説明

BCD変換装置

【課題】BCDデータの出力装置及び入力装置を変更することなく、それらの装置間における受け渡しの不具合を解消する。
【解決手段】BCD変換装置3は、出力装置からBCDデータの取込を開始する(S501)。まず、1回目のBCDデータを取り込む(S502)。次に、データ取込タイマ値の時間経過を待って(S503)、2回目のBCDデータを取り込む(S504)。1回目と2回目のBCDデータが一致し(S505のYES)、かつ、その数値が0〜9であれば(S506のYES)、エラー回数を0に設定し(S507)、BCDデータをメモリに設定し(S508)、そのBCDデータをディスプレイに表示する(S509)。入力装置の読込方式を取得し(S510)、その方式に従ってBCDデータを送信する(S511)。その後、リフレッシュタイマ値の時間が経過するのを待って(S512)、再びBCDデータの取込を開始する(S501)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力装置から入力されたBCDデータを変換して、入力装置に出力するBCD変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
河川水位やダム水位等の計測データを遠隔監視制御装置(Tele-Control、以下TCという)や情報伝送装置(Cyclic Digital Transfer、以下CDTという)により伝送する場合には、BCD(Binary-Coded Decimal、二進化十進表現)形式による接点受け渡しで計測データを取り込み、常時監視箇所等へ送信している。
【0003】
この接点受け渡しによるBCDの数値に異常(0〜9以外の状態)が生じた場合、監視箇所で異常値が表示される、計測値の演算処理で誤った値が算出される等の問題が発生する。
【0004】
そこで、水位計等のBCD出力機器からの数値が変化するときに、接点動作のばらつきにより発生する不正データをTCやCDTが読み取るのを防止するために、レディービット、ビジー(ノットレディー)ビット、2度読み方式等が用いられる。なお、特許文献1には、BCD発信装置からコントローラに出力されたBCD信号が、複数回の読込処理で同一かどうかを判定し、その判定の結果、同一であれば10進数変換処理を行って出力する装置及び方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−25680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、レディービット、ビジービット、2度読み方式は、データ送受信の基本方式であり、BCDデータの出力装置と、入力装置(TC、CDT等)との間における詳細仕様ではない。詳細仕様である、BCDデータの更新間隔、更新に要する時間、確定したデータが保持される時間等は、入出力装置ごとの設計に任されている。このため、入力装置側の応答性能によってはレディー/ビジービット方式の読み誤りを起こす可能性もあり、既設の入出力装置の間で正常に動作していても、一方の装置を取り替えた際に異常な数値を取り込むトラブルが起きることもある。また、出力装置や入力装置を交換してタイミングが変化した、担当者間の打合せや連絡の不足によりデータ通信方式が異なっていた等もありうる。
【0007】
図6は、入出力装置間におけるデータ通信方式を示す図である。図6(a)は、RDY信号方式の内容を示す。送信側の相手盤ではデータを変更する場合、RDY信号を一旦OFFとし、新しいデータに変更する。そして、変更後にRDY信号ONとしてTCへ受け渡す。受信側のTCでは、RDY信号ONを認識した時にデータを更新する。
【0008】
RDY信号方式では、仮にデータ変更タイミング時にBCD崩れ(BCDデータが本来の数値とは異なる数値に変化すること)が発生しても、TCではRDY信号OFFのため、データを更新することがなく、BCDエラーを検出することができない。
【0009】
図6(b)は、BUSY信号方式の内容を示す。送信側の相手盤ではデータを変更する場合、BUSY信号を一旦ONとし、新しいデータに変更する。そして、変更後にBUSY信号OFFとしてTCへ受け渡す。受信側のTCでは、BUSY信号OFFを認識した時にデータを更新する。
【0010】
BUSY信号方式では、仮にデータ変更タイミング時にBCD崩れが発生しても、TCではBUSY信号ONのため、データを更新することがなく、BCDエラーを検出することがない。
【0011】
図6(c)は、2度読み方式の内容を示す。TCにおいてデータを読み込んだ際、2回とも同じデータであれば、データを採用する方式である。
【0012】
2度読み方式では、瞬時(2msec程度)のBCD崩れでも、2回目以降のデータが2度とも同様になったときにデータを採用するため、瞬時発生でのBCD崩れは検出しないようになる。仮にBCD崩れが2回目まで継続していれば、TCはBCDエラーとして認識する。
【0013】
例えば、入出力装置間の2度読み方式において、出力装置がBCDデータを切り替える時間間隔(例えば、100ms)と、入力装置がBCDデータをチェックする時間間隔(例えば、50ms)とが一致しない場合には、不確定な状態のデータを読むおそれがある。
【0014】
従って、入出力装置を取り替える度に双方の入出力仕様を調整することが望ましいが、汎用製品として設計された装置を個別に仕様変更したり、一方の装置を取り替える際に既設の相手装置の特性を変更したりすることは困難であり、現実的ではない。そこで、取替工事を行った後に不具合が生じた場合には、一般的には後に工事した装置の改造で対応することが慣例となっている。ところが、このような対応は作業の手戻りになるばかりでなく、装置によっては大きな修理コストを要することもある。
【0015】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、BCDデータの出力装置及び入力装置を変更することなく、それらの装置間における受け渡しの不具合を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明は、BCD(Binary-Coded Decimal、二進化十進表現)形式のデータであるBCDデータの出力装置と、当該BCDデータの入力装置との間に設けられるBCD変換装置であって、前記出力装置の出力する前記BCDデータが確定している時間より短い時間に設定されたデータ取込間隔を取得する手段と、前記データ取込間隔を空けて、前記出力装置から前記BCDデータを2回取り込む手段と、1回目及び2回目に取り込んだ前記BCDデータが一致し、かつ、当該BCDデータの各桁が0から9までのいずれかの数値であるときに、当該BCDデータを前記入力装置に出力する手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、出力装置の出力するBCDデータが確定している時間に合わせてデータの2度読みを行い、1回目と2回目のデータが一致し、かつ、0〜9の数値であることを確認するので、出力装置のデータ出力方式にかかわらず、確定した正しい数値のデータを入力装置に出力することができる。これによれば、出力装置や入力装置を取り替えた際に、出力装置がBCDデータを継続出力する時間間隔と、入力装置がBCDデータをチェックする時間間隔とが一致しないときであっても、いずれの装置も修理や仕様変更をすることなく、BCDデータの受け渡し不具合に対応することができる。
【0018】
また、本発明の上記BCD変換装置において、前記入力装置のデータ入力方式を取得する手段をさらに備え、前記BCDデータを前記入力装置に出力する手段は、前記データ入力方式に従って前記入力装置へのデータ出力を制御することとしてもよい。
【0019】
この構成によれば、確定した正しい数値のBCDデータを、入力装置のデータ入力方式に合わせて確実に出力することができる。これによれば、出力装置や入力装置を取り替えた際に、出力装置のデータ出力方式と、入力装置のデータ入力方式とが一致しないときであっても、いずれの装置も修理や仕様変更をすることなく、BCDデータの受け渡し不具合に対応することができる。
【0020】
また、本発明の上記BCD変換装置において、前記データ入力方式が2度読み方式の場合に、前記データ入力方式を取得する手段は、前記入力装置へのデータ出力の継続時間をさらに取得し、前記BCDデータを前記入力装置に出力する手段は、前記2度読み方式及び前記データ出力の継続時間に従って前記入力装置へのデータ出力を制御することとしてもよい。
【0021】
入力装置は、そのデータ入力方式がRDY信号方式やBUSY信号方式の場合には、RDY信号のオンやBUSY信号のオフを検知することにより、新たなデータが来ていることを認識するが、データ入力方式が2度読み方式の場合には、制御信号がなく、所定時間を空けて2度読みしたデータが一致すれば、読み込んだデータを採用する。この構成によれば、その2度読みの時間間隔をデータ出力の継続時間として取得し、その継続時間分続けて1つのBCDデータを出力するので、入力装置の2度読み方式に合わせて確実に出力することができる。
【0022】
また、本発明の上記BCD変換装置において、前記出力装置が出力するBCDデータの更新時間間隔に応じたリフレッシュ時間を取得する手段をさらに備え、前記BCDデータを前記入力装置に出力してから、前記リフレッシュ時間が経過した後、前記出力装置から次の前記BCDデータを2回取り込むこととしてもよい。
【0023】
この構成によれば、BCDデータの出力から次のBCDデータの取込まで、リフレッシュ時間だけ待つので、出力装置から次のBCDデータが出力され、取込可能になったタイミングで取り込むことができる。
【0024】
その他、本願が開示する課題及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、BCDデータの出力装置及び入力装置を変更することなく、それらの装置間における受け渡しの不具合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】BCD変換装置3の周辺の構成を示す図である。
【図2】BCD変換装置3の外観を示す図である。
【図3】BCD変換装置3のハードウェア構成を示す図である。
【図4】BCD変換装置3の記憶部37に記憶されるデータの構成を示す図である。
【図5】BCD変換装置3の処理を示すフローチャートである。
【図6】入出力装置間におけるデータ通信方式を示す図であり、(a)はRDY信号方式の内容を示し、(b)はBUSY信号方式の内容を示し、(c)は2度読み方式の内容を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施の形態に係るBCD変換装置は、BCDデータの出力装置と、入力装置との間に設けられ、双方の接点入出力のタイミング差及びデータ送受信方式(データ入出力方式)の違いを吸収するものである。これによれば、出力装置又は入力装置を取り替えた場合や、担当者間の連絡不足等により双方の仕様にずれが生じた場合に、BCDデータの受け渡しの不具合の解消を図ることができる。
【0028】
なお、BCD変換装置は、入出力装置間の接点入出力不良が発生したときに必要になると考えられる。そのため、受け渡し回路の分界点に後付で割り込み設置を図るアダプタ形状として製作すればよく、例えば、TCやCDTの接点入力を行う端子台や空きスペース等に取り付け可能な汎用的な形状とすることが望ましい。
【0029】
また、BCD変換装置がアダプタ方式による構造であることは、接点入力部でのハードウェア対応と等価であると考えられることから、既存の入出力装置へのハードウェア的な設計追加やオプション設定により対応することも可能である。
【0030】
≪装置の構成と概要≫
図1は、BCD変換装置3の周辺の構成を示す図である。外部機器1と、BCD変換装置3とがケーブルC1により通信可能に接続され、BCD変換装置3と、遠隔監視制御装置2とがケーブルC2により通信可能に接続される。
【0031】
外部機器1は、BCDデータの出力装置であり、図示しない水位計測部(超音波等による水位計測器、符号化を含むA/D変換器、補助リレー等からなる)を備える。その水位計測部により河川水位データ1桁(0〜9m)を取得し、4ビット(1、2、4、8の各ビット)のBCDデータに変換する。そして、RDY信号(Rのビット)をオンにして、BCD接点データをケーブルC1経由でBCD変換装置3に送信する。
【0032】
なお、送信するデータは、河川水位に限らず、十進一桁の数値データであればよく、例えば、ダム水位、流量、気温、雨量等であってもよい。また、十進一桁の数値データを1回出力する処理に限らず、2回以上出力する(すなわち、二桁以上の数値データを逐次出力する)処理を実施してもよいし、ケーブルC1のビット伝送線を拡張して二桁以上の数値データを同時に出力する処理を実施してもよい。さらに、データ通信方式(データ入出力方式)は、上記のRDY信号方式に限らず、BUSY信号方式や2度読み方式(制御信号なし方式)であってもよい。
【0033】
遠隔監視制御装置2は、BCDデータの入力装置であって、管轄する電気所のデータをすべて取得して送信する装置であり、処理部21、ユニット部22及び端子台23を備える。処理部21では、UEXがユニット部22からデータを受け取り、IOPがUEXからデータを取得してモデムに渡し、モデムがIOPからデータを受け取り、常時監視箇所へ送信する。ユニット部22では、BCD、DI及びDOの各データを各端子台23から取得し、まとめたデータをUDRから処理部21に出力する。端子台23は、BCD、DI及びDOに対応して設けられている。特に、BCDの端子台23は、BCD変換装置3からケーブルC2経由でBCDデータを受信し、ユニット部22に受け渡す。なお、BCDデータを受信する際のデータ通信方式は、RDY信号方式、BUSY信号方式、2度読み方式(制御信号なし方式)のいずれであってもよい。また、ケーブルC2のビット伝送線を拡張して二桁以上のBCDデータを同時に受信する処理を実施してもよい。
【0034】
BCD変換装置3は、既設のBCDの端子台23に接続するタイプ及び空きスペースに固定して接続するタイプを有する。そして、外部機器1からケーブルC1経由でBCDデータを取得し、変換処理を行った後、ケーブルC2経由で遠隔監視制御装置2に出力する。なお、ケーブルC1及びC2のビット伝送線を拡張して二桁以上のBCDデータを同時に受信し、変換し、出力する処理を実施してもよい。BCD変換装置3の構成及び処理の詳細について、以下に説明する。
【0035】
図2は、BCD変換装置3の外観を示す図である。BCD変換装置3には、入力部31、出力部32、タイマ値設定部33及びDIPスイッチ34が設けられる。入力部31は、外部機器1からのケーブルC1が接続される端子を備え、BCDデータを所定のメモリに取り込む。出力部32は、遠隔監視制御装置2へのケーブルC2が接続される1つ目の端子(又はコネクタ)に加えて、遠隔監視制御装置2以外へデータを送信するために2つ目の端子(又はコネクタ)を備え、所定のメモリに設定されたBCDデータを出力する。出力部32の点数は、単数、複数を問わない。なお、ケーブルC1及びC2は、それぞれ1、2、4、8、R・B(RDY又はBUSY)、COM(GND、グラウンド)のビットを含む伝送線からなる。
【0036】
タイマ値設定部33は、BCD変換装置3の処理で用いられるタイマ値を設定する2つのダイヤルを備え、データ取込タイマ値(データ取込間隔)及びリフレッシュタイマ値(リフレッシュ時間)が設定可能である。データ取込タイマ値は、BCDデータを2度読みする際の1回目と、2回目との時間間隔として用いられ、相手盤(外部機器1)が1つのBCDデータの出力を継続する時間に応じて任意の時間間隔が設定可能である。外部機器1が1つのBCDデータの出力を継続している時間は、当該BCDデータの数値が確定しているので、例えば、その時間より短い時間間隔をデータ取込タイマ値として設定することが考えられる。これにより、外部機器1からのデータが確定している時間に合わせて、2度読みによるデータ取込を行うことが可能となる。
【0037】
リフレッシュタイマ値は、1つのBCDデータを外部出力してから次のBCDデータを取り込むまでの時間間隔として用いられ、外部機器1が送信するBCDデータの更新時間間隔に応じた時間である。例えば、外部機器1によるBCDデータの更新時間間隔から、BCD変換装置3によるBCDデータの変換及び出力の処理時間を差し引いた時間を、リフレッシュタイマ値として設定することが考えられる。これにより、BCDデータの更新時間間隔に合わせて次のデータ取込を行うことが可能となる。
【0038】
DIPスイッチ34は、遠隔監視制御装置2のデータ受信方式(データ入力方式)を設定するスイッチであり、例えば、スイッチ(1)、(2)及び(3)がそれぞれRDY信号方式、BUSY信号方式及び2度読み方式に対応する。BCD変換装置3は、DIPスイッチ34の設定に応じて、遠隔監視制御装置2へのデータ送信方式(データ出力方式)を切り換える。データ受信方式が2度読み方式である場合、データ送信(データ出力)の継続時間を設定可能とする。また、DIPスイッチ34を追加することにより、さらに別のデータ受信方式に対応可能である。なお、データ受信方式がRDY信号方式又はBUSY信号方式である場合には、データ送信の継続時間として、予め設定された所定値(例えば、30msec)が用いられる。
【0039】
図3は、BCD変換装置3のハードウェア構成を示す図である。BCD変換装置3は、入力部31、出力部32、タイマ値設定部33、DIPスイッチ34、表示出力部35、処理部36及び記憶部37を備え、各部がバス38を介してデータを送受信可能なように構成される。入力部31、出力部32、タイマ値設定部33及びDIPスイッチ34は、図2で説明した通りである。表示出力部35は、ディスプレイのケーブルが接続される端子(図示せず)を備え、処理部36の指示により表示データをディスプレイに出力する。処理部36は、所定のメモリを介して各部間のデータの受け渡しを行うととともに、BCD変換装置3全体の制御を行うものであり、CPU(Central Processing Unit)が所定のメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。記憶部37は、処理部36からデータを記憶したり、記憶したデータを読み出したりするものであり、例えば、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性記憶装置によって実現される。
【0040】
≪データの構成≫
図4は、BCD変換装置3の記憶部37に記憶されるデータの構成を示す図である。記憶部37には、1回目BCDデータ371、2回目BCDデータ372、エラー回数373及びしきい値374が記憶される。1回目BCDデータ371は、2度読みしたBCDデータのうち、1回目のデータである。2回目BCDデータ372は、2度読みしたBCDデータのうち、2回目のデータである。エラー回数373は、2度読みして一致したBCDデータが0〜9以外である数値エラーが連続して発生した回数である。しきい値374は、エラー回数373と比較するしきい値であり、エラー回数373がしきい値374を超えると計測異常とされる。
【0041】
≪装置の処理≫
図5は、BCD変換装置3の処理を示すフローチャートである。本処理は、BCD変換装置3において、主として処理部36が、入力部31によりBCDデータを受信し、タイマ値設定部33、DIPスイッチ34及び記憶部37のデータを参照、更新しながら、出力部32及び表示出力部35によりBCDデータを出力するものである。
【0042】
最初に、オペレータは、事前にタイマ値設定部33によりデータ取込タイマ値及びリフレッシュタイマ値を設定し、DIPスイッチ34により遠隔監視制御装置2のデータ受信方式を設定する。
【0043】
そして、BCD変換装置3は、外部機器1からBCDデータの取込を開始する(S501)。まず、入力部31によりBCDデータの1回目の取込を行い、1回目BCDデータ371として記憶部37に記憶する(S502)。次に、タイマ値設定部33からデータ取込タイマ値を取得し、そのタイマ値の時間が経過するのを待つ(S503)。その時間が経過したら、入力部31によりBCDデータの2回目の取込を行い、2回目BCDデータ372として記憶部37に記憶する(S504)。そして、1回目BCDデータ371と、2回目BCDデータ372とが一致するか否かを判定する(S505)。一致しなければ(S505のNO)、BCDデータの数値が確定していないことになるので、再びBCDデータの取込を開始する(S501)。
【0044】
1回目と2回目のBCDデータが一致すれば(S505のYES)、BCDデータの数値が確定したことになるので、BCD変換装置3は、BCDデータの数値が0〜9か否かを判定する(S506)。数値が0〜9であれば(S506のYES)、記憶部37のエラー回数373を0に設定し(S507)、当該BCDデータを出力用メモリに設定する(S508)。
【0045】
続いて、BCD変換装置3は、表示出力部35により、出力用メモリに設定されたBCDデータをディスプレイに表示する(S509)。そして、DIPスイッチ34に設定された相手盤の読込方式、すなわち、遠隔監視制御装置2のデータ受信方式を取得し(S510)、そのデータ受信方式に従って、出力部32により、出力用メモリに設定されたBCDデータを外部の遠隔監視制御装置2に送信する(S511)。データ受信方式には、図6に示すように、RDY信号方式、BUSY信号方式及び2度読み方式があるが、いずれかに対応する送信方式に基づいて、BCDデータを送信する。その後、タイマ値設定部33からリフレッシュタイマ値を取得し、そのタイマ値の時間が経過するのを待つ(S512)。リフレッシュタイマ値は、BCDデータを外部出力した後、次のBCDデータが取込可能になるまでの待ち時間である。その待ち時間が経過したら、再びBCDデータの取込を開始する(S501)。
【0046】
S506においてBCDデータの数値が0〜9でなければ(S506のNO)、BCD変換装置3は、記憶部37のエラー回数373に1を加算し(S513)、エラー回数373がしきい値374以下か否かを判定する(S514)。エラー回数373がしきい値374以下であれば(S514のYES)、出力用メモリに設定された前回のBCDデータを用いて表示処理(S509)や出力処理(S511)を行う。エラー回数373がしきい値374を超えていれば(S514のNO)、BCDエラー(計測異常)としてF1ビットを現状値に付与する(S515)。この処理では、例えば、1、2、4、8、R・B、COMの6ビットにエラーフラグの1ビットを付加し、通常は0になっているエラーフラグのビットを1にする。そして、この状態でBCDデータを外部出力する(S511)ことにより、遠隔監視制御装置2にエラーフラグ=1(計測異常)を通知する。
【0047】
なお、上記実施の形態では、図3に示すBCD変換装置3内の各部を機能させるために、処理部36で実行されるプログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録し、その記録したプログラムをコンピュータに読み込ませ、実行させることにより、本発明の実施の形態に係るBCD変換装置3が実現されるものとする。この場合、プログラムをインターネット等のネットワーク経由でコンピュータに提供してもよいし、プログラムが書き込まれた半導体チップ等をコンピュータに組み込んでもよい。
【0048】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、外部機器1及び遠隔監視制御装置2を取り替えた後にBCDデータの受け渡し不具合が発生した場合に、それらの装置の仕様を変更することなく、それらの装置間における受け渡しの不具合を解消することができ、また、メーカによる対応を実施することなく、ユーザにより迅速に対応できる。
【0049】
詳細には、BCD変換装置3は、外部機器1及び遠隔監視制御装置2の間を中継する位置に設けられる。そして、図5のS503及びS512に示すように、外部機器1のデータ送信仕様に合ったデータの取込及び更新のタイミングを調整し、設定することができる。また、図5のS510に示すように、遠隔監視制御装置2のデータ受信仕様であるレディー/ビジー/2度読み方式等に対して臨機に対応することができる。
【0050】
≪その他の実施の形態≫
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。例えば、上記実施の形態のBCD変換出力装置3において、データ取込タイマ値及びリフレッシュタイマ値は、タイマ値設定部33のダイヤルにより設定されるように説明したが、それらの値は外部機器1によるBCDデータの出力仕様に依存するので、入力部31を通じて外部機器1から受信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 外部機器(出力装置)
2 遠隔監視制御装置(入力装置)
3 BCD変換装置
33 タイマ値設定部(データ取込間隔を取得する手段、リフレッシュ時間を取得する手段)
34 DIPスイッチ(データ入力方式を取得する手段)
36 処理部
37 記憶部
371 1回目BCDデータ
372 2回目BCDデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
BCD(Binary-Coded Decimal、二進化十進表現)形式のデータであるBCDデータの出力装置と、当該BCDデータの入力装置との間に設けられるBCD変換装置であって、
前記出力装置の出力する前記BCDデータが確定している時間より短い時間に設定されたデータ取込間隔を取得する手段と、
前記データ取込間隔を空けて、前記出力装置から前記BCDデータを2回取り込む手段と、
1回目及び2回目に取り込んだ前記BCDデータが一致し、かつ、当該BCDデータの各桁が0から9までのいずれかの数値であるときに、当該BCDデータを前記入力装置に出力する手段と、
を備えることを特徴とするBCD変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載のBCD変換装置であって、
前記入力装置のデータ入力方式を取得する手段をさらに備え、
前記BCDデータを前記入力装置に出力する手段は、前記データ入力方式に従って前記入力装置へのデータ出力を制御する
ことを特徴とするBCD変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載のBCD変換装置であって、
前記データ入力方式が2度読み方式の場合に、
前記データ入力方式を取得する手段は、前記入力装置へのデータ出力の継続時間をさらに取得し、
前記BCDデータを前記入力装置に出力する手段は、前記2度読み方式及び前記データ出力の継続時間に従って前記入力装置へのデータ出力を制御する
ことを特徴とするBCD変換装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のBCD変換装置であって、
前記出力装置が出力するBCDデータの更新時間間隔に応じたリフレッシュ時間を取得する手段をさらに備え、
前記BCDデータを前記入力装置に出力してから、前記リフレッシュ時間が経過した後、前記出力装置から次の前記BCDデータを2回取り込む
ことを特徴とするBCD変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−128682(P2012−128682A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279766(P2010−279766)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】