説明

GaN系半導体基板の製造方法

【課題】表面加工処理の所要時間を大幅に短縮化して生産性を向上できるGaN系半導体基板の製造方法を提供する。
【解決手段】GaN系半導体基板の表面加工処理において、GaN系半導体基板の表面に対して機械的研磨を行い(研削工程、ラッピング工程)、その後、GaN系半導体基板表面に対して化学的気相エッチングを行う(CVE工程)。
ラッピング工程後にGaN系半導体基板表面に残存する加工変質層が、CVE工程により効率的に除去されるので、GaN系半導体基板の表面加工処理の所要時間を大幅に短縮化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GaN系半導体基板の製造方法に関し、特にGaN系半導体基板の表面加工技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上にGaN等の窒化物系化合物半導体(以下、GaN系半導体)をエピタキシャル成長させてなる半導体デバイス(例えば、電子デバイスや光デバイス)が知られている。この半導体デバイスには、例えば、擬似的な格子定数がGaN系半導体に近いNdGaO3基板(以下、NGO基板)上に、ハイドライド気相成長法(HVPE:Hydride Vapor Phase Epitaxy)によりGaN厚膜を成長させて作製されたGaN自立基板(GaNのみで構成された基板、以下、GaN基板)用いられる。
【0003】
一般に、HVPE法により得られたGaN基板には、図2に示す表面加工処理が施される。すなわち、GaN基板は、機械的研磨工程(研削工程(ステップS21)、ラッピング工程(ステップS22))、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)工程(ステップS23)を経て、半導体デバイスの作製に供される。
【0004】
ここで、ステップS21の研削工程では、砥石を用いた機械的研磨(粗研磨)によりGaN基板の寸法(例えば基板厚さ)が所定範囲となるように制御される。このとき、GaN基板には機械的エネルギーが加わるため、基板表層近傍には加工変質層と呼ばれる結晶格子歪みが生じる。
ステップS22のラッピング工程では、段階的に細粒径の砥粒を用いた機械的研磨(中間研磨)により、GaN基板の表面粗さが良化される。ラッピング工程では、研削工程で生じた加工変質層が除去される一方で、GaN基板には機械的エネルギーが加わるため新たに加工変質層が形成されることとなる。つまり、ラッピング工程後にもダメージの小さい加工変質層が残存する。
ステップS23のCMP工程では、極細砥粒を用いた化学機械的研磨(仕上研磨)により、ラッピング工程後に残存する加工変質層が除去されるとともに、GaN基板の表面粗さがさらに良化される。CMP工程では、極細砥粒の化学的作用により機械的研磨効果が増大されるので、加工変質層はほとんど形成されない。
【0005】
ところで、GaN系半導体基板の表面加工処理に関する技術としては、例えば特許文献1〜5がある。特許文献1、2には、CMP工程に代えて、又はCMP工程に加えてドライエッチング工程を行うことが開示されている。また、特許文献3には、ラッピング工程とCMP工程の間にドライエッチング工程を行うことが開示されている。また、特許文献4、5には、CMP工程の後に、ドライエッチング工程を行うことが開示されている。
ここで、ドライエッチングの種類には、GaN基板を反応ガス中に曝す方法(気相エッチング)とプラズマによりガスをイオン化してエッチングする方法(反応性イオンエッチング)などがある。特許文献6、7には、GaN系半導体材料の気相エッチングに、水素又はハロゲンからなる反応性ガス(例えば塩素ガス、塩化水素ガス)を適用できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第WO2008/047627号
【特許文献2】国際公報第WO2009/107567号
【特許文献3】特許第3252702号公報
【特許文献4】特開2008−181953号公報
【特許文献5】国際公開第WO2005/041283号
【特許文献6】特表2003−504835号公報
【特許文献7】特表2004−538652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、GaNは化学的に非常に不安定であるため、CMP工程での化学的作用による加工変質層の除去効果が非常に小さくなる。すなわち、図2に示す従来の表面加工処理では、CMP工程(ステップS23)での研磨速度が遅いため、加工変質層を完全に除去するためには長時間を要することとなり、生産性が低下してしまう。
また、特許文献1〜7に記載の技術は、GaN系半導体基板の表面加工処理に要する時間を短縮化するという目的で気相エッチング工程を導入しているわけではなく、開示されている気相エッチングの条件も表面加工処理時間短縮化の目的に沿ったものであるとはいえない。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、表面加工処理の所要時間を大幅に短縮化して生産性を向上できるGaN系半導体基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、GaN系半導体基板の表面に対して機械的研磨を行う第1工程と、
前記第1工程後に、前記GaN系半導体基板表面に対して化学的気相エッチングを行う第2工程と、を備えることを特徴とするGaN系半導体基板の製造方法である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のGaN系半導体基板の製造方法において、前記第2工程の後に、前記GaN系半導体基板表面に対して化学機械的研磨を行う第3工程を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のGaN系半導体基板の製造方法において、前記第2工程は、ハロゲン、水素、又はこれらの化合物を1つ以上含有するエッチングガスによって行われることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3の何れか一項に記載のGaN系半導体基板の製造方法において、前記第2工程でのエッチング量が0.1〜20μmであることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4の何れか一項に記載のGaN系半導体基板の製造方法において、前記第2工程でのエッチング温度が500〜1000℃であることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5の何れか一項に記載のGaN系半導体基板の製造方法において、前記第2工程でのエッチング時間が1〜600分であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、機械的研磨工程後に残存する加工変質層を化学的気相エッチング(CVE:Chemical Vapor Etching)工程により効率的に除去することができるので、GaN系半導体基板の表面加工処理の所要時間が大幅に短縮化される。したがって、GaN系半導体基板の生産性が格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態に係る表面加工処理を示す図である。
【図2】従来の表面加工処理の一例を示す図である。
【図3】エッチング量と表面粗さの劣化量との関係を示す図である。
【図4】エッチング温度とエッチング速度との関係を示す図である。
【図5】CVE装置の概略図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態では、GaN系半導体基板の一例として、NGO基板上に、HVPE法によりGaN厚膜を成長させて得られたGaN基板の表面加工処理について説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る表面加工処理を示す図である。
図1に示すように、まず、研削工程(ステップS11)において、GaN基板の表裏面に対して、砥石を用いた機械的研磨(粗研磨)を行う。この研削工程では、GaN基板の寸法(例えばGaN基板の厚さ)が所定範囲となるように制御される。このとき、GaN基板には機械的エネルギーが加わるため、基板表層近傍には加工変質層が厚く形成される。
【0019】
次に、研削工程後のラッピング工程(ステップS12)において、GaN基板表面に対して、研削工程で用いた砥石よりも粒径の細かい細砥粒を用いた機械的研磨(中間研磨)を行う。このラッピング工程では、段階的に細粒径の砥粒を用いた機械的研磨により、GaN基板の表面粗さが良化される。ラッピング工程では、研削工程で生じた加工変質層が除去される一方で、GaN基板には機械的エネルギーが加わるため新たに加工変質層が形成されることとなる。
【0020】
次に、機械的研磨工程後のCVE工程(ステップS13)では、GaN基板表面に対して化学的気相エッチングを行う。このCVE工程により、ラッピング工程後に残存している加工変質層を効率的に除去することができる。従来はラッピング工程後に残存している加工変質層をCMP工程により除去していたため長時間を要していたが、CVE工程では短時間で同等の加工変質層を完全に除去することができる。
【0021】
ここで、化学的気相エッチングとは、ハロゲン、水素、又はこれらの化合物からなる反応性エッチングガス(例えば、塩素ガス、塩化水素ガス)により、GaN基板表面を化学的にエッチングする手法である。CVE工程は、反応管内にGaN基板を配置した状態で、エッチングガスを導入可能な構成を有する装置(例えばHVPE装置)を用いて行うことができる。
【0022】
図3に、CVE工程によるエッチング量とGaN基板の表面粗さの劣化量との関係を示す。ここで、GaN基板の表面粗さの劣化量とは、
(CVE後の表面粗さ)−(CVE前の表面粗さ)
の意味である。図3より、CVE工程におけるエッチング量が20μm超であると、GaN基板の表面粗さの劣化量が140nm以上となり、大きく劣化するため、CMP工程で表面粗さを良化するのに長時間を要してしまうことが分かる。一方、CVE工程におけるエッチング量が0.1μm未満であると、ラッピング工程後に残存している加工変質層が除去出来ていない場所がしばしば部分的に発生するため、CMP工程でこれらを予防的に念入りに除去せざるを得なくなり、結果的にCMP工程の所要時間が著しく長くなる。したがって、CVE工程におけるエッチング量は、0.1〜20μmであることが望ましい。
また、表面荒れを抑制する目的でCVEでのエッチングガスに加えGaのハロゲン化ガスを微量添加しても良い。
なお、CMP工程の所要時間を短くするためには、CVE工程後の表面粗さが100nm以下となっていることが望ましい。
【0023】
図4に、上記CVE工程におけるエッチング温度とエッチング速度との関係を示す。図4より、CVE工程におけるエッチング温度が500℃未満であると、エッチング速度が著しく遅くなるため、CVE工程の所要時間が長くなる。一方、エッチング温度が1000℃超であると、エッチング速度が400μm/hを超えてしまい著しく速くなるため、CVE工程でのエッチング量を適正に制御することが困難となることが分かる。したがって、CVE工程におけるエッチング温度は、500〜1000℃であることが望ましい。
【0024】
また、CVE工程におけるエッチング時間が1分未満だと、エッチングによる効果が現れず、後工程の加工時間を短縮することができないので、全体の加工時間は却って長くなってしまう。一方、エッチング時間が600分を超える場合、熱変質層が形成される恐れがある。GaN基板は窒素の解離圧が極めて高いので、0.1MPa,500℃程度の雰囲気においても、600分を超えるような長時間で暴露された場合、表層に窒素の解離蒸発が生じ、GaN基板表面には熱変質層と呼ばれる欠陥が形成されることがある。そして、熱変質層が形成されると、基板表面における表面粗さが増大し、後工程のCMP時間が増加してしまい、処理に要する時間を短縮化するという目的に沿わないだけでなく、ストイキオメトリーのアンバランスにより、GaN基板を用いて作製する電子デバイスの性能を悪化させる原因となる。したがって、CVE工程において、生産性が損なわれない範囲でエッチング量を適正に制御するためには、CVE工程におけるエッチング時間は1〜600分であることが望ましい。
【0025】
次に、CVE工程後のCMP工程(ステップS14)において、GaN基板表面に対して、ラッピング工程(ステップS12)で用いた砥粒よりも粒径の細かい極細砥粒を用いた化学機械的研磨(仕上研磨)を行う。このCMP工程では、極細砥粒の化学的作用により機械的研磨効果が増大されるので、加工変質層が形成されることなく、表面粗さがさらに良化される。また、CVE工程において加工変質層はほとんど除去されるので、CMP工程は所望の表面粗さとなる程度に行われればよい。したがって、CMP工程の所要時間は従来と比較して大幅に短縮化される。
【0026】
このように、実施形態では、GaN基板の表面に対して機械的研磨(ステップS11の研削工程及びステップS12のラッピング工程)を行い、その後にGaN基板に対して化学的気相エッチング(CVE工程)を行う。
この方法によれば、ラッピング工程後に残存する加工変質層を、CVE工程により効率的に除去することができるので、GaN基板の表面加工処理に要する時間が大幅に短縮化される。したがって、GaN基板の生産性が格段に向上する。
【0027】
また、実施形態では、CVE工程後にCMP工程を行うので、GaN基板の表面粗さをさらに良化することができる。仮に、CVE工程後にGaN基板の表面状態が悪化していても、CMP工程を行うことで所望の表面状態が実現される。
【0028】
[実施例1]
実施例1では、HVPE法によりNGO基板上にGaN厚膜を成長させ、NGO基板を除去して得られたGaN基板を用いて、表面加工処理を行った。
【0029】
まず、平面研削にてGaN基板の表裏面を研削し、基板厚さを約500μmとした(研削工程)。
次に、研削工程で用いた砥石よりも粒径の細かい細砥粒を用いて2段階のラッピングを行った(第1ラッピング工程、第2ラッピング工程)。第1ラッピング工程及び第2ラッピング工程についての詳細は以下の通りである。
【0030】
(第1ラッピング工程)
研磨装置:ロジテック社製 LP−50
研磨剤:SiCスラリー
砥粒(SiC)平均粒径:8μm
定盤回転数:60rpm
加工圧:300g/cm2
研磨剤流量:7ml/min
研磨時間:2時間
研磨量:20μm
【0031】
(第2ラッピング工程)
研磨装置:ロジテック社製 LP−50
研磨剤:多結晶ダイヤモンドスラリー
砥粒(多結晶ダイヤ)平均粒径:1μm
定盤回転数:60rpm
加工圧:300g/cm2
研磨剤流量:4ml/min
研磨時間:4時間
研磨量:9μm
【0032】
第1ラッピング工程では、GaN基板が20μm研磨され、基板厚さが480μmとなった。また、第2ラッピング工程では、GaN基板が9μm研磨され、基板厚さが471μmとなった。
【0033】
次に、GaN基板の表面に対して化学的気相エッチングを行った(CVE工程)。CVE装置の概略図を図5に示す。外周に加熱用のヒータ1が設けられた円筒状の耐熱性反応管2の内部には基板3を載置するためのサセプター5が設けられ、反応管2の一端(図では右側)より2本のガス供給ノズル4が反応管の中央へ向かって延設されており、ガス供給ノズル4からサセプター5上の基板表面へ反応ガスを流すことができるように構成されている。
CVE工程についての詳細は以下の通りである。CVE工程では、加工変質層が完全に除去されるように、すなわち実施例1の場合においてはGaN基板が4μmエッチングされ、基板厚さが467μmとなるように、エッチング時間を調整した。
【0034】
(CVE工程)
反応管:石英製、φ94mm
ガス流量:塩化水素100sccm、水素1000sccm
エッチング温度:700℃
エッチング時間:60分
【0035】
次に、CVE工程で生じた表面荒れを所望の表面粗さにするため化学機械的研磨を行った(CMP工程)。一般的にCVEでのエッチング量が増加するに従いCMPでの研磨量は多くなる。実施例1におけるCMP工程の詳細は以下の通りである。
【0036】
(CMP工程)
研磨装置:ロジテック社製 LP−50
研磨パッド:ニッタハース社製 SUBA600
研磨剤:コロイダルシリカスラリー
砥粒(コロイダルシリカ)平均粒径:40nm
定盤回転数:60rpm
加工圧:300g/cm2
研磨剤流量:30ml/min
研磨時間:6時間
研磨量:1μm
上述した実施例での表面加工処理(ラッピング工程、CVE工程、CMP工程)では、総研磨量(エッチング量を含む)が34μmであり、加工時間は13時間であった。
【0037】
[実施例2]
実施例1と同様の工程にて、CVE工程のみを以下の条件にて行った。
(CVE工程)
ガス流量:塩素100sccm、水素1000sccm
エッチング温度:850℃
エッチング時間:60分
【0038】
[実施例3]
実施例1と同様の工程にて、CVE工程のみを以下の条件にて行った。
(CVE工程)
ガス流量:臭化水素100sccm、水素1000sccm
エッチング温度:700℃
エッチング時間:90分
【0039】
[実施例4]
実施例1と同様の工程にて、CVE工程およびCMP工程のみを以下の条件にて行った。
(CVE工程)
ガス流量:塩化水素100sccm、水素1000sccm、塩化ガリウム1sccm
エッチング温度:700℃
エッチング時間:60分
(CMP工程)
研磨装置:ロジテック社製 LP−50
研磨パッド:ニッタハース社製 SUBA600
研磨剤:コロイダルシリカスラリー
砥粒(コロイダルシリカ)平均粒径:40nm
定盤回転数:60rpm
加工圧:300g/cm2
研磨剤流量:30ml/min
研磨時間:4時間
研磨量:1μm未満
実施例4については、微量の塩化ガリウムガスの添加によりCVEでの表面荒れが抑制され、その後の平坦化を目的としたCMP工程での時間が実施例1〜3よりも短縮することが出来た。
【0040】
[比較例]
比較例では、GaN基板の表面加工処理において、CVE工程を行っていない点が実施例と異なる。すなわち、実施例と同様に、HVPE法によりNGO基板上にGaN厚膜を成長させ、NGO基板を除去して得られたGaN基板を用いて、研削工程及びラッピング工程を行った。研削工程後の基板厚さは約500μmで、ラッピング工程後の基板厚さは471μmであった。
【0041】
次に、GaN基板の表面に対して化学機械的研磨を行った(CMP工程)。CMP工程の詳細は実施例とほぼ同様である。比較例では、加工変質層が完全に除去されるように、すなわちGaN基板が4μm研磨され、基板厚さが467μmとなるように、研磨時間を40時間とした。つまり、比較例では、CMP工程の所要時間が、実施例に比較して6倍以上となった。
上述した比較例での表面加工処理(ラッピング工程、CMP工程)では、総研磨量が33μmであり、加工時間は46時間であった。
【0042】
表1に、実施例及び比較例における表面加工条件とGaN基板の特性を示す。表1に示すXRD半値幅はラッピング工程後のGaN基板のXRD半値幅を基準としたときの相対値で、表面粗さRaは基板面内の任意の1点の測定値である。
表1に示すように、実施例と比較例では、表面加工処理における加工量、得られたGaN基板の結晶性及び表面粗さはほぼ同等のレベルとなっている。すなわち、実施例では、比較例による表面加工処理で得られるGaN基板と同等の性状を実現するにあたり、加工時間を大幅に短縮できた。
【0043】
【表1】

【0044】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、実施形態では、GaN基板の表面加工処理について説明したが、GaN以外のGaN系半導体基板の表面加工処理においても本発明を適用することができる。ここで、GaN以外のGaN系半導体とは、InxGayAl1-x-yN(0≦x+y≦1、0≦x≦1、0≦y≦1)で表される化合物半導体であり、例えば、InGaN、AlGaN、InGaAlN等がある。
【0045】
また、実施形態では、CVE工程後にCMP工程を行うようにしているが、CVE工程後のGaN基板の表面状態が所望の状態となっている場合には、表面加工処理においてCMP工程を省略してもよい。
また、実施例では、CVE工程で加工変質層を完全に除去するようにしているが、加工変質層の一部をCMP工程で除去する(つまりCVE工程後にCMP工程での研磨量相当分だけ加工変質層を残存させる)ようにしてもよい。これにより、表面加工処理に要する時間をさらに短縮することができる。
【0046】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GaN系半導体基板の表面に対して機械的研磨を行う第1工程と、
前記第1工程後に、前記GaN系半導体基板表面に対して化学的気相エッチングを行う第2工程と、を備えることを特徴とするGaN系半導体基板の製造方法。
【請求項2】
前記第2工程の後に、前記GaN系半導体基板表面に対して化学機械的研磨を行う第3工程を備えることを特徴とする請求項1に記載のGaN系半導体基板の製造方法。
【請求項3】
前記第2工程は、ハロゲン、水素、又はこれらの化合物を1つ以上含有するエッチングガスによって行われることを特徴とする請求項1又は2に記載のGaN系半導体基板の製造方法。
【請求項4】
前記第2工程でのエッチング量が0.1〜20μmであることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のGaN系半導体基板の製造方法。
【請求項5】
前記第2工程でのエッチング温度が500〜1000℃であることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のGaN系半導体基板の製造方法。
【請求項6】
前記第2工程でのエッチング時間が1〜600分であることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のGaN系半導体基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−178377(P2012−178377A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39162(P2011−39162)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(502362758)JX日鉱日石金属株式会社 (482)
【Fターム(参考)】