説明

7α−脱水酸化反応抑制剤、並びにその使用方法及び製造方法

【課題】本発明の目的は、7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応を直接的に制御する抑制剤、及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明は、7α-脱水酸化菌資化性糖を有効成分とすることを特徴とする7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応抑制剤を提供する。
また、本発明は、7α-脱水酸化反応を抑制するための、7α-脱水酸化菌資化性糖の使用を提供する。
また、本発明は、7α-脱水酸化菌に被検物質を添加して、7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応を抑制する被検物質を選択する工程を含む7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応抑制剤の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応抑制剤に関するものであって、7α-脱水酸化菌の資化性糖を用いることにより、7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応を直接的に抑制して、一次胆汁酸(コール酸、ケノデオキシコール酸等)から二次胆汁酸(デオキシコール酸、リトコール酸等)への変換を抑制するものである。また、本発明で提供される7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応抑制評価方法は、7α−脱水酸化反応抑制剤の製造方法に利用することができ、7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応抑制剤の取得に有効である。
【背景技術】
【0002】
肝臓で生成される胆汁酸にはコール酸とケノデオキシコール酸等があり、小腸における脂肪・コレステロールの消化吸収に重要な働きをしている。生体で作られるコール酸、ケノデオキシコール酸等の一次胆汁酸が一部の腸内細菌による脱水酸化反応により二次胆汁酸が生成される。その二次胆汁酸への変換は、一次胆汁酸の7位の脱水酸化と3,7,12位の酸化還元であることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
デオキシコール酸、リトコール酸等の二次胆汁酸は大腸がんのプロモーターとして知られており、腸管内の二次胆汁酸量を減少させれば、大腸がん発症リスク低下に寄与すると考えられる。
従来の二次胆汁酸低下剤には胆汁酸を非特異的に吸着するイオン交換樹脂等の吸着剤があるが、栄養分の消化・吸収に必要な一次胆汁酸まで除去する恐れがあり適切ではない。また、他の方法として、オリゴ糖を使用することによる二次胆汁酸の生成抑制方法について開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。これらの特許文献には、ガラクトオリゴ糖の摂取はヒト糞便中の二次胆汁酸量を低下させ(特許文献1)、α-結合したガラクトース含有オリゴ糖はラット糞便中の二次胆汁酸量を低下させ(特許文献2)、一次胆汁酸量を増加させることが記載されている。
しかしながら、いずれの方法も、腸内の乳酸菌やビフィズス菌の増殖作用を有しており、その結果として間接的に二次胆汁酸を減少させるものであり、その効果は各個人が保有する腸内乳酸菌群の種類に依存すると考えられる。すなわち、摂取したオリゴ糖を資化可能な乳酸菌群を保有しなければ、二次胆汁酸低下効果は期待できない。
【0003】
【特許文献1】特開平8−40913号公報
【特許文献2】特開2004−244365号公報
【非特許文献1】森下芳行、「腸内フローラの構造と機能」、朝倉書店、1990.11.20、p.129−131
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応を直接的に制御する抑制剤、及びその製造方法を提供することである。さらに詳細には、7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応を抑制することにより二次胆汁酸生成量を減少させる技術に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者ら上記課題に対して鋭意研究した結果、7α-脱水酸化菌の資化性糖を7α-脱水酸化菌に与えることにより、7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応を抑制し、さらに一次胆汁酸(コール酸とケノデオキシコール酸等)から二次胆汁酸(デオキシコール酸、リトコール酸等)への変換を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、7α-脱水酸化菌資化性糖を有効成分とすることを特徴とする7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応抑制剤を提供する。
また、本発明は、7α-脱水酸化反応を抑制するための、7α-脱水酸化菌資化性糖の使用を提供する。
また、本発明は、7α-脱水酸化菌に被検物質を添加して、7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応を抑制する被検物質を選択する工程を含む7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応抑制剤の製造方法を提供する。
上記抑制のメカニズムとしては、7α-脱水酸化反応を抑制する資化性糖は、構造的に7α-脱水酸化反応を抑制するのではなく、7α-脱水酸化菌のエネルギー源として用いられ、7α-脱水酸化反応は二次胆汁酸のエネルギー獲得過程に関与していると考えられる。特に、一次胆汁酸から二次胆汁酸への変換のうち、7α-脱水酸化反応は最大の反応経路であり、二次胆汁酸の中でもデオキシコール酸及びリトコール酸は腸管内での存在量も多く、その影響も大きいと考えられる。したがって、生体内で起こっている二次胆汁酸生成反応のうち、特にコール酸からデオキシコール酸、もしくはケノデオキシコール酸からリトコール酸を生成する唯一の反応経路である7α-脱水酸化反応を抑制することは、二次胆汁酸の生成を抑制するのに最も効果的と考えられる。
したがって、本発明は、さらに7α-脱水酸化菌資化性糖を有効成分とすることを特徴とする二次胆汁酸生成抑制剤を提供する。
また、本発明は、二次胆汁酸生成を抑制するための、7α-脱水酸化菌資化性糖の使用を提供する。
また、本発明は、7α-脱水酸化菌に被検物質を添加して、7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応を抑制する被検物質を選択する工程を含む二次胆汁酸生成抑制剤の製造方法を提供する。
さらに、本発明は、上記7α-脱水酸化反応抑制剤又は二次胆汁酸生成抑制剤を含有することを特徴とする飲料、食品並びに医薬部外品を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明において使用される7α-脱水酸化菌としては、特に限定されるものではないが、例えばクロストリジウム(Clostridium)属菌、バクテロイデス(Bacteroides)属菌、エンテロバクター(Enterobacter)属菌、エシェリキア(Escherichia)属菌、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属菌等が挙げられる。具体的には理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室(JCM)に登録・保存されている菌株のうち、クロストリジウム・シンデンス(Clostridium scindens)JCM10418株、クロストリジウム・ヒラノニス(Clostridium hiranonis)JCM10542株等を使用することができる。
本発明に用いられる7α-脱水酸化菌資化性糖としては、通常食品等に使用される糖であれば単糖、少糖類、多糖類のいずれでも利用することが可能である。例えば、単糖としては、L-アラビノース、リボース、D-キシロース、ガラクトース、グルコース、フルクトース、マンノース、ラムノース、D-リキソース等が挙げられ、二糖類としては、セロビオース、マルトース、ラクトース、メリビオース、スクロース、トレハロース、ゲンチビオース、D-ツラノース等が挙げられ、三糖類としては、メレジトース、ラフィノース等が挙げられ、多糖類としては、イヌリン、スターチ、フラクトオリゴ糖等が挙げられ、糖アルコールとしては、D-アラビトール、グリセロール、ダルシトール、マンニトール、ソルビトール等が挙げられ、その他糖類類縁体としては、α-メチル-D-グルコシド、N-アセチルグルコサミン、アミグダリン、アルブチン、エスクリン、サリシン、グルコネート、2-ケト-グルコネート等が挙げられる。好ましくは、L-アラビノース、リボース、D-キシロース、ダルシトール、ソルビトール、N-アセチルグルコサミン、ラクトース、スクロース、D-リキソース、D-アラビトール、フラクトオリゴ糖が挙げられる。
また、適宜、難消化性又は低吸収性の糖を用いることもできる。例えば、単糖としては、L-アラビノース、D-キシロース等が挙げられ、二糖としては、セロビオース、メリビオース、ゲンチビオース等が挙げられ、三糖としては、ラフィノース等が挙げられ、多糖としては、イヌリン、フラクトオリゴ糖等が挙げられ、糖アルコールとしては、ダルシトール、ソルビトール等が挙げられる。
また、これらの糖類は単独で用いることも可能であるが、用途に応じて複数の糖を組み合わせて使用することも可能である。
上記糖のうち、上記7α-脱水酸化菌の資化性糖に該当する糖を選択する方法としては、7α-脱水酸化菌に被検物質を添加して7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応を抑制する被検物質を選択する方法が挙げられ、例えば各糖類を単独で0.5%含有するBCP加PY培地に対して菌懸濁液をマクファーランド濁度1になるように接種し、37℃で48時間嫌気培養して、指示薬であるブロモクレゾールパープルの変色により評価する方法などがある。
例えば、クロストリジウム属菌に対する資化性糖としては、L-アラビノース、リボース、D-キシロース、ガラクトース、グルコース、フルクトース、マンノース、ラムノース、ダルシトール、ソルビトール、アミグダリン、エスクリン、サリシン、セロビオース、マルトース、ラクトース、メリビオース、スクロース、トレハロース、D-ツラノース、D-リキソース、D-アラビトール、フラクトオリゴ糖などが挙げられ、バクテロイデス属菌に対する資化性糖としては、L-アラビノース、リボース、D-キシロース、ガラクトース、グルコース、フルクトース、ラムノース、アミグダリン、エスクリン、サリシン、セロビオース、マルトース、ラクトース、メリビオース、スクロース、トレハロース、イヌリン、ラフィノース、スターチなどが挙げられ、エンテロバクター属菌に対する資化性糖としては、グリセロール、L-アラビノース、リボース、D-キシロース、ガラクトース、グルコース、フルクトース、マンノース、ラムノース、マンニトール、ソルビトール、α-メチル-D-グルコシド、N-アセチルグルコサミン、アルブチン、エスクリン、サリシン、セロビオース、マルトース、ラクトース、メリビオース、スクロース、トレハロース、ラフィノース、ゲンチビオース、グルコネート、2-ケト-グルコネートなどが挙げられ、エシェリキア属菌に対する資化性糖としては、グリセロール、L-アラビノース、リボース、D-キシロース、ガラクトース、グルコース、フルクトース、マンノース、ラムノース、マンニトール、N-アセチルグルコサミン、アルブチン、エスクリン、サリシン、セロビオース、マルトース、ラクトース、トレハロース、ゲンチビオース、グルコネート、2-ケト-グルコネートなどが挙げられ、ビフィドバクテリウム属菌に対する資化性糖としては、L-アラビノース、リボース、D-キシロース、ガラクトース、グルコース、フルクトース、マンノース、アミグダリン、エスクリン、サリシン、セロビオース、マルトース、ラクトース、メリビオース、スクロース、トレハロース、メレジトース、ラフィノース、スターチ、グルコネート、フラクトオリゴ糖などが挙げられる。
また、二次胆汁酸は大腸に存在する7α-脱水酸化菌によって生成されるため、本発明で用いる資化性糖は小腸で分解・吸収されず大腸まで到達する難消化性又は低吸収性糖であることが好ましい。例えば、低吸収性糖としては、L-アラビノース、D-キシロース、ダルシトール、マンニトール、ソルビトール等が挙げられ、難消化性糖としては、セロビオース、メリビオース、イヌリン、ラフィノース、ゲンチビオース、フラクトオリゴ糖等が挙げられる。さらに、7α-脱水酸化菌資化性糖を小腸で溶解させずに大腸まで到達させることができるドラッグデリバリーシステム(DDS)等を利用することにより、小腸で分解・吸収される糖であっても十分に利用することができる。
【0007】
また、本発明の7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応抑制剤又は二次胆汁酸生成抑制剤の製造方法は、上記の方法、すなわち7α-脱水酸化菌に被検物質を添加して、7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応を抑制する被検物質を選択する工程を含む。
【0008】
本発明の7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応抑制剤又は二次胆汁酸生成抑制剤を製造する際には、製剤化の常法が適宜使用することができ、7α-脱水酸化菌資化性糖に賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、風味改善剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などの常用される補助剤を加えて、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、ドリンク剤などの形態で製剤化してもよい。なお、常法にしたがい、溶腸剤に製剤化することも可能である。
また、7α-脱水酸化菌資化性糖に賦形剤を単独であるいは飲食品成分とともに、固体状(粉末、顆粒状など)、ペースト状、液状ないし懸濁状に製剤化してもよく、発酵乳、チーズ、バターなどの乳製品、ドリンクヨーグルトや乳酸菌飲料、バターケーキなどの菓子・パン類などの飲料又は食品の形態としてもよく、さらにサプリメントなどの医薬部外品としてもよい。
【0009】
本発明で用いる7α-脱水酸化菌資化性糖は、安全性には問題ないため、これを経口投与する場合の投与量に制限はない。一般的には食品に使用される投与量に設定し、具体的には1回につき0.05〜15g、好ましくは0.1〜10gであり、1日当たりの総投与量としては、0.05〜25g、好ましくは0.1〜20gである。ただし、難消化性糖については1日当たりの投与量が10g未満とすることが望ましい。
【実施例】
【0010】
(実施例1:7α-脱水酸化菌の取得方法)
ヒト糞便を生理食塩水に懸濁後、希釈液を適当な寒天培地に塗布し、37℃嫌気条件下培養して得られたコロニーを分離した。寒天培地としては1/4倍希釈したGAM寒天培地(クロストリジウム属菌、エシェリキア属菌、ビフィドバクテリウム属菌)、変法GAM寒天培地(バクテロイデス属菌、エンテロバクター属菌)、8H寒天培地(クロストリジウム属菌、バクテロイデス属菌、エンテロバクター属菌)を使用した。以下に各培地の組成を示す。
【0011】













【0012】

【0013】

【0014】
分離したコロニーを100μMのコール酸ナトリウムもしくはケノデオキシコール酸ナトリウムを基質として添加したLCY培地で37℃嫌気条件下で培養し、適宜培養液をサンプリングした。LCY培地の組成を以下に示す。
【0015】

【0016】
LCY培養上清100μLに塩酸を添加してpHを1以下にした後、酢酸エチルで胆汁酸画分を抽出した。胆汁酸画分はメタノールに溶解し、薄層クロマトグラフィーにより二次胆汁酸の生成を確認した。分析条件を下に記す。
展開溶媒:シクロヘキサン:酢酸エチル:酢酸=21:69:9
担体 :シリカゲル
検出試薬:5%モリブドリン酸
ケノデオキシコール酸を基質として使用した実験例を図1に示す(1 ケノデオキシコール酸標品、2 ウルソデオキシコール酸標品、3 リトコール酸標品、4-10 分離菌株培養上清抽出物(4 クロストリジウム属菌、5 未同定菌、6 ビフィドバクテリウム属菌、7 エシェリキア属菌、8 未同定菌、9 エンテロバクター属菌、10 バクテロイデス属菌))。
【0017】
(実施例2:7α-脱水酸化菌の糖資化性試験)
実施例1で得た7α-脱水酸化菌について、各種糖類の資化性試験を行った。表1に示す各糖類を単独で0.5%含有するBCP加PY培地に対し、菌懸濁液をマクファーランド濁度1になるように接種した。37℃で48時間嫌気培養し、指示薬であるブロモクレゾールパープルの変色が観察された糖を資化糖とした。
下に培地組成を示す。
【0018】

【0019】
表1にクロストリジウム・シンデンス(Clostridium scindens)JCM10418株およびクロストリジウム・ヒラノニス(Clostridium hiranonis)JCM10542株を使用した場合の糖資化性試験の結果を示す。JCM10418株は24時間培養でL-アラビノース、リボース、D-キシロース、ラクトース、D-リキソース、D-アラビトールを資化し、さらに48時間培養でガラクトース、グルコース、フルクトース、ダルシトール、ソルビトールを資化した。JCM10542株は24時間培養でグルコース、フルクトース、マンノース、N-アセチルグルコサミン、スクロース、フラクトオリゴ糖を資化した。

















【0020】
【表1】













【0021】
【表2】

【0022】
(実施例3:7α-脱水酸化反応抑制活性の評価)
実施例1で得た7α-脱水酸化菌を使用して、7α-脱水酸化反応抑制物質の活性評価を行った。菌株は糖源を除いたGAM培地で培養し、対数増殖期後期から定常期初期に遠心分離により菌体を回収した。リン酸緩衝液(150mM リン酸カリウム、1mM MgSO4、0.05%システイン塩酸塩、pH 7.0)にて菌体を洗浄後、同緩衝液にてOD660=2.5の菌体懸濁液を調製した。7α-脱水酸化反応は下記の条件で行った。
反応液組成 :250μM コール酸ナトリウム、菌体懸濁液(OD660=2.5)
反応条件 :37℃、嫌気条件下
【0023】
反応60分後、すみやかに反応液に塩酸を添加してpHを1以下にした後、酢酸エチルで胆汁酸画分を抽出した。胆汁酸画分はメタノールに溶解し、トリメチルシリルジアゾメタンを添加して、カルボキシル基をメチルエステル化した。次に生成した胆汁酸メチルエステルをピリジンに溶解し、N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド+トリメチルクロロシラン+N-トリメチルシリイミダゾール(3:2:3)を添加して、水酸基をトリメチルシリルエーテル化した。最終の胆汁酸メチルエステル-トリメチルシリルエーテル誘導体をヘキサンに溶解した後、島津製作所製GCMS-QP2010にて胆汁酸組成を分析した。全胆汁酸量に占めるデオキシコール酸の割合を7α-脱水酸化効率とし、反応液への添加により7α-脱水酸化効率を低下させた被験物を7α-脱水酸化反応抑制物質とした。
図2にクロストリジウム・シンデンス(Clostridium scindens)JCM10418株を使用した場合、図3にクロストリジウム・ヒラノニス(Clostridium hiranonis)JCM10542株を使用した場合の7α-脱水酸化効率を示す。被験物として、各菌株の資化糖を最終濃度10mM(オリゴ糖の場合は0.18%)になるように反応液に添加した。資化糖は単糖、オリゴ糖いずれも7α-脱水酸化効率を低下させた。
【0024】
エネルギー源となる物質のみが7α-脱水酸化反応抑制活性を有する事を確認するため、被験物としてグルコースのアナログである2-デオキシグルコースを添加して7α-脱水酸化反応抑制活性を評価した。
図4にクロストリジウム・シンデンスJCM10418株を使用した場合の7α-脱水酸化効率を示す。
エネルギー源とならない2-デオキシグルコースには7α-脱水酸化反応抑制活性は認められず、本発明で提供される7α-脱水酸化反応抑制物質は菌のエネルギー源となる事が重要であることを確認した。
【0025】
(実施例4:錠剤、カプセル剤)

上記の各重量部を均一に混合し、常法に従って錠剤、カプセル剤とした。
【0026】
(実施例5:散剤、顆粒剤)

上記の各重量部を均一に混合し、常法に従って散剤、顆粒剤とした。
【0027】
(実施例6:飴)

上記の各重量部の各成分を用い、常法に従って飴とした。
【0028】
(実施例7:ジュース)

上記の各重量部の各成分を用い、常法に従ってジュースとした。
【0029】
(実施例8:クッキー)

上記の各重量部の各成分を用い、常法に従ってクッキーとした。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】糞便分離菌株培養上清抽出物の薄層クロマトグラフィーである。
【図2】7α-脱水酸化効率の変化(クロストリジウム・シンデンスJCM10418株)を示す。
【図3】7α-脱水酸化効率の変化(クロストリジウム・ヒラノニスJCM10542株)を示す。
【図4】グルコースと2-デオキシグルコースの7α-脱水酸化抑制活性比較(クロストリジウム・シンデンスJCM10418株)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
7α-脱水酸化菌資化性糖を有効成分とすることを特徴とする7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応抑制剤。
【請求項2】
7α-脱水酸化菌がクロストリジウム属菌、バクテロイデス属菌、エンテロバクター属菌、エシェリキア属及びビフィドバクテリウム属菌からなる群より選ばれる、請求項1記載の7α-脱水酸化反応抑制剤。
【請求項3】
7α-脱水酸化菌資化性糖が難消化性糖及び低吸収性糖からなる群より選ばれる、請求項1又は2に記載の7α-脱水酸化反応抑制剤。
【請求項4】
7α-脱水酸化菌資化性糖を有効成分とすることを特徴とする二次胆汁酸生成抑制剤。
【請求項5】
7α-脱水酸化反応を抑制するための、7α-脱水酸化菌資化性糖の使用。
【請求項6】
二次胆汁酸生成を抑制するための、7α-脱水酸化菌資化性糖の使用。
【請求項7】
7α-脱水酸化菌に被検物質を添加して、7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応を抑制する被検物質を選択する工程を含む7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応抑制剤の製造方法。
【請求項8】
7α-脱水酸化菌に被検物質を添加して、7α-脱水酸化菌の7α-脱水酸化反応を抑制する被検物質を選択する工程を含む二次胆汁酸生成抑制剤の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜3記載の7α-脱水酸化反応抑制剤又は請求項4記載の二次胆汁酸生成抑制剤を含有することを特徴とする飲料、食品並びに医薬部外品。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−219430(P2006−219430A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−34867(P2005−34867)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】