説明

FPDモジュールの組立装置

【課題】表示基板に接続されたTABとPCBとの相対的な位置ずれを防ぐFPDモジュールの組立装置を提供する。
【解決手段】FPDモジュールの組立装置は、PCB搬送部84と、予熱用ヒータ96A,96Bと、カメラ85A,85Bと、本圧着部76とを備える。PCB搬送部84は、PCB103を保持して搬送する。予熱用ヒータ96A,96Bは、PCB搬送部84に保持されたPCB103に接触してPCB103の予熱を行う。カメラ85A,85Bは、ヒータによって予熱されたPCB103の位置を検出する。本圧着部76は、カメラ85A,85Bの検出結果に基づいてPCB搬送部84により搬送されたPCB103と表示基板101に接続されたTAB102とを熱圧着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイ(FPD:Flat Panel Display)の表示基板に実装部品を実装するFPDモジュールの組立装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
FPDとしては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイなどがある。このFPDにおける表示基板の周縁部には、駆動ICの搭載や、COF(Chip on Film)、FPC(Flexible Printed Circuit)などのTAB(Tape Automated Bonding)接続が行われる。また、表示基板の周辺には、例えば、PCB(Printed Circuit Board)などの周辺基板が実装される。その結果、FPDモジュールが組み立てられる。
【0003】
ここで、TABと称する電子部品は、その詳細形状や部材の厚さの差異などで、TCP(Tape Carrier Package)と呼称されたり、COF(Chip On Film)と呼称されたりする。これらTCPやCOFは、スプロケット穴を有する長尺のポリイミドフィルムに配線を施したFPC(Flexible Printed Circuit)に、ICチップを搭載し、これを切り出して構成されたものであり、実装する上での差異はない。また、パネルの設計によってはICチップなしのFPCのみを実装する場合もある。FPDの組立工程においては、これらの部品に実質上の差異はないため、本発明ではTABと呼称する。
【0004】
FPDモジュールの組立ラインは、複数の処理作業工程を順次行なうことで、FPDの表示基板における周縁部及び周辺に、駆動IC、TABおよびPCBなどを実装する装置である。
【0005】
FPDモジュールの組立ラインにおける処理工程の一例としては、(1)表示基板端部のTAB貼付け部を清掃する端子クリーニング工程と、(2)清掃後の表示基板端部に異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を貼り付けるACF工程がある。また、(3)表示基板のACFを貼り付けた位置に、TABやICを位置決めして搭載する搭載工程と、(4)搭載したTABやICを加熱圧着してACFにより固定する圧着工程がある。さらに、(5)TABの表示基板側と反対側に、予めACFを貼り付けたPCBを貼付け搭載するPCB工程がある。なお、PCB工程は、複数の工程からなっている。
【0006】
FPDモジュールの組立ラインのPCB工程で用いられるPCB接続ユニットは、例えば、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示されたPCB接続ユニットでは、TAB付き表示基板の所定箇所とACFが貼付されたPCBの所定箇所とを位置合わせ手段によって位置合わせし、圧着手段によって圧着する。
【0007】
また、特許文献2には、PCB接続ユニットのその他の例が開示されている。この特許文献2に開示されたPCB接続ユニットでは、PCB載置部上でPCBを所定の位置に位置決めし、PCB載置部に載置されたPCBに対して表示基板を位置合わせする。その後、表示基板とPCBとを重ね合わせて、圧着手段で圧着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−185079号公報
【特許文献2】特開平11−242236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されたPCB接続ユニットでは、熱圧着を行う圧着手段の設置場所にPCBを載置したPCBテーブルと表示基板を移動させて、その後、両者の位置合わせを行っていた。そのため、位置合わせが完了するまでにかかる時間のバラツキによってPCBに生じる熱膨張の程度が異なってしまうという問題があった。
【0010】
一方、特許文献2に開示されたPCB接続ユニットでは、圧着手段の設置場所に移動する前にPCB載置部上でPCBの位置合わせを行うため、位置合わせ中にPCBが熱膨張することはない。しかし、PCBテーブルと表示基板を圧着手段の設置場所に移動させるときのPCBの温度のバラツキによって熱膨張にもバラツキが生じてしまう。そのため、表示基板のTABとPCBとが相対的に位置ずれして圧着されてしまうおそれがあった。
【0011】
本発明の目的は、上記従来技術における実情を考慮し、表示基板に接続されたTABとPCBとの相対的な位置ずれを防ぐFPDモジュールの組立装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明のFPDモジュールの組立装置は、PCB搬送部と、ヒータと、位置検出部と、圧着部とを備える。PCB搬送部は、PCBを保持して搬送する。ヒータは、PCB搬送部に保持されたPCBに接触してPCBの予熱を行う。位置検出部は、ヒータによって予熱されたPCBの位置を検出する。圧着部は、位置検出部の検出結果に基づいてPCB搬送部が搬送したPCBと表示基板に接続されたTABとを熱圧着する。
【0013】
本発明のFPDモジュールの組立装置では、PCB搬送部に保持されたPCBの予熱を行ってからPCBの位置を検出し、その検出結果に基づいてPCB搬送部がPCBを圧着部へ搬送する。そのため、位置検出後にPCBが熱膨張することを防止あるいは抑制することができる。
【0014】
圧着部は、PCB搬送部によって搬送されたPCBと表示基板に接続されたTABとを熱圧着する。PCBはPCB搬送部による搬送中にヒータによって予熱されているため、圧着部に配置されるときに毎回ほぼ同じ温度になっている。そのため、圧着部に配置されたPCBの温度のバラツキに起因する熱膨張のバラツキを抑制することができる。その結果、TABとPCBとの相対的な位置ずれを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、各PCBの温度のバラツキに起因する熱膨張のバラツキを抑制し、表示基板に接続されたTABとPCBとの相対的な位置ずれを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明で実装組立を行うFPDモジュールの概略構造を示す平面図である。
【図2】本発明のFPDモジュール組立装置の一実施形態を示すフロアレイアウト図である。
【図3】本発明のFPDモジュール組立装置の一実施形態に係るPCB接続ユニットの第1の例を示す平面図である。
【図4】図3に示すPCB接続ユニットのPCB搬送部を示す平面図である。
【図5】図3に示すPCB接続ユニットにおけるPCBの位置を検出するときのPCB搬送部の側面図である。
【図6】図3に示すPCB接続ユニットの動作を示すものであり、PCBを圧着部へ搬送した状態の側面図である。
【図7】図3に示すPCB接続ユニットの動作を示すものであり、PCBを圧着部の下刃に接触させた状態の側面図である。
【図8】図3に示すPCB接続ユニットの動作を示すものであり、PCBとTABの熱圧着が開始された状態の側面図である。
【図9】図3に示すPCB接続ユニットの動作を示すものであり、PCBがPCB支持台に支持された状態の側面図である。
【図10】図3に示すPCB接続ユニットの動作を示すものであり、PCB搬送部が次に接続するPCBを受け取るために移動した状態の側面図である。
【図11】図3に示すPCB接続ユニットの動作を示すものであり、PCB搬送部が次に接続するPCBを受け取った状態の側面図である。
【図12】本発明のFPDモジュール組立装置の一実施形態に係るPCB接続ユニットの第2の例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、FPDモジュールの組立装置を実施するための形態について、図1〜図12を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0018】
[FPDモジュール]
まず、フラットパネルディスプレイ(FPD)モジュールについて、図1を参照して説明する。
図1は、本発明で実装組立を行うFPDモジュールの概略構成を示す平面図である。
【0019】
図1に示すように、FPDモジュール100は、表示基板101の周縁部に複数のTAB102をACF接続するとともに、一部のTAB102にPCB103をACF接続して構成されている。TAB102は、扁平な長方形のポリイミドフィルムに銅箔による印刷回路(不図示)を施したFPC(Flexible Printed Circuit)104に、ICチップ105を搭載して構成される電子部品である。ICチップ105は、FPC104の略中央に実装されている。FPC104の下面には、印刷回路が設けられており、長手方向の両側(2つの長辺)にアウターリード端子(不図示)が設けられている。
【0020】
TAB102の品種によっては、ICチップ105が下面側にある場合(COFタイプ)や、ICチップがない場合(FPCタイプ)などもある。図1には、例としてICチップ105をFPC104の穴にはめ込んだ形式(TABタイプ)が示されている。また、TAB102やPCB103は、接続部位により回路的には相互に差異があるが、搭載実装の説明には区別する必要がないので、同じものとして図示している。
【0021】
[FPDモジュールの組立装置]
次に、本発明のFPDモジュールの組立装置の一実施形態であるFPDモジュール組立ラインについて、図2を参照して説明する。
図2は、FPDモジュール組立ラインを示すフロアレイアウト図である。
【0022】
FPDモジュール組立ライン10は、端子クリーニングユニット20と、ソース側搭載ユニット30と、ソース側本圧着ユニット40と、ゲート側搭載ユニット50と、2台のゲート側本圧着ユニット60と、PCB接続ユニット70から構成されている。このFPDモジュール組立ライン10では、表示基板101(図1参照)が端子クリーニングユニット20からPCB接続ユニット70まで順次運ばれながら、実装プロセスを経る。
【0023】
各ユニット20、30、40、50、60および70は、それぞれフレーム21、31、41、51、61および71を有している。各フレーム21、31、41、51、61および71の操作面側には、搬送レール22、32、42、52、62および72が設けられている。搬送レール22、32、42、52、62および72は、隣り合う搬送レールと連結されることにより、一本のレールを形成している。
【0024】
搬送レール22、32、42、52、62および72には、それぞれ搬送ステージ23、33、43、53、63および73が移動可能に係合されている。これら搬送ステージ23、33、43、53、63および73は、次のユニットの作業位置まで表示基板101を搬送する。
【0025】
また、各ユニット20、30、40、50、60および70には、表示基板101の作業辺を載せて吸着させることで平坦化を行う基準バー24、34、44、54、64および74が設けられている。各基準バー24、34、44、54、64および74は、図示しない後端支えとともに作業中の表示基板101を安定して保持する。
【0026】
端子クリーニングユニット20では、表示基板101(図1参照)における接続用の端子が設けられている辺が清掃される。この端子クリーニングユニット20には、搬入された表示基板101の端子部を拭き取るクリーニングヘッド25と、このクリーニングヘッド25が摺動するガイドレール26が設けられている。
【0027】
ソース側搭載ユニット30では、表示基板101の長辺に沿ってソース側のTAB102(図1参照)が搭載される。TAB102は、TAB打ち抜きユニット35によって打ち抜かれ、個別に分けられる。この後、ACF貼付部36により、ACF層をTAB102の搭載端子側に貼り付け、ベースフィルムを剥離する。ベースフィルムが剥離されたTAB102は、移載装置37により搭載ヘッド38に渡される。搭載ヘッド38は、加熱加圧ヘッドであり、表示基板101のソース辺(長辺)にTAB102を順次搭載し、仮圧着する。
【0028】
なお、表示基板101にTAB102を搭載する工程は、清掃後の表示基板101にACFを貼り付けるACF貼り付けユニットと、表示基板101のACFを貼り付けた位置にTAB102を搭載する搭載ユニットによって行うこともできる。
【0029】
ソース側本圧着ユニット40では、ソース側のTAB102と表示基板101との本圧着が本圧着部45によって行われる。本圧着部45は、TAB102を仮圧着した表示基板101を下側から支える下刃と、TAB102の圧着部分を加圧する上刃と、下刃及び上刃をそれぞれ加熱するヒータを有している。上刃によりTAB102の圧着部分が加圧されると、TAB102と表示基板101との間に介在されたACF層が加熱されて熱硬化する。これにより、ソース側のTAB102と表示基板101との本圧着が完了する。
【0030】
ゲート側搭載ユニット50では、表示基板101の短辺に沿ってゲート側のTAB102(図1参照)が搭載される。TAB102は、TAB打ち抜きユニット55によって打ち抜かれ、個別に分けられる。この後、ACF貼付部56により、ACF層をTAB102の搭載端子側に貼り付け、ベースフィルムを剥離する。ベースフィルムが剥離されたTAB102は、移載装置57により搭載ヘッド58に渡される。搭載ヘッド58は、加熱加圧ヘッドであり、表示基板101のゲート辺(短辺)にTAB102を順次搭載し、仮圧着する。
【0031】
近年はゲート用のTAB102にPCBを接続しない場合が多い。そのため、ゲート側搭載ユニット50のACF貼付部56は、TAB102の片側にACF層を貼り付ける構造となっている。また、ゲート側のTAB102は表示基板101の両側に設けられるため、途中で表示基板101の向きを180度変えて仮圧着を行う。これにより、方向転換のタイムロスは生じるが、ゲート側のTAB102の数が少ないのでユニット間のタクトバランスは保たれる。
【0032】
ゲート側本圧着ユニット60では、ゲート側のTAB102と表示基板101との本圧着が本圧着部65によって行われる。本圧着部65は、ソース側本圧着ユニット40の本圧着部45と同様に、TAB102を仮圧着した表示基板101を下側から支える下刃と、TAB102の圧着部分を加圧する上刃と、下刃及び上刃をそれぞれ加熱するヒータを有している。
【0033】
なお、本圧着時間は、TAB102の数が少なくても同じ時間の加圧加熱を必要とする。本実施形態では、ゲート側のTAB102を表示基板101の2つの短辺に接続する(図1参照)ため、タクトバランスを考慮すると、2台のゲート側本圧着ユニット60が必要となる。
【0034】
PCB接続ユニット70では、表示基板101に接続されたソース側のTAB102にPCB103が接続される。このPCB接続ユニット70には、PCB供給ブロック75と、本圧着部76が設けられている。PCB供給ブロック75は、PCB103にACF層107(図3参照)を貼り付けて、本圧着部76に搬送する。本圧着部76は、ソース側本圧着ユニット40の本圧着部45及びゲート側本圧着ユニット60の本圧着部65と同様に、下刃77と、上刃78と、下刃77を加熱するヒータ79Aと、上刃78を加熱するヒータ79Bを備えている(図5参照)。
【0035】
[PCB供給ブロック]
次に、PCB供給ブロック75について、図3を参照して説明する。
図3は、PCB接続ユニットの第1の例を示す平面図である。
【0036】
図3に示すように、PCB供給ブロック75は、PCBトレイ81と、PCB移動部82A,82Bと、ACF貼付部83A,83Bと、PCB搬送部84と、位置検出部であるカメラ85A,85Bと、PCB支持台86を備えている。
【0037】
PCBトレイ81には、複数のPCB103が載置されている。このPCBトレイ81に載置されたPCB103は、ACF層107が貼り付けられる前のPCBである。PCBトレイ81は、トレイ供給機構(不図示)によってPCB接続ユニット70におけるPCBトレイ81の設置位置に供給される。
【0038】
PCB移動部82A,82Bは、PCBトレイ81の両側に配置されている。これらPCB移動部82A,82Bは、PCBトレイ81からPCB103を取り出して、ACF貼付部83A,83Bに1枚ずつ供給する。ACF貼付部83A,83Bは、PCB移動部82A,82Bに保持されたPCB103にACF層107を貼り付ける。PCB移動部82A,82Bは、ACF層107の貼り付けが終了したPCB103を交互にPCB搬送部84に供給する。
【0039】
PCB搬送部84は、供給されたPCB103を搬送して本圧着部76の下刃77に載置する(図7参照)。カメラ85A,85Bは、PCB搬送部84の搬送路の上方に配設されており、PCB搬送部84に保持されたPCB103を撮像し、PCB103に設けられたアライメントマーク108A,108Bを検出する。これにより、PCB搬送部84とPCB103との相対的な位置を検知することができる。PCB搬送部84は、PCB搬送部84とPCB103との相対的な位置に基づいて、PCB103を本圧着部76における下刃77の所定の位置に載置する。
【0040】
PCB支持台86は、本圧着部76によりPCB103とTAB102との熱圧着が開始されると、PCB103を支持する。このPCB支持台86は、フレーム71に固定される固定部86aと、この固定部86aに昇降可能に支持される昇降部86bからなっている(図5参照)。つまり、PCB支持台86は、本圧着部76に配置されたPCB103を昇降可能に支持する。
【0041】
[PCB搬送部]
次に、PCB搬送部84について、図4および図5を参照して説明する。
図4は、PCB搬送部84の平面図である。図5は、PCB103の位置を検出するときのPCB搬送部84の側面図である。
【0042】
図5に示すように、PCB搬送部84は、フレーム71の操作面に設けられたガイドレール91に沿って移動する。このPCB搬送部84は、スライダ92と、昇降回転部93と、載置テーブル94と、一対の回動アーム95A,95Bと、一対の予熱用ヒータ96A,96Bを備えている。
【0043】
スライダ92は、ガイドレール91に摺動可能に係合している。このスライダ92がガイドレール91上を摺動することにより、PCB搬送部84は、本圧着部76に対して接近および離反する。昇降回転部93は、スライダ92の上部に回転可能に支持された回転台93aと、この回転台93aの上部に設けられた昇降台93bからなっている。そして、昇降回転部93の昇降台93bには、載置テーブル94が固定されている。これにより、載置テーブル94は、昇降回転部93とともに上下方向および回転方向に動作するようになっている。
【0044】
図4に示すように、載置テーブル94は、略C字状の板体からなり、長方形のベース片94aと、このベース片94aの長手方向の両端部に直交する載置片94b,94cを有している。載置テーブル94のベース片94aには、一対の回動アーム95A,95Bが取り付けられている。
【0045】
載置片94b,94cは、ベース片94aの長手方向に対向している。PCB搬送部84がPCB103を本圧着部76に搬送すると、載置片94b,94c間にPCB支持台86が介在される。そのため、載置片94b,94c間の距離は、それら載置片94b,94cがPCB支持台86に干渉しない距離になっている。これら載置片94b,94cの上面には、PCB103を載置する載置突部94dが設けられている(図5参照)。
【0046】
一対の回動アーム95A,95Bは、載置テーブル94のベース片94aに設けられた軸受け部97A,97Bに回動可能に支持されている。これら回動アーム95A,95Bの先端部には、PCB103の上面(ACF層107(図3参照)が貼り付けられている面)に当接する当接突部95aが設けられている。
【0047】
当接突部95aは、載置テーブル94の載置突部94dに対向し、その載置突部94dとともにPCB103を挟んで保持する。回動アーム95A,95Bは、当接突部95aがPCB103に当接する保持位置と、この保持位置から約90度回動して当接突部95aをPCB103から離間させる開放位置との間を回動するようになっている。
【0048】
一対の予熱用ヒータ96A,96Bは、PCB103の下面(ACF層107(図3参照)が貼り付けられていない面)に接触してPCB103の予熱を行う。PCB103の下面における予熱用ヒータ96A,96Bが接触する位置は、その後、本圧着部76の下刃77に接触する位置およびその近傍である。
【0049】
予熱用ヒータ96A,96Bは、載置テーブル94の載置片94b,94cに設けられた回動支持部98A,98Bに回動可能に支持されている。回動支持部98A,98Bは、予熱用ヒータ96A,96BがPCB103に接触する予熱位置と、この予熱位置から約90度回動して予熱用ヒータ96A,96BをPCB103から離間させる待機位置との間を回動するようになっている。
【0050】
なお、予熱用ヒータ96A,96B間の距離および回動支持部98A,98B間の距離は、載置片94b,94c間の距離と同様に、予熱用ヒータ96A,96BがPCB支持台86に干渉しない距離になっている。
【0051】
[PCB接続ユニットの動作]
次に、PCB接続ユニット70の動作について、図5〜図11を参照して説明する。
図6は、PCB103を本圧着部76へ搬送した状態の側面図である。図7は、PCB103を本圧着部76の下刃77に載置した状態の側面図である。図8は、PCB103とTAB102の熱圧着が開始された状態の側面図である。図9は、PCB103がPCB支持台86に支持された状態の側面図である。図10は、PCB搬送部84が次に接続するPCBを受け取るために移動した状態の側面図である。図11は、PCB搬送部84が次に接続するPCBを受け取った状態の側面図である。
【0052】
PCB接続ユニット70において、PCB103を保持したPCB搬送部84は、PCB103をPCB検出位置へ搬送する(図5参照)。このPCB検出位置では、カメラ85A,85Bが、PCB搬送部84に保持されたPCB103のアライメントマーク108A,108Bを検出する。
【0053】
これにより、PCB搬送部84に対するPCB103の位置が検知され、この検知結果に基づいて、PCB103が本圧着部76の所定の位置に搬送されるように、PCB搬送部84の駆動が制御される。例えば、PCB103が水平方向に傾いていれば、PCB搬送部84の回転台93aが駆動され、PCB103の姿勢が調整される。
【0054】
また、PCB搬送部84がPCB検出位置にPCB103を搬送した状態において、PCB103は、予熱用ヒータ96A,96Bによって温められている。したがって、熱膨張したPCB103の位置を検出することができ、その後に熱圧着されるTAB102との位置ずれを防止あるいは抑制することができる。
【0055】
次に、PCB搬送部84は、検出されたPCB103の位置に基づいて駆動され、PCB103を本圧着部76へ搬送する(図6参照)。これにより、PCB103のACF層107(図3参照)を貼り付けた辺が、本圧着部76の下刃77と上刃78との間に配置される。
【0056】
また、PCB検出位置から本圧着部76への搬送中に、PCB搬送部84は、回動支持部98A,98Bを待機位置に回動させて予熱用ヒータ96A,96BをPCB103から離間させる。これにより、予熱用ヒータ96A,96Bおよび回動支持部98A,98Bが、本圧着部76の下刃77と干渉することを避けることができる。
【0057】
一方、PCB検出位置から本圧着部76への搬送中に、TAB102が接続された表示基板101が、搬送ステージ73によって搬送されて本圧着部76に接近する。
【0058】
次に、PCB搬送部84は、昇降台93bを下降させてPCB103を本圧着部76の下刃77に載置する(図7参照)。この際、PCB103は、本圧着部76へ搬送される直前まで予熱用ヒータ96A,96Bによって温められていたため、下刃77に載置される部分が、毎回ほぼ同じ温度になっている。そのため、下刃77に載置されたPCB103の温度のバラツキに起因する熱膨張のバラツキを抑制することができる。その結果、TAB102とPCB103との相対的な位置ずれを防ぐことができる。
【0059】
続いて、表示基板101が本圧着部76に搬送され、TAB102がPCB103の上に配置される。そして、上刃78が下降し、TAB102とPCB103との熱圧着が開始される(図8参照)。この加圧および加熱は数秒間行われる。
【0060】
TAB102とPCB103との熱圧着が開始されると、PCB支持台86は、昇降部86bを上昇させてPCB103を支持する(図9参照)。これにより、TAB102とPCB103との本圧着が終了するまでPCB搬送部84によってPCB103を保持する必要が無くなる。そのため、PCB搬送部84は、回動アーム95A,95Bを開放位置に回動させて当接突部95aをPCB103から離間させるとともに、昇降台93bを下降させて載置突部94dをPCB103から離間させる。その結果、PCB搬送部84によるPCB103の保持が解除される。
【0061】
次に、PCB搬送部84は、本圧着部76から離反し、次に本圧着するPCB103nの受け渡し位置に移動する(図10参照)。このように、TAB102とPCB103との本圧着中に、次に本圧着するPCB103nの保持動作を行うことができ、本圧着作業の高速化を図ることができる。
【0062】
また、本圧着部76から受け渡し位置への移動中に、PCB搬送部84は、回動支持部98A,98Bを予熱位置に回動させて予熱用ヒータ96A,96Bを上方に向ける。さらに、PCB搬送部84は、昇降台93bを上昇させて、載置テーブル94の高さをPCB検出位置(図5参照)と同じ高さに変更する。
【0063】
図10では、PCB搬送部84がガイドレール91に沿って移動して本圧着部76から離反した位置を、PCB移動部82A,82Bとの受け渡し位置として便宜的に示している。しかしながら、実際は、PCB搬送部84の回転台93aを回転させてPCB移動部82A,82Bとの受け渡し位置に載置テーブル94を配置する。
【0064】
その後、PCB移動部82A,82Bのいずれか一方(不図示)が、PCB搬送部84の載置テーブル94に、次に本圧着するPCB103nを供給する。これにより、PCB103nが、載置テーブル94の載置突部94dに載置され、予熱用ヒータ96A,96Bに接触する。その結果、PCB103nの予熱が行われる。
【0065】
次に、PCB搬送部84は、回動アーム95A,95Bを保持位置に回動させて当接突部95aをPCB103nに当接させる(図11参照)。これにより、PCB103nがPCB搬送部84に保持される。
【0066】
一方、本圧着部76は、上刃78を上昇させてTAB102とPCB103に対する加圧および加熱を終了する。これにより、TAB102にPCB103が接続され、表示基板101にTAB102およびPCB103を実装したFPDモジュール100が組み立てられる。
【0067】
続いて、搬送ステージ73が上昇し、FPDモジュール100を持ち上げる。このとき、PCB支持台86が搬送ステージ73に同期して上昇し、FPDモジュール100の持ち上げを補助する。これにより、PCB103の自重によりTAB102が撓んでPCB103が再び下刃77に接触することを防ぐことができる。その後、搬送ステージ73は、TAB102とPCB103との圧着部を下方から支えて、次の工程にFPDモジュール100を搬送する。
【0068】
[PCB接続ユニットの第2の例]
次に、本発明のPCB接続ユニットの第2の例について、図12を参照して説明する。
図12は、PCB接続ユニットの第2の例を示す側面図である。
【0069】
図12に示すPCB接続ユニット70Aは、第1の例であるPCB接続ユニット70と同様の構成を有して。このPCB接続ユニット70AがPCB接続ユニット70と異なるところは、予熱用ランプ96Cを設けた点である。そのため、ここでは、予熱用ランプ96Cについて説明し、PCB接続ユニット70と共通する部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0070】
PCB接続ユニット70Aには、PCB接続ユニット70に係る予熱用ヒータ96A,96Bの代わりに予熱用ランプ96Cが設けられている。つまり、PCB搬送部84Aには、予熱用ヒータ96A,96Bおよび回動支持部98A,98B(図11参照)が設けられていない。
【0071】
予熱用ランプ96Cは、非接触でPCB103の予熱を行う熱源であり、例えば、ハロゲンヒータランプ、赤外線ランプを適用することができる。また、本発明に係る熱源としては、ニクロム線を適用することもできる。この予熱用ランプ96Cは、PCB搬送部84AによってPCB検出位置に搬送されたPCB103を温める。
【0072】
本例のように、非接触でPCB103の予熱を行う場合であっても、熱膨張したPCB103の位置を検出することができ、その後に熱圧着されるTAB102(不図示)との位置ずれを防止あるいは抑制することができる。また、本圧着部76へ搬送される前にPCB103の予熱が行われるため、下刃77に載置されたPCB103の温度のバラツキに起因する熱膨張のバラツキを抑制することができる。その結果、TAB102とPCB103との相対的な位置ずれを防ぐことができる。
【0073】
なお、熱源による非接触の加熱を行う場合は、PCBとTABとの接続処理の間隔が長くなる場合の熱源のOFFについて注意が必要である。熱源を採用するときは、その熱源が本圧着中のPCBの背面側も暖めている。そのため、次のPCBをすぐに搭載しない場合であっても、急に熱源をOFFにすると、本圧着途中のPCBの温度分布が通常と異なってしまう。よって、接続の間隔が長くなる場合は、PCBをPCB搬送部に保持させていなくても、ランプはあたかも次のPCBがあるように、熱照射を続けることが好ましい。
【0074】
[変形例]
上述した実施例では、PCB支持台86を固定部86aと昇降部86bから構成した。しかしながら、本発明に係るPCB支持台としては、固定部と、昇降部と、昇降部に内蔵される予熱用ヒータから構成してもよい。これにより、本圧着中のPCBのTABに接続される側と、そのTABに接続される側とは反対側の温度差を軽減することができ、温度差に起因する基板の撓み変形を防止あるいは抑制することができる。
【0075】
また、上述した実施例では、カメラ85A,85Bによってアライメントマーク108A,108Bを検出することにより、PCB搬送部84に保持されたPCB103の位置を検出した。しかしながら、本発明に係る位置検出部としては、カメラ(撮像装置)に限定されるものではなく、例えば、磁気センサ、静電容量センサ、光センサなどのその他の位置検出センサを用いることができる。
【0076】
また、上述した実施例では、PCB接続ユニット70(70A)において、PCB103にACF層107を貼り付ける構成とした。しかしながら、本発明のFPDモジュールの組立装置は、PCBにACF層を貼り付ける工程を行う別のユニットを備えるものであってもよい。
【0077】
また、上述した実施例では、PCB103にACF層107を貼り付ける構成としたが、TAB102にPCBを接続するためのACF層を貼り付けるようにしてもよい。TAB102にPCBを接続するためのACF層を貼り付ける作業は、例えば、ソース側搭載ユニット30のACF貼付部36(図2参照)で行うことができる。
【0078】
以上、本発明のFPDモジュールの組立装置の実施例について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明のFPDモジュールの組立装置は、上述の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0079】
10…FPDモジュール組立ライン(FPDモジュール組立装置)、 20…端子クリーニングユニット、 21,31,41,51,61,71…フレーム、 22,32,42,52,62,72…搬送レール、 23,33,43,53,63,73…搬送ステージ、 24,34,44,54,64,74…基準バー、 30…ソース側搭載ユニット、 40…ソース側本圧着ユニット、 50…ゲート側搭載ユニット、 60…ゲート側本圧着ユニット、 70,70A…PCB接続ユニット、 75…PCB供給ブロック、 76…本圧着部、 77…下刃、 78…上刃、 79A,79B…ヒータ、 81…PCBトレイ、 82A,82B…PCB移動部、 83A,83B…ACF貼付部、 84,84A…PCB搬送部、 85A…カメラ(位置検出部)、 86…PCB支持台、 86a…固定部、 86b…昇降部、 91…ガイドレール、 92…スライダ、 93…昇降回転部、 93a…回転台、 93b…昇降台、 94…載置テーブル、 94a…ベース片、 94b,94c…載置片、 94d…載置突部、 95A,95B…回動アーム、 95a…当接突部、 96A,96B…予熱用ヒータ、 96C…予熱用ランプ(熱源)、 97A,97B…軸受け部、 98A,98B…回動支持部、 100…FPDモジュール、 101…表示基板、 102…TAB、 103,103n…PCB、 104…FPC、 105…ICチップ、 107…ACF層、 108A…アライメントマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PCBを保持して搬送するPCB搬送部と、
前記PCB搬送部に保持された前記PCBに接触して前記PCBの予熱を行うヒータと、
前記ヒータによって予熱された前記PCBの位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部の検出結果に基づいて前記PCB搬送部が搬送した前記PCBと表示基板に接続されたTABとを熱圧着する圧着部と、
を備えるFPDモジュールの組立装置。
【請求項2】
前記ヒータは、前記PCB搬送部に回動可能に取り付けられている、請求項1に記載のFPDモジュールの組立装置。
【請求項3】
前記圧着部は、前記TABの上面に当接する上刃と、前記PCBの下面に当接する下刃とを有し、
前記ヒータは、前記PCBの下面に接触する、請求項1または2に記載のFPDモジュールの組立装置。
【請求項4】
前記圧着部に搬送された前記PCBを支持するPCB支持台をさらに備える、請求項1〜3のいずれかに記載のFPDモジュールの組立装置。
【請求項5】
前記PCB支持台が前記PCBを支持すると、前記PCB搬送部は、前記PCBの保持を終了し、次に接続するPCBを受け取るために移動する、請求項4記載のFPDモジュールの組立装置。
【請求項6】
前記PCB支持台は、前記PCBを予熱する支持台用ヒータを有する、請求項4または5に記載のFPDモジュールの組立装置。
【請求項7】
PCBを保持して搬送するPCB搬送部と、
前記PCB搬送部に保持された前記PCBに非接触で予熱を行う熱源と、
前記熱源によって予熱された前記PCBの位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部の検出結果に基づいて前記PCB搬送部が搬送した前記PCBと表示基板に接続されたTABとを熱圧着する圧着部と、
を備えるFPDモジュールの組立装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−209353(P2011−209353A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74345(P2010−74345)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】