説明

ICチップ検査装置、ICチップ検査方法、及びICチップ検査プログラム

【課題】複数のI/Fを備えたICチップの検査時間を短縮することが可能なICチップ検査装置、ICチップ検査方法、及びICチップ検査プログラムを提供する。
【解決手段】本発明では、ICチップの動作を検査する検査装置が、試験プログラムの実行指令を一のインターフェイス手段における接続端子、I/Oモジュール、及び上位層モジュールを通じて実行手段に対して送信し、実行手段が、実行指令に応じて試験プログラムを実行し、検査装置が、試験データを一のインターフェイス手段における接続端子、I/Oモジュール、及び上位層モジュールを通じて実行手段に対して送信し、実行手段が、試験プログラムの実行により試験データからその一部を部分データとして抜き出し、当該抜き出した部分データを一のインターフェイス手段以外の他のインターフェイス手段におけるI/Oモジュール、及び接続端子を通じて検査装置に対して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のインターフェイス手段を備えたICチップの動作を検査する検査装置及び検査方法等の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
接触式のICカードに搭載されるICチップには、外部装置との間でデータのやり取りを行うためのインターフェイス手段(以下、「I/F」という)が備えられている。このようなICカードの製造時には、ICチップのハードウェアの動作確認試験等の検査を行う必要があるが、当該検査の前に、I/Fとして動作させるための通信プロトコルのモジュールの実行コードをICチップに書き込む必要がある。
【0003】
一方、ICチップの検査方法としては従来から種々提案されており、例えば、特許文献1には、良品のICチップを複数含むロットやウェハ全体の検査時間をより短くし得る検査方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−156404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、ICカードに搭載されるICチップとして、複数のI/Fを備えたICチップが普及され始めている。このようなICチップが搭載されるICカードの製造時において、未だプログラムの実行コードが書き込まれていないICチップの場合、上述した検査の前に、各I/Fの通信プロトコルのモジュールの実行コードをICチップに書き込むと、従来の単一のI/Fを備えるICチップに比べて、検査時間が長くなるという問題があった。
【0006】
また、予め例えばROMにプログラムの実行コードが書き込まれているICチップの場合、各I/Fの通信プロトコルのモジュールを全て動作させて通信を行うと、当該プロトコルのデータ処理に時間がかかり、結果的に検査時間が長くなるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題等に鑑みてなされたものであり、複数のI/Fを備えたICチップの検査時間を短縮することが可能なICチップ検査装置、ICチップ検査方法、及びICチップ検査プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、プログラムを実行する実行手段と、前記実行手段と外部装置との間でデータの受け渡しを行う複数のインターフェイス手段と、を備えたICチップにおいて、各前記インターフェイス手段は、前記外部装置と電気的に接続する接続端子と、前記外部装置から前記接続端子を介してデータを入力又は前記接続端子を介して前記外部装置へデータを出力するI/Oモジュールと、を備え、前記複数のインターフェイス手段のうちの何れか一のインターフェイス手段は、所定のプロトコルのルールにしたがって前記I/Oモジュールからのデータを処理して前記実行手段へ出力、又は前記ルールにしたがって前記実行手段からのデータを処理して前記I/Oモジュールへ出力する上位層モジュールと、を備えた前記ICチップの動作を検査するICチップ検査装置であって、試験プログラムの実行指令を前記一のインターフェイス手段における前記接続端子、前記I/Oモジュール、及び前記上位層モジュールを通じて前記実行手段に対して送信する試験実行指令送信手段と、試験データを前記一のインターフェイス手段における前記接続端子、前記I/Oモジュール、及び前記上位層モジュールを通じて前記実行手段に対して送信する試験データ送信手段と、前記実行手段による前記試験プログラムの実行により前記試験データから抜き出された部分データであって、当該試験プログラムの実行により前記一のインターフェイス手段以外の他の前記インターフェイス手段における前記I/Oモジュール、及び前記接続端子を通じて送信された前記部分データを受信する部分データ受信手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のICチップ検査装置において、前記受信された部分データを含む返信データを前記他のインターフェイス手段における前記接続端子、及び前記I/Oモジュールを通じて前記実行手段に対して送信する返信データ送信手段と、前記返信データの受信に応じて前記実行手段から前記一のインターフェイス手段における前記上位層モジュール、前記I/Oモジュール、及び前記接続端子を通じて送信された受信成功を示す成功データを受信する成功データ受信手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のICチップ検査装置において、前記成功データが受信された場合に、前記ICチップの動作が良好であると判定する判定手段を更に備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載のICチップ検査プログラムの発明は、コンピュータを、請求項1乃至3の何れか一項に記載のICチップ検査装置として機能させることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、プログラムを実行する実行手段と、前記実行手段と外部装置との間でデータの受け渡しを行う複数のインターフェイス手段と、を備えたICチップにおいて、各前記インターフェイス手段は、前記外部装置と電気的に接続する接続端子と、前記外部装置から前記接続端子を介してデータを入力又は前記接続端子を介して前記外部装置へデータを出力するI/Oモジュールと、を備え、前記複数のインターフェイス手段のうちの何れか一のインターフェイス手段は、所定のプロトコルのルールにしたがって前記I/Oモジュールからのデータを処理して前記実行手段へ出力、又は前記ルールにしたがって前記実行手段からのデータを処理して前記I/Oモジュールへ出力する上位層モジュールと、を備えた前記ICチップの動作を検査するICチップ検査方法であって、試験プログラムの実行指令を前記一のインターフェイス手段における前記接続端子、前記I/Oモジュール、及び前記上位層モジュールを通じて前記実行手段に対して送信する工程と、試験データを前記一のインターフェイス手段における前記接続端子、前記I/Oモジュール、及び前記上位層モジュールを通じて前記実行手段に対して送信する工程と、前記実行手段による前記試験プログラムの実行により前記試験データから抜き出された部分データであって、当該試験プログラムの実行により前記一のインターフェイス手段以外の他の前記インターフェイス手段における前記I/Oモジュール、及び前記接続端子を通じて送信された前記部分データを受信する工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、プログラムを実行する実行手段と、前記実行手段と外部装置との間でデータの受け渡しを行う複数のインターフェイス手段と、を備えたICチップにおいて、各前記インターフェイス手段は、前記外部装置と電気的に接続する接続端子と、前記外部装置から前記接続端子を介してデータを入力又は前記接続端子を介して前記外部装置へデータを出力するI/Oモジュールと、を備え、前記複数のインターフェイス手段のうちの何れか一のインターフェイス手段は、所定のプロトコルのルールにしたがって前記I/Oモジュールからのデータを処理して前記実行手段へ出力、又は前記ルールにしたがって前記実行手段からのデータを処理して前記I/Oモジュールへ出力する上位層モジュールと、を備えた前記ICチップの動作を検査するICチップ検査方法であって、前記ICチップの動作を検査する検査装置が、試験プログラムの実行指令を前記一のインターフェイス手段における前記接続端子、前記I/Oモジュール、及び前記上位層モジュールを通じて前記実行手段に対して送信する工程と、前記実行手段が、前記実行指令に応じて前記試験プログラムを実行する工程と、前記検査装置が、試験データを前記一のインターフェイス手段における前記接続端子、前記I/Oモジュール、及び前記上位層モジュールを通じて前記実行手段に対して送信する工程と、前記実行手段が、前記試験プログラムの実行により前記試験データからその一部を部分データとして抜き出し、当該抜き出した部分データを前記一のインターフェイス手段以外の他の前記インターフェイス手段における前記I/Oモジュール、及び前記接続端子を通じて前記検査装置に対して送信する工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、インターフェイス手段における全ての通信プロトコルのモジュールの実行コードをICチップ内に書き込む必要がなく、通信プロトコルのモジュールの一部分のみを利用して試験を行うので、ICチップの動作試験にかかる検査時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係るICカード検査システムの概要構成例を示す図である。
【図2】本実施形態に係るICチップ1のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】I/F14とI/F15の通信プロトコルのモジュール構成例を示す図である。
【図4】ICチップ1の動作試験において用いられる通信プロトコルのモジュールを示す図である。
【図5】本実施形態に係るICチップ検査装置2の概要構成例を示す図である。
【図6】ICチップ1の動作試験時における、当該ICチップ1とICチップ検査装置2間のデータやり取りの一例を示すシーケンス図である。
【図7】試験データのフォーマット例を示す図である。
【図8】SWPのデータフォーマット例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、ICカード検査システムに対して本発明を適用した場合の実施の形態である。
【0017】
先ず、図1を参照して、本実施形態に係るICカード検査システムの構成及び機能例について説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係るICカード検査システムの概要構成例を示す図である。
【0019】
図1に示すように、ICカード検査システムSは、検査対象となるICチップ1が搭載されたICカードCAと、ICチップ1の動作を検査するICチップ検査装置2と、を備えて構成され、ICチップ1とICチップ検査装置2は検査時に電気的に接続される。
【0020】
図2は、本実施形態に係るICチップ1のハードウェア構成例を示す図である。
【0021】
図2に示すように、ICチップ1は、OS(オペレーティングシステム)及びアプリケーション等のプログラムを実行する実行手段としてのCPU(Central Processing Unit)11、所定のデータ及びプログラムを記憶する不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ、又はEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory))12、作業用のRAM(Random Access Memory)13、及びCPU11と外部装置との間でデータの受け渡しを行うI/F14(一のインターフェイス手段の一例),I/F15(他のインターフェイス手段の一例)等を備えて構成されている。
【0022】
なお、本実施形態においては、I/F14の通信(通信制御)プロトコルとしてISO7816に準拠したプロトコルを適用し、I/F15の通信プロトコルとしてSWP(Single Wire Protocol)を適用して説明する。なお、ISO7816及びSWPについては公知であるため詳しい説明を省略する。
【0023】
図3は、I/F14とI/F15の通信プロトコルのモジュール構成例を示す図である。
【0024】
図3に示すように、I/F14は、外部装置と電気的に接続する接続端子であるISO7816端子141(例えば、所謂「C7」端子)と、外部装置からISO7816端子141を介してデータを入力又はISO7816端子141を介して外部装置へデータを出力するI/Oモジュール(物理層の制御モジュール)142と、ISO7816に準拠したプロトコルのルールにしたがってI/Oモジュール142からのデータを処理してCPU11へ出力、又はISO7816に準拠したプロトコルのルールにしたがってCPU11からのデータを処理してI/Oモジュール142へ出力する上位層モジュール143と、により構成される。
【0025】
一方、I/F15は、外部装置と電気的に接続する接続端子であるSWP端子151(例えば、所謂「C6」端子)と、外部装置からSWP端子151を介してデータを入力又はSWP端子151を介して外部装置へデータを出力するI/Oモジュール152と、SWPのルールにしたがってI/Oモジュール152からのデータを処理してCPU11へ出力、又はSWPのプロトコルのルールにしたがってCPU11からのデータを処理してI/Oモジュール152へ出力する上位層モジュール153と、により構成される。
【0026】
なお、I/Oモジュール142、上位層モジュール143、I/Oモジュール152、及び上位層モジュール153は、夫々、各モジュールの実行コードが例えば不揮発性メモリ12に書き込まれることにより実現される。
【0027】
そして、本実施形態でのICチップ1の動作試験(製造段階)においては、I/F14とI/F15のうち、メインとなるI/F14については通信プロトコルのモジュールの全部(I/Oモジュール142及び上位層モジュール143)を用いて通常の動作試験を行い、I/F15については通信プロトコルのモジュールの一部(I/Oモジュール152)のみを用いて動作試験を行うようになっている。これは、ICカードCAの製造段階では、上位層モジュール153の動作試験は必ずしも必要でないことに着目したものである(一方、ICカードCAの発行段階では、上位層モジュール153の動作試験は必要)。
【0028】
図4は、ICチップ1の動作試験において用いられる通信プロトコルのモジュールを示す図である。図4に示すように、ICチップ1の動作試験において、破線で囲まれたI/F15の上位層モジュール153は用いられない。従って、未だプログラムの実行コードが書き込まれていないICチップ1の場合、破線で囲まれた上位層モジュール153の実行コードを不揮発性メモリ12に書き込まなくても良い。
【0029】
次に、本実施形態に係るICチップ検査装置2の構成及び機能について説明する。
【0030】
図5は、本実施形態に係るICチップ検査装置2の概要構成例を示す図である。
【0031】
図5に示すように、ICチップ検査装置2は、CPU,RAM,ROM等から構成された制御部21、各種データ及びプログラム等を記憶するためのHD(ハードディスク)等から構成された記憶部22、各種情報を表示するための表示部23、検査者等からの指示を受け付け当該指示に応じた指示信号を制御部21に対して与える入力部24、及びICカードCAを設置しICチップ1と電気的に接続するICカード設置部25等を備えて構成されている。
【0032】
ICカード設置部25には、I/F14のISO7816端子141と電気的に接続するためのISO7816通信用端子251と、I/F15のSWP端子151と電気的に接続するためのSWP通信用端子252が設けられており、夫々の端子251,252は、制御部21におけるCPUの別々のポートに接続されている。
【0033】
このような構成において、制御部21は、CPUが記憶部22等に記憶されたプログラム(本発明のICチップ検査プログラムを含む)を読み出して実行することにより、全体を統括制御し、本発明における試験実行指令送信手段、試験データ送信手段、部分データ受信手段、返信データ送信手段、成功データ受信手段、及び判定手段等として機能するようになっている。
【0034】
具体的には、制御部21は、ISO7816通信用端子251を介し、ICチップ1のI/F14におけるISO7816端子141、I/Oモジュール142、及び上位層モジュール143を通じてCPU11に対して試験プログラム(動作試験用のプログラム)の実行指令(コマンド)を送信する(試験プログラムの呼び出し)。一方、ICチップ1のCPU11が当該実行指令を受信すると、当該実行指令に応じて、例えば予め不揮発性メモリ12に記憶されている試験プログラムを呼び出し、実行する。
【0035】
こうして試験プログラムの実行が開始されると、続いて、制御部21は、ISO7816通信用端子251を介し、ICチップ1のI/F14におけるISO7816端子141、I/Oモジュール142、及び上位層モジュール143を通じてCPU11に対して試験データ(動作試験用のデータ)を送信する。一方、ICチップ1のCPU11が、当該試験データを受信すると、上記試験プログラムにしたがって、I/F15におけるI/Oモジュール152を呼び出すと共に、上記試験データからその一部を部分データとして抜き出し、当該抜き出した部分データを、I/F15におけるI/Oモジュール152及びSWP端子151を通じてICチップ検査装置2に対して送信する。
【0036】
こうして、ICチップ検査装置2の制御部21が、上記部分データを受信すると、当該受信した部分データを含む返信データを、SWP通信用端子252を介し、I/F15におけるSWP端子151及びI/Oモジュール152を通じてCPU11に対して送信する。一方、ICチップ1のCPU11が、当該返信データを受信すると、上記試験プログラムにしたがって、当該返信データ内に、上記抜き出した部分データが含まれているかどうかを確認し、含まれている場合には、受信成功を示す成功データを、I/F14における上位層モジュール143、I/Oモジュール142、及びISO7816端子141を通じてICチップ検査装置2に対して送信する。なお、返信データ内に、上記抜き出した部分データが含まれていない場合には、受信失敗を示す失敗データがICチップ検査装置2に対して送信される。
【0037】
こうして、ICチップ検査装置2の制御部21が、上記成功データを受信した場合に、ICチップ1の動作が良好であると判定する。
【0038】
次に、図6乃至図8を参照して、本実施形態に係るICカード検査システムSの動作例について説明する。
【0039】
図6は、ICチップ1の動作試験時における、当該ICチップ1とICチップ検査装置2間のデータやり取りの一例を示すシーケンス図である。図7は、試験データのフォーマット例を示す図である。図8は、SWPのデータフォーマット例を示す図である。
【0040】
図6において、先ず、ICチップ検査装置2からISO7816通信用端子251経由でICチップ1に対して、I/F14におけるI/Oモジュール142及び上位層モジュール143の起動及び初期化指令(ISO7816通信の起動及び初期化指令)がなされ(ステップS1)、これにより、I/Oモジュール142及び上位層モジュール143が起動及び初期化される。
【0041】
次いで、ICチップ検査装置2からISO7816通信用端子251経由でICチップ1に対して、試験プログラムの実行指令がなされ(ステップS2)、試験プログラムが呼び出され実行される。
【0042】
次いで、ICチップ検査装置2からSWP通信用端子252経由でICチップ1に対して、I/F15におけるI/Oモジュール152の起動及び初期化指令(SWP通信の起動及び初期化指令)がなされ(ステップS3)、これにより、I/Oモジュール152が起動及び初期化される。
【0043】
次いで、ICチップ検査装置2からISO7816通信用端子251経由でICチップ1に対して、例えば図7に示すようなフォーマットの試験データが送信される(ステップS4)。なお、このフォーマットは、ISO7816に準拠するものであり、公知であるので説明を省略する。
【0044】
次いで、CPU11(試験プログラム)により、上記試験データからその一部が部分データとして抜き出される(ステップS5)。例えば、図7において、「DATA Field」部分が部分データとして抜き出される。
【0045】
次いで、CPU11(試験プログラム)により、I/F15におけるI/Oモジュール152が呼び出され、上記抜き出された部分データがI/Oモジュール152及びSWP端子151を通じ、SWP通信用端子252経由でICチップ検査装置2に送信される(ステップS6)。つまり、ここでは、プロトコルのルールが考慮されず、単純にデータのみがI/Oモジュール152を通じて送信される。また、このとき、I/Oモジュール152は、部分データの前後にデータ(SOF(Start Of Frame)と、EOF(End Of Frame))を付加して図8に示すようなSWPのデータフォーマットで部分データをICチップ検査装置2に送ることになる。
【0046】
なお、このとき、ICチップ検査装置2は、ICチップ1からSWP通信用端子252経由で返信された部分データと、自身が送った試験データにおける例えば「DATA Field」のデータとが一致しているか否かを確認し、一致していれば、ICチップ1の動作が良好であると判定しても良い。
【0047】
次いで、ICチップ検査装置2からSWP通信用端子252経由で、I/Oモジュール152を通じてICチップ1に対し、上記受信された部分データを含む返信データが送信される(ステップS7)。この返信データとしては、例えば、ICチップ検査装置2により受信された図8に示すようなSWPのデータフォーマットそのままの形とされる。
【0048】
次いで、CPU11(試験プログラム)により、SWP通信用端子252経由で、上記抜き出された部分データが受信できたかが確認、つまり、返信データ内に当該部分データが含まれているかが確認(受信確認)される(ステップS8)。このとき、試験プログラムでは、「SHDLC Control」、「CRC」などのチェックは行わずByte列のデータが受信さきたことのみを確認してI/F15の動作を確認する。
【0049】
そして、上記抜き出された部分データが受信できたことが確認された場合、CPU11(試験プログラム)により、受信成功を示す成功データが、I/F14における上位層モジュール143、I/Oモジュール142、及びISO7816端子141を通じ、ISO7816通信用端子251経由でICチップ検査装置2に送信される(ステップS9)。これにより、ICチップ検査装置2では、ICチップ1の動作が良好であると判定し、その旨の情報を表示する。
【0050】
以上説明したように、上記実施形態によれば、I/Fにおける全ての通信プロトコルのモジュールの実行コードをICチップ1内に書き込む必要がなく、通信プロトコルのモジュールの一部分のみを利用して試験を行うので、ICチップ1の動作試験にかかる検査時間を短縮することができる。特に、ICカードCAの製造個数が増せば増すほど本発明の効果が増していくことになる。
【0051】
なお、上記実施形態においては、通信プロトコルとしてISO7816に準拠したプロトコル及びSWPを例にとって説明したが、その他のプロトコルであっても構わない。
【符号の説明】
【0052】
1 ICチップ
2 ICチップ検査装置
11 CPU
12 不揮発性メモリ
13 RAM
14,15 I/F
21 制御部
22 記憶部
23 表示部
24 入力部
25 ICカード設置部
141 ISO7816端子
142 I/Oモジュール
143 上位層モジュール
151 SWP端子
152 I/Oモジュール
153 上位層モジュール
251 ISO7816通信用端子
252 SWP通信用端子
CA ICカード
S ICカード検査システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムを実行する実行手段と、前記実行手段と外部装置との間でデータの受け渡しを行う複数のインターフェイス手段と、を備えたICチップにおいて、各前記インターフェイス手段は、前記外部装置と電気的に接続する接続端子と、前記外部装置から前記接続端子を介してデータを入力又は前記接続端子を介して前記外部装置へデータを出力するI/Oモジュールと、を備え、前記複数のインターフェイス手段のうちの何れか一のインターフェイス手段は、所定のプロトコルのルールにしたがって前記I/Oモジュールからのデータを処理して前記実行手段へ出力、又は前記ルールにしたがって前記実行手段からのデータを処理して前記I/Oモジュールへ出力する上位層モジュールと、を備えた前記ICチップの動作を検査するICチップ検査装置であって、
試験プログラムの実行指令を前記一のインターフェイス手段における前記接続端子、前記I/Oモジュール、及び前記上位層モジュールを通じて前記実行手段に対して送信する試験実行指令送信手段と、
試験データを前記一のインターフェイス手段における前記接続端子、前記I/Oモジュール、及び前記上位層モジュールを通じて前記実行手段に対して送信する試験データ送信手段と、
前記実行手段による前記試験プログラムの実行により前記試験データから抜き出された部分データであって、当該試験プログラムの実行により前記一のインターフェイス手段以外の他の前記インターフェイス手段における前記I/Oモジュール、及び前記接続端子を通じて送信された前記部分データを受信する部分データ受信手段と、
を備えることを特徴とするICチップ検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載のICチップ検査装置において、
前記受信された部分データを含む返信データを前記他のインターフェイス手段における前記接続端子、及び前記I/Oモジュールを通じて前記実行手段に対して送信する返信データ送信手段と、
前記返信データの受信に応じて前記実行手段から前記一のインターフェイス手段における前記上位層モジュール、前記I/Oモジュール、及び前記接続端子を通じて送信された受信成功を示す成功データを受信する成功データ受信手段と、
を備えることを特徴とするICチップ検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載のICチップ検査装置において、
前記成功データが受信された場合に、前記ICチップの動作が良好であると判定する判定手段を更に備えることを特徴とするICチップ検査装置。
【請求項4】
コンピュータを、請求項1乃至3の何れか一項に記載のICチップ検査装置として機能させることを特徴とするICチップ検査プログラム。
【請求項5】
プログラムを実行する実行手段と、前記実行手段と外部装置との間でデータの受け渡しを行う複数のインターフェイス手段と、を備えたICチップにおいて、各前記インターフェイス手段は、前記外部装置と電気的に接続する接続端子と、前記外部装置から前記接続端子を介してデータを入力又は前記接続端子を介して前記外部装置へデータを出力するI/Oモジュールと、を備え、前記複数のインターフェイス手段のうちの何れか一のインターフェイス手段は、所定のプロトコルのルールにしたがって前記I/Oモジュールからのデータを処理して前記実行手段へ出力、又は前記ルールにしたがって前記実行手段からのデータを処理して前記I/Oモジュールへ出力する上位層モジュールと、を備えた前記ICチップの動作を検査するICチップ検査方法であって、
試験プログラムの実行指令を前記一のインターフェイス手段における前記接続端子、前記I/Oモジュール、及び前記上位層モジュールを通じて前記実行手段に対して送信する工程と、
試験データを前記一のインターフェイス手段における前記接続端子、前記I/Oモジュール、及び前記上位層モジュールを通じて前記実行手段に対して送信する工程と、
前記実行手段による前記試験プログラムの実行により前記試験データから抜き出された部分データであって、当該試験プログラムの実行により前記一のインターフェイス手段以外の他の前記インターフェイス手段における前記I/Oモジュール、及び前記接続端子を通じて送信された前記部分データを受信する工程と、
を含むことを特徴とするICチップ検査方法。
【請求項6】
プログラムを実行する実行手段と、前記実行手段と外部装置との間でデータの受け渡しを行う複数のインターフェイス手段と、を備えたICチップにおいて、各前記インターフェイス手段は、前記外部装置と電気的に接続する接続端子と、前記外部装置から前記接続端子を介してデータを入力又は前記接続端子を介して前記外部装置へデータを出力するI/Oモジュールと、を備え、前記複数のインターフェイス手段のうちの何れか一のインターフェイス手段は、所定のプロトコルのルールにしたがって前記I/Oモジュールからのデータを処理して前記実行手段へ出力、又は前記ルールにしたがって前記実行手段からのデータを処理して前記I/Oモジュールへ出力する上位層モジュールと、を備えた前記ICチップの動作を検査するICチップ検査方法であって、
前記ICチップの動作を検査する検査装置が、試験プログラムの実行指令を前記一のインターフェイス手段における前記接続端子、前記I/Oモジュール、及び前記上位層モジュールを通じて前記実行手段に対して送信する工程と、
前記実行手段が、前記実行指令に応じて前記試験プログラムを実行する工程と、
前記検査装置が、試験データを前記一のインターフェイス手段における前記接続端子、前記I/Oモジュール、及び前記上位層モジュールを通じて前記実行手段に対して送信する工程と、
前記実行手段が、前記試験プログラムの実行により前記試験データからその一部を部分データとして抜き出し、当該抜き出した部分データを前記一のインターフェイス手段以外の他の前記インターフェイス手段における前記I/Oモジュール、及び前記接続端子を通じて前記検査装置に対して送信する工程と、
を備えることを特徴とするICチップ検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−181163(P2010−181163A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22454(P2009−22454)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】