説明

CB1−拮抗活性を有する4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール誘導体の使用

本発明はカンナビスCB−レセプターの強力なアンタゴニストである化合物4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾールの医療における新規使用に関する。該化合物は、特に若年患者におけるCBレセプターに関連する疾患の治療および/または予防および/または若年並びに青年期の患者の薬剤に誘発された肥満症の治療および/または予防のための薬剤の製造に特に好適である。この化合物は、一般式(I)を有し、式中の基Bbはスルホニルまたはカルボニルを表し、R、R、RおよびRおよびAaは詳細な説明に記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール誘導体の新規治療および/または予防のための一連の使用および新規使用のための活性成分としてこの化合物1種以上を含有する医薬組成物に関する。4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール誘導体は本発明により提供される医療における新規使用のために優れた有用性を有する強力なカンナビス−1(CB)レセプターアンタゴニストである。
【0002】
カンナビノイドはインド大麻のCannabis Sativa L.中に存在し、数世紀にわたって医薬品として使用されている(Mecholuam,R.; Feigenbaum, J.J. Prog. Med. Chem. 1987, 24, 159)。しかしながら、過去十年にわたってのみ、カンナビノイド分野での研究において、カンナビノイドレセプターおよびその(内因性)アゴニストおよびアンタゴニストに関する重要な情報が明らかにされてきた。カンナビノイドレセプターの2つの異なるサブタイプ(CBおよびCB)の発見および引き続くクローニングは新規カンナビノイドレセプターアンタゴニストに関する研究を刺激した(Munro, S.; Thomas, K.L.; Abu-Shaar, M. Nature 1993, 365, 61. Matsuda, L.A.; Bonner, T.I. Cannabinoid Receptors, Pertwee, R.G. Ed. 1995, 117, Academic Press, London)。更に、製薬会社はカンナビノイドシステムの障害と関連する疾患の治療のためのカンナビノイド薬剤の開発に興味を持った。CBレセプターの制限された周縁位置での局在と組み合わせると、脳中でのCBレセプターの広い分布は、CBレセプターを精神障害および神経障害の両方の分野におけるCNS−に向いた薬剤の発明のための非常に興味深い分子ターゲットとする(Cornsroe, P. Neurobiology of Disease 1998, 5, 534. Pop, E. Curr. Opin. In CPNS Investigational Drugs 1999, 1, 587. Greenberg, D. A. Drug News Perspect. 1999, 12, 458)。従来、3つのタイプの別個のCBレセプターアンタゴニストが公知である。Sanofiはそのジアリールピラゾール同族体を選択的CBレセプターアンタゴニストとして開示している。代表的な例はSR−141716Aであり、これは現在精神病的障害のための臨床開発の第II期にある(Dutta, A.K.; Sard, H.; Ryan, W.; Razdan, R.K.; Compton, D.R.; Martin, B.R. Med. Chem. Res. 1994, 5,54. Lan, R.; Liu, Q. ; Fan, P.; Lin, S.; Fernando, S. R. ; McCallion, D.; Pertwee, R.; Makriyannis, A.J. Med. Chem. 1999, 42, 769. Nakamura-Palacios, E.M.; Moerschbaecher, J.M.; Backer, L.A.; CNS Drug Rev. 1999, 5, 43)。
【0003】
アミノアルキルインドール類はCBレセプターアンタゴニストとして開示されている。代表的な例はIodoparavadoline(AM-630)であり、これは1995年に紹介された。AM−630はCBレセプターアンタゴニストであるが、時々弱い部分的なアゴニストとして挙動する(Hosohata, K.; Quock, R.M.; Hosohata, Y.; Burkey, T.H.; Makriyannis, A.; Consroe, P.; Reoske, W.R.; Yamamura, H.I. Life Sc. 1997, 61, PL115)。更に、最近、Eli Lillyからの研究員がアリール−アロイル置換ベンゾフランを選択的なCBレセプターアンタゴニストとして記載している(例えばLY−320135)(Felder, C.C.; Joyce, K.E.; Briley, E.J.; Glass, M.; Mackie, K.P.; Fahey, K.J.; Cullinan, G.J.; Hunden, D.C.;Johnson, D.W.; Chaney, M.O.; Koppel, G.A.; Brownstein, M.J. Pharmacol. Exp. Ther. 1998, 284, 291)。最近、3−アルキル−5,5′−ジフェニルイミダゾリジンジオンがカンナビノイドレセプターリガンドとして記載されていて、これはカンナビノイドアンタゴニストであることが示唆されている(Kanyonyo, M.; Govaerts, S.J.; Hermans, E.; Poupaert, J.H., Lambert, D.M. Biorog. Med. Chem. Lett. 1999, 9, 2233)。興味深いことに、多くのCBレセプターアンタゴニストはインビトロにおいて逆のアゴニストとして挙動することが記載されている(Landsman, R.S.; Burkey, T.H.; Consroe, P.; Roeske, W.R.; Yamamura, H.I., Eur. J. Pharmacol. 1997, 334, R1)。最近の調査によれば、カンナビノイド研究分野における最近の優れた状況の概要が提供される(Mechoulam, R.; Hanus, L.; Fride, E. Prog. Med. Chem.1998, 35, 199. Lambert, D.M. Curr. Med. Chem. 1999, 6, 635. Mechoulam, R.; Fride, E.; DiMarzo, V. Eur. J. Pharmacol. 1998, 359, 1)。
【0004】
国際特許明細書WO01/70700から4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール化合物が公知であり、これは強力でかつ選択的なカンナビスCB−レセプターアンタゴニスト活性を示す。この化合物は以下に定義する式(I)を有し、かつ精神障害、例えば精神病、不安症、鬱病、注意欠陥障害、記憶障害および食欲障害、肥満症、神経障害、例えば痴呆、ディストニア(distonia)、パーキンソン病、アルツハイマー疾患、テンカン、ハンチントン病、ツレット症候群、脳性虚血の治療における使用、並びに疼痛障害およびその他のカンナビノイド神経伝達に関連するCNS−疾患、および胃腸障害および心血管障害の治療への使用が示唆されている。
【0005】
今般、強力でかつ選択的なカンナビスCB−レセプターである式(I)
【0006】
【化1】

[式中、
RおよびRは同一または異なっており、フェニル、チエニルまたはピリジルを表し、これらの基は置換基Y1、2または3個で置換されていてよく、Yは同一または異なっており、C〜C−アルキルまたはアルコキシ基、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメトキシ、ニトロ、アミノ、モノ−またはジアルキル(C〜C)−アミノ、モノ−またはジアルキル(C〜C)−アミド、(C〜C)−アルキルスルホニル、ジメチルスルファミド、C〜Cアルコキシカルボニル、カルボキシル、トリフルオロメチルスルホニル、シアノ、カルバモイル、スルファモイルおよびアセチルの基からのものであってよく、またはRおよび/またはRはナフチルを表し、
は水素、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、アセチルオキシまたはプロピオニルオキシを表し、
Aaは基(i)、(ii)、(iii)、(iv)または(v)
【0007】
【化2】

(ここで、
およびRは相互に独立して水素または分枝または非分枝のC〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルを表し、またはRが水素を表すという条件において、Rはアセトアミドまたはジメチルアミノまたは2,2,2−トリフルオロエチルまたはフェニルまたはピリジルを表し、
は水素または非分枝のC〜Cアルキルを表す)の1つを表し、
Bbはスルホニルまたはカルボニルを表し、
はベンジル、フェニル、チエニルまたはピリジルを表し、この基は置換基Y1、2または3個で置換されていてよく、Yは同一または異なっていてよいか、またはRは分枝または非分枝のC〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルを表すかまたはRはナフチルを表す]の4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール誘導体、そのプロドラッグ、その互変異性体およびその塩はそのユニークな薬理学的なプロファイルにより、若年患者におけるCBレセプターに関連する疾患の治療および/または予防および/または若年並びに青年期の患者の薬剤に誘発された肥満症の治療および/または予防のための薬剤の製造に使用するために特に好適であることが見いだされた。このことについて、式(I)の化合物は一方においては、小児科に使用するためのおよび薬剤により誘発された肥満症における一般的使用のための薬剤を提供することにおいて非常に価値がある。
【0008】
式(I)の化合物の優れたユニークな薬理学的なプロファイルは、特に高い安全性および許容性にあり、このことにより式(I)の化合物は安全性および許容性を強く必要とする患者グループに特に好適であり、特に若年患者および/または長期間の治療を受けている例えば薬剤により誘発された肥満症の患者に好適である。
【0009】
本発明により使用される化合物は、その強力なCB拮抗活性により、精神障害、例えば精神病、不安症、鬱病、注意欠陥障害、記憶障害および食欲障害、肥満症、神経障害、例えば痴呆、ディストニア、パーキンソン病、アルツハイマー疾患、テンカン、ハンチントン病、ツレット症候群、脳性虚血の小児科的治療および/または予防における使用のために、および疼痛障害およびその他のカンナビノイド神経伝達に関連するCNS−疾患の治療のために、および胃腸障害および心血管障害の治療において、若年の患者における使用のために好適である。
【0010】
カンナビノイドCBレセプターへの式(I)の化合物の親和性は、WO01/70700中に記載されている、例えばこれは人カンナビスCB−レセプターが放射リガンドとしての[3H]CP−55940と共に安定してトランスフェクションしたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞の膜プレパラートを用いて決定された。[3H]リガンドを有する新たに調製した細胞膜プレパラートを、本発明の化合物を添加してまたは添加せずにインキュベートした後、結合したリガンドと遊離のリガンドとをガラスファイバーフィルターを介して濾過することにより分離した。フィルター上の放射能を液体シンチレーションをカウントすることにより測定した。
【0011】
式(I)の化合物のカンナビノイドCB拮抗活性は同様に、WO01/70700中に記載されており、かつ人カンナビノイドCBレセプターが安定に発現されるCHO細胞を使用する機能研究において決定された。アデニリルシクラーゼはフォルスコリンを用いて刺激され、蓄積した環式AMPの量を定量することにより測定した。CBレセプターアゴニスト(例えば、CP−55940または(R)−WIN−55212−2)によるCBレセプターの随伴性活性化はcAMPのフォルスコリン誘発蓄積を濃度に依存する方法で低減させることができる。
【0012】
このCBレセプターにより仲介される応答は、本発明において使用される化合物のようなCB−レセプターアンタゴニストにより拮抗され得る。
【0013】
国際特許明細書WO01/70700に記載されている全ての内容は本明細書に引用することにより包含される。
【0014】
式(I)の化合物中には、少なくとも1つのキラルの中心が(4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール部分のC4位に)存在する。本発明は式(I)を有する化合物のラセミ体、ジアステレオマーの混合物の新規使用および式(I)を有する化合物の個別の立体異性体の両方に関する。本発明は同様にAaが前記の(i)または(ii)を有する式(I)を有する化合物のE異性体、Z異性体およびE/Z混合物の両方の新規使用に関する。
【0015】
本発明の1つの実施態様によれば、式中のRが4−クロロフェニル基、Rがフェニル基、Rが水素であり、AaはRが水素およびRがメチルである基(i)であり、Bbがスルホニルであり、かつRは4−クロロフェニル基を表す式(I)を有する化合物、およびその塩が使用される。本発明により使用される式(I)を有する化合物は左旋性のエナンチオマーである。
【0016】
本発明において使用される化合物は、公知法により得ることができる。本発明により使用される化合物の好適な合成は、国際特許明細書WO01/70700に式(I)の化合物に関して記載されている。例えば、Rが水素を表す、式(III)(下記参照)を有する化合物は公知法により得ることもできる、例えば:a)EP0021506;b)DE2529689。
【0017】
WO01/70700により製造されておりかつ研究されている化合物の例は、例えば次の化合物を包含する:
1)3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−4−フェニル−1H−ピラゾール
2)3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−N−((4−フルオロフェニル)スルホニル)−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
3)4,5−ジヒドロ−N−((4−フルオロフェニル)スルホニル)−3−(4−メトキシフェニル)−4−(4−メトキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
4)4,5−ジヒドロ−3−(4−メトキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−N−((4−メトキシフェニル)スルホニル)−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
5)3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−N−((2,4,6−トリメチルフェニル)スルホニル)−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
6)3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−N−((4−フルオロフェニル)スルホニル)−4−ヒドロキシ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
7)3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−N−(1−ナフトイル)−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
8)3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−N−(2−ピリドイル)−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
9)N,N−ジメチル−N−((4−クロロフェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
10)N−メチル−N′−((4−クロロフェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−(3−ピリジル)−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
11)N−メチル−N′−((4−クロロフェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−(4−ピリジル)−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
12)N,N−ジメチル−N−((4−クロロフェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
13)N−エチル−N′−((4−クロロフェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
14)N−メチル−N′−(3−(トリフルオロメチル)ベンゾイル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
15)N−メチル−N′−((4−クロロフェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
16)N−メチル−N′−((3−クロロフェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
17)N−メチル−N′−((4−クロロフェニル)スルホニル)−3−(5−クロロ−チエニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
18)N−プロピル−N′−((4−フルオロフェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
19)N−(2−プロピル)−N′−((4−フルオロフェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
20)N−メチル−N′−((2−プロピル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
21)N−(2−プロピル)−N′−((4−クロロフェニル)スルホニル)−3−(4−ピリジル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
22)N−エチル−N−メチル−N−((4−クロロフェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
23)N−エチル−N−メチル−N−((4−フルオロフェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
24)N,N−ジメチル−N−((4−(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
25)N,N−ジメチル−N−((3−メチルフェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
26)N,N−ジメチル−N−((3−メトキシフェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
27)N−エチル−N′−((4−クロロフェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
28)N−ジメチルアミノ−N′−((4−クロロフェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
29)N−メチル−N′−((4−(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
30)N,N−ジメチル−N−((2−メチルフェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
31)N−メチル−N′−((2,4−ジフルオロフェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
32)N−アセトアミド−N′−((4−クロロフェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
33)N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−N′−((4−クロロフェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
34)N−(2−ピリジル)−N′−((4−クロロフェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
35)N−(4−ピリジル)−N′−((4−クロロフェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
36)N−フェニル−N′−((4−クロロフェニル)スルホニル)−3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン
37)3−(4−クロロフェニル)−1−[3−((4−クロロフェニル)スルホニル)ブタノイル]−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール
38)3−(4−クロロフェニル)−1−[3−(フェニルスルホニル)プロパノイル]−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール
39)3−(4−クロロフェニル)−1−[3−((4−クロロフェニル)スルホニル)プロパノイル]−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール
40)3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1−[2−((3−(トリフルオロメチル)フェニル)スルホニル)エチル]−1H−ピラゾール
41)3−(4−クロロフェニル)−1−[2−(ベンジルスルホニル)エチル]−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール
42)3−(4−クロロフェニル)−1−[2−((4−クロロフェニル)スルホニル)エチル]−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール
43)3−(4−クロロフェニル)−1−[2−((4−クロロフェニル)スルホニル)エチル]−4,5−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−4−フェニル−1H−ピラゾール
44)N−[2−(3−(4−クロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−4−フェニル−1H−ピラゾール−1−イル)エチル]−3−(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド。
【0018】
本発明により使用される化合物は補助物質および/または液体または固体担持材料を用いる通常の方法を用いて、小児科用の投与のために並びに薬剤で誘発された肥満症の治療で投与するために好適な形にすることができる。
【0019】
従って、本発明の更なる実施態様は、若年患者におけるCBレセプターに関連する疾患の治療および/または予防および/または若年並びに青年期の患者の薬剤に誘発された肥満症の治療および/または予防のための活性成分としての式(I)の化合物少なくとも1種および少なくとも1種の賦形剤を含有する医薬組成物に関する。このような医薬組成物においては、式(I)の化合物は、精神障害、胃腸障害、心血管障害またはこれらを併合した障害を治療および/または予防するために、そのような治療を必要とする若年患者において、適当な有効量で存在するのが有利である。
【0020】
本発明の更なる実施態様においては、医薬組成物中に式(I)の化合物が、薬剤に誘発された肥満症の治療および/または予防のために、そのような治療を必要とする若年のおよび青年期の患者において、適当な有効量で存在する。
【0021】
更に本発明は、若年患者におけるCBレセプターに関連する疾患の治療および/または予防および/または若年並びに青年期の患者の薬剤に誘発された肥満症の治療および/または予防法を包含し、この方法は式(I)の化合物をそのような治療を必要とする患者に投与することを特徴とする。更に、本発明による治療および/または予防法は、治療が精神障害、例えば精神病、不安症、鬱病、注意欠陥障害、記憶障害および食欲障害、薬剤により誘発された肥満症も含む肥満症、神経障害、例えばパーキンソン病、痴呆、ディストニア、アルツハイマー疾患、テンカン、ハンチントン病、ツレット症候群、虚血、疼痛およびその他のカンナビノイド神経伝達に関連するCNS−疾患に向けられていることを更に特徴としてよい。有利には、本発明の1つの実施態様において、治療および/または予防法が、若年患者の肥満症の治療に向けられている。その他の本発明の有利な実施態様においては、治療および/または予防法が、若年並びに青年期の患者の薬剤に誘発された肥満症の治療に向けられている。この薬剤により誘発された肥満症は、特に非定型抗精神病薬(atypical antipsychotics)のような薬剤により誘発されていてよい。
本発明の1つの実施態様によれば、治療および/または予防法は若年患者の肥満症の治療に向けられている。こうして、カンナビノイドアンタゴニストが小児期肥満症および例えば2型の糖尿病(Typ 2 Diabetes)のような関連随伴症状(Comorbidity)の治療のために好適である。肥満症は成人においてだけでなく子供および(若年のまたはそれより少し上の)青年においてもますます重要な医学的問題となっているので改善された治療に対して明らかに医学的要求がある。米国における国民検査において1960年から1990年に、子供の体重超過の罹患率は5%から11%に増加している(Sorof and Daniels 2002)。これ以外の例としてカナダにおいては、小児期の肥満症は過去20年間で三倍になった(Spurgeon 2002)。小児期における肥満症は広い範囲の重大な合併症を引き起こし、早発の病気およびその後の生活において死に至る危険性を増し、公衆衛生上の危惧が増している(Ebbeling, Powlak等 2002)。最近何十年間にわたって、2型の糖尿病の驚異的な増加が、特に子供に観察される。この流行の傾向は明らかに肥満症の増加率を反映している。2型の糖尿病は、過去においては成人および老人の病気と思われてきており、小児科の病気とは考えられていなかった(Arslanian 2002)。小児の2型糖尿病の主要な危険因子の1つは肥満である。
【0022】
子供における2型の糖尿病は(成人におけると同様)インシュリン抵抗性症候群(Rosenbloom 2002)の一部であり、これは高血圧、異脂肪症、およびその他のアテローム性動脈硬化症、および早発のアドレナルケおよび多嚢胞性卵巣症候群として見られる高アンドロゲン症(hyperandrogenism)を包含する。小児期肥満症に関連する他の症状は、左心室肥大、非アルコール性肝炎、閉塞性睡眠無呼吸症、身体的形態の異常の問題、および過酷な心理社会的問題を含む。
【0023】
更に、1次高血圧は小児において再び肥満と関連して、主要の独立した危険因子としてますます一般的になっている。肥満症の小児は肥満症でない小児より高血圧に関して約3倍高い危険を有している(Sorof and Daniels 2002)。小児における血圧の低下のための体重減少の利点は観察研究およびインターベンショナル研究の両方において示されている。
【0024】
一般に安定した住民における小児期肥満症の流行が急速に進行しているために、世間の危惧は高まっている。促進する因子は主に不都合な環境因子であると想定されており、これに関してはライフスタイルの変更修正に関する率直な忠告がなされている。肥満症およびこれに関連する付随症状は非常に重大な医学的状態であり、肥満症および特に小児期肥満症の測定および治療法の状態は、現在ほとんど無力の状態である(Ebbeling, Pawlak等 2002)。2型の糖尿病の管理は、同様に小児および青年期においては特に困難である(Silink 2002)。美味しい食品に対する切望および過剰の消費は、人および特に同様に小児および青年における肥満症に関連するライフスタイルの重要な要因の1つである。2型の糖尿病およびその他の随伴症状の治療は代謝障害および症状の度合いにより調節される:2型の糖尿病を有する子供における経口血糖降下薬の使用に関する唯一のデータはメトホルミンで実施されている(Rosenbloom 2002)。
【0025】
こうして、本発明により使用されるCBアンタゴニストはこれらの“促進因子”との相互作用において肥満症を治療するためのユニークな機会を提供する。これは現在の医学的治療より優れており、特に著しい安全プロファイルおよび/または許容性により小児科における治療のために特に好適である。肥満症、特に小児期肥満症の治療は効力の他に、安全性によっても指図されている。
【0026】
小児期肥満症はおそらく長期間の管理を必要とする医学的症状である。CBアンタゴニストの安全プロファイルは現在の標準的医療より優れていることを示唆し、かつこのCBアンタゴニストは小児期肥満症および関連する随伴病状の治療および予防に特に好適である。
【0027】
【表1】

【0028】
本発明の他の実施態様においては治療および/または予防の方法は若年または青年の患者における薬剤により誘発された肥満症の治療を対象としている。薬剤により誘発された体重の増加も同様に主要な危惧および対象であり、改善された治療が医学的に高く必要とされている。ここでも、このような状況において、本発明によるCBアンタゴニストが現在の標準的な医療に比べて優れていることが示唆されており、かつこのCBアンタゴニストは若年並びに青年の患者における薬剤で誘発された肥満症を治療および予防するために特に好適である。
【0029】
薬剤により誘発された体重増加に関しては、Zimmermann,U.,T.Kraus等(2003,“Epidemiology, Implications and mechanisms underlying druginduced weight gain in psychiatric patients” J Psychiatr Res 37(3):193-220)によって報告されており、体重増加はしばしば精神障害の薬剤治療の間に生じ、しばしば食欲の増加および食事切望を伴う。この副作用の発現および時間経過は予想することが困難であるので、結局肥満症および肥満症と関連する患者の重要な部分における病状が生じ、しばしば治療が効果的であるにもかかわらず治療を中止することを余儀なくする。体重増加はいくつかの第二世代の抗精神病薬でおよびいくつかの気分安定剤で治療を受けている患者において最も顕著なものであると思われる。顕著な体重増加は、ほとんどの三環式抗うつ薬での治療の際にもしばしば生じる。
【0030】
非常に大きな体重増加は、例えば非定型抗精神病薬クロザピンおよびオランザピンのような薬剤と関連している。しかしながら、いくつかの非定型抗精神病薬は明らかな重量増加を引き起こす傾向にあり、このことは低いコンプライアンスおよび他の健康に有害な効果に導くことがある(Nasrallah, H. (2003).“A review of the effect of atypical antipsychotics on weight” Psychoneuroendochinology 28 Suppl:83-96)。抗精神病薬に関連する体重増加に関連する機構は現在不明である、しかしながらセロトニン作動性薬物、ヒスタミンおよびアドレナリン作動性薬物親和性が他の代謝機構と一緒に関連している。非定型抗精神病薬は長期間の治療で体重変化を引き起こす傾向において異なる。追跡調査は、最も大きな体重増加はクロザピンおよびオランザピンと関連しており、最も小さな体重増加は、クエチアピン(quetiapine)およびジプラシドン(zipraidone)と関連する。リスペリドン(Risperidone)は投与量と関係なく、僅かな体重変化と関連する。非定型抗精神病薬の同等な効果を与える場合に、肥満症の重篤な医学的な結果により、体重増加プロファイルは、治療のためのアルゴリズムを作成する際に、考慮すべき適合ファクターである。こうして、本発明によるCBアンタゴニストの同時投与は、実施に有利であることを示唆している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
若年患者におけるCBレセプターに関連する疾患の治療および/または予防および/または若年並びに青年期の患者の薬剤に誘発された肥満症の治療および/または予防のための薬剤の製造における、式(I)
【化1】

[式中、
RおよびRは同一または異なっており、フェニル、チエニルまたはピリジルを表し、これらの基は置換基Y1、2または3個で置換されていてよく、Yは同一または異なっていてよく、C〜C−アルキルまたはアルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメトキシ、ニトロ、アミノ、モノ−またはジアルキル(C〜C)−アミノ、モノ−またはジアルキル(C〜C)−アミド、(C〜C)−アルキルスルホニル、ジメチルスルファミド、C〜C−アルコキシカルボニル、カルボキシル、トリフルオロメチルスルホニル、シアノ、カルバモイル、スルファモイルおよびアセチルの基からのものであってよく、またはRおよび/またはRはナフチルを表し、
は水素、ヒドロキシ、C〜C−アルコキシ、アセチルオキシまたはプロピオニルオキシを表し、
Aaは基(i)、(ii)、(iii)、(iv)または(v)
【化2】

(ここで、
およびRは相互に独立して水素または分枝または非分枝のC〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルを表し、またはRが水素を表すという条件において、Rはアセトアミドまたはジメチルアミノまたは2,2,2−トリフルオロエチルまたはフェニルまたはピリジルを表し、
は水素または非分枝のC〜Cアルキルを表す)の1つを表し、
Bbはスルホニルまたはカルボニルを表し、
はベンジル、フェニル、チエニルまたはピリジルを表し、この基は置換基Y1、2または3個で置換されていてよく、Yは同一または異なっていてよいか、またはRは分枝または非分枝のC〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルを表すかまたはRはナフチルを表す]のCBレセプター拮抗化合物、そのプロドラッグ、その互変異性体およびその塩の使用。
【請求項2】
Rは4−クロロフェニル基を表し、Rはフェニル基であり、Rは水素であり、Aaは基(i)であり、ここでRは水素であり、かつRはメチルであり、Bbはスルホニルであり、かつRは4−クロロフェニルを表す、請求項1記載の式(I)を有する化合物およびその塩の使用。
【請求項3】
化合物が左旋性エナンチオマーである、請求項1記載の式(I)を有する化合物の使用。
【請求項4】
若年患者におけるCBレセプターに関連する疾患の治療および/または予防および/または若年並びに青年期の患者の薬剤に誘発された肥満症の治療および/または予防のための活性成分としての請求項1記載の式(I)の化合物少なくとも1種および少なくとも1種の賦形剤を含有する医薬組成物。
【請求項5】
少なくとも1種の式(I)の化合物が、精神障害、胃腸障害、心血管障害またはこれらを併合した障害を治療および/または予防するために、そのような治療を必要とする若年患者において、適当な有効量で存在する、請求項4記載の医薬組成物。
【請求項6】
少なくとも1種の式(I)の化合物が、薬剤に誘発された肥満症の治療および/または予防のために、そのような治療を必要とする若年のおよび青年期の患者において、適当な有効量で存在する、請求項4記載の医薬組成物。
【請求項7】
若年患者におけるCBレセプターに関連する疾患の治療および/または予防法および/または若年並びに青年期の患者の薬剤に誘発された肥満症の治療および/または予防法において、請求項1に記載の式(I)の化合物をそのような治療を必要とする患者に投与することを特徴とする、若年患者におけるCBレセプターに関連する疾患の治療および/または予防および/または若年並びに青年期の患者の薬剤に誘発された肥満症の治療および/または予防法。
【請求項8】
治療が精神障害、例えば精神病、不安症、鬱病、注意欠陥障害、記憶障害および食欲障害、薬剤により誘発された肥満症を含む肥満症、神経障害、例えばパーキンソン病、痴呆、ディストニア、アルツハイマー疾患、テンカン、ハンチントン病、ツレット症候群、虚血、疼痛およびその他のカンナビノイド神経伝達に関連するCNS−疾患に向けられている、請求項7記載の治療および/または予防法。
【請求項9】
治療が若年患者の肥満症に向けられている、請求項8記載の治療および/または予防法。
【請求項10】
治療が若年または青年期の患者の薬剤に誘発された肥満症に向けられている、請求項8記載の治療および/または予防法。

【公表番号】特表2007−504200(P2007−504200A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525143(P2006−525143)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051961
【国際公開番号】WO2005/020988
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(391027619)ゾルファイ ファーマスーティカルズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (46)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Pharmaceuticals GmbH
【住所又は居所原語表記】Hans−Boeckler−Allee 20, D−30173 Hannover,Germany
【Fターム(参考)】