説明

HIV阻害6−置換ピリミジン

【化1】


式(I)、式中、Rは水素、アリール、ホルミル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシカルボニルであり、R、R、RおよびRは水素、ヒドロキシ、ハロ、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルオキシ、カルボキシル、C1−6アルキルオキシカルボニル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、ポリハロC1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキルオキシ、−C(=O)R、場合により置換されたC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり、RおよびRはヒドロキシ、ハロ、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルオキシ、カルボキシル、C1−6アルキルオキシ−カルボニル、ホルミル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、ポリハロ(C1−6アルキル)、ポリハロC1−6アルキルオキシ、−C(=O)R、シアノ、−S(=O)、−NH−S(=O)、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH、−NHC(=O)R、Het、−Y−Het、場合により置換されていてもよいC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルであり、Rはピリジル、−C(=O)NR5a5b、−CH(OR5c)R5d、−CH−NR5e5f、−CH=NOR5a、−CH−O−C2−6アルケニル、−CH−O−P(=O)(OR5g、−CH−O−C(=O)−NH、−C(=O)−R5dであり、Xは−NR、−O−、−CH−、−S−である、のHIV複製インヒビター、有効成分としてこれらの化合物を含む製薬学的組成物並びに該化合物および組成物を調製する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)複製阻害性を有するピリミジン誘導体、それらの調製法およびこれらの化合物を含んでなる製薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
HIV感染症の処置は当初、ヌクレオシド誘導体による単独治療よりなっており、これらの薬剤はウイルス複製を抑制するのには成功したが、薬剤耐性株の出現のために、それらの効果を急速に喪失した。急速な複製と合わせた高い突然変異発生率がHIVを、抗ウイルス治療に対する、特に取り組むに値する標的にさせたことが明白になった。2種以上の抗HIV剤の組み合わせ治療の導入が治療結果を改善した。強力で持続的なウイルス抑制をもたらしたHAART(高度活性抗レトロウイルス治療)の導入により、著しい進歩が見られた。HAARTは典型的には、非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NNRTI)またはプロテアーゼインヒビター(PI)との、ヌクレオシドまたはヌクレオチド逆転写酵素インヒビター(それぞれ、NRTIまたはNtRTI)の組み合わせ物を伴う。抗レトロウイルス治療の最近の指針は、初期処置に対してもこのような三重組み合わせ治療計画を推奨した。しかし、これらの多剤治療はHIVを完全には排除せず、通常、長期の処置が多剤耐性をもたらす。更に、耐性ウイルスは新規感染個体に引き継がれ、それがこれらの薬剤に新規の患者に、極めて限定された治療選択肢をもたらす。
【0003】
従って、HIVに対して有効な、活性成分の新規の組み合わせ物の継続的需要が存在する。化学構造および活性プロファイルの異なる、新タイプの抗HIVの有効な活性成分が新タイプの組み合わせ治療に有用である。従って、このような有効成分を発見することが、達成されるべき著しく望ましい目標である。
【0004】
本発明は、HIV複製阻害性を有する特定の新シリーズのピリミジン誘導体を提供することを目的とする。特許文献1、2、3および4はHIV複製阻害性を有する特定のクラスの置換アミノピリミジンを開示している(特許文献1〜4参照)。
【0005】
本発明の化合物は構造、薬理学的作用および/または薬理学的効力が先行技術の化合物と異なる。ピリミジン部分の6−位における特定の置換基の導入が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の複製を阻害するそれらの能力に関してのみならずまた、突然変異株、とりわけ、その株が薬剤耐性または多剤耐性HIV株と呼ばれる、知られたNNRTI剤に耐性を示す株の複製を阻害するそれらの改善された能力によってもまた、有効に作用する化合物をもたらすことが見いだされた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開出願第99/50250号パンフレット
【特許文献2】国際公開出願第00/27825号パンフレット
【特許文献3】国際公開出願第01/85700号パンフレット
【特許文献4】国際公開出願第06/035067号パンフレット
【発明の概要】
【0007】
従って、1つの態様において、本発明は、式
【0008】
【化1】

【0009】
の化合物、それらの製薬学的に許容されうる付加塩、製薬学的に許容されうる溶媒和および立体化学的異性体形態に関し、
式中、
はそれぞれ独立して、水素、アリール、ホルミル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシカルボニルであり、
、R、RおよびRは独立して水素、ヒドロキシ、ハロ、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルオキシ、カルボキシル、C1−6アルキルオキシカルボニル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、ポリハロC1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキルオキシ、−C(=O)R、場合によりハロ、シアノまたは−C(=O)Rで置換されていてもよいC1−6アルキル、場合によりハロ、シアノまたは−C(=O)Rで置換されていてもよいC2−6アルケニル、場合によりハロ、シアノまたは−C(=O)Rで置換されていてもよいC2−6アルキニルであり、
およびRは独立して、ヒドロキシ、ハロ、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルオキシ、カルボキシル、C1−6アルキルオキシカルボニル、ホルミル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、ポリハロC1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキルオキシ、−C(=O)R、−S(=O)、−NH−S(=O)、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH、―NHC(=O)R、Het、−Y−Het、場合によりハロ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、−C(=O)R、HetまたはC1−6アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキル、場合によりハロ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、−C(=O)R、HetまたはC1−6アルキルオキシで置換されていてもよいC2−6アルケニル、場合によりハロ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、−C(=O)R、HetまたはC1−6アルキルオキシで置換されていてもよいC2−6アルキニルであり、
はピリジル、−C(=O)NR5a5b、−CH(OR5c)R5d、−CH−NR5e5f、−CH=NOR5a、−CH−O−C2−6アルケニル、−CH−O−P(=O)(OR5g、−CH−O−C(=O)−NH、−C(=O)R5dであり、ここで
5aはそれぞれ独立して水素またはC1−6アルキルであり、
5bはC1−6アルキルオキシまたは、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、ハロ、シアノ、Hetで置換されたC1−6アルキルであり、
5cは水素、C1−6アルキル、Hetであり、
5dはそれぞれ独立してアリールまたはHetであり、
5eは水素またはC1−6アルキルであり、
5fはC1−6アルキルオキシ、C2−6アルケニルまたは、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、シアノ、アミノ、モノ−およびジC1−6アルキルアミノ、C1−6アルキル−カルボニルアミノ、アリール、Het、ジオキソラニル、テトラヒドロフラニル
、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペラジニルおよびC3−7シクロアルキルから選択される基で置換されたC1−6アルキルであり、ここで、前記ジオキソラニルは場合により、1個または2個のC1−6アルキル基で置換されていてもよく、そして、前記ピペラジニルは場合により、C1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニルまたはC1−6アルキルオキシカルボニルで置換されていてもよい、
5eおよびR5fは、それらがその上で置換されている窒素原子と一緒になって、ピロリジニル、イミダゾリル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニルあるいは、場合によりC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシカルボニルまたはC1−6アルキルカルボニルで置換されていてもよいピペラジニルを形成し、
5gはそれぞれ独立してC1−6アルキルであり、
は、それぞれ独立してC1−6アルキル、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノまたはポリハロ−C1−6アルキルであり、
Xは−NR−、−O−、−CH−、−S−であり、
rはそれぞれ独立して1または2であり、
Hetはそれぞれ独立してピリジル、チエニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、キノリニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニルであり、それらはそれぞれ、場合により、C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1−6アルキルオキシ、(ハロ、ヒドロキシまたはシアノで置換された)C2−6アルケニルからそれぞれ独立して選択される1個または2個の置換基で置換されていてもよく、
アリールはそれぞれ独立して、フェニルまたは、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ヒドロキシC1−6アルキル、アミノC1−6アルキル、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルオキシ、フェニルC1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシカルボニル、アミノスルホニル、C1−6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキルオキシ、アミノカルボニル、フェニル、Hetおよび−Y−Hetからそれぞれ独立して選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基で置換されたフェニルである。
【0010】
以上または以後に使用される、基または基の一部としてのC1−4アルキルは、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−プロピル、t.ブチルのような、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素基と定義され、基または基の一部としてのC1−6アルキルは、C1−4アルキルに定義された基および1−ペンチル、2−ペンチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチルブチル、3−メチルペンチル、等のような、1〜6個の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素基と定義され、C1−2アルキルはメチルまたはエチルと定義され、C3−7シクロアルキルはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルを包含する。C1−6アルキルのうちで好ましいものはC1−4アルキルまたはC1−2アルキルである。C3−7シクロアルキルのうちで好ましいものはシクロペンチルまたはシクロヘキシルである。
【0011】
基または基の一部としての用語「C2−6アルケニル」は、例えば、エテニル(もしくはビニル)、1−プロペニル、2−プロペニル(もしくはアリル)、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、2−メチル−1−ブテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、2−メチル−2−ペンテニル、1,2−ジメチル−1−ブテニル等のような、飽和炭素−炭素結合および少なくとも1個の二重結合を有し、そして2〜6個の炭素原子を有する、直鎖および分枝鎖炭化水素基と定義される。好ましいも
のは1個の二重結合をもつC2−6アルケニルである。C2−6アルケニルのうちで興味深いものはC2−4アルケニル基である。用語「C3−6アルケニル」はC2−6アルケニルのようであるが、3〜6個の炭素原子を有する不飽和炭素原子に限定される。C3−6アルケニルがヘテロ原子に結合される場合には、ヘテロ原子に結合された炭素原子が優先的に飽和される。
【0012】
基または基の一部としての用語「C2−6アルキニル」は、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、2−メチル−2−プロピニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、2−メチル−2−ブチニル、2−メチル−2−ペンチニル等のような、飽和炭素−炭素結合および少なくとも1個の三重結合を有し、そして2〜6個の炭素原子を有する、直鎖および分枝鎖炭化水素基と定義される。好ましいものは1個の三重結合をもつC2−6アルキニルである。C2−6アルキニル基のうちで興味深いものはC2−4アルキニル基である。用語「C3−6アルキニル」はC2−6アルキニルのようであるが、3〜6個の炭素原子を有する不飽和炭化水素基に限定される。C3−6アルキニルがヘテロ原子に結合される場合には、ヘテロ原子に結合された炭素原子が優先的に飽和される。
【0013】
本明細書で以前に使用された用語(=O)は炭素原子に結合されるとカルボニル基、硫黄原子に結合されるとスルホキシド基、そして2種の前記用語が硫黄原子に結合されるとスルホニル基を表す。
【0014】
用語カルボキシル、カルボキシまたはヒドロキシカルボニルは基−COOHを表す。
【0015】
用語「ハロ」はフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを包含する。
【0016】
例えば、ポリハロC1−6アルコキシにおける、基または基の一部としての用語「ポリハロC1−6アルキル」は、1個以上のフルオロ原子をもつメチルまたはエチル、例えば、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロ−エチルのような、モノ−もしくはポリハロ置換C1−6アルキル、とりわけ、1、2、3、4、5、6個以上までのハロ原子で置換されたC1−6アルキルと定義される。好ましいものはトリフルオロメチルである。更に、そのすべての水素原子がフルオロ原子により置換されたC1−6アルキル基である、ペルフルオロC1−6アルキル基、例えばペンタフルオロエチルも含まれる。1個を超えるハロゲン原子がポリハロC1−6アルキルの定義内のアルキル基に結合される場合には、ハロゲン原子は同一でも異なってもよい。
【0017】
Hetの定義内に言及される複素環はいずれも、どんな異性体をも含んでなることができ、例えば、オキサジアゾールは1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾールまたは1,2,3−オキサジアゾールであってもよく、同様にチアジアゾールの基に対しては、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールまたは1,2,3−チアジアゾールであってもよく、同様に、ピロールは1H−ピロールまたは2H−ピロールであってもよい。基Hetはオキサゾリルまたはチアゾリルであってもよく、好ましくはそれぞれ、1,3−オキサゾリルまたは1,3−チアゾリルである。
【0018】
ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニルはいずれも、とりわけピペラジニルはその窒素原子を介して分子の残り部分に対して置換される。C1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニルまたはヒドロキシC1−6アルキル等で置換されたピペラジニルはいずれも、好ましくは、それを通してピペラジンが分子の残り部分に結合されてはいない窒素において置換される(多くの場合、4−窒素)。
【0019】
1つの実施形態において、Hetは、それぞれ独立して、ピリジル、チエニル、フラニル、オキサゾリルまたはチアゾリルである。
【0020】
式(I)の化合物の定義内、または本明細書に明記されたいずれかのサブグループ内に基が存在する時はいつも、その基は独立して、式(I)の化合物の定義内、または以後に明記されるような更に限定された定義内で上記に明記される通りである。
【0021】
更に、定義内に使用されるあらゆる分子部分上の基の位置は、それが化学的に安定である限り、そのような部分上のどの場所でもよいことに注意しなければならない。例えば、ピリジンは2−ピリジン、3−ピリジンおよび4−ピリジンを含み、ペンチルは1−ペンチル、2−ペンチルおよび3−ペンチルを含む。
【0022】
いずれかの部分中に何かの変化物(例えば、ハロゲン、C1−6アルキル、アリール、Het、等)が2回以上存在する時は、各定義は独立である。本明細書に規定される基のあらゆる限定された定義は、式(I)の化合物の基並びに本明細書に定義または言及されたあらゆるサブグループに対して適用可能であることを意味する。置換基から環系中へ引かれた線は、結合が適当な環原子のいずれかに結合することができることを示す。
【0023】
本発明の化合物が形成することができる製薬学的に許容されうる付加塩形態は好都合には、例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸(例えば塩酸または臭化水素酸等)、硫酸、ヘミ硫酸(hemisulphuric)、硝酸、リン酸等の酸;あるいは有機酸、例えば酢酸、アスパラギン酸、ドデシル硫酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ニコチン酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモエ酸等の酸のような適当な酸を使用して調製することができる。反対に該酸付加塩形態を適当な塩基との処理により遊離塩基形態に転化させることができる。
【0024】
酸性プロトンを含む式(I)の化合物は、適当な有機及び無機塩基との処理によりそれらの製薬学的に許容されうる金属又はアミン付加塩形態に転化させることができる。適当な塩基塩形態は例えば、アンモニウム塩、アルカリ及びアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩等、有機塩基との塩、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、4種のブチルアミン異性体、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、キヌクリジン、ピリジン、キノリンおよびイソキノリン、ベンザチン、N−メチル−D−グルカミンのような、第一級、第二級および第三級脂肪族および芳香族アミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、ヒドラバミン塩および、例えばアルギニン、リシン等のようなアミノ酸との塩を含んでなる。反対に、塩形態は酸との処理により遊離酸形態に転化させることができる。
【0025】
用語「製薬学的に許容されうる溶媒和」は、それらの立体異性体形態を含む式(I)の化合物が形成することができる水和物および溶媒付加形態を含んでなることを意味する。このような溶媒和の例は、例えばメタノラート、エタノラート、i.プロパノラート、n.プロパノラート、等のような、水和物、アルコラートである。
【0026】
それらの式(I)の化合物は1種以上のキラル中心をもつことができ、立体化学的異性体形態として存在することができる。特に興味深いものは、立体化学的に純粋な式(I)の化合物である。本明細書で使用される用語「立体化学的異性体形態」は、式(I)の化
合物およびそれらの付加塩が所有することができるすべての可能な立体異性体形態と定義される。別に言及または記載されない限り、化合物の化学名はすべての可能な立体化学的異性体形態の混合物を意味し、ここで該混合物は、他の異性体を実質的に含まない、すなわち10%未満、好ましくは5%未満を含む、とりわけ2%未満、そしてもっとも好ましくは1%未満の他の異性体を伴う、基礎的分子構造のすべてのジアステレオマーおよびエナンチオマー並びに式(I)の各個々の異性体形態、製薬学的に許容されうる塩または製薬学的に許容されうる溶媒和を含む。従って、式(I)の化合物が例えば(E)と特記される時は、これは、その化合物が実質的に(Z)異性体を含まないことを意味する。ステレオジェン中心はなかでも、R−またはS−配置をもつことができ、2価の環式(部分的)飽和基上の置換基はシス−またはトランス−配置のいずれかをもつことができる。
【0027】
二重結合をもつ化合物は、その二重結合においてE(entgegen(反対側))またはZ(zusammen(同側))−立体化学構造をもつことができる。用語シス、トランス、R、S、EおよびZは当業者に周知である。
【0028】
幾つかの式(I)の化合物はまた、それらの互変異性体形態で存在することができる。このような形態は前記の式中に明白には記載されていないが、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0029】
本発明はまた、本発明の化合物中に存在する原子のあらゆる同位元素を含むことが意図される。例えば、水素の同位元素はトリチウムおよびジュウテリウムを含み、炭素の同位元素はC−13およびC−14を含む。
【0030】
用語「式(I)の化合物」、「本化合物」、「本発明の化合物」またはあらゆる同等な用語、および同様に、用語「式(I)の化合物のサブグループ」「本化合物のサブグループ」、「本発明の化合物のサブグループ」またはあらゆる同等な用語が以上および以後に使用される時は常に、一般式(I)の化合物または一般式(I)の化合物のサブグループ並びにそれらの塩、溶媒和および立体異性体を含むことを意味する。
【0031】
置換基が例えばRおよびR5dに対するような定義のリストからそれぞれ独立して選択することができるということが以上または以下で言及される時は常に、化学的に可能なまたは、標準の製薬学的方法で処理することができるような化学的安定性をもつ分子に導くすべての可能な組み合わせ物が含まれることが意図される。
【0032】
本発明の1つの実施形態は、式
【0033】
【化2】

【0034】
の化合物、それらの製薬学的に許容されうる付加塩または立体化学的に異性体の形態に関し、
式中、X、R、R、R、R、RおよびRが前記または以後に定義の通りである。
【0035】
1つの実施形態において、式(I)または(I−a)の化合物のRは、それぞれ、シアノで置換されたC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC1−6アルキニルである。他の実施形態において、式(I)または(I−a)の化合物のRは、それぞれ、シアノで置換されたCアルキル、CアルケニルまたはCアルキニルであり、ここでシアノはとりわけ、フェニル基に結合されていない炭素原子において置換されている。後者の場合、Rは基−A−CNにより表すことができ、ここでAは−CH−CH−、−CH=CH−または−C≡C−である。
【0036】
特に興味深いものは、式中、(a)Rが−CH−CH−CNまたは−CH=CH−CNである、または式中、(b)Rが−CH=CH−CNである、式(I)または(I−a)の化合物、あるいは本明細書に特記された式(I)または(I−a)の化合物のあらゆるサブグループである。
【0037】
特に興味深いものは、式中、Rが、Rの定義に関連して前記に明記されたいずれかのC2−6アルケニル置換基で置換された−CH=CH−であるか、または式中、Rがとりわけ−CH=CH−CNであり、そして−CH=CH−部分上の置換基がE−配置にある(すなわちいわゆる「E」−異性体)、本明細書に定義された式(I)の化合物またはそれらのいずれかのサブグループの化合物である。特に興味深いものは、そのRが(E)−CH=CH−CNである本明細書に定義された式(I)の化合物またはそれらのいずれかのサブグループの化合物である。
【0038】
本発明の実施形態は、そのRが水素である式(I)の化合物または式(I)の化合物のいずれかのサブグループである。
【0039】
本発明の更なる実施形態は、式中、
(a)R、R、RおよびRが独立して、水素、ヒドロキシ、ハロ、C1−6アル
キル、C3−7シクロ−アルキル,C1−6アルキルオキシ、カルボキシル、C
−6アルキルオキシカルボニル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C
1−6アルキル)アミノ、ポリハロC1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキル
オキシ、−C(=O)Rであるか、または
(b)R、R、RおよびRが独立して、水素、ヒドロキシ、ハロ、C1−6アル
キル、C1−6アルキルオキシ、カルボキシル、C1−6アルキルオキシカルボニ
ル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、ポ
リハロC1−6アルキル、C(=O)Rである、または
(c)R、R、RおよびRが独立して、水素、ヒドロキシ、ハロ、C1−6アル
キル、C1−6アルキルオキシ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6
ルキル)アミノ、ポリハロC1−6アルキルである、または
(d)R、R、RおよびRが独立して、水素、ハロ、C1−6アルキル、シアノ
である、または
(e)RおよびRが水素であり、そしてRおよびRが独立して、水素、ハロ、シ
アノである、
式(I)の化合物または式(I)の化合物のいずれかのサブグループである。
【0040】
本発明の実施形態は、式中、
(a)RおよびRが独立して、ハロ、カルボキシル、C1−6アルキルオキシカルボ
ニル、シアノ、−C(=O)R、Het、−Y−Het、場合によりシアノ、−
C(=O)R、Hetで置換されていてもよいC1−6アルキル、場合によりシ
アノ、−C(=O)R、Hetで置換されていてもよいC2−6アルケニルであ
り、そしてここでHetは、とりわけ、それぞれ場合により、ハロ、C1−6アル
キル、シアノで置換されていてもよいチエニル、フラニル、オキサゾリル、チアゾ
リルからそれぞれ独立して選択される、または
(b)RおよびRが独立して、シアノ;−C(=O)R;Het;場合によりシア
ノ、−C(=O)R、Hetで置換されていてもよいC1−6アルキル;場合に
よりシアノ、−C(=O)R、Hetで置換されていてもよいC2−6アルケニ
ルであり、そしてここでHetはとりわけ、それぞれ独立して、シアノでそれぞれ
、場合により、置換されていてもよいチエニルまたはフラニルである、または
(c)RおよびRが独立して、シアノ、シアノで置換されたC1−6アルキル、シア
ノで置換されたC2−6アルケニルである、または
(d)Rがシアノであり、Rがシアノで置換されたC2−6アルケニルである、
式(I)の化合物または式(I)の化合物のいずれかのサブグループである。
【0041】
本発明の実施形態は、式中、
がピリジルであるか、またはR
−CONR5a5b[ここで、R5aは独立して、水素またはC1−6アルキルであり、R5bはC1−6アルキルオキシまたは、C1−6アルキルオキシ、ハロ、シアノ、ピリジル、チエニル、フラニル、チアゾリルまたはオキサゾリルで置換されたC1−6アルキルであるか、あるいはR5bはC1−6アルキルオキシまたは、C1−6アルキルオキシ、ハロ、シアノ、ピリジルまたはフラニルで置換されたC1−6アルキルである]、
−CH(OR5c)R5d[ここでR5cは水素であり、そしてR5dはアリールである]、
−CH−NR5e5f[ここでR5eは水素またはC1−6アルキルであり、R5fはC1−6アルキルオキシ、C2−6アルケニルまたは、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−6アルキルアミノ、C1−6アルキルカルボニルアミノ、アリール、ピリジル、チエニル、フラニル、テトラヒドロフラニル、モルホリニル、C3−7シクロアルキルまたは、場合により2個のC1−6アルキル基で置換されていてもよいジオキソラニルで置換されたC1−6アルキルである、あるいは
5eおよびR5fはそれらがその上で置換されている窒素原子と一緒になって、イミダゾリル、モルホリニル、ピペラジニルまたは、場合によりC1−6アルキルで置換されていてもよいピペラジニルを形成する]、
−CH=NOR5a[ここでR5aはC1−6アルキルである]、
−CH−O−C2−6アルケニル、
−CH−O−P(=O)(OR5g[ここで、R5gはそれぞれ、独立してC1−6アルキルである]、
−CH−O−C(=O)−NH
−C(=O)−R5d[(ここでR5dはピリジル、チエニル、フラニル、チアゾリル、オキサゾリルであるか、またはR5dはチアゾリルである]
である、式(I)の化合物または式(I)の化合物のいずれかのサブグループである。
【0042】
本発明の実施形態は、そのRがそれぞれ独立して、C1−6アルキル、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノである、式(I)の化合物または式(I)の化合物のいずれかのサブグループである。
【0043】
本発明の実施形態は、式中、
(a)Xが−NR−、−O−である、または
(b)Xが−NR−である、または
(c)Xが−N(C1−6アルキル)−である、または
(d)Xが−NH−である、または
(e)Xが−NH−または−O−である、
式(I)の化合物または式(I)の化合物のいずれかのサブグループである。
【0044】
本発明の実施形態は、そのrがそれぞれ2である、式(I)の化合物または式(I)の化合物のいずれかのサブグループである。
【0045】
本発明の実施形態は、式中、
(a)Hetが、それぞれ、独立して、C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、
1−6アルキルオキシ、(ハロ、ヒドロキシまたはシアノで置換された)C2−
アルケニルからそれぞれ独立して選択される1個または2個の置換基でそれぞれ
、場合により、置換されていてもよい、ピリジル、チエニル、フラニル、オキサゾ
リル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリ
ル、オキサジアゾリル、キノリニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニルである、あ
るいは
(b)Hetがそれぞれ、独立して、C1−6アルキル、ハロでそれぞれ場合により置換
されていてもよい、ピリジル、チエニル、フラニル、オキサゾリル、チアゾリルで
ある、あるいは
(c)Hetがそれぞれ、独立して、ピリジル、チエニル、フラニル、オキサゾリル、チ
アゾリルである、あるいは
(d)Hetがそれぞれ、独立してピリジル、チエニル、フラニルである、
式(I)の化合物または式(I)の化合物のいずれかのサブグループである。
【0046】
本発明の実施形態は、式中、アリールがそれぞれ、独立して、フェニル、あるいは、前記のものから選択される、または、とりわけ
(a)ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル
、ヒドロキシC1−6アルキル、アミノC1−6アルキル、モノもしくはジ(C
−6アルキル)アミノC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C3−7
シクロアルキル、C1−6アルキルオキシ、フェニルC1−6アルキルオキシ、C
1−6アルキルオキシカルボニル、アミノスルホニル、シアノ、ニトロ、ポリハロ
1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキルオキシ、アミノカルボニル、フェニ
ル、Hetまたは−Y−Het、または
(b)ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、アミノC
−6アルキル、モノもしくはジ(C1−6アルキル)−アミノC1−6アルキル、
1−6アルキルオキシ、フェニルC1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオ
キシカルボニル、シアノ、ポリハロC1−6アルキル、アミノカルボニル、または(c)ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、アミノC
−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、シアノ、トリフルオロメチル、または
(d)ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、シアノ、トリフ
ルオロメチル、
から選択される1、2または3個の置換基で置換されたフェニルである、式(I)の化合物または式(I)の化合物のいずれかのサブグループである。
【0047】
式(I)または(I−a)の化合物の特定のサブグループは以下の制約の1項、幾つかまたはすべてが適用されるものである:
が水素である、
が水素、ハロ、C1−6アルキル、カルボキシル、シアノ、−C(=O)R、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、ポリハロメチルである、
Xが−NR−、−O−、−S−である、
がピリジルであるか、またはR
−CONR5a5b[ここで、R5aは独立して水素またはC1−6アルキルであり、R5bはC1−6アルキルオキシまたは、C1−6アルキルオキシ、ハロ、シアノ、ピリジル、フラニルで置換されたC1−6アルキルである]、
−CH(OR5c)R5d[ここで、R5cは水素でありそしてR5dはアリールである]、
−CH−NR5e5f[ここでR5eは水素またはC1−6アルキルであり、R5fはC1−6アルキルオキシ、C2−6アルケニルまたは、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−6アルキルアミノ、C1−6アルキルカルボニルアミノ、アリール、ピリジル、チエニル、フラニル、場合により2個のC1−6アルキル基で置換されていてもよいジオキソラニル、テトラヒドロフラニル、モルホリニル、C3−7シクロアルキルで置換されたC1−6アルキルである、あるいは
5eおよびR5fが、その上でそれらが置換されている窒素原子と一緒になって、イミダゾリル、モルホリニル、ピペラジニルまたは、場合によりC1−6アルキルで置換されていてもよいピペラジニルを形成する]、
−CH=NOR5a[ここでR5aはC1−6アルキルである]、
−CH−O−C2−6アルケニル、
−CH−O−P(=O)(OR5g[ここでR5gはそれぞれ、独立してC1−6アルキルである]、
−CH−O−C(=O)−NH
−C(=O)−R5d[ここでR5dはチアゾリルである]であり、
アリールはそれぞれ独立して、フェニルまたは、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、アミノC1−6アルキル、モノもしくはジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、C1−6アルキル−カルボニル、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシカルボニル、C1−6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、アミノカルボニルからそれぞれ独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されたフェニルである。
【0048】
式(I)の化合物は、式(III)の中間体と、そのWが適当な離脱基(例えば、ハロゲン、例えばクロロ、ブロモまたはトシル、メシルまたは同様な基)を表す式(II)の中間体を反応させることにより調製することができる。
【0049】
【化3】

【0050】
(II)の(III)との反応は、通常、適当な溶媒の存在下で実施される。適当な溶媒は例えば、例えばエタノ−ル、2−プロパノールのようなアルコール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル−アセトアミド、1−メチル−2−ピロリジノンのような双極性非プロトン溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなエーテルである。反応は、例えば、カンファースルホン酸のような適当な酸の量を添加することにより、または酸溶媒、例えば1−または2−プロパノールのようなアルカノール中に溶解された塩酸、を使用することにより得られる酸状態下で実施することができる。
【0051】
式(I)の化合物はまた、以下のスキームに概説されるように(IV−a)を(V−a)と、または(IV−b)を(V−b)と反応させることのいずれかによりX結合を形成することにより調製することができる。
【0052】
【化4】

【0053】
この反応スキームにおいて、Wは、とりわけ前記に明記されたような適当な離脱基を表す。(V−a)における離脱基Wはまた、例えば、対応するヒドロキシ官能基を例えばPOClにより離脱基に転化することにより、インサイチューで導入することができる。Xは−NR−、−O−、−S−を表す。XがNRである場合は、前記の反応は好ましくは、第三級アミンの塩基、例えば、トリエチルアミンの存在下で実施される。XがOまたはSを表す場合は、前記の反応は、例えばKCOまたはカリウムt−ブトキシド(KOt−Bu)のような塩基の存在下で実施される。
【0054】
この反応スキームにおいて、Wは、とりわけ前記に明記されたような適当な離脱基を表す。(V−a)における離脱基Wはまた、例えば、対応するヒドロキシ官能基を例えばPOClにより離脱基に転化することにより、インサイチューで導入することができる。XがNRである場合は、前記の反応は好ましくは、塩基、例えばトリエチルアミンの存在下で実施される。
【0055】
XがOまたはSを表す場合は、前記の反応は、例えばKCOまたはカリウムt−ブトキシド(KOt−Bu)のような適当な塩基の存在下で実施される。
【0056】
そのRがピリジルである式(I)の化合物(該化合物は式(I−a)により表される)は、スズキ反応により、すなわち、パラジウム触媒、とりわけPd(PPhの存在下で6−ハロピリミジン誘導体(VI)をピリジルホウ酸Het−B(OH)またはホウ酸エステル(とりわけメチルまたはエチルエステルのようなアルキルエステル)と反応させることにより調製することができる。
【0057】
【化5】

【0058】
はハロ(I、BrまたはCl)あるいは擬似ハロ基(トリフラート)である。
【0059】
そのRが基−CONR5a5bである式(I)の化合物(該化合物は式(I−b)により表される)は、アミド結合形成反応においてカルボン酸またはその活性形態(VII)をアミン(VIII)と反応させることにより調製することができる。
【0060】
【化6】

【0061】
アミド結合形成反応はカップリング剤の存在下で出発物質を反応させることにより、または(VII)中のカルボキシル官能基を、活性エステルまたはカルボン酸ハロゲン化物、とりわけ酸塩化物または臭化物、アジド、混合炭酸−カルボン酸無水物(例えば、イソブチルクロロホルメートとの反応により)、活性エステル(p−ニトロフェニルエステル、ペンタクロロ−フェニルエステル、N−ヒドロキシコハク酸イミドエステル)のような活性形態に転化させることにより実施することができる。アミン(VIII)はまた、カルボン酸の低級アルキルエステル、とりわけメチルまたはエチルエステルと反応させることができる。カップリング剤の例は、カルボジイミド(ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミドまたは、N−エチル−N’−[(3−ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミドのような水溶性カルボジイミドまたはカルボニルジイミダゾールを含む。幾つかのこれらの方法は、適当な触媒を添加することにより、例えばカルボジイミド法においては、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールまたは4−ジメチルアミノピリジン(4−DMAP)を添加することにより促進することができる。
【0062】
アミド結合形成反応は好ましくは、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、(アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのような)双極性非プロトン溶媒、テトラヒドロフランのようなエーテル、のような不活性溶媒中で実施される。多くの場合、カップリング反応は第三級アミン、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、N−メチルモルホリン、N−メチルピロリジンまたは4−DMAPのような適当な塩基の存在下で実施される。
【0063】
そのRが−CHNR5e5fである式(I)の化合物(該化合物は式(I−c)により表される)は、アルデヒド(X)から出発する還元アミノ化反応により調製することができる。還元アミノ化はPtまたはPdのような貴金属触媒の存在下で、水素とともに、またはシアノホウ水素化物とともに実施することができる。これらの化合物はまた、そのWが上記に明記されたものであり、そしてとりわけクロロまたはブロモである中間体(X)から出発するN−アルキル化反応により調製することができる。
【0064】
【化7】

【0065】
そのRが−C(=O)−R5dである式(I)の化合物、式(I−d)の化合物は、強塩基の存在下で、とりわけ、チアゾールのような複素環であるR5d−Hと中間体(XI)を反応させることにより調製することができる。
【0066】
【化8】

【0067】
化合物(I−d)は、メタノールのようなアルコール中で例えばNaBHにより、対応するアルコール(I−c)に還元することができる。
【0068】
そのRが−CH(OR5c)R5dである式(I)の化合物、式(I−g)の化合物は、式(XII)のピリミジンアルデヒドを有機金属化合物(M−R5d)と反応させることにより調製することができる。式(I−f)の、このようにして得る化合物は、そのR5cが水素以外である式(I)の化合物、式(I−g)の対応する化合物に転化させることができる。基R5cは試薬W−R5c[ここでWはハロ、とりわけクロロ、ブロモまたはヨード、あるいはスルフェートまたはアジド基のような離脱基である]とのO−アルキル化反応のようなエーテル形成反応により導入することができる。M−R5d中のMは、アルカリ金属、とりわけLi、NaまたはK、あるいはグリニヤルタイプの試薬のようなマグネシウム誘導体(M−R5dはハロ−Mg−R5dである)のような金属である。これらの反応は典型的には、エーテル(THF、ジエチルエーテル、ジオキサン)またはハロゲン化炭化水素(CHCl、CHCl)のような反応不活性溶媒中で実施される。
【0069】
【化9】

【0070】
そのRが−CH−OQ(ここでQは−P(=O)(OR5hまたはC2−6アルケニルである)である式(I)の化合物、式(I−h)の化合物は、(XII)をジアルキルクロロホスフェート(XIII)と反応させることにより調製することができる。この反応は、塩基、例えば、アルカリ金属アルカノラート、例えば、K−OtBuの存在下で、反応不活性溶媒、例えばTHF中で実施される。
【0071】
【化10】

【0072】
同様に、中間体(XII)はクロロスルホニルイソシアネートと反応させて式(I−i)の化合物にすることができる。この反応は反応不活性溶媒、例えば、THF中で実施され、その後に加水分解される。
【0073】
【化11】

【0074】
幾つかの中間体および出発物質は知られた化合物であり、市販品を購入しても、当該技術分野で知られた方法に従って調製してもよい。
【0075】
式(II)の中間体は、通常、例えば、NaCOのような適当な塩基の存在下で、例えばテトラヒドロフランのような適当な溶媒中で、そのWがそれぞれ前記に定義された通りである式(XIII)の中間体を式(XIV)の中間体と反応させることにより調製することができる。以下のスキーム中のXは−NR−、−O−または−S−を表す。
【0076】
【化12】

【0077】
中間体(V−a)および(V−b)は以下のように調製することができる:
【0078】
【化13】

【0079】
式(VII)、(XI)および(XII)の中間体は以下のように調製することができる:
【0080】
【化14】

【0081】
第1の工程において、アリールグアニジンを4−メトキシアセト酢酸と縮合する。このようにして得たヒドロキシピリミジンをPOClのようなハロゲン化剤を使用して対応
するハロピリミジンに転化させる。ハロ基はアニリン誘導体により置換されて、メトキシメチル誘導体(XI)を生成する。後者は脱メチル化されてメチルアルコール(XII)を生成し、それが(VII)に酸化される。
【0082】
アセトンまたはジクロロメタンのような反応不活性溶媒中で、MnOのような緩和な酸化剤による(XII)の酸化が中間体(IX)を生成する。THFまたはジクロロメタンのような反応不活性溶媒中のスルホニルクロリドとの反応によるような、(XII)のハロゲン化が、中間体(X)を生成する。
【0083】
式(I)の化合物は更に、当該技術分野で知られた基置換反応に従って、式(I)の化合物を相互に転化させることにより調製することができる。そのR、R、RまたはRが水素である式(I)の化合物は、適当な溶媒、例えば酢酸中で、例えばN−クロロ−またはN−ブロモスクシンイミドのような適当なハロ−導入剤との反応により、そのR、R、RまたはRがハロである式(I)の化合物に転化させることができる。そのRがC1−6アルキルオキシカルボニルを表す式(I)の化合物は、例えば、ナトリウムヒドロキシドまたはメトキシドのような適当な塩基との反応により、そのRが水素を表す式(I)の化合物に転化させることができる。Rがt.ブチルオキシカルボニルである場合は、そのRが水素である対応する化合物は、トリフルオロ酢酸との処理により製造することができる。
【0084】
本発明における幾つかの式(I)の化合物および幾つかの中間体は非対称炭素原子を含む可能性がある。該化合物および該中間体の純粋な立体化学的異性体形態は当該技術分野で知られた方法の適用により得ることができる。例えば、ジアステレオマーは選択的結晶化またはクロマトグラフィー法、例えば向流分配、液体クロマトグラフィー等の方法、のような物理的方法により分離することができる。エナンチオマーは、最初に該ラセミ混合物を例えばキラル酸のような適当な分離剤により、ジアステレオマー塩または化合物の混合物に転化させ、次に、例えば選択的結晶化またはクロマトグラフィー法、例えば、液体クロマトグラフィー等の方法によりジアステレオマー塩または化合物の該混合物を物理的に分離させ、そして最後に、該分離ジアステレオマー塩または化合物を対応するエナンチオマーに転化させることにより、ラセミ混合物から得ることができる。純粋な立体化学的異性体形態はまた、介入する反応が立体特異的に起ると場合は、適当な中間体および出発物質の純粋な立体化学的異性体形態から得ることができる。式(I)の化合物および中間体のエナンチオマー形態を分離する代りの方法は、液体クロマトグラフィー、とりわけキラル固定相を使用する液体クロマトグラフィーを伴う。
【0085】
式(I)の化合物は、とりわけ、ヒトにおける後天的免疫不全症候群(AIDS)の病原物質のヒト免疫不全ウイルス(HIV)に対して抗レトロウイルス性(逆転写酵素阻害性)を示す。HIVウイルスはヒトのT−4細胞に優先的に感染し、それらを破壊するか、またはそれらの正常な機能、特に免疫系の調整を変える。その結果、感染患者はT−4細胞数を継続的に減少し、それが更に、異常な働きをする。従って、免疫学的防御システムが感染症および新生物と戦うことができず、HIV感染患者は通常、肺炎のような日和見感染症により、または癌により死亡する。HIV感染症に伴う他の状態は、血小板減少症、カポジ肉腫並びに、痴呆並びに、進行性構音障害、運動失調および見当識障害のような症候群をもたらす進行性脱髄を特徴とする中枢神経系の感染症を含む。HIV感染症は更に、末梢神経障害、進行性全身リンパ節腫脹(PGL)およびAIDS関連症候群(ARC)と関連付けられている。
【0086】
本化合物はまた、薬剤耐性および多剤耐性HIV株、とりわけ多剤耐性HIV株に対する活性を示し、更にとりわけ本化合物は1種または複数の当該技術分野で知られた非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター、とりわけ、エファビレンズ、デラビルジンおよびネビ
ラピンのような治療に対して認可されたものに後天的耐性をもつHIV株に対して活性を示す。
【0087】
それらの抗レトロウイルス性、特にそれらの抗HIV性、特にそれらの抗HIV−1活性のために、式(I)の化合物、それらの製薬学的に許容されうる付加塩、製薬学的に許容されうる溶媒和またはそれらの可能な立体異性体形態は、HIVにより感染された個体の処置において、そしてこれらの感染症の予防のために有用である。概して、本発明の化合物は、その存在が酵素の逆転写酵素により仲介されるかまたはそれに依存するウイルスで感染された温血動物の処置に有用である可能性がある。本発明の化合物で予防または処置することができる状態、特にHIVおよび他の病原学的レトロウイルスに関連する状態は、AIDS、AIDS関連症候群(ARC)、進行性全身リンパ節腫脹(PGL)、並びに、例えば、HIV仲介痴呆および多発性硬化症のようなレトロウイルスにより惹起される慢性中枢神経系疾患を含む。
【0088】
従って、本発明の化合物またはそれらのいずれかのサブグループは前記の状態に対する医薬として使用することができる。医薬としての前記の使用または処置法は、HIVおよび他の病原的レトロウイルス、特にHIV−1に関連した状態を治すための有効量の、HIV感染被検体への投与を含んでなる。とりわけ、式(I)の化合物はHIV感染症の処置または予防のための医薬の製造に使用することができる。
【0089】
更なる態様において、本発明は、罹患している、ヒトを含む温血動物を処置する方法、または、ヒトを含む温血動物がウイルス感染症、特にHIV感染症を罹患することを予防する方法を提供する。該方法は、ヒトを含む温血動物に、有効量の式(I)の化合物、その製薬学的に許容されうる付加塩、製薬学的に許容されうる溶媒和または可能なその立体異性体形態の投与、好ましくは経口投与を含んでなる。
【0090】
本発明はまた、治療的に有効量の式(I)の化合物および製薬学的に許容されうる担体または希釈剤を含んでなる、ウイルス感染症を処置するための組成物を提供する。
【0091】
本発明の化合物またはそれらのいずれかのサブグループは投与目的のための種々の製薬学的形態に調合することができる。適当な組成物として、全身投与薬剤のために通常使用されるすべての組成物を引用することができる。本発明の製薬学的組成物を調製するために、有効成分として、有効量の、場合により付加塩形態の特定の化合物を、投与に望ましい調製物の形態に応じて広範な形態を採ることができる、製薬学的に許容されうる担体と均一な混合物に混合される。これらの製薬学的組成物は、特に経口投与、直腸内投与、経皮的または非経口注射に適する単位投与形態にあることが望ましい。例えば、経口投与形態の組成物を調製する際には、懸濁物、シロップ、エリキシル、エマルションおよび液剤のような経口液体調製物の場合には、例えば、水、グリコール、油、アルコール等のような通常の製薬学的媒質、あるいは散剤、ピル、カプセルおよび錠剤の場合には、デンプン、糖、カオリン、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等のような固形担体のいずれかを使用することができる。それらの投与の容易性のために、錠剤およびカプセルがもっとも有利な経口投与単位形態を表し、その場合、固形の製薬学的担体が明らかに使用される。非経口組成物のための担体は、例えば溶解度を補助するために他の成分を含むことはできるが、通常、少なくとも大部分は滅菌水を含むであろう。例えば、担体が生理食塩水、ブドウ糖液または生理食塩水とブドウ糖液の混合物を含んでなる注射溶液を調製することができる。その場合、適当な液体担体、懸濁剤等を使用することができる注射用懸濁物も調製することができる。更に、使用直前に液体形態の調製物に転化されることができる固形形態の調製物も含まれる。経皮的投与に適する組成物中の担体は場合により、少量の割合のどんな性状をももつ、皮膚に有意な有害効果を誘動しない適当な添加物と組み合わせて、場合により、透過促進剤および/または適当な湿潤化剤を含んでなる。該添加物は皮膚への投与を容易にさせ、そして/または所望の組成物を調製する補助になることができる。これらの組成物は種々の方法で、例えば経皮的パッチとして、スポットオンとして、軟膏として投与することができる。
【0092】
本発明の化合物はまた、この方法による投与のための当該技術分野で使用される方法および調合物により、吸入(inhalation)または吸い込み(insufflation)により投与することができる。従って、本発明の化合物は概して、液剤、懸濁剤または乾燥粉末の形態で肺に投与することができる。経口または鼻腔吸入または吸い込みによる液剤、懸濁剤または乾燥粉末の送達のために開発されたあらゆるシステムが本化合物の投与に適する。
【0093】
投与の容易性および投与物の均一性のために、前記の製薬学的組成物を単位投与形態に調合することが特に有利である。本明細書で使用される単位投与形態は単位投与物として適した物理的に分離された単位を表し、ここで各単位が、必要な製薬学的担体と一緒に所望の治療的効果をもたらすように計算された有効成分の、前以て決められた量を含む。このような単位投与形態の例は錠剤(刻み目付きまたはコート錠を含む)、カプセル、ピル、散剤の包み、ウエファー、座薬、注射液または懸濁液等およびそれらの分割された複数物である。
【0094】
HIV感染症の処置における専門家は、本明細書に提示される試験結果から有効1日量を決定することができるであろう。有効1日量は概して、0.01mg/kg〜50mg/kg体重、より好ましくは、0.1mg/kg〜10mg/kg体重であろうと推定される。必要量を、1日のなかで適当な間隔をおいて、2、3、4回以上の分割用量として投与することが適当であるかも知れない。該分割用量は例えば、単位投与形態当たり1〜1000mg、そしてとりわけ5〜200mgの有効成分を含む単位投与形態として調合することができる。
【0095】
投与の正確な用量および頻度は、当業者に周知のように、使用される式(I)の特定の化合物、処置されている特定の状態、処置されている状態の重篤度、特定の患者の年齢、体重および一般的健康状態並びに個体が摂取している他の投薬に左右される。更に、前記有効1日量は処置される被検体の反応により、そして/または本発明の化合物を処方している医師の評価により減量または増量することができる。従って、以上に記載の有効1日量の範囲は単なる指針であり、どんな程度にも本発明の範囲または使用を限定する意図はもたれない。
【0096】
式(I)の本化合物は、ウイルス感染症の処置のために、単独でまたは、抗ウイルス剤、抗生物質、免疫モジュレーターまたはワクチンのような他の治療剤と組み合わせて使用することができる。それらはまた、ウイルス感染症の予防のために、単独でまたは他の予防的薬剤と組み合わせて使用することができる。本化合物は、長期間にわたり、ウイルス感染症に対して個体を防御するためのワクチンおよび方法に使用することができる。該化合物は、ワクチンにおける逆転写酵素インヒビターの従来の使用と一致する方法で、単独で、または、本発明の他の化合物と一緒に、または他の抗ウイルス剤と一緒にこのようなワクチン中に使用することができる。従って、本化合物はワクチン中に従来使用され、HIV感染症に対して長期間にわたり個体を防御するための予防的有効量で投与される製薬学的に許容されうる補助剤と組み合わせることができる。
【0097】
更に、1種または複数の更なる抗レトロウイルス化合物と式(I)の化合物の組み合わせ物も、医薬として使用することができる。従って、本発明はまた、抗HIV処置における、同時の、別のまたは連続的な使用のための組み合わせ調製物としての、(a)式(I)の化合物および(b)1種または複数の更なる抗レトロウイルス化合物、を含む製品に関する。製薬学的に許容されうる担体と一緒に単一調製物中に異なる薬剤を組み合わせることができる。前記の他の抗レトロウイルス化合物は、スラミン、ペンタミジン、チモペンチン、カスタノスペルミン、デキストラン(デキストラン硫酸)、フォスカルネット−ナトリウム(三ナトリウムホスホノホルメート);ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NRTI)、例えばジドブジン(AZT)、ジダノシン(ddI)、ザルシタビン(ddC)、ラミブジン(3TC)、スタブジン(d4T)、エムトリシタビン(FTC)、アバカビル(ABC)、アムドキソビル(DAPD)、エルブシタビン(ACH−126,443)、AVX 754((−)−dOTC)、フォジブジン・チドキシル(FZT)、ホスフォアジド、HDP−990003、KP−1461、MIV−210、ラシビル(PSI−5004)、UC−781等;デラビルジン(DLV)、エファビレンズ(EFV)、ネヴィラピン(NVP)、ダピビリン(TMC120)、エトラヴィリン(TMC125)、リルピビリン(TMC278)、DPC−082、(+)−カラノリドA、BILR−355、等、のような非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(NNRTI);ヌクレオチド逆転写酵素インヒビター(NtRTI)、例えばテノホビル((R)−PMPA)およびテノフォビル・ジソプロキシルフマレート(TDF)、等;ヌクレオチド競合逆転写酵素インヒビター(NcRTI)、例えばNcRTI−1等;TAT−インヒビター、例えばRO−5−3335、BI−201、等のようなトランス活性化タンパク質;REVインヒビター;プロテアーゼインヒビター、例えばリトナビル(RTV)、サクイナビル(SQV)、ロピナビル(ABT−378またはLPV)、インジナビル(IDV)、アンプレナビル(VX−478)、TMC126、ネルフィナビル(AG−1343)、アタザナビル(BMS232,632)、ダルナビル(TMC114)、フォサンプレナビル(GW433908またはVX−175)、ブレカナビル(GW−640385、VX−385)、P−1946、PL−337、PL−100、チプラナビル(PNU−140690)、AG−1859、AG−1776、Ro−0334649等;融合インヒビター(例えばエンフビルチド(T−20))、付着インヒビターおよび共受容体インヒビター[後者はCCR5アンタゴニスト(例えばアンクリビロク、CCR5mAb004、マラビロク(UK−427,857)、PRO−140、TAK−220、TAK−652、ビクリビロク(SCH−D、SCH−417,690))およびCXR4アンタゴニスト(例えばAMD−070、KRH−27315を含んでなる]を含んでなる侵入インヒビター[侵入インヒビターの例はPRO−542、TNX−355、BMS−488,043、BlockAide/CRTM、FP 21399、hNM01、ノナキン、VGV−1である];成熟インヒビター、例えばPA−457;ウイルスインテグラーゼのインヒビター、例えばラルテグラビル(MK−0518)、エルビテグラビル(JTK−303、GS−9137)、BMS−538,158;リボザイム;免疫モジュレーター;モノクローナル抗体;遺伝子治療;ワクチン;siRNA;アンチセンスRNA;殺菌剤;ジンクフィンガーインヒビター、のようないずれかの知られた抗レトロウイルス化合物であってもよい。
【0098】
組み合わせ物は、それによりウイルスの伝染力およびその付随症状を予防し、実質的に減少させ、または完全に排除することができる相乗効果を提供することができる。
【0099】
本発明の化合物はまた、HIV感染症およびその症状を緩和、治療または排除するために、免疫モジュレーター(例えば、ブロピリミン、抗ヒトアルファインターフェロン抗体、IL−2、メチオニン・エンケファリン、インターフェロンアルファおよびナロトレキソン)と、抗生物質(例えばペンタミジン・イソチオレート)、サイトカイン(例えばTh2)、サイトカインのモジュレーター、ケモカインまたはケモカインのモジュレーター、ケモカイン受容体(例えばCCR5、CXCR4)、ケモカイン受容体のモジュレーター、あるいはホルモン(例えば成長ホルモン)と組み合わせて投与することができる。異なる調合物におけるこのような組み合わせ治療は、相互に同時に、連続してまたは独立して投与することができる。あるいはまた、このような組み合わせ物は、それにより有効成分が調合物から同時にまたは別に放出される単一の調合物として投与することができる。
【0100】
本発明の化合物はまた、個体に対する薬剤の適用後、代謝のモジュレーターと組み合わせて投与することができる。これらのモジュレーターは、チトクロムP450のような、チトクロムにおける代謝を妨げる化合物を含む。チトクロムP450には、その1つがチトクロムP450 3A4である幾つかのイソ酵素が存在することが知られている。リトナビルはチトクロムP450による代謝のモジュレーターの1例である。異なる調合物におけるこのような組み合わせ治療は、相互を同時に、連続してまたは独立して投与することができる。あるいはまた、このような組み合わせ物は、有効成分が調合物から同時にまたは別に放出される単一調合物として投与することができる。このようなモジュレーターは本発明の化合物と同一のまたは異なる比率で投与することができる。本発明の化合物に対するこのようなモジュレーターの重量比(モジュレーター:本発明の化合物)は好ましくは、1:1以下であり、より好ましくは、その比率は1:3以下であり、適切にはその比率は1:10以下であり、より適切にはその比率は1:30以下である。
【0101】
本発明はHIV感染症を予防または処置するための本化合物の使用に焦点をおいているが、本化合物はまた、複製のために逆転写酵素に依存する他のウイルスに対する阻害剤としても使用することができる。
【0102】
以下の実施例は本発明を具体的に示すことが意図され、そしてそれに対してその範囲を限定することは意図されない。
【実施例1】
【0103】
【化15】

【0104】
4−シアノアニリン(0.420モル)の混合物(250mlの2−メトキシエチルエーテル中)を100℃で30分間撹拌した。次にシアナミド(0.630モル)の混合物(30mlの水中)を45分間にわたり分割添加した。100℃で24時間撹拌後、シアナミド(0.210モル)を再添加した。次に混合物を更に48時間、100℃で撹拌し、その後乾燥するまで蒸発させた。残渣をアセトンから結晶化すると、70.5gの中間体A(85%収率、融点:225℃)を生成した。
【0105】
A(0.0102モル)の溶液(25mlのエタノール中)に、ナトリウムエトキシド(21%)(0.0153モル、1.5当量)、次にマロン酸ジエチルエステル(0.0102モル、1当量)を添加した。生成した混合物を6時間還流撹拌し、次に室温に放置冷却した。水を添加し、混合物を酢酸で酸性化した(pH=6になるまで)。生成した沈殿物を濾取すると、1.5gの所望化合物Bを与えた(57%収率)。
【0106】
B(0.0056モル)およびリン・オキシクロリド(10ml)の混合物を30分間還流撹拌した。冷却後、リン・オキシクロリドを蒸発させた。水および10%のKCOを添加し、混合物をCHClで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾取し、溶媒を蒸発させると、1.51gのC(97%収率)を与えた。
【0107】
3−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)−アクリロニトリル(0.00754モル)およびジクロロピリミジンC(0.00754モル)を混合し、融合するまで加熱した。混合物を水および10%のKCO中に注入し、CHClおよびメタノールで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾取し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル(35〜70μm;溶離液:CHCl/メタノール 99.5:0.5)上カラムクロマトグラフィーにより精製した。所望の化合物を含む画分を回収し、溶媒を蒸発させると、72%純度(9%収率)をもつ0.4gの中間体Dを与えた。
【0108】
中間体D(0.0003モル)、トリフェニルホスフィン・パラジウム(0.00006モル)、2MのKCO(0.001モル)およびピリジル−3−ボロン酸(0.0009モル)の混合物(5mlのジメトキシエタン(DME)および1mlのメタノール中)を1晩還流撹拌した。冷却後、混合物をシーライト上で濾過し、濾液を水中に注入し、CHClで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾取し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル(Kromasil 5μm;溶離液:CHCl 100〜CHCl/メタノール 99:1)上カラムクロマトグラフィーにより精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させると、0.042gの純粋な生成物の化合物1(15%収率、融点:180℃、E/Z 97/3)を与えた。
【実施例2】
【0109】
【化16】

【0110】
実施例1で調製した中間体A(0.0102モル)の溶液(25mlのエタノール中)に、ナトリウムエトキシド(21%)(0.0153モル、1.5当量)、次にメチル4−メトキシアセトアセテート(0.0102モル、1当量)を添加した。生成した混合物を6時間、還流撹拌し、次に室温に放置冷却した。水を添加し、混合物を酢酸で酸性化した(pH=6まで)。生成した沈殿物を濾取すると1.5gの中間体E(57%収率)を与えた。
【0111】
E(0.0056モル)およびリン・オキシクロリド(10ml)の混合物を30分間還流撹拌した。冷却後、リン・オキシクロリドを蒸発させた。水および10%のKCOを添加し、混合物をCHClで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾取し、溶媒を蒸発させると、1.51gのF(97%収率)を与えた。
【0112】
中間体F(0.00182モル)および3−(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)−アクリロニトリル(0.00182モル)の混合物を5分間、融解するまで加熱し、次に水および10%のKCOの混合物中に注入した。生成した混合物をCHClで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾取し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル(35〜70μm;溶離液:CHCl/メタノール 97:3)上クロマトグラフィーにより精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させると、0.34gの中間体G(46%収率、融点:115℃)を与えた。
【0113】
CHCl中1Mのホウ素トリブロミド(0.00456モル)を−78℃でメトキシ誘導体G(0.000828モル)の溶液(15mlのCHCl中)に滴下した。溶液を−78℃で20分、そして0℃で3時間撹拌した。氷を添加し、混合物をCHClで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾取し、溶媒を蒸発させた。残渣をCHClから結晶化すると、0.22gの中間体H(67%収率、融点:232℃)を与えた。
【0114】
水素化ナトリウム(油中60%、0.0006モル、1.2当量)をメチルアルコール
誘導体H(0.0005モル)およびアリルブロミド(0.0006モル、1.2当量)の氷冷混合物(5mlのテトラヒドロフラン(THF)中)に添加した。0℃で30分後、混合物を室温に放置して暖め、42時間撹拌した。水を添加し、混合物をCHClで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾取し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル(5μm、溶離液:CHCl/メタノール/NHOH 99:1:0.1〜90:10:1)上クロマトグラフィーにより精製すると、0.074gの純粋な化合物2(34%収率、融点:111℃)を与えた。
【実施例3】
【0115】
【化17】

【0116】
酸化マンガン(0.0345モル)を中間体H(0.00343モル)の溶液(70mlのCHClおよび20mlのTHF中)に添加し、混合物を室温で5時間撹拌し、次にシーライト上で濾過した。シーライトをCHCl/メタノールで洗浄し、濾液を蒸発させた。残渣をCHClおよび数滴のメタノールから結晶化した。沈殿物は酸誘導体J(0.63g、45%収率)を与えた。濾液を蒸発させ、残渣はアルデヒドI(0.55g、46%収率)を与えた。これらの2種の化合物を更に精製せずに次の工程に組み入れた。
【実施例4】
【0117】
【化18】

【0118】
−78℃に冷却したアルデヒド誘導体I(0.000481モル)の溶液(10mlのTHF中)に、2−メトキシフェニルマグネシウム・ブロミド(0.00168モル、3.5当量)を添加した。生成した混合物を−78℃で2時間撹拌し、次に放置して室温に暖め、18時間撹拌した。10%のNHClを混合物中に注入し、CHClで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾取し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル(KromasilTM5μm;溶離液:CHCl/メタノール 100:0〜96:4)上カラムクロマトグラフィーにより精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させると、0.026gの化合物3(11%収率)を生成した。
【実施例5】
【0119】
【化19】

【0120】
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.000366モル、1.5当量)を酸J(0.000244モル)の混合物(3mlのTHF中)に添加した。ジクロロメタン(3ml)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸(0.000366モル、1.5当量)を混合物に連続的に添加した。この溶液に、2−エトキシエチルアミン(0.000366モル、1.5当量)、次にトリエチルアミン(0.000488モル、2当量)を添加した。混合物を室温で24時間撹拌し、次に水および10%のKCO中に注入し、90:10のCHCl/メタノール混合物で抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾取し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル(KromasilTM5μm;溶離液:CHCl/メタノール 100:0〜97:3)上クロマトグラフィーにより精製すると、0.057gの化合物4(50%収率、融点:130℃)を生成した。
【0121】
本表および以下の表中で、
【0122】
【化20】

【0123】
で表された結合は、分子の残りに基を結合している結合を表す。MeおよびEtはそれぞれメチルおよびエチルを表す。
【0124】
【表1】

【実施例6】
【0125】
【化21】

【0126】
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.0009モル、1.5当量)を酸J(0.0006モル)の混合物(3mlのTHF中)に添加した。ジクロロメタン(3ml)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸(0.0009モル、1.5当量)を混合物に連続的に添加した。この溶液に、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸(0.0009モル、1.5当量)、次にトリエチルアミン(0.0009モル、1.5当量)を添加した。混合物を室温で36時間撹拌し、次に水および10%のKCO中に注入し、CHCl/THFの90:10混合物で抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾取し、溶媒を蒸発させた。次に、得られた中間体Kを更に精製せずに次の工程に組み入れた。
【0127】
−78℃のチアゾール(0.003モル、5当量)の溶液(2.5mlのTHF中)に、n−ブチルリチウム(0.003モル、5当量)を滴下し、生成した混合物を−78℃で25分間撹拌し、次に中間体K(0.0006モル)の溶液(6mlのTHF中)を滴下した。生成した混合物を放置して室温に暖め、撹拌を一晩維持した。10%のNHClを混合物に添加し、次にこれをCHClで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾取し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル(3.5μm;溶離液:CHCl/メタノール/NHOH 100:0:0〜96:4:0.4)上カラムクロマトグラフィーにより精製すると、0.017gの化合物10(6%収率)を与えた。
【0128】
化合物10(0.0013モル)の氷冷溶液(5mlのメタノール中)に、ナトリウムホウ水素化物(0.0007モル、0.55当量)を添加し、生成した混合物を0℃で2.5時間撹拌した。10%のNHClを混合物に添加し、次にCHClで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾取し、溶媒を蒸発した。残渣をシリカゲル(3.5μm;溶離液:CHCl/メタノール/NHOH 99:1:0.1〜94:6:0.6)上カラムクロマトグラフィーにより精製すると、0.095gの化合物11(15%収率、融点:147℃)を与えた。
【実施例7】
【0129】
【化22】

【0130】
メチルアルコール誘導体H(0.004モル)の氷冷溶液(16mlのCHCl中)に、チオニルクロリド(8.5ml)を滴下した。混合物を5℃で2時間撹拌した。溶媒を蒸発させると、黄色の粉末を与え、次に60℃で真空下乾燥すると、1.65gの中間体Mを与え、それを更に精製せずに次の工程で使用した(99%収率)。
方法A:
【0131】
【化23】

【0132】
中間体M(0.0006モル)の溶液(5mlのTHF中)に、硝酸銀(0.0072モル、1.2当量)を添加し、次に5分の撹拌後に1−メチルピペラジン(0.0072モル、1.2当量)を添加した。全体を40℃で1晩撹拌した。次に水を添加し、混合物をシーライトのパッド上で濾過し、CHClで洗浄した。残渣をCHClで抽出し、合せた有機層を10%のNHCl溶液で洗浄し、MgSO上で乾燥し、濾過した。溶媒を蒸発させ、生成した混合物(0.345g)をカラムクロマトグラフィー(5μm;溶離液:CHCl/メタノール/NHOH 98:2:0.2〜92:8:0.8)により精製すると、0.122gの純粋な化合物13(43%収率)を与えた。
方法B:
【0133】
【化24】

【0134】
中間体M(0.0005モル)、2−メトキシエチルアミン(0.001モル、2当量)および炭酸カリウム(0.002モル、4当量)の混合物(5mlのアセトニトリル中)を80℃で20時間加熱した。水を添加し、混合物をCHClで抽出した。合せた有機層をMgSO上で乾燥し、濾取し、蒸発させた。残渣(0.24g)をカラムクロマトグラフィー(10μm、溶離液:CHCl/メタノール/NHOH 97:23:0.1〜96:4:0.5)により精製すると、0.080gの純粋な化合物15(35%収率)を与えた。
方法C:
【0135】
【化25】

【0136】
2滴の酢酸をナトリウムシアノホウ水素化物(0.00152モル)、アルデヒドI(0.000508モル)および3−(アミノメチル)ピリジン(0.000761モル)の混合物(10mlのTHF中)に室温で添加した。混合物を室温で4時間撹拌した。混合物を水および10%のKCO中に注入し、CHClで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾取し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル(Kromasil 5μm;溶離液:CHCl/メタノール/NHOH 99:1:0.05〜95:5:0.25)上カラムクロマトグラフィーにより精製した。純粋な画分を回収し、溶媒を蒸発させた。残渣をジエチルエーテルから結晶化すると,0.063gの純粋な化合物27(26%収率、融点:180℃)を与えた。
【0137】
【表2】

【0138】
【表3】

【実施例8】
【0139】
【化26】

【0140】
カリウムtert−ブトキシド(0.000416モル)の氷冷混合物(THF中)に、メチルアルコール誘導体H(0.000378モル)、次にジエチルクロロホスフェート(0.000416モル)を添加した。混合物を室温で1時間撹拌し、次に水中に注入し、CHClで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾取し、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル(35〜70μm;溶離液:CHCl/メタノール 98:2)上カラムクロマトグラフィーにより精製すると、0.051gの化合物32(25%収率、融点:217℃)を生成した。
【0141】
メチルアルコール誘導体H(0.000252モル)(3mlのTHF中)をクロロスルホニルイソシアネート(0.000416モル)の混合物(2mlのTHF中)に−78℃で添加した。混合物を放置して室温に暖め、次に室温で1時間撹拌した。水を添加し、混合物を70℃で1晩撹拌し、次に水および10%のKCO中に注入した。混合物をCHClで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾取し、溶媒を蒸発させた。残渣を最初にジエチルエーテルから、次にアセトンから結晶化すると、0.017gの化合物33(15%収率、融点>250℃)を生成した。
【実施例9】
【0142】
【化27】

【0143】
アルデヒドI(0.000330モル)およびヒドロキシルアミン塩酸(0.0004
94モル)の混合物(4mlのピリジン中)を室温で20時間撹拌し、次に水中に注入した。沈殿物を濾取し、水およびCHCNで洗浄し、乾燥すると0.060gの化合物34(44%収率、融点:220℃)を与えた。
【0144】
抗ウイルススペクトル:
本発明の化合物を野生型ウイルスおよび、逆転写酵素インヒビターに対する耐性を伴う1種または複数の突然変異を与える、臨床的に単離されたHIV株に対するそれらの効力につき試験した。抗ウイルス活性は以下の方法に従って実施された細胞アッセイを使用して評価した。
【0145】
ヒトのT−細胞系 MT4をGreen Fluorescent Protein(緑色蛍光タンパク質)(GFP)およびHIV特異的プロモーター、HIV−1長い末端反復配列(LTR)で処理した。MT4 LTR−EGFPと名付けたこの細胞系は研究化合物の抗HIV活性のインビトロ評価のために使用することができる。HIV−1感染細胞において、Tatタンパク質が生成され、それがLTRプロモーターを過剰調整し、そして最終的にGFPリポーター生産の刺激をもたらし、進行中のHIV感染を蛍光法で測定可能にする。
【0146】
同様に、MT4細胞をGFPおよび構成的(constitutional)シトメガロウイルス(CMV)プロモーターで処理した。この細胞系をMT4 CMV−EGFPと名付け、研究化合物の細胞毒性のインビトロ評価に使用することができる。この細胞系において、GFPレベルは感染MT4 LTR−EGFP細胞のものに匹敵する。細胞毒性の研究化合物は模擬感染(mock−infected)MT4 CMV−EGFP細胞のGFPレベルを減少させる。
【0147】
50%有効濃度(EC50)のような有効濃度値が決定されることができ、通常μMで表される。EC50値は50%だけHIV感染細胞の蛍光を減少する試験化合物の濃度と定義される。50%細胞毒性濃度(CC50、μM)は50%だけ模擬感染細胞の蛍光を減少する試験化合物の濃度と定義される。EC50に対するCC50の比率は選択性指数(SI)と定義され、インヒビターの抗HIV活性の選択性の指標である。HIV−1感染と細胞毒性の最終的監視は、走査顕微鏡を使用して実施した。画像分析が、ウイルス感染の非常に感度の高い検出を可能にする。通常、感染後約5日を要する測定を細胞壊死の前に実施し、とりわけ感染の3日後に測定を実施した。
【0148】
表中のIIIB、L100I、等の欄は種々の株IIIB、L100I、等に対するpEC50(−logEC50)値を列挙し、pSIは−logSI値を列挙している。株IIIBは野生型HIV株である。「MDR」は、HIV逆転写酵素中に突然変異体L100I、K103N、Y181C、E138G、V179I、L2214F、V278V/IおよびA327A/Vを含む株を表す。
【0149】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

の化合物、その製薬学的に許容されうる付加塩、製薬学的に許容されうる溶媒和または立体化学的異性体形態であって、
式中、
はそれぞれ独立して、水素、アリール、ホルミル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシカルボニルであり、
、R、RおよびRは独立して水素、ヒドロキシ、ハロ、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルオキシ、カルボキシル、C1−6アルキルオキシカルボニル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、ポリハロC1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキルオキシ、−C(=O)R、場合によりハロ、シアノまたは−C(=O)Rで置換されていてもよいC1−6アルキル、場合によりハロ、シアノまたは−C(=O)Rで置換されていてもよいC2−6アルケニル、場合によりハロ、シアノまたは−C(=O)Rで置換されていてもよいC2−6アルキニルであり、
およびRは独立して、ヒドロキシ、ハロ、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルオキシ、カルボキシル、C1−6アルキルオキシカルボニル、ホルミル、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、ポリハロC1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキルオキシ、−C(=O)R、−S(=O)、−NH−S(=O)、−NHC(=O)H、−C(=O)NHNH、―NHC(=O)R、Het、−Y−Het、場合によりハロ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、−C(=O)R、HetまたはC1−6アルキルオキシで置換されていてもよいC1−6アルキル、場合によりハロ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、−C(=O)R、HetまたはC1−6アルキルオキシで置換されていてもよいC2−6アルケニル、場合によりハロ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、−C(=O)R、HetまたはC1−6アルキルオキシで置換されていてもよいC2−6アルキニルであり、
はピリジル、−C(=O)NR5a5b、−CH(OR5c)R5d、−CH−NR5e5f、−CH=NOR5a、−CH−O−C2−6アルケニル、−CH−O−P(=O)(OR5g、−CH−O−C(=O)−NH、−C(=O)R5dであり、ここで
5aはそれぞれ独立して水素またはC1−6アルキルであり、
5bはC1−6アルキルオキシまたは、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、ハロ、シアノ、Hetで置換されたC1−6アルキルであり、
5cは水素、C1−6アルキル、Hetであり、
5dはそれぞれ独立してアリールまたはHetであり、
5eは水素またはC1−6アルキルであり、
5fはC1−6アルキルオキシ、C2−6アルケニルまたは、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、シアノ、アミノ、モノ−およびジC1−6アルキルアミノ、C1−6
ルキル−カルボニルアミノ、アリール、Het、ジオキソラニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペラジニルおよびC3−7シクロアルキルから選択される基で置換されたC1−6アルキルであり、ここで、前記ジオキソラニルは場合により、1個または2個のC1−6アルキル基で置換されていてもよく、そして、前記ピペラジニルは場合により、C1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニルまたはC1−6アルキルオキシカルボニルで置換されていてもよい、
5eおよびR5fはそれらがその上で置換されている窒素原子と一緒になって、ピロリジニル、イミダゾリル、ピペリジニル、モルホリニル、ピペラジニルあるいは、場合によりC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシカルボニルまたはC1−6アルキルカルボニルで置換されていてもよいピペラジニルを形成し、
5gはそれぞれ独立してC1−6アルキルであり、
はそれぞれ、独立して、C1−6アルキル、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノまたはポリハロ−C1−6アルキルであり、
Xは−NR−、−O−、−CH−、−S−であり、
rはそれぞれ独立して1または2であり、
Hetはそれぞれ独立してピリジル、チエニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、キノリニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニルであり、それらはそれぞれ、場合により、C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1−6アルキルオキシ、(ハロ、ヒドロキシまたはシアノで置換された)C2−6アルケニルからそれぞれ独立して選択される1個または2個の置換基で置換されていてもよく、
アリールはそれぞれ独立して、フェニルまたは、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、ヒドロキシC1−6アルキル、アミノC1−6アルキル、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C3−7シクロアルキル、C1−6アルキルオキシ、フェニルC1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシカルボニル、アミノスルホニル、C1−6アルキルチオ、シアノ、ニトロ、ポリハロC1−6アルキル、ポリハロC1−6アルキルオキシ、アミノカルボニル、フェニル、Hetおよび−Y−Hetからそれぞれ独立して選択される1、2、3、4もしくは5個の置換基で置換されたフェニルである。
【請求項2】
式(I)の化合物が式
【化2】

により表される、請求項1の化合物。
【請求項3】
が水素である、請求項1または2のいずれかの化合物。
【請求項4】
、R、RおよびRが独立して水素、ハロ、C1−6アルキル、シアノである、請求項1〜3のいずれかの化合物。
【請求項5】
およびRが独立して、シアノ、シアノで置換されたC1−6アルキル、シアノで置換されたC2−6アルケニルである、請求項1〜4のいずれかの化合物。
【請求項6】
が基−CH−CH−CN、−CH=CH−CNまたは−C≡C−CNである、請求項1〜5のいずれかの化合物。
【請求項7】
が基−CH=CH−CNである、請求項6の化合物。
【請求項8】
がシアノである、請求項1〜7のいずれかの化合物。
【請求項9】
がピリジルであるか、あるいはR
−C(=O)NR5a5b[ここで、R5aは独立して水素またはC1−6アルキルであり、R5bはC1−6アルキルオキシまたは、C1−6アルキルオキシ、ハロ、シアノ、ピリジル、フラニルで置換されたC1−6アルキルである]、
−CH(OR5c)R5d[ここでR5cは水素であり、R5dはアリールである]、
−CH−NR5e5f[ここでR5eは水素またはC1−6アルキルであり、R5fはC1−6アルキルオキシ、C2−6アルケニルまたは、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ−C1−6アルキルアミノ、C1−6アルキルカルボニルアミノ、アリール、ピリジル、チエニル、フラニル、場合により2個のC1−6アルキル基で置換されていてもよいジオキソラニル、テトラヒドロフラニル、モルホリニル、C3−7シクロアルキルで置換されたC1−6アルキルであるか、あるいは
5eおよびR5fはそれらがその上で置換されている窒素原子と一緒になって、イミダゾリル、モルホリニル、ピペラジニルまたは、場合によりC1−6アルキルで置換されていてもよいピペラジニルを形成する]、
−CH=NOR5a[ここでR5aはC1−6アルキルである]、
−CH−O−C2−6アルケニル、
−CH−O−P(=O)(OR5g[ここで、R5gはそれぞれC1−6アルキルである]、
−CH−O−C(=O)−NH
−C(=O)−R5d[ここでR5dはチアゾリルである]
である、請求項1〜8のいずれかの化合物。
【請求項10】
Xが−NH−である、請求項1〜9のいずれかの化合物。
【請求項11】
アリールがそれぞれ、独立して、フェニル、あるいは、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチルからそれぞれ独立して選択される1、2または3個の置換基で置換されたフェニルである、請求項1〜10のいずれかの化合物。
【請求項12】
有効量の、請求項1〜11のいずれかに定義された通りの式(I)の化合物および担体を含んでなる製薬学的組成物。

【公表番号】特表2010−514735(P2010−514735A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543476(P2009−543476)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【国際出願番号】PCT/EP2007/064605
【国際公開番号】WO2008/080964
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(504347371)テイボテク・フアーマシユーチカルズ・リミテツド (94)
【Fターム(参考)】