説明

IH式無煙ロースター

【課題】IH調理器を単に組み込んだ無煙ロースターでは、調理器具の下からの加熱感を味わえない。
【解決手段】テーブル1の開口部2内にIH調理器3を有する調理部4を設け、該調理部4の外側に吸引流路6を設けると共に、該吸引流路6の内側壁7におけるIH調理器3より上方に吸引孔8、8a…を形成し、IH調理器3に内蔵された誘導加熱コイル3aを取り囲む様に複数個の小型ランプ9、9a…を、該小型ランプ9、9a…からの光を視認可能に配置する。IH調理器3上に置いた調理器具Xを取り囲む様に配置された複数個の小型ランプ9、9a…を発光させることによって、調理器具Xの下方で恰も炎がついているかの如く表現させることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IH(Induction Heating :電磁誘導加熱)調理器を備えた無煙ロースターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、焼肉店などで使用される無煙ロースターにおいては、鉄板、焼網、ロストル、ジンギスカン鍋、鉄板鍋等の調理器具を用いて各種の焼肉料理、鍋料理等がなされており、ガス、炭を燃焼させて被調理物を加熱するものが一般的であったが、CO2 、NOx 等の排出など様々な問題点があることから、IH調理器を用いた無煙ロースターを開発する気運が高まっており、実際に稼働中のものも見受けられるが、IH調理器を単に組み込んだだけのIH式無煙ロースターにあっては、ガスや炭の燃焼時の様に炎はなく強力な磁界を形成する目に見えない磁力線が調理器具の通過時に該調理器具を加熱することから、調理時に調理器具の下のトッププレートに変化がないため、余りにも無機質的で温かさが感じられず、各テーブルで調理する醍醐味の大きな部分を喪失してしまう可能性を否定できない。
【0003】
尚、IH調理器には、トッププレートは調理時において一般的に殆ど変化せず、加熱状況を外見で感知できないことから、電源ON−OFFや表面温度の変化を確認したり、或いは加熱・残熱状態のトッププレート面への手触れを防止するために、トッププレート面に視認可能な各種表示を設けて、使用者に注意喚起を促す様にしたものが見受けられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−64823号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来技術にあっては、確かにトッププレート表面が変化するが極僅かであるため、このIH調理器を無煙ロースターに組み込んでも、やはり無機質的で冷たい感覚を解消できず、調理器具の下からの加熱感を味わえないなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記従来技術に基づく、調理器具の下からの加熱感を味わえない課題に鑑み、テーブルの開口部内にIH調理器を有する調理部を設け、該調理部の外側に吸引流路を設けると共に、該吸引流路の内側壁におけるIH調理器より上方に吸引孔を形成し、IH調理器に内蔵された誘導加熱コイルを取り囲む様に複数個の小型ランプを、該小型ランプからの光を視認可能に配置することによって、IH調理器上に調理器具を置いても、それを取り囲む様に配置された複数個の小型ランプを発光させることによって、調理器具の下方で恰も炎がついているかの如く表現させることを可能にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
要するに本発明は、テーブルの開口部内にIH調理器を有する調理部を設け、該調理部の外側に吸引流路を設けると共に、該吸引流路の内側壁におけるIH調理器より上方に吸引孔を形成し、IH調理器に内蔵された誘導加熱コイルより外周部位で、少なくとも該誘導加熱コイルを挟んで対向する2箇所の夫々に複数個の小型ランプを、該小型ランプからの光を視認可能に配置したので、IH調理器において従来の着想に無かった加熱感、即ち恰も炎により加熱調理しているかの如く表現することが出来るため、特に焼肉調理時の独特な雰囲気を醸し出させることかでき、而も上記従来技術と同様に、電源のON−OFF確認手段、加熱状態の表示手段としても利用出来る。
【0008】
具体的には、IH調理器におけるトッププレートを耐熱強化ガラス板とし、複数個の小型ランプを、IH調理器のケーシングと誘導加熱コイルとの間に、該誘導加熱コイルを取り囲む様に配置したり、或いは、複数個の小型ランプを、IH調理器のケーシングと吸引流路の内側壁との間に、該誘導加熱コイルを取り囲む様に配置したので、前者のものであればIH調理器上に載置した調理器具の近くに小型ランプを配置出来るため、調理器具直下での加熱感を印象付けることができ、後者のものであれば既存のIH調理器をそのまま組み込むことが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るIH式無煙ロースターの実施例1の平面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】本発明に係るIH式無煙ロースターの実施例2の平面図である。
【図5】図4の要部拡大図である。
【図6】図5のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るIH式無煙ロースターにあっては、テーブル1の開口部2内にIH調理器3を有する調理部4を設け、該調理部4の外側に吸引流路6を設けると共に、該吸引流路6の内側壁7におけるIH調理器3より上方に吸引孔8、8a…を形成し、IH調理器3に内蔵された誘導加熱コイル3aを取り囲む様に複数個の小型ランプ9、9a…を配置している。
【実施例1】
【0011】
図1〜3に示すIH式無煙ロースターにあっては、複数個の小型ランプ9、9a…を、IH調理器3に内蔵された誘導加熱コイル3aとIH調理器3のケーシング10との間に配置することで、該複数個の小型ランプ9、9a…を上記誘導加熱コイル3aを取り囲む様に配置している。
又、IH調理器3におけるトッププレート13を透光性のある耐熱強化ガラス板として、小型ランプ9、9a…からの光を視認可能にし、具体的には、小型ランプ9、9a…の位置に対応して、トッププレート13の下面に施した塗膜の一部を半透明状態にすることで対処したり、トッププレート13の下面に塗膜を施さずに全体的に透光可能として対処している。
よって、上記IH調理器3には別途小型ランプ9、9a…が組み込まれることから、本発明に係るIH式無煙ロースター専用のIH調理器3となる。
【実施例2】
【0012】
図4〜6に示す本発明に係るIH式無煙ロースターにあっては、IH調理器3と吸引流路6の内側壁7との間に複数個の小型ランプ9、9a…を配置することで、該複数個の小型ランプ9、9a…を、ケーシング10を挟んでではあるが、上記誘導加熱コイル3aを取り囲む様に配置し、且つIH調理器3におけるトッププレート13に透光性がなくても小型ランプ9、9a…からの光を視認可能にしている。
よって、IH調理器3とは別途に小型ランプ9、9a…が組み込まれることから、上記内側壁7との隙間に小型ランプ9、9a…を組み込んでおけば、既製品のIH調理器3をそのまま組み込むことが可能になる。
【0013】
又、複数個の小型ランプ9、9a…にあっては、実施例1においては誘導加熱コイル3aに相当する部分、実施例2においてはIH調理器3に相当する部分がくりぬかれた矩形枠状の基板11上に複数個の小型ランプ9、9a…を固定し、その上方に内周縁部が上記基板11の内周縁部より内方突出した矩形枠状の半透明なカバー12を配置している。
上記カバー12を半透明にすることで、小型ランプ9、9a…からの発光を拡散させカバー12全体が暖色系でぼかしを入れて光る様にしている。
【0014】
又、上記小型ランプ9、9a…にあっては、例えばLED、白熱ランプ、ハロゲンランプなど、要するに発光体であれば良く、赤色系、橙色系の暖色系ランプとしたり、複数色のものを混在させたり、白色ランプとした場合には基板11やカバー12を暖色系にすることで対処する様にしている。
【0015】
尚、上記複数個の小型ランプ9、9a…にあっては、要するに上記誘導加熱コイル3aより外周部位で、少なくとも上記誘導加熱コイル3aを挟んで対向する2箇所に複数個の小型ランプ9、9a…が配置されていれば良く、その代表が、実施例1、2の様な、上記誘導加熱コイル3aを取り囲む様に、即ち上記誘導加熱コイル3aより外周部位の全体に複数個の小型ランプ9、9a…を配置した形態である。
【0016】
又、本発明に係るIH式無煙ロースターは、図面上ダクト式ロースターを採用しているが、ノンダクト式ロースターであっても良い。
【0017】
次に、本発明に係るIH式無煙ロースターの作用について説明する。
IH調理器3のスイッチ(図示せず)を「ON」にすると、小型ランプ9、9a…の一部又は全部が発光して、調理器具Xの載置面における調理器具Xの外周側の部位が暖色系で光って、恰も調理器具Xの下方に炎があるかの様な雰囲気にする。
【0018】
尚、複数個の小型ランプ9、9a…をそれを駆動するソフト付きのユニットに接続することで、予め定められたプログラムに従って各小型ランプ9、9a…を発光させる様にして、例えば炎が揺らぐ様を再現するなど、各種発光パターンに選択変更可能にしても良い。
【符号の説明】
【0019】
1 テーブル
2 開口部
3 IH調理器
3a 誘導加熱コイル
4 調理部
6 吸引流路
7 内側壁
8、8a… 吸引孔
9、9a… 小型ランプ
10 ケーシング
13 トッププレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブルの開口部内にIH調理器を有する調理部を設け、該調理部の外側に吸引流路を設けると共に、該吸引流路の内側壁におけるIH調理器より上方に吸引孔を形成し、IH調理器に内蔵された誘導加熱コイルより外周部位で、少なくとも該誘導加熱コイルを挟んで対向する2箇所に複数個の小型ランプを、該小型ランプからの光を視認可能に配置したことを特徴とするIH式無煙ロースター。
【請求項2】
IH調理器におけるトッププレートを耐熱強化ガラス板とし、複数個の小型ランプを、IH調理器のケーシングと誘導加熱コイルとの間に、該誘導加熱コイルを取り囲む様に配置したことを特徴とする請求項1記載のIH式無煙ロースター。
【請求項3】
複数個の小型ランプを、IH調理器のケーシングと吸引流路の内側壁との間に、該誘導加熱コイルを取り囲む様に配置したことを特徴とする請求項1記載のIH式無煙ロースター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−165500(P2010−165500A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5513(P2009−5513)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(591031902)シンポ株式会社 (18)
【Fターム(参考)】