説明

CNS障害の治療に有用な新規なベンゾトリアゾール誘導体

本発明は、CNS障害の動物モデルに有効な、新規なベンゾトリアゾール誘導体、したがって、CNS(中枢神経系)疾患又は障害の予防又は治療のための価値ある候補に関する。他の態様では、本発明は、本発明のベンゾトリアゾール誘導体を含む医薬組成物及び治療への応用のためのこれらの化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、驚くべきことにCNS障害の動物モデルに有効であることが見出され、したがって、CNS(中枢神経系)疾患又は障害の予防又は治療にとって価値ある候補である新規なベンゾトリアゾール誘導体を包含する。
【背景技術】
【0002】
てんかんは、人口の0.5〜1.0%を冒し、再発性特発てんかん発作を特徴とする一般的な神経障害である。多数の抗てんかん薬が市販されているが、てんかん患者のほぼ30%が、市販薬によって不適切に治療されたままであると現在推定されている。さらに、てんかん薬の多くは、不快な副作用を引き起こす。したがって、治療抵抗性の患者における使用のための新たな抗てんかん薬を特定する明らかな必要性がある。
【0003】
本態性振戦は、人口の3〜4%を冒す最も一般的な運動障害の1つである。その障害の高い有病率及び限られた治療のために、可能性のある新たな治療剤の探索は、非常に重要である。本態性振戦のための最も一般的な動物モデルの1つは、ハルマリンにより誘発された振戦である。ハルマリンは、本態性振戦に罹っている患者において活動増加を示す同じ系である、下オリーブ核系に作用することにより全身性振戦を誘発する(Patersonら、Eur J Pharmacol 2009年、616巻(1〜3号);73〜80頁)。
【0004】
国際公開第2008/132139号及び国際公開第2008/132142号には、てんかんを含む種々のCNS障害の治療に有用な特定のヘテロ環式誘導体が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、驚くべきことにCNS障害の動物モデルにおいて有効であることが見出された新規なベンゾトリアゾール誘導体を提供することを主題とする。
【0006】
さらなる目的は、より最適な薬力学的及び/又は薬物動態学的特性(速度論的挙動、生物学的利用能、溶解度、効力及び/副作用など)を有する化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その第1の態様では、本発明は、式I
【化1】


により表される新規なベンゾトリアゾール誘導体、その立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、式中、
、R、R及びRの少なくとも1個は、ハロ、シアノ又はSOCHを表し;R、R、R及びRのその他のものは、互いに独立して、水素、ハロ、シアノ又はSOCHを表し;Rは、水素、ハロ又はアルキルを表し;
Xは、イミダゾール基、又は基−(CO)N(R,R)(ここで、R及びRは、互いに独立して、水素又はアルキルを表す)を表すか;或いは
、R、R及びRはすべて、水素を表し;
・Xはイミダゾール基を表し;
は、水素、ハロ若しくはアルキルを表すか;又は
・Rは、ハロ、エチル、n−プロピル、イソプロピル若しくはイソブチルを表し;
Xは、基−(CO)N(R,R)(ここで、R及びRは、互いに独立して、水素又はアルキルを表す)を表す。
【0008】
第2の態様では、本発明は、少なくとも1種の薬学的に許容される担体又は賦形剤と一緒に、治療有効量の本発明のベンゾトリアゾール誘導体、又はその薬学的に許容される付加塩を含む薬学的組成物を提供する。
【0009】
別の態様から見れば、本発明は、ヒトを含む哺乳動物の疾患又は障害又は状態を治療、予防又は緩和するための医薬組成物/薬剤の製造のための本発明のベンゾトリアゾール誘導体、又はその薬学的に許容される付加塩の使用であって、その疾患、障害又は状態が、抗痙攣薬に応答性である、上記使用に関する。
【0010】
さらに別の態様では、本発明は、ヒトを含む動物生体の疾患、障害又は状態を治療、予防又は緩和する方法であって、その疾患、障害又は状態がCNSの変調に応答性であり、その方法が、それを必要としているこのような動物生体に、本発明のベンゾトリアゾール誘導体の治療有効量を投与する段階を含む、上記方法を提供する。
【0011】
本発明の他の目的は、以下の詳細な説明及び実施例から当業者に明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ベンゾトリアゾール誘導体
その第1の態様では、本発明は、式I
【化2】


により表される新規なベンゾトリアゾール誘導体、その立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される塩を提供し、式中、
、R、R及びRの少なくとも1個は、ハロ、シアノ又はSOCHを表し;R、R、R及びRのその他のものは、互いに独立して、水素、ハロ、シアノ又はSOCHを表し;Rは、水素、ハロ又はアルキルを表し;
Xは、イミダゾール基、又は基−(CO)N(R,R)(ここで、R及びRは、互いに独立して、水素又はアルキルを表す)を表すか;或いは
、R、R及びRはすべて、水素を表し;
・Xはイミダゾール基を表し;
は、水素、ハロ若しくはアルキルを表すか;又は
・Rは、ハロ、エチル、n−プロピル、イソプロピル若しくはイソブチルを表し;
Xは、基−(CO)N(R,R)(ここで、R及びRは、互いに独立して、水素又はアルキルを表す)を表す。
【0013】
好ましい実施形態では、本発明のベンゾトリアゾール誘導体は、R、R、R及びRの少なくとも1個が、ハロ、シアノ又はSOCHを表し;R、R、R及びRのその他のものが、互いに独立して、水素、ハロ、シアノ又はSOCHを表す式Iの化合物、その立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0014】
より好ましい実施形態では、R、R、R及びRの少なくとも1個は、ハロ又はSOCHを表し;R、R、R及びRのその他のものは、互いに独立して、水素、ハロ、シアノ又はSOCHを表す。
【0015】
別のより好ましい実施形態では、R、R、R及びRの少なくとも1個は、ハロ又はSOCHを表し;R、R、R及びRのその他の3個は、水素を表す。特別の実施形態では、Rは、ハロ、例えば、フルオロ又はクロロを表し;R、R及びRは、水素を表す。さらなる実施形態では、Rは、ハロ、例えば、ブロモ、フルオロ又はクロロを表し;R、R及びRは、水素を表す。なおさらなる実施形態では、Rは、ハロ、例えば、ブロモ又はフルオロを表し;R、R及びRは、水素を表す。さらなる実施形態では、RはSOCHを表し;R、R及びRは、水素を表す。
【0016】
第3のより好ましい実施形態では、R、R、R及びRの2個は、ハロ又はSOCHを表し;R、R、R及びRの他の2個は、水素を表す。特別の実施形態では、Rは、ハロ、例えば、フルオロを表し;Rは、ハロ、例えば、フルオロを表し;R及びRは、水素を表す。さらなる実施形態では、Rは、ハロ、例えば、フルオロを表し;Rは、ハロ、例えば、フルオロを表し;R及びRは、水素を表す。
【0017】
第4のより好ましい実施形態では、R、R、R及びRの1個は、水素を表し;R、R、R及びRの他の3個は、ハロ又はSOCHを表す。
【0018】
第5のより好ましい実施形態では、Rは、水素又はハロ、特にフルオロを表す。
【0019】
第6のより好ましい実施形態では、Rは、水素又はハロ、特にフルオロ若しくはブロモを表す。
【0020】
第7のより好ましい実施形態では、Rは、水素又はハロ又はSOCHである。
【0021】
第8のより好ましい実施形態では、Rは、水素又はハロ、特にフルオロを表す。
【0022】
さらなる実施形態では、R、R、R及びRのそれぞれは、水素を表す。特別の実施形態では、R、R、R及びRのそれぞれは、水素を表し;Xはイミダゾール基を表す。さらなる実施形態では、R、R、R及びRのそれぞれは、水素を表し;Rは、エチル、イソプロピル又はイソブチルである。
【0023】
別の好ましい実施形態では、本発明のベンゾトリアゾール誘導体は、Rが、水素、ハロ又はアルキル、特にメチル又はエチルを表す式Iの化合物、その立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0024】
より好ましい実施形態では、Rは、水素又はアルキル、特にメチル、エチル、イソプロピル若しくはイソブチルを表す。
【0025】
別のより好ましい実施形態では、Rは水素を表す。
【0026】
第3のより好ましい実施形態では、Rは、ハロ、特にフルオロを表す。
【0027】
第4のより好ましい実施形態では、Rは、アルキル、特にメチル、エチル、イソプロピル又はイソブチルを表す。
【0028】
第3の好ましい実施形態では、本発明のベンゾトリアゾール誘導体は、R、R、R及びRはすべて、水素を表し;Rは、ハロ、エチル、n−プロピル若しくはイソプロピルを表す式Iの化合物、その立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又は薬学的に許容されるその塩である。
【0029】
より好ましい実施形態では、R、R、R及びRはすべて、水素を表し;Rは、エチル、n−プロピル又はイソプロピルを表す。
【0030】
別のより好ましい実施形態では、R、R、R及びRはすべて、水素を表し;Rはエチルを表す。
【0031】
第4の好ましい実施形態では、Xがイミダゾール基、若しくは基−(CO)N(R,R)(ここで、R及びRは、互いに独立して、水素又はアルキル、特にメチルを表す)を表す式Iの化合物、その立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0032】
より好ましい実施形態では、Xはイミダゾール基を表す。
【0033】
別のより好ましい実施形態では、Xは、1H−イミダゾール−2−イル及び1H−イミダゾール−4−イルから選択されるイミダゾール基を表す。
【0034】
第3のより好ましい実施形態では、Xは1H−イミダゾール−2−イル基を表す。
【0035】
第4のより好ましい実施形態では、Xは1H−イミダゾール−4−イル基を表す。
【0036】
第5のより好ましい実施形態では、Xは、−(CO)N(R,R)(ここで、R及びRは、互いに独立して、水素又はアルキル、特にメチルを表す。
【0037】
第6のより好ましい実施形態では、Xは−(CO)NHを表す。
【0038】
第7のより好ましい実施形態では、Xは−(CO)NH(CH)を表す。
【0039】
第8のより好ましい実施形態では、Xは−(CO)N(CHを表す。
【0040】
最も好ましい実施形態では、本発明のベンゾトリアゾール誘導体は、
2−ベンゾトリアゾール−1−イル−ブチルアミド;
2−ベンゾトリアゾール−1−イル−N−メチル−ブチルアミド;
2−(6−ブロモ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−ブチルアミド;
2−(6−ブロモ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−アセトアミド;
2−(6−メタンスルホニル−ベンゾトリアゾール−1−イル)−アセトアミド;
2−(5,7−ジフルオロ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−ブチルアミド;
2−(4,6−ジフルオロ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−ブチルアミド;
2−(5,7−ジフルオロ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−アセトアミド;
2−(4,6−ジフルオロ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−アセトアミド;
2−(6−フルオロ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−プロピオンアミド;
2−(5−フルオロ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−プロピオンアミド;
2−(5−ブロモベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド;
2−(5−ブロモ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−アセトアミド;
2−(5−フルオロベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド;
2−(4−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド;
2−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−3−メチル−ブタンアミド;
2−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−4−メチル−ペンタンアミド;
2−(5−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド;
5−ブロモ−1−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)ベンゾトリアゾール;
1−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)ベンゾトリアゾール;
4,6−ジフルオロ−1−(1H−イミダゾール−2−イルメチル)ベンゾトリアゾール;又は
2−(4−フルオロベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド;
その立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0041】
さらなる実施形態では、本発明の化合物は、特定の立体異性体
(2S)−2−(5−ブロモベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド;
(2R)−2−(5−ブロモベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド;
(2R)−2−(4−フルオロベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド;又は
(2S)−2−(4−フルオロベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド;
又はその薬学的に許容される塩である。
【0042】
本明細書で記載される実施形態の2以上の任意の組合せは、本発明の範囲内と考えられる。
【0043】
置換基の定義
本発明の文脈において、ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを表す。
【0044】
本発明の文脈において、アルキル基は、一価の飽和の直鎖又は分岐の炭化水素鎖を表す。炭化水素鎖は、好ましくは1から18個の炭素原子(C1〜18−アルキル)、より好ましくは1から6個の炭素原子(C1〜6−アルキル;低級アルキル)を含み、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、第三級ペンチル、ヘキシル及びイソヘキシルを含む。好ましい実施形態では、アルキルはC1〜4−アルキル基を表し、ブチル、イソブチル、第二級ブチル、及び第三級ブチルを含む。本発明の別の好ましい実施形態では、アルキルはC1〜3−アルキル基を表し、これは、特にメチル、エチル、プロピル又はイソプロピルであってもよい。
【0045】
薬学的に許容される塩
本発明のベンゾトリアゾール誘導体は、意図される投与に適した任意の形態で提供され得る。適切な形態は、本発明の化合物の薬学的に(すなわち、生理学的に)許容される塩、及びプレドラッグ又はプロドラッグの形態を含む。
【0046】
薬学的に許容される付加塩の例には、限定されないが、非毒性の無機及び有機酸の付加塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、アコニット酸塩、アスコルビン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、桂皮酸塩、クエン酸塩、エンボン酸塩、エナント酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、フタル酸塩、サリチル酸塩、ソルビン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トルエン−p−スルホン酸塩などが含まれる。このような塩は、当技術分野で周知の及び記載された手順で形成され得る。
【0047】
薬学的に許容されないと考えられ得るシュウ酸などの他の酸は、本発明の化合物及びその薬学的に許容される酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製に有用であり得る。
【0048】
本発明のベンゾトリアゾール誘導体の金属塩には、アルカリ金属塩、例えば、カルボキシ基を含む本発明の化合物のナトリウム塩が含まれる。
【0049】
本発明の化合物の薬学的に許容されるカチオン性塩の例には、限定されないが、アニオン性基を含む本発明の化合物のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウム、コリン、リシニウム、及びアンモニウム塩などが含まれる。このようなカチオン性塩は、当技術分野で周知の及び記載された手順で形成され得る。
【0050】
本発明の文脈では、N−含有化合物の「オニウム塩」も薬学的に許容される塩として企図される。好ましい「オニウム塩」には、アルキル−オニウム塩、シクロアルキル−オニウム塩、及びシクロアルキルアルキル−オニウム塩が含まれる。
【0051】
本発明の化合物のプレドラッグ又はプロドラッグの形態の例には、その親化合物の1種又は複数の反応性基又は誘導性基において修飾された化合物を含めて、本発明による物質の適切なプロドラッグの例が含まれる。特に重要なものは、カルボキシル基、ヒドロキシル基、又はアミノ基において修飾された化合物である。適切な誘導体の例は、エステル又はアミドである。
【0052】
本発明の化合物は、薬学的に許容される溶媒、例えば、水、エタノールなどと一緒に可溶又は不溶形態で提供され得る。可溶形態には、水和形態、例えば、一水和物、二水和物、半水和物、三水和物、四水和物なども含まれ得る。一般に、可溶形態は、本発明の目的に対して不溶形態と同等であると考えられる。
【0053】
立体異性体
本発明のベンゾトリアゾール誘導体が、エナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何異性体(シス−トランス異性体)を含む種々の立体異性体の形態で存在し得ることは当業者によって理解されよう。本発明は、このような立体異性体、及びラセミ混合物を含むその任意の混合物のすべてを含む。
【0054】
ラセミ形態は、公知の方法及び技術によって光学対掌体に分割され得る。エナンチオマー化合物(エナンチオマー中間体を含む)を分離する一方法は、−化合物がキラル酸である場合、光学活性アミンを用い、酸による処理によってそのジアステレオマーの、分割された塩を遊離させることである。ラセミ体を光学対掌体に分割する別の方法は、光学活性マトリックス上のクロマトグラフィーに基づく。したがって、本発明のラセミ混合物は、例えば、D−又はL−の、例として(酒石酸塩、マンデル酸塩、又はカンファースルホン酸塩)の塩の分別結晶化によって、それらの光学対掌体に分割され得る。
【0055】
光学異性体を分割するさらなる方法は、当技術分野で公知である。このような方法は、「エナンチオマー、ラセミ体、及び分割(Enantiomers,Racemates,and Resolutions)」、John Wiley and Sons,New York(1981年)においてJaques J、Collet A、及びWilen Sにより記載されたものを含む。
【0056】
光学活性化合物は、光学的に活性な出発物質又は中間体からも調製され得る。
【0057】
標識化合物
本発明の化合物は、それらの標識又は非標識形態で使用され得る。本発明の文脈では、標識化合物は、自然に通常見出される原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する原子で置き換えられた1個又は複数の原子を有する。標識することにより、前記化合物の定量的検出が容易になる。
【0058】
本発明の標識化合物は、種々の診断法における診断ツール、放射線トレーサ、又はモニタリング剤として、及びインビボ受容体の画像化に有用であり得る。
【0059】
本発明の標識異性体は好ましくは、標識として少なくとも1つの放射線核種を含む。陽電子放出放射線核種が、利用のための候補のすべてである。本発明の文脈では、放射線核種は好ましくは、H(重水素)、H(三重水素)、11C、13C、14C、131I、125I、123I及び18Fから選択される。
【0060】
本発明の標識異性体を検出するための物理的方法は、陽電子放出断層撮影法(PET)、単一光子画像コンピュータ断層撮影法(SPECT)、磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)、磁気共鳴映像法(MRI)、及びコンピュータ体軸X線断層撮影法(CAT)、又はそれらの組合せから選択され得る。
【0061】
ベンゾトリアゾール誘導体を製造する方法
本発明のベンゾトリアゾール誘導体は、化学合成のための従来の方法、例えば、実施例で記載されるものにより調製され得る。本出願で記載されるプロセスのための出発物質は、公知であるか、又は市販の化学物質から従来の方法により容易に調製され得る。
【0062】
また、本発明の1つの化合物は、従来の方法を用いて本発明の別の化合物に変換され得る。
【0063】
本明細書に記載されている反応の最終生成物は、従来の技術、例えば、抽出、結晶化、蒸留、クロマトグラフィーなどにより単離され得る。
【0064】
生物活性
新規な抗てんかん薬の発見に用いられる動物モデルは、多数ある。これらの中で、低周波(6Hz)電気ショック発作モデルは、薬物抵抗性てんかんの潜在的モデルとして最近脚光を浴びてきており(Jerome Engel、Timothy A.Pedley、Jean Aicardi、Marc A Dichter、Solomon MosheによるEpilepsy:a comprehensive textbook、1477頁−2007年−Medical参照)、したがって、抗てんかん薬発見のための第一の重要な動物モデルである。本発明の化合物は、6Hzの発作に対して保護する顕著な活性を示した。
【0065】
本発明は、CNS疾患又は障害の予防又は治療のために価値ある候補である新規な薬剤を提供することを主題とする。本発明の化合物はまた、種々の診断法における診断ツール又はモニタリング剤として、及び特にインビボ受容体の画像化(神経画像)に有用であり、それらは標識又は非標識形態で使用され得る。
【0066】
好ましい実施形態では、本発明により企図される疾患、障害又は状態は、てんかん、てんかん原性、痙攣、発作障害、振戦、本態性振戦、ミオクローヌス、不安、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、ジルドラトゥレット症候群、うつ病、躁病、躁うつ病、精神障害、統合失調症、強迫性障害(OCD)、パニック障害、摂食障害(拒食症、過食症及び肥満症を含む)、ナルコレプシー、侵害受容、AIDS−認知症、老年性認知症、末梢性ニューロパチー、自閉症、失読症、遅発性ジスキネジー、運動過多、外傷後症候群、社会恐怖症、睡眠障害、仮性認知症、ガンザー症候群、月経前症候群、黄体期後期症候群、慢性疲労症候群、無言症、抜毛癖、時差ボケ、高血圧、不整脈、痙攣障害を含む平滑筋収縮障害、狭心症、早産、痙攣、下痢、喘息、早漏及び勃起困難、甲状腺中毒症及び褐色細胞腫を含む内分泌系障害、一過性無酸素症及び誘発性神経変性を含む神経変性障害、疼痛、軽度の、中等度の又は重度の疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、再発性疼痛、神経因性疼痛、片頭痛によって起こる疼痛、術後痛、幻肢痛、神経因性疼痛、慢性頭痛、中枢性疼痛、糖尿病性ニューロパチー関連疼痛、ヘルペス後神経痛関連疼痛、又は末梢神経損傷関連疼痛、炎症性障害(炎症性皮膚障害、座瘡、酒さを含む)、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎及び下痢、常習性薬物の使用中止によって起こる離脱症状に伴う障害(ニコチン離脱症状、ヘロイン、コカイン及びモルヒネを含むオピオイド離脱症状、ベンゾジアゼピン様薬剤を含むベンゾジアゼピン離脱症状並びにアルコールを含む)である。
【0067】
より好ましい実施形態では、疾患、障害又は状態は、てんかん、てんかん原性、痙攣、発作障害、振戦、本態性振戦、ミオクローヌス、不安、パーキンソン病、遅発性ジスキネジー、運動過多である。
【0068】
別のより好ましい実施形態では、疾患、障害又は状態は、てんかん、てんかん原性、痙攣及び発作障害である。
【0069】
第3のより好ましい実施形態では、疾患、障害又は状態は、疼痛であり、急性、慢性又は再発性の軽度、中等度又はさらに重度の疼痛、並びに片頭痛によって起こる疼痛、術後痛、及び幻肢疼痛が含まれる。疼痛は特に、神経因性疼痛、慢性頭痛、中枢性疼痛、糖尿病性ニューロパチー関連疼痛、ヘルペス後神経痛関連疼痛、又は末梢神経損傷関連疼痛であり得る。
【0070】
最後に、本発明の化合物は、常習性薬物の使用の中止によって起こる離脱症状の治療に有用であり得る。このような常習性薬物には、タバコなどのニコチン含有製品、ヘロイン、コカイン及びモルヒネなどのオピオイド、ベンゾジアゼピン及びベンゾジアゼピン様薬剤、並びにアルコールが含まれる。常習性薬物からの離脱は一般に、不安及び欲求不満、怒り、不安、集中困難、情動不安、心拍数低下及び食欲増加、並びに体重増加を特徴とする外傷的体験である。
【0071】
本文脈では、「治療」は、常習性薬物の離脱症状及び禁断の治療、予防(prevention)、予防法(prophylactics)及び緩和、並びに常習性薬物の自発的摂取低下をもたらす治療に及ぶ。
【0072】
医薬組成物
別の態様では、本発明は、本発明のベンゾトリアゾール誘導体の治療有効量を含む新規な医薬組成物を提供する。
【0073】
治療における使用のための本発明のベンゾトリアゾール誘導体は、原薬化合物(raw compound)の形態で投与され得るが、活性成分を、場合によって生理学的に許容される塩の形態で、1種又は複数のアジュバント、添加剤、担体、緩衝剤、賦形剤、及び/又は他の慣例的な医薬補助剤と一緒に、医薬組成物に導入することが好ましい。
【0074】
好ましい実施形態では、本発明は、したがって、本発明のベンゾトリアゾール誘導体、又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体を、1種又は複数の薬学的に許容される担体、並びに場合によって当技術分野で公知の及び使用される他の治療及び/又は予防成分と一緒に含む医薬組成物を提供する。担体(単数又は複数)は、製剤の他の成分と適合性であり、且つその受容者に有害でないという意味で「許容される」ものでなければならない。
【0075】
本発明の医薬組成物は、所望の治療に適する任意の都合の良い経路で投与され得る。投与の好ましい経路は、特に錠剤、カプセル剤、糖衣錠、散剤、又は液体剤形での経口投与、及び特に皮膚、皮下、筋内、又は静脈内注射での非経口投与を含む。本発明の医薬組成物は、所望の製剤に適切な標準方法及び従来技術を用いて当業者により製造され得る。所望に応じて、活性成分の持続放出を与えるように適合させた組成物を用いることができる。
【0076】
本発明の医薬組成物は、経口、直腸、気管支、鼻腔内、肺、局所(頬側及び舌下を含む)、経皮、膣若しくは非経口(皮膚、皮下、筋内、腹腔内、静脈内、動脈内、脳内、眼内注射又は注入を含む)投与に適したもの、或いは吸入若しくは吹送(粉末及び液体エアロゾル投与を含む)、又は持続放出系による投与に適した形態のものであり得る。持続放出系の適切な例には、本発明の化合物を含む固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが含まれ、そのマトリックスは成形品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態であってもよい。
【0077】
したがって、本発明の化合物を、従来のアジュバント、担体、又は賦形剤と一緒に、医薬組成物及びその単位投薬の形態中に入れることができる。このような形態には、固体剤形、特に錠剤、充填カプセル剤、散剤及びペレット剤、並びに液体剤形、特に水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、及びそれらを充填したカプセル剤(すべて経口使用のため)、直腸投与のための坐剤、及び非経口使用のための滅菌注射剤が含まれる。このような医薬組成物及びその単位剤形は、追加の活性化合物又は成分の有無にかかわらず、従来の割合で従来の成分を含み得、このような単位剤形は、用いられるべく意図された1日投与量範囲に相応した活性成分の任意の適切な有効量を含み得る。
【0078】
本発明の化合物は、多種多様の経口及び非経口剤形で投与され得る。当業者には、以下の剤形が、活性成分として、本発明の化合物又は本発明の化合物の薬学的に許容される塩のいずれかを含み得ることは明らかであろう。
【0079】
本発明の化合物から医薬組成物を調製するために、薬学的に許容される担体は、固体又は液体のいずれかであってもよい。固体形態製剤には、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散性顆粒剤が含まれる。固体担体は、賦形剤、香味剤、可溶化剤、潤沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、又はカプセル化材料としても作用し得る1種又は複数の物質であり得る。
【0080】
散剤では、担体は微粉化した活性成分との混合物である微粉化固体である。
【0081】
錠剤では、活性成分は、必要な結合能力を有する担体と適切な割合で混合され、及び所望の形状及びサイズに圧縮される。
【0082】
散剤及び錠剤は好ましくは、5又は10パーセントから約70パーセントの本活性化合物を含有する。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ショ糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバターなどである。「製剤」という用語は、活性化合物を、カプセル剤を提供する担体としてのカプセル化材料で処方することを含むことが意図され、そのカプセル剤では、活性化合物は、複数の担体を用いるか用いないで、担体により取り囲まれ、したがってそれと合体している。同様に、カシェ剤及びトローチ剤も含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、及びトローチ剤は、経口投与に適した固体剤形として使用され得る。
【0083】
坐剤を調製するために、脂肪酸グリセリド又はココアバターの混合物などの低融点ワックスを最初に融解させ、撹拌しながら、活性化合物をその中に均一に分散させる。次いで、融解させた均一混合物を都合の良い大きさの型中に注ぎ入れ、冷却させ、それにより、固化させる。
【0084】
膣投与に適した組成物は、活性成分に加えて、適切であると当技術分野で知られている担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、泡状物又はスプレー剤として提示され得る。
【0085】
液体製剤には、液剤、懸濁剤、及び乳剤、例えば、水又は水−プロピレングリコール液剤が含まれる。例えば、非経口の注射用液体製剤は、ポリエチレングリコール水溶液中の液剤として処方することができる。
【0086】
したがって、本発明による化合物は、非経口投与のための(例えば、注入法、例えば、急速静注法又は持続注入によって)処方することができ、アンプル、事前充填注射器、小容量注入の単位用量形態で又は添加保存剤を有する複数回用量容器で提示され得る。本組成物は、油性若しくは水性媒体中懸濁剤、液剤、又は乳剤としてそのような形態を取ることができ、懸濁化剤、安定剤及び/又は分散剤などの処方剤を含み得る。或いは、活性成分は、使用前の、適切な媒体、例えば、滅菌の発熱物質非含有水で構成するために、滅菌固体の無菌単離又は液剤からの凍結乾燥によって得られる粉末の形態であり得る。
【0087】
経口使用に適した水性液剤は、活性成分を水に溶解させ、所望通りに適切な着色剤、香味剤、安定剤及び増粘剤を添加することにより調製され得る。
【0088】
経口使用に適した水性懸濁剤は、微粉化した活性成分を、粘性物質、例えば、天然若しくは合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、又は他の良く知られた懸濁化剤と一緒に水中に分散させることにより作製され得る。
【0089】
使用直前に経口投与のために液体製剤への転換が意図された固体製剤も含まれる。このような液体剤形には、液剤、懸濁剤、及び乳剤が含まれる。活性成分に加えて、このような製剤は、着色剤、香味剤、安定剤、緩衝剤、人工及び天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含み得る。
【0090】
表皮への局所投与のために、本発明の化合物は、軟膏剤、クリーム剤若しくはローション剤として、又は経皮パッチとして処方することができる。軟膏剤及びクリーム剤は、例えば、適当な増粘剤及び/又はゲル化剤の添加によって水性又は油性ベースで処方され得る。ローション剤は、水性又は油性ベースで処方され得、一般に1種又は複数の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、又は着色剤も含有する。
【0091】
口内における局所投与に適した組成物には、香味ベース(通常スクロース及びアカシア又はトラガカント)中に活性成分を含むトローチ剤;ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアなどの不活性ベースに活性成分を含むパステル剤;及び適切な液体担体中に活性成分を含むうがい薬が含まれる。
【0092】
液剤又は懸濁剤は、従来の手段、例えば、点滴器、ピペット又はスプレーによって鼻腔に直接適用される。本組成物は、単一又は複数回の用量形態で提供され得る。
【0093】
気道への投与はまた、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、又はジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、又は他の適切な気体などの適切な推進剤による加圧パックで活性成分が提供されるエアロゾル製剤によって達成され得る。エアロゾル製剤は、レシチンなどの表面活性剤も都合よく含み得る。薬剤の用量は、計量弁を用いて制御され得る。
【0094】
或いは、活性成分は、乾燥粉末、例えば、ラクトース、デンプン、デンプン誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドン(PVP))などの適切な粉末ベース中に本化合物の粉末ミックスの形態で提供され得る。都合よくは、粉末担体は、鼻腔中にゲルを形成する。粉末組成物は、例えば、ゼラチンでできたカプセル若しくはカートリッジ、又は粉末が吸入器によって投与され得るブリスターパックなどの単位用量形態で提示され得る。
【0095】
経鼻投与組成物を含む気道への投与が意図される組成物では、本化合物は一般に、例えば、5ミクロン以下程度の小粒径を有する。このような粒径は、当技術分野で公知の手段、例えば、微粉化によって得ることができる。
【0096】
所望に応じて、活性成分の持続放出させるように適合させた組成物を用いることができる。
【0097】
本医薬製剤は、好ましくは単位剤形である。このような形態では、製剤は、適切な量の活性成分を含有する単位用量に細分割される。単位剤形は、包装された製剤であってもよく、この包装は、包装された錠剤、カプセル剤、及びバイアル若しくはアンプル中の散剤などの離散量の製剤を含む。また、単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、若しくはトローチ剤自体であってもよく、又はそれは、これらのいずれかを適切な数で包装した形態のものであってもよい。
【0098】
経口投与のための錠剤又はカプセル剤並びに静脈内投与及び持続注入のための液剤は、好ましい組成物である。
【0099】
処方及び投与についての技術上のさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.,Easton,PA)の最新版に見出すことができる。
【0100】
治療有効用量は、症状又は状態を改善させる活性成分の量を指す。治療効力及び毒性、例えば、ED50及びLD50は、細胞培養又は実験動物における標準的な病理学的手順で決定され得る。治療効果及び毒性効果の間の用量比は、治療指数であり、比LD50/ED50により表すことができる。大きな治療指数を示す医薬組成物が好ましい。
【0101】
投与される用量は、当然、治療される患者の年齢、体重及び状態、さらに投与経路、剤形及び治療計画、並びに所望の結果に対して注意深く調整されなければならず、正確な投与量は、当然、実施する専門家によって決定されなければならない。
【0102】
実際の投与量は、治療される疾患の性質及び重症度に依存し、医師の裁量の範囲内であり、所望の治療効果をもたらすように本発明の具体的な環境への投与量の増減によって変えることができる。しかし、医薬組成物は、個別用量当たり約0.1gから約3000mg、好ましくは約1から約1000mgの活性成分を含有すると現在考えられている。
【0103】
活性成分は、1日当たり1回又は数回の用量で投与され得る。
【0104】
治療方法
本発明のベンゾトリアゾール誘導体は、てんかんを含むCNS疾患及び障害に伴う一連の病気の治療に有用な価値ある候補である。
【0105】
別の態様では、本発明は、ヒトを含む動物生体の疾患又は障害又は状態の治療、予防又は緩和のための方法であって、その疾患、障害又は状態が、CNSの調節に応答性であり、その方法が、それを必要としているヒトを含むこのような動物生体に、本発明のベンゾトリアゾール誘導体の有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0106】
本発明の文脈では、「治療」という用語は、治療、予防、予防法又は緩和に及び、「疾患」という用語は、病気、疾患、障害、及び問題の疾患に関連した状態に及ぶ。
【0107】
本発明により企図される好ましい適応は、上記のものである。
【0108】
適切な投与量範囲は、通常通りに、投与の正確な様式、投与される形態、投与が目標とする適応、関係する対象及び関係する対象の体重、並びにさらに担当の医師又は獣医師の選択及び経験に依存して、1日に0.1から3000ミリグラムであると現在考えられている。
【0109】
本発明は、以下の添付の図面の参照によりさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】化合物1(すなわち、2−ベンゾトリアゾール−1−イル−ブチルアミド)(ED50:38mg/Kg)によりもたらされた抗痙攣特性を示す図である;
【図2】時間の関数として決定された、化合物1(すなわち、2−ベンゾトリアゾール−1−イル−ブチルアミド)の神経防護効果を示す図である;
【図3】化合物12(すなわち、(2S)−2−(5−ブロモベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド)(化合物Bとして報告)(ED50:38mg/Kg)によりもたらされた抗痙攣特性を示す図である;
【図4】時間の関数として決定された、化合物12(すなわち、(2S)−2−(5−ブロモベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド)(化合物Bとして報告)の神経保護効果を示す図である;
【図5】時間の関数として、化合物14(すなわち、(2S)−2−(5−フルオロベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド)(図中化合物2として報告)によりもたらされた抗振戦誘発特性を示す図である。
【実施例】
【0111】
本発明は、特許請求の範囲に記載された通りの本発明の範囲に対して限定的であることが決して意図されない以下の実施例を参照してさらに説明される。
【0112】
(例1)
調製例
本発明の化合物は、市販の又は適切に合成されたベンゾトリアゾール1のアルキル化により容易に調製した(手順1)。ベンゾトリアゾールの互変異性の性質を前提として、2以上の位置異性体(2及び/又は2C、手順1)の形成が生じた。これらは通常、文献で示唆される通りに、フラッシュクロマトグラフィーにより分離し、それらの化学構造は、分析法及び分光法により明確に決定した。所与の位置異性体の純粋エナンチオマー(2A及び2B)を、キラル分取分離(HPLC)により得た。CONR6R7と等しいXを有するそれらの化合物2は代替として、化合物3、化合物3A及び化合物3Bで例示される通りに、対応する第一級(ラセミ体の又はエナンチオマー的に純粋な)カルボキサミド(CONH2)のアルキル化後に調製することができた。
【化3】

【0113】
代替として、本発明の化合物は、手順2で概説した通りに調製することができた。市販のラセミ体4(遊離の塩基又は塩として)の使用によって、ラセミ体の最終生成物2の合成が可能になり、そのエナンチオマー(2A及び2B)を分子キラルクロマトグラフィーにより分離し、一方、エナンチオマー的に純粋な市販の試薬5及び試薬6(遊離の塩基又は塩として)の使用によって、エナンチオマー的に純粋な最終生成物2A及び2Bの合成が直接可能になった。CONR6R7に等しいXを有するそれらの化合物2は代替として、化合物3、化合物3A及び化合物3Bにより例示される通りに、対応する第一級(ラセミ体の又はエナンチオマー的に純粋な)カルボキサミド(CONH2)のアルキル化後に調製することができた。
【化4】

【0114】
手順1により調製したタイプ2の化合物の例
2−ベンゾトリアゾール−1−イル−ブチルアミド(化合物1)
(R)−2−ベンゾトリアゾール−1−イル−ブチルアミド(化合物1A)
(S)−2−ベンゾトリアゾール−1−イル−ブチルアミド(化合物1B)
ベンゾトリアゾール(3.00g、24.9315mmol)及び2−クロロブチルアミド(4.55g、37.3972mmol)のアセトニトリル(50ml)中溶液に、炭酸カリウム(5.15g、37.3972mmol)を添加し、反応混合物を一晩還流させた。得られた懸濁液をろ過し、無機試薬を除去し、蒸発乾固させて、約5.00gの無色の液体を得た。この粗物質を、固相としてシリカゲル(60〜120メッシュ)並びに溶離剤としてクロロホルム(99〜99.5%)及びメタノール(0.5〜1%)の混合物を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製し、予想した位置異性体2−ベンゾトリアゾール−2−イル−ブチルアミド(2)(1.50g)を第1に及び2−ベンゾトリアゾール−1−イル−ブチルアミド(1)(1.20g)を第2に得た。それらは、1H−NMR(d−DMSO)により容易に同定した(付属文書)。融点138.5〜140.0℃。
【0115】
ラセミ体の混合物は、キラル分取HPLCにかけ、それぞれ、エナンチオマーの(R)−2−ベンゾトリアゾール−1−イル−ブチルアミド及び(S)−2−ベンゾトリアゾール−1−イル−ブチルアミドを分離した(100% ee、[α]=+27.57;c=0.502;95.4% ee、[α]=−25.82;c=0.502)。
【0116】
手順1により調製したタイプ3の化合物の例
2−ベンゾトリアゾール−1−イル−N−メチル−ブチルアミド(化合物2)
水素化ナトリウム(0.47g、11.7514mmol)の無水テトラヒドロフラン(30ml)中氷冷懸濁液に、2−ベンゾトリアゾール−1−イル−N−メチル−ブチルアミド(2.00g、9.7928mmol)を添加し、室温で30分間撹拌した。この混合物に、ヨードメタン(0.61g、9.7928mmol)の無水テトラヒドロフラン中氷冷溶液を添加し、得られた反応混合物を0℃で6時間撹拌した。氷冷水でクエンチし、続いて酢酸エチルで抽出した。有機相を分離させ、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発乾固させて、2.10gの無色の粘着性の液体を得た。この粗物質を、固相としてシリカゲル(60〜120メッシュ)並びに溶離液としてクロロホルム(99.5%)及びメタノール(0.5%)の混合物を用いるカラムクロマトグラフィーにより精製し、0.25gの表題化合物を得た(収率11%)。
融点136.3〜137.1℃。
【0117】
手順1から調製した化合物の他の例
2−(6−ブロモ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−ブチルアミド(化合物3)
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、283.0189Da、計算値283.018904Da、差0ppmを示す。
融点181.2〜182.1℃。
【0118】
2−(6−ブロモ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−アセトアミド(化合物4)
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、254.9886Da、計算値254.987604Da、差3.9ppmを示す。
融点244.0〜241.5℃。
【0119】
2−(6−メタンスルホニル−ベンゾトリアゾール−1−イル)−アセトアミド(化合物5)
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、255.055099696146Da、計算値255.054642Da、差1.8ppmを示す。
融点241.8〜242.7℃。
【0120】
2−(5,7−ジフルオロ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−ブチルアミド(化合物6)
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、241.0899Da、計算値241.089547Da、差1.5ppmを示す。
融点155.0〜156.3℃。
【0121】
2−(4,6−ジフルオロ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−ブチルアミド(化合物7)
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、241.0898Da、計算値241.089547Da、差1ppmを示す。
融点199.0〜200.5℃。
【0122】
2−(5,7−ジフルオロ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−アセトアミド(化合物8)
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、213.0583888Da、計算値213.058247Da、差0.7ppmを示す。
融点236.5〜238.0℃。
【0123】
2−(4,6−ジフルオロ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−アセトアミド(化合物9)
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、213.0588Da、計算値213.058247Da、差2.6ppmを示す。
融点247.8〜248.9℃。
【0124】
2−(6−フルオロ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−プロピオンアミド(化合物10)
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、209.0839Da、計算値209.083319Da、差2.8ppmを示す。
融点156.8〜158℃。
【0125】
2−(5−フルオロ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−プロピオンアミド(化合物11)
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、209.0837Da、計算値209.083319Da、差1.8ppmを示す。
融点138.6〜140.1℃。
【0126】
手順2により調製されるタイプ2の化合物の例
(2S)−2−(5−ブロモベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド(化合物12)
5−ブロモ−2−フルオロニトロベンゼン(35.0g、159.0933mmol)及び(S)−(+)−2−アミノブタンアミド塩酸塩(24.37g、238.64mmol、1.5当量)のテトラヒドロフラン(400ml)中撹拌溶液に、トリエチルアミン(89ml)を添加し、得られた反応混合物を70℃に加熱し、この温度で撹拌を19時間続けた。室温に冷却させた後、新たな混合物を氷冷水でクエンチし、沈殿させた固体をろ過し、ヘキサンにより洗浄し、乾燥させ、41gの純粋な(2S)−2−[(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニル)アミノ]ブタンアミドを得た。この後者をエタノール(99%、400ml)に溶解させ、ラネーニッケルを添加し(約5g)、得られた懸濁液を室温で10分間撹拌した。ヒドラジン一水和物(33ml、約5当量)を撹拌後15分間の間に滴下し、撹拌をさらに20分間続けた。この時点で、TLCにより反応の終了が示され、したがって、懸濁液をセライトの床を通してろ過し、得られた溶液を乾燥まで蒸発させた。残渣を酢酸エチルに溶解させ、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥、及び蒸発させ、約37gの(2S)−2−[(2−アミノ−4−ブロモ−フェニル)アミノ]ブタンアミドを茶色がかった粘着性の液体として得た。この後者をジクロロメタン(120ml)及び50%酢酸水溶液(60ml)の混合物に直ちに溶解させ、次いで、0℃に冷却させた。亜硝酸ナトリウム(18.73g、271.4092mmol、2当量)を添加し、反応混合物を0℃で10分間、次いで、室温でさらに60分間撹拌した。この時点で、反応混合物を乾燥まで蒸発させ、炭酸水素ナトリウムの飽和溶液(500ml)に懸濁させ、ろ過し、淡褐色の固体を得、ヘキサンでさらに洗浄し、乾燥させた(約30g)。これを、クロロホルム中メタノール(2%)の混合物で溶出させて、カラムクロマトグラフィーによりさらに精製して、表題化合物をオフホワイトの固体(12.5g、収率32%)として得た。100%ee、[α]=+33.185、(c 0.540)。
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、283.0186Da、計算値283.018904Da、差−1.1ppm;融点205.0〜207.1℃。
【0127】
手順2から調製した化合物の他の例
2−(5−ブロモ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−アセトアミド(化合物13)
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、254.9884Da、計算値254.987604Da、差3.1ppm。
融点221.5〜222.5℃。
【0128】
(2S)−2−(5−フルオロベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド(化合物14)
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、223.09872Da、計算値223.098969Da、差−1.1ppm。
融点122.8〜124.9℃。
【0129】
(2S)−2−(4−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド(化合物15)
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、239.06928Da、計算値239.069419Da、差−0.6ppm。
融点153.0〜154.5℃。
【0130】
(2S)−2−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−3−メチル−ブタンアミド(化合物16)
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、219.12431Da、計算値219.124041Da、差1.2ppm。
融点164.0〜165.7℃。
【0131】
2−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−4−メチル−ペンタンアミド(化合物17)
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、233.13973Da、計算値233.139691Da、差0.2ppm。
融点177.5〜178.8℃。
【0132】
(2S)−2−(5−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド(化合物18)
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、239.0692Da、計算値239.069419Da、差−0.9ppm。
融点175.5〜177.5℃。
【0133】
5−ブロモ−1−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)ベンゾトリアゾール(化合物19)
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、278.00324Da、計算値278.003588Da、差−1.3ppm。
融点178.3〜180.8℃。
【0134】
1−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)ベンゾトリアゾール(化合物20)
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、200.09305Da、計算値200.093075Da、差−0.1ppm。
融点137.8〜138.9℃。
【0135】
(2R)−2−(5−ブロモベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド(化合物21)
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、283.01877Da、計算値283.018904Da、差−0.5ppm。
融点206.2〜207.3℃。
【0136】
4,6−ジフルオロ−1−(1H−イミダゾール−2−イルメチル)ベンゾトリアゾール(化合物22)
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、236.07381Da、計算値236.074231Da、差−1.8ppm。
融点166.0〜167.5℃。
【0137】
(2R)−2−(4−フルオロベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド(化合物23)
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、223.0991Da、計算値223.098969Da、差0.6ppm。
融点162.5〜163.7℃。
【0138】
(2S)−2−(4−フルオロベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド(化合物24)
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、223.0997Da、計算値223.098969Da、差3.3ppm。
融点163.9〜165.1℃。
【0139】
2−(5−ブロモベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド(化合物25)
[M+H]のLC−ESI−HRMSは、283.0186Da、計算値283.018904Da、差−1.1ppm。
【0140】
(例2)
生物活性
抗痙攣特性
この例では、ラセミ体化合物1,2−ベンゾトリアゾール−1−イル−ブチルアミド(ED50:38mg/Kg;前処理時間60分;p.o.;媒体:5%クレモホル)によりもたらされた抗痙攣特性(図1)及び時間の関数としての神経保護効果(図2;100mg/kg、p.o.)を報告する。
【0141】
抗痙攣特性の評価は、雌のNMRIマウス(20〜25g、Taconic、デンマーク国)で行った。マウスを、群(重さによってケージ当たり8匹)で収容し、餌及び水は任意に与えた。環境は、温度(20±2℃)及び湿度(55±15%)に調節し、12:12時間の明暗周期(06:00時に照明)から構成した。実験は、動物に対する実験についてのデンマーク委員会に従って行った。精神運動発作は、刺激発生器(Master−8、AMPI、イスラエル国)によりすべて駆動される、Grass S48スティミュレータ、定電流装置(CCU1)及び単離装置(SIU5)を用いて、角膜刺激(6Hz、32mAで3秒間の0.2ミリ秒方形パルス)によって誘発させた。
【0142】
角膜刺激器のパッドを0.9%生理食塩水に浸した。マウスを角膜刺激の間は拘束し、直後に解放し、発作の機能活動の有無を観察した。発作の機能活動には、以下の行動要素:呆然とした、ぎこちないが直立の姿勢、しばしば交差させた前肢及び大きく広げた後肢の1つを含み、尾は、事実上垂直に保持されることが多く(ストラウブ挙尾)、呆然は、千鳥足(rolling gait)での走行に数秒先行し得、顔面及び前肢の動きは、「断固とした」自動症に似ており、まれではなくマウスはその後肢でほぼ直立に立つが、無意識下での行動を示し、又は緊張病がしばしば存在する。
【0143】
任意のこれらの発作の可変要素の期間は、10〜75秒である。任意の発作の可変要素の存在下で、マウスは0%保護と称し、上記のいずれもない場合、マウスは100%保護と称した。
【0144】
スクリーニングの目的として、試験化合物を1時点に1用量で試験した。8匹のマウスのうち3匹以上が保護の場合、その化合物は、用量反応でさらに評価した(N=8匹/群)。データは、対数用量の関数としてプロットし、シグモイド−用量反応(可変要素の傾きを有する)に当てはめ(GraphPad Prism、バージョン4)、発作から50%保護を与える用量を推定するために用いた(N=8匹/群)。
【0145】
同じ手順で、化合物12(すなわち、(2S)−2−(5−ブロモベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド)(ED5038mg/kg;前処理時間60分;p.o.;媒体:5%クレマホル)によりもたられる抗痙攣特性も、(図3)及び時間の関数としてその神経保護効果(図4;100mg/kg、p.o.)により決定した。
【0146】
抗振戦誘発特性
化合物14(すなわち、(2S)−2−(5−フルオロベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド)(図5中化合物2として報告)によりもたらされた抗振戦誘発特性を、ここで記載する。抗振戦誘発特性の評価は、雌のNMRIマウス(20〜25g、Taconic、デンマーク国)で行った。マウスを、群(重さによってケージ当たり8匹)で収容し、餌及び水は任意に与えた。環境は、温度(20±2℃)及び湿度(55±15%)に調節し、12:12時間の明暗周期(06:00時に照明)から構成した。実験は、動物に対する実験についてのデンマーク委員会に従って行った。
【0147】
ハルマリン注射1時間前に、マウスに化合物14によってp.o.により注射した。振戦をハルマリンの1回注射(20mg/kg、s.c.)により誘発し、その注射後、マウスを60分間観察し、以下の評価尺度を用いて10分ごとに手作業で記録した:「0」:振戦なし;「1」:軽度の振戦(偶発的な筋収縮又は頭部領域におけるほとんど目に見えないわずかな振戦);「2」:中等度の間欠的な振戦(頭部領域に制限された間欠的な振戦);「3」:中等度の持続性振戦(前部に影響する、偶発的な休止時間を有する目に見える振戦;「4」:顕著な重度の振戦(持続的な重度の肉眼的な全身振戦)。データを平均±SEMとして提示する。P<0.05、対 対応する媒体+ハルマリンの群(二元配置の分散分析(two−way ANOVA)、続いてフィッシャーの最小有意差検定(Fisheres LSD test))。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】


により表されるベンゾトリアゾール誘導体、その立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される塩
(式中、
、R、R及びRの少なくとも1個は、ハロ、シアノ又はSOCHを表し;
、R、R及びRのその他のものは、互いに独立して、水素、ハロ、シアノ又はSOCHを表し;
は、水素、ハロ又はアルキルを表し;
Xは、イミダゾール基、又は基−(CO)N(R,R)(ここで、R及びRは、互いに独立して、水素又はアルキルを表す)を表すか;或いは
、R、R及びRはすべて、水素を表し;
・Xはイミダゾール基を表し;
は、水素、ハロ若しくはアルキルを表すか;又は
・Rは、ハロ、エチル、n−プロピル、イソプロピル若しくはイソブチルを表し;
Xは、基−(CO)N(R,R)(ここで、R及びRは、互いに独立して、水素又はアルキルを表す)を表す)。
【請求項2】
、R、R及びRの少なくとも1個が、ハロ、シアノ又はSOCHを表し;
、R、R及びRのその他のものが、互いに独立して、水素、ハロ、シアノ又はSOCHを表す、
請求項1に記載のベンゾトリアゾール誘導体、その立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
が、水素、ハロ又はアルキルを表す、請求項1に記載のベンゾトリアゾール誘導体、その立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
、R、R及びRがすべて、水素を表し;
が、ハロ、エチル、n−プロピル又はイソプロピルを表す、
請求項1に記載のベンゾトリアゾール誘導体、その立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
Xがイミダゾール基を表すか、又は基−(CO)N(R,R)(ここで、R及びRは、互いに独立して、水素又はアルキルを表す)を表す、請求項1に記載のベンゾトリアゾール誘導体、その立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
2−ベンゾトリアゾール−1−イル−ブチルアミド;
2−ベンゾトリアゾール−1−イル−N−メチル−ブチルアミド;
2−(6−ブロモ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−ブチルアミド;
2−(6−ブロモ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−アセトアミド;
2−(6−メタンスルホニル−ベンゾトリアゾール−1−イル)−アセトアミド;
2−(5,7−ジフルオロ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−ブチルアミド;
2−(4,6−ジフルオロ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−ブチルアミド;
2−(5,7−ジフルオロ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−アセトアミド;
2−(4,6−ジフルオロ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−アセトアミド;
2−(6−フルオロ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−プロピオンアミド;
2−(5−フルオロ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−プロピオンアミド;
2−(5−ブロモベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド;
2−(5−ブロモ−ベンゾトリアゾール−1−イル)−アセトアミド;
2−(5−フルオロベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド;
2−(4−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド;
2−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−3−メチル−ブタンアミド;
2−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−4−メチル−ペンタンアミド;
2−(5−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド;
5−ブロモ−1−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)ベンゾトリアゾール;
1−(1H−イミダゾール−4−イルメチル)ベンゾトリアゾール;
4,6−ジフルオロ−1−(1H−イミダゾール−2−イルメチル)ベンゾトリアゾール;又は
2−(4−フルオロベンゾトリアゾール−1−イル)ブタンアミド;
である、請求項1に記載のベンゾトリアゾール誘導体、その立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
少なくとも1種の薬学的に許容される担体又は賦形剤と一緒に、請求項1から6までのいずれか一項に記載のベンゾトリアゾール誘導体、その立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される付加塩の治療有効量を含む医薬組成物。
【請求項8】
疾患、障害又は状態が抗痙攣薬に対して応答性である、ヒトを含む哺乳動物の疾患又は障害又は状態を治療、予防又は緩和する医薬組成物の製造のための、請求項1から6までのいずれか一項に記載のベンゾトリアゾール誘導体、その立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される付加塩の使用。
【請求項9】
前記疾患、障害又は状態の応答性が、てんかん、痙攣、振戦、本態性振戦、ミオクローヌス、てんかん原性、不安、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、ジルドラトゥレット症候群、うつ病、躁病、躁うつ病、精神障害、統合失調症、強迫性障害(OCD)、パニック障害、摂食障害(拒食症、過食症及び肥満症を含む)、ナルコレプシー、侵害受容、AIDS−認知症、老年性認知症、末梢性ニューロパチー、自閉症、失読症、遅発性ジスキネジー、運動過多、てんかん、外傷後症候群、社会恐怖症、睡眠障害、仮性認知症、ガンザー症候群、月経前症候群、黄体期後期症候群、慢性疲労症候群、無言症、抜毛癖、時差ボケ、高血圧、不整脈、痙攣障害を含む平滑筋収縮障害、狭心症、早産、下痢、喘息、遅発性ジスキネジー、運動過多、早漏及び勃起困難、甲状腺中毒症及び褐色細胞腫を含む内分泌系障害、一過性無酸素症及び誘発性神経変性を含む神経変性障害、疼痛、軽度の、中等度の又は重度の疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、再発性疼痛、神経因性疼痛、片頭痛によって起こる疼痛、術後痛、幻肢痛、神経因性疼痛、慢性頭痛、中枢性疼痛、糖尿病性ニューロパチー関連疼痛、治療後神経痛関連疼痛、又は末梢神経損傷関連疼痛、炎症性皮膚障害、座瘡、酒さを含む炎症性障害、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎及び下痢、ニコチン離脱症状、ヘロイン、コカイン及びモルヒネを含むオピオイド離脱症状、ベンゾジアゼピン様薬剤を含むベンゾジアゼピン離脱症状並びにアルコールを含む常習性薬物の使用中止によって起こる離脱症状に伴う障害である、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
ヒトを含む動物生体の疾患又は障害又は状態を治療、予防又は緩和する方法であって、その障害、疾患又は状態が、CNSの変調に応答性であり、その方法が、それを必要としている動物生体に、請求項1から6までのいずれか一項に記載のベンゾトリアゾール誘導体、その立体異性体若しくはその立体異性体の混合物、又はその薬学的に許容される塩の治療有効量を投与する段階を含む、上記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−515191(P2012−515191A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545754(P2011−545754)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050512
【国際公開番号】WO2010/081898
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(505377201)ノイロサーチ アクティーゼルスカブ (135)
【Fターム(参考)】