説明

D−ピラノシル置換フェニル、該化合物を含む薬物、その使用、及びその製造方法

下記一般式(I):
【化1】


(式中、基R1〜R5、X、Z及びR7a、R7b、R7cは、請求項1の定義どおり)のD-ピラノシル置換フェニルを開示する。前記フェニルは、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLTに対する阻害効果を有する。本発明は、さらに代謝障害を治療するための薬物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、下記一般式IのD-ピラノシル置換フェニル(その互変異性体、立体異性体、その混合物及び塩を含む)に関する。
【0002】
【化1】

【0003】
(式中、基R1〜R5、X、Z及びR7a、R7b、R7cは、前記定義どおりである。)本発明は、さらに式Iの化合物を含有する医薬組成物並びに代謝障害の治療用医薬組成物を調製するための本発明の化合物の使用に関する。本発明は、本発明の医薬組成物及び化合物の調製方法にも関する。
【0004】
疾患、特に糖尿病の治療のため、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLTに対する阻害効果を有する化合物が文献で提案されている。
グルコピラノシル置換芳香族基並びにその製法とそのSGLT2インヒビターとして可能な活性は、公開された国際特許出願WO 98/31697、WO 01/27128、WO 02/083066及びWO 03/099836から公知である。
出願WO 2004/052902は、SGLTに対する効果のため、抗糖尿病薬として芳香族フルオログリコシド誘導体を提案している。例として記載されている化合物は、排他的にO-フェニルグルコシドである。
【0005】
〔発明の課題〕
本発明の目的は、新規なピラノシル置換フェニル、特にナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、特にSGLT2に対する効果を有する新規なピラノシル置換フェニルを示すことである。本発明のさらなる目的は、既知の構造が類似した化合物に比し、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT2に対するin vitro及び/又はin vivo阻害効果が大きく、及び/又は改良された薬理学的特性又は薬物動態学的特性を有するピラノシル置換フェニルを示すことである。
さらに、本発明は、代謝障害、特に糖尿病の予防及び/又は治療に適した新規な医薬組成物を提供することについて述べる。
本発明は、本発明の化合物の製造方法にも関する。
当業者には、上述した記載及び後述する記載から本発明のさらなる目的が即座に明かになるだろう。
【0006】
〔発明の目的〕
第1局面では、本発明は下記一般式IのD-ピラノシル置換フェニル、その互変異性体、立体異性体、その混合物及び塩、特にその医薬的に許容しうる塩に関する。
【0007】
【化2】

【0008】
式中、
R1は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-10-シクロアルキル、C3-10-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C5-10-シクロアルケニル、C5-10-シクロアルケニル-C1-3-アルキル、C1-4-アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルフォリン-4-イルカルボニル、ピペラジン-1-イルカルボニル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イルカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、アミノ、C1-4-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルフォリン-4-イル、ピペラジン-1-イル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、C1-6-アルキルオキシ、C3-10-シクロアルキルオキシ、C5-10-シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、C1-4-アルキルスルファニル、C1-4-アルキルスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-10-シクロアルキルスルファニル、C3-10-シクロアルキルスルフィニル、C3-10-シクロアルキルスルホニル、C5-10-シクロアルケニルスルファニル、C5-10-シクロアルケニルスルフィニル、C5-10-シクロアルケニルスルホニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、ヒドロキシ、シアノ又はニトロを表し、
このときアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシ及びC1-3-アルキルから選択される同一又は異なる置換基で一置換又は二置換されていてもよく、かつ
シクロアルキル及びシクロアルケニル基中、1又は2個のメチレン基が相互独立にO、S、CO、SO又はSO2と置き換わっていてもよく、かつ
N-ヘテロシクロアルキル基中、メチレン基がCO又はSO2と置き換わっていてもよく、かつ
R2は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、C1-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、シアノ又はニトロを表し、このときアルキル基はフッ素で一置換又は多置換されていてもよく、或いは
該フェニル環の隣接する2個のC原子にR1とR2が結合している場合、R1とR2が一緒に結合して、R1とR2が一緒にC3-5-アルキレン、C3-5-アルケニレン又はブタジエニレンブリッジ(部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシ及びC1-3-アルキルから選択される同一又は異なる置換基で一置換又は二置換されていてもよく、かつ1又は2個のメチレン基が相互独立にO、S、CO、SO、SO2又はNRNと置き換わっていてもよく、かつブタジエニレンブリッジの場合、1又は2個のメチン基がN原子と置き換わっていてもよい)を形成していてもよく、
R3は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-10-シクロアルキル、C3-10-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C5-10-シクロアルケニル、C5-10-シクロアルケニル-C1-3-アルキル、アリール、ヘテロアリール、C1-4-アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルフォリン-4-イルカルボニル、ピペラジン-1-イルカルボニル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イルカルボニル、ヒドロキシカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、C1-4-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルフォリン-4-イル、ピペラジン-1-イル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-4-アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、C1-6-アルコキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C1-4-アルキルスルファニル、C1-4-アルキルスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-10-シクロアルキルスルファニル、C3-10-シクロアルキルスルフィニル、C3-10-シクロアルキルスルホニル、C5-10-シクロアルケニルスルファニル、C5-10-シクロアルケニルスルフィニル、C5-10-シクロアルケニルスルホニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、アミノ、ヒドロキシ、シアノ又はニトロを表し、
このときアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシ及びC1-3-アルキルから選択される同一又は異なる置換基で一置換又は二置換されていてもよく、かつ
シクロアルキル及びシクロアルケニル基中、1又は2個のメチレン基が相互独立にO、S、CO、SO又はSO2と置き換わっていてもよく、かつ
N-ヘテロシクロアルキル基中、メチレン基がCO又はSO2と置き換わっていてもよく、かつ
R4は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、C1-3-アルキル、C1-3-アルコキシ、又は1〜3個のフッ素原子で置換されているメチル若しくはメトキシを表し、或いは
該フェニル環の隣接する2個のC原子にR3とR4が結合している場合、R3とR4が一緒に結合して、R3とR4が一緒にC3-5-アルキレン、C3-5-アルケニレン又はブタジエニレンブリッジ(部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシ及びC1-3-アルキルから選択される同一又は異なる置換基で一置換又は二置換されていてもよく、かつ1又は2個のメチレン基が相互独立にO、S、CO、SO、SO2又はNRNと置き換わっていてもよく、かつブタジエニレンブリッジの場合、1又は2個のメチン基がN原子と置き換わっていてもよい)を形成していてもよく、
R5は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、C1-3-アルキル、C1-3-アルコキシ、又は1〜3個のフッ素原子で置換されているメチル若しくはメトキシを表し、かつ
RNは、H、C1-4-アルキル又はC1-4-アルキルカルボニルを表し、
Lは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-3-アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C1-3-アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ及びシアノの中から相互独立に選択され、
R7a、R7b、R7cは、相互独立に、水素、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル及びアリール-(C1-3-アルキル)-カルボニルの中から選択される意味を有し、
Xは、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C5-7-シクロアルケニル-C1-3-アルキル、アリール-C1-3-アルキル、ヘテロアリール-C1-3-アルキル、C1-6-アルコキシ、C2-6-アルケニルオキシ、C2-6-アルキニルオキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニル-C1-3-アルキルオキシ、アリール-C1-3-アルキルオキシ、ヘテロアリール-C1-3-アルキルオキシ、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ヒドロキシカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、アミノカルボニル-C1-3-アルキル、C1-4-アルキルアミノカルボニル-C1-3-アルキル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル-C1-3-アルキル、ヒドロキシカルボニル-C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシカルボニル-C1-3-アルキル、C3-7-シクロアルキルオキシ-C1-3-アルキル、C5-7-シクロアルケニルオキシ-C1-3-アルキル、アリールオキシ-C1-3-アルキル、ヘテロアリールオキシ-C1-3-アルキル、C1-4-アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、アリール-C1-3-アルキル-スルホニルオキシ又はシアノを表し、
このとき該ピラノース環に直接結合しているメチレン基は、NRN、S、CO、SO又はSO2と置き換わっていてもよく、かつ
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いは塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシ、C1-3-アルキルスルファニル、-NH2、-NHRN、-NRN(C1-3-アルキル)及びC1-3-アルキルから選択される同一又は異なる置換基で一置換又は二置換されていてもよく、かつ
シクロアルキル及びシクロアルケニル基中、1又は2個のメチレン基が相互独立にO、S、CO、SO又はSO2と置き換わっていてもよく、かつ
Zは、酸素、メチレン、ジメチルメチレン、1,1-シクロプロピレン、ジフルオロメチレン又はカルボニルを表し;
このとき、上記基の定義で言及したアリール基は、フェニル又はナフチル基(同一又は異なる基Lで相互独立に一置換又は二置換されていてもよい)を表し;かつ
上記基の定義で言及したヘテロアリール基は、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、ピリジル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル若しくはイソキノリニル基、
又は1若しくは2個のメチン基が窒素原子と置き換わっているピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル若しくはピリジル基、
又は1〜3個のメチン基が窒素原子と置き換わっているインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル若しくはイソキノリニル基を表し、
さらに上記ヘテロアリール基は、同一又は異なる基Lで相互独立に一置換又は二置換されていてもよく;
さらに上記基の定義で言及したN-ヘテロシクロアルキル基は飽和炭素環式環(該環中にイミノ基を含み、該環中に、さらなるイミノ基又はO若しくはS原子を含んでよい)を意味し、かつ
特に断らない限り、上記アルキル基は、直鎖又は分岐していてよい。
【0009】
本発明の一般式Iの化合物及びその生理学的に許容しうる塩は、有益な薬理学的特性、特にナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、特にSGLT2に対する阻害効果を有する。さらに、本発明の化合物は、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT1に対する阻害効果も有しうる。SGLT1に対する考えられる阻害効果に比し、本発明の化合物は、好ましくはSGLT2を選択的に阻害する。
本発明は、無機又は有機酸との本発明の化合物の生理学的に許容しうる塩にも関する。 従って、本発明は、本発明の化合物(その生理学的に許容しうる塩を含む)の医薬組成物としての使用にも関する。
この発明は、少なくとも1種の本発明の化合物又は本発明の生理学的に許容しうる塩を含み、任意に、1種以上の不活性な担体及び/又は希釈剤を一緒に含有しうる医薬組成物にも関する。
この発明は、少なくとも1種の本発明の化合物又は該化合物の生理学的に許容しうる塩の、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、特にSGLT2を阻害することによって影響を与えうる疾患又は状態の治療又は予防に適した医薬組成物を調製するための使用にも関する。
この発明は、少なくとも1種の本発明の化合物の、代謝障害の治療に適した医薬組成物を調製するための使用にも関する。
この発明は、少なくとも1種の本発明の化合物の、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLT、特にSGLT2を阻害するための医薬組成物を調製するための使用にも関する。
本発明は、さらに本発明の医薬組成物の調製方法であって、本発明の化合物を非化学的方法で1種以上の不活性な担体及び/又は希釈剤に組み入れることを特徴とする方法に関する。
【0010】
本発明は、本発明の一般式Iの化合物の調製方法にも関し、この方法は、
a) 前述し、また後述する定義どおりの一般式Iの化合物を調製するため、
下記一般式II:
【0011】
【化3】

【0012】
(式中、
R'は、H、C1-4-アルキル、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル又はアリール-(C1-3-アルキル)-カルボニルを表し(前記アルキル又はアリール基は、ハロゲンで一置換又は多置換されていてもよい);
R8a、R8b、R8cは、相互独立に、基R7a、R7b、R7cについて前述した意味及び後述する意味の1つを有し、ベンジル基又はRaRbRcSi基又はケタール若しくはアセタール基を表し(各場合2個の隣接基R8a、R8b、R8cが、環式ケタール若しくはアセタール基を形成し、又は該ピラノース環の2個の酸素原子と置換2,3-オキシジオキサン環、特に2,3-ジメチル-2,3-ジ(C1-3-アルコキシ)-1,4-ジオキサン環を形成していてよく、かつアルキル、アリール及び/又はベンジル基は、ハロゲン、C1-3-アルキル又はC1-3-アルコキシで一置換又は多置換されていてもよく、かつベンジル基は、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ基で置換されていてもよい);かつ
Ra、Rb、Rcは、相互独立にC1-4-アルキル、アリール又はアリール-C1-3-アルキルを表し(該アリール又はアルキル基は、ハロゲンで一置換又は多置換されていてもよい);
このとき上記基の定義で言及したアリール基は、フェニル又はナフチル基、好ましくはフェニル基を意味し;
かつ前記基X及びR1〜R5及びブリッジZは、前述し、また後述する定義どおり)
の化合物を酸の存在下で還元剤と反応させ(このとき、同時又はその後に、存在するいずれの保護基も切断する);或いは
b) 式中、R7a、R7b及びR7cが水素を表す一般式Iの化合物を調製するため、
下記一般式III:






【0013】
【化4】

【0014】
(式中、X、Z、R8a、R8b、R8c及びR1〜R5は、前述し、また後述する定義どおりであり、かつ基R8a、R8b及びR8cの少なくとも1個は水素を意味しない)の化合物において、
水素を意味しない基R8a、R8b又はR8cを除去し、特に加水分解し;かつ
プロセスa)又はb)の下、上記反応で用いたいずれの保護基も切断し、及び/又は
所望により、このようにして得た一般式Iの化合物をヒドロキシ基のところで選択的に誘導体化し、若しくは置換し、及び/又は
所望により、このようにして得た一般式Iの化合物をその立体異性体に分割し、及び/又は
所望により、このようにして得た一般式Iの化合物をその塩、特に医薬用途のため、その生理学的に許容しうる塩に変換することを特徴とする。
【0015】
〔発明の詳細な説明〕
特に断らない限り、基、残基及び置換基、特にR1〜R5、X、Z、L、RN、R7a、R7b、R7cは、前述し、また後述する意味を有する。
化合物中に残基、置換基又は基が数回現れる場合、それらは同じ意味又は異なる意味を有しうる。
本発明の化合物は、β-D-グルコピラノシル配置(式IA)又はβ-D-ガラクトピラノシル配置(式IB)でありうる。



















【0016】
【化5】

【0017】
SGLT2の阻害について、また好ましくはSGLT1に比べてSGLT2に対する阻害の高い選択性について、式IAの化合物が好ましい。
基R3は、好ましくは-Z-ブリッジに対してメタ又はパラ位にある。従って、本発明の一般式IAの化合物は、好ましくは下記式IA.1及びIA.2、特に式IA.2によって示される。
【0018】
【化6】

【0019】
例えば、基X、R1及びR3について上述し、また後述する用語アリールは、好ましくはフェニルを表す。一般定義により、また特に断らない限り、アリール基、特にフェニル基は、同一又は異なる基Lで一置換又は二置換されていてもよい。
例えば、基X、R1及びR3について上述し、また後述する用語ヘテロアリールは、好ましくはピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル又はチアジアゾリルを表す。一般定義により、また特に断らない限り、ヘテロアリール基は、同一又は異なる基Lで一置換又は二置換されていてもよい。
好ましくは、R1は水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、C1-4-アルキルカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキル-アミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、C1-4-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルフォリン-4-イル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、C1-6-アルキルオキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、C1-4-アルキルスルファニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-7-シクロアルキルスルファニル、C3-7-シクロアルキルスルホニル、C5-7-シクロアルケニルスルファニル、C5-7-シクロアルケニルスルホニル、ヒドロキシ及びシアノを表し、
このときアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシ及びC1-3-アルキルから選択される同一又は異なる置換基で一置換又は二置換されていてもよく、かつ
シクロアルキル及びシクロアルケニル基中、1又は2個のメチレン基が相互独立にO、S、CO、SO又はSO2と置き換わっていてもよく、かつ
N-ヘテロシクロアルキル基中、メチレン基がCO又はSO2と置き換わっていてもよい。
【0020】
基R1が、1又は2個のメチレン基が相互独立にO、S、CO、SO又はSO2と置き換わっているシクロアルキル又はシクロアルケニル基を表す場合、基R1の好ましい意味は、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロフラノニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピラノニル、ジオキサニル及びトリオキサニルの中から選択される。
基R1が、メチレン基がCO又はSO2と置き換わっているN-ヘテロシクロアルキル基を表す場合、基R1の好ましい意味は、ピロリジノン、ピペリジノン、ピペラジノン及びモルフォリノンの中から選択される。
特に好ましくは、R1は水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、C1-6-アルキルオキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ又はシアノを表し、このときシクロアルキル及びシクロアルケニル基中、1又は2個のメチレン単位は相互独立にO又はCOと置き換わっていてもよく、かつアルキル、アルケニル及びアルキニル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよい。
最も特に好ましい基R1の例は、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル、エチニル、メトキシ、シクロペンチルオキシ及びシアノである。
【0021】
基R3は、好ましくは水素、フッ素、塩素、臭素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-メチル、C5-7-シクロアルケニル、C3-7-シクロアルケニル-メチル、アリール、ヘテロアリール、C1-4-アルキルカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルフォリン-4-イル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、C1-6-アルコキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C1-4-アルキルスルファニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-7-シクロアルキルスルファニル、C3-7-シクロアルキルスルホニル、C5-7-シクロアルケニルスルファニル、C5-7-シクロアルケニルスルホニル、ヒドロキシ及びシアノを表し、
このときアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシ及びC1-3-アルキルから選択される同一又は異なる置換基で一置換又は二置換されていてもよく、かつ
シクロアルキル及びシクロアルケニル基中、1又は2個のメチレン基が相互独立にO、S、CO、SO又はSO2と置き換わっていてもよく、かつ
N-ヘテロシクロアルキル基中、メチレン基がCO又はSO2と置き換わっていてもよく、
このとき用語アリール及びヘテロアリールは上記定義どおりであり、かつアリール及びヘテロアリール基は、相互独立に同一又は異なる基Lで一置換又は二置換されていてもよい。
【0022】
基R3が、1又は2個のメチレン基が相互独立にO、S、CO、SO又はSO2と置き換わっているシクロアルキル又はシクロアルケニル基を表す場合、基R3の好ましい定義は、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロフラノニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピラノニル、ジオキサニル及びトリオキサニルの中から選択される。
基R3が、メチレン基がCO又はSO2と置き換わっているN-ヘテロシクロアルキル基を表す場合、基R3の好ましい意味は、ピロリジノン、ピペリジノン、ピペラジノン及びモルフォリノンの中から選択される。
特に好ましいR3は、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C1-4-アルキルオキシ、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキルオキシ及びヒドロキシであり、このとき該シクロアルキル基中、1又は2個のメチレン単位は相互独立にO又はCOと置き換わっていてもよく、かつアルキル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよい。
最も特に好ましい基R3は、メチル、エチル、エチニル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ジフルオロメトキシ、シクロペンチルオキシ、テトラヒドロ-フラン-3-イルオキシ及びヒドロキシである。
【0023】
基Xは、前述し、また後述する定義の1つを有し、このときXはヒドロキシ基を意味せず、かつ好ましくは生理的条件下で少しでも有意な程度にヒドロキシ基に変換される基を意味しない。特に、基Xは、アルキルカルボニルオキシ、(het)アリールカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニルオキシ又は(het)アリールオキシカルボニルオキシ基でない。ここで、(het)アリールは、アリール又はヘテロアリール基を意味する。
基Xは、好ましくは水素、フッ素、塩素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C5-7-シクロアルケニル-C1-3-アルキル、アリール-C1-3-アルキル、ヘテロアリール-C1-3-アルキル、C1-6-アルコキシ、C2-6-アルケニルオキシ、C2-6-アルキニルオキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニル-C1-3-アルキルオキシ、アリール-C1-3-アルキルオキシ、ヘテロアリール-C1-3-アルキルオキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ-C1-3-アルキル、C5-7-シクロアルケニルオキシ-C1-3-アルキル、アリールオキシ-C1-3-アルキル、ヘテロアリールオキシ-C1-3-アルキル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、N-(C1-5-アルキル)-N-(C1-4-アルキルカルボニル)-アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、C1-6-アルキルスルホニル、アミノカルボニル-C1-3-アルキル、C1-4-アルキルアミノカルボニル-C1-3-アルキル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル-C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシカルボニル-C1-3-アルキル、アミノ、C1-5-アルキルアミノ、N-(C1-5-アルキル)-N-(C1-3-アルキル)-アミノ、メルカプト又はシアノを表し、
このときアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いは塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシ、C1-3-アルキルスルファニル、-NH2、-NHRN、-NRN(C1-3-アルキル)及びC1-3-アルキルから選択される同一又は異なる置換基で一置換又は二置換されていてもよく、かつ
上記シクロアルキル及びシクロアルケニル基中、1又は2個のメチレン基は、相互独立にO、S、CO、SO又はSO2と置き換わっていてもよく、かつ
用語アリール及びヘテロアリールは前記定義どおりであり、かつアリール及びヘテロアリール基は、相互独立に同一又は異なる基Lで一置換又は二置換されていてもよい。
本発明の化合物は、基Xの異なる定義に従って形式的に異なる実施態様に分けられる。
【0024】
第1実施態様によれば、Xは、好ましくは水素、塩素、シアノ、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C5-7-シクロアルケニル-C1-3-アルキル、アリール-C1-3-アルキル、ヘテロアリール-C1-3-アルキル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ヒドロキシカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、C1-6-アルキルスルホニル、C3-7-シクロアルキルオキシ-C1-3-アルキル、C5-7-シクロアルケニルオキシ-C1-3-アルキル、アリールオキシ-C1-3-アルキル及びヘテロアリールオキシ-C1-3-アルキルを表し、
このときアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いは塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1-3-アルキルスルファニル、NHRN、C1-3-アルキル-NRN、C1-3-アルコキシ及びC1-3-アルキルから選択される同一又は異なる置換基で一置換又は二置換されていてもよく、かつメチル基は、部分的又は完全にフッ素化され、或いは塩素で一置換されていてもよく、かつ
上記シクロアルキル及びシクロアルケニル基中、1又は2個のメチレン基が相互独立にO、S、CO、SO又はSO2と置き換わっていてもよく、かつ
用語アリール及びヘテロアリールは前記定義どおりであり、かつアリール及びヘテロアリール基は、相互独立に同一又は異なる基Lで一置換又は二置換されていてもよい。
【0025】
基Xが、1又は2個のメチレン基が相互独立にO、S、CO、SO又はSO2と置き換わっているシクロアルキル又はシクロアルケニル基を表す場合、基Xの好ましい定義は、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロフラノニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピラノニル、ジオキサニル及びトリオキサニルの中から選択される。
基Xの特に好ましい基は、水素、塩素、シアノ、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C1-6-アルキルスルホニル、ヒドロキシカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、アミノカルボニル及びC1-4-アルキルアミノカルボニルであり、
このときアルキル基は、一フッ素化又は多フッ素化されていてもよく、或いはヒドロキシ又はシアノで一置換されていてもよい。
最も特に好ましい基Xは、水素、塩素、シアノ、メチル、エチル、プロピル、ヒドロキシメチル、プロパ-2-エニル、プロパ-2-イニル、メチルスルホニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ヒドロキシカルボニル及びメトキシカルボニルである。
最も特に好ましい基Xの選択は、水素、塩素、メチル、ヒドロキシメチル及びエチルを含む。
【0026】
第2実施態様によれば、Xは、好ましくはC1-6-アルコキシ、C2-6-アルケニルオキシ、C2-6-アルキニルオキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、アリール-C1-3-アルキルオキシ又はヘテロアリールオキシを表し、
このとき上記アルコキシ、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いはヒドロキシ、C1-3-アルコキシ及びC1-3-アルキルから選択される同一又は異なる置換基で一置換又は二置換されていてもよく、かつ
上記シクロアルキル及びシクロアルケニル基中、1又は2個のメチレン基が相互独立にO、S、CO、SO又はSO2と置き換わっていてもよく、かつ
用語アリール及びヘテロアリールは前記定義どおりであり、かつアリール及びヘテロアリール基は、相互独立に同一又は異なる基Lで一置換又は二置換されていてもよい。
この実施態様によれば、基Xの好ましい意味は、C1-6-アルキルオキシ、C2-6-アルケニルオキシ、C2-6-アルキニルオキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ、アリール-C1-3-アルキルオキシ及びアリールオキシであり、このときアリールは、フェニル又はナフチル基、特にフェニルを意味し、同一又は異なる置換基Lで一置換又は二置換されていてもよい。
基Xの特に好ましい意味は、メトキシ及びエトキシである。
【0027】
第3実施態様によれば、Xは、好ましくはメルカプト、C1-5-アルキルスルファニル、C2-5-アルケニルスルファニル、C2-5-アルキニルスルファニル、C3-7-シクロアルキルスルファニル、C5-7-シクロアルケニルスルファニル、アリールスルファニル又はヘテロアリールスルファニルを表し、
このとき上記アルコキシ、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いはヒドロキシ、C1-3-アルコキシ及びC1-3-アルキルから選択される同一又は異なる置換基で一置換又は二置換されていてもよく、かつ
上記シクロアルキル及びシクロアルケニル基中、1又は2個のメチレン基が相互独立にO、S、CO、SO又はSO2と置き換わっていてもよく、かつ
用語アリール及びヘテロアリールは前記定義どおりであり、かつアリール及びヘテロアリール基は、相互独立に同一又は異なる基Lで一置換又は二置換されていてもよい。
この実施態様によれば、基Xの好ましい意味は、メルカプト、C1-5-アルキルスルファニル、C2-5-アルケニルスルファニル、C2-5-アルキニルスルファニル、C3-7-シクロアルキルスルファニル及びアリールスルファニルであり、このときアリールは、フェニル又はナフチル基、特にフェニルを意味し、同一又は異なる置換基Lで一置換又は二置換されていてもよい。
基Xの特に好ましい意味は、メルカプト、メチルスルファニル及びエチルスルファニルである。
【0028】
第4実施態様によれば、Xは、好ましくはアミノ、C1-5-アルキルアミノ、N-(C1-5-アルキル)-N-(C1-3-アルキル)-アミノ、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、N-(C1-5-アルキル)-N-(C1-4-アルキルカルボニル)-アミノ、C2-5-アルケニルアミノ、C2-5-アルキニルアミノ、C3-7-シクロアルキルアミノ、C5-7-シクロアルケニルアミノ、アリールアミノ又はヘテロアリールアミノを表し、
このとき上記アルコキシ、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いはヒドロキシ、C1-3-アルコキシ及びC1-3-アルキルから選択される同一又は異なる置換基で一置換又は二置換されていてもよく、かつ
上記シクロアルキル及びシクロアルケニル基中、1又は2個のメチレン基が相互独立にO、S、CO、SO又はSO2と置き換わっていてもよく、かつ
用語アリール及びヘテロアリールは前記定義どおりであり、かつアリール及びヘテロアリール基は、相互独立に同一又は異なる基Lで一置換又は二置換されていてもよい。
この実施態様によれば、基Xの好ましい意味は、アミノ、C1-5-アルキルアミノ、N-(C1-5-アルキル)-N-(C1-3-アルキル)-アミノ、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、N-(C1-5-アルキル)-N-(C1-4-アルキルカルボニル)-アミノ及びアリールアミノであり、このときアリールは、フェニル又はナフチル基、特にフェニルを意味し、同一又は異なる置換基Lで一置換又は二置換されていてもよい。
基Xの特に好ましい意味は、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ及びメチルカルボニルアミノである。
【0029】
第5実施態様によれば、Xはフッ素を表す。
第6実施態様によれば、Xは、好ましくは臭素、ヨウ素、C1-6-アルキル-スルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ又はアリール-C1-3-アルキル-スルホニルオキシを表し、
このとき上記アルキル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いは一塩素化又は二塩素化されていてもよく、かつ上記アリール基は、同一又は異なる基Lで一置換又は二置換されていてもよい。Lは、好ましくはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-3-アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル及びシアノの中から選択される。
この第6実施態様の化合物は、上述したその薬理学的活性の域を超えて、SGLT、特にSGLT2阻害活性のある化合物の合成、特に本発明の他の化合物の合成の中間生成物として特に好適である。一般式Iの化合物を合成するための中間体として使用する場合、ここで述べる基Xは、所望生成物と比較して反転した立体化学的位置でピラノース環に結合していてもよい。
この第6実施態様の特に好ましい基Xは、臭素、ヨウ素、C1-4-アルキルスルホニルオキシ、フェニルスルホニルオキシ又はフェニルメチルスルホニルオキシであり、このとき上記アルキル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、かつ上記フェニル基は、同一又は異なる基Lで一置換又は二置換されていてもよい。Lは、好ましくはフッ素、塩素、臭素及びメチルの中から選択される。
最も特に好ましくは、Xは、トリフルオロメチルスルホニルオキシ又はヨウ素の意味を有する。
【0030】
本発明の好ましい化合物は、上述した第1、第2、第3、第4及び第5実施態様の基Xを有し、特に、その中で好ましいと特定した定義の基Xを有する当該化合物である。最も特に好ましくは、第1、第2、第4及び第5実施態様である。
残基又は基X、R1又はR3中に、2個のメチレン基がO若しくはS又はCO、SO若しくはSO2と置き換わっているシクロアルキル又はシクロアルケニル環がある場合、これらメチレン基は、好ましくは相互に直接結合していない。しかし、2個のメチレン基がO及びCOと置き換わっている場合、これらは相互に直接結合して、カルボキシ基を形成していてもよい。X、R1又はR3が、本発明に従って置き換わっている1若しくは2個のメチレン基を有するシクロアルキル又はシクロアルケニル基である場合、関連する基X、R1又はR3は、好ましくはメチレン基がO、S、CO、SO又はSO2と置き換わり、或いはエチレン基が-O-CO又は-CO-O-と置き換わっているシクロアルキル又はシクロアルケニル基を意味する。
【0031】
ここで、一般式I、特に式IA及びIBにより、また前述した実施態様によっても好ましいと考えられるいくつかの他の基及び置換基の意味を示す。
基R2の好ましい意味は、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ及び1〜3個のフッ素原子で置換されているメチルである。
基R2の特に好ましい意味は、水素、フッ素、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ及びメチル、特に水素及びメチルである。
R1とR2が、該フェニル環の隣接する2個のC原子に結合している場合、R1とR2が一緒に結合して、R1とR2が一緒に好ましくはC3-4-アルキレンブリッジ(1又は2個のメチレン単位は、相互独立にO、NRN又はCOと置き換わっていてもよい)又はブタジエニレンブリッジ(メチン基が窒素原子と置き換わっていてもよい)を形成していてよく、このとき前記架橋している基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシ及びC1-3-アルキルから選択される同一又は異なる置換基で一置換又は二置換されていてもよい。好ましくは、基R1とR2が結合しているフェニル環と一緒に基R1とR2が結合して、インダン、ジヒドロインドール、ジヒドロベンゾフラン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロキノリノン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロイソキノリノン、テトラヒドロナフタレン、ナフタレン、キノリン又はイソキノリンから選択される二環式環系を形成している。
【0032】
基R4の好ましい意味は、水素及びフッ素、特に水素である。
該フェニル環の2個の直に隣接するC原子にR3とR4が結合している場合、R3とR4が一緒に結合して、R3とR4が一緒に好ましくはC3-4-アルキレンブリッジ(1又は2個のメチレン単位が相互独立にO、NRN又はCOと置き換わっていてもよい)又はブタジエニレンブリッジ(メチン基が窒素原子と置き換わっていてもよい)を形成していてよく、このとき前記架橋している基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシ及びC1-3-アルキルから選択される同一又は異なる置換基で一置換又は二置換されていてもよい。好ましくは、基R3とR4が結合しているフェニル環と一緒に基R3とR4が結合して、インダン、ジヒドロインドール、ジヒドロベンゾフラン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロキノリノン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロイソキノリノン、テトラヒドロナフタレン、ナフタレン、キノリン又はイソキノリンから選択される二環式環系を形成している。
基R5の好ましい意味は、水素及びフッ素、特に水素である。
基Zの好ましい意味は、酸素及びメチレン、特にメチレンである。
【0033】
置換基R7a、R7b、R7cは、相互独立に好ましくは水素、(C1-8-アルキル)オキシカルボニル、(C1-18-アルキル)カルボニル、ベンゾイル、特に水素又は(C1-6-アルキル)オキシカルボニル、(C1-8-アルキル)カルボニル、特に好ましくは水素、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メチルカルボニル又はエチルカルボニルである。最も特に好ましくは、R7a、R7b及びR7cは水素を表す。
R7a、R7b及びR7cが、水素以外の本発明の意味、例えばC1-8-アルキルカルボニルを有する式Iの化合物は、R7a、R7b及びR7cが水素を意味する式Iの化合物の合成における中間生成物として特に好適である。
置換基Lは、好ましくはフッ素、塩素、臭素、C1-3-アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C1-3-アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ及びシアノの中から、特に好ましくはフッ素、塩素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ及びジフルオロメトキシの中から相互独立に選択される。置換基LがN原子に結合している場合、Lの好ましい意味は、C1-3-アルキル、ジフルオロメチル及びトリフルオロメチルから選択される。
一般式IAの特に好ましい化合物は、下記式IA.2a〜IA.2d、特に式IA.2cの中から選択される。





















【0034】
【化7】

【0035】
ここで、R1〜R5、X、Z、R7a、R7b、R7cは、前記定義どおりである。
最も特に好ましくは、基R1〜R5、X、Z、R7a、R7b、R7cが好ましいとして前述した意味を有する式I、特にIA又はIB、また式IAについては、特に式IA.2a、IA.2b、IA.2c及びIA.2d、特に式IA.2cの当該化合物(その互変異性体、立体異性体、その混合物及び塩、特にその生理学的に許容しうる塩を含む)である。特に、式中、
R1は、水素、フッ素、塩素、臭素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、C1-6-アルキルオキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ又はシアノを表し(このときシクロアルキル及びシクロアルケニル基中、1又は2個のメチレン単位は、相互独立にO又はCOと置き換わっていてもよく、かつアルキル、アルケニル及びアルキニル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよい)、特に好ましくは水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、エチル、イソプロピル、トリフルオロメチル、エチニル、メトキシ、シクロペンチルオキシ又はシアノを表し、かつ
R3は、水素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C1-4-アルキルオキシ、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキルオキシ又はヒドロキシを表し(このとき該シクロアルキル基中、1又は2個のメチレン単位は、相互独立にO又はCOと置き換わっていてもよく、かつアルキル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよい);特に好ましくはメチル、エチル、エチニル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、ジフルオロメトキシ、シクロペンチルオキシ、テトラヒドロ-フラン-3-イルオキシ又はヒドロキシを表し、かつ
Xは、第1実施態様により、水素、塩素、シアノ、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C1-4-アルキルカルボニル、ヒドロキシカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル又はC1-6-アルキルスルホニルを表し(このときアルキル基は、一フッ素化又は多フッ素化されていてもよく、或いはヒドロキシ又はシアノで一置換されていてもよい);特に好ましくは水素、塩素、シアノ、メチル、エチル、ヒドロキシメチル、プロパ-2-エニル、プロパ-2-イニル、メチルスルホニル、アミノカルボニル、メチルアミノカルボニル、ヒドロキシカルボニル又はメトキシカルボニルを表し;或いは
第2実施態様により、C1-5-アルキルオキシ、C2-5-アルケニルオキシ、C2-5-アルキニルオキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ、アリール-C1-3-アルキルオキシ又はアリールオキシを表し(このときアリールはフェニル又はナフチル基、特にフェニルを意味し、同一又は異なる置換基Lで一置換又は二置換されていてもよい);特に好ましくはエトキシ又はメトキシを表し、或いは
第3実施態様により、メルカプト、C1-5-アルキルスルファニル、C2-5-アルケニルスルファニル、C2-5-アルキニルスルファニル、C3-7-シクロアルキルスルファニル又はアリールスルファニルを表し(このときアリールはフェニル又はナフチル基、特にフェニルを意味し、同一又は異なる置換基Lで一置換又は二置換されていてもよい);特に好ましくはメルカプト、エチルスルファニル又はメチルスルファニルを表し、或いは
第4実施態様により、アミノ、C1-5-アルキルアミノ、N-(C1-5-アルキル)-N-(C1-3-アルキル)-アミノ、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、N-(C1-5-アルキル)-N-(C1-4-アルキルカルボニル)-アミノ又はアリールアミノを表し(このときアリールはフェニル又はナフチル基、特にフェニルを意味し、同一又は異なる置換基Lで一置換又は二置換されていてもよい);特に好ましくはアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ又はメチルカルボニルアミノを表し、或いは
第5実施態様により、フッ素を表し;かつ
R2は、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ又は1〜3個のフッ素原子で置換されているメチルを表し、特に好ましくは水素、フッ素、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ又はメチル、特に水素又はメチルを表し、かつ
R4は、水素又はフッ素、特に水素を表し、かつ
R5は、水素又はフッ素、特に水素を表し、かつ
Zは、酸素又はメチレン、特にメチレンを表し、かつ
R7a、R7b、R7cは、相互独立に水素、(C1-8-アルキル)オキシカルボニル、(C1-18-アルキル)カルボニル又はベンゾイル、特に水素又は(C1-6-アルキル)オキシカルボニル、(C1-8-アルキル)カルボニル、特に好ましくは水素、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、メチルカルボニル又はエチルカルボニル、最も特に好ましくは水素を表し、かつ
Lは、相互独立にフッ素、塩素、臭素、C1-3-アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C1-3-アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ及びシアノを意味し、かつ置換基LがN原子に結合している場合、Lは、C1-3-アルキル、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチルを表す。
【0036】
上記実施態様の変形によれば、他の好ましい化合物は、置換基R3を有するフェニル基が、水素以外の少なくとも1個の他の置換基R4及び/又はR5を有する当該化合物である。この変形によれば、他の好ましい化合物は、フッ素を意味する置換基R4を有する当該化合物である。
置換基R3を有するフェニル基は、好ましくは多くて二フッ素化されている。
【0037】
一般式Iの特に好ましい化合物は、以下の化合物の中から選択され:
(a) 1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-(4-O-メチル-β-D-グルコピラノース1-イル)-ベンゼン、
(b) 1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-(4-デソキシ-β-D-グルコピラノース1-イル)-ベンゼン、
(c) 1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-(4-O-エチル-β-D-グルコピラノース1-イル)-ベンゼン、
(d) 1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-(4-デソキシ-4-フルオロ-β-D-グルコピラノース1-イル)-ベンゼン、
(e) 1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-(4-デソキシ-4-フルオロ-β-D-ガラクトピラノース-1-イル)-ベンゼン、
その互変異性体、立体異性体及び混合物を含む。
【0038】
ここで、本発明の化合物を説明するために上で使用し、また後に使用するいくつかの用語についてさらに詳しく定義する。
用語ハロゲンは、F、Cl、Br及びIから成る群より選択される原子、特にF、Cl及びBrを意味する。
相互交換可能に使用される句“部分的又は完全にフッ素化されていてもよい”及び“一フッ素化又は多フッ素化されていてもよい”は、このように示される基がフッ素化されていないか又は1個以上のフッ素置換基を含むことを示し、かつこれは指定されている基の全フッ素化も包含する。
用語C1-n-アルキル(nは1〜18の値を有しうる)は、1〜n個のC原子を有する、飽和した分岐又は不分岐炭化水素基を意味する。該基の例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソ-ペンチル、ネオ-ペンチル、tert-ペンチル、n-ヘキシル、イソ-ヘキシル等が挙げられる。
用語メチレンは-CH2基を意味し、用語メチンはCH基を意味する。
用語“ブタジエニレン”は、基-CH=CH-CH=CH-を意味する。
用語C2-n-アルキニル(nは3〜6の値を有する)は、2〜n個のC原子とC≡C三重結合を有する分岐又は不分岐炭化水素基を意味する。該基の例として、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル、5-ヘキシニル、4-メチル-2-ペンチニル等が挙げられる。
【0039】
用語C1-n-アルコキシ又はC1-n-アルキルオキシは、C1-n-アルキル-O基(C1-n-アルキルは前記定義どおり)を意味する。該基の例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、イソ-ペントキシ、ネオ-ペントキシ、tert-ペントキシ、n-ヘキソキシ、イソ-ヘキソキシ等が挙げられる。
用語C1-n-アルキルカルボニルは、C1-n-アルキル-C(=O)基(C1-n-アルキルは前記定義どおり)を意味する。該基の例として、メチルカルボニル、エチルカルボニル、n-プロピルカルボニル、イソ-プロピルカルボニル、n-ブチルカルボニル、イソ-ブチルカルボニル、sec-ブチルカルボニル、tert-ブチルカルボニル、n-ペンチルカルボニル、イソ-ペンチルカルボニル、ネオ-ペンチルカルボニル、tert-ペンチルカルボニル、n-ヘキシルカルボニル、イソ-ヘキシルカルボニル等が挙げられる。
用語C3-n-シクロアルキルは、3〜n個のC原子を有する飽和した単炭素環式、二炭素環式、三炭素環式又はスピロ炭素環式基を意味する。該基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロドデシル、デカリニル、ビシクロ[3.2.1.]オクチル、スピロ[4.5]デシル、ノルピニル、ノルボニル、ノルカリル、アダマンチル等が挙げられる。好ましくは、用語C3-7-シクロアルキルとして飽和単環式基が挙げられる。
用語C3-n-シクロアルキルオキシは、C3-n-シクロアルキル-O基(C3-n-シクロアルキルは前記定義どおり)を意味する。該基の例として、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ等が挙げられる。
用語C5-n-シクロアルケニルは、前記定義どおりのC5-n-シクロアルキル基がさらに少なくとも1個の不飽和C=C-二重結合を含む基を意味する。
用語C3-n-シクロアルキルカルボニルは、C3-n-シクロアルキル-C(=O)基(C3-n-シクロアルキルは前記定義どおり)を意味する。
用語トリ-(C1-4-アルキル)シリルは、同一のアルキル基又は2若しくは3個の異なるアルキル基を有するシリル基を包含する。
用語ジ-(C1-3-アルキル)アミノは、同一のアルキル基又は2個の異なるアルキル基を有するシリル基を包含する。
【0040】
用語N-ヘテロシクロアルキルは、飽和炭素環式環(該環中にイミノ基を含み、かつさらに別のイミノ基又はO若しくはS原子を該環中に含んでよい)を意味する。該N-ヘテロシクロアルキル基の例は、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン及びモルフォリンである。
基、例えばX、R1又はR3中に存在するアルキル基が置換、例えばフッ素化されていてもよい場合、これは、基中の、直接アルキルを意味するアルキル基のみならず、例えばアルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシアルキル等のような、アルキル基を含む他の定義をも包含する。従って、例えば、アルコキシを意味するX、R1及びR3(該アルキル基が部分的又は全体的にフッ素化されていてもよい)には、ジフルオロメトキシ及びトリフルオロメトキシも含まれる。
上で使用し、また後で用いる、フェニル環中の置換基の結合を該フェニル環の中心に向かって示す様式は、特に断らない限り、この置換基が、該フェニル環のH原子を有するいずれのフリーな位置にも結合しうることを表す。
【0041】
本発明の化合物は、原則として既知の合成法を用いて得られる。好ましくは、本化合物は、詳細に後述する以下の本発明の方法で得られる。
好ましい合成法の以下の説明は、式IAで表されるβ-D-グルコピラノシル配置の最終生成物に関する。対応する、式IBで表されるβ-D-ガラクトピラノシル配置の化合物の合成は、当業者には類推によって明かだろう。そういうわけで、明瞭さのために、さらに説明及び合成ダイアグラムを提供することはしない。
本発明の式IIAのテトラヒドロピラン誘導体は、D-グルコノラクトン又はその誘導体から、有機金属化合物の形で所望のアリール基を付加することによって合成される(ダイアグラム1)。
ダイアグラム1:ピラノンへの有機金属化合物の付加







【0042】
【化8】

【0043】
好ましくは一般式IVのハロゲン-ベンジルベンゼン化合物(式中、Halは塩素、臭素又はヨウ素を表す)から出発して、ダイアグラム1の反応を行う。ハロ芳香族化合物IVから出発する場合、いわゆるハロゲン-金属交換又は該金属の炭素-ハロゲン結合への挿入によって、対応する有機金属化合物(V)を調製することができる。臭素-又はヨウ素-置換芳香族基によるハロゲン-金属交換は、例えば、有機リチウム化合物(例えばn-、sec-又はtert-ブチルリチウム)によって行われ、これによって対応するリチオ化芳香族基が得られる。適切なグリニャール化合物、例えば臭化イソプロピルマグネシウム又はジイソプロピルマグネシウムによるハロゲン-金属交換によって類似のマグネシウム化合物を調製することもできる。反応は、好ましくは0〜-100℃、特に好ましくは-30〜-80℃で、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン又は塩化メチレンのような不活性溶媒又はその混合物中で行われる。このようにして得たマグネシウム化合物又はリチウム化合物は、任意に、付加に適した他の有機金属化合物(V)を形成するため、例えば三塩化セシウムのような金属塩と金属交換反応させてよい。或いは、ハロ芳香族化合物IVの炭素-ハロゲン結合に金属を挿入することによって、有機金属化合物(V)を調製することもできる。これに好適な金属として、例えばリチウム又はマグネシウムが挙げられる。好ましくは不活性溶媒又はその混合物中、0〜-100℃、特に好ましくは-30〜-80℃の温度で、有機金属化合物Vの、式VIのグルコノラクトン又はその誘導体への付加を行って式IIAの化合物を得る。好適な溶媒として、例えば、ジエチルエーテル、トルエン、塩化メチレン、ヘキサン、テトラヒドロフラン又はその混合物が挙げられる。反応は、如何なる他のアジュバントも使用せずに、或いは非反応性カップリング相手の場合、例えばBF3*OEt2又はMe3SiClのようなルイス酸の存在下で行われる(M. Schlosser, Organometallics in Synthesis, John Wiley & Sons, Chichester/New York/Brisbane/Toronto/Singapore, 1994参照)。基R8a、R8b及びR8cの好ましい定義は、ベンジル、置換ベンジル、トリアルキルシリル、特に好ましくはトリメチルシリル、トリイソプロピルシリル、4-メトキシベンジル及びベンジルである。R8a、R8b及びR8cの中から選択される2個の隣接基が一緒に結合している場合、これら2個の基は、好ましくはベンジリデンアセタール、4-メトキシベンジリデンアセタール、イソプロピルアセタールの一部であり、或いは該ブテンの2位及び3位によって該ピラノース環の隣接酸素原子に結合している2,3-ジメトキシ-ブチレン基を意味する。基R'は、好ましくは水素又はC1-4-アルキル、特に好ましくは水素、メチル又はエチルを表す。グルコノラクトンVIへの有機金属化合物V又はその誘導体の付加後に基R'を導入する。このため、例えばメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、硫酸又は塩酸等の酸存在下、アルコール、例えばメタノール若しくはエタノール又は水で反応溶液を処理する。
【0044】
標準的有機化学変換又は少なくとも専門的文献(とりわけJ. March, Advanced Organic Reactions, Reactions, Mechanisms, and Structure, 4th Edition, John Wiley & Sons, Chichester/New York/Brisbane/Toronto/Singapore, 1992及びこの中で引用されている文献)から知られている有機化学の方法を用いて、式IVのハロ芳香族及び式VIのピラノース誘導体の合成を行うことができる。
グルコース誘導体を合成するため、グルコース誘導体自体とは別に、例えば、4位で交換可能な基XAGにて置換されているガラクトース誘導体を使用することが好適である(ダイアグラム2)。この新しい基Xは、好ましくはSN2又はSN2-様反応で導入される。適宜のガラクトース誘導体について、また全体としてアリール基を有する構造(アグリコンとしても知られる)についても、この交換反応を行うことができる。この反応におけるXAGは、例えばトリフルオロメチルスルホニル、トシル、メシル、ヨウ素又は臭素のような脱離基を意味し、C、N、O又はS求核試薬と交換され、この求核試薬は、好ましくは立体化学の反転を伴ってアニオンとして導入される。しかし、例えばMitsunobu反応におけるように、求核試薬の存在下で脱離基がin situ形成されることもある。求核置換に加え、例えば、水素を導入するためラジカル置換を使用することも可能であり(例えば、Barton-McCombie反応)、或いは例えばパラジウム又はニッケル触媒等による遷移金属-触媒置換も可能である。
ダイアグラム2:ガラクトース誘導体から出発する、基Xの導入
【0045】
【化9】

【0046】
一般式IAの化合物を調製するため、本発明の方法(a)では、下記一般式IIA:
【0047】
【化10】

【0048】
(式中、X、Z及びR'、R1〜R5は前記定義どおりであり、かつ
R8a、R8b及びR8cは前記定義どおりで、例えば、相互独立にアセチル、ピバロイル、ベンゾイル、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、トリアルキルシリル、ベンジル又は置換ベンジルを意味する)の化合物を、酸の存在下で還元剤と反応させる。
この反応に好適な還元剤として、例えば、トリエチル、トリプロピル、トリイソプロピル又はジフェニルシランのようなシラン、水酸化ナトリウム、ナトリウムシアノボロヒドリド、水素化ホウ素亜鉛、ボラン、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムジイソブチル又はヨウ化サマリウムが挙げられる。還元は、好ましくは適切な酸、例えば塩酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、三フッ化ホウ素エーテラート、トリメチルシリルトリフラート、四塩化チタン、四塩化スズ、スカンジウムトリフラート又はヨウ化亜鉛などの存在下で行われる。還元剤及び酸によって、例えば塩化メチレン、クロロホルム、アセトニトリル、トルエン、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エタノール、水又はその混合物などの溶媒中、-60℃〜120℃の温度で反応を行うことができる。試薬の特に好適な組合せは、例えばトリエチルシランと三フッ化ホウ素エーテラートから成り、これは便宜上アセトニトリル又はジクロロメタン中、-60℃〜60℃の温度で使用される。さらに、上記変換のため、例えば木炭上パラジウム又はラネーニッケル等の遷移金属触媒の存在下、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、水又は酢酸等の溶媒中で水素を使用することができる。
或いは、本発明の方法(b)で一般式IAの化合物を調製するため、下記一般式IIIA:
【0049】
【化11】

【0050】
(式中、X、Z及びR1〜R5は前記定義どおりであり、かつ
R8a〜R8cは、前記定義した保護基の1つ、例えば、アシル、アリールメチル、アセタール、ケタール又はシリル基を意味する)の化合物において、該保護基を切断する。
用いたいずれのアシル、アセタール又はケタール保護基も、例えば、水性溶媒中(例えば水、イソプロパノール/水、酢酸/水、テトラヒドロフラン/水又はジオキサン/水中)、酸(例えばトリフルオロ酢酸、塩酸又は硫酸)の存在下、或いはアシル基の場合は、アルカリ金属塩基(例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム)の存在下、0〜120℃の温度、好ましくは10〜100℃の温度で加水分解によって切断される。トリフルオロアセチル基は、好ましくは任意に酢酸のような溶媒の存在下、50〜120℃の温度で塩酸で処理して、或いは任意にテトラヒドロフラン又はメタノールのような溶媒の存在下、0〜50℃の温度で水酸化ナトリウム溶液で処理して切断される。
【0051】
トリメチルシリル基は、例えば、水、水性溶媒混合物又は低級アルコール(例えばメタノール又はエタノール)中、塩基(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム又はナトリウムメトキシド)の存在下で切断される。水性又はアルコール性溶媒中、例えば塩酸、トリフルオロ酢酸又は酢酸のような酸も好適である。例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジクロロメタンのような有機溶媒中で切断するためには、例えばフッ化テトラブチルアンモニウムのようなフッ化物試薬も好適である。
ベンジル、メトキシベンジル又はベンジルオキシカルボニル基は、有利には、例えばパラジウム/木炭のような触媒の存在下、メタノール、エタノール、酢酸エチル又は氷酢酸のような溶媒中、任意に、塩酸のような酸を添加して、0〜100℃の温度、好ましくは20〜60℃の周囲温度及び1〜7バール、好ましくは3〜5バールの水素圧下で水素によって水素化分解によって切断される。しかし、2,4-ジメトキシベンジル基は、好ましくはアニソールの存在下、トリフルオロ酢酸中で切断される。
【0052】
tert-ブチル又はtert-ブチルオキシカルボニル基は、好ましくは酸、例えばトリフルオロ酢酸若しくは塩酸との処理、又はヨードトリメチルシランとの処理によって切断され、任意に、塩化メチレン、ジオキサン、メタノール又はジエチルエーテルのような溶媒を用いてもよい。
前述した反応において、例えばエチニル、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ又はイミノ基のような、存在するいずれの反応性基も、例えば上述したように、反応中、反応後に再び切断される通常の基で保護することができる。
例えば、エチニル基用の保護基はトリメチルシリル又はトリイソプロピルシリル基でよい。
例えば、ヒドロキシ基用の保護基はトリメチルシリル、アセチル、トリチル、ベンジル又はテトラヒドロピラニル基でよい。
アミノ、アルキルアミノ又はイミノ基用の保護基の例として、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、エトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ベンジル、メトキシベンジル又は2,4-ジメトキシベンジル基が挙げられる。
さらに、このようにして得られた一般式Iの化合物を、ヒドロキシ基のところで選択的に誘導体化することができ、或いはヒドロキシ基自体を置換してよい。
さらに、上述したように、得られた一般式Iの化合物をそのエナンチオマー及び/又はジアステレオマーに分割することができる。従って、例えば、シス/トランス混合物をそのシス異性体とトランス異性体に分割することができ、かつ少なくとも1つの光学活性な炭素原子を有する化合物は、そのエナンチオマーに分割することができる。
従って、例えば、シス/トランス混合物はクロマトグラフィーでそのシス異性体とトランス異性体に分割することができ、ラセミ体として存在する、得られた一般式Iの化合物は、それ自体既知の方法(Allinger N. L. and Eliel E. L. in "Topics in Stereochemistry", Vol. 6, Wiley Interscience, 1971参照)でその光学対掌体に分割することができ、また少なくとも2個の不斉炭素原子を有する一般式Iの化合物は、それ自体既知の方法、例えばクロマトグラフィー及び/又は分別結晶によって、その物理的-化学的差異に基づいてそのジアステレオマーに分割することができ、かつ、これら化合物がラセミ形態で得られた場合、それらを引き続き上述したようにエナンチオマーに分割することができる。
【0053】
エナンチオマーは、好ましくはキラル相上カラム分離又は光学活性溶媒からの再結晶によって、或いは該ラセミ化合物と塩又は誘導体(例えばエステル若しくはアミド)を形成する光学活性物質、特に酸及びその活性化誘導体又はアルコールと反応させ、かつこのようにして得た塩又は誘導体のジアステレオマー混合物を例えばその溶解度の差異に基づいて分離することによって分離される(同時に、その純粋なジアステレオマー塩又は誘導体から適切な薬剤の作用でフリーな対掌体が遊離しうる)。常用の光学活性酸は、例えば、酒石酸若しくはジベンゾイル酒石酸、ジ-o-トルイル酒石酸、リンゴ酸、マンデル酸、樟脳スルホン酸、グルタミン酸、アスパラギン又はキナ酸のD-型及びとL-型である。光学活性アルコールは、例えば、(+)又は(-)-メントールでよく、アミド中の光学活性アシル基は、例えば、(+)-又は(-)-メチルオキシカルボニルでよい。
さらに、得られた式Iの化合物をその塩、特に医薬用途のため、無機又は有機酸との生理学的に許容しうる塩に変換することができる。この目的で使用しうる酸として、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸又はマレイン酸が挙げられる。
【0054】
さらに、得られた化合物を、アミノ酸、特にプロリン又はフェニルアラニンのようなα-アミノ酸との例えば1:1又は1:2混合物に変換することができ、高い結晶性のような特に好ましい特性を持たせることができる。
出発化合物として用いる一般式II及びIIIの化合物は部分的に文献公知であり、或いは文献公知の方法により得られ、実施例で述べる方法と同様に(任意に保護基をさらに含めてよい)得ることもできる。
本発明の化合物は、有利には、以下の実施例で述べる方法によっても得られ、当業者にとって文献公知の方法、例えば、特にWO 98/31697、WO 01/27128、WO 02/083066、WO 03/099836、WO 2004/063209及びWO 2004/052902に記載されている方法と併用してもよい。
既に前述したように、本発明の一般式Iの化合物及びその生理学的に許容しうる塩は、有益な薬理学的特性、特にナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLTに対する阻害効果を有する。SGLT2の阻害、好ましくはSGLT1に比較してSGLT2に対する阻害効果の高い選択性に関しては、式IAの化合物が好ましい。
【0055】
これら新規化合物の生物学的特性は以下のように調査することができる。
SGLT-2活性を阻害する本物質の能力は、発現ベクターpZeoSV(Invitrogen、EMBL 受入番号L36849)を安定的に形質移入されたCHO-K1細胞系(ATCC No. CCL 61)又は二者択一的にHEK293細胞系(ATCC No. CRL-1573)がヒトナトリウムグルコース共輸送体2(Genbank Acc. No.NM_003041)のコード配列のためのcDNA(CHO-hSGLT2又はHEK-hSGLT2)を含む試験装備で実証しうる。これら細胞系は、ナトリウム依存様式で、14C-標識されたα-メチル-グルコピラノシド(14C-AMG、Amersham)を細胞の内部に輸送する。
以下のようにSGLT-2アッセイを行う。
10%の胎児ウシ血清と250μg/mlのゼオシン(Invitrogen)を有するHam´s F12培地(BioWhittaker)でCHO-hSGLT2細胞を培養し、10%の胎児ウシ血清と250μg/mlのゼオシン(Invitrogen)を有するDMEM培地でHEK293-hSGLT2細胞を培養する。
2回PBSで洗浄し、引き続きトリプシン/EDTAで処理することによって細胞を培養フラスコから分離する。細胞培養基の添加後、細胞を遠心分離機にかけ、培養基に再懸濁させ、Casy細胞カウンターで数える。ポリ-D-リジンで被覆した白色の96-ウェルプレートに1ウェル当たり40,000個の細胞を接種して37℃、5% CO2で一晩インキュベートする。250μlのアッセイ緩衝液(Hanks Balanced Salt Solution,137mM NaCl,5.4mM KCl,2.8mM CaCl2,1.2mM MgSO4及び10mM HEPES(pH7.4),50μg/mlのゲンタマイシン)で2回細胞を洗浄する。250μlのアッセイ緩衝液と5μlの試験化合物を各ウェルに加え、インキュベーター内でプレートをさらに15分インキュベートする。負対照として5μlの10% DMSOを使用する。5μlの14C-AMG(0.05μCi)を各ウェルに添加して反応を開始させる。37℃、5% CO2での2時間のインキュベーション後、細胞を再び250μlのPBS(20℃)で洗浄してから25μlの0.1N NaOH(37℃で5分)を添加して可溶化する。各ウェルに200μlのMicroScint20(Packard)を添加し、37℃でさらに20分間インキュベーションを続ける。このインキュベーション後、吸収された14C-AMGの放射能をTopcount(Packard)で14Cシンチレーションプログラムを用いて測定する。
【0056】
ヒトSGLT1について選択性を決定するため、hSGLT2 cDNAに代えてhSGLT1用cDNA(Genbank Acc. No. NM000343)をCHO-K1又はHEK293細胞内で発現させる同様の試験を設定する。
或いは、物質の生物学的試験のためにhSGLT1とhSGLT2の細胞膜ポテンシャルの測定を用いてもよい。このため以前に述べた細胞モデルを使用しうる。この試験では、ポリ-D-リジンで被覆した透明ベースを有する黒色の384-ウェルプレートの各ウェルに10,000個の細胞を培養基に接種し、37℃、5% CO2で16時間インキュベートする。細胞をグルコースの無いHBSS緩衝液(12.67mol/l CaCl2,4.93mmol/l MgCl2,4.07mmol/l MgSO4,4.41mmol/l KH2PO4;pH 7.4)で2回洗浄し、20μlのHBSSで覆う。20μlの充填緩衝液(Membrane Potential Assay Kit Explorer R8126,Molecular Devices GmbH,Ismaning)と20μlの被験物質を適切な濃度で添加後、37℃、5% CO2でさらに30分間インキュベーションを続ける。測定は、Fluorescent Imaging Plate Reader(Molecular Devices GmbH、Ismaning)で485nmの励起波長にて行い、20μlの刺激性緩衝液(140mM NaCl及び120mM グルコース)を添加して開始する。Na+のグルコース-誘導流入によって起こる細胞の脱分極を測定することができ、蛍光の変化として数量化できる。
本発明の一般式Iの化合物は、例えば、1000nM未満、特に200nM未満、特に好ましくは50nM未満のEC50値を有しうる。
【0057】
本発明の一般式Iの化合物及びその対応する医薬的に許容しうる塩は、SGLT活性を阻害するその能力に鑑み、理論上、SGLT活性、特にSGLT-2活性の阻害によって影響を受けうる当該状態又は疾患の治療及び/又は予防処置に適する。従って、本発明の化合物は、疾患、特に代謝障害、又は1型及び2型糖尿病、糖尿病合併症(例えば、網膜症、腎症又は神経障害、糖尿病性足病変、潰瘍、マクロ血管障害)、代謝性アシドーシス若しくはケトーシス、反応性低血糖症、高インスリン血症、グルコース代謝障害、インスリン耐性、代謝症候群、種々起源の異脂肪血症、アテローム性動脈硬化症及び関連疾患、肥満症、高血圧、慢性心不全、浮腫及び高尿酸血症のような状態の予防又は治療に適する。本物質は、例えば膵臓β細胞のアポトーシス又は壊死のようなβ-細胞変性の予防にも好適である。本物質は、膵臓細胞の機能の改善又は回復のため、また膵臓β細胞の数と大きさを増やすためにも好適である。本発明の化合物を利尿薬又は抗高血圧薬としても使用でき、また急性腎不全の予防及び治療に好適である。
特に、本発明の化合物は、その生理学的に許容しうる塩を含めて糖尿病、特に1型及び2型糖尿病、及び/又は糖尿病合併症の予防又は治療に好適である。
【0058】
治療又は予防のために対応する活性を達成するために必要な用量は、通常、投与する予定の化合物、患者、病気又は状態の性質と重大さ及び投与の方法と頻度によって左右され、患者の医師が決定する。便宜上、静脈内経路で1〜100mg、好ましくは1〜30mgであり、経口で1〜1000mg、好ましくは1〜100mgであり、各場合に1日1〜4回投与される。この目的では、本発明により調製される式Iの化合物(任意に他の活性物質と併用してもよい)を1種以上の不活性な通常の担体及び/又は希釈剤、例えば、コーンスターチ、ラクトース、グルコース、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース又は脂肪物質(例えば硬質脂肪)又はこれらの適宜の混合物と共に処方して、通常のガレヌス製剤、例えば、プレーン錠剤若しくはコーティング錠剤、カプセル剤、散剤、液剤、懸濁剤又は座剤を生成しうる。
【0059】
本発明の化合物を特に上述した疾患及び状態の治療及び/又は予防のため、他の活性物質と併用することもできる。このような併用に好適な他の活性物質として、特に、言及した適応症の1つについて本発明のSGLTアンタゴニストの治療効果を増強し、及び/又は本発明のSGLTアンタゴニストの用量を減らせる活性物質が挙げられる。このような併用に好適な治療薬として、例えば、メトホルミン、スルホニルウレア(例えばグリベンクラミド、トルブタミド、グリメピリド(glimepiride))、ナテグリニド、レパグリニド、チアゾリジンジオン(例えば、ロシグリタゾン(rosiglitazone)、ピオグリタゾン(pioglitazone))、PPAR-γ-アゴニスト(例えばGI 262570)及びアンタゴニスト、PPAR-γ/αモジュレーター(例えばKRP 297)、α-グルコシダーゼインヒビター(例えばアカルボース、ボグリボース(voglibose))、DPPIVインヒビター(例えばLAF237、MK-431)、α2-アンタゴニスト、インスリン及びインスリン類似体、GLP-1及びGLP-1類似体(例えばエキセンディン-4(exendin-4))又はアミリンのような抗糖尿病薬が挙げられる。併用相手として好適な他の活性物質として、タンパク質チロシンホスファターゼ1のインヒビター、肝臓内における調節が解除されたグルコース生成に影響を及ぼす物質、例えばグルコース-6-ホスファターゼ、又はフルクトース-1,6-ビスホスファターゼのインヒビター、グリコーゲンホスホリラーゼ、グリコーゲン受容体アンタゴニスト、及びホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ、グリコーゲンシンターゼキナーゼ又はピルビン酸デヒドロキナーゼのインヒビター、脂質低減薬、例えばHMG-CoA-レダクターゼインヒビター(例えばシンバスタチン(simvastatin)、アトルバスタチン(atorvastatin))、フィブラート系薬剤(例えばベザフィブラート、フェノフィブラート)、ニコチン酸及びその誘導体、PPAR-αアゴニスト、PPAR-δアゴニスト、ACATインヒビター(例えばアバシミベ(avasimibe))又はコレステロール吸収インヒビター、例えばエゼチミベ、胆汁酸結合物質、例えばコレスチラミン、回腸の胆汁酸輸送のインヒビター、HDL-上昇化合物、例えばCETPインヒビター若しくはABC1レギュレーター、又は肥満症の治療用活性物質、例えばシブトラミン若しくはテトラヒドロリポスタチン、デクスフェンフルラミン(dexfenfluramine)、アキソキン(axokine)、カンナビノイド1受容体のアンタゴニスト、MCH-1受容体アンタゴニスト、MC4受容体アゴニスト、NPY5若しくはNPY2アンタゴニスト又はβ3-アゴニスト(例えばSB-418790又はAD-9677)及び5HT2c受容体のアゴニストが挙げられる。
【0060】
さらに、高血圧、慢性心不全又はアテローム性動脈硬化症に影響を与える薬物、例えば、A-IIアンタゴニスト若しくはACEインヒビター、ECEインヒビター、利尿薬、β-ブロッカー、Ca-アンタゴニスト、中枢作用性抗高血圧薬、α-2-アドレナリン受容体のアンタゴニスト、中性エンドペプチダーゼのインヒビター、血小板凝集インヒビター等又はこれらの組合せとの併用が好適である。アンギオテンシンII受容体アンタゴニストの例は、カンデサルタンシレキセチル、カリウムロサルタン、エプロサルタンメシラート、バルサルタン、テルミサルタン、イルベルサルタン、EXP-3174、L-158809、EXP-3312、オルメサルタン(olmesartan)、メドキソミル(medoxomil)、タソサルタン(tasosartan)、KT-3-671、GA-0113、RU-64276、EMD-90423、BR-9701等である。アンギオテンシンII受容体アンタゴニストは、好ましくは高血圧及び糖尿病合併症の治療又は予防のために使用され、しばしばヒドロクロロチアジドのような利尿薬と併用される。
【0061】
尿酸合成インヒビター又は尿酸排泄薬との併用は通風の治療又は予防に好適である。
糖尿病の合併症の治療又は予防のためには、GABA-受容体アンタゴニスト、Na-チャンネルブロッカー、トピラメート、タンパク質-キナーゼCインヒビター、終末糖化産物インヒビター又はアルドースレダクターゼインヒビターと併用することができる。
上述した併用相手の用量は、通常、標準的に推奨される最低用量の1/5から標準的に推奨される用量の1/1までである。
従って、別の局面では、この発明は、本発明の化合物又は該化合物の生理学的に許容しうる塩の、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLTを阻害することによって影響を受けうる疾患又は状態の治療又は予防に好適な医薬組成物を調製するため、併用相手として少なくとも1種の上記活性物質と組み合わせた使用に関する。前記疾患又は状態は、好ましくは代謝疾患、特に上述した疾患又は状態の1つ、最も特に糖尿病又は糖尿病合併症である。
本発明の化合物、又は生理学的に許容しうるその塩の、別の活性物質と組み合わせた使用は、同時に行ってよく、或いは時間をずらしてもよいが、特に短い時間間隔内で併用する。同時に投与する場合、2種の活性物質を一緒に患者に与え;時間をずらして投与する場合は、12時間以下、特に6時間以下の時間内で2種の活性物質を患者に与える。
結果として、別の局面では、この発明は、本発明の化合物又は該化合物の生理学的に許容しうる塩と、併用相手として少なくとも1種の上記活性物質とを含み、任意に、1種以上の不活性な担体及び/又は希釈剤を一緒に含んでよい医薬組成物に関する。
従って、例えば、本発明の医薬組成物は、本発明の式Iの化合物又は該化合物の生理学的に許容しうる塩と、少なくとも1種のアンギオテンシンII受容体アンタゴニストとの組合せを含み、任意に、1種以上の不活性な担体及び/又は希釈剤を一緒に含んでよい。
本発明の化合物、又はその生理学的に許容しうる塩、及びそれらと併用する予定の追加の活性物質が両方とも一製剤、例えば、錠剤又はカプセル剤中に存在してよく、或いは2つの同一又は異なる製剤中に別々に、例えばいわゆるキットの一部として存在してよい。
前記本文及び以下の本文において、ヒドロキシル基のH原子は、構造式中のあらゆる場合に明瞭に示されているわけではない。以下の実施例は、本発明を説明することを意図しており、本発明を限定するものではない。
【0062】
〔出発化合物の調製〕
〔実施例I〕
【0063】
【化12】

【0064】
(5-ブロモ-2-クロロ-フェニル)-(4-メトキシ-フェニル)-メタノン
500mlのジクロロメタン中の100gの5-ブロモ-2-クロロ-安息香酸の混合物に38.3mlの塩化オキサリルと0.8mlのジメチルホルムアミドを加える。反応混合物を14時間撹拌してからろ過し、回転式エバポレーターですべての揮発性成分から分離する。残留物を150mlのジクロロメタンに溶かし、この溶液を-5℃に冷却し、46.5gのアニソールを加える。次に、温度が5℃を超えないように51.5gの三塩化アルミニウムをバッチ形式で加える。この溶液を1〜5℃でさらに1時間撹拌してから氷上に注ぐ。有機相を分別し、水相をジクロロメタンでさらに3回抽出する。混ぜ合わせた有機相を1Mの塩酸水溶液、1Mの水酸化ナトリウム水溶液で2回及び塩化ナトリウム飽和水溶液で洗浄する。次に、有機相を乾燥させ、溶媒を除去して残留物をエタノールから再結晶させる。
収量:86.3g(理論の64%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 325/327/329 (臭素+塩素) [M+H]+
【0065】
〔実施例II〕
【0066】
【化13】

【0067】
4-ブロモ-1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-ベンゼン
75mlのジクロロメタンと150mlのアセトニトリル中の86.2gの(5-ブロモ-2-クロロ-フェニル)-(4-メトキシ-フェニル)-メタノンと101.5mlのトリエチルシランの溶液を10℃に冷却する。次に、温度が20℃を超えないように50.8mlの三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートを撹拌しながら加える。溶液を周囲温度で14時間撹拌後、さらに9mlのトリエチルシランと4.4mlの三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートを加える。溶液を45〜50℃でさらに3時間撹拌してから周囲温度に冷ます。70mlの水中の28gの水酸化カリウムの溶液を加え、混合物を2時間撹拌する。次に、有機相を分別し、水相をジイソプロピルエーテルでさらに3回抽出する。混ぜ合わせた有機相を2Mの水酸化カリウム溶液で2回及び塩化ナトリウム水溶液で1回洗浄してから硫酸ナトリウム上で乾燥させる。溶媒を除去した後、残留物をエタノール中で撹拌し、再び分別して60℃で乾燥させる。
収量:50.0g(理論の61%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 310/312/314 (臭素+塩素) [M+H]+
【0068】
〔実施例III〕
【0069】
【化14】

【0070】
2,3,4,6-テトラキス-O-(トリメチルシリル)-D-グルコピラノン
200mlのテトラヒドロフラン中の20gのD-グルコノ-1,5-ラクトンと98.5mlのN-メチルモルフォリンの溶液を-5℃に冷却する。次に、温度が5℃を超えないように、85mlの塩化トリメチルシリルを滴加する。溶液を周囲温度で1時間撹拌し、35℃で5時間撹拌し、周囲温度でさらに14時間撹拌する。300mlのトルエンの添加後、氷浴で溶液を冷却し、温度が10℃を超えないように、500mlの水を加える。有機相を分別し、リン酸二水素ナトリウム水溶液、水及び塩化ナトリウム飽和水溶液で1回洗浄する。溶媒を除去し、残留物を250mlのトルエンに取り、溶媒を再び完全に除去する。
収量:52.5g(約90%の純度)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 467 [M+H]+
【0071】
〔実施例IV〕
【0072】
【化15】

【0073】
1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-メトキシ-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-メトキシベンジル)-ベンゼン
14mlの乾燥ジエチルエーテル中の1.0gの4-ブロモ-1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-ベンゼンの溶液をアルゴン下で-80℃に冷却する。この冷却溶液に、ペンテン中のtert-ブチルリチウムの1.7M溶液4.0mlをゆっくり滴加し、該溶液を-80℃で30分間撹拌する。この溶液を、ドライアイスで冷却した移動針を介して、-80℃に冷却した10mlのジエチルエーテル中の1.61gの2,3,4,6-テトラキス-O-(トリメチルシリル)-D-グルコピラノンの溶液に滴加する。結果の溶液を-78℃で4時間撹拌する。次に、12mlのメタノール中の0.4mlのメタンスルホン酸の溶液を加え、該溶液を周囲温度で16時間撹拌する。この溶液をエチルジイソプロピルアミンで中和してエバポレートする。残留物をトルエンに取り、再びエバポレートする。次に、残留物を8mlのトルエンに溶かし、この溶液に3.4mlのエチルジイソプロピルアミンを加える。溶液を氷浴で冷却してから1.4mlの無水酢酸と0.04gの4-ジメチルアミノピリジンを加える。溶液を周囲温度で6時間撹拌してから炭酸水素ナトリウム水溶液と混ぜ合わせる。有機相を分別し、水相を酢酸エチルで抽出する。混ぜ合わせた有機抽出液を硫酸ナトリウム上乾燥及び溶媒の除去後、残留物をシリカゲル上でクロマトグラフ処理する(シクロヘキサン/酢酸エチル 6:1→1:1)。
収量:1.55g(理論の85%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 610/612 (塩素) [M+NH4]+
【0074】
〔実施例V〕
【0075】
【化16】

【0076】
1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-メトキシ-ベンジル)-ベンゼン
20mlのアセトニトリルと44μlの水中の1.44gの1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-1-メトキシ-D-グルコピラノシル)-2-(4-メトキシベンジル)-ベンゼンの溶液を氷浴で冷却する。次に1.2mlのトリエチルシランと0.26mlの三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートを加える。溶液を氷浴内で1時間撹拌してから周囲温度で撹拌する。3時間後と5時間後に、さらに0.72mlのトリエチルシランと0.15mlの三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートを加える。周囲温度でさらに12時間撹拌後、炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、混合物を0.5時間撹拌してから酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮し、シリカゲル上でクロマトグラフ処理する(シクロヘキサン/酢酸エチル 8:1→1:1)。生成物が未だ異性体的に純粋でない場合、該異性体の、エタノール中の再結晶によって生成物を精製することができる。
収量:1.12g(理論の82%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 580/582 (塩素) [M+NH4]+
【0077】
〔実施例VI〕
【0078】
【化17】

【0079】
1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-(1-β-D-グルコピラノシル)-ベンゼン
20mlのメタノール中の1.00gの1-クロロ-4-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-2-(4-メトキシ-ベンジル)-ベンゼンの溶液に2mlの4M水酸化カリウム溶液を加える。溶液を周囲温度で8時間撹拌してから1Mの塩酸で中和する。溶液からメタノールを除去し、塩化ナトリウム水溶液と混ぜ合わせて酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を除去する。残留物をシリカゲルに通して精製する(ジクロロメタン/メタノール 1:0→3:1)。
収量:0.64g(理論の91%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 412/414 (塩素) [M+ NH4]+
【0080】
〔実施例VII〕
【0081】
【化18】

【0082】
1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-[2,3-O-(2,3-ジメトキシ-ブタ-2,3-ジイル)-β-D-グルコピラノース-1-イル]-ベンゼン
60℃に加熱した、14mlのメタノール中の1.0gの1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-(1-β-D-グルコピラノシル)-ベンゼンの溶液に0.49mlのブタン-2,3-ジオン、1.2mlのオルトギ酸メチル及び0.64mlの三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートを連続的に添加する。溶液を60℃で4時間撹拌してから周囲温度に冷ます。周囲温度で3mlのトリエチルアミンを加え、溶液をさらに0.5時間撹拌する。次に、溶液をエバポレートし、残留物をシリカゲルに通して精製する(シクロヘキサン/酢酸エチル 4:1→1:1)。
収量:0.70g(理論の54%)、さらに3,4-保護されたグルコース誘導体(0.54g,理論の42%)を単離する。
質量スペクトル(ESI+):m/z = 526/528 (塩素) [M+NH4]+
【0083】
〔実施例VIII〕
【0084】
【化19】

【0085】
1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-[2,3-O-(2,3-ジメトキシ-ブタ-2,3-ジイル)-6-O-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)-β-D-グルコピラノース-1-イル]-ベンゼン
15mlのジクロロメタン中の2.08gの1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-[2,3-O-(2,3-ジメトキシ-ブタ-2,3-ジイル)-β-D-グルコピラノース-1-イル]-ベンゼンと0.8mlのエチルジイソプロピルアミンの溶液に0.72mlの2-トリメチルシリルエトキシメチルクロリドを加える。周囲温度で8時間撹拌後、さらに0.3mlのエチルジイソプロピルアミンと0.2mlの2-トリメチルシリルエトキシメチルクロリドを加え、周囲温度でさらに5時間混合物を撹拌する。次に、反応溶液を水と混ぜ合わせてジクロロメタンで抽出する。混ぜ合わせた有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を除去する。残留物をシリカゲル上でクロマトグラフ処理する(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→3:2)。
収量:1.50g(理論の58%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 656/658 (塩素) [M+NH4]+
【0086】
〔実施例IX〕
【0087】
【化20】

【0088】
1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-[2,3-O-(2,3-ジメトキシ-ブタ-2,3-ジイル)-4-O-(イミダゾール-1-イル-チオカルボニル)-6-O-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)-β-D-グルコピラノース-1-イル]-ベンゼン
5mlのトルエン中の0.3gの1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-[2,3-O-(2,3-ジメトキシ-ブタ-2,3-ジイル)-6-O-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)-β-D-グルコピラノース-1-イル]-ベンゼンと0.21gのチオカルボニルジイミダゾールの溶液を90℃で5時間撹拌する。次に、反応溶液を水と混ぜ合わせて酢酸エチルで抽出する。混ぜ合わせた有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を除去する。残留物をシリカゲル上でクロマトグラフ処理する(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→1:1)。
収量:0.22g(理論の63%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 749/751 (塩素) [M+H]+
【0089】
〔実施例X〕
【0090】
【化21】

【0091】
1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-[2,3-O-(2,3-ジメトキシ-ブタ-2,3-ジイル)-4-デソキシ-6-O-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)-β-D-グルコピラノース-1-イル]-ベンゼン
1.4mlのトリス(トリメチルシリル)シランと3mlのトルエン中の0.22gの1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-[2,3-O-(2,3-ジメトキシ-ブタ-2,3-ジイル)-4-O-(イミダゾール-1-イル-チオカルボニル)-6-O-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)-β-D-グルコピラノース-1-イル]-ベンゼンの溶液にアルゴンを流す。次に、17mgのアゾビスイソブチロニトリルを加え、溶液を120℃で一晩撹拌する。周囲温度に冷却後、メタノールを加えて溶液をエバポレートする。残留物に1Mの塩酸を添加してから酢酸エチルで抽出する。混ぜ合わせた有機抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を除去する、残留物をシリカゲル上でクロマトグラフ処理する(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→3:2)。
収量:0.15g(理論の80%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 640/642 (塩素) [M+H]+
【0092】
〔実施例XI〕
【0093】
【化22】

【0094】
1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-[2,3-O-(2,3-ジメトキシ-ブタ-2,3-ジイル)-4-デソキシ-4-フルオロ-6-O-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)-β-D-ガラクトピラノース-1-イル]-ベンゼン
-30℃に冷却した2mlのジクロロメタン中の0.2gの1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-[2,3-O-(2,3-ジメトキシ-ブタ-2,3-ジイル)-6-O-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)-β-D-グルコピラノース-1-イル]-ベンゼンの溶液に0.3mlの[ビス(2-メトキシエチル)アミノ]三フッ化イオウを加える。溶液をゆっくり周囲温度に戻してから周囲温度でさらに16時間撹拌する。次に、溶液を氷浴で冷却し、ジクロロメタンで希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液と混ぜ合わせる。有機相を分別し、有機相をジクロロメタンで抽出する。混ぜ合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を除去する。残留物をシリカゲル上でクロマトグラフ処理する(シクロヘキサン/酢酸エチル 1:0→2:3)。
収量:40mg(理論の20%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 658/660 (塩素) [M+NH4]+
【0095】
〔最終化合物の調製〕
〔実施例1〕




【0096】
【化23】

【0097】
1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-(4-O-メチル-β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン
2.5mlのジメチルホルミアミド中の0.35gの1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-[2,3-O-(2,3-ジメトキシ-ブタ-2,3-ジイル)-β-D-グルコピラノース-1-イル]-ベンゼンの溶液に0.14gの酸化銀(I)と70μlのヨウ化メチルを加える。混合物を周囲温度で48時間撹拌してから酢酸エチルで希釈する。次に、混合物をCeliteに通してろ過し、水を加えて酢酸エチルで抽出する。硫酸ナトリウム上で乾燥後、溶媒を除去し、残留物をシリカゲル上でクロマトグラフ処理する(シクロヘキサン/酢酸エチル 5:1→1:1)。このようにして得られる1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-[2,3-O-(2,3-ジメトキシ-ブタ-2,3-ジイル)-4-O-メチル-β-D-グルコピラノース-1-イル]-ベンゼンを2.5mlのトリフルオロ酢酸/水の混合物(80:20)に取って、該溶液を周囲温度で1時間撹拌する。溶液を水で希釈して4Mの水酸化カリウム溶液でアルカリ性にする。この水溶液を酢酸エチルで抽出し、混ぜ合わせた抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を除去する。残留物をシリカゲル上でクロマトグラフ処理する(ジクロロメタン/メタノール 1:0→8:1)。
収量:0.12g(理論の43%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 426/428 (塩素) [M+NH4]+
【0098】
〔実施例2〕
【0099】
【化24】

【0100】
1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-(4-O-メチル-β-D-ガラクトピラノース-1-イル)-ベンゼン
前記実施例と同様に得られる1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-[2,3-O-(2,3-ジメトキシ-ブタ-2,3-ジイル)-β-D-ガラクトピラノース-1-イル]-ベンゼンから出発する場合、例えばメトキシメチル又は2-トリメチルシリルエトキシメチルのような酸不安定性の保護基で6-OH官能を保護後、実施例1に記載の反応に従って1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-(4-O-メチル-β-D-ガラクトピラノース-1-イル)-ベンゼンを得る。
【0101】
〔実施例3〕
【0102】
【化25】

【0103】
1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-(4-デソキシ-β-D-グルコピラノース-1-イル)-ベンゼン
トリフルオロ酢酸/水の混合物(80:20)中の0.15gの1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-[2,3-O-(2,3-ジメトキシ-ブタ-2,3-ジイル)-4-デソキシ-6-O-(2-トリメチルシリルエトキシメチル)-β-D-グルコピラノース-1-イル]-ベンゼンの溶液を周囲温度で30分間撹拌する。溶液を水で希釈し、4Mの水酸化カリウム溶液でアルカリ性にする。水溶液を酢酸エチルで抽出し、混ぜ合わせた抽出液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を除去する。残留物をシリカゲル上でクロマトグラフ処理する(ジクロロメタン/メタノール 1:0→4:1)。
収量:0.12g(理論の43%)
質量スペクトル(ESI+):m/z = 396/398 (塩素) [M+NH4]+
【0104】
実施例3と同様に以下の化合物が得られる。
(4) 1-クロロ-2-(4-メトキシ-ベンジル)-4-(4-デソキシ-4-フルオロ-β-D-ガラクトピラノース-1-イル)-ベンゼン
【0105】
【化26】

【0106】
前記実施例と同様にして、また他の文献公知の方法で以下の化合物も調製される。












【0107】
【化27】








【0108】
【化28】




【0109】
【化29】








【0110】
【化30】

【0111】
以下は、句“活性物質”が本発明の1種以上の化合物(その塩を含む)を表す製剤例である。上述した、1種以上の他の活性物質との組合せの1つの場合、用語“活性物質”は、その追加の活性物質をも含む。
〔実施例A〕
100mgの活性物質を含有する錠剤
組成:
1錠剤は以下の成分を含む:
活性物質 100.0mg
ラクトース 80.0mg
コーンスターチ 34.0mg
ポリビニルピロリドン 4.0mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
220.0mg
調製方法:
活性物質、ラクトース及びコーンスターチを一緒に混合し、ポリビニルピロリドンの水溶液で一様に湿らせる。この湿った組成物を篩い(2.0mmのメッシュサイズ)、ラック型乾燥器内で50℃にて乾燥させた後、再び篩って(1.5mmのメッシュサイズ)潤沢剤を添加する。完成混合物を圧縮して錠剤を形成する。
錠剤の重量:220mg
直径:10mm、二平面、両面に小面を切り出し、一面に刻み目をつける。
【0112】
〔実施例B〕
150mgの活性物質を含有する錠剤
組成:
1錠剤は以下の成分を含む:
活性物質 150.0mg
粉末ラクトース 89.0mg
コーンスターチ 40.0mg
コロイドシリカ 10.0mg
ポリビニルピロリドン 10.0mg
ステアリン酸マグネシウム 1.0mg
300.0mg
製法:
ラクトース、コーンスターチ及びシリカと混合した活性物質を20%のポリビニルピロリドン水溶液で湿らせ、メッシュサイズ1.5mmの篩いに通す。45℃で乾燥させた顆粒を同じ篩いに再び通し、指定量のステアリン酸マグネシウムと混合する。この混合物から錠剤をプレス加工する。
錠剤の重量:300mg
ダイ:10mm、フラット
【0113】
〔実施例C〕
150mgの活性物質を含有する硬ゼラチンカプセル剤
組成:
1カプセルは以下の成分を含む:
活性物質 150.0mg
コーンスターチ(乾燥) 約180.0mg
ラクトース(粉末) 約87.0mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
約420.0mg
製法:
活性物質を賦形剤と混合し、メッシュサイズ0.75mmの篩いに通し、適切な装置を用いて均質に混合する。完成混合物を1号サイズの硬ゼラチンカプセルに詰める。
カプセル充填物質:約320mg
カプセルシェル:1号サイズの硬ゼラチンカプセル
【0114】
〔実施例D〕
150mgの活性物質を含有する座剤
組成:
1座剤は以下の成分を含む:
活性物質 150.0mg
ポリエチレングリコール1500 550.0mg
ポリエチレングリコール6000 460.0mg
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート 840.0mg
2,000.0mg
製法:
座剤練薬を溶融させた後、その中に活性物質を均質に分散させ、該溶融物をチルド型に注ぐ。
【0115】
〔実施例E〕
10mgの活性物質を含有するアンプル
組成:
活性物質 10.0mg
0.01Nの塩酸 適量
2回蒸留した水を加えて 2.0ml
製法:
活性物質を必要量の0.01N HClに溶かし、塩化ナトリウムで等張にし、滅菌ろ過して2mlのアンプルに移す。
【0116】
〔実施例F〕
50mgの活性物質を含有するアンプル
組成:
活性物質 50.0mg
0.01Nの塩酸 適量
2回蒸留した水を加えて 10.0ml
製法:
活性物質を必要量の0.01N HClに溶かし、塩化ナトリウムで等張にし、滅菌ろ過して10mlのアンプルに移す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式IのD-ピラノシル置換フェニル、その互変異性体、立体異性体、その混合物及び塩、特にその生理学的に許容しうる塩。
【化1】

(式中、
R1は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-10-シクロアルキル、C3-10-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C5-10-シクロアルケニル、C5-10-シクロアルケニル-C1-3-アルキル、C1-4-アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルフォリン-4-イルカルボニル、ピペラジン-1-イルカルボニル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イルカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、アミノ、C1-4-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルフォリン-4-イル、ピペラジン-1-イル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、C1-6-アルキルオキシ、C3-10-シクロアルキルオキシ、C5-10-シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、C1-4-アルキルスルファニル、C1-4-アルキルスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-10-シクロアルキルスルファニル、C3-10-シクロアルキルスルフィニル、C3-10-シクロアルキルスルホニル、C5-10-シクロアルケニルスルファニル、C5-10-シクロアルケニルスルフィニル、C5-10-シクロアルケニルスルホニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、ヒドロキシ、シアノ又はニトロを表し、
このときアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシ及びC1-3-アルキルから選択される同一又は異なる置換基で一置換又は二置換されていてもよく、かつ
シクロアルキル及びシクロアルケニル基中、1又は2個のメチレン基が相互独立にO、S、CO、SO又はSO2と置き換わっていてもよく、かつ
N-ヘテロシクロアルキル基中、メチレン基がCO又はSO2と置き換わっていてもよく、かつ
R2は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ、C1-4-アルキル、C1-4-アルコキシ、シアノ又はニトロを表し、このときアルキル基はフッ素で一置換又は多置換されていてもよく、或いは
該フェニル環の隣接する2個のC原子にR1とR2が結合している場合、R1とR2が一緒に結合して、R1とR2が一緒にC3-5-アルキレン、C3-5-アルケニレン又はブタジエニレンブリッジ(部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシ及びC1-3-アルキルから選択される同一又は異なる置換基で一置換又は二置換されていてもよく、かつ1又は2個のメチレン基が相互独立にO、S、CO、SO、SO2又はNRNと置き換わっていてもよく、かつブタジエニレンブリッジの場合、1又は2個のメチン基がN原子と置き換わっていてもよい)を形成していてもよく、
R3は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-10-シクロアルキル、C3-10-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C5-10-シクロアルケニル、C5-10-シクロアルケニル-C1-3-アルキル、アリール、ヘテロアリール、C1-4-アルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ピロリジン-1-イルカルボニル、ピペリジン-1-イルカルボニル、モルフォリン-4-イルカルボニル、ピペラジン-1-イルカルボニル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イルカルボニル、ヒドロキシカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、C1-4-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルフォリン-4-イル、ピペラジン-1-イル、4-(C1-4-アルキル)ピペラジン-1-イル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、C1-4-アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、C1-6-アルコキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C1-4-アルキルスルファニル、C1-4-アルキルスルフィニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-10-シクロアルキルスルファニル、C3-10-シクロアルキルスルフィニル、C3-10-シクロアルキルスルホニル、C5-10-シクロアルケニルスルファニル、C5-10-シクロアルケニルスルフィニル、C5-10-シクロアルケニルスルホニル、アリールスルファニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、アミノ、ヒドロキシ、シアノ又はニトロを表し、
このときアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシ及びC1-3-アルキルから選択される同一又は異なる置換基で一置換又は二置換されていてもよく、かつ
シクロアルキル及びシクロアルケニル基中、1又は2個のメチレン基が相互独立にO、S、CO、SO又はSO2と置き換わっていてもよく、かつ
N-ヘテロシクロアルキル基中、メチレン基がCO又はSO2と置き換わっていてもよく、かつ
R4は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、C1-3-アルキル、C1-3-アルコキシ、又は1〜3個のフッ素原子で置換されているメチル若しくはメトキシを表し、或いは
該フェニル環の隣接する2個のC原子にR3とR4が結合している場合、R3とR4が一緒に結合して、R3とR4が一緒にC3-5-アルキレン、C3-5-アルケニレン又はブタジエニレンブリッジ(部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシ及びC1-3-アルキルから選択される同一又は異なる置換基で一置換又は二置換されていてもよく、かつ1又は2個のメチレン基が相互独立にO、S、CO、SO、SO2又はNRNと置き換わっていてもよく、かつブタジエニレンブリッジの場合、1又は2個のメチン基がN原子と置き換わっていてもよい)を形成していてもよく、
R5は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ、ニトロ、C1-3-アルキル、C1-3-アルコキシ、又は1〜3個のフッ素原子で置換されているメチル若しくはメトキシを表し、かつ
RNは、H、C1-4-アルキル又はC1-4-アルキルカルボニルを表し、
Lは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-3-アルキル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C1-3-アルコキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ及びシアノの中から相互独立に選択され、
R7a、R7b、R7cは、相互独立に、水素、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル及びアリール-(C1-3-アルキル)-カルボニルの中から選択される意味を有し、
Xは、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C5-7-シクロアルケニル-C1-3-アルキル、アリール-C1-3-アルキル、ヘテロアリール-C1-3-アルキル、C1-6-アルコキシ、C2-6-アルケニルオキシ、C2-6-アルキニルオキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニル-C1-3-アルキルオキシ、アリール-C1-3-アルキルオキシ、ヘテロアリール-C1-3-アルキルオキシ、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、ヒドロキシカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、アミノカルボニル-C1-3-アルキル、C1-4-アルキルアミノカルボニル-C1-3-アルキル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル-C1-3-アルキル、ヒドロキシカルボニル-C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシカルボニル-C1-3-アルキル、C3-7-シクロアルキルオキシ-C1-3-アルキル、C5-7-シクロアルケニルオキシ-C1-3-アルキル、アリールオキシ-C1-3-アルキル、ヘテロアリールオキシ-C1-3-アルキル、C1-4-アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、アリール-C1-3-アルキル-スルホニルオキシ又はシアノを表し、
このとき該ピラノース環に直接結合しているメチレン基は、NRN、S、CO、SO又はSO2と置き換わっていてもよく、かつ
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いは塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシ、C1-3-アルキルスルファニル、-NH2、-NHRN、-NRN(C1-3-アルキル)及びC1-3-アルキルから選択される同一又は異なる置換基で一置換又は二置換されていてもよく、かつ
シクロアルキル及びシクロアルケニル基中、1又は2個のメチレン基が相互独立にO、S、CO、SO又はSO2と置き換わっていてもよく、かつ
Zは、酸素、メチレン、ジメチルメチレン、1,1-シクロプロピレン、ジフルオロメチレン又はカルボニルを表し;
このとき、上記基の定義で言及したアリール基は、フェニル又はナフチル基(同一又は異なる基Lで相互独立に一置換又は二置換されていてもよい)を表し;かつ
上記基の定義で言及したヘテロアリール基は、ピロリル、フラニル、チエニル、ピリジル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル若しくはイソキノリニル基、
又は1若しくは2個のメチン基が窒素原子と置き換わっているピロリル、フラニル、チエニル若しくはピリジル基、
又は1〜3個のメチン基が窒素原子と置き換わっているインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル若しくはイソキノリニル基を表し、
さらに上記ヘテロアリール基は、同一又は異なる基Lで相互独立に一置換又は二置換されていてもよく;
さらに上記基の定義で言及したN-ヘテロシクロアルキル基は飽和炭素環式環(該環中にイミノ基を含み、該環中に、さらなるイミノ基又はO若しくはS原子を含んでよい)を意味し、かつ
特に断らない限り、上記アルキル基は、直鎖又は分岐していてよい。)
【請求項2】
下記式IAを特徴とする請求項1記載のD-ピラノシル置換フェニル。
【化2】

(式中、
R1〜R5、X、Z、R7a、R7b、R7cは、請求項1記載の意味を有する。)
【請求項3】
下記式IBを特徴とする請求項1記載のD-ピラノシル置換フェニル。
【化3】

(式中、
R1〜R5、X、Z、R7a、R7b、R7cは、請求項1記載の意味を有する。)
【請求項4】
下記式IA.2を特徴とする請求項2記載のD-ピラノシル置換フェニル。
【化4】

(式中、
R1〜R5、X、Z、R7a、R7b、R7cは、請求項1記載の意味を有する。)
【請求項5】
R1が、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-7-シクロアルキル、C5-7-シクロアルケニル、C1-4-アルキルカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、C1-4-アルキルアミノ、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルフォリン-4-イル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、C1-6-アルキルオキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、C1-4-アルキルスルファニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-7-シクロアルキルスルファニル、C3-7-シクロアルキルスルホニル、C5-7-シクロアルケニルスルファニル、C5-7-シクロアルケニルスルホニル、ヒドロキシ及びシアノを表し、
このときアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシ及びC1-3-アルキルから選択される同一又は異なる置換基で一置換又は二置換されていてもよく、かつ
シクロアルキル及びシクロアルケニル基中、1又は2個のメチレン基が相互独立にO、S、CO、SO又はSO2と置き換わっていてもよく、かつ
N-ヘテロシクロアルキル基中、メチレン基がCO又はSO2と置き換わっていてもよいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のD-ピラノシル置換フェニル。
【請求項6】
R3が、水素、フッ素、塩素、臭素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-メチル、C5-7-シクロアルケニル、C3-7-シクロアルケニル-メチル、アリール、ヘテロアリール、C1-4-アルキルカルボニル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)-アミノカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ、ピロリジン-1-イル、ピペリジン-1-イル、モルフォリン-4-イル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、C1-6-アルコキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、C1-4-アルキルスルファニル、C1-4-アルキルスルホニル、C3-7-シクロアルキルスルファニル、C3-7-シクロアルキルスルホニル、C5-7-シクロアルケニルスルファニル、C5-7-シクロアルケニルスルホニル、ヒドロキシ又はシアノを表し、
このときアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いは塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシ及びC1-3-アルキルから選択される同一又は異なる置換基で一置換又は二置換されていてもよく、かつ
シクロアルキル及びシクロアルケニル基中、1又は2個のメチレン基が相互独立にO、S、CO、SO又はSO2と置き換わっていてもよく、かつ
N-ヘテロシクロアルキル基中、メチレン基がCO又はSO2と置き換わっていてもよく、
このとき用語アリール及びヘテロアリールは上記定義どおりであり、かつアリール及びヘテロアリール基は、相互独立に同一又は異なる基Lで一置換又は二置換されていてもよく、Lは請求項1の定義どおりであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のD-ピラノシル置換フェニル。
【請求項7】
Xが、水素、フッ素、塩素、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C3-7-シクロアルキル-C1-3-アルキル、C5-7-シクロアルケニル-C1-3-アルキル、アリール-C1-3-アルキル、ヘテロアリール-C1-3-アルキル、C1-6-アルコキシ、C2-6-アルケニルオキシ、C2-6-アルキニルオキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ、C5-7-シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリール-C1-3-アルキルオキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ-C1-3-アルキル、C5-7-シクロアルケニルオキシ-C1-3-アルキル、アリールオキシ-C1-3-アルキル、ヘテロアリールオキシ-C1-3-アルキル、アミノカルボニル、C1-4-アルキルアミノカルボニル、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、N-(C1-5-アルキル)-N-(C1-4-アルキルカルボニル)-アミノ、ヒドロキシカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、C1-6-アルキルスルホニル、アミノカルボニル-C1-3-アルキル、C1-4-アルキルアミノカルボニル-C1-3-アルキル、ジ-(C1-3-アルキル)アミノカルボニル-C1-3-アルキル、C1-4-アルコキシカルボニル-C1-3-アルキル、アミノ、C1-5-アルキルアミノ、N-(C1-5-アルキル)-N-(C1-3-アルキル)-アミノ、メルカプト又はシアノを表し、
このときアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いは塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシ、C1-3-アルキルスルファニル、-NH2、-NHRN、-NRN(C1-3-アルキル)及びC1-3-アルキルから選択される同一又は異なる置換基で一置換又は二置換されていてもよく、かつ
上記シクロアルキル及びシクロアルケニル基中、1又は2個のメチレン基は、相互独立にO、S、CO、SO又はSO2と置き換わっていてもよく、かつ
用語アリール及びヘテロアリールは前記定義どおりであり、かつアリール及びヘテロアリール基は、相互独立に同一又は異なる基Lで一置換又は二置換されていてもよく、Lは請求項1の定義どおりであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のD-ピラノシル置換フェニル。
【請求項8】
第1実施態様により、基Xが、水素、塩素、シアノ、C1-6-アルキル、C2-6-アルキニル、C2-6-アルケニル、C1-6-アルキルスルホニル、ヒドロキシカルボニル、C1-4-アルコキシカルボニル、アミノカルボニル又はC1-4-アルキルアミノカルボニルを表し(このときアルキル基は、一フッ素化若しくは多フッ素化又はヒドロキシ若しくはシアノで一置換されていてもよい);或いは
第2実施態様により、基Xが、C1-5-アルキルオキシ、C2-5-アルケニルオキシ、C2-5-アルキニルオキシ、C3-7-シクロアルキルオキシ、アリール-C1-3-アルキルオキシ又はアリールオキシを表し;或いは
第3実施態様により、基Xが、メルカプト、C1-5-アルキルスルファニル、C2-5-アルケニルスルファニル、C2-5-アルキニルスルファニル、C3-7-シクロアルキルスルファニル又はアリールスルファニルを表し;或いは
第4実施態様により、基Xが、アミノ、C1-5-アルキルアミノ、N-(C1-5-アルキル)-N-(C1-3-アルキル)-アミノ、C1-4-アルキルカルボニルアミノ、N-(C1-5-アルキル)-N-(C1-4-アルキルカルボニル)-アミノ又はアリールアミノを表し;或いは
第5実施態様により、基Xが、フッ素を表し;
このときアリールはフェニル又はナフチル基、特にフェニルを意味し、同一又は異なる置換基Lで一置換又は二置換されていてもよく;かつ
Lは請求項1の定義どおりであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のD-ピラノシル置換フェニル。
【請求項9】
Xが、臭素、ヨウ素、C1-6-アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ又はアリール-C1-3-アルキル-スルホニルオキシを表し、
このとき上記アルキル基は、部分的又は完全にフッ素化されていてもよく、或いは一塩素化又は二塩素化されていてもよく、かつ上記アリール基は、同一又は異なる基Lで一置換又は二置換されていてもよく、かつLは請求項1の定義どおりであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のD-ピラノシル置換フェニル。
【請求項10】
R2が、水素、フッ素、塩素、臭素、メチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、シアノ、ニトロ、又は1〜3個のフッ素原子で置換されているメチルを表すことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のD-ピラノシル置換フェニル。
【請求項11】
R4とR5が、相互独立に水素又はフッ素を表すことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のD-ピラノシル置換フェニル。
【請求項12】
Zが、酸素又はメチレンを表すことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のD-ピラノシル置換フェニル。
【請求項13】
R7a、R7b、R7cが、相互独立に水素、(C1-5-アルキル)オキシカルボニル、(C1-8-アルキル)カルボニル又はベンゾイル、好ましくは水素を表すことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のD-ピラノシル置換フェニル。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物の、無機又は有機酸との生理学的に許容しうる塩。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物又は請求項14記載の生理学的に許容しうる塩の、医薬組成物としての使用。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物又は請求項14記載の生理学的に許容しうる塩を含有し、任意に1種以上の不活性な担体及び/又は希釈剤を含んでよい、医薬組成物。
【請求項17】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物又は請求項14記載の生理学的に許容しうる塩の、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLTを阻害することによって影響を与えうる疾患又は状態の治療又は予防に適した医薬組成物を調製するための使用。
【請求項18】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物又は請求項14記載の生理学的に許容しうる塩の、代謝障害の治療又は予防に適した医薬組成物を調製するための使用。
【請求項19】
前記代謝障害が、1型及び2型糖尿病、糖尿病合併症、代謝性アシドーシス若しくはケトーシス、反応性低血糖症、高インスリン血症、グルコース代謝障害、インスリン耐性、代謝症候群、種々起源の異脂肪血症、アテローム性動脈硬化症及び関連疾患、肥満症、高血圧、慢性心不全、浮腫及び高尿酸血症の中から選択されることを特徴とする請求項18記載の使用。
【請求項20】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物又は請求項14記載の生理学的に許容しうる塩の、ナトリウム依存性グルコース共輸送体SGLTを阻害するための医薬組成物を調製するための使用。
【請求項21】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物又は請求項14記載の生理学的に許容しうる塩の、膵臓β細胞の変性を予防するための医薬組成物及び/又は膵臓β細胞の機能を改善し、及び/又は回復させるための医薬組成物を調製するための使用。
【請求項22】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物又は請求項14記載の生理学的に許容しうる塩の、利尿薬又は抗高血圧薬を調製するための使用。
【請求項23】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物又は請求項14記載の生理学的に許容しうる塩を1種以上の不活性な担体及び/又は希釈剤中に非化学的方法で組み入れることを特徴とする請求項16記載の医薬組成物の調製方法。
【請求項24】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の一般式Iの化合物の調製方法であって、
下記一般式II:
【化5】

(式中、
R'は、H、C1-4-アルキル、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、アリールカルボニル又はアリール-(C1-3-アルキル)-カルボニルを表し(前記アルキル又はアリール基は、ハロゲンで一置換又は多置換されていてもよい);
R8a、R8b、R8cは、相互独立に、基R7a、R7b、R7cについて請求項1又は13で与えた意味の1つを有し、或いはベンジル基、RaRbRcSi基又はケタール若しくはアセタール基を表し(各場合2個の隣接基R8a、R8b、R8cが、環式ケタール若しくはアセタール基を形成し、又は該ピラノース環の2個の酸素原子と置換2,3-オキシジオキサン環を形成していてよく、かつアルキル、アリール及び/又はベンジル基は、ハロゲン、C1-3-アルキル又はC1-3-アルコキシで一置換又は多置換されていてもよく、かつベンジル基は、ジ-(C1-3-アルキル)アミノ基で置換されていてもよい);かつ
Ra、Rb、Rcは、相互独立にC1-4-アルキル、アリール又はアリール-C1-3-アルキルを表し(該アルキル又はアリール基は、ハロゲンで一置換又は多置換されていてもよい);
このとき上記基の定義で言及したアリール基は、フェニル又はナフチル基、好ましくはフェニル基を意味し;
かつX、Z、R1〜R5は、請求項1〜13で与えた意味を有する)
の化合物を酸の存在下で還元剤と反応させ(このとき、同時又はその後に、存在するいずれの保護基も切断する);
上記反応中に用いたいずれの保護基も切断し、及び/又は
所望により、このようにして得た一般式Iの化合物をヒドロキシ基のところで選択的に誘導体化し、若しくはヒドロキシ基を置換し、及び/又は
所望により、このようにして得た一般式Iの化合物をその立体異性体に分割し、及び/又は
所望により、このようにして得た一般式Iの化合物をその生理学的に許容しうる塩に変換することを特徴とする前記方法。
【請求項25】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の一般式Iの化合物の調製方法であって、
下記一般式III:
【化6】

(式中、
R8a、R8b、R8cは、相互独立に、基R7a、R7b、R7cについて請求項1又は13で与えた意味の水素以外の1つを有し、或いはRaRbRcSi基又はケタール若しくはアセタール基を表し(各場合2個の隣接基R8a、R8b、R8cが、環式ケタール若しくはアセタール基を形成していてよく、かつアルキル及び/又はアリール基は、一ハロゲン化又は多ハロゲン化されていてもよい);かつ
Ra、Rb、Rcは、相互独立にC1-4-アルキル、アリール又はアリール-C1-3-アルキルを表し(該アルキル又はアリール基は、ハロゲンで一置換又は多置換されていてもよい);
このとき上記基の定義で言及したアリール基は、フェニル又はナフチル基、好ましくはフェニル基を意味し;
かつX、Z、R1〜R5は、請求項1〜13で与えた意味を有する)の化合物において、
水素を意味しない基R8a、R8b又はR8cを除去し;かつ
上記反応中に用いたいずれの保護基も切断し、及び/又は
所望により、このようにして得た一般式Iの化合物をヒドロキシ基のところで選択的に誘導体化し、若しくはヒドロキシ基を置換し、及び/又は
所望により、このようにして得た一般式Iの化合物をその立体異性体に分割し、及び/又は
所望により、このようにして得た一般式Iの化合物をその塩、特に医薬用途のため、その生理学的に許容しうる塩に変換することを特徴とする前記方法。

【公表番号】特表2008−514668(P2008−514668A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533940(P2007−533940)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010488
【国際公開番号】WO2006/037537
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】