説明

CATV伝送路監視装置、方法及びプログラム

【課題】
上りポートのSN比の低下度合いと継続状況により適切に上り流合雑音による上り伝送品質の低下を検知し、上り信号を遮断することなくゲートスイッチの切替制御により自動的に雑音発生源を検索可能とする。
【解決手段】ゲートスイッチ30−1〜30−3は上り信号の減衰量が切替可能であり、ヘッドエンド20に続く光ノード26−1を起点にツリー構造をとるCATV伝送路の加入者宅側の分配線及び幹線に分散設置される。上り伝送品質監視部36は、ヘッドエンド20を接続した上りポート24から得られる上り信号のSN比を監視し、SN比の低下度合と継続状況により上り伝送品質低下を検知する。雑音発生源検索部40は上り伝送品質監視部36で上り伝送品質低下を検知した際に、CATV伝送路に設けたゲートスイッチ30−1〜30−3の減衰量を上流から下流に向けて順次切替制御して上り流合雑音の発生源を検索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CATVシステムの上り流合雑音による上り伝送品質の低下を検知して雑音発生源を検索する流合雑音監視システム及び方法に関し、特に、CATV伝送路の幹線及び分岐線に配置したゲートスイッチによるアッテネータの挿入と切り離し制御により上り流合雑音の発生源を自動的に検索する流合雑音監視システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ツリー状構造をとるCATV伝送路にあっては、上流側の加入者宅で発生した雑音が上り伝送路に混入した場合、上流側から下流側に伝播して流合雑音となり、5〜42Mzの上り伝送帯域に割り当てているサービスチャネルの信号品質を低下させる問題がある。
【0003】
このように上り伝送品質を低下させる流合雑音の監視として、従来はヘッドエンドに配置されたデータモデム等の上りポートにスペクトラムアナライザを接続して上り信号帯域のスペクトラム分布を画面表示し、伝送路の監視者がヘッドエンド側に接続しているゲートスイッチコントローラによりCATV伝送路の幹線及び分岐線に配置しているオンオフ型のゲートスイッチをスペクトラム画面を見ながら上流から下流に向けて手動で切替操作することで、流合雑音発生源が存在する伝送路を切り分けて集合住宅などの発生源を突き止めるようにしている。
【0004】
しかしながら、このような人為的な上り流合雑音の検知と発生源の切り分けには、手間と時間がかかることから、自動的にゲートスイッチを切り替えながら雑音混入元となるゲートスイッチを特定する上り流合雑音検知システムが提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−72477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の上り流合雑音検知システムにあっては次の問題がある。
【0006】
まず従来の上り流合雑音検知システムは、ヘッドエンド側で上り信号の雑音を定量的に計測して流合雑音の有無を判断しているが、この上り信号の雑音計測にスペクトルアナライザーやフーリエ変換アナライザー(FFTアナライザー)を使用しており、特別な測定装置を必要とすることでコストが上昇し、保守管理も煩雑になる問題がある。
【0007】
またスペクトルアナライザーやフーリエ変換アナライザー(FFTアナライザー)を使用した上り流合雑音の監視は、上り信号帯域のスペクトラムを対象に実際に使用している信号帯域と未使用の信号帯域とに分けて個別に異なった閾値を設定して流合雑音の有無を判断しているため最適な閾値の設定が煩雑である。
【0008】
また従来の上り流合雑音検知システムは、上り流合雑音の時間的変化を考慮していないため、上り信号が閾値を超えると直ちに流合雑音有りと判断することになり、短時間に発生して消滅する継続性のない上り流合雑音についても、これを検知して雑音発生源を検索することとなり、不必要に処理負荷が増加する問題がある。
【0009】
また従来の上り流合雑音検知システムは、上り流合雑音の発生源の切り分けに上り帯域の通過および遮断を制御可能なオンオフ型のゲートスイッチを使用しているため、流合雑音発生源を切り分けるためにゲートスイッチを遮断状態に制御すると、その下流側に接続している機器からの上り信号も遮断されてしまい、例えば幹線、分岐線、加入者宅にケーブルモデムを設置し、ケーブルモデムのポーリングにより測定値を収集してCATVシステムの障害を監視しているような場合、ゲートスイッチの遮断制御でデータモデムから測定値を返す上り信号が無応答となり、CATVシステムの監視機能が損なわれる問題がある。
【0010】
また近年にあっては、CATVシステムにおいてもプライマリIP電話サービスなどのライフラインに含まれるサービスが増加しており、上り流合雑音を切り分けるためにゲートスイッチを遮断制御すると、プライマリIP電話サービスなどのサービスを停止してしまう問題がある。
【0011】
本発明は、ヘッドエンドを接続した上りポートのSN比の低下度合いと継続状況により適切に上り流合雑音による上り伝送品質の低下を検知し、上り信号を遮断することなくゲートスイッチの制御により自動的に雑音発生源を検索可能とする上り流合雑音監視システムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(システム)
本発明は上り流合雑音監視システムを提供する。本発明の上り流合雑音監視システムは、
ヘッドエンドに続く光ノードを起点にツリー構造をとるCATV伝送路と、
CATV伝送路の加入者宅側の分配線及び幹線に分散設置され、上り信号の減衰量を切替可能な複数のゲートスイッチと、
ヘッドエンドを接続した上りポートから得られる使用帯域の上り信号(サービスチャネル信号)のSN比を監視し、SN比の低下度合と継続状況により上り伝送品質低下を検知する上り伝送品質監視部と、
上り伝送品質監視部で上り伝送品質低下を検知した際に、CATV伝送路に設けたゲートスイッチの減衰量を上流から下流に向けて順次制御して上り流合雑音の発生源を検索する雑音発生源検索部と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
ここで、上り伝送品質監視部は、上りポートから得られる使用帯域の上り信号から所定周期毎に検出したSN比を所定の判定時間に亘り保持し、判定時間の検出SN比の総数に対する所定のSN閾値以下の検出SN比の数の割合を算出し、算出した割合が所定の閾値割合を超えている場合に上り伝送品質低下を検知する。
【0014】
上り伝送品質監視部は、
閾値割合としてアラーム通知用の第1閾値割合と、それより高い雑音発生源検索用の第2閾値割合を設定し、
算出した割合が第1閾値割合を超えている場合に上り伝送品質低下アラームを通知し、算出した前記割合が第2閾値割合を超えている場合に上り伝送品質低下を検知して雑音発生源検索部を動作させる。
【0015】
雑音発生源検索部は、
制御対象とするゲートスイッチに対し上り伝送路にアッテネータを挿入接続するアッテネータオン制御を指示して所定の計測時間後に前記アッテネータを前記上り伝送路から取り外すアッテネータオフ制御を指示し、
アッテネータオン制御後に取得したSN比がアッテネータオン制御前のSN比に対し上昇しており、且つアッテネータオフ制御後に取得したSN比がアッテネータオン制御前のSN比に戻っていた場合、制御対象としたゲートスイッチの配下に上り流合雑音の発生源ありと判定する。
【0016】
雑音発生源検索部は、制御対象とするゲートスイッチにアッテネータオン制御又はアッテネータオフ制御を指示した場合、ゲートスイッチの制御動作を確認した後に上りポートから得られる使用帯域の上り信号のSN比を取得して判定する。
【0017】
本発明の雑音発生源検索部はケーブルモデムを利用してゲートスイッチの動作を確認する。このため本発明の流合雑音監視システムは、更に、
CATV伝送路の加入者宅側の分配線及び幹線に分散設置された複数のケーブルモデムと、
複数のケーブルモデムで検出された測定値をポーリングにより収集する情報収集部と、
情報収集部によるポーリングに伴い受信される上り信号レベルを一定値に維持するように送信元のケーブルモデムに上り送信レベルの制御を指示するケーブルルータと、
を備え、
雑音発生源検索部は、
ゲートスイッチの下流に位置するケーブルモデムの上り送信レベルを取得し、
制御対象とするゲートスイッチに対しアッテネータオン制御を指示して所定の計測時間後にアッテネータオフ制御を指示し、
アッテネータオン制御又はアッテネータオフ制御の前後の上り送信レベルに所定値以上の変動がある場合にゲートスイッチの動作完了を判定する。
【0018】
また本発明の雑音発生源検索部はゲートスイッチの応答機能を利用した動作を確認しても良い。即ち、雑音発生源検索部は、制御対象とするゲートスイッチにアッテネータオン制御又はアッテネータオフ制御を指示した場合、ゲートスイッチから動作完了応答信号を受信した後に上りポートから得られる使用帯域の上り信号のSN比を取得して判定する。
【0019】
雑音発生源検索部は、CATV伝送路の光ノードを起点に下流側に向かってアクティブ機器を通過する度にカウントアップされるホップ数を識別子として複数のゲートスイッチのアドレスを管理し、ホップ数の順番に従って複数のゲートスイッチを制御して流合雑音発生源を検索する。
【0020】
本発明の流合雑音監視システムに於いて、更に、
CATV伝送路の加入者宅側の分配線及び幹線に分散設置された複数のケーブルモデムと、
複数のケーブルモデムで検出された測定値をポーリングにより収集する情報収集部と、
情報収集部によるポーリングに伴い受信される上り信号受信レベルを一定値に維持するように送信元のケーブルモデムに上り送信レベルの制御を指示するケーブルルータと、
CATV伝送路の複数の伝送路機器の各出力ポートに設置されたゲートスイッチの全てを順次制御して上り信号の減衰量を変化させ、減衰量の変化に伴い上り信号受信レベルが変化したケーブルモデムを検出して伝送路機器の伝送路マップを生成する伝送路マップ生成部と、
を設け、雑音発生源検索部は伝送路マップに基づいて上り流合雑音の発生源を検索する。
【0021】
伝送路マップ生成部は、
CATV伝送路に配置している全てのゲートスイッチの制御で上り信号送信レベルが変化した1又は複数のケーブルモデムの対応関係を登録した対応リストを生成する対応リスト生成部と、
対応リストから全てのゲーススイッチの親子関係を判定して伝送路マップを生成する親子関係判定部と、
を備える。
【0022】
親子関係判定部は、
対応リストについて各ゲートスイッチ毎に登録されたケーブルモデムのモデム数を算出して登録した後にモデム数の順番にソートし、
ソートされた対応リストに基づき、各ケーブルモデム毎にゲートスイッチをホップ数の順に並べたゲートスイッチ配列を格納したゲーススイッチ配列リストを生成し、
ゲーススイッチ配列リストに格納した複数のゲートスイッチ配列を順次処理対象として取り出し、処理対象のゲートスイッチ配列を含み、且つホップ数が同じか、より多い別のゲートスイッチ配列が存在する場合、処理対象のゲートスイッチ配列を親子関係の判定対象から削除し、
ゲートスイッチ配列リストに残った1又は複数のゲーススイッチ配列に含まれる同じゲートスイッチをマージすることによりツリー構造のゲートスイッチ伝送路マップに変換し、
ゲートスイッチ伝送路マップに対応する伝送路機器及びケーブルモデムを加えて伝送路マップを完成させる。
【0023】
(方法)
本発明は上り流合雑音監視方法を提供する。本発明は、
ヘッドエンドに続く光ノードを起点にツリー構造をとるCATV伝送路と、
CATV伝送路の加入者宅側の分配線及び幹線に分散設置され、上り信号の減衰量を切替可能な複数のゲートスイッチと、
を備えたCATVシステムの流合雑音監視方法に於いて、
ヘッドエンドを接続した上りポートから得られる使用帯域の上り信号(サービスチャネル信号)のSN比を監視し、SN比の低下度合と継続状況により上り伝送品質低下を検知する上り伝送品質監視ステップと、
上り伝送品質監視ステップで上り伝送品質低下を検知した際に、CATV伝送路に設けたゲートスイッチの減衰量を上流から下流に向けて順次制御して上り流合雑音の発生源を検索する雑音発生源検索ステップと、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ヘッドエンドに接続したデータ処理側の上りポートにおける使用中の上り信号(サービスチャネル信号)のSN比の低下度合と継続状況から上り流合雑音に起因した上り伝送品質の低下を検知することで、スペクトルアナライザーのような高価な機器を使用することなく上り流合雑音を検知できる。
【0025】
また実際にCATVシステムで使用しているサービスチャネルにおける上り信号のSN比を監視するインバンド監視方式としているため、スペクトルアナライザーで上り全帯域監視方式により未使用の周波数帯域までまとめて監視する場合に比べ、加入者宅における実際の通信サービスの低下と監視しているSN比に基づく上り伝送品質の低下とが正確に一致し、上り流合雑音の発生に対し適切に対応することができる。
【0026】
また一定周期で測定したSN比を所定時間の亘り保持し、その中で所定のSN閾値以下となるSN比の全体に占める割合を算出し、この割合が所定の閾値割合を超えた場合に上り伝送品質の低下を検知することで、短時間に発生して消滅するような流合雑音を不必要に検知して発生源の自動検索を行うようなことがなく、安定した上り流合雑音の監視ができる。
【0027】
また上り伝送品質の低下を検出して雑音発生源を検索するためのゲートスイッチの制御は、上り帯域にアッテネータを挿入又は切り離す切替制御であり、アッテネータの挿入と切り離しにより上り信号を減衰させて元に戻すことでSN比の変化を監視し、SN比が増加して元に戻ればそのゲートスイッチの下流側に雑音発生源ありと判定しており、ゲートスイッチによるアッテネータの挿入と切り離しの切替制御であることから下流からの上り信号は減衰されるが遮断されず、ゲートスイッチの制御中であっても、ヘッドエンド側でサービスチャネルの上り信号を継続して受信することができる。
【0028】
例えばCATV伝送路の幹線、分岐線、加入者宅にケーブルモデムを設置してポーリングにより測定値を上り信号で応答してシステム障害を監視している場合、上り流合雑音の発生源を検索するためにゲートスイッチを制御しても、システム監視機能を損うことなく雑音発生源を迅速且つ適確に突き止めることができる。
【0029】
またゲートスイッチにアッテネータオンまたはオフの制御指示を送った場合に、ゲートスイッチから処理正常終了の応答を待ち、切り替わったことを確認して上りポートのSN比を取得して判断することで、ゲートスイッチが誤動作などで切り替わらない状態で誤った判断をしてしまうことを確実に防止できる。
【0030】
更に、ゲートスイッチから処理正常終了の応答が得られなかった場合や、ゲートスイッチに応答機能がない場合については、CATV伝送路の幹線、分岐線、加入者宅に設けた障害監視用のケーブルモデムの上り信号レベル変化に対する上り送信レベルを規定レベルに保つフィードバック制御を利用してゲートスイッチの処理正常終了を判断する。
【0031】
即ち、ケーブルモデムを利用した障害監視は、ケーブルモデムのポーリング応答により所定の測定値を収集しており、このときケーブルルータが情報収集部によるポーリングに伴い受信される上り信号レベルを一定値に維持するように送信元のケーブルモデムに上り送信レベルの制御を指示している。
【0032】
このため上り流合雑音の発生源の検索するためにゲートスイッチのアッテネータオン制御またはアッテネータオフ制御を行った場合、下流側のデータモデムからのポーリング応答による受信レベルが変化するが、これに対し受信レベルを規定値に保つように送信元のケーブルモデムの上り送信レベルを変化させることになる。
【0033】
そこで、ゲートスイッチ制御前と制御後に、下流側のケーブルモデムの上り送信レベルに所定値以上の変動があれは、ゲートスイッチが正常に切り替わったと判断でき、これによってゲートスイッチの処理正常終了を判断することができる。
【0034】
更に本発明にあっては、ゲートスイッチのアッテネータ制御による減衰量の変化で下流側に位置するケーブルモデムからの上り信号受信レベルが一定値となるようにケーブルモデムの上り信号送信レベルを制御するケーブルルータの制御機能を利用し、CATV伝送路に設けている全てのゲートスイッチを制御して上り信号送信レベルが変化したケーブルモデムを検出し、この検出結果からゲートスイッチの親子関係を判定し、未知のCATV伝送路であっても伝送路マップを自動的に生成し、上り流合雑音発生源の検索に利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
図1は本発明による上り流合雑音監視システムの実施形態を示したブロック図である。図1において、ヘッドエンド20に続いて光ノード26−1〜26−4が設けられ、光ノード26−1に代表して示すように、ここを起点にツリー構造を持つCATV伝送路が上流から下流に向けて設けられている。
【0036】
この例では、光ノード26−1に続いてブリッジャゲートスイッチ(以下、単に「ゲートスイッチ」という)30−1を介して、双方向増幅型の幹線分岐増幅器(TBA)28が設けられ、幹線分岐増幅器28の分岐端子ゲートスイッチ30−2〜30−4を介して、それぞれ集合住宅34−1〜34−3に接続している。また幹線分岐増幅器28の分岐ラインのそれぞれにはケーブルモデム32−1,32−2が接続されている。
【0037】
ヘッドエンド20に対してはケーブルルータ装置18を介して障害検出サーバ10が接続され、障害検出サーバ10に対してはデータベース14を備えた障害解析サーバ12が接続され、更に障害解析サーバ12に対しクライアント16が接続されている。
【0038】
障害検出サーバ10には、上り流合雑音監視のため、上り伝送品質監視部36、雑音発生源検索部38、障害通知部40が設けられ、更に必要に応じて伝送路マップ生成部44が設けられている。更に、CATV伝送路に接続しているケーブルモデム32−1,32−2を使用して障害を監視するためのケーブルモデム処理部42が設けられている。
【0039】
ケーブルルータ装置18は、ヘッドエンド20側のCATV伝送路に対するデータ通信のためのインターフェイス機能を備え、本実施形態にあっては、DOCSIS(Data−Ove −Cable Service Interface Specifications)に準拠したインターフェイス機能を実現する。
【0040】
このためケーブルルータ装置18には、上り信号用インターフェイス46と下り信号用インターフェイス48が設けられている。上り信号用インターフェイス46は、5〜42MHzの上り周波数帯域の中の割り当てられた所定のサービスチャネルのチャネル帯域について、CATV伝送路からの上り信号のデータ通信のための復調を行う。
【0041】
ケーブルルータ装置18に設けた下り信号用インターフェイス48は、下り信号の周波数帯域におけるCATV伝送路に対するデータ信号の変調送信を行う。このケーブルータ装置18の上り信号用インターフェイス46に対しては、ヘッドエンド20より上りポート24が接続され、また下り信号用インターフェイス48からは下りポート25が接続される。
【0042】
ヘッドエンド20に対しては、CATV伝送路に設けているゲートスイッチ30−1〜30−4を制御するためのBGSコントローラ22が設けられている。BGSコントローラ22はBGS制御部50とBGS制御モデム52を備えている。BGS制御部50は、障害検出サーバ10に設けている雑音発生源検索部38からの指示に基づき、指定されたゲートスイッチの制御を行う。BGS制御モデム52は、ゲートスイッチ30−1〜30−4との間でSNMPプロトコルに従ったコマンド信号の送信と応答データの受信を行う。
【0043】
ここでCATV伝送路に設けているゲートスイッチ30−1〜30−4は、図2のゲートスイッチ30に代表して示すように、上り信号帯域を通過するバンドパスフィルタの間にスイッチ制御部62によりオンオフ制御されるスイッチ60を接続し、スイッチ60と並列に減衰抵抗64を接続し、更にバンドパスフィルタ56,58をバイパスするバイパス回路66を設けている。
【0044】
スイッチ制御部62は図1のBGSコントローラ22からのアッテネータオンの制御コマンドを受信すると、スイッチ60をオフしてバンドパスフィルタ56,58間を接続する上り伝送路に減衰抵抗を挿入接続し、上り信号に所定の減衰を与える。またBGSコントローラ22からアッテネータオフの制御コマンドを受信すると、スイッチ60をオンし、上り伝送路に挿入接続した減衰抵抗を切り離す制御を行う。
【0045】
またゲートスイッチ30は、BGSコントローラ22からの制御コマンドに対するスイッチ動作について、動作完了応答を応答送信するタイプと、動作完了応答を送信しないタイプの2種類のタイプがある。本実施形態にあっては、いずれのタイプについても対応することができる。
【0046】
更に、ゲートスイッチ30は単独の装置以外に、図1の幹線分岐増幅器28などのアクティブ機器の各端子毎にゲートスイッチを一体に組み込んだものもあり、本実施形態は両者を含む。
【0047】
再び図1を参照するに、本実施形態による上り流合雑音監視のため障害検出サーバ10に設けた上り伝送品質監視部36は、ケーブルルータ装置18にヘッドエンド20を接続した上りポート24から得られるサービスチャネルに対応した使用帯域の上り信号のSN比を監視し、監視しているSN比の低下度合と継続状況により、上り流合雑音に起因した上り伝送品質の低下を検知する。
【0048】
この上り伝送品質監視部36による上り伝送品質低下の検知は、所定周期T1例えばT1=1秒で上りポート24から得られる使用帯域の上り信号から検出したSN比を、所定の判定時間T2例えばT2=20秒に亘り保持し、判定時間T2に亘り得られた検出SN比の総数Aに対する所定のSN閾値以下の検出SN比の数Bの割合(B/A)を算出し、この算出した割合(B/A)が所定の閾値割合Cを超えている場合に、上り伝送品質低下を検知する。
【0049】
図3は図1の上り伝送品質監視部36による上り伝送品質低下検知の具体例を示した説明図である。図3は判定時間T2に亘り上りポート24から周期T1で求めた使用帯域の上り信号のSN比を時間軸について示しており、判定時間T2の間にP1〜P20で示す20個のSN比が取得されている。
【0050】
この判定時間T2で取得された20個のSN比であるP1〜P20に対しては所定のSN閾値THが設定され、判定時間T2におけるSN比の総数をAとすると、この場合、A=20となっている。
【0051】
そしてP1〜P20のSN比につき、閾値TH以下となるSN比の数Bを求める。この場合、閾値TH以下となるSN比の数BはB=14である。そして、SN比の総数A=20と閾値TH以下のSN比の数B=14の割合として
(B/A)=(14/20)=0.7
を算出する。
【0052】
この算出された割合(B/A)に対し、予め所定の上り伝送品質を判定するための閾値割合Cが設定されており、例えばC=0.7であり、この場合、割合(B/A)=0.7は閾値割合C=0.7以上であることから、上り伝送品質低下が検知されることになる。
【0053】
本実施形態にあっては、SN比の割合(B/A)に対する閾値割合として、アラーム通知用の第1閾値割合C1と、それより高い雑音発生源検索用の第2閾値割合C2を設定している。例えばアラーム通知用の第1閾値割合C1はC1=0.6であり、雑音発生源検索用の第2閾値割合C2はC2=0.7としている。
【0054】
このように閾値割合を2段階に設定することで、第1閾値割合C1=0.6をSN比の総数に対する閾値TH以下となるSN比の数の割合(B/A)が超えた場合、まず上り伝送品質低下のアラームを通知し、CATV設備の管理者に注意を促す。そして、算出された割合(B/A)が雑音発生源検索用の第2閾値割合C2=0.7以上となった場合には、図1の障害検出サーバ10に示す雑音発生源検索部38を動作させる。
【0055】
図1の障害検出サーバ10に設けた雑音発生源検索部38は、上り伝送品質監視部36で上り伝送品質低下を検出した際に、CATV伝送路に設けたゲートスイッチ30−1〜30−4の使用帯域の上り信号に対する減衰量を上流から下流に向けて順次制御して、上り流合雑音の発生源を検索する。
【0056】
このゲートスイッチの制御による上り流合雑音発生源の検索は、光ノードを起点に上流から下流に向けて順次ゲートスイッチを制御対象として選択し、制御対象として選択したゲートスイッチに対しアッテネータオンの制御コマンドを送信して、上り伝送路にアッテネータ(減衰抵抗)を挿入接続して上り信号を減衰させ、これによって、ヘッドエンド20のSN比が増加したら、そのゲートスイッチの下流側に雑音発生源が存在すると判断する。
【0057】
一方、上り伝送路にアッテネータ(減衰抵抗)を挿入接続して上り信号を減衰させても、上りポート24のSN比に変化がなければ、その下流側に雑音発生源はないものと判断し、SN比が上昇して信号発生源ありと判断した下流側の次のゲートスイッチの制御に切り替え、これを下流側に向けて順次行うことで、上り流合雑音の発生源を検索する。
【0058】
図4は図1の障害検出サーバ10に設けた雑音発生源検索部38の検索対象とするCATV伝送路の一例を示した説明図である。図4において、このCATV伝送路は光同軸伝送路(HFC伝送路)であり、ヘッドエンド20に続いて光ノード26−1,26−2が設けられ、光ノード26−1,26−2以降を同軸ケーブル伝送路としている。
【0059】
CATV伝送路に設けられる伝送機器としては、JCTEA標準を例にとると、幹線分岐増幅器TBA、幹線分配増幅器TDA、分岐増幅器BA、分配増幅器TA、延長増幅器EAがあり、更に、幹線及び分配線を分岐するスプリッタがある。なお、各増幅器は双方向増幅型である。
【0060】
図4のCATV伝送路は、その一部を取り出しており、光ノード26−1の下流側にTBA28−2,28−3,28−4を設け、TBA28−4の分岐ラインに加入者宅として、集合住宅34−41〜34−43で示す加入者宅の機器を接続している。また光ノード26−2の下流側には、直接、加入者宅機器を配置した集合住宅34−11が接続されている。
【0061】
また光ノード26−1,26−2の出力ポートにはゲートスイッチ30−11,30−12が接続され、TBA28−2の2つの分岐ポートにゲートスイッチ30−21,30−22が接続され、TBA28−3の一方の分岐ポートにゲートスイッチ30−31が接続され、更に集合住宅34−11,34−41〜34−43の引き込み部分にゲートスイッチ30−13,30−41〜30−43が設けられている。
【0062】
更に、CATV伝送路の分岐ラインの途中にはケーブルモデム32−21,32−22,32−31が設けられ、加入者宅の集合となる集合住宅34−11,34−41〜34−43には加入者機器ごとに1台ずつケーブルモデムを設けているが、これをケーブルモデム32−11,32−41〜32−43で代表して示している。
【0063】
図1の障害検出サーバ10に示した雑音発生源検索部38によるゲートスイッチの制御による雑音発生源の探索は、図5に示すゲートスイッチ管理リスト54を使用して行われる。図5において、ゲートスイッチ管理リスト54はホップ数とゲートスイッチ識別子で構成されている。ホップ数はCATV伝送路の光ノードを起点に下流側に向かってアクティブ機器を通過するごとにカウントアップされる値である。
【0064】
例えば図4のCATV伝送路を例にとると、上部に示すようにホップ数として1,2,3,4が設定される。即ち、光ノード26−1,26−2の出力ポート側はホップ数=1であり、ここにはゲートスイッチ30−11,30−12,30−13が含まれ、これは図4のゲートスイッチ管理リスト54においてゲートスイッチ識別子BGS11〜13で表されている。
【0065】
続いてTBA28−2の分岐ポート側はホップ数=2となり、ここにはゲートスイッチ30−21,30−22が存在し、図5のゲートスイッチ管理リスト54ではホップ数=2に対応してゲートスイッチ識別子BGS21,22が登録されている。続いてTBA28−3の分岐ポートがホップ数=3となり、図4のゲートスイッチ管理リスト54にはホップ数=3に対応してゲートスイッチ識別子BGS31が登録されている。
【0066】
続いてTBA28−4の分岐ポート側となり、これはホップ数=4となり、ゲートスイッチ管理リスト54にはホップ数=4に対応してゲートスイッチ識別子BGS41〜43が登録されている。
【0067】
図1の雑音発生源検索部38にあっては、上り伝送品質監視部36より上り伝送品質低下検知が得られた場合、図5のゲートスイッチ管理リスト54のホップ数単位にゲートスイッチを順次制御して、上り流合雑音の発生源を検索する。
【0068】
具体的には、まずホップ数=1に属するゲートスイッチ識別子BGS11を取得して、図4のゲートスイッチ30−11に対しアッテネータ挿入の制御コマンドを送り、アッテネータを挿入接続して上りポート24のSN比を取得し、SN比が増加した場合には、ゲートスイッチ30−11の下流側に雑音発生源ありと判定する。
【0069】
続いてゲートスイッチ管理リスト54からゲートスイッチ識別子BGS12を取得して、ゲートスイッチ30−12にアッテネータ挿入の制御コマンドを送り、アッテネータを挿入接続して上りポート24のSN比を取得する。このときSN比が変化しなければ、ゲートスイッチ30−12の下流側に雑音発生源が存在しないものと判断して下流側のゲートを無視し、したがってゲートスイッチ30−13の制御は行わない。
【0070】
ホップ数=1で下流側に雑音発生源ありと判定されたゲートスイッチ30−11について、次にホップ数=2を持つ図5のゲートスイッチ管理リスト54のゲートスイッチ識別子BGS21,22に対応したゲートスイッチ30−21,30−22を制御する。
【0071】
ゲートスイッチ30−21について、制御コマンドによりアッテネータ挿入を行って上りポート24のSN比を取得し、この場合、SN比に変化がなければ、ゲートスイッチ30−21の下流側には雑音発生源なしとして無視する。
【0072】
次にゲートスイッチ識別子BGS22に対応したゲートスイッチ30−22に制御コマンドを送って、アッテネータオンとして上りポート24のSN比を取得する。このとき取得したSN比が上昇すれば、ゲートスイッチ30−22の下流側に雑音発生源ありと判定し、次のホップ数=3の処理に進む。
【0073】
ホップ数=3の処理にあっては、ゲートスイッチ30−22の下流側となるゲートスイッチ識別子BGS30−31に制御コマンドを送って、アッテネータオンとして上りポート24のSN比を取得し、この場合、SN比に変化がなければ、ゲートスイッチ30−31の下流側は無視する。
【0074】
続いてホップ数=4の処理に進み、ホップ数=2で雑音発生源ありと判定されたゲートスイッチ30−22の下流側となるホップ数のゲートスイッチ識別子BGS44をゲートスイッチ管理リスト54から取得し、対応するホップ数=4のゲートスイッチ30−41〜30−43を順次制御する。
【0075】
この場合、ゲートスイッチ30−41,30−43について、制御コマンドによりアッテネータオンとしても上りポート24のSN比に変化はなかったが、ゲートスイッチ30−42を制御コマンドによりアッテネータオンとして、上りポート24のSN比が上昇した場合、ゲートスイッチ30−42の下流側のホップ数はないことから、ゲートスイッチ30−42の下流側が流合雑音の発生源であるとの検索結果を得る。具体的には、ゲートスイッチ30−42の下流側には集合住宅34−42が存在することから、集合住宅34−42を上り流合雑音の発生源として特定する。
【0076】
ここで図1に示した障害検出サーバ10に設けた上り伝送品質監視部36、雑音発生源検索部38、ケーブルモデム処理部42及び障害通知部40の機能は、コンピュータによるプログラムの実行により実現される機能である。
【0077】
このため障害検出サーバ10を構成するコンピュータは、そのハードウェア環境としてCPUを有し、CPUのバスにRAM、ROM、ハードディスクドライブ、ディスプレイ、キーボード、マウス、ネットワークアダプタを接続し、ハードディスクドライブに本実施形態の上り流合雑音監視のためのプログラムを格納している。
【0078】
このコンピュータを起動すると、BIOSによる自己診断及び初期化処理後のブート処理によりOSをRAMに読み出し配置し、続いて本実施形態の上り流合雑音監視のためのプログラムをRAMに読み出し配置して、CPUにより実行することになる。
【0079】
図6は本実施形態における上り伝送品質監視処理を示したフローチャートであり、図1を参照して説明すると次のようになる。
【0080】
図6において、ステップS1で障害検出サーバ10の上り伝送品質監視部36は、ケーブルルータ装置18におけるヘッドエンド20からの上りポート24の使用帯域の上り信号のSN比を、例えば図3に示したようにT1=1秒ごとに取得して保持し、ステップS2で所定の判定時間T2の経過を判別すると、ステップS3でSN比の全取得数Aに対する閾値TH以下のSN比の取得数Bの割合(B/A)を算出する。
【0081】
続いてステップS4でアラーム用の閾値割合C1、例えばC1=0.6以上か否か判別し、もし閾値割合C1以上であれば、ステップS5で上り伝送品質の低下発生アラームを障害通知部40を介して障害解析サーバ12に通知し、クライアント16側に上り伝送品質低下をアラームする。
【0082】
続いてステップS6で、算出した割合(B/A)が雑音源検索用の閾値割合C2例えばC2=0.7以上か否かチェックし、もし閾値割合C2以上であった場合には、ステップS7で雑音発生源検索部38による検索処理を実行させる。
【0083】
そしてステップS8で発生源検索結果を障害通知部40を介して障害解析サーバ12に通知し、データベース14に保存すると同時にクライアント16側に通知して、上り流合雑音の発生源を特定し、雑音解消のための対応措置をとらせることができる。このようなステップS1〜S8の処理を、ステップS9でログオフなどによる停止指示があるまで繰り返す。
【0084】
図7は図6のステップS7における上り流合雑音発生源検索処理の詳細を示したフローチャートである。図7において、上り流合雑音発生源検索処理は、まずステップS1で図5に示したようなゲートスイッチ管理リスト54を読み込み、ステップS2でホップ数=1を初期値としてセットする。
【0085】
続いて、ステップS3でホップ数=1に該当する対象ゲートスイッチを1つ選択し、ステップS4で制御前の上りポート24のSN比を取得する。続いてステップS5で、選択したゲートスイッチに対しアッテネータオンの制御コマンドを送信する。続いてステップS6で一定の待機時間経過を待ち、ステップS7で上りポートのSN比を取得する。
【0086】
ここで本実施形態にあっては、ゲートスイッチにアッテネータオンの制御コマンドを送った後、後の説明で明らかにするように、ゲートスイッチの動作完了を確認してから次の処理に進むことになる。
【0087】
ステップS7でアッテネータオンとしたゲートスイッチの切替状態で上りポート24のSN比を取得し、ステップS8でSN比が上昇したか否かチェックする。このとき、アッテネータオンに制御したゲートスイッチの下流側に雑音発生源が存在すると、アッテネータオンによる減衰抵抗の挿入で上り流合雑音を含む上り信号が減衰し、上りポート24におけるSN比は上昇することになる。
【0088】
したがって、ステップS8でSN比の上昇を判別した場合には、ステップS9に進み、ゲートスイッチに対しアッテネータオフの制御コマンドを送り、ステップS10で一定の待機時間経過後、ステップS11で上りポート24のSN比を取得し、ステップS12で、取得したSN比がアッテネータ挿入前に戻っていることを判別すると、ステップS13で現在選択対象としているゲートスイッチの配下に上り流合雑音源ありと判定する。
【0089】
一方、ステップS5でゲートスイッチのアッテネータオンの制御を行っても、ステップS8で上りポート24のSN比に変化がなかった場合には、ステップS17で予め設定したSN比確認回数に達するまでステップS6〜S8の処理を繰り返し、ステップS17でSN比確認回数を超過した場合にはステップS18に進み、アッテネータオフの制御コマンドを送って切り替えた後、ステップS19で現在選択対象としているゲートスイッチの配下に上り流合雑音源なしと判定する。
【0090】
また、ステップS12でアッテネータオフ制御後に取得した上りポート24のSN比がアッテネータ挿入前に戻らなかった場合にはステップS20に進み、予め設定したSN比確認回数を超過するまでステップS10〜S12の処理を繰り返し、この状態で確認回数を超過した場合には、ステップS21に進み、SN比は回復していることから、例えば自然復旧によりノイズ源がなくなったものとして、この場合は判定不能としてステップS14に進む。
【0091】
ステップS14にあっては、同一ホップ数のすべてのゲートスイッチについて処理済みか否かチェックし、未処理であればステップS3に戻り、次のゲートスイッチを選択して同様な処理を繰り返す。
【0092】
ステップS14で同一ホップ数のゲートスイッチの処理をすべて終了したことを判別すると、ステップS15に進み、全ホップ数を処理済か否かチェックし、未処理であれば、ステップS16でホップ数をカウントアップした後、ステップS3に戻り、次のホップ数について同様な処理を繰り返す。ステップS15で全ホップ数の処理済みを判別すると、一連の上り流合雑音発生源検索処理を終了し、図6のメインルーチンにリターンする。
【0093】
図8は本実施形態におけるケーブルモデムを利用したゲートスイッチの動作確認処理を示したフローチャートである。図8のゲートスイッチ動作確認処理は、図7の上り流合雑音発生源検索処理におけるステップS5のアッテネータオン制御、ステップS9のアッテネータオフ制御における制御コマンド発行後のステップS6,S10における一定の待機時間経過の間に実行される処理である。
【0094】
図8において、ゲートスイッチ動作確認処理は、ステップS1で対象となるゲートスイッチより下流のデータモデムを検索する。ステップS2で下流にデータモデムがあれば、ステップS3に進み、下流に存在するデータモデムの上り送信レベルを取得する。データモデムの上り送信レベルの取得は、図1のケーブルモデム処理部42から取得することができる。
【0095】
ケーブルモデム処理部42は、例えば30秒のポーリング周期でCATV伝送路に存在するケーブルモデムで測定している伝送状態の測定値を収集する。この伝送状態の測定値をポーリングにより収集するケーブルモデムとしては、DOCSIS1.0及び1.1のものを使用しており、ポーリングプロトコルはSNMPv2Cを使用して、ケーブルモデムのMIB情報を収集している。
【0096】
具体的には、ケーブルルータ装置18においてポーリングするケーブルモデムのポイント情報を取得した後、そのケーブルモデムの受信情報を個別にポーリングする。このため、障害検出サーバ10のケーブルモデム処理部42によるケーブルモデム1台のポーリングにはSNMPゲットリクエストPDUとSNMPゲットレスポンスPDUが2セット必要となる。
【0097】
このような障害検出サーバ10のケーブルモデム処理部42によるポーリングでCATV伝送路のケーブルモデムから収集される測定値には次のものが含まれる。
(1)下り受信レベル
(2)上り送信レベル
(3)上り受信レベル
(4)下りSN
(5)上りSN
(6)下りコードワードエラー
(7)上りコードワードエラー
【0098】
したがって図8のステップS3におけるデータモデムの上り送信レベルの取得については、ケーブルモデム処理部42から得られた現在対象としているゲートスイッチの下流のデータモデムについて得られた上り送信レベルを取得すればよい。
【0099】
続いてステップS4で、ゲートスイッチに対しアッテネータオンまたはアッテネータオフの制御コマンドをBGSコントローラ22に対する指示により送信させる。続いてステップS5でBGSコントローラ22によるコマンド制御が正常終了か否かチェックし、正常終了であれば、ステップS6で一定の待機時間経過を判別した後、ステップS7で再びゲートスイッチの下流側に配置しているデータモデムの上り送信レベルを取得する。
【0100】
続いてステップS8で、ステップS3で取得したゲートスイッチ制御前の上り送信レベルとステップS7で取得したゲートスイッチ制御後の上り送信レベルを比較し、ステップS9で所定値以上の変動が判別されると、ステップS10でゲートスイッチの動作完了を返す。
【0101】
ここでゲートスイッチにアッテネータオンまたはアッテネータオフの制御動作を行わせた場合に、その下流側に配置しているデータモデムの上り送信レベルが変動する理由を説明する。
【0102】
図9は図1の障害検出サーバ10に設けたケーブルモデム処理部42で実行されているポーリング処理を示したフローチャートである。図9のポーリング処理にあっては、ステップS1で所定のポーリングタイム例えば30秒に1回のポーリングタイムに達したことを判別すると、ステップS2でCATV伝送路に配置しているケーブルモデムに対し測定値の応答を要求する。
【0103】
この測定値応答要求に対し、ステップS3で測定値の受信が判別されると、ステップS4で受信した測定値を保存する。続いてステップS5で全ケーブルモデムの処理済みをチェックし、未処理であれば、ステップS6で次のケーブルモデムをセットし、ステップS2からの処理を繰り返す。そして、このようなステップS1〜S6の処理を、ステップS7でログオフなどによる停止指示があるまで繰り返している。
【0104】
このように障害検出サーバ10のケーブルモデム処理部42からのポーリングに対しケーブルモデムから応答送信された測定値の上り信号がケーブルルータ装置46で受信されると、ケーブルルータ装置46は受信した上り信号の受信レベルが予め定めた規定レベルに一致していない場合には、送信元のケーブルモデムに対し受信レベルを規定レベルに一致させるための上り送信レベルの変更制御を指示するフィードバック制御が行われる。
【0105】
ここで図8におけるゲートスイッチ制御処理の中で、ステップS4でゲートスイッチのアッテネータオンまたはアッテネータオフの制御が行われた場合、例えばアッテネータオンにより伝送路に減衰抵抗が挿入された場合には、そのゲートスイッチの下流に位置するケーブルモデムからポーリング応答として送信された測定値の受信信号レベルは、アッテネータオンによる減衰抵抗の挿入により受信レベルが低下する。
【0106】
この受信レベルの低下に対し、ケーブルルータ装置46は、低下した受信レベルを規定レベルに回復させるように送信元のケーブルモデムに対し上り送信レベルの変更を指示する。
【0107】
したがって、図8のステップS4で例えばゲートスイッチのアッテネータオン制御を行った後に、ステップS7でデータモデムの上り送信レベルを取得すると、ステップS3で取得した制御前の上り送信レベルに対し、制御後の上り送信レベルが増加しており、ステップS9で所定値以上の変動ありが判別され、ステップS10でゲートスイッチの動作完了を返すことができる。
【0108】
一方、ゲートスイッチをアッテネータオフ制御した場合については、アッテネータオンとなっている制御前の受信レベルに対し、アッテネータオフ制御した後の受信レベルが増加し、この場合にも所定値以上の変動があることを判別すると、アッテネータオフ制御を指示したゲートスイッチの動作完了を判別して、これを返すことができる。
【0109】
このように図8のゲートスイッチ制御処理にあっては、制御対象として選択したゲートスイッチの下流に位置するケーブルモデムの上り送信レベルを制御前と制御後について取得して所定値以上の変動かあるか否かで、正常に動作したか否かを確認することができる。
【0110】
再び図8を参照するに、ステップS2で制御対象として選択したゲートスイッチの下流側にデータモデムがなかった場合には、ステップS11でデータモデムなしのエラーを返し、この場合はゲートスイッチの動作完了を確認することなく、図7の上り流合雑音発生源検索処理を繰り返す。
【0111】
また、ステップS5でBGSコントローラ22に対する制御コマンド送信の指示に対し制御処理が正常終了しなかった場合には、ステップS12でBGS制御エラーを返す。
【0112】
更にステップS9でゲートスイッチの制御前と制御後のデータモデムの上り送信レベルに所定値以上の変動がなかった場合には、ステップS13に進み、再処理回数をカウントアップし、ステップS14で最大試行回数を超過するまでは、ステップS6〜S13の処理を繰り返し、ステップS14で最大試行回数超過が判別されると、ステップS15でゲートスイッチ反応なしエラーを返す。
【0113】
ステップS10,S12またはS15でエラーとなった場合には、そのゲートスイッチについては動作確認を行うことなく次の処理に移行する。
【0114】
図10は本実施形態におけるゲートスイッチ制御処理の他の実施形態を示したフローチャートであり、ゲートスイッチにスイッチ動作完了応答を返送する機能が設けられている場合の処理である。
【0115】
図10において、動作完了応答の返送機能を備えたゲートスイッチを対象としたゲートスイッチ制御処理にあっては、ステップS1でゲートスイッチ及びゲートスイッチコントローラ22の情報を取得した後、ステップS2で対象とするゲートスイッチのコントローラ制御用インスタンスを生成済みか否かチェックし、未生成であれば、ステップS3でインスタンスを生成する。
【0116】
続いてステップS4で、対象とするゲートスイッチのアッテネータオンまたはアッテネータオフの制御コマンドの送信を指示する。続いてステップS5でゲートスイッチ制御送信ログをBGSコントローラ22から取得して出力し、ステップS6で所定時間以内の結果を受信か否かチェックする。
【0117】
所定時間以内の結果受信であれば、ステップS7でゲートスイッチ受信結果ログを出力し、ステップS8で受信結果を解析し、ステップS9で受信結果が正常であれば、ステップS10でゲートスイッチの動作完了を返す。
【0118】
一方、ステップS6で所定時間以内の結果を受信できなかった場合には、ステップS11でゲートスイッチ制御タイムアウトログを出力する。続いてステップS12で再処理回数をカウントアップし、ステップS13で最大試行回数を超過するまで、ステップS4〜S6,S11,S12の処理を繰り返す。
【0119】
ステップS13で最大試行回数を超過した場合には、ステップS14でBGSコントローラ22の通信エラーと判定し、この場合にはステップS15でケーブルモデムによる動作確認を伴うゲートスイッチ制御処理を実行する。このステップS15のケーブルモデムによる動作確認を伴うゲートスイッチ制御処理は、図7のフローチャートに示した内容となる。
【0120】
図11は本実施形態による伝送路マップの生成対象となるCATV伝送路の一例を示した説明図である。図1に示した本実施形態の上り流合雑音監視システムにあっては、障害検出サーバ10に伝送路マップ生成部44を設けている。
【0121】
伝送路マップ生成部44は、CATV伝送路に設けている複数の伝送路機器の各出力ポートに設置されたゲートスイッチを順次制御して上り信号の減衰量を変化させ、これに伴いケーブルルータ装置18で変化した上り信号受信レベルを一定に保つための制御により上り信号送信レベルが変化したケーブルモデムを検出して伝送路機器の伝送路マップを生成する。
【0122】
図1の障害検出サーバ10に設けた雑音発生源検索部38は、上り流合雑音の発生源の検索に際しては、対象とするCATV線路における伝送路機器の配置を示した伝送路マップを使用して検索処理を行うことを前提としている。
【0123】
しかしながら、CATV伝送路によっては、上り流合雑音の発生源の検索に使用する伝送路マップが存在しない場合や、存在しても実際の伝送路の状態とは異なる古い伝送路マップであることが想定される。このような場合、本実施形態の伝送路マップ生成部44にあっては、CATV伝送路に配置しているゲートスイッチを順次操作することで伝送路マップを自動的に生成することができる。
【0124】
伝送路マップ生成部44の機能構成としては、CATV伝送路に配置している全てのゲートスイッチの順次制御で、上り信号送信レベルが変化した1または複数のケーブルモデムとゲートスイッチの対応関係を登録した対応リストを生成する対応リスト生成部と、生成した対応リストから、全てのゲートスイッチの親子関係を判定して伝送路マップを生成する親子関係判定部とを備えている。
【0125】
このような本実施形態における伝送路マップ生成部44の処理機能を詳細に説明すると次のようになる。
【0126】
まず図11のようなCATV伝送路70を対象に伝送路マップを自動生成する場合を例にとる。図11のCATV伝送路70は、光ノード26に続いてTBA(幹線分岐増幅器)28−21を配置し、TBA28−21の3つの分岐端子にTBA28−31,28−32,28−33を接続している。
【0127】
TBA28−31の2つの分岐端子の一方にはEA(延長増幅器)72−41を接続し、他方にもEA72−42を接続している。TBA28−32は分岐端子の1つの出力のみから引き出しており、そのラインにはEA72−43が設けられている。更に、TBA28−33の2つの分岐端子のそれぞれにはEA72−44,72−45が設けられている。
【0128】
このようなCATV伝送路70に設けた伝送路機器である光ノード26、TBA28−21,28−31〜28−33、及びEA72−41〜72−45の出力ポートのそれぞれには、ゲートスイッチ30−11〜30−45が設けられている。更にゲートスイッチ30−11〜30−45の出力側には、それぞれケーブルモデム32−11〜32−45を設けている。
【0129】
図11のようなCATV伝送路70を対象とした本実施形態による伝送路マップの生成に際しては、図12に示す伝送機器情報74と図13に示すケーブルモデム情報76を予め準備して読み込む。
【0130】
図12の伝送機器情報74は、機器名、出力端子及びその出力ポートに配置されるゲートスイッチのゲートスイッチ番号を備えている。例えば図11のCATV伝送路70を対象とした場合、機器名「光ノード」についてはゲートスイッチ30−11を示すゲートスイッチ番号GS11が登録されている。
【0131】
また次のTBA28−11については機器名としてTBA11が登録され、それぞれの出力端子として分岐1〜3の3つを持ち、分岐1〜3のそれぞれに設けたゲートスイッチ30−21〜30−23に対応して、ゲートスイッチ番号GS21〜GS23を登録している。
【0132】
図13のケーブルモデム情報76は、図11のCATV伝送路70に設置しているケーブルモデム32−11〜32−45に対応したケーブルモデム番号C11〜C45を登録している。
【0133】
図14は本実施形態の伝送路マップ生成処理におけるゲートスイッチのアッテネータオン制御とオフ制御で生成した対応リストの説明図である。図14において、対応リスト80は図12に示す伝送機器情報74から取得したゲートスイッチ番号GS11〜GS45をGS番号として右側に配置し、図13のケーブルモデム情報76から取得したケーブルモデム番号C11〜C45を上欄に配置している。更に右端には、GS番号GS11〜GS45に対応してモデム数の欄が設けられている。
【0134】
本実施形態の伝送路マップ生成処理にあっては、図1に示したケーブルルータ装置18が備えているケーブルモデムのポーリングにより受信した上り受信信号レベルを一定レベルに制御するようにケーブルモデムの送信レベルを制御するフィードバック制御を利用して、図14に示す対応リスト80を生成する。
【0135】
即ち伝送路マップ生成部44は、ゲートスイッチコントローラ22により、図14の対応リスト80に登録したゲートスイッチ番号GS11〜GS45につき順次ゲートスイッチのオンオフ制御によりアッテネータの挿入と切離しを行い、このゲートスイッチ制御に伴う下流側に位置するケーブルモデムにおける上り送信レベルの変化をポーリングにより取得し、上り送信レベルに変化のあったケーブルモデムのケーブルモデム番号につき、図14で丸印で示すように、上り送信信号レベルの変化のあったことを示す情報を登録する。
【0136】
例えば図11において、光ノード26の出力ポートに設けているゲートスイッチ30−11についてアッテネータオン制御とアッテネータオフ制御を行い、この場合にはゲートスイッチ30−11の下流側に配置しているすべてのケーブルモデム32−11〜32−45について、上り送信レベルの変化ありが検出されることから、図14のゲーススイッチ番号GS11の行に示すように、対応するケーブルモデム番号C11〜C45のすべてについて変化ありを示す丸印を登録する。そして、この場合、上り送信レベルの変化ありが検出されたケーブルモデムの数は14であることから、右端のモデム数に「14」を登録する。
【0137】
以下同様に、残りのゲートスイッチ30−21〜30−45に対応したゲートスイッチ番号GS21〜GS45につき順次、同様なアッテネータオン制御とアッテネータオフ制御を繰り返し、上り送信レベルに変化のあったケーブルモデムを検出して、検出したケーブルモデムのケーブルモデム番号に対応する位置に変化ありを示す丸印を登録する。
【0138】
このようにすべてのゲートスイッチの制御で図14に示す対応リスト80に上り送信レベルが変化したケーブルモデムを示す変化ありの登録が終了したならば、モデム数の順番にソートする。
【0139】
図15は実際に使用が想定される対応リスト80を示しており、ゲートスイッチ番号であるGS11〜GS45はランダムに登録され、またケーブルモデム番号C11〜C45もランダムに登録され、このような状態で、ゲートスイッチを順次制御して上り送信レベルに変化のあったケーブルモデムを検出して、丸印で示すように登録する。そしてGS11〜CS21ごとに、右側に示すようにモデム数を求める。この場合にもリスト80の登録が終了したならば、モデム数の順番にソートすることで図14の対応リスト80が得られる。
【0140】
次に図16のように、図14の対応リスト80に基づき、各ケーブルモデム番号C11〜C45毎にゲートスイッチGS11〜GS45のホップ数の順に並べたゲートスイッチ配列リスト82を生成する。
【0141】
次に、ゲートスイッチ配列リスト82について、ケーブルモデム番号C11〜C45の順番に、現在着目しているゲートスイッチ配列を含み、ホップ数が同じか、より多い別のゲートスイッチ配列があれば、着目しているゲートスイッチ配列を親子関係の判定対象から削除する。
【0142】
例えばケーブルモデム番号C11のゲートスイッチ配列(GS1)は、ケーブルモデム番号C21〜C45の全てのゲートスイッチ配列に含まれ、且つホップ数が多いことから、親子関係の判定対象から削除する。
【0143】
このような処理を行うと、ケーブルモデム番号C11〜C35のゲートスイッチ配列が削除され、ケーブル番号C41〜C45のゲートスイッチ配列84−1〜84−5が親子関係の判定対象として残る。
【0144】
図17は図16で親子関係の判定対象として残ったゲートスイッチ配列84−1〜84−5を配置したゲートスイッチ伝送路マップ88を示した説明図である。このようにゲートスイッチ伝送路マップ88が生成できたならば、続いて図18に示すように各ゲートスイッチ配列84−1〜84−5における同じゲートスイッチ番号についてマージ処理86−1,86−2,86−3を行う。
【0145】
この場合には、マージ処理86−1でトップノードの5つのGS11が1つにマージされ、またマージ処理86−2,86−3により2つのGS21と2つのGS23がそれぞれ1つにマージされる。
【0146】
この図18のマージ処理により、図19に示すゲートスイッチ伝送路マップ90を生成することができる。即ち、トップノードがGS11であり、続いて3分岐されて3つのGS21〜GS23が配置される。GS21に続いては2分岐してGS31,32が配置され、それぞれにGS41,GS42が配置される。また中央のGS22については、直線的にGS33,GS43が配置される。GS23についてはGS21側と同様、下流側が2分岐されてGS34,GS35が配置され、それぞれにGS44,GS45が配置される。
【0147】
この図19のように生成されたゲートスイッチ伝送路マップ90は、未知であった図11のCATV伝送路70におけるゲートスイッチ30−11〜30−45のCATV伝送路70における配置に1対1に対応している。
【0148】
そして図19のようなゲートスイッチ伝送路マップ88が生成できたならば、図12に示した伝送機器情報74を使用し、対応するゲートスイッチ番号の前段に機器名で特定される伝送路機器を配置する。
【0149】
即ち、図16に示した各ケーブルモデム番号C11〜C45のゲートスイッチ配列における最後となるボトムノードのゲートスイッチが、対象としているケーブルモデムの直前に存在するゲートスイッチであるため、ゲートスイッチ番号により図12の伝送路情報74を参照することで、対象ケーブルモデムが配置されている伝送機器の出力端子が分かり、伝送機器およびケーブルモデムを配置できる。
【0150】
例えばC45のゲートスイッチ配列84−5で最後のボトムノードとなるのはGS45であることから、GS45のゲートスイッチの下流側にC45のケーブルモデムを配置し、図12の伝送機器情報74から得られたEA45をGS45のゲートスイッチの上流側に配置する。
【0151】
これによって、未知のCATV伝送路70にあっても、本実施形態の伝送路マップ生成処理により伝送路機器、ゲートスイッチ及びケーブルモデムを含む実際のCATV伝送路70と同じ配置を持つ伝送路マップを自動的に生成することができる。
【0152】
図20は、図11に示したCATV伝送路70に示す点線で囲んだ部分92のゲートスイッチ30−45の下流側に、5台のケーブルモデム32−45−1〜35−45−5が接続された変形例を示し、この場合には、図21に示す対応リスト94が得られる。図21の対応リスト94は、図14の対応リスト80におけるケーブルモデム番号C45の1つから、ケーブルモデム番号C45−1〜C45−5の5つに増加している。
【0153】
このような対応リスト94についても、図16に示したと同様に、ケーブルモデム番号C11〜C45−5毎のゲーススイッチ配列を形成すると、ケーブルモデム番号C45−1〜C45−5については、全てゲートスイッチ配列84−5と同じ配列となり、その内の1つのみが判定対象として残り、図18と同じマージ処理をへて図19のゲーススイッチ伝送マップ90が生成される。
【0154】
図23は本実施形態による伝送路マップ生成処理を示したフローチャートである。図23において、伝送路マップ生成処理は、ステップS1で図12及び図13に示したようにケーブルモデム、伝送機器及びゲートスイッチ情報を読み込み、ステップS2で図15あるいは図16に示すようなゲートスイッチとケーブルモデムの対応関係を示す対応リスト80を生成する。
【0155】
続いてステップS3で、対応リスト80から例えば先頭のゲートスイッチを選択し、選択したゲートスイッチに対しアッテネータオン制御を行って上り伝送路にアッテネータを挿入して上り信号を減衰させる。この上り信号の減衰に対し、図1に示したケーブルルータ装置18にあっては、ポーリングにより受信した上り信号受信レベルが一定レベルより下がることで、送信元のケーブルモデムに対し上り送信レベルを増幅させる指示を行う。
【0156】
続いてステップS4でゲートスイッチのアッテネータオン制御に伴い上り信号送信レベルに変化のあったケーブルモデムを全ケーブルモデムのポーリングにより検出する。
【0157】
続いてステップS5で、ステップS3でアッテネータオン制御を行ったゲートスイッチに対しアッテネータオフ制御を行って上り伝送路からアッテネータを引き外し、元の状態に戻す。続いてステップS6で、アッテネータのオフ制御に伴い上り信号送信レベルが元に戻ったケーブルモデムを検出し、このケーブルモデムについて対応リスト80に登録する。
【0158】
即ち本実施形態にあっては、ステップS3のアッテネータオン制御で上り送信レベルが変化し、続いてステップS5のアッテネータオフ制御で、上り送信レベルが元に戻ったケーブルモデムにつき、上り送信レベルに変化ありとする登録を対応リスト80に対し行うことになる。
【0159】
続いてステップS7で全ゲートスイッチを処理したか否かチェックし、未処理であればステップS3に戻り、次のゲートスイッチにつき同様な処理を繰り返す。ステップS7で全ゲートスイッチの処理終了を判別すると、ステップS8に進み、登録済の対応リスト80につき、ゲートスイッチごとにレベル変化のあったケーブルモデム数を計算して登録する。
【0160】
続いてステップS9で登録済みの対応リスト80からゲートスイッチの親子関係を判定し、ステップS10でゲートスイッチ伝送路マップを生成する。この親子関係の判定は、図16に示した判定対象とするケーブルモデム番号のゲートスイッチ配列84−1〜84−5の判別に基づき、図17のグループ伝送路マップ88を形成した後、図18のように同じゲートスイッチにつきマージ処理を行い、その結果、図19のようなゲートスイッチ伝送路マップ88を生成する。
【0161】
続いてステップS11で、生成したゲートスイッチ伝送路マップに伝送路機器及びケーブルモデムを加えて伝送路マップを完成する。
【0162】
ここで本実施形態の伝送路マップ生成処理にあっては、ゲートスイッチのアッテネータオン制御とオフ制御を行った場合、アッテネータ制御状態でのポーリングに対し無応答のケーブルモデムが存在するような場合には、無応答のケーブルモデムについては処理対象から除外し、マップ生成の際の誤りを防止する。
【0163】
更に本発明は、図1の障害検出サーバ10で実行する上り流合雑音監視のためのプログラムを提供し、このプログラムは図5〜図9、図20のフローチャートに示した内容を持つ。
【0164】
なお上記の実施形態にあっては、図1の障害検出サーバ10における雑音発生源検索部38による上り流合雑音発生源の検索処理として、図5に示したゲートスイッチ管理リスト54によりホップ数に従って光ノードを起点に上流から下流に向けてゲートスイッチを制御して雑音発生源を切り分けしているが、ホップ数によらずに、予め準備されたCATVネットワークのツリー構造に対応したゲートスイッチのリストに従って上流から下流にゲートスイッチを順次制御して上り流合雑音の発生源を検索するようにしてもよい。
【0165】
また上記の実施形態はCATV伝送路に障害監視のための測定値を収集するケーブルモデムを設けた場合を例にとっているが、ゲートスイッチに動作完了応答の返送機能が設けられていれば、ケーブルモデムを設けていないCATVシステムについてもそのまま適用することができる。
【0166】
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。

ここで本発明の特徴をまとめて列挙すると次の特徴1〜20のようになる。
【0167】
(特徴1)(システム)
ヘッドエンドに続く光ノードを起点にツリー構造をとるCATV伝送路と、
前記CATV伝送路の加入者宅側の分配線及び幹線に分散設置され、上り信号の減衰量を切替可能な複数のゲートスイッチと、
ヘッドエンドを接続した上りポートから得られる使用帯域の上り信号のSN比を監視し、前記SN比の低下度合と継続状況により上り伝送品質低下を検知する上り伝送品質監視部と、
前記上り伝送品質監視部で上り伝送品質低下を検知した際に、前記CATV伝送路に設けた前記複数のゲートスイッチの減衰量を上流から下流に向けて順次制御して上り流合雑音の発生源を検索する雑音発生源検索部と、
を備えたことを特徴とする流合雑音監視システム。(1)
【0168】
(特徴2)
特徴1記載の流合雑音監視システムに於いて、前記上り伝送品質監視部は、前記上りポートから得られる使用帯域の上り信号から所定周期毎に検出したSN比を所定の判定時間に亘り保持し、前記判定時間の検出SN比の総数に対する所定のSN閾値以下の検出SN比の数の割合を算出し、算出した前記割合が所定の閾値割合を超えている場合に上り伝送品質低下を検知することを特徴とする流合雑音監視システム。(2)
【0169】
(特徴3)(アラームと絞込みの2段階閾値)
特徴1記載の流合雑音監視システムに於いて、前記伝送品質監視部は、
前記閾値割合としてアラーム通知用の第1閾値割合と、それより高い雑音発生源検索用の第2閾値割合を設定し、
前記算出した割合が前記第1閾値割合を超えている場合に上り伝送品質低下アラームを通知し、前記算出した前記割合が前記第2閾値割合を超えている場合に上り伝送品質低下を検知して前記雑音発生源検索部を動作させることを特徴とする流合雑音監視システム。
【0170】
(特徴4)
特徴1記載の流合雑音監視システムに於いて、前記雑音発生源検索部は、
制御対象とするゲートスイッチに対し上り伝送路にアッテネータを挿入接続するアッテネータオン制御を指示して所定の計測時間後に前記アッテネータを前記上り伝送路から取り外すアッテネータオフ制御を指示し、
前記アッテネータオン制御後に取得したSN比が前記アッテネータオン制御前のSN比に対し上昇しており、且つ前記アッテネータオフ制御後に取得したSN比が前記アッテネータオン制御前のSN比に戻っていた場合、前記制御対象としたゲートスイッチの配下に上り流合雑音の発生源ありと判定することを特徴とする流合雑音監視システム。(3)
【0171】
(特徴5)
特徴4記載の流合雑音監視システムに於いて、前記雑音発生源検索部は、前記制御対象とするゲートスイッチにアッテネータオン制御又はアッテネータオフ制御を指示した場合、前記ゲートスイッチの制御動作を確認した後に前記上りポートから得られる使用帯域の上り信号のSN比を取得して判定することを特徴とする流合雑音監視システム。(4)
【0172】
(特徴6)
特徴5記載の流合雑音監視システムに於いて、更に、
前記CATV伝送路の加入者宅側の分配線及び幹線に分散設置された複数のケーブルモデムと、
前記複数のケーブルモデムで検出された測定値をポーリングにより収集する情報収集部と、
前記情報収集部によるポーリングに伴い受信される上り信号受信レベルを一定値に維持するように送信元のケーブルモデムに上り送信レベルの制御を指示するケーブルルータと、
を備え、
前記雑音発生源検索部は、
前記ゲートスイッチの下流に位置する前記ケーブルモデムの上り送信レベルを取得し、
前記制御対象とするゲートスイッチに対しアッテネータオン制御を指示して所定の計測時間後にアッテネータオフ制御を指示し、
前記アッテネータオン制御又はアッテネータオフ制御の前後の上り送信レベルに所定値以上の変動がある場合に前記ゲートスイッチの動作完了を判定することを特徴とする流合雑音監視システム。(5)
【0173】
(特徴7)(ゲートスイッチの動作完了応答)
特徴5記載の流合雑音監視システムに於いて、前記雑音発生源検索部は、前記制御対象とするゲートスイッチにアッテネータオン制御又はアッテネータオフ制御を指示した場合、前記ゲートスイッチから動作完了応答信号を受信した後に前記上りポートから得られる使用帯域の上り信号のSN比を取得して判定することを特徴とする流合雑音監視システム。
【0174】
(特徴8)(ホップ数による雑音発生源検索)
特徴4記載の流合雑音監視システムに於いて、前記雑音発生源検索部は、
前記CATV伝送路の光ノードを起点に下流側に向かってアクティブ機器を通過する度にカウントアップされるホップ数を識別子として前記複数のゲートスイッチのアドレスを管理し、
前記ホップ数の順番に従って前記複数のゲートスイッチを制御して流合雑音発生源を検索することを特徴とする流合雑音監視システム。
【0175】
(特徴9)(システム:伝送路マップ自動生成)
特徴1記載の流合雑音監視システムに於いて、更に、
前記CATV伝送路の加入者宅側の分配線及び幹線に分散設置された複数のケーブルモデムと、
前記複数のケーブルモデムで検出された測定値をポーリングにより収集する情報収集部と、
前記情報収集部によるポーリングに伴い受信される上り信号受信レベルを一定値に維持するように送信元のケーブルモデムに上り送信レベルの制御を指示するケーブルルータと、
前記CATV伝送路の複数の伝送路機器の各出力ポートに設置されたゲートスイッチの全てを順次制御して上り信号の減衰量を変化させ、前記減衰量の変化に伴い上り信号送信レベルが変化したケーブルモデムを検出して前記伝送路機器の伝送路マップを生成する伝送路マップ生成部と、
を設け、
前記雑音発生源検索部は前記伝送路マップに基づいて上り流合雑音の発生源を検索することを特徴とする流合雑音監視システム。(6)
【0176】
(特徴10)(伝送路マップ生成の詳細)
特徴9記載の流合雑音監視システムに於いて、前記伝送路マップ生成部は、
前記CATV伝送路に配置している全てのゲートスイッチの制御で上り信号送信レベルが変化した1又は複数のケーブルモデムの対応関係を登録した対応リストを生成する対応リスト生成部と、
前記対応リストから全てのゲーススイッチの親子関係を判定して伝送路マップを生成する親子関係判定部と、
を備え、
前記親子関係判定部は、
前記対応リストについて各ゲートスイッチ毎に登録されたケーブルモデムのモデム数を算出して登録した後にモデム数の順番にソートし、
前記ソートされた対応リストに基づき、各ケーブルモデム毎にゲートスイッチをホップ数の順に並べたゲートスイッチ配列を格納したゲーススイッチ配列リストを生成し、
前記ゲーススイッチ配列リストに格納した複数のゲートスイッチ配列を順次処理対象として取り出し、処理対象のゲートスイッチ配列を含み、且つホップ数が同じか、より多い別のゲートスイッチ配列が存在する場合、前記処理対象のゲートスイッチ配列を親子関係の判定対象から削除し、
前記ゲートスイッチ配列リストに残った1又は複数のゲーススイッチ配列に含まれる同じゲートスイッチをマージすることによりツリー構造のゲートスイッチ伝送路マップに変換し、
前記ゲートスイッチ伝送路マップに対応する前記伝送路機器及びケーブルモデムを加えて伝送路マップを完成させることを特徴とする流合雑音監視システム。(7)
【0177】
(特徴11)(方法)
ヘッドエンドに続く光ノードを起点にツリー構造をとるCATV伝送路と、
前記CATV伝送路の加入者宅側の分配線及び幹線に分散設置され、上り信号の減衰量を切替可能な複数のゲートスイッチと、
を備えたCATVシステムの流合雑音監視方法に於いて、
ヘッドエンドを接続した上りポートから得られる使用帯域の上り信号のSN比を監視し、前記SN比の低下度合と継続状況により上り伝送品質低下を検知する上り品質監視ステップと、
前記上り品質監視ステップで上り伝送品質低下を検知した際に、前記CATV伝送路に設けたゲートスイッチの減衰量を上流から下流に向けて順次制御して上り流合雑音の発生源を検索する雑音源検索ステップと、
を備えたことを特徴とする流合雑音監視方法。(8)
【0178】
(特徴12)(上り伝送品質低下の詳細)
特徴11記載の流合雑音監視方法に於いて、前記上り伝送品質監視ステップは、前記上りポートから得られる使用帯域の上り信号から所定周期毎に検出したSN比を所定の判定時間に亘り保持し、前記判定時間の検出SN比の総数に対する所定のSN閾値以下の検出SN比の数の割合を算出し、算出した前記割合が所定の閾値割合を超えている場合に上り伝送品質低下を検知することを特徴とする流合雑音監視方法。
【0179】
(特徴13)(アラームと絞込みの2段階閾値)
特徴11記載の流合雑音監視方法に於いて、前記上り伝送品質監視ステップは、
前記閾値割合としてアラーム通知用の第1閾値割合と、それより高い雑音発生源検索用の第2閾値割合を設定し、
前記算出した割合が前記第1閾値割合を超えている場合に上り伝送品質低下アラームを通知し、前記算出した前記割合が前記第2閾値割合を超えている場合に上り伝送品質低下を検知して前記雑音発生源検索ステップを動作させることを特徴とする流合雑音監視方法。
【0180】
(特徴14)(雑音発生源検索の詳細)
特徴11記載の流合雑音監視方法に於いて、前記雑音発生源検索ステップは、
制御対象とするゲートスイッチに対し上り伝送路にアッテネータを挿入接続するアッテネータオン制御を指示して所定の計測時間後に前記アッテネータを前記上り伝送路から取り外すアッテネータオフ制御を指示し、
前記アッテネータオン制御後に取得したSN比が前記アッテネータオン制御前のSN比に対し上昇しており、且つ前記アッテネータオフ制御後に取得したSN比が前記アッテネータオン制御前のSN比に戻っていた場合、前記制御対象としたゲートスイッチの配下に上り流合雑音の発生源ありと判定することを特徴とする流合雑音監視方法。
【0181】
(特徴15)(ゲートスイッチの制御動作確認)
特徴14記載の流合雑音監視方法に於いて、前記雑音発生源検索ステップは、前記制御対象とするゲートスイッチにアッテネータオン制御又はアッテネータオフ制御を指示した場合、前記ゲートスイッチの制御動作を確認した後に前記上りポートから得られる使用帯域の上り信号のSN比を取得して判定することを特徴とする流合雑音監視方法。
【0182】
(特徴16)(ケーブルモデムによるゲートスイッチ動作確認)
特徴15記載の流合雑音監視方法に於いて、更に、
前記CATV伝送路の加入者宅側の分配線及び幹線に分散設置された複数のケーブルモデム検出された測定値をポーリングにより収集する情報収集ステップと、
前記情報収集ステップによるポーリングに伴いケーブルルータで受信される上り信号レベルを一定値に維持するように送信元のケーブルモデムに上り送信レベルの制御を指示する上り信号レベル制御ステップと、
を備え、
前記雑音発生源検索ステップは、
前記ゲートスイッチの下流に位置する前記ケーブルモデムの上り送信レベルを取得し、
前記制御対象とするゲートスイッチに対しアッテネータオン制御を指示して所定の計測時間後にアッテネータオフ制御を指示し、
前記アッテネータオン制御又はアッテネータオフ制御の前後の上り送信レベルに所定値以上の変動がある場合に前記ゲートスイッチの動作完了を判定することを特徴とする流合雑音監視方法。
【0183】
(特徴17)(ゲートスイッチの動作完了応答)
特徴15記載の流合雑音監視方法に於いて、前記雑音発生源検索ステップは、前記制御対象とするゲートスイッチにアッテネータオン制御又はアッテネータオフ制御を指示した場合、前記ゲートスイッチから動作完了応答信号を受信した後に前記上りポートから得られる使用帯域の上り信号のSN比を取得して判定することを特徴とする流合雑音監視方法。
【0184】
(特徴18)(ホップ数による雑音源検索)
特徴13記載の流合雑音監視方法に於いて、前記雑音源検索ステップは、
前記CATV伝送路の光ノードを起点に下流側に向かってアクティブ機器を通過する度にカウントアップされるホップ数を識別子として前記複数のゲートスイッチのアドレスを管理し、
前記ホップ数の順番に従って前記複数のゲートスイッチを制御して流合雑音発生源を検索することを特徴とする流合雑音監視方法。
【0185】
(特徴19)(方法:伝送路マップ自動生成)
特徴記載の流合雑音監視方法に於いて、更に、
前記CATV伝送路の加入者宅側の分配線及び幹線に分散設置された複数のケーブルモデム検出された測定値をポーリングにより収集する情報収集ステップと、
前記情報収集ステップによるポーリングに伴いケーブルルータで受信される上り信号受信レベルを一定値に維持するように送信元のケーブルモデムに上り送信レベルの制御を指示する上り信号レベル制御ステップと、
前記CATV伝送路の複数の伝送路機器の各出力ポートに設置されたゲートスイッチの全てを順次制御して上り信号の減衰量を変化させ、前記減衰量の変化に伴い上り信号送信レベルが変化したケーブルモデムを検出して前記伝送路機器の伝送路マップを生成する伝送路マップ生成ステップと、
を設け、前記雑音発生源検索ステップは前記伝送路マップに基づいて上り流合雑音の発生源を検索することを特徴とする流合雑音監視方法。
【0186】
(特徴20)(伝送路マップ生成の詳細)
特徴19記載の流合雑音監視方法に於いて、前記伝送路マップ生成部は、
前記CATV伝送路に配置している全てのゲートスイッチの制御で上り信号送信レベルが変化した1又は複数のケーブルモデムの対応関係を登録した対応リストを生成する対応リスト生成ステップと、
前記対応リストから全てのゲーススイッチの親子関係を判定して伝送路マップを生成する親子関係判定ステップと、
を備え、
前記親子関係判定ステップは、
前記対応リストについて各ゲートスイッチ毎に登録されたケーブルモデムのモデム数を算出して登録した後にモデム数の順番にソートし、
前記ソートされた対応リストに基づき、各ケーブルモデム毎にゲートスイッチをホップ数の順に並べたゲートスイッチ配列を格納したゲーススイッチ配列リストを生成し、
前記ゲーススイッチ配列リストに格納した複数のゲートスイッチ配列を順次処理対象として取り出し、処理対象のゲートスイッチ配列を含み、且つホップ数が同じか、より多い別のゲートスイッチ配列が存在する場合、前記処理対象のゲートスイッチ配列を親子関係の判定対象から削除し、
前記ゲートスイッチ配列リストに残った1又は複数のゲーススイッチ配列に含まれる同じゲートスイッチをマージすることによりツリー構造のゲートスイッチ伝送路マップに変換し、
前記ゲートスイッチ伝送路マップに対応する前記伝送路機器及びケーブルモデムを加えて伝送路マップを完成させることを特徴とする流合雑音監視方法。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】本発明による上り流合雑音監視システムの実施形態を示したブロック図
【図2】本実施形態で使用するゲートスイッチを示した回路ブロック図
【図3】上りポートから取得したSN比による上り伝送品質低下判断を示した説明図
【図4】本発明が監視対象とするCATV伝送路を示した説明図
【図5】本実施形態での上り流合雑音の発生源検索に使用するゲートスイッチ管理表を示した説明図
【図6】本実施形態における上り伝送品質監視処理を示したフローチャート
【図7】図6のステップS7における上り流合雑音発生源検索処理の詳細を示したフローチャート
【図8】本実施形態におけるケーブルモデムの動作確認を伴うゲートスイッチ制御処理を示したフローチャート
【図9】本実施形態におけるケーブルモデムのポーリング処理を示したフローチャート
【図10】本発明におけるゲートスイッチ制御処理の他の実施形態を示したフローチャート
【図11】本実施形態による伝送路マップの生成対象となるCATV伝送路の一例を示した説明図
【図12】本実施形態の伝送路マップの生成に使用する伝送機器情報を示した説明図
【図13】本実施形態の伝送路マップの生成に使用するケーブルモデム情報を示した説明図
【図14】本実施形態の伝送路マップ生成処理におけるゲートスイッチのアッテネータオン、オフ制御で生成された対応リストの説明図
【図15】ゲートスイッチ及びケーブルモデムをランダムに配置して生成した対応リストを示した説明図
【図16】図14の対応リストから生成したケーブルモデム番号毎のゲートスイッチ配列リストを示した説明図
【図17】図16の処理で判定対象として残されたゲートスイッチ配列を配置したゲートスイッチ伝送路マップを示した説明図
【図18】図17のゲートスイッチ伝送路マップにおけるゲートスイッチのマージ処理を示した説明図
【図19】図18のマージ処理により生成されたゲートスイッチ伝送路マップを示した説明図
【図20】図11のCATV伝送路における変形部分を示した説明図
【図21】図19の変形を含む図11のCATV伝送路を対象にゲートスイッチのアッテネータオン、オフ制御で生成された対応リストの説明図
【図22】本実施形態による伝送路マップ生成処理を示したフローチャート
【符号の説明】
【0188】
10:障害検出サーバ
12:障害解析サーバ
14:データベース
16:クライアント
18:ケーブルルータ装置
20:ヘッドエンド
22:BGSコントローラ
24:上りポート
25:下りポート
26,26−1〜26−4:光ノード
28,28−1〜28−4,28−21,28−31=28−33:幹線分岐増幅器(TBA)
30−1〜30−4,30−11〜30−13,30−21〜30−23,30−22,30−31〜30−35,30−41〜30−43:ブリッジャゲートスイッチ(BGS)
32−1,32−2,32−11,32−21,32−22,32−31〜32−35,32−41〜32−45:ケーブルモデム
34−1〜34−3,34−11,34−41,34−42:集合住宅
36:上り伝送品質監視部
38:雑音発生源検索部
40:障害通知部
42:ケーブルモデム処理部
44:伝送路マップ生成部
46:上り信号用インタフェース
48:下り信号用インタフェース
50:BGS制御部
52:BGS制御モデム
54:ゲートスイッチ管理リスト
56,58:バンドパスフィルタ
60:スイッチ
62:スイッチ制御部
64:減衰抵抗
66:バイパス回路
70:CATV伝送路
72,72−41〜72−45:延長増幅器
74:伝送機器情報
76:ケーブルモデム情報
80,94:対応リスト
82:ゲートスイッチ配列リスト
84−1〜84−5:ゲートスイッチ配列
86−1〜86−3:マージ処理
88,90:ゲートスイッチ伝送路マップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドエンドに続く光ノードを起点にツリー構造をとるCATV伝送路と、
前記CATV伝送路の加入者宅側の分配線及び幹線に分散設置され、上り信号の減衰量を切替可能な複数のゲートスイッチと、
ヘッドエンドを接続した上りポートから得られる使用帯域の上り信号のSN比を監視し、前記SN比の低下度合と継続状況により上り伝送品質低下を検知する上り伝送品質監視部と、
前記上り伝送品質監視部で上り伝送品質低下を検知した際に、前記CATV伝送路に設けた前記複数のゲートスイッチの減衰量を上流から下流に向けて順次制御して上り流合雑音の発生源を検索する雑音発生源検索部と、
を備えたことを特徴とする流合雑音監視システム。
【請求項2】
請求項1記載の流合雑音監視システムに於いて、前記上り伝送品質監視部は、前記上りポートから得られる使用帯域の上り信号から所定周期毎に検出したSN比を所定の判定時間に亘り保持し、前記判定時間の検出SN比の総数に対する所定のSN閾値以下の検出SN比の数の割合を算出し、算出した前記割合が所定の閾値割合を超えている場合に上り伝送品質低下を検知することを特徴とする流合雑音監視システム。
【請求項3】
請求項1記載の流合雑音監視システムに於いて、前記雑音発生源検索部は、
制御対象とするゲートスイッチに対し上り伝送路にアッテネータを挿入接続するアッテネータオン制御を指示して所定の計測時間後に前記アッテネータを前記上り伝送路から取り外すアッテネータオフ制御を指示し、
前記アッテネータオン制御後に取得したSN比が前記アッテネータオン制御前のSN比に対し上昇しており、且つ前記アッテネータオフ制御後に取得したSN比が前記アッテネータオン制御前のSN比に戻っていた場合、前記制御対象としたゲートスイッチの配下に上り流合雑音の発生源ありと判定することを特徴とする流合雑音監視システム。
【請求項4】
請求項3記載の流合雑音監視システムに於いて、前記雑音発生源検索部は、前記制御対象とするゲートスイッチにアッテネータオン制御又はアッテネータオフ制御を指示した場合、前記ゲートスイッチの制御動作を確認した後に前記上りポートから得られる使用帯域の上り信号のSN比を取得して判定することを特徴とする流合雑音監視システム。
【請求項5】
請求項4記載の流合雑音監視システムに於いて、更に、
前記CATV伝送路の加入者宅側の分配線及び幹線に分散設置された複数のケーブルモデムと、
前記複数のケーブルモデムで検出された測定値をポーリングにより収集する情報収集部と、
前記情報収集部によるポーリングに伴い受信される上り信号受信レベルを一定値に維持するように送信元のケーブルモデムに上り送信レベルの制御を指示するケーブルルータと、
を備え、
前記雑音発生源検索部は、
前記ゲートスイッチの下流に位置する前記ケーブルモデムの上り送信レベルを取得し、
前記制御対象とするゲートスイッチに対しアッテネータオン制御を指示して所定の計測時間後にアッテネータオフ制御を指示し、
前記アッテネータオン制御又はアッテネータオフ制御の前後の上り送信レベルに所定値以上の変動がある場合に前記ゲートスイッチの動作完了を判定することを特徴とする流合雑音監視システム。
【請求項6】
請求項1記載の流合雑音監視システムに於いて、更に、
前記CATV伝送路の加入者宅側の分配線及び幹線に分散設置された複数のケーブルモデムと、
前記複数のケーブルモデムで検出された測定値をポーリングにより収集する情報収集部と、
前記情報収集部によるポーリングに伴い受信される上り信号受信レベルを一定値に維持するように送信元のケーブルモデムに上り送信レベルの制御を指示するケーブルルータと、
前記CATV伝送路の複数の伝送路機器の各出力ポートに設置されたゲートスイッチの全てを順次制御して上り信号の減衰量を変化させ、前記減衰量の変化に伴い上り信号送信レベルが変化したケーブルモデムを検出して前記伝送路機器の伝送路マップを生成する伝送路マップ生成部と、
を設け、
前記雑音発生源検索部は前記伝送路マップに基づいて上り流合雑音の発生源を検索することを特徴とする流合雑音監視システム。
【請求項7】
請求項6記載の流合雑音監視システムに於いて、前記伝送路マップ生成部は、
前記CATV伝送路に配置している全てのゲートスイッチの制御で上り信号送信レベルが変化した1又は複数のケーブルモデムの対応関係を登録した対応リストを生成する対応リスト生成部と、
前記対応リストから全てのゲーススイッチの親子関係を判定して伝送路マップを生成する親子関係判定部と、
を備え、
前記親子関係判定部は、
前記対応リストについて各ゲートスイッチ毎に登録されたケーブルモデムのモデム数を算出して登録した後にモデム数の順番にソートし、
前記ソートされた対応リストに基づき、各ケーブルモデム毎にゲートスイッチをホップ数の順に並べたゲートスイッチ配列を格納したゲーススイッチ配列リストを生成し、
前記ゲーススイッチ配列リストに格納した複数のゲートスイッチ配列を順次処理対象として取り出し、処理対象のゲートスイッチ配列を含み、且つホップ数が同じか、より多い別のゲートスイッチ配列が存在する場合、前記処理対象のゲートスイッチ配列を親子関係の判定対象から削除し、
前記ゲートスイッチ配列リストに残った1又は複数のゲーススイッチ配列に含まれる同じゲートスイッチをマージすることによりツリー構造のゲートスイッチ伝送路マップに変換し、
前記ゲートスイッチ伝送路マップに対応する前記伝送路機器及びケーブルモデムを加えて伝送路マップを完成させることを特徴とする流合雑音監視システム。
【請求項8】
ヘッドエンドに続く光ノードを起点にツリー構造をとるCATV伝送路と、
前記CATV伝送路の加入者宅側の分配線及び幹線に分散設置され、上り信号の減衰量を切替可能な複数のゲートスイッチと、
を備えたCATVシステムの流合雑音監視方法に於いて、
ヘッドエンドを接続した上りポートから得られる使用帯域の上り信号のSN比を監視し、前記SN比の低下度合と継続状況により上り伝送品質低下を検知する上り品質監視ステップと、
前記上り品質監視ステップで上り伝送品質低下を検知した際に、前記CATV伝送路に設けたゲートスイッチの減衰量を上流から下流に向けて順次制御して上り流合雑音の発生源を検索する雑音源検索ステップと、
を備えたことを特徴とする流合雑音監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−10815(P2009−10815A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171600(P2007−171600)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(501203595)オーエスエスブロードネット株式会社 (3)
【Fターム(参考)】