説明

A.INDICAおよびM.CHARANTIAまたはS.INDICUMの抽出物を含む外用組成物

本発明は皮膚におけるニキビの発生を抑制または予防するための外用組成物および方法に関する。本発明の1つの目的は、ニキビを予防、抑制または治療する化粧組成物を提供するように相乗的に相互作用する薬草抽出物の組合せを提案することである。本発明は(i)Azhadirachta indicaである第一有効成分の抽出物、および(ii)Momordica charantiaまたはSesamum Indicumから選択された第二有効成分の抽出物を含む外用組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚のニキビの発生を抑制または予防する外用組成物およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Acne vulgaris(尋常性ざ瘡)としても知られたニキビは、ほぼすべての若者および大人が生涯のある時期に経験するありふれた皮膚の異常である。ニキビは、異常な角質形成、過剰な皮脂産生、男性ホルモンの作用、細菌の増殖および免疫過敏症などが関与する複合的病因を有している。上記作用の1つ以上がニキビに相関関係を有してはいるが、引き金となるひとつの要因およびニキビ病巣形成に導くイベントの正確な連鎖は完全には解明されていない。ニキビに関連付けられてきた他の要因はフリーラジカルの存在およびその結果として生じ細胞損傷につながる酸化性ストレスである。ニキビは通常は顔、首および背中のような皮脂腺の多い領域に発生することが観察されてきた。Propionibacterium acnes(P.acnes)という細菌もニキビの発生に関与している。
【0003】
最も初期のニキビ病巣は微小面疱として知られている。これらは開放面疱(“黒色”)または閉鎖面疱(“白色”)に発達する。ニキビの様々な段階は、面疱、丘疹、膿疱および嚢胞として分類されている。
【0004】
ニキビは多くの方法で治療されてきた。たいていの治療では顕著な変化が見られるまでに数週間から数ヶ月を要する。抗菌効果を有している過酸化ベンゾイルは軽症の面疱に使用されており、また他の面疱の形成を予防すると考えられている。ビタミンAの誘導体であるトレチノインは白色面疱および黒色面疱の治療に使用されており、閉鎖面疱を開放面疱に変換すると考えられている。イソトレチノインは重症の嚢胞性ニキビに使用されている。アゼライン酸はニキビの治療に使用されており、P.Acnesの増殖を阻害し管の角質化亢進を抑制することによって作用すると考えられている。極めて重症のニキビにはテトラサイクリン、エリスロマイシンおよびクリンダマイシンのような抗生物質が使用されている。抗生物質はいくつかのメカニズムによって作用すると考えられており、小胞の内部および周囲の細菌の数を減少させることが最も重要である。抗生物質はまた、皮脂中の白血球による刺激性化学物質の産生を抑制し、これによって炎症応答を抑制すると考えられている。
【0005】
たいていの治療は合成化学薬品の使用を含む。多くの人々が合成化学薬品は人体に有害であると考えてその使用を好まない。合成化学薬品が副作用を生じると考える人々もある程度存在する。したがって、“自然の”材料、たとえば、薬草系に基づく有効成分の使用を好む人々が次第に多くなっている。Jain,AおよびBasal,Eは、かれらの論文“Inhibition of Propionibacterium acnes−induced mediators of inflammation by indian herb”,Journal Phytomedicine,2003,10:34−38において、Rubia Cordifolia、Curcuma longa、Hemidesmus indicusおよびAzadirachta indicaのような薬草がP.Acnes誘発炎症メディエイターを抑制する能力を有することを示した。
【0006】
本発明の発明者らもまたニキビの問題を解決するためにこのような“自然な”解決方法を提供する研究を続けてきた。発明者らは薬草抽出物の膨大な数の組合せを試験し、特定の2種類の薬草の組合せが相乗的に相互作用してニキビの問題の解決を助けることを知見した。
【0007】
皮膚有益効果を与えるこれらの薬草のいくつかの使用は以下の文献に記載されている。
【0008】
WO 2001005417は、Momordica charantia L.の抽出物を含有する組成物をニキビまたはフルンケルのできた皮膚の領域に塗布する段階を含むニキビまたはフルンケルのできた皮膚の治療方法を特許請求の範囲に記載している。
【0009】
JP 2002212050は、外用調製物として皮膚に直接塗布したときに美増進効果を示し、皮膚を傷めることなく皮膚の代謝を促進し、皮膚を滑らかにし、さらに、ニキビ、肌荒れおよび皮膚老化を予防する化粧品を特許請求の範囲に記載している。該化粧品は、ツルレイシ(Cucurbitaceae科;科学名はMomordica charantia)の抽出物または果実の搾り液を皮膚または毛髪用化粧品の基剤に配合することによって調製される。
【0010】
US 20070014749は、とびひ、ニキビ(顔、額、頭皮および体幹の背中)のような痒いおよび/または感染性の皮膚疾患ならびに皮膚および爪の真菌感染を治療するための組成物の製造および使用に関する。皮膚用組成物は、Cassia tora、Melia azadirachtaおよびCentratherum anthelminticumの凍結乾燥水抽出物を含む。
【0011】
JP 10279428Aは、(A)0.01から20.0重量%のSesamum Indicum L.の水溶性抽出物を含み、また必要に応じて、(B)水性成分、粉末、界面活性剤、滑沢剤、湿潤剤、アルコール(類)、pH調整剤、防腐剤、色素、抗酸化剤、紫外光吸収剤、増粘剤、香料、皮膚美化成分などを含有させることによって皮膚美白効果を有するようにした安定かつ極めて安全な化粧品を特許請求の範囲に記載している。成分Aは、水不溶性有機溶媒を使用してSesamum Indicum L.の根、葉、茎、蕾、花、発芽物質もしくは種子またはそれらの乾燥産物(類)および/または粉砕産物(類)から脂質成分を除去し、次いで水または含水性および/または非水性の低級アルコールによる抽出を行うことによって得られる。
【0012】
このように、個々の薬草は皮膚用調製物に使用されてはきたが、上記に引用の従来技術のいずれにおいても、ニキビ治療に有益効果を与えるために本発明の発明者らが見出した薬草抽出物の相乗的組み合わせは開示または示唆されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開第2001/005417号
【特許文献2】特開2002−212050号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0014749号明細書
【特許文献4】特開平10−279428号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Jain,A & Basal,E,“Inhibition of Propionibacterium acnes−induced mediators of inflammation by indian herb”,Journal Phytomedicine,2003,10:34−38
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、本発明の目的は、ニキビを予防、抑制または治療する化粧組成物を提供するために相乗的に相互作用する薬草抽出物の組合せを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は
(i)Azhadirachta indica(インドセンダン)である第一有効成分の抽出物、および
(ii)Momordica charantia(ツルレイシ)またはSesamum Indicum(ゴマ)から選択された第二有効成分の抽出物、
を含む外用組成物を提供する。
【0017】
別の実施態様において、本発明は、ニキビの予防、抑制または治療に使用するための、
(i)Azhadirachta indicaである第一有効成分の抽出物、および
(ii)Momordica charantiaまたはSesamum Indicumから選択された第二有効成分の抽出物、
を含む外用組成物を提供する。
【0018】
これらのおよびその他の態様、特徴および利点は以下の詳細な記載および添付の特許請求の範囲の記載を読了することによって平均的な当業者に明らかになるであろう。疑いの余地なく、本発明の1つの態様のいずれかの特徴は本発明の別のいずれかの態様にも利用されるであろう。“含む”という用語は“包含する”を含意するものであり、必ずしも、“から成る”、または“から構成された”を意味しない。言い換えると、列挙した段階または選択肢は網羅的でなくてもよい。以下の記載に与えた実施例は発明を明確にするためのものであり発明を実施例自体に限定する意図はないことに留意されたい。また、他の指示がなければすべてのパーセンテージは重量/重量パーセンテージである。
【0019】
処理実施例および比較実施例を除いて、または、他の明白な指示がある場合を除いて、材料の量または反応条件、材料の物性および/または使用量を指示するこの明細書中のすべての数値は“約”という語で修飾されていると理解されたい。“xからy”という形式で表されたすべての数値範囲はxおよびyを含むことを理解されたい。具体的な特徴について、“xからy”という形式で複数の好ましい範囲が記載されているときは、異なる端点をつなぐすべての範囲が考察されていると理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は2種類の薬草有効成分の抽出物の混合物を含む外用組成物を提供する。第一有効成分は薬草Azhadirachta indicaである。第二有効成分はMomordica charantiaまたはSesamum Indicumから選択された薬草である。抽出物が水抽出物であるのが特に好ましい。
【0021】
Melia Azadirachtaとしても知られたAzadirachta indicaは樹高18メートルに成長し幹周囲2.4mに達し得る常緑高木である。インドの全領土および同様の熱帯性気候の国々に野生している。またインドでは広範囲に栽培されている。この樹木はインド文明に深いつながりがあり、インドの様々な言語でNeem、Nim、Nimba、Nimb、Veppa、Bevinamara、Limba、Vembuなどとして知られている。インド国外でこの樹木はIndian Lilac(タイワンセンダン)、Margosa(マルゴーサ)またはNeem Tree(ニームツリー)として知られている。本発明に使用するためのニームの抽出物は好ましくはニームツリーの葉から抽出される。ニームの葉はアーユルヴェーダとして知られたインドの伝承医学体系で様々な疾患を治療するために使用されてきた。ニームの葉は様々な皮膚疾患の治療および創傷感染症の予防に使用されていると報告されてきた。葉の煮出し液は皮膚の問題を除去するために浴用水に添加される。また、葉の湿布は創傷関連の炎症に使用されている。葉はまた昆虫忌避剤としても使用されている。ニームの葉は内部殺虫剤として使用されている。
【0022】
ニームの葉はスティグマステロール、ニンボシノン、ニンボシノリド、イソニンボシノリド、ニモシノール、イソニモノシリドおよびイソアザジロリドのような様々な生理活性化合物を含有すると報告されている。新鮮な緑葉はメルデニンジオール、ビラシニン、アザジラクタニン、マルゴシノリド、イソマルゴシノリドおよびデスアセチルジヒドロニンビン酸のような化合物を産出する。
【0023】
第一有効成分の抽出物すなわちAzadirachta indicaの抽出物は好ましくは組成物の0.01から2重量%、好適には組成物の0.1から1重量%の量で存在する。
【0024】
第二の有効成分はMomordica charantiaまたはSesamum Indicumから選択された薬草である。
【0025】
インドでは一般的にkarela(ニガウリ)として知られたMomordica charantiaはウリ科の蔓性植物であり、地球上の熱帯性気候の地域で栽培されている。この薬草はまた、様々な言語でbitter melon、bitter gourd、balsampear、kaippavalli、pavakkaと呼ばれている。未熟な果実はありふれた苦い野菜である。これもまたインド伝承医学で主として糖尿病の管理に使用されている。
【0026】
インドの伝承医学体系であるアーユルヴェーダはニガウリの果実を緩下剤、解熱剤および食欲増進剤として使用する。アーユルヴェーダではこの果実が肝機能を改善するためおよび血液を浄化するために使用されている。果実は食物として摂取され、また、関節炎、痛風、肝臓および脾臓の肥大の治療に使用される。
【0027】
シャランチン、モモルジシン、モモルジン、モモルジコシドおよびポリペプチドを含む生理的に活性の新規なファイトケミカルがニガウリの果実から同定された。しかしながら、治療活性を有していると考えられるのはポリペプチド−p、シャランチンおよびモモルジンである。ビシンのようないくつかの他の化合物もある程度の血糖低下作用を有していると報告された。
【0028】
本発明のとおり、ニガウリ植物の果実が抽出物を調製するために好ましく使用される。
【0029】
Sesamum IndicumはSesamum orientaleとしても知られている。通称はゴマである。これは高さ約60から180cmに成長する直立の分枝性植物である。ゴマは一年生植物である。ゴマはインドの平野および緯度約1200メートルまでの丘陵地帯で栽培されている。また、インドの熱帯平野のような気候条件を有している他の国々でも主として油種子の資源として栽培されている。また調味用香辛料として使用されている。ゴマはインドの様々な地方でTila、Till、TilまたはGingelliとして知られている。インドで栽培されているゴマには多くの品種がある。品種は白から黒までの種皮の色に基づく。中間色の品種も数多く存在する。しかしながら、インドでは黒ゴマおよび白ゴマが二大栽培品種である。
【0030】
これらの2つの品種のうちでも本発明に使用するためには白ゴマのほうが好ましい。
【0031】
第二有効成分の抽出物は好ましくは組成物の0.01から2重量%、好適には組成物の0.1から1.0重量%の量で存在する。
【0032】
本発明の組成物は好ましくは化粧品に許容されるビヒクルを含む。化粧品に許容されるビヒクルはスキンケア組成物を公知の化粧品形態のいずれかで提供するように適宜選択される。このような形態はリーブオン外用組成物またはウォッシュオフ製品であろう。公知のリーブオン形態はクリーム、ジェル、ローション、軟膏、粉末、ムースまたはスプレーを含む。より好ましい形態は、クリームまたはローションのような水中油型エマルジョンであり、クリームが最も好ましい。クリームのうちでもバニシングクリーム基剤が最も好ましい。バニシングクリーム基剤とは、外用組成物の5から25重量%のC12−C20脂肪酸と0.1から10重量%の脂肪酸セッケンとを含有する基剤を意味する。バニシングクリーム基剤は極めて好感されるつや消しの印象を皮膚に与える。本発明にはC12からC20の脂肪酸が特に好ましいが、C14からC18の脂肪酸がより好ましい。最も好ましい脂肪酸はステアリン酸である。脂肪酸はより好ましくは組成物の5から20重量%の量で存在する。バニシングクリーム基剤中のセッケンはナトリウム塩またはカリウム塩のような脂肪酸のアルカリ金属塩を含み、ステアリン酸カリウムが最も好ましい。バニシングクリーム基剤中のセッケンは一般には組成物の0.1から10重量%、より好ましくは0.1から3重量%の量で存在している。一般的に化粧組成物中のバニシングクリーム基剤は、所望量の全脂肪質を用意し所望量の水酸化カリウムと混合することによって調製される。セッケンは混合中にその場で形成されるのが普通である。
【0033】
化粧品に許容される他の好ましいビヒクルは洗浄組成物である。洗浄組成物は好ましくは5から85%の脂肪酸塩または2から20%の合成界面活性剤またはその混合物を含む。
【0034】
外用組成物は皮膚明色化剤のような任意成分を含み得る。皮膚明色化剤は好ましくは、ビタミンB3化合物またはその誘導体たとえばナイアシン、ニコチン酸、ナイアシンアミド、または、他の公知の皮膚明色化剤たとえばアロエエキス、乳酸アンモニウム、アルブチン、アゼライン酸、コウジ酸、ブチルヒドロキシトルエン、クエン酸エステル、2,5−ジヒドロキシ安息香酸とその誘導体、エラグ酸、ウイキョウエキス、グルコン酸、グリコール酸、緑茶エキス、ヒドロキノン、4−ヒドロキシアニソールとその誘導体、4−ヒドロキシ安息香酸誘導体、コウジ酸、乳酸、レモンエキス、リノール酸、アスコルビルリン酸マグネシウム、2,4レゾルシノール誘導体、3,5レゾルシノール誘導体、サリチル酸、ならびに、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンAのようなビタミン類、ジカルボン酸、植物すなわちrubia(アカネ)およびsymplocos(ハイノキ)のエキス、乳酸のようなヒドロキシカルボン酸とそれらの塩たとえば乳酸ナトリウム、ならびに、それらの混合物の一種以上から選択される。本発明の組成物に使用するための好ましい皮膚明色化剤はビタミンB3化合物である。使用されるとき、皮膚明色化剤は好ましくは組成物の0.1から10重量%、より好ましくは0.2から5重量%の範囲の量で使用される。
【0035】
外用組成物中の別の任意成分は紫外線遮蔽剤である。紫外線遮蔽剤は無機または有機でよい。適当な有機日光遮蔽剤は、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチル−p−アミノ安息香酸、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシルサリチレート、2−エチルヘキシル−p−ジメチル−アミノ−ベンゾエート、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチル−p−アミノ安息香酸およびそれらの混合物を含む。最も適切な有機日光遮蔽剤は2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメートまたはブチルメトキシジベンゾイルメタンである。組成物は好ましくは、組成物の約0.1から約10重量%、より好ましくは約0.1から約5重量%の日光遮蔽剤を含む。
【0036】
無機紫外線遮蔽剤はサンブロックと呼ぶこともできる。好ましいサンブロックは酸化亜鉛、酸化鉄、ヒュームドシリカのようなシリカ、および、二酸化チタンを含む。最も好適なサンブロックは酸化亜鉛または二酸化チタンである。サンブロックは好ましくは組成物の0.1から5重量%の量で組込まれる。
【0037】
本発明組成物は他の希釈剤も含み得る。希釈剤は組成物中に存在する他の材料の分散剤または担体として作用し、組成物を皮膚に塗布したときにそれらの分布を促進する。
【0038】
水以外の希釈剤は液体または固体の皮膚緩和剤、溶媒、保湿剤、増粘剤および粉末を含み得る。
【0039】
化粧品に許容されるビヒクルは組成物の10から99.9重量%、好ましくは50から99重量%の量で存在するのが好ましく、他の化粧品添加剤が存在しないとき組成物の残分を形成できる。
【0040】
本発明の組成物は多様な範囲の他の任意成分を含むことができる。このような任意成分の例は、抗酸化剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、着色剤、増粘剤、ポリマー、収斂剤、着香料、保湿剤、乳白剤、状態調整剤、皮膚剥脱剤、pH調整剤、保存剤、天然抽出物、精油、皮膚感触改善剤、皮膚鎮静剤および皮膚回復剤を含む。
【0041】
本発明の別の態様によれば、本発明の組成物を皮膚に塗布する段階を含むニキビの発生を予防もしくは抑制するかまたはニキビを治療する方法が提供される。
【0042】
本発明のまた別の態様によれば、ニキビの発生を予防もしくは抑制するかまたはニキビを治療するために、Azhadirachta indicaである第一有効成分の抽出物と、Momordica charantiaまたはSesamum Indicumから選択された第二有効成分の抽出物とを含む組成物の使用が提供される。本発明の組成物の使用は好ましくは非治療的有益効果のためである。
【0043】
次に、以下の非限定実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0044】
ニキビを治療/予防する有効成分の抽出物の効力を、インボルクリンmRNAの発現を測定するアッセイを使用して試験した。ニキビ中では増殖および分化の異常が存在する。スクリーニング試験用にインボルクリンマーカーを使用した。使用した手順を以下に示す。
【0045】
細胞培養
HaCatヒト角質細胞はDr Fusenig,Germanyから入手した。10U/mlのペニシリンG、0.1mg/mlの硫酸ストレプトマイシン、10mMのヘペスバッファおよび10%の熱失活ウシ胎仔血清(Gibco,USA)を補充したダルベッコの改質イーグル培地(Sigma Chemical Co.,USA)中の細胞を、5%CO雰囲気の湿潤恒温室に入れ、37℃で培養した。
【0046】
試薬
すべての化学試薬はSigma Chemical Co.,USAから入手した。レチノイン酸、13−シスレチノイン酸およびテストステロンの予製液はジメチルスルホキシド(DMSO)中で調製した。
【0047】
有効成分の抽出物の調製
粉末にした1gmの各有効成分を60mlの水に一夜浸漬させた。翌日、容量が10mlに減少するまでサンプルを合計4時間煮沸した(最終濃度は1gm/10mlに等価)。この抽出物を濾過し、冷却し、最終濃度0.01%でインビトロアッセイに使用した。
【0048】
【表1】

【0049】
RT−PCR
5×10の角質細胞を35mmのプレートに平板培養し、5%CO中、37℃で24時間温置した。翌日、有効成分を添加し、18から24時間後に細胞を採集した。次に、TRI試薬(Sigma Chemical Co.,USA)を供給業者の指示通りに使用してこれらの細胞から全部の細胞性RNAを抽出した。オリゴ(dT)18プライマーを使用してcDNA合成を行った。次に、以下の表に示した特異的な順方向プライマーおよび逆方向プライマーを使用して半定量的RT−PCRを行った。PCRはPerkin Elmer Gene Amp PCRシステム2400においてどの場合にも30サイクル行った。PCR産物を1−2%のアガロースゲルで分析し、臭化エチジウム染色によって検出した。DNAゲル図を捕捉し、PhotoCap像解析ソフトウェア(Vilber Lourmat,France)を使用してPCR増幅DNAフラグメントの強度を解析した。
【0050】
PCR増幅に以下のプライマーを使用した。
【0051】
【表2】

【0052】
インボルクリンの発現は以下の手順を使用し対照のパーセンテージとして算出した。
【0053】
(対照−有効成分)×100/対照
有効成分の抽出物の様々なサンプルに関するデータを表1にまとめる。アッセイ中の有効成分の合計濃度は0.01%であった。対照サンプルは水であった。
【0054】
【表3】

【0055】
表1のデータは、Azhadirachta indicaである第一有効成分の抽出物とMomordica charantiaまたはSesamum Indicumから選択された第二有効成分の抽出物との組合せがニキビの予防、抑制または治療用の組成物を提供するように相乗的に相互作用することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)Azhadirachta indicaである第一有効成分の抽出物、および
(ii)Momordica charantiaまたはSesamum Indicumから選択された第二有効成分の抽出物、
を含む外用組成物。
【請求項2】
抽出物が前記有効成分の水抽出物である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
第一有効成分の抽出物が組成物の0.01から2重量%の量で存在する請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
第二有効成分の抽出物が組成物の0.01から2重量%の量で存在する請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
化粧品に許容されるビヒクルを含む請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
化粧品に許容されるビヒクルが油中水型エマルジョンまたは洗浄組成物である請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
エマルジョンが外用組成物の(i)5から25重量%のC12−C20脂肪酸、および(ii)0.1から10重量%の脂肪酸セッケンを含む請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
洗浄組成物が5から85%の脂肪酸塩または2から20%の合成界面活性剤またはその混合物を含む請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物を皮膚に塗布する段階を含むニキビの発生を予防もしくは抑制するかまたはニキビを治療する方法。
【請求項10】
ニキビの発生を予防もしくは抑制するかまたはニキビを治療するための、Azhadirachta indicaである第一有効成分の抽出物、およびMomordica charantiaまたはSesamum Indicumから選択された第二有効成分の抽出物を含む組成物の使用。

【公表番号】特表2012−506400(P2012−506400A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532597(P2011−532597)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063571
【国際公開番号】WO2010/046316
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】