説明

FPDモジュールの組立装置

【課題】ACFを電子部品に安定して貼り付けることができるフラットパネルディスプレイの実装装置を提供する。
【解決手段】FPDモジュール組立ラインは、貼付手段と切込手段と剥離手段を有するACF貼付部230と、複数の搭載ヘッド293を有する搭載部280とを備えている。ACF貼付部230の貼付手段は、ベースフィルムとACFからなるACFテープのACFにTAB2を貼り付ける。切込手段は、TAB2が貼り付けられたACFに切り込みを入れ、剥離手段は、ACFに切り込みが形成されたACFテープのベースフィルムを剥離する。搭載部280は、表示基板1の3辺に対して、ACFが貼り付けられたTAB2の搭載作業を同時に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイ(FPD:Flat Panel Display)の表示基板に電子部品を実装するFPDモジュールの組立装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
FPDとしては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイなどがある。このFPDにおける表示基板の周縁部には、駆動ICの搭載や、COF(Chip on Film)、FPC(Flexible Printed Circuit)などのTAB(Tape Automated Bonding)接続が行われる。また、表示基板の周辺には、例えば、PCB(Printed Circuit Board)などの周辺基板が実装される。その結果、FPDモジュールが組み立てられる。
【0003】
FPDモジュールの組立ラインは、複数の処理作業工程を順次行なうことで、FPDの表示基板における周縁部および周辺に、駆動IC、TABおよびPCBなどを実装する装置である。以下、表示基板を単に「基板」と略し、その他の基板、例えばPCBの場合は「PCB基板」と明記する。
【0004】
FPDモジュールの組立ラインにおける処理工程の一例としては、(1)基板端部のTAB貼付け部を清掃する端子クリーニング工程と、(2)清掃後の基板端部に異方性導電フィルム(ACF:AnisotropicConductive Film)を貼り付けるACF工程がある。また、(3)基板のACFを貼り付けた位置に、TABやICを位置決めして搭載する搭載工程と、(4)搭載したTABやICを加熱圧着してACFにより固定する圧着工程がある。さらに、(5)TABの基板側と反対側に、予めACFを貼り付けたPCB基板を貼付け搭載するPCB工程がある。なお、PCB工程は、複数の工程からなっている。
【0005】
ACFは、接合する部材のどちらか一方に予め貼り付けられていればよい。つまり、上記ACF工程の別な例では、ACFをTABやICの側に予め貼り付ける。また、表示基板モジュール組立ラインには、処理する基板の辺の数、処理するTABやICの数、各処理装置の数などに応じて、基板を回転する処理装置などが必要となる。
【0006】
このような一連の工程を経ることによって、基板上の電極とTABやIC等に設けた電極との間を熱圧着し、ACF内部の導電性粒子を介して両電極の電気的な接続が行われる。なお、圧着工程を終えると、ACF基材樹脂が硬化するため、両電極の電気的な接続と同時に、基板とTABやIC等が機械的にも接続される。
【0007】
一般的に、搭載するTABやICの個数が増大すると、ACFの貼り付け数も増大する。なお、ACFを長い単一のシート状のまま表示基板に貼り付ける方法も存在するが、TABやICを搭載しない部分に貼り付けたACFが無駄になるので好まれない。
【0008】
ここで、本発明でTABと称す電子部品は、その詳細形状や部材の厚さの差異などで、TCP(Tape Carrier Package)と呼称されたり、COF(Chip On Film)と呼称されたりする。これらTCPやCOFは、スプロケット穴を有する長尺のポリイミドフィルムに配線を施したFPC(Flexible Printed Circuit)に、ICチップを搭載し、これを切り出して構成されたものであり、実装する上での差異はない。また、パネルの設計によってはICチップなしのFPCのみを実装する場合もある。FPDの実装組立工程においては、これらの部品に実質上の差異はないため、本発明ではTABと呼称する。
【0009】
予めACFをTAB側に貼り付け、これをパネルに実装する方式としては、例えば、特許文献1に開示されている。ところが、特許文献1には、ACFをTABに貼り付ける機構については記載されていない。また、特許文献2には、ベースフィルム上のACFのみを所定の長さに切りそろえ、この後、TABに貼り付けてベースフィルムを引き剥がす方式が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平4−352442号公報
【特許文献2】特開平7−74208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここで、ACFの特性上、伸びを生じやすい点が課題となる。ACFは、厚さ30μm程度のPET(Polyethylene Terephthalate)製のベースフィルム上に厚さ30μm程度のACFを塗布して形成されており、リールで供給される。このため、ACFが必要な長さで切り取られるように、予めACFにハーフカットなどの切れ込みを入れておいても、ベースフィルムの伸びなどによりACFの長さに誤差が生じる。なお、ここで言うハーフカットとは、ACF層には切り込みを与え、ベースフィルム層は完全には切り離さず連続性を維持するような切込みを入れる加工のことである。
【0012】
従来から使用されているFPDモジュールの組立プロセスでは、ガラス製のFPDパネル側に予め長めにカットしたACFを貼り付けておいて、TABを位置決めして貼り付ける。そのため、ACFのハーフカットの間隔の精度を高精度にする必要がなかった。しかし、TAB側にACFを貼る場合は、以下のような問題を生じやすい。
【0013】
まず、ACFの貼り付け長さがTABの幅よりも短い場合は、TAB貼付後の剥離強度が低下する。これは、TABを引き剥がそうとする外力に対して、ガラスパネルとTABとの間のACFの開始点に応力が集中するためである。したがって、ACFの貼り付け長さがTABの幅よりも短い場合は、ACFをTABからややはみ出させてTABの外縁をACFにめり込ませた場合よりも剥離強度が弱くなる。
【0014】
一方、ACFをTABよりも長くした場合は、ベースフィルムの剥離の信頼性が低下する。先に説明したように、ACFもベースフィルムも薄く柔軟な樹脂フィルムであるため、比較的強固なTABに貼り付いたACFをベースフィルムから引き剥がすときに、ACFに対してベースフィルムを折り返すように剥がす必要がある。このとき、ACFが長いと、ACFとTABの接合部の境界に応力が集中していまい、ACFにハーフカットが形成されていても、ACFがTABから引き剥がされ、ベースフィルム側に付着してしまうという不具合が生じやすい。
【0015】
また、未硬化のACFは軟弱であるため、TABから長くはみ出したACFは折れ曲がりやすい。その結果、ACFをベースフィルムから上手く剥離できても、TABをパネルに貼り付ける際に、ACFが折り重なって付着してしまう可能性がある。
【0016】
このように、ACFがTABよりも長い場合は、ベースフィルムの剥離時とTABの貼付時に不具合が生じやすく、ACFが短めの場合は、使用時にTABが剥落する可能性が高くなる。また、ACFの伸びを見込んでカットする長さを調整しても、ACFの貼付位置に誤差が生じるため、ハーフカット済みのACFをTABに安定して貼り付けることは困難である。
【0017】
本発明の目的は、上記従来技術における実情を考慮し、ACFを電子部品(TAB)に安定して貼り付けることができるフラットパネルディスプレイの実装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明のFPDモジュールの組立装置は、貼付手段と切込手段と剥離手段を有するACF貼付部と、複数の搭載ヘッドを有する搭載部とを備えている。
ACF貼付部の貼付手段は、ベースフィルムとACFからなるACFテープのACFに電子部品を貼り付ける。切込手段は、電子部品が貼り付けられたACFに切り込みを入れ、剥離手段は、ACFに切り込みが形成されたACFテープのベースフィルムを剥離する。
搭載部は、表示基板の少なくとも2辺に対して、ACFが貼り付けられた電子部品の搭載作業を同時に行う。
【0019】
また、本発明のFPDモジュールの組立装置は、仮圧着ユニットと、本圧着ユニットとを備える。
仮圧着ユニットには、電子部品にACFを貼り付けるACF貼付部と、ACFが貼り付けられた電子部品を表示基板の周縁部に搭載する搭載部が設けられており、ACF貼付部は、貼付手段と切込手段と剥離手段を有している。ACF貼付部の貼付手段は、ベースフィルムとACFからなるACFテープのACFに電子部品を貼り付ける。切込手段は、電子部品が貼り付けられたACFに切り込みを入れ、剥離手段は、ACFに切り込みが形成されたACFテープのベースフィルムを剥離する。
本圧着ユニットは、複数の本圧着部を有し、表示基板の少なくとも2辺に搭載された電子部品の圧着作業を同時に行う。
【発明の効果】
【0020】
本発明のFPDモジュールの組立装置によれば、電子部品(TAB)にACFを貼り付ける場合に、電子部品の外縁近傍の外側にACFのハーフカットを施すことができるためACFの貼り付けを安定して実現できる利点がある。また、電子部品を近接して配置することにより、ACFを無駄なく使用できる利点もある。
【0021】
さらに、搭載部が表示基板の少なくとも2辺に対して、ACFが貼り付けられた電子部品の搭載作業を同時に行うことにより、装置を小型化することができる。また、本圧着ユニットが表示基板の少なくとも2辺に沿って搭載された電子部品の圧着作業を同時に行うことにより、装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明で実装組立を行うFPDモジュールの概略構成を示す平面図である。
【図2】本発明のFPDモジュール組立装置の第1の実施の形態を示すFPDモジュール組立ラインのフロアレイアウト図である。
【図3】本発明のFPDモジュール組立装置の第1の実施の形態に係る仮圧着ユニットを示す平面図である。
【図4】図4(a)は図3に示す仮圧着ユニットにおけるACF貼付部の平面図、図4(b)はACF貼付部の側面図である。
【図5】図5(a)は本発明のFPDモジュール組立装置の第2の実施の形態に係るACF貼付部の説明図、図5(b)は第2の実施の形態に係るACF貼付部のTABチャックおよびACFステージがACFテープを挟持して移動した状態の説明図である。
【図6】図6(a)は本発明のFPDモジュール組立装置の第3の実施の形態に係るACF貼付部の平面図、図6(b)は第3の実施の形態に係るACF貼付部の側面図である。
【図7】本発明のFPDモジュール組立装置の第4の実施の形態に係るACF貼付部の側面図である。
【図8】図8(a)は、第4の実施の形態に係るACF貼付部のガイドブロックにおける切り欠き部分を拡大した平面図、図8(b)は、図8(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図9】本発明のFPDモジュール組立装置の第5の実施の形態に係るACF貼付部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、FPD(フラットパネルディスプレイ)モジュールの組立装置を実施するための形態について、図1〜図9を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0024】
[FPDモジュール]
まず、FPDモジュールについて、図1を参照して説明する。
図1は、本発明で実装組立を行うFPDモジュールの概略構成を示す平面図である。
【0025】
図1に示すように、FPDモジュール7は、表示基板1の周縁部に複数のTAB2をACF接合により接続するとともに、一部のTAB2にPCB6をACF接続して構成されている。TAB2は、扁平な長方形のポリイミドフィルムに銅箔による印刷回路(不図示)を施したFPC(Flexible Printed Circuit)4に、ICチップ5を搭載してなる電子部品である。ICチップ5は、FPC4の略中央に実装されている。FPC4の下面には、印刷回路が設けられており、長手方向の両側(2つの長辺)にアウターリード端子(不図示)が設けられている。
【0026】
TAB2の品種によっては、ICチップ5が下面側にある場合(COFタイプ)や、ICチップがない場合(FPCタイプ)などもある。図1には、例としてICチップ5をFPC4の穴にはめ込んだ形式(TABタイプ)が示されている。また、TAB2やPCB6は、接続部位により回路的には相互に差異があるが、搭載実装の説明には区別する必要がないので、同じものとして図示している。
【0027】
1.第1の実施の形態
[FPDモジュールの組立ライン]
次に、本発明のFPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態であるFPDモジュール組立ラインについて、図2を参照して説明する。
図2は、FPDモジュール組立ライン全体を示すフロアレイアウト図である。
【0028】
FPDモジュール組立ライン10は、受け入れユニット100、仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300、PCB接続ユニット400および搬出ユニット500から構成されている。各ユニットは、フレーム103、203、303、403および503を有している。各フレームの操作面側には、搬送レール101、201、301、401および501が設けられており、隣り合う搬送レールが連結されている。
【0029】
搬送レール101、201、301および401は、搬送ステージ102、202、302および402が移動可能に支持している。これら搬送ステージ102、202、302および402は、次のユニットの作業位置まで表示基板1を搬送する。なお、最後の搬出ユニット500には、表示基板1を受け取る装置が別途設けられるが、搬出ユニット500からの搬出は、一般に工場ごとに仕様が異なるので、ここでは省略してある。
【0030】
仮圧着ユニット200、本圧着ユニット300およびPCB接続ユニット400には、表示基板1の作業辺を載せる基準バー204、304および404が設けられている。これら基準バー204、304および404は、表示基板1の作業辺を吸着し、表示基板1の平坦化を行う。これら基準バー204、304および404は、各ユニット200、300および400の後端支え(不図示)と共に作業中の表示基板1を安定して保持する。
【0031】
仮圧着ユニット200は、表示基板1の一方長辺と両短辺の3辺にTAB2をACFによって仮圧着する。このTAB2(図1参照)を仮圧着する構成については、後で詳しく説明する。
【0032】
本圧着ユニット300は、3つの本圧着部320A,320Bおよび320Cを有し、表示基板1の3辺に搭載されたTAB2(図1参照)の圧着作業を同時に行う。3つの本圧着部320A,320Bおよび320Cは、上刃を有する本圧着ヘッドと、下刃とを備えている。上刃および下刃は、ヒータにより加熱されており、TAB2を加熱加圧して表示基板1に接続する。
【0033】
TAB2を表示基板1に本圧着するには、TAB2を仮圧着した表示基板1を下側から下刃で支えつつ、上刃で加圧する。上刃により加圧されたACFは、例えば、190℃で5秒間加熱されて熱硬化する。
【0034】
この本圧着ユニット300では、表示基板1の両短辺に仮圧着されたゲート側のTAB2を本圧着する本圧着部320B,320Cを左右方向(ユニットが並ぶ方向)へ移動させる移動機構が必要になる。しかしながら、最もタクトタイムの長い本圧着作業を同時に実施できるため、全体のアラウンドタイムを短くすることができるという利点がある。
【0035】
PCB接続ユニット400は、表示基板1の長辺に接続されたソース側のTAB2にPCB基板を接続する。PCB接続ユニット400は、PCB供給装置430と、ACF貼付装置440と、移載装置450と、本圧着部460を備えている。
【0036】
PCB供給装置430は、トレー(不図示)で供給されたPCB基板を1枚ずつ左右のACF貼付装置440に供給する。ACF貼付装置440は、PCB供給装置430から供給されたPCB基板にACFを貼り付ける。移載装置450は、ACFの貼り付けが終了したPCB基板を本圧着部460に搬送する。そして、本圧着部460は、PCB基板を加圧加熱して複数のソース側のTAB2に接続する。
【0037】
[仮圧着ユニット]
次に、仮圧着ユニット200について、図3および図4を参照して説明する。
図3は、仮圧着ユニット200の平面図である。図4(a)は、仮圧着ユニット200のACF貼付部を示す平面図、図4(b)は、ACF貼付部の側面図である。
【0038】
図3に示すように、仮圧着ユニット200は、TAB供給部220と、ACF貼付部230と、搭載部280を備えている。TAB供給部220は、リール221と、リール221を回転させるリール送り機構222と、打ち抜き機構223を備えている。
【0039】
表示基板1に搭載するTAB2は、長尺のリボン状フィルムとしてリール221に巻きつけられている。リール221は、リール送り機構222によって回転し、リボン状フィルムを規定ピッチで送り出す。打ち抜き機構223は、リール221によって送り出されたリボン状フィルムを打ち抜いて、TAB2を個別に切り出す。切り出されたTAB2は、ACF貼付部230に供給される。
【0040】
ACF貼付部230は、供給されたTAB2の長手方向の一側(一方の長辺)にACFテープ3のACF3aを貼り付ける。図4に示すように、ACF貼付部230は、供給リール233と、ガイドローラ234と、ピンチローラ235と、回収リール236を備えている。さらに、ACF貼付部230は、ACFステージ250と、ナイフエッジ251と、TABステージ252と、TABチャック261と、剥離チャック266と、カッター刃270と、上下アーム271と、昇降部272を備えている。
【0041】
ACFテープ3は、厚さ35μmのリボン状のベースフィルム3bの片面にACF3a(20〜30μm)を塗布して形成されており、ACF3aを内側にして供給リール233に巻きつけられている。
【0042】
供給リール233は、送り出しモータ(不図示)により送り出し長さと速度を制御されつつACFテープ3を送り出す。ACFテープ3の送り量は、供給リール233のテープ残量に影響を受けるため、鍔つきのガイドローラ234により測定されている。通常、テープ走行の送り量を管理する場合は、ガイドローラ234に対向する表面がゴム製のピンチローラを設け、テープが滑らないように押さえ付ける。しかし、本実施の形態では、粘着性を有するACF3aがピンチローラに貼り付いてしまうため、ピンチローラは用いない。
【0043】
ACFテープ3は、ガイドローラ234により方向を変えられ、ACFステージ250の上の定位置に送り出される。ACFステージ250は、表面を平滑に仕上げたステンレス製の部材であり、TABチャック261に対向する領域の表面にフッ素樹脂加工が施されている。これにより、ベースフィルム3bからはみ出したACF3aがACFステージ250に固着することが無いようになっている。
【0044】
TABチャック261は、アーム260(図3参照)に設けられており、TAB2を真空吸着して搬送し、ACFステージ250に沿って延伸されたACFテープ3のACF3aに押し当てる。ここで、TABチャック261は、本発明に係るチャックブロックの一具体例を示すものである。そして、TABチャック261およびACFステージ250は、本発明に係る貼付手段の一例となる。
【0045】
TABチャック261のACFテープ3に対向する部分には、ヒータが内蔵されており、TAB2を例えば70〜90℃に加熱している。この状態で、TAB2を吸着したTABチャック261は、ACFテープ3の表面に対して例えば2MPaの加圧となるように、下向きに押し下げられる。なお、TAB2の表面温度およびACFテープ3への加圧力は、使用するACFの特性に応じて適宜設定する。
【0046】
加圧を終えたTABチャック261は、真空吸着を大気開放し、TAB2をTABステージ252の上に置く。TABステージ252は、両端に円筒ドラム(不図示)を有するベルトコンベアであり、両端の円筒ドラムによりTAB2の送り量と、送り速度を制御している。
【0047】
TABチャック261から開放されたTAB2は、TABステージ252の送りと、これに同期して供給リール233から送り出されるACFテープ3により1ピッチ分送り出される。この1ピッチは、ACFテープ3の無駄を省き、ベースフィルム3bの剥離を確実に行って、TAB2の搭載時に余分なACF3aが折れ曲がったりしないよう、TAB2の長辺(ACF3aを貼り付ける辺)よりも僅かに長くする。本例では、1ピッチをTAB2の長手方向の長さに0.5mmを加えた量とする。
【0048】
ACFテープ3がTAB2からはみ出る長さは、短ければ短いほどベースフィルム3bの剥離を安定して行うことができるが、次に説明するハーフカットを安定して行うため0にすることはできない。
【0049】
TAB2が所定の間隔(例えば、0.5mm)で配置されて送られると、隣り合うTAB2間のACF3aにカッター刃270で切込みが入れられる。具体的には、昇降部272が上下アーム271を押し下げる。これにより、上下アーム271に取り付けられたカッター刃270の先端が、ACFステージ250の表面より20〜30μm上方まで移動し、ACFテープ3にハーフカットを施す。ハーフカットでは、ACF3aを確実に切断するため、カッター刃270を下死点位置に0.1〜0.2秒間保持し、ベースフィルム3bの内部応力がクリープ開放される時間を確保している。これにより、ACFテープ3は、ACF3aが切り離され、且つ、ベースフィルム3bが連続性を保った状態になる。
【0050】
このように、カッター刃270、上下アーム271および昇降部272は、本発明に係る切込手段の一例となる。
【0051】
なお、ACFステージ250におけるハーフカットが実施される部分は、磨耗に耐えるため、表面に硬化処理済の高速度工具鋼を象嵌してある。この高速度工具鋼は、磨耗した時に貼り替えられるようになっている。
【0052】
TABステージ252およびACFテープ3の送りにより送り出されたTAB2は、ACFステージ250の端部に設けられたナイフエッジ251まで送られる。そして、剥離チャック266により真空吸着される。この剥離チャック266は、通常の真空吸着穴ではなく、多孔質セラミックからなる吸着パッドを有しており、TAB2を確実に真空吸着するようになっている。
【0053】
剥離チャック266は、TAB2の進行方向の前側にあるハーフカットがナイフエッジ251に達する直前に、TAB2を吸着してACFテープ3の送り速度に同期した速度で図4中の左方向に引き出す。これにより、ベースフィルム3bが剥離され、剥離工程が終了する。このとき、ベースフィルム3bは、ナイフエッジ251の鋭角部分でしごかれながら、TAB2から引き剥がされるため、ベースフィルム3bを安定して剥離することができる。
【0054】
特に、剥離の開始点となるTAB2の左端部(進行方向の前側の端部)近傍では、予めACF3aにハーフカットが施されており、剥離するきっかけが得やすくなっている。万一、ハーフカットを挟んで隣り合うACF3aが再度粘着しても、ハーフカットより前側にあるACF3aは、図4中左方向に前回の剥離により引き伸ばされており、糸引き方向がベースフィルム3bの進行方向ではないため剥離が生じやすい。
【0055】
剥離されたベースフィルム3bは、鍔付きのガイドローラ234とゴム加工されたピンチローラ235により、規定の送り速度で規定の送り量を巻き上げられ、回収リール236に巻き取られる。ここでは、既にACF3aが剥がれたベースフィルム3bをピンチローラ235が巻き取っているため、ピンチローラ235やガイドローラ234の表面にACF3aが付着して汚れる心配がない。
【0056】
このように、回収リール236、ナイフエッジ251および剥離チャック266は、本発明に係る剥離手段の一例となる。
【0057】
剥離チャック266は、排出アーム265によって移動され、ACF3aが貼り付けられたTAB2を受け渡し部275に渡す(図3参照)。受け渡し部275は、X軸ガイド276に移動可能に支持されている。この受け渡し部275は、ACF貼付部230から受け取ったTAB2を搭載部280に渡す。
【0058】
次に、搭載部280について説明する。
図3に示すように、搭載部280は、表示基板1の長辺にTAB2を搭載する長辺搭載部280Aと、それぞれ表示基板1の短辺にTAB2を搭載する短辺搭載部280B,280Cから構成されている。これら長辺搭載部280Aおよび短辺搭載部280B,280Cは、受け渡し部275からTAB2を受け取る。
【0059】
長辺搭載部280Aは、シャトルチャック281と、Y軸ガイド282と、X軸ガイド283と、搭載ブロック285と、X軸ガイド286と、カメラ部287を備えている。
【0060】
シャトルチャック281は、受け渡し部275からTAB2を受け取る。このシャトルチャック281は、Y軸ガイド282に移動可能に支持されている。そして、Y軸ガイド282は、X軸ガイド283に移動可能に支持されている。これにより、シャトルチャック281は、水平方向に移動自在になっている。シャトルチャック281およびY軸ガイド282は、2つずつ設けられている。そして、2つのY軸ガイド282は、X軸ガイド283を共有している。
【0061】
搭載ブロック285は、搭載ベース291と、TAB台292と、搭載ヘッド293と、受け渡しヘッド294からなっている。搭載ベース291は、X軸ガイド286に移動可能に支持されており、表示基板1の長辺におけるTAB搭載位置に移動する。TAB台292、搭載ヘッド293および受け渡しヘッド294は、搭載ベース291上に配置されている。
【0062】
シャトルチャック281は、搭載ベース291に接近し、TAB台292にTAB2を渡す。受け渡しヘッド294は、TAB台292上のTAB2を搭載ヘッド293に渡す。搭載ヘッド293は、受け渡しヘッド294から供給されたTAB2を表示基板1のTAB搭載位置に仮圧着(搭載)する。この際、搭載ベース291の移動に先立って予め搭載位置の両端部下方に待機した一対のカメラ部287は、それぞれ2視野レンズを有し、表示基板1の搭載マークとTAB2の位置決めマークの撮像を行う。この画像測定により算出された位置決め誤差を搭載ヘッド293に送信し、搭載ヘッド293は、受信した個別調整値により搭載位置の調整(位置決め)を行いつつTAB2を表示基板1に搭載している。
【0063】
なお、長辺搭載部280Aの搭載ブロック285およびカメラ部287は、シャトルチャック281に対応して2組設けられている。そして、2つの搭載ベース291は、X軸ガイド286を共有している。
【0064】
短辺搭載部280B,280Cは、長辺搭載部280Aと同様の構成を有している。つまり、短辺搭載部280B,280Cは、シャトルチャック281と、X軸ガイド296と、Y軸ガイド297と、搭載ブロック285と、Y軸ガイド298と、カメラ部(不図示)をそれぞれ備えている。
【0065】
短辺搭載部280B,280Cのシャトルチャック281は、X軸ガイド296に移動可能に支持されており、X軸ガイド296は、Y軸ガイド297に移動可能に支持されている。短辺搭載部280B,280Cの搭載ベース291は、Y軸ガイド298に移動可能に支持されており、表示基板1の短辺におけるTAB搭載位置に移動する。
【0066】
表示基板1は、基準バー204に配置される際に、予め両端の基準マークをカメラ部287により撮影し、概略のアライメント調整を行った状態で渡される。しかし、表示基板1の寸法誤差による搭載位置のずれを避けるため、搭載ヘッド293による搭載においても、個々にアライメントを行う。
【0067】
以上、本発明のFPDモジュールの組立装置の第1の実施の形態を図1〜図4を用いて説明したが、本発明は、その趣旨を生かした以下のような変形も可能である。
【0068】
2.第2の実施の形態
[ACF貼付装置]
次に、本発明のFPDモジュールの組立装置の第2の実施の形態について、図5を参照して説明する。
図5(a)は、本発明のFPDモジュール組立装置の第2の実施の形態に係るACF貼付部の平面図である。図5(b)は、ACF貼付部のTABチャックおよびACFステージがACFテープを挟持して移動した状態の説明図である。
【0069】
FPDモジュールの組立装置の第2の実施の形態は、第1の実施の形態のFPDモジュール組立ライン10(図2参照)と同様の構成を有している。このFPDモジュールの組立装置の第2の実施の形態がFPDモジュール組立ライン10と異なる点は、ACF貼付部230Aである。そのため、ここでは、ACF貼付部230Aについて説明し、FPDモジュール組立ライン10と共通する構成の説明を省略する。
【0070】
図5(a)および図5(b)に示すように、ACF貼付部230Aは、第1の実施の形態のACF貼付部230(図4参照)と同様の構成を有している。このACF貼付部230AがACF貼付部230と異なる点は、TABチャック261AとACFステージ250Aである。
【0071】
TABチャック261AおよびACFステージ250Aは、ACFテープ3の長手方向(図5中の左右方向)へ移動可能に構成されている。ACFステージ250Aは、第1の実施の形態のACFステージ250よりもACFテープの1ピッチ分の送り量だけ短くなっている。そのため、ACFステージ250Aは、ACFテープ3の送り方向に移動しても、ナイフエッジ251に干渉することはない。
【0072】
TAB2を吸着したTABチャック261Aは、ACFテープ3の表面に対して例えば2MPaの加圧となるように、下向きに押し下げられる(図5(a)参照)。これにより、ACFテープ3とTAB2は、TABチャック261AとACFステージ250Aとにより挟持され、ACF3aとTAB2が当接する。
【0073】
次に、TABチャック261AおよびACFステージ250Aは、ACFテープ3およびTABステージ252の送り出しに同期して、ACFテープ3の送り方向(図5中の左方向)へ1ピッチ分移動する(図5(b)参照)。これにより、TAB2およびACFテープ3の送り作業と、ACF3aとTAB2の圧着作業を同時に行うことができる。その結果、TAB2にACF3aを貼り付けるまでの作業時間を短くすることができる。また、ACFテープ3の送り量がACF3aやTAB2の伸びによる誤差に影響されず、ACFテープ3の送り量を安定させることができる。
【0074】
また、ACFステージ250AがACFテープ3の送り方向へ移動すると、隣り合うTAB2間のACF3aにカッター刃270で切込み(ハーフカット)が入れられる。このとき、TABチャック261Aは、次にACF3aに押し付けるTAB2を吸着するために移動する。ACF3aにハーフカットが形成されると、ACFステージ250Aは、TAB挟持位置に移動する(図5(a)参照)。
【0075】
3.第3の実施の形態
[ACF貼付装置]
次に、本発明のFPDモジュールの組立装置の第3の実施の形態について、図6を参照して説明する。
図6(a)は、本発明のFPDモジュール組立装置の第3の実施の形態に係るACF貼付部の平面図である。図6(b)は、第3の実施の形態に係るACF貼付部の側面図である。
【0076】
FPDモジュールの組立装置の第3の実施の形態は、第1の実施の形態のFPDモジュール組立ライン10(図2参照)と同様の構成を有している。このFPDモジュールの組立装置の第3の実施の形態がFPDモジュール組立ライン10と異なる点は、ACF貼付部230Bである。そのため、ここでは、ACF貼付部230Bについて説明し、FPDモジュール組立ライン10と共通する構成の説明を省略する。
【0077】
図6(a)および図6(b)に示すように、ACF貼付部230Bは、第1の実施の形態のACF貼付部230(図4参照)と同様の構成を有している。このACF貼付部230BがACF貼付部230と異なる点は、ACFテープ3の送り出しとベースフィルム3bの回収に関わる機構を2組用意し、TABステージ252の両側に配置した点である。
【0078】
このように構成したACF貼付部230Bによれば、TAB2の表示基板1側の端子と、PCB基板側の端子の両方にACF3aを貼り付けることができる。これにより、PCB基板側にACFの貼付を行う必要が無くなる。その結果、PCB接続ユニット400(図2参照)には、ACF貼付装置440を設ける必要がない。しかも、ACF3aの貼付をACF貼付部230Bによって一度に行うため、装置コストをより低減することができる。
【0079】
なお、図1に示すように、表示基板1の短辺に搭載するTAB2にPCB6を接続しない場合がある。その場合は、上記第1の実施の形態のACF貼付部230や上記第2の実施の形態のACF貼付部230Aによって短辺に搭載するTAB2にACF3aを貼り付ける。
【0080】
上述した第1〜第3の実施の形態では、ナイフエッジ251を鋭角のエッジにすることにより、ベースフィルム3bの剥離を容易にした。しかしながら、本発明に係るACF貼付部としては、ナイフエッジ251に超音波振動を与えることにより、ベースフィルム3bの剥離を容易にすることもできる。この機構は、ナイフエッジ251を鋭角のエッジにしたものにも適用できる。なお、ベースフィルム3bの剥離をより有効に開始させるには、ナイフエッジ251をACF3aの接着面に垂直な方向に振動させるとよい。
【0081】
また、不用意に強大な超音波振動をナイフエッジ251に与えた場合は、ACF3a自体を加熱軟化させ、亀裂を生じさせたりベースフィルム3bを破損したりする可能性がある。そのため、ナイフエッジ251に与える振動は、使用するACFテープ3およびTAB2に応じて、適切なパワーに調整する必要がある。
【0082】
また、ACFテープ3およびTAB2への影響を避けるためには、剥離が開始されたときに、超音波振動を停止することが好ましい。ナイフエッジ251に適切な超音波振動を与えることにより、TAB2の辺縁部での剥離開始をスムーズに行うことができるようになり、ベースフィルム3bの剥離時にACF3aを共に剥離してしまう不具合を軽減することができる。
【0083】
また、上述した第2の実施の形態のACF貼付部230Aに係るTABチャック261AおよびACFステージ250Aは、第3の実施の形態に係るTABチャックおよびACFステージとして適用することもできる。つまり、本発明に係るACF貼付部としては、ACFテープ3の送り出しとベースフィルム3bの回収に関わる機構を2組備え、且つ、TABチャックおよび2組のACFステージがACFテープ3の送り方向へ移動可能な構成であってもよい。
【0084】
4.第4の実施の形態
[ACF貼付装置]
次に、本発明のFPDモジュール組立装置の第4の実施の形態について、図7および図8を参照して説明する。
図7は、本発明のFPDモジュール組立装置の第4の実施の形態に係るACF貼付部の側面図である。図8(a)は、第4の実施の形態に係るACF貼付部のガイドブロックにおける切り欠き部分を拡大した平面図である。図8(b)は、図8(a)のA−A線に沿う断面図である。
【0085】
FPDモジュール組立装置の第4の実施の形態は、第1の実施の形態のFPDモジュール組立ライン10(図2参照)と同様の構成を有している。このFPDモジュールの組立装置の第4の実施の形態がFPDモジュール組立ライン10と異なる点は、ACF貼付部630である。そのため、ここでは、ACF貼付部630について説明し、FPDモジュール組立ライン10と共通する構成の説明を省略する。
【0086】
図7に示すように、第4の実施の形態に係るACF貼付部630は、供給されたTAB2の長手方向の両側(2つの長辺)にACFテープ3のACF3a(図8参照)を貼り付ける。このACF貼付部630は、供給リール631と、送り出し駆動ローラ632と、ガイドローラ633A〜633Dと、テンションローラ634A,634Bと、ピンチローラ635と、キャプスタンローラ636と、折り返しローラ637とを備えている。
【0087】
また、ACF貼付部630は、ガイドブロック650と、TABチャック651と、圧着ブロック652と、圧着ブロック駆動部653と、第1のカッター刃654Aと、第2のカッター刃654Bと、中抜きアーム655と、剥離チャック656を備えている。さらに、ACF貼付部630は、位置検出部661と、貼付検出部662と、移動チャック663と、固定チャック664と、回収部665を備えている。
【0088】
TABチャック651は、本発明に係るチャックブロックの一具体例を示すものである。そして、TABチャック651、ガイドブロック650および圧着ブロック652は、本発明に係る貼付手段の一例となる。また、カッター刃654A,654Bと、これらカッター刃654A,654を動作させる昇降部(不図示)は、本発明に係る切込手段の一例となる。また、移動チャック663、折り返しローラ637および剥離チャック656は、本発明に係る剥離手段の一例となる。
【0089】
ガイドブロック650は、表面を平滑に仕上げたステンレス製の部材であり、TABチャック651に対向する表面にフッ素樹脂加工が施されている。これにより、ベースフィルム3bからはみ出したACF3aがガイドブロック650に固着することが無いようになっている。ガイドブロック650は、ACFテープ3およびACFテープ3のACF3a上に載置されるTAB2を移動可能に支持する。このガイドブロック650には、圧着ブロック652との干渉を避けるための切り欠き部650aが設けられている。
【0090】
圧着ブロック652は、圧着ブロック駆動部653により駆動される。これにより、圧着ブロック652は、ガイドブロック650の切り欠き部650a内において、ACFテープ3の送り方向または送り方向とは反対の方向へ1ピッチ分移動する。この圧着ブロック652は、TAB2とACFテープ3を挟んで仮圧着する圧着刃671および下受け672を有している。
【0091】
圧着ブロック652の圧着刃671及び下受け672と、剥離チャック656と、移動チャック663は、ベルト675によって連結されており、同期して駆動するようになっている。なお、圧着刃671、剥離チャック656、移動チャック663等を同期させる手段としては、ベルトに限定されるものではなく、例えば、圧着刃671、剥離チャック656、移動チャック663等の部材を動作させる各サーボモータを同期して駆動させる方法を用いてもよい。
【0092】
図8(a)に示すように、ガイドブロック650の切り欠き部650aには、複数のワイヤ676が取り付けられている。これらワイヤ676は、TAB2を下方から支持している。ICチップ5が下面側に突出するCOFにACFテープ3を貼り付ける場合は、ICチップ5と干渉しない位置にワイヤ676を掛け渡す必要がある(図8(b)参照)。
【0093】
また、本実施の形態の下受け672は、ACFテープの送り出し方向に略直交する方向に対向する第1の下受け材672Aおよび第2の下受け材672Bから構成されている。第1の下受け材672Aは、一方のACFテープ3を支持し、第2の下受け材672Bは、他方のACFテープ3を支持する。
【0094】
下受け材672A,672Bは、ACFテープ3の送り出し方向に略直交する方向へ移動可能になっている。これにより、TABの種類に応じてACFテープ3の貼付位置が変化しても、その貼付位置に下受け材672A,672Bを配置することができるため、複数種類のTABに対して共通の下受け672を使用することができる。
【0095】
次に、ACF貼付部630の動作について、図7を参照して説明する。
ACFテープ3は、ガイドローラ633A,633Bおよびテンションローラ634Aにより方向を変えられ、ガイドブロック650上の定位置に配置される。TABチャック651は、TAB2を真空吸着して搬送し、ガイドブロック650に沿って延伸されたACFテープ3のACF3a上に載置する。
【0096】
このとき、圧着ブロック652の圧着刃671は、昇降機構(不図示)により下降され、下受け672との間にTAB2およびACFテープ3を挟んで、例えば2MPaで加圧する。また、圧着刃671および下受け672のACFテープ3に対向する部分には、ヒータが内蔵されており、TAB2およびACFテープ3を例えば70〜90℃で加熱する。なお、加熱温度およびの加圧力は、使用するACFの特性に応じて適宜設定する。
【0097】
一方、カッター刃654A,654Bは、昇降機構(不図示)により下降し、隣り合うTAB2間のACF3aに切込みを入れる。具体的には、カッター刃654A,654Bの先端が、ガイドブロック650の表面より20〜30μm上方まで移動し、ACFテープ3にハーフカットを施す。その結果、ACFテープ3は、ACF3aが切り離され、且つ、ベースフィルム3bが連続性を保った状態になる。
【0098】
隣り合うTAB2間のACF3aに切込みを入れる場合は、位置検出部661が隣り合うTAB2の互いに対向する端部を撮像し、TAB2の位置を検出する。そして、検出したTAB2の位置に基づいて、カッター刃654A,654Bにおける上下方向の軸を中心とした角度や送り方向の位置が調整される。なお、第2のカッター刃654Bは、現在の検出結果ではなく、1つ前の検出結果に基づいて角度および位置が調整される。
【0099】
ガイドブロック650におけるハーフカットが実施される部分は、磨耗に耐えるため、表面に硬化処理済の高速度工具鋼を象嵌してある。この高速度工具鋼は、磨耗した時に貼り替えられるようになっている。また、中抜きアーム655は、第2のカッター刃654Bと共に下降し、隣り合うTAB2間に施された2つのハーフカット間の余分なACF3aを粘着テープに貼り付けて除去する。
【0100】
さらに、剥離チャック656は、圧着刃671の下降動作に同期して昇降機構(不図示)により下降し、折り返しローラ637まで到達したTAB2を真空吸着する。また、圧着刃671の下降動作に同期して、移動チャック663がACFテープ3のベースフィルム3bを挟持し、固定チャック664がACFテープ3のベースフィルム3bを開放する。
【0101】
次に、圧着ブロック652は、TAB2およびACFテープ3を挟んだ状態で圧着ブロック駆動部653により駆動され、ACFテープ3の送り方向へ移動する。これにより、TAB2およびACFテープ3は、送り方向へ1ピッチ分送り出され、基準位置にあるテンションローラ634Aが上昇する。
【0102】
送り出し量である1ピッチは、TAB2の長辺(ACF3aを貼り付ける辺)よりも僅かに長くする。本例では、1ピッチをTAB2の長手方向の長さに0.5mmを加えた長さとする。これにより、ACFテープ3の無駄を省き、ベースフィルム3bの剥離を確実に行って、TAB2の搭載時に余分なACF3aが折れ曲がったりしないようにすることができる。
【0103】
一方、剥離チャック656は、圧着刃671の水平移動動作に同期して移動機構(不図示)により圧着刃671と同じ送り方向へ移動し、TAB2からベースフィルム3bを剥離する。このとき、ベースフィルム3bは、折り返しローラ637でしごかれながら引き剥がされるため、ベースフィルム3bを安定して剥離することができる。また、貼付検出部662が剥離チャック656に吸着されたTAB2の下面を撮像し、ACF3aが貼り付けられているか否かを検出する。
【0104】
ACFテープ3のベースフィルム3bを挟持した移動チャック663は、圧着刃671の水平移動動作に同期して昇降機構(不図示)により下降する。これにより、基準位置にあるテンションローラ634Bが下降する。
【0105】
その後、固定チャック664がACFテープ3のベースフィルム3bを挟持し、移動チャック663がベースフィルム3bを開放する。続いて、キャプスタンローラ636が回転し、余分なベースフィルム3bを回収部665へ送る。キャプスタンローラ636は、テンションローラ634Bの下降位置に基づいて回転制御され、テンションローラ634Bが基準位置に戻るまでベースフィルム3bを送り出す。
【0106】
一方、送り出し駆動ローラ632は、テンションローラ634Aの上昇位置に基づいて回転制御され、テンションローラ634Aが基準位置に戻るまで供給リール631を回転させてACFテープ3を送り出す。また、剥離チャック656は、排出アーム265によって移動され、ACF3aが貼り付けられたTAB2を受け渡し部275に渡す(図3参照)。
【0107】
次に、圧着ブロック652は、TAB2およびACFテープ3を開放し、圧着ブロック駆動部653により駆動されてACFテープ3の送り方向とは反対の方向へ移動する。この圧着ブロック652における圧着刃671の水平移動動作のタイミングで、剥離チャック656は、移動機構(不図示)により圧着刃671と同じ方向へ移動し、折り返しローラ637まで到達したTAB2の上方に位置する。これにより、ACF貼付部630の動作が一巡し、TABチャック651によるTAB2のACF3a上への載置が行われる。
【0108】
ACF貼付部630によれば、圧着ブロック652と移動チャック663によってACFテープ3を挟持して1ピッチ分移動させる。このとき、圧着ブロック652は、TAB2とACF3aを加熱圧着しながら、ACFテープ3を移動させる。これにより、TAB2およびACFテープ3の送り作業と、ACF3aとTAB2の圧着作業を同時に行うことができる。その結果、TAB2にACF3aを貼り付けるまでの作業時間を短くすることができる。
【0109】
また、圧着ブロック652と移動チャック663によりACFテープ3を挟持して1ピッチ分移動させるため、供給リール631(送り出し駆動ローラ632)およびキャプスタンローラ636を高精度に制御しなくても、常に一定の送り量を得ることができる。
【0110】
5.第5の実施の形態
[ACF貼付装置]
次に、本発明のFPDモジュールの組立装置の第5の実施の形態について、図9を参照して説明する。
図9は、本発明のFPDモジュール組立装置の第5の実施の形態に係るACF貼付部の側面図である。
【0111】
FPDモジュールの組立装置の第5の実施の形態は、第1の実施の形態のFPDモジュール組立ライン10(図2参照)と同様の構成を有している。このFPDモジュールの組立装置の第5の実施の形態がFPDモジュール組立ライン10と異なる点は、ACF貼付部730である。そのため、ここでは、ACF貼付部730について説明し、FPDモジュール組立ライン10と共通する構成の説明を省略する。
【0112】
また、ACF貼付部730は、第4の実施の形態に係るACF貼付部630と同様の構成を有している。このACF貼付部730がACF貼付部630と異なる点は、圧着ブロック752である。そのため、ここでは、圧着ブロック752について説明し、ACF貼付部630と共通する構成の説明を省略する。
【0113】
図9に示すように、ACF貼付部730のガイドブロック650には、圧着ブロック752との干渉を避けるための切り欠き部750が設けられている。圧着ブロック752は、圧着ブロック駆動部(不図示)により駆動される。これにより、圧着ブロック752は、ガイドブロック650の切り欠き部650a内において、ACFテープ3の送り方向または送り方向とは反対の方向へ1ピッチ分移動する。
【0114】
圧着ブロック752は、ACFテープ3の送り方向の並べて配置される第1の圧着部753および第2の圧着部754を備えている。第1の圧着部753は、TABチャック651側に配置されており、TAB2とACFテープ3を挟んで仮圧着する圧着刃671Aおよび下受け672Aを有している。また、第2の圧着部754は、第1のカッター刃654A側に配置されており、TAB2とACFテープ3を挟んで仮圧着する圧着刃671Bおよび下受け672Bを有している。これら圧着部753,754の圧着刃671,672は、剥離チャック656および移動チャック663と同期して駆動するようになっている。
【0115】
ACF貼付部730によれば、圧着ブロック752と移動チャック663によってACFテープ3を挟持して1ピッチ分移動させる。そして、1つのTAB2およびそのTAB2に貼り付けるACF3aに対して、圧着部753,754により熱圧着を2回行う。そのため、各圧着部753,754における圧着時間を短くすることができ、第4の実施の形態のACF貼付部630よりも、TAB2にACF3aを貼り付けるまでの作業時間を短くすることができる。
【0116】
なお、本実施の形態では、圧着作業を2分割にしたが、本発明に係るACF貼付部としては、他の作業(切り込み作業や剥離作業等)と圧着時間のバランスを考慮して圧着作業を3分割以上にすることもできる。
【0117】
上述した第1〜第5の実施の形態によれば、TAB2(電子部品)にACF3aを貼り付けてから、ACFテープ3のACF3aにおけるTAB2の外縁近傍の外側に切り込み(ハーフカット)を施す。これにより、切り取られたACF3aの長さに誤差が生じにくくなるため、ACFの貼り付けを安定して行うことができる。さらに、ACFテープ3のACF3a上にTAB2を近接して配置することにより、ACF3aを無駄なく使用することができる。
【0118】
上述した第1〜第5の実施の形態によれば、ACF3aが貼り付けられたTAB2の搭載作業を表示基板1の3辺(一方の長辺および両短辺)に対して同時に行う。また、表示基板1の3辺に搭載されたTAB2の圧着作業を同時に行う。したがって、ユニット数を削減することができ、装置の小型化を実現することができる。
【0119】
上述した第1〜第5の実施の形態では、ACF3aが貼り付けられたTAB2の搭載作業を表示基板1の3辺に対して同時に行うようにした。しかしながら、PDFモジュールとしては、一方の長辺と一方の短辺にTAB2(電子部品)を接続するものもある。したがって、本発明に係る搭載部としては、表示基板の少なくとも2辺に対してTAB2の搭載作業を行う構成であればよい。これと同様に、本発明に係る本圧着ユニットとしては、表示基板1の少なくとも2辺に搭載されたTAB2の圧着作業を同時に行う構成であればよい。
【0120】
以上、本発明のFPDモジュールの組立装置の実施の形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明のFPDモジュールの組立装置は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0121】
1…表示基板、 2…TAB(電子部品)、 3…ACFテープ、 3a…ACF、 3b…ベースフィルム、 4…FPC(Flexible Printed Circuit)、 5…ICチップ、 6…PCB(Printed Circuit Board)、 7…FPD(Flat Panel Display)モジュール、 10…FPDモジュール組立ライン(FPDモジュールの組立装置)、 100…受け入れユニット、 200…仮圧着ユニット、 220…TAB供給部、 230,230A,230B,630,730…ACF貼付部、 233…供給リール、 234…ガイドローラ、 235…ピンチローラ、 236…回収リール、 250,250A…ACFステージ、 251…ナイフエッジ、 252…TABステージ、 260…アーム、 261,261A…TABチャック、 266…剥離チャック、 270…カッター刃、 271…上下アーム、 272…昇降部、 275…受け渡し部、 276…X軸ガイド、 280A…長辺搭載部、 280B,280C…短辺搭載部、 281…シャトルチャック、 282…Y軸ガイド、 283…X軸ガイド、 285…搭載ブロック、 286…X軸ガイド、 287…カメラ部、 291…搭載ベース、 292…TAB台、 293…搭載ヘッド、 294…受け渡しヘッド、 296…X軸ガイド、 297…Y軸ガイド、 298…Y軸ガイド、 300…本圧着ユニット、 320A,320B,320C…本圧着部、 400…PCB接続ユニット、 430…PCB供給装置、 440…ACF貼付装置、 450…移載装置、 460…本圧着部、 500…搬出ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルムとACFからなるACFテープの前記ACFに電子部品を貼り付ける貼付手段と、前記電子部品が貼り付けられたACFに切り込みを入れる切込手段と、前記ACFに切り込みを入れた前記ACFテープの前記ベースフィルムを剥離する剥離手段と、を有するACF貼付部と、
複数の搭載ヘッドを有し、表示基板の少なくとも2辺に対して前記ACFが貼り付けられた電子部品の搭載作業を同時に行う搭載部と、
を備えるFPDモジュールの組立装置。
【請求項2】
電子部品にACFを貼り付けるACF貼付部と、前記ACFが貼り付けられた電子部品を表示基板の周縁部に搭載する搭載部が設けられた仮圧着ユニットと、
複数の本圧着部を有し、前記表示基板の少なくとも2辺に沿って搭載された電子部品の圧着作業を同時に行う圧着ユニットと、を備え、
前記ACF貼付部は、ベースフィルムとACFからなるACFテープの前記ACFに電子部品を貼り付ける貼付手段と、前記電子部品が貼り付けられたACFに切り込みを入れる切込手段と、前記ACFに切り込みを入れた前記ACFテープの前記ベースフィルムを剥離する剥離手段と、を有するFPDモジュールの組立装置。
【請求項3】
前記ACF貼付部の前記貼付手段は、前記電子部品を前記ACFに押し付けるチャックブロックと、前記ACFテープを支持するテープ支持部と、を備え、
前記チャックブロックと前記テープ支持部は、前記電子部品および前記ACFテープを挟んで前記ACFに電子部品を貼り付ける
請求項1または2に記載のFPDモジュールの組立装置。
【請求項4】
前記チャックブロックと前記テープ支持部は、前記電子部品および前記ACFテープを挟んだ状態で前記ACFテープの送り方向に移動する
請求項3に記載のFPDモジュールの組立装置。
【請求項5】
前記ACF貼付部の前記貼付手段は、前記電子部品の一辺を第1のACFテープのACFに貼り付けると共に、前記電子部品の前記一辺に対向する他辺を第2のACFテープのACFに貼り付ける
請求項1〜4のいずれかに記載のFPDモジュールの組立装置。
【請求項6】
前記表示基板に接続された前記電子部品の一部にPCBを接続するPCB接続ユニットを備える
請求項1〜5のいずれかに記載のFPDモジュールの組立装置。
【請求項7】
前記ACF貼付部は、
前記電子部品および前記ACFテープを挟んだ状態で前記ACFテープの送り方向に移動する圧着ブロックと、
前記ACFが剥離された前記ベースフィルムを挟持して前記ACFテープの送り方向に移動する移動チャックと、
前記圧着ブロック、前記移動チャック、前記切込手段および前記剥離手段の動作を同期させる同期手段と、を備える
請求項1または2に記載のFPDモジュールの組立装置。
【請求項8】
前記圧着ブロックは、
一の電子部品と前記ACFテープを挟んで加圧する第1の圧着部と、前記第1の圧着部による加圧が終了した前記一の電子部品と前記ACFテープを挟んで加圧する第2の圧着部とを有する
請求項7に記載のFPDモジュールの組立装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−197461(P2011−197461A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64949(P2010−64949)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】