説明

CMデータ再生装置および記録媒体

【課題】 CMの広告としての効果を低下させずに、CMデータを選択的に再生できるCMデータ再生装置を提供する。
【解決手段】 通信衛星からの電波をアンテナ100を介して受信して、装置内部用の信号に変換するチューナ1と、ディジタル放送データに付随して送信されてくるデータ付属情報にしたがって、ディジタル放送データ中の多重化された番組データおよびCMデータを分離するデータ分離部2と、ディスプレイ101で放映する番組データにCMデータを挿入するデータ合成部3と、各番組データおよび各CMデータに施された高能率符号化処理等をデコードしてディスプレイ101へ出力するデコーダ4と、データ分離部2で分離された番組データの記録再生を行う番組データ記録再生部5と、データ分離部2で分離されたCMデータの記録再生を行うCMデータ記録再生部6と、装置内各部の動作を制御する制御部7とを備える。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディジタルデータとして記録されたCMデータを再生するCMデータ再生装置、および、前記CMデータ再生装置の各手段の機能の全部または一部をコンピュータに実行させるプログラムを格納する記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】デジタル放送は、高能率圧縮された複数の番組のデジタルデータを時分割多重化した状態でデジタル放送波とし、衛星放送等を介して放送するものであり、既に一部の国において実用化されており、日本においても実用化に向けて種々の技術検討が行われている。
【0003】このような多重化されたディジタル放送データである番組は、一般的には視聴することに対して課金されるものであり、予め契約をしたユーザ、または、番組毎に料金を支払ったユーザに対して視聴できるようにされたものである。これに対して、従来のテレビ・ラジオの民放の番組のように、番組中にCMを挿入することによって、課金が行われない番組、または、CMを挿入されない番組より低料金の番組を放映することも考えられている。
【0004】CMの挿入方法としては、番組データの一部としてCMデータを取扱い、番組データとCMデータとを一体として転送、記録、再生等の処理を行う方法が一般的である。
【0005】一方、上記デジタル放送においては、従来のアナログテレビ放送に比べ、はるかに多くの番組が同時に放映されるため、ユーザーが視聴したいと思う番組全てをリアルタイムで視聴することは困難になってくる。したがって、蓄積装置に一時的に記録蓄積しておいて、適宜再生して視聴するという視聴方法が不可欠となることが予想される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来のCMの挿入方法においては、番組データとCMデータとが一体であることに起因する課題を有している。
【0007】すなわち、CMが挿入されて無料もしくは低料金になった番組であっても、一時蓄積後再生して視聴する場合においては、ユーザーがCM部分を早送りもしくはスキップしてしまうと、CMの広告としての効果が低下してしまうもしくはなくなってしまうので、CMを挿入して無料もしくは低料金とする意味が無くなってしまう。そうなると、スポンサーはCM提供に対して消極的になり、CMが挿入されない有料の番組が増加することとなる。
【0008】また、ユーザー側からすれば、CMが挿入されて無料もしくは低料金になる番組が増加することを期待している者は多い。さらに、番組毎に、CM無しで有料、CM挿入で無料もしくは低料金、を選択して視聴したいというニーズも生じてくる。
【0009】本発明は、このような従来のCMの挿入方法が有する上述した課題を考慮して、CMの広告としての効果を低下させずに、CMデータを選択的に再生できるCMデータ再生装置を提供することを目的とするものである。
【0010】また、前記CMデータ再生装置の各手段の機能の全部または一部をコンピュータに実行させるプログラムを格納する記録媒体を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するため、第1の本発明(請求項1に記載の本発明に対応)は、ディジタルデータとして記録されたCMデータの全部または一部を、主データの映像出力時および/または音声出力時に、前記主データの所定箇所を特定する情報にしたがって、自動的に前記所定箇所に挿入して再生するCM挿入再生手段を備えることを特徴とするCMデータ再生装置である。
【0012】また、第2の本発明(請求項16に記載の本発明に対応)は、本発明のCMデータ再生装置の各手段の機能の全部または一部をコンピュータに実行させるプログラムを格納することを特徴とする記録媒体である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0014】(第1の実施の形態)まず、本発明の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】図1は、本発明の第1の実施の形態におけるCMデータ再生装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態におけるCMデータ再生装置は、ディジタル放送の番組データを本発明の主データとする装置である。
【0016】図1に示すように、本実施の形態におけるCMデータ再生装置は、放送局からの電波をアンテナ100を介して受信して、装置内部用の信号に変換するチューナ1と、ディジタル放送データに付随して送信されてくるデータ付属情報にしたがって、ディジタル放送データ中の多重化された番組データおよびCMデータを分離するデータ分離部2と、ディスプレイ101で放映する番組データにCMデータを挿入するデータ合成部3と、各番組データおよび各CMデータに施された高能率符号化処理等をデコードしてディスプレイ101へ出力するデコーダ4と、データ分離部2で分離された番組データの記録再生を行う番組データ記録再生部5と、データ分離部2で分離されたCMデータの記録再生を行うCMデータ記録再生部6と、装置内各部の動作を制御する制御部7とを備えている。
【0017】なお、本実施の形態におけるCMデータ再生装置において、データ合成部3の機能の一部とCMデータ記録再生部6の機能の一部とは、本発明のCM挿入再生手段の機能に対応するものであり、CMデータ記録再生部6の機能の一部は、本発明のCM記録手段の機能に対応するものである。また、CMデータ記録再生部6の機能は、本発明の主データ記録再生手段の機能に対応するものである。
【0018】以上のように構成された本実施の形態におけるCMデータ再生装置について、その動作を説明する。
【0019】まず、ディジタル放送データを受信して、番組データとCMデータとを記録する場合の動作について説明する。
【0020】チューナ1は、アンテナ100を介して、放送局からのディジタル放送波を受信し、そのディジタル放送波を増幅し、周波数変換した後、信号波形を整形して復調し、信号の誤りを訂正して、装置内で使用するディジタル放送データとして、データ分離部2へ出力する。データ分離部2は、チューナ1から出力されたディジタル放送データ中の多重化された番組データおよびCMデータを分離して、それぞれ番組データ記録再生部5は、分離された番組データを記録し、CMデータ記録再生部6は、分離されたCMデータを記録する。
【0021】上記記録動作と並行して、チューナ1から出力されたディジタル放送データ中の番組データを視聴する場合は、多重化された番組データのうちのどの番組を視聴するかをユーザが操作手段(図示せず)によって選択し、これをもとに制御部7は、データ分離部2にその番組のデータを選択させ、データ合成部3へ出力させる。これとともに、制御部7は、選択された番組に対応するCMデータを、データ分離部2によって前記ディジタル放送データ中から選択させ、データ合成部3へ出力させる。なお、選択された番組に対応するCMデータは、CMデータ記録再生部6によって予め記録されていたCMデータを選択して再生するとしてもよい。データ合成部3は、選択された番組データの所定箇所に選択されたCMデータを挿入して、デコーダ4へ出力する。デコーダ4は、このデータを復号して、ディスプレイ101、スピーカ102等へ出力する。
【0022】次に、記録された番組データと記録されたCMデータとを再生して視聴する場合の動作について説明する。
【0023】記録されている番組データのうち、どの番組を視聴するかを、ユーザが操作手段(図示せず)によって選択し、再生を指示すると、制御部7は、この指示にしたがって、番組データ記録再生部5に当該番組データを選択して再生させるとともに、CMデータ記録再生部6に当該番組に対応するCMデータを選択して再生させる。これらのデータは、データ合成部3へ出力される。データ合成部3は、選択された番組データの所定箇所に選択されたCMデータを挿入して、デコーダ4へ出力する。デコーダ4は、このデータを復号して、ディスプレイ101、スピーカ102等へ出力する。
【0024】なお、番組に対応するCMデータを選択する方法としては、番組データの特定場所(例えば、PSI(Program Specific Information:番組仕様情報)パケット中)に書き込まれている番組の識別子(本発明の主データ付加情報に対応;番組自体の特定に限らず、番組の種類等の区分けも可能なもの)と対応した識別子(本発明のCM付加情報に対応;CMデータ自体の特定に限らず、CMデータの種類等の区分けも可能なもの)をCMデータの特定場所(例えば、PSIパケット中)に書き込んでおき、データ合成部3またはCMデータ記録再生部6は、両識別子を参照して、選択するCMデータを特定することが挙げられる。この場合、番組の識別子に対応する識別子が書き込まれたCMデータがない場合は、CMデータの挿入は行われない。また、同じ番組に対応するCMデータが多数ある場合は、一番組中にできるだけ同じCMデータを挿入しない、新しいものから挿入する等の条件付けを行って、特定するとしてもよい。
【0025】また、既に再生した番組を再度再生して視聴する場合は、1回目の再生で既にCMデータが挿入されているので、CMデータ挿入は行わないとしてもよい。1回目の再生であっても、オンエアされた時期から長い期間経過した後に1回目の再生が行われるものについても、CMデータ挿入は行わないとしてもよい。また、2回目以降の再生の場合は、前回以前で挿入したCMデータとは別のCMデータ(例えば、最新バージョンのCMデータ)を挿入するとしてもよい。
【0026】さらに、装置が設置されている地域を特定する情報、設置されている家庭に関する情報等(本発明のユーザ情報に対応)を予め記憶しておく装置側記憶手段(図示せず)を備えて、それらの情報に対応する識別子(本発明の地域特定情報に対応)が書き込まれたCMデータを選択するとしてもよい。衛星放送は、全地域同じ内容のデータしか送信できないため、このようにして地域に合わせたCMを流せることは有効である。なお、この場合、上述したような番組の識別子による選択と併用する必要はない(併用してもよい)。
【0027】なお、CMデータの挿入位置を特定する方法としては、番組データ中のCMデータが挿入される所定箇所の、直前および/または直後のパケットに識別子を書き込んでおき、これによって所定箇所を特定することが挙げられる。
【0028】以上説明したように、本実施の形態におけるCMデータ再生装置は、番組内容、ユーザ情報等に応じたCMデータの挿入が行える。したがって、本実施の形態におけるCMデータ再生装置は、CMの広告としての効果を低下させずに、CMデータを選択的に再生できるものであることがわかる。
【0029】なお、本実施の形態においては、番組データとCMデータとが、一緒に送信されてくるとして説明したが、これに限るものではなく、別々に送信されてくるとしてもよい。
【0030】また、本実施の形態におけるCMデータ再生装置に、蓄積された番組データを再生する場合、CMを早送りおよびスキップさせない機能を付加することによって、必ずCMが再生されることを保証するCMデータ再生装置を実現することができる。
【0031】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態が上述した第1の実施の形態と異なる点は、本発明のポイント累計手段および累計計算結果出力手段とを備えることに関する点である。したがって、本実施の形態において、特に説明のないものについては、第1の実施の形態と同じとし、第1の実施の形態と同じ呼称の構成部材については、特に説明のない限り、第1の実施の形態と同様の機能を持つものとする。また、第1の実施の形態において説明した各変形例についても、特にことわらない限り、同様の変形を行うことによって、本実施の形態に適用されるものとする。
【0032】図2は、本発明の第2の実施の形態におけるCMデータ再生装置の構成を示すブロック図である。
【0033】図2に示すように、本実施の形態におけるCMデータ再生装置は、放送局からの電波をアンテナ100を介して受信して、装置内部用の信号に変換するチューナ11と、ディジタル放送データに付随して送信されてくるデータ付属情報にしたがって、ディジタル放送データ中の多重化された番組データおよびCMデータを分離するデータ分離部12と、ディスプレイ101で放映する番組データにCMデータを挿入するデータ合成部13と、各番組データおよび各CMデータに施された高能率符号化処理等をデコードしてディスプレイ101へ出力するデコーダ14と、データ分離部12で分離された番組データの記録再生を行う番組データ記録再生部15と、データ分離部12で分離されたCMデータの記録再生を行うCMデータ記録再生部16と、装置内各部の動作を制御する制御部17と、ユーザの操作により、早送り、スキップ等の再生動作を制御部17に指示するとともに、CMデータが挿入される時間上および/または画面上の位置を変更、追加および/または削除する操作部18と、番組データ毎に予め付与された番組データポイント(本発明の主データポイントに対応)と、CMデータ毎に予め付与されたCMポイントとをそれぞれ、再生状態に従って、累積計算して、その結果を、受信者の番組ポイント/CMポイントを管理しているプロバイダへ、出力するポイント管理部19と、ネットワーク(例えば、電話回線)を介してポイント管理部19とプロバイダ側とのデータ転送を行うネットワークI/F20とを備えている。
【0034】なお、本実施の形態におけるCMデータ再生装置において、操作部18の機能の一部は、本発明の挿入位置変更手段の機能に対応するものであり、ポイント管理部19の機能は、本発明のポイント累計手段および累積計算結果出力手段の機能に対応するものである。
【0035】以上のように構成された本実施の形態におけるCMデータ再生装置について、その動作を説明する。
【0036】ディジタル放送データを受信して、番組データとCMデータとを記録する場合の動作については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0037】記録された番組データと記録されたCMデータとを再生して視聴する場合の動作について説明する。
【0038】記録されている番組データのうち、どの番組を視聴するかを、ユーザが操作手段(図示せず;操作部18が当該機能を有しているとしてもよい)によって選択し、再生を指示すると、制御部17は、この指示にしたがって、番組データ記録再生部15に当該番組データを選択して再生させるとともに、CMデータ記録再生部16に当該番組に対応するCMデータを選択して再生させる。これらのデータは、データ合成部13へ出力される。データ合成部13は、選択された番組データの所定箇所に選択されたCMデータを挿入して、デコーダ14へ出力する。デコーダ14は、このデータを復号して、ディスプレイ101、スピーカ102等へ出力する。このとき、ポイント管理部19は、データ合成部13から制御部17経由で、デコーダ14へ出力された、番組データに対応する番組データポイントおよびCMデータに対応するCMポイントを入手して、これらを累積計算する。
【0039】ユーザーは、CMデータが挿入再生されると、操作部18により、早送り、スキップ等の再生動作に関する指示を装置に対して行うことができる。これらの指示が行われると、制御部17は、この指示にしたがって、データ合成部13またはCMデータ記録再生部16の動作を制御して、ディスプレイ101、スピーカ等への出力を前記指示にしたがったものにする。このように、通常再生以外の再生状態でCMデータが挿入された、もしくは、CMデータが挿入されなかった場合は、ポイント管理部19はCMポイントの累積計算を行わない(制御部7が当該CMポイントをポイント管理部19へ出力しないとしてもよい)。
【0040】ポイント管理部19は、番組データポイントおよびCMポイントそれぞれの累積計算結果を、定期的または不定期に、ネットワークI/F20およびネットワークを介して、プロバイダに対して送信する。プロバイダは、これらの累積計算結果に基づいて、課金金額を設定して、ユーザーの銀行口座からの引き落とし等の方法によって、ユーザーから課金の徴収を行う。また、プロバイダは、CMデータ毎のCMポイントを集計した結果に応じて、CM供給元に対して広告料金を請求することもできる。課金金額設定の方法としては、例えば、番組毎に、CMポイントの累計が番組データポイントの累計を上回った場合には無料とし、下回った場合にはポイント差に応じて課金金額を設定するという方法が挙げられる。
【0041】なお、番組および/またはCMの新鮮さに対する格差をつけるために、番組データがオンエアされた日からの経過日数にしたがって、番組データポイントを低下させるまたは0とするとしてもよい。また、番組ポイントは、番組を一定区間毎に分割し、この一定区間毎にに設定するとしてもよい。さらに、番組データポイントとCMポイントとの関係(例えば、番組データポイントとCMポイントとの差)を適宜表示することができる表示手段を備えるとしてもよい。
【0042】一方、ユーザは、操作部18により、CMデータが挿入される時間上および/または画面上の位置を変更、追加および/または削除する指示を装置に対して行うことができる。これらの指示が行われると、制御部17は、この指示にしたがって、データ合成部13の動作を制御して、ディスプレイ101、スピーカ等への出力を前記指示にしたがったものにする。例えば、番組データを流しながら、ディスプレーの一部に小画面として、または、テロップもしくは音声のみ等として、CMを流すことができる。また、スポーツの実況生中継を番組データとして扱う場合、ユーザの選択により、ゲームの中断時にCMデータを挿入することができる。このようなCMデータ挿入形態の違いによって、前述したCMポイントを設定しておけば、CMデータ挿入形態の違いに応じた課金を行うことができる。
【0043】以上説明したように、本実施の形態におけるCMデータ再生装置は、番組内容、ユーザ情報等に応じたCMデータの挿入が行えることに加えて、ユーザがCMの挿入形態を選択することができ、プロバイダがそれに応じた課金を行うことができる。したがって、本実施の形態におけるCMデータ再生装置は、第1の実施の形態におけるCMデータ再生装置より、さらに、CMの広告としての効果を低下させずに、CMデータを選択的に再生できるものであることがわかる。
【0044】(第3の実施の形態)次に、本発明の第3の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態が上述した第1の実施の形態と異なる点は、本発明のユーザ情報が本発明のIDカード情報を含んでいることに関する点である。したがって、本実施の形態において、特に説明のないものについては、第1の実施の形態と同じとし、第1の実施の形態と同じ呼称の構成部材については、特に説明のない限り、第1の実施の形態と同様の機能を持つものとする。また、第1の実施の形態において説明した各変形例についても、特にことわらない限り、同様の変形を行うことによって、本実施の形態に適用されるものとする。
【0045】図3は、本発明の第3の実施の形態におけるCMデータ再生装置の構成を示すブロック図である。
【0046】図3に示すように、本実施の形態におけるCMデータ再生装置は、放送局からの電波をアンテナ100を介して受信して、装置内部用の信号に変換するチューナ31と、ディジタル放送データに付随して送信されてくるデータ付属情報にしたがって、ディジタル放送データ中の多重化された番組データおよびCMデータを分離するデータ分離部32と、ディスプレイ101で放映する番組データにCMデータを挿入するデータ合成部33と、各番組データおよび各CMデータに施された高能率符号化処理等をデコードしてディスプレイ101へ出力するデコーダ34と、データ分離部32で分離された番組データの記録再生を行う番組データ記録再生部35と、データ分離部32で分離されたCMデータの記録再生を行うCMデータ記録再生部36と、装置内各部の動作を制御する制御部37と、IDカードに記憶されているIDカード情報を読み取るIDカード読取部38とを備えている。
【0047】以上のように構成された本実施の形態におけるCMデータ再生装置について、その動作を説明する。
【0048】ディジタル放送データを受信して、番組データとCMデータとを記録する場合の動作については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0049】記録された番組データと記録されたCMデータとを再生して視聴する場合の動作について説明する。
【0050】ユーザは、まず、自分用のIDカードをIDカード読取部38にセットした後、記録されている番組データのうち、どの番組を視聴するかを、ユーザが操作手段によって選択し、再生を指示する。制御部37は、この指示にしたがって、番組データ記録再生部35に当該番組データを選択して再生させるとともに、IDカード読取部38にIDカード情報を読み取らせ、CMデータ記録再生部36に当該IDカード情報に対応する識別子(CM付加情報)を有するCMデータを選択して再生させる。これらのデータは、データ合成部33へ出力される。データ合成部33は、選択された番組データの所定箇所に選択されたCMデータを挿入して、デコーダ34へ出力する。デコーダ34は、このデータを復号して、ディスプレイ101、スピーカ102等へ出力する。なお、CMデータの選択については、第1の実施の形態で説明した、番組に対応するCMデータの選択方法と、IDカード情報に対応するCMデータの選択方法を併用するとしてもよい。
【0051】このように、ユーザによって、挿入するCMデータを選択できるようにすることにより、年齢別、性別、趣味別等、いろいろな種類訳がされたCMデータから、ユーザに適したCMデータを選択して挿入することが可能となる。したがって、本実施の形態におけるCMデータ再生装置は、第1の実施の形態におけるCMデータ再生装置より、さらに、CMの広告としての効果を低下させずに、CMデータを選択的に再生できるものであることがわかる。
【0052】なお、本実施の形態においては、IDカードに記憶されているIDカード情報にしたがって、CMデータを選択するとして説明したが、これに限るものではなく、例えば、装置を使用することが想定されるユーザのユーザ情報を予め記憶手段に記憶させておき、装置操作用のリモコンに設置された指紋検出器の出力(本発明の指紋識別情報に対応)、前記リモコンまたは装置本体に設置された音声認識器の出力(本発明の音声識別情報に対応)等をもとにユーザを特定し、そのユーザのユーザ情報を記憶手段から呼び出して、呼び出したユーザ情報とCM付加情報とを比較した結果にしたがって、CMデータを選択するとしてもよい。また、IDカード情報、指紋検出器の出力、音声認識器の出力を併用して、CMデータを選択するとしてもよい。
【0053】また、本実施の形態におけるCMデータ再生装置およびその変形例は、第1の実施の形態におけるCMデータ再生装置またはその変形例に、本発明のユーザ情報が本発明のIDカード情報、指紋識別情報および/または音声識別情報を含んでいることに関する機能を追加したものであるとして説明したが、第2の実施の形態におけるCMデータ再生装置またはその変形例に、これらの機能を追加したものであってもよい。
【0054】(第4の実施の形態)次に、本発明の第4の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態が上述した第2の実施の形態と異なる点は、パッケージメディア再生との連携を行うことに関する点である。したがって、本実施の形態において、特に説明のないものについては、第2の実施の形態と同じとし、第2の実施の形態と同じ呼称の構成部材については、特に説明のない限り、第2の実施の形態と同様の機能を持つものとする。また、第2の実施の形態において説明した各変形例についても、特にことわらない限り、同様の変形を行うことによって、本実施の形態に適用されるものとする。
【0055】図4は、本発明の第4の実施の形態におけるCMデータ再生装置の構成を示すブロック図である。
【0056】図4に示すように、本実施の形態におけるCMデータ再生装置は、放送局からの電波をアンテナ100を介して受信して、装置内部用の信号に変換するチューナ51と、ディジタル放送データに付随して送信されてくるデータ付属情報にしたがって、ディジタル放送データ中の多重化された番組データおよびCMデータを分離するデータ分離部52と、ディスプレイ101で放映する番組データまたはパッケージメディア(DVD等)に収められているデータ(以下、「メディアデータ」と称す)にCMデータを挿入するデータ合成部53と、各番組データもしくは各メディアデータおよび各CMデータに施された高能率符号化処理等をデコードしてディスプレイ101へ出力するデコーダ54と、データ分離部52で分離された番組データの記録再生を行う番組データ記録再生部55と、データ分離部52で分離されたCMデータの記録再生を行うCMデータ記録再生部56と、装置内各部の動作を制御する制御部57と、CMデータが挿入される時間上および/または画面上の位置を変更、追加および/または削除する操作部58と、番組データ毎に予め付与された番組データポイント(本発明の主データポイントに対応)と、CMデータ毎に予め付与されたCMポイントとをそれぞれ、再生状態に従って、累積計算して、その結果をプロバイダへ出力するポイント管理部59と、ネットワーク(例えば、電話回線)を介してポイント管理部59とプロバイダ側とのデータ転送を行うネットワークI/F60と、メディアデータを再生するパッケージメディア再生部61とを備えている。
【0057】以上のように構成された本実施の形態におけるCMデータ再生装置について、その動作を説明する。
【0058】ディジタル放送データを受信して、番組データとCMデータとを記録する場合の動作、および、記録された番組データと記録されたCMデータとを再生して視聴する場合の動作については、第2の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0059】メディアデータを再生する際に、記録されたCMデータを挿入して視聴する場合の動作について説明する。
【0060】ユーザは、メディアデータを再生する際に、操作手段(図示せず;操作部58が当該機能を有しているとしてもよい)によってCMデータを挿入するか否かを選択する。CMデータを挿入することが選択されると、制御部57は、パッケージメディア再生部58に当該メディアデータを再生させるとともに、CMデータ記録再生部56に当該メディアデータに対応するCMデータを選択して再生させる。これらのデータは、データ合成部53へ出力される。データ合成部53は、当該メディアデータの所定箇所に選択されたCMデータを挿入して、デコーダ54へ出力する。デコーダ54は、このデータを復号して、ディスプレイ101、スピーカ102等へ出力する。このとき、ポイント管理部59は、データ合成部53から制御部57経由で、デコーダ54へ出力されたCMデータに対応するCMポイントを入手して累積計算する。
【0061】ポイント管理部59は、CMポイントの累積計算結果を、定期的または不定期に、ネットワークI/F20およびネットワークを介して、プロバイダに対して送信する。プロバイダは、メディアデータに挿入されたCMデータの累積計算結果に基づいて、割引金額を設定して、放送のサービスに関わるユーザー毎の課金合計からこの割引金額を差し引くことによって、CM視聴に対するペイバックを行う。また、プロバイダは、メディアデータに挿入されたCMデータ毎のCMポイントを集計した結果に応じて、CM供給元に対して広告料金を請求することもできる。なお、このメディアデータに挿入されたCMデータの累積計算結果に対しては、プロバイダは上記のような課金操作は何も行わずに、ユーザを特定する情報とともに、パッケージメディアの配給元に転送して、パッケージメディアの配給元が、パッケージメディア配給に対しての課金について、上記のような課金操作を行うとしてもよい。
【0062】なお、メディアデータに対応するCMデータを選択する方法およびCMデータの挿入位置を特定する方法については、第1の実施の形態において説明した、番組に対応するCMデータを選択する方法およびCMデータの挿入位置を特定する方法において、番組データをメディアデータに置き換えたものが適用できる。
【0063】このように、本実施の形態におけるCMデータ再生装置は、パッケージメディア再生との連携を行うことによって、第1の実施の形態におけるCMデータ再生装置より、さらに、CMの広告としての効果を低下させずに、CMデータを選択的に再生できるものであることがわかる。
【0064】なお、本実施の形態におけるCMデータ再生装置およびその変形例は、パッケージメディア再生時にCMデータを挿入することに対して、本発明のポイント累計手段および累計計算結果出力手段を用いて課金を行うものとして、第2の実施の形態におけるCMデータ再生装置またはその変形例に、パッケージメディア再生との連携に関わる機能を追加したものであるとして説明したが、これに限るものではなく、例えば、パッケージメディアの配給元とユーザとの間に、メディアデータ再生時には必ずCMを挿入するとの契約が交わされている場合には、第1の実施の形態におけるCMデータ再生装置またはその変形例に、パッケージメディア再生との連携に関わる機能を追加したものであるとしてもよい。また、第3の実施の形態におけるCMデータ再生装置またはその変形例に、これらの機能を追加したものであってもよい。
【0065】また、本実施の形態においては、パッケージメディア再生との連携を行うとして説明したが、これに限るものではなく、例えば、CMデータ記録手段に記録されたCMデータを選択して、TV電話の画面内にテロップ、小画面等の形態で表示することで、電話料金の値引きまたは無料化を図るものでもよい。また、CMデータ記録手段に記録されたCMデータを選択して、オンデマンドサービスの利用時(利用前、利用中の待ち時間等)にCMデータを挿入することで、サービス料金の値引きまたは無料化を図るものでもよい。また、ディジタル放送の番組データとの連携に限らず、パッケージメディアの再生時、TV電話の通話時またはオンデマンドサービスの利用時それぞれ単独で、本発明の主データの映像出力時および/または音声出力時に対応するものであってもよい。
【0066】なお、本発明のCMデータ再生装置は、上述した第1〜第4の実施の形態においては、ディジタル放送を受信して、ディジタル放送データ中の番組データおよびCMデータを記録再生できるものであるとして説明したが、これに限るものではなく、例えば、記録媒体に記録されたCMデータを再生して、主データの所定箇所に挿入するものであってもよい。要するに、ディジタルデータとして記録されたCMデータの全部または一部を、主データの映像出力時および/または音声出力時に、前記主データの所定箇所を特定する情報にしたがって、自動的に前記所定箇所に挿入して再生するCM挿入再生手段を備えるCMデータ再生装置でありさえすればよい。
【0067】
【発明の効果】以上説明したところから明らかなように、請求項1〜15の本発明は、CMの広告としての効果を低下させずに、CMデータを選択的に再生できるCMデータ再生装置を提供することができる。
【0068】また、請求項16の本発明は、本発明のCMデータ再生装置の各手段の機能の全部または一部をコンピュータに実行させるプログラムを格納する記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるCMデータ再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態におけるCMデータ再生装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態におけるCMデータ再生装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態におけるCMデータ再生装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1、11、31、51 チューナ
2、12、32、52 データ分離部
3、13、33、53 データ合成部
4、14、34、54 デコーダ
5、15、35、55 番組データ記録再生部
6、16、36、56 CMデータ記録再生部
7、17、37、57 制御部
18、58 操作部
19、59 ポイント管理部
20、60 ネットワークI/F
38 IDカード読取部
61 パッケージメディア再生部
100 アンテナ
101 ディスプレイ
102 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ディジタルデータとして記録されたCMデータの全部または一部を、主データの映像出力時および/または音声出力時に、前記主データの所定箇所を特定する情報にしたがって、自動的に前記所定箇所に挿入して再生するCM挿入再生手段を備えることを特徴とするCMデータ再生装置。
【請求項2】 前記CMデータは、前記主データもしくは別の主データとともに送信されてきたものであり、前記CMデータを前記主データとは別に記録するCM記録手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のCMデータ再生装置。
【請求項3】 前記CMデータは、予め付与されたCM付加情報を有しており、前記CM挿入再生手段は、前記CM付加情報にしたがって、前記所定箇所に挿入して再生する前記CMデータを選択することを特徴とする請求項1または2に記載のCMデータ再生装置。
【請求項4】 前記CM付加情報は、装置本体が設置されている地域に応じて前記選択されるCMデータを示す地域特定情報を含むことを特徴とする請求項3に記載のCMデータ再生装置。
【請求項5】 前記CM挿入再生手段は、ユーザおよび/または装置に関する情報であるユーザ情報と前記CM付加情報とを比較した結果にしたがって、前記CMデータを選択することを特徴とする請求項3または4に記載のCMデータ再生装置。
【請求項6】 前記ユーザ情報は、ユーザを特定するIDカードに記憶されているIDカード情報、ユーザの指紋検出に基づく指紋識別情報、および/または、ユーザの音声認識に基づく音声識別情報を含むことを特徴とする請求項5に記載のCMデータ再生装置。
【請求項7】 前記主データは、予め付与された主データ付加情報を有しており、前記CM挿入再生手段は、前記主データ付加情報と前記CM付加情報とを比較した結果にしたがって、前記CMデータを選択することを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のCMデータ再生装置。
【請求項8】 前記主データの映像出力時および/または音声出力時は、記録された前記主データの再生時であり、前記CM挿入再生手段は、前記主データの再生回数もしくは再生時期にしたがって、前記CMデータのうち最新のものを優先的に選択することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のCMデータ再生装置。
【請求項9】 前記CMデータが挿入される前記所定箇所の位置を、操作により、設定変更、追加および/または削除する、および/または、前記CMデータが挿入される画面上の位置を操作により変更する挿入位置変更手段を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のCMデータ再生装置。
【請求項10】 前記主データは、ディジタル放送の番組データであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のCMデータ再生装置。
【請求項11】 前記主データを記録再生する主データ記録再生手段を備えることを特徴とする請求項10に記載のCMデータ再生装置。
【請求項12】 前記主データの映像出力時および/または音声出力時とは、パッケージメディアの再生時、TV電話の通話時、および/または、オンデマンドサービスの利用時であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のCMデータ再生装置。
【請求項13】 前記主データ毎に予め付与された主データポイントと、前記CMデータ毎に予め付与されたCMポイントとをそれぞれ、再生状態に従って、累積計算するポイント累計手段を備えることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のCMデータ再生装置。
【請求項14】 前記ポイント累計手段は、前記CMデータを加速再生またはスキップした場合は、前記CMポイントを累積計算しないことを特徴とする請求項13に記載のCMデータ再生装置。
【請求項15】 前記ポイント累計手段の累積計算結果を、外部へ出力する累積計算結果出力手段を備えることを特徴とする請求項13または14に記載のCMデータ再生装置。
【請求項16】 請求項1〜15のいずれかに記載の、各手段の機能の全部または一部をコンピュータに実行させるプログラムを格納することを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2000−165335(P2000−165335A)
【公開日】平成12年6月16日(2000.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−333215
【出願日】平成10年11月24日(1998.11.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】