説明

DLL回路およびその制御方法

【課題】より迅速な固定完了時間を有し、半導体集積回路の高速化実現をより効率的に支援するDLL回路およびその制御方法を提供する。
【解決手段】本発明のDLL(Delay Locked Loop)回路は、基準クロックと動作開始信号に応答して初期動作信号を生成する初期動作設定手段と、前記初期動作信号、位相比較信号、および初期設定コードに応答して遅延制御コードを生成するシフトレジスタと、前記初期動作信号および前記遅延制御コードに応答して前記基準クロックまたはフィードバッククロックを遅延させ、複数の単位遅延クロックを生成する遅延ラインと、前記基準クロックと前記複数の単位遅延クロックに応答して前記初期設定コードを生成する初期遅延モニタリング手段とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DLL(Delay Locked Loop)回路およびその制御方法に関し、より詳しくは、外部クロックに対して位相が先行する内部クロックを生成するDLL回路およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、DLL回路は、外部クロックを変換して得た基準クロックに対して一定の時間位相が先行する内部クロックを提供するのに用いられる。DLL回路は、半導体集積回路内で活用される内部クロックがクロックバッファおよび伝送ラインを介して遅延することによって外部クロックとの位相差が発生するようになり、これによって出力データアクセス時間が長くなる問題点を解決するために用いられる。DLL回路は、このように有効データ出力区間を増加させるために、内部クロックの位相を外部クロックに対して所定の時間先行するように制御する機能を実行する(例えば特許文献1)。
【0003】
図1を参照すれば、従来のDLL回路は、クロック入力バッファ10、遅延ライン20、ファイン遅延手段30、クロックドライバ40、遅延補償手段50、位相比較手段60、およびシフトレジスタ70を含む。
【0004】
前記クロック入力バッファ10は、外部クロックclk_extをバッファリングして基準クロックclk_refを生成する。前記遅延ライン20は、遅延制御コードdlycnt<1:n>に応答して前記基準クロックclk_refを遅延させ、単位遅延クロックclk_udを生成する。前記ファイン遅延手段30は、前記単位遅延クロックclk_udをファイン遅延させて遅延クロックclk_dlyを生成する。前記クロックドライバ40は、前記遅延クロックclk_dlyを駆動して出力クロックclk_outを生成する。
【0005】
前記遅延補償手段50は、前記遅延クロックclk_dlyを所定の時間遅延させてフィードバッククロックclk_fbを生成する。前記位相比較手段60は、前記基準クロックclk_refと前記フィードバッククロックclk_fbの位相を比較して位相比較信号phcmpを生成する。前記シフトレジスタ70は、前記位相比較信号phcmpに応答して複数ビットのデジタルコード信号を生成し、これを前記遅延制御コードdlycnt<1:n>として出力する。
【0006】
前記遅延ライン20が前記基準クロックclk_refに付与する遅延時間は、前記遅延制御コードdlycnt<1:n>の論理値によって変化する。すなわち、前記基準クロックclk_refは、前記遅延ライン20によって所定の時間遅延し、前記基準クロックclk_refが遅延する時間は、前記遅延制御コードdlycnt<1:n>の論理値によって可変される。前記遅延制御コードdlycnt<1:n>は、前記DLL回路のループの周期ごとに1ビットずつ論理値が変化する。したがって、前記DLL回路の動作初期に前記基準クロックclk_refと前記フィードバッククロックclk_fbの位相差が大きい場合には、前記遅延ライン20が固定的な遅延値を有するまでの時間、すなわち固定完了時間(Locking Time)が長くなる。
【0007】
半導体集積回路は、次第により高速化しながら実現されていく傾向にあるが、これに伴ってDLL回路もより迅速な固定完了時間を有することが求められている。しかしながら、従来のシフトレジスタと遅延ラインを用いて遅延固定動作を実行するDLL回路では、固定完了時間を短縮させるのに技術的に限界が存在する。半導体集積回路の高速化実現を支援するために、より画期的に固定完了時間を減少させることができるDLL回路が求められている状況である。
【特許文献1】特開平5−344092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するために案出されたものであって、より迅速な固定完了時間を有するDLL回路およびその制御方法を提供することにその技術的課題がある。
【0009】
また、本発明は、半導体集積回路の高速化実現をより効率的に支援するDLL回路およびその制御方法を提供することに他の技術的課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した技術的課題を達成するための本発明の一実施形態に係るDLL回路は、動作開始時点における基準クロックとフィードバッククロックの位相差によって初期設定コードを生成する初期遅延モニタリング手段と、前記初期設定コードに応答して遅延制御コードを生成するシフトレジスタと、前記遅延制御コードに応答して前記基準クロックを遅延させる遅延ラインと、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の他の実施形態に係るDLL回路は、基準クロックと動作開始信号に応答して初期動作信号を生成する初期動作設定手段と、前記初期動作信号、位相比較信号、および初期設定コードに応答して遅延制御コードを生成するシフトレジスタと、前記初期動作信号および前記遅延制御コードに応答して前記基準クロックまたはフィードバッククロックを遅延させ、複数の単位遅延クロックを生成する遅延ラインと、前記基準クロックと前記複数の単位遅延クロックに応答して前記初期設定コードを生成する初期遅延モニタリング手段と、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の他の実施形態に係るDLL回路は、初期動作時にフィードバッククロックを遅延させて複数の単位遅延クロックを生成する遅延ラインと、前記複数の単位遅延クロックと基準クロックの位相をそれぞれ比較することによって、前記フィードバッククロックの初期位相をモニタリングして初期設定コードを生成する初期遅延モニタリング手段と、前記初期動作時に前記初期設定コードを遅延制御コードとして前記遅延ラインに伝達し、前記遅延ラインが前記基準クロックに付与する最初遅延値を設定するシフトレジスタとを含むことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明のまた他の実施形態に係るDLL回路の制御方法は、フィードバッククロックを遅延させて複数の単位遅延クロックを生成するステップと、前記複数の単位遅延クロックと基準クロックの位相を比較して初期設定コードを生成するステップと、前記初期設定コードを遅延制御コードとして活用し、遅延ラインが前記基準クロックに付与する遅延量を調整するステップと、位相比較信号に応答して前記遅延制御コードを生成し、前記遅延ラインが前記基準クロックに付与する遅延量を調整するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のDLL回路およびその制御方法は、初期動作時にフィードバッククロックの位相をモニタリングし、これによって遅延制御コードを設定することでより迅速な固定完了時間を有する効果がある。
【0015】
また、本発明のDLL回路およびその制御方法は、遅延固定動作を迅速な時間内に完了することで、半導体集積回路の高速化実現をより効率的に支援する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態についてより詳細に説明する。
【0017】
図2を参照すれば、本発明の一実施形態に係るDLL回路は、クロック入力バッファ100、初期動作設定手段200、遅延ライン300、ファイン遅延手段400、クロックドライバ500、遅延補償手段600、位相比較手段700、初期遅延モニタリング手段800、およびシフトレジスタ900を含む。
【0018】
前記クロック入力バッファ100は、外部クロックclk_extの振幅を変換するバッファリング動作を実行して基準クロックclk_refを生成する。前記初期動作設定手段200は、前記基準クロックclk_refとパワーアップ信号pwrupに応答して初期動作信号initを生成する。前記遅延ライン300は、前記初期動作信号initおよび遅延制御コードdlycnt<1:n>に応答して前記基準クロックclk_refまたはフィードバッククロックclk_fbを遅延させ、n個の単位遅延クロックudly<1:n>を生成する。前記ファイン遅延手段400は、前記n個の単位遅延クロックudly<1:n>のうちのn番目の単位遅延クロックudly<n>をファイン遅延させて遅延クロックclk_dlyを生成する。前記クロックドライバ500は、前記遅延クロックclk_dlyを駆動して出力クロックclk_outを生成する。
【0019】
前記遅延補償手段600は、前記遅延クロックclk_dlyを所定の時間遅延させて前記フィードバッククロックclk_fbを生成する。前記位相比較手段700は、前記基準クロックclk_refと前記フィードバッククロックclk_fbの位相を比較して位相比較信号phcmpを生成する。前記初期遅延モニタリング手段800は、前記基準クロックclk_refと前記n−1個の単位遅延クロックudly<1:n−1>に応答して初期設定コードiniset<1:n>を生成する。前記シフトレジスタ900は、前記初期動作信号init、前記位相比較信号phcmp、および前記初期設定コードiniset<1:n>に応答して前記遅延制御コードdlycnt<1:n>を生成する。
【0020】
前記初期動作設定手段200は、前記パワーアップ信号pwrupがイネーブルされれば、前記基準クロックclk_refの所定の周期内に前記初期動作信号initをイネーブルさせる。前記初期動作信号initがイネーブルされる区間は、前記遅延補償手段600が初期動作時に前記フィードバッククロックclk_fbを生成する時間と、前記初期遅延モニタリング手段800が前記初期設定コードiniset<1:n>を生成する時間とを含むように定義されなければならない。一方、一般的に半導体集積回路は、前記パワーアップ信号pwrupがイネーブルされれば動作を開始するため、前記パワーアップ信号pwrupは、前記DLL回路の動作の開始を指示する動作開始信号であると理解されることができる。
【0021】
前記遅延ライン300は、前記初期動作信号initがイネーブルされれば、前記フィードバッククロックclk_fbの入力を受けて遅延させ、前記基準クロックclk_refに対する遅延動作は実行しない。前記シフトレジスタ900から出力される前記遅延制御コードdlycnt<1:n>は、初期に前記遅延ライン300が前記フィードバッククロックclk_fbからn−1ビットの単位遅延クロックudly<1:n−1>を生成し、前記基準クロックclk_refからn番目の単位遅延クロックudly<n>を生成するようにする論理値で設定される。また、前記n番目の単位遅延クロックudly<n>は、上述したように、前記ファイン遅延手段400に伝達され、前記ファイン遅延手段400は、これをファイン遅延させて前記遅延クロックclk_dlyとして出力する。反面、残りの単位遅延クロックudly<1:n−1>は、前記初期遅延モニタリング手段800に伝達され、前記初期遅延モニタリング手段800は、前記n−1個の単位遅延クロックudly<1:n−1>と前記基準クロックclk_refの位相をそれぞれ比較し、前記基準クロックclk_refと前記フィードバッククロックclk_fbの位相情報によって前記初期設定コードiniset<1:n>を生成する。
【0022】
前記シフトレジスタ900は、前記初期動作信号initがイネーブルされている状態で、前記初期設定コードiniset<1:n>が入力されれば、これを前記遅延制御コードdlycnt<1:n>として出力する。前記遅延制御コードdlycnt<1:n>の初期値は、前記基準クロックclk_refと前記フィードバッククロックclk_fbの初期位相情報によって前記クロックの位相差を最小化させるための論理値で設定される。したがって、初期に前記クロックの位相差が最小化された状態でDLL回路の動作を開始することができ、DLL回路の固定完了までの時間を短縮することができる。
【0023】
この後、前記初期動作信号initがディセーブルされれば、前記シフトレジスタ900はこれ以上前記初期設定コードiniset<1:n>に応答せすに前記位相比較信号phcmpに応答し、予め設定された遅延制御コードdlycnt<1:n>の論理値を変更させながら前記遅延ライン300の動作を制御する。また、前記遅延ライン300は、これ以上前記フィードバッククロックclk_fbを遅延させずに、前記遅延制御コードdlycnt<1:n>の制御によって前記基準クロックclk_refを遅延させる動作を実行する。
【0024】
一方、前記遅延補償手段600は、前記遅延クロックclk_dlyがデータ出力バッファまで進行する経路に存在する遅延素子の遅延量をモデリングした遅延値を前記遅延クロックclk_dlyに付与して前記フィードバッククロックclk_fbを生成する。前記位相比較手段700は、前記基準クロックclk_refと前記フィードバッククロックclk_fbの位相を比較して前記位相比較信号phcmpを生成する。前記位相比較手段700は、エッジトリガタイプ(Edge Trigger Type)のフリップフロップ回路を介して容易に実現されることができる。
【0025】
このように、本発明の一実施形態に係るDLL回路は、初期動作区間内に前記基準クロックclk_refと前記フィードバッククロックclk_fbの位相情報を抽出し、これによって前記遅延ライン300が両クロックの位相差を最小化させるための遅延値を付与するようにすることで、遅延固定動作にかかる時間を減少させることができる。
【0026】
図3aを参照すれば、前記初期動作設定手段200は、第1〜第5フリップフロップFF1〜FF5、第1ナンドゲートND1、およびインバータIVを含む。
【0027】
前記第1〜第5フリップフロップFF1〜FF5は直列連結され、それぞれ前記パワーアップ信号pwrupによって初期化されてハイレベル(High Level)の信号を出力し、前記基準クロックclk_refに応答して前端のフリップフロップの出力信号の入力を受けてラッチする。最前端に備えられる前記第1フリップフロップFF1は、グランド電源VSSの入力を受ける。前記第1ナンドゲートND1は、前記第5フリップフロップFF5の出力信号と前記パワーアップ信号pwrupの入力を受ける。前記インバータIVは、前記第1ナンドゲートND1の出力信号の入力を受けて前記初期動作信号initを出力する。前記初期動作信号initは信号対で実現されることができ、点線で示したように前記第1ナンドゲートND1の出力信号を副初期動作信号/initとして活用することができる。
【0028】
前記パワーアップ信号pwrupがイネーブルされた後に前記基準クロックclk_refがトグル(Toggle)すれば、前記第5フリップフロップFF5はハイレベルの信号を出力するため、前記初期動作信号initはハイレベルでイネーブルされる。前記グランド電源VSSが前記基準クロックclk_refの5回のライジングエッジ(Rising Edge)の後に前記第1ナンドゲートND1に伝達されるため、前記初期動作信号initは、前記基準クロックclk_refの5周期内でイネーブル区間を維持するようになる。
【0029】
このような前記パワーアップ信号pwrup、前記基準クロックclk_ref、および前記初期動作信号initの波形は、図3bを参照しながら確認することができる。
【0030】
ここでは、前記初期動作信号initが前記基準クロックclk_refの5周期内でイネーブルされることを例示したが、具備環境および条件に応じてフリップフロップの数を加減することによって、前記初期動作信号initのイネーブル区間は容易に変更が可能である。
【0031】
図4を参照すれば、前記遅延ライン300は、直列連結したn個の単位遅延部310<1:n>を含む。それぞれの単位遅延部310<1:n>は、前記n個の単位遅延クロックudly<1:n>をそれぞれ1つずつ出力するように構成される。
【0032】
それぞれの単位遅延部310<1:n>は、それぞれ第2〜第4ナンドゲートND2<1:n>〜ND4<1:n>を含む。最前端に備えられる単位遅延部310<1>の第2ナンドゲートND2<1>は、前記初期動作信号initと前記フィードバッククロックclk_fbの入力を受ける。また、2番目からn−1番目までの単位遅延部310<2:n−1>それぞれの第2ナンドゲートND2<2:n−1>は、それぞれ前端の単位遅延部310<1:n−2>の出力信号と外部供給電源VDDの入力を受ける。最後端の単位遅延部310<n>の第2ナンドゲートND2<n>は、前記副初期動作信号/initと前単位単位遅延部310<n−1>の出力信号の入力を受ける。
【0033】
それぞれの単位遅延部310<1:n>に備えられるn個の第3ナンドゲートND3<1:n>は、前記遅延制御コードdlycnt<1:n>1ビットずつと前記基準クロックclk_refの入力をそれぞれ受ける。また、n個の第4ナンドゲートND4<1:n>は、それぞれ第2ナンドゲートND2<1:n>の出力信号と第3ナンドゲートND3<1:n>の出力信号の入力を受け、前記単位遅延クロックudly<1:n>をそれぞれ1つずつ出力する。
【0034】
このように構成された前記遅延ライン300において、前記初期動作信号initのイネーブル時点における前記遅延制御コードdlycnt<1:n>は、すでに(0,0,・・・,1)で設定されている。前記フィードバッククロックclk_fbは、最初の単位遅延部310<1>の第2ナンドゲートND2<1>に入力され、この後に前記n−1個の単位遅延部310<1:n−1>を経ながら遅延し、n−1個の前記単位遅延クロックudly<1:n−1>として出力される。このとき、前記n番目の単位遅延部310<n>の第3ナンドゲートND3<n>は、前記基準クロックclk_refの入力を受ける。このとき、前記n番目の単位遅延部310<n>の第2ナンドゲートND2<n>の出力信号はハイレベルであるため、前記n番目の単位遅延クロックudly<n>は前記基準クロックclk_refが遅延した形態で生成される。
【0035】
このように、初期動作時に前記遅延ライン300が前記基準クロックclk_refに最小の遅延時間を付与してn番目の単位遅延クロックudly<n>を生成し、このような特性のn番目の単位遅延クロックudly<n>を用いて前記遅延クロックclk_dlyおよび前記フィードバッククロックclk_fbを生成するため、前記フィードバッククロックclk_fbは前記遅延補償手段600の固有遅延量情報をその位相に含むようになる。このときの前記フィードバッククロックclk_fbを用いて前記n−1個の単位遅延クロックudly<1:n−1>を生成すれば、前記初期遅延モニタリング手段800は、初期動作時に前記遅延補償手段600による前記フィードバッククロックclk_fbの位相情報を抽出して前記基準クロックclk_refと比較することができる。前記基準クロックclk_refと前記フィードバッククロックclk_fbの位相が近接するためには、前記遅延ライン300が前記基準クロックclk_refをどれくらい遅延させなければならないかを把握できるようになる。結果的に、前記遅延ライン300が出力する前記n−1個の単位遅延クロックudly<1:n−1>によって、前記基準クロックclk_refと前記フィードバッククロックclk_fbの位相差を最小化させる前記初期設定コードiniset<1:n>の論理値が抽出可能になる。
【0036】
この後、前記初期動作信号initがディセーブルされれば、前記遅延ライン300は、前記初期設定コードiniset<1:n>のような論理値を有する前記遅延制御コードdlycnt<1:n>の制御によって前記基準クロックclk_refを遅延させる動作を実行する。前記基準クロックclk_refと前記フィードバッククロックclk_fbの位相によって前記遅延制御コードdlycnt<1:n>は変更されるが、結果的に、前記遅延ライン300は、従来の技術に比べて著しく減少した時間内に遅延固定動作を完了することができる。
【0037】
図5を参照すれば、前記初期遅延モニタリング手段800は、前記基準クロックclk_refと前記n−1ビットの単位遅延クロックudly<1:n−1>の位相をそれぞれ比較して初期位相コードiniph<1:n−1>を生成する初期位相情報抽出部810、および前記初期位相コードiniph<1:n−1>をデコーディングして前記初期設定コードiniset<1:n>を出力する第1デコーディング部820を含むことができる。
【0038】
前記初期位相情報抽出部810は、直列連結したn−1個の第6フリップフロップFF6<1:n−1>を含み、それぞれの第6フリップフロップFF6<1:n−1>は、前記n−1個の単位遅延クロックudly<1:n−1>の各ビットに応答して前記基準クロックclk_refをラッチし、前記初期位相コードiniph<1:n−1>の各ビットを出力する機能を実行する。
【0039】
このような構成によって、前記フィードバッククロックclk_fbと前記基準クロックclk_refの初期位相情報が前記初期位相コードiniph<1:n−1>の論理値に反映される。この後、前記第1デコーディング部820は、前記初期位相コードiniph<1:n−1>の入力を受け、前記フィードバッククロックclk_fbと前記基準クロックclk_refの位相差を最小化させるための論理値を有する前記初期設定コードiniset<1:n>を生成する。前記初期設定コードiniset<1:n>は、論理値が「1」である信号を1つだけ含む形態で実現されるはずである。
【0040】
図6を参照すれば、前記シフトレジスタ900は、カウンティング部910、第2デコーディング部920、マックス部930、およびラッチ部940を含む。
【0041】
前記カウンティング部910は、前記位相比較信号phcmpに応答してカウンティング動作を実行し、mビットのカウント信号count<1:m>を出力する。前記第2デコーディング部920は、前記mビットのカウント信号count<1:m>を出コーディングして位相デコーディングコードphdec<1:n>を出力する。前記マックス部930は、前記初期動作信号initに応答して前記位相デコーディングコードphdec<1:n>または前記初期設定コードiniset<1:n>を選択的に出力する。前記ラッチ部940は、前記マックス部930の出力信号をラッチして前記遅延制御コードdlycnt<1:n>として出力する。
【0042】
前記カウンティング部910は、前記位相比較信号phcmpによって伝達される前記基準クロックclk_refと前記フィードバッククロックclk_fbの位相情報によって、前記mビットのカウント信号count<1:m>の論理値を増加または減少させる。この後、前記第2デコーディング部920は、前記mビットのカウント信号count<1:m>をデコーディングして前記位相デコーディングコードphdec<1:n>を出力する。このとき、前記位相デコーディングコードphdec<1:n>は、論理値が「1」である信号を1つだけ含む形態で実現され、前記mビットのカウント信号count<1:m>の論理値変化によって論理値「1」が1桁ずつ移動する形態で実現される。
【0043】
前記初期動作信号initがイネーブルされれば、前記マックス部930は前記位相デコーディングコードphdec<1:n>を遮断し、前記初期設定コードiniset<1:n>を通過させる。このとき、前記ラッチ部940には、前記遅延制御コードdlycnt<1:n>の論理値が(0,0,・・・,1)で設定されている。このように、前記パワーアップ信号pwrupがイネーブルされれば、特定のコードを出力する前記ラッチ部940の構成は、当業者であれば容易に実施することができる技術に該当する。前記ラッチ部940は、この後に前記初期設定コードiniset<1:n>が入力されれば、これをラッチして前記遅延制御コードdlycnt<1:n>として出力する。すなわち、前記初期動作信号initが定義する初期動作区間内には、前記初期設定コードiniset<1:n>が前記遅延制御コードdlycnt<1:n>として出力されるのである。前記遅延ライン300は、前記初期設定コードiniset<1:n>に応答し、前記基準クロックclk_refと前記フィードバッククロックclk_fbの位相差を最小化させるための遅延時間を前記基準クロックclk_refに付与する。
【0044】
この後、前記初期動作信号initがディセーブルされれば、前記マックス部930は、前記初期設定コードiniset<1:n>を遮断し、前記位相デコーディングコードphdec<1:n>を通過させる。この後、前記ラッチ部940は、前記位相デコーディングコードphdec<1:n>をラッチして前記遅延制御コードdlycnt<1:n>として出力する。このときの前記基準クロックclk_refと前記フィードバッククロックclk_fbの位相差は、すでにそれ程大きくない状態であるため、前記位相デコーディングコードphdec<1:n>の論理値は、前記初期設定コードiniset<1:n>の論理値に近似した状態であるはずである。したがって、前記位相比較信号phcmpに応答して前記位相デコーディングコードphdec<1:n>および前記遅延制御コードdlycnt<1:n>の論理値が変化しても、この後に前記遅延制御コードdlycnt<1:n>の論理値が固定されるまでは、従来に比べて著しく短い時間を所要するようになる。
【0045】
すなわち、本発明に係るDLL回路は、初期動作時にフィードバッククロックの位相によって遅延補償手段の固有遅延値を判別し、フィードバッククロックと基準クロックの位相情報によって初期設定コードを生成する。この後、初期設定コードを遅延制御コードとして活用し、遅延ラインが基準クロックに付与する最初の遅延時間を設定する。したがって、初期動作時から、遅延ラインは、フィードバッククロックの位相が基準クロックの位相に近接するようにする遅延時間を基準クロックに付与することができ、これによってDLL回路が遅延固定動作を完了するまでの時間は著しく減少する。このように迅速な遅延固定動作を実行するDLL回路は、高速化実現を追求する半導体集積回路の動作をより効率的に支援することができる。
【0046】
上述したように、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該当の技術分野において熟練した当業者にとっては、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させることができることを理解することができるであろう。すなわち、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められ、発明を実施するための最良の形態により制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】従来のDLL回路の構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るDLL回路の構成を示したブロック図である。
【図3a】図2に示した初期動作設定手段の詳細構成図である。
【図3b】図3aに示した初期動作設定手段の動作を説明するためのタイミング図である。
【図4】図2に示した遅延ラインの詳細構成図である。
【図5】図2に示した初期遅延モニタリング手段の詳細構成図である。
【図6】図2に示したシフトレジスタの詳細構成図である。
【符号の説明】
【0048】
200…初期動作設定手段
300…遅延ライン
600…遅延補償手段
700…位相比較手段
800…初期遅延モニタリング手段
900…シフトレジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作開始時点における基準クロックとフィードバッククロックの位相差によって初期設定コードを生成する初期遅延モニタリング手段と、
前記初期設定コードに応答して遅延制御コードを生成するシフトレジスタと、
前記遅延制御コードに応答して前記基準クロックを遅延させる遅延ラインと、
を含むことを特徴とするDLL(Delay Locked Loop)回路。
【請求項2】
前記遅延ラインは、前記動作開始時点に、前記フィードバッククロックを遅延させて前記初期遅延モニタリング手段に伝達することを特徴とする請求項1に記載のDLL回路。
【請求項3】
前記初期遅延モニタリング手段は、前記動作開始時点に、前記遅延ラインから伝達されるクロックと前記基準クロックの位相を比較して前記フィードバッククロックの初期位相をモニタリングし、前記基準クロックと前記フィードバッククロックの位相差が最小化されるようにする前記遅延ラインの最初の遅延値を設定するための前記初期設定コードを生成することを特徴とする請求項2に記載のDLL回路。
【請求項4】
基準クロックと動作開始信号に応答して初期動作信号を生成する初期動作設定手段と、
前記初期動作信号、位相比較信号、および初期設定コードに応答して遅延制御コードを生成するシフトレジスタと、
前記初期動作信号および前記遅延制御コードに応答して前記基準クロックまたはフィードバッククロックを遅延させ、複数の単位遅延クロックを生成する遅延ラインと、
前記基準クロックと前記複数の単位遅延クロックに応答して前記初期設定コードを生成する初期遅延モニタリング手段と、
を含むことを特徴とするDLL(Delay Locked Loop)回路。
【請求項5】
前記初期動作設定手段は、前記動作開始信号がイネーブルされれば前記基準クロックの所定の周期内に前記初期動作信号をイネーブルさせることを特徴とする請求項4に記載のDLL回路。
【請求項6】
前記シフトレジスタは、前記初期動作信号がイネーブルされれば前記初期設定コードを前記遅延制御コードとして出力し、前記初期動作信号がディセーブルされれば前記位相比較信号に応答して前記遅延制御コードの論理値を調整することを特徴とする請求項4または5に記載のDLL回路。
【請求項7】
前記シフトレジスタは、
前記位相比較信号に応答してカウンティング動作を実効して複数ビットのカウント信号を出力するカウンティング部と、
前記複数ビットのカウント信号をデコーディングして位相デコーディングコードを出力するデコーディング部と、
前記初期動作信号に応答して前記位相デコーディングコードまたは前記初期設定コードを選択的に出力するマックス部と、
前記マックス部の出力信号をラッチして前記遅延制御コードとして出力するラッチ部と、
を含むことを特徴とする請求項6に記載のDLL回路。
【請求項8】
前記遅延ラインは、前記初期動作信号がイネーブルされれば前記フィードバッククロックを遅延させて複数の単位遅延クロックを生成し、前記初期遅延モニタリング手段に伝達することを特徴とする請求項4または5に記載のDLL回路。
【請求項9】
前記遅延ラインは、直列連結した複数の単位遅延部を含み、
前記複数の単位遅延部のうち最前端の単位遅延部は、前記初期動作信号および予め設定された1ビットの前記遅延制御コードに応答して前記基準クロックまたは前記フィードバッククロックを遅延させ、最後端の単位遅延部は、反転した前記初期動作信号および予め設定された1ビットの前記遅延制御コードに応答して前記基準クロックまたは前端の単位遅延部の出力信号を遅延させ、残りの単位遅延部は、それぞれ外部供給電源および予め設定された1ビットの前記遅延制御コードに応答して前記基準クロックまたは前端の単位遅延部の出力信号を遅延させるように構成され、
それぞれの単位遅延部は、それぞれ前記単位遅延クロックを1つずつ出力することを特徴とする請求項8に記載のDLL回路。
【請求項10】
前記初期遅延モニタリング手段は、前記複数の単位遅延クロックと前記基準クロックの位相をそれぞれ比較して前記フィードバッククロックの初期位相をモニタリングし、前記基準クロックと前記フィードバッククロックの位相差が最小化されるようにする前記遅延ラインの最初遅延値を設定するための前記初期設定コードを生成することを特徴とする請求項8に記載のDLL回路。
【請求項11】
前記初期遅延モニタリング手段は、
前記基準クロックと前記複数の単位遅延クロックの位相をそれぞれ比較して初期位相コードを生成する初期位相情報抽出部と、
前記初期位相コードをデコーディングして前記初期設定コードを出力するデコーディング部と、
を含むことを特徴とする請求項10に記載のDLL回路。
【請求項12】
外部クロックをバッファリングして前記基準クロックを生成するクロック入力バッファと、
前記遅延ラインから出力される最後の前記単位遅延クロックをファイン遅延させて遅延クロックを生成するファイン遅延手段と、
前記遅延クロックを所定の時間遅延させて前記フィードバッククロックを生成する遅延補償手段と、
前記基準クロックと前記フィードバッククロックの位相を比較して前記位相比較信号を生成する位相比較手段と、
をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載のDLL回路。
【請求項13】
初期動作時にフィードバッククロックを遅延させて複数の単位遅延クロックを生成する遅延ラインと、
前記複数の単位遅延クロックと基準クロックの位相をそれぞれ比較することで、前記フィードバッククロックの初期位相をモニタリングして初期設定コードを生成する初期遅延モニタリング手段と、
前記初期動作時に前記初期設定コードを遅延制御コードとして前記遅延ラインに伝達し、前記遅延ラインが前記基準クロックに付与する最初遅延値を設定するシフトレジスタと、
を含むことを特徴とするDLL(Delay Locked Loop)回路。
【請求項14】
前記遅延ラインから出力される最後の前記単位遅延クロックをファイン遅延させて遅延クロックを生成するファイン遅延手段と、
をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載のDLL回路。
【請求項15】
前記遅延ラインは、前記初期動作時に前記基準クロックを遅延させて前記複数の単位遅延クロックのうち最後の単位遅延クロックを生成し、
前記フィードバッククロックは、前記最後の単位遅延クロックに対する遅延動作によって生成されたクロックであることを特徴とする請求項13に記載のDLL回路。
【請求項16】
前記初期動作は、初期動作信号のイネーブルの可否によって定義され、
前記遅延ラインは、直列連結した複数の単位遅延部を含み、
前記複数の単位遅延部のうち最前端の単位遅延部は、前記初期動作信号および予め設定された1ビットの前記遅延制御コードに応答して前記基準クロックまたは前記フィードバッククロックを遅延させ、最後端の単位遅延部は、反転した前記初期動作信号および予め設定された1ビットの前記遅延制御コードに応答して前記基準クロックまたは前端の単位遅延部の出力信号を遅延させ、残りの単位遅延部は、それぞれ外部供給電源および予め設定された1ビットの前記遅延制御コードに応答して前記基準クロックまたは前端の単位遅延部の出力信号を遅延させるように構成され、
それぞれの単位遅延部は、それぞれ前記複数の単位遅延クロックを1つずつ出力することを特徴とする請求項15に記載のDLL回路。
【請求項17】
前記初期遅延モニタリング手段は、
前記基準クロックと前記複数の単位遅延クロックの位相をそれぞれ比較して初期位相コードを生成する初期位相情報抽出部と、
前記初期位相コードをデコーディングして前記初期設定コードを出力するデコーディング部と、
を含むことを特徴とする請求項13に記載のDLL回路。
【請求項18】
前記シフトレジスタは、前記初期動作信号がディセーブルされれば位相比較信号に応答して前記遅延制御コードの論理値を調整することを特徴とする請求項16に記載のDLL回路。
【請求項19】
前記シフトレジスタは、
前記位相比較信号に応答してカウンティング動作を実行して複数ビットのカウント信号を出力するカウンティング部と、
前記複数ビットのカウント信号をデコーディングして位相デコーディングコードを出力するデコーディング部と、
前記初期動作信号に応答して前記位相デコーディングコードまたは前記初期設定コードを選択的に出力するマックス部と、
前記マックス部の出力信号をラッチして前記遅延制御コードとして出力するラッチ部と、
を含むことを特徴とする請求項18に記載のDLL回路。
【請求項20】
動作開始信号がイネーブルされれば前記基準クロックの所定の周期内に前記初期動作信号をイネーブルさせる初期動作設定手段と、
をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載のDLL回路。
【請求項21】
外部クロックをバッファリングして前記基準クロックを生成するクロック入力バッファと、
前記遅延ラインから出力されて生成されたクロックを所定の時間遅延させて前記フィードバッククロックを生成する遅延補償手段と、
前記基準クロックと前記フィードバッククロックの位相を比較して前記位相比較信号を生成する位相比較手段と、
をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載のDLL回路。
【請求項22】
フィードバッククロックを遅延させて複数の単位遅延クロックを生成するステップと、
前記複数の単位遅延クロックと基準クロックの位相を比較して初期設定コードを生成するステップと、
前記初期設定コードを遅延制御コードとして活用し、遅延ラインが前記基準クロックに付与する遅延量を調整するステップと、
位相比較信号に応答して前記遅延制御コードを生成し、前記遅延ラインが前記基準クロックに付与する遅延量を調整するステップと、
を含むことを特徴とするDLL(Delay Locked Loop)回路の制御方法。
【請求項23】
前記初期設定コードを生成するステップは、前記複数の単位遅延クロックと前記基準クロックの位相をそれぞれ比較して前記フィードバッククロックの初期位相をモニタリングし、前記基準クロックと前記フィードバッククロックの位相差が最小化されるようにする前記遅延ラインの最初遅延値を設定するための前記初期設定コードを生成するステップであることを特徴とする請求項22に記載のDLL回路の制御方法。
【請求項24】
前記遅延量を調整するステップは、
前記位相比較信号に応答してカウンティング動作を実行して複数ビットのカウント信号を生成するステップと、
前記複数ビットのカウント信号をデコーディングして位相デコーディングコードを生成するステップと、
前記位相デコーディングコードをラッチして前記遅延制御コードとして出力するステップと、
を含むことを特徴とする請求項22に記載のDLL回路の制御方法。
【請求項25】
前記遅延クロックを生成するステップの前に、
外部クロックをバッファリングして前記基準クロックを生成するステップと、
前記遅延ラインの出力信号をファイン遅延させて遅延クロックを生成するステップと、
前記遅延クロックを所定の時間遅延させて前記フィードバッククロックを生成するステップと、
前記基準クロックと前記フィードバッククロックの位相を比較して前記位相比較信号を生成するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項22に記載のDLL回路の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−141954(P2009−141954A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301828(P2008−301828)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(591024111)株式会社ハイニックスセミコンダクター (1,189)
【氏名又は名称原語表記】HYNIX SEMICONDUCTOR INC.
【住所又は居所原語表記】San 136−1,Ami−Ri,Bubal−Eup,Ichon−Shi,Kyoungki−Do,Korea
【Fターム(参考)】