよびキャリアは、例えば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドを含み得;このような座剤は、0.5%〜10%、好ましくは1%〜2%の範囲で活性成分を含む混合物から調製され得る。
【0093】
経口処方物は、例えば、薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような通常採用される賦形剤を含む。これらの組成物は、溶液、懸濁物、錠剤、ピル、カプセル、持続放出処方物または粉末の形態をとる。
【0094】
特定の規定された実施形態では、経口薬学的組成物は、不活性希釈剤または吸収可能な食用キャリアを含むか、またはそれらは、ハードまたはソフトシェルゼラチンカプセル中で包まれ得るか、またはそれらは、錠剤に圧縮され得るか、またはそれらは、飲食物とともに直接摂取され得る。経口治療投与のために、上記活性化合物は、賦形剤とともに摂取され、そして消化可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁物、シロップ、ウエハーなどの形態で用いられ得る。このような組成物および調製物は、少なくとも0.1%の活性化合物を含む。これら組成物および調製物の%は、勿論、変化し得、そして好都合なことには、単位重量の約2〜約75%、または好ましくは25〜60%であり得る。このような治療に有用な組成物中の活性化合物の量は、適切な投薬量が得られ得るような量である。
【0095】
錠剤、トローチ、ピル、カプセルなどはまた、以下:トラガントゴム、アカシア、コーンスターチ、またはゼラチンのようなバインダー;リン酸二カルシウムのような賦形剤;コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤;および、スクロース、ラクトースのような甘味剤を含み得、もしくはサッカリン、またはペパーミント、ウインターグリーン油、またはチェリー芳香のような芳香剤が添加され得る。投薬量単位形態が、カプセルであるとき、それは、上記のタイプの物質に加え、液体キャリアを含み得る。種々のその他の材料がコーティングとして存在し得るか、またはそうでなければ、投薬量単位の物理的形態を改変し得る。例えば、錠剤、ピル、またはカプセルは、シェラック、糖または両方でコーティングされ得る。エリキシルのシロップは、活性化合物、甘味剤としてのスクロース、保存剤としてのメチルおよびプロピルパラベン、色素および芳香剤(例えば、チェリーまたはオレンジフレーバー)を含み得る。
【0096】
本発明で用いられる5−HT化合物は、2006年1月25日に出願された係属中の米国特許出願番号第11/340,079号に示されるように作製され得;この米国出願は、その全体が参考として援用される。
【0097】
以下の実施例は、いかようにも本発明の範囲を制限することは意図されず、本発明の組成物および方法を例示するために提供される。多くのその他の実施形態が、当業者に明らかである。
【実施例】
【0098】
(実施例1)
この実施例は、[1−(5−クロロ−2,3−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−(2−メタンスルフォニル−5−ピペラジン−1−イル−フェニル)−アミン塩酸塩
【0099】
【化5】

(5−HTレセプターモジュレーター(「化合物A」))、およびドネペジル(Aricept(登録商標))(コリンエステラーゼインヒビター)の組み合わせ治療を示し、両者は、単独で投与された場合、最適以下の用量であり、これらの用量を組み合わせた場合、新規対象物識別(NPD)課題(これは、記憶増大を決定するための試験である)における記憶欠損を逆行させる。
【0100】
化合物A(K=4nM)およびドネペジル(Aricept(登録商標))の個々の効果は、この課題で特徴付けられ、そして各々の最大用量以下の記憶に対する組み合わせた効果が決定された。NOD試験は、Kingら(2004 Neuropharmacol.47 195)によって記載されるように実施され、そして大人の雄Listerフードラット(145〜235g)の5つの別個の群(n=12)を用いた。各群内で、ラットは、すべての可能な処置組み合わせを受け、そしてそれら自身のコントロールとして供するために3〜4の場合(1週間間隔)について試験された。
【0101】
4時間の試行間間隔は、ビヒクル投与後(水1ml/kg i.p.)、すべての群における自然の忘却を確実にし、その結果、ラットは、見慣れた目的物から新規物を識別できなかった(各場合についてp>0.05;Studentの対t検定)。化合物A(40分の前処理)は、この自然の忘却を3および10mg/kg i.p.の用量で防いだ(それぞれ、新規 対 見慣れたもの p<0.001&0.01)。これらの用量はまた、ビヒクルレベルからの識別比を増加させた(p<0.05;繰り返し測定 ANOVA)。Aricept(20分の前処理)は、0.1および0.3mg/kg i.p.の用量で効果を欠いていたが、識別比を有意に増加することなく、1mg/kg i.p.の用量で自然の忘却を防いだ。単独で与えられたとき有意な効果を欠いた化合物Aの用量(0.3および1mg/kg i.p.)は、Ariceptの効き目のある用量より少ない用量(0.1mg/kg i.p.)と組み合わされたとき識別を回復した(それぞれ、新規 対 見慣れたもの p<0.01&0.05)。
【0102】
これらのデータは、NOD課題における本発明の化合物の認識増大効果のみならず、本発明の化合物およびAriceptのような(アセチル)コリンエステラーゼインヒビターの閾値以下の用量の効果が、アルツハイマー病で起こるような認識機能不全を処置するために妥当であり得ることを示唆している。
【0103】
(等価物)
当業者は、本明細書中に記載される詳細な手順の多くの等価物を、慣用の実験を用い、認識するか、または確認し得る。このような等価物は、本発明の範囲内であると考えられ、そして添付の請求項に含まれる。種々の置換物、変更物、および改変物が、請求項によって規定されるような本発明の思想および範囲から逸脱することなく本発明になされ得る。その他の局面、利点、および改変物は、本発明の範囲内である。本出願の全体で引用される、すべての参考文献、発行された特許、および公開された特許出願は、本明細書中で参考として援用される。これら特許、出願およびその他の文献の適切な構成要素、プロセスおよび方法は、本発明およびその実施形態のために選択され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的組成物であって、
以下の式を有する第1の化合物
【化6】

およびその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルであって、ここで、
nは、0、1、2、3、または4であり;
Aは、存在するとき低級アルキル基であり;
は、水素、または置換もしくは非置換アルキルもしくはアリールであり;
は、水素;ハロ;ニトロ;シアノ、低級アルコキシ;カルボン酸塩またはそのアルキルエステル;スルホン;ハロアルキルまたはハロアルコキシ;アセトアルデヒド;カルボキシアミド;カルボミル;アルコキシアミノカルボニル;または置換アリールアルキルアミノであり;
およびRは、独立に、水素、置換もしくは非置換アルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアリールもしくはアルキルヘテロアリールであるか、またはRおよびRは、一緒になって1つの置換もしくは非置換アリール、アルキルアリール、ヘテロアリールまたはアルキルヘテロアリール基を形成し;
Bは、存在するとき、低級アルキルであり;そして
XおよびYは、独立にCまたはNである、第1の化合物;ならびに
コリンエステラーゼまたはアセチルコリンエステラーゼインヒビターであり、そして患者に単独で投与される場合、実質的に記憶を増大しない量で存在する第2の化合物、
を含む、薬学的組成物。
【請求項2】
薬学的組成物であって、
以下の式を有する第1の化合物
【化7】

およびその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルであって、ここで、
は、水素、または置換もしくは非置換アルキルであり;
は、水素;ハロ;ニトロ;シアノ、低級アルコキシ;カルボン酸塩またはそのアルキルエステル;スルホン;ハロアルキルまたはハロアルコキシ;アルキルアミド;アセトアルデヒド;カルボキシアミド;カルボミル;アルコキシアミノカルボニル;または置換アリールアルキルアミノであり;そして
およびRは、独立に、水素、置換もしくは非置換アルキル、アリール、アルキルアリール、ヘテロアリールもしくはアルキルヘテロアリールであるか;またはRおよびRは、一緒になって1つの置換もしくは非置換アリール、アルキルアリール、ヘテロアリールまたはアルキルヘテロアリール基を形成する、第1の化合物;ならびに
コリンエステラーゼまたはアセチルコリンエステラーゼインヒビターであり、そして患者に単独で投与される場合、実質的に記憶を増大しない量で存在する第2の化合物、を含む、薬学的組成物。
【請求項3】
薬学的組成物であって、
以下の式を有する第1の化合物
【化8】

およびその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルであって、ここで、
、R、RおよびRは、独立に、水素、ハロもしくは低級アルコキシであるか、または2つの隣接するR、R、RまたはR低級アルコキシ基は、それらが結合するベンジル環と一緒になって、合わさって環を形成し;
は、水素または低級アルコキシであり;そして
は、スルホン、NO、またはCOCFである、第1の化合物;ならびに
コリンエステラーゼまたはアセチルコリンエステラーゼインヒビターであり、そして患者に単独で投与される場合、実質的に記憶を増大しない量で存在する第2の化合物、
を含む、薬学的組成物。
【請求項4】
前記第1の化合物が、[1−(5−クロロ−2,3−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−(2−メタンスルホニル−5−ピペラジン−1−イル−フェニル)−アミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記第1の化合物が、(2−(メチルスルホニル)−N−(1−フェニルエチル)−5−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記第1の化合物が、(1−(2−(1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記第1の化合物が、(N−(1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチル−2−(メチルスルホニル)−5−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−ベンゼンアミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記第1の化合物が、N−(1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン−8−イル)エチル)−2−(メチルスルホニル)−5−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記第1の化合物が、N−(3−クロロベンジル)−2−ニトロ−5−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記第1の化合物が、N−(3−クロロベンジル)−4−ニトロ−3−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記第1の化合物が、1−(2−(1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
前記第1の化合物が、(N−(1−(3−クロロフェニル)エチル)−2−ニトロ−5−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
前記第1の化合物が、(N−(1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチル)−2−ニトロ−5−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記第1の化合物が、1−(2−(1−フェニルエチルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
前記第1の化合物が、1−(2−(1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
前記第1の化合物が、(N−(1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチル)−2−ニトロ−5−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
前記第1の化合物が、1−(2−(1−フェニルエチルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
前記第1の化合物が、1−(2−(1−3,5−ジメトキシフェニル)エチルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
前記第1の化合物が、1−(2−(1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
前記第1の化合物が、1−(2−(1−(3,5−ジクロロフェニル)エチルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項21】
前記第1の化合物が、(N−(1−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)エチル)−2−(メチルスルホニル)−5−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項22】
前記第1の化合物が、(N−(2−メチル−1−フェニルプロピル)−2−ニトロ−5−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項23】
前記第1の化合物が、1−(2−(3,5−ジメトキシベンジルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項24】
前記第1の化合物が、(N−(1−(3−ブロモフェニル)エチル)−2−ニトロ−5−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項25】
前記第1の化合物が、4−メトキシ−N−(1−フェニル)エチル)−3−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項26】
前記第1の化合物が、N−(3−ブロモベンジル)−2−ニトロ−5−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項27】
前記第1の化合物が、N−(1−(3,5−ジメチルフェニル)エチル)−2−ニトロ−5−(ピペラジン−1−イル)ベンゼンアミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項28】
前記第1の化合物が、1−(2−(3−ブロモシベンジルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項29】
前記第1の化合物が、N−(1−(3−ブロモベンジル)エチル)−2−(メチルスルホニル)−5−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−ベンゼンアミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項30】
前記第1の化合物が、N−(1−(3−クロロ−4,5−ジメトキシフェニル)エチル−2−(メチルスルホニル)−5−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−ベンゼンアミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項31】
前記第1の化合物が、N−(1−(3−クロロ−5−メトキシフェニル)エチル−2−(メチルスルホニル)−5−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−ベンゼンアミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項32】
前記第1の化合物が、N−(1−(3−トリフルオロメチル)エチル−2−(メチルスルホニル)−5−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−ベンゼンアミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項33】
前記第1の化合物が、(S)−1−(2−(1−フェニルエチルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項34】
前記第1の化合物が、(R)−1−(2−(1−フェニルエチルアミノ)−4−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項35】
前記第1の化合物が、N−(1−(3,5−ジメトキフェニル)エチル−2−(メチルスルホニル)−5−(ピペラジン−1−イル)フェニル)−ベンゼンアミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項36】
前記第1の化合物が、N−(2−(メチルスルホニル)−5−(ピペラジン−1−イル)フェニル)ナフタレン−1−アミン塩酸塩、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項37】
前記第1の化合物が、N−(5−フルオロ−2−(メチルスルホニル)フェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−アミン、またはその薬学的に受容可能な塩および/またはそのエステルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項38】
前記第1の化合物が、単独で投与された場合、実質的に記憶を増大しない量で存在する、請求項1〜37のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項39】
前記組成物が、約10mg〜約100mgの前記第1の化合物を含む、請求項1〜38のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項40】
前記組成物が、約100mg〜約1000mgの前記第1の化合物を含む、請求項1〜38のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項41】
前記組成物が、約1000mg〜約3000mgの前記第1の化合物を含む、請求項1〜38のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項42】
前記第2の化合物が、メトリフォネート、ネオスチグミン、フィゾスチグミン、ピリドスチグミン、ガランタミン/ガランサミン、ドネペジル、タクリン、アンベノニウム、デマルカリウム、エドロホニウム、リバスチグミン、フェンセリン、メンタン、およびエプタスチグミン;またはそれらの薬学的に受容可能な塩および/またはエステルからなる群から選択される、請求項1〜41のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項43】
前記第2の化合物が、ドネペジルである、請求項1〜42のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項44】
前記組成物が、約0.01mg〜4.5mgの前記第2の化合物を含む、請求項1〜43のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項45】
アルツハイマー病または認知障害を処置する必要がある患者におけるアルツハイマー病または認知障害を処置する方法であって、
該処置を必要とする患者に、コリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターと組み合わせて、式I、II、IIIまたはIVによって表される第1の化合物を投与する工程を包含し、ここで、該第1の化合物、およびコリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターの両方が、各々が単独で投与される場合、該患者における記憶を実質的に増大しない量で存在する、方法。
【請求項46】
記憶を増大する必要がある患者における記憶を増大する方法であって、
該記憶を増大する必要がある患者に、コリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターと組み合わせて、式I、II、IIIまたはIVによって表される第1の化合物を投与する工程を包含し、ここで、該第1の化合物、およびコリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターの両方が、各々が単独で投与される場合、該患者における記憶を実質的に増大しない量で存在する、方法。
【請求項47】
アルツハイマー病または認知障害を処置する必要がある患者におけるアルツハイマー病または認知障害を処置する方法であって、
該処置を必要とする患者に、コリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターと組み合わせて、式I、II、IIIまたはIVによって表される第1の化合物を投与する工程を包含し、ここで、該コリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターが、単独で投与される場合、該患者における記憶を実質的に増大しない量で存在する、方法。
【請求項48】
記憶を増大する必要がある患者における記憶を増大する方法であって、
該記憶を増大する必要がある患者に、コリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターと組み合わせて、式I、II、IIIまたはIVによって表される第1の化合物を投与する工程を包含し、ここで、該コリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターが、単独で投与される場合、該患者における記憶を実質的に増大しない量で存在する、方法。
【請求項49】
前記第1の化合物および前記コリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターが、実質的に同時に投与される、請求項45〜48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記第1の化合物および前記コリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターが、逐次的に投与される、請求項45〜48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記第1の化合物および前記コリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターが、別個の投薬量形態で投与される、請求項45〜50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記第1の化合物および前記コリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターが、単一の投薬量形態で投与される、請求項45〜49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記第1の化合物が、約10mg/日〜約100mg/日の投薬量で投与される、請求項45〜52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記第1の化合物が、約100mg/日〜約1000mg/日の投薬量で投与される、請求項45〜52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記コリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターが、メトリフォネート、ネオスチグミン、フィゾスチグミン、ピリドスチグミン、ガランタミン/ガランサミン、ドネペジル、タクリン、アンベノニウム、デマルカリウム、エドロホニウム、リバスチグミン、フェンセリン、メンタン、およびエプタスチグミン;またはそれらの薬学的に受容可能な塩および/またはエステルからなる群から選択される、請求項45〜54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記コリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターが、ドネペジルまたはドネペジル塩酸塩であり、そして約0.01mg/日〜4.5mg/日の投薬量で投与される、請求項45〜55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記コリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターが、ガランタミンまたはガランタミン臭化水素酸塩であり、そして1日に2回約0.01mg〜7.5mgの投薬量で投与される、請求項45〜55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記コリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターが、リバスチグミンまたはリバスチグミン酒石酸塩であり、そして1日に2回約0.01mg〜1.0mgの投薬量で投与される、請求項45〜55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記コリンエステラーゼまたはアセチルコリンインヒビターが、ドネパジル塩酸塩であり、そして前記第1の化合物が、[1−(5−クロロ−2,3−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−(2−メタンスルホニル−5−ピペラジン−1−イル−フェニル)−アミンまたはその薬学的に受容可能な塩および/またはエステルである、請求項45〜56のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2009−541484(P2009−541484A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518206(P2009−518206)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/014747
【国際公開番号】WO2008/002539
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(507249030)エピックス デラウェア, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】