CCK放出能力が増強されたタンパク質加水分解組成物
本発明は、満腹を促進するために使用することができる、コレシストキニン(CCK)放出活性が増強されたタンパク質加水分解組成物を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2008年12月31日に出願された米国仮特許出願第61/141,931号(これは、参照によってその全体が本明細書に援用される)の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、タンパク質加水分解物に関する。特に、本タンパク質加水分解物は、一般に、増強されたコレシストキニン(CCK)放出活性を有する。本タンパク質加水分解物を用いて、栄養分を提供すると共に満腹を促進することができる。
【背景技術】
【0003】
肥満および肥満に関連する疾患の割合は、米国および世界中で上昇している。根底にある原因は1つではないが、寄与する因子は、多くの人々の速いペースで追い立てられているライフスタイル、およびそれに伴うファーストフードの消費であり得る。ほとんどのファーストフードは脂肪および/または糖が多い傾向にある。
【0004】
肥満の蔓延と戦うための1つの実行可能な標的は、コレシストキニン(CCK)であり得る。CCKは、タンパク質または脂質の豊富な食事に応答して腸細胞により循環内に分泌されるペプチドホルモンである。このペプチドホルモンは、タンパク質および脂質の消化に関与するいくつかの生理的過程を仲介する。十二指腸および腸の粘膜によるCCKの分泌は、十二指腸に入る脂肪またはタンパク質の豊富な糜粥によって刺激される。CCKは次に、直接および/または間接的な生理作用および神経作用によって満腹を誘発し、食物摂取を低下させる。いくつかの直接的な作用としては、胃排出の阻害、胃酸分泌の阻害、および胆嚢収縮の刺激が挙げられる。神経経路を刺激するCCKの能力と組み合わせて、CCKの放出は「満腹」の感覚を生じさせるので、通常、より少ないカロリーの消費がもたらされる。
【0005】
従って、「持ち運んで(on the go)」消費することができ、栄養があって容易に入手可能な食品が必要とされている。この食品は美味しいだけでなく、栄養的に十分でなければならない。すなわち、この食品は脂肪が少なく、タンパク質が多く、そしてビタミンおよび酸化防止剤が多くなければならない。さらに、この食品がCCKの放出を増強すれば、同様に非常に有益であろう。
【発明の概要】
【0006】
本発明の種々の態様の中で、1つの態様は、コレシストキニン(CCK)放出活性を有するタンパク質加水分解組成物を包含する。本タンパク質加水分解組成物は約100,000ダルトン未満の平均サイズを有するポリペプチド断片の混合物を含み、タンパク質加水分解組成物の可溶性画分は、少なくとも約0.5mg/mLの濃度において、100nMのホルボール12−ミリスタート−13−アセタート(PMA)で4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるCCKの50%と実質的に同等以上の効力でCCK放出活性を刺激する。
【0007】
本発明の別の態様は、細胞のCCK放出活性の増大方法を提供する。本方法は、細胞と、タンパク質加水分解組成物の可溶性画分とを接触させることを含む。本タンパク質加水分解組成物は約100,000ダルトン未満の平均サイズを有するポリペプチド断片の混合物を含み、少なくとも約0.5mg/mLの濃度において、本タンパク質加水分解組成物は、100nMのPMAで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるCCKの50%と実質的に同等以上の効力でCCK放出活性を刺激する。
【0008】
本発明のさらなる態様は、被験者の満腹の促進方法を包含する。本方法は、ある量のタンパク質加水分解組成物を被験者に投与することを含み、投与される量は、被験者による満腹感をもたらす。本タンパク質加水分解組成物は約100,000ダルトン未満の平均サイズを有するポリペプチド断片の混合物を含み、少なくとも約0.5mg/mLの濃度において、本タンパク質加水分解組成物は、100nMのPMAで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるCCKの50%と実質的に同等以上の効力でCCK放出活性を刺激する。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、食用材料とタンパク質加水分解組成物の可溶性画分とを含む食品を提供する。本タンパク質加水分解組成物は約100,000ダルトン未満の平均サイズを有するポリペプチド断片の混合物を含み、少なくとも約0.5mg/mLの濃度において、本タンパク質加水分解組成物は、100nMのPMAで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるCCKの50%と実質的に同等以上の効力でCCK放出活性を刺激する。
【0010】
カラー図面の参照
本出願は、カラーで作成された少なくとも1枚の写真を含有する。カラー写真付きの本特許出願公報のコピーは、要求および必要な手数料の支払いに応じて特許庁により提供されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】胃および上部小腸内の消化を模倣するためにペプシンまたはペプシンおよびパンクレアチンの組み合わせを用いたそれぞれの消化によって調製された大豆およびカゼイン塩タンパク質加水分解物によるCCK放出の刺激を示す。タンパク質加水分解物を約2mg/mLのタンパク質濃度でSTC−1細胞の培地に添加し、対照反応混合物(タンパク質基質の不在下で酵素を含有する)の同等の希釈において酵素対照を添加した。ペプシンまたはペプシンおよびパンクレアチン酵素により生成された異なるタンパク質加水分解物により刺激されたSTC−1細胞の培地中に放出される%CCKが、対照の100nMのPMA(100%として設定した)と比較してプロットされる。細胞培地単独および2mg/mLのウシ血清アルブミン(BSA)を負のバックグラウンド対照として用いた。PMA対照は、2mg/mLのBSAを含有する細胞培地中の100nMのPMAで構成された。細胞培地中に放出される%CCKは、以下のように計算した。%CCK放出=(ng CCKサンプルウェル − ng CCKBSAコントロールウェル)/(ng CCKPMAウェル − ng CCKBSAコントロールウェル)x 100ペプシンおよびペプシン−パンクレアチンによるインタクトな大豆タンパク質の消化は、インタクトなカゼイン塩タンパク質の同等の消化よりも著しく強力なCCK放出活性を有するペプチドをもたらす。
【図2】強力なCCK放出加水分解物(SUPRO(登録商標)950/FXP950)の接線流ろ過(tangential flow filtration)からの画分を含有するクーマシー染色されたSDSポリアクリルアミドゲルの画像を示す。この加水分解物は、Novozymes(Bagsvaerd,Denmark)からのALCALASE(登録商標)による約9.6%の%加水分解度への消化によって生成される。レーンA、B、C、およびDはそれぞれ、未分画サンプル、100kDaよりも大きい画分、10〜100kDaの画分、および10kDa未満の画分の1%(w/v)スラリーの10μLのサンプルを表す。レーンEおよびFはそれぞれ、10〜100kDaの画分および10kDa未満の画分の5%(w/v)スラリーの10μLのサンプルを表す。分子量標準のサイズは左側に示される。
【図3】実施例2に記載される加水分解タンパク質調製物であるSUPRO(登録商標)950/FXP950の10〜100kDaの画分のペプシンおよびペプシン−パンクレアチン消化調製物によるCCK放出の刺激を示す。
【図4A】図4A〜Hは、種々の大豆タンパク質加水分解調製物についてのCCK放出の刺激を示す。図4A〜4Hに示される異なる酵素で生成され、種々のインキュベーション条件で得られる異なる%加水分解度(%DH)を有する、異なる大豆タンパク質加水分解物によって刺激されたSTC−1の培地中に放出される%CCKが、100%に設定した100nMのPMAによって放出される%CCKと比較してプロットされる。細胞培地中に放出される%CCKは、図1について記載されるように計算される。PMAは、タンパク質キナーゼC(PKC)の直接刺激によってCCKを誘発する。それぞれの大豆タンパク質加水分解物を約2mg/mLの最終タンパク質濃度でSTC−1細胞に添加した。図4Aは、Alcalaseで処理された大豆タンパク質加水分解物についてのCCK放出の刺激を示す。
【図4B】図4A〜Hは、種々の大豆タンパク質加水分解調製物についてのCCK放出の刺激を示す。図4A〜4Hに示される異なる酵素で生成され、種々のインキュベーション条件で得られる異なる%加水分解度(%DH)を有する、異なる大豆タンパク質加水分解物によって刺激されたSTC−1の培地中に放出される%CCKが、100%に設定した100nMのPMAによって放出される%CCKと比較してプロットされる。細胞培地中に放出される%CCKは、図1について記載されるように計算される。PMAは、タンパク質キナーゼC(PKC)の直接刺激によってCCKを誘発する。それぞれの大豆タンパク質加水分解物を約2mg/mLの最終タンパク質濃度でSTC−1細胞に添加した。図4Bは、ブロメラインで処理された大豆タンパク質加水分解物についてのCCK放出の刺激を示す。
【図4C】図4A〜Hは、種々の大豆タンパク質加水分解調製物についてのCCK放出の刺激を示す。図4A〜4Hに示される異なる酵素で生成され、種々のインキュベーション条件で得られる異なる%加水分解度(%DH)を有する、異なる大豆タンパク質加水分解物によって刺激されたSTC−1の培地中に放出される%CCKが、100%に設定した100nMのPMAによって放出される%CCKと比較してプロットされる。細胞培地中に放出される%CCKは、図1について記載されるように計算される。PMAは、タンパク質キナーゼC(PKC)の直接刺激によってCCKを誘発する。それぞれの大豆タンパク質加水分解物を約2mg/mLの最終タンパク質濃度でSTC−1細胞に添加した。図4Cは、ノカルジオプシス・プラシナ(Nocardiopsis prasina)からのセリンプロテアーゼで処理された大豆タンパク質加水分解物についてのCCK放出の刺激を示す。
【図4D】図4A〜Hは、種々の大豆タンパク質加水分解調製物についてのCCK放出の刺激を示す。図4A〜4Hに示される異なる酵素で生成され、種々のインキュベーション条件で得られる異なる%加水分解度(%DH)を有する、異なる大豆タンパク質加水分解物によって刺激されたSTC−1の培地中に放出される%CCKが、100%に設定した100nMのPMAによって放出される%CCKと比較してプロットされる。細胞培地中に放出される%CCKは、図1について記載されるように計算される。PMAは、タンパク質キナーゼC(PKC)の直接刺激によってCCKを誘発する。それぞれの大豆タンパク質加水分解物を約2mg/mLの最終タンパク質濃度でSTC−1細胞に添加した。図4Dは、ALCALASE(登録商標)2で処理された大豆タンパク質加水分解物についてのCCK放出の刺激を示す。
【図4E】図4A〜Hは、種々の大豆タンパク質加水分解調製物についてのCCK放出の刺激を示す。図4A〜4Hに示される異なる酵素で生成され、種々のインキュベーション条件で得られる異なる%加水分解度(%DH)を有する、異なる大豆タンパク質加水分解物によって刺激されたSTC−1の培地中に放出される%CCKが、100%に設定した100nMのPMAによって放出される%CCKと比較してプロットされる。細胞培地中に放出される%CCKは、図1について記載されるように計算される。PMAは、タンパク質キナーゼC(PKC)の直接刺激によってCCKを誘発する。それぞれの大豆タンパク質加水分解物を約2mg/mLの最終タンパク質濃度でSTC−1細胞に添加した。図4Eは、S2で処理された大豆タンパク質加水分解物についてのCCK放出の刺激を示す。
【図4F】図4A〜Hは、種々の大豆タンパク質加水分解調製物についてのCCK放出の刺激を示す。図4A〜4Hに示される異なる酵素で生成され、種々のインキュベーション条件で得られる異なる%加水分解度(%DH)を有する、異なる大豆タンパク質加水分解物によって刺激されたSTC−1の培地中に放出される%CCKが、100%に設定した100nMのPMAによって放出される%CCKと比較してプロットされる。細胞培地中に放出される%CCKは、図1について記載されるように計算される。PMAは、タンパク質キナーゼC(PKC)の直接刺激によってCCKを誘発する。それぞれの大豆タンパク質加水分解物を約2mg/mLの最終タンパク質濃度でSTC−1細胞に添加した。図4Fは、MP1で処理された大豆タンパク質加水分解物についてのCCK放出の刺激を示す。
【図4G】図4A〜Hは、種々の大豆タンパク質加水分解調製物についてのCCK放出の刺激を示す。図4A〜4Hに示される異なる酵素で生成され、種々のインキュベーション条件で得られる異なる%加水分解度(%DH)を有する、異なる大豆タンパク質加水分解物によって刺激されたSTC−1の培地中に放出される%CCKが、100%に設定した100nMのPMAによって放出される%CCKと比較してプロットされる。細胞培地中に放出される%CCKは、図1について記載されるように計算される。PMAは、タンパク質キナーゼC(PKC)の直接刺激によってCCKを誘発する。それぞれの大豆タンパク質加水分解物を約2mg/mLの最終タンパク質濃度でSTC−1細胞に添加した。図4Gは、TL1で処理された大豆タンパク質加水分解物についてのCCK放出の刺激を示す。
【図4H】図4A〜Hは、種々の大豆タンパク質加水分解調製物についてのCCK放出の刺激を示す。図4A〜4Hに示される異なる酵素で生成され、種々のインキュベーション条件で得られる異なる%加水分解度(%DH)を有する、異なる大豆タンパク質加水分解物によって刺激されたSTC−1の培地中に放出される%CCKが、100%に設定した100nMのPMAによって放出される%CCKと比較してプロットされる。細胞培地中に放出される%CCKは、図1について記載されるように計算される。PMAは、タンパク質キナーゼC(PKC)の直接刺激によってCCKを誘発する。それぞれの大豆タンパク質加水分解物を約2mg/mLの最終タンパク質濃度でSTC−1細胞に添加した。図4Hは、ASP−1で処理された大豆タンパク質加水分解物についてのCCK放出の刺激を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
タンパク質は、一般に、ヒトを含む動物の腸管(intestinal track)内の腸内分泌細胞によるCCKの放出を刺激することが知られている(Liddle,R.A.ら,(1986年)Proteins But Not Amino Acids,Carbohydrates,or Fats Stimulate Cholecystokinin Secretion in the Rat.Am.J.Physiol.251(Gastrointest.Liver Physiol.14):G243−G248)。腸内に入るタンパク質は、ペプシンおよび膵臓からの消化酵素の混合物(パンクレアチン)などの酵素による消化を経験するので、図1では、これらの酵素により消化されたインタクトな大豆タンパク質が、腸内分泌細胞におけるCCK放出活性を有するペプチドをもたらすことを示す。また図1は、これらの同じ酵素で処理されたカゼインナトリウムが、インタクトな大豆タンパク質の消化後に生成されるものと比較して弱いCCK放出活性を有するペプチドをもたらすことも示す。図1のデータを得るために使用された、生体内の胃および上部腸管の消化を模倣する大豆タンパク質およびカゼイン塩の消化方法は、Schasteen(Schasteen,C.S.ら,(2007年)Correlation of an Immobilized Digestive Enzyme Assay With Poultry True Amino Acid Digestibility for Soybean Meal.Poultry Science 86(2),343−348)、およびHigaki(Higaki,N.ら,(2006年)Biosci.Biotechnol.Biochem.70(12),2844−2852)の既に公開された手順を修正したものである。タンパク質サンプルを20体積の0.01MのHCl中に可溶化し、ペプシン(Sigma−Aldrich ♯P7012)により、1:200(w/w)の酵素−基質比、pH2.3および37℃において4時間消化した。ペプシン消化の後、2.5MのNaOHを混合物に添加して、pHを8.0に調整し、パンクレアチン(Sigma−Aldrich ♯P3292)を1:200(w/w)の比率で添加し、消化をさらに4〜18時間継続させた。加水分解度は、第1級アミン基とo−フタルアルデヒド(OPA)との反応により、酸加水分解(110℃で24時間)後のサンプル中に存在する第1級アミンの総量に対して決定した(「OPA法」として知られている)。タンパク質加水分解物を2mg/mLのタンパク質濃度でSTC−1細胞の培地に添加し、対照反応混合物(タンパク質基質の不在下で酵素を含有する)の同等の希釈において酵素対照を添加した。ペプシンおよびペプシン−パンクレアチン処理されたタンパク質サンプルにより刺激されたSTC−1細胞の培地中に放出される%CCKが、正の対照の100nMのPMAにより放出されるCCKの量(100%に設定)と比較してプロットされる。細胞培地中に放出される%CCKは、以下のように計算される。
%CCK放出=(ng CCKサンプルウェル − ng CCKBSAコントロールウェル)/
(ng CCKPMAウェル − ng CCKBSAコントロールウェル)x 100
【0013】
実施例において説明されるように、商業的な原料加工において使用可能な酵素による約100,000ダルトン未満の平均サイズを有するポリペプチド断片へのタンパク質の酵素消化は、CCK放出活性が増強された組成物をもたらすことが発見された。CCKは中枢神経系により満腹を促進し、胃排出も遅くするので、タンパク質加水分解組成物は様々な食品に含有されて、満腹を促進すると共に栄養分を提供することができる。
【0014】
(I)タンパク質加水分解物の調製方法
本発明の一態様は、100,000ダルトン未満の平均サイズを有するポリペプチド断片の混合物を含むタンパク質加水分解物の調製方法を提供する。本方法は、タンパク質材料と、タンパク質材料を所望のサイズのポリペプチド断片に切断する1つまたは複数の酵素とを接触させることを含む。反応物および反応パラメータは以下により詳細に説明される。
【0015】
(a)タンパク質材料
適切なタンパク質材料の非限定的な例としては、大豆または非大豆タンパク質(例えば、大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、小麦など)などの植物タンパク質と、卵タンパク質、ゼラチンなどの動物タンパク質とが挙げられる。
【0016】
いくつかの実施形態では、タンパク質材料は大豆に由来し得る。様々な大豆タンパク質材料を本発明の方法で使用して、大豆タンパク質加水分解物を生成することができる。一般に、大豆タンパク質材料は、当該技術分野において既知の方法に従って、全大豆から得ることができる。全大豆は、標準の大豆(すなわち、非遺伝子改変大豆)、遺伝子改変大豆(例えば、変性油を有する大豆、変性炭水化物を有する大豆、変性タンパク質サブユニットを有する大豆など)またはこれらの組み合わせでよい。大豆タンパク質材料の適切な例としては、大豆抽出物、豆乳、豆乳粉末、大豆カード、大豆粉、大豆タンパク質単離物、大豆タンパク質濃縮物、大豆ホエータンパク質、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0017】
一実施形態では、本方法で使用される大豆タンパク質材料は、大豆タンパク質単離物(単離大豆タンパク質、またはISPとも呼ばれる)であり得る。一般に、大豆タンパク質単離物は、無水ベースで少なくとも約90%の大豆タンパク質のタンパク質含量を有する。大豆タンパク質単離物はインタクトな大豆タンパク質を含んでもよいし、あるいは部分的に加水分解された大豆タンパク質を含んでもよい。大豆タンパク質単離物は、高含量の7S、11S、2Sなどの種々のサブユニットを有し得る。本発明において使用することができる大豆タンパク質単離物の非限定的な例は例えばSolae,LLC(St.Louis,MO)から市販されており、SUPRO(登録商標)500E、SUPRO(登録商標)620、SUPRO(登録商標)760、SUPRO(登録商標)670、SUPRO(登録商標)710、SUPRO(登録商標)EX33、SUPRO(登録商標)313が含まれる。
【0018】
別の実施形態では、大豆タンパク質材料は、無水ベースで約65%から約90%未満のタンパク質含量を有する大豆タンパク質濃縮物であり得る。本発明において有用である適切な大豆タンパク質濃縮物の例としては、ALPHA(登録商標)DSP−C、ProconTM、ALPHA(登録商標)12およびALPHA(登録商標)5800が挙げられ、これらはSolae,LLCから市販されている。あるいは、大豆タンパク質濃縮物は、大豆タンパク質材料源として大豆タンパク質単離物の一部を代用するために大豆タンパク質単離物とブレンドされてもよい。
【0019】
さらに別の実施形態では、大豆タンパク質材料は、無水ベースで約49%〜約65%のタンパク質含量を有する大豆粉であってもよい。大豆粉は、脱脂大豆粉、部分脱脂大豆粉、または全脂大豆粉であり得る。大豆粉は、大豆タンパク質単離物または大豆タンパク質濃縮物とブレンドされてもよい。
【0020】
大豆粉が使用される場合、出発材料は、通常、脱脂大豆粉またはフレークである。全脂大豆は、約40質量%のタンパク質および約20質量%の油を含有する。これらの全脂全大豆は、脱脂大豆粉またはフレークが出発タンパク質材料を形成する場合には、従来の方法によって脱脂され得る。例えば、大豆は洗浄され、皮が剥かれ、破砕され、一連のフレーキングロールを通過させられ、そして次にヘキサンまたは他の適切な溶媒の使用による溶媒抽出を受けて油が抽出され、「使用済フレーク」が製造され得る。脱脂フレークは大豆粉を製造するために粉砕され得る。この方法はまだ全脂大豆粉と共に使用されていないが、全脂大豆粉もタンパク質源として役立つことができると考えられる。しかしながら、全脂大豆粉が加工される場合、油を除去するために3段階遠心分離などの分離工程を用いる必要がある可能性が最も高い。
【0021】
別の代替の実施形態では、大豆タンパク質材料は、遠心分離機における沈降に基づいて主要画分(15S、11S、7S、および2S)に分離された大豆貯蔵タンパク質であり得る。一般に、11S画分はグリシニンが非常に豊富であり、7S画分はベータ−コングリシニンが非常に豊富である。
【0022】
別の実施形態では、タンパク質材料は、大豆以外の植物に由来してもよい。非限定的な例として、適切な植物には、アマランス、クズウコン、大麦、ソバ、キャノーラ、キャッサバ、ヒヨコマメ(ガルバンゾ)、マメ科植物、ヒラマメ、ルピナス、トウモロコシ、キビ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、ライ麦、モロコシ属、ヒマワリ、タピオカ、ライ小麦、小麦、およびこれらの混合物が含まれる。特に好ましい植物タンパク質には、大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、小麦、およびこれらの組み合わせが含まれる。一実施形態では、植物タンパク質材料は、キャノーラミール、キャノーラタンパク質単離物、キャノーラタンパク質濃縮物、またはこれらの組み合わせであり得る。別の実施形態では、植物タンパク質材料は、トウモロコシまたはコーンタンパク質粉末、トウモロコシまたはコーンタンパク質濃縮物、トウモロコシまたはコーンタンパク質単離物、トウモロコシまたはコーン胚芽、トウモロコシまたはコーングルテン、トウモロコシまたはコーングルテンミール、トウモロコシまたはコーン粉、ゼインタンパク質、またはこれらの組み合わせであり得る。さらに別の実施形態では、植物タンパク質材料は、大麦粉末、大麦タンパク質濃縮物、大麦タンパク質単離物、大麦ミール、大麦粉、またはこれらの組み合わせであり得る。代替の実施形態では、植物タンパク質材料は、ルピナス粉、ルピナスタンパク質単離物、ルピナスタンパク質濃縮物、またはこれらの組み合わせであり得る。別の代替の実施形態では、植物タンパク質材料は、オートミール、オート麦粉、オート麦タンパク質粉、オート麦タンパク質単離物、オート麦タンパク質濃縮物、またはこれらの組み合わせであり得る。さらに別の実施形態では、植物タンパク質材料は、エンドウ豆粉、エンドウ豆タンパク質単離物、エンドウ豆タンパク質濃縮物、またはこれらの組み合わせであり得る。さらに別の実施形態では、植物タンパク質材料は、ポテトタンパク質粉末、ポテトタンパク質単離物、ポテトタンパク質濃縮物、ポテト粉、またはこれらの組み合わせであり得る。さらなる実施形態では、植物タンパク質材料は、米粉、米ミール、米タンパク質粉末、米タンパク質単離物、米タンパク質濃縮物、またはこれらの組み合わせであり得る。別の代替の実施形態では、植物タンパク質材料は、小麦タンパク質粉末、小麦グルテン、小麦胚芽、小麦粉、小麦タンパク質単離物、小麦タンパク質濃縮物、可溶化小麦タンパク質、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0023】
他の実施形態では、タンパク質材料は動物源に由来してもよい。一実施形態では、動物タンパク質材料は卵に由来し得る。適切な卵タンパク質の非限定的な例としては、粉末卵、乾燥卵固形分、乾燥卵白タンパク質、液体卵白タンパク質、卵白タンパク質粉末、単離オボアルブミンタンパク質、およびこれらの組み合わせが挙げられる。卵タンパク質は、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、または他の鳥の卵に由来してもよい。代替の実施形態では、タンパク質材料は乳製品源に由来し得る。適切な乳製品タンパク質には、無脂肪乾燥粉乳、乳タンパク質単離物、乳タンパク質濃縮物、酸カゼイン、カゼイン塩(例えば、カゼインナトリウム、カルシウムカゼインなど)、ホエータンパク質単離物、ホエータンパク質濃縮物、およびこれらの組み合わせが含まれる。乳タンパク質材料は、雌ウシ、ヤギ、ヒツジ、ロバ、ラクダ、ラクダ科動物、ヤク、水牛などに由来してもよい。さらなる実施形態では、タンパク質は、陸生動物または水生動物の筋肉、臓器、結合組織、または骨格に由来し得る。一例として、動物タンパク質は、ウシまたは他の動物の骨、結合組織、臓器などから抽出されるコラーゲンの部分加水分解によって製造されるゼラチンであり得る。
【0024】
また本発明の方法では、大豆タンパク質材料および少なくとも1つの他のタンパク質材料の組み合わせも使用され得ることが想定される。すなわち、本タンパク質加水分解組成物は、大豆タンパク質材料および少なくとも1つの他のタンパク質材料の組み合わせから調製されてもよい。一実施形態では、本タンパク質加水分解組成物は、大豆タンパク質材料と、大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、小麦、動物材料、乳製品、および卵からなる群から選択される1つの他のタンパク質材料との組み合わせから調製することができる。別の実施形態では、本タンパク質加水分解組成物は、大豆タンパク質材料と、大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、小麦、動物材料、乳製品、および卵からなる群から選択される2つの他のタンパク質材料との組み合わせから調製することができる。さらなる実施形態では、本タンパク質加水分解組成物は、大豆タンパク質材料と、大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、小麦、動物材料、乳製品、および卵からなる群から選択される3つ以上の他のタンパク質材料との組み合わせから調製することができる。
【0025】
組み合わせて使用される大豆タンパク質材料および他のタンパク質材料の濃度は異なり得るであろう。大豆タンパク質材料の量は、組み合わせて使用される全タンパク質の約1%〜約99%の範囲であり得る。一実施形態では、大豆タンパク質材料の量は、組み合わせて使用される全タンパク質の約1%〜約20%の範囲であり得る。別の実施形態では、大豆タンパク質材料の量は、組み合わせて使用される全タンパク質の約20%〜約40%の範囲であり得る。さらに別の実施形態では、大豆タンパク質材料の量は、組み合わせて使用される全タンパク質の約40%〜約80%の範囲であり得る。さらなる実施形態では、大豆タンパク質材料の量は、組み合わせて使用される全タンパク質の約80%〜約99%の範囲であり得る。同様に、(少なくとも1つの)他のタンパク質材料の量は、組み合わせて使用される全タンパク質の約1%〜約99%の範囲であり得る。一実施形態では、他のタンパク質材料の量は、組み合わせて使用される全タンパク質の約1%〜約20%の範囲であり得る。別の実施形態では、他のタンパク質材料の量は、組み合わせて使用される全タンパク質の約20%〜約40%の範囲であり得る。さらに別の実施形態では、他のタンパク質材料の量は、組み合わせて使用される全タンパク質の約40%〜約80%の範囲であり得る。さらなる実施形態では、他のタンパク質材料の量は、組み合わせて使用される全タンパク質の約80%〜約99%の範囲であり得る。
【0026】
(b)タンパク質スラリー
本発明の方法では、通常、タンパク質材料は水中に混合または分散されて、約1質量%〜約40質量%のタンパク質(「現状のまま(as is)」に基づいて)を含むスラリーを形成する。一実施形態では、スラリーは、約1質量%〜約5質量%のタンパク質(現状のまま)を含むことができる。別の実施形態では、スラリーは、約6質量%〜約10質量%のタンパク質(現状のまま)を含むことができる。さらなる実施形態では、スラリーは、約11質量%〜約15質量%のタンパク質(現状のまま)を含むことができる。さらに別の実施形態では、スラリーは、約16質量%〜約20質量%のタンパク質(現状のまま)を含むことができる。さらに別の実施形態では、スラリーは、約21質量%〜約40質量%のタンパク質(現状のまま)を含むことができる。水は、エタノールやグリセロールなどの食品グレードの分散剤を含んでいてもよい。
【0027】
タンパク質材料が水中に分散された後、推定される内在性プロテアーゼ阻害剤を不活性化するために、タンパク質材料のスラリーを約70℃〜約90℃で約2分〜約20分間加熱してもよい。通常、タンパク質スラリーのpHおよび温度は、加水分解反応を最適化するように、そして特に、加水分解反応において使用される消化酵素がその最適な活性レベル付近で機能することを保証するように調整される。タンパク質スラリーのpHは、当該技術分野において一般に知られている方法に従って調整および監視することができる。タンパク質スラリーのpHは、約3.0〜約11.0に調整および保持され得る。他の実施形態では、タンパク質スラリーのpHは、約3.0〜約4.0、約5.0〜約6.0、および約7.0〜約8.0に調整および保持され得る。別の実施形態では、タンパク質スラリーのpHは、約8.0〜約9.0に調整および保持され得る。代替の実施形態では、タンパク質スラリーのpHは、約9.0〜約10.0、および約10.0〜約11.0に調整および保持され得る。タンパク質スラリーの温度は、当該技術分野において既知の方法に従って、加水分解反応の間約25℃〜約80℃に調整および保持することができる。
【0028】
(c)酵素消化
加水分解反応は、一般に、酵素または酵素の組み合わせをタンパク質材料のスラリーに添加することによって開始される。通常、酵素は、約3.0〜約11.0のpHおよび約25℃〜約80℃の温度において最適な活性を有する食品グレードの酵素でよい。酵素は、植物、動物、または微生物に由来することができる。
【0029】
酵素は、典型的にはエンドペプチダーゼであろう。エンドペプチダーゼは、NおよびC末端から離れたペプチド鎖の内部領域において優先的に作用する。いくつかのエンドペプチダーゼが本発明の方法で使用するのに適している。一実施形態では、エンドペプチダーゼは、ノカルジオプシス・プラシナ(Nocardiopsis prasina)からのセリンプロテアーゼであり得る(参照によってその全体が援用される国際公開第2005035747号パンフレットにおける配列番号2)。別の実施形態では、エンドペプチダーゼは、Novozymes(Bagsvaerd,Denmark)からALCALASE(登録商標)として入手可能なバチルス・リシェニフォルミス(Bacillus licheniformis)からのサブチリシンプロテアーゼであり得る。さらに別の実施形態では、エンドペプチダーゼは、グルタミルエンドペプチダーゼ(「GE」と命名)とも呼ばれるバチルス・リシェニフォルミス(Bacillus licheniformis)からのセリンプロテアーゼであり得る(米国特許第4,266,031号明細書、米国特許第5,874,278号明細書、および米国特許第5,459,064号明細書、ならびに国際公開第01/16285号パンフレット、国際公開第92/13964号パンフレット、国際公開第91/13553号パンフレット、および国際公開第91/13554号パンフレット(そのそれぞれは、参照によってその全体が援用される)において開示され、特徴付けられるようなUNIPROT:P80057)。さらに別の実施形態では、エンドペプチダーゼは、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)からのトリプシン様プロテアーゼ(「TL1」と命名)であり得る(SWISSPROT No.P35049)(米国特許第5,288,627号明細書および米国特許第5,693,520号明細書、そのそれぞれは参照によってその全体が本明細書に援用される)。代替の実施形態では、エンドペプチダーゼは、アクロモバクター・リティカス(Achromobacter lyticus)からのリジルエンドペプチダーゼ(「LE」と命名)であり得る(UNIPROT:P15636)。さらなる実施形態では、エンドペプチダーゼは、バチルス・リシェニフォルミス(Bacillus licheniformis)からのサブチリシンプロテアーゼのより精製した形態(「Alcalase(登録商標)2」と命名)であり得る。さらに他の実施形態では、エンドペプチダーゼは、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)からのトリプシン様プロテアーゼであり得る(GENESEQP:ADZ80577)。適切な酵素には、さらに、サブチリシンプロテアーゼ2(S2)、メタロプロテアーゼ1(MP1)、およびアスパラギン酸プロテアーゼ1(ASP−1)が含まれる。他の適切な酵素としては、ブロメライン、サブチリシン、キモトリプシン、トリプシン、ペプシン、およびエラスターゼが挙げられる。いくつかの実施形態では、エンドペプチダーゼの組み合わせが使用され得る。
【0030】
さらなる実施形態では、エンドペプチダーゼは、少なくとも1つのエキソペプチダーゼと組み合わせられてもよい。一般に、エキソペプチダーゼは、NまたはC末端におけるポリペプチド鎖の末端付近のみに作用する。自由N末端に作用するものは、単一のアミノ酸残基(すなわち、アミノペプチダーゼ)、ジペプチド(すなわち、ジペプチジル−ペプチダーゼ)、またはトリペプチド(すなわち、トリペプチジル−ペプチダーゼ)を遊離させる。自由C末端に作用するエキソペプチダーゼは、単一のアミノ酸(すなわち、カルボキシペプチダーゼ)またはジペプチド(すなわち、ペプチジル−ジペプチダーゼ)を遊離させる。いくつかのエキソペプチダーゼは、ジペプチド(すなわち、ジペプチダーゼ)に特異的であるか、あるいは、イソペプチド結合によって置換、環化または連結された末端残基を除去する。イソペプチド結合は、カルボキシル基のα−アミノ基への結合以外のペプチド結合であり、この酵素群はオメガペプチダーゼを特徴とする。
【0031】
本発明の方法において使用するのに適したエキソペプチダーゼの非限定的な例としては、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)からのカルボキシペプチダーゼD(UNIPROT:Q2TZ11)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)からのカルボキシペプチダーゼY(UNIPROT:Q2TYA1)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)からのアミノペプチダーゼ(参照によってその全体が援用される国際公開第96/28542号パンフレット)、およびバチルス・リシェニフォルミス(Bacillus licheniformis)からのアミノペプチダーゼ(UNIPROT:Q65DH7)が挙げられる。
【0032】
タンパク質材料に添加される酵素の量は、所望の加水分解度および加水分解反応の持続時間に依存して異なり得るであろう。量は、タンパク質材料1キログラムあたり酵素タンパク質約1mg〜約5000mgの範囲であり得る。別の実施形態では、量は、タンパク質材料1キログラムあたり酵素タンパク質10mg〜約2000mgの範囲であり得る。さらに別の実施形態では、量は、タンパク質材料1キログラムあたり酵素タンパク質約50mg〜約1000mgの範囲であり得る。
【0033】
当業者により認識されるように、加水分解反応の持続時間は、酵素、タンパク質材料、および所望の加水分解度に依存して異なり得るであろう。一般的に言えば、加水分解反応の持続時間は、数分〜長時間(例えば、約30分〜約48時間など)の範囲であり得る。加水分解反応を終了させるために、組成物は、酵素を不活性化するのに十分に高い温度まで加熱されてもよい。例えば、組成物を約90℃の温度まで加熱すると、ほとんどの酵素が実質的に熱不活性化されるであろう。その他の不活性化方法には、使用される酵素に応じて、10℃よりも低い温度への冷却および/または約3.0よりも低いpHへの低下が含まれる。
【0034】
タンパク質材料および酵素の種々の組み合わせは表Aに示される。
【0035】
【0036】
(II)タンパク質加水分解物
タンパク質加水分解組成物は一般にCCKの放出を増強し、それにより、消費される際に満腹を促進する。実施例で説明されるように、少なくとも約0.5mg/mLの濃度の大豆タンパク質加水分解組成物はCCK放出活性を刺激する。0.5〜8mg/mLの間のタンパク質で添加される最適な加水分解物のCCK刺激効果は、100nMのPMAで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるCCKの50%と同等以上である。
【0037】
一実施形態では、タンパク質加水分解組成物の可溶性画分は、100nMのPMAで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるCCKの約50%〜約100%のCCK放出活性を刺激し得る。別の実施形態では、タンパク質加水分解組成物の可溶性画分は、100nMのPMAで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるCCKの約100%〜約200%のCCK放出活性を刺激し得る。さらなる実施形態では、タンパク質加水分解組成物の可溶性画分は、100nMのPMAで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるCCKの約200%〜約300%のCCK放出活性を刺激し得る。さらに別の実施形態では、タンパク質加水分解組成物の可溶性画分は、100nMのPMAで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるCCKの約300%〜約500%のCCK放出活性を刺激し得る。さらに別の実施形態では、タンパク質加水分解組成物の可溶性画分は、100nMのPMAで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるCCKの約500%〜約1000%のCCK放出活性を刺激し得る。
【0038】
本タンパク質加水分解組成物の加水分解度は、タンパク質材料源、使用されるプロテアーゼ、および加水分解反応条件に依存して異なり得るであろう。加水分解度(DH)は、出発ペプチド結合数に対して、切断されたペプチド結合の割合を指す。例えば、500のペプチド結合を含有する出発タンパク質が、50のペプチド結合が切断されるまで加水分解されると、得られる加水分解物のDHは10%である。加水分解度は、当業者に知られているトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)、比色分析法またはオルト−フタルジアルデヒド(OPA)法用いて決定することができる。加水分解度が高い程、タンパク質の加水分解の程度は大きい。通常、タンパク質がさらに加水分解されるにつれて(すなわち、DHが高い程)、ペプチド断片の分子量は低下し、それに応じてペプチドプロファイルが変化する。DHは加水分解物全体(すなわち、全画分)において測定されてもよいし、あるいはDHは、加水分解物の可溶性画分(すなわち、約500〜約1000×gで約5〜約10分間の加水分解物の遠心分離後の上澄み画分)において測定されてもよい。
【0039】
典型的には本発明のタンパク質加水分解組成物のそれぞれは、約0.05%〜約35%の範囲の加水分解度を有するであろう。一実施形態では、本タンパク質加水分解組成物の加水分解度は、約0.05%〜約1%の範囲であり得る。別の実施形態では、本タンパク質加水分解組成物の加水分解度は、約1%〜約10%の範囲であり得る。さらなる実施形態では、本タンパク質加水分解組成物の加水分解度は、約10%〜約20%の範囲であり得る。さらに別の実施形態では、本タンパク質加水分解組成物の加水分解度は、約2%〜約35%の範囲であり得る。一実施形態では、本タンパク質加水分解組成物の加水分解度は、約0.2%〜約15%の範囲であり得る。別の実施形態では、本タンパク質加水分解組成物の加水分解度は、約0.2%〜約3%の範囲であり得る。
【0040】
一般に、タンパク質加水分解組成物は、タンパク質出発材料と比較して、様々な長さおよび分子量のポリペプチド断片の混合物を含むであろう。ペプチド断片の分子量は、サイズ排除クロマトグラフィにより測定される場合に、75ダルトン(すなわち、遊離グリシン)から100,000ダルトンを超えるまでの範囲であり得る。一般に、タンパク質加水分解組成物のポリペプチド断片は、約100,000ダルトン未満の平均サイズを有するであろう。一実施形態では、本タンパク質加水分解組成物のポリペプチド断片の平均サイズは、約50,000〜約100,000ダルトンであり得る。別の実施形態では、本タンパク質加水分解組成物のポリペプチド断片の平均サイズは、約50,000ダルトン未満であり得る。さらなる実施形態では、本タンパク質加水分解組成物のポリペプチド断片の平均サイズは、約10,000ダルトン未満であり得る。さらに別の実施形態では、本タンパク質加水分解組成物のポリペプチド断片の平均サイズは、約4,000ダルトン未満であり得る。さらに別の実施形態では、本タンパク質加水分解組成物のポリペプチド断片の平均サイズは、約2,000ダルトン未満であり得る。
【0041】
(III)タンパク質加水分解物を含む食品
本発明のさらなる態様は、食用材料および本明細書に記載されるタンパク質加水分解組成物を含む食品である。
【0042】
食用材料と組み合わせるための特定のタンパク質加水分解組成物の選択は、所望の食品に依存して異なり得るであろう。いくつかの実施形態では、本タンパク質加水分解組成物は、大豆タンパク質に由来し得る。他の実施形態では、本タンパク質加水分解組成物は、大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、小麦、動物、卵、またはこれらの組み合わせに由来し得る。代替の実施形態では、本タンパク質加水分解組成物は、異なるタンパク質加水分解物の組み合わせを含むことができる。例えば、大豆タンパク質加水分解組成物は、トウモロコシタンパク質加水分解組成物と組み合わせられてもよい。あるいは、大豆タンパク質加水分解組成物は、キャノーラタンパク質加水分解組成物および小麦タンパク質加水分解組成物と組み合わせられてもよい。
【0043】
さらに他の実施形態では、本タンパク質加水分解組成物は、大豆と、大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、小麦、動物、乳製品、および卵からなる群から選択される少なくとも1つの他のタンパク質源との組み合わせに由来し得る。
【0044】
さらなる実施形態では、本タンパク質加水分解組成物は、さらに、大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、小麦、動物、乳製品、および卵からなる群から選択される少なくとも1つの非加水分解タンパク質を含むことができる。適切な非加水分解タンパク質の非限定的な例としては、乾燥粉乳、無脂肪乾燥粉乳、乳タンパク質、酸カゼイン、カゼイン塩(例えば、カゼインナトリウム、カゼインカルシウムなど)、ホエータンパク質濃縮物、ホエータンパク質単離物、および大豆タンパク質単離物が挙げられる。
【0045】
いくつかの実施形態では、食品中に含有されるタンパク質加水分解組成物は、被験者の胃および/または腸におけるタンパク質消化によって「活性」ペプチドに転化される「プレペプチド」を含んでもよい。他の実施形態では、タンパク質加水分解組成物は、被験者の胃または腸における胃における付加的なタンパク質消化を必要としない「活性」ペプチドを含む。
【0046】
適切な食用材料の選択も所望される食品によって異なるであろう。食用材料は、植物由来材料(例えば、野菜ジュース、シリアル製品など)、動物由来材料(例えば、乳製品、卵製品など)、または植物由来材料または動物由来材料から単離されたバイオマテリアル(すなわち、タンパク質、炭水化物、脂質など)などであり得る。
【0047】
一実施形態において、前記食品は液体飲料であってもよい。液体飲料の非限定的な例としては、果実ジュース、果実ドリンク、果実風味のドリンク、野菜ドリンク、栄養ドリンク、エネルギードリンク、スポーツドリンク、豆乳ドリンク、風味付けされた大豆ドリンク、米ミルクベースのドリンク、風味付けされたミルクドリンク、ヨーグルトベースのドリンク、調製粉乳、茶ベースの飲料、コーヒーベースの飲料、食事代用ドリンク(meal replacement drink)、プロテインシェーク(protein shake)、栄養補助飲料、体重管理飲料、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0048】
飲料食品を含む食用材料は異なり得るであろう。適切な食用材料の非限定的な例としては、果実ジュース、野菜ジュース、スキムミルク、低脂肪乳、2%乳、全乳、クリーム、エバミルク(evaporated milk)、ヨーグルト、バターミルク、チョコレート、ココア粉末、コーヒー、茶などが挙げられる。
【0049】
前記飲料食品は、さらに、甘味剤(例えば、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトデキストリン、スクラロース、コーンシロップ、蜂蜜、メープルシロップなど)、風味剤(例えば、チョコレート、ココア、チョコレートフレーバー、バニラ抽出物、バニラフレーバー、果実フレーバーなど)、乳化または増粘剤(例えば、レシチン、カラギナン、セルロースガム、セルロースゲル、デンプン、アラビアガム、キサンタンガムなど)、安定剤、脂質材料(例えば、キャノーラ油、ヒマワリ油、高オレイン酸ヒマワリ油、脂肪粉末など)、防腐剤(例えば、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸など)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウムなど)、着色剤、ビタミン、ミネラル、およびこれらの組み合わせを含むことができる。
【0050】
別の実施形態では、食品は、グラノーラバー、シリアルバー、栄養バー、またはエネルギーバーなどの食品バーであり得る。さらに別の実施形態では、食品は、シリアルベースの製品であり得る。シリアルベースの食品の非限定的な例としては、朝食用シリアル、パスタ、パン、焼成製品(すなわち、ケーキ、パイ、ロール、クッキー、クラッカー)、およびスナック製品(例えば、チップス、プレッツェルなど)が挙げられる。シリアルベースの食品の食用材料は、小麦(例えば、漂白小麦粉、全粒小麦粉、小麦胚芽、小麦フスマなど)、コーン(例えば、コーン粉、コーンミール、コーンスターチなど)、オート麦(例えば、膨化オート麦、オートミール、オート麦粉など)、米(例えば、膨化米、米粉、米デンプン)などに由来し得る。さらに別の実施形態では、食品は、「固形の」乳製品ベースの製品であり得る。適切な「固形の」乳製品ベースの食品の非限定的な例としては、ハードチーズ製品、ソフトチーズ製品、アイスクリーム製品、ヨーグルト製品、フローズンヨーグルト製品、ホイップした乳製品様の製品、シャーベットなどが挙げられる。代替の実施形態では、食品は栄養補助食品であり得る。栄養補助食品は液体でも固体でもよい。別の代替の実施形態では、食品は、食肉製品または食肉類似製品であり得る。食肉食品の例としては、加工肉、ひき肉、および全筋肉製品が挙げられるがこれらに限定されない。食肉材料は、動物肉でもシーフード肉でもよい。食肉類似品は、動物またはシーフード肉の食感を模倣するテクスチャ化植物または乳製品タンパク質であり得る。食肉類似品は、食肉食品中の食肉材料の一部でも全てでもよい。
【0051】
定義
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語が以下に定義される。
【0052】
「加水分解度」(DH)という用語は、加水分解された特定のペプチド結合の割合(すなわち、インタクトなタンパク質中に存在するペプチド結合の総数のうちの切断された数)を指す。%DHは、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)法またはオルト−フタルジアルデヒド(OPA)法のいずれかを用いて推定した。これらの手順は正確で再現可能であり、そして食品タンパク質加水分解物の加水分解度を決定するために一般的に適用可能な手順である。
【0053】
「エンドペプチダーゼ」という用語は、オリゴペプチドまたはポリペプチド鎖中の内部ペプチド結合を加水分解する酵素を指す。エンドペプチダーゼの群は、酵素サブクラスEC 3.4.21−25(国際生化学・分子生物学連合(International Union of Biochemistry and Molecular Biology)酵素分類システム)を含む。
【0054】
「エキソペプチダーゼ」という用語は、アミノ末端またはカルボキシル末端もしくはこれらの付近でタンパク質および/またはペプチドを加水分解する酵素を指す。エキソペプチダーゼの群は、酵素サブクラスEC 3.4.11−18(国際生化学・分子生物学連合酵素分類システム)を含む。
【0055】
「食品グレードの酵素」は、一般に安全と認められる(generally recognized as safe)(GRAS)と認可されており、ヒトなどの生物体により消費される場合に安全な酵素である。通常、酵素および酵素が由来し得る製品は、適用可能な法的規制ガイドラインに従って製造される。
【0056】
「加水分解物」は、化合物が水の影響によって切断されたときに得られる反応生成物である。タンパク質加水分解物は、熱的、化学的、または酵素的な分解の後に生じる。反応の間、タンパク質はポリペプチドおよび/または遊離アミノ酸に分解される。これらの生成物は水または水系緩衝溶液中に可溶性または不溶性であり得る。
【0057】
本明細書で使用される「OPA法」は、以下の手順を指す:65℃で5分間振とうさせることによって、0.25gmの大豆タンパク質加水分解物を50mlの抽出緩衝液(0.025Nの水酸化ナトリウム中1%のSDS、0.6mMのDTT)中に溶解し、次に25℃に冷却した。次に、サンプルを5000×gで5分間遠心分離して、溶解しない材料を除去した。次に、サンプルの0.2mlのアリコート、セリン標準(脱イオン水中3.6mM)、および抽出緩衝液(ブランクとして使用)を試験管に移し(3通り)、10mlのOPA呈色試薬(0.012MのOPA、0.1Mの四ホウ酸ナトリウム、2%のSDS)で希釈し、ボルテックスして混合した。反応を30分間継続させ、その時点で、分光光度計において340nmで吸光度を測定した。Nielsen(Nielsen,P.Mら(2001年)“Improved Method for Determining Food Protein Degree of Hydrolysis”,J.Food Sci.66(5):642−646)によって記載されるように、それぞれの3通りのサンプルの平均を用いて%DHを決定した。
【0058】
「ペプチド」は、アミノ酸、一般に20以下のアミノ酸の短いポリマーである。「ポリペプチド」は、20よりも多いアミノ酸のポリマーである。これらのポリマーはいずれも一次構造のみを含有する。ポリペプチドは、タンパク質の合成の間に最初に形成され、その天然状態への「折り畳み」(すなわち、二次、三次、および四次構造の形成)においてタンパク質になる。本出願において、ポリペプチドへの言及は、タンパク質の加水分解からの長鎖ポリマーの生成を意味する。
【0059】
「タンパク質」は、その天然(すなわち、非変性)状態において活性分子を形成するアミノ酸のポリマーである。タンパク質の天然状態は、一次、二次、三次、および/または四次構造を有することができる。タンパク質の一次構造は、そのアミノ酸配列である。タンパク質は通常二次構造を有し、これは、鎖内のアミノ酸の相互作用から形成される。これらの構造は水素結合によって形成され、αへリックス、またはβシートとして知られている相互作用アミノ酸の「シート」のいずれかである。またタンパク質は、通常、三次構造も有する。三次構造はアミノ酸残基の鎖内相互作用によって形成され、イオン相互作用、疎水性相互作用、または他の化学的相互作用によって生じる。いくつかのタンパク質は1つまたは複数の「サブユニット」を含有し、これは、分子的に相互作用をして四次構造を形成する。タンパク質サブユニットは単一のポリペプチド鎖で構成され、二次および(通常)三次構造を含有する。
【0060】
本明細書で使用される「大豆タンパク質単離物」または「単離大豆タンパク質」という用語は、無水ベースで少なくとも約90%の大豆タンパク質のタンパク質含量を有する大豆材料を指す。大豆タンパク質単離物は、子葉から大豆の皮および胚を除去し、子葉をフレークまたは粉砕し、フレークまたは粉砕子葉から油を除去し、子葉の大豆タンパク質および炭水化物を子葉繊維から分離し、次いで大豆タンパク質を炭水化物から分離することによって大豆から形成される。
【0061】
本明細書で使用される「大豆タンパク質濃縮物」という用語は、無水ベースで約65%から約90%未満までの大豆タンパク質のタンパク質含量を有する大豆材料である。大豆タンパク質濃縮物は、大豆子葉繊維、通常、無水ベースで約3.5質量%から約20質量%までの大豆子葉繊維も含有する。大豆タンパク質濃縮物は、大豆の皮および胚を除去し、子葉をフレークまたは粉砕し、フレークまたは粉砕子葉から油を除去し、大豆タンパク質および大豆子葉繊維を子葉の可溶性炭水化物から分離することよって大豆から形成される。
【0062】
本明細書で使用される「大豆粉」という用語は、全脂大豆粉、酵素活性大豆粉、脱脂大豆粉、部分脱脂大豆粉、およびこれらの混合物を指す。脱脂大豆粉は、粒子がNo.100メッシュ(米国基準)スクリーンを通過できるようなサイズを有する粒子で形成された、好ましくは約1%未満の油を含有する脱脂大豆材料の砕いた形態を指す。大豆ケーク、チップ、フレーク、ミール、または材料の混合物は、従来の大豆粉砕方法を用いて大豆粉に砕かれる。大豆粉は、無水ベースで約49%〜約65%の大豆タンパク質含量を有する。好ましくは、粉は非常に細かく粉砕され、最も好ましくは、約1%未満の粉が300メッシュ(米国基準)スクリーン上に保持されるように粉砕される。全脂大豆粉は、元の油の全て(通常、18%〜20%)を含有する粉砕した全大豆を指す。粉は酵素活性でもよいし、あるいは熱加工またはトーストして酵素活性を最小限にしてもよい。酵素活性大豆粉は、その天然酵素を中和しないために最小限に熱処理された全脂大豆粉を指す。
【0063】
本明細書で使用される「豆乳」という用語は、以下の:細かく粉砕された大豆、大豆粉、大豆フレーク、大豆濃縮物、単離大豆タンパク質、大豆ホエータンパク質の任意の1つまたは複数の水性混合物、ならびに以下の:大豆、大豆フレークおよび大豆粉の任意の1つまたは複数の水性抽出物を指し、ここで、不溶性材料は除去されている。豆乳は、脂肪、炭水化物、甘味料、着色剤、安定剤、増粘剤、風味剤、酸、および塩基を含むがこれらに限定されない付加的な成分を含んでもよい。
【0064】
本明細書で使用される「豆乳粉末」という用語は、脱水した豆乳を指す。豆乳は、スプレー乾燥、トレイ乾燥、トンネル乾燥、および凍結乾燥を含むがこれらに限定されない多数の方法によって脱水することができる。
【0065】
本明細書で使用される「簡易化トリニトロベンゼンスルホン酸(S−TNBS)法」という用語は、正確で再現可能であり、そして食品タンパク質加水分解物の加水分解度を決定するために一般的に適用可能な手順を指す。このために、0.1gの大豆タンパク質加水分解物を100mLの0.025NのNaOH中に溶解した。加水分解物溶液のアリコート(2.0mL)を8mLの0.05Mのホウ酸ナトリウム緩衝液(pH9.5)と混合した。2mLの緩衝加水分解物溶液を0.20mLの10%のトリニトロベンゼンスルホン酸で処理した後、暗所において室温で15分間インキュベーションした。4mLの0.1M亜硫酸ナトリウム−0.1Mリン酸ナトリウム溶液(1:99比)を添加することにより反応を失活させ、420nmで吸光度を読み取った。0.1mMのグリシン溶液を標準として用いた。以下の計算を用いてグリシン標準溶液の回収パーセントを決定した:[(420nmにおけるグリシンの吸光度−420nmにおけるブランクの吸光度)×(100/0.710)]。94%以上の値が許容可能であると考えた(Jens Adler−Nissen(1979年)“Determination of the Degree of Hydrolysis of Food Protein Hydrolysates by Trinitrobenzenesulfonic Acid,”J. Agric.Food Chem.,27(6):1256−1262)。
【0066】
本発明またはその好ましい実施形態の要素を導入する場合に、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は、その要素が1つまたは複数存在することを意味するものとする。「comprising」、「including」および「having」という用語は包括的であり、記載される要素以外に付加的な要素が存在し得ることを意味するものとする。
【0067】
本発明の範囲から逸脱することなく上記の化合物、製品および方法には種々の変化がなされ得るので、上記の説明および以下に示される実施例に含有される全ての事項は例示として解釈されるべきであり、限定の意味で解釈されるべきではないことが意図される。
【0068】
以下の実施例は、本発明の種々の反復を説明する。
【実施例1】
【0069】
実施例1.CCK放出活性の初期スクリーニング
細胞ベースのアッセイを用いて、大豆タンパク質/大豆ペプチドの複合混合物がCCKの放出を刺激するかどうかを決定した。初めに、40個の異なるサンプルをアッセイして、どれが最高のCCK刺激活性を有するかを決定した。種々の調製物への暴露の後に、細胞生存率も評価した。
【0070】
各凍結乾燥サンプルのアリコート(0.1g)を5mlのリン酸緩衝食塩水(PBS、137mMのNaCl、2.7mMのKCl、4.3mMのNa2HPO4、1.4mMのKH2PO4、pH7.2)中、20mg/ml(w/v)のストック濃度に再構成した。約15分間穏やかに混合した後、サンプルを4℃で一晩水和させ、次に、4℃において16,000×gで30分間遠心分離して、不溶性材料を除去した。上澄み画分を無血清培地中に1:10で希釈し、約2mg/mlの最終濃度でCCK放出について3通りでアッセイした。天然の腸内CCK産生細胞の多くの特徴を示すマウス腸内分泌細胞株であるSTC−1細胞(Rindiら,1990年,Am.J.Pathol.136:1349−1364、Changら,1994年,Biochim.Biophys.Acta 1221:339−437)を標準条件下で大豆タンパク質サンプルに4時間暴露した。負の対照は無血清培地中の2mg/ml(w/v)のウシ血清アルブミン(BSA)であり、正の対照は、無血清培地中の2mg/mlのBSA(w/v)中の100nMのPMAであった。細胞−条件培地を除去し、競合酵素アッセイを用いてCCKレベルを測定した。(3−[4,5−ジメチルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)アッセイを用いて、細胞生存率を評価した(Vellomen K−S,Honkakoski PおよびUrtti A(2004年)Substrates and Inhibitors of Efflux Proteins Interfere with the MTT Assay in Cells and May Lead to Underestimation of Drug Toxicity,Eur.J.Pharm.Sci.23:181−188)。
【0071】
CCK刺激活性を有する初期サンプルは全て加水分解物であった。初期サンプルセットにおいて、非加水分解タンパク質サンプルは、基礎レベルを超えてCCK放出を刺激しなかった。これは、図1においてインタクトな大豆およびカゼイン塩タンパク質について見ることができる。初期サンプルのどれに対して暴露しても、細胞生存率または代謝活性における有意な損失は検出されなかった。
【0072】
40個のサンプルを、新しいサンプル調製物を用いてこの細胞ベースのアッセイにより再スクリーニングした。放出されたCCKの絶対量は異なったが、同じ11個のサンプルが上位の刺激物として位置付けられた(対照PMAの%は30%以上であった)。
【実施例2】
【0073】
実施例2.強力なCCK放出サンプルの分画
サンプル9(すなわち、SUPRO(登録商標)950/FXP950、ALCALASE(登録商標)で加水分解された単離大豆タンパク質である)は、最高のCCK放出活性のうちの1つを有した。このサンプル中のペプチドの分子量を見積もるために、接線流ろ過によって分画した。このために、100kDaのMWCOフラットシート膜を備えた接線流ろ過装置(Lab 20、Alfa Laval,UK)を用いてサンプルの5%のスラリーを分画した。残留物(すなわち100kDaよりも大きい画分)を捕集し、10kDaのMWCOフラットシート膜を備えた同じろ過装置を用いて透過物を分画して、10〜100kDaの画分および10kDa未満の画分を形成した。画分を凍結乾燥し、PBS中に再懸濁させ、無血清培地中に希釈し、上記で詳述されるように、それぞれの4つの濃度(w/v)をSTC−1細胞におけるCCK放出活性についてアッセイした。
【0074】
表1は結果を示す。10〜100kDaおよび10kDa未満の画分は、最高のCCK放出刺激活性を有した。また、画分をSDS−PAGEにより分離させ(図2を参照)、低分子量ペプチドは全ての画分中に存在した。この知見は、低分子量および高分子量の分子は疎水性相互作用または他の相互作用により相互作用をしている可能性があり、その結果として、この方法では十分に分離されないことを示唆する。しかしながら、低分子量ペプチドはCCK放出を誘発し、これらが、より高い分子量の画分で観察される活性の原因となることは明らかである。
【0075】
【実施例3】
【0076】
実施例3.腸内の生体内消化を模倣するためのペプシンおよびペプシン−パンクレアチン消化の後の、強力なCCK放出加水分解物画分のCCK放出活性
図3は、実施例2に記載される加水分解タンパク質調製物であるSUPRO(登録商標)950/FXP950の10〜100kDa画分のペプシンおよびペプシン−パンクレアチン消化調製物によるCCK放出の刺激を示しており、ヒトおよび他の動物の消化管(digestive track)に存在することが知られている酵素によるこの画分の消化の後に、このペプチド加水分解物画分のCCK放出活性が保持されることが示される。生体内の胃および上部腸管の消化を模倣するためのペプシンおよびペプシン−パンクレアチンによる消化方法は、Schasteen(Shasteen,C.S.ら,(2007年)Correlation of an Immobilized Digestive Enzyme Assay With Poultry True Amino Acid Digestibility for Soybean Meal.Poultry Science 86(2),343−348)、およびHigaki(Higaki,N.ら,(2006年)Biosci.Biotechnol.Biochem.70(12),2844−2852)の既に公開された手順を修正したものである。タンパク質サンプルを20体積の0.01MのHCl中に可溶化し、ペプシン(Sigma−Aldrich ♯P7012)により、1:200(w/w)の酵素−基質比、pH2.3および37℃において4時間消化した。ペプシン消化の後、2.5MのNaOHを混合物に添加して、pHを8.0に調整し、パンクレアチン(Sigma−Aldrich ♯P3292)を1:200(w/w)の比率で添加し、消化をさらに4〜18時間継続させた。加水分解度は、第1級アミン基とo−フタルアルデヒド(OPA)との反応により、酸加水分解(110℃で24時間)後のサンプル中に存在する第1級アミンの総量に対して決定した。タンパク質加水分解物を0.5〜8mg/mLのタンパク質濃度でSTC−1細胞の培地に添加し、対照反応混合物(タンパク質基質の不在下で酵素を含有する)の同等の希釈において酵素対照を添加した。ペプシンおよびペプシン−パンクレアチン処理されたタンパク質加水分解物サンプルにより刺激されたSTC−1細胞の培地中に放出されるCCKの絶対濃度(ng/mL)がプロットされる。正の対照の100nMのPMAおよび負の対照の2mg/mLのBSAにより刺激されたCCKの濃度はそれぞれ、図3において矢印が記される「PMA対照」および「ベースラインのCCK放出」によって示される。
【実施例4】
【0077】
実施例4.大豆タンパク質加水分解物のCCK放出活性
種々の加水分解度を有するいくつかの異なる大豆タンパク質加水分解物のCCK放出活性も分析した。このために、単離大豆タンパク質をALCALASE(登録商標)、ブロメライン、セリンプロテアーゼ、Alcalase(登録商標)2、S2、MP1、TL1、およびASP−1で加水分解した。添加した酵素の量および/またはインキュベーション時間の持続時間を調整して種々の加水分解度を与えた。約2mg/mLの最終タンパク質濃度に希釈した異なる加水分解物にSTC−1細胞を暴露した。CCK放出を上記のようにアッセイした。図4は、異なる大豆タンパク質加水分解調製物についてのCCK放出の刺激を説明する。図4A〜4Hに示されるような異なる酵素で生成され、種々のインキュベーション条件で得られた異なる%加水分解度(%DH)を有する異なる大豆タンパク質加水分解物によって刺激されたSTC−1の培地中に放出される%CCKが、PMAにより放出される%CCK(100%に設定)と比較してプロットされる。細胞培地中に放出される%CCK放出は以下のように計算される。
%CCK放出=(ng CCKサンプルウェル − ng CCKBSAコントロールウェル)/
(ng CCKPMAウェル − ng CCKBSAコントロールウェル)x 100
PMAは、タンパク質キナーゼC(PKC)の直接刺激によりCCKを誘発する。各大豆タンパク質加水分解物を約2mg/mLの最終タンパク質濃度でSTC−1細胞に添加した。STC−1細胞によるCCK放出を誘発するための大豆加水分解物の相対能力は、酵素および加水分解度に依存する。
【0078】
実験実施例1.大豆タンパク質加水分解物を含有する食品バー
この実験実施例では、タンパク質性材料および糖シロップを含む食品バーのサンプルは、以下の表2に記載される原料を用いて製造される。
【0079】
食品バーを得るために、Hobartミキサー(N50 5−Quart Mixer、Legacy(登録商標)Countertop Mixer、Legacy(登録商標)Floor Mixer、Hobart Corporation,Tory,OH)において第1の混合物が製造される。糖型シロップ、結晶糖、グリセリン、液体油、液体含有物、ガム、および天然または人工フレーバーをボウル内で混合する。スラリー混合物を2の速度設定で1分間混合する。ボウルをスパチュラで擦り取り、ボウルの側面をきれいにする。
【0080】
スラリーを1分間混合した後、大豆タンパク質単離物、大豆タンパク質加水分解物、および粒子含有物を混合ボウルに添加する。混合物を1の速度設定で1分間混合する。ボウルの側面がきれいになるまでボウルをスパチュラで擦り取る。1の速度設定でさらに30秒間混合する。次に、得られた生地をスラブ上に広げ、バーを約20グラム〜約70グラムの重さのピースに切断する。
【0081】
表2 基本的な食品バーの配合
【0082】
実験実施例2.大豆タンパク質加水分解物を含有する酸性飲料
本発明に従う酸性飲料を調製する。130.0部の大豆タンパク質原料および8539部の脱イオン水を容器に添加する。均一に分散されるまで、内容物を高せん断下で混合する。次に、分散液を74℃〜79℃(165°F〜175°F)に加熱し、さらに10分間混合する。次に、1180部の異性化糖(high fructose corn syrup)、131部のアップルジュース濃縮物(68ブリックス)および20.0部の無水クエン酸を混合しながら添加する。85%のクエン酸でpHを3.8〜4.0に調整する。第1段階では2500ポンド/平方インチ、第2段階では500ポンド/平方インチにおいて内容物を均質化し、その後107℃で7秒間低温殺菌する。ボトルに飲料を高温充填し、そして氷浴中に入れて飲料の温度をおよそ室温にし、冷蔵庫に入れる。
【0083】
実験実施例3.大豆タンパク質加水分解物を含有する乾燥ブレンド
以下の実験実施例は、本発明のタンパク質を含有する乾燥ブレンドの調製を説明し、成分は以下の表3に記載される。
【0084】
表3
【0085】
原料を容器に添加し、混合して乾燥ブレンドを形成する。
【0086】
実験実施例4−実験実施例3で調製される乾燥ブレンドを含有する飲料
実験実施例3で調製される乾燥ブレンドを液体に添加することによって、そのまま飲める(ready to drink)飲料を調製する。添加の順序は重要でない。
【0087】
そのまま飲める飲料中、液体は全組成物の約85質量%から約95質量%までで存在し、そのまま飲める飲料のpHは約6.8から約7.4までである。
【0088】
実験実施例4は、29.71グラムの実験実施例3の生成物を240mlのスキムミルクに添加することによって調製される本発明のそのまま飲める飲料である。内容物を30秒間ブレンドする。
【0089】
実験実施例5−実験実施例3で調製される乾燥ブレンドを含有する飲料
実験実施例3で調製される乾燥ブレンドを液体に添加することによって、そのまま飲める飲料を調製する。添加の順序は重要でない。
【0090】
そのまま飲める飲料中、液体は全組成物の約85質量%から約95質量%までで存在し、そのまま飲める飲料のpHは約6.8から約7.4までである。
【0091】
実験実施例5は、29.71グラムの実験実施例3の生成物を240mlの水に添加することによって調製される本発明のそのまま飲める飲料である。内容物を30秒間ブレンドする。
【0092】
実験実施例6 大豆タンパク質加水分解物を含有する風味付けされていない低脂肪豆乳
1回分のサイズ:8.5gタンパク質/250g。
【0093】
表4 低脂肪豆乳の配合
* 配合中で使用される大豆タンパク質加水分解物の百分率は、現状のままのタンパク質含量に応じて調整した。
【0094】
60℃(140°F)の水中にクエン酸塩を分散させる。混合速度を上昇させ、タンパク質を水中に分散させる。タンパク質を十分に分散させた後、スラリー温度を75℃(167°F)まで上昇させ、混合速度を低下させて、混合を10分間継続する。マルトデキストリン、糖およびカラギナンをプレブレンドしてタンパク質スラリーに添加し、混合を低速で5分間継続する。ヒマワリ油をスラリーに添加し、均質になるまで約3分間、低速で混合を継続する。45%の水酸化カリウムを用いてスラリーのpHを7.0〜7.2の間に調整する。以下のように加工する:均質化、低温殺菌および冷却。生成物を72℃(162°F)へ加熱し、5.17 MPa(750psi)(第2段階)、15.5 MPa(2250psi)(第1段階)で均質化する。スラリーを100℃(212°F)に予熱し、141℃(286°F)で6秒間超高温処理(UHT)する。生成物を31℃(88°F)まで冷却し、滅菌ボトルに梱包する。冷蔵保存する。
【0095】
実験実施例7 50%の大豆タンパク質加水分解物および50%のスキムミルクを含有する風味付けされていない飲料
1回分のサイズ:8gタンパク質/260g
【0096】
表5 風味付けされていない飲料の配合
*配合中で使用される大豆タンパク質加水分解物の百分率は、現状のままのタンパク質含量に応じて調整した。
【0097】
15℃(59°F)において適度の速度の混合を用いてクエン酸塩を全脱イオン水中に分散させる。SUPRO(登録商標)Plusを水中に分散させる。全ての塊が分散されたら、スラリーを77℃(170°F)に加熱し、低速で10分間混合を継続する。マルトデキストリン、糖、ビタミン/ミネラルプレミックス、リン酸マグネシウム、セルロースおよびカラギナンを乾燥ブレンドする。乾燥ブレンドをタンパク質スラリーに添加し、混合を5分間継続する。ヒマワリ油を添加し、混合を3分間継続する。スラリーのpHを測定し、必要であれば50%のクエン酸溶液または1NのNaOHのいずれかを用いてpHをpH6.9〜7.1に調整する。スキムミルクをゆっくり72℃(162°F)に加熱し、加熱したスキムミルクにタンパク質スラリーを添加する。風味剤を添加し、スラリー中に完全に取り込まれるまで混合する。低速混合により3分間ブレンドし、最終スラリーのpHを記録する。以下のように加工する:生成物を72℃(162°F)まで加熱し、750psi(第2段階)、2250psi(第1段階)で均質化する。スラリーを104℃(220°F)に予熱し、141℃(286°F)で6秒間超高温処理(UHT)する。生成物を31℃(88°F)まで冷却し、梱包する。冷蔵保存する。
【0098】
実験実施例7 カゼインカルシウムおよび無脂肪乾燥乳(NFDM)および大豆タンパク質加水分解物をタンパク質源として含有するバニラ風味の体重管理飲料
1回分のサイズ:10gタンパク質/11oz
【0099】
表6 バニラ風味の体重管理飲料の配合
【0100】
プレブレンドを以下のように調製する:カラギナンおよびセルロースを配合のスクロースのごく一部と混合する。アラビアガムおよび残りのスクロースを混合する。キャノーラ油を混合する。
【0101】
次にブレンドする:高せん断混合を用いてクエン酸カリウムおよびナトリウムを水に添加する。次に、プレブレンドしたカラギナンおよびセルロースを分散させる。5分間混合する。大豆タンパク質、カゼインカルシウムおよびNFDMを分散させ、65℃(150°F)への加熱を開始する。15分間水和させ、65℃(150°F)に達したら混合速度を低下させる。キャノーラ油/乳化剤ブレンドを約70℃(158°F)に加熱して乳化剤を溶解させ、これは、いくらかの混合を必要とし得る。次に、熱い油混合物をバッチタンクに添加し、5分間ブレンドし、泡は分散されるであろう。スクロース/アラビアガムブレンド、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウムおよびビタミンプレミックスを添加し、10分間混合する。バニラフレーバーを添加し、45%のKOHによりpHを7.0〜7.2に調整する。UHT 286F/6秒間、2500/500psi。
【0102】
実験実施例8 大豆タンパク質加水分解物を含有する乾燥ブレンドした飲料パフォーマンス飲料
【0103】
表7 乾燥ブレンドしたパフォーマンス飲料の配合
【0104】
ミキサーを洗浄して消毒する。大豆タンパク質およびココア粉末をふるいにかける。全ての原料を適度な速度で15分間混合する。乾燥粉末を衛生化した容器内で保存する。
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2008年12月31日に出願された米国仮特許出願第61/141,931号(これは、参照によってその全体が本明細書に援用される)の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、タンパク質加水分解物に関する。特に、本タンパク質加水分解物は、一般に、増強されたコレシストキニン(CCK)放出活性を有する。本タンパク質加水分解物を用いて、栄養分を提供すると共に満腹を促進することができる。
【背景技術】
【0003】
肥満および肥満に関連する疾患の割合は、米国および世界中で上昇している。根底にある原因は1つではないが、寄与する因子は、多くの人々の速いペースで追い立てられているライフスタイル、およびそれに伴うファーストフードの消費であり得る。ほとんどのファーストフードは脂肪および/または糖が多い傾向にある。
【0004】
肥満の蔓延と戦うための1つの実行可能な標的は、コレシストキニン(CCK)であり得る。CCKは、タンパク質または脂質の豊富な食事に応答して腸細胞により循環内に分泌されるペプチドホルモンである。このペプチドホルモンは、タンパク質および脂質の消化に関与するいくつかの生理的過程を仲介する。十二指腸および腸の粘膜によるCCKの分泌は、十二指腸に入る脂肪またはタンパク質の豊富な糜粥によって刺激される。CCKは次に、直接および/または間接的な生理作用および神経作用によって満腹を誘発し、食物摂取を低下させる。いくつかの直接的な作用としては、胃排出の阻害、胃酸分泌の阻害、および胆嚢収縮の刺激が挙げられる。神経経路を刺激するCCKの能力と組み合わせて、CCKの放出は「満腹」の感覚を生じさせるので、通常、より少ないカロリーの消費がもたらされる。
【0005】
従って、「持ち運んで(on the go)」消費することができ、栄養があって容易に入手可能な食品が必要とされている。この食品は美味しいだけでなく、栄養的に十分でなければならない。すなわち、この食品は脂肪が少なく、タンパク質が多く、そしてビタミンおよび酸化防止剤が多くなければならない。さらに、この食品がCCKの放出を増強すれば、同様に非常に有益であろう。
【発明の概要】
【0006】
本発明の種々の態様の中で、1つの態様は、コレシストキニン(CCK)放出活性を有するタンパク質加水分解組成物を包含する。本タンパク質加水分解組成物は約100,000ダルトン未満の平均サイズを有するポリペプチド断片の混合物を含み、タンパク質加水分解組成物の可溶性画分は、少なくとも約0.5mg/mLの濃度において、100nMのホルボール12−ミリスタート−13−アセタート(PMA)で4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるCCKの50%と実質的に同等以上の効力でCCK放出活性を刺激する。
【0007】
本発明の別の態様は、細胞のCCK放出活性の増大方法を提供する。本方法は、細胞と、タンパク質加水分解組成物の可溶性画分とを接触させることを含む。本タンパク質加水分解組成物は約100,000ダルトン未満の平均サイズを有するポリペプチド断片の混合物を含み、少なくとも約0.5mg/mLの濃度において、本タンパク質加水分解組成物は、100nMのPMAで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるCCKの50%と実質的に同等以上の効力でCCK放出活性を刺激する。
【0008】
本発明のさらなる態様は、被験者の満腹の促進方法を包含する。本方法は、ある量のタンパク質加水分解組成物を被験者に投与することを含み、投与される量は、被験者による満腹感をもたらす。本タンパク質加水分解組成物は約100,000ダルトン未満の平均サイズを有するポリペプチド断片の混合物を含み、少なくとも約0.5mg/mLの濃度において、本タンパク質加水分解組成物は、100nMのPMAで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるCCKの50%と実質的に同等以上の効力でCCK放出活性を刺激する。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、食用材料とタンパク質加水分解組成物の可溶性画分とを含む食品を提供する。本タンパク質加水分解組成物は約100,000ダルトン未満の平均サイズを有するポリペプチド断片の混合物を含み、少なくとも約0.5mg/mLの濃度において、本タンパク質加水分解組成物は、100nMのPMAで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるCCKの50%と実質的に同等以上の効力でCCK放出活性を刺激する。
【0010】
カラー図面の参照
本出願は、カラーで作成された少なくとも1枚の写真を含有する。カラー写真付きの本特許出願公報のコピーは、要求および必要な手数料の支払いに応じて特許庁により提供されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】胃および上部小腸内の消化を模倣するためにペプシンまたはペプシンおよびパンクレアチンの組み合わせを用いたそれぞれの消化によって調製された大豆およびカゼイン塩タンパク質加水分解物によるCCK放出の刺激を示す。タンパク質加水分解物を約2mg/mLのタンパク質濃度でSTC−1細胞の培地に添加し、対照反応混合物(タンパク質基質の不在下で酵素を含有する)の同等の希釈において酵素対照を添加した。ペプシンまたはペプシンおよびパンクレアチン酵素により生成された異なるタンパク質加水分解物により刺激されたSTC−1細胞の培地中に放出される%CCKが、対照の100nMのPMA(100%として設定した)と比較してプロットされる。細胞培地単独および2mg/mLのウシ血清アルブミン(BSA)を負のバックグラウンド対照として用いた。PMA対照は、2mg/mLのBSAを含有する細胞培地中の100nMのPMAで構成された。細胞培地中に放出される%CCKは、以下のように計算した。%CCK放出=(ng CCKサンプルウェル − ng CCKBSAコントロールウェル)/(ng CCKPMAウェル − ng CCKBSAコントロールウェル)x 100ペプシンおよびペプシン−パンクレアチンによるインタクトな大豆タンパク質の消化は、インタクトなカゼイン塩タンパク質の同等の消化よりも著しく強力なCCK放出活性を有するペプチドをもたらす。
【図2】強力なCCK放出加水分解物(SUPRO(登録商標)950/FXP950)の接線流ろ過(tangential flow filtration)からの画分を含有するクーマシー染色されたSDSポリアクリルアミドゲルの画像を示す。この加水分解物は、Novozymes(Bagsvaerd,Denmark)からのALCALASE(登録商標)による約9.6%の%加水分解度への消化によって生成される。レーンA、B、C、およびDはそれぞれ、未分画サンプル、100kDaよりも大きい画分、10〜100kDaの画分、および10kDa未満の画分の1%(w/v)スラリーの10μLのサンプルを表す。レーンEおよびFはそれぞれ、10〜100kDaの画分および10kDa未満の画分の5%(w/v)スラリーの10μLのサンプルを表す。分子量標準のサイズは左側に示される。
【図3】実施例2に記載される加水分解タンパク質調製物であるSUPRO(登録商標)950/FXP950の10〜100kDaの画分のペプシンおよびペプシン−パンクレアチン消化調製物によるCCK放出の刺激を示す。
【図4A】図4A〜Hは、種々の大豆タンパク質加水分解調製物についてのCCK放出の刺激を示す。図4A〜4Hに示される異なる酵素で生成され、種々のインキュベーション条件で得られる異なる%加水分解度(%DH)を有する、異なる大豆タンパク質加水分解物によって刺激されたSTC−1の培地中に放出される%CCKが、100%に設定した100nMのPMAによって放出される%CCKと比較してプロットされる。細胞培地中に放出される%CCKは、図1について記載されるように計算される。PMAは、タンパク質キナーゼC(PKC)の直接刺激によってCCKを誘発する。それぞれの大豆タンパク質加水分解物を約2mg/mLの最終タンパク質濃度でSTC−1細胞に添加した。図4Aは、Alcalaseで処理された大豆タンパク質加水分解物についてのCCK放出の刺激を示す。
【図4B】図4A〜Hは、種々の大豆タンパク質加水分解調製物についてのCCK放出の刺激を示す。図4A〜4Hに示される異なる酵素で生成され、種々のインキュベーション条件で得られる異なる%加水分解度(%DH)を有する、異なる大豆タンパク質加水分解物によって刺激されたSTC−1の培地中に放出される%CCKが、100%に設定した100nMのPMAによって放出される%CCKと比較してプロットされる。細胞培地中に放出される%CCKは、図1について記載されるように計算される。PMAは、タンパク質キナーゼC(PKC)の直接刺激によってCCKを誘発する。それぞれの大豆タンパク質加水分解物を約2mg/mLの最終タンパク質濃度でSTC−1細胞に添加した。図4Bは、ブロメラインで処理された大豆タンパク質加水分解物についてのCCK放出の刺激を示す。
【図4C】図4A〜Hは、種々の大豆タンパク質加水分解調製物についてのCCK放出の刺激を示す。図4A〜4Hに示される異なる酵素で生成され、種々のインキュベーション条件で得られる異なる%加水分解度(%DH)を有する、異なる大豆タンパク質加水分解物によって刺激されたSTC−1の培地中に放出される%CCKが、100%に設定した100nMのPMAによって放出される%CCKと比較してプロットされる。細胞培地中に放出される%CCKは、図1について記載されるように計算される。PMAは、タンパク質キナーゼC(PKC)の直接刺激によってCCKを誘発する。それぞれの大豆タンパク質加水分解物を約2mg/mLの最終タンパク質濃度でSTC−1細胞に添加した。図4Cは、ノカルジオプシス・プラシナ(Nocardiopsis prasina)からのセリンプロテアーゼで処理された大豆タンパク質加水分解物についてのCCK放出の刺激を示す。
【図4D】図4A〜Hは、種々の大豆タンパク質加水分解調製物についてのCCK放出の刺激を示す。図4A〜4Hに示される異なる酵素で生成され、種々のインキュベーション条件で得られる異なる%加水分解度(%DH)を有する、異なる大豆タンパク質加水分解物によって刺激されたSTC−1の培地中に放出される%CCKが、100%に設定した100nMのPMAによって放出される%CCKと比較してプロットされる。細胞培地中に放出される%CCKは、図1について記載されるように計算される。PMAは、タンパク質キナーゼC(PKC)の直接刺激によってCCKを誘発する。それぞれの大豆タンパク質加水分解物を約2mg/mLの最終タンパク質濃度でSTC−1細胞に添加した。図4Dは、ALCALASE(登録商標)2で処理された大豆タンパク質加水分解物についてのCCK放出の刺激を示す。
【図4E】図4A〜Hは、種々の大豆タンパク質加水分解調製物についてのCCK放出の刺激を示す。図4A〜4Hに示される異なる酵素で生成され、種々のインキュベーション条件で得られる異なる%加水分解度(%DH)を有する、異なる大豆タンパク質加水分解物によって刺激されたSTC−1の培地中に放出される%CCKが、100%に設定した100nMのPMAによって放出される%CCKと比較してプロットされる。細胞培地中に放出される%CCKは、図1について記載されるように計算される。PMAは、タンパク質キナーゼC(PKC)の直接刺激によってCCKを誘発する。それぞれの大豆タンパク質加水分解物を約2mg/mLの最終タンパク質濃度でSTC−1細胞に添加した。図4Eは、S2で処理された大豆タンパク質加水分解物についてのCCK放出の刺激を示す。
【図4F】図4A〜Hは、種々の大豆タンパク質加水分解調製物についてのCCK放出の刺激を示す。図4A〜4Hに示される異なる酵素で生成され、種々のインキュベーション条件で得られる異なる%加水分解度(%DH)を有する、異なる大豆タンパク質加水分解物によって刺激されたSTC−1の培地中に放出される%CCKが、100%に設定した100nMのPMAによって放出される%CCKと比較してプロットされる。細胞培地中に放出される%CCKは、図1について記載されるように計算される。PMAは、タンパク質キナーゼC(PKC)の直接刺激によってCCKを誘発する。それぞれの大豆タンパク質加水分解物を約2mg/mLの最終タンパク質濃度でSTC−1細胞に添加した。図4Fは、MP1で処理された大豆タンパク質加水分解物についてのCCK放出の刺激を示す。
【図4G】図4A〜Hは、種々の大豆タンパク質加水分解調製物についてのCCK放出の刺激を示す。図4A〜4Hに示される異なる酵素で生成され、種々のインキュベーション条件で得られる異なる%加水分解度(%DH)を有する、異なる大豆タンパク質加水分解物によって刺激されたSTC−1の培地中に放出される%CCKが、100%に設定した100nMのPMAによって放出される%CCKと比較してプロットされる。細胞培地中に放出される%CCKは、図1について記載されるように計算される。PMAは、タンパク質キナーゼC(PKC)の直接刺激によってCCKを誘発する。それぞれの大豆タンパク質加水分解物を約2mg/mLの最終タンパク質濃度でSTC−1細胞に添加した。図4Gは、TL1で処理された大豆タンパク質加水分解物についてのCCK放出の刺激を示す。
【図4H】図4A〜Hは、種々の大豆タンパク質加水分解調製物についてのCCK放出の刺激を示す。図4A〜4Hに示される異なる酵素で生成され、種々のインキュベーション条件で得られる異なる%加水分解度(%DH)を有する、異なる大豆タンパク質加水分解物によって刺激されたSTC−1の培地中に放出される%CCKが、100%に設定した100nMのPMAによって放出される%CCKと比較してプロットされる。細胞培地中に放出される%CCKは、図1について記載されるように計算される。PMAは、タンパク質キナーゼC(PKC)の直接刺激によってCCKを誘発する。それぞれの大豆タンパク質加水分解物を約2mg/mLの最終タンパク質濃度でSTC−1細胞に添加した。図4Hは、ASP−1で処理された大豆タンパク質加水分解物についてのCCK放出の刺激を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
タンパク質は、一般に、ヒトを含む動物の腸管(intestinal track)内の腸内分泌細胞によるCCKの放出を刺激することが知られている(Liddle,R.A.ら,(1986年)Proteins But Not Amino Acids,Carbohydrates,or Fats Stimulate Cholecystokinin Secretion in the Rat.Am.J.Physiol.251(Gastrointest.Liver Physiol.14):G243−G248)。腸内に入るタンパク質は、ペプシンおよび膵臓からの消化酵素の混合物(パンクレアチン)などの酵素による消化を経験するので、図1では、これらの酵素により消化されたインタクトな大豆タンパク質が、腸内分泌細胞におけるCCK放出活性を有するペプチドをもたらすことを示す。また図1は、これらの同じ酵素で処理されたカゼインナトリウムが、インタクトな大豆タンパク質の消化後に生成されるものと比較して弱いCCK放出活性を有するペプチドをもたらすことも示す。図1のデータを得るために使用された、生体内の胃および上部腸管の消化を模倣する大豆タンパク質およびカゼイン塩の消化方法は、Schasteen(Schasteen,C.S.ら,(2007年)Correlation of an Immobilized Digestive Enzyme Assay With Poultry True Amino Acid Digestibility for Soybean Meal.Poultry Science 86(2),343−348)、およびHigaki(Higaki,N.ら,(2006年)Biosci.Biotechnol.Biochem.70(12),2844−2852)の既に公開された手順を修正したものである。タンパク質サンプルを20体積の0.01MのHCl中に可溶化し、ペプシン(Sigma−Aldrich ♯P7012)により、1:200(w/w)の酵素−基質比、pH2.3および37℃において4時間消化した。ペプシン消化の後、2.5MのNaOHを混合物に添加して、pHを8.0に調整し、パンクレアチン(Sigma−Aldrich ♯P3292)を1:200(w/w)の比率で添加し、消化をさらに4〜18時間継続させた。加水分解度は、第1級アミン基とo−フタルアルデヒド(OPA)との反応により、酸加水分解(110℃で24時間)後のサンプル中に存在する第1級アミンの総量に対して決定した(「OPA法」として知られている)。タンパク質加水分解物を2mg/mLのタンパク質濃度でSTC−1細胞の培地に添加し、対照反応混合物(タンパク質基質の不在下で酵素を含有する)の同等の希釈において酵素対照を添加した。ペプシンおよびペプシン−パンクレアチン処理されたタンパク質サンプルにより刺激されたSTC−1細胞の培地中に放出される%CCKが、正の対照の100nMのPMAにより放出されるCCKの量(100%に設定)と比較してプロットされる。細胞培地中に放出される%CCKは、以下のように計算される。
%CCK放出=(ng CCKサンプルウェル − ng CCKBSAコントロールウェル)/
(ng CCKPMAウェル − ng CCKBSAコントロールウェル)x 100
【0013】
実施例において説明されるように、商業的な原料加工において使用可能な酵素による約100,000ダルトン未満の平均サイズを有するポリペプチド断片へのタンパク質の酵素消化は、CCK放出活性が増強された組成物をもたらすことが発見された。CCKは中枢神経系により満腹を促進し、胃排出も遅くするので、タンパク質加水分解組成物は様々な食品に含有されて、満腹を促進すると共に栄養分を提供することができる。
【0014】
(I)タンパク質加水分解物の調製方法
本発明の一態様は、100,000ダルトン未満の平均サイズを有するポリペプチド断片の混合物を含むタンパク質加水分解物の調製方法を提供する。本方法は、タンパク質材料と、タンパク質材料を所望のサイズのポリペプチド断片に切断する1つまたは複数の酵素とを接触させることを含む。反応物および反応パラメータは以下により詳細に説明される。
【0015】
(a)タンパク質材料
適切なタンパク質材料の非限定的な例としては、大豆または非大豆タンパク質(例えば、大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、小麦など)などの植物タンパク質と、卵タンパク質、ゼラチンなどの動物タンパク質とが挙げられる。
【0016】
いくつかの実施形態では、タンパク質材料は大豆に由来し得る。様々な大豆タンパク質材料を本発明の方法で使用して、大豆タンパク質加水分解物を生成することができる。一般に、大豆タンパク質材料は、当該技術分野において既知の方法に従って、全大豆から得ることができる。全大豆は、標準の大豆(すなわち、非遺伝子改変大豆)、遺伝子改変大豆(例えば、変性油を有する大豆、変性炭水化物を有する大豆、変性タンパク質サブユニットを有する大豆など)またはこれらの組み合わせでよい。大豆タンパク質材料の適切な例としては、大豆抽出物、豆乳、豆乳粉末、大豆カード、大豆粉、大豆タンパク質単離物、大豆タンパク質濃縮物、大豆ホエータンパク質、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0017】
一実施形態では、本方法で使用される大豆タンパク質材料は、大豆タンパク質単離物(単離大豆タンパク質、またはISPとも呼ばれる)であり得る。一般に、大豆タンパク質単離物は、無水ベースで少なくとも約90%の大豆タンパク質のタンパク質含量を有する。大豆タンパク質単離物はインタクトな大豆タンパク質を含んでもよいし、あるいは部分的に加水分解された大豆タンパク質を含んでもよい。大豆タンパク質単離物は、高含量の7S、11S、2Sなどの種々のサブユニットを有し得る。本発明において使用することができる大豆タンパク質単離物の非限定的な例は例えばSolae,LLC(St.Louis,MO)から市販されており、SUPRO(登録商標)500E、SUPRO(登録商標)620、SUPRO(登録商標)760、SUPRO(登録商標)670、SUPRO(登録商標)710、SUPRO(登録商標)EX33、SUPRO(登録商標)313が含まれる。
【0018】
別の実施形態では、大豆タンパク質材料は、無水ベースで約65%から約90%未満のタンパク質含量を有する大豆タンパク質濃縮物であり得る。本発明において有用である適切な大豆タンパク質濃縮物の例としては、ALPHA(登録商標)DSP−C、ProconTM、ALPHA(登録商標)12およびALPHA(登録商標)5800が挙げられ、これらはSolae,LLCから市販されている。あるいは、大豆タンパク質濃縮物は、大豆タンパク質材料源として大豆タンパク質単離物の一部を代用するために大豆タンパク質単離物とブレンドされてもよい。
【0019】
さらに別の実施形態では、大豆タンパク質材料は、無水ベースで約49%〜約65%のタンパク質含量を有する大豆粉であってもよい。大豆粉は、脱脂大豆粉、部分脱脂大豆粉、または全脂大豆粉であり得る。大豆粉は、大豆タンパク質単離物または大豆タンパク質濃縮物とブレンドされてもよい。
【0020】
大豆粉が使用される場合、出発材料は、通常、脱脂大豆粉またはフレークである。全脂大豆は、約40質量%のタンパク質および約20質量%の油を含有する。これらの全脂全大豆は、脱脂大豆粉またはフレークが出発タンパク質材料を形成する場合には、従来の方法によって脱脂され得る。例えば、大豆は洗浄され、皮が剥かれ、破砕され、一連のフレーキングロールを通過させられ、そして次にヘキサンまたは他の適切な溶媒の使用による溶媒抽出を受けて油が抽出され、「使用済フレーク」が製造され得る。脱脂フレークは大豆粉を製造するために粉砕され得る。この方法はまだ全脂大豆粉と共に使用されていないが、全脂大豆粉もタンパク質源として役立つことができると考えられる。しかしながら、全脂大豆粉が加工される場合、油を除去するために3段階遠心分離などの分離工程を用いる必要がある可能性が最も高い。
【0021】
別の代替の実施形態では、大豆タンパク質材料は、遠心分離機における沈降に基づいて主要画分(15S、11S、7S、および2S)に分離された大豆貯蔵タンパク質であり得る。一般に、11S画分はグリシニンが非常に豊富であり、7S画分はベータ−コングリシニンが非常に豊富である。
【0022】
別の実施形態では、タンパク質材料は、大豆以外の植物に由来してもよい。非限定的な例として、適切な植物には、アマランス、クズウコン、大麦、ソバ、キャノーラ、キャッサバ、ヒヨコマメ(ガルバンゾ)、マメ科植物、ヒラマメ、ルピナス、トウモロコシ、キビ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、ライ麦、モロコシ属、ヒマワリ、タピオカ、ライ小麦、小麦、およびこれらの混合物が含まれる。特に好ましい植物タンパク質には、大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、小麦、およびこれらの組み合わせが含まれる。一実施形態では、植物タンパク質材料は、キャノーラミール、キャノーラタンパク質単離物、キャノーラタンパク質濃縮物、またはこれらの組み合わせであり得る。別の実施形態では、植物タンパク質材料は、トウモロコシまたはコーンタンパク質粉末、トウモロコシまたはコーンタンパク質濃縮物、トウモロコシまたはコーンタンパク質単離物、トウモロコシまたはコーン胚芽、トウモロコシまたはコーングルテン、トウモロコシまたはコーングルテンミール、トウモロコシまたはコーン粉、ゼインタンパク質、またはこれらの組み合わせであり得る。さらに別の実施形態では、植物タンパク質材料は、大麦粉末、大麦タンパク質濃縮物、大麦タンパク質単離物、大麦ミール、大麦粉、またはこれらの組み合わせであり得る。代替の実施形態では、植物タンパク質材料は、ルピナス粉、ルピナスタンパク質単離物、ルピナスタンパク質濃縮物、またはこれらの組み合わせであり得る。別の代替の実施形態では、植物タンパク質材料は、オートミール、オート麦粉、オート麦タンパク質粉、オート麦タンパク質単離物、オート麦タンパク質濃縮物、またはこれらの組み合わせであり得る。さらに別の実施形態では、植物タンパク質材料は、エンドウ豆粉、エンドウ豆タンパク質単離物、エンドウ豆タンパク質濃縮物、またはこれらの組み合わせであり得る。さらに別の実施形態では、植物タンパク質材料は、ポテトタンパク質粉末、ポテトタンパク質単離物、ポテトタンパク質濃縮物、ポテト粉、またはこれらの組み合わせであり得る。さらなる実施形態では、植物タンパク質材料は、米粉、米ミール、米タンパク質粉末、米タンパク質単離物、米タンパク質濃縮物、またはこれらの組み合わせであり得る。別の代替の実施形態では、植物タンパク質材料は、小麦タンパク質粉末、小麦グルテン、小麦胚芽、小麦粉、小麦タンパク質単離物、小麦タンパク質濃縮物、可溶化小麦タンパク質、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0023】
他の実施形態では、タンパク質材料は動物源に由来してもよい。一実施形態では、動物タンパク質材料は卵に由来し得る。適切な卵タンパク質の非限定的な例としては、粉末卵、乾燥卵固形分、乾燥卵白タンパク質、液体卵白タンパク質、卵白タンパク質粉末、単離オボアルブミンタンパク質、およびこれらの組み合わせが挙げられる。卵タンパク質は、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、または他の鳥の卵に由来してもよい。代替の実施形態では、タンパク質材料は乳製品源に由来し得る。適切な乳製品タンパク質には、無脂肪乾燥粉乳、乳タンパク質単離物、乳タンパク質濃縮物、酸カゼイン、カゼイン塩(例えば、カゼインナトリウム、カルシウムカゼインなど)、ホエータンパク質単離物、ホエータンパク質濃縮物、およびこれらの組み合わせが含まれる。乳タンパク質材料は、雌ウシ、ヤギ、ヒツジ、ロバ、ラクダ、ラクダ科動物、ヤク、水牛などに由来してもよい。さらなる実施形態では、タンパク質は、陸生動物または水生動物の筋肉、臓器、結合組織、または骨格に由来し得る。一例として、動物タンパク質は、ウシまたは他の動物の骨、結合組織、臓器などから抽出されるコラーゲンの部分加水分解によって製造されるゼラチンであり得る。
【0024】
また本発明の方法では、大豆タンパク質材料および少なくとも1つの他のタンパク質材料の組み合わせも使用され得ることが想定される。すなわち、本タンパク質加水分解組成物は、大豆タンパク質材料および少なくとも1つの他のタンパク質材料の組み合わせから調製されてもよい。一実施形態では、本タンパク質加水分解組成物は、大豆タンパク質材料と、大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、小麦、動物材料、乳製品、および卵からなる群から選択される1つの他のタンパク質材料との組み合わせから調製することができる。別の実施形態では、本タンパク質加水分解組成物は、大豆タンパク質材料と、大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、小麦、動物材料、乳製品、および卵からなる群から選択される2つの他のタンパク質材料との組み合わせから調製することができる。さらなる実施形態では、本タンパク質加水分解組成物は、大豆タンパク質材料と、大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、小麦、動物材料、乳製品、および卵からなる群から選択される3つ以上の他のタンパク質材料との組み合わせから調製することができる。
【0025】
組み合わせて使用される大豆タンパク質材料および他のタンパク質材料の濃度は異なり得るであろう。大豆タンパク質材料の量は、組み合わせて使用される全タンパク質の約1%〜約99%の範囲であり得る。一実施形態では、大豆タンパク質材料の量は、組み合わせて使用される全タンパク質の約1%〜約20%の範囲であり得る。別の実施形態では、大豆タンパク質材料の量は、組み合わせて使用される全タンパク質の約20%〜約40%の範囲であり得る。さらに別の実施形態では、大豆タンパク質材料の量は、組み合わせて使用される全タンパク質の約40%〜約80%の範囲であり得る。さらなる実施形態では、大豆タンパク質材料の量は、組み合わせて使用される全タンパク質の約80%〜約99%の範囲であり得る。同様に、(少なくとも1つの)他のタンパク質材料の量は、組み合わせて使用される全タンパク質の約1%〜約99%の範囲であり得る。一実施形態では、他のタンパク質材料の量は、組み合わせて使用される全タンパク質の約1%〜約20%の範囲であり得る。別の実施形態では、他のタンパク質材料の量は、組み合わせて使用される全タンパク質の約20%〜約40%の範囲であり得る。さらに別の実施形態では、他のタンパク質材料の量は、組み合わせて使用される全タンパク質の約40%〜約80%の範囲であり得る。さらなる実施形態では、他のタンパク質材料の量は、組み合わせて使用される全タンパク質の約80%〜約99%の範囲であり得る。
【0026】
(b)タンパク質スラリー
本発明の方法では、通常、タンパク質材料は水中に混合または分散されて、約1質量%〜約40質量%のタンパク質(「現状のまま(as is)」に基づいて)を含むスラリーを形成する。一実施形態では、スラリーは、約1質量%〜約5質量%のタンパク質(現状のまま)を含むことができる。別の実施形態では、スラリーは、約6質量%〜約10質量%のタンパク質(現状のまま)を含むことができる。さらなる実施形態では、スラリーは、約11質量%〜約15質量%のタンパク質(現状のまま)を含むことができる。さらに別の実施形態では、スラリーは、約16質量%〜約20質量%のタンパク質(現状のまま)を含むことができる。さらに別の実施形態では、スラリーは、約21質量%〜約40質量%のタンパク質(現状のまま)を含むことができる。水は、エタノールやグリセロールなどの食品グレードの分散剤を含んでいてもよい。
【0027】
タンパク質材料が水中に分散された後、推定される内在性プロテアーゼ阻害剤を不活性化するために、タンパク質材料のスラリーを約70℃〜約90℃で約2分〜約20分間加熱してもよい。通常、タンパク質スラリーのpHおよび温度は、加水分解反応を最適化するように、そして特に、加水分解反応において使用される消化酵素がその最適な活性レベル付近で機能することを保証するように調整される。タンパク質スラリーのpHは、当該技術分野において一般に知られている方法に従って調整および監視することができる。タンパク質スラリーのpHは、約3.0〜約11.0に調整および保持され得る。他の実施形態では、タンパク質スラリーのpHは、約3.0〜約4.0、約5.0〜約6.0、および約7.0〜約8.0に調整および保持され得る。別の実施形態では、タンパク質スラリーのpHは、約8.0〜約9.0に調整および保持され得る。代替の実施形態では、タンパク質スラリーのpHは、約9.0〜約10.0、および約10.0〜約11.0に調整および保持され得る。タンパク質スラリーの温度は、当該技術分野において既知の方法に従って、加水分解反応の間約25℃〜約80℃に調整および保持することができる。
【0028】
(c)酵素消化
加水分解反応は、一般に、酵素または酵素の組み合わせをタンパク質材料のスラリーに添加することによって開始される。通常、酵素は、約3.0〜約11.0のpHおよび約25℃〜約80℃の温度において最適な活性を有する食品グレードの酵素でよい。酵素は、植物、動物、または微生物に由来することができる。
【0029】
酵素は、典型的にはエンドペプチダーゼであろう。エンドペプチダーゼは、NおよびC末端から離れたペプチド鎖の内部領域において優先的に作用する。いくつかのエンドペプチダーゼが本発明の方法で使用するのに適している。一実施形態では、エンドペプチダーゼは、ノカルジオプシス・プラシナ(Nocardiopsis prasina)からのセリンプロテアーゼであり得る(参照によってその全体が援用される国際公開第2005035747号パンフレットにおける配列番号2)。別の実施形態では、エンドペプチダーゼは、Novozymes(Bagsvaerd,Denmark)からALCALASE(登録商標)として入手可能なバチルス・リシェニフォルミス(Bacillus licheniformis)からのサブチリシンプロテアーゼであり得る。さらに別の実施形態では、エンドペプチダーゼは、グルタミルエンドペプチダーゼ(「GE」と命名)とも呼ばれるバチルス・リシェニフォルミス(Bacillus licheniformis)からのセリンプロテアーゼであり得る(米国特許第4,266,031号明細書、米国特許第5,874,278号明細書、および米国特許第5,459,064号明細書、ならびに国際公開第01/16285号パンフレット、国際公開第92/13964号パンフレット、国際公開第91/13553号パンフレット、および国際公開第91/13554号パンフレット(そのそれぞれは、参照によってその全体が援用される)において開示され、特徴付けられるようなUNIPROT:P80057)。さらに別の実施形態では、エンドペプチダーゼは、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)からのトリプシン様プロテアーゼ(「TL1」と命名)であり得る(SWISSPROT No.P35049)(米国特許第5,288,627号明細書および米国特許第5,693,520号明細書、そのそれぞれは参照によってその全体が本明細書に援用される)。代替の実施形態では、エンドペプチダーゼは、アクロモバクター・リティカス(Achromobacter lyticus)からのリジルエンドペプチダーゼ(「LE」と命名)であり得る(UNIPROT:P15636)。さらなる実施形態では、エンドペプチダーゼは、バチルス・リシェニフォルミス(Bacillus licheniformis)からのサブチリシンプロテアーゼのより精製した形態(「Alcalase(登録商標)2」と命名)であり得る。さらに他の実施形態では、エンドペプチダーゼは、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani)からのトリプシン様プロテアーゼであり得る(GENESEQP:ADZ80577)。適切な酵素には、さらに、サブチリシンプロテアーゼ2(S2)、メタロプロテアーゼ1(MP1)、およびアスパラギン酸プロテアーゼ1(ASP−1)が含まれる。他の適切な酵素としては、ブロメライン、サブチリシン、キモトリプシン、トリプシン、ペプシン、およびエラスターゼが挙げられる。いくつかの実施形態では、エンドペプチダーゼの組み合わせが使用され得る。
【0030】
さらなる実施形態では、エンドペプチダーゼは、少なくとも1つのエキソペプチダーゼと組み合わせられてもよい。一般に、エキソペプチダーゼは、NまたはC末端におけるポリペプチド鎖の末端付近のみに作用する。自由N末端に作用するものは、単一のアミノ酸残基(すなわち、アミノペプチダーゼ)、ジペプチド(すなわち、ジペプチジル−ペプチダーゼ)、またはトリペプチド(すなわち、トリペプチジル−ペプチダーゼ)を遊離させる。自由C末端に作用するエキソペプチダーゼは、単一のアミノ酸(すなわち、カルボキシペプチダーゼ)またはジペプチド(すなわち、ペプチジル−ジペプチダーゼ)を遊離させる。いくつかのエキソペプチダーゼは、ジペプチド(すなわち、ジペプチダーゼ)に特異的であるか、あるいは、イソペプチド結合によって置換、環化または連結された末端残基を除去する。イソペプチド結合は、カルボキシル基のα−アミノ基への結合以外のペプチド結合であり、この酵素群はオメガペプチダーゼを特徴とする。
【0031】
本発明の方法において使用するのに適したエキソペプチダーゼの非限定的な例としては、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)からのカルボキシペプチダーゼD(UNIPROT:Q2TZ11)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)からのカルボキシペプチダーゼY(UNIPROT:Q2TYA1)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)からのアミノペプチダーゼ(参照によってその全体が援用される国際公開第96/28542号パンフレット)、およびバチルス・リシェニフォルミス(Bacillus licheniformis)からのアミノペプチダーゼ(UNIPROT:Q65DH7)が挙げられる。
【0032】
タンパク質材料に添加される酵素の量は、所望の加水分解度および加水分解反応の持続時間に依存して異なり得るであろう。量は、タンパク質材料1キログラムあたり酵素タンパク質約1mg〜約5000mgの範囲であり得る。別の実施形態では、量は、タンパク質材料1キログラムあたり酵素タンパク質10mg〜約2000mgの範囲であり得る。さらに別の実施形態では、量は、タンパク質材料1キログラムあたり酵素タンパク質約50mg〜約1000mgの範囲であり得る。
【0033】
当業者により認識されるように、加水分解反応の持続時間は、酵素、タンパク質材料、および所望の加水分解度に依存して異なり得るであろう。一般的に言えば、加水分解反応の持続時間は、数分〜長時間(例えば、約30分〜約48時間など)の範囲であり得る。加水分解反応を終了させるために、組成物は、酵素を不活性化するのに十分に高い温度まで加熱されてもよい。例えば、組成物を約90℃の温度まで加熱すると、ほとんどの酵素が実質的に熱不活性化されるであろう。その他の不活性化方法には、使用される酵素に応じて、10℃よりも低い温度への冷却および/または約3.0よりも低いpHへの低下が含まれる。
【0034】
タンパク質材料および酵素の種々の組み合わせは表Aに示される。
【0035】
【0036】
(II)タンパク質加水分解物
タンパク質加水分解組成物は一般にCCKの放出を増強し、それにより、消費される際に満腹を促進する。実施例で説明されるように、少なくとも約0.5mg/mLの濃度の大豆タンパク質加水分解組成物はCCK放出活性を刺激する。0.5〜8mg/mLの間のタンパク質で添加される最適な加水分解物のCCK刺激効果は、100nMのPMAで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるCCKの50%と同等以上である。
【0037】
一実施形態では、タンパク質加水分解組成物の可溶性画分は、100nMのPMAで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるCCKの約50%〜約100%のCCK放出活性を刺激し得る。別の実施形態では、タンパク質加水分解組成物の可溶性画分は、100nMのPMAで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるCCKの約100%〜約200%のCCK放出活性を刺激し得る。さらなる実施形態では、タンパク質加水分解組成物の可溶性画分は、100nMのPMAで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるCCKの約200%〜約300%のCCK放出活性を刺激し得る。さらに別の実施形態では、タンパク質加水分解組成物の可溶性画分は、100nMのPMAで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるCCKの約300%〜約500%のCCK放出活性を刺激し得る。さらに別の実施形態では、タンパク質加水分解組成物の可溶性画分は、100nMのPMAで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるCCKの約500%〜約1000%のCCK放出活性を刺激し得る。
【0038】
本タンパク質加水分解組成物の加水分解度は、タンパク質材料源、使用されるプロテアーゼ、および加水分解反応条件に依存して異なり得るであろう。加水分解度(DH)は、出発ペプチド結合数に対して、切断されたペプチド結合の割合を指す。例えば、500のペプチド結合を含有する出発タンパク質が、50のペプチド結合が切断されるまで加水分解されると、得られる加水分解物のDHは10%である。加水分解度は、当業者に知られているトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)、比色分析法またはオルト−フタルジアルデヒド(OPA)法用いて決定することができる。加水分解度が高い程、タンパク質の加水分解の程度は大きい。通常、タンパク質がさらに加水分解されるにつれて(すなわち、DHが高い程)、ペプチド断片の分子量は低下し、それに応じてペプチドプロファイルが変化する。DHは加水分解物全体(すなわち、全画分)において測定されてもよいし、あるいはDHは、加水分解物の可溶性画分(すなわち、約500〜約1000×gで約5〜約10分間の加水分解物の遠心分離後の上澄み画分)において測定されてもよい。
【0039】
典型的には本発明のタンパク質加水分解組成物のそれぞれは、約0.05%〜約35%の範囲の加水分解度を有するであろう。一実施形態では、本タンパク質加水分解組成物の加水分解度は、約0.05%〜約1%の範囲であり得る。別の実施形態では、本タンパク質加水分解組成物の加水分解度は、約1%〜約10%の範囲であり得る。さらなる実施形態では、本タンパク質加水分解組成物の加水分解度は、約10%〜約20%の範囲であり得る。さらに別の実施形態では、本タンパク質加水分解組成物の加水分解度は、約2%〜約35%の範囲であり得る。一実施形態では、本タンパク質加水分解組成物の加水分解度は、約0.2%〜約15%の範囲であり得る。別の実施形態では、本タンパク質加水分解組成物の加水分解度は、約0.2%〜約3%の範囲であり得る。
【0040】
一般に、タンパク質加水分解組成物は、タンパク質出発材料と比較して、様々な長さおよび分子量のポリペプチド断片の混合物を含むであろう。ペプチド断片の分子量は、サイズ排除クロマトグラフィにより測定される場合に、75ダルトン(すなわち、遊離グリシン)から100,000ダルトンを超えるまでの範囲であり得る。一般に、タンパク質加水分解組成物のポリペプチド断片は、約100,000ダルトン未満の平均サイズを有するであろう。一実施形態では、本タンパク質加水分解組成物のポリペプチド断片の平均サイズは、約50,000〜約100,000ダルトンであり得る。別の実施形態では、本タンパク質加水分解組成物のポリペプチド断片の平均サイズは、約50,000ダルトン未満であり得る。さらなる実施形態では、本タンパク質加水分解組成物のポリペプチド断片の平均サイズは、約10,000ダルトン未満であり得る。さらに別の実施形態では、本タンパク質加水分解組成物のポリペプチド断片の平均サイズは、約4,000ダルトン未満であり得る。さらに別の実施形態では、本タンパク質加水分解組成物のポリペプチド断片の平均サイズは、約2,000ダルトン未満であり得る。
【0041】
(III)タンパク質加水分解物を含む食品
本発明のさらなる態様は、食用材料および本明細書に記載されるタンパク質加水分解組成物を含む食品である。
【0042】
食用材料と組み合わせるための特定のタンパク質加水分解組成物の選択は、所望の食品に依存して異なり得るであろう。いくつかの実施形態では、本タンパク質加水分解組成物は、大豆タンパク質に由来し得る。他の実施形態では、本タンパク質加水分解組成物は、大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、小麦、動物、卵、またはこれらの組み合わせに由来し得る。代替の実施形態では、本タンパク質加水分解組成物は、異なるタンパク質加水分解物の組み合わせを含むことができる。例えば、大豆タンパク質加水分解組成物は、トウモロコシタンパク質加水分解組成物と組み合わせられてもよい。あるいは、大豆タンパク質加水分解組成物は、キャノーラタンパク質加水分解組成物および小麦タンパク質加水分解組成物と組み合わせられてもよい。
【0043】
さらに他の実施形態では、本タンパク質加水分解組成物は、大豆と、大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、小麦、動物、乳製品、および卵からなる群から選択される少なくとも1つの他のタンパク質源との組み合わせに由来し得る。
【0044】
さらなる実施形態では、本タンパク質加水分解組成物は、さらに、大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、小麦、動物、乳製品、および卵からなる群から選択される少なくとも1つの非加水分解タンパク質を含むことができる。適切な非加水分解タンパク質の非限定的な例としては、乾燥粉乳、無脂肪乾燥粉乳、乳タンパク質、酸カゼイン、カゼイン塩(例えば、カゼインナトリウム、カゼインカルシウムなど)、ホエータンパク質濃縮物、ホエータンパク質単離物、および大豆タンパク質単離物が挙げられる。
【0045】
いくつかの実施形態では、食品中に含有されるタンパク質加水分解組成物は、被験者の胃および/または腸におけるタンパク質消化によって「活性」ペプチドに転化される「プレペプチド」を含んでもよい。他の実施形態では、タンパク質加水分解組成物は、被験者の胃または腸における胃における付加的なタンパク質消化を必要としない「活性」ペプチドを含む。
【0046】
適切な食用材料の選択も所望される食品によって異なるであろう。食用材料は、植物由来材料(例えば、野菜ジュース、シリアル製品など)、動物由来材料(例えば、乳製品、卵製品など)、または植物由来材料または動物由来材料から単離されたバイオマテリアル(すなわち、タンパク質、炭水化物、脂質など)などであり得る。
【0047】
一実施形態において、前記食品は液体飲料であってもよい。液体飲料の非限定的な例としては、果実ジュース、果実ドリンク、果実風味のドリンク、野菜ドリンク、栄養ドリンク、エネルギードリンク、スポーツドリンク、豆乳ドリンク、風味付けされた大豆ドリンク、米ミルクベースのドリンク、風味付けされたミルクドリンク、ヨーグルトベースのドリンク、調製粉乳、茶ベースの飲料、コーヒーベースの飲料、食事代用ドリンク(meal replacement drink)、プロテインシェーク(protein shake)、栄養補助飲料、体重管理飲料、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0048】
飲料食品を含む食用材料は異なり得るであろう。適切な食用材料の非限定的な例としては、果実ジュース、野菜ジュース、スキムミルク、低脂肪乳、2%乳、全乳、クリーム、エバミルク(evaporated milk)、ヨーグルト、バターミルク、チョコレート、ココア粉末、コーヒー、茶などが挙げられる。
【0049】
前記飲料食品は、さらに、甘味剤(例えば、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトデキストリン、スクラロース、コーンシロップ、蜂蜜、メープルシロップなど)、風味剤(例えば、チョコレート、ココア、チョコレートフレーバー、バニラ抽出物、バニラフレーバー、果実フレーバーなど)、乳化または増粘剤(例えば、レシチン、カラギナン、セルロースガム、セルロースゲル、デンプン、アラビアガム、キサンタンガムなど)、安定剤、脂質材料(例えば、キャノーラ油、ヒマワリ油、高オレイン酸ヒマワリ油、脂肪粉末など)、防腐剤(例えば、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸など)、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウムなど)、着色剤、ビタミン、ミネラル、およびこれらの組み合わせを含むことができる。
【0050】
別の実施形態では、食品は、グラノーラバー、シリアルバー、栄養バー、またはエネルギーバーなどの食品バーであり得る。さらに別の実施形態では、食品は、シリアルベースの製品であり得る。シリアルベースの食品の非限定的な例としては、朝食用シリアル、パスタ、パン、焼成製品(すなわち、ケーキ、パイ、ロール、クッキー、クラッカー)、およびスナック製品(例えば、チップス、プレッツェルなど)が挙げられる。シリアルベースの食品の食用材料は、小麦(例えば、漂白小麦粉、全粒小麦粉、小麦胚芽、小麦フスマなど)、コーン(例えば、コーン粉、コーンミール、コーンスターチなど)、オート麦(例えば、膨化オート麦、オートミール、オート麦粉など)、米(例えば、膨化米、米粉、米デンプン)などに由来し得る。さらに別の実施形態では、食品は、「固形の」乳製品ベースの製品であり得る。適切な「固形の」乳製品ベースの食品の非限定的な例としては、ハードチーズ製品、ソフトチーズ製品、アイスクリーム製品、ヨーグルト製品、フローズンヨーグルト製品、ホイップした乳製品様の製品、シャーベットなどが挙げられる。代替の実施形態では、食品は栄養補助食品であり得る。栄養補助食品は液体でも固体でもよい。別の代替の実施形態では、食品は、食肉製品または食肉類似製品であり得る。食肉食品の例としては、加工肉、ひき肉、および全筋肉製品が挙げられるがこれらに限定されない。食肉材料は、動物肉でもシーフード肉でもよい。食肉類似品は、動物またはシーフード肉の食感を模倣するテクスチャ化植物または乳製品タンパク質であり得る。食肉類似品は、食肉食品中の食肉材料の一部でも全てでもよい。
【0051】
定義
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語が以下に定義される。
【0052】
「加水分解度」(DH)という用語は、加水分解された特定のペプチド結合の割合(すなわち、インタクトなタンパク質中に存在するペプチド結合の総数のうちの切断された数)を指す。%DHは、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)法またはオルト−フタルジアルデヒド(OPA)法のいずれかを用いて推定した。これらの手順は正確で再現可能であり、そして食品タンパク質加水分解物の加水分解度を決定するために一般的に適用可能な手順である。
【0053】
「エンドペプチダーゼ」という用語は、オリゴペプチドまたはポリペプチド鎖中の内部ペプチド結合を加水分解する酵素を指す。エンドペプチダーゼの群は、酵素サブクラスEC 3.4.21−25(国際生化学・分子生物学連合(International Union of Biochemistry and Molecular Biology)酵素分類システム)を含む。
【0054】
「エキソペプチダーゼ」という用語は、アミノ末端またはカルボキシル末端もしくはこれらの付近でタンパク質および/またはペプチドを加水分解する酵素を指す。エキソペプチダーゼの群は、酵素サブクラスEC 3.4.11−18(国際生化学・分子生物学連合酵素分類システム)を含む。
【0055】
「食品グレードの酵素」は、一般に安全と認められる(generally recognized as safe)(GRAS)と認可されており、ヒトなどの生物体により消費される場合に安全な酵素である。通常、酵素および酵素が由来し得る製品は、適用可能な法的規制ガイドラインに従って製造される。
【0056】
「加水分解物」は、化合物が水の影響によって切断されたときに得られる反応生成物である。タンパク質加水分解物は、熱的、化学的、または酵素的な分解の後に生じる。反応の間、タンパク質はポリペプチドおよび/または遊離アミノ酸に分解される。これらの生成物は水または水系緩衝溶液中に可溶性または不溶性であり得る。
【0057】
本明細書で使用される「OPA法」は、以下の手順を指す:65℃で5分間振とうさせることによって、0.25gmの大豆タンパク質加水分解物を50mlの抽出緩衝液(0.025Nの水酸化ナトリウム中1%のSDS、0.6mMのDTT)中に溶解し、次に25℃に冷却した。次に、サンプルを5000×gで5分間遠心分離して、溶解しない材料を除去した。次に、サンプルの0.2mlのアリコート、セリン標準(脱イオン水中3.6mM)、および抽出緩衝液(ブランクとして使用)を試験管に移し(3通り)、10mlのOPA呈色試薬(0.012MのOPA、0.1Mの四ホウ酸ナトリウム、2%のSDS)で希釈し、ボルテックスして混合した。反応を30分間継続させ、その時点で、分光光度計において340nmで吸光度を測定した。Nielsen(Nielsen,P.Mら(2001年)“Improved Method for Determining Food Protein Degree of Hydrolysis”,J.Food Sci.66(5):642−646)によって記載されるように、それぞれの3通りのサンプルの平均を用いて%DHを決定した。
【0058】
「ペプチド」は、アミノ酸、一般に20以下のアミノ酸の短いポリマーである。「ポリペプチド」は、20よりも多いアミノ酸のポリマーである。これらのポリマーはいずれも一次構造のみを含有する。ポリペプチドは、タンパク質の合成の間に最初に形成され、その天然状態への「折り畳み」(すなわち、二次、三次、および四次構造の形成)においてタンパク質になる。本出願において、ポリペプチドへの言及は、タンパク質の加水分解からの長鎖ポリマーの生成を意味する。
【0059】
「タンパク質」は、その天然(すなわち、非変性)状態において活性分子を形成するアミノ酸のポリマーである。タンパク質の天然状態は、一次、二次、三次、および/または四次構造を有することができる。タンパク質の一次構造は、そのアミノ酸配列である。タンパク質は通常二次構造を有し、これは、鎖内のアミノ酸の相互作用から形成される。これらの構造は水素結合によって形成され、αへリックス、またはβシートとして知られている相互作用アミノ酸の「シート」のいずれかである。またタンパク質は、通常、三次構造も有する。三次構造はアミノ酸残基の鎖内相互作用によって形成され、イオン相互作用、疎水性相互作用、または他の化学的相互作用によって生じる。いくつかのタンパク質は1つまたは複数の「サブユニット」を含有し、これは、分子的に相互作用をして四次構造を形成する。タンパク質サブユニットは単一のポリペプチド鎖で構成され、二次および(通常)三次構造を含有する。
【0060】
本明細書で使用される「大豆タンパク質単離物」または「単離大豆タンパク質」という用語は、無水ベースで少なくとも約90%の大豆タンパク質のタンパク質含量を有する大豆材料を指す。大豆タンパク質単離物は、子葉から大豆の皮および胚を除去し、子葉をフレークまたは粉砕し、フレークまたは粉砕子葉から油を除去し、子葉の大豆タンパク質および炭水化物を子葉繊維から分離し、次いで大豆タンパク質を炭水化物から分離することによって大豆から形成される。
【0061】
本明細書で使用される「大豆タンパク質濃縮物」という用語は、無水ベースで約65%から約90%未満までの大豆タンパク質のタンパク質含量を有する大豆材料である。大豆タンパク質濃縮物は、大豆子葉繊維、通常、無水ベースで約3.5質量%から約20質量%までの大豆子葉繊維も含有する。大豆タンパク質濃縮物は、大豆の皮および胚を除去し、子葉をフレークまたは粉砕し、フレークまたは粉砕子葉から油を除去し、大豆タンパク質および大豆子葉繊維を子葉の可溶性炭水化物から分離することよって大豆から形成される。
【0062】
本明細書で使用される「大豆粉」という用語は、全脂大豆粉、酵素活性大豆粉、脱脂大豆粉、部分脱脂大豆粉、およびこれらの混合物を指す。脱脂大豆粉は、粒子がNo.100メッシュ(米国基準)スクリーンを通過できるようなサイズを有する粒子で形成された、好ましくは約1%未満の油を含有する脱脂大豆材料の砕いた形態を指す。大豆ケーク、チップ、フレーク、ミール、または材料の混合物は、従来の大豆粉砕方法を用いて大豆粉に砕かれる。大豆粉は、無水ベースで約49%〜約65%の大豆タンパク質含量を有する。好ましくは、粉は非常に細かく粉砕され、最も好ましくは、約1%未満の粉が300メッシュ(米国基準)スクリーン上に保持されるように粉砕される。全脂大豆粉は、元の油の全て(通常、18%〜20%)を含有する粉砕した全大豆を指す。粉は酵素活性でもよいし、あるいは熱加工またはトーストして酵素活性を最小限にしてもよい。酵素活性大豆粉は、その天然酵素を中和しないために最小限に熱処理された全脂大豆粉を指す。
【0063】
本明細書で使用される「豆乳」という用語は、以下の:細かく粉砕された大豆、大豆粉、大豆フレーク、大豆濃縮物、単離大豆タンパク質、大豆ホエータンパク質の任意の1つまたは複数の水性混合物、ならびに以下の:大豆、大豆フレークおよび大豆粉の任意の1つまたは複数の水性抽出物を指し、ここで、不溶性材料は除去されている。豆乳は、脂肪、炭水化物、甘味料、着色剤、安定剤、増粘剤、風味剤、酸、および塩基を含むがこれらに限定されない付加的な成分を含んでもよい。
【0064】
本明細書で使用される「豆乳粉末」という用語は、脱水した豆乳を指す。豆乳は、スプレー乾燥、トレイ乾燥、トンネル乾燥、および凍結乾燥を含むがこれらに限定されない多数の方法によって脱水することができる。
【0065】
本明細書で使用される「簡易化トリニトロベンゼンスルホン酸(S−TNBS)法」という用語は、正確で再現可能であり、そして食品タンパク質加水分解物の加水分解度を決定するために一般的に適用可能な手順を指す。このために、0.1gの大豆タンパク質加水分解物を100mLの0.025NのNaOH中に溶解した。加水分解物溶液のアリコート(2.0mL)を8mLの0.05Mのホウ酸ナトリウム緩衝液(pH9.5)と混合した。2mLの緩衝加水分解物溶液を0.20mLの10%のトリニトロベンゼンスルホン酸で処理した後、暗所において室温で15分間インキュベーションした。4mLの0.1M亜硫酸ナトリウム−0.1Mリン酸ナトリウム溶液(1:99比)を添加することにより反応を失活させ、420nmで吸光度を読み取った。0.1mMのグリシン溶液を標準として用いた。以下の計算を用いてグリシン標準溶液の回収パーセントを決定した:[(420nmにおけるグリシンの吸光度−420nmにおけるブランクの吸光度)×(100/0.710)]。94%以上の値が許容可能であると考えた(Jens Adler−Nissen(1979年)“Determination of the Degree of Hydrolysis of Food Protein Hydrolysates by Trinitrobenzenesulfonic Acid,”J. Agric.Food Chem.,27(6):1256−1262)。
【0066】
本発明またはその好ましい実施形態の要素を導入する場合に、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は、その要素が1つまたは複数存在することを意味するものとする。「comprising」、「including」および「having」という用語は包括的であり、記載される要素以外に付加的な要素が存在し得ることを意味するものとする。
【0067】
本発明の範囲から逸脱することなく上記の化合物、製品および方法には種々の変化がなされ得るので、上記の説明および以下に示される実施例に含有される全ての事項は例示として解釈されるべきであり、限定の意味で解釈されるべきではないことが意図される。
【0068】
以下の実施例は、本発明の種々の反復を説明する。
【実施例1】
【0069】
実施例1.CCK放出活性の初期スクリーニング
細胞ベースのアッセイを用いて、大豆タンパク質/大豆ペプチドの複合混合物がCCKの放出を刺激するかどうかを決定した。初めに、40個の異なるサンプルをアッセイして、どれが最高のCCK刺激活性を有するかを決定した。種々の調製物への暴露の後に、細胞生存率も評価した。
【0070】
各凍結乾燥サンプルのアリコート(0.1g)を5mlのリン酸緩衝食塩水(PBS、137mMのNaCl、2.7mMのKCl、4.3mMのNa2HPO4、1.4mMのKH2PO4、pH7.2)中、20mg/ml(w/v)のストック濃度に再構成した。約15分間穏やかに混合した後、サンプルを4℃で一晩水和させ、次に、4℃において16,000×gで30分間遠心分離して、不溶性材料を除去した。上澄み画分を無血清培地中に1:10で希釈し、約2mg/mlの最終濃度でCCK放出について3通りでアッセイした。天然の腸内CCK産生細胞の多くの特徴を示すマウス腸内分泌細胞株であるSTC−1細胞(Rindiら,1990年,Am.J.Pathol.136:1349−1364、Changら,1994年,Biochim.Biophys.Acta 1221:339−437)を標準条件下で大豆タンパク質サンプルに4時間暴露した。負の対照は無血清培地中の2mg/ml(w/v)のウシ血清アルブミン(BSA)であり、正の対照は、無血清培地中の2mg/mlのBSA(w/v)中の100nMのPMAであった。細胞−条件培地を除去し、競合酵素アッセイを用いてCCKレベルを測定した。(3−[4,5−ジメチルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)アッセイを用いて、細胞生存率を評価した(Vellomen K−S,Honkakoski PおよびUrtti A(2004年)Substrates and Inhibitors of Efflux Proteins Interfere with the MTT Assay in Cells and May Lead to Underestimation of Drug Toxicity,Eur.J.Pharm.Sci.23:181−188)。
【0071】
CCK刺激活性を有する初期サンプルは全て加水分解物であった。初期サンプルセットにおいて、非加水分解タンパク質サンプルは、基礎レベルを超えてCCK放出を刺激しなかった。これは、図1においてインタクトな大豆およびカゼイン塩タンパク質について見ることができる。初期サンプルのどれに対して暴露しても、細胞生存率または代謝活性における有意な損失は検出されなかった。
【0072】
40個のサンプルを、新しいサンプル調製物を用いてこの細胞ベースのアッセイにより再スクリーニングした。放出されたCCKの絶対量は異なったが、同じ11個のサンプルが上位の刺激物として位置付けられた(対照PMAの%は30%以上であった)。
【実施例2】
【0073】
実施例2.強力なCCK放出サンプルの分画
サンプル9(すなわち、SUPRO(登録商標)950/FXP950、ALCALASE(登録商標)で加水分解された単離大豆タンパク質である)は、最高のCCK放出活性のうちの1つを有した。このサンプル中のペプチドの分子量を見積もるために、接線流ろ過によって分画した。このために、100kDaのMWCOフラットシート膜を備えた接線流ろ過装置(Lab 20、Alfa Laval,UK)を用いてサンプルの5%のスラリーを分画した。残留物(すなわち100kDaよりも大きい画分)を捕集し、10kDaのMWCOフラットシート膜を備えた同じろ過装置を用いて透過物を分画して、10〜100kDaの画分および10kDa未満の画分を形成した。画分を凍結乾燥し、PBS中に再懸濁させ、無血清培地中に希釈し、上記で詳述されるように、それぞれの4つの濃度(w/v)をSTC−1細胞におけるCCK放出活性についてアッセイした。
【0074】
表1は結果を示す。10〜100kDaおよび10kDa未満の画分は、最高のCCK放出刺激活性を有した。また、画分をSDS−PAGEにより分離させ(図2を参照)、低分子量ペプチドは全ての画分中に存在した。この知見は、低分子量および高分子量の分子は疎水性相互作用または他の相互作用により相互作用をしている可能性があり、その結果として、この方法では十分に分離されないことを示唆する。しかしながら、低分子量ペプチドはCCK放出を誘発し、これらが、より高い分子量の画分で観察される活性の原因となることは明らかである。
【0075】
【実施例3】
【0076】
実施例3.腸内の生体内消化を模倣するためのペプシンおよびペプシン−パンクレアチン消化の後の、強力なCCK放出加水分解物画分のCCK放出活性
図3は、実施例2に記載される加水分解タンパク質調製物であるSUPRO(登録商標)950/FXP950の10〜100kDa画分のペプシンおよびペプシン−パンクレアチン消化調製物によるCCK放出の刺激を示しており、ヒトおよび他の動物の消化管(digestive track)に存在することが知られている酵素によるこの画分の消化の後に、このペプチド加水分解物画分のCCK放出活性が保持されることが示される。生体内の胃および上部腸管の消化を模倣するためのペプシンおよびペプシン−パンクレアチンによる消化方法は、Schasteen(Shasteen,C.S.ら,(2007年)Correlation of an Immobilized Digestive Enzyme Assay With Poultry True Amino Acid Digestibility for Soybean Meal.Poultry Science 86(2),343−348)、およびHigaki(Higaki,N.ら,(2006年)Biosci.Biotechnol.Biochem.70(12),2844−2852)の既に公開された手順を修正したものである。タンパク質サンプルを20体積の0.01MのHCl中に可溶化し、ペプシン(Sigma−Aldrich ♯P7012)により、1:200(w/w)の酵素−基質比、pH2.3および37℃において4時間消化した。ペプシン消化の後、2.5MのNaOHを混合物に添加して、pHを8.0に調整し、パンクレアチン(Sigma−Aldrich ♯P3292)を1:200(w/w)の比率で添加し、消化をさらに4〜18時間継続させた。加水分解度は、第1級アミン基とo−フタルアルデヒド(OPA)との反応により、酸加水分解(110℃で24時間)後のサンプル中に存在する第1級アミンの総量に対して決定した。タンパク質加水分解物を0.5〜8mg/mLのタンパク質濃度でSTC−1細胞の培地に添加し、対照反応混合物(タンパク質基質の不在下で酵素を含有する)の同等の希釈において酵素対照を添加した。ペプシンおよびペプシン−パンクレアチン処理されたタンパク質加水分解物サンプルにより刺激されたSTC−1細胞の培地中に放出されるCCKの絶対濃度(ng/mL)がプロットされる。正の対照の100nMのPMAおよび負の対照の2mg/mLのBSAにより刺激されたCCKの濃度はそれぞれ、図3において矢印が記される「PMA対照」および「ベースラインのCCK放出」によって示される。
【実施例4】
【0077】
実施例4.大豆タンパク質加水分解物のCCK放出活性
種々の加水分解度を有するいくつかの異なる大豆タンパク質加水分解物のCCK放出活性も分析した。このために、単離大豆タンパク質をALCALASE(登録商標)、ブロメライン、セリンプロテアーゼ、Alcalase(登録商標)2、S2、MP1、TL1、およびASP−1で加水分解した。添加した酵素の量および/またはインキュベーション時間の持続時間を調整して種々の加水分解度を与えた。約2mg/mLの最終タンパク質濃度に希釈した異なる加水分解物にSTC−1細胞を暴露した。CCK放出を上記のようにアッセイした。図4は、異なる大豆タンパク質加水分解調製物についてのCCK放出の刺激を説明する。図4A〜4Hに示されるような異なる酵素で生成され、種々のインキュベーション条件で得られた異なる%加水分解度(%DH)を有する異なる大豆タンパク質加水分解物によって刺激されたSTC−1の培地中に放出される%CCKが、PMAにより放出される%CCK(100%に設定)と比較してプロットされる。細胞培地中に放出される%CCK放出は以下のように計算される。
%CCK放出=(ng CCKサンプルウェル − ng CCKBSAコントロールウェル)/
(ng CCKPMAウェル − ng CCKBSAコントロールウェル)x 100
PMAは、タンパク質キナーゼC(PKC)の直接刺激によりCCKを誘発する。各大豆タンパク質加水分解物を約2mg/mLの最終タンパク質濃度でSTC−1細胞に添加した。STC−1細胞によるCCK放出を誘発するための大豆加水分解物の相対能力は、酵素および加水分解度に依存する。
【0078】
実験実施例1.大豆タンパク質加水分解物を含有する食品バー
この実験実施例では、タンパク質性材料および糖シロップを含む食品バーのサンプルは、以下の表2に記載される原料を用いて製造される。
【0079】
食品バーを得るために、Hobartミキサー(N50 5−Quart Mixer、Legacy(登録商標)Countertop Mixer、Legacy(登録商標)Floor Mixer、Hobart Corporation,Tory,OH)において第1の混合物が製造される。糖型シロップ、結晶糖、グリセリン、液体油、液体含有物、ガム、および天然または人工フレーバーをボウル内で混合する。スラリー混合物を2の速度設定で1分間混合する。ボウルをスパチュラで擦り取り、ボウルの側面をきれいにする。
【0080】
スラリーを1分間混合した後、大豆タンパク質単離物、大豆タンパク質加水分解物、および粒子含有物を混合ボウルに添加する。混合物を1の速度設定で1分間混合する。ボウルの側面がきれいになるまでボウルをスパチュラで擦り取る。1の速度設定でさらに30秒間混合する。次に、得られた生地をスラブ上に広げ、バーを約20グラム〜約70グラムの重さのピースに切断する。
【0081】
表2 基本的な食品バーの配合
【0082】
実験実施例2.大豆タンパク質加水分解物を含有する酸性飲料
本発明に従う酸性飲料を調製する。130.0部の大豆タンパク質原料および8539部の脱イオン水を容器に添加する。均一に分散されるまで、内容物を高せん断下で混合する。次に、分散液を74℃〜79℃(165°F〜175°F)に加熱し、さらに10分間混合する。次に、1180部の異性化糖(high fructose corn syrup)、131部のアップルジュース濃縮物(68ブリックス)および20.0部の無水クエン酸を混合しながら添加する。85%のクエン酸でpHを3.8〜4.0に調整する。第1段階では2500ポンド/平方インチ、第2段階では500ポンド/平方インチにおいて内容物を均質化し、その後107℃で7秒間低温殺菌する。ボトルに飲料を高温充填し、そして氷浴中に入れて飲料の温度をおよそ室温にし、冷蔵庫に入れる。
【0083】
実験実施例3.大豆タンパク質加水分解物を含有する乾燥ブレンド
以下の実験実施例は、本発明のタンパク質を含有する乾燥ブレンドの調製を説明し、成分は以下の表3に記載される。
【0084】
表3
【0085】
原料を容器に添加し、混合して乾燥ブレンドを形成する。
【0086】
実験実施例4−実験実施例3で調製される乾燥ブレンドを含有する飲料
実験実施例3で調製される乾燥ブレンドを液体に添加することによって、そのまま飲める(ready to drink)飲料を調製する。添加の順序は重要でない。
【0087】
そのまま飲める飲料中、液体は全組成物の約85質量%から約95質量%までで存在し、そのまま飲める飲料のpHは約6.8から約7.4までである。
【0088】
実験実施例4は、29.71グラムの実験実施例3の生成物を240mlのスキムミルクに添加することによって調製される本発明のそのまま飲める飲料である。内容物を30秒間ブレンドする。
【0089】
実験実施例5−実験実施例3で調製される乾燥ブレンドを含有する飲料
実験実施例3で調製される乾燥ブレンドを液体に添加することによって、そのまま飲める飲料を調製する。添加の順序は重要でない。
【0090】
そのまま飲める飲料中、液体は全組成物の約85質量%から約95質量%までで存在し、そのまま飲める飲料のpHは約6.8から約7.4までである。
【0091】
実験実施例5は、29.71グラムの実験実施例3の生成物を240mlの水に添加することによって調製される本発明のそのまま飲める飲料である。内容物を30秒間ブレンドする。
【0092】
実験実施例6 大豆タンパク質加水分解物を含有する風味付けされていない低脂肪豆乳
1回分のサイズ:8.5gタンパク質/250g。
【0093】
表4 低脂肪豆乳の配合
* 配合中で使用される大豆タンパク質加水分解物の百分率は、現状のままのタンパク質含量に応じて調整した。
【0094】
60℃(140°F)の水中にクエン酸塩を分散させる。混合速度を上昇させ、タンパク質を水中に分散させる。タンパク質を十分に分散させた後、スラリー温度を75℃(167°F)まで上昇させ、混合速度を低下させて、混合を10分間継続する。マルトデキストリン、糖およびカラギナンをプレブレンドしてタンパク質スラリーに添加し、混合を低速で5分間継続する。ヒマワリ油をスラリーに添加し、均質になるまで約3分間、低速で混合を継続する。45%の水酸化カリウムを用いてスラリーのpHを7.0〜7.2の間に調整する。以下のように加工する:均質化、低温殺菌および冷却。生成物を72℃(162°F)へ加熱し、5.17 MPa(750psi)(第2段階)、15.5 MPa(2250psi)(第1段階)で均質化する。スラリーを100℃(212°F)に予熱し、141℃(286°F)で6秒間超高温処理(UHT)する。生成物を31℃(88°F)まで冷却し、滅菌ボトルに梱包する。冷蔵保存する。
【0095】
実験実施例7 50%の大豆タンパク質加水分解物および50%のスキムミルクを含有する風味付けされていない飲料
1回分のサイズ:8gタンパク質/260g
【0096】
表5 風味付けされていない飲料の配合
*配合中で使用される大豆タンパク質加水分解物の百分率は、現状のままのタンパク質含量に応じて調整した。
【0097】
15℃(59°F)において適度の速度の混合を用いてクエン酸塩を全脱イオン水中に分散させる。SUPRO(登録商標)Plusを水中に分散させる。全ての塊が分散されたら、スラリーを77℃(170°F)に加熱し、低速で10分間混合を継続する。マルトデキストリン、糖、ビタミン/ミネラルプレミックス、リン酸マグネシウム、セルロースおよびカラギナンを乾燥ブレンドする。乾燥ブレンドをタンパク質スラリーに添加し、混合を5分間継続する。ヒマワリ油を添加し、混合を3分間継続する。スラリーのpHを測定し、必要であれば50%のクエン酸溶液または1NのNaOHのいずれかを用いてpHをpH6.9〜7.1に調整する。スキムミルクをゆっくり72℃(162°F)に加熱し、加熱したスキムミルクにタンパク質スラリーを添加する。風味剤を添加し、スラリー中に完全に取り込まれるまで混合する。低速混合により3分間ブレンドし、最終スラリーのpHを記録する。以下のように加工する:生成物を72℃(162°F)まで加熱し、750psi(第2段階)、2250psi(第1段階)で均質化する。スラリーを104℃(220°F)に予熱し、141℃(286°F)で6秒間超高温処理(UHT)する。生成物を31℃(88°F)まで冷却し、梱包する。冷蔵保存する。
【0098】
実験実施例7 カゼインカルシウムおよび無脂肪乾燥乳(NFDM)および大豆タンパク質加水分解物をタンパク質源として含有するバニラ風味の体重管理飲料
1回分のサイズ:10gタンパク質/11oz
【0099】
表6 バニラ風味の体重管理飲料の配合
【0100】
プレブレンドを以下のように調製する:カラギナンおよびセルロースを配合のスクロースのごく一部と混合する。アラビアガムおよび残りのスクロースを混合する。キャノーラ油を混合する。
【0101】
次にブレンドする:高せん断混合を用いてクエン酸カリウムおよびナトリウムを水に添加する。次に、プレブレンドしたカラギナンおよびセルロースを分散させる。5分間混合する。大豆タンパク質、カゼインカルシウムおよびNFDMを分散させ、65℃(150°F)への加熱を開始する。15分間水和させ、65℃(150°F)に達したら混合速度を低下させる。キャノーラ油/乳化剤ブレンドを約70℃(158°F)に加熱して乳化剤を溶解させ、これは、いくらかの混合を必要とし得る。次に、熱い油混合物をバッチタンクに添加し、5分間ブレンドし、泡は分散されるであろう。スクロース/アラビアガムブレンド、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウムおよびビタミンプレミックスを添加し、10分間混合する。バニラフレーバーを添加し、45%のKOHによりpHを7.0〜7.2に調整する。UHT 286F/6秒間、2500/500psi。
【0102】
実験実施例8 大豆タンパク質加水分解物を含有する乾燥ブレンドした飲料パフォーマンス飲料
【0103】
表7 乾燥ブレンドしたパフォーマンス飲料の配合
【0104】
ミキサーを洗浄して消毒する。大豆タンパク質およびココア粉末をふるいにかける。全ての原料を適度な速度で15分間混合する。乾燥粉末を衛生化した容器内で保存する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約100,000ダルトン未満の平均サイズを有するポリペプチド断片の混合物を含むタンパク質加水分解組成物の可溶性画分であって、少なくとも約0.5mg/mLの濃度の前記タンパク質加水分解組成物が、100nMのホルボール12−ミリスタート−13−アセタートで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるコレシストキニンの50%と実質的に同等以上の効力でコレシストキニン放出活性を刺激する、前記タンパク質加水分解組成物の可溶性画分。
【請求項2】
約0.05%〜約35%の加水分解度を有する、請求項1に記載のタンパク質加水分解組成物。
【請求項3】
大豆、大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、小麦、卵、動物、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるタンパク質材料に由来する、請求項1に記載のタンパク質加水分解組成物。
【請求項4】
大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、小麦、卵、乳製品、動物、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるタンパク質材料と組み合わせた大豆タンパク質材料に由来する、請求項1に記載のタンパク質加水分解組成物。
【請求項5】
大豆タンパク質材料に由来し、約0.05%〜約35%の加水分解度を有する、請求項1に記載のタンパク質加水分解組成物。
【請求項6】
細胞と、約100,000ダルトン未満の平均サイズを有するポリペプチド断片の混合物を含むタンパク質加水分解組成物の可溶性画分とを接触させることを含む、細胞のコレシストキニン放出活性の増大方法であって、少なくとも約0.5mg/mLの濃度の前記タンパク質加水分解組成物が、100nMのホルボール12−ミリスタート−13−アセタートで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるコレシストキニンの50%と実質的に同等以上の効力でコレシストキニン放出活性を刺激する、前記方法。
【請求項7】
タンパク質加水分解組成物が約0.05%〜約35%の加水分解度を有する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
タンパク質加水分解組成物が大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、小麦、卵、乳製品、動物、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるタンパク質材料と組み合わせた大豆タンパク質材料に由来する請求項6に記載の方法。
【請求項9】
タンパク質加水分解組成物が大豆タンパク質材料に由来する請求項6に記載の方法。
【請求項10】
大豆タンパク質材料が大豆抽出物、豆乳、豆乳粉末、大豆カード、脱脂大豆粉、部分脱脂大豆粉、全脂大豆粉、単離大豆タンパク質、大豆タンパク質濃縮物、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
大豆タンパク質加水分解組成物がタンパク質出発材料に酵素消化を受けさせることによって製造される請求項6に記載の方法。
【請求項12】
酵素が、ノカルジオプシス・プラシナ(Nocardiopsis prasina)からのセリンプロテアーゼ(SP1)、バチルス・リシェニフォルミス(Bacillus licheniformis)からのセリンプロテアーゼ、バチルス・リシェニフォルミス(Bacillus licheniformis)からのサブチリシンプロテアーゼ、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)からのトリプシン様プロテアーゼ、アクロモバクター・リティカス(Achromobacter lyticus)からのリジルエンドペプチダーゼ、サブチリシンプロテアーゼ2、メタロプロテアーゼ1、アスパラギン酸プロテアーゼ1、ブロメライン、サブチリシン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるエンドペプチダーゼである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
酵素がエキソペプチダーゼをさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
タンパク質加水分解組成物の可溶性画分を被験者に投与することを含む、被験者の満腹の促進方法であって、前記組成物が、約100,000ダルトン未満の平均サイズおよび約0.05%〜約35%の加水分解度を有するポリペプチド断片の混合物を含み、少なくとも約0.5mg/mLの濃度の前記タンパク質加水分解組成物が、100nMの12−ミリスタート−13−アセタートで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるコレシストキニンの50%と実質的に同等以上の効力でコレシストキニン放出活性を刺激し、投与される前記量が前記被験者による満腹感をもたらす、前記方法。
【請求項15】
(a)食用材料と、
(b)約100,000ダルトン未満の平均サイズを有するポリペプチド断片の混合物を含むタンパク質加水分解組成物の可溶性画分と
を含み、少なくとも約0.5mg/mLの濃度の前記タンパク質加水分解組成物が、100nMの12−ミリスタート−13−アセタートで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるコレシストキニンの50%と実質的に同等以上の効力でコレシストキニン放出活性を刺激する食品。
【請求項1】
約100,000ダルトン未満の平均サイズを有するポリペプチド断片の混合物を含むタンパク質加水分解組成物の可溶性画分であって、少なくとも約0.5mg/mLの濃度の前記タンパク質加水分解組成物が、100nMのホルボール12−ミリスタート−13−アセタートで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるコレシストキニンの50%と実質的に同等以上の効力でコレシストキニン放出活性を刺激する、前記タンパク質加水分解組成物の可溶性画分。
【請求項2】
約0.05%〜約35%の加水分解度を有する、請求項1に記載のタンパク質加水分解組成物。
【請求項3】
大豆、大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、小麦、卵、動物、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるタンパク質材料に由来する、請求項1に記載のタンパク質加水分解組成物。
【請求項4】
大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、小麦、卵、乳製品、動物、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるタンパク質材料と組み合わせた大豆タンパク質材料に由来する、請求項1に記載のタンパク質加水分解組成物。
【請求項5】
大豆タンパク質材料に由来し、約0.05%〜約35%の加水分解度を有する、請求項1に記載のタンパク質加水分解組成物。
【請求項6】
細胞と、約100,000ダルトン未満の平均サイズを有するポリペプチド断片の混合物を含むタンパク質加水分解組成物の可溶性画分とを接触させることを含む、細胞のコレシストキニン放出活性の増大方法であって、少なくとも約0.5mg/mLの濃度の前記タンパク質加水分解組成物が、100nMのホルボール12−ミリスタート−13−アセタートで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるコレシストキニンの50%と実質的に同等以上の効力でコレシストキニン放出活性を刺激する、前記方法。
【請求項7】
タンパク質加水分解組成物が約0.05%〜約35%の加水分解度を有する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
タンパク質加水分解組成物が大麦、キャノーラ、ルピナス、トウモロコシ、オート麦、エンドウ豆、ポテト、米、小麦、卵、乳製品、動物、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるタンパク質材料と組み合わせた大豆タンパク質材料に由来する請求項6に記載の方法。
【請求項9】
タンパク質加水分解組成物が大豆タンパク質材料に由来する請求項6に記載の方法。
【請求項10】
大豆タンパク質材料が大豆抽出物、豆乳、豆乳粉末、大豆カード、脱脂大豆粉、部分脱脂大豆粉、全脂大豆粉、単離大豆タンパク質、大豆タンパク質濃縮物、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
大豆タンパク質加水分解組成物がタンパク質出発材料に酵素消化を受けさせることによって製造される請求項6に記載の方法。
【請求項12】
酵素が、ノカルジオプシス・プラシナ(Nocardiopsis prasina)からのセリンプロテアーゼ(SP1)、バチルス・リシェニフォルミス(Bacillus licheniformis)からのセリンプロテアーゼ、バチルス・リシェニフォルミス(Bacillus licheniformis)からのサブチリシンプロテアーゼ、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)からのトリプシン様プロテアーゼ、アクロモバクター・リティカス(Achromobacter lyticus)からのリジルエンドペプチダーゼ、サブチリシンプロテアーゼ2、メタロプロテアーゼ1、アスパラギン酸プロテアーゼ1、ブロメライン、サブチリシン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるエンドペプチダーゼである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
酵素がエキソペプチダーゼをさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
タンパク質加水分解組成物の可溶性画分を被験者に投与することを含む、被験者の満腹の促進方法であって、前記組成物が、約100,000ダルトン未満の平均サイズおよび約0.05%〜約35%の加水分解度を有するポリペプチド断片の混合物を含み、少なくとも約0.5mg/mLの濃度の前記タンパク質加水分解組成物が、100nMの12−ミリスタート−13−アセタートで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるコレシストキニンの50%と実質的に同等以上の効力でコレシストキニン放出活性を刺激し、投与される前記量が前記被験者による満腹感をもたらす、前記方法。
【請求項15】
(a)食用材料と、
(b)約100,000ダルトン未満の平均サイズを有するポリペプチド断片の混合物を含むタンパク質加水分解組成物の可溶性画分と
を含み、少なくとも約0.5mg/mLの濃度の前記タンパク質加水分解組成物が、100nMの12−ミリスタート−13−アセタートで4時間刺激されたSTC−1細胞によって放出されるコレシストキニンの50%と実質的に同等以上の効力でコレシストキニン放出活性を刺激する食品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図4H】
【公表番号】特表2012−513771(P2012−513771A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544614(P2011−544614)
【出願日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/069867
【国際公開番号】WO2010/078461
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(504140299)ソレイ リミテッド ライアビリティ カンパニー (42)
【出願人】(500586299)ノボザイムス アクティーゼルスカブ (164)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/069867
【国際公開番号】WO2010/078461
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(504140299)ソレイ リミテッド ライアビリティ カンパニー (42)
【出願人】(500586299)ノボザイムス アクティーゼルスカブ (164)
【Fターム(参考)】
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