説明

CXCL13アンタゴニストおよび炎症性疾患の処置のためのそれらの使用

CXCL13活性に関連する疾患を処置する方法は、特定の部分もしくはバリアントを包含する抗体、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、siRNA、shRNA、リボサイムおよびDNAザイムのような、CXCL13アンタゴニストおよび場合によりTNFαアンタゴニストを利用する。CXCL13活性に関連する疾患には、肺疾患、例えば喘息、肺気腫およびCOPD、ならびに全身性エリテマトーデスのような炎症性疾患が包含される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CXCL13アンタゴニストならびに肺疾患および症候、および症状、ならびに関連疾患および症状を処置するためにCXCL13アンタゴニストを使用する方法に関する。本発明はさらに特に、CXCL13活性を阻害するために有効な量における、干渉RNA、DNAザイム、および少なくとも1つのタンパク質もしくはそのフラグメントに特異的な、特定の部分もしくはバリアントを包含する、CXCL13に対する抗体のような、CXCL13アンタゴニスト単独でのもしくはTNFαアンタゴニストと一緒の使用によりそのような疾患を処置する方法に関する。本発明はまた、全身性エリテマトーデスのような他の炎症性疾患にかかっている動物を処置するためにCXCL13アンタゴニストおよびTNFαアンタゴニストを使用する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
喘息は、遺伝および環境要素を有する複合慢性疾患である(1)。それは可逆性気道閉塞、気道過敏性、気道炎症およびリモデリングを特徴とする(2)。推定1500万人の米国人が喘息に罹患し、そしてそれと関連する罹患率および死亡率は先進諸国において上昇傾向にある(3、4)。アレルギー性喘息患者の気道における炎症は、CD4T細胞のTヘルパー(Th)2サブセットおよび好酸球の粘膜浸潤と関連する(5、6)。これらの細胞間の相互作用は、喘息の発症に関与する様々な前炎症性メディエーターの生産をもたらす(7、8)。喘息の他の形態は、運動、ウイルス、アスピリンおよび職業により誘導されるものである。喘息のこれらの形態に関与する機序はTh2リンパ球およびサイトカインを伴い得るが、それは異なって引き起こされる可能性がある(9〜12)。多数のサイトカインおよびケモカインが喘息の発症に関与している(13、14)。特に、Th2由来のサイトカイン(インターロイキン4、5、9および13)は、喘息を包含するアレルギー性疾患において重要な役割を果たす。
【0003】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、好中球、マクロファージ、BおよびT細胞の浸潤を特徴とする慢性肺炎症である。これらの免疫応答性細胞は、有毒ガスおよび粒子への長期暴露に反応して肺において放出される様々なサイトカインおよびケモカインにより活性化される(15)。気管支炎および肺気腫は、不可逆性気流閉塞と一緒に、該疾患の臨床症状である。COPDを特性化する肺機能の加速的低下を遅らせる既知の薬剤はない。
【0004】
最近、COPDの進行は、胚中心を含有する異所性リンパ濾胞を形成する自然および適応炎症性免疫細胞による実質性浸潤と強く関連することが認められた。リンパ濾胞の存在は、遠位末梢気道壁を厚くするリモデリングプロセスと共役していた(16)。この結果は、COPDにおける異所性リンパ濾胞の潜在的な病理学的役割を強く示唆する。
【0005】
喘息の発症に関与する新規遺伝子を同定しようとして、研究者等は喘息の動物モデルにおいて異なって発現される遺伝子を提示するためにDNAマイクロアレイ技術を使用している(17、18)。マイクロアレイ技術は同時に何千もの遺伝子の発現の分析を可能にし、そしてまた自動化することもでき、ハイスループット形式を可能にするので、それは強力な手段である。喘息のような多因子疾患において、マイクロアレイ結果は新規治療法を考案することにおいて非常に有用であると証明することができる遺伝子発現プロフィールを提供することができる。また、それは新規遺伝子を同定することおよび未知の機能の遺伝子に注釈を施すことにおいても非常に強力であると証明することができる(19)。
【0006】
CXCL13(BLC(B細胞ホーミングケモカイン)もしくはBCA−1(B細胞誘
引性ケモカイン1)もしくはアンジー2としても知られている)は、B細胞を最も強くそして選択的に誘引する走化性因子である。それはまた受容体CXCR5を介してある種のT細胞およびマクロファージの移動も促進する(20)。CXCL13はパイアー斑、脾臓およびリンパ節の濾胞において発現され、そして濾胞発生および恒常性において重要であると考えられている(21)。
【0007】
慢性炎症の部位において、炎症性浸潤物(T、Bおよび間質細胞)の配置は、いわゆる異所性リンパ濾胞を形成する、リンパ系組織と多数の構造上の特徴を共有することが何年もの間認められている(21)。さらに、CXCL13の異所性高生産は慢性炎症性疾患、例えば関節リウマチ(21)、シェーグレン症候群(22)、様々な形態の狼瘡、例えば全身性エリテマトーデス(23、24)、潰瘍性大腸炎(25、26)、多発性硬化症(27〜29)、I型糖尿病(30〜32)および自己免疫性甲状腺疾患(33、34)におけるリンパ球蓄積および異所性リンパ濾胞形成と関連する。異所性リンパ濾胞の正確な病因的役割は明らかでないが、リンパ球が局所炎症組織に蓄積することを可能にすることによる急性、消散から慢性、持続的炎症へのスイッチにおけるその重要性が証拠により示唆される(35)。従って、異所性リンパ濾胞を破壊するかもしくは除去することは、慢性炎症性疾患を制御するための新規治療方法を提供する。CXCL13は、異所性リンパ濾胞におけるその高い発現レベルならびにそれらの微細構造を維持することおよびB細胞を誘引することにおけるその役割のために理想的な治療標的である。
【0008】
全身性エリテマトーデス(SLEもしくは狼瘡)は、免疫系が体の細胞および組織を攻撃し、炎症および組織損傷をもたらすように潜在的に消耗性でありそして命にかかわることもある慢性自己免疫疾患である。SLEは体の任意の部分を冒し得るが、心臓、関節、皮膚、肺、血管、肝臓、腎臓および神経系を害することが最も多い。
【0009】
CXCL13遺伝子(GenBank受託番号NM_006419、配列番号:1)は、ヒト染色体4q21上に存在する。CXCL13はCXCケモカインファミリーに属する。CXCL13はリンパ系器官形成/発生、B細胞濾胞形成およびB細胞動員にとって重要である。それは多数の慢性炎症性疾患の炎症組織において異所的に高生産され、そして局所BおよびT細胞活性化および炎症を維持することにおいて重要な役割を果たすと考えられている。
【0010】
遺伝子発現は、siRNA,shRNA、アンチセンス分子およびDNAザイムの使用によってを包含するいくつかの異なる方法において調節することができる。siRNAおよびshRNAは両方ともRNAi経路によって働き、そして遺伝子の発現を抑制するために成功して用いられている。RNAiは最初に虫において発見され、そしてdsRNAに関連する遺伝子サイレンシングの現象は最初にFireおよびMelloにより植物において報告され、そして植物細胞がRNAウイルスの感染と闘うための手段であると考えられる。この経路において、長いdsRNAウイルス産物はDICER様酵素により21〜25bpの長さのより小さいフラグメントに処理され、そして次に二本鎖分子はほどかれ、そしてRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に取り込まれる。同様の経路は、遺伝子特異的でなくそして細胞におけるタンパク質合成の全体的シャットダウンをもたらす、いわゆるインターフェロン応答の誘導を回避するためにdsRNA分子が30bpより短い長さでなければならないという顕著な違いを有して哺乳類細胞において同定されている。
【0011】
合成siRNAは1つの遺伝子を特異的に標的とするように設計することができ、そしてそれはインビトロもしくはビンビボで細胞に容易に送達することができる。shRNAはsiRNA分子のDNA同等物であり、そして細胞のゲノムに組み込まれそして次に有糸分裂周期ごとの間に複製されるという利点を有する。
【0012】
DNAザイムもまた、遺伝子発現を調節するために用いられている。DNAザイムは、一本鎖RNAを切断する触媒DNA分子である。それらは標的RNA配列に対して高度に選択的であり、そしてそのようなものとしてメッセンジャーRNAのターゲッティングによって特定の遺伝子をダウンレギュレーションするために用いることができる。
【0013】
従って、喘息のような肺疾患、ならびに関連疾患および症状を診断することおよびそのCXCL13に関連する処置の新たな方法を同定しそして特性化する必要性がある。さらに、全身性エリテマトーデスのような疾患を処置するための新たな方法を同定しそして特性化する必要性がある。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、CXCL13もしくはその受容体、CXCR5、および/またはそれらの活性の一方もしくは両方のアゴニストおよび/もしくはアンタゴニスト(以下「CXCL13アンタゴニスト」)、ならびに肺関連疾患を処置するためにCXCL13に対する抗体、および少なくとも1つのCXCL13タンパク質もしくはそのフラグメントに特異的なその特定の部分もしくはバリアントを包含するCXCL13アンタゴニストを使用する方法に関する。これらのCXCL13アンタゴニストは、TNFα抗体、例えばインフリキシマブなどのようなTNFαアンタゴニストと一緒に投与することができる。モノクローナル抗体のようなCXCL13アンタゴニストは、局所BおよびT細胞動員およびその後の活性化を阻害して慢性免疫媒介性炎症性疾患を制御するための新規戦略を提供する。
【0015】
1つの態様において、CXCL13アンタゴニストは、CXCL13もしくはその受容体に特異的に結合する抗体である。そのような抗体の特定の利点は、それらがCXCL13もしくはその受容体にその作用を妨げるように結合することができることである。従って、本発明の方法は、ヒトもしくは非ヒト患者における様々な肺関連疾患と関連する病状の治療的および予防的処置にそれらを理想的にふさわしくする望ましい中和特性を有する抗体を用いる。従って、本発明は、肺関連疾患もしくは症状を阻害するために中和CXCL13抗体のある量を患者に投与することを含んでなるそのような処置を必要とする患者における肺関連疾患もしくは症状を処置する方法に関する。
【0016】
別の態様において、本発明は、細胞における活性もしくは発現が調節されるようにCXCL13もしくはその受容体の活性もしくは発現を調節する(阻害するかもしくは高める)薬剤(例えば、アンタゴニストもしくはアゴニスト)と細胞を接触させることを含んでなるCXCL13もしくはその受容体の活性を調節する方法を提供する。好ましい態様において、薬剤はCXCL13もしくはその受容体に特異的に結合する抗体である。別の態様において、モジュレーターはペプチド、ペプチド模倣物もしくは他の小分子である。
【0017】
別の態様において、本発明は、肺関連疾患もしくは症状を阻害するために1つもしくはそれ以上のTNFαアンタゴニストと一緒に中和CXCL13抗体もしくは他のアンタゴニストのある量を患者に投与することを含んでなる、そのような処置を必要とする患者における肺関連疾患もしくは症状を処置する方法に関する。
【0018】
本発明はまた、肺もしくは関連疾患にかかっている患者を処置する方法も提供し、ここで、該疾患はCXCL13の量もしくは活性を調節することにより改善することができる。本発明はまた、CXCL13の活性のモジュレーターもしくはCXCL13の発現のモジュレーターである薬剤を患者に投与することによりCXCL13もしくはそのコードするポリヌクレオチドの異常な活性を特徴とする疾患にかかっている患者を処置する方法も提供する。
【0019】
1つの態様において、モジュレーターはポリペプチドもしくは小分子化合物である。別の態様において、モジュレーターはポリヌクレオチドである。特定の態様において、CXCL13アンタゴニストは細胞によるCXCL13の生産を妨げることができるsiRNA分子、shRNA分子もしくはDNAザイムである。
【0020】
本発明の別の態様は、動物にCXCL−13のアンタゴニストを与えることおよび動物にTNF−アルファのアンタゴニストを与えることを含んでなる全身性エリテマトーデスにかかっている動物を処置する方法であり;ここで、各アンタゴニストは動物における全身性エリテマトーデスの症候の減少を引き起こすために有効な量において与えられる。この方法の1つの態様において、CXCL−13のアンタゴニストはCXCL−13結合抗体もしくは抗体のCXCL−13結合フラグメントであり、そしてTNFαのアンタゴニストはTNFα結合抗体もしくは抗体のTNFα結合フラグメントである。
【0021】
この方法の別の態様において、動物は哺乳類である。この方法の別の態様において、哺乳類はヒトである。この方法の別の態様において、与えられる各抗体もしくは抗体の結合フラグメントの量は動物のkg体重当たり約25mg〜動物のkg体重当たり約40mgである。この方法の別の態様において、全身性エリテマトーデスの症候は腎組織の検査により同定される動脈周囲リンパ球浸潤病巣の数である。この方法の別の態様において、全身性エリテマトーデスの症候は全尿クレアチニンに対する全尿タンパク質の比率である。この方法の別の態様において、CXCL−13のアンタゴニストはCXCL−13結合抗体もしくは抗体のCXCL−13結合フラグメントであり、そしてTNFαのアンタゴニストはTNFα結合抗体もしくは抗体のTNFα結合フラグメントである。この方法の別の態様において、CXCL−13のアンタゴニストはCXCL−13結合抗体もしくは抗体のCXCL−13結合フラグメントであり、そしてTNFαのアンタゴニストはTNFα結合抗体インフリキシマブである。
【0022】
本発明はさらに、本明細書に記述される任意の発明を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】CXCL13 mRNA転写産物レベルは罹患肺組織において上昇していることを示す。
【図2】TNF−αおよびCXCL13に特異的なモノクローナル抗体での共処置は、罹患肺組織における異所性濾胞サイズにより評価した場合に肺疾患症候を軽減することを示す。
【図3】TNF−αおよびCXCL13に特異的なモノクローナル抗体での共処置は、肺組織へのCD22.2を発現するB細胞の浸潤を減少させることを示す。
【図4】TNF−αおよびCXCL13に特異的なモノクローナル抗体での共処置は、肺組織へのCD19を発現するB細胞の浸潤を減少させることを示す。
【図5】TNF−αおよびCXCL13に特異的なモノクローナル抗体での共処置は、肺組織へのCD45R/B220を発現するB細胞の浸潤を減少させることを示す。
【図6】TNF−αおよびCXCL13に特異的なモノクローナル抗体での共処置は、肺組織へのCD4を発現するB細胞の浸潤を減少させることを示す。
【図7】CXCL−13およびTNF−αに特異的なmAbの共投与は、全身性エリテマトーデス(SLE)症候を示すNZB/W F1マウスの尿における糸球体腎炎関連タンパク質レベルをPBS賦形剤のみを与えた未処置のコントロールNZB/W F1マウスのものより低いレベルまで減少させたことを示す。
【図8】CXCL−13およびTNF−αに特異的なmAbの共投与は、全身性エリテマトーデス(SLE)症候を示すNZB/W F1マウスにおけるSLE関連腎臓病のランク評点重症度(rank scored severity)をPBS賦形剤のみを与えた未処置のコントロールNZB/W F1マウスのものより低いレベルまで減少させたことを示す。
【発明の詳細な記述】
【0024】
定義
以下の定義は、本明細書における発明を記述するために用いる様々な用語の意味および範囲を説明しそして定義するために記載される。
【0025】
ポリペプチドの「活性」、生物学的活性および機能活性は、標準的な技術に従って、インビボ、インサイチューもしくはインビトロで決定した場合に別のタンパク質もしくは分子とのその特異的相互作用に応答してCXCL13もしくはその受容体によりもたらされる活性をさす。そのような活性は第二のタンパク質との結合もしくはそれへの酵素活性のような直接的活性、あるいは第二のタンパク質と該タンパク質との相互作用または細胞内シグナル伝達もしくは凝固カスケードにおけるような一連の相互作用により媒介される細胞プロセスのような間接的活性であることができる。
【0026】
「抗体」には、重鎖もしくは軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)もしくはそのリガンド結合部分、重鎖もしくは軽鎖可変領域、重鎖もしくは軽鎖定常領域、フレームワーク領域、またはその任意の部分、フラグメントもしくはバリアントのようなしかしこれらに限定されるものではない、免疫グロブリン分子の少なくとも一部を含んでなる分子を含有する任意のポリペプチドもしくはペプチドが包含される。「抗体」という用語にはさらに、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体およびそのフラグメントを包含する、抗体模倣物を含むかあるいは抗体またはその特定のフラグメントもしくは部分の構造および/もしくは機能を模倣する抗体の部分を含んでなる、抗体、消化フラグメント、その特定の部分およびバリアントが包含されるものとする。例えば、Fab(例えば、パパイン消化による)、Fab’(例えば、ペプシン消化および部分的還元による)およびF(ab’)(例えば、ペプシン消化による)、facb(例えば、プラスミン消化による)、pFc’(例えば、ペプシンもしくはプラスミン消化による)、Fd(例えば、ペプシン消化、部分的還元および再集合による)、FvもしくはscFv(例えば、分子生物学技術による)フラグメントが包含されるがこれらに限定されるものではない抗体フラグメントは本発明により包含される(例えば、Colligan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,Inc.,NY(1994−2001);Colligan et al.,Current Protocols in Polypeptide Science,John Wiley & Sons,NY(1997−2001)を参照)。
【0027】
「キメラ」もしくは「融合」分子は、例えば、1つもしくはそれ以上のCXCL13アンタゴニスト(もしくはそれらの一部)を追加の核酸配列(1つもしくは複数)と組み合わせることによりもたらされる核酸もしくはポリペプチドである。そのような組み合わされた配列は、適切なベクターに導入されそして発現されてキメラもしくは融合ポリペプチドを生じさせることができる。
【0028】
本発明の核酸配列「の相補物」もしくは「に相補的な」は、第一のポリヌクレオチドと比較した場合に相補的な塩基配列および逆方向性を有するポリヌクレオチド分子をさす。
【0029】
「フラグメント」は、CXCL13アンタゴニストの任意のアミノ酸配列の一部しかし全部ではないと完全に同じであるアミノ酸配列を有するバリアントポリペプチドもしくは任意のCXCL13アンタゴニストポリヌクレオチドの任意の核酸配列の一部しかし全部ではないと完全に同じである核酸配列を有するバリアントポリヌクレオチドである。フラグメントには、異種アミノおよび/もしくはカルボキシ末端アミノ酸配列を含む連続した一連の残基のような、例えばトランケーションポリペプチドもしくはそのバリアントを包
含することができる。宿主細胞によりもしくはそれにおいて生産されるCXCL13アンタゴニストの分解形態もまた包含される。他の典型的なフラグメントは、アルファ−へリックスもしくはアルファ−へリックス形成領域、ベータ−シートもしくはベータ−シート形成領域、ターンもしくはターン形成領域、コイルもしくはコイル形成領域、親水性領域、疎水性領域、アルファ−両親媒性領域、ベータ−両親媒性領域、フレキシブル領域、表面形成領域、基質結合領域、細胞外領域および高抗原性指数領域を含んでなるフラグメントのような、構造もしくは機能特性を特徴とする。
【0030】
「同一性」は、当該技術分野において既知であるように、配列を比較することにより決定した場合の、2つもしくはそれ以上のポリペプチド配列または2つもしくはそれ以上のポリヌクレオチド配列の間の関係である。当該技術分野において、「同一性」はまた、そのような配列の一続きの間のマッチにより決定した場合の、ポリペプチドもしくはポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度も意味する。「同一性」および「類似性」は、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New
York,1993;Computer Analysis of Sequence
Data,Part I,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987;およびSequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991;およびCarillo,H.,and Lipman,D.,Siam J.Applied Math.,48:1073(1988)に記述されるものが包含されるがこれらに限定されるものではない既知の方法により容易に計算することができる。さらに、同一性パーセンテージの値は、Vector NTI Suite 8.0(Informax,Frederick,MD)のAlignXコンポーネントのデフォルト設定を用いて作製されるアミノ酸およびヌクレオチド配列アライメントから得ることができる。
【0031】
同一性を決定する好ましい方法は、試験する配列間の最大のマッチを与えるように設計される。同一性および類似性を決定する方法は、公的に利用可能なコンピュータープログラムにおいてコード化される。2つの配列間の同一性および類似性を決定する好ましいコンピュータープログラム方法には、GCGプログラムパッケージ(Devereux,J.,et al.,Nucleic Acids Research 12(1):387(1984))、BLASTP、BLASTNおよびFASTA(Atschul,S.F.et al.,J.Molec.Biol.215:403−410(1990))が包含されるがこれらに限定されるものではない。BLAST Xプログラムは、NCBIおよび他の供給源(BLAST Manual,Altschul,S.,et al.,NCBINLM NIH Bethesda,Md.20894:Altschul,S.,et al.,J.Mol.Biol.215:403−410(1990))から公的に利用可能である。周知のSmith Watermanアルゴリズムもまた、同一性を決定するために用いることができる。
【0032】
ポリペプチド配列比較のための好ましいパラメーターには、以下のものが包含される:
(1)アルゴリズム:Needleman and Wunsch,J.Mol Biol.48:443−453(1970)比較マトリックス:Hentikoff and Hentikoff,Proc.Natl.Acad.Sci,USA.89:10915−10919(1992)からのBLOSSUM62
ギャップペナルティー:12
ギャップ長ペナルティー:4
これらのパラメーターで有用なプログラムは、Genetics Computer Group, Madison Wisから「ギャップ」プログラムとして公的に利用可能である。上記のパラメーターは、ペプチド配列比較のためのデフォルトパラメーターである(末端ギャップに対するペナルティーなしと共に)。
【0033】
ポリヌクレオチド比較のための好ましいパラメーターには、以下のものが包含される:
(1)アルゴリズム:Needleman and Wunsch,J.Mol Biol.48:443−453(1970)
比較マトリックス:マッチ=+10、ミスマッチ=0
ギャップペナルティー:50
ギャップ長ペナルティー:3
Genetics Computer Group,Madison Wisから「ギャップ」プログラムとして利用可能。これらは、核酸配列比較のためのデフォルトパラメーターである。
【0034】
例として、ポリヌクレオチド配列は配列と同一である、すなわち100%同一であることができ、もしくはそれは参照配列と比較した場合にある整数数までのヌクレオチド改変を含むことができる。そのような改変は、少なくとも1つのヌクレオチド欠失、トランジションおよびトランスバージョンを包含する置換、もしくは挿入よりなる群から選択され、そしてここで、改変は参照配列におけるヌクレオチド間に個々にまたは参照配列内で1つもしくはそれ以上の連続した群において散在して、参照ヌクレオチド配列の5’もしくは3’末端位置でまたはこれらの末端位置間の任意の場所で起こり得る。ヌクレオチド改変の数は、配列におけるヌクレオチドの総数にそれぞれの同一性パーセント(100で割る)の数値パーセントを掛けそしてその積を配列におけるヌクレオチドの総数から引くことにより決定され、すなわち:
n.sub.n.ltorsim.x.sub.n−(x.sub.n.y)
ここで、n.sub.nはヌクレオチド改変の数であり、x.sub.nは配列におけるヌクレオチドの総数であり、そしてyは例えば70%では0.70、80%では0.80、85%では0.85、90%では0.90、95%では0.95などであり、そしてここで、x.sub.nとyとの任意の非整数積はx.sub.n.から引く前に最も近い整数に切り捨てられる。
【0035】
配列をコードするポリヌクレオチド配列の改変は、このコーディング配列におけるナンセンス、ミスセンスもしくはフレームシフト突然変異をもたらし、そしてそれによりそのような改変後にポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドを改変し得る。同様に、ポリペプチド配列は参照配列と同一である、すなわち100%同一であることができ、もしくはそれは同一性パーセンテージが100%未満であるように参照配列と比較した場合にある整数数までのアミノ酸改変を含むことができる。そのような改変は、少なくとも1つのアミノ酸欠失、保存的および非保存的置換を包含する置換、もしくは挿入よりなる群から選択され、そしてここで、改変は参照配列におけるアミノ酸間に個々にまたは参照配列内で1つもしくはそれ以上の連続する群において散在して、参照ポリペプチド配列のアミノもしくはカルボキシ末端位置でまたはこれらの末端位置間の任意の場所で起こり得る。既定の同一性%についてのアミノ酸改変の数は、配列におけるアミノ酸の総数にそれぞれの同一性パーセント(100で割る)の数値パーセントを掛けそして次にその積を配列におけるアミノ酸の総数から引くことにより決定され、すなわち:
n.sub.a.ltorsim.x.sub.a−(x.sub.a.y)
ここで、n.sub.aはアミノ酸改変の数であり、x.sub.aは配列におけるアミノ酸の総数であり、そしてyは例えば70%では0.70、80%では0.80、85%
では0.85などであり、そしてここで、x.sub.aとyとの任意の非整数積はx.sub.a.から引く前に最も近い整数に切り捨てられる。
【0036】
「核酸」はヌクレオチドのポリマーであり、ここで、ヌクレオチドは糖に連結された塩基を含んでなり、これらの糖はリン酸のような仲介する少なくとも2価の分子により次々と順に連結される。天然に存在する核酸において、糖は2’−デオキシリボース(DNA)もしくはリボース(RNA)のいずれかである。非天然のポリ−もしくはオリゴヌクレオチドは修飾塩基、糖もしくは連結分子を含有するが、それらがそれに倣って設計される天然に存在する核酸の相補的性質を模倣することが一般に理解される。非天然のオリゴヌクレオチドの例は、ホスホロチオレート骨格を有するアンチセンス分子組成である。「オリゴヌクレオチド」は一般に30個未満のヌクレオチドを有する核酸分子をさす。
【0037】
「ポリペプチド」は、ペプチド結合により連結されるアミノ酸残基のポリマーであり、そしてペプチドは一般に12個以下の残基のアミノ酸ポリマーをさす。ペプチド結合は、核酸鋳型による指示通りに自然にもしくは当該技術分野において周知の方法により合成的に製造することができる。
【0038】
「タンパク質」は、1つもしくはそれ以上のポリペプチド鎖を含んでなる高分子である。タンパク質はさらに、ペプチド結合の形成に関与しないアミノ酸の側基に結合した置換基を含んでなることができる。典型的に、真核細胞発現により形成されるタンパク質はまた炭水化物も含有する。タンパク質はそれらのアミノ酸配列もしくは骨格に関して本明細書において定義され、そして置換基は既知であろうとなかろうと特定されない。
【0039】
「受容体」という用語は、特定のリガンドもしくは結合相手との相互作用の結果として、例えば細胞において、生物学的活性に影響を及ぼす能力を有する分子を意味する。細胞膜結合型受容体は細胞外リガンド結合ドメイン、1つもしくはそれ以上の膜貫通もしくは膜透過ドメイン、および典型的にシグナル伝達に関与する細胞内エフェクタードメインを特徴とする。細胞膜受容体へのリガンド結合は、細胞膜を越えて伝えられる細胞外ドメインにおける変化、1つもしくはそれ以上の細胞内タンパク質との直接的もしくは間接的相互作用をもたらし、そして酵素活性、細胞形状もしくは遺伝子発現プロフィールのような細胞の性質を改変する。受容体はまた細胞表面につながれていないこともでき、そして細胞質内、核内であるかもしくは完全に細胞から遊離されることができる。非細胞結合受容体は、可溶性受容体と呼ばれる。
【0040】
本明細書に引用される全ての公開もしくは特許は、本発明の時点での最新技術を示しそして/もしくは本発明の記述および使用可能性を提供するように、それに応じて特に指定されようとなかろうと、引用することにより本明細書に全部が組み込まれる。公開は任意の科学もしくは特許公開、または全ての記録、電子もしくは印刷形式を包含する任意のメディア形式において利用可能な任意の他の情報をさす。以下の参考文献は、引用することにより本明細書に全部が組み込まれる:Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John
Wiley & Sons,Inc.,NY(1987−2001);Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor,NY(1989);Harlow and Lane,antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY(1989);Colligan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,Inc.,NY(1994−2001);Colligan et al.,Current Protocols in
Protein Science,John Wiley & Sons,NY(19
97−2001)。
【0041】
CXCL13の生物学的機能
CXCL13の新規発現および新規機能、ならびにリンパ系器官形成/発生、B細胞濾胞形成およびB細胞動員におけるその生物学的機能は、様々なヒト疾患および動物モデルにおいて同定されている。初めて、異所性発現が特にCOPD、しかしこれに限定されるものではない肺疾患と関連するリンパ濾胞形成と関連づけられている。
【0042】
CXCL13組成物は、1つもしくはそれ以上のタンパク質アイソフォーム、その免疫原性部分、またはそのような部分をコードするポリヌクレオチドを含んでなることができる。あるいはまた、治療組成物はCXCL13タンパク質を発現する細胞、もしくは遺伝子によりコードされるポリペプチドを発現する細胞に特異的なT細胞、もしくは他のタイプのアゴニスト;およびアンタゴニスト薬剤、例えば中和モノクローナル抗体(mAb)、核酸に基づく治療、またはCXCL13 DNA、RNAもしくはタンパク質の任意の部分に対する小分子化合物を含んでなることができる。これらの組成物は、例えば、一連の免疫媒介性炎症性疾患の予防および処置に用いることができる。サンプルにおけるCXCL13タンパク質もしくはそのようなタンパク質をコードするmRNAを検出することに基づく診断および予測方法が開示される。
【0043】
CXCL13およびその受容体タンパク質、ポリペプチド、ならびにそれらをコードする核酸分子は、ある種の保存された構造および機能特性を有する分子のファミリーを含んでなる。これらの分子の各々は、CXCL13の定義に包含される。本明細書において用いる場合、「ファミリー」という用語は、共通のもしくは同様のドメイン構造を有しそして本明細書において定義されるような十分なアミノ酸もしくはヌクレオチド配列同一性を有する2つもしくはそれ以上のタンパク質もしくは核酸分子を意味するものとする。ファミリーメンバーは、同じもしくは異なる種のいずれかからであることができる。例えば、ファミリーはヒト由来の2つもしくはそれ以上のタンパク質を含んでなることができ、またはヒト由来の1つもしくはそれ以上のタンパク質および非ヒト由来の1つもしくはそれ以上を含んでなることができる。
【0044】
CXCL13タンパク質に存在し得るドメインは、シグナル配列である。本明細書において用いる場合、「シグナル配列」には膜結合型タンパク質のアミノ末端に存在しそしてアラニン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、チロシン、トリプトファンもしくはバリンのような少なくとも約45%の疎水性アミノ酸残基を含有する少なくとも約10アミノ酸残基の長さのペプチドが包含される。好ましい態様において、シグナル配列は少なくとも約10〜35アミノ酸残基、好ましくは約10〜20アミノ酸残基を含有し、そして少なくとも約35〜60%、より好ましくは40〜50%、そしてより好ましくは少なくとも約45%の疎水性残基を有する。シグナル配列はそのような配列を含有するタンパク質を脂質二重層に向ける働きをする。従って、1つの態様において、CXCL13タンパク質はシグナル配列を含有することができる。シグナル配列は、成熟タンパク質のプロセシング中に切断される。
【0045】
CXCL13タンパク質は細胞外ドメインを含む。本明細書において用いる場合、「細胞外ドメイン」は、タンパク質をコードする核酸が細胞において発現される場合に細胞の脂質二重層の非細胞質側に局在化されるタンパク質の部分をさす。
【0046】
さらに、CXCL13タンパク質は膜貫通ドメインを含む。本明細書において用いる場合、「膜貫通ドメイン」は少なくとも約15アミノ酸残基の長さでありそしてアラニン、ロイシン、フェニルアラニン、プロリン、チロシン、トリプトファンもしくはバリンのような少なくとも約65〜70%の疎水性アミノ酸残基を含有するアミノ酸配列をさす(E
rik,et al.Proc.of Sixth Int.Conf.on Intelligent Systems for Molecular Biology,p175−182)。好ましい態様において、膜貫通ドメインは約15〜30アミノ酸残基、好ましくは約20〜25アミノ酸残基を含有し、そして少なくとも約60〜80%、より好ましくは65〜75%、そしてより好ましくは少なくとも約70%の疎水性残基を有する。
【0047】
CXCL13タンパク質は、特にカルボキシル末端の細胞質ドメインを有するタンパク質を包含する、細胞質ドメインを有する。本明細書において用いる場合、「細胞質ドメイン」は、タンパク質をコードする核酸が細胞において発現される場合に細胞の脂質二重層の細胞質側に局在化されるタンパク質の部分をさす。CXCL13タンパク質は典型的に、様々な潜在的翻訳後修飾部位(細胞外ドメイン内であることが多い)を含んでなる。
【0048】
CXCL13アンタゴニスト
本明細書において用いる場合、「CXCL13アンタゴニスト」という用語は、CXCL13もしくはその受容体、CXCR5の生物学的活性を阻害するかもしくは中和する物質をさす。そのようなアンタゴニストは、様々な方法においてこの効果を成し遂げる。CXCL13アンタゴニストの1つのクラスは、CXCL13の生物学的効果を中和するために十分な親和性および特異性でCXCL13タンパク質に結合する。このクラスの分子に包含されるのは、抗体および抗体フラグメント(例えば、F(ab)もしくはF(ab’)分子のような)である。CXCL13アンタゴニストの別のクラスは、CXCL13もしくはCXCL13結合相手に結合し、それによりCXCL13の生物学的活性を阻害するCXCL13タンパク質のフラグメント、突然変異タンパク質もしくは小有機分子、すなわち、ペプチド模倣物を含んでなる。CXCL13アンタゴニストは、それがCXCL13生物学的活性を阻害する物質である限りこれらのクラスの任意のものであることができる。CXCL13アンタゴニストにはCXCL13抗体、CXCL13受容体抗体、改変されたCXCL13、およびCXCL13の部分ペプチドが包含される。当該技術分野において既知であるようなCXCL13遺伝子配列を標的とするsiRNA、shRNA、アンチセンス分子およびDNAザイムが包含されるCXCL13アンタゴニストの別のクラスは本明細書に開示される。
【0049】
従って、本明細書において用いる場合、「CXCL13抗体」、「抗CXCL13抗体」、「抗CXCL13抗体部分」もしくは「抗CXCL13抗体フラグメント」および/または「抗CXCL13抗体バリアント」などには、本発明における使用のために抗体に導入することができる、重鎖もしくは軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)もしくはそのリガンド結合部分、重鎖もしくは軽鎖可変領域、重鎖もしくは軽鎖定常領域、フレームワーク領域、もしくはその任意の部分、またはCXCL13タンパク質もしくはペプチド由来のCXCL13結合タンパク質の少なくとも一部のようなしかしこれらに限定されるものではない、免疫グロブリン分子の少なくとも一部を含んでなる分子を含有する任意のタンパク質もしくはポリペプチドが包含される。そのような抗体は場合によりさらに特定のリガンドに影響を及ぼし、例えばしかし限定されるものではなく、ここで、そのような抗体はインビトロ、インサイチュウそして/もしくはインビボでCXCL13活性を調節し、減少させ、増加させ、拮抗し、作動させ(agonize)、緩和し、軽減し、阻止し、阻害し、取り消しそして/もしくは妨げる。限定されない例として、本発明の適当な抗CXCL13抗体、特定の部分もしくはバリアントは少なくとも1つのCXCL13タンパク質もしくはペプチド、またはその特定の部分、バリアントもしくはドメインに結合することができる。適当な抗CXCL13抗体、特定の部分もしくはバリアントは、RNA、DNAもしくはタンパク質合成、CXCL13放出、CXCL13シグナル伝達、CXCL13結合、CXCL13生産および/もしくは合成のようなしかしこれらに限定されるものではない様々な方法においてCXCL13機能に影響を及ぼす。
【0050】
抗体は少なくとも1つのCDR、少なくとも1つの可変領域、少なくとも1つの定常領域、少なくとも1つの重鎖(例えば、g1、g2、g3、g4、m、a1、a2、d、e)、少なくとも1つの軽鎖(例えば、kおよびl)、またはその任意の部分もしくはフラグメントの1つもしくはそれ以上を含むことができ、そしてさらに鎖間および鎖内ジスルフィド結合、ヒンジ領域、ヒンジ領域により分離することができるグリコシル化部位、ならびに重鎖および軽鎖を含んでなることができる。軽鎖は典型的に約25Kdの分子量を有し、そして重鎖は典型的に約50K〜77Kdの間である。軽鎖は、重鎖タイプのいずれかと組み合わせることができる、2つの異なる形態もしくはアイソタイプ、カッパ(k)およびラムダ(l)において存在することができる。全ての軽鎖は、少なくとも1つの可変領域および少なくとも1つの定常領域を有する。IgG抗体は典型的な抗体構造と考えられ、そして軽鎖に2個の鎖内ジスルフィド結合を有し(可変領域に1個そして定常領域に1個)、重鎖において4個を有し、そして約60〜70アミノ酸のペプチドループを包含するそのような結合は鎖における約110アミノ酸の「ドメイン」を含んでなる。IgG抗体は、4つのクラス、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4に特性化することができる。各免疫グロブリンクラスは、異なる一連の機能を有する。表1は、免疫グロブリンクラスおよびサブクラスの各々の物理化学的性質を要約する。
【0051】
【表1】

【0052】
表2は、ヒト抗体クラスおよびサブクラスの抗体エフェクター機能の限定されない例を要約する。
【0053】
【表2】

【0054】
従って、抗体もしくはそのフラグメントのタイプは、血清半減期、血管内分布、補体結合などのようなしかしこれらに限定されるものではない特定の治療もしくは診断用途に所望される所望の特性および機能に基づいて本発明の使用のために選択することができる。
【0055】
単離されたCXCL13ポリペプチドもしくはそのフラグメントは、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体調製のための標準的な技術を用いて抗体を生成するために免疫原として用いることができる。全長ポリペプチドもしくはタンパク質を用いることができ、あるいはまた、本発明は免疫原としての使用のための抗原性ペプチドフラグメントを提供する。CXCL13タンパク質の抗原性ペプチドは少なくとも8個(好ましくは10、15、20もしくは30個またはそれ以上)のアミノ酸残基を含んでなり、そしてペプチドに対する抗体がタンパク質と特異的免疫複合体を形成するようにタンパク質のエピトープを含む。
【0056】
免疫原は典型的に、ウサギ、ヤギ、マウスまたは他の哺乳類もしくは脊椎動物のような適当な(すなわち、免疫応答性)対象を免疫することにより抗体を調製するために用いられる。適切な免疫原性調製物は、例えば、組換えで発現されたもしくは化学的に合成されたポリペプチドを含有することができる。調製物はさらに、フロインド完全もしくは不完全アジュバントのようなアジュバント、または同様の免疫刺激剤を含むことができる。
【0057】
抗体産生細胞は、興味のある免疫原で免疫されているヒトもしくは他の適当な動物の末梢血、または好ましくは脾臓もしくはリンパ節から得ることができる。任意の他の適当な宿主細胞もまた、本発明の抗体、その特定のフラグメントもしくはバリアントをコードする異種もしくは内因性核酸を発現するために用いることができる。融合した細胞(ハイブリドーマ)もしくは組換え細胞を選択的培養条件もしくは他の適当な既知の方法を用いて単離し、そして限界希釈もしくは細胞選別、または他の既知の方法によりクローン化することができる。所望の特異性を有する抗体を産生する細胞は、適当なアッセイ(例えばELISA)により選択することができる。
【0058】
1つの方法において、ハイブリドーマは適当な不死化細胞系(例えば、Sp2/0、Sp2/0−AG14、NSO、NS1、NS2、AE−1、L.5、>243、P3X63Ag8.653、Sp2 SA3、Sp2 MAI、Sp2 SS1、Sp2 SA5、U937、MLA144、ACTIV、MOLT4、DA−1、JURKAT、WEHI、K−562、COS、RAJI、NIH 3T3、HL−60、MLA144、NAMALWA、NEURO 2Aなどのようなしかしこれらに限定されるものではない骨髄腫細胞系)、もしくはヘテロ骨髄腫、その融合産物、またはそれ由来の任意の細胞もしく
は融合細胞、または当該技術分野において既知であるような任意の他の適当な細胞系(例えば、www.atcc.org、www.lifetech.com,などを参照)を単離されたもしくはクローン化された脾臓、末梢血、リンパ、扁桃腺または他の免疫もしくはB細胞含有細胞、あるいは内因性もしくは異種核酸として、組換えもしくは内因性、ウイルス、細菌、藻類、原核生物、両生類、昆虫、爬虫類、魚類、哺乳類、げっ歯類、ウマ、ヒツジ(ovine)、ヤギ、ヒツジ(sheep)、霊長類、真核生物、ゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNAもしくはRNA、葉緑体DNAもしくはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、一本鎖、二本鎖もしくは三本鎖、ハイブリダイズしたなどまたはその任意の組み合わせとして、重鎖もしくは軽鎖定常もしくは可変もしくはフレームワークもしくはCDR配列を発現する任意の他の細胞のようなしかしこれらに限定されるものではない抗体産生細胞と融合させることにより製造される。例えば、引用することにより本明細書に全部が組み込まれる、Ausubel,上記およびColligan,Immunology,上記,2章を参照。
【0059】
当該技術分野において既知でありそして/もしくは本明細書に記載の通り、ペプチドもしくはポリペプチドライブラリー(例えば、バクテリオファージ、リボソーム、オリゴヌクレオチド、RNA、cDNAなど、ディスプレイライブラリー;例えばCambridge antibody Technologies,Cambridgeshire,UK;MorphoSys,Martinsreid/Planegg,DE;Biovation,Aberdeen,Scotland,UK;BioInvent,Lund,Sweden;Dyax Corp.,Enzon,Affymax/Biosite;Xoma,Berkeley,CA;Ixsysから入手可能であるような。例えば、EP公開第368,684号、PCT/GB91/01134;PCT/GB92/01755;PCT/GB92/002240;PCT/GB92/00883;PCT/GB93/00605;米国特許5,962,255;PCT/GB94/01422;PCT/GB94/02662;PCT/GB97/01835;(CAT/MRC);WO90/14443;WO90/14424;WO90/14430;PCT/US94/1234;WO92/18619;WO96/07754;(Scripps);EP 614 989(MorphoSys);WO95/16027(BioInvent);WO88/06630;WO90/3809(Dyax);US4,704,692(Enzon);PCT/US91/02989(Affymax);WO89/06283;EP 371 998;EP 550 400;(Xoma);EP 229 046;PCT/US91/07149(Ixsys)を参照;または確率的に生成されたペプチドもしくはポリペプチド−米国特許5723323、5763192、5814476、5817483、5824514および5976862、WO86/05803、EP 590 689(Ixsys,現在はApplied Molecular Evolution(AME)、各々引用することにより本明細書に全部が組み込まれる)、しかしこれらに限定されるものではない)から組換え抗体を選択するかもしくはヒト抗体のレパートリーを生産することができるトランスジェニック動物(例えばSCIDマウス、各々引用することにより全部が組み込まれる、Nguyen et al.,Microbiol.Immunol.41:901−907(1997);Sandhu et al.,Crit.Rev.Biotechnol.16:95−118(1996);Eren et al.,Immunol.93:154−161(1998)、ならびに関連特許および出願)の免疫に依存する方法が包含されるがこれらに限定されるものではない、必要な特異性の抗体を製造するかもしくは単離する他の適当な方法を用いることができる。そのような技術には、リボソームディスプレイ(Hanes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:4937−4942(1997年5月);Hanes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:14130−14135(1998年11月));単一細胞抗体産生技術(例えば、選択リンパ球抗体法(「SLAM」)(米国特許第5,627,052号,We
n et al.,J.Immunol.17:887−892(1987);Babcook et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:7843−7848(1996));ゲルマイクロドロップ(gel microdroplet)およびフローサイトメトリー(Powell et al.,Biotechnol.8:333−337(1990);1細胞システム、Cambridge,MA;Gray et al.,J.Imm.Meth.182:155−163(1995);Kenny et al.,Bio/Technol.13:787−790(1995));B細胞選択(Steenbakkers et al.,Molec.Biol.Reports 19:125−134(1994);Jonak et al.,Progress Biotech,Vol.5,In Vitro Immunization in Hybridoma Technology, Borrebaeck,ed.,Elsevier Science Publishers B.V.,Amsterdam,Netherlands(1988))が包含されるがこれらに限定されるものではない。
【0060】
非ヒトもしくはヒト抗体を設計するかもしくはヒト化する方法もまた用いることができ、そして当該技術分野において周知である。一般に、ヒト化もしくは設計抗体はヒトでない供給源、例えばマウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類もしくは他の哺乳類、しかしこれらに限定されるものではないからの1つもしくはそれ以上のアミノ酸残基を有する。ヒトアミノ酸残基は「インポート」残基と呼ばれることが多く、それらは典型的に既知のヒト配列の「インポート」可変、定常もしくは他のドメインから取られる。既知のヒトIg配列は開示されている、例えば、各々引用することにより本明細書に全部が組み込まれる、www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi;www.ncbi.nih.gov/igblast;www.atcc.org/phage/hdb.html;www.mrc−cpe.cam.ac.uk/ALIGNMENTS.php;www.kabatdatabase.com/top.html;ftp.ncbi.nih.gov/repository/kabat;www.sciquest.com;www.abcam.com;www.antibodyresource.com/onlinecomp.html;www.public.iastate.edu/〜pedro/research_tools.html;www.whfreeman.com/immunology/CH05/kuby05.htm;www.hhmi.org/grants/lectures/1996/vlab;www.path.cam.ac.uk/〜mrc7/mikeimages.html;mcb.harvard.edu/BioLinks/Immunology.html;www.immunologylink.com;pathbox.wustl.edu/〜hcenter/index.html;www.appliedbiosystems.com;www.nal.usda.gov/awic/pubs/antibody;www.m.ehime−u.ac.jp/〜yasuhito/Elisa.html;www.biodesign.com;www.cancerresearchuk.org;www.biotech.ufl.edu;www.isac−net.org;baserv.uci.kun.nl/〜jraats/links1.html;www.recab.uni−hd.de/immuno.bme.nwu.edu;www.mrc−cpe.cam.ac.uk;www.ibt.unam.mx/vir/V_mice.html;http://www.bioinf.org.uk/abs;antibody.bath.ac.uk;www.unizh.ch;www.cryst.bbk.ac.uk/〜ubcg07s;www.nimr.mrc.ac.uk/CC/ccaewg/ccaewg.html;www.path.cam.ac.uk/〜mrc7/humanisation/TAHHP.html;www.ibt.unam.mx/vir/structure/stat_aim.html;www.biosci.missouri.edu/smithgp/index
.html;www.jerini.de;Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Dept.Health(1983)。
【0061】
そのようなインポート配列は、当該技術分野において既知であるように、免疫原性を減らすかまたは結合、親和性、オン速度(on−rate)、オフ速度(off−rate)、アビディティー、特異性、半減期もしくは任意の他の適当な特性を減らすか、高めるかもしくは改変するために用いることができる。一般に、非ヒトもしくはヒトCDR配列の一部もしくは全部は維持され、一方、可変および定常領域の非ヒト配列はヒトもしくは他のアミノ酸で置換される。抗体はまた場合により、抗原に対する高い親和性および他の好ましい生物学的性質を保持してヒト化することもできる。この目的を達成するために、ヒト化抗体は場合により親およびヒト化配列の3次元モデルを用いて親配列および様々な概念的ヒト化産物の分析の方法により製造することができる。3次元免疫グロブリンモデルは一般に利用可能であり、そして当業者によく知られている。選択した候補免疫グロブリン配列の推定3次元立体配座構造を説明しそして示すコンピュータープログラムが利用可能である。これらの表示を調べることは、候補免疫グロブリン配列の機能性における残基の可能性のある役割の分析、すなわち、候補免疫グロブリンのその抗原に結合する能力に影響を及ぼす残基の分析を可能にする。このようにして、標的抗原(1つもしくは複数)に対する増加した親和性のような所望の抗体特性が得られるように共通およびインポート配列からFR残基を選択しそして組み合わせることができる。一般に、CDR残基は抗原結合に影響を及ぼすことに直接的にそして最も実質的に関与している。本発明の抗体のヒト化もしくは設計は、その中に引用される参考文献を包含する、各々引用することにより本明細書に全部が組み込まれる;Winter(Jones et al.,Nature 321:522(1986);Riechmann et al.,Nature
332:323(1988);Verhoeyen et al.,Science 239:1534(1988)),Sims et al.,J.Immunol.151:2296(1993);Clothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901(1987),Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:4285(1992);Presta et al.,J.Immunol.151:2623(1993),米国特許第5723323号;第5976862号;第5824514号;第5817483号;第5814476号;第5763192号;第5723323号;第5766886号;第5714352号;第6204023号;第6180370号;第5693762号;第5530101号;第5585089号;第5225539号;および第4816567号;PCT/:US98/16280;US96/18978;US91/09630;US91/05939;US94/01234;GB89/01334;GB91/01134;GB92/01755;WO90/14443;WO90/14424;およびWO90/14430;EP229246に記述されるもののようなしかしこれらに限定されるものではない任意の既知の方法を用いて行うことができる。
【0062】
CXCL13抗体はまた場合により、本明細書に記載の通りそして/もしくは当該技術分野において既知であるように、ヒト抗体のレパートリーを生産することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、非ヒト霊長類など)の免疫により作製することもできる。ヒトCXCL13抗体を生産する細胞は、本明細書に記載の方法のような適当な方法を用いてそのような動物から単離しそして不死化することができる。
【0063】
ヒト抗原に結合するヒト抗体のレパートリーを生産することができるトランスジェニック動物は、既知の方法により製造することができる(例えば、各々引用することにより本明細書に全部が組み込まれる、Lonberg et al.に交付済みの米国特許第5
,770,428号,第5,569,825号,第5,545,806号,第5,625,126号,第5,625,825号,第5,633,425号,第5,661,016号および第5,789,650号;Jakobovits et al.WO98/50433,Jakobovits et al.WO98/24893,Lonberg et al.WO98/24884,Lonberg et al.WO97/13852,Lonberg et al.WO94/25585,Kucherlapate et al.WO96/34096,Kucherlapate et al.EP 0463 151 B1,Kucherlapate et al.EP 0710 719 A1,Surani et al.米国特許第5,545,807号,Bruggemann et al.WO90/04036,Bruggemann et al.EP 0438 474 B1,Lonberg et al.EP 0814 259 A2,Lonberg et al.GB 2 272 440 A,Lonberg et al.Nature 368:856−859(1994),Taylor et
al.,Int.Immunol.6(4)579−591(1994),Green
et al,Nature Genetics 7:13−21(1994),Mendez et al.,Nature Genetics 15:146−156(1997),Taylor et al.,Nucleic Acids Research
20(23):6287−6295(1992),Tuaillon et al.,Proc Natl Acad Sci USA 90(8)3720−3724(1993),Lonberg et al.,Int Rev Immunol 13(1):65−93(1995)およびFishwald et al.,Nat Biotechnol 14(7):845−851(1996)、しかしこれらに限定されるものではない)。一般に、これらのマウスは、機能的に再構成されるかもしくは機能的再構成を受けることができる少なくとも1つのヒト免疫グロブリン遺伝子座からのDNAを含んでなる少なくとも1つの導入遺伝子を含んでなる。そのようなマウスにおける内因性免疫グロブリン遺伝子座は、内因性遺伝子によりコードされる抗体を生産する動物の能力を除くために破壊するかもしくは取り除くことができる。
【0064】
本発明の抗体はまた、それらの乳において抗体を生産するヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジなどのようなトランスジェニック動物もしくは哺乳類に少なくとも1つの抗CXCL13抗体をコードする核酸を投与することにより乳において製造することもできる。そのような動物は、既知の方法を用いて提供することができる。例えば、各々引用することにより本明細書に全部が組み込まれる、米国特許第5,827,690号;第5,849,992号;第4,873,316号;第5,849,992号;第5,994,616号;第5,565,362号;第5,304,489号などを参照、しかしこれらに限定されるものではない。本発明の抗体はさらに、植物部位においてもしくはそれから培養した細胞においてそのような抗体、特定の部分もしくはバリアントを生産するトランスジェニック植物および培養植物細胞(例えば、タバコおよびトウモロコシ、しかしこれらに限定されるものではない)を提供するために少なくとも1つのCXCL13抗体をコードする核酸を用いて製造することができる。
【0065】
本発明の抗体は、広範囲の親和性(K)でヒトCXCL13に結合することができる。好ましい態様において、本発明の少なくとも1つのヒトmAbは場合により高親和性でヒトCXCL13に結合することができる。例えば、ヒトmAbは0.1〜9.9(またはその中の任意の範囲もしくは値)X10−7、10−8、10−9、10−10、10−11、10−12、10−13またはその中の任意の範囲もしくは値のようなしかしこれらに限定されるものではない約10−7M以下のKでヒトCXCL13に結合することができる。
【0066】
抗原に対する抗体の親和性もしくはアビディティーは、任意の適当な方法を用いて実験
的に決定することができる(例えば、Berzofsky,et al.,“Antibody−Antigen Interactions,”Fundamental Immunology,Paul,W.E.,Ed.,Raven Press:New York,NY(1984);Kuby,Janis Immunology,W.H.Freeman and Company:New York,NY(1992);および本明細書に記載の方法を参照)。特定の抗体−抗原相互作用の測定される親和性は、異なる条件(例えば、塩濃度、pH)下で測定される場合に異なり得る。従って、親和性および他の抗原結合パラメーター(例えば、K、K、K)の測定は好ましくは抗体および抗原の標準化溶液、ならびに本明細書に記載のバッファーのような標準化バッファーで行われる。
【0067】
CXCL13アンタゴニスト(例えばモノクローナル抗体)は、親和性クロマトグラフィーもしくは免疫沈降のような標準的な技術によりCXCL13ポリペプチドを単離するために用いることができる。さらに、そのような抗体は、ポリペプチドの発現の存在量およびパターンを評価する目的でタンパク質(例えば、細胞溶解物もしくは細胞上清における)を検出するために用いることができる。抗体はまた、例えば、既定の処置処方計画の効能を決定するために、臨床検査法の一部として組織におけるタンパク質レベルをモニターするために診断的に用いることもできる。検出は、抗体を検出可能な物質に連結することにより容易にすることができる。検出可能な物質の例には、様々な酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質および放射性物質が包含される。適当な酵素の例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼおよびアセチルコリンエステラーゼが包含され;適当な補欠分子族複合体の例にはストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが包含され;適当な蛍光物質の例にはウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドもしくはフィコエリトリンが包含され;発光物質の例にはルミノールが包含され;生物発光物質の例にはルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが包含され;そして適当な放射性物質の例には125I、131I、35SもしくはHが包含される。
【0068】
「抗体」という用語にはさらに、一本鎖抗体およびそのフラグメントを包含する、抗体模倣物を含むかあるいは抗体またはその特定のフラグメントもしくは部分の構造および/もしくは機能を模倣する抗体の部分を含んでなる、抗体、消化フラグメント、その特定の部分およびバリアントが包含されるものとする。機能性フラグメントには、哺乳類CXCL13に結合する抗原結合フラグメントが包含される。例えば、Fab(例えば、パパイン消化による)、Fab’(例えば、ペプシン消化および部分的還元による)およびF(ab’)(例えば、ペプシン消化による)、facb(例えば、プラスミン消化による)、pFc’(例えば、ペプシンもしくはプラスミン消化による)、Fd(例えば、ペプシン消化、部分的還元および再集合による)、FvもしくはscFv(例えば、分子生物学技術による)フラグメントが包含されるがこれらに限定されるものではない、CXCL13もしくはその一部に結合することができる抗体フラグメントは、本発明により包含される(例えば、Colligan,Immunology,上記を参照)。
【0069】
そのようなフラグメントは、当該技術分野において既知であるようにそして/もしくは本明細書に記載の通り、酵素的切断、合成もしくは組換え技術により製造することができる。抗体はまた、1つもしくはそれ以上の終止コドンが天然の終止部位の上流に導入されている抗体遺伝子を用いて様々なトランケーションされた形態において製造することもできる。例えば、重鎖のC1ドメインおよび/もしくはヒンジ領域をコードするDNA配列を含むようにF(ab’)重鎖部分をコードする組み合わせ遺伝子を設計することができる。抗体の様々な部分は通常の技術により化学的に一緒に連結することができ、もしくは遺伝子工学技術を用いて連続したタンパク質として製造することができる。
【0070】
抗CXCL13抗体は、霊長類、げっ歯類もしくはヒト抗体またはキメラもしくはヒト化抗体であることができる。本明細書において用いる場合、「ヒト抗体」という用語は、ごくわずかな配列変化もしくはバリエーションを有して、タンパク質の実質的にあらゆる部分(例えば、CDR、フレームワーク、CL、CHドメイン(例えば、C1、C2、C3)、ヒンジ、(VL、VH)がヒトにおいて実質的に非免疫原性であり、そして/または既知のヒト抗体成分に設計されるか、それに由来するかもしくはそれを含有する抗体をさす。同様に、霊長類(サル、ヒヒ、チンパンジーなど)、げっ歯類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスターなど)および他の哺乳類と指定される抗体は、そのような種、亜属、属、亜科、科特異的抗体を示す。さらに、本発明のキメラ抗体は上記の任意の組み合わせを含むことができる。そのような変化もしくはバリエーションは、場合によりそして好ましくは、非改変抗体に対してヒトもしくは他の種における免疫原性を保持するかもしくは減らす。従って、ヒト抗体はキメラもしくはヒト化抗体と異なる。ヒト抗体は機能的に再構成したヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖および/もしくは軽鎖)遺伝子を発現することができる非ヒト動物または原核もしくは真核細胞により製造できることが指摘される。さらに、ヒト抗体が一本鎖抗体である場合、それは天然のヒト抗体に存在しないリンカーペプチドを含んでなることができる。例えば、Fvは重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域を連結する、2〜約8個のグリシンもしくは他のアミノ酸残基のようなリンカーペプチドを含んでなることができる。そのようなリンカーペプチドは、ヒト由来のものであると考えられる。
【0071】
少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有するモノクローナル、好ましくはヒトもしくはヒト化抗体である二重特異性、ヘテロ特異性、ヘテロコンジュゲートもしくは同様の抗体もまた用いることができる。本発明の場合、結合特異性の一方は少なくとも1つのCXCL13タンパク質に対してであり、もう一方は任意の他の抗原、例えばCXCL13受容体もしくはTNFαに対してである。二重特異性抗体を製造する方法は、当該技術分野において既知である。伝統的に、二重特異性抗体の組換え製造は2つの免疫グロブリン重鎖−軽鎖対の共発現に基づき、ここで、2つの重鎖は異なる特異性を有する(Milstein and Cuello,Nature 305:537(1983))。免疫グロブリン重鎖および軽鎖の任意組み合わせのために、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は10個の異なる抗体分子の潜在的混合物を生産し、これらのうち1つのみが正しい二重特異性構造を有する。通常は親和性クロマトグラフィー工程により行われる正しい分子の精製はかなり煩雑であり、そして生成物収率は低い。同様の方法は、例えば、各々引用することにより本明細書に全部が組み込まれる、WO93/08829、米国特許第6210668号、第6193967号、第6132992号、第6106833号、第6060285号、第6037453号、第6010902号、第5989530号、第5959084号、第5959083号、第5932448号、第5833985号、第5821333号、第5807706号、第5643759号、第5601819号、第5582996号、第5496549号、第4676980号、WO91/00360、WO92/00373、EP 03089、Traunecker et al.,EMBO J.10:3655(1991)、Suresh et al.,Methods in Enzymology 121:210(1986)に開示される。
【0072】
本発明の方法および組成物において有用な抗CXCL13抗体は、場合により、CXCL13への高親和性結合および場合によりそして好ましくは低い毒性を有することを特徴とすることができる。特に、可変領域、定常領域およびフレームワークのような個々の成分が個々にそして/もしくはまとめて、場合によりそして好ましくは低い免疫原性を保有する、本発明の抗体、その特定のフラグメントもしくはバリアントは本発明において有用である。本発明において用いることができる抗体は、場合により、症候の測定可能な軽減および低いそして/もしくは許容しうる毒性を有して長期間にわたって患者を処置するそ
れらの能力を特徴としてもよい。低いもしくは許容しうる免疫原性および/または高い親和性、ならびに他の適当な性質は、得られる治療結果に寄与することができる。「低い免疫原性」は、処置した患者の約75%未満、もしくは好ましくは約50%において有意なHAHA、HACAもしくはHAMA反応を引き起こすことそして/または処置した患者において低い力価(二重抗原酵素免疫アッセイで測定される約300未満、好ましくは約100未満)をもたらすこととして本明細書において定義される(引用することにより全部が本明細書に組み込まれる、Elliott et al.,Lancet 344:1125−1127(1994)。
【0073】
適当な抗体には、CXCL13活性化を阻止するモノクローナル抗体とヒトCXCL13への結合について競合するものが包含される。
【0074】
siRNA、shRNA、アンチセンス、リボザイムおよびDNAザイムの形態のCXCL13アンタゴニスト
CXCL13の誘導因子を標的とする治療は、より高い成功の可能性を与えることができる。遺伝子発現は、siRNA、shRNA、アンチセンス分子、リボザイムおよびDNAザイムの使用によってを包含するいくつかの異なる方法において調節することができる。合成siRNA、shRNA、リボザイムおよびDNAザイムは1つもしくはそれ以上の遺伝子を特異的に標的とするように設計することができ、そしてそれらはインビトロもしくはインビボで細胞に容易に送達することができる。
【0075】
本発明にはアンチセンス核酸分子、すなわち、CXCL13ポリペプチドをコードするセンス核酸に相補的である、例えば、二本鎖cDNA分子のコーディング鎖に相補的であるかもしくはmRNA配列に相補的である分子が包含される。従って、アンチセンス核酸はセンス核酸に水素結合することができる。アンチセンス核酸は全コーディング鎖にもしくはその一部のみ、例えばタンパク質コーディング領域(もしくはオープンリーディングフレーム)の全部もしくは一部に相補的であることができる。アンチセンス核酸分子は、CXCL13ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のコーディング鎖の非コーディング領域の全部もしくは一部にアンチセンスであることができる。非コーディング領域(「5’および3’非翻訳領域」)は、コーディング領域に隣接しそしてアミノ酸に翻訳されない5’および3’配列である。
【0076】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45もしくは50個またはそれ以上のヌクレオチドの長さであることができる。本発明のアンチセンス核酸は、当該技術分野において既知である方法を使用して化学合成および酵素連結反応を用いて構築することができる。例えば、アンチセンス核酸(例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド)は、天然に存在するヌクレオチドまたは分子の生物学的安定性を増大するようにもしくはアンチセンスとセンス核酸間で形成される二本鎖の物理的安定性を増大するように設計された様々に修飾されたヌクレオチドを用いて化学的に合成することができ、例えば、ホスホロチオエート誘導体、ペプチド核酸(PNA)およびアクリジン置換されたヌクレオチドを用いることができる。アンチセンス核酸を生成するために用いることができる修飾ヌクレオチドの例には、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ−D−ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルキューオシン、5
’−メトキシカルボキシメチルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、プソイドウラシル、キューオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)wおよび2,6−ジアミノプリンが包含される。あるいはまた、アンチセンス核酸は、核酸がアンチセンスの向きにサブクローン化されている(すなわち、挿入核酸から転写されるRNAは興味のある標的核酸にアンチセンスの向きのものである、以下のサブセクションにさらに記述される)発現ベクターを用いて生物学的に製造することができる。
【0077】
本発明のアンチセンス核酸分子は、典型的に、選択したCXCL13ポリペプチドをコードする細胞mRNAおよび/もしくはゲノムDNAとそれらがハイブリダイズするかもしくは結合してその結果、例えば転写および/もしくは翻訳を阻害することにより、発現を阻害するように患者に投与されるかもしくはインサイチューで生成される。ハイブリダイゼーションは、安定な二本鎖を形成するための通常のヌクレオチド相補性によって、もしくは例えばDNA二本鎖に結合するアンチセンス核酸分子の場合、二重らせんの主溝における特異的相互作用によってであることができる。本発明のアンチセンス核酸分子の投与の経路の例には、組織部位での直接注射が包含される。あるいはまた、アンチセンス核酸分子は選択した細胞を標的とするように改変され、そして次に全身的に投与されることができる。例えば、全身投与のために、アンチセンス分子は、例えば細胞表面受容体もしくは抗原に結合するペプチドもしくは抗体にアンチセンス核酸分子を連結することにより、選択した細胞表面上に発現される受容体もしくは抗原にそれらが特異的に結合するように改変することができる。アンチセンス核酸分子はまた、本明細書に記述されるベクターを用いて細胞に送達することもできる。アンチセンス分子の十分な細胞内濃度を達成するために、アンチセンス核酸分子が強力なpol IIもしくはpol IIIプロモーターの制御下に置かれるベクター構築物が好ましい。
【0078】
本発明のアンチセンス核酸分子は、α−アノマー核酸分子であることができる。α−アノマー核酸分子は相補的RNAと特異的二本鎖ハイブリッドを形成し、ここで、通常のα−単位と異なり、これらの鎖は相互に平行する(Gaultier et al.(1987)Nucleic Acids Res.15:6625−6641)。アンチセンス核酸分子はまた、2’−o−メチルリボヌクレオチド(Inoue et al.(1987)Nucleic Acids Res.15:6131−6148)もしくはキメラRNA−DNAアナログ(Inoue et al.(1987)FEBS Lett.215:327−330)を含んでなることもできる。
【0079】
本発明にはまた、リボサイムも包含される。リボザイムは、それに対してそれらが相補的領域を有する、mRNAのような一本鎖核酸を切断することができるリボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNA分子である。従って、リボザイム(例えば、Haselhoff
and Gerlach(1988)Nature 334:585−591に記述されるようなハンマーヘッド型リボザイム)は、mRNA転写産物を触媒的に切断してそれによりmRNAによりコードされるタンパク質の翻訳を阻害するために用いることができる。CXCL13ポリペプチドをコードする核酸分子に対する特異性を有するリボザイムは、本明細書に開示されるcDNAのヌクレオチド配列に基づいて設計することができる。例えば、活性部位のヌクレオチド配列が、Cech et al.、米国特許第4,987,071号;およびCech et al.、米国特許第5,116,742号において切断されるヌクレオチド配列に相補的であるテトラヒメナL−19 IVS RNAの誘導体を構築することができる。あるいはまた、RNA分子のプールから特異的リボヌクレアーゼ活性を有する触媒RNAを選択するためにCXCL13ポリペプチドをコード
するmRNAを用いることができる。例えば、Haselhoff and Gerlach 上記;Bartel and Szostak(1993)Sience 261:1411−1418を参照。
【0080】
本発明にはまた、特定の遺伝子発現、この場合CXCL13を抑制的に調節するために、従って、タンパク質発現を阻害するために、そしてそれらのそれぞれの生物学的機能を解明するために用いることができる、相補的、アンチセンス、二本鎖ホモログ、siRNAであるかもしくは短いヘアピン構造を形成する配列特異的一本鎖RNA、shRNAである(まとめて、干渉RNA)リボ核酸分子も包含される(Fire,A.,et al.(1998)Nature 391:806−811;Paddison,P.J.et al.(2002)Genes Develop 16:948−958)。
【0081】
本発明にはさらに、RNA(Breaker and Joyce,1994;Santoro and Joyce,1997)もしくはDNA(Carmi et al.,1996)分子のいずれかを切断することができるDNAザイムが包含される。そのような核酸酵素の触媒的切断の速度は、Ba2+、Sr2+、Mg2+、Ca2+、Ni2+、Co2+、Mn2+、Zn2+およびPb2+のような2価の金属イオンの存在および濃度によって決まる(Santoro and Joyce,1998;Brown et al.,2003)。
【0082】
10:23および8:17DNAザイムのような触媒DNAザイムは、多数のドメインを有する。それらは、基質に特異的に結合する配列の領域である、2つの非保存的基質結合ドメイン(ハイブリダイジングアーム(hybridizing arm))が隣接する保存された触媒ドメイン(触媒コア)を有する。10:23および8:17DNAザイムは、特定のRNAホスホジエステル結合で核酸基質を切断することができる(Santoro and Joyce,1997)。10:23DNAザイムは、2つの基質認識アームが隣接する15個のデオキシヌクレオチドの触媒ドメインを有する。8:17DNAザイムは同様のサイズのものである。
【0083】
触媒核酸は、最小限の要求を満たす標的配列を有する核酸基質を切断することができる。基質配列は触媒核酸のハイブリダイジングアームに実質的に相補的でなければならず、そして基質は切断の部位で特定の配列を含有しなければならない。切断部位での特定の配列要求には、例えば、10:23DNAリボザイムによる切断のためのプリン:ピリミジンリボヌクレオチド配列が包含される(Santoro and Joyce,1997)。
【0084】
様々な態様において、本発明の核酸分子は、例えば分子の安定性、ハイブリダイゼーションもしくは可溶性を改善するために塩基部分、糖部分もしくはリン酸骨格で改変することができる。例えば、上記のようなヌクレオチドアナログを天然に存在するヌクレオチドに代用することができる。
【0085】
別の例において、ペプチド核酸を生成するために核酸のデオキシリボースリン酸骨格を改変することができる(Hyrup et al.(1996)Bioorganic & Medicinal Chemistry 4(1):5−23を参照)。本明細書において用いる場合、「ペプチド核酸」もしくは「PNA」という用語は、デオキシリボースリン酸骨格が擬似ペプチド骨格で置換されそして4種の天然の核酸塩基のみが保持される核酸模倣物、例えばDNA模倣物をさす。PNAの中性の骨格は、低イオン強度の条件下でDNAおよびRNAへの特異的ハイブリダイゼーションを可能にすることが示されている。Hyrup et al.(1996),上記;Perry−O’Keefe et al.(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.93:14670−
675に記述されるような標準的な固相ペプチド合成プロトコルを用いてPNAオリゴマーの合成を行うことができる。
【0086】
PNAは治療および診断用途において用いることができる。例えば、PNAは例えば転写もしくは翻訳の停止を引き起こすかまたは複製を阻害することにより遺伝子発現の配列特異的調節のためのアンチセンスもしくは抗遺伝子剤として用いることができる。例えば、PNAはまた、例えばPNAを介するPCRクランピングによる遺伝子中の単一塩基対突然変異の分析において;他の酵素、例えばS1ヌクレアーゼと組み合わせて用いる場合に人工制限酵素として(Hyrup(1996)、上記);またはDNAシーケンスおよびハイブリダイゼーションのためのプローブもしくはプライマーとして(Hyrup(1996)、上記;Perry−O’Keefe et al.(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:14670−675)用いることもできる。
【0087】
別の態様において、PNAは例えばそれらの安定性もしくは細胞取り込みを高めるために、親油性もしくは他のヘルパー基をPNAに結合することにより、PNA−DNAキメラの形成により、またはリポソームもしくは当該技術分野において既知である薬剤送達の他の技術を用いて改変することができる。例えば、PNAとDNAの有益な性質を組み合わせることができるPNA−DNAキメラを作製することができる。そのようなキメラはDNA認識酵素、例えばRNアーゼHおよびDNAポリメラーゼがDNA部分と相互作用することを可能にし、一方、PNA部分は高い結合親和性および特異性を与える。PNA−DNAキメラは、塩基スタッキング、核酸塩基間の結合の数、および方向性に関して選択される適切な長さのリンカーを用いて連結することができる(Hyrup(1996)、上記)。PNA−DNAキメラの合成は、Hyrup(1996)、上記およびFinn et al.(1996)Nucleic Acids Res.24(17):3357−63に記載の通り行うことができる。例えば、DNA鎖は標準的なホスホルアミダイトカップリング化学および修飾ヌクレオシドアナログを用いて固体支持体上で合成することができる。5’−(4−メトキシトリチル)アミノ−5’−デオキシ−チミジンホスホルアミダイトのような化合物は、PNAとDNAの5’末端との間のリンクとして用いることができる(Mag et al.(1989)Nucleic Acid Res.17:5973−88)。次に、PNAモノマーを段階的方法で連結して5’PNAセグメントおよび3’DNAセグメントを有するキメラ分子を生成せしめる(Finn et al.(1996)Nucleic Acids Res.24(17):3357−63)。あるいはまた、キメラ分子は5’DNAセグメントおよび3’PNAセグメントで合成することができる(Peterser et al.(1975)Bioorganic Med.Chem.Lett.5:1119−11124)。
【0088】
別の態様において、オリゴヌクレオチドは他の付加された基、例えばペプチド(例えば、インビボで宿主細胞受容体を標的とするための)、または細胞膜(例えば、Letsinger et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:6553−6556;Lemaitre et al.(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:648−652;PCT公開第WO88/09810号を参照)もしくは血液脳関門(例えば、PCT公開第WO89/10134号を参照)を越える輸送を容易にする薬剤を含むことができる。さらに、オリゴヌクレオチドはハイブリダイゼーションにより誘発される切断剤(例えば、Krol et al.(1988)Bio/Techniques 6:958−976を参照)もしくは挿入剤(例えば、Zon(1988)Pharm.Res.5:539−549を参照)で改変することができる。この目的のために、オリゴヌクレオチドを別の分子、例えば、ペプチド、ハイブリダイゼーションにより誘発される架橋剤、輸送剤、ハイブリダイゼーションにより誘発される切断剤などに連結することができる。
【0089】
タンパク質
本発明はまた、キメラもしくは融合タンパク質も提供する。本明細書において用いる場合、「キメラタンパク質」もしくは「融合タンパク質」は、異種ポリペプチド(すなわち、同じCXCL13ポリペプチド以外のポリペプチド)に操作可能に連結されたCXCL13ポリペプチドの全部もしくは一部(好ましくは生物学的に活性の)を含んでなる。融合タンパク質内で、「操作可能に連結される」という用語は、CXCL13ポリペプチドおよび異種ポリペプチドが相互にインフレームで融合されることを示すものとする。異種ポリペプチドは、CXCL13ポリペプチドのアミノ末端もしくはカルボキシル末端に融合することができる。別の態様において、CXCL13ポリペプチドまたはそのドメインもしくは活性フラグメントは異種タンパク質配列もしくはそのフラグメントと融合してキメラタンパク質を形成することができ、ここで、ポリペプチド、ドメインもしくはフラグメントは末端間で融合されず、異種タンパク質フレームワーク内に置かれる。
【0090】
ある有用な融合タンパク質は、CXCL13ポリペプチドがGST配列のカルボキシル末端に融合されるGST融合タンパク質である。そのような融合タンパク質は、組換えCXCL13ポリペプチドの精製を容易にすることができる。
【0091】
別の態様において、融合タンパク質はそのアミノ末端で異種シグナル配列を含有する。例えば、CXCL13ポリペプチドの天然のシグナル配列を取り除き、そして別のタンパク質からのシグナル配列で置換することができる。例えば、バキュロウイルスエンベロープタンパク質のgp67分泌配列を異種シグナル配列として用いることができる(Current Protocols in Molecular Biology,Ausubel et al.,eds.,John Wiley & Sons,1992)。真核生物異種シグナル配列の他の例には、メリチンおよびヒト胎盤アルカリホスファターゼの分泌配列が包含される(Stratagene;La Jolla,Calif.)。さらに別の例において、有用な原核生物異種シグナル配列にはphoA分泌シグナル(Sambrook et al.,上記)およびプロテインA分泌シグナル(Pharmacia Biotech;Piscataway,N.J.)が包含される。
【0092】
さらに別の態様において、融合タンパク質は、CXCL13ポリペプチドの全部もしくは一部が免疫グロブリンタンパク質ファミリーのメンバー由来の配列に融合される免疫グロブリン融合タンパク質である。本発明の免疫グロブリン融合タンパク質は、製薬学的組成物に導入しそして患者に投与してリガンド(可溶性もしくは膜結合型)と細胞の表面上のタンパク質(受容体)との間の相互作用を阻害し、それによりインビボでシグナル伝達を抑制することができる。免疫グロブリン融合タンパク質は、CXCL13ポリペプチドのコグネイトリガンドの生物学的利用能に影響を与えるために用いることができる。リガンド/受容体相互作用の阻害は、増殖性および分化疾患を処置するためそして細胞生存を調節する(例えば、促進するかもしくは阻害する)ための両方に治療的に有用であることができる。免疫グロブリンキメラタンパク質の好ましい態様は、同時係属出願PCT WO/04002417に教示されるような改変されたフレームワーク領域内に置かれた活性ポリペプチドフラグメントを有するC1ドメイン欠失免疫グロブリンもしくは「ミメティボディ」である。さらに、本発明の免疫グロブリン融合タンパク質は、患者においてCXCL13ポリペプチドに対する抗体を生成するために免疫原として、リガンドを精製するためにそしてスクリーニングアッセイにおいてリガンドと受容体との相互作用を阻害する分子を同定するために用いることができる。
【0093】
本発明のキメラおよび融合タンパク質は、標準的な組換えDNA技術により製造することができる。別の態様において、融合遺伝子は自動DNA合成機を包含する通常の技術により合成することができる。あるいはまた、2つの連続した遺伝子フラグメント間で相補的突出を生じさせるアンカープライマーを用いて遺伝子フラグメントのPCR増幅を実施
し、それを次にアニーリングしそして再増幅してキメラ遺伝子配列を生成せしめることができる(例えば、Ausubel et al.,上記を参照)。さらに、融合部分(例えばGSTポリペプチド)をすでにコードする多数の発現ベクターが市販されている。CXCL13ポリペプチドをコードする核酸は、融合部分がCXCL13ポリペプチドにインフレームで連結されるようにそのような発現ベクターにクローン化することができる。
【0094】
CXCL13ポリペプチドのシグナル配列は、興味のある分泌タンパク質もしくは他のタンパク質の分泌および単離を容易にするために用いることができる。シグナル配列は、典型的に、1つもしくはそれ以上の切断事象において分泌中に成熟タンパク質から一般に切断される疎水性アミノ酸のコアを特徴とする。そのようなシグナルペプチドは、分泌経路を通過する場合に成熟タンパク質からのシグナル配列の切断を可能にするプロセシング部位を含有する。従って、本発明はシグナル配列を有する記載のポリペプチドに、ならびにシグナル配列自体に、そしてシグナル配列がないポリペプチド(すなわち、切断生成物)に関する。1つの態様において、本発明のシグナル配列をコードする核酸配列は、通常は分泌されないかもしくはそうでなければ単離するのが難しいタンパク質のような興味のあるタンパク質に発現ベクターにおいて操作可能に連結することができる。シグナル配列は、発現ベクターがその中に形質転換される真核生物宿主からのような、タンパク質の分泌を導き、そしてシグナル配列はその後でもしくは同時に切断される。次に、タンパク質を当該技術分野で認められている方法により細胞外培地から容易に精製することができる。あるいはまた、シグナル配列は、GSTドメインとのような、精製を容易にする配列を用いて興味のあるタンパク質に連結することができる。
【0095】
別の態様において、本発明のシグナル配列は調節配列、例えばプロモーター、エンハンサーおよび/もしくはリプレッサーを同定するために用いることができる。シグナル配列はペプチドの最もアミノ末端の配列であるので、シグナル配列にそのアミノ末端側で隣接する核酸は転写に影響を及ぼす調節配列であると思われる。従って、シグナル配列の全部もしくは一部をコードするヌクレオチド配列をプローブとして用いてシグナル配列およびそれらの隣接領域を同定しそして単離することができ、そしてこれらの隣接領域を調べてその中の調節要素を同定することができる。
【0096】
本発明はまたCXCL13ポリペプチドのバリアントにも関し、そして本明細書に特定した通り、天然の突然変異もしくはヒト操作のいずれかから、1つもしくはそれ以上のアミノ酸置換、欠失もしくは付加を含むことができる。そのような突然変異もしくは置換には突然変異タンパク質を包含することができ、それらの突然変異はヒトCXCL13のそのリガンドへの結合を阻害するペプチドの生物学的活性を変えずにペプチドの性質を改変するために十分に有意であることができる。もちろん、熟練した技術者が行うアミノ酸置換の数は上記のものを包含する多数の因子により決まる。本発明のある態様において、任意の既定のCXCL13ポリペプチド、フラグメントもしくはバリアントのアミノ酸置換、挿入もしくは欠失の数は、本明細書に特定した通り、1〜5個より多くなく、またはその中の任意の範囲もしくは値である。
【0097】
CXCL13ポリペプチドはまた、それらのアミノ酸配列に置換されるかもしくは付加される修飾された、天然に存在しないそしてまれなアミノ酸を含んでなることもできる。典型的な修飾された、天然に存在しないそしてまれなアミノ酸のリストを以下に提供する。

修飾された(まれな)アミノ酸 記号
2−アミノアジピン酸 Aad
3−アミノアジピン酸 Baad
ベータ−アラニン、ベータ−アミノプロピオン酸 bAla
2−アミノ酪酸 Abu
4−アミノ酪酸、ピペリジン酸 4Abu
6−アミノカプロン酸 Acp
2−アミノヘプタン酸 Ahe
2−アミノイソ酪酸 Aib
3−アミノイソ酪酸 Baib
2−アミノピメリン酸 Apm
2,4−ジアミノ酪酸 Dbu
デスモシン Des
2,2’−ジアミノピメリン酸 Dpm
2,3−ジアミノプロピオン酸 Dpr
N−エチルグリシン EtGly
N−エチルアスパラギン EtAsn
ヒドロキシリシン Hyl
アロ−ヒドロキシリシン Ahyl
3−ヒドロキシプロリン 3Hyp
4−ヒドロキシプロリン 4Hyp
イソデスモシン Ide
アロ−イソロイシン Aile
N−メチルグリシン、サルコシン MeGly
N−メチルイソロイシン MeIle
6−N−メチルリシン MeLys
N−メチルバリン MeVal
ノルバリン Nva
ノルロイシン Nle
オルニチン Orn
【0098】
機能に必須であるCXCL13ポリペプチドにおけるアミノ酸は、部位特異的突然変異誘発もしくはアラニン走査突然変異誘発のような当該技術分野において既知である方法により同定することができる(例えば、Ausubel,上記,8章,15;Cunningham and Wells,Science 244:1081−1085(1989))。後者の方法は、分子におけるあらゆる残基で単一のアラニン突然変異を導入する。次に、得られる突然変異体分子は、少なくとも1つのCXCL13中和活性のようなしかしこれに限定されるものではない生物学的活性について試験される。
【0099】
そのようなバリアントは改変されたアミノ酸配列を有し、そしてアゴニスト(模倣物)としてもしくはアンタゴニストとして機能することができる。バリアントは突然変異誘発、例えば個々の点突然変異もしくはトランケーションにより作製することができる。アゴニストは、タンパク質の天然に存在する形態の生物学的活性の実質的に同じものもしくはサブセットを保持することができる。タンパク質のアンタゴニストは、例えば、興味のあるタンパク質を含む細胞シグナル伝達カスケードの下流もしくは上流メンバーに競合的に結合することにより、タンパク質の天然に存在する形態の活性の1つもしくはそれ以上を阻害することができる。従って、特定の生物学的効果は限られた機能のバリアントでの処置により引き出すことができる。タンパク質の天然に存在する形態の生物学的活性のサブセットを有するバリアントでの患者の処置は、タンパク質の天然に存在する形態での処置に対して患者においてより少ない副作用を有することができる。
【0100】
アゴニスト(模倣物)としてもしくはアンタゴニストとして機能するCXCL13ポリペプチドのバリアンドは、アゴニストもしくはアンタゴニスト活性について本発明のタンパク質の突然変異体、例えばトランケーション突然変異体の組み合わせライブラリーをス
クリーニングすることにより同定することができる。1つの態様において、バリアントの変化に富んだ(variegated)ライブラリーは核酸レベルでの組み合わせ突然変異誘発により作製され、そして変化に富んだ遺伝子ライブラリーによりコードされる。バリアントの変化に富んだライブラリーは、例えば、潜在的タンパク質配列の縮重組が個々のポリペプチドとしてあるいはまた1組のより大きい融合タンパク質(例えばファージディスプレイでは)として発現可能であるように遺伝子配列に合成オリゴヌクレオチドの混合物を酵素的に連結することにより製造することができる。縮重オリゴヌクレオチド配列からCXCL13ポリペプチドの潜在的バリアントのライブラリーを製造するために用いることができる様々な方法がある。縮重オリゴヌクレオチドを合成する方法は、当該技術分野において既知である(例えば、Narang(1983)Tetrahedron 39:3;Itakura et al.(1984)Annu.Rev.Biochem.53:323;Itakura et al.(1984)Science 198:1056;Ike et al.(1983)Nucleic Acid Res.11:477を参照)。
【0101】
さらに、バリアントのスクリーニングおよびその後の選択のためのポリペプチドの変化に富んだ集団を生成せしめるためにCXCL13ポリペプチドのコーディング配列のフラグメントのライブラリーを用いることができる。例えば、コーディング配列フラグメントのライブラリーは、興味のあるコーディング配列の二本鎖PCRフラグメントをニッキング(nicking)が分子当たり約1回だけ起こる条件下でヌクレアーゼで処理し、二本鎖DNAを変性させ、異なるニッキング生成物からのセンス/アンチセンス対を含むことができる二本鎖DNAを形成するようにDNAを再生し、S1ヌクレアーゼでの処理により再形成した二本鎖から一本鎖部分を除き、そして得られるフラグメントライブラリーを発現ベクターに連結することにより作製することができる。この方法により、興味のあるタンパク質の様々なサイズのアミノ末端および内部フラグメントをコードする発現ライブラリーを得ることができる。
【0102】
点突然変異もしくはトランケーションにより作られた組み合わせライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングするために、そして選択した性質を有する遺伝子産物についてcDNAライブラリーをスクリーニングするために、いくつかの技術が当該技術分野において既知である。大きな遺伝子ライブラリーをスクリーニングするために、ハイスループット分析に適している、最も広く用いられる技術は、典型的に、遺伝子ライブラリーを複製可能な発現ベクターにクローン化すること、得られるベクターライブラリーで適切な細胞を形質転換すること、およびその産物が検出される遺伝子をコードするベクターの単離が所望の活性の検出により容易になる条件下で組み合わせ遺伝子を発現することを含む。ライブラリーにおける機能突然変異体の頻度を高める技術、再帰的アンサンブル突然変異誘発(REM)は、CXCL13アンタゴニストポリペプチドのバリアントを同定するためにスクリーニングアッセイと組み合わせて使用することができる(Arkin and Yourvan(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:7811−7815;Delgrave et al.(1993)Protein Engineering 6(3):327−331)。
【0103】
組成物およびそれらの使用
本発明によれば、本明細書に記述される、モノクローナル抗体のような中和CXCL13アンタゴニストはCXCL13活性を阻害するために用いることができる。さらに、そのようなアンタゴニストは、肺関連疾患を包含することができるがそれらに限定されるものではない、そのような処置に適しているCXCL13関連炎症性疾患を抑制するために用いることができる。処置される個体は任意の哺乳類であることができ、そして好ましくは霊長類、哺乳類であるコンパニオンアニマル、そしてより好ましくはヒト患者である。投与するアンタゴニストの量は、それが使用されている目的および投与の方法に従って異
なる。
【0104】
抗CXCL13アンタゴニストは、CXCL13活性が妨げられるかもしくは止められることが所望される組織において効果をもたらすあらゆる方法により投与することができる。さらに、CXCL13アンタゴニストはCXCL13活性に効果を与えるために局所的に存在する必要はなく;従って、それらはCXCL13を含有する体の区画もしくは体液へのアクセスが得られるところはどこでも投与することができる。炎症を起こした、悪性の、もしくはそうでなければ障害が起きた組織の場合、これらの方法にはアンタゴニストを含有する製剤の直接適用を包含することができる。そのような方法には、液状組成物の静脈内投与、液状もしくは固形製剤の経皮投与、経口、局所投与、または間質もしくは手術間(inter−operative)投与が包含される。投与は、その主要機能が薬剤送達媒体としてではない可能性がある装置の移植によりもたらすことができる。
【0105】
投与はまた経口または腫瘍もしくは組織への局所注射によってであることもできるが、一般に、モノクローナル抗体は静脈内に投与される。一般に、投薬量範囲は約0.05mg/kg〜約12.0mg/kgである。これはボーラスとしてまたはマイクロプロセッサ制御のそしてプログラム可能なポンプ装置により制御することができる緩徐もしくは連続注入としてであることができる。
【0106】
あるいはまた、好ましくはモノクローナル抗体のフラグメントをコードするDNAをハイブリドーマ細胞から単離し、そして哺乳類に投与することができる。DNAは、患者の細胞におけるDNAの発現および抗体の送達をもたらすように裸の形態で投与するかもしくは組換えベクター、例えばワクシニアウイルスに挿入することができる。
【0107】
本発明の方法において使用するモノクローナル抗体は、製薬学的組成物を調合する確立した方法のいずれかにより、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,1985に記載の通り調合することができる。投与の容易さのために、モノクローナル抗体は典型的に製薬学的に許容しうる担体と組み合わされる。そのような担体には、水、生理食塩水もしくは油が包含される。
【0108】
非経口投与に適当な製剤には、酸化防止剤、バッファー、静菌薬および意図されるレシピエントの血液と製剤を等張にする溶質を含有することができる水性および非水性の滅菌注射溶液;ならびに沈殿防止剤および増粘剤を含むことができる水性および非水性の滅菌懸濁剤が包含される。任意の通常の媒質が有効成分およびその意図される用途と不適合である場合を除いて、任意の組成物におけるその使用が意図される。
【0109】
製剤は、単位用量もしくは複数回用量容器、例えば、密封したアンプルおよびバイアルにおいて与えることができ、そして使用直前に滅菌液状担体、例えば注射用水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態において保存することができる。
【0110】
CXCL13アンタゴニスト核酸分子、ポリペプチドおよび抗体は、投与に適当な製薬学的組成物に導入することができる。そのような組成物は、典型的に、核酸分子、タンパク質もしくは抗体および製薬学的に許容しうる担体を含んでなる。本明細書において用いる場合、「製薬学的に許容しうる担体」という用語には、製薬学的投与と適合する、ありとあらゆる溶媒、分散媒質、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが包含されるものとする。製薬学的活性物質のためのそのような媒質および薬剤の使用は、当該技術分野において周知である。任意の通常の媒質もしくは薬剤が活性化合物と不適合である場合を除いて、組成物におけるその使用が意図される。追加の活性化合物もまた組成物に導入することができる。
【0111】
別の態様において、本発明は、ある部分の共有結合により修飾される、本明細書に記述されるようなCXCL13アンタゴニストに関する。そのような修飾は、改善された薬物動態学的性質(例えば、増加したインビボ血清半減期)を有するCXCL13アンタゴニストを生成することができる。有機部分は線状もしくは分枝状親水性ポリマー基、脂肪酸基もしくは脂肪酸エステル基であることができる。特定の態様において、親水性ポリマー基は約800〜約120,000ダルトンの分子量を有することができ、そしてポリアルカングリコール(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG))、炭水化物ポリマー、アミノ酸ポリマーもしくはポリビニルピロリドンであることができ、そして脂肪酸もしくは脂肪酸エステル基は約8〜約40個の炭素原子を含んでなることができる。本明細書において用いる場合、「脂肪酸」という用語にはモノカルボン酸およびジカルボン酸が包含される。本発明の抗体を修飾するために適当な脂肪酸および脂肪酸エステルは飽和していることができ、または1単位もしくはそれ以上の不飽和を含有することができる。本発明の抗体を修飾するために適当な脂肪酸には、例えば、n−ドデカノエート(C12、ラウレート)、n−テトラデカノエート(C14、ミリステート)、n−オクタデカノエート(C18、ステアレート)、n−エイコサノエート(C20、アラキデート)、n−ドコサノエート(C22、ベヘネート)、n−トリアコンタノエート(C30)、n−テトラコンタノエート(C40)、シス−デルタ9−オクタデカノエート(C18、オレエート)、全てシス−デルタ5,8,11,14−エイコサテトラエノエート(C20、アラキドネート)、オクタン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、ドコサン二酸などが包含される。適当な脂肪酸エステルには、線状もしくは分枝状低級アルキル基を含んでなるジカルボン酸のモノエステルが包含される。低級アルキル基は1〜約12個、好ましくは1〜約6個の炭素原子を含んでなることができる。
【0112】
修飾されたヒトポリペプチドおよび抗体は、1つもしくはそれ以上の修飾剤との反応によるような適当な方法を用いて製造することができる。「修飾剤」は、該用語を本明細書において用いる場合、活性化基を含んでなる適当な有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)をさす。「活性化基」は、適切な条件下で、第二の化学基と反応し、それにより修飾剤と第二の化学基との間で共有結合を形成することができる化学部分もしくは官能基である。例えば、アミン反応性活性化基には、トシレート、メシレート、ハロ(クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル(NHS)などのような求電子基が包含される。チオールと反応することができる活性化基には、例えば、マレイミド、ヨードアセチル、アクリロリル、ピリジル、ジスルフィド、5−チオール−2−ニトロ安息香酸チオール(TNB−チオール)などが包含される。アルデヒド官能基はアミンもしくはヒドラジド含有分子に連結することができ、そしてアジド基は3価のリン基と反応してホスホルアミデートもしくはホスホルイミド結合を形成することができる。分子に活性化基を導入するための適当な方法は、当該技術分野において既知である(例えば、Hermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,CA(1996)を参照)。
【0113】
本発明には、CXCL13ポリペプチド、核酸もしくは抗体の発現もしくは活性を調節するための製薬学的組成物を製造する方法が包含される。そのような方法は、CXCL13ポリペプチド、核酸もしくは抗体の発現もしくは活性を調節する薬剤と製薬学的に許容しうる担体を調合することを含んでなる。そのような組成物はさらに追加の活性薬剤を含むことができる。従って、本発明にはさらに、CXCL13ポリペプチド、核酸もしくは抗体の発現もしくは活性を調節する薬剤および1つもしくはそれ以上の追加の活性化合物と製薬学的に許容しうる担体を調合することにより製薬学的組成物を製造する方法が包含される。
【0114】
発現もしくは活性を調節する薬剤は、例えば小分子であることができる。例えば、そのような小分子にはペプチド、ペプチド模倣物、アミノ酸、アミノ酸アナログ、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドアナログ、ヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、モル当たり約10,000グラム未満の分子量を有する有機もしくは無機化合物(すなわち、ヘテロ有機および有機金属化合物を包含する)、モル当たり約5,000グラム未満の分子量を有する有機もしくは無機化合物、モル当たり約1,000グラム未満の分子量を有する有機もしくは無機化合物、モル当たり約500グラム未満の分子量を有する有機もしくは無機化合物、ならびにそのような化合物の塩、エステルおよび他の製薬学的に許容しうる形態が包含される。
【0115】
小分子薬剤およびタンパク質もしくはポリペプチド薬剤の適切な用量は、通常技量の医師、獣医もしくは研究者の知識の範囲内の多数の因子により決まることが理解される。これらの薬剤の用量(1つもしくは複数)は、例えば、処置している患者もしくはサンプルの同一性、サイズおよび状態により、さらに適用可能な場合、組成物が投与される経路、および薬剤がCXCL13ポリペプチド、核酸もしくは抗体に対して有することを医師が所望する効果により異なる。小分子の典型的な用量には、患者もしくはサンプル重量のキログラム当たりミリグラムもしくはマイクログラム量(例えば、キログラム当たり約1マイクログラム〜キログラム当たり約500ミリグラム、キログラム当たり約100マイクログラム〜キログラム当たり約5ミリグラム、もしくはキログラム当たり約1マイクログラム〜キログラム当たり約50マイクログラム)が包含される。タンパク質もしくはポリペプチドの典型的な用量には、患者もしくはサンプル重量のキログラム当たりグラム、ミリグラムもしくはマイクログラム量(例えば、キログラム当たり約1マイクログラム〜キログラム当たり約5グラム、キログラム当たり約100マイクログラム〜キログラム当たり約500ミリグラム、もしくはキログラム当たり約1ミリグラム〜キログラム当たり約50ミリグラム)が包含される。これらの薬剤の1つの適切な用量は、調節される発現もしくは活性に関する薬剤の効能により決まることがさらに理解される。そのような適切な用量は、本明細書に記述されるアッセイを用いて決定することができる。
【0116】
CXCL13ポリペプチド、核酸もしくは抗体の発現もしくは活性を調節するためにこれらの薬剤の1つもしくはそれ以上が動物(例えばヒト)に投与される場合、医師、獣医もしくは研究者は例えば最初に比較的低い用量を処方し、次に適切な反応が得られるまで用量を増加することができる。さらに、任意の特定の動物患者の特定の用量レベルは用いる特定の薬剤の活性、患者の年齢、体重、全般的健康、性別および食事、投与の時間、投与の経路、排出の速度、任意の薬剤の組み合わせ、ならびに調節される発現もしくは活性の程度が包含される様々な因子により決まることが理解される。
【0117】
本発明の試薬学的組成物は、その意図される投与経路と適合するように調合される。投与経路の例には、非経口、例えば静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入もしくは口腔)、経皮(局所)、経粘膜および直腸投与が包含される。非経口、皮内もしくは皮下適用に使用する液剤もしくは懸濁剤は、以下の成分:注射用水、食塩水溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールもしくは他の合成溶媒のような滅菌希釈剤;ベンジルアルコールもしくはメチルパラベンのような抗菌剤;アスコルビン酸もしくは重亜硫酸ナトリウムのような酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩もしくはリン酸塩のようなバッファーおよび塩化ナトリウムもしくはデキストロースのような張性調整剤を含むことができる。pHは塩酸もしくは水酸化ナトリウムのような酸もしくは塩基で調整することができる。非経口製剤は、ガラスもしくはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器もしくは複数回投与バイアルに封入することができる。
【0118】
注射可能な用途に適当な製薬学的組成物には、(水溶性である)滅菌水溶液もしくは分
散液および滅菌した注射可能な溶液もしくは分散液の即時調製用の滅菌粉末が包含される。静脈内投与のために、適当な担体には生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(BASF;Parsippany,N.J.)もしくはリン酸緩衝食塩水(PBS)が包含される。全ての場合において、組成物は無菌でなければならず、そして容易な注射能力が存在する(easy syringability exists)程度に流動性でなければならない。それは製造および保存の条件下で安定でなければならず、そして細菌および真菌のような微生物の汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)およびその適当な混合物を含有する溶媒もしくは分散媒質であることができる。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用により、分散液の場合には必要とされる粒径の維持により、そして界面活性剤の使用により保つことができる。多くの場合において、等張剤、例えば糖、多価アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、もしくは塩化ナトリウムを組成物に含むことは好ましい。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物に含むことによりもたらすことができる。本発明の組成物を安定させることにおいて有用な製薬学的賦形剤および添加剤には、単独でまたは1〜99.99重量もしくは容積%の組み合わせにおいてを含んでなる、単独でもしくは組み合わせにおいて存在することができる、ポリペプチド、ペプチド、アミノ酸、脂質および炭水化物(例えば、単糖、二糖、三糖、四糖およびオリゴ糖;アルジトール、アルドン酸、エステル化糖などのような誘導体化糖;ならびに多糖もしくは糖ポリマーを包含する糖)が包含されるがこれらに限定されるものではない。典型的なしかし限定されないポリペプチド賦形剤には、血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミン(HSA)、組換えヒトアルブミン(rHA)、ゼラチン、カゼインなどが包含される。緩衝能において機能することもできる代表的なアミノ酸には、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテームなどが包含される。1つの好ましいアミノ酸はグリシンである。
【0119】
滅菌した注射可能な溶液は、必要に応じて上記に挙げた成分の1つもしくは組み合わせと共に適切な溶媒に必要とされる量の活性化合物(例えば、ポリペプチドもしくは抗体)を導入し、続いて濾過滅菌することにより製造することができる。一般に、分散液は、基本分散媒質を含有する滅菌した賦形剤に活性化合物を導入し、そして次に上記に挙げたものからの必要とされる他の成分を導入することにより製造される。滅菌した注射可能な溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい製造方法はその前もって滅菌濾過した溶液から任意の追加の所望の成分を加えた有効成分の粉末を生成せしめる真空乾燥および凍結乾燥である。Gennaro,Ed.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版,Mack Publishing Co.(Easton,PA)1990のようなしかしこれに限定されるものではない、そのような滅菌溶液を製造する限定されない例および方法は、当該技術分野において周知である。
【0120】
経口組成物は、一般に、不活性希釈剤もしくは食用担体を含む。それらはゼラチンカプセルに封入されるかもしくは錠剤に圧縮されることができる。経口治療投与の目的のために、活性化合物を賦形剤と導入し、そして錠剤、トローチもしくはカプセル剤の形態で用いることができる。経口組成物はまた、うがい薬としての使用のための液体担体を用いて製造することもでき、ここで、液体担体における化合物は経口的に適用され、うがいされ(swished)、そして吐き出されるかもしくは飲み込まれる。
【0121】
製薬学的に適合する結合剤および/もしくは添加剤材料を組成物の一部として含むことができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、以下の成分もしくは同様の性質の化合物のいずれか:微晶質セルロース、トラガカントゴムもしくはゼラチンのような結
合剤;澱粉もしくはラクトースのような賦形剤、アルギン酸、プリモジェルもしくはコーンスターチのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムもしくはステロート(Sterotes)のような潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素のような流動促進剤;ショ糖もしくはサッカリンのような甘味料;またはペパーミント、サリチル酸メチルもしくはオレンジ香味料のような香味剤を含有することができる。
【0122】
吸入による投与では、化合物は適当な推進剤、例えば二酸化炭素のような気体を含有する加圧容器もしくはディスペンサー、または噴霧器からエアロゾル化した粒子の形態で送達される。あるいはまた、粒子として調合される組成物は、米国特許第4530464号;第4533082号;第5838350号;第6113001号;第6514496号;第5518179号;第5152456号;第5261601号;および第4605167号に教示されるような振動もしくは超音波手段を包含する静電気的、機械的手段により分散させることができる。
【0123】
全身投与はまた、経粘膜もしくは経皮手段によってであることもできる。経粘膜もしくは経皮投与には、浸透する障壁に適切な浸透剤が製剤において使用される。そのような浸透剤は一般に当該技術分野において既知であり、そして例えば、経粘膜投与には洗剤、胆汁塩およびフシジン酸誘導体が包含される。経粘膜投与は、鼻腔用スプレーもしくは座薬の使用によって成し遂げることができる。経皮投与には、活性化合物は、当該技術分野において一般に既知であるように、軟膏(ointment)、軟膏(salve)、ゲルもしくはクリームに調合される。
【0124】
化合物はまた、直腸送達用に座薬(例えば、ココアバターおよび他のグリセリドのような通常の座薬基剤と共に)もしくは停留浣腸の形態で製造することもできる。
【0125】
1つの態様において、活性化合物は、移植およびマイクロカプセル化送達系を包含する制御放出製剤のような体からの迅速な排出から化合物を保護する担体と共に製造される。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ酢酸のような、生物分解性、生体適合性ポリマーを用いることができる。そのような製剤の製造方法は、当業者に明らかである。リポソーム懸濁剤(その中にもしくはその上に導入されたモノクローナル抗体を有するリポソームを包含する)もまた、製薬学的に許容しうる担体として用いることができる。特に好ましい組成物および方法は、米国特許第5,891,468号および第6,316,024号に教示される。
【0126】
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために投与単位形態物における経口もしくは非経口組成物を調合することは特に好都合である。本明細書において用いる場合、投与単位形態物は処置する患者に単位投薬量として適している物理的に分離した単位をさし;各単位は必要とされる製薬学的担体と関連して所望の治療効果をもたらすよう計算された活性化合物の所定量を含有する。本発明の投与単位形態物の詳細は、活性化合物の固有の特性および得られる特定の治療効果、ならびに個体の処置のためにそのような活性化合物を混ぜ合わせることの当該技術分野における固有の制約によって決定され、そして直接依存する。
【0127】
抗体について、好ましい投薬量は約0.1mg/kg〜100mg/kg体重(一般に約10mg/kg〜20mg/kg)である。抗体が脳において作用する場合、約50mg/kg〜100mg/kgの投薬量が通常は適切である。一般に、部分的にヒトの抗体および完全にヒトの抗体は他の抗体より人体内で長い半減期を有する。従って、より低い投薬量の使用およびより低い頻度の投与が可能であることが多い。脂質化のような修飾は、抗体を安定させるためにそして取り込みおよび組織透過性(例えば、脳への)を高めるために用いることができる。抗体の脂質化の方法は、Cruikshank et al
.((1997)J.Acquired Immune Deficiency Syndromes and Human Retrovirology 14:193)により記述される。
【0128】
CXCL13アンタゴニスト核酸分子は、ベクターに挿入しそして遺伝子治療ベクターとして用いることができる。遺伝子治療ベクターは、例えば、静脈内注射、局所投与(米国特許第5,328,470号)により、もしくは定位固定注射(例えば、Chen et al.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3054−3057を参照)により患者に送達することができる。遺伝子治療ベクターの製薬学的製剤は、許容しうる希釈剤に遺伝子治療ベクターを含むことができ、もしくは遺伝子送達媒体が埋め込まれる徐放性マトリックスを含んでなることができる。あるいはまた、完全な遺伝子送達ベクターを組換え細胞から完全なまま生成することができる場合(例えばレトロウイルスベクター)、製薬学的製剤は遺伝子送達系を生成する1つもしくはそれ以上の細胞を含むことができる。
【0129】
製薬学的組成物は、投与説明書と一緒に容器、パックもしくはディスペンサーに入れることができる。
【0130】
薬理ゲノム学
本明細書に記述されるスクリーニングアッセイにより同定されるようなCXCL13ポリペプチドの活性もしくは発現への刺激もしくは阻害効果を有する薬剤もしくはモジュレーターは、ポリペプチドの異常な活性と関連する疾患を処置する(予防的にもしくは治療的に)ために個体に投与することができる。そのような処置と併せて、個体の薬理ゲノム学(すなわち、個体の遺伝子型と外来化合物もしくは薬剤へのその個体の反応との間の関係の研究)を考えることができる。治療の代謝の違いは、薬理学的活性薬剤の用量と血液濃度との間の関係を変えることにより重篤な毒性もしくは治療の失敗をもたらし得る。従って、個体の薬理ゲノム学は、個体の遺伝子型の考慮に基づく予防的もしくは治療的処置のための有効な薬剤(例えば薬)の選択を可能にする。そのような薬理ゲノム学はさらに、適切な投薬量および治療処方計画を決定するために用いることができる。従って、個体におけるCXCL13ポリペプチドの活性、CXCL13核酸の発現もしくはCXCL13遺伝子の突然変異含有量を決定してそれにより個体の治療的もしくは予防的処置に適切な薬剤(1つもしくは複数)を選択することができる。
【0131】
薬理ゲノム学は、罹患した人における改変された薬剤体内動態および異常な作用に起因する薬剤への反応における臨床的に有意な遺伝的バリエーションを扱う。例えば、Linder(1997)Clin.Chem.43(2):254−266を参照。一般に、2つのタイプの薬理遺伝学的状態を区別することができる。薬剤が体に作用する方法を改変する単一因子として伝達される遺伝学的状態は「改変された薬剤作用」と呼ばれる。体が薬剤に作用する方法を改変する単一因子として伝達される遺伝学的状態は、「改変された薬剤代謝」と呼ばれる。これらの薬理遺伝学的状態は、まれな欠陥としてもしくは多型として起こることができる。例えば、グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)欠損症は、主要な臨床的合併症が酸化性薬剤(抗マラリア薬、スルホンアミド、鎮痛薬、ニトロフラン)の服用およびソラマメの摂取後の溶血である一般的な遺伝性酵素病である。
【0132】
実例となる態様として、薬剤代謝酵素の活性は薬剤作用の強度および期間の両方の主要決定因子である。薬剤代謝酵素(例えば、N−アセチルトランスフェラーゼ2(NAT2)ならびにシトクロムP450酵素CYP2D6およびCYP2C19)の遺伝的多型の発見は、薬剤の標準的なそして安全な用量を服用した後に患者が期待される薬剤効果を得ないかもしくは過剰な薬剤反応および重篤な毒性を示すことがある理由に関して説明を与
えている。これらの多型は集団において2つの表現型、高度代謝型(extensive
metabolizer)(EM)および代謝不全型(poor metabolizer)(PM)において表わされる。PMの罹患率は、異なる集団間で異なる。例えば、CYP2D6をコードする遺伝子は高度に多型であり、そしていくつかの突然変異がPMにおいて同定されており、それらは全て機能的なCYP2D6の欠如をもたらす。CYP2D6およびCYP2C19の代謝不全型は、標準的な用量を与えられる場合に過剰な薬剤反応および副作用を極めて頻繁に経験する。代謝産物が活性治療部分である場合、PMは、そのCYP2D6により形成される代謝産物モルヒネにより媒介されるコデインの鎮痛効果について示されるように、治療応答を示さない。他の極端であるのは、標準的な用量に反応しないいわゆる超急速代謝型(ultra−rapid metabolizer)である。最近、超急速代謝型の分子的機序はCYP2D6遺伝子増幅に起因することが同定されている。
【0133】
従って、個体におけるCXCL13ポリペプチドの活性、該ポリペプチドをコードする核酸の発現もしくは該ポリペプチドをコードする遺伝子の突然変異含有量を決定してそれにより個体の治療的もしくは予防的処置に適切な薬剤(1つもしくは複数)を選択することができる。さらに、薬理遺伝学研究は個体の薬剤反応性表現型の同定に薬剤代謝酵素をコードする多型対立遺伝子の遺伝子型決定を適用するために用いることができる。この知識は、投薬もしくは薬剤選択に適用する場合に、有害反応もしくは治療の失敗を防ぎ、従って、本明細書に記述される典型的なスクリーニングアッセイの1つにより同定されるモジュレーターのような、ポリペプチドの活性もしくは発現のモジュレーターで患者を処置する場合に治療もしくは予防効果を高めることができる。
【0134】
処置の方法
本発明は、CXCL13ポリペプチドの異常な発現もしくは活性と関連しそして/またはCXCL13ポリペプチドが関与する疾患の危険性がある(もしくはそれにかかりやすい)かもしくは疾患にかかっている患者を処置する予防および治療方法の両方を提供する。
【0135】
本発明は、少なくとも1つのCXCL13アンタゴニストを用いて、当該技術分野において既知であるようにもしくは本明細書に記載の通り、細胞、組織、器官、動物もしくは患者において、少なくとも1つのCXCL13関連疾患もしくは症状を調節するかもしくは処置する方法を提供する。
【0136】
CXCL13アンタゴニストの組成物は、喘息、肺気腫、COPDおよび新生児慢性肺疾患のような肺疾患関連症状の処置において治療用途を見出し得る。
【0137】
本発明はまた、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身性発症若年性関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、胃潰瘍、血清反応陰性関節症、変形性関節症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、抗リン脂質症候群、虹彩毛様体炎/ブドウ膜炎/視神経炎、特発性肺線維症、全身性脈管炎/ヴェーゲナー肉芽腫症、サルコイドーシス、精巣炎/精管切除術を戻す処置、アレルギー性/アトピー性疾患、アレルギー性鼻炎、湿疹、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性結膜炎、過敏性肺炎、移植、臓器移植拒絶反応、移植片対宿主疾患、全身性炎症反応症候群、敗血症症候群、グラム陽性敗血症、グラム陰性敗血症、培養陰性敗血症、真菌敗血症、好中球減少性発熱、尿路性敗血症、髄膜炎菌血症、外傷/出血、熱傷、電離放射線暴露、急性膵炎、成人呼吸窮迫症候群、関節リウマチ、アルコール性肝炎、慢性炎症性病変、サルコイドーシス、クローン病、鎌状赤血球貧血、糖尿病、ネフローゼ、アトピー性疾患、超過敏反応、アレルギー性鼻炎、花粉症、通年性鼻炎、結膜炎、子宮内膜症、蕁麻疹、全身アナフィラキシー、皮膚炎、悪性貧血、溶血性疾患、血小板減少症、任意の臓器もしくは組織の移植片拒絶反応、腎臓移植拒絶反応、心臓移植拒絶反応、肝臓移植拒絶反応、膵臓移植拒絶反応、肺移植拒絶反応、骨髄移植(BMT)拒絶反応、皮膚同種移植片拒絶反応、軟骨移植拒絶反応、骨移植片拒絶反応、小腸移植拒絶反応、胎児胸腺移植片拒絶反応、副甲状腺移植拒絶反応、任意の臓器もしくは組織の異種移植片拒絶反応、同種移植片拒絶反応、抗受容体超過敏反応、グレーブス病、レーノー病、B型インシュリン抵抗性糖尿病、重症筋無力症、抗体媒介性細胞傷害、III型超過敏反応、全身性エリテマトーデス、POEMS症候群(多発性神経障害、臓器肥大症、内分泌障害、単クローン性免疫グロブリン血症および皮膚変化症候群)、抗リン脂質症候群、天疱瘡、強皮症、混合結合組織病、特発性アジソン病、糖尿病、慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、白斑、脈管炎、MI心臓切開術後症候群(post−MI cardiotomy syndrome)、IV型過敏症、接触皮膚炎、過敏性肺炎、同種移植片拒絶反応、細胞内生物に起因する肉芽腫、薬物過敏、代謝性/特発性、ウィルソン病、ヘモクロマトーシス(hemachromatosis)、アルファ−1−抗トリプシン欠損症、糖尿病性網膜症、橋本甲状腺炎、骨粗しょう症、視床下部−下垂体−副腎軸評価、原発性胆汁性肝硬変、甲状腺炎、脳脊髄炎、悪液質、嚢胞性線維症、家族性血球貪食性(hematophagocytic)リンパ組織球増殖症、皮膚疾患、乾癬、脱毛、ネフローゼ症候群、腎炎、糸球体腎炎、急性腎不全、血液透析、尿毒症、毒性、子癇前症、okt3療法、抗cd3療法、サイトカイン療法、化学療法、放射線療法(例えば、無力症、貧血、悪液質などが包含されるがこれらに限定されるものではない)、慢性サリチル酸中毒などの少なくとも1つが包含されるがこれらに限定されるものではない、細胞、組織、器官、動物もしくは患者における少なくとも1つの免疫関連疾患を調節するかもしくは処置する方法も提供する。例えば、各々引用することにより全部が組み込まれる、Merck Manual,第12〜17版,Merck & Company,Rahway, NJ(1972,1977,1982,1987,1992,1999)、Pharmacotherapy Handbook,Wells et al.,eds.,第2版,Appleton and Lange,Stamford,Conn.(1998,2000)を参照。
【0138】
本発明はまた、白血病、急性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、B細胞、T細胞もしくはFAB ALL、急性骨髄性白血病(AML)、急性前骨髄球性白血病(APL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、有毛細胞白血病、骨髄異形成症候群(myelodyplastic syndrome)(MDS)、リンパ腫、ホジキン病、悪性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、カポジ肉腫、結腸直腸癌、膵臓癌、上咽頭癌、悪性組織球増殖症、悪性腫瘍の腫瘍随伴症候群/高カルシウム血症、充実性腫瘍、腺癌、肉腫、悪性黒色腫、血管腫、転移性疾患、癌関連骨再吸収、癌関連骨痛などの少なくとも1つが包含されるがこれらに限定されるものではない、細胞、組織、器官、動物もしくは患者における少なくとも1つの悪性疾患を調節するかもしくは処置する方法も提供する。
【0139】
CXCL13ポリペプチドの異常な発現もしくは活性を特徴とする疾患は、本開示の他の所でさらに記述される。
【0140】
1.予防方法
1つの態様において、本発明はポリペプチドの発現もしくは少なくとも1つの活性を調節する薬剤を患者に投与することにより、CXCL13ポリペプチドの異常な発現もしくは活性と関連する疾患もしくは症状を患者において少なくとも実質的に予防する方法を提供する。CXCL13ポリペプチドの異常な発現もしくは活性により引き起こされるかもしくはそれが寄与する疾患の危険性がある患者は、例えば、本明細書に記述されるような診断もしくは予測アッセイのいずれかもしくは組み合わせにより同定することができる。予防薬の投与は、疾患もしくは障害が予防されるか、あるいはまたその進行が遅らされるように、異常に特有の症候の発現の前に行われることができる。異常のタイプにより、例
えば、アゴニストもしくはアンタゴニスト薬剤を患者を処置するために用いることができる。適切な薬剤は、本明細書に記述されるスクリーニングアッセイに基づいて決定することができる。
【0141】
2.治療方法
本発明の別の態様は、治療目的のためにCXCL13ポリペプチドの発現もしくは活性を調節する方法に関する。本発明の調節方法は、ポリペプチドの活性の1つもしくはそれ以上を調節する薬剤と細胞を接触させることを伴う。活性を調節する薬剤は、核酸もしくはタンパク質、ポリペプチドの天然に存在するコグネイトリガンド、ペプチド、ペプチド模倣物もしくは他の小分子のような本明細書に記述されるような薬剤であることができる。1つの態様において、薬剤はポリペプチドの生物学的活性の1つもしくはそれ以上を刺激する。別の態様において、薬剤はCXCL13ポリペプチドの生物学的活性の1つもしくはそれ以上を阻害する。そのような阻害剤の例には、アンチセンス核酸分子および抗体ならびに本明細書に記述される他の方法が包含される。これらの調節方法は、インビトロで(例えば、薬剤と細胞を培養することにより)あるいはまたインビボで(例えば、患者に薬剤を投与することにより)行うことができる。そのようなものとして、本発明はCXCL13ポリペプチドの異常な発現もしくは活性を特徴とする疾患もしくは障害にかかっている個体を処置する方法を提供する。1つの態様において、該方法は発現もしくは活性を調節する(例えば、アップレギュレーションするかもしくはダウンレギュレーションする)薬剤(例えば、本明細書に記述されるスクリーニングアッセイにより同定される薬剤)もしくは薬剤の組み合わせを投与することを伴う。活性の阻害は、活性もしくは発現が異常に高いかもしくはアップレギュレーションされそして/もしくは減少した活性が有益な効果を有すると思われる状態において望ましい。
【0142】
本発明の方法は、少なくとも1つのCXCL13アンタゴニストまたは特定の部分もしくはバリアントを含んでなる組成物もしくは製薬学的組成物の有効量をそのような調節、処置もしくは治療を必要とする細胞、組織、器官、動物もしくは患者に投与することを含んでなる。そのような方法は、場合により、そのような免疫疾患を処置するための共投与もしくは併用療法をさらに含んでなってもよく、ここで、該少なくとも1つのCXCL13アンタゴニスト、その特定の部分もしくはバリアントの投与は、酢酸グラチラマー(glutiramer)(例えばコパキソン)、シクロホスファミド(cyclophasphamide)、アザチオプリン、糖質コルチコステロイド、メトトレキセート、パクリタキセル、2−クロロデオキシアデノシン、ミトキサントロン、IL−10、TGBb、CD4、CD52、アンテグレン、CD11、CD18、TNFアルファ、IL−1、IL−2および/もしくはCD4抗体もしくは抗体受容体融合、インターフェロンアルファ、免疫グロブリン、リスミド(RequinimaxTM)、インシュリン様成長因子−1(IGF−1)、エリプロディル(elprodil)、ピルフェニドン、経口ミエリン、または以下の少なくとも1つの1つもしくはそれ以上に作用する化合物:ミエリン破壊の自己免疫抑制、免疫調節、活性化、増殖、移動および/もしくはT細胞のサプレッサー細胞機能、T細胞受容体/ペプチド/MHC−II相互作用の阻害、T細胞アネルギーの誘導、自己反応性T細胞の除去、血液脳関門を越える輸送の減少、前炎症性(Th1)および免疫調節(Th2)サイトカインの平衡の改変、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤の阻害、神経防護、グリオーシスの減少、再髄鞘形成の促進)、TNFアンタゴニスト(例えば、TNF Ig由来のタンパク質もしくはフラグメント、可溶性TNF受容体もしくはフラグメント、その融合タンパク質、または小分子TNFアンタゴニスト、しかしこれらに限定されるものではない)、抗リウマチ剤、筋弛緩剤、睡眠薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、鎮痛剤、麻酔薬、鎮静剤、局所麻酔薬、神経筋遮断薬、抗微生物剤(例えば、アミノグリコシド、抗真菌剤、抗寄生虫剤、抗ウイルス剤、カルバペネム、セファロスポリン、フルオロキノロン(flurorquinolone)、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、別の抗微生物剤)、乾癬
治療薬、コルチコステロイド、アナボリックステロイド、ミネラル、栄養、甲状腺薬、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、下痢止め薬、鎮咳薬、制吐薬、抗潰瘍薬、下剤、抗凝固剤、エリスロポエチン(例えば、エポエチンアルファ)、フィルグラスチム(例えば、G−CSF、Neupogen)、サルグラモスチム(GM−CSF,Leukine)、免疫、免疫グロブリン、免疫抑制薬(例えば、バシリキシマブ、サイクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受容体モジュレーター、散瞳薬、毛様筋調節薬、アルキル化剤、代謝拮抗剤、有糸分裂阻害剤、放射性医薬品、抗欝薬、抗躁病薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬、交感神経刺激薬、興奮剤、ドネペジル、タクリン、喘息薬、ベータアゴニスト、吸入用ステロイド、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリンもしくはアナログ、ドルナーゼアルファ(Pulmozyme)、サイトカインもしくはサイトカインアンタゴニストの少なくとも1つから選択される少なくとも一つを前に、同時にそして/もしくは後に投与することをさらに含んでなる。適当な投薬量は、当該技術分野において周知である。例えば、Wells
et al.,eds.,Pharmacotherapy Handbook,第2版,Appleton and Lange,Stamford,CT(2000);PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,CA(2000)を参照、これらの参考文献の各々は引用することにより全部が本明細書に組み込まれる。
【0143】
本発明の組成物、併用療法、共投与、装置および/もしくは方法に適当なTNFアンタゴニスト(本発明の少なくとも1つの抗体、その特定の部分およびバリアントをさらに含んでなる)には、抗TNF Ig由来のタンパク質、その抗原結合フラグメント、およびTNFに特異的に結合する受容体分子;サリドマイド、テニダップ、ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、ペントキシフィリンおよびロリプラム)、A2bアデノシン受容体アゴニストおよびA2bアデノシン受容体エンハンサーのような、TNF合成、TNF放出もしくは標的細胞へのその作用を妨げそして/もしくは阻害する化合物;マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ阻害剤のような、TNF受容体シグナル伝達を妨げそして/もしくは阻害する化合物;メタロプロテイナーゼ阻害剤のような、膜TNF切断を妨げそして/もしくは阻害する化合物;アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤(例えば、カプトプリル)のような、TNF活性を妨げそして/もしくは阻害する化合物;ならびにMAPキナーゼ阻害剤のような、TNF生産および/もしくは合成を妨げそして/もしくは阻害する化合物が包含されるが、これらに限定されるものではない。
【0144】
本明細書において用いる場合、「腫瘍壊死因子Ig由来のタンパク質」、「TNF Ig由来のタンパク質」、「TNFα Ig由来のタンパク質」もしくはフラグメントなどは、インビトロ、インサイチューそして/もしくは好ましくはインビボでTNFα活性を減少するか、阻止するか、阻害するか、取り消すかもしくは妨げる。例えば、本発明の適当なTNFヒトIg由来のタンパク質はTNFαに結合することができ、そして抗TNF
Ig由来のタンパク質、その抗原結合フラグメント、およびTNFαに特異的に結合する特定の突然変異体もしくはそのドメインが包含される。適当なTNF抗体もしくはフラグメントはまた、TNF RNA、DNAもしくはタンパク質合成、TNF放出、TNF受容体シグナル伝達、膜TNF切断、TNF活性、TNF生産および/もしくは合成を減少するか、阻止するか、取り消すか、妨げるか、防ぐかそして/もしくは阻害することもできる。
【0145】
キメラIg由来のタンパク質cA2は、A2と指定される、高親和性中和マウス抗ヒトTNFα IgG1 Ig由来のタンパク質の抗原結合可変領域およびヒトIgG1、カッパ免疫グロブリンの定常領域からなる。ヒトIgG1 Fc領域は同種Ig由来のタンパク質エフェクター機能を向上し、循環血清半減期を増加し、そしてIg由来のタンパク
質の免疫原性を減らす。キメラIg由来のタンパク質cA2のアビディティーおよびエピトープ特異性は、マウスIg由来のタンパク質A2の可変領域に由来する。特定の態様において、マウスIg由来のタンパク質A2の可変領域をコードする核酸の好ましい供給源はA2ハイブリドーマ細胞系である。
【0146】
キメラA2(cA2)は、用量依存的に天然および組換えヒトTNFαの両方の細胞傷害効果を中和する。キメラIg由来のタンパク質cA2および組換えヒトTNFαの結合アッセイから、キメラIg由来のタンパク質cA2の親和性定数は1.04xl010−1であると計算された。競合阻害によりモノクローナルIg由来のタンパク質特異性および親和性を決定する好ましい方法は、Harlow,et al.,Ig derived proteins:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1988;Colligan et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,Greene
Publishing Assoc.and Wiley Interscience,New York,(1992−2003);Kozbor et al.,Immunol.Today,4:72−79(1983);Ausubel et al.,eds.Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience,New York(1987−2003);およびMuller,Meth.Enzymol.,92:589−601(1983)に見出されることができ、これらの参考文献は引用することにより本明細書に全部が組み込まれる。
【0147】
特定の態様において、マウスモノクローナルIg由来のタンパク質A2は、c134Aと指定される細胞系により生産される。キメラIg由来のタンパク質cA2は、c168Aと指定される細胞系により生産される。
【0148】
本発明において使用することができるモノクローナル抗TNF Ig由来のタンパク質のさらなる例は、当該技術分野において記述される(例えば、米国特許第5,231,024号;Moller,A. et al.,Cytokine 2(3):162−169(1990);米国出願第07/943,852号(1992年9月11日出願);Rathjen et al., 国際公開第WO 91/02078号(1991年2月21日公開);Rubin et al.,EPO特許公開第0 218 868号(1987年4月22日公開);Yone et al.,EPO特許公開第0 288 088(1988年10月26日);Liang, et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.137:847−854(1986);Meager,et al.,Hybridoma 6:305−311(1987);Fendly
et al.,Hybridoma 6:359−369(1987);Bringman,et al.,Hybridoma 6:489−507(1987);およびHirai,et al.,J.Immunol.Meth.96:57−62(1987)を参照、これらの参考文献は引用することにより全部が本明細書に組み込まれる)。
【0149】
TNF受容体分子
本発明において有用な好ましいTNF受容体分子は、高い親和性でTNFαに結合し(例えば、Feldmann et al.,国際公開第WO 92/07076(1992年4月30日公開);Schall et al.,Cell 61:361−370(1990);およびLoetscher et al.,Cell 61:351−359(1990)を参照、これらの参考文献は引用することにより全部が本明細書に組み込まれる)、そして場合により低い免疫原性を有するものである。特に、55kDa(p55 TNF−R)および75kDa(p75 TNF−R)TNF細胞表面受容体は、
本発明において有用である。受容体の細胞外ドメイン(ECD)もしくはその機能性部分(例えば、Corcoran et al.,Eur.J.Biochem.223:831−840(1994)を参照)を含んでなる、これらの受容体のトランケーションされた形態もまた、本発明において有用である。ECDを含んでなる、TNF受容体のトランケーションされた形態は、30kDaおよび40kDa TNFα阻害結合タンパク質として尿および血清において検出されている(Engelmann,H.et al.,J.Biol.Chem.265:1531−1536(1990))。TNF受容体マルチマー分子およびTNF免疫受容体融合分子、ならびにその誘導体およびフラグメントもしくは部分は、本発明の方法および組成物において有用なTNF受容体分子のさらなる例である。本発明において用いることができるTNF受容体分子は、症候の良好ないし優れた軽減および低い毒性で長期間にわたって患者を処置するそれらの能力を特徴とする。低い免疫原性および/もしくは高い親和性、ならびに他の特定されない性質は、得られる治療結果に寄与し得る。
【0150】
本発明において有用なTNF受容体マルチマー分子は、1つもしくはそれ以上のポリペプチドリンカーもしくは他の非ペプチドリンンカー、例えばポリエチレングリコール(PEG)によって連結される2つもしくはそれ以上のTNF受容体のECDの全部もしくはその機能性部分を含んでなる。マルチマー分子はさらに、マルチマー分子の発現を導くために分泌タンパク質のシグナルペプチドを含んでなることができる。これらのマルチマー分子およびそれらの製造方法は米国出願第08/437,533号(1995年5月9日出願)に記述されており、その内容は引用することにより全部が本明細書に組み込まれる。
【0151】
本発明の方法および組成物において有用なTNF免疫受容体融合分子は、1つもしくはそれ以上の免疫グロブリン分子の少なくとも一部分および1つもしくはそれ以上のTNF受容体の全部もしくは機能性部分を含んでなる。これらの免疫受容体融合分子は、モノマー、またはヘテロ−もしくはホモ−マルチマーとして組み立てることができる。免疫受容体融合分子はまた、1価もしくは多価であることもできる。そのようなTNF免疫受容体融合分子の例は、TNF受容体/IgG融合タンパク質である。TNF免疫受容体融合分子およびそれらの製造方法は、当該技術分野において記述されている(Lesslauer et al.,Eur.J.Immunol.21:2883−2886(1991);Ashkenazi et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10535−10539(1991);Peppel et al.,J.Exp.Med.174:1483−1489(1991);Kolls et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:215−219(1994);Butler et al.,Cytokine 6(6):616−623(1994);Baker et al.,Eur.J.Immunol.24:2040−2048(1994);Beutler et al.,米国特許第5,447,851号;および米国出願第08/442,133号(1995年5月16日出願)、これらの参考文献の各々は引用することにより全部が本明細書に組み込まれる)。免疫受容体融合分子を製造する方法はまた、Capon et al.,米国特許第5,116,964号;Capon et al.,米国特許第5,225,538号;およびCapon et al.,Nature 337:525−531(1989)に見出されることもでき、これらの参考文献は引用することにより全部が本明細書に組み込まれる。
【0152】
TNF受容体分子の機能的同等物、誘導体、フラグメントもしくは領域は、本発明において用いることができるTNF受容体分子に機能的に類似する(例えば、高い親和性でTNFαに結合し、そして低い免疫原性を有する)ために十分なサイズおよび配列のものである、TNF受容体分子の部分、もしくはTNF受容体分子をコードするTNF受容体分子配列の部分をさす。TNF受容体分子の機能的同等物にはまた、本発明において用いる
ことができるTNF受容体分子に機能的に類似する(例えば、高い親和性でTNFαに結合し、そして低い免疫原性を有する)改変されたTNF受容体分子も包含される。例えば、TNF受容体分子の機能的同等物は「サイレント(SILENT)」コドンまたは1つもしくはそれ以上のアミノ酸置換、欠失もしくは付加(例えば、別のアミノ酸の代わりのあるアミノ酸の置換;または疎水性アミノ酸をコードする別のコドンの代わりの同じもしくは異なる疎水性アミノ酸をコードするあるコドンの置換)を含有することができる。Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Assoc.and
Wiley−Interscience,New York(1987−2003)を参照。
【0153】
一般論として本発明を記述したが、本発明の態様は、請求項の範囲を限定すると解釈されるべきでない以下の実施例においてさらに開示される。
【実施例1】
【0154】
CXCL13 mRNA転写産物レベルは罹患肺組織において上昇している
CXCL13タンパク質をコードするmRNA転写産物のレベルは、コントロールC57BL6マウスに対して未処置のSP−C/TNFαマウス、およびTNFα特異的mAbで処置したSP−C/TNFαマウスの肺組織において上昇している(図1)。SP−C/TNF−アルファマウスは、肺組織においてマウスTNFαを構成的に過剰発現するC57BL6マウス株由来のトランスジェニックマウスである。肺におけるTNFαの過剰発現(SP−C/TNFαトランスジェニックマウス)は、肺炎症、肺気腫、肺線維症および異所性リンパ濾胞の形成を包含する、COPD患者において見られるものと同様の多数の病変を引き起こす。SP−C/TNFαマウスは、肺炎症、肺気腫、肺線維症および鬱血性閉塞性肺疾患(COPD)のような肺疾患のモデルである。肺における異所性リンパ濾胞の形成は、これらの肺疾患の各々と関連する病変である。肺における異所性リンパ濾胞は、肺および他の肺組織へのB細胞浸潤によって形成されることができる。図1における結果は、SP−C/TNFαマウスの肺組織における増加したCXCL13タンパク質レベルが、肺における異所性リンパ濾胞の形成およびこれらの動物における関連肺疾患の発症に寄与することを示す。
【0155】
この実験のために、12週齢のコントロールC57BL6マウスおよび未処置のSP−C/TNFαマウスには200μLのPBSの腹腔内注射を月曜および金曜ごとに6週間与えた。SP−C/TNFαマウスには、腹腔内注射により200μLのPBS中0.5mgのTNFα特異的cV1q mAbを月曜および金曜ごとに6週間与えた。cV1q
mAbは、マウスTNFαに結合するモノクローナルラットIgG1アイソタイプモノクローナル抗体である。cV1q mAbは、標準的な方法を用いて作製した。注射が始まった後6週で、マウスを研究機関動物ケアおよび使用指針に従って屠殺した。
【0156】
屠殺した動物から肺を取り除き、均質化し、そして標準的な方法を用いてmRNAを抽出しそして単離した。CXCL13 mRNAおよびGAPDH mRNAに特異的なRT−PCRもまた標準的な方法を用いて行った。次に、CXCL13およびGAPDH mRNAレベルを標準的な方法を用いて定量し、そしてCXCL13 mRNAレベルをGAPDHハウスキーピング遺伝子mRNAレベルに対して正規化した。提示するデータは、5匹の異なるマウスからの正規化したCXCL13 mRNAレベルの平均+/−標準偏差を表す(図1)。
【実施例2】
【0157】
TNFαおよびCXCL13に特異的なモノクローナル抗体での共処置は肺疾患症候を軽減する
TNFαおよびCXCL13に特異的なmAbの共投与は、SP−C/TNFαマウスにおける肺疾患関連症候を軽減する(図2)。異所性濾胞サイズは、未処置のコントロール動物に対してTNFαおよびCXCL13に特異的なmAbで共処置したSP−C/TNFαマウスにおいて有意に減少していた(図2)。抗TNFα mAbで8週間処置したSP−C/TNFαトランスジェニックマウスにおいて、好中球の気道浸潤は有意に減少しており;しかしながら、処置は異所性リンパ濾胞にほとんど影響を及ぼさなかった。この結果は、いったん形成されると、異所性リンパ濾胞はTNFα非依存的にそれらの恒常性を維持することを示す。
【0158】
この実験のために、12週齢のコントロールSP−C/TNFαマウスには腹腔内注射を月曜および金曜ごとに6週間与えた。コントロール動物には200μLのPBSのみの注射を与えた。抗TNFα処置動物には、200μLのPBS中0.5mgのTNFα特異的cV1q mAbを与えた。抗CXCL13処置動物には、200μLのPBS中0.5mgのCXCL13特異的MAB4701 mAbを与えた。共処置動物には、200μLのPBS中0.5mgのTNFα特異的cV1q mAbおよび0.5mgのCXCL13特異的MAB4701 mAbを与えた。MAB4701は、マウスCXCL13に結合するモノクローナルラットIgG1アイソタイプモノクローナル抗体である。MAB4701 mAbは標準的な方法を用いて作製され、そして市販されている(R&D Systems,Inc.,Minneapolis,MN)。注射が始まった後6週で、マウスを研究機関動物ケアおよび使用指針に従って屠殺した。屠殺した動物から肺を取り除き、切片にし、スライドを作製し、そして標準的な方法を用いて異所性濾胞サイズおよび形成を定量するために組織病理学的分析を行った。Phase 3イメージングシステム(Glen Mills,PA)および関連解析ソフトウェアを用いて顕微鏡検査を行いそしてマウス当たり組織スライドにつき10〜20個の濾胞のサイズを測定した。提示されるデータ(図2)は、各処置群からの5匹の異なるマウスの分析からの結果の平均+/−標準偏差を表す。
【0159】
上記の結果は、抗CXCL13治療が単独で呼吸器関連疾患を処置することにおいて有用であり得ることを示すことができると仮定される。マウスモデルはTNFαの増加した発現を有するので、抗CXCL13治療と一緒のTNFαの阻害は、このモデルにおける病状の改善を示すために必要であり得る。TNFαが過剰発現されないモデルでは、CXCL13の阻害は病状の改善のために十分であり得る。さらに、上記のモデルにおいて、TNF発現はトランスジェニック動物によってであり、そして疾患の進行に依存しない。病的状態、例えば患者処置において、TNF発現は炎症の減少と共に軽減される可能性が高く、従って、CXCL13アンタゴニストがTNFα産生細胞の移動および蓄積を減少することができる場合、それは単独で治療的に有効であり得る。これは、インビボ疾患モデルにおいて試験される。
【実施例3】
【0160】
TNF−アルファおよびCXCL13に特異的なモノクローナル抗体での共処置は肺組織へのB細胞浸潤を減少させる
TNFαおよびCXCL13に特異的なmAbの共投与は、肺組織へのB細胞浸潤を減少させる(図3、4、5および6)。B細胞浸潤は、それぞれ、CD22.2、CD19、CD45R/B220およびCD4 B細胞マーカーの検出によってフローサイトメトリーによりアッセイした。肺組織におけるB細胞浸潤は、未処置のコントロール動物に対してTNFαおよびCXCL13に特異的なmAbで共処置したSP−C/TNFαマウスにおいて有意に減少していた(図3、4、5および6)。
【0161】
動物を準備し、そして処置を上記の実施例2に記載の通り行った。注射が始まった後6週で、研究機関動物ケアおよび使用指針に従ってマウスを屠殺した。次に肺組織を刻み、
そしてコラゲナーゼVII(1500IU/ml)で37℃で45分間消化して個々の細胞を遊離させた。次に、細胞調製物を標準的な方法を用いて標識された市販されているCD22.2(図3)、CD19(図4)、CD45R/B220(図5)およびCD4(図6)特異的mAbとインキュベーションした。調製した細胞集団におけるB細胞は、CD22.2、CD19、CD45R/B220もしくはCD4マーカーのいずれかを保有し、そして市販されているCD22.2、CD19、CD45R/B220もしくはCD4 mAbとのインキュベーション後に検出可能に標識される。この標識化は、フローサイトメトリーによるB細胞の同定の基本である。標準的な方法を用いて細胞集団にフローサイトメトリー分析を行い、そして次に標準的な方法を用いて各マーカーについて細胞集団に存在するB細胞のパーセンテージを決定した。提示されるデータ(図3、4、5および6)は、各処置群からの5匹の異なるマウスの肺細胞集団の分析からの結果の平均+/−標準偏差を表す。
【0162】
本明細書に記述されるCXCL13、CXCR5およびTNFαの配列は、以下のとおりである:
【0163】
【表3】

【実施例4】
【0164】
TNFαおよびCXCL13に特異的なモノクローナル抗体の共投与は全身性エリテマトーデスと関連する腎臓病変を処置する
CXCL−13およびTNFαに特異的なmAbの共投与は、全身性エリテマトーデス(SLE)のマウスモデルにおいてSLEと関連する腎臓病変を処置した。糸球体腎炎は、糸球体と呼ばれる内部腎臓構造の炎症であり、そしてSLEの顕著な特徴である。タンパク尿は尿への血清タンパク質の過剰分泌であり、そしてSLE関連糸球体腎炎に起因する腎臓病の尺度である。動脈周囲リンパ球浸潤病巣の形成のような腎臓組織における組織
学的変化は、SLE関連糸球体腎炎に起因する腎臓病の別の顕著な特徴である。
【0165】
CXCL−13およびTNFαに特異的なmAbの共投与は、SLE症候を示すNZB/W F1マウスの尿における糸球体腎炎関連タンパク質レベルをPBS賦形剤のみを与えた未処置のコントロールNZB/W F1マウスのものより低いレベルまで減少させた(図7)。
【0166】
さらに、CXCL−13およびTNFαに特異的なmAbの共投与は、SLE症候を示すNZB/W F1マウスにおけるSLE関連腎臓病のランク評点重症度をPBS賦形剤のみを与えた未処置のコントロールNZB/W F1マウスのものより低いレベルまで減少させた(図8)。NZB/W F1マウスにおけるSLE関連腎臓病の重症度は、ランク付け採点システムを用いて決定した。スコアは、各処置群からのNZB/W F1マウスの腎臓組織の組織学的検査により同定される動脈周囲リンパ球浸潤病巣の数および腎臓組織における糸球体腎炎関連タンパク質レベルの重症度に基づいた(図8)。
【0167】
これらの実験のために、12週齢のNZB/W F1マウスをJackson Labs(Bar Harbor,ME)から入手した。NZB/W F1マウスは年を取るにつれて全身性エリテマトーデス(SLE)様症候を示し、そしてSLEの一般に認められたマウスモデルである。0日目に、研究動物をコントロールもしくは処置群(n=15/群)に無作為に割り当てた。動物にPBS賦形剤(コントロール動物)、抗CXCL13
mAb(PBS中マウス当たり1mg)、抗TNFα mAb(PBS中マウス当たり1mg)、もしくは抗CXCL13 mAb(PBS中マウス当たり1mg)および抗TNFα mAb(PBS中マウス当たり1mg)の両方の腹腔内注射を18週年から38週齢まで毎週投与した。抗CXCL13 mAbは、中和ラット抗CXCL13 mAbである(R&D Systems Inc.,Minneapolis, MN)。抗TNF−アルファmAbは、標準的な方法を用いて作製された、Centocor,Inc.からのキメラ化(chimarized)ラット抗TNF−アルファmAbである。動物を毎週モニターした。尿をフリーキャッチによって定期的に集め、そして−80℃で保存した。動物を研究の最後に屠殺し、そして腎臓をさらなる分析の前に適切な保存バッファーに採取した。動物は、承認された研究機関動物ケアおよび使用指針を用いて世話し、取り扱い、そして屠殺した。
【0168】
集めた尿に存在する総タンパク質およびクレアチンを標準的な方法およびAce Analyzer(Alpha Wasserman,West Caldwell,NJ)を用いて決定した。尿総タンパク質は100μlの未希釈の尿サンプルにおいて測定され、そしてクレアチニンは脱イオン蒸留HOにおいて1:10希釈した尿サンプル100μlにおいて測定された。次に、これらの値を用いてクレアチンに対する尿総タンパク質の得られる比率を計算した。尿総タンパク質/クレアチニン比率は平均±標準誤差として表わされ、そしてサンプル間の統計的に有意な差はp値<0.05で標準t検定により両側分散分析を用いて決定された。
【0169】
組織学的分析は、動物が38週齢になった時に採取した腎臓に対して行った。採取した腎臓は、0.1Mリン酸バッファー、0.7%パラホルムアルデヒド、75mM Lリシンおよび10mM NaIOからなる0.7%の過ヨウ素酸塩リシンパラホルムアルデヒド(PLP)バッファーに即座に浸した。PLPバッファーでの一晩の固定後に腎臓をパラフィンブロックに包埋した。7μM切片の調製ならびにヘマトキシリンおよびエオシン染色に標準的な方法を用いた。サンプルを調べ、そして盲検でSLE関連腎臓病重症度について評点した。評点は、各処置群からのNZB/W F1マウスの腎臓組織の組織学的検査により同定される動脈周囲リンパ球浸潤病巣の数および腎臓組織における糸球体腎炎関連タンパク質レベルの重症度に基づいた。ランク分析へのKruskal−Wall
is分散分析を多重比較のためのダン補正を用いて行い、そして統計的に有意であると認められる処置群間の差を同定するためにp値<0.05を使用した。
【0170】
ある特定の態様に関して上に説明しそして記述したが、それにもかかわらず本発明は示される詳細に限定されるものではない。むしろ、本発明は本明細書に開示されるCXCL13アンタゴニストポリペプチド、ポリヌクレオチド、抗体、装置およびキットならびにその使用、ならびに場合によりTNF−αのレベルを制御することと一緒に、CXCL13のレベルを制御する方法に関し、そして請求項の同等物の範囲(scope)および範囲(range)内でそして本発明の精神からそれずに様々な改変を詳細において行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該細胞、組織、器官もしくは動物におけるCXCL13活性を阻害するために有効な量のCXCL13アンタゴニストを細胞、組織、器官もしくは動物に投与すること;および
当該細胞、組織、器官もしくは動物におけるTNFα活性を阻害するために有効な量のTNFαアンタゴニストを細胞、組織、器官もしくは動物に投与すること
を含んでなる細胞、組織、器官もしくは動物におけるCXCL13活性関連疾患を処置する方法。
【請求項2】
CXCL13アンタゴニストがCXCL13結合モノクローナル抗体もしくはそのフラグメントであり、そしてTNFαアンタゴニストがTNFα結合モノクローナル抗体もしくはそのフラグメントである請求項1の方法。
【請求項3】
抗体フラグメントがFab、Fab’もしくはF(ab’)フラグメントまたはその誘導体である請求項2の方法。
【請求項4】
動物が哺乳類である請求項2の方法。
【請求項5】
少なくとも1つのモノクローナル抗体もしくはフラグメントが非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹内、嚢内(intracapsular)、軟骨内、腔内(intracavitary)、腔内(intracelial)、小脳内、脳室内、結腸内、頸内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜腔内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊椎内、滑液包内、胸内、子宮内、嚢内(intravesical)、病巣内、ボーラス、膣内、直腸内、口腔、舌下、鼻腔内および経皮から選択される少なくとも1つの方法により投与される請求項4の方法。
【請求項6】
少なくとも1つのモノクローナル抗体もしくはフラグメントが約0.05mg/kg〜約30.0mg/該哺乳類のkg体重の量で投与される請求項5の方法。
【請求項7】
哺乳類がヒト患者である請求項5の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのモノクローナル抗体もしくはフラグメントが腹腔内に投与される請求項5の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのモノクローナル抗体もしくはフラグメントが該抗体のボーラス投与、続いて注入において投与される請求項5の方法。
【請求項10】
CXCL13活性関連疾患が炎症性疾患である請求項1の方法。
【請求項11】
CXCL13活性関連疾患が肺関連疾患である請求項1の方法。
【請求項12】
CXCL13活性関連疾患が喘息、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎症、肺線維症および異所性リンパ濾胞形成よりなる群から選択される請求項1の方法。
【請求項13】
CXCL13アンタゴニストもしくはTNFαアンタゴニストがポリヌクレオチドおよびポリペプチドよりなる群から選択される請求項1の方法。
【請求項14】
CXCL13アンタゴニストもしくはTNFαアンタゴニストがsiRNA、shRNA、アンチセンス、リボザイムおよびDNAザイム分子よりなる群から選択される請求項
1の方法。
【請求項15】
当該細胞、組織、器官もしくは動物におけるCXCL13活性を阻害するために有効な量のCXCL13アンタゴニストを細胞、組織、器官もしくは動物に投与することを含んでなる細胞、組織、器官もしくは動物における肺関連疾患を処置する方法。
【請求項16】
CXCL13アンタゴニストがCXCL13結合モノクローナル抗体もしくはそのフラグメントである請求項15の方法。
【請求項17】
CXCL13モノクローナル抗体もしくはフラグメントが非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹内、嚢内、軟骨内、腔内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頸内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜腔内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊椎内、滑液包内、胸内、子宮内、嚢内、病巣内、ボーラス、膣内、直腸内、口腔、舌下、鼻腔内および経皮から選択される少なくとも1つの方法により投与される請求項16の方法。
【請求項18】
CXCL13モノクローナル抗体もしくはフラグメントが約0.05mg/kg〜約30.0mg/該哺乳類のkg体重の量で投与される請求項17の方法。
【請求項19】
CXCL13モノクローナル抗体もしくはフラグメントが腹腔内に投与される請求項17の方法。
【請求項20】
モノクローナル抗体もしくはフラグメントが該抗体のボーラス投与、続いて注入において投与される請求項17の方法。
【請求項21】
肺関連疾患が喘息、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎症、肺線維症および異所性リンパ濾胞形成よりなる群から選択される請求項17の方法。
【請求項22】
CXCL13アンタゴニストがポリヌクレオチドおよびポリペプチドよりなる群から選択される請求項15の方法。
【請求項23】
CXCL13アンタゴニストがsiRNA、shRNA、アンチセンス、リボザイムおよびDNAザイム分子よりなる群から選択される請求項15の方法。
【請求項24】
a)動物にCXCL13のアンタゴニストを与えること、および
b)動物にTNFαのアンタゴニストを与えること;
(ここで、各アンタゴニストは動物における全身性エリテマトーデスの症候の減少をもたらすために有効な量において与えられる)
を含んでなる全身性エリテマトーデスにかかっている動物を処置する方法。
【請求項25】
CXCL13のアンタゴニストがCXCL13結合抗体もしくは抗体のCXCL13結合フラグメントであり、そしてTNFαのアンタゴニストがTNFα結合抗体もしくは抗体のTNFα結合フラグメントである請求項24の方法。
【請求項26】
動物が哺乳類である請求項25の方法。
【請求項27】
哺乳類がヒトである請求項26の方法。
【請求項28】
与えられる各抗体もしくは抗体の結合フラグメントの量が約0.05mg/kg〜約50.0mg/動物のkg体重である請求項25の方法。
【請求項29】
与えられる各抗体もしくは抗体の結合フラグメントの量が約25mg/動物のkg体重〜約40mg/動物のkg体重である請求項28の方法。
【請求項30】
全身性エリテマトーデスの症候が腎組織の検査により同定される動脈周囲リンパ球浸潤病巣の数である請求項24の方法。
【請求項31】
全身性エリテマトーデスの症候が総尿クレアチニンに対する総尿タンパク質の比率である請求項24の方法。
【請求項32】
CXCL13のアンタゴニストがCXCL13結合抗体もしくは抗体のCXCL13結合フラグメントであり、そしてTNFαのアンタゴニストがTNFα結合抗体もしくは抗体のTNFα結合フラグメントである請求項30もしくは請求項31の方法。
【請求項33】
CXCL13のアンタゴニストがCXCL13結合抗体もしくは抗体のCXCL13結合フラグメントであり、そしてTNFαのアンタゴニストがTNFα結合抗体インフリキシマブもしくはそのフラグメントである請求項30もしくは31の方法。
【請求項34】
本明細書に記述される任意の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−523580(P2010−523580A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502228(P2010−502228)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/058859
【国際公開番号】WO2008/121940
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(509087759)セントコア・オーソ・バイオテツク・インコーポレーテツド (77)
【Fターム(参考)】