説明

HIVインテグラーゼ阻害活性を有する多環性化合物

【課題】抗ウイルス作用、特にHIVインテグラーゼ阻害活性を有する化合物及びそれを含有する医薬の提供。
【解決手段】式:


(式中、X1は、CR1またはCR11';X2は、C、CHまたはN;X3は、CR2、CR22'またはNR3;R1、R1'、R2、R2'およびR3は、それぞれ独立して水素または置換基群S1から選択される基、但し、R1、R1'、R2、R2'およびR3の少なくとも1つは、−L1−Q1で示される基;A環およびB環は、それぞれ独立して炭素環または複素環;置換基群S1:ハロゲン、置換されていてもよい低級アルキル等)で示される化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウイルス作用を有する新規化合物、更に詳しくは、HIVインテグラーゼ阻害活性を有する多環性化合物及びそれを含有する医薬、特に抗HIV薬に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルスのなかでも、レトロウイルスの一種であるヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus、以下HIVと略す)は、後天性免疫不全症候群(Acquired immnodeficiency syndrome、以下エイズ(AIDS)と略す)の原因となることが知られている。そのエイズの治療薬としては、これまでのところ逆転写酵素阻害剤(AZT、3TC等)とプロテアーゼ阻害剤(インディナビル等)が主流であるが、腎臓障害等の副作用や耐性ウイルスの出現等の問題が判明しており、それらとは異なる作用メカニズムを有する抗HIV薬の開発が期待されている。
また、エイズの治療においては、耐性ウイルスが容易に出現するという理由から、現在、多剤併用療法が効果的であると報告されている。抗HIV薬としては、逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤の2種が臨床で使用されているが、同じ作用メカニズムを有する薬剤はしばしば交叉耐性を示し、又は付加的な効果を示すに過ぎず、異なった作用メカニズムの抗HIV薬の開発が要望されている。
このような状況下、新規メカニズムの抗HIV薬として、インテグラーゼ阻害剤が注目されている(参照:特許文献1、2)。また同作用を有する抗HIV薬として、カルバモイル置換ヒドロキシピリミジノン誘導体(参照:特許文献3、4)、カルバモイル置換ヒドロキシピロリジオン誘導体(参照:特許文献5)が公知である。またカルバモイル置換ヒドロキシピリドン誘導体(参照:特許文献6、実施例8)が出願されている。
またその他のカルバモイルピリドン誘導体として、5−アルコキシピリジン−3−カルボキサミド誘導体やγ−ピロン−3−カルボキサミド誘導体が公知であるが、植物成長抑制剤や除草剤である(参照:特許文献7〜9)。
またHIVインテグラーゼ阻害剤としての含窒素縮合環化合物が公知である(参照:特許文献10)。
【特許文献1】WO03/0166275
【特許文献2】WO04/024693
【特許文献3】WO03/035076
【特許文献4】WO03/035076
【特許文献5】WO04/004657
【特許文献6】特願2003−32772
【特許文献7】特開平2−108668
【特許文献8】特開平2−108683
【特許文献9】特開平2−96506
【特許文献10】WO05/016927
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の状況下、新規なインテグラーゼ阻害剤の開発が要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは鋭意検討した結果、新規な多環性化合物が強いHIVインテグラーゼ阻害作用を有することを見出した。さらに、本発明化合物及びそれらを含有する医薬が、抗ウイルス薬(例:抗レトロウイルス薬、抗HIV薬、抗HTLV−1(Human T cell leukemia virus type 1:ヒトT細胞白血病ウイルス1型)薬、抗FIV(Feline immunodeficiency virus : ネコエイズウイルス)薬、抗SIV(Simian immunodeficiency virus : サルエイズウイルス)薬)、特に抗HIV薬、抗AIDS薬、またはその関連疾患の治療薬等として有用であることを見出し、以下に示す本発明を完成した。
(1)式:
【化1】


(式中、
1は、CR1またはCR11'
2は、C、CHまたはN;
3は、CR2、CR22'またはNR3
1、R1'、R2、R2'およびR3は、それぞれ独立して水素または置換基群S1から選択される基、
但し、R1、R1'、R2、R2'およびR3の少なくとも1つは、−L1−Q1で示される基
(式中、
-L1-は、1)単結合、2)-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NRa-(Raは水素または低級アルキル)、−N=および=N−からなる群から選択されるヘテロ原子基またはそれらの連結基、3)低級アルキレンまたは低級アルケニレン、または4)2)の基と3)の基を組み合わせてなる連結基;
1は、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよい複素環式基);

A環およびB環は、それぞれ独立して炭素環または複素環であり、A環およびB環の弧線部分は、それぞれ独立して、置換基群S1から選択される1または2以上の置換基で置換されていてもよく、2重結合が介在していてもよく、および/または前記ヘテロ原子基が介在していてもよい;

置換基群S1:ハロゲン、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル低級アルキル、置換されていてもよい低級アルケニル、置換されていてもよい低級アルコキシ、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリール低級アルキル、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよい複素環式基、置換されていてもよい複素環式基低級アルキル、置換されていてもよい複素環式基オキシ、ヒドロキシ、置換されていてもよいヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいリン酸残基、置換されていてもよいカルバモイル、置換されていてもよいスルファモイル、オキソ、または−L1−Q1で示される基;
但し、X1はCH2、X2はN、B環は6員環、X3はCR2、R2は−L1−Q1で示される基、L1は-CONRa-を含む基であり、かつQ1は置換されていてもよいアリールである場合を除く)
で示される化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。

上記但し書き中、「L1は-CONRa-を含む基」とは、L1が-CONRa-X-(Xは、単結合、O、S、SO、SO2およびNHから選択されるヘテロ原子基、または該ヘテロ原子基が介在していてもよい低級アルキレンもしくは低級アルケニレン)である場合を意味する。

(2)-L1-は、1)単結合、2)-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NRa-(Raは水素または低級アルキル)、−N=および=N−からなる群から選択されるヘテロ原子基またはそれらの連結基(連結部分の構成原子数1〜3個)、3)炭素数1〜3の低級アルキレンまたは炭素数2〜3の低級アルケニレン、4)2)の基と3)の基を組み合わせてなる連結基で、連結部分の原子数は2〜4個;
1は、アリール、少なくともハロゲンで置換されたアリール、複素環式基、または少なくともハロゲンで置換された複素環式基)で示される基;

A環およびB環は、それぞれ独立して5〜7員の炭素環または5〜7員の複素環であり、A環およびB環の弧線部分は、それぞれ独立して、置換基群S1から選択される置換基で置換されていてもよく、および/または、N、S、および/またはO原子が介在していてもよい;

である、上記(1)記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。

(3)以下のいずれかの化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【化2】


(式中、R1〜R7は、それぞれ独立して水素、または置換基群S1から選択される基。但し、R6およびR7は一緒になってオキソを形成してもよく、R1、R2およびR3の少なくとも1つは、−L1−Q1で示される基である。
(式中、
-L1-は、1)単結合、2)-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NRa-(Raは水素または低級アルキル)、−N=および=N−からなる群から選択されるヘテロ原子基またはそれらの連結基、3)低級アルキレンまたは低級アルケニレン、または4)2)の基と3)の基を組み合わせてなる連結基;
1は、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよい複素環式基)

置換基群S1:置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル低級アルキル、置換されていてもよい低級アルケニル、置換されていてもよい低級アルコキシ、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリール低級アルキル、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよい複素環式基、置換されていてもよい複素環式基低級アルキル、置換されていてもよい複素環式基オキシ、ヒドロキシ、置換されていてもよいヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいリン酸残基、−L1−Q1で示される基;

但し、化合物(I−4)において、R1は水素、R2は−L1−Q1で示される基、L1は-CONRa-を含む基であり、かつQ1は置換されていてもよいアリールである場合を除く))

(4)置換基群S1から選択される基が、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよい低級アルコキシ、ヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいリン酸残基、または−L1−Q1(式中、L1およびQ1は、上記1の場合と同意義)である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。

(5)置換基群S1から選択される基が、置換されていてもよい低級アルキル(置換基:ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、モノまたはジ置換アミノ(置換基:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)、リン酸残基)、置換されていてもよい低級アルコキシ(置換基:ハロゲン、低級アルキル)、ヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ(置換基:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)、置換されていてもよいリン酸残基、または−L1−Q1(式中、L1は、低級アルキレン、低級アルケニレンまたは−CONRa−L2−(式中、Raは水素または低級アルキル;L2は単結合、低級アルキレン、または低級アルケニレン);Q1はアリール、少なくともハロゲンで置換されたアリールまたは複素環式基、少なくともハロゲンで置換された複素環式基)である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。

(6)R1、R2およびR3の少なくとも1つは、−L1−Q1(式中、L1は、低級アルキレン、低級アルケニレンまたは−CONRa−L2(式中、Raは水素または低級アルキル;L2は単結合、低級アルキレン、または低級アルケニレン);Q1はアリール、少なくともハロゲンで置換されたアリール、複素環式基、または少なくともハロゲンで置換された複素環式基)で示される基である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。

(7)R1、R2およびR3の少なくとも1つは、−CH2−Q1または−CONRaCH2−Q1、Q1はフェニルまたは少なくともハロゲンで置換されたフェニルである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。

(8)R4〜R7は、それぞれ独立して水素、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよい低級アルコキシ、ヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、または置換されていてもよいリン酸残基である、上記(3)記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。

(9)R1、R2およびR3の少なくとも1つは、−L1−Q1(式中、L1およびQ1は、上記(1)の場合と同意義);R1、R2およびR3の残りの基およびR4〜R7はそれぞれ独立して水素、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよい低級アルコキシ、ヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、または置換されていてもよいリン酸残基である、上記(3)記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。

(10)R1、R2およびR3の少なくとも1つは、−L1−Q1(式中、L1は、低級アルキレン、低級アルケニレンまたは−CONRa−L2−(式中、Raは水素または低級アルキル;L2は単結合、低級アルキレン、または低級アルケニレン);Q1はアリール、少なくともハロゲンで置換されたアリール、複素環式基、または少なくともハロゲンで置換された複素環式基);R1、R2およびR3の残りの基およびR4〜R7はそれぞれ独立して、水素、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよい低級アルコキシ、ヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、または置換されていてもよいリン酸残基である、上記(3)記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。

(11)R1、R2およびR3の少なくとも1つは、−L1−Q1(式中、L1は、低級アルキレン、低級アルケニレンまたは−CONRa−L2−(式中、Raは水素または低級アルキル;L2は単結合、低級アルキレン、または低級アルケニレン);Q1はアリール、少なくともハロゲンで置換されたアリール、複素環式基、または少なくともハロゲンで置換された複素環式基);R1、R2およびR3の残りの基およびR4〜R7はそれぞれ独立して、水素、置換されていてもよい低級アルキル(置換基:ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、モノまたはジ置換アミノ(置換基:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)、リン酸残基)、置換されていてもよい低級アルコキシ(置換基:ハロゲン、低級アルキル)、ヒドロキシ、または置換されていてもよいアミノ(置換基:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)である、上記(3)記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。

(12)R1、R2およびR3の少なくとも1つは、−CH2−Q1または−CONRaCH2−Q1、Q1はフェニルまたは少なくともハロゲンで置換されたフェニル;R1、R2およびR3の残りの基およびR4〜R7はそれぞれ独立して、水素、置換されていてもよい低級アルキル(置換基:ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、モノまたはジ置換アミノ(置換基:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)、リン酸残基)、置換されていてもよい低級アルコキシ(置換基:ハロゲン、低級アルキル)、ヒドロキシ、または置換されていてもよいアミノ(置換基:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)である、上記(3)記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。

(13)以下の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物である、上記(3)〜(12)のいずれかに記載の化合物。
【化3】

(14)以下の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物である、上記(3)〜(12)のいずれかに記載の化合物。
【化4】

(15)以下の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物である、上記(3)〜(12)のいずれかに記載の化合物。
【化5】

(16)以下の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物である、上記(3)〜(12)のいずれかに記載の化合物。
【化6】

(但し、R1は水素、R2は−L1−Q1で示される基、L1は-CONRa-を含む基であり、かつQ1は置換されていてもよいアリールである場合を除く)

(17)以下の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物である、上記(3)〜(12)のいずれかに記載の化合物。
【化7】

さらに本発明は、上記のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物、抗ウイルス剤、抗HIV剤、またはHIVインテグラーゼ阻害剤を提供する。
【発明の効果】
【0005】
本発明化合物は、ウイルス、特にHIVに対してインテグラーゼ阻害活性および/または細胞増殖阻害活性を有する。よって、インテグラーゼが関与する各種疾患やウイルス感染症(例:エイズ)等の予防または治療に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本明細書中で用いる用語を以下に説明する。各用語は単独で又は他の用語と一緒になって以下の意味を有する。
「低級アルキレン」は、炭素数1〜6個の直鎖状又は分枝状の低級アルキレンを意味し、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、エチルエチレン、ペンタメチレン又はヘキサメチレン等が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜4個の直鎖状の低級アルキレンであり、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン又はテトラメチレンが挙げられる。より好ましくはメチレンまたはエチレンである。
「低級アルケニレン」は、上記「低級アルキレン」に1個又はそれ以上の二重結合を有する炭素数2〜6個の直鎖状又は分枝状の低級アルケニレン基を意味し、例えば、ビニレン、プロペニレン又はブテニレンが挙げられる。好ましくは、炭素数2〜3個の直鎖状の低級アルケニレンであり、例えば、ビニレン又はプロペニレンが挙げられる。
「アルキル」は、炭素数1〜10個の直鎖状又は分枝状のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ぺンチル、イソぺンチル、ネオぺンチル、tert-ぺンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル等が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜6個の低級アルキル、より好ましくは炭素数1〜4個の低級アルキルであり、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ぺンチル、イソぺンチル、ネオぺンチル、tert-ぺンチル、n-ヘキシル、イソヘキシルが挙げられる。
低級アルキルが、−N=または=N−で介在されている場合、2重結合が存在していてもよく、例えば、−CH2−N=CH2、−CH=N−CH3等を形成し得る。
「低級アルコキシ」は上記低級アルキルが結合したオキシを意味し、例えばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ぺントキシ、イソぺントキシ、ネオぺントキシ、tert-ぺントキシ、n-ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシが挙げられる。
「アルケニル」は、上記「アルキル」に1個又はそれ以上の二重結合を有する炭素数2〜8個の直鎖状又は分枝状のアルケニルを意味し、例えば、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1,3-ブタジエニル、3-メチル-2-ブテニル等が挙げられる。好ましくは、炭素数2〜6個の低級アルケニル、より好ましくは炭素数2〜4個の低級アルケニルである。
「低級アルケニルオキシ」は、上記「低級アルケニル」が結合したオキシを意味し、例えば、ビニルオキシ、1-プロペニルオキシ、2-プロペニルオキシ、1-ブテニルオキシ、2-ブテニルオキシ、3-ブテニルオキシ、1,3-ブタジエニルオキシ、3-メチル-2-ブテニルオキシ等が例示される。
「炭素環」は、「シクロアルキル」、「シクロアルケニル」、または「アリール」を形成し得る環を意味する。
「シクロアルキル」は、炭素数3〜10個の環状飽和炭化水素基を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。好ましくは、炭素数3〜6個のシクロアルキルである。
「シクロアルケニル」は、1または2個の2重結合を有する「シクロアルキル」を意味する。
「シクロアルキル低級アルキル」は、上記シクロアルキルが置換した低級アルキルを意味し、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル等が挙げられる。好ましくは、炭素数3〜6個のシクロアルキル低級アルキルである。
「アリール」は、単環芳香族炭化水素基(フェニル)及び多環芳香族炭化水素基(例えば、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリル、1-フェナントリル、2-フェナントリル、3-フェナントリル、4-フェナントリル、9-フェナントリル等)を意味する。好ましくは、フェニル又はナフチル(1-ナフチル、2-ナフチル)が挙げられる。
「アラルキル」または「アリール低級アルキル」は、1〜3個の上記「アリール」が置換した上記「低級アルキル」を意味し、例えば、ベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェネチル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル等)等が挙げられる。好ましくは、ベンジルである。
「アリールオキシ」は、上記「アリール」が結合したオキシを意味し、例えば、1-ナフチルオキシ、2-ナフチルオキシ、1-アントリルオキシ、2-アントリルオキシ、9-アントリルオキシ、1-フェナントリルオキシ、2-フェナントリルオキシ、3-フェナントリルオキシ、4-フェナントリルオキシ、9-フェナントリルオキシ等を意味する。好ましくは、フェニルオキシ又はナフチルオキシ(例:1-ナフチルオキシ、2-ナフチルオキシ)が挙げられる。
「複素環式基」は、「ヘテロサイクル」または「ヘテロアリール」を意味する。
「複素環」は、「複素環式基」を形成し得る環を意味する。
「ヘテロサイクル」は、窒素原子、酸素原子、リン原子及び/又は硫黄原子を少なくとも1個以上環内に有する、置換可能な任意の位置に結合手を有する非芳香族複素環式基(好ましくは5〜7員環)を意味し、例えば、1-ピロリニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、3-ピロリジニル、1-イミダゾリニル、2-イミダゾリニル、4-イミダゾリニル、1-イミダゾリジニル、2-イミダゾリジニル、4-イミダゾリジニル、1-ピラゾリニル、3-ピラゾリニル、4-ピラゾリニル、1-ピラゾリジニル、3-ピラゾリジニル、4-ピラゾリジニル、ピペリジノ、2-ピペリジル、3-ピペリジル、4-ピペリジル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニル、2-モルホリニル、3-モルホリニル、モルホリノ、テトラヒドロピラニル等が挙げられる。なお、「非芳香族複素環式基」は、非芳香族であれば、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。
「ヘテロアリール」は、単環芳香族複素環式基及び縮合芳香族複素環式基を意味する。
単環芳香族複素環式基は、酸素原子、硫黄原子、リン原子および/又は窒素原子を環内に1〜4個含んでいてもよい5〜8員の芳香環から誘導される、置換可能な任意の位置に結合手を有していてもよい基を意味する。
縮合芳香族複素環式基は、酸素原子、硫黄原子、リン原子および/又は窒素原子を環内に1〜4個含んでいてもよい5〜8員の芳香環が、1〜4個の5〜8員の芳香族炭素環もしくは他の5〜8員の芳香族ヘテロ環と縮合している、置換可能な任意の位置に結合手を有していてもよい基を意味する。
「ヘテロアリール」としては、例えば、フリル(例えば、2-フリル、3-フリル)、チエニル(例えば、2-チエニル、3-チエニル)、ピロリル(例えば、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル)、イミダゾリル(例えば、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル)、ピラゾリル(例えば、1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル)、トリアゾリル(例えば、1,2,4-トリアゾール-1-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル、1,2,4-トリアゾール-4-イル)、テトラゾリル(例えば、1-テトラゾリル、2-テトラゾリル、5-テトラゾリル)、オキサゾリル(例えば、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル)、イソキサゾリル(例えば、3-イソキサゾリル、4-イソキサゾリル、5-イソキサゾリル)、チアゾリル(例えば、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル)、チアジアゾリル、イソチアゾリル(例えば、3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル)、ピリジル(例えば、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、ピリダジニル(例えば、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル)、ピリミジニル(例えば、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル)、フラザニル(例えば、3-フラザニル)、ピラジニル(例えば、2-ピラジニル)、オキサジアゾリル(例えば、1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)、ベンゾフリル(例えば、2-ベンゾ[b]フリル、3-ベンゾ[b]フリル、4-ベンゾ[b]フリル、5-ベンゾ[b]フリル、6-ベンゾ[b]フリル、7-ベンゾ[b]フリル)、ベンゾチエニル(例えば、2-ベンゾ[b]チエニル、3-ベンゾ[b]チエニル、4-ベンゾ[b]チエニル、5-ベンゾ[b]チエニル、6-ベンゾ[b]チエニル、7-ベンゾ[b]チエニル)、ベンズイミダゾリル(例えば、1-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、4-ベンゾイミダゾリル、5-ベンゾイミダゾリル)、ジベンゾフリル、ベンゾオキサゾリル、キノキサリル(例えば、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、6-キノキサリニル)、シンノリニル(例えば、3-シンノリニル、4-シンノリニル、5-シンノリニル、6-シンノリニル、7-シンノリニル、8-シンノリニル)、キナゾリル(例えば、2-キナゾリニル、4-キナゾリニル、5-キナゾリニル、6-キナゾリニル、7-キナゾリニル、8-キナゾリニル)、キノリル(例えば、2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、8-キノリル)、フタラジニル(例えば、1-フタラジニル、5-フタラジニル、6-フタラジニル)、イソキノリル(例えば、1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリル)、プリル、プテリジニル(例えば、2-プテリジニル、4-プテリジニル、6-プテリジニル、7-プテリジニル)、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル(例えば、1-アクリジニル、2-アクリジニル、3-アクリジニル、4-アクリジニル、9-アクリジニル)、インドリル(例えば、1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル)、イソインドリル、ファナジニル(例えば、1-フェナジニル、2-フェナジニル)又はフェノチアジニル(例えば、1-フェノチアジニル、2-フェノチアジニル、3-フェノチアジニル、4-フェノチアジニル)等が挙げられる。
「複素環式基低級アルキル」は、上記「複素環式基」が置換した低級アルキルを意味する。
「複素環式基オキシ」は、上記「複素環式基」が結合したオキシを意味する。
「低級アルキルカルボニル」、「シクロアルキルカルボニル」、「シクロアルキル低級アルキルカルボニル」、「低級アルコキシカルボニル」、「アリールカルボニル」、「アリール低級アルキルカルボニル」、「アリールオキシカルボニル」、「複素環式基カルボニル」、「複素環式基低級アルキルカルボニル」、および「複素環式基オキシカルボニル」は、それぞれ前記の「低級アルキル」、「シクロアルキル」、「シクロアルキル低級アルキル」、「低級アルコキシ」、「アリール」、「アリール低級アルキル」、「アリールオキシ」、「複素環式基」、および「複素環式基低級アルキル」が結合したカルボニルを意味する。
【0007】
「置換されていてもよい低級アルキル」、「置換されていてもよいシクロアルキル」、「置換されていてもよいシクロアルキル低級アルキル」、「置換されていてもよい低級アルケニル」、「置換されていてもよい低級アルコキシ」、「置換されていてもよいアリール」、「置換されていてもよいアリール低級アルキル」、「置換されていてもよいアリールオキシ」、「置換されていてもよいアリールオキシ低級アルキル」、「置換されていてもよい複素環」、「置換されていてもよい複素環式基」、「置換されていてもよい複素環式基低級アルキル」、「置換されていてもよい複素環式基オキシ」、「置換されていてもよい低級アルケニルオキシ」、「置換されていてもよい低級アルキルカルボニル」、「置換されていてもよいシクロアルキルカルボニル」、「置換されていてもよいシクロアルキル低級アルキルカルボニル」、「置換されていてもよい低級アルコキシカルボニル」、「置換されていてもよいアリールカルボニル」、「置換されていてもよいアリール低級アルキルカルボニル」、「置換されていてもよいアリールオキシカルボニル」、「置換されていてもよい複素環式基カルボニル」、「置換されていてもよい複素環式基低級アルキルカルボニル」、「置換されていてもよい複素環式基オキシカルボニル」、「置換されていてもよい低級アルキレン」、「置換されていてもよい低級アルケニレン」、「置換されていてもよいリン酸残基」、「置換されていてもよい炭素環」、「置換されていてもよい複素環」、「置換されていてもよいヒドロキシ」、「置換されていてもよいアミノ」等が置換基を有する場合、それぞれ同一又は異なる1〜4個の、置換基群Bから選択される基で任意の位置が置換されていてもよい。
置換基群Bの例としては、例えば、ヒドロキシ、カルボキシ、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、ハロ低級アルキル(例:CF3、CH2CF3、 CH2CCl3)、ハロ低級アルコキシ(例:OCF3、OCH2CF3、 OCH2CCl3)、低級アルキル(例:メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル)、低級アルケニル(例:ビニル)、低級アルキニル(例:エチニル)、シクロアルキル(例:シクロプロピル)、シクロアルケニル(例:シクロプロペニル)、低級アルコキシ(例:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ)、低級アルケニルオキシ(例:ビニルオキシ、アリルオキシ)、低級アルコキシカルボニル(例:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル)、ニトロ、ニトロソ、置換されていてもよいアミノ(例:アルキルアミノ(例:メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ)、アシルアミノ(例:アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、アラルキルアミノ(例:ベンジルアミノ、トリチルアミノ)、ヒドロキシアミノ)、アジド、アリール(例:フェニル)、アラルキル(例:ベンジル)、シアノ、イソシアノ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、メルカプト、アルキルチオ(例:メチルチオ)、アルキルスルホニル(例:メタンスルホニル、エタンスルホニル)、置換されていてもよいアルキルスルホニルアミノ(例:メタンスルホニルアミノ、エタンスルホニルアミノ、N−メチルスルホニル−N'−メチルアミノ)、置換されていてもよいカルバモイル(例:アルキルカルバモイル(例:メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル))、スルファモイル、アシル(例:ホルミル、アセチル)、ホルミルオキシ、ハロホルミル、オキザロ、チオホルミル、チオカルボキシ、ジチオカルボキシ、チオカルバモイル、スルフィノ、スルフォ、スルホアミノ、ヒドラジノ、アジド、ウレイド、アミジノ、グアニジノ、フタルイミド、オキソ、リン酸残基、リン酸残基で置換された低級アルキル(ヘテロ原子基が介在していてもよい)、リン酸残基で置換されたアリール、リン酸残基で置換されたアラルキル、ヒドロキシ低級アルキル等が挙げられ、より好ましくは、ヒドロキシ、カルボキシ、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、ハロ低級アルキル(例:CF3、CH2CF3、 CH2CCl3)、ハロ低級アルコキシ(例:OCF3、OCH2CF3、 OCH2CCl3)、低級アルキル(例:メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル)、低級アルコキシ(例:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ)、置換されていてもよいアミノ(例:アルキルアミノ(例:メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ)、オキソ、またはリン酸残基等が挙げられる。
「置換されていてもよいアミノ」、「置換されていてもよいカルバモイル」、「置換されていてもよいスルファモイル」等の置換基としては、モノもしくはジ低級アルキル、低級アルキルカルボニルまたは低級アルキルスルホニル、置換されていてもよい低級アルキル(例:メチル、エチル、イソプロピル、ベンジル、カルバモイルアルキル(例:カルバモイルメチル)、モノまたはジ低級アルキルカルバモイル低級アルキル(例:ジメチルカルバモイルエチル)、ヒドロキシ低級アルキル、ヘテロサイクル低級アルキル(例:モルホリノエチル、テトラヒドロピラニルエチル)、アルコキシカルボニル低級アルキル(例:エトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル)、モノまたはジ低級アルキルアミノ低級アルキル(例:ジメチルアミノエチル))、低級アルコキシ低級アルキル(例えば、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、イソプロポキシエチル等)、アシル(例:ホルミル、置換されていてもよい低級アルキルカルボニル(例:アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、メトキシエチルカルボニル、2,2,2-トリフルオロエチルカルボニル、エトキシカルボニルメチルカルボニル)、低級アルコキシ低級アルキルカルボニル(例:メトキシエチルカルボニル)、低級アルキルカルバモイル低級アルキルカルボニル(例:メチルカルバモイルエチルカルボニル)、アルコキシカルボニルアセチル)、置換されていてもよいアリールカルボニル(例えば、ベンゾイル、トルオイル)、置換されていてもよいアラルキル(例えば、ベンジル、4-フルオロベンジル)、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルキルスルホニル(例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル、イソプロピルスルホニル、2,2,2-トリフルオロエタンスルホニル、ベンジルスルホニル、メトキシエチルスルホニル)、低級アルキルまたはハロゲンで置換されていてもよいアリールスルホニル(例:ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル、4-フルオロベンゼンスルホニル)、シクロアルキル(例:シクロプロピル)、低級アルキルで置換されていてもよいアリール(例:フェニル、トリチル)、低級アルキルアミノスルホニル(例:メチルアミノスルホニル、ジメチルアミニスルホニル)、低級アルキルアミノカルボニル(例:ジメチルアミノカルボニル)、低級アルコキシカルボニル(例:エトキシカルボニル)、シクロアルキルカルボニル(例:シクロプロピルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル)、置換されていてもよいスルファモイル(例:スルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル)、低級アルキルカルボニルアミノ(例:メチルカルボニルアミノ)、ヘテロサイクル(例:モルホリノ、テトラヒドロピラニル)、置換されていてもよいアミノ(例:モノまたはジアルキルアミノ(例:ジメチルアミノ)、ホルミルアミノ)等が挙げられる。
「置換されていてもよいアミノ」、「置換されていてもよいカルバモイル」、「置換されていてもよいスルファモイル」のアミノ基は、アミノ基の2つの置換基が隣接する窒素原子と共に硫黄原子および/または酸素原子を環内に含有していてもよい含窒素ヘテロサイクル(好ましくは5〜7員環であり、また好ましくは飽和である)を形成してもよく、該環はオキソまたはヒドロキシで置換されていてもよい。環を形成する硫黄原子はオキソで置換されていてもよい。例えば、ピペラジニル、ピペリジノ、モルホリノ、ピロリジノ、チアジナン-2-イル、2-オキソピペリジノ、2-オキソピロリジノ、1,1-ジオキシド-1,2-チアジナン-2-イル、4-ヒドロキシモルホリノ等の5員または6員の環等が好ましい。
リン酸残基とは、−PO(OH)2で示される基を意味し、置換されていてもよいリン酸残基とは、そのOH部分および/またはOHの水素部分が置換されていてもよいリン酸残基を意味し、好ましくは以下の式で示される。
【化8】


(式中、RAおよびRBはそれぞれ独立して、ORC、NRDE(式中、RC、RDおよびREはそれぞれ独立して、水素、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよい複素環基、またはRDおよびREは一緒になって隣接N原子を含む、置換されていてもよい複素環(好ましくは、5〜6員環)を形成してもよい)またはRAおよびRBは、一緒になって隣接P原子を含む、置換されていてもよい複素環(好ましくは、5〜6員環)を形成してもよい)
より好ましくは、RAおよびRBは共にORCであるか、またはいずれか一方がORCあり、他方がNRDEである。
C、RDおよびREは、好ましくは、それぞれ独立して低級アルキル(例:メチル、エチル)である。
AおよびRBは、一緒になって隣接P原子を含む、置換されていてもよい複素環は、例えば以下の構造をとり得る。
【化9】

(式中、破線は環の一部を示す)

置換されていてもよいリン酸残基で置換されたヒドロキシとして好ましくはジ低級アルキル置換されたリン酸残基で置換されたヒドロキシであり、より好ましくは以下の基である。
【化10】

置換されていてもよいリン酸残基で置換されたアミノとして好ましくは、ジ低級アルキル置換されたリン酸残基で置換されたアミノであり、より好ましくは以下の基である。
【化11】

【0008】
(より好ましい態様)
1〜R7、R1'、およびR2'は、それぞれ独立して水素または置換基群S1から選択される基であり、好ましくは、R1、R1'、R2、R2'およびR3の少なくとも1つは、−L1−Q1で示される基である。より好ましい態様の一つは、R1、R2、およびR3の少なくとも1つは、−L1−Q1で示される基であり、R1'および/またはR2'は水素である。
-L1-は、1)単結合、 2)-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NRa-(Raは水素または低級アルキル)、−N=および=N−からなる群から選択されるヘテロ原子基またはそれらの連結基(連結部分の構成原子数は好ましくは1〜3個、例:-O-O-、-O-CO-、-CO-O-、-CONRa-、-NRaCO-)、 3)低級アルキレンまたは低級アルケニレン、好ましくは炭素数1〜3の低級アルキレン(例:−CH2−)または炭素数2〜3の低級アルケニレン(例:-CH=CH-)、または4)2)の基と3)の基を組み合わせてなる連結基である。2)の基と3)の基の組み合わせは任意であるが、好ましくは連結部分の原子数は2〜4個であり、例えば、-CONRa-CH2-、-CH2-CONRa-CH2-、-CH2-CONRa-、-CONRa-CH=CH-、-CH=CH-CONRa-CH2-、-CH=CH-CONRa-、-O-CH2-、-CH2-O-、-CH2-O-CH2-、-S-CH2-、-CH2-S-、-CH2-S-CH2-、-O-CO-、-CH2-CO-、-CH2-CO-CH2-、-SO-CH2-、-CH2-SO-、-CH2-SO-CH2-、-NRa-CH2-、-CH2-NRa-、-CH2-NRa-CH2-、-−N=CH-、-CH=N−、-CH=N−CH2-が例示される。好ましくは−CONRa−L2−(L2は単結合、低級アルキレンまたは低級アルケニレン)、より好ましくは-CONRa-CH2-である。Raは好ましくは、水素またはC1〜C4アルキル、より好ましくは水素である。

1は、置換されていてもよいアリール(例:フェニル)または置換されていてもよい複素環式基(好ましくは5〜6員環)である。好ましくは、アリール、少なくともハロゲンで置換されたアリール、複素環式基、または少なくともハロゲンで置換された複素環式基である。「少なくともハロゲンで置換された」とは、置換基がハロゲンおよび所望によりその他の置換基であることを意味する。その他の置換基としては、 ヒドロキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、シアノ、カルボキシ、ホルミル、オキソ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、カルバモイル、低級アルキルカルバモイル、および置換基群S1からなる群から選択される、同一または異なる1〜3個、好ましくは1〜2個の置換基が例示され、より好ましくは、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、低級アルキル、および低級アルコキシである。Q1は好ましくは、フェニルまたは少なくともハロゲンで置換されたフェニルであり、特に好ましくは、置換されていてもよい4−ハロゲノフェニル(例:4−F−フェニル)である。

置換基群S1は、ハロゲン、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル低級アルキル、置換されていてもよい低級アルケニル、置換されていてもよい低級アルコキシ、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリール低級アルキル、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよい複素環式基、置換されていてもよい複素環式基低級アルキル、置換されていてもよい複素環式基オキシ、ヒドロキシ、置換されていてもよいヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいリン酸残基、置換されていてもよいカルバモイル、置換されていてもよいスルファモイル、オキソ、−L1−Q1で示される基、カルボキシ、および置換されていてもよいカルボキシを包含する。
置換基群S1は、好ましくは、置換されていてもよい低級アルキル(置換基の例:ハロゲン(例:F)、ヒドロキシ、低級アルコキシ(例:メトキシ)、モノまたはジ置換アミノ(置換基の例:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)、リン酸残基)、 置換されていてもよい低級アルコキシ(置換基の例:ハロゲン、低級アルキル)、ヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ(置換基の例:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)、置換されていてもよいリン酸残基、または−L1−Q1(式中、L1は、低級アルキレン、低級アルケニレンまたは−CONRa−L2−(式中、Raは水素または低級アルキル;L2は単結合、低級アルキレン、または低級アルケニレン;Q1は、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよい複素環式基)である。

置換基群S1は、より好ましくは、低級アルキル(例:メチル、エチル、イソプロピル)、低級アルコキシ低級アルキル(例:2−メトキシエチル)、モノまたはジ置換アミノ低級アルキル(例:2−ジメチルアミノエチル)、ベンジル、少なくともハロゲンで置換されたベンジル、ベンジルカルバモイル、または少なくともハロゲンで置換されたベンジルカルバモイルである。

A環およびB環は、それぞれ独立して炭素環または複素環である。
A環は好ましくは、5〜6員の複素環であり、より好ましくはN原子を1〜3個または1〜2個含有し、環内に2重結合を1〜2個有する。
B環は好ましくは、5〜6員の炭素環または複素環である。該複素環は、好ましくはN原子を1〜2個、より好ましくは1個含有し、環内に2重結合を1〜2個有する。
A環およびB環の弧線部分は、それぞれ独立して、好ましくは、置換基群S1から選択される1または2以上の置換基で置換されていてもよく、2重結合が介在していてもよく、および/または前記ヘテロ原子基が介在していてもよい。また弧線部分は単結合であってもよい。
A環の弧線部分は好ましくは、環構成原子(:炭素原子および/またはヘテロ原子(例:N、O、S、好ましくはN))が1〜2個であり、好ましくはR5〜R7で例示される置換基で置換されていてもよい。
B環の弧線部分は好ましくは、単結合、2重結合、または置換されていてもよい炭素原子基(例:=CR4−、−CR4=)である。
【0009】
化合物(I)のより好ましい態様は、以下の化合物を包含する。

【化12】

(式中、各記号は前記と同意義)

1およびR3の少なくとも1つは、−L1−Q1で示される基であり、残りの基は水素または置換基群S1から選択される基である。
化合物(I−1)の好ましい態様は以下の通りである。
(1)R1およびR3の少なくとも1つは、−L1−Q1(式中、L1は、低級アルキレン、低級アルケニレンまたは−CONRa−L2−(式中、Raは水素または低級アルキル;L2は単結合、低級アルキレン、または低級アルケニレン);Q1はアリール、少なくともハロゲンで置換されたアリール、複素環式基、または少なくともハロゲンで置換された複素環式基)で示される基である。より好ましくは、R1およびR3の少なくとも1つは、−CH2−Q1または−CONRaCH2−Q1、Q1はフェニルまたは少なくともハロゲンで置換されたフェニルであり、他方は、−CH2−Q1、−CONHCH2−Q1(Q1の例:フェニル、p−フルオロフェニル)、低級アルキル(例:メチル、エチル、イソプロピル)、低級アルコキシ低級アルキル(例:2−メトキシエチル)、または低級アルキルで置換されていてもよいアミノ低級アルキル(例:ジメチルアミノエチル)である。
(2)R4〜R5は、それぞれ独立して水素、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよい低級アルコキシ、ヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、または置換されていてもよいリン酸残基である。より好ましくは、水素、置換されていてもよい低級アルキル(置換基:ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、モノまたはジ置換アミノ(置換基:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)、リン酸残基)、置換されていてもよい低級アルコキシ(置換基:ハロゲン、低級アルキル)、ヒドロキシ、または置換されていてもよいアミノ(置換基:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)である。特に好ましくは、R4は水素、R5は低級アルキル(例:メチル、エチル、イソプロピル)、低級アルコキシ低級アルキル(例:2−メトキシエチル)、または低級アルキルで置換されていてもよいアミノ低級アルキル(例:ジメチルアミノエチル)である。

【化13】

(式中、各記号は前記と同意義)

1およびR2の少なくとも1つは、−L1−Q1で示される基であり、残りの基は水素または置換基群S1から選択される基である。
化合物(I−2)の好ましい態様は以下の通りである。
(1)R1およびR2の少なくとも1つは、−L1−Q1(式中、L1は、低級アルキレン、低級アルケニレンまたは−CONRa−L2(式中、Raは水素または低級アルキル;L2は単結合、低級アルキレン、または低級アルケニレン);Q1はアリール、少なくともハロゲンで置換されたアリール、複素環式基、または少なくともハロゲンで置換された複素環式基)で示される基である。より好ましくは、R1およびR2の少なくとも1つは、−CH2−Q1または−CONRaCH2−Q1、Q1はフェニルまたは少なくともハロゲンで置換されたフェニルであり、他方は、−CH2−Q1、−CONHCH2−Q1(Q1の例:フェニル、p−フルオロフェニル)、低級アルキル(例:メチル、エチル、イソプロピル)、低級アルコキシ低級アルキル(例:2−メトキシエチル)、または低級アルキルで置換されていてもよいアミノ低級アルキル(例:ジメチルアミノエチル)である。
(2)R4〜R5は、それぞれ独立して水素、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよい低級アルコキシ、ヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、または置換されていてもよいリン酸残基である。より好ましくは、水素、置換されていてもよい低級アルキル(置換基:ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、モノまたはジ置換アミノ(置換基:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)、リン酸残基)、置換されていてもよい低級アルコキシ(置換基:ハロゲン、低級アルキル)、ヒドロキシ、または置換されていてもよいアミノ(置換基:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)である。特に好ましくは、R4は水素、R5は低級アルキル(例:メチル、エチル、イソプロピル)、低級アルコキシ低級アルキル(例:2−メトキシエチル)、または低級アルキルで置換されていてもよいアミノ低級アルキル(例:ジメチルアミノエチル)である。

【化14】

(式中、各記号は前記と同意義)

1およびR2の少なくとも1つは、−L1−Q1で示される基であり、残りの基は水素または置換基群S1から選択される基である。
化合物(I−3)の好ましい態様は以下の通りである。
(1)R1およびR2の少なくとも1つは、−L1−Q1(式中、L1は、低級アルキレン、低級アルケニレンまたは−CONRa−L2−(式中、Raは水素または低級アルキル;L2は単結合、低級アルキレン、または低級アルケニレン);Q1はアリール、少なくともハロゲンで置換されたアリール、複素環式基、または少なくともハロゲンで置換された複素環式基)で示される基である。より好ましくは、R1およびR2の少なくとも1つは、−CH2−Q1または−CONRaCH2−Q1、Q1はフェニルまたは少なくともハロゲンで置換されたフェニルであり、他方は、−CH2−Q1、−CONHCH2−Q1(Q1の例:フェニル、p−フルオロフェニル)、低級アルキル(例:メチル、エチル、イソプロピル)、低級アルコキシ低級アルキル(例:2−メトキシエチル)、または低級アルキルで置換されていてもよいアミノ低級アルキル(例:ジメチルアミノエチル)である。
(2)R4〜R6は、それぞれ独立して水素、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよい低級アルコキシ、ヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、または置換されていてもよいリン酸残基である。より好ましくは、水素、置換されていてもよい低級アルキル(置換基:ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、モノまたはジ置換アミノ(置換基:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)、リン酸残基)、置換されていてもよい低級アルコキシ(置換基:ハロゲン、低級アルキル)、ヒドロキシ、または置換されていてもよいアミノ(置換基:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)である。特に好ましくは、R4は水素、R6は低級アルコキシ(例:メトキシ),低級アルコキシ低級アルキル(例:2−メトキシエチル)、または低級アルキルで置換されていてもよいアミノ低級アルキル(例:ジメチルアミノエチル)である。

【化15】

(式中、各記号は前記と同意義)

1およびR2の少なくとも1つは、−L1−Q1で示される基であり、残りの基は水素または置換基群S1から選択される基である。
化合物(I−4)の好ましい態様は以下の通りである。
(1)R1およびR2の少なくとも1つは、−L1−Q1(式中、L1は、低級アルキレン、低級アルケニレンまたは−CONRa−L2−(式中、Raは水素または低級アルキル;L2は単結合、低級アルキレン、または低級アルケニレン);Q1はアリール、少なくともハロゲンで置換されたアリール、複素環式基、または少なくともハロゲンで置換された複素環式基)で示される基である。より好ましくは、R1およびR2の少なくとも1つは、−CH2−Q1または−CONRaCH2−Q1、Q1はフェニルまたは少なくともハロゲンで置換されたフェニルであり、他方は、−CH2−Q1、−CONHCH2−Q1(Q1の例:フェニル、p−フルオロフェニル)、低級アルキル(例:メチル、エチル、イソプロピル)、低級アルコキシ低級アルキル(例:2−メトキシエチル)、または低級アルキルで置換されていてもよいアミノ低級アルキル(例:ジメチルアミノエチル)である。
(2)R4、R6およびR7は、それぞれ独立して水素、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよい低級アルコキシ、ヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、または置換されていてもよいリン酸残基である。より好ましくは、水素、置換されていてもよい低級アルキル(置換基:ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、モノまたはジ置換アミノ(置換基:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)、リン酸残基)、置換されていてもよい低級アルコキシ(置換基:ハロゲン、低級アルキル)、ヒドロキシ、または置換されていてもよいアミノ(置換基:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)である。特に好ましくは、R4は水素、R6,R7は水素または低級アルキル(例:メチル、エチル、イソプロピル)

【化16】

(式中、各記号は前記と同意義)
1およびR2の少なくとも1つは、−L1−Q1で示される基であり、残りの基は水素または置換基群S1から選択される基である。
化合物(I−5)の好ましい態様は以下の通りである。
(1)R1およびR2の少なくとも1つは、−L1−Q1(式中、L1は、低級アルキレン、低級アルケニレンまたは−CONRa−L2−(式中、Raは水素または低級アルキル;L2は単結合、低級アルキレン、または低級アルケニレン);Q1はアリール、少なくともハロゲンで置換されたアリール、複素環式基、または少なくともハロゲンで置換された複素環式基)で示される基である。より好ましくは、R1およびR2の少なくとも1つは、−CH2−Q1または−CONRaCH2−Q1、Q1はフェニルまたは少なくともハロゲンで置換されたフェニルであり、他方は、−CH2−Q1、−CONHCH2−Q1(Q1の例:フェニル、p−フルオロフェニル)、低級アルキル(例:メチル、エチル、イソプロピル)、低級アルコキシ低級アルキル(例:2−メトキシエチル)、または低級アルキルで置換されていてもよいアミノ低級アルキル(例:ジメチルアミノエチル)である。
(2)R5は、水素、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよい低級アルコキシ、ヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、または置換されていてもよいリン酸残基である。より好ましくは、水素、置換されていてもよい低級アルキル(置換基:ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、モノまたはジ置換アミノ(置換基:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)、リン酸残基)、置換されていてもよい低級アルコキシ(置換基:ハロゲン、低級アルキル)、ヒドロキシ、または置換されていてもよいアミノ(置換基:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)であり、特に好ましくは、低級アルキル(例:メチル、エチル、イソプロピル)、低級アルコキシ低級アルキル(例:2−メトキシエチル)、または低級アルキルで置換されていてもよいアミノ低級アルキル(例:ジメチルアミノエチル)である。

本発明は、化合物(I)の製薬上許容される塩及びそれらの溶媒和物も提供する。本発明化合物の理論上可能なすべての互変異性体、幾何異性体等も、本発明の範囲内である。
本発明化合物の製薬上許容される塩としては、塩基性塩として、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ブロカイン塩、メグルミン塩、ジエタノールアミン塩またはエチレンジアミン塩等の脂肪族アミン塩;N,N-ジベンジルエチレンジアミン、ベネタミン塩等のアラルキルアミン塩;ピリジン塩、ピコリン塩、キノリン塩、イソキノリン塩等のヘテロ環芳香族アミン塩;テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアモニウム塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩、ベンジルトリブチルアンモニウム塩、メチルトリオクチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩;アルギニン塩、リジン塩等の塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。酸性塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、過塩素酸塩等の無機酸塩;酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマール酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩等の有機酸塩;メタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等の酸性アミノ酸等が挙げられる。
本発明化合物の溶媒和物としては、アルコール和物や水和物等が挙げられる。
【0010】
本発明化合物の一般的製法を以下に例示する。

(1)化合物(I−1)の製法
【化17】

(式中、Y1はOHまたは脱離基(例:トリフルオロメタンスルホニルオキシ);Rは低級アルキル(例:エチル);その他の記号は前記と同意義)

(第1工程)
麹酸またはその誘導体である化合物(II)とアミン(III)を反応させて化合物(IV)を得る。
反応溶媒としては、アルコール(例:メタノール,エタノール)、塩化メチレン,が例示される。
反応温度は、好ましくは0〜50℃、より好ましくは15〜35℃である。
反応時間は、数分〜数時間、好ましくは30分〜1時間である。

(第2工程)
化合物(IV)とボラン試薬(V)を反応させて化合物(VI)を得る。当該反応は、鈴木反応の条件に準じて行えばよい。
反応触媒としては、パラジウム触媒(例:酢酸パラジウム、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム,塩化パラジウム)、リン触媒(例:トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィノフェロセン)および塩基(例:炭酸カリウム、炭酸セシウム,トリエチルアミン)が併用される。
反応溶媒としては、ジメトキシエタン、ジオキサン,DMFが例示される。
反応温度は、好ましくは0℃〜150℃、より好ましくは室温〜100℃である。
反応時間は、数時間〜1日、好ましくは10時間〜20時間である。

(第3工程)
化合物(VI)を酸化して化合物(VII)を得る。
酸化剤としては、二酸化マンガン、次亜塩素酸ナトリウムが例示される。
反応溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン,酢酸エチル,THFが例示される。
反応温度は、好ましくは室温〜溶媒の沸点、より好ましくは室温〜100℃である。
反応時間は、数分〜数十時間、好ましくは1時間〜10時間である。

(第4工程)
化合物(VII)とアミン(VIII)を縮合反応させた後、2重結合を還元して化合物(IX)を得る。
反応溶媒としては、塩化メチレン、アルコール(例:メタノール,エタノール)、THFまたはこれらの混合液が使用される。
縮合反応の触媒として、酸(例:酢酸)を添加するのが好ましい。
縮合反応の温度は、0〜50℃、好ましくは10〜30℃である。
縮合反応の時間は、数分〜1時間、好ましくは1〜10分である。
縮合反応後、引続き、反応系に還元剤を添加すればよい。
還元剤としては、NaBH(OAc)3 、NaBH4, NaBh3CNが例示される。
還元反応の時間は、数分〜数十時間、好ましくは30分〜1時間である。

(第5工程)
化合物(IX)とクロロ-オキソ-酢酸アルキルエステル(X)を反応させて化合物(XI)を得る。
反応溶媒としては、塩化メチレン、THFが例示される。
反応温度は、好ましくは−40℃〜室温、より好ましくは氷冷下〜0℃である。
反応時間は、好ましくは数分〜1時間、好ましくは5分〜30分である。

(第6工程)
化合物(XI)を環化反応に付して化合物(I−1)を得る。
環化反応は、好ましくは、触媒存在下に行われる。
触媒としては、好ましくは塩基(例:金属アルコキサイド(例:t-BuOK))、金属アミド(例:リチウムジイソプロピルアミド)が使用される。
反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが例示される。
反応温度は、好ましくは−40℃〜室温、より好ましくは氷冷下〜0℃である。
反応時間は、好ましくは数分〜数十時間、好ましくは30分〜数時間である。

(2)化合物(I−3、I−4)の製法
【化18】

(式中、Acはアセチル;L2は脱離基(例:ハロゲン);P1はヒドロキシ保護基;RおよびR'はそれぞれ独立してカルボキシ保護基;その他の記号は前記と同意義)

化合物(XII)を出発原料にして、参考例1の方法に準じて、ヒドロキシの保護・脱保護反応、O→NHへの変換反応、カルボキシ導入反応等を行うことにより、化合物(XIII)が得られる。以下、化合物(XIII)からの工程について説明する。

(第1工程)
化合物(XIII)のカルボキシ部分を、当業者周知の方法に従い例えばアミド化することにより、R2として(置換)カルバモイル基が導入され、化合物(XIV)が得られる。
反応温度としては、0〜150℃、好ましくは0〜100℃である。
反応溶媒としては、ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、テトラヒドロフラン等が例示される。
反応時間は、数分〜数十時間、好ましくは1〜10時間である。

(第2工程)
化合物(XIV)のヒドロキシを酸化してカルボキシに変換した後、エステル化することにより、化合物(XV)が得られる。
酸化反応は、例えばヒドロキシを二酸化マンガンでアルデヒドに酸化した後、亜塩素酸ナトリウムで酸化してカルボキシまで変換できる。またクロム酸を用いて酸化してもよい。
反応溶媒としては、ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、テトラヒドロフラン等が例示される。
反応時間は、数分〜数十時間、好ましくは1〜10時間である。

(第3工程)
化合物(XV)と化合物(XVI)を反応させることにより、化合物(XVII)が得られる。
反応は、好ましくは塩基(例:炭酸セシウム)存在下で行われる。
反応温度としては、0〜100℃、好ましくは10〜40℃である。
反応溶媒としては、ジメチルホルムアミド等が例示される。
反応時間は、数分〜数十時間、好ましくは1〜10時間である。

(第4工程)
化合物(XVII)の側鎖の2重結合に対してハイドロボレーションを行なった後、過酸化水素水を用いて酸化することにより、化合物(XVIII)が得られる。

反応温度としては、0〜100℃、好ましくは0℃〜室温である。
反応溶媒としては、テトラヒドロフランが例示される。
反応時間は、数分〜数十時間、好ましくは1〜10時間である。

(第5工程)
化合物(XVIII)の側鎖のヒドロキシを酸化してカルボキシに変換した後、エステル化することにより、化合物(XIX)が得られる。本反応は、第2工程に準じて行えばよい。

(第6工程)
化合物(XIX)を分子内クライゼン縮合反応に付すことにより、化合物(XX)が得られる。
反応温度としては、0〜100℃、好ましくは0℃〜室温である。
反応溶媒としてはアルコール(例:メタノール,エタノール)、THFが例示される。
反応時間は、数分〜数十時間、好ましくは1〜10時間である。

(第7工程)
化合物(XX)にフェニルセレニル基を導入した後、酸化し脱離させることで化合物(XXI)が得られる。導入には例えば、PhSeClを用い、過酸化水素で酸化を行なう。
反応温度としては、0〜100℃、好ましくは0℃〜室温である。
反応溶媒としてはTHF、塩化メチレンが例示される。
反応時間は、数分〜数十時間、好ましくは1〜10時間である。

(第8工程)
化合物(XXI)のエステル部分を加水分解することにより化合物(XXII)が得られる。

(第9工程)
化合物(XXII)のカルボキシ部分を、当業者周知の方法に従い例えばアミド化することにより、R1として(置換)カルバモイル基が導入され、化合物(XXIII)が得られる。本反応は、第1工程に準じて行えばよい。

(第10工程)
化合物(XXIII)を脱保護することにより、化合物(I−3)が得られる。

なお、第6工程で得られた化合物(XX)を原料にして、第8、9工程に準じて反応を行うことにより、化合物(I−4)を得ることができる。また化合物(I−4)は、化合物(I−3)を還元することによって合成してもよい。

ヒドロキシ保護基としては、例えば、アシル(例:アセチル、ピバロイル、ベンゾイル)、アラルキル(例:ベンジル)、低級アルキル(例:メチル)、アルコキシアルキル(例:メトキシメチル、メトキシエチル)、低級アルキルスルホニル(例:メタンスルホニル)、アリールスルホニル(例:ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルコキシカルボニル(例:メトキシカルボニル)等が挙げられる。
カルボキシ保護基としては、低級アルキル(例;メチル、エチル)、アラルキル(例:ベンジル)が例示される。
上記で得られた本発明化合物をさらに化学修飾して、別の化合物を合成してもよい。また上記反応中で、側鎖部分などに反応性官能基(例:OH、COOH、NH2)が存在する場合には、所望により、反応前に保護し、反応後に脱保護してもよい。

本発明化合物の最大の特徴は、式:
【化19】

で示される部分構造を有し、かつ縮合環上の置換基として少なくとも1個の−L1−Q1で示される基をする点である。このような構造を有することにより、HIVを含むウイルスに対して、非常に強いインテグラーゼ阻害作用および/または細胞増殖阻害活性を示す。またその他の部分構造も寄与して、吸収性、AUC等の体内動態にも優れている。
本発明化合物は、例えば抗ウイルス薬等の医薬として有用である。本発明化合物は、動物細胞内で感染時に少なくともインテグラーゼを産出して増殖するウイルスに起因する各種疾患に対して、予防又は治療効果が期待でき、例えば、レトロウイルス(例、HIV-1、HIV-2、HTLV-1、SIV、FIV等)に対するインテグラーゼ阻害剤として有用であり、抗HIV薬等として有用である。
また、本発明化合物は、逆転写酵素阻害剤および/又はプロテアーゼ阻害剤等の異なる作用メカニズムを有する抗HIV薬と組み合わせて併用療法に用いることもできる。特に現在、インテグラーゼ阻害剤は上市されておらず、本発明化合物と逆転写酵素阻害剤および/又はプロテアーゼ阻害剤とを組み合わせて併用療法に用いることは有用である。
さらに、上記の使用としては、抗HIV用合剤としてのみならず、カクテル療法等のように、他の抗HIV薬の抗HIV活性を上昇させるような併用剤としての使用も含まれる。
また、本発明化合物は、遺伝子治療の分野において、HIVやMLVをもとにしたレトロウイルスベクターを用いる際に、目的の組織以外にレトロウイルスベクターの感染が広がるのを防止するために使用することができる。特に、試験管内で細胞等にベクターを感染しておいてから体内にもどすような場合に、本発明化合物を事前に投与しておくと、体内での余計な感染を防ぐことができる。
本発明化合物は、経口的又は非経口的に投与することができる。経口投与による場合、本発明化合物は通常の製剤、例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤等の固形剤;水剤;油性懸濁剤;又はシロップ剤もしくはエリキシル剤等の液剤のいずれかの剤形としても用いることができる。非経口投与による場合、本発明化合物は、水性又は油性懸濁注射剤、点鼻液として用いることができる。その調製に際しては、慣用の賦形剤、結合剤、滑沢剤、水性溶剤、油性溶剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、安定剤等を任意に用いることができる。なお、抗HIV薬としては、特に経口剤が好ましい。本発明の製剤は、治療有効量の本発明化合物を製薬上許容される担体又は希釈剤とともに組み合わせる(例えば混合する)ことによって製造される。
本発明化合物の投与量は、投与方法、患者の年齢、体重、状態および疾患の種類によっても異なるが、通常、経口投与の場合、成人1日あたり約0.05mg〜3000mg、好ましくは、約0.1mg〜1000mgを、要すれば分割して投与すればよい。また、非経口投与の場合、成人1日あたり約0.01mg〜1000mg、好ましくは、約0.05mg〜500mgを投与する。

以下に実施例を示す。
参考例1
【化20】

1)マルトール1(189g、1.5mol)をジメチルホルムアミド(1890ml)に溶かし、臭化ベンジル(184ml、1.5mol)を加えた。溶液を80℃で15分間撹拌した後、炭酸カリウム(228g、1.65mol)を加え、1時間攪拌した。反応液を室温まで冷却後、無機塩を濾別し濾液を減圧下留去した。再度析出した無機塩に対し、THF(テトラヒドロフラン、1000ml)を加えて濾別し濾液を減圧下留去することにより、3-ベンジルオキシ-2-メチル-ピラン-4-オン2の粗生成物(329g、>100%)を褐色油状物として得た。
NMR(CDCl3)δ: 2.09(3H, s), 5.15(2H, s), 6.36(1H, d, J=5.6HZ), 7.29-7.41(5H, m), 7.60(1H, d, J=5.6HZ).

2)上記化合物2(162.2g、750mmol)をエタノール(487ml)に溶解し、アンモニア水(28%、974ml)および6規定水酸化ナトリウム水溶液(150ml、900mmol)を加えた.反応液を90℃で1時間撹拌した後、氷冷下まで冷却してから塩化アンモニウム(58g、1080mmol)を加えた。反応液にクロロホルムを加えて抽出し、有機層を飽和重曹水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣にイソプロピルアルコール及びジエチルエーテルを加え、析出した結晶を濾取することにより、 3-ベンジルオキシ-2-メチル-1H-ピリジン-4-オン3(69.1g、43%)を薄黄色結晶として得た。
NMR(DMSO-d6)δ: 2.05(3H, s), 5.04(2H, s), 6.14(1H, d, J=7.0HZ), 7.31-7.42(5H, m), 7.46(1H, d, J=7.2HZ), 11.29(1H, brs).

3)上記化合物3(129g、599mmol)をアセトニトリル(1300ml)に懸濁し、N-ブロモコハク酸イミド(117g、659mmol)を加え、室温で90分間撹拌した.析出した結晶を濾取し、アセトニトリルおよびジエチルエーテルで洗浄することにより、3-ベンジルオキシ-5-ブロモ-2-メチル-ピリジン-4-オール4(154g、88%)を無色結晶として得た。
NMR(DMSO-d6)δ: 2.06(3H, s), 5.04(2H, s), 7.32-7.42(5H, m), 8.03(1H, d, J=5.5HZ), 11.82(1H, brs).

4)上記化合物4(88g、300mmol)、酢酸パラジウム(13.4g、60mmol)、および1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(30.8g、516mmol)のジメチルホルムアミド(660ml)溶液に、室温でメタノール(264ml)、およびトリエチルアミン(210ml、1.5mol)を加えた。反応容器内を一酸化炭素で置換し、室温で30分撹拌した後に80度で18時間撹拌した。酢酸エチル(1500ml)、飽和塩化アンモニウム水溶液(1500ml)、および水(1500ml)を加えた容器を氷冷下攪拌し、その中に反応液を加えた。析出物を濾取し、水(300ml)、酢酸エチル(300ml)、およびジエチルエーテル(300ml)で洗浄することにより5-ベンジルオキシ-4-ヒドロキシ-6-メチル-ニコチン酸 メチルエステル5(44.9g、55%)を無色結晶として得た。
NMR(DMSO-d6)δ: 2.06(3H, s), 3.72(3H, s), 5.02(2H, s), 7.33-7.42(5H, m), 8.07(1H, s).

5)上記化合物5(19.1g、70mmol)の無水酢酸(134ml)溶液を130℃で40分間撹拌した後、溶媒を減圧下留去することにより4-アセトキシ-5-ベンジルオキシ-6-メチル-ニコチン酸メチルエステル6(19.9g、90%)を肌色結晶として得た。
NMR(CDCl3)δ: 2.29(3H, s), 2.52(3H, s), 3.89(3H, s), 4.98(2H, s), 7.36-7.41(5H, m), 8.85(1H, s).

6)上記化合物6(46.2g、147mmol)のクロロホルム(370ml)溶液に、氷冷下でメタクロロ過安息香酸(65%)(42.8g、161mmol)を少しずつ加えていき室温で90分撹拌した。反応液に10%炭酸カリウム水溶液を加えて10分間攪拌後、クロロホルムで抽出した。有機層を10%炭酸カリウム水溶液、飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、残渣をジイソプロピルエーテルで洗浄することにより4-アセトキシ-5-ベンジルオキシ-6-メチル-1オキシ-ニコチン酸メチルエステル7(42.6g、87%)を無色結晶として得た。
NMR(CDCl3)δ: 2.30(3H, s), 2.41(3H, s), 3.90(3H, s), 5.02(2H, s), 7.37-7.39(5H, m), 8.70(1H, s).

7)130℃で加熱攪拌した無水酢酸(500ml)に対して上記化合物7(42.6g、129mmol)を2分間かけて加えた後、20分間攪拌した.溶媒を減圧下留去することにより、4-アセトキシ-6-アセトキシメチル-5-ベンジルオキシ-ニコチン酸メチルエステル8(49.6g、>100%)を黒色油状物として得た。
NMR(CDCl3)δ: 2.10(3H, s), 2.28(3H, s), 3.91(3H, s), 5.07(2H, s), 5.20(2H, s), 7.35-7.41(5H, m), 8.94(1H, s).

8)上記化合物8(46.8g、125mmol)のメタノール(140ml)溶液に、氷冷下、2規定水酸化ナトリウム水溶液(376ml)を加えた後、50℃で40分間撹拌した.反応液に氷冷下で、ジエチルエーテルおよび2規定塩酸を加え、析出した結晶を濾取した.得られた結晶を水およびジエチルエーテルで洗浄することにより、5-ベンジルオキシ-4-ヒドロキシ-6-ヒドロキシメチル-ニコチン酸9(23.3g、68%)を無色結晶として得た。
NMR(DMSO-d6)δ: 4.49(2H, s), 5.19(2H, s), 5.85(1H, brs), 7.14-7.20(2H, m), 7.33-7.43(7H, m), 8.30(1H, s), 10.73(1H, t, J=5.8HZ), 11.96(1H, brs).

9)上記化合物9(131g、475mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドハイドロクロライド(219g、1140mmol)、および1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(128g、950mmol)のジメチルホルムアミド溶液(1300ml)に、4-フルオロベンジルアミン(109ml、950mmol)を加え80℃で1.5時間撹拌した。反応液を室温まで冷却後、塩酸を加え酢酸エチルで抽出した。抽出液を、5%炭酸カリウム水溶液、飽和塩化アンモニウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去することにより、10と11の混合物(175g)を得た.得られた混合物を酢酸(1050ml)、および水(1050ml)に溶解し、亜鉛(31.1g、475mmol)を加え1時間加熱還流した.反応液を室温まで冷却後、10%炭酸カリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した.抽出液を飽和塩化アンモニウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した.減圧下溶媒を留去した後にジエチルエーテルで洗浄することにより、5-ベンジルオキシ-N-(4-フルオロ-ベンジル)-4-ヒドロキシ-6-ヒドロキシメチル-ニコチン酸アミド10(107g、59%)を無色結晶として得た。
NMR(DMSO-d6)δ: 4.45(2H, d, J=4.3HZ), 4.52(2H, d, J=5.8HZ), 5.09(2H, s), 6.01(1H, brs), 7.36-7.43(5H, m), 8.31(1H, s), 12.63(1H, brs).

10)上記化合物10(9.8g、25.6mmol)のクロロホルム(490ml)懸濁液に、二酸化マンガン(49g)を加えた後、室温で1時間撹拌した。反応液を60℃で20分攪拌後、セライト濾過を行い、50℃に加熱したクロロホルムで洗浄した.濾液を減圧下留去することにより、5-ベンジルオキシ-N-(4-フルオロ-ベンジル)-6-ホルミル-4-ヒドロキシ-ニコチン酸アミド12(8.2g、84%)を薄黄色結晶として得た。
NMR(DMSO-d6)δ: 4.53(2H, d, J=5.8HZ), 5.38 (2H, s), 7.15-7.21(2H, m), 7.35-7.46(7H, m), 8.33(1H, s), 9.90(1H, s), 10.35(1H, t, J=5.8HZ), 12.49(1H, brs).

11)亜塩素酸ナトリウム(7.13g、78.8mmol)、およびスルファミン酸(7.65g、78.8mmol)の水溶液(105ml)に、水冷下で上記化合物12(15.0g、39.4mmol)のテトラヒドロフラン溶液(630ml)溶液を加えた後、室温で1時間撹拌した.反応液に水(2500ml)を加えた後、析出した結晶を濾取した.ジエチルエーテルで洗浄することにより、3-ベンジルオキシ-5-(4-フルオロ-ベンジルカルバモイル)-4-ヒドロキシ-ピリジン-2-カルボン酸 13(14.0g、90%)を無色結晶として得た。
NMR(DMSO-d6)δ: 4.52(2H, d, J=5.8HZ), 5.13 (2H, s), 7.14-7.19(2H, m), 7.31-7.40(5H, m), 7.47-7.49(2H, m), 8.31(1H, d, J=4.5HZ), 10.44(1H, t, J=5.9HZ), 12.47(1H, brs).

12)上記化合物13(198mg、0.500mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドハイドロクロライド(115mg、0.600mmol)、および1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(81mg、0.600mmol)のジメチルホルムアミド溶液(3ml)を室温で1.5時間攪拌した。次にメタノール(3ml)およびトリエチルアミン(153ul、1.10mmol)を加えた後、1.5時間加熱還流した.反応液を酢酸エチルで希釈した後に、飽和重曹水、10%クエン酸水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、残渣をジエチルエーテルで洗浄することにより、3-ベンジルオキシ-5-(4-フルオロ-ベンジルカルバモイル)-4-ヒドロキシ-ピリジン-2-カルボン酸メチルエステル14(141mg、69%)を無色結晶として得た。
NMR(DMSO-d6)δ: 3.85(3H, s), 4.52(2H, d, J=6.0HZ), 5.15(2H, s), 7.13-7.21(2H, m), 7.31-7.47(7H, m), 8.33(1H, s), 10.41(1H, t, J=6.0HZ), 12.59(1H, brs).

13)上記化合物14(6.79g、16.5mmol)、および炭酸セシウム(8.09g、24.8mmol)のジメチルホルムアミド溶液(54ml)に、3-ブロモプロペン(2.15ml、24.8mmol)を加えた後、室温で4.5時間撹拌した。反応液に塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、水、および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した.減圧下溶媒を留去し、残渣をジエチルエーテルで洗浄することにより、1-アリル-3-ベンジルオキシ-5-(4-フルオロ-ベンジルカルバモイル)-4-オキソ-1,4-ジヒドロ-ピリジン-2-カルボン酸メチルエステル15(6.15g、83%)を無色結晶として得た。
NMR(CDCl3) δ: 3.76(3H, s), 4.54(2H, d, J=6.0HZ), 4.60(2H, d, J=6.0HZ), 5.20-5.37(2H, m), 5.25(2H, s), 5.80-5.93(1H, m), 6.98-7.04(2H, m), 7.31-7.35(7H, m), 8.45(1H, s), 10.41(1H, m).

14)上記化合物15(7.6g、16.9mmol)の1,4-ジオキサン(228ml)溶液に、カリウムオスミウム酸ニ水和物(372mg、1.01mmol)の水溶液(38ml)を加えた後、さらにメタ過ヨウ素酸ナトリウム(14.5g、67.6mmol)を加え、室温で2時間撹拌した.酢酸エチル(300ml)、および水(300ml) を加えた容器に対し、攪拌下反応液を加えた。有機層を水、5%亜硫酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した.減圧下溶媒を留去し、残渣をジエチルエーテルで洗浄することにより、3-ベンジルオキシ-5-(4-フルオロ-ベンジルカルバモイル)-4-オキソ-1-(2-オキソ-エチル)-1,4-ジヒドロ-ピリジン-2-カルボン酸メチルエステル16(5.39g、71%)を無色結晶として得た。
NMR(CDCl3)δ: 3.74(3H, s), 4.60(2H, d, J=5.9HZ), 4.87(2H, s), 5.27(2H, s), 6.98-


実施例A-1: 3-(4-フルオロベンジル)-5-ヒドロキシ-1,7-ジメチル-1,7-ジヒドロ-[1,7]ナフチリジン-4,6-ジオン
【化21】

(1)化合物1(麹酸,2.8 g, 20 mmol)のピリジン(30 ml)溶液に、氷冷下、無水トリフルオロメタンスルホン酸(6.2 g, 22 mmol)を加え、室温に昇温後30分撹拌した。減圧下溶媒を留去し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出した。有機相を水洗、乾燥した後、減圧下溶媒を留去した。化合物2を含有する残渣のメタノール(30 ml)溶液にメチルアミン(40% in MeOH, 5 ml)を加え、30分撹拌した。減圧下溶媒を留去し、シリカゲルクロマトグラフィー(n-hexan/MeOH=2/1)で精製して化合物3(2.0 g, 7.0 mmol)を得た。
NMR(DMSO-d6)δ: 3.66(3H, s), 4.44(2H, d, J=5.8Hz), 5.72(1H, t, J=5.8Hz), 6.51(1H, s), 8.38(1H, s).

(2)化合物3(1.52 g, 5.3 mmol)、酢酸パラジウム(119 mg, 0.53 mmol)、トリフェニルホスフィン(289 mg, 0.1 mmol)、炭酸カリウム(1.46 g, 10.6 mmol)および化合物4(1.5 g, 6.4 mmol)のDMF(15 ml)溶液を60℃、20時間撹拌した。減圧下溶媒を留去しシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/MeOH=6/1)で精製して化合物5(770 mg, 3.1 mmol)を得た。
NMR(CDCl3)δ: 3.69(3H, s), 3.75(2H, s), 4.37(2H, s), 6.29(1H, s), 6.95-7.03(3H, m), 7.17-7.21(2H, m).

(3)化合物5(770 mg, 3.1mmol)のクロロホルム(10 ml)溶液に、二酸化マンガン(2.7 g, 31 mmol)を加え3時間加熱還流した。二酸化マンガンをセライト濾過し、乾燥後、減圧下脱溶媒して化合物6(697 mg, 2.8 mmol)を得た。
NMR(CDCl3)δ: 3.81(2H, s), 3.84(3H, s), 6.91(2H, s), 6.97-7.03(2H, m), 7.20-7.24(2H, m), 9.64(1H, s).

(4)化合物6(340 mg, 1.4 mmol)の塩化メチレン(3ml)溶液に、メチルアミン(2M in MeOH, 1.4 ml, 2.8 mmol)を加え、さらに酢酸(84 mg, 1.4 mmol)を加えた。NaBH(OAc)3 (445 mg, 2.1 mmol)を加え室温下1時間撹拌した後、水を加え、クロロホルム(10%含MeOH)で抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去し化合物7の粗製生物(419 mg)を得た。

(5)化合物7の粗製生物(419 mg)の塩化メチレン(3 ml)溶液に、氷冷下、クロロ-オキソ-酢酸エチルエステル(191 mg, 1.4 mmol)を加え10分間撹拌した。その後水を加えクロロホルムで抽出した。硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去しシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム/MeOH=19/1)で精製して化合物8(267 mg, 0.74 mmol)を得た。
NMR(CDCl3)δ: 1.25-1.40(3H, m), 3.28(3H, s), 3.45-3.620(4H, m), 3.62(3H, s), 3.79(2H, s), 4.20-4.40(2H, m), 4.71(2H, s), 6.77(1H, s), 6.94-7.00(2H, m), 7.17-7.23(3H, m).

(6)化合物8(260 mg, 0.72 mmol)のTHF(3 ml)溶液に、氷冷下、カリウムtert-ブトキシドを加えた。氷冷下1時間撹拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えクロロホルムで抽出した。水洗、乾燥後、減圧下溶媒を留去し、析出結晶をメタノールで洗浄して化合物A-1(60 mg, 0.19 mmol)を合成した。
融点:236~238℃
NMR(CDCl3)δ: 3.49(3H, s), 3.73(2H, s), 3.76(3H, s), 6.83(1H, s), 6.97-7.02(2H, m), 7.06(1H, s), 7.20-7.25(2H, m).

実施例A-1と同様の方法を用いて以下の化合物を合成した。

実施例A-2: 3-(4-フルオロ-ベンジル)-5-ヒドロキシ-7-(2-メトキシ-エチル)-1-メチル-1,7-ジヒドロ-[1,7]ナフチリジン-4,6-ジオン
融点:232~234℃
NMR(CDCl3)δ: 3.30(3H, s), 3.49(3H, s), 3.73(2H, s), 3.71-3.77(2H, m), 4.29-4.35(2H, m), 6.96-7.02(3H, m), 7.08(1H, s), 7.19-7.24(2H, m), 14.67(1H, s).

本発明はさらに以下の化合物を提供する。
【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【0011】
試験例1
HIVインテグラーゼ阻害作用を以下に示すアッセイ法に基づき調べた。
(1)DNA溶液の調製
WO2004/024693号の試験例1に記載の方法と同一の方法で、基質DNA溶液(2 pmol/ml)およびターゲットDNA溶液(5 pmol/ml)を調製した。ターゲットDNA各溶液は、一旦煮沸後、ゆるやかに温度を下げて相補鎖同士をアニーリングさせてから用いた。基質DNAとターゲットDNAの各配列は、同試験例に記載の通りである。
(2)阻害率(IC50値)の測定
Streptavidin(Vector Laboratories社製)を0.1M炭酸バッファー液(組成: 90 mM Na2CO3, 10 mM NaHCO3 )に溶かし、濃度を 40 μg/mlにした。この溶液、各50 mlをイムノプレート(NUNC社製)のウエルに加え、4℃で一夜静置、吸着させる。次に各ウエルをリン酸バッファー(組成: 13.7 mM NaCl, 0.27 mM KCl, 0.43 mM Na2HPO4, 0.14 mM KH2PO4)で2回洗浄後、1% スキムミルクを含むリン酸バッファー 300 mlを加え、30 分間ブロッキングした。さらに各ウエルをリン酸バッファーで2回洗浄後、基質DNA溶液(2 pmol/ml) 50 mlを加え、振盪下、室温で30 分間吸着させた後、リン酸バッファーで2回、次いで蒸留水で1回洗浄した。
次に上記方法で調製した各ウエルに、バッファー(組成:150 mM MOPS (pH7.2), 75 mM MnCl2, 50 mM 2-mercaptoethanol, 25% glycerol, 500 μg/ml bovine serum albumin -fraction V)12 ml、蒸留水39 mlから調製した反応溶液51 mlを加えた。次にインテグラーゼ溶液(30 pmol)9mlを加え、良く混合した。ネガティブコントロール(NC)としてのウエルには、希釈液(組成: 20 mM MOPS (pH7.2), 400 mM potassium glutamete, 1 mM EDTA, 0.1% NP-40, 20% glycerol, 1 mM DTT, 4 M urea)9mlを加えプレートミキサーを用いて良く混合した。
プレートを30 ℃で60分インキュベート後、反応液を捨て、250 mlの洗浄バッファー(組成:150 mM MOPS (pH7.2), 50 mM 2-mercaptoethanol, 25% glycerol, 500 μg/ml bovine serum albumin -fraction V)で3回洗浄した。
次に各ウエルにバッファー(組成:150 mM MOPS (pH7.2), 75 mM MgCl2, 50 mM 2-mercaptoethanol, 25% glycerol, 500 μg/ml bovine serum albumin -fraction V)12 ml、蒸留水41 mlから調製した反応溶液53 mlを加える。さらに各ウエルに被検化合物のDMSO溶液6 mlを加え、ポジティブコントロール(PC)としてのウエルには、DMSO 6 mlを加え、プレートミキサーを用いてよく混合する。プレートを30 ℃で30分インキュベート後、ターゲットDNA (5 pmol/ml)1mlを加え、プレートミキサーを用いてよく混合した。
各プレートを30 ℃で10分間インキュベート後、反応液を捨て、リン酸バッファーで2回洗浄した。次にアルカリフォスファターゼ標識した抗ジゴキシゲニン抗体(ヒツジFabフラグメント:ベーリンガー社製)を抗体希釈液で2000倍に希釈して100 ml加え、 30 ℃で1時間結合させた後、0.05 % Tween20を含むリン酸バッファーで2回、リン酸バッファーで1回、順次洗浄した。次に、アルカリフォスファターゼ呈色バッファー(組成:10 mMパラニトロフェニルホスフェート(Vector Laboratories社製), 5 mM MgCl2, 100 mM NaCl, 100 mM Tris-塩酸(pH 9.5))を150 ml加えて30 ℃で2時間反応させ、1N NaOH溶液50 mlを加え反応を止めた後、各ウエルの吸光度(OD405nm)を測定し、以下の計算式に従い阻害率(IC50)を求めた。
阻害率(%)=100[1-[(C abs.- NC abs.) / (PC abs.- NC abs.)]]
C abs.;化合物のウエルの吸光度
NC abs.:NCの吸光度
PC abs.:PCの吸光度

結果を以下に示す。
【表1】

本発明化合物は、HIVに対して強いインテグラーゼ阻害作用を示した。

製剤例
「活性成分」なる用語は、本発明化合物、その互変異性体、それらの製薬的に許容される塩又はそれらの溶媒和物を意味する。
(製剤例1)
硬質ゼラチンカプセルは次の成分を用いて製造する:
用量
(mg/カプセル)
活性成分 250
デンプン(乾燥) 200
ステアリン酸マグネシウム 10
合計 460mg
(製剤例2)
錠剤は下記の成分を用いて製造する:
用量
(mg/錠剤)
活性成分 250
セルロース(微結晶) 400
二酸化ケイ素(ヒューム) 10
ステアリン酸 5
合計 665mg
成分を混合し、圧縮して各重量665mgの錠剤にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

(式中、
1は、CR1またはCR11'
2は、C、CHまたはN;
3は、CR2、CR22'またはNR3
1、R1'、R2、R2'およびR3は、それぞれ独立して水素または置換基群S1から選択される基、
但し、R1、R1'、R2、R2'およびR3の少なくとも1つは、−L1−Q1で示される基
(式中、
-L1-は、1)単結合、2)-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NRa-(Raは水素または低級アルキル)、−N=および=N−からなる群から選択されるヘテロ原子基またはそれらの連結基、3)低級アルキレンまたは低級アルケニレン、または4)2)の基と3)の基を組み合わせてなる連結基;
1は、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよい複素環式基);

A環およびB環は、それぞれ独立して炭素環または複素環であり、A環およびB環の弧線部分は、それぞれ独立して、置換基群S1から選択される1または2以上の置換基で置換されていてもよく、2重結合が介在していてもよく、および/または前記ヘテロ原子基が介在していてもよい;

置換基群S1:ハロゲン、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル低級アルキル、置換されていてもよい低級アルケニル、置換されていてもよい低級アルコキシ、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリール低級アルキル、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよい複素環式基、置換されていてもよい複素環式基低級アルキル、置換されていてもよい複素環式基オキシ、ヒドロキシ、置換されていてもよいヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいリン酸残基、置換されていてもよいカルバモイル、置換されていてもよいスルファモイル、オキソ、または−L1−Q1で示される基;
但し、X1はCH2、X2はN、B環は6員環、X3はCR2、R2は−L1−Q1で示される基、L1は-CONRa-を含む基であり、かつQ1は置換されていてもよいアリールである場合を除く)
で示される化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項2】
-L1-は、1)単結合、2)-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NRa-(Raは水素または低級アルキル)、−N=および=N−からなる群から選択されるヘテロ原子基またはそれらの連結基(連結部分の構成原子数1〜3個)、3)炭素数1〜3の低級アルキレンまたは炭素数2〜3の低級アルケニレン、4)2)の基と3)の基を組み合わせてなる連結基で、連結部分の原子数は2〜4個;
1は、アリール、少なくともハロゲンで置換されたアリール、複素環式基、または少なくともハロゲンで置換された複素環式基)で示される基;

A環およびB環は、それぞれ独立して5〜7員の炭素環または5〜7員の複素環であり、A環およびB環の弧線部分は、それぞれ独立して、置換基群S1から選択される置換基で置換されていてもよく、および/または、N、S、および/またはO原子が介在していてもよい;
である、請求項1記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項3】
以下のいずれかの化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【化2】

(式中、R1〜R7は、それぞれ独立して水素、または置換基群S1から選択される基。但し、R6およびR7は一緒になってオキソを形成してもよく、R1、R2およびR3の少なくとも1つは、−L1−Q1で示される基である。
(式中、
-L1-は、1)単結合、2)-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NRa-(Raは水素または低級アルキル)、−N=および=N−からなる群から選択されるヘテロ原子基またはそれらの連結基、3)低級アルキレンまたは低級アルケニレン、または4)2)の基と3)の基を組み合わせてなる連結基;
1は、置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよい複素環式基)

置換基群S1:置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル低級アルキル、置換されていてもよい低級アルケニル、置換されていてもよい低級アルコキシ、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアリール低級アルキル、置換されていてもよいアリールオキシ、置換されていてもよい複素環式基、置換されていてもよい複素環式基低級アルキル、置換されていてもよい複素環式基オキシ、ヒドロキシ、置換されていてもよいヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいリン酸残基、−L1−Q1で示される基;

但し、化合物(I−4)において、R1は水素、R2は−L1−Q1で示される基、L1は-CONRa-を含む基であり、かつQ1は置換されていてもよいアリールである場合を除く))
【請求項4】
置換基群S1から選択される基が、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよい低級アルコキシ、ヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいリン酸残基、または−L1−Q1(式中、L1およびQ1は、上記1の場合と同意義)である、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項5】
置換基群S1から選択される基が、置換されていてもよい低級アルキル(置換基:ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、モノまたはジ置換アミノ(置換基:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)、リン酸残基)、置換されていてもよい低級アルコキシ(置換基:ハロゲン、低級アルキル)、ヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ(置換基:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)、置換されていてもよいリン酸残基、または−L1−Q1(式中、L1は、低級アルキレン、低級アルケニレンまたは−CONRa−L2−(式中、Raは水素または低級アルキル;L2は単結合、低級アルキレン、または低級アルケニレン);Q1はアリール、少なくともハロゲンで置換されたアリールまたは複素環式基、少なくともハロゲンで置換された複素環式基)である、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項6】
1、R2およびR3の少なくとも1つは、−L1−Q1(式中、L1は、低級アルキレン、低級アルケニレンまたは−CONRa−L2−(式中、Raは水素または低級アルキル;L2は単結合、低級アルキレン、または低級アルケニレン);Q1はアリール、少なくともハロゲンで置換されたアリール、複素環式基、または少なくともハロゲンで置換された複素環式基)で示される基である、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項7】
1、R2およびR3の少なくとも1つは、−CH2−Q1または−CONRaCH2−Q1、Q1はフェニルまたは少なくともハロゲンで置換されたフェニルである、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項8】
4〜R7は、それぞれ独立して水素、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよい低級アルコキシ、ヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、または置換されていてもよいリン酸残基である、請求項3記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項9】
1、R2およびR3の少なくとも1つは、−L1−Q1(式中、L1およびQ1は、請求項1の場合と同意義);R1、R2およびR3の残りの基およびR4〜R7はそれぞれ独立して水素、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよい低級アルコキシ、ヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、または置換されていてもよいリン酸残基である、請求項3記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項10】
1、R2およびR3の少なくとも1つは、−L1−Q1(式中、L1は、低級アルキレン、低級アルケニレンまたは−CONRa−L2−(式中、Raは水素または低級アルキル;L2は単結合、低級アルキレン、または低級アルケニレン);Q1はアリール、少なくともハロゲンで置換されたアリール、複素環式基、または少なくともハロゲンで置換された複素環式基);R1、R2およびR3の残りの基およびR4〜R7はそれぞれ独立して、水素、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよい低級アルコキシ、ヒドロキシ、置換されていてもよいアミノ、または置換されていてもよいリン酸残基である、請求項3記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項11】
1、R2およびR3の少なくとも1つは、−L1−Q1(式中、L1は、低級アルキレン、低級アルケニレンまたは−CONRa−L2−(式中、Raは水素または低級アルキル;L2は単結合、低級アルキレン、または低級アルケニレン);Q1はアリール、少なくともハロゲンで置換されたアリール、複素環式基、または少なくともハロゲンで置換された複素環式基);R1、R2およびR3の残りの基およびR4〜R7はそれぞれ独立して、水素、置換されていてもよい低級アルキル(置換基:ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、モノまたはジ置換アミノ(置換基:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)、リン酸残基)、置換されていてもよい低級アルコキシ(置換基:ハロゲン、低級アルキル)、ヒドロキシ、または置換されていてもよいアミノ(置換基:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)である、請求項3記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項12】
1、R2およびR3の少なくとも1つは、−CH2−Q1または−CONRaCH2−Q1、Q1はフェニルまたは少なくともハロゲンで置換されたフェニル;R1、R2およびR3の残りの基およびR4〜R7はそれぞれ独立して、水素、置換されていてもよい低級アルキル(置換基:ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、モノまたはジ置換アミノ(置換基:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)、リン酸残基)、置換されていてもよい低級アルコキシ(置換基:ハロゲン、低級アルキル)、ヒドロキシ、または置換されていてもよいアミノ(置換基:低級アルキル、低級アルキルカルボニル、低級アルキルスルホニル)である、請求項3記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物。
【請求項13】
以下の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物である、請求項3〜12のいずれかに記載の化合物。
【化3】

【請求項14】
以下の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物である、請求項3〜12のいずれかに記載の化合物。
【化4】

【請求項15】
以下の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物である、請求項3〜12のいずれかに記載の化合物。
【化5】

【請求項16】
以下の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物である、請求項3〜12のいずれかに記載の化合物。
【化6】

(但し、R1は水素、R2は−L1−Q1で示される基、L1は-CONRa-を含む基であり、かつQ1は置換されていてもよいアリールである場合を除く)
【請求項17】
以下の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物である、請求項3〜12のいずれかに記載の化合物。
【化7】

【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、またはそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物。
【請求項19】
抗HIV剤である、請求項18記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2006−342115(P2006−342115A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−170389(P2005−170389)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000001926)塩野義製薬株式会社 (229)
【Fターム(参考)】