FM−CWレーダ装置及びそれに用いる移動目標信号検出方法
【課題】 同一距離に不要信号が存在する環境下でも移動目標信号を検出可能なFM−CWレーダ装置を提供する。
【解決手段】 FM−CWレーダ装置は、連続波信号と反射信号とを混合した信号から一定の時間毎に得られるスペクトラムを同じビート周波数毎に時間方向にそれぞれ正規化処理を行う正規化処理器(20)と、正規化処理器にて得られた時間対ビート周波数の2次元平面において線分検出を行う線分検出器(21)と、線分検出器にて検出された線分から所定の時刻のビート周波数を推定する周波数推定器(22)と、周波数推定器にて得られたビート周波数から目標の距離と速度とを計算する距離・速度検出器(23)とを有する。
【解決手段】 FM−CWレーダ装置は、連続波信号と反射信号とを混合した信号から一定の時間毎に得られるスペクトラムを同じビート周波数毎に時間方向にそれぞれ正規化処理を行う正規化処理器(20)と、正規化処理器にて得られた時間対ビート周波数の2次元平面において線分検出を行う線分検出器(21)と、線分検出器にて検出された線分から所定の時刻のビート周波数を推定する周波数推定器(22)と、周波数推定器にて得られたビート周波数から目標の距離と速度とを計算する距離・速度検出器(23)とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はFM−CWレーダ装置及びそれに用いる移動目標信号検出方法に関し、特に移動目標を検出するFM−CW(Frequency Modulated Continuous Waves)レーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダ装置は、一般に、空間に電波を照射して、目標からの反射信号を受信することにより、目標の存在を探知し、その位置、運動状況等を観測するものである。レーダ装置においては、電波は空中線から空間に照射され、目標に当たって反射した後、再び空中線で受信され、受信器等へレーダ受信信号として出力される。
【0003】
レーダ受信信号は、受信器で周波数変換された後、A/D(アナログ/ディジタル)変換され、ディジタル受信信号は、各種の信号処理の後にスレッシュホールド判定等により目標信号として検出される。
【0004】
レーダ装置には、用途があるが、特に防衛用レーダにおいては、敵が自分に発射した物体を近距離まで探知したいという要求がある。近距離の目標を計測するレーダ方式としては、連続波(CW:Continuous Wave)レーダが実用化されており、特に距離を測定するためにCW信号に周波数変調(FM:Frequency Modulation)を施してFM−CW信号を送信するFM−CWレーダ装置が一般的に使用されている。
【0005】
その原理は、三角波変調を繰り返したCW信号を送信して、目標からの反射信号と混合すると、目標信号の距離と速度とに応じたビート周波数が観測されることを利用して、このビート周波数から目標の距離と速度とを計算するというものである(例えば、非特許文献1参照)。
【0006】
図8は、上記の非特許文献1等に示されている一般的なFM−CWレーダ装置の構成を示しており、この図8を参照してFM−CWレーダ装置の動作について説明する。
【0007】
まず、三角波発生器18は、三角波の変調信号を発生する。電圧制御発振器17は、三角波発生器18にて発生した三角波により、所定の周波数のCW信号に三角波の変調を施した送信信号を発生し、方向性結合器12へ出力する。方向性結合器12は、電圧制御発振器17から入力される送信信号を空中線11へ出力する。空中線11は、方向性結合器12からの送信信号を、空間へ、電波として照射する。
【0008】
空中線11は、電波を空中へ照射すると同時に、空間から入力される電波を受信して方向性結合器12へ出力する。方向性結合器12は、空中線11からの受信信号をミキサ13へ出力する。ミキサ13は、方向性結合器12から入力される受信信号と電圧制御発振器17から入力される送信信号とを混合し、その結果得られる信号をローパスフィルタ14へ出力する。
【0009】
ローパスフィルタ14は、ミキサ13からの信号に対して高周波成分を除去し、送信信号と受信信号のビート信号とを抽出してA/D変換器15へ出力する。A/D変換器15は、ローパスフィルタ14からのアナログ信号をディジタル信号に変換する。
【0010】
データ抽出器16は、三角波変調信号のアップ変調に対応するタイミングの受信信号とダウン変調に対応するタイミングの受信信号とをそれぞれ分けてデータとして抽出し、FFT(Fast Fourier Transform)処理器19へ出力する。FFT処理器19は、それぞれのデータをFFTしてスペクトラムを算出する。
【0011】
周波数検出器31は、スペクトラムにおいて、所定のスレッシュホールドを超えた信号を目標の反射信号に対応するビート信号として検出する。距離・速度検出器23は、得られたビート信号の周波数から、目標の距離と速度とを計算する。
【0012】
ここで、ビート周波数から目標の距離と速度を求める原理を説明する。図9はFM−CWレーダ装置の送信信号とビート信号とを説明するための模式図である。送信信号は、中心周波数f0のCW信号を変調周波数幅Δf、変調繰返し周波数fmの三角波で変調した信号である。図10はビート信号のスペクトラムを説明するための模式図である。
【0013】
ビート周波数fBは、
fB=fR±fV ・・・(1)
fR:距離周波数,fV:速度周波数
という式で表される。(1)式の+符号は送信波の周波数が降下する区間に得られるビート信号の周波数(ダウンビートfBD)で、−符号は上昇する区間に得られるビート信号の周波数(アップビートfBU)である。
【0014】
fBD、fBUは、
fBD=fR+fV ・・・(2)
fBU=fR−fV ・・・(3)
という式で表される。
【0015】
また、fR、fVは、次式で表される。
fR=4・Δf・R・fm/C ・・・(4)
fV=2・f0・V/C ・・・(5)
C:電波伝播速度,fm:三角波の変調周波数,f0:中心周波数,
Δf:三角波の変調幅,R:目標の距離,V:目標の相対速度
という式で表される。
【0016】
(1)式〜(5)式により距離R、相対速度Vは、次式で導かれる。
R=(fBD+fBU)C/8・Δf・fm ・・・(6)
V=(fBD−fBU)C/4・f0 ・・・(7)
という式で表される。
【0017】
すなわち、周波数増減区間毎のビート信号周波数fBUとビート信号周波数fBDとをそれぞれ計測し、その和と差とを計算することで、距離と相対速度とを求めることができる。
【0018】
上述したFM−CWレーダ装置の原理は、目標からの反射信号のみ存在する理想的な環境での基本の動作を示したものである。実際の環境でのFM−CWレーダ装置の場合は、近傍の建設物や構造物の固定物体からの強大な反射信号が不要信号として同時に入力されるため、それらの不要信号に重畳した場合は目標の反射信号が観測できないという問題がある。
【0019】
この問題の対策としては、下記の特許文献1に記載された技術がある。特許文献1に記載のFM−CWレーダ装置の構成を図11に示す。図11に示すFM−CWレーダ装置の構成は、ローパスフィルタ14とA/D変換器15との間に振幅等化器32を追加した以外は、図8に示すFM−CWレーダ装置と同様の構成となっており、同一構成要素には同一符号を付してある。
【0020】
(4)式より距離Rが遠いほど距離周波数fRは大きくなり、(2)式、(3)式よりビート信号周波数fBD、ビート信号周波数fBUは高くなる。すなわち、遠距離の目標からの信号はビート周波数が高くなるが、遠距離の目標の信号は近距離の目標に比べて微弱であるため、増幅する必要がある。
【0021】
この技術は、ビート信号を周波数が高くなるにしたがって順次増幅利得を高くする制御を行うものであり、これにより距離によらずビート周波数の振幅が一定となり、近距離の固定物体による不要信号が重畳した遠距離の目標が未検出となることを軽減するというものである。
【0022】
また、別の技術として、下記の特許文献2に記載された技術がある。特許文献2に記載のFM−CWレーダ装置の構成を図12に示す。図12に示すFM−CWレーダ装置の構成は、自車速度検出器33とスレッシュホールド制御器34とを追加した以外は、図8に示すFM−CWレーダ装置と同様の構成となっており、同一構成要素には同一符号を付してある。
【0023】
特許文献2に記載の技術は、車載用FM−CWレーダ装置を想定したものであり、道路の近傍の建設物や構造物の強大な反射信号の影響を軽減することを目的とするものである。一般道路を走行中の場合は、近傍の固定物体が多いため、不要信号が大きい反面、車間距離が短くなり、目標が近距離となるため、スレッシュホールドを高く設定する。
【0024】
一方、高速道路を走行中の場合は、道路近傍の固定物体が少ないため、不要信号が小さく、遠距離の目標の微弱な信号を検出するためにスレッシュホールドを低く設定する。これらの制御を行うために、自車速度検出器32が自車の走行速度を検出する。スレッシュホールド制御器33は、自車速度検出器32で検出した速度に基づき、低速の場合は一般道路を走行中と判定してスレッシュホールドを高く設定する一方、高速の場合は高速道路を走行中と判定して、スレッシュホールドを低く設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特開2001−215272号公報
【特許文献2】特許第3149142号公報
【非特許文献】
【0026】
【非特許文献1】「改訂 レーダ技術 第11章 特殊なレーダ技術」(吉田 孝監修、社団法人 電子情報通信学会発行、1996.10.01)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
上述した本発明に関連するFM−CWレーダ装置では、固定物体による不要信号が存在する環境下で、目標の反射信号を検出する場合、同一距離の不要信号と重畳した移動目標信号とを検出できないという課題がある。その理由は、目標の距離と固定物体の距離との違いにのみ着目して、距離に応じて増幅利得の変更またはスレッシュホールドの変更を行う方式であるため、同一距離の移動目標信号と不要信号とを区別する考慮がなされていないためである。
【0028】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、同一距離に不要信号が存在する環境下でも移動目標信号を検出することができるFM−CWレーダ装置及びそれに用いる移動目標信号検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明によるFM−CWレーダ装置は、三角波変調を繰り返した連続波信号を送信し、目標からの反射信号と混合することで目標信号の距離と速度とに応じたビート周波数を観測し、前記ビート周波数から前記目標の距離と速度とを計算するFM−CW(Frequency Modulated Continuous Waves)レーダ装置であって、
前記連続波信号と前記反射信号とを混合した信号から一定の時間毎に得られるスペクトラムを同じビート周波数毎に時間方向にそれぞれ正規化処理を行う正規化処理器と、
前記正規化処理器にて得られた時間対ビート周波数の2次元平面において線分検出を行う線分検出器と、
前記線分検出器にて検出された線分から所定の時刻のビート周波数を推定する周波数推定器と、
前記周波数推定器にて得られたビート周波数から目標の距離と速度とを計算する距離・速度検出器とを備えている。
【0030】
本発明による移動目標信号検出方法は、三角波変調を繰り返した連続波信号を送信し、目標からの反射信号と混合することで目標信号の距離と速度とに応じたビート周波数を観測し、前記ビート周波数から前記目標の距離と速度とを計算するFM−CW(Frequency Modulated Continuous Waves)レーダ装置に用いる移動目標信号検出方法であって、
前記FM−CWレーダ装置が、
前記連続波信号と前記反射信号とを混合した信号から一定の時間毎に得られるスペクトラムを同じビート周波数毎に時間方向にそれぞれ正規化処理を行う正規化処理と、
前記正規化処理にて得られた時間対ビート周波数の2次元平面において線分検出を行う線分検出処理と、
前記線分検出処理にて検出された線分から所定の時刻のビート周波数を推定する周波数推定処理と、
前記周波数推定処理にて得られたビート周波数から目標の距離と速度とを計算する距離・速度検出処理とを実行している。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、上記のような構成及び動作とすることで、同一距離に不要信号が存在する環境下でも移動目標信号を検出することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるFM−CWレーダ装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態による正規化処理を説明するための模式図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態において横軸を周波数、縦軸を時間、振幅の大きさを各サンプル点の大きさでそれぞれ表した模式図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態によるFM−CWレーダ装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態における動作を説明するための模式図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態によるFM−CWレーダ装置の構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態における動作を説明するための模式図である。
【図8】本発明に関連するFM−CWレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明に関連するFM−CWレーダ装置の送信信号とビート信号とを説明するための模式図である。
【図10】図9に示すビート信号のスペクトラムを説明する模式図である。
【図11】特許文献1に記載のFM−CWレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図12】特許文献2に記載のFM−CWレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、本発明によるFM−CW(Frequency Modulated Continuous Waves)レーダ装置の概要について説明する。
【0034】
本発明によるFM−CWレーダ装置は、上述した目的を達成するために、
所定の方向に電波を照射し空間からの反射電波を受信する空中線と、三角波発生器と、電圧制御発振器と、方向性結合器と、ミキサと、ローパスフィルタと、A/D(アナログ/ディジタル)変換器と、データ抽出器と、FFT(Fast Fourier Transform)処理器と、正規化処理器と、線分検出器と、周波数推定器と、距離・速度検出器と、三角波発生器と、電圧制御発振器と、方向性結合器と、ミキサと、ローパスフィルタと、
【0035】
空中線は、所定の方向に電波を照射し空間からの反射電波を受信する。三角波発生器は、三角波の変調信号を発生する。電圧制御発振器は、三角波発生器が発生した三角波により所定の周波数のCW(Continuous Wave)信号に三角波の変調を施した送信信号を発生して方向性結合器とミキサとへ出力する。
【0036】
方向性結合器は、電圧制御発振器から入力される送信信号を空中線へ出力するとともに空中線からの受信信号をミキサへ出力する。ミキサは、方向性結合器から入力される受信信号と電圧制御発振器から入力される送信信号とを混合し、その結果、得られる信号をローパスフィルタへ出力する。
【0037】
ローパスフィルタは、高周波成分を除去して送信信号と受信信号のビート信号を抽出してA/D変換器へ出力する。A/D変換器は、アナログ信号をディジタル信号に変換する。データ抽出器は、三角波変調信号のアップ変調に対応するタイミングの受信信号とダウン変調に対応するタイミングの受信信号とをそれぞれ分けてデータとして抽出し、そのデータをFFT処理器へ出力する。
【0038】
FFT処理器は、抽出されたデータをFFTして周波数軸上のスペクトラムを算出する。正規化処理器は、一定の時間毎に得られるスペクトラムを、同じビート周波数毎に時間方向にそれぞれ正規化処理を行う。線分検出器は、時間対ビート周波数の2次元平面において線分検出を行う。周波数推定器は、検出された線分から所定の時刻のビート周波数を推定する。距離・速度検出器は、得られたビート周波数から目標の距離と速度を計算する。
【0039】
図1は本発明の第1の実施の形態によるFM−CWレーダ装置の構成例を示すブロック図である。図1において、本発明の第1の実施の形態によるFM−CWレーダ装置は、空中線11と、方向性結合器12と、ミキサ13と、ローパスフィルタ14と、A/D変換器15と、データ抽出器16と、電圧制御発振器17と、三角波発生器18と、FFT処理器19と、正規化処理器20と、線分検出器21と、周波数推定器22と、距離・速度検出器23とから構成されている。
【0040】
空中線11は、所定の方向に電波を照射し空間からの反射電波を受信する。三角波発生器18は、三角波の変調信号を発生する。電圧制御発振器17は、三角波発生器18が発生した三角波により所定の周波数のCW信号に変調を施した送信信号を発生して方向性結合器12とミキサ13とへ出力する。
【0041】
方向性結合器12は、電圧制御発振器17から入力される送信信号を空中線11へ出力するとともに、空中線11からの受信信号をミキサ13へ出力する。ミキサ13は、方向性結合器12から入力される受信信号と電圧制御発振器17から入力される送信信号とを混合し、その結果、得られる信号をローパスフィルタ14へ出力する。
【0042】
ローパスフィルタ14は、高周波成分を除去して送信信号と受信信号のビート信号とを抽出してA/D変換器15へ出力する。A/D変換器15は、アナログ信号をディジタル信号に変換する。
【0043】
データ抽出器16は、三角波変調信号のアップ変調に対応するタイミングの受信信号とダウン変調に対応するタイミングの受信信号とをそれぞれ分けてデータとして抽出し、FFT処理器19へ出力する。FFT処理器19は、データ抽出器16で抽出されたデータをFFTしてスペクトラムを算出する。
【0044】
正規化処理器20は、一定の時間毎に得られるスペクトラムを同じビート周波数毎に分け、時間方向にそれぞれ正規化処理を行う。線分検出器21は、時間対ビート周波数の2次元平面において線分検出を行う。周波数推定器22は、検出された線分から所定の時刻のビート周波数を推定する。距離・速度検出器23は、推定されたビート周波数から目標の距離と速度とを計算する。
【0045】
空中線11は、所定の方向に電波を照射し、空間からの反射電波を受信する。三角波発生器18は、三角波の変調信号を発生する。電圧制御発振器17は、三角波発生器18が発生した三角波により所定の周波数のCW信号に変調を施した送信信号を発生して方向性結合器12とミキサ13とへ出力する。
【0046】
方向性結合器12は、電圧制御発振器17から入力される送信信号を空中線11へ出力するとともに、空中線11からの受信信号をミキサ13へ出力する。ミキサ13は、方向性結合器12から入力される受信信号と電圧制御発振器17から入力される送信信号とを混合し、その結果、得られる信号をローパスフィルタ14へ出力する。
【0047】
ローパスフィルタ14は、高周波成分を除去して送信信号と受信信号のビート信号とを抽出してA/D変換器15へ出力する。A/D変換器15は、ローパスフィルタ14からのアナログ信号をディジタル信号に変換する。
【0048】
データ抽出器16は、三角波変調信号のアップ変調に対応するタイミングの受信信号と、ダウン変調に対応するタイミングの受信信号とをそれぞれ分けてデータとして抽出し、FFT処理器19へ出力する。FFT処理器19は、データ抽出器16で抽出されたデータをFFTしてスペクトラムを算出する。
【0049】
以上の空中線11、方向性結合器12、ミキサ13、ローパスフィルタ14、A/D変換器15、データ抽出器16、電圧制御発振器17、三角波発生器18、FFT処理器19各々の動作は、図8に示す本発明に関連するFM−CWレーダ装置と同様であり、送信信号とビート信号との関係、ビート信号のスペクトラムは、それぞれ図9に示す模式図、図10に示す模式図と同様である。
【0050】
スペクトラムは、一定の時間毎に得られるため、時間毎に得られるスペクトラムを時系列に並べることで、高さ方向を振幅方向と考えた時間対ビート周波数の2次元平面で考えることができる。
【0051】
図3は本発明の第1の実施の形態において横軸を周波数、縦軸を時間、振幅の大きさを各サンプル点の大きさでそれぞれ表した模式図である。図3(a)は、FFT処理器19の出力のスペクトラムを2次元平面に並べた状態を示している。図3(a)において、不要信号は振幅が大きいが、相対速度が0であるため、同一のビート周波数での大きな点、移動目標信号は時間方向にビート周波数が変化する中間の大きさの点、ノイズのみのサンプル点は小さな点で表している。
【0052】
近傍の建設物や構造物等の固定物体からの反射信号は一般に強大であるが、レーダ装置が停止している場合は相対速度が0であるために、時間方向でビート周波数は変化しない。このため、正規化処理器20は、一定の時間毎に得られるスペクトラムを同じビート周波数毎に分けて時間方向にそれぞれ正規化処理を行う。
【0053】
図2は本発明の第1の実施の形態による正規化処理を説明するための模式図である。図2においては、横軸をビート周波数、縦軸は振幅を表している。図2(a)は、目標信号が不要信号と重畳しないビート周波数で観測される場合の状態を示している。正規化処理は、着目する時刻の前後の振幅の平均値により、着目する時間の振幅を除算することで行う。図2(b)は、図2(a)の正規化処理後の波形であり、図2(b)に示すように、正規化処理後も目標信号がノイズより高くなるため、検出可能である。
【0054】
一方、図2(c)は、固定物体による不要信号が存在するビート周波数の振幅の時間変化を表している。不要信号は、ノイズや目標信号に比べて振幅が大きいものの、同一のビート周波数において振幅があまり変化せずに連続して存在するため、着目する時間の前後の振幅の平均値も着目する時刻の不要信号とほぼ同レベルとなる。このため、図2(d)に示すように、不要信号の正規化処理誤の振幅は、ノイズレベルの正規化処理後と同等となる。
【0055】
図3(a)をそれぞれのビート周波数で時間方向に正規化処理を行った結果を図3(b)に示す。同一のビート周波数において連続した不要信号は、正規化処理によりノイズレベルと同等となっている。一方、目標信号は、不要信号と重畳したビート周波数のサンプル点を除くと線分上に並んでいる。
【0056】
線分検出器21は、正規化処理後の時間対ビート周波数の2次元平面上で線分を検出する処理を行う。2次元平面上で線分検出する技術は、画像処理等で使用される線分検出フィルタやハフ変換等の一般的な技術が使用可能である。
【0057】
線分抽出器21で検出された線分に対して、所定の時刻でのダウンビート周波数とアップビート周波数とを周波数推定器22において外挿により推定する。図3(b)は、着目する時刻のダウンビート周波数が不要信号に重畳して観測できなかったため、本処理により推定している例を示している。
【0058】
距離・速度検出器23は、(6)式、(7)式によりダウンビート周波数とアップビート周波数とから目標の距離と速度を算出するものであり、図8に示す本発明に関連するFM−CWレーダ装置と同じ動作である。
【0059】
以上により、本実施の形態では、同一距離の不要信号に重畳した移動目標信号を検出できるという効果を得ることが可能となる。
【0060】
次に、本発明の第2の実施の形態によるFM−CWレーダ装置について、図4及び図5を参照して説明する。本発明の第2の実施の形態によるFM−CWレーダ装置は、低速の目標を検出することを考慮して動作する。
【0061】
図4は本発明の第2の実施の形態によるFM−CWレーダ装置の構成例を示すブロック図であり、図5は本発明の第2の実施の形態における動作を説明するための模式図である。図4において、本発明の第2の実施の形態によるFM−CWレーダ装置は、加算器24を追加した以外は、図1に示す本発明の第1の実施の形態によるFM−CWレーダ装置と同様の構成となっており、同一構成要素には同一符号を付してある。また、同一構成要素の動作は本発明の第1の実施の形態によるFM−CWレーダ装置と同様である。
【0062】
目標が低速である場合は、図5(a)に示すように、観測するタイミング毎に周波数が変化するのではなく、一定の間隔毎に変化する。このため、加算器24では、観測される時間を複数の時刻毎にグループ化し、グループ毎に振幅を加算して図5(b)に示すように時間間隔を広くした振幅データに変換する。
【0063】
本実施の形態では、2次元平面上で線分抽出を行うことにより、低速目標であっても、正しく線分抽出を行うことができ、目標検出を可能とすることができる。グループ化して加算する数は、想定される速度毎に場合分けをして並列処理を行うことで、任意の速度の目標が検出可能となる。
【0064】
次に、本発明の第3の実施の形態によるFM−CWレーダ装置について、図6及び図7を参照して説明する。本発明の第3の実施の形態によるFM−CWレーダ装置は、レーダ装置が車載される等により移動しながら動作する。
【0065】
図6は本発明の第3の実施の形態によるFM−CWレーダ装置の構成例を示すブロック図であり、図7は本発明の第3の実施の形態における動作を説明するための模式図である。図6において、本発明の第3の実施の形態によるFM−CWレーダ装置は、自車速度検出器25と平均値算定範囲選択器26とを追加した以外は、図1に示す本発明の第1の実施の形態によるFM−CWレーダ装置と同様の構成となっており、同一構成要素には同一符号を付してある。また、同一構成要素の動作は本発明の第1の実施の形態によるFM−CWレーダ装置と同様である。
【0066】
レーダ装置が移動する場合、固定物体とレーダ装置との距離が時間により変化し、ビート周波数も変化する。このため、図1に示す本発明の第1の実施の形態によるFM−CWレーダ装置の構成では、図7(a)に示すように、時間方向で不要信号のビート周波数も変化して観測されるため、同一ビート周波数で正規化処理をしてもノイズレベル相当に抑圧することができない。
【0067】
このため、本実施の形態では、まず自車速度検出器25によりレーダ装置を搭載する車両等の自車速度を検出する。固定物体に対しては、自車速度が相対速度となる。
【0068】
レーダ装置距離Rは相対速度Vと時間tとにより、
R=V・t ・・・(8)
という式で表される。
【0069】
(2)式、(4)式、(5)式、(8)式から、ダウンビート周波数fBDは、
fBD=4・Δf・V・t・fm/C+2・f0・V/C
・・・(9)
という式で表される。
【0070】
(9)式により時間対ビート周波数の2次元平面において、固定物体の反射信号は、相対速度Vをパラメータとする傾きを持つ線分上に存在する。このため、平均値算定範囲制御器26は、着目する時刻とビート周波数毎に平均値算定範囲を上記傾きの線分から選択して平均値を算定する。
【0071】
これにより、本実施の形態では、不要信号が存在するサンプル点の振幅が選択されて正規化処理が行われるため、不要信号を抑圧して目標信号を検出することが可能となる。
【0072】
本発明は、目標の距離と固定物体の距離との違いにのみ着目して、距離に応じて増幅利得の変更またはスレッシュホールドの変更を行う本発明に関連する技術においては困難な同一距離の不要信号に重畳した移動目標信号を検出することができるという効果がある。
【0073】
その理由は、本発明に関連する技術が、目標の距離と固定物体の距離との違いにのみ着目していて同じ距離の目標と不要信号とを区別する考慮がされていないのに対して、移動目標が時間とともに距離が変化し、それに対応してビート周波数が変化することに着目して、本発明において、時間対ビート周波数の2次元平面においてビート周波数の検出を行うようにしたためである。
【0074】
また、検出において、不要信号は停止していてビート周波数が変化しないのに対して、目標はビート周波数が変化することに着目して、本発明において、時間方向の正規化処理を行い、ビート周波数が変化する線分のみを検出するようにすることで、目標と不要信号とを区別できるようにしたためである。
【符号の説明】
【0075】
11 空中線
12 方向性結合器
13 ミキサ
14 ローパスフィルタ
15 A/D変換器
16 データ抽出器
17 電圧制御発振器
18 三角波発生器
19 FFT処理器
20 正規化処理器
21 線分検出器
22 周波数推定器
23 距離・速度検出器
24 加算器
25 自車速度検出器
26 平均値算定範囲選択器
【技術分野】
【0001】
本発明はFM−CWレーダ装置及びそれに用いる移動目標信号検出方法に関し、特に移動目標を検出するFM−CW(Frequency Modulated Continuous Waves)レーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダ装置は、一般に、空間に電波を照射して、目標からの反射信号を受信することにより、目標の存在を探知し、その位置、運動状況等を観測するものである。レーダ装置においては、電波は空中線から空間に照射され、目標に当たって反射した後、再び空中線で受信され、受信器等へレーダ受信信号として出力される。
【0003】
レーダ受信信号は、受信器で周波数変換された後、A/D(アナログ/ディジタル)変換され、ディジタル受信信号は、各種の信号処理の後にスレッシュホールド判定等により目標信号として検出される。
【0004】
レーダ装置には、用途があるが、特に防衛用レーダにおいては、敵が自分に発射した物体を近距離まで探知したいという要求がある。近距離の目標を計測するレーダ方式としては、連続波(CW:Continuous Wave)レーダが実用化されており、特に距離を測定するためにCW信号に周波数変調(FM:Frequency Modulation)を施してFM−CW信号を送信するFM−CWレーダ装置が一般的に使用されている。
【0005】
その原理は、三角波変調を繰り返したCW信号を送信して、目標からの反射信号と混合すると、目標信号の距離と速度とに応じたビート周波数が観測されることを利用して、このビート周波数から目標の距離と速度とを計算するというものである(例えば、非特許文献1参照)。
【0006】
図8は、上記の非特許文献1等に示されている一般的なFM−CWレーダ装置の構成を示しており、この図8を参照してFM−CWレーダ装置の動作について説明する。
【0007】
まず、三角波発生器18は、三角波の変調信号を発生する。電圧制御発振器17は、三角波発生器18にて発生した三角波により、所定の周波数のCW信号に三角波の変調を施した送信信号を発生し、方向性結合器12へ出力する。方向性結合器12は、電圧制御発振器17から入力される送信信号を空中線11へ出力する。空中線11は、方向性結合器12からの送信信号を、空間へ、電波として照射する。
【0008】
空中線11は、電波を空中へ照射すると同時に、空間から入力される電波を受信して方向性結合器12へ出力する。方向性結合器12は、空中線11からの受信信号をミキサ13へ出力する。ミキサ13は、方向性結合器12から入力される受信信号と電圧制御発振器17から入力される送信信号とを混合し、その結果得られる信号をローパスフィルタ14へ出力する。
【0009】
ローパスフィルタ14は、ミキサ13からの信号に対して高周波成分を除去し、送信信号と受信信号のビート信号とを抽出してA/D変換器15へ出力する。A/D変換器15は、ローパスフィルタ14からのアナログ信号をディジタル信号に変換する。
【0010】
データ抽出器16は、三角波変調信号のアップ変調に対応するタイミングの受信信号とダウン変調に対応するタイミングの受信信号とをそれぞれ分けてデータとして抽出し、FFT(Fast Fourier Transform)処理器19へ出力する。FFT処理器19は、それぞれのデータをFFTしてスペクトラムを算出する。
【0011】
周波数検出器31は、スペクトラムにおいて、所定のスレッシュホールドを超えた信号を目標の反射信号に対応するビート信号として検出する。距離・速度検出器23は、得られたビート信号の周波数から、目標の距離と速度とを計算する。
【0012】
ここで、ビート周波数から目標の距離と速度を求める原理を説明する。図9はFM−CWレーダ装置の送信信号とビート信号とを説明するための模式図である。送信信号は、中心周波数f0のCW信号を変調周波数幅Δf、変調繰返し周波数fmの三角波で変調した信号である。図10はビート信号のスペクトラムを説明するための模式図である。
【0013】
ビート周波数fBは、
fB=fR±fV ・・・(1)
fR:距離周波数,fV:速度周波数
という式で表される。(1)式の+符号は送信波の周波数が降下する区間に得られるビート信号の周波数(ダウンビートfBD)で、−符号は上昇する区間に得られるビート信号の周波数(アップビートfBU)である。
【0014】
fBD、fBUは、
fBD=fR+fV ・・・(2)
fBU=fR−fV ・・・(3)
という式で表される。
【0015】
また、fR、fVは、次式で表される。
fR=4・Δf・R・fm/C ・・・(4)
fV=2・f0・V/C ・・・(5)
C:電波伝播速度,fm:三角波の変調周波数,f0:中心周波数,
Δf:三角波の変調幅,R:目標の距離,V:目標の相対速度
という式で表される。
【0016】
(1)式〜(5)式により距離R、相対速度Vは、次式で導かれる。
R=(fBD+fBU)C/8・Δf・fm ・・・(6)
V=(fBD−fBU)C/4・f0 ・・・(7)
という式で表される。
【0017】
すなわち、周波数増減区間毎のビート信号周波数fBUとビート信号周波数fBDとをそれぞれ計測し、その和と差とを計算することで、距離と相対速度とを求めることができる。
【0018】
上述したFM−CWレーダ装置の原理は、目標からの反射信号のみ存在する理想的な環境での基本の動作を示したものである。実際の環境でのFM−CWレーダ装置の場合は、近傍の建設物や構造物の固定物体からの強大な反射信号が不要信号として同時に入力されるため、それらの不要信号に重畳した場合は目標の反射信号が観測できないという問題がある。
【0019】
この問題の対策としては、下記の特許文献1に記載された技術がある。特許文献1に記載のFM−CWレーダ装置の構成を図11に示す。図11に示すFM−CWレーダ装置の構成は、ローパスフィルタ14とA/D変換器15との間に振幅等化器32を追加した以外は、図8に示すFM−CWレーダ装置と同様の構成となっており、同一構成要素には同一符号を付してある。
【0020】
(4)式より距離Rが遠いほど距離周波数fRは大きくなり、(2)式、(3)式よりビート信号周波数fBD、ビート信号周波数fBUは高くなる。すなわち、遠距離の目標からの信号はビート周波数が高くなるが、遠距離の目標の信号は近距離の目標に比べて微弱であるため、増幅する必要がある。
【0021】
この技術は、ビート信号を周波数が高くなるにしたがって順次増幅利得を高くする制御を行うものであり、これにより距離によらずビート周波数の振幅が一定となり、近距離の固定物体による不要信号が重畳した遠距離の目標が未検出となることを軽減するというものである。
【0022】
また、別の技術として、下記の特許文献2に記載された技術がある。特許文献2に記載のFM−CWレーダ装置の構成を図12に示す。図12に示すFM−CWレーダ装置の構成は、自車速度検出器33とスレッシュホールド制御器34とを追加した以外は、図8に示すFM−CWレーダ装置と同様の構成となっており、同一構成要素には同一符号を付してある。
【0023】
特許文献2に記載の技術は、車載用FM−CWレーダ装置を想定したものであり、道路の近傍の建設物や構造物の強大な反射信号の影響を軽減することを目的とするものである。一般道路を走行中の場合は、近傍の固定物体が多いため、不要信号が大きい反面、車間距離が短くなり、目標が近距離となるため、スレッシュホールドを高く設定する。
【0024】
一方、高速道路を走行中の場合は、道路近傍の固定物体が少ないため、不要信号が小さく、遠距離の目標の微弱な信号を検出するためにスレッシュホールドを低く設定する。これらの制御を行うために、自車速度検出器32が自車の走行速度を検出する。スレッシュホールド制御器33は、自車速度検出器32で検出した速度に基づき、低速の場合は一般道路を走行中と判定してスレッシュホールドを高く設定する一方、高速の場合は高速道路を走行中と判定して、スレッシュホールドを低く設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特開2001−215272号公報
【特許文献2】特許第3149142号公報
【非特許文献】
【0026】
【非特許文献1】「改訂 レーダ技術 第11章 特殊なレーダ技術」(吉田 孝監修、社団法人 電子情報通信学会発行、1996.10.01)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
上述した本発明に関連するFM−CWレーダ装置では、固定物体による不要信号が存在する環境下で、目標の反射信号を検出する場合、同一距離の不要信号と重畳した移動目標信号とを検出できないという課題がある。その理由は、目標の距離と固定物体の距離との違いにのみ着目して、距離に応じて増幅利得の変更またはスレッシュホールドの変更を行う方式であるため、同一距離の移動目標信号と不要信号とを区別する考慮がなされていないためである。
【0028】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、同一距離に不要信号が存在する環境下でも移動目標信号を検出することができるFM−CWレーダ装置及びそれに用いる移動目標信号検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明によるFM−CWレーダ装置は、三角波変調を繰り返した連続波信号を送信し、目標からの反射信号と混合することで目標信号の距離と速度とに応じたビート周波数を観測し、前記ビート周波数から前記目標の距離と速度とを計算するFM−CW(Frequency Modulated Continuous Waves)レーダ装置であって、
前記連続波信号と前記反射信号とを混合した信号から一定の時間毎に得られるスペクトラムを同じビート周波数毎に時間方向にそれぞれ正規化処理を行う正規化処理器と、
前記正規化処理器にて得られた時間対ビート周波数の2次元平面において線分検出を行う線分検出器と、
前記線分検出器にて検出された線分から所定の時刻のビート周波数を推定する周波数推定器と、
前記周波数推定器にて得られたビート周波数から目標の距離と速度とを計算する距離・速度検出器とを備えている。
【0030】
本発明による移動目標信号検出方法は、三角波変調を繰り返した連続波信号を送信し、目標からの反射信号と混合することで目標信号の距離と速度とに応じたビート周波数を観測し、前記ビート周波数から前記目標の距離と速度とを計算するFM−CW(Frequency Modulated Continuous Waves)レーダ装置に用いる移動目標信号検出方法であって、
前記FM−CWレーダ装置が、
前記連続波信号と前記反射信号とを混合した信号から一定の時間毎に得られるスペクトラムを同じビート周波数毎に時間方向にそれぞれ正規化処理を行う正規化処理と、
前記正規化処理にて得られた時間対ビート周波数の2次元平面において線分検出を行う線分検出処理と、
前記線分検出処理にて検出された線分から所定の時刻のビート周波数を推定する周波数推定処理と、
前記周波数推定処理にて得られたビート周波数から目標の距離と速度とを計算する距離・速度検出処理とを実行している。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、上記のような構成及び動作とすることで、同一距離に不要信号が存在する環境下でも移動目標信号を検出することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるFM−CWレーダ装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態による正規化処理を説明するための模式図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態において横軸を周波数、縦軸を時間、振幅の大きさを各サンプル点の大きさでそれぞれ表した模式図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態によるFM−CWレーダ装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態における動作を説明するための模式図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態によるFM−CWレーダ装置の構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態における動作を説明するための模式図である。
【図8】本発明に関連するFM−CWレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明に関連するFM−CWレーダ装置の送信信号とビート信号とを説明するための模式図である。
【図10】図9に示すビート信号のスペクトラムを説明する模式図である。
【図11】特許文献1に記載のFM−CWレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【図12】特許文献2に記載のFM−CWレーダ装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、本発明によるFM−CW(Frequency Modulated Continuous Waves)レーダ装置の概要について説明する。
【0034】
本発明によるFM−CWレーダ装置は、上述した目的を達成するために、
所定の方向に電波を照射し空間からの反射電波を受信する空中線と、三角波発生器と、電圧制御発振器と、方向性結合器と、ミキサと、ローパスフィルタと、A/D(アナログ/ディジタル)変換器と、データ抽出器と、FFT(Fast Fourier Transform)処理器と、正規化処理器と、線分検出器と、周波数推定器と、距離・速度検出器と、三角波発生器と、電圧制御発振器と、方向性結合器と、ミキサと、ローパスフィルタと、
【0035】
空中線は、所定の方向に電波を照射し空間からの反射電波を受信する。三角波発生器は、三角波の変調信号を発生する。電圧制御発振器は、三角波発生器が発生した三角波により所定の周波数のCW(Continuous Wave)信号に三角波の変調を施した送信信号を発生して方向性結合器とミキサとへ出力する。
【0036】
方向性結合器は、電圧制御発振器から入力される送信信号を空中線へ出力するとともに空中線からの受信信号をミキサへ出力する。ミキサは、方向性結合器から入力される受信信号と電圧制御発振器から入力される送信信号とを混合し、その結果、得られる信号をローパスフィルタへ出力する。
【0037】
ローパスフィルタは、高周波成分を除去して送信信号と受信信号のビート信号を抽出してA/D変換器へ出力する。A/D変換器は、アナログ信号をディジタル信号に変換する。データ抽出器は、三角波変調信号のアップ変調に対応するタイミングの受信信号とダウン変調に対応するタイミングの受信信号とをそれぞれ分けてデータとして抽出し、そのデータをFFT処理器へ出力する。
【0038】
FFT処理器は、抽出されたデータをFFTして周波数軸上のスペクトラムを算出する。正規化処理器は、一定の時間毎に得られるスペクトラムを、同じビート周波数毎に時間方向にそれぞれ正規化処理を行う。線分検出器は、時間対ビート周波数の2次元平面において線分検出を行う。周波数推定器は、検出された線分から所定の時刻のビート周波数を推定する。距離・速度検出器は、得られたビート周波数から目標の距離と速度を計算する。
【0039】
図1は本発明の第1の実施の形態によるFM−CWレーダ装置の構成例を示すブロック図である。図1において、本発明の第1の実施の形態によるFM−CWレーダ装置は、空中線11と、方向性結合器12と、ミキサ13と、ローパスフィルタ14と、A/D変換器15と、データ抽出器16と、電圧制御発振器17と、三角波発生器18と、FFT処理器19と、正規化処理器20と、線分検出器21と、周波数推定器22と、距離・速度検出器23とから構成されている。
【0040】
空中線11は、所定の方向に電波を照射し空間からの反射電波を受信する。三角波発生器18は、三角波の変調信号を発生する。電圧制御発振器17は、三角波発生器18が発生した三角波により所定の周波数のCW信号に変調を施した送信信号を発生して方向性結合器12とミキサ13とへ出力する。
【0041】
方向性結合器12は、電圧制御発振器17から入力される送信信号を空中線11へ出力するとともに、空中線11からの受信信号をミキサ13へ出力する。ミキサ13は、方向性結合器12から入力される受信信号と電圧制御発振器17から入力される送信信号とを混合し、その結果、得られる信号をローパスフィルタ14へ出力する。
【0042】
ローパスフィルタ14は、高周波成分を除去して送信信号と受信信号のビート信号とを抽出してA/D変換器15へ出力する。A/D変換器15は、アナログ信号をディジタル信号に変換する。
【0043】
データ抽出器16は、三角波変調信号のアップ変調に対応するタイミングの受信信号とダウン変調に対応するタイミングの受信信号とをそれぞれ分けてデータとして抽出し、FFT処理器19へ出力する。FFT処理器19は、データ抽出器16で抽出されたデータをFFTしてスペクトラムを算出する。
【0044】
正規化処理器20は、一定の時間毎に得られるスペクトラムを同じビート周波数毎に分け、時間方向にそれぞれ正規化処理を行う。線分検出器21は、時間対ビート周波数の2次元平面において線分検出を行う。周波数推定器22は、検出された線分から所定の時刻のビート周波数を推定する。距離・速度検出器23は、推定されたビート周波数から目標の距離と速度とを計算する。
【0045】
空中線11は、所定の方向に電波を照射し、空間からの反射電波を受信する。三角波発生器18は、三角波の変調信号を発生する。電圧制御発振器17は、三角波発生器18が発生した三角波により所定の周波数のCW信号に変調を施した送信信号を発生して方向性結合器12とミキサ13とへ出力する。
【0046】
方向性結合器12は、電圧制御発振器17から入力される送信信号を空中線11へ出力するとともに、空中線11からの受信信号をミキサ13へ出力する。ミキサ13は、方向性結合器12から入力される受信信号と電圧制御発振器17から入力される送信信号とを混合し、その結果、得られる信号をローパスフィルタ14へ出力する。
【0047】
ローパスフィルタ14は、高周波成分を除去して送信信号と受信信号のビート信号とを抽出してA/D変換器15へ出力する。A/D変換器15は、ローパスフィルタ14からのアナログ信号をディジタル信号に変換する。
【0048】
データ抽出器16は、三角波変調信号のアップ変調に対応するタイミングの受信信号と、ダウン変調に対応するタイミングの受信信号とをそれぞれ分けてデータとして抽出し、FFT処理器19へ出力する。FFT処理器19は、データ抽出器16で抽出されたデータをFFTしてスペクトラムを算出する。
【0049】
以上の空中線11、方向性結合器12、ミキサ13、ローパスフィルタ14、A/D変換器15、データ抽出器16、電圧制御発振器17、三角波発生器18、FFT処理器19各々の動作は、図8に示す本発明に関連するFM−CWレーダ装置と同様であり、送信信号とビート信号との関係、ビート信号のスペクトラムは、それぞれ図9に示す模式図、図10に示す模式図と同様である。
【0050】
スペクトラムは、一定の時間毎に得られるため、時間毎に得られるスペクトラムを時系列に並べることで、高さ方向を振幅方向と考えた時間対ビート周波数の2次元平面で考えることができる。
【0051】
図3は本発明の第1の実施の形態において横軸を周波数、縦軸を時間、振幅の大きさを各サンプル点の大きさでそれぞれ表した模式図である。図3(a)は、FFT処理器19の出力のスペクトラムを2次元平面に並べた状態を示している。図3(a)において、不要信号は振幅が大きいが、相対速度が0であるため、同一のビート周波数での大きな点、移動目標信号は時間方向にビート周波数が変化する中間の大きさの点、ノイズのみのサンプル点は小さな点で表している。
【0052】
近傍の建設物や構造物等の固定物体からの反射信号は一般に強大であるが、レーダ装置が停止している場合は相対速度が0であるために、時間方向でビート周波数は変化しない。このため、正規化処理器20は、一定の時間毎に得られるスペクトラムを同じビート周波数毎に分けて時間方向にそれぞれ正規化処理を行う。
【0053】
図2は本発明の第1の実施の形態による正規化処理を説明するための模式図である。図2においては、横軸をビート周波数、縦軸は振幅を表している。図2(a)は、目標信号が不要信号と重畳しないビート周波数で観測される場合の状態を示している。正規化処理は、着目する時刻の前後の振幅の平均値により、着目する時間の振幅を除算することで行う。図2(b)は、図2(a)の正規化処理後の波形であり、図2(b)に示すように、正規化処理後も目標信号がノイズより高くなるため、検出可能である。
【0054】
一方、図2(c)は、固定物体による不要信号が存在するビート周波数の振幅の時間変化を表している。不要信号は、ノイズや目標信号に比べて振幅が大きいものの、同一のビート周波数において振幅があまり変化せずに連続して存在するため、着目する時間の前後の振幅の平均値も着目する時刻の不要信号とほぼ同レベルとなる。このため、図2(d)に示すように、不要信号の正規化処理誤の振幅は、ノイズレベルの正規化処理後と同等となる。
【0055】
図3(a)をそれぞれのビート周波数で時間方向に正規化処理を行った結果を図3(b)に示す。同一のビート周波数において連続した不要信号は、正規化処理によりノイズレベルと同等となっている。一方、目標信号は、不要信号と重畳したビート周波数のサンプル点を除くと線分上に並んでいる。
【0056】
線分検出器21は、正規化処理後の時間対ビート周波数の2次元平面上で線分を検出する処理を行う。2次元平面上で線分検出する技術は、画像処理等で使用される線分検出フィルタやハフ変換等の一般的な技術が使用可能である。
【0057】
線分抽出器21で検出された線分に対して、所定の時刻でのダウンビート周波数とアップビート周波数とを周波数推定器22において外挿により推定する。図3(b)は、着目する時刻のダウンビート周波数が不要信号に重畳して観測できなかったため、本処理により推定している例を示している。
【0058】
距離・速度検出器23は、(6)式、(7)式によりダウンビート周波数とアップビート周波数とから目標の距離と速度を算出するものであり、図8に示す本発明に関連するFM−CWレーダ装置と同じ動作である。
【0059】
以上により、本実施の形態では、同一距離の不要信号に重畳した移動目標信号を検出できるという効果を得ることが可能となる。
【0060】
次に、本発明の第2の実施の形態によるFM−CWレーダ装置について、図4及び図5を参照して説明する。本発明の第2の実施の形態によるFM−CWレーダ装置は、低速の目標を検出することを考慮して動作する。
【0061】
図4は本発明の第2の実施の形態によるFM−CWレーダ装置の構成例を示すブロック図であり、図5は本発明の第2の実施の形態における動作を説明するための模式図である。図4において、本発明の第2の実施の形態によるFM−CWレーダ装置は、加算器24を追加した以外は、図1に示す本発明の第1の実施の形態によるFM−CWレーダ装置と同様の構成となっており、同一構成要素には同一符号を付してある。また、同一構成要素の動作は本発明の第1の実施の形態によるFM−CWレーダ装置と同様である。
【0062】
目標が低速である場合は、図5(a)に示すように、観測するタイミング毎に周波数が変化するのではなく、一定の間隔毎に変化する。このため、加算器24では、観測される時間を複数の時刻毎にグループ化し、グループ毎に振幅を加算して図5(b)に示すように時間間隔を広くした振幅データに変換する。
【0063】
本実施の形態では、2次元平面上で線分抽出を行うことにより、低速目標であっても、正しく線分抽出を行うことができ、目標検出を可能とすることができる。グループ化して加算する数は、想定される速度毎に場合分けをして並列処理を行うことで、任意の速度の目標が検出可能となる。
【0064】
次に、本発明の第3の実施の形態によるFM−CWレーダ装置について、図6及び図7を参照して説明する。本発明の第3の実施の形態によるFM−CWレーダ装置は、レーダ装置が車載される等により移動しながら動作する。
【0065】
図6は本発明の第3の実施の形態によるFM−CWレーダ装置の構成例を示すブロック図であり、図7は本発明の第3の実施の形態における動作を説明するための模式図である。図6において、本発明の第3の実施の形態によるFM−CWレーダ装置は、自車速度検出器25と平均値算定範囲選択器26とを追加した以外は、図1に示す本発明の第1の実施の形態によるFM−CWレーダ装置と同様の構成となっており、同一構成要素には同一符号を付してある。また、同一構成要素の動作は本発明の第1の実施の形態によるFM−CWレーダ装置と同様である。
【0066】
レーダ装置が移動する場合、固定物体とレーダ装置との距離が時間により変化し、ビート周波数も変化する。このため、図1に示す本発明の第1の実施の形態によるFM−CWレーダ装置の構成では、図7(a)に示すように、時間方向で不要信号のビート周波数も変化して観測されるため、同一ビート周波数で正規化処理をしてもノイズレベル相当に抑圧することができない。
【0067】
このため、本実施の形態では、まず自車速度検出器25によりレーダ装置を搭載する車両等の自車速度を検出する。固定物体に対しては、自車速度が相対速度となる。
【0068】
レーダ装置距離Rは相対速度Vと時間tとにより、
R=V・t ・・・(8)
という式で表される。
【0069】
(2)式、(4)式、(5)式、(8)式から、ダウンビート周波数fBDは、
fBD=4・Δf・V・t・fm/C+2・f0・V/C
・・・(9)
という式で表される。
【0070】
(9)式により時間対ビート周波数の2次元平面において、固定物体の反射信号は、相対速度Vをパラメータとする傾きを持つ線分上に存在する。このため、平均値算定範囲制御器26は、着目する時刻とビート周波数毎に平均値算定範囲を上記傾きの線分から選択して平均値を算定する。
【0071】
これにより、本実施の形態では、不要信号が存在するサンプル点の振幅が選択されて正規化処理が行われるため、不要信号を抑圧して目標信号を検出することが可能となる。
【0072】
本発明は、目標の距離と固定物体の距離との違いにのみ着目して、距離に応じて増幅利得の変更またはスレッシュホールドの変更を行う本発明に関連する技術においては困難な同一距離の不要信号に重畳した移動目標信号を検出することができるという効果がある。
【0073】
その理由は、本発明に関連する技術が、目標の距離と固定物体の距離との違いにのみ着目していて同じ距離の目標と不要信号とを区別する考慮がされていないのに対して、移動目標が時間とともに距離が変化し、それに対応してビート周波数が変化することに着目して、本発明において、時間対ビート周波数の2次元平面においてビート周波数の検出を行うようにしたためである。
【0074】
また、検出において、不要信号は停止していてビート周波数が変化しないのに対して、目標はビート周波数が変化することに着目して、本発明において、時間方向の正規化処理を行い、ビート周波数が変化する線分のみを検出するようにすることで、目標と不要信号とを区別できるようにしたためである。
【符号の説明】
【0075】
11 空中線
12 方向性結合器
13 ミキサ
14 ローパスフィルタ
15 A/D変換器
16 データ抽出器
17 電圧制御発振器
18 三角波発生器
19 FFT処理器
20 正規化処理器
21 線分検出器
22 周波数推定器
23 距離・速度検出器
24 加算器
25 自車速度検出器
26 平均値算定範囲選択器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三角波変調を繰り返した連続波信号を送信し、目標からの反射信号と混合することで目標信号の距離と速度とに応じたビート周波数を観測し、前記ビート周波数から前記目標の距離と速度とを計算するFM−CW(Frequency Modulated Continuous Waves)レーダ装置であって、
前記連続波信号と前記反射信号とを混合した信号から一定の時間毎に得られるスペクトラムを同じビート周波数毎に時間方向にそれぞれ正規化処理を行う正規化処理器と、
前記正規化処理器にて得られた時間対ビート周波数の2次元平面において線分検出を行う線分検出器と、
前記線分検出器にて検出された線分から所定の時刻のビート周波数を推定する周波数推定器と、
前記周波数推定器にて得られたビート周波数から目標の距離と速度とを計算する距離・速度検出器と
を有することを特徴とするFM−CWレーダ装置。
【請求項2】
観測される時間を複数の時刻毎にグループ化し、グループ毎に振幅を加算して時間間隔を広くした振幅データに変換する加算器を前記正規化処理器の前段に配置し、
前記正規化処理器が、前記加算器にて変換された振幅データに対して前記正規化処理を行うことを特徴とする請求項1記載のFM−CWレーダ装置。
【請求項3】
自車速度を検出することで固定物体に対する相対速度を検出する自車速度検出器と、
着目する時刻と前記ビート周波数毎に平均値算定範囲を、前記固定物体の反射信号が存在しかつ前記相対速度をパラメータとする線分から選択して算定する平均値算定範囲制御器とを含み、
前記正規化処理器が、前記平均値算定範囲制御器にて算定された前記平均値算定範囲において前記正規化処理を行うことを特徴とする請求項1記載のFM−CWレーダ装置。
【請求項4】
三角波変調を繰り返した連続波信号を送信し、目標からの反射信号と混合することで目標信号の距離と速度とに応じたビート周波数を観測し、前記ビート周波数から前記目標の距離と速度とを計算するFM−CW(Frequency Modulated Continuous Waves)レーダ装置に用いる移動目標信号検出方法であって、
前記FM−CWレーダ装置が、
前記連続波信号と前記反射信号とを混合した信号から一定の時間毎に得られるスペクトラムを同じビート周波数毎に時間方向にそれぞれ正規化処理を行う正規化処理と、
前記正規化処理にて得られた時間対ビート周波数の2次元平面において線分検出を行う線分検出処理と、
前記線分検出処理にて検出された線分から所定の時刻のビート周波数を推定する周波数推定処理と、
前記周波数推定処理にて得られたビート周波数から目標の距離と速度とを計算する距離・速度検出処理と
を実行することを特徴とする移動目標信号検出方法。
【請求項5】
前記FM−CWレーダ装置が、前記正規化処理の前段において、観測される時間を複数の時刻毎にグループ化し、グループ毎に振幅を加算して時間間隔を広くした振幅データに変換する加算処理を実行し、
前記正規化処理において、前記加算器にて変換された振幅データに対して前記正規化を行うことを特徴とする請求項4記載の移動目標信号検出方法。
【請求項6】
前記FM−CWレーダ装置が、
自車速度を検出することで固定物体に対する相対速度を検出する自車速度検出処理と、
着目する時刻と前記ビート周波数毎に平均値算定範囲を、前記固定物体の反射信号が存在しかつ前記相対速度をパラメータとする線分から選択して算定する平均値算定範囲制御処理とを実行し、
前記正規化処理において、前記平均値算定範囲制御処理にて算定された前記平均値算定範囲において前記正規化を行うことを特徴とする請求項4記載の移動目標信号検出方法。
【請求項1】
三角波変調を繰り返した連続波信号を送信し、目標からの反射信号と混合することで目標信号の距離と速度とに応じたビート周波数を観測し、前記ビート周波数から前記目標の距離と速度とを計算するFM−CW(Frequency Modulated Continuous Waves)レーダ装置であって、
前記連続波信号と前記反射信号とを混合した信号から一定の時間毎に得られるスペクトラムを同じビート周波数毎に時間方向にそれぞれ正規化処理を行う正規化処理器と、
前記正規化処理器にて得られた時間対ビート周波数の2次元平面において線分検出を行う線分検出器と、
前記線分検出器にて検出された線分から所定の時刻のビート周波数を推定する周波数推定器と、
前記周波数推定器にて得られたビート周波数から目標の距離と速度とを計算する距離・速度検出器と
を有することを特徴とするFM−CWレーダ装置。
【請求項2】
観測される時間を複数の時刻毎にグループ化し、グループ毎に振幅を加算して時間間隔を広くした振幅データに変換する加算器を前記正規化処理器の前段に配置し、
前記正規化処理器が、前記加算器にて変換された振幅データに対して前記正規化処理を行うことを特徴とする請求項1記載のFM−CWレーダ装置。
【請求項3】
自車速度を検出することで固定物体に対する相対速度を検出する自車速度検出器と、
着目する時刻と前記ビート周波数毎に平均値算定範囲を、前記固定物体の反射信号が存在しかつ前記相対速度をパラメータとする線分から選択して算定する平均値算定範囲制御器とを含み、
前記正規化処理器が、前記平均値算定範囲制御器にて算定された前記平均値算定範囲において前記正規化処理を行うことを特徴とする請求項1記載のFM−CWレーダ装置。
【請求項4】
三角波変調を繰り返した連続波信号を送信し、目標からの反射信号と混合することで目標信号の距離と速度とに応じたビート周波数を観測し、前記ビート周波数から前記目標の距離と速度とを計算するFM−CW(Frequency Modulated Continuous Waves)レーダ装置に用いる移動目標信号検出方法であって、
前記FM−CWレーダ装置が、
前記連続波信号と前記反射信号とを混合した信号から一定の時間毎に得られるスペクトラムを同じビート周波数毎に時間方向にそれぞれ正規化処理を行う正規化処理と、
前記正規化処理にて得られた時間対ビート周波数の2次元平面において線分検出を行う線分検出処理と、
前記線分検出処理にて検出された線分から所定の時刻のビート周波数を推定する周波数推定処理と、
前記周波数推定処理にて得られたビート周波数から目標の距離と速度とを計算する距離・速度検出処理と
を実行することを特徴とする移動目標信号検出方法。
【請求項5】
前記FM−CWレーダ装置が、前記正規化処理の前段において、観測される時間を複数の時刻毎にグループ化し、グループ毎に振幅を加算して時間間隔を広くした振幅データに変換する加算処理を実行し、
前記正規化処理において、前記加算器にて変換された振幅データに対して前記正規化を行うことを特徴とする請求項4記載の移動目標信号検出方法。
【請求項6】
前記FM−CWレーダ装置が、
自車速度を検出することで固定物体に対する相対速度を検出する自車速度検出処理と、
着目する時刻と前記ビート周波数毎に平均値算定範囲を、前記固定物体の反射信号が存在しかつ前記相対速度をパラメータとする線分から選択して算定する平均値算定範囲制御処理とを実行し、
前記正規化処理において、前記平均値算定範囲制御処理にて算定された前記平均値算定範囲において前記正規化を行うことを特徴とする請求項4記載の移動目標信号検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−194011(P2012−194011A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57340(P2011−57340)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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