説明

6−11橋かけオキシムエリスロマイシン誘導体

本発明は、抗菌特性を示す式Iの化合物または薬学的に許容され得るその塩、エステルもしくはプロドラッグ (式I参照)を開示する。本発明はさらに、抗生物質処置を必要とする被検体への投与のための前記化合物を含む医薬組成物に関する。本発明はまた、本発明の化合物を含む医薬組成物を投与することによる被験体における細菌感染の処置方法に関する。本発明はさらに、本発明の化合物を作製するための方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2005年5月4日に出願された米国特許出願第11/122,251号および2005年5月4日に出願された米国仮特許出願第60/677,675号の利益を主張する。上記出願の全体の教示は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、抗菌活性を有し、細菌感染の処置および予防において有用な新規半合成マクロライドに関する。より具体的には、本発明は、6-11二環式マクロライド、ケトライド、アンヒドロライド誘導体、かかる化合物を含有する組成物およびそれを使用する方法、ならびにかかる化合物を作製する方法に関する。
【0003】
(発明の背景)
マクロライド抗生物質は、特に新しい病原体の出現について治療的に重要な役割を果たす。構造的な差異は、ラクトン環の大きさならびに糖の数および性質(中性または塩基性)に関連する。マクロライドはラクトン環(12、14、15または16原子)の大きさにより分類される。マクロライド抗生物質ファミリー(14-、15-、および16-員環誘導体)は、広い範囲の特性(抗菌スペクトル、副作用および生物学的利用能)を示す。一般に使用されるマクロライドの中には、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、およびアジスロマイシンがある。3-クラジノース糖の代わりに3-オキソ部分を有するマクロライドは、ケトライドとして公知であり、グラム−陰性細菌およびマクロライド耐性グラム陽性細菌に対して増大した活性を示している。エリスロマイシン大環状(macrocycle)の第2炭素と第3炭素の間または第3炭素と第4炭素の間に不飽和を有するマクロライドは、アンヒドロライドとして公知である。安定性、寛容性および薬物動態学に関するマクロライドの全てのプロフィールを保持すると共に、MLSB-耐性株(MLSB=マクロライド−リンコスアミド(Lincosamide)−B型ストレプトグラミン(Streptogramine))に対して活性であるマクロライド化合物の探索が主要な目的となっている。
【0004】
1997年11月13日に公開されたElliott et alの国際出願WO 97/42205は、環式カルバメートおよび環式カルバゼート基本核構造を有する3-デスクラジノース(descladinose)-2,3-無水エリスロマイシン誘導体を開示する。さらなる詳細がまた、それぞれElliott et alおよびGriesgraber et alによるJ.Med Chem., 41, pp 1651〜1659(1998)およびJ.Med Chem., 41, pp 1660〜1670(1998)に開示された。
【0005】
米国特許第5,444,051号は、特定の6-O-置換-3-オキソエリスロマイシンA誘導体を開示する。1997年3月20日に公開されたPCT出願 WO 97/10251は6-O-メチル3-デスクラジノースエリスロマイシン誘導体の調製に有用な中間体を開示する。米国特許第5,631,355号は、特定の三環式6-O-メチル3-オキソエリスロマイシン誘導体を開示する。1994年5月11日に公開された欧州出願596802に対応する米国特許第5,527,780号は、特定の二環式6-O-メチル-3-オキソエリスロマイシンA誘導体を開示する(Agouridas, ROUSSEL)。米国特許第5,866,549号および第6,075,011号、ならびに2000年12月28日に公開されたPCT出願 WO 00/78773は、特定の6-O-置換エリスロマイシン誘導体を開示する。米国特許第6,124,269号および2000年10月26日に公開されたPCT出願 WO 00/62783は、特定の2-ハロ-6-O-置換ケトライド誘導体を開示する。米国特許第6,046,171号および1999年5月6日に公開されたPCT出願 WO 99/21864は、特定の6,11-橋かけエリスロマイシン誘導体を開示する。
【0006】
2003年11月20日に公開されたPCT出願 WO 03/095466 A1および2003年11月27日に公開されたPCT出願 WO 03/097659 A1は、一連の二環式エリスロマイシン誘導体を開示する。
【0007】
(発明の概要)
本発明は、抗菌活性を有する新規分類のC6〜C11橋かけ(bridged)オキシムエリスロマイシン誘導体を提供する。
【0008】
本発明の一局面において、以下に示される式:


(式中、
XおよびYは、独立して水素、重水素、ハロゲン、R1、OR1、S(O)nR1、-NR1C(O)R2、-NR1C(O)NR3R4、-NR1S(O)nR2、-C(O)NR3R4、および-NR3R4からなる群より選択される;
R1およびR2の各々は、独立して水素、アシル、シラン、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和脂肪族基、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和脂環式基、置換もしくは非置換芳香族基、置換もしくは非置換複素芳香族基、または置換もしくは非置換複素環基からなる群より選択される;
R3およびR4の各々は、独立して水素、アシル、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和脂肪族基、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和脂環式基、置換もしくは非置換芳香族基、置換もしくは非置換複素芳香族基、置換もしくは非置換複素環基からなる群より選択される;あるいはそれらが結合する窒素原子と共に置換もしくは非置換複素環または複素芳香族環を形成し得る;
または、XおよびYはそれらが結合する炭素原子と共に、CO、C=CHR1、C=NR1、C=NC(O)R1、C=NOR1、C=NO(CH2)mR1、C=NNHR1、C=NNHCOR1、C=NNHCONR1R2、C=NNHS(O)nR1、C=N-N=CHR1、C=N-NO2、またはC=N-ONOからなる群より選択される;
UもしくはVの1つは水素で、他方は独立してR1、OR1、OC(O)R1、OC(O)NR3R4、S(O)nR1


からなる群より選択される;
または、UおよびVは、それらが結合する炭素原子と共にC=Oである;
JもしくはGの1つは水素で、他方はR1、OR1、もしくはNR3R4から選択される;
または、JおよびGは、それらが結合する炭素原子と共にC=O、C=NR1、C=NOR1、C=NO(CH2)mR1、C=NNHR1、C=NNHCOR1、C=NNHCONR1R2、C=NNHS(O)nR1またはC=N-N=CHR1から選択される;
Lは水素、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和脂肪族基、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和脂環式基、置換もしくは非置換芳香族基、置換もしくは非置換複素芳香族基、または置換もしくは非置換複素環基からなる群より選択される;
MはR1である;
WはNR3R4である;
Zは水素、アルキルまたはハロゲンである;
Rpは水素、ヒドロキシ保護基またはヒドロキシプロドラッグ基である;
mは整数である;および
nは0、1または2である。
Aは、


(式中、
Q’はN、CHまたはCFである;
X1はO、N、NR1、S、またはCR5である;
Y1はO、N、NR1、S、CR5またはSeである;
Z1はO、N、NR1、S、またはCR5である;
R5は、独立して水素、アシル、シラン、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和脂肪族基、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和脂環式基、置換もしくは非置換芳香族基、置換もしくは非置換複素芳香族基、置換もしくは非置換複素環基、NR3R4、OH、NHCOR1またはNHCONH2から選択され、好ましくはNH2またはNHR1である)
ただし、A、QおよびZが下の表Aで定義されるような以下の式




を有する化合物から式Iの化合物は選択されないものとする)
で表される新規の橋かけエリスロマイシン化合物、またはそのラセミ化合物、エナンチオマー、位置異性体(regioisomer)、塩、エステルもしくはプロドラッグが提供される。
【0009】
1つの好ましい態様において、Aは、X1およびR5が先に定義された通りである


である。
【0010】
別の好ましい態様において、Aは、X1がO、NHまたはSであり、R5が先に定義された通りである


である。
【0011】
さらなる別の態様において、Aは、X1がO、NHまたはSであり、R5が先に定義された通りである


である。
【0012】
さらなる別の態様において、Aは、R5が先に定義された通りである


である。
【0013】
さらなる別の態様において、Aは


である。
【0014】
1つの好ましい態様において、Aは表Bに示される化合物から選択される。


【0015】
本発明の1つの好ましい化合物は、式II:


を有し、式中、A、QおよびZが表C






に定義された通りである。
【0016】
本発明の1つの好ましい化合物は、Rp、U、V、W、X、Y、LおよびZが先に定義された通りである式III:


を有する。
【0017】
本発明の別の好ましい化合物は、ZおよびRpが先に定義された通りである式IV:


を有する。
【0018】
本発明のさらに別の好ましい化合物は、ZおよびRpが先に定義された通りである式V:


を有する。
【0019】
本発明の別の局面において、式VI:


(式中、X、Y、L、WおよびRpは、先に定義された通りである;
Bは、独立して水素、アシル、シラン、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和脂肪族基、置換もしくは非置換、飽和もしくは不飽和脂環式基、置換もしくは非置換芳香族基、置換もしくは非置換複素芳香族基、または置換もしくは非置換複素環基から選択される)
で表される新規な3-アシライド(acylide)系橋かけエリスロマイシン化合物、またはその任意のラセミ化合物、エナンチオマー、位置異性体、塩、エステルもしくはプロドラッグが提供される。
【0020】
式VIの1つの好ましい化合物は、Rpが先に定義された通りである式VII:


を有する。
【0021】
(発明の詳細な説明)
定義
以下に記載されるのは、本発明を説明するために用いられる種々の用語の定義である。用語が個々にまたはより大きな基(group)の一部としてのいずれかで、特定の例に限定されない限り、本明細書および特許請求の範囲を通して用いられる場合、これらの定義は該用語に適用される。
【0022】
「脂肪族基」とは、炭素原子、水素原子、ハロゲン原子、酸素、窒素または他の原子の任意の組み合わせを含み得、一つ以上の不飽和単位、例えば二重および/または三重結合を任意に含む非芳香族部分である。脂肪族基は直鎖、分枝鎖、または環式であり得、好ましくは約1〜約24個の炭素原子、より典型的には約1〜約12個の炭素原子を含む。脂肪族炭化水素基に加え、脂肪族基は、例えばポリアルキレングリコール、ポリアミン、およびポリイミン等のポリアルコキシアルキルを例えば含む。かかる脂肪族基はさらに置換され得る。
【0023】
用語「C1〜C3アルキル」、「C1〜C6アルキル」または「C1〜C12アルキル」とは、本明細書で用いられる場合、1〜3個、1〜12個、または1〜6個の炭素原子をそれぞれ含む飽和直鎖または分枝鎖炭化水素残基をいう。C1〜C3アルキル残基の例としては、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピル残基が挙げられる;C1〜C6アルキル残基の例としては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびへキシル残基が挙げられる;ならびにC1〜C12アルキル残基の例としては、限定されないが、エチル、プロピル、プロピル、へキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル残基等が挙げられる。
【0024】
用語「置換アルキル」とは、本明細書で用いられる場合、1、2もしくは3以上の脂肪族置換基または芳香族置換基で置換された、C1〜C12アルキルまたはC1〜C6アルキル基等のアルキルをいう。
【0025】
適当な脂肪族置換基または芳香族置換基としては、限定されないが、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、保護ヒドロキシ、脂肪族エーテル、芳香族エーテル、オキソ、-NO2、-CN、任意にハロゲンで置換された-C1〜C12-アルキル(パーハロアルキル等)、任意にハロゲンで置換されたC2〜C12-アルケニル、任意にハロゲンで置換された-C2〜C12-アルキニル、-NH2、保護アミノ、-NH-C1〜C12-アルキル、-NH-C2〜C12-アルケニル、-NH-C2〜C12-アルキニル、-NH-C3〜C12-シクロアルキル、-NH-アリール、-NH-ヘテロアリール、-NH-ヘテロシクロアルキル、-ジアルキルアミノ、-ジアリールアミノ、-ジヘテロアリールアミノ、-O-C1〜C12-アルキル、-O-C2〜C12-アルケニル、-O-C2〜C12-アルキニル、-O-C3〜C12-シクロアルキル、-O-アリール、-O-ヘテロアリール、-O-ヘテロシクロアルキル、-C(O)-C1〜C12-アルキル、-C(O)-C2〜C12-アルケニル、-C(O)-C2〜C12-アルキニル、-C(O)-C3〜C12-シクロアルキル、-C(O)-アリール、-C(O)-ヘテロアリール、-C(O)-ヘテロシクロアルキル、-CONH2、-CONH-C1〜C12-アルキル、-CONH-C2〜C12-アルケニル、-CONH-C2〜C12-アルキニル、-CONH-C3〜C12-シクロアルキル、-CONH-アリール、-CONH-ヘテロアリール、-CONH-ヘテロシクロアルキル、-CO2-C1〜C12-アルキル、-CO2-C2〜C12-アルケニル、-CO2-C2〜C12-アルキニル、-CO2-C3〜C12-シクロアルキル、-CO2-アリール、-CO2-ヘテロアリール、-CO2-ヘテロシクロアルキル、-OCO2-C1〜C12-アルキル、-OCO2-C2〜C12-アルケニル、-OCO2-C2〜C12-アルキニル、-OCO2-C3〜C12-シクロアルキル、-OCO2-アリール、-OCO2-ヘテロアリール、-OCO2-ヘテロシクロアルキル、-OCONH2、-OCONH-C1〜C12-アルキル、-OCONH-C2〜C12-アルケニル、-OCONH-C2〜C12-アルキニル、-OCONH-C3〜C12-シクロアルキル、-OCONH-アリール、-OCONH-ヘテロアリール、-OCONH-ヘテロシクロアルキル、-NHC(O)-C1〜C12-アルキル、-NHC(O)-C2〜C12-アルケニル、-NHC(O)-C2〜C12-アルキニル、-NHC(O)-C3〜C12-シクロアルキル、-NHC(O)-アリール、-NHC(O)-ヘテロアリール、-NHC(O)-ヘテロシクロアルキル、-NHCO2-C1〜C12-アルキル、-NHCO2-C2〜C12-アルケニル、-NHCO2-C2〜C12-アルキニル、-NHCO2-C3〜C12-シクロアルキル、-NHCO2-アリール、-NHCO2-ヘテロアリール、-NHCO2-ヘテロシクロアルキル、-NHC(O)NH2、NHC(O)NH-C1〜C12-アルキル、-NHC(O)NH-C2〜C12-アルケニル、-NHC(O)NH-C2〜C12-アルキニル、-NHC(O)NH-C3〜C12-シクロアルキル、-NHC(O)NH-アリール、-NHC(O)NH-ヘテロアリール、-NHC(O)NH-ヘテロシクロアルキル、NHC(S)NH2、NHC(S)NH-C1〜C12-アルキル、-NHC(S)NH-C2〜C12-アルケニル、-NHC(S)NH-C2〜C12-アルキニル、-NHC(S)NH-C3〜C12-シクロアルキル、-NHC(S)NH-アリール、-NHC(S)NH-ヘテロアリール、-NHC(S)NH-ヘテロシクロアルキル、-NHC(NH)NH2、NHC(NH)NH-C1〜C12-アルキル、-NHC(NH)NH-C2〜C12-アルケニル、-NHC(NH)NH-C2〜C12-アルキニル、-NHC(NH)NH-C3〜C12-シクロアルキル、-NHC(NH)NH-アリール、-NHC(NH)NH-ヘテロアリール、-NHC(NH)NH-ヘテロシクロアルキル、NHC(NH)-C1〜C12-アルキル、-NHC(NH)-C2〜C12-アルケニル、-NHC(NH)-C2〜C12-アルキニル、-NHC(NH)-C3〜C12-シクロアルキル、-NHC(NH)-アリール、-NHC(NH)-ヘテロアリール、-NHC(NH)-ヘテロシクロアルキル、-C(NH)NH-C1〜C12-アルキル、-C(NH)NH-C2〜C12-アルケニル、-C(NH)NH-C2〜C12-アルキニル、-C(NH)NH-C3〜C12-シクロアルキル、-C(NH)NH-アリール、-C(NH)NH-ヘテロアリール、-C(NH)NH-ヘテロシクロアルキル、-S(O)-C1〜C12-アルキル、-S(O)-C2〜C12-アルケニル、-S(O)-C2〜C12-アルキニル、-S(O)-C3〜C12-シクロアルキル、-S(O)-アリール、-S(O)-ヘテロアリール、-S(O)-ヘテロシクロアルキル-SO2NH2、-SO2NH-C1〜C12-アルキル、-SO2NH-C2〜C12-アルケニル、-SO2NH-C2〜C12-アルキニル、-SO2NH-C3〜C12-シクロアルキル、-SO2NH-アリール、-SO2NH-ヘテロアリール、-SO2NH-ヘテロシクロアルキル、-NHSO2-C1〜C12-アルキル、-NHSO2-C2〜C12-アルケニル、-NHSO2-C2〜C12-アルキニル、-NHSO2-C3〜C12-シクロアルキル、-NHSO2-アリール、-NHSO2-ヘテロアリール、-NHSO2-ヘテロシクロアルキル、-CH2NH2、-CH2SO2CH3、-アリール、-アリールアルキル、-ヘテロアリール、-ヘテロアリールアルキル、-ヘテロシクロアルキル、-C3〜C12-シクロアルキル、ポリアルコキシアルキル、ポリアルコキシ、-メトキシメトキシ、-メトキシエトキシ、-SH、-S-C1〜C12-アルキル、-S-C2〜C12-アルケニル、-S-C2〜C12-アルキニル、-S-C3〜C12-シクロアルキル、-S-アリール、-S-ヘテロアリール、-S-ヘテロシクロアルキル、またはメチルチオメチルが挙げられる。アリール、ヘテロアリール、アルキル等はさらに置換され得ることを理解されたい。
【0026】
用語「C2〜C12アルケニル」または「C2〜C6アルケニル」とは、本明細書で用いられる場合、単一の水素原子の除去によって少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、2〜12個または2〜6個の炭素原子を含む炭化水素部分に由来する一価基を意味する。アルケニル基としては、限定されないが、例えばエテニル、プロペニル、ブテニル、1-メチル-2-ブテン-1-イル、アルカジエン等が挙げられる。
【0027】
用語「置換アルケニル」とは、本明細書で用いられる場合、1、2もしくは3以上の脂肪族置換基で置換された、先に定義された通りの「C2〜C12アルケニル」または「C2〜C6アルケニル」基をいう。
【0028】
用語「C2〜C12アルキニル」または「C2〜C6アルキニル」とは、本明細書で用いられる場合、単一の水素原子の除去によって少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する、2〜12個または2〜6個の炭素原子を含む炭化水素部分に由来する一価基を意味する。代表的なアルキニル基としては、限定されないが、例えばエチニル、1-プロピニル、1-ブチニル等が挙げられる。
【0029】
用語「置換アルキニル」とは、本明細書で用いられる場合、1、2もしくは3以上の脂肪族置換基で置換された、先に定義された通りの「C2〜C12アルキニル」または「C2〜C6アルキニル」基をいう。
【0030】
用語「C1〜C6アルコキシ」とは、本明細書で用いられる場合、酸素原子により親分子部分に結合した、先に定義された通りのC1〜C6アルキル基をいう。C1〜C6-アルコキシの例としては、限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、ネオペントキシおよびn-ヘキソキシが挙げられる。
【0031】
用語「ハロ」および「ハロゲン」とは、本明細書で用いられる場合、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子をいう。
【0032】
用語「アリール」または「芳香族」とは、本明細書で用いられる場合、限定されないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、イデニル等を含む芳香環を1つもしくは2つ有する単環式または二環式炭素環式環系をいう。
【0033】
用語「置換アリール」または「置換芳香族」とは、本明細書で用いられる場合、1、2もしくは3以上の芳香族置換基で置換された、先に定義された通りのアリール基をいう。
【0034】
用語「アリールアルキル」とは、本明細書で用いられる場合、C1〜C3アルキルまたはC1〜C6アルキル残基を介して親化合物に結合したアリール基をいう。例としては、限定されないが、ベンジル、フェネチル等が挙げられる。
【0035】
用語「置換アリールアルキル」とは、本明細書で用いられる場合、1、2もしくは3以上の芳香族置換基で置換された、先に定義された通りのアリールアルキル基をいう。
【0036】
用語「ヘテロアリール」または「複素芳香族」とは、本明細書で用いられる場合、少なくとも1つの環原子がS、O、およびNから選択される;0、1、2もしくは3個以上の環原子がS、O、およびNから独立して選択されるさらなるヘテロ原子である;ならびに、残りの環原子が炭素であり、環内に含まれる任意のNまたはSが任意に酸化され得る、5〜10個の環原子を有する単環式、二環式、または三環式芳香族残基または芳香族環をいう。ヘテロアリールとしては、限定されないが、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノキサリニル、テトラゾリル等が挙げられる。複素芳香族環は、炭素またはヘテロ原子によって化学構築物に結合し得る。
【0037】
用語「置換ヘテロアリール」または「置換複素芳香族」とは、本明細書で用いられる場合、1、2、3または4の芳香族置換基で置換された、先に定義された通りのヘテロアリール基をいう。
【0038】
用語「脂環式」とは、本明細書で用いられる場合、単一の水素原子の除去による単環式または二環式飽和炭素環式環化合物に由来する一価基を意味する。例としては、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、およびビシクロ[2.2.2]オクチルが挙げられる。
【0039】
1、2または3以上の脂肪族置換基で置換された、先に定義された通りの用語「置換脂環式」基。
【0040】
用語「複素環式」とは、本明細書で用いられる場合、(i)各環が、酸素、硫黄、および窒素より独立して選択された1〜3個のヘテロ原子を含み、(ii)各5員環が0〜1の二重結合を有し、各6員環が0〜2の二重結合を有し、(iii)窒素および硫黄へテロ原子が任意で酸化され得、(iv)窒素へテロ原子が任意で第四級化され得、(iv)上記の任意の環がベンゼン環に融合され得、(v)残りの環原子は任意でオキソ置換され得る炭素原子である、非芳香族5、6もしくは7員環、または二環式もしくは三環式基融合系をいう。代表的なヘテロシクロアルキル基としては、限定されないが、[1,3]ジオキソラン、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル、テトラヒドロフリル等が挙げられる。
【0041】
用語「置換複素環式」とは、本明細書で用いられる場合、1、2または3以上の脂肪族置換基で置換された、先に定義された通りの複素環式基をいう。
【0042】
用語「ヘテロアリールアルキル」とは、本明細書で用いられる場合、C1〜C3アルキルまたはC1〜C6アルキル残基を介して親化合物に結合したヘテロアリール基をいう。例としては、限定されないが、ピリジニルメチル、ピリミジニルエチル等が挙げられる。
【0043】
用語「置換ヘテロアリールアルキル」とは、本明細書で用いられる場合、1、2または3以上の芳香族置換基の独立した置換によって置換された、先に定義された通りのヘテロアリールアルキル基をいう。
【0044】
用語「C〜Cアルキルアミノ」とは、本明細書で用いられる場合、窒素原子により親分子部分に結合した、先に定義された通りの1または2個のC〜Cアルキル基をいう。C〜Cアルキルアミノの例としては、限定されないが、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノおよびプロピルアミノが挙げられる。
【0045】
用語「アルキルアミノ」とは、構造-NH(C1〜C12アルキル)(式中、C1〜C12アルキルは先に定義された通りである)を有する基をいう。
【0046】
用語「ジアルキルアミノ」とは、構造-N(C1〜C12アルキル)(C1〜C12アルキル)(式中、C1〜C12アルキルは先に定義された通りである)を有する基をいう。ジアルキルアミノの例は、限定されないが、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、ピペリジノ等である。
【0047】
用語「アルコキシカルボニル」とは、エステル基、すなわちメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等のカルボニル基により親分子部分に結合したアルコキシ基を表す。
【0048】
用語「カルボキサルデヒド」とは、本明細書で用いられる場合、式-CHOの基をいう。
【0049】
用語「カルボキシ」とは、本明細書で用いられる場合、式-COOHの基をいう。
【0050】
用語「カルボキサミド」とは、本明細書で用いられる場合、式-C(O)NH(C1〜C12アルキル)または-C(O)N(C1〜C12アルキル)(C1〜C12アルキル)、-C(O)NH2、-NHC(O)(C1〜C12アルキル)、-N(C1〜C12アルキル)C(O)(C1〜C12アルキル)等の基をいう。
【0051】
用語「ヒドロキシ保護基」とは、本明細書で用いられる場合、合成手順の間に望ましくない反応からヒドロキシル基を保護するための、当該技術分野で公知の不安定な化学物質部分をいう。該合成手順後、本明細書に記載されるようなヒドロキシ保護基は選択的に除去され得る。当該技術分野で公知のヒドロキシ保護基は、一般に、T.H. GreeneおよびP.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 第3版, John Wiley & Sons, New York (1999)に記載されている。ヒドロキシル保護基の例としては、ベンジルオキシカルボニル、4-ニトロベンジルオキシカルボニル、4-ブロモベンジルオキシカルボニル、4-メトキシベンジルオキシカルボニル、メトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ジフェニルメトキシカルボニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニル、2-フルフリルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、アセチル、ホルミル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、メトキシアセチル、フェノキシアセチル、ベンゾイル、メチル、t-ブチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-トリメチルシリルエチル、1,1-ジメチル-2-プロペニル、3-メチル-3-ブテニル、アリル、ベンジル、パラ-メトキシベンジルジフェニルメチル、トリフェニルメチル(トリチル)、テトラヒドロフリル、メトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、2,2,2-トリクロロエトキシメチル(triehloroethoxymethyl)、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル、メタンスルホニル、パラ-トルエンスルホニル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル等が挙げられる。本発明のための好ましいヒドロキシル保護基は、アセチル(Acまたは-C(O)CH3)、ベンゾイル(Bzまたは-C(O)C6H5)、およびトリメチルシリル(TMSまたは-Si(CH3)3)である。
【0052】
用語「保護されたヒドロキシ」とは、本明細書で用いられる場合、上で定義したように、例えばベンゾイル、アセチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、メトキシメチル基を含む、ヒドロキシ保護基で保護されたヒドロキシ基をいう。
【0053】
用語「ヒドロキシプロドラッグ基」とは、本明細書で用いられる場合、ヒドロキシ基をカバー(cover)またはマスキングすることにより親薬物の物理化学的特性および生物学的特性を一過性の方法で変化させる、当該技術分野で公知であるプロモエティー(promoiety)基をいう。該合成手順後、本明細書に記載されるようなヒドロキシプロドラッグ基はインビボでヒドロキシ基に戻ることができなければならない。当該技術分野で公知のヒドロキシプロドラッグ基は、一般に、Kenneth B. Sloan, Prodrugs, Topical and Ocular Drug Delivery, (Drugs and the Pharmaceutical Sciences; Volume 53), Marcel Dekker, Inc., New York(1992)に記載されている。
【0054】
用語「アミノ保護基」とは、本明細書で用いられる場合、合成手順の間に望ましくない反応からアミノ基を保護するための、当該技術分野で公知の不安定な化学物質部分をいう。該合成手順後、本明細書に記載されるようなアミノ保護基は選択的に除去され得る。で公知の(as known in the)アミノ保護基は、一般に、T.H. GreeneおよびP.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 第3版, John Wiley & Sons, New York (1999)に記載されている。アミノ保護基の例としては、限定されないが、t-ブトキシカルボニル、9-フルオレニルメトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0055】
用語「保護されたアミノ」とは、本明細書で用いられる場合、上で定義されたようなアミノ保護基で保護されたアミノ基をいう。
【0056】
用語「アシル」とは、限定されないが、カルボン酸、カルバミン酸、炭酸、スルホン酸および亜リン酸を含む酸由来の残基を含む。例としては、脂肪族カルボニル、芳香族カルボニル、脂肪族スルホニル、芳香族スルフィニル、脂肪族スルフィニル、芳香族ホスフェートおよび脂肪族ホスフェートが挙げられる。
【0057】
用語「非プロトン性溶媒」とは、本明細書で用いられる場合、プロトン活性に対して比較的不活性である、すなわちプロトン供与体として作用しない溶媒をいう。例としては、限定されないが、ヘキサンおよびトルエン等の炭化水素、例えば、塩化メチレン、塩化エチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、例えばテトラヒドロフランおよびN-メチルピロリジノン等の複素環式化合物、ならびにジエチルエーテル、ビス−メトキシメチルエーテルなどのエーテルが挙げられる。かかる化合物は当業者に周知であり、例えば試薬の溶解性、試薬の反応性および好ましい温度範囲などの要因に応じて、個々の溶媒またはその混合物が特定の化合物および反応条件に好ましくあり得ることは、当業者にとって自明であろう。非プロトン性溶媒のさらなる論考は、有機化学の教科書または専門の研究論文、例えば、Techniques of Chemistry Series, John Wiley & Sons, NY, 1986のOrganic Solvents Physical Properties and Methods of Purification, 第4版, John A. Riddickら編, 第II巻に見出され得る。
【0058】
用語「プロトン生成性(protogenic)有機溶媒」または「プロトン性溶媒」とは、本明細書で用いられる場合、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t-ブタノール、水等のアルコール等の、プロトンを供与する傾向にある溶媒をいう。かかる溶媒は当業者に周知であり、例えば試薬の溶解性、試薬の反応性および好ましい温度範囲などの要因に応じて、個々の溶媒またはその混合物が特定の化合物および反応条件に好ましくあり得ることは、当業者にとって自明であろう。プロトン生成性溶媒のさらなる論考は、有機化学の教科書または専門の研究論文、例えば、Techniques of Chemistry Series, John Wiley & Sons, NY, 1986のOrganic Solvents Physical Properties and Methods of Purification, 第4版, John A. Riddickら編, 第II巻に見出され得る。
【0059】
本発明で想定される置換基および変数の組み合わせは、安定な化合物の形成をもたらすものだけである。用語「安定な」とは、本明細書で用いられる場合、製造を可能とするのに充分な安定性を有し、かつ本明細書に詳細に記載される目的(例えば、被験体への治療用または予防用投与)に対して有用であるのに充分な時間、化合物の完全性を維持する化合物をいう。
【0060】
合成された化合物を、反応混合物から分離し得、カラムクロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィーまたは再結晶等の方法によりさらに精製し得る。当業者に理解され得るように、本明細書の式の化合物を合成するさらなる方法は、当業者にとって自明であろう。さらに、種々の合成工程を入れ替えたシーケンスまたは順序で行い、所望の化合物がえられ得る。本明細書に記載される化合物の合成に有用な合成化学変換および保護基方法論(保護および脱保護)は当該技術分野で公知であり、例えば、R. Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers (1989); T.W. GreeneおよびP.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 第2版, John Wiley and Sons (1991); L. FieserおよびM. Fieser, Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1994); ならびにL. Paquette編, Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1995)およびその後の改訂版に記載されるもの等が挙げられる。
【0061】
用語「被験体」とは、本明細書で用いられる場合、動物をいう。好ましくは、動物は哺乳動物である。より好ましくは、哺乳動物はヒトである。また、被験体は、例えばイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモット、魚類、鳥類等をいう。
【0062】
本発明の化合物は、選択的生物学的特性を増強するため、適切な官能基を付加することにより修飾され得る。かかる修飾は、当該技術分野で公知であり、所定の生物系(例えば、血液、リンパ系、中枢神経系)内への生物学的浸透を増加させるもの、経口利用可能性を増加させるもの、可溶性を増加して注射による投与を可能にするもの、代謝を変化させるもの、および排泄速度を変化させるものが挙げられ得る。
【0063】
本明細書に記載される化合物は、1つ以上の不斉中心を含み、したがって、(R)-もしくは(S)-として、またはアミノ酸の(D)-もしくは(L)-として絶対立体化学に関して定義され得るエナンチオマー、ジアステレオマーおよび他の立体異性体形態を生じる。本発明は、かかる可能性のあるすべての異性体ならびにそのラセミ体および光学的に純粋な形態を含むことを意味する。光学異性体は、それぞれの光学的に活性のある前駆体から、上記手順により、またはラセミ混合物を分離することにより調製され得る。分離は、分離剤の存在下で、クロマトグラフィーにより、もしくは結晶化の反復により、または当業者に公知のこれらの技術のいくつかの組み合わせにより行なわれ得る。分離に関するさらなる詳細は、Jacquesら, Enantiomers, Racemates, and Resolutions (John Wiley & Sons, 1981)に見出だし得る。本明細書に記載される化合物がオレフィン性二重結合、他の不飽和、または他の幾何的非対称中心を含むとき、別に特定化されない限り、化合物はEおよびZ幾何異性体の両方、またはシス-異性体およびトランス-異性体を含むことを意図する。同様に、すべての互変異性形態もまた含まれることを意図する。本明細書に出てくる任意の炭素−炭素二重結合の立体配置は、単に便宜上選択されたのであって、本文にその記載のない限り、特定の立体配置を示すことを意図しない;したがって、本明細書にトランスとして任意に示される炭素−炭素二重結合または炭素−ヘテロ原子二重結合は、シス、トランスまたは任意の比率の2つの混合物であり得る。
【0064】
用語「薬学的に許容され得る塩」とは本明細書で使用する場合、正しい医学的判断の範囲内において、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴わず、ヒトおよび下等動物の組織と接触する使用に適しており、妥当な利益/リスク比に合った塩をいう。薬学的に許容され得る塩は当該技術分野で周知である。例えば、S. M. Bergeらは、薬学的に許容され得る塩をJ. Pharmaceutical Sciences, 66: 1-19 (1977)に詳細に記載している。該塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製の際にインサイチューで調製することができ、または遊離塩基官能基を適当な有機酸または無機酸と反応させることにより別途調製することができる。薬学的に許容され得る無毒性酸付加塩の例は、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸または酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸ラクトビオン酸もしくはマロン酸などの有機酸と形成されるか、またはイオン交換などの当該技術分野で使用されている他の方法を用いて形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に許容され得る塩としては、限定されないが、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩(camphorsulfonate)、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、ヘプトグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモエート(pamoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらなる薬学的に許容され得る塩としては、適宜、ハロゲン化物、ヒドロキシド、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、スルホン酸塩およびアリールスルホネートなどの対イオンを用いて形成される無毒性アンモニウム塩、第四級アンモニウム塩、アミンカチオンが挙げられる。
【0065】
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容され得るエステル」とは、インビボで加水分解するエステルをいい、人体で容易に分解してその親化合物またはその塩を残すものが挙げられる。好適なエステル基としては、例えば、薬学的に許容され得る脂肪族カルボン酸、特に、各アルキルまたはアルケニル部分が有利に6個以下の炭素原子を持つアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸およびアルカン二酸に由来するものが挙げられる。特定のエステルの例としては、限定されないが、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、アクリル酸エステル、およびエチルコハク酸エステルが挙げられる。
【0066】
用語「薬学的に許容され得るプロドラッグ」は本明細書で使用する場合、正しい医学的判断の範囲内において、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを伴うヒトおよび下等動物の組織と接触する使用に適しており、妥当な利益/リスク比に合っており、その使用目的に有効である本発明の化合物のプロドラッグをいい、並びに可能であれば本発明の化合物の両性イオン形態をいう。「プロドラッグ」とは本明細書で使用する場合、インビボで代謝手段によって(例えば加水分解によって)本発明の化合物に変換可能である化合物を意味する。プロドラッグの様々な形態が当該技術分野で公知であり、例えば、Bundgaard, (編), Design of Prodrugs, Elsevier (1985); Widderら (編), Methods in Enzymology, vol. 4, Academic Press (1985); Krogsgaard-Larsenら, (編). "Design and Application of Prodrugs, Textbook of Drug Design and Development, Chapter 5, 113-191 (1991); Bundgaardら, Journal of Drug Deliver Reviews, 8:1-38 (1992); Bundgaard, J. of Pharmaceutical Sciences, 77:285 以下参照 (1988); HiguchiおよびStella (編) Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems, American Chemical Society (1975); およびBernard Testa & Joachim Mayer, "Hydrolysis In Drug And Prodrug Metabolism: Chemistry, Biochemistry And Enzymology," John WileyおよびSons, Ltd. (2002)で論じられる通りである。
【0067】
本発明はまた、本発明の化合物の薬学的に許容され得るプロドラッグを含む医薬組成物、および該組成物を投与することによる細菌感染の治療方法を包含する。例えば、遊離のアミノ基、アミド基、ヒドロキシ基またはカルボキシル基を有する本発明の化合物はプロドラッグに変換し得る。プロドラッグとしては、アミノ酸残基または2つ以上(例えば2、3もしくは4)のアミノ酸残基のポリペプチド鎖が、アミド結合もしくはエステル結合を介して、本発明の化合物の遊離のアミノ基、ヒドロキシ基またはカルボキシル基に共有結合する化合物が挙げられる。アミノ酸残基としては限定されないが、一般に3つの文字記号で表される20の天然に存在するアミノ酸が挙げられ、4-ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、デモシン(demosine)、イソデモシン(isodemosine)、3-メチルヒスチジン、ノルバリン、ベータ-アラニン、ガンマ-アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチン、およびメチオニンスルホンもまた挙げられる。プロドラッグのさらなる種類もまた包含される。例えば、遊離のカルボキシル基がアミドまたはアルキルエステルとして誘導され得る。遊離のヒドロキシ基は、限定されないが、Advanced Drug Delivery Reviews, 1996, 19, 115に概説されるように、ヘミコハク酸エステル、リン酸エステル、ジメチルアミノ酢酸エステル、およびホスホリルオキシメチルオキシカルボニルを含む基を用いて誘導され得る。ヒドロキシ基のカルボネートプロドラッグ、スルホン酸エステルおよび硫酸エステルである、ヒドロキシ基およびアミノ基のカルバメートプロドラッグもまた含まれる。アシル基がアルキルエステルでもよく、限定されないがエーテル、アミンおよびカルボン酸官能基を含む基と任意で置換されていてもよく、または上記に記載される通りアシル基がアミノ酸エステルである、(アシルオキシ)メチルエーテルおよび(アシルオキシ)エチルエーテルとしてのヒドロキシ基の誘導体化もまた包含される。この種類のプロドラッグはJ. Med. Chem. 1996, 39, 10に記載されている。遊離のアミンもまたアミド、スルホンアミドまたはホスホンアミドとして誘導され得る。これらのプロドラッグ部分の全ては、限定されないがエーテル、アミン、およびカルボン酸官能基を含む基を組み込み得る。
【0068】
用語「細菌感染」または「原虫感染」は本明細書で使用する場合、特に記載のない限り、限定されないが、本発明の化合物のような抗生物質を投与することにより治療または予防され得る、哺乳動物、魚類および鳥類で起こる細菌感染および原虫感染、ならびに細菌感染および原虫感染に関連する障害を含む。かかる細菌感染および原虫感染ならびにかかる感染に関連する障害としては、限定されないが、以下のものが挙げられる:Streptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzae, Moraxella catarrhalis, Staphylococcus aureus, Peptostreptococcus種またはPseudomonas種による感染に関連する肺炎、中耳炎、副鼻腔炎(sinusitus)、気管支炎、扁桃炎、嚢胞性線維症(CF)および乳様突起炎; Streptococcus pyogenes, 群CおよびG streptococci, Clostridium diptheriaeまたはActinobacillus haemolyticumによる感染に関連する咽頭炎(pharyngitis), リウマチ熱および糸球体腎炎; Mycoplasma pneumoniae, Legionella pneumophila, Streptococcus pneumoniae, Haemophilus influenzaeまたはChlamydia pneumoniaeによる感染に関連する気道感染; Staphylococcus aureus, コアグラーゼ-陽性staphylococci (すなわち、S. epidermidis, S. hemolyticusなど), S. pyogenes, S. agalactiae, Streptococcal群C-F (微小集落streptococci), viridans streptococci, Corynebacterium種、Clostridium種またはBartonella henselaeによる感染に関連する合併症のない皮膚および軟組織感染、膿瘍および骨髄炎ならびに産褥熱; S. saprophyticusまたはEnterococcus種による感染に関連する合併症のない急性尿路感染; Chlamydia trachomatis, Haemophilus ducreyi, Treponema pallidum, Ureaplasma urealyticumまたはNesseria gonorrheaeによる感染に関連する尿道炎および子宮頸管炎ならびに性感染症; S. aureus (食中毒およびトキシックショック症候群)または群A, S.およびC streptococciによる感染に関連する毒疾患; Helicobacter pyloriによる感染に関連する潰瘍; Borrelia recurrentisによる感染に関連する全身性熱性症候群(systemic febrile syndromes); Borrelia burgdorferiによる感染に関連するライム病; C. trachomatis, N. gonorrhoeae, S. aureus, S. pneumoniae, S. pyogenes, H. influenzaeまたはListeria種による感染に関連する結膜炎, 角膜炎および涙嚢炎(dacrocystitis); Mycobacterium aviumまたはMycobacterium intracellulareによる感染に関連する播種性トリ結核菌群(MAC)疾患; Mycobacterium tuberclosisによる感染に関連する結核症; Campylobacter jejuniによる感染に関連する胃腸炎; Cryptosporidium種による感染に関連する腸原虫、viridans streptococciによる感染に関連する歯原性感染; Bordetella pertussisによる感染に関連する持続性の咳; Clostridium perfringensまたはBacteroides種による感染に関連するガス壊疽; S. aureus, Propionibacterium acneによる皮膚感染; Helicobacter pyloriまたはChlamydia pneumoniaeによる感染に関連するアテローム性動脈硬化;など。
【0069】
動物において治療または予防され得る細菌感染および原虫感染ならびにかかる感染に関連する障害としては、限定されないが、以下のものが挙げられる: P. haemolytica., P. multocida, Mycoplasma bovisまたはBordetella種による感染に関連するウシ呼吸器疾患; 大腸菌または原虫(すなわち、coccidia, cryptosporidiaなど)による感染に関連するウシ腸疾患、S. aureus, S. uberis, S. agalactiae, S. dysgalactiae, Klebsiella種、CorynebacteriumまたはEnterococcus種による感染に関連する乳牛乳腺炎; A. pleuropneumoniae., P. multocidaまたはMycoplasma種による感染に関連するブタ呼吸器疾患; 大腸菌, Lawsonia intracellularis, Salmonella種またはSerpulina hyodyisinteriaeによる感染に関連するブタ腸疾患; Fusobacterium種による感染に関連するウシ腐蹄症; 大腸菌による感染に関連するウシ子宮筋層炎; Fusobacterium necrophorumまたはBacteroides nodosusによる感染に関連するウシ被毛疣(hairy wart); Moraxella bovisによる感染に関連するウシピンクアイ、原虫(すなわちneosporium)による感染に関連するウシ早流産; 大腸菌による感染に関連するイヌおよびネコにおける尿路感染症; S. epidermidis, S. intermedius, コアグラーゼ陰性StaphylococcusまたはP. multocidaによる感染に関連するイヌおよびネコにおける皮膚および軟組織感染; ならびにAlcaligenes種、Bacteroides種、Clostridium種、Enterobacter種、Eubacterium種、Peptostreptococcus種、Porphfyromonas種、Campylobacter種、Actinomyces種、Erysipelothrix種、Rhodococcus種、Trypanosoma種、Plasmodium種、Babesia種、Toxoplasma種、Pneumocystis種、Leishmania種、およびTrichomonas種またはPrevotella種による感染に関連するイヌおよびネコにおける歯性または口腔感染。本発明の方法により治療または予防され得る他の細菌感染および原虫感染ならびにかかる感染に関連する障害は、J. P. Sanfordら, “The Sanford Guide To Antimicrobial Therapy,” 第26版, (Antimicrobial Therapy, Inc., 1996)を参照のこと。
【0070】
当該分野に公知である適切なアッセイを用いて、抗菌活性の試験を行い得る。感受性試験を用いて、所定の細菌単離物に対する抗菌剤のインビトロ活性を定量的に測定することができる。微量希釈(micro-dilution)法により、化合物をインビトロ抗菌活性について試験する。96ウェルマイクロタイタープレートにおいて、適切なMueller Hinton Broth培地(CAMHB)を利用し、観察される細菌単離物について、最小阻害濃度(MIC)を測定する。抗菌剤を、約64μg/ml〜約0.03μg/mlの範囲の濃度をもたらすように、DMSOで連続的に(2倍)希釈する。次いで、希釈した化合物(2μl/ウェル)を、96固定チップピペッティングステーション(station)の使用により、滅菌した未接種CAMHB(0.2mL)に移す。各菌株の接種菌を、0.5 McFarland濁度標準品との光学的比較により5×105 CFU/mLに標準化する。プレートに10μl/ウェルの調整された細菌接種材料を播種する。96ウェルプレートに覆いをし、35+/-2℃で24時間、周囲空気環境にてインキュベートする。インキュベーション後、光学濃度測定により、プレートウェルを増殖(濁度)の存在について目視検査する。目に見える増殖が起こっていない抗菌剤の最低濃度をMICとする。本発明の化合物は通常、約64μg/ml〜約0.03μg/mlの範囲のMICを示した。
【0071】
すべてのインビトロ試験は、National Committee for Clinical Laboratory Standards (NCCLS)により出版されたApproved Standards M7-A4プロトコルに記載のガイドラインに従う。
【0072】
本発明は、炎症状態を患う被験体を治療する組成物、および治療有効量の本発明の化合物の少なくとも一つを、該組成物を必要とする被験体に投与する工程を含む、炎症状態を患う被験体の治療方法をさらに提供する。本発明により治療可能な炎症状態の具体例としては、限定されないが、強膜炎;上強膜炎;アレルギー性結膜炎;肺炎症性疾患、特にCF、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、およびサルコイドーシス;直腸S状結腸炎;アレルギー性鼻炎;関節炎;腱炎;アフタ性(apthous)口内炎;および炎症性腸疾患が挙げられる。
【0073】
本発明は、i)肺感染およびCFに関連する炎症を含むCF症状にかかりやすい被験体の予防的治療、ii)肺感染およびCFに関連する炎症の症状の最初の開始での治療、ならびにiii)感染およびCFに関連する炎症の、進行中または再発の症状の治療のための、組成物ならびに方法をさらに提供する。本発明に従い、本発明の化合物が、慢性肺炎症および感染を含むCFの症状を予防し、弱め、または根絶するために十分な量で、CFの治療を必要とする被験体に投与される。
【0074】
本発明の医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容され得る担体または賦形剤と共に配合された治療有効量の本発明の化合物を含有する。
【0075】
用語「薬学的に許容され得る担体または賦形剤」は本明細書で使用する場合、無毒性の不活性な固体、半固体または液体の任意の種類の充填剤、希釈剤、カプセル化材料または配合助剤を意味する。薬学的に許容され得る担体となり得る材料の例の一部は、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖類;コーンスターチおよびイモデンプンなどのデンプン;セルロースならびにナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよびセルロースアセテートなどのセルロース誘導体;粉末状トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐剤ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油および大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール類;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル類;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;無発熱物質水;等張生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコールおよびリン酸緩衝溶液ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの他の無毒性の適合性のある滑沢剤、ならびに着色剤、離型剤、被覆剤、甘味剤、香味料および香料であり、保存料および酸化防止剤もまた処方者の判断に応じて該組成物中に存在し得る。
【0076】
本発明の医薬組成物は、経口、非経口、吸入スプレー、局所、直腸、鼻、口頬、膣で、または埋め込みレザバーにより投与され得、好ましくは経口投与または注射による投与により投与され得る。本発明の医薬組成物は、任意の従来の無毒性の薬学的に許容され得る担体、アジュバントまたはビヒクルを含み得る。ある場合においては、製剤のpHを、薬学的に許容され得る酸、塩基またはバッファーで調整し、製剤化された化合物またはその送達形態の安定性を増強し得る。本明細書で使用される非経口という用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液包内、胸骨内、鞘内、病変内、および頭蓋内への注射または輸液技術を含む。
【0077】
経口投与のための液体投薬形態としては、薬学的に許容され得るエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。活性化合物に加え、液体投薬形態は、例えば、水、またはエチルアルコール、イロプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタン脂肪酸エステルならびにこれらの混合物などの他の溶媒、可溶化剤および乳化剤などの、当該技術分野で一般に使用される不活性な希釈剤を含み得る。不活性希釈剤の他に、経口用組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味料および香料などのアジュバントを含み得る。
【0078】
注射可能な調製物、例えば、滅菌した注射可能な水性または油性の懸濁液を、公知の当該技術にしたがい、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて製剤化し得る。滅菌した注射可能な調製物はまた、無毒性の非経口に許容できる希釈剤または溶媒中の滅菌された注射可能な溶液、懸濁液またはエマルジョン、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液であってもよい。使用され得る、許容できるビヒクルおよび溶媒には、水、U.S.P.のリンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液がある。また、滅菌された不揮発性油は、溶媒または懸濁媒体として従来より使用されている。この目的のためには、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む、任意の無刺激不揮発性油を使用することができる。また、オレイン酸などの脂肪酸は注射可能物質の調製に使用される。
【0079】
注射可能な製剤を、例えば、細菌保持フィルターによる濾過により、または、滅菌水もしくは他の滅菌された注射可能な媒体に溶解もしくは分散できる滅菌された固形組成物の形態の滅菌剤を、使用前に組み込むことにより滅菌することができる。
【0080】
薬物の効果を長引かせるため、皮下または筋肉内注射による薬物の吸収を遅延させることがしばしば望ましい。これは、水溶性が乏しい結晶性または非晶質物質の液体懸濁液の使用により達成され得る。次いで、薬物の吸収速度は溶解速度に依存し、溶解速度は結晶の大きさおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与される薬物形態の吸収遅延は、薬物を油性ビヒクルに溶解または懸濁することによりなされる。注射可能な蓄積形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー内の薬物のマイクロカプセル化マトリックスを形成することにより作製される。薬物のポリマーに対する比率および使用した特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。蓄積注射可能製剤はまた、体組織と適合可能なリポソームまたはマイクロエマルジョン内に薬物を閉じ込めることにより調製される。
【0081】
直腸内または膣内投与用組成物は、好ましくは、本発明の化合物を、周囲温度では固体であるが体温では液体であり、したがって直腸または膣腔内で溶けて活性化合物を放出するココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤用ワックスなどの適当な非刺激性賦形剤または担体と混合することにより調製され得る坐剤である。
【0082】
経口投与のための固体投薬形態としては、カプセル、錠剤、ピル、散剤および顆粒が挙げられる。かかる固体投薬形態において、活性化合物は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムおよび/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよび珪酸などの充填剤もしくは増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン(polyvinylpyrrolidinone)、スクロースおよびアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、イモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケートおよび炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイトクレイなどの吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびその混合物などの滑沢剤などの不活性な薬学的に許容され得る賦形剤または担体の少なくとも1つと混合される。カプセル、錠剤およびピルの場合、投薬形態はまた、緩衝剤を含み得る。
【0083】
類似の種類の固体組成物もまた、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を用いた軟質および硬質充填ゼラチンカプセル内の充填剤として用い得る。
【0084】
錠剤、糖衣錠、カプセル、ピルおよび顆粒の固体投薬形態は、腸溶性コーティングおよび医薬製剤技術分野で周知のその他のコーティングなどの被覆および殻を用いて調製され得る。これらは、任意に不透明化剤を含み得、腸管の特定の部分において任意で遅延された様式で、活性成分のみ、または活性成分を優先的に放出する組成物でもまたあり得る。使用され得る包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0085】
本発明の化合物の局所または経皮投与のための投薬形態としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、散剤、溶液、スプレー、吸入剤または貼付剤が挙げられる。活性化合物は、薬学的に許容され得る担体および必要に応じて任意の必要とされる保存料または緩衝剤とともに滅菌条件下で混合される。眼病用製剤、点耳薬、眼用軟膏、散剤および溶液はまた、本発明の範囲内であることが企図される。
【0086】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本発明の活性化合物に加え、動物性および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、珪酸、タルクならびに酸化亜鉛、またはそれらの混合物等の賦形剤を含み得る。
【0087】
散剤およびスプレーは、本発明の化合物に加え、乳糖、タルク、珪酸、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウムおよびポリアミド散剤またはこれらの物質の混合物等の賦形剤を含み得る。スプレーは、クロロフルオロ炭化水素等の慣用の推進剤をさらに含み得る。
【0088】
経皮貼付剤は、化合物を身体に制御送達するというさらなる利点を有する。かかる投薬形態は、該化合物を適切な媒体に溶解または調剤することにより作製され得る。吸収促進剤はまた、皮膚を横切る化合物の流入を増加させるために使用され得る。流入速度は、速度制御膜を設けるか、またはポリマーマトリックスもしくはゲル内に化合物を分散させるかのいずれかにより制御され得る。
【0089】
肺送達のために、本発明の治療組成物は配合され、固体または液体微粒子形態で直接投与、例えば呼吸器系への吸入により被験体に投与される。本発明を実施するために調製された活性化合物の固体または液体微粒子形態としては、呼吸に適する大きさの粒子が挙げられ、すなわち吸入に際し、口および咽頭を通り気管支および肺胞に到達するために十分小さい大きさの粒子である。エアロゾル化された治療の送達、特にエアロゾル化された抗生物質は当該技術分野で公知である(例えばその全てが参照により本明細書に援用される、VanDevanterらの米国特許第5,767,068号、Smithらの米国特許第5,508,269号、およびMontgomeryによるWO 98/43,650参照)。抗生物質の肺送達についての論考はまた、参照により本明細書に援用される米国特許第6,014,969号に見出される。
【0090】
本発明の治療方法によれば、治療有効量の本発明の化合物を、所望の結果を達成するのに必要な量および時間で、被験体に投与することにより、ヒトまたは他の動物などの被験体において細菌感染、嚢胞性線維症および炎症状態が治療または予防される。
【0091】
本発明の化合物の「治療有効量」により、任意の医療処置に対して適用可能な妥当な利益/リスク比で、治療される被験体に治療効果を与えるような量の化合物が意味される。治療効果は他覚的(すなわち、ある検査もしくはマーカーで測定可能である)または自覚的(すなわち、被験体が効果の兆候を示すか、もしくは感じる)であり得る。上述の化合物の有効量は約0.1mg/Kgから約500mg/Kgの範囲にあり得、好ましくは約1〜約50mg/Kgである。有効用量はまた投与経路、並びに他の薬剤との併用の可能性によっても変わる。しかしながら、本発明の化合物および組成物の1日の合計使用量は、正しい医学的判断の範囲内において、主治医により決定されることを理解されたい。任意の特定の被験体に対する具体的な治療有効用量レベルは、治療対象の障害および該障害の重篤度;使用した特定の化合物の活性、使用した特定の組成物;被験体の年齢、体重、全般的な健康状態、性別および食生活;使用した特定の化合物の投与期間、投与経路および排泄速度;処置期間;使用した特定の化合物と組み合わせるか、もしくは同時に用いる薬物;ならびに医療分野で周知の要因等を含む、種々の要因に依存する。
【0092】
1回または分割された用量でヒトまたは他の動物に投与される本発明の化合物全日用量は、例えば、0.01〜50 mg/kg体重またはより通常は0.1〜25 mg/kg体重の量であり得る。単回用量組成物は、かかる量または日用量を構成するその約数を含み得る。一般に、本発明による処置養生法は、単回または反復投与で1日あたり本発明の化合物(1種または複数)の約10 mg〜約1000 mgを、かかる処置を必要とする被験体への投与することを含む。
【0093】
本明細書に記載の式の化合物は、例えば、注射によって、静脈内、動脈内、皮下(subdermally)、腹腔内、筋肉内もしくは皮下(subcutaneously);または経口、口内、経鼻、経粘膜、局所、眼用調製物において、もしくは吸入によって、約0.1〜約500 mg/体重kgの範囲の投与量、あるいは1 mg〜1000 mg/投与の投与量で、4〜120時間ごとに、または特定の薬物の要件に従って投与され得る。本明細書に記載の方法は、所望のまたは記載の効果を達成するのに有効な量の化合物または化合物組成物の投与を考慮する。典型的に、本発明の医薬組成物は、1日あたり約1〜約6回、あるいは連続注入として投与される。かかる投与は、慢性または急性療法として使用され得る。単回投薬形態を作製するために医薬用賦形剤または担体と組み合わされ得る活性成分の量は、処置される宿主および特定の投与様式に応じて異なる。典型的な調製物は約5%〜約95%活性化合物(w/w)を含む。あるいは、かかる調製物は、約20%〜約80%活性化合物を含み得る。
【0094】
上記のものより少ないか、またはより多い用量が必要されることもある。任意の特定の被験体に具体的な投与量および処置養生法は、使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組合せ、疾患、状態または症状の重篤度および経過、疾患、状態または症状に対する被験体の素因、ならびに処置している医師の判断を含む種々の因子に依存する。
【0095】
被験体の状態が改善したら、必要に応じて、本発明の化合物、組成物または組合せの維持用量が投与され得る。続いて、投与量もしくは投与頻度または両方が、症状の関数として、症状が所望のレベルに緩和されたとき、改善された状態が維持されるレベルに低減され得る。しかしながら、被験体は、疾患症状の再発時には、長期的に断続的な処置を必要とし得る。
【0096】
本発明の組成物が本明細書に記載の式の化合物および1つ以上のさらなる治療剤または予防剤の組合せを含む場合、両方の化合物およびさらなる薬剤は、単独療法養生法において通常投与される投与量の約1〜100%、より好ましくは約5〜95%の投与量レベルで存在すべきである。さらなる薬剤は、反復投与養生法の一部として本発明の化合物とは別に投与され得る。あるいは、該薬剤は、本発明の化合物と一緒に単一の組成物に混合された単一投薬形態の一部であり得る。
【0097】
本発明の医薬組成物は、前記医薬組成物を魚用の餌にブレンドすることにより魚に経口で投与され得、または前記医薬組成物は、感染した魚を入れた水中に溶解され得、一般に薬浴と呼ばれる方法である。魚の処置のための投与量は、投与の目的(疾患の予防または治癒)および投与の型、処置される魚の大きさおよび感染の程度に応じて異なる。一般に、魚の体重1kgあたり5〜1000 mg、好ましくは20〜100 mgの投与量が、1回または数回に分けてのいずれかで1日に投与され得る。上記に特定された投与量は、単なる一般的な範囲であり、これは、魚の年齢、体重、疾患の状態などに応じて減少または増加させ得ることは認識されよう。
【0098】
特に記載のない限り、本明細書で使用されるすべての科学技術用語は、当業者に一般に知られた意味に従う。本明細書に示したすべての刊行物、特許、公開特許出願および他の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0099】
略語
以下のスキームおよび実施例の説明に使用され得る略語は、
Acが、アセチル;
AIBNが、アゾビスイソブチロニトリル;
Bu3SnHが、トリブチルスズヒドリド;
CDIが、カルボニルジイミダゾール;
dbaが、ジベンジリデンアセトン:
dppbが、ジフェニルホスフィノブタン;
DBUが、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン;
DEADが、ジエチルアゾジカルボキシレート;
DMAPが、ジメチルアミノピリジン;
DMFが、ジメチルホルムアミド;
DPPAが、ジフェニルホスホリルアジド;
EtOAcが、酢酸エチル;
EtOHが、エタノール;
MeOHが、メタノール;
Msが、メシラートまたはO-SO2-CF3;
NaN(TMS)2が、ナトリウム ビス(トリメチルシリル)アミド;
NMMOが、N-メチルモルホリンN-オキシド;
TEAが、トリエチルアミン;
THFが、テトラヒドロフラン;
TPPまたはPPh3が、トリフェニルホスフィン;
MOMが、メトキシメチル;
Bocが、t-ブトキシカルボニル;
Bzが、ベンゾイル;
Bnが、ベンジル;
Phが、フェニル;
POPdが、ジハイドロジェンジクロロビス(ジ-tert-ブチルホスフィニト-κP)パラジウム酸(II);
TBSが、tert-ブチル ジメチルシリル;または
TMSが、トリメチルシリル
である。
【0100】
合成方法
本発明の化合物および方法は、本発明の化合物が調製され得る方法を説明する以下の合成スキームと組み合わせて、より良好に理解されよう。
【0101】
式Iで表される化合物の調製のための好ましい中間体は、以下に示す式VIIIで表される化合物である。


(式中、Rp、U、V、W、X、YおよびZは、先に規定のとおりである)
【0102】
スキーム1〜2は、本発明による化合物の調製方法を示す。
【0103】
本発明の化合物の調製のための出発材料として有用である式VIIIの化合物は、参照により本明細書に援用される米国特許第6,878,691号および米国特許出願公開第2004/0053861号に記載された手順を用いてエリスロマイシンから調製される。
【0104】
スキーム1


スキーム1は、式:


(式中、A は、先に規定のとおりである)
の適切な置換ヒドロキシルアミンを用いてVIIIの橋かけケトンを式(1-2)のオキシムに変換することにより本発明の化合物を調製する方法を示す。このオキシム形成は、種々の溶媒中、酸性または塩基性状態いずれかの下で、適切な置換ヒドロキシルアミンを用いて達成され得る。代表的な酸としては、限定されないが、塩酸、リン酸、硫酸、p-トルエンスルホン酸、およびp-トルエンスルホン酸ピリジニウムなどが挙げられる。同様に、代表的な塩基としては、限定されないが、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、2,6-ルチジンなどが挙げられる。適切な溶媒としては、限定されないが、メタノール、エタノール、水、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、酢酸エチルなどが挙げられる。好ましくは、反応は、塩酸水を用いてエタノール中で行なわれる。反応温度は、一般的に、限定されないが-20℃〜40℃であり、反応時間は1〜8時間であり、好ましくは、反応は0℃で行なわれる。
【0105】
スキーム2


スキーム2は、限定されないが、水素化ナトリウム、水素化カリウム、カリウムtert-ブトキシドカリウム、水酸化カリウム、KHMDSなどの塩基の存在下で、式R1-NCOのイソシアネート、式Rl-C(O)Clの酸塩化物またはアルキルイソシアネートでの処理によって式(2-1)の化合物が式(2-2)の化合物に変換され得る手順を示す。反応は、典型的に、限定されないが、THF、DMSO、DMFまたはジオキサンなどの非プロトン性溶媒中で行なわれる。反応の温度は25℃〜80℃である。好ましい反応時間は5〜20時間である。
【0106】
あるいは、式(2-2)のエステル化合物のいくつかは、限定されないが Et3N、ピリジン、DMAPなどの塩基の存在下で式R1-C(O)OHの酸により、および限定されないが、ジクロロメタン、塩化エチレン、THF、DMF、アセトニトリルなどの非プロトン性溶媒中で限定されないが、EDC、BOPCl、HATUなどのカップリング剤により、25℃〜80℃の温度で式(2-1)の化合物を処理することにより調製され得、反応時間は2〜24時間である。
【0107】
式(2-1)の化合物はまた、パラジウム触媒およびホスフィン添加剤の存在下で、置換tert-ブチルアリルカーボネートにより(with with)処理され、アリルエーテルが得られ得る。
【実施例】
【0108】
本発明の化合物および方法は、本発明の範囲の例示を意図し、限定を意図しない以下の実施例と関連させてより良好に理解される。開示した態様に対する種々の変形および修正は当業者に自明であり、限定されないが、本発明の化学構造、置換基、誘導体、配合および/または方法に関するものを含むかかる変形および修正は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲の範囲を逸脱することなく行なわれ得る。
【0109】
実施例1




工程1a:
1500 mlのEtOH中2-アミノ-4-メチルフェノール(157.6g、1.28mol)の溶液に、室温で、攪拌条件下、臭化シアン(135.00g、1.28mol)を約30分間で添加した。添加中、反応混合物は温かくなり、水浴を用いて反応物を室温に冷却した。5〜6時間後、反応溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を約1500 mlのEtOAcに溶解し、飽和NaHCO3(1.5 L)で洗浄した。有機層を分離し、無水MgSO4で乾燥させた。溶媒の除去および高真空による乾燥(dried) により、淡褐色として約150gの標題の化合物が得られ、これは、次の工程で使用され得る。ESI MS m/e: 149(M+H)+.
【0110】


工程1b:
2500 mlの 無水トルエン中無水コハク酸 (141.1g、1.41 mol)および70 g (約0.47 mol)の工程1aの化合物(70 g、0.47 mol)の溶液を一晩還流させた。その後、HATU (100g、0.26 mol)および4-メチルモルホリン(41.36 ml、0.376 mol)を添加し、得られた混合物を2〜3時間還流した。TLCは、主要なスポットは生成物であったことを示した(Rf=0.35、アセトン:ヘキサン=1:2)。反応が終了した後、溶媒を蒸発させ、残渣を約2000 mlのCH2Cl2に溶解した。溶液をNaHCO3水溶液で洗浄した。pHを7〜8に調整してブラインで洗浄した後、有機相を分離しMgSO4で乾燥させた。溶媒の濾過および除去により、微細な白色針状結晶質として標題の化合物(98g) を得た。ESI MS m/e: 231 (M+H)+.
【0111】


工程1c:
CCl4(1.5 L)中工程1bの化合物(44.37g、0.193mol)の溶液に、NBS (41.16g、0.23mol)を添加し、次いで、混合物を加熱還流した。過酸化ベンゾイル(0.75g)を3回で添加した。24時間還流後、反応物を室温に冷却し、混合物を1.5 LのCH2Cl2で希釈した。有機相を分離し、4Lの飽和NaHCO3で2回洗浄し、pHを7〜8に調整した。MgSO4での乾燥および減圧下での溶媒の除去により、淡黄色固体として標題の化合物(57.3 g)を得、これを、さらに精製せずに次の工程で使用した。ESI MS m/e: 309/311 (M+H)+.
【0112】


工程1d:
450 mlの MeCN中工程1cの化合物(57.3g、0.185mol)の溶液に、N-ヒドロキシファンタルイミド(60.51g、0.371mol)および80 mlのトリエチルアミンを添加した。反応混合物を50℃で5時間攪拌し、室温に冷却した。反応物に水(200 ml)を添加し、濾過した。淡黄色固体を回収し、1:1比のMeOHおよびエーテル100mlで洗浄した。真空で乾燥させ、淡色固体として標題の化合物(48 g)を得た。ESI MS m/e: 392 (M+H)+.
【0113】


工程1e:
メタノール中、500 mlの2Mアンモニア中の工程1dの化合物(39.1g、0.1 mol) の混合物を室温で16時間攪拌し、濾過した。濾液を濃縮し、シリカゲル(MeOH:CH2Cl2=5:95中2M NH3)上で精製し、標題の化合物(17g、95%)を得た。ESI MS m/e: 180 (M+H)+.
【0114】


工程1f:
15 mlのエタノール中工程1dの化合物(215 mg、1.2 mmol)の溶液に、1N HCl (2 ml)を添加した。混合物を0℃に冷却し、式VIII(式中、XおよびYは、それらが結合している原子と一緒になってC=N-Acであり、UおよびVは、それらが結合している原子と一緒になってC=Oであり、Z=H、Rp=AcならびにW=NMe2)の化合物(711 mg、1 mmol)を添加した。混合物を0℃で1時間攪拌し、飽和NaHCO3(50 ml)でクエンチした。酢酸エチル(100 ml)で抽出し、ブライン(100 ml x 2) で洗浄した。無水Na2SO4で乾燥し、濃縮して、粗製標題化合物(828 mg、95%、オキシムの混合物として、オキシムE/Z=4/1)を得、これを、さらに精製せずに次の工程反応で使用した。ESI MS m/e: 872 (M+H)+.
【0115】


工程1g:
15 mlのメタノール中工程1fの化合物(828 mg, 0.95 mmol)の溶液を60℃で5時間攪拌した。溶媒を除去し、残渣をシリカゲル(MeOH/CH2Cl2=5/95中2M NH3)上で精製し、標題の化合物(765mg、97%、E/ZオキシムE/Z約4/1の混合物として)を得た。化合物をHPLC上でさらに分離し、E-オキシム異性体(430 mg)およびZ-オキシム異性体(110mg) を得た。
E-オキシム異性体: ESI MS m/e: 830 (M+H)+.
E-オキシム異性体: 13C NMR (125 MHz5 CDCl3):δ205.9, 191.4, 186.8, 184.7, 178.1, 167.8, 162.1, 153.3, 148.5, 143.0, 134.1, 125.6, 121.9, 116.8, 108.7, 103.0, 79.4, 76.4, 74.6, 70.5, 69.8, 66.1, 63.2, 62.9, 50.8, 40.5, 38.8, 31.2, 28.5, 25.3, 23.8, 21.5, 19.5, 17.8, 15.1, 14.1, 12.8.
Z-オキシム異性体: ESI MS m/e: 830 (M+H)+.
Z-オキシム異性体: 13C NMR (125 MHz, CDCl3): δ206.2, 184.7, 176.9, 169.3, 163.0, 155.9, 148.5, 143.2, 133.6, 121.6, 116.7, 108.5, 103.0, 79.5, 79.0, 76.7, 76.2, 75.8, 70.5, 70.2, 69.7, 66.1, 58.2, 53.7, 51.0, 45.3, 40.5, 39.7, 39.0, 36.9, 28.5, 25.5, 23.4, 21.5, 20.3, 19.6, 17.3, 15.7, 14.5, 12.9, 12.0.
【0116】
実施例2




工程2a:
工程2aの標題化合物を、参照により本明細書に援用される米国特許第6,878,691号の実験手順に従って調製した。
【0117】


工程2b:
8 mlの アセトニトリル中工程2aの化合物(711 mg, 1 mmol)の溶液に、1N HCl (10 ml)を室温で添加した。混合物を室温で4時間攪拌し、飽和NaHCO3(30 ml) でクエンチした。酢酸エチル(40 ml) で抽出し、有機相をブライン(40 ml×2)で洗浄した。無水Na2SO4で乾燥させた後、溶媒を除去し、残渣をシリカゲルカラム(ヘキサン: アセトン=1:1) 上で精製し、標題の化合物(330 mg, 49%)を得た。
【0118】


工程2c:
15 mlの エタノール中工程2bの化合物(215 mg, 1.2 mmol)の溶液に1N HCl (2 ml)を添加した。混合物を0℃に冷却し、橋かけケトンケトリドである工程2aの化合物(670 mg, 1 mmol)を添加した。混合物を0℃で1時間攪拌し、飽和NaHCO3(50 ml)でクエンチした。酢酸エチル(100 ml)で抽出し、ブライン(100 ml×2) で洗浄した。無水Na2SO4で乾燥し、濃縮して粗製標題化合物(764 mg、92%、E/Z約1/1) を得た。ESI MS m/e: 831 (M+H)+.
【0119】


工程2d:
15 mlの メタノール中工程2cの化合物(764mg, 0.92 mmol)の溶液を60℃で6時間攪拌した。溶媒を除去し、残渣をシリカゲル(MeOH/CH2Cl2=5/95中2M NH3)上で精製し、E/Zオキシム異性体の混合物として標題の化合物を得た(690mg、95%、E/Z約1/1)。化合物をHPLC上でさらに分離し、E-オキシム異性体(280 mg)およびZ-オキシム異性体(230mg)を得た。
E-オキシム異性体: ESI MS m/e: 789 (M+H)+.
E-オキシム異性体: 13C NMR (125 MHz, CDCl3):δ218.5, 205.6, 191.7, 168.0, 162.0, 152.8, 148.6, 143.0, 134.0, 122.1, 117.0, 108.7, 103.3, 79.3, 79.0, 76.5, 75.8, 74.5, 70.5, 69.8, 66.1, 63.0, 61.5, 51.0, 47.0, 46.2, 40.5, 39.5, 39.3, 28.5, 23.5, 21.4, 20.0, 18.6, 18.0, 14.6, 14.2, 12.6, 12.2.
Z-オキシム異性体: ESI MS m/e: 789 (M+H)+.
Z-オキシム異性体: 13C NMR (125 MHz, CDCl3): δ215.0, 205.7, 169.6, 162.2, 156.2, 149.0, 142.8, 131.4, 124.8, 116.3, 109.7, 102.5, 79.9, 78.7, 76.3, 76.2, 70.5, 69.7, 66.1, 59.2, 50.8, 46.3, 45.7, 40.5, 40.0, 39.1, 28.5, 23.1, 21.6, 19.7, 18.5, 17.2, 14.5, 13.1, 12.9, 11.8.
【0120】
実施例3
スキーム1および2に従って、式II



(式中A、QおよびZは表Iに規定される)を有する本発明の以下の化合物を調製した。







【0121】
スキーム1に従って、式IX:



(式中A、QおよびZは表II


に規定される)
を有する本発明の化合物を調製した。
【0122】
スキームIに従って、式X:



(式中A、XおよびZは表III



に規定される)
を有する本発明の化合物を調製した。
【0123】
実施例4



工程4a:



イソプロパノール(100mL)中の5-ブロモ-2-チオフェンカルボキシアルデヒド(13.08g、68.46mmol)の溶液を、0℃で1.5時間、攪拌しながらNaBH4(1.30g、34.23mmol)で処理した後、HCl(1M、60mL、60mmol)を加えた。混合物を0.5時間攪拌して分配した(酢酸エチルおよび飽和NaHCO3)。有機物を水、ブラインで洗浄し、次いで乾燥させた(Na2SO4)。揮発性物質を蒸発により除去して、真空中で乾燥させ表題の化合物(12.55g、95%)を得た。
【0124】
工程4b:



THF(80mL)中の工程4aの化合物(5.02g、26.00mmol)の溶液に、室温で50分間、攪拌しながらNaH(95%、730mg、28.9mmol)で処理した。-78℃に冷却して、n-BuLi(ヘキサン中1.6M、20mL、32mmol)を加えた。混合物を-78℃で1時間保存した後、n-Bu3SnCl(17.6mL、65mmol)を導入した。混合物を室温まで自然に温めて、一晩攪拌した。揮発性物質を蒸発させて取り除き、残渣を分配した(酢酸エチルおよび飽和NaHCO3)。有機物を水、ブラインで洗浄し、次いで乾燥させた(Na2SO4)。蒸発に続いてクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン/酢酸エチル)を行ない、表題の化合物(4.51g、43%)を得た。
【0125】
工程4c:



250 mLの丸底フラスコに、2-アミノ-6-ブロモピリジン(25.0g、0.144mol)および無水フタル酸(21.4g、0.144mol)を加えた。口の開いたフラスコ(N2を緩やかに流しながら)内の固形混合物を175℃まで加熱し、1時間かまたは蒸気が出なくなるまで、温度をそこで維持した。室温まで下げて、10時間真空にかけ褐色固形の表題の化合物(100%収率)を得た。
【0126】
工程4d:



工程4bからの化合物(4.50g、11.16mmol)、工程4cからの化合物(3.72g、12.28mmol)、およびPd(PPh3)4(645mg、0.56mmol)のPhMe(50 mL)中の混合物を脱気して、N2下で、100℃で17時間加熱した後、0℃まで冷却した。濾過により不溶物を回収し、PhMeで洗浄して表題の化合物(2.90g)を得た。濾過物および洗浄物を蒸発させて、残渣をクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン/酢酸エチル)にかけ、表題の化合物の別の収穫物(0.20g)を得た。
ESIMS m/e: 337 (M+H)+.
【0127】
工程4e:



塩化メチレン(50 mL)中の工程4dからの化合物(3.10g、9.22mmol)の懸濁物を、0℃で塩化チオニル(3.35mL、46.08mmol)で処理した。混合物を、自然に室温まで温め、16時間攪拌した。揮発性物質を蒸発させ取り除いた。残渣を分配した(CH2Cl2/飽和NaHCO3)。有機物を水、ブラインで洗浄して次いで乾燥させた(Na2SO4)。揮発性物質を蒸発により除去し、真空下で乾燥させて表題の化合物(3.253g、100%)を得た。
ESIMS m/e: 355/357(M+H)+.
【0128】
工程4f:



DMF(20 mL)中のN-ヒドロキシルフタルイミド(2.40g、14.7mmol)の溶液に、0℃でNaH(95%、332mg、13.8mmol)を添加した。室温まで温めて1時間攪拌した。これをDMF(25mL)中の工程4eからの化合物(3.25g、9.2mmol)の溶液に添加した。混合物を40℃で16時間攪拌した後、室温に冷却した。これを飽和NaHCO3および水で希釈した。濾過により不溶物を回収し、飽和NaHCO3および水で洗浄して、乾燥させて表題の化合物(3.930g、89%)を得た。
ESIMS m/e: 482 (M+H)+.
【0129】
工程4g:



メタノリック(methanolic)アンモニア(2M、20mL、40mmol)中の工程4fからの化合物(1.00g、2.08mmol)の懸濁物を55℃で2時間加熱した後、室温に冷却した。 不溶物を濾過で取り出し、MeOHで洗浄した。混合した濾過物と洗浄物を蒸発させた。蒸発後、残渣にCH2Cl2を添加して、表題の粗化合物(548mg)を溶解した。
ESIMS m/e: 222 (M+H)+.
【0130】
工程4h:



式中、XおよびYが、それらが結合する原子と共に、C=N-Ac、U=H、V=OH、Z=H、Rp=AcおよびW=NMe2である式VIIIの化合物(356mg、0.50mmol)、2-ピリジル酢酸塩酸塩(174mg、1.0mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-塩酸エチルカルボジイミド(ethylcabodiimide)(EDC HCl、192mg、1.0mmol)、トリエチルアミン(0.28mL、2.0mmol)およびDMAP(10.0mg)の塩化メチレン(5.0mL)中の混合物を室温で22時間攪拌した後、さらに2-ピリジル酢酸塩酸塩(87mg、0.5mmol)およびEDC HCl(192mg、1.0mmol)を添加した。これをさらに3時間攪拌した後に分配した(酢酸エチルおよび10%K2CO3)。有機物を水、ブラインで洗浄して、次いで乾燥させた(Na2SO4)。蒸発により揮発性物質を取り除き、真空下で乾燥させて、表題の粗化合物として黄色泡状物(450mg)を得た。
ESIMS m/e: 832 (M+H)+.
【0131】
工程4i:



エタノール(5.0mL)およびHCl(1M、2.5mL)中の工程4gからの粗化合物(166mg、約0.62mmol)の溶液に、-5℃で工程4hからの粗化合物(450mg、最大で0.5mmol)を添加した。1時間攪拌した後、工程4gからのさらなる粗化合物(50mg、約0.18mmol)を添加した。混合物をさらに1時間攪拌した後に分配した(酢酸エチルおよび飽和NaHCO3)。有機物を水、ブラインで洗浄して、次いで乾燥させた(Na2SO4)。これを蒸発させて残渣をクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン/アセトン)にかけ、2:1混合物で表題の化合物(332mg、64%)を得た。
ESIMS m/e: 1035 (M+H)+.
【0132】
工程4j:



MeOH(3mL)中の工程4iからの化合物(100mg)の溶液を室温で70時間攪拌した後、蒸発させて表題の化合物を得た。HPLCにより二種類の橋かけオキシム異性体を分離した。
E-オキシム異性体: ESIMS m/e: 993 (M+H)+. 13CNMR (CDCl3, 125 MHz): 184.6, 178.0, 172.5, 170.4, 158.0, 153.9, 153.2, 151.0, 149.1, 145.4, 141.8, 138.1, 136.6, 127.5, 124.4, 123.7, 122.3, 109.1, 106.7, 103.0, 82.3, 79.4, 78.5, 78.3, 76.4, 75.0, 70.8, 70.5, 69.1, 65.4, 63.1, 62.4, 43.8, 42.7, 40.4, 39.9, 38.3, 36.8, 35.8, 29.7, 29.2, 25.1, 23.2, 21.0, 19.9, 19.1, 17.5, 15.0, 14.3, 12.1, 9.0.
Z-オキシム異性体: ESIMS m/e: 993 (M+H)+. 13CNMR (CDCl3, 125 MHz): 184.4, 176.6, 173.7, 170.2, 158.0, 156.1, 153.9, 151.1, 149.1, 145.5, 141.2, 138.1, 136.6, 128.0, 124.4, 123.8, 122.3, 109.1, 106.7, 103.0, 83.3, 80.2, 79.0, 77.7, 77.5, 75.8, 70.8, 70.6, 70.5, 69.1, 65.4, 58.7, 43.2, 40.3, 39.1, 38.5, 36.5, 36.0, 29.7, 29.2, 25.2, 22.7, 21.1, 20.1, 19.6, 16.8, 15.4, 14.6, 11.3, 9.1.
【0133】
実施例5. 改善された抗菌性を有する化合物
以下の表IVは米国特許第6,878,691号および米国出願公開公報2004/0053861の種のMICデータを提供する。
表中の値は最小阻害濃度(MIC)であり、ug/mLで表される。
MICについてのアッセイは先に記載される。


表Vは、グラム陰性菌および耐性生物に対する改善された微生物学的活性を示す本発明の化合物のデータを提供する。表Vの値は、最小阻害濃度であり、ug/mLとして示す。

【0134】
本明細書で言及した特許および科学文献は、当業者に利用可能な知識を確立する。本明細書に示したすべての米国特許ならびに公開および未公開米国特許出願は、参照により本明細書に援用される。本明細書に示したすべての公開された外国の特許および特許出願は、参照により本明細書に援用される。本明細書に示したすべての他の公開された参考文献、文献、手書き原稿および科学文献は、参照により本明細書に援用される。
【0135】
本発明を、その好ましい態様を参照して具体的に示し、記載したが、形態および詳細における種々の変形が、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱せずになされ得ることは、当業者によって理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:


(式中、
XおよびYは、独立して、水素、重水素、ハロゲン、R1、OR1、S(O)nR1、-NR1C(O)R2、-NR1C(O)NR3R4、-NR1S(O)nR2、-C(O)NR3R4および-NR3R4からなる群より選択される;
R1およびR2の各々は、独立して、水素、アシル、シラン、置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和脂肪族基、置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和脂環式基、置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の複素環式芳香族基、または置換もしくは非置換の複素環式基からなる群より選択される;
R3およびR4の各々は、独立して、水素、アシル、置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和脂肪族基、置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和脂環式基、置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の複素環式芳香族基、置換もしくは非置換の複素環式基からなる群より選択される;またはそれらが結合している窒素原子と一緒になって置換もしくは非置換の複素環式もしくは複素環式芳香族環を形成し得る;
あるいは、XおよびYが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、CO、C=CHR1、C=NR1、C=NC(O)R1、C=NOR1、C=N0(CH2)mR1、C=NNHR1、C=NNHCOR1、C=NNHCONR1R2、C=NNHS(O)nR1、C=N-N=CHR1、C=N-NO2またはC=N-ONOからなる群より選択される;
UもしくはVの一方は水素であり、他方は、独立して、
R1、OR1、OC(O)R1、OC(O)NR3R4、S(O)nR1


からなる群より選択される、
またはUおよびVは、それらが結合している炭素原子と一緒になってC=Oである;
JもしくはGの一方は水素であり、他方は、R1、OR1もしくはNR3R4から選択される;
またはJおよびGは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C=O、C=NR1、C=NOR1、C=NO(CH2)mR、C=NNHR1、C=NNHCOR1、C=NNHCONR1R2、C=NNHS(O)nR1もしくはC=N-N=CH R1から選択される;
Lは、水素、置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和脂肪族基、置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和脂環式基、置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の複素環式芳香族基、または置換もしくは非置換の複素環式基からなる群より選択される;
Mは、R1である;
Wは、NR3R4である;
Zは、水素、アルキルまたはハロゲンである;
Rpは、水素、ヒドロキシ保護基またはヒドロキシプロドラッグ基である;
mは、整数である;ならびに
nは、0、1または2である、
Aは、


(式中、
Q'は、N、CHまたはCFである;
X1は、O、N、NR1、Sまたは CR5である;
Y1は、O、N、NR1、S、CR5またはSeである;
Z1は、O、N、NR1、SまたはCR5である)
である;
R5は、独立して、水素、アシル、シラン、置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和脂肪族基、置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和脂環式基、置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の複素環式芳香族基、置換もしくは非置換の 複素環式基、NR3R4、OH、NHCOR1またはNHCONH2から選択され、好ましくは、NH2またはNHR1である)
ただし、式Iの化合物は、以下の化合物


(式中、A、QおよびZは、以下の表A:
表A


において規定される)
から選択されないものとする)
で表される化合物またはそのラセミ化合物、エナンチオマー、位置異性体、塩、エステルもしくはそのプロドラッグ。
【請求項2】
Aが、


(式中、X1およびR5は、請求項1に先に規定のとおりである)
である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Aが、


(式中、X1はOまたはSである、およびR5は、請求項1に先に規定のとおりである)
である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Aが、


(式中、X1はOまたはSである、およびR5は、請求項1に先に規定のとおりである)
である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
Aが、


(式中、R5は、請求項1に先に規定のとおりである)
である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
Aが、


である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
Aが、表B:
表B




に示す化合物から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
式II:


(式中、A、QおよびZは表C:
表C








に規定のとおりである)
を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
式III:


(式中、Rp、U、V、X、Y、L、WおよびZは、請求項1に先に規定のとおりである)
を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
式IV:


(式中、RpおよびZは、請求項1に先に規定のとおりである)
を有する、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
式V:


(式中、RpおよびZは、請求項1に先に規定のとおりである)
で表される、請求項9記載の化合物。
【請求項12】
Rpが水素であり、Zが水素である、請求項10記載の化合物。
【請求項13】
Rpが水素であり、Zが水素である、請求項11記載の化合物。
【請求項14】
薬学的に許容され得る担体と組み合わされた請求項1記載の化合物または薬学的に許容され得る塩、エステルもしくはそのプロドラッグを含む、医薬組成物。
【請求項15】
請求項14記載の医薬組成物を被験体に投与することを含む、かかる処置を必要とする被験体における細菌感染の処置方法。
【請求項16】
請求項14記載の医薬組成物を被験体に投与することを含む、かかる処置を必要とする被験体における炎症の処置方法。
【請求項17】
請求項14記載の医薬組成物を被験体に投与することを含む、かかる処置を必要とする被験体における嚢胞性線維症の処置方法。
【請求項18】
式VI:


(式中、X、Y、L、WおよびRpは、先に規定のとおりである;
Bは、独立して、水素、アシル、シラン、置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和脂肪族基、置換もしくは非置換の飽和もしくは不飽和脂環式基、置換もしくは非置換の芳香族基、置換もしくは非置換の複素環式芳香族基、または置換もしくは非置換の複素環式基から選択される)
で表される化合物または任意のそのラセミ化合物、エナンチオマー、位置異性体、塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項19】
式VII:


(式中、Rpは、請求項1に先に規定のとおりである)
で表される、請求項18記載の化合物。


【公表番号】特表2008−540432(P2008−540432A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510145(P2008−510145)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/016882
【国際公開番号】WO2006/119313
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(503323970)エナンタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】