説明

FA機器構成設計支援装置

【課題】FA装置設計者が指定したFA機器の構成において、FA機器のバージョンの違いまで考慮したFA機器構成チェックを可能とし、旧バージョンを使用した場合に使用できない機能をFA装置設計者に警告すること。
【解決手段】複数のFA機器の組合せからなるFA機器構成を指定する入力部と、FA機器の各バージョンのFA機器間の組合せ制約条件が記述されたFA機器プロファイルが格納されたFA機器プロファイル情報管理部と、入力部によって指定されたFA機器構成の情報を管理するFA機器構成管理部と、FA機器構成管理部に格納されたFA機器構成の情報をもとにFA機器プロファイル情報管理部から該当するFA機器間の組合せ制約条件を抽出する機器組合せ制約条件演算部と、機器組合せ制約条件演算部による抽出結果を出力する演算結果出力部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バージョンの違いを考慮したFA機器構成のチェックを行うFA機器の構成設計支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
FA装置を制御するFA機器は、所望の機能を実現するためにFA機器間の組合せに制約が発生する場合がある。そのため、FA装置の設計者は、所望の機能を実現できるように、FA機器間の組合せ制約を考慮し、FA機器の構成設計を行う必要がある。FA機器設計者が多数のFA機器によって構成されるFA装置を容易に設計するために、FA装置設計者が設計したFA機器構成がFA機器間の組合せ制約事項に反していないかをチェックする機能を備えたFA機器構成設計支援装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−126816号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、FA機器は、顧客からの要求に応えるために新しい機能の追加が頻繁に行われ、型名が同じだがバージョンが異なるものが市場に多く出回っている。そのため、特定の装置に対して型名は同じだが旧バージョンのFA機器を使用した場合、所望の機能が利用できないことがある。
【0005】
装置を構成するFA機器は常に最新のバージョンのFA機器が使用されるわけではなく、例えば、装置の段取り替えといった場合に旧バージョンのFA機器を使用することも多い。
【0006】
一方、従来のFA機器構成設計支援ツールでは、ユーザのFA機器構成の指定時にはFA機器の型名レベルでのみ機器構成の指定を行い、FA機器構成のチェックにおいてはFA機器構成設計支援ツール開発時の各FA機器の最新バージョンでFA機器構成のチェックが行われており、各FA機器のバージョンの違いまでを考慮したチェックは行われていない。
【0007】
FA機器の構成が所望の動作をするか否かを確認するためには、各FA機器のバージョンまで含めた調査が必要となる。この調査は、使用するFA機器のマニュアルの全てを詳細まで理解しなければならず、FA装置設計者にとって多大な負荷となっていた。
【0008】
例えば、特定の機能を持ったFA機器「Unit_B(バージョン1)」が存在し、ここで新たな機能を持つ新たなCPU「CPU_A」が発売された事例を考える。FA機器「Unit_B(バージョン1)」は、その開発時にはCPU「CPU_A」が存在しなかったため、「Unit_B(バージョン1)」を「CPU_A」に接続することができない。その場合、FA機器「Unit_B」を「CPU_A」と組み合わせて使用するために、機能は同じであるが他の機器との連携部分を修正して「CPU_A」と組み合わせ使用を可能とした「Unit_B(バージョン2)」が開発され、発売される。Unit_Bのマニュアルには、新たに「Unit_BをCPU_Aと組み合わせて使用する場合は、Unit_Bはバージョン2以降を使用してください。」と記載される。FA装置設計者は、Unit_Bを使用する装置を設計する場合、Unit_Bのマニュアルを詳細まで確認し、組み合わせて使用するCPUがCPU_Aであれば、Unit_Bのバージョンに注意して装置を設計しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るFA機器構成設計支援装置は、複数のFA機器の組合せからなるFA機器構成を指定する入力部と、FA機器の各バージョンのFA機器間の組合せ制約条件が記述されたFA機器プロファイルが格納されたFA機器プロファイル情報管理部と、入力部によって指定されたFA機器構成の情報を管理するFA機器構成管理部と、FA機器構成管理部に格納されたFA機器構成の情報をもとにFA機器プロファイル情報管理部から該当するFA機器間の組合せ制約条件を抽出する機器組合せ制約条件演算部と、機器組合せ制約条件演算部による抽出結果を出力する演算結果出力部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、複数のFA機器の組合せからなるFA機器構成を指定する入力部と、FA機器の各バージョンのFA機器間の組合せ制約条件が記述されたFA機器プロファイルが格納されたFA機器プロファイル情報管理部と、入力部によって指定されたFA機器構成の情報を管理するFA機器構成管理部と、FA機器構成管理部に格納されたFA機器構成の情報をもとにFA機器プロファイル情報管理部から該当するFA機器間の組合せ制約条件を抽出する機器組合せ制約条件演算部と、機器組合せ制約条件演算部による抽出結果を出力する演算結果出力部とを備えているので、旧バージョンを使用した場合に使用できない機能をFA装置設計者に警告することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1によるFA機器構成設計支援装置のシステム構成図である。FA機器構成設計支援装置1は、FA装置設計者がFA機器の型番を指定することによりFA機器の構成を指定する入力部2と、FA装置設計者が指定したFA機器の構成を表示する表示部3と、FA機器の仕様と旧バージョンを含む自FA機器及び他のFA機器間の組合せ制約条件が記述されたFA機器プロファイル4と、FA機器プロファイル情報を格納するFA機器プロファイル情報管理部5と、FA装置を制御するFA機器の構成情報を管理するFA機器構成管理部6と、FA機器構成管理部6に格納されたFA機器構成の情報をもとにFA機器プロファイル情報管理部から該当するFA機器間の組合せ制約条件を抽出する機器組合せ制約条件演算部7と、機器組合せ制約条件演算部7で行われた演算の結果を示すための演算結果出力部8と、入力部2、表示部3、プロファイル情報管理部5、FA機器構成管理部6、機器組合せ制約条件演算部7、並びに演算結果出力部8の実行及びデータの参照を管理する制御部9を備えている。
【0012】
図2は、本発明の実施の形態1によるFA機器プロファイルの一例を示すAD変換器のプロファイルである。プロファイルは、電子データファイルである。
【0013】
プロファイルには、自機の仕様情報101、自機及び他FA機器との組合せ制約102が記述されている。自機の仕様情報101には、種別、型名、シリーズ名、バージョン、動作仕様などが記述されている。自機及び他FA機器との組合せ制約102には、型名、シリーズ名、バージョンに対する自機及び他FA機器との組合せ制約が記述される。
【0014】
自機及び他FA機器との組合せ制約102には、最新のバージョンの該当FA機器を用いたときの制約だけでなく、旧バージョンの該当FA機器を使用したときの制約も記述されている。図2に示した例では、最新のバージョンである「バージョン2」の制約だけでなく、旧バージョンである「バージョン1」の制約も記述されている。
【0015】
図3は、本発明の実施の形態1によるFA機器構成設計支援装置の動作の一事例を示す図である。
【0016】
図4は、本発明の実施の形態1によるFA機器構成設計支援装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【0017】
ここで、FA機器構成設計支援装置1の動作の流れを、図3と図4を用いて説明する。
【0018】
図3において、FA機器構成設計支援装置1は、インターネット、CD−ROMなどの電子媒体を介して、各FA機器の最も新しいバージョンのFA機器プロファイル4を入手し、FA機器構成設計支援装置1のFA機器プロファイル情報管理部5に格納する(図4のSTEP1)。
【0019】
FA機器のバージョンが新しくなった場合、新たなバージョンに対応した新たなFA機器プロファイル4を入手する必要がある。プロファイルの入手については、インターネット上から最新のプロファイル情報を入手する仕組みにしても良いし、CD−ROMなどの電子媒体から入手する仕組みにしても良い。また、FA機器プロファイル情報管理部5の情報は、インターネットを通じて常に最新に保つようにしても良いし、ユーザが更新処理を明示的に行うまで更新を行わないようにしても良い。
【0020】
図3の例では、FA機器は、2台のシーケンサ(型名Q25)と、1台のAD変換ユニット(型名AD−2X)から構成されている。型名Q25のシーケンサは、バージョンが1、2、3と3種類あり、型名AD−2XのAD変換ユニットは、バージョンが1、2と2種類ある。
【0021】
例えば、FA機器が、型名Q25のシーケンサと型名AD−2XのAD変換ユニットから構成されている場合は、型名Q25のシーケンサについてはバージョン3までのプロファイルを、型名AD−2XのAD変換ユニットはバージョン2までのプロファイルを取得し、FA機器プロファイル情報管理部5に格納する(図4のSTEP1)。各プロファイルの自機及び他FA機器との組合せ制約は、該当バージョンの制約だけでなく、旧バージョンの制約に関しても記述している。
【0022】
図5は、本発明の実施の形態1によるFA機器のプロファイルの具体的な一事例である。型名Q25のシーケンサのプロファイルは、自機の仕様情報として、種別:Qシーケンサ、型名:Q25、シリーズ名:Q、バージョン:3という情報を含んでいる。また、自機及び他FA機器との組合せ制約は、「バージョン」「使用条件」「制約」の3つの部分に分かれている。例えば、「バージョン:1」に対しては、「使用条件:マルチCPU構成」、「制約1:使用不可能」という情報を持っている。これは、Q25「バージョン1」を「マルチCPU構成」で使用する場合、「使用不可能」であることを示している。また、制約1に対するコメント情報として、「Qシーケンサ(型名Q25、バージョン1)をマルチCPU構成で用いる場合、使用不可能です」という情報も合わせて持っている。
【0023】
上記は型名Q25のシーケンサの「バージョン1」に対する組合せ制約であったが、同様の情報を「バージョン2」「バージョン3」に対しても持っている。
【0024】
一方、型名AD−2XのAD変換ユニットの「バージョン2」の例では、「AD−2Xのバージョン2をマルチCPU構成においてシーケンサと使用する場合は、シーケンサとしてシリーズQのバージョン3以上を使用しないといけない」という制約と、「AD−2Xのバージョン2をシーケンサと使用する場合は、シーケンサとしてシリーズQのバージョン2以上を使用しないといけない」とい制約の、2つの制約を持っている。
【0025】
上記の例では、一つの「使用条件」に対して一つの「制約」を持つ例を示しているが、1つの「使用条件」に対して複数の「制約」を持ってもよい。
【0026】
次に、装置設計者により、FA機器構成設計支援装置1の入力部2を用いてFA機器構成が指定される(図4のSTEP2)。ここでは、各FA機器の型名などが指定され、バージョンは指定されない。
【0027】
図4のSTEP2により指定されたFA機器構成が、FA機器構成管理部6にてFA機器構成データとして管理される。FA機器構成管理部6にて管理されるFA機器構成内の各FA機器データは、型名にて識別される(図4のSTEP3)。
【0028】
次に、FA機器構成設計支援装置1の機器組合せ制約条件演算部7にて、FA機器構成管理部6に格納されたFA機器構成データをもとに、プロファイル情報管理部5に格納されたプロファイルデータベースの自機及び他FA機器との組合せ制約を抽出する(図4のSTEP4)。具体的には、まず、型名Q25のシーケンサを使用しているため、プロファイル情報管理部5に格納された図5に示されているプロファイルから、Q25の各バージョンの組合せ制約からそのコメント情報を抽出する。次に、型名AD−2XのAD変換ユニットを使用しているため、プロファイル情報管理部5に格納された図5に示されているプロファイルから、AD−2Xの各バージョンの組合せ制約からそのコメント情報を抽出する。
【0029】
最後に、演算結果出力部8にて、抽出されたコメント情報から警告文を作成し、出力する。(図4のSTEP5)。
【0030】
本実施の形態では、プロファイルにコメント情報を含んでおり、機器組合せ制約条件演算部7においてコメント情報を抽出し、演算結果出力部8において抽出されたコメント情報から警告文を作成するとしたが、これに限るものではなく、プロファイルには使用条件と制約の情報のみが含まれており、機器組合せ制約条件演算部7において「型名、バージョン、使用条件、制約」などの組合せ制約の情報を抽出し、演算結果出力部8において抽出された組合せ制約の情報をもとに警告文を作成するようにしてもよい。
【0031】
このようにFA装置設計者が指定したFA機器の構成において、FA機器のバージョンまで考慮したFA機器構成チェックをすることにより、旧バージョンを使用した場合に使用できない機能をFA装置設計者に警告することができる。
【0032】
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2によるFA機器構成設計支援装置の動作の一事例である。図6を実施の形態1の実施例である図3と比べると、入力部2がFA機器の構成を指定するとともにFA機器のバージョン情報を入力できるバージョン指定入力部21に、FA機器構成管理部6がバージョン管理機能を持ったバージョン管理FA機器構成管理部61に、警告内容103がエラー内容104に変わっている以外は、同じである。
【0033】
図7は、本発明の実施の形態2によるFA機器構成設計支援装置の動作の流れを示すフローチャートである。本発明の実施の形態2によるFA機器構成設計支援装置の動作の流れを、図6と図7と、実施の形態1によるFA機器のプロファイルの具体的な一事例である図5を用いて説明する。実施の形態2では、FA機器のプロファイルとして、実施の形態1と同じ図5に示すものを用いるものとする。
【0034】
図6において、FA機器構成設計支援装置1は、インターネット、CD−ROMなどの電子媒体を介して、各FA機器の最も新しいバージョンのFA機器プロファイル4を入手し、FA機器構成設計支援装置1のFA機器プロファイル情報管理部5に格納する(図7のSTEP1)。
【0035】
次に、装置設計者により、FA機器構成設計支援装置1のバージョン指定入力部21を用いて、FA機器構成がバージョン情報とともに指定される(図7のSTEP2)。
【0036】
図7のSTEP2により指定されたFA機器構成が、バージョン管理FA機器構成管理部61にてFA機器構成データがバージョン情報とともに管理される。バージョン管理FA機器構成管理部61にて管理されるFA機器構成内の各FA機器データは、型名とバージョンにて識別される(図7のSTEP3)。また、図6に示す例では、マルチCPU構成を指定しており、この情報がバージョン管理FA機器構成管理部61にて管理されているものとする。
【0037】
次に、FA機器構成設計支援装置1の機器組合せ制約条件演算部7にて、「バージョン管理FA機器構成管理部61に格納されたFA機器構成の型名およびバージョン」と「プロファイル情報管理部5に格納された自機及び他FA機器との組合せ制約の使用条件と制約」が合致するか調べる(図7のSTEP4、STEP5)。
【0038】
具体的には、型番Q25のバージョン2を使用しているため、図5の「Q25のプロファイル」の「バージョン2のデータ」を確認する。今回は、マルチCPU構成が指定されているためバージョン2の使用条件にも合致するため、制約としては「使用可能」となり、問題なく使用できる。
【0039】
次に、型番AD−2Xのバージョン2を使用しているため、図5の「AD−2Xのプロファイル」の「バージョン2のデータ」を確認する。今回は、「マルチCPU構成」が指定されておりさらに「シーケンサを使用」しているため、制約としては「シーケンサのシリーズはQ、バージョンは3以上」となる。ここで、シーケンサであるQ25のバージョンは2であり、制約を満たしていないため、この制約のコメント情報を抽出する。
【0040】
抽出されたコメント情報から、演算結果出力部8にてエラーメッセージを作成し、出力する(図7のSTEP6)。
【0041】
本実施の形態では、プロファイルにコメント情報を含んでおり、機器組合せ制約条件演算部7において「制約を満たしていないもの」に関してコメント情報を抽出し、演算結果出力部8において抽出されたコメント情報から警告文を作成するとしたが、これに限るものではなく、プロファイルには使用条件と制約の情報のみが含まれており、機器組合せ制約条件演算部7において「制約を満たしていないもの」に関して「型名、バージョン、使用条件、制約」などの組合せ制約の情報を抽出し、演算結果出力部8において抽出された組合せ制約の情報をもとに警告文を作成するようにしてもよい。
【0042】
このように、FA装置設計者が指定した各FA機器の型名とバージョンにおける制約を用いたFA機器構成のチェックをすることにより、使用するFA機器のバージョンの組合せが適切でない場合にFA装置設計者にエラー内容を通知することができる。
【0043】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3によるFA機器構成設計支援装置1の動作の流れを、動作の一事例である図8と、その動作の流れを示すフローチャートである図9を用いて説明する。
【0044】
図8は、形態3によるFA機器構成設計支援装置の動作の一事例である。図8を実施の形態1の実施例である図3と比べると、ネットワークを通じた問い合わせに対して自機のバージョン情報を応答するバージョン応答FA機器10と、FA装置設計者が指定したFA機器構成中のFA機器に対応する実際のFA機器にネットワーク11を介してバージョンを問合せるFA機器バージョン問合せ部12が加えられ、FA機器構成管理部6がバージョン管理FA機器構成管理部61に、警告内容103がエラー内容104に変わっている以外は、同じである。
【0045】
図9は、本発明の実施の形態3によるFA機器構成設計支援装置の動作の流れを示すフローチャートである。本発明の実施の形態3によるFA機器構成設計支援装置の動作の流れを、図8と図9を用いて説明する。
【0046】
図8において、FA機器構成設計支援装置1は、インターネット、CD−ROMなどの電子媒体を介して、各FA機器の最も新しいバージョンのFA機器プロファイル4を入手し、FA機器構成設計支援装置1のFA機器プロファイル情報管理部5に格納する(図9のSTEP1)。
【0047】
次に、装置設計者により、FA機器構成設計支援装置1の入力部2を用いて、FA機器構成が指定される(図9のSTEP2)。ここでは、各FA機器の型名などが指定され、バージョンは指定されない。
【0048】
図9のSTEP2により指定されたFA機器構成の情報をもとに、FA機器バージョン問合せ部12が、ネットワーク11を介して、バージョン応答FA機器10にバージョンを問合せ、バージョン管理FA機器構成管理部61に各FA機器の型名とともにバージョンも格納する(図9のSTEP3)。また、図8に示す例では、マルチCPU構成を指定しており、この情報がバージョン管理FA機器構成管理部61にて管理されているものとする。
【0049】
次に、FA機器構成設計支援装置1の機器組合せ制約条件演算部7にて、「バージョン管理FA機器構成管理部61に格納されたFA機器構成の型名およびバージョン」と「プロファイル情報管理部5に格納された自機及び他FA機器との組合せ制約の使用条件と制約」が合致するか調べる(図9のSTEP4、STEP5)。
【0050】
「バージョン管理FA機器構成管理部61に格納されたFA機器構成の型名およびバージョン」と「プロファイル情報管理部5に格納された自機及び他FA機器との組合せ制約の使用条件」が合致する場合、そのまま処理を終了する。合致しない場合、演算結果出力部8にて、プロファイル情報管理部5に格納されたプロファイルデータベースの自機及び他FA機器との組合せ制約よりコメント情報を抽出する。(図9のSTEP6)。
【0051】
このように各FA機器のバージョンを自動的に取得することにより、用いる各FA機器のバージョンをユーザが指定することなく、各FA機器の型名とバージョンにおける制約を用いたFA機器構成チェックができ、使用するFA機器のバージョンが適切でない場合にFA装置設計者にエラー内容を通知することができる。
【0052】
実施の形態4.
図10は、本発明の実施の形態4によるFA機器構成設計支援装置の動作の一事例である。図10を実施の形態1の実施例である図3と比べると、警告内容103が警告内容105に変わっている以外は、同じである。
【0053】
図10では、プロファイル情報管理部5に対して、バージョン1のAL−1XのFA機器プロファイルと、バージョン1および2のAL−2XのFA機器プロファイルが格納されている状態である。
【0054】
この状態で、FA機器構成管理部6に格納されたFA装置設計者が指定したFA機器構成の制約条件を判定すると、AL−1Xの組合せ制約では「バージョン1においては、隣にAL−2Xを用いることができない」と書かれているのに対し、AL−2Xの組合せ制約には「バージョン2においては、AL−1Xのバージョンが2以上であれば隣に用いることができる」というように、「AL−1XとAL−2Xの組合せ」に関して2つのことが書かれている。機器組合せ制約条件演算部7は、1つの機器組合せに関して異なるプロファイルに記述がある場合は、それぞれのプロファイルのバージョンを確認し、より新しい方のプロファイルを優先する。図10の例においては、AL−2Xのプロファイルがバージョン2であり、バージョンが1であるAL−1Xのプロファイルよりも新しいため、演算結果出力部8にて、AL−2Xのプロファイルから「AL−1Xの隣にAL−2Xを配置する場合、AL−1Xのバージョンが2以上、AL−2Xのバージョンが2でなければなりません」という警告内容105を作成し、出力する。
【0055】
上記の例では、1つの機器組合せに関して異なるプロファイルに記述がある場合に、それぞれのプロファイルのバージョンを確認し、より新しい方のプロファイルを優先するとした。しかしながらこの方法に限られるものではなく、プロファイルに新たなバージョンの情報を加えるときにその情報を追加した日付や日時などの時刻情報をプロファイルに追加し、1つの機器組合せに関して異なるプロファイルに記述がある場合に、それぞれのプロファイルの時刻情報を確認し、より新しい方のプロファイルを優先するようにしてもよい。
【0056】
このように1つの機器組合せに関して異なるプロファイルに記述がある場合に、プロファイルの新しさを基準に優先する制約条件を判別することにより、より新しい情報によって正しい判定ができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態1によるFA機器構成設計支援装置のシステム構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1によるFA機器のプロファイルの一例である。
【図3】本発明の実施の形態1によるFA機器構成設計支援装置の動作の一事例である。
【図4】本発明の実施の形態1によるFA機器構成設計支援装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態1によるFA機器のプロファイルの具体的な一事例である。
【図6】本発明の実施の形態2によるFA機器構成設計支援装置の動作の一事例である。
【図7】本発明の実施の形態2によるFA機器構成設計支援装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態3によるFA機器構成設計支援装置の動作の一事例である。
【図9】本発明の実施の形態3によるFA機器構成設計支援装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態4によるFA機器構成設計支援装置の動作の一事例である。
【符号の説明】
【0058】
1 FA機器構成設計支援装置
2 入力部
3 表示部
4 FA機器プロファイル
5 FA機器プロファイル情報管理部
6 FA機器構成管理部
7 機器組合せ制約条件演算部
8 演算結果出力部
9 制御部
10 バージョン応答FA機器
11 ネットワーク
12 FA機器バージョン問合せ部
21 バージョン指定入力部
61 バージョン管理FA機器構成管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のFA機器の組合せからなるFA機器構成を指定する入力部と、
前記FA機器の各バージョンのFA機器間の組合せ制約条件が記述されたFA機器プロファイルが格納されたFA機器プロファイル情報管理部と、
前記入力部によって指定された前記FA機器構成の情報を管理するFA機器構成管理部と、
前記FA機器構成管理部に格納された前記FA機器構成の情報をもとに前記FA機器プロファイル情報管理部から該当するFA機器間の組合せ制約条件を抽出する機器組合せ制約条件演算部と、
前記機器組合せ制約条件演算部による抽出結果を出力する演算結果出力部とを備えたことを特徴とするFA機器構成設計支援装置。
【請求項2】
入力部は、FA機器構成と共にFA機器のバージョンを指定し、
FA機器構成管理部は、前記FA機器構成の情報と共に前記FA機器のバージョン情報を管理し、
機器組合せ制約条件演算部は、前記FA機器構成管理部に格納されている前記FA機器構成の情報と前記FA機器のバージョン情報がFA機器プロファイル情報管理部に格納されているFA機器プロファイルの前記FA機器間の組合せ制約条件を満たしていないものを抽出することを特徴とする請求項1に記載のFA機器構成設計支援装置。
【請求項3】
FA機器は、自機のバージョン情報を応答し、
入力部により指定されたFA機器構成の情報をもとにネットワークを介して前記FA機器からバージョン情報を入手しFA機器構成管理部に格納するFA機器使用バージョン問い合わせ部を備え、
前記FA機器構成管理部は前記FA機器構成の情報と共に前記FA機器のバージョン情報を管理し、
機器組合せ制約条件演算部は、前記FA機器構成管理部に格納されている前記FA機器構成の情報と前記FA機器のバージョン情報がFA機器プロファイル情報管理部に格納されているFA機器プロファイルのFA機器間の組合せ制約条件を満たしていないものを抽出することを特徴とする請求項1に記載のFA機器構成設計支援装置。
【請求項4】
機器組合せ制約条件演算部は、新しい組合せ制約条件を優先して確認することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のFA機器構成設計支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−237872(P2011−237872A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106414(P2010−106414)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】