説明

ICカード

【課題】 ICチップを搭載することができ、かつ薄型化可能なICカードを提供する。
【解決手段】 本発明は、カード基材1に対して回転可能に設けられた切替部3に導光板41を設け、切替部3を回転させることにより、発光ダイオード11a〜11cから発光し、導光板41から出射する光を受光するフォトダイオード12a〜12dを切り替え、これによりICチップ2a〜2dを切り替えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードに関し、特に、複数のICチップが搭載されるICカードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のICチップをICカードに設けることにより多機能を実現するICカードが開発されている。このようなICカードにおいては、ICカードに複数のICチップが設けられた切替部が設けられ、この切替部を回転させることにより、所望のICチップの外部接続端子を所定位置に位置させることにより機能を選択することが可能な構成となっている(特許文献1参照。)。
【0003】
一方、回転板を回転させることにより、光学的にスイッチングを行なう無接点型光ロータリスイッチについても良く知られている(特許文献2参照。)
【特許文献1】特開2003−331245号公報
【特許文献2】特開平5−28879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の複数のICチップが搭載されたICカードにおいては、各ICチップを切替部に設ける必要があるため、ICチップの搭載数に制約が生じてしまうという問題があった。また、各ICチップに外部接続端子を形成する必要があるためにコストが高くなるという問題もあった。
【0005】
さらに、従来のICカードでは、指をひっかけて切替部を回転させる構成であるため、薄く小さいICカードでは切替部を回転させにくいという問題があった。
【0006】
一方、光学的にスイッチングを行なう無接点型光ロータリスイッチにおいては、回転板の回転軸と平行な方向に光路が形成されるため、薄型化が要求されるICカードに適用することには困難がある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、多くのICチップを搭載することができ、かつ薄型化可能なICカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、まず、上記目的を達成するために、第1の発明は、カード基材と、前記カード基材内部に設けられた複数の発光素子と、前記カード基材内部に設けられ、前記発光素子からの光を受光する複数の受光素子と、前記カード基材に対して貫通し、かつ回転可能に設けられ、前記発光素子からの光を前記受光素子へ導くための導光部材が内部に配置された切替部と、ICカードの外部接続端子と、複数のICチップと、前記導光部材から出射する光を受光する受光素子の検出信号にしたがって、前記複数のICチップのうちの1つを選択して、前記外部接続端子と前記選択されたICチップの接続端子とを接続するスイッチ回路とを具備し、前記ICチップの選択は、前記切替部が回転され、前記導光部材から出射する光の方向が選択され、当該出射光を受光する受光素子が変更されることにより行なわれることを特徴とするICカード、である。
【0009】
また、第2の発明は、カード基材と、前記カード基材内部に設けられた複数の発光素子と、前記カード基材内部に設けられ、前記発光素子からの光を受光する複数の受光素子と、前記カード基材に対して貫通し、かつ回転可能に設けられ、前記発光素子からの光を前記受光素子へ導くためのスリットが形成された切替部と、ICカードの外部接続端子と、複数のICチップと、前記スリットから出射する光を受光するする受光素子の検出信号にしたがって、前記複数のICチップのうちの1つを選択して、前記外部接続端子と前記選択されたICチップの接続端子とを接続するスイッチ回路とを具備し、前記ICチップの選択は、前記切替部が回転され、前記スリットから出射する光の方向が選択され、当該出射光を受光する受光素子が変更されることにより行なわれることを特徴とするICカード、である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、多くのICチップを搭載することができ、かつ薄型化可能なICカードを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態にかかるICカードについて説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態にかかる接触型ICカードの上面図である。なお、同図においては、配線などの細かい構造は省略して示している。図2は、図1のA−A’断面図、図3は図2のB−B’断面図である。
【0013】
絶縁材料で形成されたカード基材1には、種々の機能を提供するICチップ2a〜2dが埋め込まれている。これらICチップ2a〜2dにより、多機能のICカードが提供されることになる。
【0014】
なお、本実施の形態においては、4つのICチップ2a〜2dを例にとり説明するが、ICチップの数はこれに限られるものではない。例えば、4つのICチップを1つにまとめたICチップであってもよい。
【0015】
カード基材1の大きさは、ISO/JIS規格に従い、長辺85.6mm、短辺53.97mm、厚さ0.78mmとする。外部接続端子4の配置位置は、カードの左端から最大10.25mm、カード面の上端から最大19.23mmとする。また、カード基材1には、その表面から裏面に貫通するとともに、カード基材1に対して回転可能に設けられた切替部3が設けられている。
【0016】
この切替部3は、発光素子から発生した光を受光素子に導くための導光板41を有し、回転軸33に対して垂直方向に延びるようにカード基材1内部に設けられた円板形状の切替部本体32と、この切替部本体32の上下に取り付けられ、切替部本体32の径よりも小さな径を有し、切替部本体32と回転軸33を共通にし、回転軸33に対して垂直方向に延びるようにカード基材1内部に設けられた円板部31a,31bとを有しており、これら切替部本体32及び円板部31a,31bは一体でICカード1に対して回転可能に設けられている。ユーザは、ICカード1の表面及び裏面の円板部31a,31bをつまんで切替部3を回転させることができる。
【0017】
切替部本体32の周囲には、切替部本体32の中心に向けて光を発光する発光素子である発光ダイオード11a〜11cが設けられるとともに、導光板41から出射する発光ダイオードからの光を受光する受光素子であるフォトトランジスタ(或いはフォトダイオード)12a〜12dが設けられている。
【0018】
本実施の形態においては、図3に示すように、発光ダイオード11a〜11cからの光が入射する導光板41の入射口の大きさは、その出射口よりも大きい。すなわち、入射口については発光ダイオード11aからの光が入射しやすいようにその面積を大きし、出射口については光をフォトトランジスタ12a〜12dに照射し易いようにその面積を小さくしている。これにより、発光ダイオード11a〜11cの数をフォトトランジスタ12a〜12dの数よりも小さくすることができる。
【0019】
なお、ここでは、発光ダイオード11a〜11cの数をフォトトランジスタ12a〜12dの数よりも小さくする場合について説明したが、同じ数として、発光ダイオード11a〜11c及びフォトトランジスタ12a〜12dを1対として互いに対向するように設けても良いことはいうまでもない。
【0020】
図3に示すように、本実施の形態においては入射口側については扇形形状とし、出射口側については直方体形状としているが、これに限られるものではなく、発光ダイオード11a〜11cからの光をフォトトランジスタ12a〜12dに照射することができる形状であればよい。例えば、導光板41は直方体形状であってもよい。また、ここでは導光部材として導光板41を例にとり説明したが、光を伝達することができるものであれば良いことはいうまでもない。
【0021】
導光板41は切替部3の回転軸33に対して垂直となるように設けられている。発光ダイオード11a〜11cは、発生する光の光軸が切替部3の回転軸に対して垂直となるように設けられており、フォトトランジスタ12a〜12dと同一の平面上に形成される。
【0022】
発光ダイオード11a〜11cは外部接続端子4の電源線に接続されており、その電源は、当該電源線から供給される。なお、非接触型のICカードの場合には、外部接続端子の電源線に接続されたアンテナからの誘導電流により電源が供給される。
【0023】
図4は、本発明の実施の形態に係るICカードの電気的な接続関係を示す図である。
【0024】
発光ダイオード11a〜11cは、外部接続端子4の電源線に接続されている。発光ダイオード11a〜11cから発生する光を受光するフォトトランジスタ12a〜12dはスイッチ回路21に接続されている。
【0025】
スイッチ回路21には、さらに、外部接続端子4からのICチップへの配線が接続されており、フォトダイオード12a〜12dの検出信号に基づいて、外部接続端子4からの配線をICチップ2a〜2dのいずれか1つに接続するものである。このようなスイッチ回路21の構成は、当業者であれば種々考えることができる。図5にスイッチ回路21の一例を示す。
【0026】
同図に示すように、外部接続端子4からの配線とチップ2a〜2dの接続端子の配線とは、スイッチ41a〜41dを介してそれぞれ接続されている。また、スイッチ41a〜41dは、フォトダイオード12a〜12dにそれぞれ接続されており、フォトダイオードからの光検出信号が入力されると、スイッチオンとなり、外部接続端子4からの配線をチップの接続端子の配線に接続する。
【0027】
図6は本発明の他の実施の形態にかかる接触型ICカードの上面図である。図7は、図6のA−A’断面図、図8は図7のB−B’断面図である。なお、同図においては、配線などの細かい構造は省略して示しており、図1乃至図図5と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0028】
他の実施の形態においては、発光ダイオード11a〜11d及びフォトダイオード(或いはフォトトランジスタ)12a〜12dを互いに対向するように同数設けることの他、切替部3の構造が異なる。すなわち、上述の実施の形態においては切替部3に導光板4を設ける場合について説明したが、本他の実施の形態においては、切替部本体51にその回転軸に直交する方向に貫通する直方体形状のスリット52を形成する。
【0029】
そして、このスリット52を通して、発光ダイオード11a〜11dから発光した光がフォトダイオード12a〜12dのいずれか1つの選択されたフォトダイオードに受光され、チップが選択される。
【0030】
このような他の実施の形態によれば、導光板を設ける必要がないことから、ICカードのコストを低減することができる。
【0031】
したがって、本実施の形態によれば、切替部にICチップを搭載する必要がないので、多くのICチップを搭載することができ、かつ切替部を回転させることにより容易にICチップを切り替えることが可能なICカードを提供することができる。
【0032】
また、本発明の実施の形態によれば、接点方式による切替方法とは異なり、光学的にICチップを切り替えるので、寿命の長いICカードを提供することができる。
【0033】
さらに、発光ダイオードとフォトダイオードとを切替部の回転軸に対して垂直方向に配置しているので、ICカードを薄型化することができる。
【0034】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態にかかる接触型ICカードの上面図である。
【図2】図1のA−A’断面図である。
【図3】図2のB−B’断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るICカードの電気的な接続関係を示す図である。
【図5】スイッチ回路の一例を示す図である。
【図6】本発明の他の実施の形態にかかる接触型ICカードの上面図である。
【図7】6のA−A’断面図である。
【図8】図7のB−B’断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1…カード基板、2a〜2d…ICチップ、3…切替部、4…外部接続端子、11a〜11c…発光ダイオード、12a〜12d…フォトダイオード、21…スイッチ回路、31a,31b…円板部、32…切替部本体、41…導光板、51…切替部本体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード基材と、
前記カード基材内部に設けられた複数の発光素子と、
前記カード基材内部に設けられ、前記発光素子からの光を受光する複数の受光素子と、
前記カード基材に対して貫通し、かつ回転可能に設けられ、前記発光素子からの光を前記受光素子へ導くための導光部材が内部に配置された切替部と、
ICカードの外部接続端子と、
複数のICチップと、
前記導光部材から出射する光を受光する受光素子の検出信号にしたがって、前記複数のICチップのうちの1つを選択して、前記外部接続端子と前記選択されたICチップの接続端子とを接続するスイッチ回路とを具備し、
前記ICチップの選択は、前記切替部が回転され、前記導光部材から出射する光の方向が選択され、当該出射光を受光する受光素子が変更されることにより行なわれることを特徴とするICカード。
【請求項2】
カード基材と、
前記カード基材内部に設けられた複数の発光素子と、
前記カード基材内部に設けられ、前記発光素子からの光を受光する複数の受光素子と、
前記カード基材に対して貫通し、かつ回転可能に設けられ、前記発光素子からの光を前記受光素子へ導くためのスリットが形成された切替部と、
ICカードの外部接続端子と、
複数のICチップと、
前記スリットから出射する光を受光するする受光素子の検出信号にしたがって、前記複数のICチップのうちの1つを選択して、前記外部接続端子と前記選択されたICチップの接続端子とを接続するスイッチ回路とを具備し、
前記ICチップの選択は、前記切替部が回転され、前記スリットから出射する光の方向が選択され、当該出射光を受光する受光素子が変更されることにより行なわれることを特徴とするICカード。
【請求項3】
前記発光素子と前記受光素子とは一対となるように設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のICカード。
【請求項4】
前記発光素子と前記受光素子とは互いに対向するするように設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のICカード。
【請求項5】
前記発光素子の数は、前記受光素子の数よりも少ないことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のICカード。
【請求項6】
前記発光素子から発する光の光軸は前記切替部の回転軸に対して垂直であり、前記導光部材は前記切替部の回転軸に対して垂直に設けられていることを特徴とする請求項1記載のICカード。
【請求項7】
前記発光素子から発する光の光軸は前記切替部の回転軸に対して垂直であり、前記スリットは前記切替部の回転軸に対して垂直に形成されていることを特徴とする請求項2記載のICカード。
【請求項8】
前記発光素子の電源は、前記外部接続端子から供給されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のICカード。
【請求項9】
前記発光素子の電源は、前記外部接続端子に接続されたICカードのアンテナから供給されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のICカード。
【請求項10】
前記複数の発光素子はフォトダイオードであり、前記複数の受光素子はフォトトランジスタ及びフォトダイオードのうちの少なくとも少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のICカード。
【請求項11】
前記導光部材は、導光板であることを特徴とする請求項1記載のICカード。
【請求項12】
前記導光部材の入射口の面積は、その出射口の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1記載のICカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−87158(P2007−87158A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−275841(P2005−275841)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(598049322)株式会社三菱東京UFJ銀行 (200)
【Fターム(参考)】