説明

EMC試験用アンテナ装置、試験信号発生装置及び送信装置

【課題】 EMC試験(特にイミュニティ試験)に用いられる送信装置を、コストアップを招くことなく、試験対象物に対して試験用電波を適正に照射できるようにする。
【解決手段】 送信装置は、ホーンアンテナ20と、その放射方向等を補正する誘電体レンズ30とを備える。誘電体レンズ30は、レンズ部32と、鍔部34と、突起部36とから構成され、鍔部34をホーンアンテナ20の開口端に当接し、突起部36をホーンアンテナ20に溶接されたL字金具22にビス止めすることにより、ホーンアンテナ20の開口端に直接固定される。この結果、ホーンアンテナ20からの送信電波は、誘電体レンズ30に損失なく入射し、しかも、誘電体レンズ30を通過することなく試験対象物側に放射されることはない。従って、ホーンアンテナ20のゲインや誘電体レンズ30の形状を大きくする必要がなく、送信装置を低コストで実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EMC試験、特に、妨害波による試験対象物の耐性を測定するイミュニティ試験、を行うのに好適なEMC試験用アンテナ装置、試験信号発生装置及び送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子装置や電子部品の電磁環境適合性(EMC:Electro Magnetic Compatibility)を評価するEMC試験として、試験の対象物(電子装置や電子部品)自身から放射される妨害波の大きさを測定するエミッション試験と、外部からの妨害波を受けた際の機器の耐性を測定するイミュニティ試験とが知られている。
【0003】
また、このイミュニティ試験では、試験対象物に対し、妨害波として、所定周波数帯(例えば、放射電磁界試験では、数十MHz〜数GHz)の試験用電波を照射することになるが、このとき試験対象物に照射する試験用電波の強度や照射範囲は、国際電気標準会議(IEC)等の国際規格で規定されている。
【0004】
このため、イミュニティ試験を行う際に用いられる妨害波(換言すれば試験用電波)の送信装置としては、従来より、試験対象物に対して試験用電波を適正に照射できるようにするために、試験用電波を放射するアンテナ(ホーンアンテナ)と試験対象物との間に誘電体レンズを配置し、この誘電体レンズを用いて、試験対象物に対する試験用電波の照射範囲や照射レベルを補正することが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【0005】
そして、この提案の装置によれば、誘電体レンズの曲率や誘電率を適宜設定することにより、試験対象物に対する試験用電波の照射範囲が適正範囲になるように調整したり、その照射範囲全域で試験用電波の位相を一致させる、といったことができるようになる。
【特許文献1】特開2003−121485号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記提案の送信装置において、誘電体レンズは、ホーンアンテナに対して離れた位置に配置するように構成されているため、ホーンアンテナから放射された試験用電波は、ホーンアンテナと誘電体レンズとの間の空間で生じる伝送損失、及び、誘電体レンズ表面での反射等によって、減衰されてしまい、試験対象物での試験用電波の強度を適正レベルに確保するには、その減衰量だけホーンアンテナのゲイン(利得)を大きくしなければならず、ホーンアンテナの大型化、延いては装置のコストアップを招くという問題があった。
【0007】
また、ホーンアンテナからは、その開口面から広がるように試験用電波が放射されることから、誘電体レンズをホーンアンテナから離れた位置に配置すると、ホーンアンテナから放射された試験用電波の一部は、誘電体レンズを通ることなく試験対象物方向に放射されてしまい、この電波がEMC試験(イミュニティ試験)に悪影響を与えることも考えられる。なお、この問題を防止するには、ホーンアンテナから放射された電波が全て誘電体レンズに届くように、誘電体レンズの径を大きくすればよいが、誘電体レンズの径を大きくすると、装置のコストアップを招くことになる。
【0008】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、EMC試験、特に、妨害波による試験対象物の耐性を測定するイミュニティ試験を行うに当たって、妨害波としての試験用電波を送信するのに用いられる送信装置(ホーンアンテナや誘電体レンズ等)のコストアップを招くことなく、試験対象物に対して試験用電波を適正に照射できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、試験対象物のEMC試験を行うのに用いられるEMC試験用アンテナ装置であって、試験対象物に向けて試験用電波を放射するホーンアンテナと、このホーンアンテナからの試験用電波の放射特性を補正する放射特性補正レンズとを備え、放射特性補正レンズをホーンアンテナの開口端に配置してなることを特徴とする。
【0010】
このように、本発明のEMC試験用アンテナ装置においては、試験用電波を放射するホーンアンテナの開口端に、その試験用電波の放射特性を補正するための放射特性補正レンズが配置されることから、ホーンアンテナからの送信電波が放射特性補正レンズに損失なく入射することになり、上述した従来装置のように、ホーンアンテナから放射特性補正レンズに至る試験用電波の伝送経路で生じる伝送損失を補うために、ホーンアンテナのゲインを大きくする必要はない。
【0011】
また、放射特性補正レンズは、ホーンアンテナの開口端に配置されることから、ホーンアンテナからの送信電波は必ず放射特性補正レンズを通って外部に放射されることになり、上述した従来装置のように、ホーンアンテナからの送信電波の一部が放射特性補正レンズを通ることなく試験対象物方向に放射されてしまい、その電波がEMC試験(イミュニティ試験)に悪影響を与えることはない。
【0012】
また、放射特性補正レンズは、ホーンアンテナの開口端と略同じ径にすればよく、上述した従来装置のように、レンズの径を、ホーンアンテナ20の開口端に比べて著しく大きくする必要はない。
【0013】
よって、本発明のEMC試験用アンテナ装置によれば、ホーンアンテナや放射特性補正レンズを大型化することなく、試験対象物に対して試験用電波を適正に照射できるようになり、EMC試験(特に妨害波による試験対象物の耐性を測定するイミュニティ試験)を行うのに適したアンテナ装置を、低コストで実現できることになる。
【0014】
ここで、放射特性補正レンズは、ホーンアンテナ単体での電波の放射特性を試験に適した放射特性に補正するものであることから、ホーンアンテナ単体での電波の放射特性に応じて、レンズの種類や形状を設定すればよいが、レンズの種類としては、請求項3に記載のように、上述した公報に開示されているような誘電体レンズであってもよく、或いは、請求項2に記載のように、複数の金属板(メタルプレート)を所定の間隔を開けて平行に配置したメタルプレートレンズであってもよい。
【0015】
また、請求項3に記載のように放射特性補正レンズを誘電体レンズにて構成する場合には、請求項4又は請求項5に記載のように、一般的な凸レンズ若しくは凹レンズにすればよい。
【0016】
但し、この場合、レンズの表・裏面が連続する曲面となるので、レンズの厚みが大きくなり過ぎ(換言すれば重くなり過ぎ)、ホーンアンテナの開口端に配置し難くなることも考えられる。
【0017】
そこで、このような場合には、請求項6に記載のように、放射特性補正レンズ(つまり誘電体レンズ)を、フレネルレンズで構成するようにしてもよい。そして、このように誘電体レンズをフレネルレンズにて構成すれば、レンズ全体の厚みを小さくして、誘電体レンズの軽量化を図ることができる。
【0018】
また、本発明において、放射特性補正レンズは、試験対象物に対する試験用電波の照射特性が予め設定された試験用の規格に沿ったものとなるように、ホーンアンテナからの電波の放射特性を補正するためのものであるが、このためには、放射特性補正レンズの電波の透過特性が、試験に使用するホーンアンテナや試験対象物の仕様に応じた最適な特性となるように調整する必要がある。
【0019】
そして、放射特性補正レンズをメタルプレートレンズにて構成した際には、レンズを構成している各メタルプレートの形状を適宜変更すればよいが、放射特性補正レンズとして誘電体レンズを利用する場合には、レンズの誘電率や厚み等を調整する必要があることから、その調整が難しいという問題がある。
【0020】
そこで、放射特性補正レンズとして誘電体レンズを利用し、その調整作業を効率よく行えるようにするには、請求項7に記載のように、放射特性補正レンズ(つまり誘電体レンズ)を、レンズの表面から裏面にかけて複数に分割することで、その分割したレンズ部材毎に特性を調整できるようにし、この放射特性補正レンズ(つまり誘電体レンズ)をホーンアンテナの開口端に配置する際には、その分割された複数のレンズ部材を接合した状態でホーンアンテナの開口端に配置するようにするとよい。
【0021】
なお、このように放射特性補正レンズを複数のレンズ部材にて構成した場合、各レンズ部材の接合は、接合面に接着剤を塗布することにより行うようにしてもよく、粘着テープを利用して各レンズ部材を外側から接合するようにしてもよい。
【0022】
但し、この場合、放射特性補正レンズの電波の通過特性に影響を与えることのないようにするために、接着剤や粘着テープには、レンズと略同じ誘電率を有する材料のものを用い、その厚さは、試験用電波の波長の1/4以下(より好ましくは1/16以下)にすることが望ましい。
【0023】
一方、本発明のEMC試験用アンテナ装置では、放射特性補正レンズがホーンアンテナの開口端に配置されるが、配置後に、放射特性補正レンズとホーンアンテナとの相対位置がずれると、当該アンテナ装置からの試験用電波の放射特性が変化してしまうことから、放射特性補正レンズは、ホーンアンテナの開口端に対して、しっかりと位置決めできるようにする必要がある。
【0024】
そして、このためには、放射特性補正レンズが誘電体レンズである場合には、例えば、請求項8に記載のように、放射特性補正レンズのレンズ面周囲の外周部に、鍔部を設けるようにするとよい。
【0025】
つまり、このように、放射特性補正レンズ(誘電体レンズ)の外周部に鍔部を設けるようにすれば、放射特性補正レンズ(誘電体レンズ)をホーンアンテナの開口端に配置する際に、この鍔部をホーンアンテナの開口端に当接させることによって、ホーンアンテナの開口端に放射特性補正レンズ(誘電体レンズ)をしっかりと位置決めできるようになり、当該アンテナ装置の使用時に、放射特性補正レンズ(誘電体レンズ)とホーンアンテナとの相対位置がずれて、当該アンテナ装置からの試験用電波の放射特性が変化してしまう、といったことを防止できる。
【0026】
また、このように放射特性補正レンズ(誘電体レンズ)の外周部に鍔部を設ける場合には、更に請求項9に記載のように、この鍔部に、ホーンアンテナの開口端周囲を囲むように複数の突起部を設けるようにしてもよい。そして、このようにすれば、鍔部に設けた突起部によって、ホーンアンテナに対して放射特性補正レンズ(誘電体レンズ)をより正確に位置決めできるようになり、当該アンテナ装置の使用時に放射特性補正レンズ(誘電体レンズ)とホーンアンテナとの相対位置がずれるのをより確実に防止できる。
【0027】
また、ホーンアンテナの開口端に放射特性補正レンズ(誘電体レンズ)を配置するには、これら各部とは別体で構成された配置用の部材を使用するようにしてもよいが、請求項9に記載のように、放射特性補正レンズ(誘電体レンズ)の外周部に設けられた鍔部に複数の突起部を設けた場合には、請求項10に記載のように、ホーンアンテナの外周面に、放射特性補正レンズ(誘電体レンズ)の鍔部に設けられた複数の突起部をホーンアンテナに接合するための複数の接合用金具を設けるようにするとよい。
【0028】
つまりこのようにすれば、放射特性補正レンズ(誘電体レンズ)の鍔部に設けた複数の突起部を、ホーンアンテナの開口端に対する放射特性補正レンズ(誘電体レンズ)の位置決め用兼固定用の部材として利用することができるようになり、ホーンアンテナの開口端へ放射特性補正レンズ(誘電体レンズ)を配置するのに使用する配置用部材の構成を簡単にし、当該アンテナ装置のコストダウンを図ることができる。
【0029】
一方、放射特性補正レンズをホーンアンテナの開口端に位置決めするには、必ずしも、放射特性補正レンズを誘電体レンズにて構成して、その外周部に鍔部を設ける必要はなく、例えば、請求項11に記載のように、放射特性補正レンズを一対の挟持部材にて挟持するようにし、その一対の挟持部材の一方をホーンアンテナの内部に収納し、他方の挟持部材を、放射特性補正レンズを挟んでホーンアンテナの外側に配置し、更に、その他方の挟持部材を、固定部材を介してホーンアンテナに固定することにより、ホーンアンテナの開口端に放射特性補正レンズを配置するようにしてもよい。
【0030】
なお、請求項11に記載のアンテナ装置おいて、一対の挟持部材は、当該アンテナ装置からの試験用電波の放射特性に影響を与えることのないよう、試験用電波を透過可能な材料にて構成する必要があり、特に、放射特性補正レンズを挟持した際に放射特性補正レンズに応力が加わるのを防止するためには、例えば、請求項12に記載のように、一対の挟持部材として、弾性を有するウレタンからなる挟持部材を用いるようにするとよい。
【0031】
また、放射特性補正レンズをホーンアンテナの開口端に位置決めするには、例えば、請求項13に記載のように、ホーンアンテナ及び放射特性補正レンズを、それぞれ、ホーンアンテナの開口端と放射特性補正レンズのレンズ面とを接離可能に支持する支持部材を設け、放射特性補正レンズは、この支持部材を介して、ホーンアンテナの開口端に配置するようにしてもよい。
【0032】
なお、この場合、支持部材は、請求項14に記載のように、スライドレールと、このスライドレール上に移動可能に設けられる複数の支持台とから構成し、ホーンアンテナ及び放射特性補正レンズを各支持台に固定するようにするとよい。つまり、このようにすれば、ホーンアンテナ及び放射特性補正レンズを固定した支持台をスライドレール上に配置し、スライドレール上で、これら支持台を近接位置に配置することで、ホーンアンテナの開口端に放射特性補正レンズを簡単に配置できるようになる。
【0033】
次に、請求項15に記載の発明は、妨害波による試験対象物の耐性を測定するイミュニティ試験用の試験信号を発生して、請求項1〜請求項14の何れかに記載のEMC試験用アンテナ装置に出力することにより、このEMC試験用アンテナ装置から試験対象物に向けて妨害波を放射させる試験信号発生装置に関するものである。
【0034】
そして、この試験信号発生装置においては、信号発生器が試験信号を発生し、増幅器が、信号発生器から出力された試験信号を増幅し、方向性伝送手段が、この増幅器にて増幅された試験信号をEMC試験用アンテナ装置が接続される出力端子まで伝送すると共に、この出力端子に外部から入力された高周波信号が増幅器に戻るのを阻止する。
【0035】
従って、この試験信号発生装置によれば、EMC試験用アンテナ装置から放射させた試験用電波が、試験対象物や試験対象物周囲の物体で反射され、その反射波が、EMC試験用アンテナ装置にて受信された場合に、その受信信号が増幅器に入力されて、増幅器が故障するのを防止できる。
【0036】
つまり、増幅器にて増幅された試験信号をEMC試験用アンテナ装置に直接出力するようにした場合、試験用電波の反射波がEMC試験用アンテナ装置にて受信されると、その受信信号が、そのまま増幅器の出力段の増幅素子(出力トランジスタ)に入力されることになる。そして、反射波(延いては受信信号)の信号レベルが大きい場合には、増幅器における出力トランジスタに、耐圧オーバー、許容コレクタ電流オーバー、熱による許容損失オーバー、等の問題が生じ、出力トランジスタ(延いては増幅器)が故障してしまう。
【0037】
しかし、本発明の試験信号発生装置には、増幅器とEMC試験用アンテナ装置との間の試験信号の伝送経路に、方向性伝送手段が設けられ、この方向性伝送手段により、EMC試験用アンテナ装置から入力された高周波信号が増幅器に戻るのを阻止するようにされているので、試験用電波の反射波がEMC試験用アンテナ装置にて受信されとしても、その受信信号が方向性伝送手段にて充分減衰されることから、この受信信号によって増幅器が故障するのを防止することができるようになるのである。
【0038】
なお、方向性伝送手段としては、周知のアイソレータ若しくはサーキュレータを使用することができる。
また次に、上記のように試験信号発生装置にアイソレータ若しくはサーキュレータからなる方向性伝送手段を設けた場合、この方向性伝送手段にて、EMC試験用アンテナ装置から入力された反射波の受信信号を減衰させることはできるものの、例えば、全反射等によって反射波が高レベルとなり、EMC試験用アンテナ装置から入力される受信信号の信号レベルも高レベルになると、その受信信号を方向性伝送手段にて充分減衰させることができず、増幅器に高レベルの受信信号が入力されて増幅器が故障してしまうことも考えられる。
【0039】
そこで、こうした問題をより確実に防止できるようにするには、請求項15に記載の試験信号発生装置は、更に請求項16に記載のように、信号発生器から出力された試験信号を分配器にて複数に分配して、複数の増幅器に夫々入力することにより、分配後の試験信号を各増幅器にて増幅させ、更に、各増幅器にて増幅された試験信号は、これら各増幅器に対応する各方向性伝送手段を介して合成器に入力することにより、この合成器にて合成させ、その合成後の試験信号を出力端子(延いてはEMC試験用アンテナ装置)に出力するように構成するとよい。
【0040】
つまり、試験信号発生装置をこのように構成すれば、EMC試験用アンテナ装置から入力される反射波の受信信号は、合成器にて分配(換言すれば減衰)されて各方向性伝送手段に入力されることから、各方向性伝送手段から対応する増幅器には、受信信号が充分減衰されて入力されることになり、この受信信号によって増幅器が故障するのを防止できる。
【0041】
また、請求項16に記載の試験信号発生装置では、信号発生器が発生した試験信号を複数の増幅器にてそれぞれ増幅し、各増幅器から出力される増幅後の試験信号を合成して、EMC試験用アンテナ装置に出力することから、各増幅器に、EMC試験用アンテナ装置に出力すべき試験信号の電力よりも低い送信パワーの増幅器を使用することができるようになり、試験信号発生装置を低コストで実現できる、という効果もある。
【0042】
つまり、増幅器の送信パワーを大きくするには、放送局等で利用されている進行波管(Travelling Wave Tube)等の高価な増幅器を使用する必要があるが、試験信号発生装置を請求項16に記載のように構成すれば、増幅器の数は増加するものの、各増幅器の送信パワーを小さくすることができる(例えば、増幅器が2個の場合、アンプの送信パワーは、装置全体の送信パワーの約1/2(換言すれば−3dB)にすることができる)ため、各増幅器をトランジスタ等からなるソリッドステートアンプにて構成することができるようになり、試験信号発生装置を低コストで実現できるようになるのである。
【0043】
次に、請求項17に記載の発明は、妨害波による試験対象物の耐性を測定するイミュニティ試験を行うために試験対象物に向けて試験用の妨害波を送信する送信装置に関する発明であり、請求項1〜請求項14の何れかに記載のEMC試験用アンテナ装置と、請求項15又は請求項16に記載の試験信号発生装置とを備えたことを特徴とする。
【0044】
従って、本発明によれば、イミュニティ試験を行う際に、試験対象物に対して試験用電波を適正に照射することができる送信装置を、低コストで実現できることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用された実施形態の送信装置全体の構成を表す構成図である。
図1に示すように、本実施形態の送信装置は、妨害波による試験対象物5の耐性を測定するイミュニティ試験を行うために、試験対象物5に向けて試験用の妨害波(試験用電波)を送信するものであり、試験用電波となる試験信号を発生する試験信号発生装置10と、この試験信号発生装置10から出力される試験信号を受けて試験用電波を放射するホーンアンテナ20と、このホーンアンテナ20の開口端に固定され、ホーンアンテナ20からの試験用電波の放射特性を補正する誘電体レンズ30と、から構成されている。
【0046】
また、試験信号発生装置10は、例えば、国際規格「IEC61000−4−3」等で規定された放射電磁界試験を行うために、予め設定された所定周波数帯(数十MHz〜数GHz)の試験信号を発生する信号発生器12と、この信号発生器12から出力された試験信号を増幅する増幅器14と、この増幅器14にて増幅された試験信号をホーンアンテナ20が接続される出力端子19まで伝送すると共に、ホーンアンテナ20側から出力端子19に入力された信号(試験用電波の反射波の受信信号等)を減衰させて増幅器14に戻るのを阻止するアイソレータ16と、から構成されている。
【0047】
一方、誘電体レンズ30は、図2(b)に示す如く、ホーンアンテナ20の開口端部と略同径のレンズ部32と、このレンズ部32のレンズ面の外周部に形成された鍔部34と、この鍔部34に対してホーンアンテナ20の開口端周囲を囲むように突設された複数の突起部36と、から構成されている。
【0048】
また、図2(a)に示す如く、ホーンアンテナ20の開口端付近の外周面には、誘電体レンズ30の鍔部34がホーンアンテナ20の開口端に当接し、且つ、突起部36がホーンアンテナ20の開口端周囲を囲むように誘電体レンズ30をホーンアンテナ20の開口端に配置した際、誘電体レンズ30の鍔部34に突設された各突起部36に当接されるように、複数のL字金具22が溶接されている。
【0049】
そして、これら各L字金具22と誘電体レンズ30の各突起部36には、ビス24を介して各突起部36をL字金具22に固定するためのねじ孔が穿設されており、誘電体レンズ30は、上記のようにホーンアンテナ20の開口端に固定した後、突起部36をホーンアンテナ20のL字金具22にビス止めすることにより、ホーンアンテナ20と一体化されている。なお、このように、開口端に誘電体レンズ30が固定された本実施形態のホーンアンテナ20は、本発明のEMC試験用アンテナ装置に相当する。
【0050】
以上説明したように、本実施形態の送信装置においては、試験用電波を放射するホーンアンテナ20の開口端に、その試験用電波の放射特性を補正するための誘電体レンズ30を直接固定している。このため、ホーンアンテナ20からの送信電波は、誘電体レンズ30に損失なく入射することになり、従来装置のように、ホーンアンテナ20から誘電体レンズ30に至る試験用電波の伝送経路で生じる伝送損失を補うために、ホーンアンテナ20のゲインを大きくする必要はない。
【0051】
また、誘電体レンズ30は、ホーンアンテナ20の開口端に固定されることから、ホーンアンテナ20からの送信電波は必ず誘電体レンズ30を通って外部に放射されることになり、従来装置のように、ホーンアンテナ20からの送信電波の一部が誘電体レンズ30を通ることなく試験対象物方向に放射されてしまい、その電波がイミュニティ試験に悪影響を与えることはない。
【0052】
また、誘電体レンズ30は、ホーンアンテナ20の開口端と略同じ径にすればよく、従来装置のように、誘電体レンズ30の径を、ホーンアンテナ20の開口端に比べて著しく大きくする必要はない。
【0053】
よって、本実施形態の送信装置によれば、アンテナ装置を構成しているホーンアンテナ20や誘電体レンズ30を大型化することなく、試験対象物5に対して試験用電波を適正に照射できるようになる。
【0054】
また、本実施形態では、誘電体レンズ30のレンズ部32の外周部に鍔部34を設け、この鍔部34に突設した複数の突起部36を、ホーンアンテナ20の外周面に溶接したL字金具22にビス止めするようにしていることから、ホーンアンテナ20の開口端に誘電体レンズ30を固定する際には、鍔部34と突起部36とによりホーンアンテナ20に対してレンズ部32を正確に位置決めすることができ、しかも、位置決め後は、ビス24を用いて誘電体レンズ30をホーンアンテナ20にしっかりと固定することができる。
【0055】
よって、本実施形態によれば、ホーンアンテナ20と誘電体レンズ30とから構成されるアンテナ装置の使用に伴い、ホーンアンテナ20と誘電体レンズ30との相対位置がずれて、アンテナ装置からの試験用電波の放射特性が変化してしまうといったことはなく、アンテナ装置の試験用電波の放射特性を常時最適な特性に保持することができる。
【0056】
また更に、本実施形態において、試験信号発生装置10は、増幅器14にて増幅した試験信号を、方向性伝送手段としてのアイソレータ16を介して、ホーンアンテナ20に出力するように構成されていることから、ホーンアンテナ20から誘電体レンズ30を介して放射された試験用電波が試験対象物5や試験対象物5周囲の物体で反射され、その反射波が、ホーンアンテナ20にて受信されて、その受信信号が出力端子19から試験信号発生装置10内に入力されたとしても、その受信信号をアイソレータ16にて減衰させることができ、延いては、その受信信号から増幅器14を保護することができる。
【0057】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術範囲内にて種々の態様を採ることができる。
例えば、上記実施形態では、誘電体レンズ30は一つの部材からなるものとして説明したが、誘電体レンズには、ホーンアンテナ20からの放射電波が入射される表面からレンズ内に入射した放射電波を出射させる裏面にかけて複数に分割したものを使用してもよい。
【0058】
具体的には、図3(b)に示す誘電体レンズ40は、上記実施形態の誘電体レンズ30を、ホーンアンテナ20に向けられるレンズ面を有する第1レンズ部41と、試験対象物5に向けられるレンズ面を有する第3レンズ部43と、これら第1レンズ部41と第3レンズ部43との間に位置し、上記実施形態における鍔部34を形成する第2レンズ部42とに分割したものを表しているが、このような誘電体レンズ40であっても、図3(a)に示す如く、各レンズ部41〜43を順に重ねてホーンアンテナ20の開口端部に固定するようにすれば、上記実施形態と同様のアンテナ装置を実現できる。
【0059】
そして、このように誘電体レンズ40を複数のレンズ部41〜43にて構成するように場合、各レンズ部41〜43毎に試験電波の透過特性を調整することができるようになり、誘電体レンズ40の調整作業を効率よく行うことができるようになる。
【0060】
なお、このように誘電体レンズ40を複数のレンズ部41〜43にて構成した場合には、図3(a)に示すように、各レンズ部41〜43をホーンアンテナ20の開口端に配置した後、その周囲から、粘着テープ48を用いて、各レンズ部41〜43とホーンアンテナ20とを接合するようにしてもよく、或いは、各レンズ部41〜43を接着剤を介して接合することにより一体化し、その後、上記実施形態と同様に、ビス24等を介してホーンアンテナ20の開口端に誘電体レンズ40を固定するようにしてもよい。
【0061】
また、この場合、粘着テープ48や接着剤には、誘電体レンズ40の電波の通過特性に影響を与えることのないよう、誘電体レンズ40と略同じ誘電率を有する材料のものを用いることが望ましく、その厚さは、試験用電波の波長の1/4以下(より好ましくは1/16以下)にすることが望ましい。
【0062】
次に、図2及び図3に示した誘電体レンズ30、40は、レンズの表・裏面が連続する曲面で構成されているが、この場合、レンズの厚みが大きくなり過ぎ(換言すれば重くなり過ぎ)、ホーンアンテナの開口端に直接固定できなくなることも考えられる。そこで、このような場合には、図4に示す如く、誘電体レンズには、フレネルレンズからなる誘電体レンズ50を用い、これをホーンアンテナ20の開口端に固定するようにしてもよい。つまり、誘電体レンズ50をフレネルレンズにて構成すれば、レンズの厚みを小さくして、誘電体レンズ50の軽量化を図り、ホーンアンテナ20の開口端に容易に固定できるようになる。
【0063】
なお、図4に示した誘電体レンズ50は、フレネルレンズからなるレンズ部52の周囲に鍔部54を設け、この鍔部54に突設した突起部56を、ホーンアンテナ20の外周面に溶接されたL字金具22にビス止めすることにより、ホーンアンテナ20の開口端に固定できるようにされている。
【0064】
また次に、上記実施形態では、誘電体レンズ30には、レンズ部32周囲の外周部に鍔部34を設け、この鍔部34に突設した突起部36をホーンアンテナ20に溶接されたL字金具22にビス止めすることにより、誘電体レンズ30をホーンアンテナ20に固定するものとして説明したが、例えば、図5に示すように、誘電体レンズ60を鍔部等のないレンズ部単体で構成し、その誘電体レンズ60の表・裏面を、ウレタンからなる一対の挟持部材62、64にて挟持し、一方の挟持部材(内側挟持部材)62をホーンアンテナ20の開口端から内部に収納し、他方の挟持部材(外側挟持部材64を、ホーンアンテナ20の開口よりも外側に配置することにより、誘電体レンズ60をホーンアンテナ20の開口端に固定するようにしてもよい。
【0065】
なお、この場合、内側挟持部材62は、ホーンアンテナ20の開口端付近の内壁にて保持することができるが、外側挟持部材64は、ホーンアンテナ20に直接固定することができないことから、内側挟持部材62との間で誘電体レンズ60を挟んだ状態で外側挟持部材64をホーンアンテナ20に固定するための固定具が必要になる。
【0066】
そして、この固定具としては、具体的には、図5に示すように、ホーンアンテナ20の開口端付近の外周面に設けられた第1固定金具26と、外側挟持部材64を収納可能な第2固定金具28とから構成し、外側挟持部材64を第2固定金具28に収納した後、ビス29を介して第2固定金具28を第1固定金具26に固定することで、誘電体レンズ60を内側挟持部材62と外側挟持部材64との間に挟んだ状態で、これら各部をホーンアンテナ20の開口端付近に位置決めできるようにすればよい。
【0067】
またこのように誘電体レンズをホーンアンテナの開口端に位置決めするには、必ずしも、固定用の金具やビス或いは粘着テープ等を使用する必要はなく、例えば、図6に示すように、ホーンアンテナ20及び誘電体レンズ30′を、それぞれ、支柱72a,72b若しくは支柱74aを介して、アンテナ支持台72若しくはレンズ支持台74上に固定し、更に、これら各支持台72,74を、スライドレール70上にスライド可能に配置して、スライドレール70上で移動させることにより、誘電体レンズ30′をホーンアンテナ20の開口端に位置決めするようにしてもよい。
【0068】
そして、このようにすれば、アンテナ支持台72及びレンズ支持台74を介してスライドレール70上に載置するホーンアンテナ20や誘電体レンズ30を変更することにより、EMC試験(詳しくはイミュニティ試験)を行うのに用いるホーンアンテナ20と誘電体レンズ30′との組み合わせを簡単に変更することができるようになる。
【0069】
なお、図6において、誘電体レンズ30′は、図2に示した誘電体レンズ30からビス止め用の突起部36を削除したものとなっており、レンズ支持台74から突出した支柱74aを誘電体レンズ30′の鍔部34に接合することにより、レンズ支持台74(延いてはスライドレール70)上に載置されている。
【0070】
一方、上記実施形態では、ホーンアンテナ20の開口端に配置する放射特性補正レンズは、凸レンズ形状に形成された誘電体レンズ30,40,60、若しくは、フレネルレンズとして形成された誘電体レンズ50であるものとして説明したが、本発明の放射特性補正レンズとしては、図7(a)に示すように凹レンズ形状に形成された誘電体レンズ80であっても、或いは、図7(b)に示すように、複数の金属板(メタルプレート)を所定の間隔を開けて平行に配置したメタルプレートレンズ90であってもよい。
【0071】
なお、図7において、上記各レンズ80、90は、図6に示したスライドレール70に載置してホーンアンテナ20の開口端に配置できるように、支柱74aを介してレンズ支持台74上に固定されているものとして記載されているが、これら各アンプは、図5に示したように挟持部材62、64を利用してホーンアンテナ20の開口端に配置するようにしてもよく、或いは、各レンズ80、90の周囲に合成樹脂等からなる鍔部を設けて、ホーンアンテナ20の開口端に位置決め固定するようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、試験信号発生装置10には、試験信号を増幅する増幅器14と、この増幅器14にて増幅された試験信号をホーンアンテナ20側に出力するアイソレータ16とが、夫々、1個設けられるものとして説明したが、例えば、図8に示すように、試験信号発生装置10には、増幅器14及びアイソレータ16を複数対(図では8対)設け、信号発生器12から出力された試験信号は、分配器13にて複数に分配(図では8分配)して各増幅器14に出力入力するようにし、各増幅器14にて増幅された試験信号については、各増幅器14に対応するアイソレータ16を介して、合成器18に入力することにより、合成器18にて合成し、出力端子19からホーンアンテナ20へ出力するように構成してもよい。
【0073】
なお、図8において、試験信号発生装置10には、合成器18として、8個の増幅器14にて夫々増幅された8系統の試験信号の内、互いに隣接する2つの増幅器14にて増幅された試験信号同士を夫々合成する4個の合成器18と、これら4個の合成器18にて合成された4系統の試験信号の内、互いに隣接する2つの合成器18にて合成された試験信号同士を夫々合成する2個の合成器18と、この2個の合成器18にて合成された2系統の試験信号同士を合成する1個の合成器18との、合計7個の合成器が設けられている。
【0074】
そして、試験信号発生装置10を、図8に示す如く構成した場合には、ホーンアンテナ20から誘電体レンズ30、40、50、60等を介して送信した試験用電波の反射波が高レベルとなり、ホーンアンテナ20から試験信号発生装置10に入力される受信信号の信号レベルが著しく高レベルになったとしても、その受信信号は、合成器18にて分配され、更に、アイソレータ16にて減衰されることから、各増幅器14に入力される受信信号の信号レベルは充分低くなり、各増幅器14がその受信信号によって故障するのをより確実に防止することができる。
【0075】
また、試験信号発生装置10を、図8に示す如く構成した場合には、複数の増幅器14にて増幅した試験信号を合成してホーンアンテナ20に出力することができるため、増幅器14の1台当たりの送信パワーは、図1に示した試験信号発生装置10の増幅器14の1/8にすることができ、延いては、試験信号発生装置10を低コストで実現できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施形態の送信装置全体の構成を表す構成図である。
【図2】実施形態の誘電体レンズの構成及びホーンアンテナへの取付状態を表す説明図である。
【図3】分割タイプにした誘電体レンズの構成及びホーンアンテナへの取付状態を表す説明図である。
【図4】フレネルレンズからなる誘電体レンズの構成及びホーンアンテナへの取付状態を表す説明図である。
【図5】誘電体レンズを一対の挟持部材で挟持してホーンアンテナに固定した状態を表す説明図である。
【図6】ホーンアンテナ及び誘電体レンズをスライドレール上の支持台に固定した状態を表す説明図である。
【図7】放射特性補正レンズの他の構成例を表す説明図である。
【図8】試験信号発生装置の他の構成例を表す説明図である。
【符号の説明】
【0077】
5…試験対象物、10…試験信号発生装置、12…信号発生器、13…分配器、14…増幅器、16…アイソレータ、18…合成器、19…出力端子、20…ホーンアンテナ、22…L字金具、24,29…ビス、26…第1固定金具、28…第2固定金具、30,30′,40,50,60,80…誘電体レンズ、32,52…レンズ部、34,54…鍔部、36,56…突起部、41…第1レンズ部、42…第2レンズ部、43…第3レンズ部、48…粘着テープ、62…内側挟持部材、64…外側挟持部材、70…スライドレール、72…アンテナ支持台、74…レンズ支持台、72a,72b,74a…支柱、90…メタルプレートレンズ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象物のEMC試験を行うのに用いられるアンテナ装置であって、
前記試験対象物に向けて試験用電波を放射するホーンアンテナと、
該ホーンアンテナからの試験用電波の放射特性を補正する放射特性補正レンズと、
を備え、該放射特性補正レンズを前記ホーンアンテナの開口端に配置してなることを特徴とするEMC試験用アンテナ装置。
【請求項2】
前記放射特性補正レンズは、メタルプレートレンズからなることを特徴とする請求項1に記載のEMC試験用アンテナ装置。
【請求項3】
前記放射特性補正レンズは、誘電体レンズからなることを特徴とする請求項1に記載のEMC試験用アンテナ装置。
【請求項4】
前記放射特性補正レンズは、凸レンズであることを特徴とする請求項3に記載のEMC試験用アンテナ装置。
【請求項5】
前記放射特性補正レンズは、凹レンズであることを特徴とする請求項3に記載のEMC試験用アンテナ装置。
【請求項6】
前記放射特性補正レンズは、フレネルレンズであることを特徴とする請求項3に記載のEMC試験用アンテナ装置。
【請求項7】
前記放射特性補正レンズは、当該レンズの表面から裏面にかけて複数に分割されており、該分割された複数の誘電体レンズ部材を接合した状態で前記ホーンアンテナの開口端に配置されていることを特徴とする請求項3〜請求項6の何れかに記載のEMC試験用アンテナ装置。
【請求項8】
前記放射特性補正レンズは、レンズ面周囲の外周部に設けられた鍔部を有し、該鍔部が前記ホーンアンテナの開口端に当接されることにより、前記ホーンアンテナの開口端に位置決めされていることを特徴とする請求項3〜請求項7の何れかに記載のEMC試験用アンテナ装置。
【請求項9】
前記鍔部には、前記ホーンアンテナの開口端周囲を囲むように複数の突起部が設けられていることを特徴とする請求項8に記載のEMC試験用アンテナ装置。
【請求項10】
前記ホーンアンテナの外周面には、前記放射特性補正レンズの鍔部に設けられた複数の突起部を当該ホーンアンテナに接合するための複数の接合用金具が設けられていることを特徴とする請求項9に記載のEMC試験用アンテナ装置。
【請求項11】
試験用電波を透過可能な材料にて構成され、前記放射特性補正レンズの表面及び裏面にそれぞれ当接されて前記放射特性補正レンズを挟持する一対の挟持部材を備え、
前記放射特性補正レンズは、
前記一対の挟持部材の一方を前記ホーンアンテナの内部に収納し、他方の挟持部材を、当該放射特性補正レンズを挟んで前記ホーンアンテナの外側に配置し、更に、該他方の挟持部材を固定部材を介して前記ホーンアンテナに固定することにより、前記ホーンアンテナの開口端に配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載のEMC試験用アンテナ装置。
【請求項12】
前記一対の挟持部材は、ウレタンにて構成されていることを特徴とする請求項11に記載のEMC試験用アンテナ装置。
【請求項13】
前記ホーンアンテナ及び前記放射特性補正レンズを、それぞれ、前記ホーンアンテナの開口端と前記放射特性補正レンズのレンズ面とを接離可能に支持する支持部材を備え、
前記放射特性補正レンズは、該支持部材を介して、前記ホーンアンテナの開口端に配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載のEMC試験用アンテナ装置。
【請求項14】
前記支持部材は、スライドレールと、該スライドレール上に移動可能に設けられ、前記ホーンアンテナ及び前記放射特性補正レンズを各々支持する支持台と、からなることを特徴とする請求項7に記載のEMC試験用アンテナ装置。
【請求項15】
妨害波による試験対象物の耐性を測定するイミュニティ試験用の試験信号を発生して、請求項1〜請求項14の何れかに記載のEMC試験用アンテナ装置に出力することにより、該EMC試験用アンテナ装置から前記試験対象物に向けて前記妨害波を放射させる試験信号発生装置であって、
前記試験信号を発生する信号発生器と、
該信号発生器から出力された試験信号を増幅する増幅器と、
該増幅器にて増幅された試験信号を前記EMC試験用アンテナ装置が接続される出力端子まで伝送すると共に、該出力端子に外部から入力された高周波信号が前記増幅器に戻るのを阻止する方向性伝送手段と、
を備えたことを特徴とする試験信号発生装置。
【請求項16】
前記増幅器及び方向性伝送手段を複数対備えると共に、
前記信号発生器から出力された試験信号を複数に分配して前記各増幅器に出力する分配器と、
前記各増幅器にて増幅され、各増幅器に対応する各方向性伝送手段から出力される複数の試験信号を合成して、前記出力端子に出力する合成器と、
を備えたことを特徴とする請求項17に記載の試験信号発生装置。
【請求項17】
妨害波による試験対象物の耐性を測定するイミュニティ試験を行うために、前記試験対象物に向けて試験用の妨害波を送信する送信装置であって、
請求項1〜請求項14の何れかに記載のEMC試験用アンテナ装置と、
請求項15又は請求項16に記載の試験信号発生装置と、
を備えたことを特徴とする送信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−166399(P2006−166399A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−104826(P2005−104826)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)
【Fターム(参考)】